(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電気的なフィードスルーおよびフィードスルーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H01R9/16 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542116
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2022085902
(87)【国際公開番号】W WO2023134951
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022100729.4
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ビューヒナー
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086PP33
5E086PP45
5E086QQ14
(57)【要約】
少なくとも1つの貫通開口部(13)を備えた基体(12)を含んでいる電気的なフィードスルー(10)を開示し、少なくとも1つの電気的な導体(18)が、貫通開口部(13)内に配置されかつ少なくとも1つの絶縁体(20)を介して貫通開口部(13)内に固定されており、絶縁体(20)が貫通開口部(13)を閉鎖し、かつ導体(18)と貫通開口部(13)の壁とに対して密封を行う。絶縁体(20)は、少なくとも1つの電気的な導体(18)に対して密封を行いかつ少なくとも1つの電気的な導体(18)を保持している少なくとも1つの保持区間(22)を有しており、絶縁体(20)は、保持区間(22)を超えて突出している、電気的な導体(18)の部分を、間隔をおいて取り囲む少なくとも1つの沿面距離延長部(26)を有しており、少なくとも1つの沿面距離延長部(26)は、少なくとも1つの保持区間(22)と一体的に構成されているか、または材料結合式に、特にガラス融着または接着によって、少なくとも1つの保持区間(22)に結合されており、基体は、少なくとも1つの沿面距離延長部(26)を少なくとも部分的に取り囲んでおり、基体(12)は沿面距離延長部(26)に接触している。本発明のさらなる態様は、そのようなフィードスルー(10)を含んでいるフィードスルーアセンブリならびに電気的なフィードスルー(10)の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの貫通開口部(13)を備えた基体(12)を含んでいる電気的なフィードスルー(10)であって、
少なくとも1つの電気的な導体(18)は、前記貫通開口部(13)内に配置されかつ少なくとも1つの絶縁体(20)を介して前記貫通開口部(13)内に固定されており、
前記絶縁体(20)は、前記貫通開口部(13)を閉鎖しかつ前記導体(18)と前記貫通開口部(13)の壁とに対して密封を行い、
前記絶縁体(20)は、前記少なくとも1つの電気的な導体(18)に対して密封を行いかつ前記少なくとも1つの電気的な導体(18)を保持している少なくとも1つの保持区間(22)を有しており、前記絶縁体(20)は、前記保持区間(22)を超えて突出している、前記電気的な導体(18)の部分を、間隔をおいて取り囲む少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)を有しており、
前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)は、前記少なくとも1つの保持区間(22)と一体的に構成されているか、または、材料結合式に、特にガラス融着または接着によって、前記少なくとも1つの保持区間(22)に結合されており、前記基体(12)は、前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)を少なくとも部分的に取り囲んでおり、
前記基体(12)は、前記沿面距離延長部(26,27)に接触している、
電気的なフィードスルー(10)。
【請求項2】
前記基体(12)は、第1の直径を備えたフィードスルー区間(14)を有しており、
前記少なくとも1つの保持区間(22)は、前記フィードスルー区間(14)の内側に位置しており、前記フィードスルー区間(14)の片側または両側に延長区間(16)が配置されており、前記延長区間(16)は、より小さい第2の直径を有し、前記沿面距離延長部(26,27)を少なくとも部分的に取り囲んでいる、
請求項1記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項3】
前記基体(12)は、前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)を完全に取り囲んでおり、
前記基体(12)は、前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)と面一に終端している、または、前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)を超えて突出している、
請求項1または2記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項4】
前記電気的な導体(18)の第1の端部および/または第2の端部は、1つまたは複数の沿面距離延長部(26,27)によって取り囲まれている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項5】
前記電気的なフィードスルー(10)は、少なくとも2つの絶縁体(20)を含んでおり、前記少なくとも2つの絶縁体(20)は、中空空間(32)および/または少なくとも1つの分離要素(30)によって相互に分離されており、双方とも同一の電気的な導体(18)に対して密封を行う、
請求項1から4までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの貫通開口部(13)は、少なくとも1つの前記絶縁体(20)によって気密に密封されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)の材料は、無機材料または有機材料から、特に熱可塑性プラスチックから選択されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項8】
有機材料から成る前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)は、前記基体(12)に封止材料および/またはねじ山を介して固定されている、
請求項7記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項9】
前記保持区間(22)は、無機絶縁材料から成っており、
前記保持区間(22)のための材料および前記沿面距離延長部(26,27)のための材料は、異なってまたは同じに選択されていてよい、
請求項1から8までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項10】
前記保持区間(22)の材料および/または前記沿面距離延長部(26,27)の材料は、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから選択されている、または、前記沿面距離延長部(26,27)の材料は、少なくともガラス、ガラスセラミックまたはセラミックを含んでいる、
請求項1から9までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項11】
種々異なる材料選択において、前記沿面距離延長部(26,27)の熱膨張係数は、前記少なくとも1つの保持区間(22)の熱膨張係数から20%未満だけ、好ましくは10%未満だけ偏差している、
請求項9または10記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの保持区間(22)は、ガラス圧縮材(24)またはセラミック圧縮材の焼結によって得られる、
請求項9から11までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの沿面距離延長部(26,27)は、ガラス管の形態で形成されている、
請求項9から12までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項14】
前記基体(12)の熱膨張係数は、前記少なくとも1つの絶縁体(20)の熱膨張係数よりも大きい、
請求項1から13までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項15】
前記基体(12)の材料は、金属から、特に鋼から選択されている、
請求項1から14までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電気的な導体(18)の材料は、金属、特にニッケル・鉄合金、コバルト・鉄合金、鋼、特にコバール、アルミニウム、銅またはこれらの材料の組み合わせから選択されている、
請求項1から15までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)。
【請求項17】
フィードスルーアセンブリ(100)であって、前記フィードスルーアセンブリ(100)は、
1つまたは複数の貫通開口部(13)と、それぞれ前記1つまたは複数の貫通開口部(13)内に配置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)と、を備えた基部(110)を含んでいる、
フィードスルーアセンブリ(100)。
【請求項18】
請求項1から16までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)または請求項17記載のフィードスルーアセンブリ(100)の使用方法であって、
少なくとも5bar、好適には少なくとも10bar、特に好ましくは少なくとも20barの圧力を伴う用途における、かつ/または
少なくとも-273℃、好適には少なくとも300℃、特に好ましくは少なくとも600℃の温度を伴う用途における、かつ/または
少なくとも1kGy、好適には少なくとも1MGy、特に好ましくは少なくとも20MGyのγ放射線被曝を伴う用途における、
使用方法。
【請求項19】
請求項1から16までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(10)または請求項17記載のフィードスルーアセンブリ(100)の使用方法であって、
深海における機器、例えば石油掘削装置および/もしくは天然ガス掘削装置もしくは探査装置、ならびに/または例えば化学工業もしくはエネルギ設備技術および炉技術における化学的に汚染されたもしくは放射線によって汚染された環境における、特に爆発のおそれのある領域、ハウジングを備えたエネルギ生成装置もしくはエネルギ蓄積装置、またはエネルギ生成装置もしくはエネルギ蓄積装置もしくは炉もしくは毒性の材料および/もしくは有害な材料の蓄積装置のカプセル封入部における、特に炉の格納容器内のフィードスルー機器としての、もしくは炉、特に科学的な炉もしくは原子炉の格納容器を通るフィードスルー機器としての、または宇宙船もしくは宇宙探索機における、またはセンサおよび/またはアクチュエータのハウジングにおける、有人の船舶または無人の船舶、例えば潜水ロボットおよび潜水艇ならびにガスタンク、特にCO
2貯蔵部または好適には燃料電池を備えた自動車のためでもあるH
2タンク内での、もしくは有人の船舶または無人の船舶、例えば潜水ロボットおよび潜水艇ならびにガスタンク、特にCO
2貯蔵部または好適には燃料電池を備えた自動車のためでもあるH
2タンクに接した、
使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの貫通開口部を備えた基体を含んでいる電気的なフィードスルーに関し、少なくとも1つの電気的な導体が、貫通開口部内に配置されかつ少なくとも1つの絶縁体を介して貫通開口部内に固定されており、絶縁体が貫通開口部を閉鎖し、かつ導体と貫通開口部の壁とに対して密封を行う。本発明のさらなる態様は、そのようなフィードスルーを含んでいるフィードスルーアセンブリならびに電気的なフィードスルーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な導体によって貫通され、それ自体は金属製の基体内に嵌め込まれているガラス部品またはガラスセラミック部品を有する電気的なフィードスルーは、数多くの用途で使用される。このような用途には、例えば石油掘削機器もしくは探査機器のような深海における機器、または例えば化学工業もしくはエネルギ設備技術および炉技術における化学的に汚染されたもしくは放射線によって汚染された環境における使用も含まれる。さらなる用途には、例えば有人の船舶および無人の船舶、例えば潜水ロボットおよび潜水艇、ならびに特殊なガスタンク、例えばCO2貯蔵部、または燃料電池を備えた自動車のためのH2タンク、ならびに航空および宇宙飛行分野の用途も含まれる。
【0003】
特に約20年の耐用年数を考慮すると、例えば石油採掘におけるような水中用途では、高温、高圧および/または腐食性媒体が、電気的なフィードスルーに対する特別な要求を課すことがある。液体ガスまたは液体水素等の媒体が使用される例えば貯蔵タンクのような用途では、極度に低い温度に電気的なフィードスルーが曝されることがある。例えば高温炉等の民間の原子力分野における炉用途では、電気的なフィードスルーは、時折、特に約40~60年の耐用年数にわたって、非常に高い圧力、温度および/または放射線に耐えなければならない。小型モジュール炉(SMR)の場合にも、高い圧力、温度および/または放射線が、電気的なフィードスルーに特別な要求を課す。
【0004】
電気的なフィードスルーでは、特に沿面距離延長部を提供するために、基体と電気的な導体との間に付加的な絶縁部品を配置することができる。このような沿面距離延長部によって、例えば、不利な環境条件によって汚れの蓄積または水膜の形成が生じ得る場合であっても、電気的な導体と基体との間の永続的な絶縁を保証することができる。しかし、プラスチックから成る公知の沿面距離延長部においては、特に、劣化および高温に対する耐性が欠けている。
【0005】
独国特許出願公開第102014218983号明細書から、さらに、ガラスまたはプラスチックから成る付加的な防護要素を、電気的な導体を保持するガラスに隣接して配置することが公知である。しかしこのような措置では、比較的短い沿面距離延長部しか得ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景から、本発明の課題は、困難な環境条件、特に高圧、高温もしくは低温、腐食性媒体および/または放射線曝露のもとでの連続動作に耐えかつ、公知のフィードスルーに比べて延長された沿面距離を有する電気的なフィードスルーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも1つの貫通開口部を備えた基体を含んでいる電気的なフィードスルーが提案され、少なくとも1つの電気的な導体が、貫通開口部内に配置されかつ少なくとも1つの絶縁体を介して貫通開口部内に固定されており、絶縁体が貫通開口部を閉鎖し、かつ電気的な導体と貫通開口部の壁とに対して密封を行う。
【0008】
さらに、絶縁体が、少なくとも1つの電気的な導体に対して密封を行いかつこの少なくとも1つの電気的な導体を保持している少なくとも1つの保持区間を有しており、絶縁体が、保持区間を超えて突出している、電気的な導体の部分を、間隔をおいて取り囲む少なくとも1つの沿面距離延長部を有しており、少なくとも1つの沿面距離延長部が、少なくとも1つの保持区間と一体的に構成されているか、または材料結合式に、特にガラス融着または接着によって、少なくとも1つの保持区間に結合されており、基体が、少なくとも1つの沿面距離延長部を少なくとも部分的に取り囲むことが想定されている。この場合、基体は沿面距離延長部に接触し、これによってこの沿面距離延長部を支持する。
【0009】
電気的なフィードスルーは、この場合、厳密に1つの電気的な導体を含むことができる、または複数の電気的な導体、例えば3つ、4つまたは5つの電気的な導体を含むことができ、この場合、好ましくは各電気的な導体は固有の貫通開口部内で案内される。
【0010】
絶縁体は、電気的な導体に接触して、この電気的な導体を保持する保持区間と、少なくとも1つの沿面距離延長部と、を含んでいる。この場合、少なくとも1つの沿面距離延長部は、好ましくは少なくとも5mm、特に好ましくは少なくとも10mm、極めて特に好ましくは少なくとも20mm、絶縁体が電気的な導体に接触する保持区間を超えて突出している。格段に大きな沿面距離を実現することも可能であり、ここでは沿面距離延長部は、好ましくは少なくとも50mm、特に好ましくは少なくとも100mmまたはさらには少なくとも200mm、保持区間を超えて突出している。絶縁体の沿面距離延長部は、電気的な導体を、間隔をおいて取り囲み、したがって電気的な導体に接触しない。
【0011】
絶縁材料から成る沿面距離延長部によって、電気的な導体と基体との間の沿面距離が延長され、これによって電気的なフィードスルーの動作信頼性が向上する。ここで無機材料が選択される場合、この沿面距離延長部は、特に耐経年劣化性であり、さらに耐熱性にも構成され得る。これに対して択一的に、少なくとも1つの沿面距離延長部に対して有機材料を選択することもできる。これによって製造が容易になるので、沿面距離延長部を僅かな手間で配置することができる。
【0012】
沿面距離延長部と電気的な導体との間には、電気的な接触接続のためにプラグを電気的な導体に押し込むことができる空間を画定する間隙が存在している。電気的な導体が筒形であり、沿面距離延長部が中空筒形である場合には、相応に筒形の間隙が形成される。間隙の大きさを、このようなプラグのために十分な空間が残るように選択することができる。例えば、間隙の大きさは、3mm~5mmの範囲で選択されていてよい。
【0013】
保持区間と少なくとも1つの沿面距離延長部とを備えた絶縁体は、1つの構成部分から構成されていてもよいし、複数の構成部分から構成されていてもよい。
【0014】
絶縁体が1つの構成部分として構成されている場合には、絶縁体は例えば管として構成されていてよい。この場合、保持区間は、減じられた内径を有する管の領域として構成されていてよい。択一的にまたは付加的に、電気的な導体が、保持区間の領域において拡大された直径を有していることが想定されていてよい。この場合、管状の絶縁体が一定の内径を有し、電気的な導体が拡大された直径を有している箇所においてのみ電気的な導体に接触することが可能である。これに対して択一的に、管状の絶縁体は、保持区間の領域において低減された直径を有することができ、電気的な導体の直径は、保持区間の領域において一定であってよい、または僅かな程度でのみ拡張していてよい。電気的な導体に接触する管状の絶縁体の領域は、保持区間である。管状の絶縁体の、この保持区間を超えて突出している部分は、沿面距離延長部である。
【0015】
絶縁体の、複数の部分から成る構成では、保持区間は、好ましくは、電気的な導体に接触する貫通開口部を備えた第1の部品によって形成される。この第1の部品は、例えば、管状の第2の部品の内部に配置されかつこの管状の第2の部品に結合されるディスクとして構成されていてよい。この場合、第2の部品の、ディスクを超えて突出している部分は、沿面距離延長部である。これに対して択一的に、ディスク状の第1の部品を、1つまたは複数の管状の第2の部品と組み合わせることが可能であり、この場合、ディスク状の第1の部品はそれぞれ、管状の第2の部品の開口部においてこれらの管状の第2の部品に結合されている。この場合、管状の第2の部品は沿面距離延長部である。
【0016】
絶縁体を形成するために複数の部品を使用する場合、個々の部品相互の永続的で密な結合が保証されるように、これらの部品は好ましくは材料結合式に相互に結合される。これらの部品のうち少なくとも1つの部品がガラスまたはガラスセラミックから成る場合、これらの部品が熱処理によって別の部品にガラス融着されることが好ましい。両方の部品がガラスまたはガラスセラミックから成る場合には、これらの部品を同様に熱処理によって互いに融着させることができ、緊密な結合をもたらすことができる。沿面距離延長部が、ガラス融着できない有機材料から製造される場合、材料結合式の結合のために接着が好ましい。このために、特に、絶縁体を形成する個々の部品を材料結合式に相互に結合する封止材料を使用することができる。
【0017】
沿面距離延長部のために管状の部品を使用することによって、容易に、20mmよりも格段に長い長さも有し得る比較的大きな沿面距離延長部を生成することができる。
【0018】
絶縁体の沿面距離延長部の壁厚は、好ましくは、壁厚が十分な機械的な安定性を有しているが、できるだけ僅かな空間しか占めないように選択される。高い機械的な安定性のために、好ましくは、沿面距離延長部の壁厚は、少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、特に好ましくは少なくとも0.5mm、極めて特に好ましくは少なくとも1.0mm、最も好ましくは少なくとも1.5mmである。占める空間をできるだけ僅かにするために、好ましくは、壁厚は5mm未満、特に好ましくは2.5mm未満、最も好ましくは2mm未満に選択される。
【0019】
沿面距離延長部は、筒形に、特に円柱形に構成されていてよい。当然、別の横断面形状も考えられる。1つの実施形態では、沿面距離延長部の内径は、全長にわたって一定であってよい。これに対して択一的に、内径は変化してよい。この場合、沿面距離延長部の円錐状の形状が好ましく、沿面距離延長部の内部は、絶縁体の保持区間を起点として円錐状に拡張する。
【0020】
電気的な導体の直径は、特に、必要とされる電流強度に応じて選択される。電気的な導体の直径は、例えば6mmであってよい。
【0021】
好ましくは、基体は、第1の直径を備えたフィードスルー区間を有しており、この場合、少なくとも1つの保持区間は、フィードスルー区間の内側に位置している。さらに基体は、好ましくは、フィードスルー区間の片側または両側に延長区間を有しており、この延長区間は、より小さい第2の直径を有し、沿面距離延長部を少なくとも部分的に取り囲んでいる。しかし、これに対して択一的に、延長区間が、フィードスルー区間と同じ直径を有して構成されていてもよく、それどころかより大きな直径を有していてよい。
【0022】
フィードスルー区間には、別の部品が配置されていてよい。例えば、電気的なフィードスルーを、ハウジングまたは取り付けフランジのような別の構成部分に結合することができる結合手段を配置することが可能である。
【0023】
好ましくは、基体は少なくとも1つの沿面距離延長部を完全に取り囲んでいる。このために、特に、相応の寸法を備えた延長区間が設けられていてよく、この寸法によって、基体が軸線方向において延長される。この場合、好ましくは、沿面距離延長部は、自身の全長にわたって基体と直接的に接触しており、基体と沿面距離延長部との間に間隙は存在していない。有利には、基体は、これによって、絶縁体を機械的な損傷から保護することができる。基体が、特に、絶縁体の沿面距離延長部に対する支持部として用いられてもよく、これによって、沿面距離延長部は、より薄い壁厚で構成され得る。この場合、好ましくは、基体が沿面距離延長部に、沿面距離延長部の外側に位置する面全体にわたって接触し、これによって沿面距離延長部を支持することが想定されている。しかしまた択一的に、基体が沿面距離延長部を部分的にのみ取り囲んでいることも考えられ、この場合にはここでも、延長区間が基体に設けられていてよい。
【0024】
沿面距離延長部は、基体もしくは基体の延長区間と面一に終端していてよい。これに対して択一的に、基体は沿面距離延長部を超えて突出していてよい。好ましくは、これによって形成される突出部は、少なくとも1mm、特に好ましくは2mm、より好ましくは少なくとも5mm、さらにより好ましくは10mm、最も好ましくは少なくとも20mmである。この場合、突出部の長さは、好ましくは50mm未満、特に好ましくは20mm未満、より好ましくは10mm未満、さらにより好ましくは5mm未満、最も好ましくは2mm未満である。
【0025】
突出部の領域において、貫通開口部の内径が拡大されていてよく、これによって段部が生じる。この場合、好ましくは、沿面距離延長部は、この段部と面一に終端している。
【0026】
基体の貫通開口部の内径は、フィードスルー区間の領域において、隣接する延長区間における内径と比べて低減されていてよい。この場合、好ましくは、直径が低減された、そのようなフィードスルー区間から、より大きな直径を有する延長区間への移行が、移行領域において連続的に行われることが想定されている。
【0027】
好ましくは、電気的な導体の第1の端部および/または第2の端部は、1つまたは複数の沿面距離延長部によって取り囲まれている。これによって、とりわけ接触保護が提供される。さらに、沿面距離延長部を、この沿面距離延長部が電気的な導体に被せ嵌められているプラグも部分的にまたは完全に取り囲むように構成することが可能である。この場合、フィードスルーを通して、差込接続部も、周辺環境の影響から、特に機械的な損傷から保護される。
【0028】
好ましくは、電気的なフィードスルーは、少なくとも2つの絶縁体を含んでおり、これらの絶縁体は、中空空間および/または少なくとも1つの分離要素によって相互に分離されており、双方とも同一の電気的な導体に対して密封を行う。このようにして、電気的な導体が貫通開口部において何重にも密封され、フィードスルーの安全性が高められる。なぜなら、絶縁体が損傷した場合、少なくとも1つの別の絶縁体が貫通開口部を密に閉鎖することができるからである。例えば、いわゆる2重フィードスルーを形成するために、各電気的な導体に対して2つの絶縁体が使用される。
【0029】
分離要素は、例えば環状形状またはディスク形状を有していてよく、電気的な導体と貫通開口部の内壁との間の空間を完全にもしくは部分的に埋めている。分離要素に適した材料は、特にセラミックおよびガラスセラミックを含んでいる。適切な分離要素の例は、電気的な導体のための開口部を有する薄いセラミックディスクである。このセラミックディスクの厚さは、例えば1mm未満であってよい。当然、より厚い分離要素を使用することもでき、これは特に、分離要素が2つの絶縁体の間の空間を埋めるべき場合である。
【0030】
好ましくは、電気的なフィードスルーにおいて、少なくとも1つの貫通開口部は少なくとも1つの絶縁体によって気密に密封される。
【0031】
この場合、気密封止性とは、特に、1barの圧力差の場合、ヘリウム漏れ速度が好ましくは1・10-7mbar Is-1より低く、特に好ましくは1・10-8mbar Is-1より低く、最も好ましくは1・10-9mbar Is-1より低いことと理解される。絶縁体は、電気的な導体に対しても、貫通開口部の内壁に対しても気密に密封を行う。
【0032】
本発明の1つの変化態様では、少なくとも1つの沿面距離延長部の材料は、好ましくは有機材料から、特に熱可塑性プラスチックから選択されている。適切なプラスチックの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0033】
有機沿面距離延長部を保持区間に材料結合式に結合するために、好ましくは接着結合が使用され、このために、好ましくは封止材料が使用される。適切な封止材料には、特にシリコーンベースの封止材料が含まれる。
【0034】
少なくとも1つの沿面距離延長部が有機材料から得られる場合、沿面距離延長部は、好ましくは、封止材料に加えてねじ山を介して固定される。この場合、例えば雄ねじ山が沿面距離延長部に配置されていてよく、相応の雌ねじ山が、基体の貫通開口部に配置されていてよい。
【0035】
好ましくは、保持区間および沿面距離延長部はそれぞれ、無機絶縁材料から成っており、保持区間のための材料および沿面距離延長部のための材料は、それぞれ異なってまたは同じに選択されていてよい。
【0036】
好ましくは、保持区間の材料および/または沿面距離延長部の材料は、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから選択されている、または無機絶縁材料は、少なくともガラス、ガラスセラミックまたはセラミックを含んでいる。
【0037】
絶縁体が複数の部品から構成されている限り、その際に使用される材料は、好ましくは、個々の部品の熱膨張係数が相互に適合させられているように選択される。好ましくは、種々異なる材料選択において、沿面距離延長部の熱膨張係数は、少なくとも1つの保持区間の熱膨張係数から20%未満だけ、好ましくは10%未満だけ偏差している。
【0038】
好ましくは、絶縁体、または保持区間であるか、もしくは保持区間を含んでいる、絶縁体の部品は、ガラス圧縮材またはセラミック圧縮材の焼結によって得られる。この場合、好ましくは、圧縮材は、焼結のための熱処理の前に、沿面距離延長部として用いられる部品とまとめられ、これによって、焼結の際に、沿面距離延長部との材料結合式の結合も得られる。このために、ガラス圧縮材を、電気的な導体と共に、管として構成されている沿面距離延長部に挿入することができる、または沿面距離延長部として用いられる1つまたは複数の管に隣接して配置することができる。
【0039】
少なくとも1つの沿面距離延長部は、好ましくは、ガラス管の形態で形成されている。ガラス管用の適切な材料は、特に、ソーダ石灰ガラス、ならびにSCHOTT AG社のガラス番号8421および8061で得られるアルカリ土類(バリウム)ケイ酸塩ガラスを含んでいる。
【0040】
特に適しているのは、例えばSCHOTT AG社のARガラス管の形態で得られるソーダ石灰ガラスである。例えば、壁厚1.2mmのガラス管は、絶縁体の沿面距離延長部として使用するのに適している。
【0041】
沿面距離延長部の他に、絶縁体の保持区間も、ガラス管の形態で形成されていてよい、またはガラス管から製造されていてよい。例えば、ガラス転移温度を上回る温度での熱処理ステップにおいて、ガラス管の材料の一部を、これが保持区間を形成するように成形することができる。そのような熱処理ステップでは、特に、熱処理後に再び除去される成形工具を使用することができる。
【0042】
金属部分、すなわち基体および少なくとも1つの電気的な導体と、少なくとも1つの絶縁体と、の間の特に良好な密封を達成するために、フィードスルーを圧縮ガラス封止部の形態で形成することができる。この場合、基体の熱膨張係数は、絶縁体の熱膨張係数よりも大きく選択されるので、絶縁体が貫通開口部内でガラス封止される熱処理の後に、基体は絶縁体よりも強く収縮する。これによって、押圧力が基体によって、絶縁体に永続的に加えられる。
【0043】
相応に、好ましくは、基体の熱膨張係数は、少なくとも1つの絶縁体の熱膨張係数よりも大きい。特に好ましくは、圧縮ガラス封止部の場合には、基体の熱膨張係数は、絶縁体の熱膨張係数よりも少なくとも20%大きく選択される。
【0044】
しかし、圧縮ガラス封止部に対して択一的に、基体の熱膨張係数と絶縁体の熱膨張係数とを相互に適合させることも可能であり、この場合、適合させるために、これらの熱膨張係数の20%未満の相違が好ましく、10%未満の差が特に好ましい。
【0045】
さらに、圧縮ガラス封止部によって生成される力は、特に、押圧力によって予荷重が加えられるガラスを選択した場合、絶縁体の材料を補強する。これによって、保持区間の領域においても、少なくとも1つの沿面距離延長部の領域においても、機械的な安定性が向上する。このことは、温度変動が生じる場合に特に有利である。なぜなら、予荷重を加えることによって、ガラスの破断を招く恐れのある望ましくない引張応力の発生が回避されるからである。さらに、機械的な安定性が向上することによって、プラグが電気的な導体上に取り付けられるまたはプラグが電気的な導体から取り外される必要がある場合に利点が生じる。
【0046】
基体の材料は、好ましくは金属から選択される。特に好ましくは、金属は鋼である。
【0047】
少なくとも1つの電気的な導体に適切な材料には、金属、特にニッケル・鉄合金、コバルト・鉄合金、鋼、特にコバール、アルミニウム、銅またはこれらの材料のうちの複数の材料の組み合わせが含まれる。組み合わせの一例は、ニッケル・鉄管内に配置されている銅導体である。
【0048】
沿面距離延長部への圧力を、特に、保持区間から離反する方向の端部において増大させるために、沿面距離延長部の端部にそれぞれ1つの末端スリーブを配置することができる。末端スリーブは、側方で沿面距離延長部の端部に接続していてよい、かつ/または沿面距離延長部をその内側から支持することができる。末端スリーブによって、圧力が沿面距離延長部に加えられるので、沿面距離延長部には、外側から、基体の延長区間によって圧力が加えられるだけでなく、内側から、かつ/または側面からも、圧力が加えられ、ひいては予荷重が加えられる。これによって、特にガラス、ガラスセラミックまたはセラミックのような無機材料から構成される場合に、沿面距離延長部の安定性が有利に向上する。
【0049】
末端スリーブ用の材料として、特に、基体用の材料としても適している同じ材料を選択することができる。
【0050】
それぞれ1つの基体を含んでいる、本明細書に記載された電気的なフィードスルーのいくつかが、1つの共通のフィードスルーアセンブリ内に収容されていてよい。そのようなフィードスルーアセンブリは、複数の貫通開口部と、貫通開口部内に配置されているそれぞれ1つの電気的なフィードスルーと、を備えた基部を含んでいる。
【0051】
基部は、装置の構成部分または装置のハウジングの構成部分であってよい。
【0052】
これに対して択一的にまたは付加的に、1つのフィードスルーアセンブリ内に、1つの共通の基体を有する複数のフィードスルーがまとめられていてよい。このような共通の基体は、フィードスルーの各々に対して1つの貫通開口部を含んでいる。
【0053】
本発明はさらに、特に前述したように、少なくとも5bar、好適には少なくとも10bar、特に好ましくは少なくとも20barの圧力を伴う用途において、かつ/または少なくとも-273℃、好適には少なくとも300℃、特に好ましくは少なくとも600℃の温度を伴う用途において、かつ/または少なくとも1kGy、好適には少なくとも1MGy、特に好ましくは少なくとも20MGyのγ放射線被曝を伴う用途において、電気的なフィードスルーまたは複数のこれらのフィードスルーを有するアセンブリの使用に関し、上述した、γ放射線被曝の値は、特に、電気的なフィードスルーの全動作期間にわたっていると理解される。
【0054】
さらに、本発明は、特に上述したような、深海における機器、例えば石油掘削装置および/もしくは天然ガス掘削装置もしくは探査装置、ならびに/または例えば化学工業もしくはエネルギ設備技術および炉技術における化学的に汚染されたもしくは放射線によって汚染された環境における、特に爆発のおそれのある領域、ハウジングを備えたエネルギ生成装置もしくはエネルギ蓄積装置、またはエネルギ生成装置もしくはエネルギ蓄積装置もしくは炉もしくは毒性の材料および/もしくは有害な材料の蓄積装置のカプセル封入部における、特に炉の格納容器内のフィードスルー機器としての、もしくは炉、特に科学的な炉もしくは原子炉の格納容器を通るフィードスルー機器としての、または宇宙船もしくは宇宙探索機における、またはセンサおよび/またはアクチュエータのハウジングにおける、有人の船舶または無人の船舶、例えば潜水ロボットおよび潜水艇ならびにガスタンク、特にCO2貯蔵部または好適には燃料電池を備えた自動車のためでもあるH2タンク内での、もしくは有人の船舶または無人の船舶、例えば潜水ロボットおよび潜水艇ならびにガスタンク、特にCO2貯蔵部または好適には燃料電池を備えた自動車のためでもあるH2タンクに接した、電気的なフィードスルーまたは複数のこれらの電気的なフィードスルーを備えたアセンブリの使用に関する。
【0055】
最後に、本発明は、特に本明細書に記載されているような電気的なフィードスルーを製造する方法に関する。この方法では、少なくとも1つの貫通開口部を有する基体が提供される。続いて、絶縁体が電気的な導体と共に提供され、貫通開口部に挿入される。続いて、絶縁体が貫通開口部の内壁および電気的な導体にガラス融着もしくは溶融される熱処理が実行される。
【0056】
この熱処理の際にまたは別個のステップにおいて、絶縁体は、1つまたは複数の事前部品から接合されてよく、この場合、使用されるこれらの事前部品は、材料結合式に相互に結合している。このために、事前部品は、それらのガラス転移温度を超えて加熱され、すなわち、通常のガラスの場合、800℃を超える温度に加熱されるので、事前部品の材料が混合され、緊密な材料結合式の結合が生じる。
【0057】
例えば、ガラス管と圧縮材とから成る絶縁体を得ることができ、この場合、圧縮材はガラス粉末および/またはセラミック粉末を含んでいる。熱処理の際に、圧縮材が焼結され、ガラス管に材料結合式に結合される。この場合、圧縮材の方向においてガラス管に力を加え、これによってガラス管が、部分的に圧縮材に沈み込み、このようにして、圧縮材およびガラス管の材料が混合する、拡大された領域が形成されることが想定されていてよい。このことは、特に緊密でかつ安定的な材料結合式の結合をもたらす。
【0058】
別の例では、沿面距離延長部の他に、絶縁体の保持区間もガラス管の形態で形成されてよい、またはガラス管から製造されてよい。例えば、ガラス転移温度を上回る温度での熱処理ステップにおいて、ガラス管の材料の一部を、これが保持区間を形成するように成形することができる。
【0059】
絶縁体を成形するための、かつ/または絶縁体を基体に結合するための記載された熱処理ステップでは、特に成形工具を使用することができる。これらの成形工具は、特に、沿面距離延長部の内壁と電気的な導体との間の間隙を画定するために使用可能である。熱処理後に、これらの成形工具は再び除去される。内径が保持区間を起点として拡張する、沿面距離延長部の円錐形の構成によって、成形工具の除去を容易にすることができる。さらに、跳躍的な直径変化を回避するために、沿面距離延長部と絶縁体の保持区間との間の移行部を丸めることが好ましい。
【0060】
完全にまたは部分的にガラスセラミックから成る絶縁体を有するフィードスルーを製造する際に、熱処理は、絶縁体または絶縁体の部品のセラミック化可能なガラスをガラスセラミックに変換するさらなるステップを含むことができる。このさらなるステップは、絶縁体の複数の部品のガラス溶着もしくは溶融および/または材料結合式の接合のステップとは異なる温度で実行され得る。
【0061】
以降では本発明を図に基づいて、図に限定されることなく、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】フィードスルーの第1の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図2】フィードスルーの第2の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図3】フィードスルーの第3の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図4】フィードスルーの第4の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図5】フィードスルーの第5の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図6】フィードスルーの第6の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図7】フィードスルーの第7の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図8】フィードスルーの第8の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図9】フィードスルーの第9の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図10】フィードスルーの第10の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図11】フィードスルーの第11の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図12】フィードスルーの第12の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図13】フィードスルーの第13の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図14】フィードスルーの第14の実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図15】沿面距離延長部が片側に配置されているフィードスルーの実施例を側方から見た概略断面図である。
【
図16】複数の電気的なフィードスルーを含んでいるフィードスルーアセンブリの第1の例を示す図である。
【
図17】複数の電気的なフィードスルーを含んでいるフィードスルーアセンブリの第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、電気的なフィードスルー10の第1の実施例を示している。フィードスルー10は、貫通開口部13を備えた基体12を含んでいる。貫通開口部13内には、電気的な導体18が挿入されている。
図1に示されている実施例では、電気的な導体18は、基体12の長さよりも格段に短いため、電気的な導体18は完全に貫通開口部13の内部に存在している。
【0064】
電気的な導体18は、絶縁体20を介して貫通開口部13内に保持され、絶縁体20は電気的な導体18をフィードスルー10内に固定し、基体12から電気的に絶縁する。絶縁体20は、この目的のために、基体12のフィードスルー区間14内に配置され、電気的な導体18に対して密封を行う保持区間22を有している。絶縁体20は、さらに、沿面距離延長部26を含んでおり、沿面距離延長部26は管状に形成されており、かつ電気的な導体18を取り囲んでいるが、電気的な導体18には接触しておらず、したがって、電気的な導体18と沿面距離延長部26との間には間隔が存在している。沿面距離延長部26は、電気的な導体18の端部を超えて突出しており、沿面距離延長部26自体は全長にわたって基体12の延長区間16によって取り囲まれ、延長区間16は、図示の例では、沿面距離延長部26と面一に終端しているのではなく、沿面距離延長部26を超えて突出している。両側でフィードスルー区間14に接続している延長区間16の領域において、基体12は、フィードスルー区間14の第1の直径に比べて減じられた第2の直径を有している。沿面距離延長部26を備えた絶縁体20は、貫通開口部13の内壁に対して気密に密封を行い、これによって、貫通開口部13は、絶縁体20および電気的な導体18によって閉鎖されている。
【0065】
図1に示されている例では、沿面距離延長部26は、単一のガラス管として構成されており、絶縁体20の保持区間22は、ガラス管に材料結合式に結合されている焼結されたガラス圧縮材24によって形成される。相応に、この例では、沿面距離延長部26も、保持区間22を形成する材料も無機である。このことは、特に、絶縁体20の特に耐熱性かつ耐経年劣化性の構成を可能にする。
【0066】
電気的な導体18は、図示の実施例では、電気的な導体18がガラス圧縮材24によって保持される自身の中央で、拡大された直径を有している。別の変形実施形態において、電気的な導体18は、例えば一定の直径を有するように構成可能である。さらに電気的な導体18は、
図1に示されているように、自身の端部の近傍に、減じられた直径を有する接続区間19を含んでおり、この接続区間19によって、例えばプラグコネクタ(図示せず)の係止が可能となる。
【0067】
電気的な導体18の両端は、図示の実施例では、完全に基体12の内部に存在しており、そのため、電気的な導体18に形成された接続区間19と、場合によってはこれらに結合されているプラグまたは電気的な導体(図示せず)と、の結合は、フィードスルー10の基体12によって機械的に保護される。
【0068】
図2は、電気的なフィードスルー10の第2の実施例を示している。フィードスルー10は、
図1の第1の実施例に関して既に説明したように、電気的な導体18が挿入されている貫通開口部13を備えた基体12を含んでいる。
【0069】
電気的な導体18は、絶縁体20を介して貫通開口部13内に保持され、絶縁体20によって基体12から電気的に絶縁される。絶縁体20は、第1の実施例と類似して、焼結されたガラス圧縮材24によって形成される保持区間22を有している。ガラス圧縮材24は、基体12のフィードスルー区間14内に配置されており、電気的な導体18に対して密封を行う。第1の実施例とは異なり、ガラス圧縮材24は、貫通開口部13の内壁に対しても気密に密封を行い、そのため貫通開口部は、絶縁体20のガラス圧縮材24によって密に閉鎖されている。
【0070】
図2に示されている絶縁体20は、管状に形成されておりかつ電気的な導体18を、間隔をおいて取り囲んでいる2つの沿面距離延長部26,27を有しており、そのため電気的な導体18には接触していない。沿面距離延長部26,27は、電気的な導体18の端部を超えて突出しており、沿面距離延長部26,27自体は全長にわたって基体12の延長区間16によって取り囲まれ、延長区間16は、図示の例では、沿面距離延長部26,27と面一に終端しているのではなく、沿面距離延長部26,27を超えて突出している。両側でフィードスルー区間14に接続している延長区間16の領域において、基体12は、フィードスルー区間14の第1の直径に比べて減じられた第2の直径を有している。沿面距離延長部26,27も、貫通開口部13の内壁に対して密封を行う。
【0071】
これら2つの沿面距離延長部26,27はそれぞれ、ガラス圧縮材24に材料結合式に結合されている管によって形成される。このために、管の開口部はそれぞれ、ディスク状に形成されたガラス圧縮材24の端面に衝突し、そこでこれらに溶融されている。
【0072】
図3は、電気的なフィードスルー10の第3の実施例を示している。フィードスルー10は、
図1の第1の実施例に関して既に説明したように、電気的な導体18が挿入されている貫通開口部13を備えた基体12を含んでいる。
【0073】
電気的な導体18は、絶縁体20を介して貫通開口部13内に保持され、絶縁体20によって基体12から電気的に絶縁される。絶縁体20は、保持区間22を有しており、この保持区間22において、絶縁体20は電気的な導体18に接触し、この導体18に対して密封を行う。絶縁体20は同様に貫通開口部13の内壁に対して密封を行い、そのため、貫通開口部13は、絶縁体20によって閉鎖される。
【0074】
図1および
図2の実施例とは対照的に、第3の実施例の絶縁体20は、一体的に形成されており、ガラス等の無機絶縁材料の単一の管から成る。電気的な導体18は、保持区間22の領域において、拡大された直径を有しており、これによって、電気的な導体18は絶縁体20に、この保持区間22内部でのみ接触する。これに対して択一的に、保持区間22内での管状の絶縁体20の内径を減じることも考えられる。
【0075】
図4は、電気的なフィードスルー10の第4の実施例を示している。フィードスルー10は、2重フィードスルーとして構成されており、それぞれ
図1に関して説明した第1の実施例と類似して構成されている2つの絶縁体20,21を含んでいる。2つの絶縁体20,21は、それぞれ同一の電気的な導体18を取り囲んでおり、電気的な導体18と一緒に基体12の貫通開口部13内に挿入されている。
【0076】
2つの絶縁体20,21の各々は、保持区間22もしくは23を有しており、この保持区間22もしくは23においてこの絶縁体20,21は電気的な導体18に接触し、電気的な導体18に対して密封を行う。さらに、2つの絶縁体20,21の各々は、沿面距離延長部26,27を有しており、沿面距離延長部26,27は、それぞれ無機絶縁材料の管から成り、側面で保持区間22,23を超えて突出している。この場合、沿面距離延長部26,27は、電気的な導体18に接触していないので、電気的な導体と絶縁体20,21の管状部分との間には間隙が残っている。さらに、沿面距離延長部26,27は、実施例1~3の場合と類似して、それぞれ基体12の延長区間16によって取り囲まれている。
【0077】
図4の実施例では、保持区間22,23は、それぞれディスク状のガラス圧縮材24によって形成され、電気的な導体18は、それぞれガラス圧縮材24の開口を通って案内されており、沿面距離延長部に使用される管は、ガラス圧縮材24をそれぞれ取り囲む。ガラス圧縮材24と管とは、それぞれ材料結合式に互いに、例えば溶融またはガラス融着によって結合されている。
【0078】
2つの絶縁体20,21の間には、
図4の実施例では中空空間32が配置されており、これによって絶縁体20,21は接触しない。2つの絶縁体20,21を定義されたように配向するために、図示の例では貫通開口部13の内壁に2つの肩部34が設けられており、これらの肩部34で、それぞれ薄いセラミックディスクとして構成されている分離要素30および絶縁体20,21が支持され得る。
【0079】
図5は、電気的なフィードスルー10の第5の実施例を示している。フィードスルー10は、第4の実施例と同様に2重フィードスルーとして構成されており、それぞれが
図2に関して説明した第2の実施例と類似して構成されている2つの絶縁体20,21を含んでいる。2つの絶縁体20,21は、それぞれ同一の電気的な導体18を取り囲んでおり、電気的な導体18と一緒に基体12の貫通開口部13内に挿入されている。
【0080】
絶縁体20,21は、それぞれ保持区間22,23として用いられるディスク状のガラス圧縮材24を含んでおり、このガラス圧縮材24は、電気的な導体18に接触しており、電気的な導体18に対して密封を行う。さらに、ガラス圧縮材24は、貫通開口部13の内壁に対しても密封を行う。各絶縁体20,21は、沿面距離延長部26,27として、ガラス圧縮材24の一方の端面で、例えば溶融またはガラス融着によってガラス圧縮材24に材料結合式に結合されている、無機絶縁材料から成る管を含んでいる。したがって、沿面距離延長部26,27は、それぞれ保持区間22,23の片側のみを超えて突出しており、電気的な導体18を、間隔をおいて取り囲んでおり、これによって、電気的な導体18と沿面距離延長部26,27との間にそれぞれ間隙が形成される。
【0081】
図5の例では、2つの絶縁体20,21は、挿入されている2つのディスク状の分離要素30によって相互に分離されている。これに対して択一的に、1つの分離要素30が挿入されてもよい。
【0082】
図6は、電気的なフィードスルー10の第6の実施例を示している。フィードスルー10は、第4の実施例と同様に2重フィードスルーとして構成されており、それぞれが
図3に関して説明した第3の実施例と類似して構成されている2つの絶縁体20,21を含んでいる。2つの絶縁体20,21は、それぞれ同一の電気的な導体18を取り囲んでおり、電気的な導体18と一緒に基体12の貫通開口部13内に挿入されている。
【0083】
第6の実施例の2つの絶縁体20,21は、それぞれ管状に形成されており、電気的な導体18に、それぞれ保持区間22,23においてのみ接触している。電気的な導体18は、この場合、電気的な導体18が保持区間22,23内で拡大された直径を有しているように形成されている。管状の絶縁体20は、それぞれ貫通開口部13の内壁に対して密封を行い、保持区間22,23において、電気的な導体18に対して密封を行うので、貫通開口部13は気密に閉鎖されている。
【0084】
2つの絶縁体20,21の間には、第6の実施例では、環状の分離要素30が配置されており、これによって、分離要素30と電気的な導体18との間に環状の中空空間32が形成される。
【0085】
図7は、電気的なフィードスルー10の第7の実施例を示している。フィードスルー10は、
図6に示されている第6の実施例と同様に2重フィードスルーとして構成されており、それぞれが管から製造されている2つの絶縁体20,21を含んでいる。2つの絶縁体20,21は、それぞれ同一の電気的な導体18を取り囲んでおり、電気的な導体18と一緒に基体12の貫通開口部13内に挿入されている。2つの絶縁体20,21を定義されたように配向するために、図示の例では貫通開口部13の内壁に2つの肩部34が設けられており、これらの肩部34で、それぞれ薄いセラミックディスクとして構成されている分離要素30および絶縁体20,21が支持され得る。それらの間に、この実施例では中空空間32が残されている。
【0086】
これらの2つの絶縁体20,21は、この第7の実施形態では、それぞれ異なって構成されているが、これらの2つの絶縁体20,21は、それぞれガラス管から製造されている。同様に、
図7の図示において、電気的な導体18が非対称に形成されていることが見て取れる。絶縁体20の保持区間22の領域では、電気的な導体18の外径は拡大されており、これに対して、別の絶縁体21の別の保持区間23の領域では外径は拡大されていない。
【0087】
これによって、第1の絶縁体20は、保持区間22において、第1の沿面距離延長部26の壁厚に相当する壁厚を有している。別の絶縁体21では、別の保持区間23におけるその壁厚は、第2の沿面距離延長部27の壁厚よりも増大されている。
【0088】
図7に示されている絶縁体20,21は、それぞれガラス管から得られ、この場合、これらのガラス管は、熱処理ステップにおいて、使用されるガラスのガラス転移温度を上回る温度に加熱され、それによって成形され得る。フィードスルー10の中心の方向において、ガラス管への外部からの力の作用によって、ガラス管の内部に配置された型を使用して、2つの絶縁体20,21の形状付与が行われる。絶縁体20の場合、ガラス管の壁厚は実質的に維持され、この場合、ガラスの一部は保持区間22の傍らを通過し、その後に固化する。別の絶縁体21の場合、ガラス材料は、別の保持区間23の方向において流れるので、そこで管の壁厚が増大する。ガラス転移温度を下回る冷却の後に、使用した型を再び除去することができる。沿面距離延長部26,27の円錐形の構成では、沿面距離延長部26,27の内径が、保持区間22,23を起点として外側に向かって僅かに拡大しており、型を容易に除去することができる。
【0089】
図8は、フィードスルー10の第8の実施形態を示しており、この第8の実施形態は、
図1の第1の実施形態と類似して、1つの絶縁体20と1つの保持区間22とを備えたフィードスルー10として構成されている。しかし、第1の実施形態とは対照的に、保持区間22は、
図1に示されているように、ガラス圧縮材24を使用して形成されているのではなく、ガラス管の変形加工によって得られる。
【0090】
第7の実施形態の別の絶縁体21に関して説明したのと類似して、絶縁体20は、熱および力の作用の下で変形加工されるガラス管から得られる。変形加工のために、例えばフィードスルー10の両側から貫通開口部13内に筒形の中空型を挿入することができる。ガラス管を加熱し、貫通開口部の中心の方向においてガラス管に力を加えることによって、ガラス材料は、保持区間22の方向において流れるので、そこで管の壁厚が増大する。ガラス転移温度を下回る冷却の後に、使用した型を再び除去することができる。沿面距離延長部26,27の円錐形の構成では、沿面距離延長部26,27の内径が、保持区間22を起点として外側に向かって僅かに拡大しており、同様に、型を容易に除去することができる。
【0091】
図9は、フィードスルー10の第9の実施例を示している。
図9に示されているフィードスルー10は、
図7に関して説明したフィードスルー10と類似して構成されている2重フィードスルーである。第7の実施形態とは対照的に、2つの絶縁体20,21は同一に構成されており、その構造は第7の実施形態の別の絶縁体21に相応する。
【0092】
図10に示されている第10の実施例は、既に
図3に関して説明したフィードスルー10に実質的に相応する。
図10に示されているフィードスルー10は、保持区間22および沿面距離延長部26の両方が1つのガラス管から得られた絶縁体20を有している。
【0093】
絶縁体20の保護を改良するために、第3の実施例とは異なり、延長区間16のうちの1つの延長区間16に隣接して、付加的な端部領域42が設けられており、この端部領域42は、隣接する延長区間16に対して拡大された内径を有している。これによって、延長区間16と端部領域42との間の移行部には段部40が形成され、沿面距離延長部26は、この例では、段部40と面一に、ひいては延長区間16の端部と面一に終端している。
【0094】
図10に示されている例では、沿面距離延長部26は、他方の側において延長区間16と面一に終端しており、
図10の例では、この延長区間16に別の端部区間が続いていない。しかし、別の実施形態では、当然、フィードスルー10が対称に構成されていて、両方の延長区間16にそれぞれ端部領域42が続いていてよい。
【0095】
図11に示されている第11の実施例は、既に
図3に関して説明したフィードスルー10に実質的に相応する。
図11に示されているフィードスルー10は、同様に、保持区間22および沿面距離延長部26の双方が1つのガラス管から得られた絶縁体20を有している。
【0096】
絶縁体20の補強のために、第3の実施例とは異なり、付加的な金属製の末端スリーブ36が配置されており、この末端スリーブ36は、例えばニッケル・鉄合金から成っている。
図11に示されている例では、末端スリーブ36は内側から管状の沿面距離延長部26に係合し、管状の沿面距離延長部26の側方の端面に接触している。
【0097】
末端スリーブ36によって、沿面距離延長部26のガラスに圧力が加えられるので、沿面距離延長部26には、外側から、基体12の延長区間16によって半径方向において圧力が加えられ、ひいては予荷重が加えられるだけでなく、内側から、かつ/または側面からも、特に軸線方向において圧力が加えられ、ひいては予荷重が加えられる。これによって、特にガラス、ガラスセラミックまたはセラミックのような無機材料から構成される場合に、沿面距離延長部26の安定性が有利に向上する。
【0098】
図11に示されている例では、沿面距離延長部26は、他方の側で延長区間16と面一に終端しており、この場合、
図11の実施例では、沿面距離延長部26のこの端部に別の末端スリーブは設けられていない。しかし当然、別の実施形態では、フィードスルー10を対称に構成することができ、この場合、両方の延長区間16にそれぞれ末端スリーブ36が配置される。
【0099】
図12および
図13にはそれぞれ、沿面距離延長部26,27が無機材料から製造されておらず、有機材料から成る実施例が示されている。
【0100】
図12に示されている第12の実施形態は、
図2に関して説明した第2の実施形態に類似しており、基体12の内部に、ガラス圧縮材24から得られた保持区間22を備えた絶縁体20を有している。保持区間22は、この保持区間22を貫通案内された電気的な導体18を保持し、貫通開口部13を密封する。
【0101】
絶縁体20はさらに、熱可塑性プラスチックのような有機材料から成る2つの沿面距離延長部26,27を含んでいる。これらは、例えばPTFE管の形態で形成されていて、保持区間22に隣接して配置され、この保持区間に、封止材料28を介して材料結合式に結合されている。
【0102】
基体12の延長区間16の内側における沿面距離延長部26,27の保持をさらに改良するために、沿面距離延長部26,27は、保持区間22から離反する方を向いた各端部に雄ねじ山39を有しており、雄ねじ山39は、基体12の延長区間16における相応の雌ねじ山38に係合する。
【0103】
図12に示されている例では、沿面距離延長部26,27は、延長区間16の端部と面一に終端しておらず、したがって延長区間16は、沿面距離延長部26,27を超えて突出している。
【0104】
図13は、電気的なフィードスルー10の第13の実施例を示しており、これは、
図12の第12の実施例に類似しているが、
図12の実施例と対照的に、しかし
図4の実施例と類似して、2重フィードスルーとして構成されている。
【0105】
図14には、電気的なフィードスルー10の第14の実施例を側方から見た概略断面図を示しており、これは、
図8の第8の実施例に類似している。第14の実施例のフィードスルー10は、貫通開口部13を備えた基体12を含んでいる。貫通開口部13には、電気的な導体18が挿入されており、電気的な導体18は、唯一の絶縁体20の保持区間22において保持されている。この場合、絶縁体20は、自身の保持区間で、貫通開口部13を密封する。保持区間22を、例えばガラス管の変形加工によって、またはガラス圧縮材を介して得ることができる。ガラス管が原材料として用いられる場合、ガラス管は、熱および力作用のもとで変形加工される。ガラス管の変形加工のために、例えばフィードスルー10の両側から貫通開口部13内に筒形の中空型を挿入することができる。ガラス管を加熱し、貫通開口部の中心の方向においてガラス管に力を加えることによって、ガラス材料は、保持区間22の方向において流れるので、そこで管の壁厚が増大する。ガラス圧縮材が原材料である場合でも、両側から筒形の型を挿入することができ、この場合、圧縮材からの熱の作用によって絶縁体20が得られる。ガラス転移温度を下回る冷却の後に、使用した型を再び除去することができる。
【0106】
この場合、絶縁体20の沿面距離延長部26,27は円錐状に形成されているので、沿面距離延長部26,27の内径は、保持区間22を起点として外側に向かって僅かに拡大する。これによって、製造時に型の除去が支援される。付加的に、沿面距離延長部26,27から絶縁体20の保持区間22への移行部に丸み付け部50を備えることが想定されている。さらに、ここでは例示的に、基体12での段部52を介して、軸線方向において、予荷重が絶縁体20に加えられることが想定されている。この軸線方向の予荷重は、好ましくは、半径方向において作用する、基体12によって絶縁体20に加えられる押圧力に対して補足的に加えられる。しかし、基体における段部52に対して択一的に、押圧力、ひいては予荷重を、例えば
図11に示されているように末端スリーブ36を介して軸線方向において絶縁体20に加えることも考えられる。
【0107】
さらに
図14では、第14の実施例において、フィードスルー区間14の両側に接続している、基体12の延長区間16が、フィードスルー区間14と同じ直径を有していることが見て取れる。
【0108】
図15は、片側においてのみ、基体12のフィードスルー区間14を起点として沿面距離延長部26が配置されている、電気的なフィードスルー10の実施例を側方から見た概略断面図を示している。この場合、
図15において、導体18の、保持区間22の左側に位置する部分だけが、沿面距離延長部26によって、間隔をおいて取り囲まれる。これに対して、
図15において、導体18の、保持区間22の右側に位置する部分は、露出している。
【0109】
上述の実施例と同様に、フィードスルー10の基体12は貫通開口部13を有しており、この貫通開口部13には導体18が挿入されており、かつ絶縁体20の保持区間22を介して保持される。この場合、絶縁体20の保持区間22は、貫通開口部13を密封する。
【0110】
図15の実施例では、貫通開口部13の直径は全長にわたって一定であるのではなく、移行領域54において、フィードスルー区間14の内側のより小さな直径を起点として、延長区間16におけるより大きな直径へと拡張している。基体12は、絶縁体20の、保持区間22に隣接する沿面距離延長部26に、その全長にわたって接触しており、支持されているので、絶縁体20の外径も相応に拡大する。可変の内径を備えたこの構成によって、導体18との電気的な接続の形成のために設けられた、導体18と沿面距離延長部26との間の自由空間を可能な限り大きく構成することができると同時に、保持区間22における絶縁体20の厚さを減らすことができる。
【0111】
図16は、複数の電気的なフィードスルー10を含んでいるフィードスルーアセンブリ100の例を示している。
図16の断面図において、2つのフィードスルー10が見て取れる。
【0112】
フィードスルーアセンブリ100は、それぞれ1つの電気的なフィードスルー10が挿入されている複数の貫通開口部13を備えた基部110を含んでいる。
図16の例では、基部110はこの場合、全てのフィードスルー10の共通の基体12である。これに対して択一的に、フィードスルーはそれぞれ固有の基体12を有していてよく、基体12は、この場合には、例えば溶接によって気密に基部110に結合される。
【0113】
基体12として用いられる基部110は、沿面距離延長部26,27(
図1~
図6を参照)を備えた絶縁体20をそれぞれ完全に取り囲み、これによって、絶縁体20は周囲の影響から、特に機械的な損傷から保護される。
図16の例では、沿面距離延長部26および保持区間22は、無機材料、例えばガラス管から製造されている。これによって、これらの絶縁体20を特に耐熱性かつ耐経年劣化性に構成することができる。基部110は、
図16に図示されている例では、さらに取り付け手段112を含んでおり、取り付け手段112は、ここではねじ山付きの孔として構成されており、このねじ山付きの孔によって、基部110を例えば装置またはハウジングの部品に固定することができる。
【0114】
電気的なフィードスルー10によって、フィードスルーアセンブリ100の一方の側からそれぞれ他方の側へと電流を導くことができる。このために、個々のフィードスルー10の電気的な導体18を、例えばプラグ150を使用して接触接続させることができ、この場合、これには、例えばケーブルの形態の導体(
図16には示されていない)が接続可能である。
【0115】
図16の例では、貫通開口部13は一方の側において共通の中空空間130内に開口しており、この中空空間130は、基部110に設けられている凹部と、基部110に結合されている保持プレート120と、によって形成される。この場合、保持プレート120は、例えばねじ等の取り付け手段122を介して基部110に結合されてよい。個々のフィードスルー10の電気的な導体18が、プラグ150およびケーブル(図示せず)を介して接触接続される場合、ケーブルは、中空空間130と保持プレート120とを通して貫通案内され得る。この場合、ケーブル締結部140は中空空間130を閉鎖することができ、これによって、中空空間130が湿分のような周辺環境の影響から保護される。中空空間130の排気を、例えば閉鎖可能な排気開口部132を介して行うことができる。
【0116】
図17は、
図16の第1の例に類似して構成されている、フィードスルーアセンブリ100の第2の例を示している。第1の例とは異なり、個々のフィードスルー10は、
図12に関して説明した第12の実施例に従って構成されている。相応に、絶縁体20は、ガラス圧縮材24から得られ、したがって無機材料から成るそれぞれ1つの保持区間22を有している。沿面距離延長部26,27(
図12を参照)は、これとは異なり、有機材料、例えばPTFE管から形成されている。これらは封止材料28を介して、保持区間22に材料結合式に結合されている。さらに、沿面距離延長部26,27はそれぞれ、貫通開口部13の相応の雌ねじ山38に係合する、自身の端部に配置されている雄ねじ山39を介して、付加的に機械的に固定される。
【0117】
特許請求の範囲は、本明細書に記載した実施例に限定されるものではない。特に、本明細書に記載した実施例の個別の特徴が互いに組み合わせられた多数の変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 フィードスルー
12 基体
13 貫通開口部
14 フィードスルー区間
16 延長区間
18 電気的な導体
19 接続区間
20 絶縁体
21 別の絶縁体
22 保持区間
23 別の保持区間
24 圧縮材
25 別の圧縮材
26 沿面距離延長部
27 別の沿面距離延長部
28 封止材料
30 分離要素
32 中空空間
34 肩部
36 末端スリーブ
38 雌ねじ山
39 雄ねじ山
40 段部
42 端部領域
50 丸み付け部
52 段部
54 移行領域
100 フィードスルーアセンブリ
110 基部
112 取り付け手段
120 保持プレート
122 取り付け手段
130 中空空間
132 排気開口部
140 ケーブル締結部
150 プラグ
【国際調査報告】