(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】自己抗体媒介性疾患を有する患者を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20250212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250212BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20250212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250212BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20250212BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250212BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250212BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20250212BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C12Q1/06
A61K45/00 ZNA
A61P37/06
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K39/395 N
C07K16/28
G01N33/49 A
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541851
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2023050980
(87)【国際公開番号】W WO2023135321
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517303085
【氏名又は名称】アルジェニクス ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ヴェルヘーセン
(72)【発明者】
【氏名】マグダリーナ シップス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ポルマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ハートル
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ジョリー
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン カルボ
(72)【発明者】
【氏名】モード マホ‐バイラント
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA02
2G045AA25
2G045CA19
2G045FA37
2G045FB03
2G045GA01
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QS36
4B063QX10
4C084AA17
4C084AA23
4C084NA05
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4C084ZC422
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
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4C085BB42
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法、対象におけるB細胞の頻度に基づいて、対象における自己抗体媒介性疾患の治療をモニタリングする方法が、本明細書に提供される。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の治療の有効性をモニタリングするための方法であって、前記方法が、
a)前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、
b)前記B細胞の頻度を、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値以上である場合、前記治療は有効ではなく、前記B細胞の頻度が前記参照値未満である場合、前記治療は有効である、方法。
【請求項2】
第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法であって、
a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を前記対象に投与することと、
b)前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、
c)前記B細胞の頻度を、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値以上である場合、前記コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又は前記B細胞の頻度が前記参照値未満である場合、前記コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、方法。
【請求項3】
第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、
a)治療有効量の前記第二のFcRn拮抗薬が、前記対象に投与され、
b)前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度が、インビトロで測定され、
c)前記B細胞の頻度が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較され、
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値以上である場合、前記コルチコステロイド投与レジメンが維持され、前記B細胞の頻度が前記参照値未満である場合、前記コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、第二のFcRn拮抗薬。
【請求項4】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、
(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量を前記対象に投与することと、
(b)ステップ(a)後の前記対象におけるB細胞の頻度が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量を前記対象に投与することと、又はステップ(a)後の前記対象における前記B細胞の頻度が、前記対象における活動性疾患に関連する参照値未満である場合、前記第一のFcRn拮抗薬による治療を中止することとを含む、方法。
【請求項5】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、FcRn拮抗薬であって、
(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量が、前記対象に投与され、
(b)ステップ(a)後の前記対象におけるB細胞の頻度が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量が、前記対象に投与され、又はステップ(a)後の前記対象における前記B細胞の頻度が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値未満である場合、前記第一のFcRn拮抗薬が、中止される、FcRn拮抗薬。
【請求項6】
前記第一のFcRn拮抗薬の前記治療有効量が、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与される、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第一のFcRn拮抗薬の前記治療有効量が、約750mg~約3000mgの用量で、皮下投与される、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第一のFcRn拮抗薬を用いて自己抗体媒介性疾患に対して以前に治療された対象が、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とするかを決定するための方法であって、前記方法が、
a)前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、
b)前記B細胞の頻度を、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、
前記試料中の前記B細胞の頻度が、前記参照値以上である場合、前記対象が、前記第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とする、方法。
【請求項9】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象に治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を投与することを含み、
前記自己抗体媒介性疾患が、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法後に前記対象において再発しており、前記対象が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する、参照値以上のB細胞の頻度を有する、方法。
【請求項10】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、前記自己抗体媒介性疾患が、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に前記対象において再発しており、前記対象が、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有し、前記第二のFcRn拮抗薬の治療有効量が、前記対象に投与される、第二のFcRn拮抗薬。
【請求項11】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、前記自己抗体媒介性疾患が、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に前記対象において再発しており、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬が前記対象に投与され、前記治療有効量が、前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、方法。
【請求項12】
対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、前記自己抗体媒介性疾患が、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に前記対象において再発しており、治療有効量の前記第二のFcRn拮抗薬が前記対象に投与され、前記治療有効量が、前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、第二のFcRn拮抗薬。
【請求項13】
前記B細胞の頻度が、B細胞の正常頻度の、約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、又は7倍である、請求項11又は12に記載の方法又は使用。
【請求項14】
前記B細胞の正常頻度が、リンパ球の、約3%、5%、10%、15%、20%、又は30%である、請求項13に記載の方法又は使用。
【請求項15】
第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の寛解をモニタリングするための方法であって、
a)前記対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、
b)前記B細胞の頻度を、前記対象における前記自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値未満である場合、前記対象が、前記自己抗体媒介性疾患から寛解している、方法。
【請求項16】
前記コルチコステロイド投与レジメンが、より低い投与量又はより低い投与頻度に漸減される、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値以上である場合、治療有効量の前記第二のFcRn拮抗薬を前記対象に投与することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記試料中の前記B細胞の頻度が前記参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を前記対象に投与することを更に含む、請求項1又は15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記参照値が、B細胞の正常頻度の、約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、又は7倍である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項20】
前記B細胞の正常頻度が、リンパ球の、約3%、5%、10%、15%、20%、25%、又は30%である、請求項19に記載の方法又は使用。
【請求項21】
前記参照値が、リンパ球の約3%、5%、10%、15%、20%、25%、又は30%である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項22】
前記参照値が、前記自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、前記対象において測定されたB細胞の最大頻度の、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項23】
前記参照値が、前記自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、前記対象において測定されたB細胞の最大頻度の、60%超である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項24】
前記参照値が、前記自己抗体媒介性疾患に対する前記第一のFcRn拮抗薬で治療される前に、前記対象において測定されたB細胞の最大頻度の、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項25】
前記参照値が、前記自己抗体媒介性疾患に対する前記第一のFcRn拮抗薬で治療される前に、前記対象において測定されたB細胞の最大頻度の、少なくとも60%である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項26】
前記参照値が、前記自己抗体媒介性疾患に対する前記第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、前記対象において測定されたB細胞の最低頻度の、約2倍、3倍、4倍、5倍、又は6倍である、請求項1~10又は15~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項27】
前記対象が、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与される、前記第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された、請求項1~3又は8~26のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項28】
前記対象が、約750mg~約3000mgの用量で、皮下投与される、前記第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された、請求項1~3又は8~26のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項29】
前記対象が、コルチコステロイド、又は免疫抑制剤で以前に治療された、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項30】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、前記第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも高用量である、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項31】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、前記第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも低用量である、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項32】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、前記第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より高頻度で投与される、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項33】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、前記第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より低頻度で投与される、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項34】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与される、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項35】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、10mg/kgの用量で、静脈内投与される、請求項34に記載の方法又は使用。
【請求項36】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、25mg/kgの用量で、静脈内投与される、請求項34に記載の方法又は使用。
【請求項37】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約750mg~約3000mgの固定用量で、皮下投与される、請求項2~7、9~14、又は16~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項38】
前記第二のFcRn拮抗薬の前記有効量が、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1000mg又は2000mgの固定用量で、皮下投与される、請求項37に記載の方法又は使用。
【請求項39】
有効量のコルチコステロイド、又は免疫抑制剤を、前記対象に投与することを更に含む、請求項1又は4~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項40】
前記コルチコステロイドの前記有効量が、1日当たり約0.5mg/kgの用量で投与される、請求項39に記載の方法又は使用。
【請求項41】
前記コルチコステロイドの前記有効量が、1日当たり約0.25mg/kgの用量で投与される、請求項39に記載の方法又は使用。
【請求項42】
前記コルチコステロイドの前記有効量が、1日当たり約20mgの用量で投与される、請求項39に記載の方法又は使用。
【請求項43】
前記コルチコステロイドの前記有効量が、1日当たり約10mgの用量で投与される、請求項39に記載の方法又は使用。
【請求項44】
前記B細胞の頻度が、フローサイトメトリーで測定される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項45】
前記B細胞が、CD19+B細胞である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項46】
前記第一のFcRn拮抗薬及び前記第二のFcRn拮抗薬が、各々、同一のFcRn拮抗薬である、請求項2~14又は16~45のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項47】
前記第一のFcRn拮抗薬及び前記第二のFcRn拮抗薬が、各々、異なるFcRn拮抗薬である、請求項2~14又は14~45のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項48】
前記FcRn拮抗薬が、抗FcRn抗体である、請求項46に記載の方法又は使用。
【請求項49】
前記第一のFcRn拮抗薬が、抗FcRn抗体である、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項50】
前記第二のFcRn拮抗薬が、抗FcRn抗体である、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項51】
前記抗FcRn抗体が、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項52】
前記FcRn拮抗薬が、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である、請求項46に記載の方法又は使用。
【請求項53】
前記第一のFcRn拮抗薬又は前記第二のFcRn拮抗薬が、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項54】
前記FcRn拮抗薬が、エフガルチギモドである、請求項46に記載の方法又は使用。
【請求項55】
前記第一のFcRn拮抗薬又は前記第二のFcRn拮抗薬が、エフガルチギモドである、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項56】
前記FcRn拮抗薬が、配列番号1、2又は3のアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の方法又は使用。
【請求項57】
前記第一のFcRn拮抗薬又は前記第二のFcRn拮抗薬が、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項58】
前記第一のFcRn拮抗薬が、抗FcRn抗体であり、前記第二のFcRn拮抗薬が、エフガルチギモドである、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項59】
前記第一のFcRn拮抗薬が、抗FcRn抗体であり、前記第二のFcRn拮抗薬が、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む、請求項47に記載の方法又は使用。
【請求項60】
前記抗FcRn抗体が、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である、請求項58又は59に記載の方法又は使用。
【請求項61】
患者が、以前にエフガルチギモドで治療されていない、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項62】
前記対象が、前記第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、自己抗体媒介性疾患の1つ以上の身体症状を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、前記自己抗体媒介性疾患の再発に関連する、病原性IgG自己抗体の血清レベルを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記病原性IgG自己抗体が、抗Dsg-3抗体、又は抗Dsg-1抗体である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記自己抗体媒介性疾患が、同種膵島移植片拒絶反応、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性アジソン病、アルツハイマー病、抗体媒介性同種移植拒絶 (AMR)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、ANCA血管炎、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性脳炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、免疫性血小板減少症(ITP又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenia purpura)又は免疫介在性血小板減少症)、蕁麻疹、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡(BP)、心筋症、キャッスルマン症候群、セリアック・スプルース皮膚炎、慢性疲労性免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、COVID-19介在体位性頻脈症候群(POTS)、クローン病、腎移植後移植片機能遅延、拡張型心筋症、円板状ループス、後天性表皮水疱症、本態性混合型クリオグロブリン血症、第VIII因子欠乏症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎、血友病A、胎児新生児溶血性疾患 (HDFN)、特発性膜性ニューロパチー、特発性肺線維症、IgA神経障害、IgM多発神経障害、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、硬化性苔癬、エリテマトーデス、ループス腎炎、膜性神経障害、膜性腎症、メニエール病、混合性結合組織病、粘膜類天疱瘡、多発性硬化症、1型糖尿病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、ミエリン・オリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)、重症筋無力症(MG)、重症汎発性筋無力症(gMG)、重症眼筋無力症(OMG)、筋炎、視神経脊髄炎(NMO)、腫瘍随伴性水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎(DM)、壊死性自己免疫性ミオパチー(NAM)、抗シンテターゼ症候群(ASyS)、一次無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、再発性多発軟骨炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、固形臓器移植拒絶反応、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、甲状腺眼症、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、疱疹状皮膚炎型血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項66】
前記自己抗体媒介性疾患が、尋常性天疱瘡(PV)、又は落葉状天疱瘡(PF)である、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒト集団の2.5%超が、自己反応性抗体が直接病原性である、自己抗体駆動性自己免疫疾患によって影響を受けると推定される。免疫グロブリンG(IgG)のリサイクルに関与し、したがってIgGの長い半減期に関与する、主要な組織適合性複合体クラスI様分子である新生児Fc受容体(FcRn)の治療拮抗作用は、重症筋無力症(gMG)、免疫性血小板減少症(ITP)、並びに天疱瘡(尋常性天疱瘡(PV)及び落葉状天疱瘡(PF))などの、IgG媒介性自己免疫疾患を治療するための戦略として、探索されている。FcRn拮抗作用の顕著な臨床的有効性は、循環からの病原性IgG自己抗体の早期除去に、直接関連しているようである。
【0002】
FcRn拮抗薬を用いた治療は、自己免疫疾患の治療において顕著な臨床的有効性を示しているが、治療有効性を測定するための確立されたバイオマーカーは現在存在せず、患者における再発のリスクを決定するための確立された予後方法はない。
【0003】
したがって、当技術分野では、自己抗体媒介性疾患を有する患者のFcRn拮抗薬治療後の、治療有効性及び寛解をモニタリングする、新規のバイオマーカーベースの方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、FcRn拮抗薬を用いた治療が、FcRn拮抗薬に応答する患者における、循環B細胞の頻度の減少を引き起こすことを示す。更に、FcRn拮抗薬を用いた治療に応答しない患者は、B細胞の減少した頻度を有さない。したがって、本明細書において、対象におけるB細胞の頻度に基づいて、FcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の治療有効性及び寛解をモニタリングする方法が提供される。また、本明細書において、B細胞の増加した頻度を有し、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療後に再発した対象における、自己抗体媒介性疾患を治療するために、FcRn拮抗薬を使用する方法が提供される。
【0005】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の治療の有効性をモニタリングするための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、治療は有効ではなく、B細胞の頻度が参照値未満である場合、治療は有効である、方法が本明細書に提供される。
【0006】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法であって、方法は、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することと、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、c)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、方法が本明細書に提供される。
【0007】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬が対象に投与され、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度が、インビトロで測定され、c)B細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較され、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、B細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0008】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量を対象に投与することと、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量を対象に投与することと、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における活動性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療を中止することとを含む、方法が本明細書に提供される。
【0009】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法における使用のための、FcRn拮抗薬であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量が対象に投与され、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量が、対象に投与される、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬が中止される、FcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0010】
一実施形態では、治療有効量の第一のFcRn拮抗薬は、静脈内投与される、約10mg/kg~約30mg/kgの用量である。
【0011】
一実施形態では、治療有効量の第一のFcRn拮抗薬は、皮下投与される、約750mg~約3000mgの用量である。
【0012】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を使用して自己抗体媒介性疾患に対して以前に治療された対象が、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とするかを決定するための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、次いで、対象は、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とする、方法が本明細書に提供される。
【0013】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、対象は、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有する、方法が本明細書に提供される。
【0014】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、対象は、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有する、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0015】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、FcRn拮抗薬の治療有効量は、対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、方法が本明細書に提供される。
【0016】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、方法は、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、治療有効量は、対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0017】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の寛解をモニタリングするための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以下である場合、対象は、自己抗体媒介性疾患からの寛解にある、方法が本明細書に提供される。
【0018】
一実施形態では、コルチコステロイド投与レジメンは、より低い投与量又はより低い投与頻度に漸減される。一実施形態では、方法は、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合に、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを更に含む。一実施形態では、方法は、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合に、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを更に含む。
【0019】
一実施形態では、参照値は、B細胞の正常頻度の、約1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、又は7倍である。一実施形態では、B細胞の正常頻度は、リンパ球の、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。一実施形態では、参照値は、リンパ球の、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。
【0020】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%である。一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、60%超である。
【0021】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%高い。
【0022】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度の、約1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、又は7倍である。
【0023】
一実施形態では、対象は、静脈内投与された、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された、約750mg~約3000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0024】
一実施形態では、対象はまた、コルチコステロイド、又は免疫抑制剤で以前に治療された。
【0025】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも、高用量である。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも、低用量である。
【0026】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より高頻度で投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より低頻度で投与される。
【0027】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、10mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、25mg/kgの用量で、静脈内投与される。
【0028】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約750mg~約3000mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、FcRnの第二の拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1000mg又は2000mgの固定用量で、皮下投与される。
【0029】
一実施形態では、方法は、有効量のコルチコステロイド、又は免疫抑制剤を対象に投与することを更に含む。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約0.25mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約20mgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約10mgの用量で投与される。
【0030】
一実施形態では、B細胞の頻度は、フローサイトメトリーで測定される。一実施形態では、B細胞は、CD19+B細胞である。
【0031】
一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬及び第二のFcRn拮抗薬は、各々、同一のFcRn拮抗薬である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬及び第二のFcRn拮抗薬は、各々、異なるFcRn拮抗薬である。
【0032】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。
【0033】
一実施形態では、抗FcRn抗体は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である。
【0034】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを、含む、Fc領域である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である。
【0035】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。
一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体であり、第二のFcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体であり、第二のFcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗FcRn抗体は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である。一実施形態では、患者は過去に、エフガルチギモドで治療されていない。
【0036】
一実施形態では、対象は、自己抗体媒介性疾患の再発に関連する、病原性IgG自己抗体の血清レベルを有する。一実施形態では、病原性IgG自己抗体は、抗Dsg-3抗体、又は抗Dsg-1抗体である。
【0037】
一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、同種膵島移植片拒絶反応、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性アジソン病、アルツハイマー病、抗体媒介性同種移植拒絶 (AMR)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、ANCA血管炎、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性脳炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、免疫性血小板減少症(ITP又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenia purpura)又は免疫介在性血小板減少症)、自己免疫性蕁麻疹、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡(BP)、心筋症、キャッスルマン症候群、セリアック・スプルース皮膚炎、慢性疲労性免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、COVID-19介在性体位性頻脈症候群(POTS)、クローン病、腎移植後移植片機能遅延、拡張型心筋症、円板状狼瘡、後天性表皮水疱症、本態性混合クリオグロブリン血症、第VIII因子欠乏症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎、血友病A、胎児新生児溶血性疾患 (HDFN)、特発性膜性ニューロパチー、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、IgM多発ニューロパチー、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、硬化性苔癬、エリテマトーデス、ループス腎炎、膜性神経障害、膜性腎症、メニエール病、混合結合組織病、粘膜類天疱瘡、多発性硬化症、1型糖尿病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、ミエリン・オリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)、重症筋無力症(MG)、重症汎発性筋無力症(gMG)、重症眼筋無力症(OMG)、筋炎、視神経脊髄炎(NMO)、腫瘍随伴性水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎(DM)、壊死性自己免疫性ミオパチー(NAM)、抗シンテターゼ症候群(ASyS)、原発性ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、再発性多発軟骨炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、固形臓器移植拒絶反応、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、甲状腺眼症、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、疱疹状皮膚炎血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0038】
一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、尋常性天疱瘡(PV)である。一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、落葉状天疱瘡(PF)である。
【0039】
一実施形態では、対象は、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、自己抗体媒介性疾患の1つ以上の身体症状を有する。一実施形態では、1つ以上の身体症状としては、眼筋の疲労又は衰弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、倦怠感、不明瞭な発話、チョーク、嚥下障害、二重又はかすみ目、介助を必要とする不動状態、息切れ、呼吸不全、並びに皮膚及び口の水疱を含む水疱が含まれるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、1人の代表的な患者について、CD19+ IgM- IgD- DSG3+、又はCol7+細胞を研究するために使用される、ゲーティング戦略を示す一連のFACSプロットである。
【
図1-2】
図1は、1人の代表的な患者について、CD19+ IgM- IgD- DSG3+、又はCol7+細胞を研究するために使用される、ゲーティング戦略を示す一連のFACSプロットである。
【0041】
【
図2A】
図2Aは、コホート3及び4の全ての患者について、エフガルチギモド治療に対する臨床応答を示す棒グラフである。矢印は、エフガルチギモドを投与した時を示し、点線は、EoCを達成した患者における、隔週の投与期間を示す。
【
図2B】
図2Bは、選択された患者について、図全体を通して使用される記号形状を示す表である。
【
図2C】
図2Cは、1つの代表的なPV患者における、病原性抗体(抗Dsg-3)、及び非病原性抗体(抗水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、抗破傷風トキソイド(TT)、及び抗肺炎球菌被嚢多糖体(PCP))、並びに総IgG(tIgG)及びPDAI(天疱瘡病変領域指数)活性スコアの、レベルを示すグラフである。
【
図2D】
図2Dは、1つの代表的なPF患者における、病原性抗体(抗Dsg-1)、及び非病原性抗体(抗VZV、抗TT、及び抗PCP)、並びにtIgG及びPDAI活性スコアの、レベルを示すグラフである。灰色の影付き領域は、エフガルチギモド治療のないフォローアップ期間を示す。略語:EoT=治療終了、DC=疾患コントロール、EoC=コンソリデーション終了、CR=完全臨床寛解、CRmin=最小治療で完全臨床寛解、Pt=患者。
【0042】
【
図3A】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【
図3B】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【
図3C】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【
図3D】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【
図3E】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【
図3F】
図3A~Fは、ベースライン、完全臨床寛解(CR)、治療終了(EoT)、及び試験終了(EoS)での、天疱瘡を有する患者における、抗Dsg IgGサブタイプのレベルを示すグラフである。
図3Aは、PV患者における、抗Dsg3 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Bは、PV患者における、抗Dsg3 IgG2レベルを示すグラフである。
図3Cは、PV患者における、抗Dsg3 IgG3レベルを示すグラフである。
図3Dは、PV患者における、抗Dsg3 IgG4レベルを示すグラフである。
図3A~3Dの点線は、陽性の閾値を示す(36人の健康なドナーからの平均値を、2 SD上回る)。
図3Eは、PF患者における、抗Dsg1 IgG1レベルを示すグラフである。
図3Fは、PF患者における、抗Dsg1 IgG4レベルを示すグラフである。
図3E~3Fの点線は、陽性の閾値(20RU/mL)を示す。
【0043】
【
図4A】
図4A~Bは、ベースライン、CR、EoT、及びEoSでのエフガルチギモド治療後にPV(
図4A)及びPF(
図4B)を有する患者における、循環性IgG免疫複合体(IgG CIC)のレベルを示すグラフである。点線は、臨床的有意性(CS)を示す。略語:CIC:循環性免疫複合体。
【
図4B】
図4A~Bは、ベースライン、CR、EoT、及びEoSでのエフガルチギモド治療後にPV(
図4A)及びPF(
図4B)を有する患者における、循環性IgG免疫複合体(IgG CIC)のレベルを示すグラフである。点線は、臨床的有意性(CS)を示す。略語:CIC:循環性免疫複合体。
【0044】
【
図5A】
図5Aは、PVを有する患者1人における、ベースライン、CR、及びEoTでの、Dsg-3+スイッチ型メモリーB細胞(MBC)の頻度を示す、一連の代表的なフローサイトメトリープロットである。
【
図5B】
図5B-5Cは、Dsg-3自己抗体血清力価(
図5B)に関連する、及び時点別(
図5C)で、試験中のPV患者3名における、循環Dsg-3+スイッチ型メモリーB細胞の頻度を示すグラフである。
【
図5C】
図5B-5Cは、Dsg-3自己抗体血清力価(
図5B)に関連する、及び時点別(
図5C)で、試験中のPV患者3名における、循環Dsg-3+スイッチ型メモリーB細胞の頻度を示すグラフである。
【
図5D】
図5D-5Eは、PV患者5名における、抗Dsg-3抗体の抗体力価(
図5D)、及び循環Dsg-3+スイッチ型メモリーB細胞の頻度(
図5E)(3人は、
図5B~5Cに示す通り持続的な臨床応答を伴い、2人は、CR後の再発を伴う)を示すグラフである。
【
図5E】
図5D-5Eは、PV患者5名における、抗Dsg-3抗体の抗体力価(
図5D)、及び循環Dsg-3+スイッチ型メモリーB細胞の頻度(
図5E)(3人は、
図5B~5Cに示す通り持続的な臨床応答を伴い、2人は、CR後の再発を伴う)を示すグラフである。
【
図5F】
図5Fは、ベースライン(BL)及び試験終了時(EoS)での、PFを有する患者からのPBMC中に検出された、ウェル当たり播種された2.5×10
3~1×10
4個のPBMC(上)を有する総IgG-ASC(抗体分泌細胞)、及びウェル当たり播種された1×10
5~4×10
5個のPBMC(下)を有するDsg-1 IgG ASCを測定する、一連の代表的なELISPOTアッセイである。
【
図5G】
図5G-Hは、Dsg-1自己抗体血清力価(
図5G)に関連する、及び時点別(
図5H)の両方で、試験中のPF患者3名における、ELISPOTアッセイで評価した、末梢血中Dsg-1特異的ASCの頻度を示すグラフである。頻度は、総IgG ASCの割合として報告される。
【
図5H】
図5G-Hは、Dsg-1自己抗体血清力価(
図5G)に関連する、及び時点別(
図5H)の両方で、試験中のPF患者3名における、ELISPOTアッセイで評価した、末梢血中Dsg-1特異的ASCの頻度を示すグラフである。頻度は、総IgG ASCの割合として報告される。
【0045】
【
図6A】
図6A~6Eは、天疱瘡を有する患者における、リンパ球サブセットの頻度を示すグラフである。
図6Aは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の白血球の頻度を示すグラフである。点線は、3.9~12.7×10
9/L白血球の正常範囲を表す。
図6Bは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の好中球、リンパ球、及び単球の頻度を示すグラフである。
図6Cは、CD4+T細胞及びT細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。
図6Dは、CD19+B細胞及びB細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。矢印及び線は、親集団の頻度がどのように決定されたかを示す。
図6Eは、持続的な臨床応答を有するコホート4からの9人の患者における、ベースライン、EoT、及びEoSでの、CD19+ B細胞の頻度及び計数を示すグラフの対である。各列の水平バーは、中央値を表す。 左側のグラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。右側のグラフの点線は、80~616個のCD19+B細胞/μlの正常範囲を表す。 ダンの事後検定を用いた非パラメータ一元配置ANOVAを実施した。*:p<0.05;**:p<0.01。略語:IQR、四分位範囲。
【
図6B】
図6A~6Eは、天疱瘡を有する患者における、リンパ球サブセットの頻度を示すグラフである。
図6Aは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の白血球の頻度を示すグラフである。点線は、3.9~12.7×10
9/L白血球の正常範囲を表す。
図6Bは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の好中球、リンパ球、及び単球の頻度を示すグラフである。
図6Cは、CD4+T細胞及びT細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。
図6Dは、CD19+B細胞及びB細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。矢印及び線は、親集団の頻度がどのように決定されたかを示す。
図6Eは、持続的な臨床応答を有するコホート4からの9人の患者における、ベースライン、EoT、及びEoSでの、CD19+ B細胞の頻度及び計数を示すグラフの対である。各列の水平バーは、中央値を表す。 左側のグラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。右側のグラフの点線は、80~616個のCD19+B細胞/μlの正常範囲を表す。 ダンの事後検定を用いた非パラメータ一元配置ANOVAを実施した。*:p<0.05;**:p<0.01。略語:IQR、四分位範囲。
【
図6C】
図6A~6Eは、天疱瘡を有する患者における、リンパ球サブセットの頻度を示すグラフである。
図6Aは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の白血球の頻度を示すグラフである。点線は、3.9~12.7×10
9/L白血球の正常範囲を表す。
図6Bは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の好中球、リンパ球、及び単球の頻度を示すグラフである。
図6Cは、CD4+T細胞及びT細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。
図6Dは、CD19+B細胞及びB細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。矢印及び線は、親集団の頻度がどのように決定されたかを示す。
図6Eは、持続的な臨床応答を有するコホート4からの9人の患者における、ベースライン、EoT、及びEoSでの、CD19+ B細胞の頻度及び計数を示すグラフの対である。各列の水平バーは、中央値を表す。 左側のグラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。右側のグラフの点線は、80~616個のCD19+B細胞/μlの正常範囲を表す。 ダンの事後検定を用いた非パラメータ一元配置ANOVAを実施した。*:p<0.05;**:p<0.01。略語:IQR、四分位範囲。
【
図6D】
図6A~6Eは、天疱瘡を有する患者における、リンパ球サブセットの頻度を示すグラフである。
図6Aは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の白血球の頻度を示すグラフである。点線は、3.9~12.7×10
9/L白血球の正常範囲を表す。
図6Bは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の好中球、リンパ球、及び単球の頻度を示すグラフである。
図6Cは、CD4+T細胞及びT細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。
図6Dは、CD19+B細胞及びB細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。矢印及び線は、親集団の頻度がどのように決定されたかを示す。
図6Eは、持続的な臨床応答を有するコホート4からの9人の患者における、ベースライン、EoT、及びEoSでの、CD19+ B細胞の頻度及び計数を示すグラフの対である。各列の水平バーは、中央値を表す。 左側のグラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。右側のグラフの点線は、80~616個のCD19+B細胞/μlの正常範囲を表す。 ダンの事後検定を用いた非パラメータ一元配置ANOVAを実施した。*:p<0.05;**:p<0.01。略語:IQR、四分位範囲。
【
図6E】
図6A~6Eは、天疱瘡を有する患者における、リンパ球サブセットの頻度を示すグラフである。
図6Aは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の白血球の頻度を示すグラフである。点線は、3.9~12.7×10
9/L白血球の正常範囲を表す。
図6Bは、エフガルチギモド研究における、天疱瘡を有する患者の、PBMC中の好中球、リンパ球、及び単球の頻度を示すグラフである。
図6Cは、CD4+T細胞及びT細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。
図6Dは、CD19+B細胞及びB細胞サブセットの頻度を示す棒グラフである。矢印及び線は、親集団の頻度がどのように決定されたかを示す。
図6Eは、持続的な臨床応答を有するコホート4からの9人の患者における、ベースライン、EoT、及びEoSでの、CD19+ B細胞の頻度及び計数を示すグラフの対である。各列の水平バーは、中央値を表す。 左側のグラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。右側のグラフの点線は、80~616個のCD19+B細胞/μlの正常範囲を表す。 ダンの事後検定を用いた非パラメータ一元配置ANOVAを実施した。*:p<0.05;**:p<0.01。略語:IQR、四分位範囲。
【0046】
【
図7】
図7は、持続的な臨床応答を有するPV及びPFを有する患者、CR後に再発する患者、並びに試験中に臨床応答を有しない患者における、CD19+B細胞の頻度を示すグラフである。グラフの点線は、5~22%のCD19+B細胞の正常範囲を表す。
【0047】
【
図8A】
図8A及び
図8Bは、持続的な臨床応答を達成する、PV患者(
図8A)及びPF患者(
図8B)の概要プロファイルを示すグラフであり、利用可能な場合、プレドニゾン投与量、PDAI活性スコア、及び末梢血中の総CD19+B細胞の頻度を示す。灰色の影付きゾーンは、エフガルチギモドなしフォローアップ期間を示す。
【
図8B】
図8A及び
図8Bは、持続的な臨床応答を達成する、PV患者(
図8A)及びPF患者(
図8B)の概要プロファイルを示すグラフであり、利用可能な場合、プレドニゾン投与量、PDAI活性スコア、及び末梢血中の総CD19+B細胞の頻度を示す。灰色の影付きゾーンは、エフガルチギモドなしフォローアップ期間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、FcRn拮抗薬を用いた治療が、FcRn拮抗薬に応答する患者における、B細胞の頻度の減少を引き起こすことを示す。更に、FcRn拮抗薬を用いた治療に反応しない患者は、B細胞の頻度が減少しない。したがって、本明細書において、対象におけるB細胞の頻度に基づいて、FcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における自己抗体媒介性疾患の寛解をモニタリングし、治療有効性をモニタリングする方法が提供される。また、本明細書において、B細胞の増加した頻度を有し、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療後に再発した対象における、自己抗体媒介性疾患を治療するために、FcRn拮抗薬を使用する方法が提供される。
【0049】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、治療の有効性をモニタリングするための方法であって、対象は、自己抗体媒介性疾患を有し、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、治療は有効ではなく、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、治療は有効である、方法が本明細書に提供される。
【0050】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法であって、方法は、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することと、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、c)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、方法が本明細書に提供される。
【0051】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬が対象に投与され、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度が、インビトロで測定され、c)B細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較され、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0052】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量を対象に投与することと、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量を対象に投与することと、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における活動性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療を中止することとを含む、方法が本明細書に提供される。
【0053】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法における使用のための、FcRn拮抗薬であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量が対象に投与され、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量が、対象に投与される、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬が中止される、FcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0054】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を使用して自己抗体媒介性疾患に対して以前に治療された対象が、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とするかを決定するための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、次いで、対象は、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とする、方法が本明細書に提供される。
【0055】
また、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、対象は、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有する、方法が本明細書に提供される。
【0056】
また、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、FcRn拮抗薬の治療有効量が、対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、方法が本明細書に提供される。
【0057】
第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の寛解をモニタリングするための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以下である場合、対象は、自己抗体媒介性疾患から寛解である、方法が本明細書に更に提供される。
【0058】
定義
本明細書で使用される場合、「FcRn」という用語は、新生児Fc受容体を指す。例示的なFcRn分子は、RefSeq NM 004107に記載されるFCGRT遺伝子によってコードされるヒトFcRnを含む。対応するタンパク質のアミノ酸配列は、RefSeq NP_004098に記載されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、「FcRn拮抗薬」という用語は、FcRnに特異的に結合し、FcRn(例えば、ヒトFcRn)への免疫グロブリンの結合を阻害する、任意の薬剤を指す。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、Fc領域を介してFcRnに特異的に結合し、FcRnへの免疫グロブリンの結合を阻害する、Fc領域(例えば、本明細書に開示されるバリアントFc領域)である。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、全長IgG抗体ではない。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、標的抗原に結合する抗原結合部位、及びバリアントFc領域を含む。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、Fc領域を含むか又はそれからなり、抗原結合部位を欠く、Fc断片である。一実施形態では、「FcRn拮抗薬」という用語は、その抗原結合ドメインを介して、又はそのFc領域を介して、FcRnに特異的に結合し、免疫グロブリン(例えば、IgG自己抗体)のFc領域のFcRnへの結合を阻害する、抗体又はその抗原結合断片を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「Fcドメイン」という用語は、ヒンジ領域で始まり、抗体のC末端で終わる、単一の免疫グロブリン重鎖の部分を指す。したがって、完全なFcドメインは、ヒンジ(例えば、上部、中央部、及び/又は下部のヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインの少なくとも一部を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、その2つの重鎖のFcドメインによって形成される、天然の免疫グロブリンの部分を指す。天然のFc領域は、ホモ二量体である。
【0062】
本明細書で使用される場合、「バリアントFc領域」という用語は、天然のFc領域と比較して、1つ以上の変更(複数可)を有するFc領域を指す。変更には、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失、追加部分の結合、及び/又は天然グリカンの変更が含まれてもよい。この用語はヘテロ二量体Fc領域を包含し、ここでは、構成する各Fcドメインが異なる。この用語はまた、構成するFcドメインが、リンカー部分によって一緒に連結される、一本鎖Fc領域を包含する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「FcRn結合断片」という用語は、FcRn結合を付与するのに十分な、Fc領域の一部分を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「EU位置」という用語は、下記に記載されるFc領域についての、EU付番則におけるアミノ酸位置を指す:Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969) and Rabat et al, in “Sequences of Proteins of Immunological Interest”, U.S. Dept. Health and Human Services, 5th edition, 1991。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ベースライン」という用語は、治療(例えば、FcRn拮抗薬)の最初の投与(例えば、静脈内、又は皮下投与)前の、例えば患者の血液中など、患者における測定値(例えば、B細胞の頻度、IgGレベル)を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「自己抗体媒介性疾患」という用語は、基礎となる病理が、少なくとも部分的に、病原性IgG自己抗体によって引き起こされる、任意の疾患又は障害を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「B細胞の頻度」という用語は、患者の全末梢血単核細胞(PBMC)集団における、B細胞の割合を指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、本明細書に記載される、治療的又は予防的な措置を指す。「治療」の方法は、疾患若しくは障害又は再発した疾患若しくは障害の、1つ以上の症状を、予防し、治癒し、遅延し、その重症度を低減し、若しくはそれを寛解するために、又はそのような治療の不在下で予期される範囲を超えて対象の生存を延長するために、疾患若しくは障害を有する、又はそのような疾患若しくは障害の素因のある対象に、ポリペプチドを投与することを利用する。
【0069】
本明細書で使用される場合、対象への療法の投与の文脈における「治療有効量」という用語は、所望の予防的又は治療効果を達成する療法の量を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「寛解」という用語は、自己抗体媒介性疾患の新しいマーカーを有さず、疾患のベースラインマーカーが完全に消失又は治癒した患者を指す。一実施形態では、臨床寛解中の天疱瘡患者は、新しい病変を有さず、全ての確立された病変は完全に治癒する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「再発」又は「再燃」という用語は、自己抗体媒介性疾患の寛解期間の後に、身体症状の出現及び/又は自己抗体媒介性疾患のマーカーの増加を有する、自己抗体媒介性疾患を有する患者を指す。一実施形態では、再発性天疱瘡とは、4週間に少なくとも3つの新たな天疱瘡病変が出現し、1週間以内に治癒しないこと、又は定着した病変が拡大することを指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。一実施形態では、対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。一実施形態では、対象はヒトである。
【0073】
本明細書で使用される場合、投薬量などの測定可能な値を指す場合、「約」又は「およそ」という用語は、本明細書に開示される方法を実施するのに適切であるため、所与の値又は範囲の、±20%、±15%、±10%、±5%、±1%、又は±0.1%の変動を包含する。
【0074】
FcRn拮抗薬
本明細書に提供される方法及び使用に有用なFcRn拮抗薬としては、任意の抗FcRn抗体、又は任意のバリアントFc領域が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
任意のFc領域を、本明細書に開示される方法で使用するためのバリアントFc領域を生成するように、変更することができる。一般に、Fc領域、又はそのFcRn結合断片は、ヒト免疫グロブリン由来である。しかし、Fc領域は、例えばラクダ科の種、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)又は非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、マカク)種を含めた、任意の他の哺乳類種の免疫グロブリンに由来し得ることが、理解される。更に、Fc領域又はその一部は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む任意の免疫グロブリンクラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む任意の免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。一実施形態では、Fc領域は、IgG Fc領域(例えば、ヒトIgG領域)である。一実施形態では、Fc領域は、IgG1 Fc領域(例えば、ヒトIgG1領域)である。一実施形態では、Fc領域は、いくつかの異なるFc領域の一部分を含む、キメラFc領域である。キメラFc領域の適切な例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0243966A1号に記載されている。様々なFc領域遺伝子配列(例えば、ヒト定常領域遺伝子配列)が、公的にアクセス可能な寄託物の形態で、利用可能である。
【0076】
Fc領域は、更に切断されるか又は内部を欠失して、その最小のFcRn結合断片を生成してもよい。Fc領域断片のFcRnに結合する能力は、例えばELISAなど、当技術分野で認識されている、任意の結合アッセイを用いて決定することができる。
【0077】
本明細書に開示されるFcRn拮抗薬の製造可能性を高めるために、構成するFc領域は、いかなる非ジスルフィド結合システイン残基も含まないことが好ましい。したがって、一実施形態では、Fc領域は、遊離システイン残基を含まない。
【0078】
天然のFc領域と比較して、増加した親和性及び減少したpH依存性によりFcRnに特異的に結合する、任意のFcバリアント又はそのFcRn結合断片を、本明細書に開示される方法に使用することができる。一実施形態では、バリアントFc領域は、所望の特徴を付与する、アミノ酸変更、置換、挿入、及び/又は欠失を含む。一実施形態では、生物製剤は、対応する野生型Fc領域と比較して、pH5.5でより高い親和性でFcRnに結合する、バリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含むか、又はそれらからなる。
【0079】
一実施形態では、バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片は、2つのFcドメインからなる。一実施形態では、FcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である。
【0080】
一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を含む 。一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列からなる 。一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列を含む 。一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列からなる 。一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号3のアミノ酸配列を含む 。一実施形態では、バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。
【0081】
一実施形態では、単離されたFcRn拮抗薬は、バリアントFc領域からなり、バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、Fcドメインの各々のアミノ酸配列は、配列番号1からなる。
【0082】
一実施形態では、単離されたFcRn拮抗薬は、バリアントFc領域からなり、バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、Fcドメインの各々のアミノ酸配列は、配列番号2からなる。
【0083】
一実施形態では、単離されたFcRn拮抗薬は、バリアントFc領域からなり、バリアントFc領域は、ホモ二量体を形成する2つのFcドメインからなり、Fcドメインの各々のアミノ酸配列は、配列番号3からなる。
【0084】
一実施形態では、生物製剤は、エフガルチギモド(CAS登録番号1821402-21-4)である。
表1. バリアントFc領域のアミノ酸配列
【表1】
【0085】
一実施形態では、抗FcRn抗体は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、バトクリマブ(IMVT-1401 /RVT1401/HBM9161)である。
【0086】
一実施形態では、FcRnに特異的に結合し、免疫グロブリンのFc領域のFcRnへの結合を阻害する抗体は、ニポカリマブであり、M281としても知られる。ニポカリマブは、完全長「Fcデッド」IgG1モノクローナル抗体である。ニポカリマブは、重症筋無力症(MG)、温式自己免疫性溶血性貧血(WAIHA)、及び胎児新生児溶血性疾患(HDFN)の治療のために、第2相臨床試験において、静脈内注入として投与されている。ニポカリマブは、表2に記載される、以下の軽鎖(配列番号4)及び重鎖(配列番号5)の配列を含む:
表2 ニポカリマブの重鎖配列及び軽鎖配列
【表2】
【0087】
一実施形態では、FcRnに特異的に結合し、免疫グロブリンのFc領域のFcRnへの結合を阻害する抗体は、ロザノリキシズマブであり、UCB 7665としても知られる。ロザノリキシズマブは、完全長ヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ロザノリキシズマブは、MG、免疫性血小板減少症(FTP)、及び慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に対する、継続中の臨床試験において、皮下注入として投与されている。ロザノリキシズマブは、以下の表3に記載される軽鎖(配列番号6)配列、及び重鎖(配列番号7)配列を含む。
表3 ロザノリキシズマブの重鎖配列及び軽鎖配列
【表3】
【0088】
一実施形態では、FcRnに特異的に結合し、免疫グロブリンのFc領域のFcRnへの結合を阻害する抗体は、オリラノリマブであり、SYNT001としても知られる。オリラノリマブは、別の完全長ヒト化IgG4モノクローナル抗体である。オリラノリマブは、WAIHAの治療に対する第2相臨床試験で、静脈内注入として投与されている。オリラノリマブは、以下の表4に記載される軽鎖(配列番号8)配列、及び重鎖(配列番号9)配列を含む。
表4 オリラノリマブの重鎖配列及び軽鎖配列
【表4】
【0089】
一実施形態では、FcRnに特異的に結合し、免疫グロブリンのFc領域のFcRnへの結合を阻害する抗体は、バトクリマブであり、IMVT1401/RVT1401/HBM9161としても知られる。バトクリマブは、別の完全長「Fcデッド」IgG1モノクローナル抗体である。バトクリマブは、MG及びグレーブス眼症の治療のために、進行中の第2相臨床試験において、皮下注射として投与されている。バトクリマブは、以下の表5に記載される軽鎖(配列番号10)及び重鎖(配列番号11)配列を含む。
表5 バトクリマブの重鎖配列及び軽鎖配列
【表5】
【0090】
使用方法
一態様では、 第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の治療の有効性をモニタリングするための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、 b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、 試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、治療は有効ではなく、B細胞の頻度が参照値未満である場合、治療は有効である、方法が本明細書に提供される。
【0091】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法であって、方法は、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することと、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、c)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、 試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、方法が本明細書に提供される。
【0092】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を受け、コルチコステロイド投与レジメンを受けている対象における、自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、a)治療有効量の第二のFcRn拮抗薬が対象に投与され、b)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度が、インビトロで測定され、c)B細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較され、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、コルチコステロイド投与レジメンが維持され、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、コルチコステロイド投与レジメンが漸減される、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0093】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量を対象に投与することと、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量を対象に投与することと、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における活動性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療を中止することとを含む、方法が本明細書に提供される。
【0094】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法における使用のための、FcRn拮抗薬であって、(a)治療有効量の第一のFcRn拮抗薬の1つ以上の初回用量が対象に投与され、(b)ステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上である場合、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬の1つ以上の更なる用量が、対象に投与される、又はステップ(a)後の対象におけるB細胞の頻度が、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値未満である場合、第一のFcRn拮抗薬が中止される、FcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0095】
一実施形態では、治療有効量の第一のFcRn拮抗薬は、静脈内投与される、約10mg/kg~約30mg/kgの用量である。
【0096】
一実施形態では、治療有効量の第一のFcRn拮抗薬は、皮下投与される、約750mg~約3000mgの用量である。
【0097】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を使用して自己抗体媒介性疾患に対して以前に治療された対象が、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とするかを決定するための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、次いで、対象は、第二のFcRn拮抗薬を用いた更なる治療を必要とする、方法が本明細書に提供される。
【0098】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、対象は、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有する、方法が本明細書に提供される。
【0099】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、対象は、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値以上のB細胞の頻度を有する、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0100】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療するための方法であって、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、FcRn拮抗薬の治療有効量は、対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、方法が本明細書に提供される。
【0101】
一態様では、対象における自己抗体媒介性疾患を治療する方法で使用するための、第二のFcRn拮抗薬であって、自己抗体媒介性疾患は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の療法の後に対象において再発し、方法は、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを含み、治療有効量は、対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度に基づいて決定される、第二のFcRn拮抗薬が本明細書に提供される。
【0102】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、治療の有効性をモニタリングするための方法であって、対象は、自己抗体媒介性疾患を有し、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合、治療は有効ではなく、又はB細胞の頻度が参照値未満である場合、治療は有効である、方法が本明細書に提供される。
【0103】
一態様では、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後の対象における、自己抗体媒介性疾患の寛解をモニタリングするための方法であって、方法は、a)対象から採取された血液試料中のB細胞の頻度を、インビトロで測定することと、b)B細胞の頻度を、対象における自己抗体媒介性疾患に関連する参照値と比較することとを含み、試料中のB細胞の頻度が参照値以下である場合、対象は、自己抗体媒介性疾患からの寛解にある、方法が本明細書に提供される。
【0104】
一実施形態では、コルチコステロイド投与レジメンは、より低い投与量又はより低い投与頻度に漸減される。一実施形態では、方法は、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合に、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを更に含む。一実施形態では、方法は、試料中のB細胞の頻度が参照値以上である場合に、治療有効量の第二のFcRn拮抗薬を対象に投与することを更に含む。
【0105】
一実施形態では、参照値は、B細胞の正常頻度よりも、約1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、又は7倍高い。
【0106】
一実施形態では、B細胞の正常頻度は、リンパ球の約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。一実施形態では、参照値は、リンパ球の約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%である。
【0107】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%である。一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、約60%超である。
【0108】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%である。一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、60%超である。
【0109】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%である。一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する任意の治療を受ける前に、対象において測定されたB細胞の最大頻度の、65%超である。
【0110】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%高い。
【0111】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%高い。一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%高い。
【0112】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、約1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、又は7倍高い。
【0113】
一実施形態では、参照値は、自己抗体媒介性疾患に対する第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、対象において測定されたB細胞の最低頻度よりも、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、3.6倍、3.7倍、3.8倍、3.9倍、4倍、4.1倍、4.2倍、4.3倍、4.4倍、4.5倍、4.6倍、4.7倍、4.8倍、4.9倍、5倍、5.1倍、5.2倍、5.3倍、5.4倍、5.5倍、5.6倍、5.7倍、5.8倍、5.9倍、6倍、6.1倍、6.2倍、6.3倍、6.4倍、6.5倍、6.6倍、6.7倍、6.8倍、6.9倍、又は7倍高い。
【0114】
一実施形態では、対象は、静脈内投与された約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、静脈内投与された約10mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、静脈内投与された約15mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、静脈内投与された約20mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、静脈内投与された約25mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、静脈内投与された約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0115】
一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約10mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約15mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約20mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約25mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、静脈内投与された約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0116】
一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約10mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約15mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約20mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約25mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、静脈内投与された約30mg/kgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0117】
一実施形態では、対象は、皮下投与された約750mg~約3000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された約750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された約1000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された約1250mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された約1500mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、皮下投与された約1750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0118】
一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約750mg~約3000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約1000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約1250mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約1500mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、週に1回、皮下投与された約1750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0119】
一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約750mg~約3000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約1000mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約1250mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約1500mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。一実施形態では、対象は、2週間に1回、皮下投与された約1750mgの用量で、第一のFcRn拮抗薬で以前に治療された。
【0120】
一実施形態では、対象はまた、コルチコステロイド、又は免疫抑制剤で以前に治療された。一実施形態では、対象は、プレドニゾンで以前に治療された。
【0121】
一実施形態では、対象は、<5mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<3mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<2mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<1mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<0.5mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<0.4mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<0.3mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<0.2mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。一実施形態では、対象は、<0.1mg/kg/日の用量で、プレドニゾンで以前に治療された。
【0122】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも高用量である。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療よりも低用量である。
【0123】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より高頻度で投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、第一のFcRn拮抗薬を用いた以前の治療と比較して、より低頻度で投与される。
【0124】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約10mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、10mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、15mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、20mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、25mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、30mg/kgの用量で、静脈内投与される。
【0125】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約10mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約15mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約20mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約25mg/kgの用量で、静脈内投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約30mg/kgの用量で、静脈内投与される。
【0126】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約750mg~約3000mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1000mg又は2000mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約750mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約1000mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約1250mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約1500mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、約1750mgの固定用量で、皮下投与される。
【0127】
一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、750mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1000mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1250mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1500mgの固定用量で、皮下投与される。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬の有効量は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は6週間に1回、1750mgの固定用量で、皮下投与される。
【0128】
一実施形態では、方法は、有効量のコルチコステロイド、又は免疫抑制剤を、対象に投与することを更に含む。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、コルチコステロイドの有効量は、1日当たり約0.25mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約20mgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、1日当たり約10mgの用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約5mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約3mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約2mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約1mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約0.5mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約0.4mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約0.3mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約0.2mg/kg/日の用量で投与される。一実施形態では、有効量のコルチコステロイドは、約0.1mg/kg/日の用量で投与される。
【0129】
一実施形態では、対象におけるコルチコステロイド投与レジメンは、自己抗体媒介性疾患を有する対象における、B細胞の量に基づいて漸減される。一実施形態では、コルチコステロイドレジメンを漸減することは、コルチコステロイドの用量を下げるか、又は投与頻度を下げることである。一実施形態では、コルチコステロイドの漸減用量は、<2mgのプレドニゾン/kg/日、又はその同等である。一実施形態では、コルチコステロイドの漸減用量は、約1.5、約1.0、約0.75、約0.5、又は約0.2mg以下のプレドニゾン/kg/日、又はその同等である。一実施形態では、コルチコステロイドの漸減用量は、<0.5mgのプレドニゾン/kg/日、又はその同等である。
【0130】
一実施形態では、B細胞の頻度は、フローサイトメトリーで測定される。一実施形態では、B細胞は、CD19+B細胞である。
【0131】
一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬及び第二のFcRn拮抗薬は、各々、同一のFcRn拮抗薬である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬及び第二のFcRn拮抗薬は、各々、異なるFcRn拮抗薬である。
【0132】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。一実施形態では、第二のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体である。
【0133】
一実施形態では、抗FcRn抗体は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である。
【0134】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である。
【0135】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。
【0136】
一実施形態では、FcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬又は第二のFcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。
【0137】
一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体であり、第二のFcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、抗FcRn抗体であり、第二のFcRn拮抗薬は、配列番号1、2、又は3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗FcRn抗体は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)である。一実施形態では、患者は、過去にエフガルチギモドで治療されていない。
【0138】
一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)からなる群から選択され、第二のFcRn拮抗薬は、各々EU位置252、254、256、433、434、及び436に、アミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む、Fc領域である。一実施形態では、第一のFcRn拮抗薬は、ロザノリキシズマブ(UCB7665)、ニポカリマブ(M281)、オリラノリマブ(ALXN1830/SYNT001)、又はバトクリマブ(IMVT-1401/RVT1401/HBM9161)からなる群から選択され、第二のFcRn拮抗薬は、エフガルチギモドである。
【0139】
一実施形態では、対象は、自己抗体媒介性疾患の再発に関連する、病原性IgG自己抗体の血清レベルを有する。一実施形態では、病原性IgG自己抗体は、抗Dsg-3抗体、又は抗Dsg-1抗体である。一実施形態では、病原性IgG自己抗体のレベルは、ELISAによって測定される。一実施形態では、病原性IgG自己抗体の血清レベルは、対象におけるベースラインレベルと比較される。
【0140】
一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、同種膵島移植片拒絶反応、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群 (APS)、自己免疫性アジソン病、アルツハイマー病、抗体媒介性同種移植拒絶 (AMR)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、ANCA血管炎、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性脳炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、免疫性血小板減少症(ITP又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)又は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenia purpura)又は免疫介在性血小板減少症)、蕁麻疹、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡(BP)、心筋症、キャッスルマン症候群、セリアック・スプルース皮膚炎、慢性疲労性免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、COVID-19介在体位性頻脈症候群(POTS)、クローン病、腎移植後移植片機能遅延、拡張型心筋症、円板状ループス、後天性表皮水疱症、本態性混合型クリオグロブリン血症、第VIII因子欠乏症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎、血友病A、胎児新生児溶血性疾患 (HDFN)、特発性膜性ニューロパチー、特発性肺線維症、IgA神経障害、IgM多発神経障害、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、硬化性苔癬、エリテマトーデス、ループス腎炎、膜性神経障害、膜性腎症、メニエール病、混合性結合組織病、粘膜類天疱瘡、多発性硬化症、1型糖尿病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、ミエリン・オリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)、重症筋無力症(MG)、重症汎発性筋無力症(gMG)、重症眼筋無力症(OMG)、筋炎、視神経脊髄炎(NMO)、腫瘍随伴性水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎(DM)、壊死性自己免疫性ミオパチー(NAM)、抗シンテターゼ症候群(ASyS)、一次無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、再発性多発軟骨炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ(RA)、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、固形臓器移植拒絶反応、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、甲状腺眼症、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、疱疹状皮膚炎型血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される。
【0141】
一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、尋常性天疱瘡(PV)である。一実施形態では、自己抗体媒介性疾患は、落葉状天疱瘡(PF)である。
【0142】
一実施形態では、対象は、第一のFcRn拮抗薬を用いた治療後に、自己抗体媒介性疾患の1つ以上の身体症状を有する。一実施形態では、1つ以上の身体症状には、眼筋の疲労又は衰弱、骨格筋の疲労又は衰弱、呼吸筋の疲労又は衰弱、障害疲労、不明瞭な発話、チョーク、嚥下障害、二重又はかすみ目、支援を必要とする不動、息切れ、呼吸不全、並びに皮膚及び口の水疱を含む水疱が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
実施例
以下の実施例は、例示の目的で提供されており、限定の目的で提供されていない。
【0144】
実施例1: エフガルチギモドを用いた治療後の、モデルIgG媒介性器官特異的自己免疫疾患である天疱瘡における、臨床パラメータ、血清学的パラメータ、及び免疫学的パラメータの分析
延長した抗FcRn処置中の全身免疫シグネチャの変化を調査するために、自己反応性及び防御的抗感染抗体力価、並びにB細胞及びT細胞表現型を、最大34週まで、エフガルチギモドで処置された天疱瘡患者の末梢血で評価した。
【0145】
A. 方法
試験デザイン及び治療介入
軽度から中程度の尋常性天疱瘡(PV)又は落葉状天疱瘡(PF)を有する患者において、非盲検非制御第2相試験(NCT03334058)において、エフガルチギモドによる延長治療を、徐々に導入した。コホート3では、7人の患者(7人のPV)を15週間治療し、コホート4では、15人の患者(8人のPV、7人のPF)を最大34週間治療した。PV又はPFの診断は、直接免疫蛍光法により陽性を、並びに間接免疫蛍光法及び/又はデスモグレイン(Dsg)-1/3 ELISAにより陽性を確認した。患者は、軽度から中程度の疾患重症度(ベースラインでの天疱瘡病変領域指数(PDAI)<45)を有する、新規診断又は再発のいずれかであった。治療期間の前に、最大3週間のスクリーニング期間があり、その後に、10週間の無治療のフォローアップ期間があった。コホート3では、静脈内(IV) エフガルチギモドを、導入期間として、10mg/kgで4週間毎週投与し、続いて、維持期間として、12週間隔週でIV投与した。コホート3では、エフガルチギモドは、単独療法として、又は治験責任医師の裁量で20mg/日のプレドニゾンと併用して開始し、プレドニゾンは、維持期間から漸減した。コホート4では、IV エフガルチギモドは、コンソリデーション終了(EoC、少なくとも2週間、新たな病変が発生せず、大部分、すなわち定着病変の約80%が治癒した時間として定義される)まで、体重1kg当たり25mgで毎週投与され、その後、患者は、隔週で25mg/kgで、エフガルチギモドを投与された。
【0146】
コホート4では、新たに診断された全ての患者及び治療離脱中の再発患者において、同時プレドニゾン(20mg/日)と併せて、又は再発の発生した漸減用量で、エフガルチギモドを開始した。経口プレドニゾン用量は、EoC時点で、漸減することができた。試験中、天疱瘡に対する他の全身的治療は許容されなかったのに対し、局所性コルチコステロイド、鎮痛剤、及びコルチコステロイド療法に対する支持療法(例えば、ビタミンD、プロトンポンプ阻害剤、特定の食事)は許容された。
【0147】
倫理
本試験は、医薬品の臨床試験の実施に関するガイドラインに従い、ヘルシンキ宣言の倫理原則に準拠し、関連する全ての国の法律に準拠している。試験プロトコル及び他の全ての適切な試験関連情報は、各センターの倫理委員会又は機関審査委員会によって審査及び承認された。
【0148】
免疫グロブリンアッセイ
薬理学的解析には、ELISAによる総IgG、IgGサブクラス、並びに抗Dsg-1、及び抗Dsg-3自己抗体の血清レベルが含まれた(Euroimmun,Germany)。全患者について、破傷風トキソイド(TT、間接EIA、Virotech)、水疱性帯状ウイルス(VZV、CLIA、Diasorin)、及び肺炎球菌莢膜多糖体(PCP、EIA、The Binding Site Group)に対する、防御ワクチン抗体の血清レベルを測定した。カスタマイズされたアドレス可能なレーザービーズ免疫アッセイ(ALBIA)試験を実施して、異なる時点で、抗Dsg-3 IgGサブクラスを決定した。簡潔に述べると、20μgの抗HIS抗体(クローンHIS.H8)を、製造業者のプロトコルに従って、Bio-PlexRアミンカップリングキット(Bio-Rad)を用いて、1.25×106個の蛍光Bio-Plex R COOH-マイクロスフェア(Bio-Rad、米国)に結合した。カップリング後、コーティングされたビーズを直ちに使用するか、又は暗所で-20℃で保存した。使用前に、6×His Tagを発現する100ngの組換えDsg-3を、1000ビーズと共に、室温(RT)で15分間インキュベートし、次いで洗浄した。使用直前に、コーティングされたビーズを、30秒間激しく撹拌した。次いで、10μLのビーズ(1000ビーズを含有する)を、1%FCSを補充したCa2+及びMg2+を含むPBS中、Bio-Plex Pro Flat bottomプレート(Bio-Rad)中、100μLの、患者又は1/100に希釈した対照血清に添加した。プレートを、850rpmのプレート振盪機上で、暗所で、室温で、90分間インキュベートした。ブランク(血清なし)、陰性対照(健常ドナー血清)、及び陽性対照(ヒト抗Dsg-3陽性血清)を、全てのアッセイに含めた。ビーズを磁気ワッシャー(Bio-Rad)で収集し、0.1%Tween-20を含有する、150μLのPBS 1×で3回洗浄した。ビオチン化マウス抗ヒトIgGサブクラス特異的二次抗体(Southern Biotech、米国)を、振盪条件下で、室温で、45分間添加した(抗IgG1及び抗IgG2については1/125希釈、抗IgG3及び抗IgG4については1/200希釈)。洗浄後、ビーズを、50μLのストレプトアビジン-R-フィコエリスリンと共に、1/400希釈で、15分間インキュベートした。最後に、ビーズを、100μLのPBS中に再懸濁し、Bio-PlexR Manager Software 4.0(Bio-Rad)を使用して、Bio-PlexR装置上で、平均蛍光強度(MFI)を決定した。Dsg-3-反応性抗体の決定については、陽性閾値を、36人の健康なドナーから得られた平均値に2標準偏差を加えた値に設定した。検出システムを修正した、抗Dsg-1 ELISA(Euroimmun、ドイツ)を用いて、抗Dsg-1 IgGサブクラスを特定した。具体的には、ELISAでは、ウサギ抗ヒトIgG HRP検出抗体を、抗ヒトIgG1 HRP又は抗ヒトIgG4 HRP(Southern Biotech、米国)で置換して、Dsg-1特異的IgGサブクラスを検出し、1/10,000希釈で使用した。CIC-C1q EIAキット(A001、Quidel)を使用して、製造業者のプロトコルに従って、異なる時点で、選択された患者の血清中のC1q-会合IgG凝集体(循環性免疫複合体(CIC))のレベルを検出した。
【0149】
末梢血単核細胞(PBMC)の単離
合計60~80mLの全血を、10本のBD Vacutainer CPTチューブに収集し、直ちに混合し、室温(RT)で、採血から2時間以内に、遠心分離して、PBMCと赤血球を分離した。遠心分離後、PBMCを血漿に再懸濁し、24時間以内に、Philipps University Marburgの分析ラボに輸送した。試料受領時に、チューブを、PBMC精製及びフローサイトメトリー分析に供した。残りの細胞を、後の分析のために凍結保存した。
【0150】
マルチパラメータフローサイトメトリー及びDsg3-特異的B細胞の検出による、表現型プロファイリング
PBMCを、PBS+1%FCSで2回洗浄し、1×10
6個の細胞を、T細胞について染色し、Dsg3-特異的B細胞の検出を含むB細胞分析を行った。T細胞パネル分析には、以下の抗体:マウス抗ヒトCD4(RPA-T4、Biolegend)、マウス抗ヒトCD45RA(HI100、Biolegend)、マウス抗ヒトCXCR5(J252D4、Biolegend)、マウス抗ヒトCD25(M-A251、Biolegend)、マウス抗ヒトCD127(A019D5、Biolegend)、マウス抗ヒトCXCR3(G025H7、Biolegend)、及びマウス抗ヒトCCR6(G034E3、Biolegend)の抗体を使用した。B細胞パネル分析には、以下の抗体:マウス抗ヒトCD45(2D1、Biolegend)、マウス抗ヒトCD19(HIB19、Biolegend)、マウス抗ヒトCD27(M-T271、Biolegend)、マウス抗ヒトCD38(HB-7、Biolegend)、マウス抗ヒトCD24(ML5、Biolegend)、マウス抗ヒトIgM(MHM-88、Biolegend)、マウス抗ヒトIgD(IA6-2、Biolegend)、及びマウス抗ヒトCD138(MI15、Biolegend)の抗体を使用した。バキュロウイルス発現系で産生された、AlexaFluor 647標識組換えヒトDsg3(細胞外ドメイン、aa 1~566)を、別個のB細胞染色パネルに含めた。ゲーティング戦略を、代表的な1人の患者について
図1に示す。
【0151】
ELISPOTアッセイを使用した、Dsg特異的B細胞検出
循環総IgG及びDsg特異的IgG抗体分泌細胞(ASC)の頻度を、ヒトIgG ELISPOTベーシックアッセイ(Mabtech、Nacka Strand、スウェーデン)によって決定した。上述の臨床試験からの天疱瘡患者由来のPBMCを、96ウェルプレート中の完全培地(10%ウシ胎児血清、2mM L-グルタミン、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを補充した、RPMI-1640)中の、R848(1μg/mL)及びrhIL2(10ng/mL)で、37℃で72時間、予め刺激した。ELISPOT MAIPS-4510(Merck Millipore、ダルムシュタット、ドイツ)のプレートを、抗IgGヒトAbで、4℃で一晩コーティングした。プレートを洗浄し、使用前に完全培地でブロッキングした。予め刺激されたPBMCを洗浄し、完全培地中に再懸濁し、プレートに移し、次いで、ウェル当たり1×105~4×105個のPBMCと24時間インキュベートして、抗Dsg-1及び抗Dsg-3 IgG分泌ASCを検出し、ウェル当たり2.5×103~1×104個のPBMCとインキュベートして、総IgG-ASCを検出した。IgG-ASCは、ビオチン化マウスIgG抗ヒトIgGの添加によって、検出された。抗Dsg-1又は抗Dsg-3 IgG分泌ASCの頻度を、カルシウムを含むリン酸緩衝生理食塩水(Eurobio、Les Ulis、フランス)中の、ヒスチジンタグ付き組換えDsg-1又はDsg-3タンパク質(1μg/mL)と2時間インキュベーションした後に、計算した。次いで、ビオチン化抗ヒスチジン抗体(0.5μg/mL)(Abcam、Cambridge、英国)を添加した。ストレプトアビジンコンジュゲートペルオキシダーゼ及び基質テトラメチルベンジジンを使用して、スポットを検出した。スポットの数は、ELISPOT Plate Readers and ImmunoSpotソフトウェア(CTL Europe GmbH、Bonn、ドイツ)を用いて決定した。結果は、総IgG-ASC中の、Dsg特異的IgG-ASCの頻度として表された。ELISPOTアッセイの感度及び特異性は、1Dsg-3特異的ASC/105総ASCで、及び各々100%と推定された。
【0152】
統計解析
記述統計法を用いて、データを解析した。要約(平均、標準誤差、中央値、範囲)を、研究日/時点によってグラフにプロットした。
【0153】
B. 結果
持続的な臨床応答及び自己抗体抑制
エフガルチギモドの長期治療(各々、15週間及び最大34週間)を受けた、コホート3及び4の、PV及びPFを有する患者の、臨床転帰及び特性を表6に示し、臨床転帰を
図2Aに示す(選択された患者の図全体を通して使用される記号を、
図2Bに示す)。コホート4の9人の患者(患者1、3、4、5、7、8、9、11、及び12)は、試験中の任意の時点でCRに到達し、一方、エフガルチギモド(239日目まで)及び低用量プレドニゾンを受けた6人の患者(患者1、4、5、7、8、及び9)は、試験終了時(10週間のエフガルチギモドなし処置期間の終了)にCRであった。 4人の患者は、試験中の任意の時点で、最小療法が10mg/日以下のプレドニゾン(又は同等物)を少なくとも2カ月間投与すると定義される、最小療法を患者が受けている間、新規又は確立された病変の非存在として定義される、最小療法(CRmin)で完全な臨床寛解に達した。患者3は、CR後に3のPDAI活性スコアという低い疾患活性を示し、2人の患者(11及び12)は、PDAI活性スコア>10に再発した。3人の患者(患者2、6、及び10)は、臨床的に改善し、試験終了まで臨床的改善状態を維持した:患者2及び10は、EoCに達し、それを維持し、患者6は、DCに達し、試験終了時にPDAI活性スコアが1であった。コホート3では、7人中5人の患者が、試験中の任意の時点で、CRを達成し(患者16、19、20、21、及び22)、これらの患者のうち4人は、無処置フォローアップの終了時に、CRであった(患者16、20、21、及び22)。
表6.コホート3及び4で長期のエフガルチギモド治療を受けている患者のベースライン特性
【表6】
【0154】
図2C及び2Dは、コホート4からの、代表的なPV患者、及び代表的なPF患者を各々示し、両方とも、エフガルチギモド治療に応答した。それらの臨床応答は、明らかな身体症状の改善、並びにそれらの臨床及び血清学的プロファイルによって実証される(
図2C及び
図2D)。PV患者(患者8)は、ベースラインで10.3のPDAI活性スコアを有し、これは、最初の治療後に開始する低下を示した(
図2C)。更に、PV患者の粘膜水疱を、15日目までに治癒させた。PF患者は、ベースラインで34.5のPDAI活性スコアを有し、これも、最初の治療後に低下を示した。PF患者の皮膚病変は経時的に徐々に減少し、281日目までに完全に消失した(
図2D)。重要なことに、両患者とも、最後のエフガルチギモド治療後の10週間の観察期間中、疾患活性を示さなかった。
【0155】
代表的な患者では、総IgGレベル、並びにTT特異的、PCP特異的、及びVZV特異的抗体レベルは、治療期間で、約70%まで抑制されたままであったのであり、無処置フォローアップ中に、ベースラインレベルまで回復した(
図2C及び
図2D)。両方の患者において、抗Dsg抗体レベルの早期かつ長期の低減が観察された。10週間の無処置フォローアップ中、PF患者(患者4)では抗Dsg1抗体の再発はなく、PV患者(患者8)では、治療前よりも低いレベル(約50%)まで抗Dsg3抗体の再発があった(
図2C及び
図2D)。患者4は、エフガルチギモドのないフォローアップ中、0.15mg/kg/日のプレドニゾンを投与され、最後の試験訪問時に、0.11mg/kg/日に更に漸減され、一方で、患者8の用量は、エフガルチギモドのない10週間の期間中に、0.16mg/kg/日であった。
【0156】
抗Dsg自己抗体サブタイプの抑制
天疱瘡では、疾患は、主に、表皮の構造的完全性に関与する、膜貫通型デスモソーム糖タンパク質の群である、デスモグレイン(Dsg)への自己抗体の形成に起因する。尋常性天疱瘡(PV)については、これらが主にDsg-3を標的とし、落葉状天疱瘡(PF)では、これらの抗体は主にDsg-1を標的とする。
【0157】
PV及びPFは、主に、IgG4、及びより少ない程度の他のIgGサブタイプを伴うため、ALBIA Dsg-3-アッセイを、Pを有する6名の患者において実施し、改変抗Dsg-1 Euroimmun ELISAを、コホート3及び4において長期のエフガルチギモド治療を受け、持続的な臨床応答を達成した、PFを有する6名の患者において実施した。これらの解析で使用した患者を、表6に指定し、抗Dsg-1/3力価を、表7に要約する。ベースラインでは、異なる患者において、異種抗Dsg-1/3 IgG1-4サブクラスが検出された。陽性閾値を超えるベースラインレベルを有する患者では、3人中3人の患者において、抗Dsg-3 IgG1自己抗体の、陽性閾値未満への低減が観察され(
図3A)、3人中2人の患者において、抗Dsg-3 IgG4が観察された(
図3D)。3人の患者に存在する抗Dsg-3 IgG2自己抗体は、顕著に減少したが、1人の患者のみが、試験終了時に、陽性閾値を下回って減少した(
図3B)。ベースラインで1人の患者に存在するIgG3自己抗体は、陽性閾値を下回って抑制された(
図3C)。サブクラス解析に供された、PFを有する患者6名は、抗Dsg-1自己抗体のドミナントIgG4シグネチャーを示し(
図3F)、一方、1名の患者はIgG1自己抗体を呈した(
図3E)。経時的なDsg-1 IgG力価の分析は、臨床応答後のDsg-1特異的IgG1抗体及びIgG4抗体の減少を示し、これは試験終了時に、抑制されたままであった(
図3E及び
図3F)。したがって、分析したIgGサブタイプに関係なく、エフガルチギモドが抗Dsg力価を減少させると、結論付けることができる。
【0158】
これらの結果から、エフガルチギモド治療が、自己抗体を引き起こす天疱瘡疾患の低減につながり、治療後に長期間にわたって低減が維持されることが示される。更に、患者における臨床的利益は、病原性自己抗体の力価の低下に直接関連していた。抗Dsg-1 IgGの低減は、患者間でより一貫していたのであり、一方、抗Dsg-3 IgGレベルの変化は、より可変であった。
表7 持続的な臨床応答を達成したコホート3及び4からの患者による、個々の臨床応答及び血清応答の概要
【表7】
【0159】
循環免疫複合体の抑制
免疫複合体は、健康な個体に見られるが、それらの形成は、自己免疫疾患において上昇し、部分的にそれらの病態を駆動及び/又は誇張すると予想され得る。主にIgGを含有する免疫複合体の半減期は、FcRnの生物学によっても影響を受ける可能性があるため、同じPV患者6名及びPF患者6名において、CICのレベルを調査した。これらの患者を、補体固定IgG抗体を検出する、C1q ELISAによる、IgG CIC分析に供した。IgG CICレベルは、≧4.0μg当量/mLの場合、臨床的に有意であるとみなされる。4人の患者がCICレベルの上昇を示したが、エフガルチギモドを用いた治療中に、CICの顕著な減少が観察され(
図4A及び
図4B)、これは、臨床状態の改善が観察されたことと一致した。
【0160】
Dsg-3+及びDsg-1+B細胞の変化
抗Dsg自己抗体の長期抑制を、エフガルチギモド治療後の天疱瘡患者における総血清IgG全体と比較して観察することに基づいて、PV患者のPBMCを分析して、Dsg-3特異的B細胞の運命を決定した。PBMC採取は、コホート4患者のみ(n=15)で実施され、12人の患者(5人のPV、7人のPF)で首尾よく単離され、そのうち9人(3人のPV、6人のPF)が、持続的な臨床応答を達成した。
【0161】
末梢血におけるDsg-3+B細胞の頻度を、CD45+、CD19+、及びCD27+メモリーB細胞(MBC)、並びに蛍光標識Dsg-3抗原の、染色によって特定した(
図5A)。IgM及びIgDを用いた追加の染色を、Dsg-3+細胞上でゲーティングして、クラススイッチされたメモリーB細胞を特定する前に含めた(
図1)。Dsg-3+B細胞は、抗原特異的B細胞を保有することが知られている、CD27+ IgM- IgD- 細胞内で特定された(
図5A、B、及びC)。以前の報告と一致して、Dsg-3-特異的B細胞は、末梢血でほとんど見られなかったが、主にベースラインで検出され、抗Dsg-3血清IgGレベルがより高い患者において、より高い頻度で検出された。抗原特異的MBCの減少は、患者5、6、及び8がCRに達した時に、並びに治療終了時に見られた。CR後に再発した2人のPV患者は、CRでAg特異的B細胞の低減も示し(
図5D及び5E)、Dsg-3+B細胞の頻度の増加は更に観察されず、再発における持続的な組織常在性抗原特異的応答を、示唆している可能性がある。
【0162】
PV患者におけるDsg-3+B細胞の頻度を評価することに加えて、Dsg-1特異的ASCを、ELISPOTによって測定した。ELISPOTアッセイは全ての試料で実施されたが、解凍後の低い細胞生存率、及び事後解析に対する患者の同意の撤回は、データ解析を、患者3、4、及び7に制限した。ベースラインでは、抗Dsg-1 IgG ASCは、評価した3名のPF患者全てで検出され、血清抗Dsg1レベルがより高い患者において、より高い頻度で検出された(
図5F、G、及びH)。エフガルチギモド、及び同時低用量プレドニゾンを用いた治療後、抗Dsg-1 IgG ASCは、試験終了時にもはや検出できなかった。2人の患者について、抗Dsg-1 IgG ASCの消失は、CR訪問時に検出された(各々、44日目及び275日目)。1人の患者は、治療終了時に、抗Dsg-1 IgG ASCの喪失を示し、CRは、治療のないフォローアップ中に、47日後に達成された。
【0163】
エフガルチギモド治療中の、T細胞及びB細胞の表現型
自己抗体産生B細胞に加えて、古典的な2型Tヘルパー(Th2)細胞は、典型的には、天疱瘡病理の中心的因子とみなされるが、臨床免疫学における最近の進歩は、追加のT細胞サブセット、すなわち、Tヘルパー-17/T濾胞ヘルパー-17(Th17/Tfh17)細胞が、天疱瘡患者における自己抗体産生を、効率的に促進することを示した。したがって、次いで、長期治療が、抗原特異的状況に加えて、主要なT細胞及びB細胞サブセットに影響を与えたかを調査した。重要なことに、治療は、総白血球、総リンパ球、単球、又は好中球の、全体的なレベルに影響を与えなかった(
図6A及び6B)。4つの異なる時点での、それらの患者におけるPBMCの縦断的分析は、全体的なT細胞亜集団の変化を明らかにしなかった。具体的には、CD4+T細胞は安定であったのであり、Th1、Th2、Th17、又はTfh1、Tfh2、Tfh17サブセットに、有意な変化はなかった(
図6C)。
【0164】
総リンパ球の割合としての総B細胞のベースライン頻度は不均一であったのであり、6.2%~30.9%の範囲であったのであり、一部の個体では、B細胞の活性化及び増殖に起因し得る、高いB細胞頻度を示す。驚くべきことに、B細胞の分析は、全9人の患者の末梢血における、総CD19+B細胞の中央値の減少数を明らかにしたが、CD27+メモリー細胞を含む、試験されたマーカーにおける、B細胞サブセットの組成に影響を与えなかった(
図6D及び6E)。治療後、CD19+B細胞の中央値レベルは、正常範囲内にとどまった。
【0165】
試験で最も高いB細胞頻度は、CRを達成した後に、>10のPDAI活性に再発した患者11及び12で観察された。最後の評価可能な時点では、B細胞頻度のベースラインからの増加は、観察されなかった。PFを有する患者13は、エフガルチギモド治療に対する臨床応答を示さず、CD19+B細胞の変化を示さなかった(
図2A及び
図7)。
【0166】
長期のエフガルチギモド治療を受けている患者における、プレドニゾン曝露
天疱瘡におけるRITUX 3試験(リツキシマブ臨床試験)の、プレドニゾンのみの群における患者において、B細胞レベルが影響を受けなかったため、B細胞の頻度に対するエフガルチギモドの効果は、プレドニゾンによる併用治療によるものではない可能性が高い。それにもかかわらず、上述の、観察された薬力学的効果、及び免疫学的効果に対する、併用プレドニゾン曝露の、潜在的な影響を分析した。全体的な試験集団に見られるように、エフガルチギモドの早期臨床有効性は、ステロイドの早期漸減を可能にした。この効果は、コホート3及び4における、エフガルチギモドを用いた長期治療後に持続的な臨床応答を達成した患者において、更に顕著であった。試験の任意の時点でCRを達成した患者では、CRまでの平均1日プレドニゾン用量は、コホート4患者(n=9)では0.255mg/kg/日、コホート3患者(n=5)では0.18mg/kg/日であったのであり(表8)、B細胞の頻度の減少は、より高いプレドニゾン用量と関連しなかった(
図8A及び
図8B)。
表7 コホート3及び4における、経時的な臨床状態及び併用プレドニゾン用量レベル
【表8】
【0167】
C.結論
過去の結果から、エフガルチギモドを用いた天疱瘡患者の治療は、IgGの抑制をもたらし、これは、エフガルチギモドの強力な臨床有効性を実証することが、示されている。上記で考察した結果は、初めて、天疱瘡患者におけるIgGリサイクルの遮断を超えた、抗FcRn阻害剤による免疫調節効果を示す。具体的には、結果は、10週間のエフガルチギモドなしフォローアップ中の、自己抗体レベルの長期の低減、及びエフガルチギモド治療の中止後の総CD19+B細胞の低減を含む、抗原特異的B細胞及びB細胞区画の変化の両方の低減を示す。対照的に、エフガルチギモド治療に応答しなかった患者は、CD19+B細胞の数が減少しなかった。
【0168】
患者の早期の臨床的改善は、早期のプレドニゾン漸減を可能にし、これは、一般的な天疱瘡集団よりも、試験全体を通して比較的低いコルチコステロイド曝露をもたらした。
【0169】
CD19+B細胞頻度の正常性への復帰(リンパ球の約10%)への減少を、バイオマーカーとして使用して、回復した免疫恒常性を示し、かつエフガルチギモド療法を中止する時間を示すことができる。更に、天疱瘡患者におけるB細胞の頻度に対する、エフガルチギモドの効果は、天疱瘡及び他の自己抗体媒介性疾患を有する患者における、FcRn拮抗薬の治療有効性をモニタリングするためのマーカーとして、患者におけるB細胞の頻度を使用する根拠を提供する。
***
【0170】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されない。実際に、記載されるものに加えて、本発明の様々な改変は、前述の説明及び添付図面から当業者に明らかになるであろう。こうした改変は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】