(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電子蒸気供給システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20250212BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20250212BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/57
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540729
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 GB2023050128
(87)【国際公開番号】W WO2023144514
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AD06
4B162AD12
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
電子蒸気供給システム「EVPS」は、ユーザに送達するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成器と、ユーザの吸入動作のタイミングを測定するためのタイマーと、タイマーからのタイミング測定値に基づいてユーザの吸入動作を予測するように構成された吸入予測プロセッサと、を含み、吸入予測プロセッサは、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、エアロゾル生成器の第1の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成器と、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定するためのタイマーと、
前記タイマーからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測するように構成された吸入予測プロセッサと、
を備え、
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第1の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、電子蒸気供給システムEVPS。
【請求項2】
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項1に記載のEVPS。
【請求項3】
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第2の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、
請求項1又は2に記載のEVPS。
【請求項4】
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項3に記載のEVPS。
【請求項5】
前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測するように構成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のEVPS。
【請求項6】
前記吸入予測プロセッサが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されている、
請求項5に記載のEVPS。
【請求項7】
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されており、
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別するように構成されている、
請求項6に記載のEVPS。
【請求項8】
前記閾値期間がリストから選択された1つであり、前記リストが、
i.1分、
ii.2分、
iii.3分、及び
iv.複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間
を含む、請求項7に記載のEVPS。
【請求項9】
1つ又は複数の閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、前記リストが、
i.時刻、
ii.曜日、
iii.場所、
iv.現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、
v.前記ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び
vi.複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のEVPS。
【請求項10】
前記吸入予測プロセッサが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始するように構成されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載のEVPS。
【請求項11】
前記予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、前記リストが、
i.前記ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、
ii.最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、
iii.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
iv.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
を含む、請求項10に記載のEVPS。
【請求項12】
前記吸入予測プロセッサが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測するように構成されており、立て続けの使用セッションが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、
前記吸入予測プロセッサが立て続けの使用セッションを予測した場合、前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始するように構成されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載のEVPS。
【請求項13】
電子蒸気供給の方法であって、
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成することを含むエアロゾル生成ステップと、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定することを含むタイミングステップと、
前記タイミングステップからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測することを含む吸入予測ステップと、
予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第1の予め定められた予熱モードを開始することを含む開始ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸入予測ステップが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第2の予め定められた予熱モードを開始することを含む、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸入予測ステップが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含む、
請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記吸入予測ステップが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸入予測ステップが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測することを含み、
前記吸入予測ステップが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記閾値期間がリストから選択された1つであり、前記リストが、
i.1分、
ii.2分、
iii.3分、及び
iv.複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、前記リストが、
i.時刻、
ii.曜日、
iii.場所、
iv.現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、
v.前記ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び
vi.複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、
を含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記吸入予測ステップが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始することを含む、
請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、前記リストが、
i.前記ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、
ii.最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、
iii.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
iv.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記吸入予測ステップが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測することを含み、立て続けの使用セッションが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、
前記吸入予測ステップが立て続けの使用セッションを予測した場合、前記吸入予測ステップが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始することをさらに含む、
請求項13~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
方法の請求項13~24のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子蒸気供給システム及び方法に関する。
【背景】
【0002】
本明細書で提供する「背景」の説明は、本開示の状況を概略的に提示することを目的としている。この背景セクションに記載した範囲における本発明者らの取り組み、並びに出願時点では従来技術であると考えられない本明細書の態様は、本開示に対する従来技術として明示的にも暗黙的にも認めるものではない。
【0003】
エアロゾル供給システム(又は同様に、電子蒸気供給システム)は、活性成分(ニコチンなど)を便利な方法でオンデマンドでユーザに送達することができるので、ユーザに人気がある。
【0004】
エアロゾル供給システムの一例として、電子タバコ(eシガレット)は、典型的にはニコチンを含む配合物を含有する原料液体のリザーバを一般には含み、そこから熱気化などによってエアロゾルが生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル源は、たとえばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように構成された加熱要素を有するヒーターを含んでもよい。植物性物質、或いは活性成分及び/又は加香を含むゲルなど、エアロゾルを生成するために、他の原材料が同様に加熱されてもよい。したがって、より一般的には、eシガレットは、熱気化されるペイロードを含む又は受けるものと考えられてもよい。
【0005】
ユーザがデバイスで吸入すると、加熱要素に電力が供給され、加熱要素付近のエアロゾル源(ペイロードの一部)が気化され、ユーザが吸入するためのエアロゾルが生成される。そのようなデバイスには通常、システムのマウスピース端から離れて配置された1つ又は複数の空気入口穴が設けられている。ユーザがシステムのマウスピース端に接続されたマウスピースを吸うと、空気が入口穴を介して吸い込まれ、エアロゾル源を通過する。エアロゾル源とマウスピースの開口部との間を接続する流路があるので、エアロゾル源を通過した空気は流路に沿ってマウスピースの開口部まで進んで、エアロゾル源からエアロゾルの一部を運ぶ。エアロゾルを運ぶ空気は、マウスピースの開口部を介してエアロゾル供給システムから排出されて、ユーザによって吸入される。
【0006】
通常、ユーザがデバイスを吸い込む/パフすると、ヒーターに電流が供給される。典型的には、ユーザが吸入した/吸い込んだ/パフしたときに流路に沿った空気流センサが作動したことに応答して、又はユーザがボタンを作動させたことに応答して、抵抗加熱要素などのヒーターに電流が供給される。加熱要素によって生成された熱は、配合物を気化させるために使用される。放出された蒸気は、消費者によってデバイスを通して吸い込まれた空気と混ざり、エアロゾルを形成する。代替的に又は追加的に、加熱要素は、タバコなどの植物を典型的には燃焼させずに加熱して、その活性成分を蒸気/エアロゾルとして放出するために使用される。
【0007】
使用時に、蒸気を生成する点までペイロードの一部を加熱するのに十分な電流をバッテリーから引き出す、頻繁に使用される電子デバイスとして、そのデバイスがユーザ及びその使用法にとって便利な方法で作動すると有益であり、また、バッテリー及び/又はデバイスの他の機能に有益な方法で作動することが好ましいということは理解されよう。
【0008】
本発明は、この必要性に対処又は軽減することを目的としている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の様々な態様及び特徴は、添付の特許請求の範囲及び添付の説明の文中で定義する。
【0010】
第1の態様では、請求項1による電子蒸気供給システム「EVPS:electronic vapour provision system」を提供する。
【0011】
他の態様では、請求項13による電子蒸気供給方法を提供する。
【0012】
本発明の前述の概要説明及び以下の詳細な説明は本発明を例示するものであり、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照すると、本開示及びそれに伴う利点の多くがよりよく理解されるので、より完全に理解されよう。
【
図1】本明細書の実施形態による蒸気/エアロゾル供給システムの概略図である。
【
図2】本明細書の実施形態による
図1のシステムの本体20の概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による
図1のシステムのカトマイザ30の概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による
図1のシステムのコネクタの概略図である。
【
図5A】本開示の実施形態による
図1のシステムの機能的構成要素の概略図である。
【
図5B】本開示の実施形態による
図1のシステムのプロセッサの機能的構成要素の概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による送達エコシステムの概略図である。
【
図7】本開示の実施形態によるモバイル通信デバイスの機能的構成要素の概略図である。
【
図8】本開示の実施形態による電子蒸気供給方法のフロー図である。
【実施形態の説明】
【0014】
電子蒸気供給システム及び方法を開示する。以下の説明では、本発明の実施形態を完全に理解できるようにするために、いくつかの特定の詳細を提示する。しかしながら、本発明を実施するためにこれらの特定の詳細が採用される必要がないことは、当業者には明らかであろう。逆に、当業者に知られている特定の詳細については、適切な場合には、明確さを目的として省略する。
【0015】
エアロゾル供給システム(又は同様に、電子蒸気供給システム)は、ユーザ向けの送達デバイスに関する類似の用語である。
【0016】
「送達デバイス」という用語、さらには「エアロゾル供給システム」又は「電子蒸気供給システム」という用語には、少なくとも1つの物質をユーザに送達するシステムが包含されてもよく、電子タバコ、タバコ加熱製品、及びエアロゾル生成材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムなど、エアロゾル生成材料を燃焼させずにエアロゾル生成材料から化合物を放出する不燃性エアロゾル供給システムが含まれてもよく、少なくとも1つの物質はニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【0017】
送達される物質は、エアロゾル生成材料であってもよく、必要に応じて、1つ又は複数の活性成分、1つ又は複数の香料、1つ又は複数のエアロゾル形成材料、並びに/或いは1つ又は複数の他の機能性材料を含んでもよい。
【0018】
現在、そのような送達デバイスの最も一般的な例は、エアロゾル供給システム(たとえば、不燃性エアロゾル供給システム)又は電子蒸気供給システム(EVPS)、たとえばeシガレットである。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語を使用することがあるが、特に明記している場合又は文脈上別の意味を示している場合を除き、この用語は上記のこれらの用語と同じ意味で使用してもよい。同様に、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語は、本明細書では同義で扱う。
【0019】
一般に、電子蒸気/エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達デバイス(END:electronic nicotine delivery device)としても知られている電子タバコであってもよいが、エアロゾル生成(たとえば、エアロゾル化可能)材料中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、不燃性エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。そのようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。いくつかの実施形態では、不燃性エアロゾル供給システムは、エアロゾル生成材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、エアロゾル生成材料のうちの1つ又は複数が加熱されてもよい。エアロゾル生成材料のそれぞれは、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル生成材料及び固体のエアロゾル生成材料を含む。固体のエアロゾル生成材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。一方、いくつかの実施形態では、不燃性エアロゾル供給システムは、1つ又は複数のそのようなエアロゾル生成材料から蒸気/エアロゾルを生成する。
【0020】
典型的には、不燃性エアロゾル供給システムは、不燃性エアロゾル供給デバイスと、不燃性エアロゾル供給システムで使用するための物品(或いは消耗品とも呼ばれている)とを含んでもよい。しかしながら、エアロゾル生成構成要素(たとえば、ヒーター、振動メッシュなどのエアロゾル生成器)に動力を供給するための手段をそれ自体が含む物品自体が、不燃性エアロゾル供給システムを形成してもよいということも想定される。一実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスは、動力源及びコントローラを含んでもよい。動力源は、電力源又は発熱性電源であってもよい。一実施形態では、発熱性電源は、発熱性電源に近接するエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態で動力を供給するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱性電源などの動力源は、不燃性エアロゾル供給を形成するように物品内に提供される。一実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスで使用する物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱せずにエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、振動、機械、加圧又は静電手段のうちの1つ又は複数などによって、熱を加えることなく、エアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成可能であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能性材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択でタバコ又はタバコ派生品に含有される)或いは1つ又は複数の他の非嗅覚性生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚性生理活性材料は、嗅覚以外の生理反応を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。1つ又は複数の機能材料は、香料、担体、pH調整剤、安定剤、及び/又は抗酸化剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスで使用する物品は、エアロゾル化可能材料又はエアロゾル化可能材料を受ける領域を含んでもよい。一実施形態では、不燃性エアロゾル供給デバイスで使用する物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能材料を受ける領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵する貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。エアロゾル化可能材料を受けるための領域は、エアロゾル生成領域とは別個であってもよく、又はエアロゾル生成領域と組み合わせられてもよい。
【0024】
エアロゾル供給システムは、エアロゾルをユーザに直接供給する必要はなく、活性成分が効果を発揮できるようにユーザの体内に活性成分を導入させる/導入可能にする中間デバイス又はコンベヤにエアロゾルを提供してもよい。
【0025】
したがって、一例としては、容器内にエアロゾルを分散させるデバイスを挙げることができ、その後、ユーザはデバイスから容器を取り出し、エアロゾルを吸入又は吸引することができる。したがって、必ずしもユーザが消費時点で送達デバイスに直接関与する必要はない。
【0026】
いくつかの図を通して同一の又は対応する部分を同様の参照番号で示す図面をここで参照すると、
図1は、eシガレット10などの蒸気/エアロゾル供給システムの概略図であり(縮尺通りではない)、本開示のいくつかの実施形態による送達デバイスの非限定的な例を提供する。
【0027】
eシガレットは、破線LAで示す長手軸線に沿って延びるほぼ円筒形の形状をしており、2つの主要な構成要素、すなわち、本体20及びカトマイザ30を含む。カトマイザには、たとえばニコチンを含む液体などのペイロードのリザーバを含む内部チャンバ、気化器(ヒーターなど)、及びマウスピース35が含まれる。以降の「ニコチン」への言及は単なる例であると理解され、任意の適切な活性成分に置き換えることができる。以降のペイロードとしての「液体」への言及は単なる例であると理解され、たとえば植物性物質(たとえば、燃焼ではなく加熱されるタバコ)、或いは活性成分及び/又は加香を含むゲルなどの任意の適切なペイロードに置き換えることができる。リザーバは、気化器に液体を送達する必要があるときまで液体を保持するための発泡体マトリックス又は他の任意の構造であってもよい。液体/流動ペイロードの場合、気化器は液体を気化させるためのものであり、カトマイザ30には、リザーバから気化器上又はその付近の気化位置まで少量の液体を輸送するためのウィック又は同様の設備がさらに含まれてもよい。以下では、気化器の具体的な例としてヒーターが使用される。しかしながら、他の形態の気化器(たとえば、超音波を利用するもの)も使用可能であることは理解され、使用する気化器のタイプが、気化されるペイロードのタイプによって異なってもよいことも理解されよう。
【0028】
本体20には、eシガレット10に電力を提供するための充電式電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とが含まれる。ヒーターが回路基板によって制御されるバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化させ、次いでこの蒸気はマウスピース35を通してユーザによって吸入される。いくつかの特定の実施形態では、本体には、本体の外側に配置されたボタン、スイッチ、又はタッチセンサなどの手動作動デバイス265がさらに設けられる。
【0029】
本体20及びカトマイザ30は、
図1に示すように、長手軸線LAに平行な方向に分離することによって互いに取り外し可能であってもよいが、デバイス10の使用時には、
図1に25A及び25Bとして概略的に示す接続部によってともに結合され、本体20とカトマイザ30との間に機械的及び電気的接続性が提供される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20上の電気コネクタ25Bは、本体20がカトマイザ30から取り外されたときに、充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。充電デバイスの他端をUSBソケットに差し込んで、eシガレット10の本体20内の電池を再充電してもよい。他の実装では、本体20上の電気コネクタ25BとUSBソケットとを直接接続するためのケーブルが提供されてもよい。
【0030】
eシガレット10には、空気入口用の1つ又は複数の穴(
図1には示していない)が設けられている。これらの穴は、eシガレット10を経由してマウスピース35に至る空気通路につながっている。ユーザがマウスピース35から吸入すると、eシガレットの外側に適切に配置された1つ又は複数の空気入口穴を介して空気がこの空気通路に引き込まれる。ヒーターが作動してカートリッジからニコチンを気化させると、空気流が生成された蒸気を通過してこれと混合し、次いでこの空気流と生成された蒸気との混合体がマウスピース35から出て、ユーザによって吸入される。一回限りの使用のデバイスを除き、カトマイザ30は、液体の残量がなくなったときに本体20から取り外されて廃棄されてもよい(所望であれば別のカトマイザと交換されてもよい)。
【0031】
図1に示すeシガレット10は一例として提示しており、他の様々な実装を採用できることは理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は2つの分離可能な構成要素、すなわち、液体リザーバ及びマウスピースを含むカートリッジ(これはリザーバの液体がなくなったときに交換することができる)、並びにヒーターを含む気化器(これは通常は取っておく)として提供される。別の例として、充電設備は、車のシガーライターなどの追加又は代替の電源に接続してもよい。
【0032】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10の本体20の概略図(簡略図)である。
図2は、概して、eシガレット10の長手軸線LAを通る平面における断面と捉えることができる。配線及びより複雑な形状など、本体の様々な構成要素及び詳細については、
図2では明確さのために省略していることに留意されたい。
【0033】
本体20には、ユーザがデバイスを作動させたことに応答してeシガレット10に電力を供給するためのバッテリー又は電池210が含まれている。さらに、本体20には、eシガレット10を制御するためのコントロールユニット(
図2には示していない)、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどのチップが含まれている。マイクロコントローラ又はASICには、CPU又はマイクロプロセッサが含まれている。CPU及び他の電子部品の動作は、通常、CPU(又は他の構成要素)上で実行されるソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよく、これはマイクロコントローラ自体に統合するか、又は別個の構成要素として設けることができる。CPUは必要に応じて必要なときにROMにアクセスして、個々のソフトウェアプログラムをロードして実行してもよい。マイクロコントローラには、本体10内の他のデバイスと適宜通信するための適切な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)も含まれている。
【0034】
本体20には、eシガレット10の遠端(遠位端)を密閉して保護するためのキャップ225がさらに含まれる。典型的には、キャップ225内又はその付近に空気入口穴が設けられており、ユーザがマウスピース35から吸入したときに空気が本体20に入ることが可能になる。コントロールユニット又はASICは、バッテリー210に沿って又はその一端に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ASICは、マウスピース35の吸入を検出するためのセンサユニット215に取り付けられる(或いは、センサユニット215は、ASIC自体に設けられてもよい)。いずれの場合も、センサユニット215は、ASICの有無にかかわらず、センサプラットフォームの一例として理解することができる。空気入口からeシガレットを通り、空気流センサ215及びヒーター(気化器又はカトマイザ30内)を通過してマウスピース35に至る空気経路が設けられる。したがって、ユーザがeシガレットのマウスピースから吸入すると、CPUは空気流センサ215からの情報に基づいてそのような吸入を検出する。
【0035】
本体20のキャップ225と反対側の端には、本体20をカトマイザ30に結合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bは、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的接続性を提供する。コネクタ25Bには、金属製(いくつかの実施形態では銀メッキ)の本体コネクタ240が含まれており、カトマイザ30への電気接続(正又は負)用の1つの端子として機能する。コネクタ25Bには、第1の端子、すなわち本体コネクタ240とは反対極性のカトマイザ30への電気的接続用の第2の端子を提供する電気接点250がさらに含まれている。電気接点250はコイルスプリング255に取り付けられている。本体20がカトマイザ30に取り付けられるときに、カトマイザ30のコネクタ25Aが電気接点250を押し、コイルスプリングを軸線方向に、すなわち長手軸線LAと平行な方向(一致する方向)に圧縮する。スプリング255の弾力性を考慮すると、この圧縮によりスプリング255が伸びるように付勢され、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aにしっかりと押し付ける効果があるので、本体20とカトマイザ30との間の良好な電気接続性を確保するのに役立つ。本体コネクタ240及び電気接点250は、2つの電気端子間の良好な絶縁性を提供するために非導体(プラスチックなど)で作られた架台260によって分離されている。架台260は、コネクタ25A及び25Bの相互の機械的係合を支援するように形成されている。
【0036】
上述のように、手動作動デバイス265の一形態を表すボタン265が、本体20の外側ハウジング上に配置されてもよい。ボタン265は、たとえば機械式のボタン又はスイッチ、静電容量式又は抵抗式のタッチセンサなど、ユーザが手動で作動させるように操作可能な任意の適切なメカニズムを使用して実装されてもよい。また、手動作動デバイス265は、本体20の外側ハウジングではなく、カトマイザ30の外側ハウジングに配置されてもよく、この場合、手動作動デバイス265は、接続25A、25Bを介してASICに取り付けられてもよいことも理解されよう。ボタン265は、キャップ225の代わりに(又はキャップ225に加えて)本体20の端部に配置されてもよい。
【0037】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。
図3は、概して、eシガレット10の長手軸線LAを通る平面における断面と捉えることができる。配線及びより複雑な形状など、カトマイザ30の様々な構成要素及び詳細については、
図3では明確さのために省略していることに留意されたい。
【0038】
カトマイザ30には、カトマイザ30の中心(長手)軸線に沿ってマウスピース35からカトマイザ30を本体20に結合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355が含まれている。空気通路335の周囲には液体リザーバ360が設けられている。このリザーバ360は、たとえば、液体に浸した綿又は発泡体を提供することによって実現されてもよい。カトマイザ30には、ユーザがeシガレット10を吸入すると、リザーバ360からの液体を加熱して蒸気を生成し、その蒸気が空気通路355を通って流れ、マウスピース35から排出されるヒーター365も含まれている。ヒーター365は、ライン366及び367を介して電力が供給され、これらのラインは、コネクタ25Aを介して本体20のバッテリー210の反対極性(正及び負、又はその逆)に接続される(
図3では、電力ライン366及び367とコネクタ25Aとの間の配線の詳細は省略している)。
【0039】
コネクタ25Aには内部電極375が含まれ、内部電極375は銀メッキ又は他の適切な金属若しくは導電性材料で作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、内側電極375が本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第1の電気経路が提供される。特に、コネクタ25A及び25Bが係合すると、内側電極375が電気接点250を押してコイルスプリング255を圧縮することによって、内側電極375と電気接点250との間の良好な電気接触を確保するのに役立つ。
【0040】
内側電極375は絶縁リング372に囲まれており、絶縁リング372はプラスチック、ゴム、シリコーン、又は他の任意の適切な材料で作られてもよい。絶縁リングはカトマイザコネクタ370によって囲まれており、カトマイザコネクタ370は銀メッキ又は他の適切な金属又は導電性材料で作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、カトマイザコネクタ370が本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第2の電気経路が提供される。換言すれば、内部電極375及びカトマイザコネクタ370は、必要に応じて供給ライン366及び367を介して本体20内のバッテリー210からカトマイザ30内のヒーター365に電力を供給するための正極端子及び負極端子(又はその逆)として機能する。
【0041】
カトマイザコネクタ370には、eシガレット10の長手軸線から離れる、反対方向に延びる2つの突起又はタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に接続するための本体コネクタ240と組み合わせてバヨネットフィッティングを提供するために使用される。このバヨネットフィッティングにより、カトマイザ30と本体20との間の接続が安全かつ堅牢になり、カトマイザ及び本体は最小限のぐらつき又はたわみで互いに対して固定された位置に保持され、偶発的に外れる可能性が非常に低くなる。同時に、バヨネットフィッティングは、接続時には挿入してから回転させ、取り外し時には(逆方向に)回転させてから引き抜くことによる、簡単かつ迅速な接続及び取り外しを実現する。他の実施形態では、スナップフィット又はねじ接続など、本体20とカトマイザ30との間の接続に異なる形態が使用されてもよいことは理解されよう。
【0042】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による本体20の端部にあるコネクタ25Bの特定の詳細の概略図である(しかしながら、架台260など、
図2に示したコネクタの内部構造の大部分は明確さのために省略している)。特に、
図4は、全体的に円筒形のチューブの形状を有する本体20の外部ハウジング201を示す。この外部ハウジング201は、たとえば、紙製などの外側カバーを有する金属製の内管を含んでもよい。外部ハウジング201は、手動作動デバイス265(
図4には示していない)も含んでもよく、これにより、手動作動デバイス265は、ユーザにとって容易にアクセス可能となる。
【0043】
本体コネクタ240は、本体20のこの外部ハウジング201から延びている。
図4に示す本体コネクタ240は2つの主要部分、すなわち、本体20の外部ハウジング201の内側にぴったり収まる大きさの中空円筒管状のシャフト部分241と、eシガレットの主要な長手軸線(LA)から離れる半径方向外側に向けられたリップ部分242とを含む。シャフト部分が外部ハウジング201と重ならない、本体コネクタ240のシャフト部分241の周囲には、同じく円筒形のカラー又はスリーブ290がある。カラー290は、本体コネクタ240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201との間に保持され、これらは組み合わさって軸線方向(すなわち、軸線LAに平行な方向)のカラー290の移動を防ぐ。しかしながら、カラー290はシャフト部分241(ひいては軸線LAも)の周りを自由に回転する。
【0044】
前述のように、キャップ225には、ユーザがマウスピース35から吸入したときに空気が流れることができるように空気入口穴が設けられている。しかしながら、いくつかの実施形態では、ユーザが吸入したときにデバイスに入る空気の大部分は、
図4の2つの矢印で示すように、カラー290及び本体コネクタ240を通って流れる。
【0045】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10の主な機能的構成要素の概略図である。とりわけ、
図5Aは主に電気的な接続性及び機能性に関するものであり、様々な構成要素の物理的な寸法を示すことも、コントロールユニット20又はカトマイザ30内でのそれらの物理的な配置の詳細を示すことも意図していない。さらに、コントロールユニット20内に配置された
図5Aに示す構成要素のうちの少なくとも一部が、回路基板28に取り付けられてもよいことは理解されよう。或いは、そのような構成要素のうちの1つ又は複数は代わりにコントロールユニット内に収容されて、回路基板28と連携して動作してよいが、回路基板自体には物理的に取り付けられなくてもよい。たとえば、これらの構成要素は、1つ又は複数の追加の回路基板上に配置されてもよく、又は別途配置されてもよい(バッテリー54など)。
【0046】
図5Aに示すように、カトマイザには、コネクタ31Bを介して電力を受け取るヒーター310が含まれている。コントロールユニット20には、カトマイザ30(又は場合によってはUSB充電デバイス)の対応するコネクタ31Bに接続するための電気ソケット又はコネクタ21Aが含まれている。これにより、コントロールユニット20とカトマイザ30との間の電気的接続性が提供される。
【0047】
コントロールユニット20には、コントロールユニット20を通る空気入口(複数可)から空気出口までの(コネクタ21Aを介してカトマイザ30への)空気経路内又はその付近に配置されたセンサユニット61がさらに含まれる。センサユニットには、圧力センサ62及び温度センサ63(同じくこの空気経路内又はその付近)が含まれている。コントロールユニットには、キャパシタ220、プロセッサ50、電界効果トランジスタ(FET)スイッチ210、バッテリー54、入力デバイス59(又は同等に
図1の265)、及び出力デバイス58がさらに含まれる。
【0048】
プロセッサ50及び他の電子部品、たとえば圧力センサ62などの動作は、通常、プロセッサ(又は他の構成要素)上で実行されるソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、プロセッサ50自体に統合することも、別個の構成要素として設けることもできる、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよい。プロセッサ50は、必要に応じて必要なときにROMにアクセスして、個々のソフトウェアプログラムをロード及び実行してもよい。プロセッサ50には、圧力センサ62などのコントロールユニット20内の他のデバイスと適宜通信するための適切な通信設備、たとえばピン又はパッド(及び対応する制御ソフトウェア)も含まれている。
【0049】
出力デバイス(複数可)58は、視覚、聴覚、及び/又は触覚出力を提供してもよい。たとえば、出力デバイス(複数可)には、スピーカー58、バイブレータ、及び/又は1つ又は複数のライトが含まれてもよい。ライトは典型的には、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)の形で提供され、これらは同じ色若しくは異なる色(又はマルチカラー)であってもよい。マルチカラーLEDの場合、任意選択で様々な相対的な明るさで、赤、緑、又は青のLEDをオンにすることで様々な色が得られ、対応する相対的な色の変化が得られる。赤、緑、及び青のLEDが一緒に提供された場合、完全な範囲の色が可能になるが、赤、緑、及び青の3つのLEDのうち2つしか提供されない場合、それぞれの色のサブ範囲のみが得られる。
【0050】
出力デバイスからの出力は、低バッテリー警告など、eシガレット内の様々な条件又は状態をユーザに知らせるために使用されてもよい。異なる状態又は条件を通知するために、異なる出力信号が使用されてもよい。たとえば、出力デバイス58がオーディオスピーカーである場合、異なるピッチ及び/又は持続時間のトーン又はビープ音によって、並びに/或いは複数のそのようなビープ音又はトーンを提供することによって、異なる状態又は条件が表現されてもよい。或いは、出力デバイス58に1つ又は複数のライトが含まれている場合、異なる色、光のパルス又は連続照明、異なるパルス持続時間などを使用して、異なる状態又は条件が表現されてもよい。たとえば、あるインジケータライトを使用してバッテリー残量低下警告を示してもよく、別のインジケータライトを使用して液体リザーバ58がほぼ空になったことを示してもよい。所与のeシガレットには、複数の異なる出力モード(音声、視覚)などをサポートする出力デバイスが含まれてもよいことは理解されよう。
【0051】
入力デバイス(複数可)59は、様々な形態で提供されてもよい。たとえば、入力デバイス(又は複数のデバイス)は、eシガレットの外側のボタンとして、たとえば、機械式、電気式、又はキャパシタ(タッチ)センサとして実装されてもよい。一部のデバイスは、eシガレット内への流入を入力メカニズムとしてサポートし(そのような流入は圧力センサ62によって検出されてもよく、圧力センサ62は入力デバイス59の一形態としても機能する)、並びに/或いはカトマイザ30及びコントロールユニット20の接続/取り外しを別の形態の入力メカニズムとしてサポートしてもよい。この場合もやはり、所与のeシガレットには、複数の異なる入力モードをサポートする入力デバイス59が含まれてもよいことは理解されよう。
【0052】
上述のように、eシガレット10は、空気入口からeシガレットを通り、圧力センサ62及びカトマイザ30内のヒーター310を通過してマウスピース35に至る空気経路を提供する。したがって、ユーザがeシガレットのマウスピースから吸入すると、プロセッサ50は圧力センサ62からの情報に基づいてそのような吸入を検出する。そのような検出に応答して、CPUはバッテリー54からヒーターに電力を供給することによって、液体リザーバ38からのニコチンが加熱されて気化し、ユーザが吸入できるようになる。一方、たとえば、ボタンで作動する(たとえば、空気流ではなくボタンの押下を検出して作動する)デバイスの場合、異なる空気経路(たとえば、バッテリーセクションに入らない)が使用されてもよい。
【0053】
図5Aに示す特定の非限定的な実装では、FET210がバッテリー54とコネクタ21Aとの間に接続されている。このFET210はスイッチとして機能する。プロセッサ50はFETのゲートに接続され、スイッチを操作することによって、プロセッサは検出された空気流の状況に応じてバッテリー54からヒーター310への電力の流れをオン及びオフすることが可能になる。ヒーター電流は、たとえば1~5アンペアの範囲と比較的大きくすることができるので、FET210は、そのような電流制御をサポートするように実装される必要があることは理解されよう(FET210の代わりに使用されてもよい他の任意の形態のスイッチについても同様である)。
【0054】
バッテリー54からヒーター310に流れる電力の量をより細かく制御するために、パルス幅変調(PWM)方式が採用されてもよい。PWM方式は、たとえば1ミリ秒の繰り返し周期に基づいてもよい。そのような各周期において、スイッチ210は、周期の一部分の間オンにされ、周期の残りの部分の間オフにされる。これはデューティサイクルによってパラメータ化され、デューティサイクル0は各周期の全体でスイッチがオフ(すなわち、事実上永続的にオフ)であることを示し、デューティサイクル0.33は各周期の1/3の間スイッチがオンであることを示し、デューティサイクル0.66は各周期の2/3の間スイッチがオンであることを示し、デューティサイクル1は各周期の全体でFETがオン(すなわち、事実上永続的にオン)であることを示す。これらはデューティサイクルの設定例としてのみ提供しており、必要に応じて中間の値を使用できることに留意されたい。
【0055】
PWMを使用すると、公称利用可能電力(バッテリー出力電圧及びヒーター抵抗に基づく)にデューティサイクルを乗じて得られる有効電力がヒーターに供給される。プロセッサ50は、たとえば、吸入の開始時にデューティサイクル1(すなわち、フルパワー)を利用して、最初にヒーター310をできるだけ早く所望の動作温度まで上昇させてもよい。この所望の動作温度が達成されると、プロセッサ50は次いで、ヒーター310を所望の動作温度に維持するために、デューティサイクルを何らかの適切な値まで下げてもよい。
【0056】
図5Aに示すように、プロセッサ50には、ワイヤレス通信用の、特にブルートゥース(登録商標)ローエナジー(BLE:Bluetooth Low Energy)通信をサポートするための通信インターフェース55が含まれている。
【0057】
任意選択で、ヒーター310は、通信インターフェース55がワイヤレス通信の送受信に使用するアンテナとして利用されてもよい。この動機の1つは、コントロールユニット20が金属製ハウジング202を有してもよいのに対し、カトマイザ部分30がプラスチック製ハウジング302を有してもよいことである(これは、カトマイザ30は使い捨てであるのに対し、コントロールユニット20は取っておくので、より耐久性が求められることを反映している)。金属製ハウジングは遮蔽物又は障壁として機能するので、コントロールユニット20自体の中にアンテナを配置することが困難になる。しかしながら、ヒーター310をワイヤレス通信用のアンテナとして利用することにより、カトマイザのハウジングがプラスチック製であるため、カトマイザに追加の構成要素又は複雑性(若しくはコスト)を追加せずに、この金属遮蔽が回避される。或いは、別個のアンテナ(図示せず)が設けられてもよく、又は金属製ハウジングの一部が使用されてもよい。
【0058】
ヒーターがアンテナとして使用される場合、
図5Aに示すように、プロセッサ50、より具体的には通信インターフェース55は、バッテリー54からヒーター310(コネクタ31B経由)への電力線に、キャパシタ220によって結合されてもよい。この静電容量結合はスイッチ210の下流で発生し、その理由は、ヒーターが加熱のために電力供給されていないときにワイヤレス通信が動作する場合があるためである(詳細は後述)。キャパシタ220は、バッテリー54からヒーター310への電力供給がプロセッサ50に戻されるのを防止することは理解されよう。
【0059】
容量結合は、より複雑なLC(インダクタ-キャパシタ)ネットワークを使用して実装されてもよく、これにより通信インターフェース55の出力とのインピーダンス整合も提供できることに留意されたい。(当業者には知られているように、このインピーダンス整合により、通信インターフェース55と、アンテナとして機能するヒーター310との間で、接続に沿ってそのような信号が反射されて戻ることなく、信号が適切に転送されることが支援される。)
【0060】
いくつかの実装では、プロセッサ50及び通信インターフェースは、Reading、United Kingdomに拠点を置くDialog Semiconductor PLCのDialog DA14580チップを使用して実装される。このチップの詳細情報(及びデータシート)は、http://www.dialog-semiconductor.com/products/bluetooth-smart/smartbond-da14580で入手することができる。
【0061】
図5Bは、ブルートゥース(登録商標)ローエナジーをサポートするための通信インターフェース55を含む、このチップ50の高レベルの簡略化した概要を示している。このインターフェースには、特に、信号の変調及び復調などを実行するための無線送受信器520、リンク層ハードウェア512、及び高度な暗号化設備(128ビット)511が含まれる。無線送受信器520からの出力は、アンテナ(たとえば、容量結合220並びにコネクタ21A及び31Bを介してアンテナとして機能するヒーター310)に接続される。
【0062】
プロセッサ50の残りの部分には、汎用処理コア530、RAM531、ROM532、ワンタイムプログラミング(OTP)ユニット533、汎用I/Oシステム560(PCB28上の他の構成要素との通信用)、電源管理ユニット540、及び2つのバスを接続するためのブリッジ570が含まれる。ROM532及び/又はOTPユニット533に記憶されたソフトウェア命令は、コア530内の1つ又は複数の処理ユニットによって実行するために、RAM531(及び/又はコア530の一部として提供されるメモリ)にロードされてもよい。これらのソフトウェア命令により、プロセッサ50は、センサユニット61とインターフェースをとること、及びそれに応じてヒーターを制御することなど、本明細書に記載の様々な機能を実装する。
図5Bに示すデバイスは、通信インターフェース55として機能すると共に、電子蒸気供給システム10の全体的なコントローラとしても機能するが、他の実施形態では、これらの2つの機能が2つ以上の異なるデバイス(チップ)間で分割されてもよく、たとえば、1つのチップが通信インターフェース55として機能し、別のチップが電子蒸気供給システム10の全体的なコントローラとして機能してもよいことに留意されたい。
【0063】
いくつかの実装では、プロセッサ50は、ヒーターがリザーバ38からの液体を気化させるために使用されているときにワイヤレス通信を防止するように構成されていてもよい。たとえば、スイッチ210がオンになっている場合、ワイヤレス通信は中断されてもよく、終了されてもよく、又は開始されないようにしてもよい。逆に、ワイヤレス通信が進行中である場合、たとえば、センサユニット61からの空気流の検出を破棄することによって、及び/又はワイヤレス通信の進行中にヒーター310への電力をオンにするようにスイッチ210を操作しないことによって、ヒーターの作動が防止されてもよい。
【0064】
ヒーター310を加熱及びワイヤレス通信の両方で同時に動作させることを防止する理由の1つは、ヒーターのPWM制御による潜在的な干渉を回避するためである。このPWM制御は、ワイヤレス通信の周波数よりもはるかに低いが、(パルスの繰り返し周波数に基づく)独自の周波数を有し、両者が相互に干渉する可能性がある。状況によっては、そのような干渉が実際には問題を引き起こさない場合があり、加熱及びワイヤレス通信の両方のためにヒーター310を同時に動作させることが許可されてもよい(所望の場合)。これは、たとえば、信号強度及び/又はPWM周波数の適切な選択、適切なフィルタリングの提供などの技術によって、促進されてもよい。
【0065】
ここで
図6を参照すると、eシガレット10(又はより一般的には、本明細書の他の箇所で説明している任意の送達デバイス)は、より広範な送達エコシステム1内で動作してもよい。
【0066】
より広範な送達エコシステムでは、いくつかのデバイスが直接的に(たとえば、ブルートゥース(登録商標)を介して)又は間接的に(たとえば、インターネット500を介して)相互に通信してもよい。例としては、携帯電話400及びリモートサーバ1000などがあるが、これらに限定されない。
【0067】
ブルートゥース(登録商標)に関して、送達デバイス10は、ブルートゥース(登録商標)又はブルートゥース(登録商標)ローエナジー通信(又は同様の方式)を使用してモバイル通信デバイスと通信することによって、送達デバイス10と、スマートフォン400又は他の適切なモバイル通信デバイス(タブレット、ラップトップ、スマートウォッチなど)上で実行されているアプリケーション(アプリ)とを機能的にリンクさせてもよい。そのような通信は、たとえば、eシガレット10のファームウェアをアップグレードしたり、eシガレット10から使用状況及び/又は診断データを取得したり、eシガレット10をリセット又はロック解除したり、eシガレットの設定を制御したり、又は処理操作を共有したりするなど、幅広い目的に使用することができる。
【0068】
一般的に言えば、eシガレット10は、入力デバイス59(又は同等に265)を使用するなどして、又は場合によってはカトマイザ30をコントロールユニット20に結合することによってオンにされると、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー通信のアドバタイズを開始する。この外向きの通信がスマートフォン400によって受信されると、スマートフォン400はeシガレット10への接続を要求する。eシガレットは、出力デバイス58を介してこの要求をユーザに通知し、ユーザが入力デバイス59を介して要求を承認又は拒否するのを待機してもよい。要求が承認されたと仮定すると、eシガレット10はスマートフォン400とさらに通信することができるようになる。eシガレットはスマートフォン400の識別情報を記憶し、そのスマートフォンからの将来の接続要求を自動的に承認することができてもよいことに留意されたい。接続が確立されると、スマートフォン400及びeシガレット10はクライアント-サーバモードで動作し、スマートフォンはeシガレットに要求を開始して送信するクライアントとして動作するので、eシガレットはサーバとして動作する(必要に応じて要求に応答する)。
【0069】
ブルートゥース(登録商標)ローエナジーリンク(ブルートゥーススマート(Bluetooth Smart)(登録商標)としても知られている)は、IEEE802.15.1規格を実装し、約12cmの波長に相当する2.4~2.5GHzの周波数で、最大1Mbit/sのデータレートで動作する。接続のセットアップ時間は6ミリ秒未満であり、平均消費電力は1mW程度以下と非常に低くすることができる。ブルートゥースローエナジーリンクは最大約50メートルまで延長することができる。しかしながら、
図4に示す状況では、eシガレット10及びスマートフォン400は典型的には同じ人物のものであるので、互いに非常に近くにあり、たとえば1メートルにある。ブルートゥースローエナジーの詳細については、http://www.bluetooth.com/Pages/Bluetooth-Smart.aspxで見つけることができる。
【0070】
eシガレット10は、スマートフォン400(又は他の任意の適切なデバイス)との通信用に他の通信プロトコルをサポートしてもよいことは理解されよう。そのような他の通信プロトコルは、ブルートゥースローエナジーの代わりであってよく、又はブルートゥースローエナジーに加えてもよい。そのような他の通信プロトコルの例には、ブルートゥース(登録商標)(ローエナジー版ではない)(www.bluetooth.com参照)、ISO13157準拠の近距離無線通信(NFC)、及びWiFi(登録商標)などがある。NFC通信はブルートゥース(13.56MHz)よりもはるかに短い波長で動作し、一般的には範囲がはるかに狭く、たとえば0.2m未満である。しかしながら、この狭い範囲でも、ユーザが両方のデバイスを保持又は携帯する多くの使用シナリオには対応している。一方、eシガレット10とリモートデバイスとの間では、たとえばワイヤレスアクセスポイントを介して、IEEE802.11ah、IEEE802.11vなどの低電力WiFi(登録商標)通信が使用されてもよい。いずれの場合も、適切な通信チップセットが、プロセッサ50の一部として、又は別個の構成要素として、PCB28上に含まれてもよい。当業者であれば、eシガレット10で使用することができる他のワイヤレス通信プロトコルを認識するであろう。
【0071】
ここで
図7を参照すると、スマートフォンなどの典型的なモバイル通信デバイス400は、中央処理装置(CPU)(410)を含む。CPUは、直接接続を介して、又は適用される場合はI/Oブリッジ414及び/又はバス430を介して、スマートフォンの構成要素と通信してもよい。
【0072】
図7に示す例では、CPUはメモリ412と直接通信し、メモリ412は、オペレーティングシステム及びアプリケーション(アプリ)を記憶するためのフラッシュ(Flash)(登録商標)メモリなどの永続メモリと、CPUによって現在使用中のデータを保持するためのRAMなどの揮発性メモリとを含んでもよい。典型的には、永続メモリ及び揮発性メモリは、物理的に異なるユニット(図示せず)によって形成される。さらに、メモリは、マイクロSDカードなどのプラグインメモリ、さらには加入者情報モジュール(SIM)(図示せず)上の加入者情報データを別途含んでもよい。
【0073】
スマートフォンには、グラフィックス処理装置(GPU)416も含まれてもよい。GPUはCPUと直接通信してもよく、又はI/Oブリッジを介して通信してもよく、又はCPUの一部であってもよい。GPUはRAMをCPUと共有してもよく、又は専用のRAM(図示せず)を有してもよく、携帯電話のディスプレイ418に接続される。ディスプレイは、典型的には、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであるが、電子インクなどの任意の適切なディスプレイ技術であってもよい。任意選択で、GPUはスマートフォンの1つ又は複数のラウドスピーカー420を駆動するためにも使用されてもよい。
【0074】
或いは、スピーカーはI/Oブリッジ及びバスを介してCPUに接続されてもよい。スマートフォンの他の構成要素も同様にバスを介して接続されてもよく、これには、デバイスへのタッチ入力を提供するために画面上に重ねられた静電容量式タッチ面などのタッチ面432、ユーザからの音声を受け取るためのマイクロフォン434、画像をキャプチャするための1つ又は複数のカメラ436、スマートフォンの地理的位置の推定値を取得するためのグローバルポジショニングシステム(GPS)ユニット438、及びワイヤレス通信手段440が含まれる。
【0075】
転じて、ワイヤレス通信手段440は、前述のような、ブルートゥース(登録商標)(標準版又はローエナジー版)、近距離無線通信、及びWi-Fi(登録商標)、さらには2G、3G、及び/又は4Gなどの電話ベースの通信など、異なる規格及び/又はプロトコルに準拠したいくつかの個別のワイヤレス通信システムを含んでもよい。
【0076】
システムは典型的には、バッテリー(図示せず)によって電力が供給され、バッテリーは電源入力(図示せず)を介して充電可能であってもよく、電源入力はUSB(図示せず)などのデータリンクの一部であってもよい。
【0077】
異なるスマートフォンには異なる機能(コンパス又はブザーなど)が含まれてもよく、上記に列挙したものの一部(タッチ面など)が省略されてもよいことは理解されよう。
【0078】
したがって、より一般的には、本発明の実施形態において、スマートフォン400などの適切なモバイル通信デバイスは、アプリを記憶及び実行するためのCPU及びメモリと、eシガレット10とのワイヤレス通信を開始し、典型的には維持するように動作可能なワイヤレス通信手段とを含む。しかしながら、モバイル通信デバイスが、これらの機能を有する任意のデバイス、たとえば、タブレット、ラップトップ、スマートTVなどであってもよいことは理解されよう。
【0079】
そのようなモバイル通信デバイスは、WiFi(登録商標)又はモバイルデータを介してインターネット経由でサーバにアクセスすることにより、送達デバイス10とサーバなどのリモートデバイスとの間のブリッジとしても機能してもよい。代替的又は追加的に、送達デバイス10は、それ自体がインターネットアクセス可能であってもよい。
【0080】
本明細書の実施形態では、電子蒸気供給システム「EVPS」(たとえば、本明細書の他の箇所で説明している送達デバイス又はエアロゾル送達デバイス)は、以下を含む。
【0081】
第1に、本明細書の他の箇所で説明しているように、ユーザに送達するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成器(30、365)。
【0082】
第2に、ユーザの吸入動作のタイミングを測定するためのタイマー。タイマーは専用の部品であってもよく、又は、本明細書で前述したように、EVPSのプロセッサ50又はEVPSと通信するコンパニオンデバイスのプロセッサ410によって実装されてもよい。
【0083】
測定された吸入動作のタイミングは、吸入動作間の時間(たとえば、本明細書で前述したように検出される)を含む。本明細書の他の箇所で説明しているように、これらはユーザの現在の行動の特性として扱うことができ、たとえば、比較的頻繁な吸入を行う継続使用セッション(ongoing usage session)中であるか、若しくは時折使用しているか(「グレージング(grazing)」)、又は長期の不使用期間中であるか、などである。
【0084】
第3に、タイマーからのタイミング測定値に基づいてユーザの吸入動作を予測するように(たとえば、適切なソフトウェア命令によって)構成された吸入予測プロセッサ(たとえば、EVPSのプロセッサ50又はコンパニオンデバイス400のプロセッサ410、或いは両方の組み合わせ)。
【0085】
吸入予測プロセッサは、これらの予測を行うために任意の適切な分析方式を使用してもよい。
【0086】
第1の近似として、予測は、現在の使用期間内の最近の又はN回の直近の吸入動作(「パフ」)に基づいてもよく、使用期間は、長期の不使用期間後にユーザが最初のパフを吸ったときに始まる。
【0087】
長期の不使用期間は、たとえば5分、10分、15分、30分、若しくは60分などの予め定められた閾値期間として扱われるか、又は長期間にわたる、測定された長期の不使用期間の平均として扱われてもよい(夜間又は充電中などの期間は除き、すなわち、通常の使用が起こり得る間である)。
【0088】
他の箇所で述べたように、継続使用セッション又は時折使用するグレージングセッションである場合がある所与のセッション内では、最初のパフはセッションの開始を示してもよく、2回目のパフは、パフ間の介在時間に基づく使用速度の初期推定値を提供する。次いで、吸入予測プロセッサは、この測定された介在時間に基づいて、3回目のパフがいつ発生し得るかを予測してもよい(たとえば、次のパフが同程度の介在時間後に発生すると予測する)。さらなるパフが発生するにつれて、推定値を改善することができる(たとえば、N回の最近のパフまで)。そのような推定値は、平均的なパフ間隔に基づいてもよく、又はパフのシーケンス内の任意のパターン若しくはリズムを識別するより高度なモデルに基づいてもよい。
【0089】
上記の推定値は現在のセッションによって初期設定されるものとして説明したが、1つ又は複数の以前のセッション中の平均的なパフ間隔及びパフのシーケンス内の任意のパターン又はリズムなどの情報が取得されてもよく、そのような履歴情報を使用して現在のセッションの推定値をブートストラップしてもよいことは理解されよう。
【0090】
したがって、たとえば、現在のセッション内で最初のパフが検出されると、以前の吸入からの平均及び/又は以前の吸入からのパターン若しくはリズムに基づいた推定値が直ちに使用され、その後、現在のセッションからの情報で即座に更新されてもよい。
【0091】
平均、パターン、及び/又はリズムは、継続使用セッションと、時折のグレージングセッションとでは異なるので、これらの異なるセッションタイプに対して別々の履歴情報(たとえば、それぞれの統計モデル)が記憶されてもよいことは理解されよう。この場合、吸入予測プロセッサは、以前のセッションタイプに基づいて新しい現在のセッションの最初の予測を行い、現在のセッションのパフ間の間隔が他方のセッションタイプの典型的な期間内、たとえば、セッションタイプの平均に関して平均から標準偏差内に収まると思われる場合、或いは単にパフ間の間隔(又はその現在のセッションの平均)が、一方のセッションタイプの平均に他方のセッションタイプよりも近いと思われる場合、使用する履歴情報のタイプを任意選択で切り替えてもよい。この場合、吸入予測プロセッサは、現在のセッション情報を使用して両方の履歴情報セットを更新するが、一方の履歴情報セットへの更新を、現在のセッションが他方のセットにより良好に適合することが明らかになった場合は、破棄してもよい。或いは、情報プロセッサは、現在のセッション情報をバッファリングし、あるセッションタイプの履歴情報を、現在のセッションがそのセッションタイプにより良好に適合することが明らかになった場合にのみ、更新してもよい。
【0092】
したがって、より一般的には、吸入予測プロセッサは、現在の使用セッションにおけるパフ間隔の統計モデルを、そのセッション用にゼロから構築するか、又は以前のモデルに基づいて構築してもよく、吸入予測プロセッサは、異なる使用セッションタイプの以前のモデルを保持しておき、最初は以前のセッションに対応するモデルを使用するが、任意選択で、現在のセッションのパフ間隔に最も適合するモデルに切り替える。
【0093】
任意選択で、上記の全てを、たとえば、異なる時刻(たとえば、勤務時間か夜か)及び曜日(たとえば、平日及び週末)に対して異なる統計モデルが保持され得るように、様々な外部要因に基づいて変更することができる。これにより、ユーザの行動パターンがこれらの状況に応じて変化した場合に、吸入中毒プロセッサの予測を改善することができる。
【0094】
タイミングに基づく統計モデルは、24時間の期間及び/又は7日間の期間にわたる使用セッションのパターンに応じて構築されてもよいので、これにより、たとえば、ユーザの通勤中の頻繁な使用パターンが明らかになることによって、ユーザの典型的な勤務時間が特定されてもよい。
【0095】
時間帯及び/又は曜日に加えて、他の要因には、ユーザの場所(これは、たとえば、コンパニオンモバイルデバイス400から特定されてもよい)と、ユーザに関連付けられたプロファイルデータ(たとえば、使用状況のアンケート、人口統計情報、或いはユーザが同時に所有している又は以前に所有していた1つ又は複数の他のEVPSデバイスから取得されたデータに基づく)と、現在の使用セッションの前の不使用の持続時間などの他のコンテキスト情報とが含まれてもよく、これはユーザが継続的なユーザセッション若しくはグレージングセッションのいずれから開始するかを示す場合があり、及び/又は不使用期間がより長いほどその後の使用速度がより速いことを示す場合があり、したがって、異なる予め定められた閾値不使用期間に応じて異なる履歴モデルが構築されてもよい。
【0096】
構築された統計モデルのタイプ又は数に関係なく、情報生成プロセッサは、タイマーからのタイミング測定値に基づいてユーザの吸入動作を予測し、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合に、エアロゾル生成器の第1の予め定められた予熱モードを開始(initialise)するようにさらに構成されている。
【0097】
本明細書のいくつかの実施形態では、第1の予め定められた予熱基準は、予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、予め定められた期間は、ユーザがEVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間である。
【0098】
したがって、典型的には、吸入予測プロセッサは、ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測するように構成されている。
【0099】
したがって、たとえば、予測された吸入動作は、前の実際のパフから1~2分以内に発生すると予測される場合があり、これは、ユーザが継続使用セッション中であると想定される2分間の閾値期間よりも短い。この閾値期間の値は、整数分若しくは秒又は少数分若しくは秒(a partial number of minutes or seconds)として経験的に決定されてもよく、並びに/或いは、たとえば、K平均法クラスタリングを使用して2つ以上の平均期間(本明細書の他の箇所で説明している継続使用及びグレージング使用などを含む2つ以上の使用タイプに対応)をモデル化するか、本明細書の他の箇所で説明しているそれぞれの履歴モデルの平均を使用して、これらの平均の中間点を閾値として決定することによって、現在のユーザの使用行動をモデル化することに基づいてもよいことは理解されよう。
【0100】
そのような実施形態では、第1の予め定められた予熱モードは、ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する。
【0101】
したがって、(ユーザが時折使用するのではなく継続的に使用しているために)次のパフが閾値期間内になると予測される場合、EVPSは、ユーザが時折使用している場合に使用するための、本明細書の他の箇所で説明している別の予熱モードよりも高い温度にヒーター全体又は一部を維持する予熱モードを起動する。
【0102】
温度が高くなるとデバイスの応答が早くなるが、バッテリーへの負荷が高くなり、しかしながら、このより高い負荷は、この予熱モードのより短い予測持続時間によって埋め合わせされることが見込まれる。予熱モードは、気化温度に達するまでにより大量のエネルギーを必要とする場合があるエアロゾル生成材料(固体又はゲルなど)に特に適している。予熱モードがなければ、気化に達するまでに必要な時間は比較的長くなる場合があり、場合によっては、吸入の持続時間よりも長くなったり、EVPSをユーザの口に持ってきて吸入の準備ができるまでにかかる持続時間よりも長くなったりする場合がある。気化に達するまでに必要な時間は、エアロゾル生成器に供給される電力を増加させることで短縮される場合があるが、これによりバッテリー寿命に悪影響を与える場合があり(たとえば、放電電流が大きくなる)、及び/又は、エアロゾル生成材料を熱し過ぎる危険性がある場合があり、EVPSを使用する際のユーザ体験に影響を与える場合がある。
【0103】
さらに、ヒーターを比較的高い予熱温度に維持することで、継続的なセッションのパフ中及びパフ間でバッテリーの負荷をそれほど変化させる必要がなくなるので、デバイスの寿命にわたってバッテリーの動作寿命を延ばすことができる。
【0104】
本明細書のいくつかの実施形態では、吸入予測プロセッサは、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合に、エアロゾル生成器の第2の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている。
【0105】
そのような実施形態では、任意選択で、第2の予め定められた予熱基準は、予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、予め定められた期間は、閾値期間外ではユーザが時折使用していると想定される、その閾値期間である。
【0106】
この閾値期間が、本明細書の他の箇所で説明している第1の決定された予熱基準を判定するときに使用される閾値期間と同じであってもよく、2つの基準を区別する閾値期間として機能することは理解されよう。
【0107】
或いは、この閾値期間は、第1の予め定められた予熱基準を判定するための閾値期間よりも長い第2の閾値期間であってもよい。この場合、2つの閾値の間には間隔期間が存在することになり、この間隔は一種のヒステリシスを実装するために使用されてもよく、ユーザのパフ間の時間がこの間隔期間内に入り込んだ場合、名目上は現在のセッションタイプの範囲外であるものの、EVPSはユーザが現在のセッションタイプ内にいるかのように動作し続ける。任意選択で、パフタイミングがこの間隔期間内に入っている場合、現在のセッションタイプの統計モデルは更新されず、これは、これらのタイミングの特徴付けが誤っている可能性があるため、別の統計モデルが収束し始めるのを回避するためである。
【0108】
そのような実施形態では、任意選択で、第2の予め定められた予熱モードは、ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する。
【0109】
したがって、(ユーザが時折使用しているため)次のパフが閾値期間外になると予測される場合、EVPSは、ユーザが継続的に使用している場合に使用される、本明細書の他の箇所で説明している別の予熱モードよりも低い温度にヒーター全体又は一部を維持する予熱モードを起動する。
【0110】
より低い温度では、予熱がない場合よりはデバイスの応答が早くなり、前述の継続使用の場合よりも低いバッテリーの負荷コストでそのようになり、この低い負荷は、この予熱モードのより長い予測持続時間を埋め合わせするのに役立つ。
【0111】
さらに、ヒーターを予熱温度(比較的低い温度ではあるが)に維持することで、継続的なセッションのパフ中及びパフ間でバッテリーの負荷をそれほど変化させる必要がなくなるので、デバイスの寿命にわたってバッテリーの動作寿命を延ばすことができる。
【0112】
本明細書の他の箇所で述べたように、吸入予測プロセッサは、使用セッションの2つ以上の以前の吸入動作、並びに/或いは1つ又は複数の以前の使用セッションの以前の吸入動作の間のタイミングに基づいて、ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測するように構成されている。
【0113】
セッション自体は、吸入予測プロセッサによって、本明細書で前述したように、長期の不使用期間後に吸入動作が発生し、ユーザが使用セッション(たとえば、継続的なセッション又はグレージングセッション)中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が続いて発生したときとして識別されてもよい。
【0114】
前述のように、長期の不使用期間は、たとえば1分、2分、3分、5分、10分、15分、30分、又は60分などの予め定められた閾値期間として扱われるか、或いは長期間にわたる、測定された長期の不使用期間の平均として扱われてもよい(夜間又は充電中などの期間は除き、すなわち、通常の使用が起こり得る間である)。
【0115】
夜間などの実際の期間は、典型的には自動的に長期の使用期間として扱われ、又は、たとえばユーザインターフェースを介して、デバイスがスリープ状態になるか若しくはスタンバイモードに入る時間として設定されてもよい。
【0116】
一方、デバイスが充電中であるとき、或いはユーザが別の方法でデバイスを異なって機能するように変更しているとき(たとえば、加熱設定を上げる、又はペイロードの混合又は濃度を変更するなど)、又はペイロードを変更するなどしてデバイスを変更しているときなどの期間は、実際にかかった時間に関係なく、長期の使用期間として扱われてもよく、その理由は、それらがデバイスの動作環境を変更したいというユーザの希望を示しており、また、ユーザがデバイスの差し迫った使用方法を変更したいという希望、又は少なくともデバイスの動作環境の変更に応じてユーザのデバイスの使用方法が変化する可能性を少なくとも示していると考えられ得るためである。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所で説明している1つ又は複数の閾値期間は、統計モデルに関して前述したように、時刻、曜日、場所、現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期からなるリストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択される。
【0118】
本明細書のいくつかの実施形態では、吸入予測プロセッサは、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始するように構成されている。この場合、吸入予測プロセッサは、セッションが終了したことを予測し、ウォームダウン機能は主にEPVS内の残留結露を減らす目的で熱を提供する。
【0119】
そのような実施形態では、予め定められたウォームダウン基準は、以下の任意選択的な基準のうちの1つ又は複数を含む。
【0120】
第1に、ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことであり、したがって、統計モデルの一部として、吸入予測プロセッサは、所与のセッション内の典型的な吸入回数を決定してもよく、たとえば、習慣のせいで、ユーザは知らないうちに、従来の紙巻タバコを吸うのにかかるパフ回数及び期間とほぼ同程度の回数及び期間のパフを行っている場合がある。ユーザがこの特徴的なパフ回数に達すると、任意選択でこの特徴的な期間全体の間に、吸入予測プロセッサはセッションが終了したと予測し、ウォームダウンモードに入ってもよい。
【0121】
第2に、最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることであり、この場合、ユーザは継続的なセッションからグレージングセッションに移行しないと仮定され、むしろ、ユーザが継続的なセッションを終了すると、長期の不使用期間が発生する。
【0122】
第3に、ユーザがEVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことであり、本明細書で前述したように、そのようなアクションは、ユーザが現在のセッションを終了する意図を示している。
【0123】
第4に、ユーザがEVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことである。この場合も、本明細書で前述したように、そのようなアクションは、ユーザが現在のセッションを終了する意図を示している。
【0124】
ウォームダウンモードの温度は、デバイス内の結露を防止若しくは軽減するのに十分であり、及び/又は第2の予め定められた予熱モードの温度と同程度であってもよく、また、デバイス内の結露を防止若しくは軽減するのに十分であると考えられる予め定められた期間にわたって、及び/又は継続的なセッションとグレージングセッションとを線引きする閾値期間、若しくはグレージングセッションに対して求められた平均期間のいずれかと同程度の予め定められた期間にわたって継続してもよい。最初のオプションは、結露を防止又は低減するために必要であると考えられる期間のみヒーターが維持されるバッテリー効率の高いウォームダウン機能を提供し、一方、後者のオプションは、グレージングパフを包含する期間の間加熱機能を維持して、予測の誤りへの防衛策を提供することによって、そのようなパフが発生した場合のバッテリー負荷の急変を緩和する。後者のオプションに関して、デバイス内の結露を防止又は低減するために必要な温度が第2の予め定められた予熱モードの温度よりも高い場合、任意選択で、ウォームダウンモードをより高い温度で開始し、結露を防止又は低減するのに十分であると考えられ得る予め定められた期間の後に、閾値期間又は平均期間が経過するまで、第2の予め定められた予熱モードのより低い温度に移行してもよい。
【0125】
本明細書のいくつかの実施形態では、吸入予測プロセッサは、立て続け(back to back、バックツーバック)の使用セッションが発生するか否かを予測するように構成されており、立て続けの使用セッションは、ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションである。
【0126】
したがって、この場合、吸入予測プロセッサは、現在のセッションが終了したと予測するが、デバイスが長期間の不使用期間中であると判定される前に、別のセッションが開始される。
【0127】
吸入予測プロセッサがそのような立て続けの又は連鎖的な使用セッションを予測した場合、吸入予測プロセッサは、ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する暫定(interim、イントリム)加熱モードを開始するように構成されている。
【0128】
したがって、前述の第1の温度が比較的短い第1の予測期間に関連し、前述の第2の温度が第1の予測期間よりも比較的長い第2の予測期間に関連することによって、バッテリー消費、応答性、及びバッテリー負荷の潜在的に有害な変化の間でトレードオフが提供される一方で、第3の温度は、ヒーターをさらに低い温度に維持するが、さらに長い予測期間にわたって維持することによって、この傾向に従う。
【0129】
上記のシステムが、本明細書で説明した方法及び技術を(たとえば、適切なソフトウェア命令の使用により)実装し、これらも本出願の範囲内で想定していることは理解されよう。
【0130】
したがって、ここで
図8を参照すると、本出願の要約実施形態では、典型的には非治療的な電子蒸気供給方法は、
・本明細書の他の箇所で説明しているように、ユーザに送達するためのエアロゾルを生成することを含む第1のエアロゾル生成ステップ(s810)と、
・本明細書の他の箇所で説明しているように、ユーザの吸入動作のタイミングを測定することを含む第2のタイミングステップ(s820)と、
・本明細書の他の箇所で説明しているように、タイミングステップからのタイミング測定値に基づいてユーザの吸入動作を予測することを含む第3の吸入予測ステップ(s830)と、
・本明細書の他の箇所で説明しているように、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、エアロゾル生成ステップの第1の予め定められた予熱モードを開始することを含む第4の開始ステップ(s840)と、
を含む。
【0131】
本明細書に記載し、特許請求している装置の様々な実施形態の動作に対応する上記の方法の変形例が本発明の範囲内であると考えられることは当業者には明らかであり、変形例には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
・要約実施形態の一例では、本明細書の他の箇所で説明しているように、第1の予め定められた予熱基準が、予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、予め定められた期間が、ユーザがEVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、第1の予め定められた予熱モードが、ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する。
【0133】
・要約実施形態の一例では、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、エアロゾル生成ステップの第2の予め定められた予熱モードを開始することを含む。
・・この例では、任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、第2の予め定められた予熱基準が、予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、予め定められた期間が、閾値期間外ではユーザが時折使用していると想定される、その閾値期間であり、第2の予め定められた予熱モードが、ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する。
【0134】
・要約実施形態の一例では、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含む。
・・・この例では、任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、2回以上の以前の吸入動作間のタイミングに基づいて、ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含む。
・・・・この例では、さらに任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間のタイミングに基づいて、ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含み、吸入予測ステップが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別することを含む。
・・・・・またさらに任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、閾値期間がリストから選択された1つであり、リストが、1分、2分、3分、及び複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間を含む。
・・・・・同様にさらに任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、リストが、時刻、曜日、場所、現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、を含む。
【0135】
・要約実施形態の一例では、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始することを含む。
・・・この例では、任意選択で、本明細書の他の箇所で説明しているように、予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、リストが、ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、ユーザがEVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、ユーザがEVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、を含む。
【0136】
・要約実施形態の一例では、本明細書の他の箇所で説明しているように、吸入予測ステップが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測することを含み、立て続けの使用セッションが、ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、吸入予測ステップが立て続けの使用セッションを予測した場合、吸入予測ステップが、ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始することをさらに含む。
【0137】
本明細書で前述したように、上記の方法が、ソフトウェア命令によって、又は専用ハードウェアの組み込み又は置き換えによって、必要に応じて適切に適合された従来のハードウェア上で実行されてもよいことは理解されよう。
【0138】
したがって、従来の同等デバイスの既存部分への必要な適合は、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、ソリッドステートディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、若しくはこれらの任意の組み合わせ、又は他の記憶媒体などの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実装可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形態で実装されるか、或いは従来の同等デバイスの適合に使用するのに適したASIC(特定用途向け集積回路)若しくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又は他の構成可能な回路としてハードウェアで実現されてもよい。別途、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット(登録商標)、ワイヤレスネットワーク、インターネット、又はこれら若しくは他のネットワークの任意の組み合わせなどのネットワーク上でデータ信号を介して送信されてもよい。
【0139】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態を開示し、説明したものに過ぎない。当業者には理解されるように、本発明は、その思想又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。したがって、本発明の開示は例示を意図しており、本発明の範囲並びに他の請求項を制限するものではない。本明細書の教示の容易に認識できるあらゆる変形を含む本開示は、発明の主題が公衆に捧げられないように、前述の特許請求の範囲での用語の範囲を部分的に定義する。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成器と、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定するためのタイマーと、
前記タイマーからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測するように構成された吸入予測プロセッサと、
を備え、
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第1の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、電子蒸気供給システムEVPS。
【請求項2】
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項1に記載のEVPS。
【請求項3】
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第2の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、
請求項
1に記載のEVPS。
【請求項4】
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項3に記載のEVPS。
【請求項5】
前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測するように構成されている、
請求項
1に記載のEVPS。
【請求項6】
前記吸入予測プロセッサが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されている、
請求項5に記載のEVPS。
【請求項7】
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されており、
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別するように構成されている、
請求項6に記載のEVPS。
【請求項8】
前記閾値期間がリストから選択された1つであり、前記リストが、
i.1分、
ii.2分、
iii.3分、及び
iv.複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間
を含む、請求項7に記載のEVPS。
【請求項9】
1つ又は複数の閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、前記リストが、
i.時刻、
ii.曜日、
iii.場所、
iv.現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、
v.前記ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び
vi.複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、
を含む、請求項
1に記載のEVPS。
【請求項10】
前記吸入予測プロセッサが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始するように構成されている、
請求項
1に記載のEVPS。
【請求項11】
前記予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、前記リストが、
i.前記ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、
ii.最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、
iii.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
iv.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
を含む、請求項10に記載のEVPS。
【請求項12】
前記吸入予測プロセッサが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測するように構成されており、立て続けの使用セッションが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、
前記吸入予測プロセッサが立て続けの使用セッションを予測した場合、前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始するように構成されている、
請求項
1に記載のEVPS。
【請求項13】
電子蒸気供給の方法であって、
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成することを含むエアロゾル生成ステップと、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定することを含むタイミングステップと、
前記タイミングステップからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測することを含む吸入予測ステップと、
予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第1の予め定められた予熱モードを開始することを含む開始ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸入予測ステップが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第2の予め定められた予熱モードを開始することを含む、
請求項1
3に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸入予測ステップが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含む、
請求項1
3に記載の方法。
【請求項18】
前記吸入予測ステップが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸入予測ステップが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始することを含む、
請求項1
3に記載の方法。
【請求項20】
方法の請求項13~
19のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0139】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態を開示し、説明したものに過ぎない。当業者には理解されるように、本発明は、その思想又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。したがって、本発明の開示は例示を意図しており、本発明の範囲並びに他の請求項を制限するものではない。本明細書の教示の容易に認識できるあらゆる変形を含む本開示は、発明の主題が公衆に捧げられないように、前述の特許請求の範囲での用語の範囲を部分的に定義する。
[発明の項目]
[項目1]
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成器と、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定するためのタイマーと、
前記タイマーからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測するように構成された吸入予測プロセッサと、
を備え、
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第1の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、電子蒸気供給システムEVPS。
[項目2]
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
項目1に記載のEVPS。
[項目3]
前記吸入予測プロセッサが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成器の第2の予め定められた予熱モードを開始するように構成されている、
項目1又は2に記載のEVPS。
[項目4]
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
項目3に記載のEVPS。
[項目5]
前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測するように構成されている、
項目1~4のいずれか一項に記載のEVPS。
[項目6]
前記吸入予測プロセッサが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されている、
項目5に記載のEVPS。
[項目7]
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測するように構成されており、
前記吸入予測プロセッサが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別するように構成されている、
項目6に記載のEVPS。
[項目8]
前記閾値期間がリストから選択された1つであり、前記リストが、
i.1分、
ii.2分、
iii.3分、及び
iv.複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間
を含む、項目7に記載のEVPS。
[項目9]
1つ又は複数の閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、前記リストが、
i.時刻、
ii.曜日、
iii.場所、
iv.現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、
v.前記ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び
vi.複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、
を含む、項目1~8のいずれか一項に記載のEVPS。
[項目10]
前記吸入予測プロセッサが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始するように構成されている、
項目1~9のいずれか一項に記載のEVPS。
[項目11]
前記予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、前記リストが、
i.前記ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、
ii.最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、
iii.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
iv.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
を含む、項目10に記載のEVPS。
[項目12]
前記吸入予測プロセッサが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測するように構成されており、立て続けの使用セッションが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、
前記吸入予測プロセッサが立て続けの使用セッションを予測した場合、前記吸入予測プロセッサが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始するように構成されている、
項目1~11のいずれか一項に記載のEVPS。
[項目13]
電子蒸気供給の方法であって、
ユーザに送達するためのエアロゾルを生成することを含むエアロゾル生成ステップと、
前記ユーザの吸入動作のタイミングを測定することを含むタイミングステップと、
前記タイミングステップからのタイミング測定値に基づいて前記ユーザの吸入動作を予測することを含む吸入予測ステップと、
予測された吸入動作が第1の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第1の予め定められた予熱モードを開始することを含む開始ステップと、
を含む、方法。
[項目14]
前記第1の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間内に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、前記ユーザが前記EVPSの継続使用セッション中であると想定される閾値期間であり、
前記第1の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが時折使用していると想定される場合に使用される予熱モードよりも高い第1の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
項目13に記載の方法。
[項目15]
前記吸入予測ステップが、予測された吸入動作が第2の予め定められた予熱基準を満たしている場合、前記エアロゾル生成ステップの第2の予め定められた予熱モードを開始することを含む、
項目13又は14に記載の方法。
[項目16]
前記第2の予め定められた予熱基準が、前記予測された吸入動作が、最後の実際の吸入動作後の予め定められた期間外に発生すると予測されたか否かであり、前記予め定められた期間が、閾値期間外では前記ユーザが時折使用していると想定される前記閾値期間であり、
前記第2の予め定められた予熱モードが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第2の温度にエアロゾル生成器のヒーターを加熱する、
項目15に記載の方法。
[項目17]
前記吸入予測ステップが、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の経過時間を予測することを含む、
項目13~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
前記吸入予測ステップが、2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測することを含む、
項目17に記載の方法。
[項目19]
前記吸入予測ステップが、使用セッションの2回以上の以前の吸入動作間の前記タイミングに基づいて、前記ユーザの最後の実際の吸入動作と次の予想される吸入動作との間の前記経過時間を予測することを含み、
前記吸入予測ステップが、使用セッションを、予め定められた不使用期間の後に吸入動作が発生し、続いて、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間内に1回又は複数回の吸入動作が発生したときとして識別することを含む、
項目18に記載の方法。
[項目20]
前記閾値期間がリストから選択された1つであり、前記リストが、
i.1分、
ii.2分、
iii.3分、及び
iv.複数の以前の使用セッションにわたって平均された吸入間隔に基づく期間
を含む、項目19に記載の方法。
[項目21]
前記閾値期間が、リストから選択された1つ又は複数を含む追加の要因に基づいて選択され、前記リストが、
i.時刻、
ii.曜日、
iii.場所、
iv.現在の使用セッションの前の不使用の持続時間、
v.前記ユーザに関連付けられたプロファイルデータ、及び
vi.複数の以前の使用セッションにわたって平均された周期、
を含む、項目19又は20に記載の方法。
[項目22]
前記吸入予測ステップが、吸入動作が予め定められたウォームダウン基準を満たしている場合に、前記エアロゾル生成器のウォームダウンモードを開始することを含む、
項目13~21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
前記予め定められたウォームダウン基準が、リストから選択された1つ又は複数を含み、前記リストが、
i.前記ユーザが現在の使用セッション内で閾値回数の吸入動作を実行したことと、
ii.最後の吸入動作と次の吸入との間の期間が、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間を超えることと、
iii.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な構成要素を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
iv.前記ユーザが前記EVPSから通常の使用に必要な消耗品を取り外すか又は別の方法で機能的に切り離すことと、
を含む、項目22に記載の方法。
[項目24]
前記吸入予測ステップが、立て続けの使用セッションが発生するか否かを予測することを含み、立て続けの使用セッションが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される閾値期間である予め定められた期間よりも長いが、長期間の不使用を示す第2のより長い閾値期間よりも短い介在の不使用期間を有する使用セッションであり、
前記吸入予測ステップが立て続けの使用セッションを予測した場合、前記吸入予測ステップが、前記ユーザが継続使用セッション中であると想定される場合に使用される予熱モードよりも低い第3の温度に前記エアロゾル生成器のヒーターを加熱するイントリム加熱モードを開始することをさらに含む、
項目13~23のいずれか一項に記載の方法。
[項目25]
方法の項目13~24のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】