(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】弾性ポリマー組成物から作製された物品
(51)【国際特許分類】
C08L 23/08 20250101AFI20250212BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20250212BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20250212BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L101/00
C08F210/02
C08J3/24 CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542923
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2023060884
(87)【国際公開番号】W WO2023141494
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リー、グアンミン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャブロンカ、マーク ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ヘイリー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コーゲン、ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バーラト アイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シー
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA16
4F070AA39
4F070AB11
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4J100AP16R
4J100BA75R
4J100CA05
4J100DA42
4J100FA03
4J100FA19
4J100JA28
(57)【要約】
湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物から形成された、プロファイル又は物品であって、
(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量を有し、0.1グラム/10分~10.0グラム/10分のメルトインデックスを有する、ポリマーと、
(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を含む、プロファイル又は物品、上記エラストマーポリマー組成物から作製された成形物品、並びに上記エラストマーポリマー組成物を使用して成形物品を作製する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物から形成された、プロファイル又は物品であって、
(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー、及び0.1重量パーセント~2.5重量パーセントのシラン含有量を有し、0.1グラム/10分~10.0グラム/10分のメルトインデックスを有する、ポリマーと、
(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を含む、プロファイル又は物品。
【請求項2】
前記形成された物品が、ウェザーシール、ホース、又はベルトのうちの少なくとも1つ以上である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーが、ターポリマー又はテトラポリマーである、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーが、エチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーである、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーの濃度が、前記組成物中の全成分の総重量に基づいて20重量パーセント~99重量パーセントであり、前記少なくとも1つのシラノール縮合触媒の濃度が、前記組成物中の全成分の総重量に基づいて0.1重量パーセント~10重量パーセントである、請求項3に記載の物品。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーが、少なくとも1つのエチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シランターポリマーである、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シランターポリマーが、少なくとも1つのエチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー、少なくとも1つのエチレン-ブチルアクリレート-シランターポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
着色剤、無機充填剤、プロセス油、難燃剤、発泡剤、加工助剤、酸化防止剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性加硫物、エチレンプロピレンジエンモノマー、エチルビニルアセテート、及びそれらの混合物の1つ以上のポリマー成分を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
ウェザーシール、ホース、又はベルト製品を製造するための方法であって、
(I)
(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量を有し、0.1グラム/10分~10.0グラム/10分のメルトインデックスを有する、ポリマーと、
(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を混合又は配合するステップと、
(II)ステップ(I)からの反応性混合組成物を、最終部品又は物品の形状に成形するステップと、
(III)ステップ(II)からの前記最終部品又は物品を、湿度及び/又は熱に曝露することによって、ステップ(II)からの前記最終部品又は物品を硬化させて、硬化された最終部品又は物品を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を使用して調製された、ウェザーシール、ホース、ベルト、又はプロファイル物品を含む、物品であって、
(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量を有し、0.1グラム/10分~10.0グラム/10分のメルトインデックスを有する、ポリマーと、(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、
(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーポリマー組成物を含む、物品又はプロファイル(形材)に関し、より具体的には、本発明は、自動車用ウェザーシール及び自動車用ホースなどの自動車用物品及び部品を製造するのに有用な、湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を含む、物品又はプロファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムは、例えば、自動車用ウェザーストリップ及び冷却剤ホースを製造するために使用される。自動車用ウェザーストリップ又はウェザーシールは、典型的には、自動車ドアと自動車本体とが互いに接触したときに、自動車ドアと自動車本体との間にシールを提供するために、ドアの周囲に沿って、自動車ドアに、及び自動車本体に、取り付けられる。自動車用ウェザーシールの機能としては、限定されないが、例えば風切り音の低減、空気及び水のシールを提供すること、埃及び異物が自動車に入ることを防止すること、が挙げられる。
【0003】
典型的には、自動車用ウェザーシールは、完全加硫EPDMプロファイル又は押出熱可塑性加硫物(TPV)プロファイルで作製される。TPVは、比較的製造コストが低いという解決策であるが、TPVの性能は、TPVの高い硬度特性及び不十分な長期動的シーリング特性により限定的なものである。加硫されたEPDM部品は、良好な静的及び動的シール性能を提供するが、加硫されたEPDM部品は、多くの場合、例えば、(1)劣化後の、不十分なUV耐候性として認識される表面変色、(2)長期圧縮永久歪が悪く、それにより長期NVH(Noise,Vibration,Harshness)特性が劣ること、(3)自動車車室内騒音低減性能が悪いこと、が問題である。EDPMウェザーシールの製造に関連する製造プロセス及びコストは、典型的には、例えば、(1)組成物の複合コンパウンドのバッチ混合、(2)組成物の押出、及び(3)組成物を硬化させるためのいくつかの硬化ステップに長時間が必要となること、により、複雑かつ高額なものとなる。
【0004】
自動車用冷却剤ホースは、-40℃~150℃の範囲の連続温度の圧力条件下で腐食防止剤を含有する水性冷却剤を移送するために使用される。内燃機関によって生成された熱エネルギーの3分の1は、冷却システムにおいて廃熱として終わる。したがって、EPDM冷却剤ホース(例えば、上部ラジエータホース、下部ラジエータホース、及びヒーターホース)は、自動車のエンジン(機関)冷却システム全体において最も重要な部品である。長期高温耐性は、自動車用冷却剤EPDMホースにとって最も重要な特性であると考えられる。EPDMゴムホース処方物は、通常、補強充填剤、増量充填剤、プロセス油、安定剤、硬化剤、及び他の添加剤を含有し、上記成分をEPDMゴムと混合することは、均一でよく混合されたコンパウンドが一貫したゴムコンパウンド特性のために必要とされるので、全体的なEPDMホース製造プロセスにおいて重要なステップである。
【0005】
自動車熱管理システム用の熱硬化性EPDMゴム冷却剤ホースもまた、過去10年にわたって劇的な変化を受けてきた。内燃機関(ICE)ビークルのためのコンパクトで洗練されたエンジン設計は、フードコンパートメントの下の自動車用部品(例えば、フード下冷却剤ホース、並びにワイヤ及びケーブル構成要素)のための温度環境の向上及び耐久性要件をもたらした。熱硬化性ゴムの連続的な高温耐性を改善することは、ICEの高温環境の向上及び耐久性要件を満たすために必要とされる、より厳しい設計基準によって困難な作業である。産業用途は、ゴム物品のより高い使用温度及び長い耐用年数を伴う同様の傾向に倣っている。その結果、多くの自動車及び産業用途において、現在、高温性能及び長期の耐熱性及び耐候性を有するゴム処方物が必要とされている。
【0006】
加えて、自動車産業における技術開発動向は、例えば、(1)より低い部品密度又は重量、(2)より低い導電性、(3)曇りを低減するためのより低い揮発性有機化合物(VOC)レベル、並びに(4)より良好な長期耐熱性及び耐候性、を提供する次世代の自動車用シールシステム及び熱管理システムに常に焦点を当てている。
【0007】
米国特許第第10040888(B1)号は、EPDM又はTPVを含む従来のウェザーシール処方物とは異なる、シラングラフト化ポリオレフィンを含むウェザーシール処方物について言及している。上記特許のウェザーシール組成物の製造方法は、反応性押出、押出、成形、及び硬化を含む。上記特許のシラングラフト化ポリオレフィンを含む提案された組成物の利点としては、以下が挙げられる:(1)上記特許の処方物が、より少ない成分を使用し、また複雑な従来のゴム内部混合装置を使用することなく、単純な押出ステップで全ての成分を配合することが容易であること、(2)上記特許の処方物が、従来のEPDM材料と比較して優れた応力/歪み挙動を示すこと、(3)上記特許の処方物が、加硫プロセス(例えば、熱風/マイクロ波オーブン又はオートクレーブを使用するプロセス)の排除により、押出プラントのカーボンフットプリントを低減すること、並びに
(4)シラングラフト化及び架橋ポリオレフィンを含む上記特許の処方物が、TPV処方物及びEPDM処方物と比較してより低い比重を有すること。低減された比重を有する上記特許の処方物を使用する部品の製造は、従来の処方物から作製される部品と比較してより軽量の部品を製造する能力をもたらし、それによって、自動車製造業者が、改善された燃料経済性を有する自動車に対する増大する要求を満たすのを助ける。
【0008】
米国特許第10253127(B2)号は、EPDM又はTPVを含む従来のウェザーストリップ処方物とは異なる、シラングラフト化ポリオレフィンを含むウェザーストリップ組成物について言及している。また、上記特許の組成物は、シラングラフト化ポリオレフィン及び1つ以上の添加剤(例えば、ポリプロピレン(PP)、TPV、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、EPDM、エチルビニルアセテート(EVA)、エチレン-ブチルアクリレート(EBAC)コポリマー、及びエチレンメタクリレート(EMA)コポリマー)を含む。上記特許はまた、上記特許の製造プロセスが、反応性押出、押出、成形、及び硬化を含むことについて言及している。
【0009】
米国特許第10774168(B2)号は、EPDM又はTPVを含む従来のウェザーストリップ処方物とは異なる、シラングラフト化ポリオレフィンを含むフロントガラスワイパー処方物について言及している。上記特許の組成物は、シラングラフト化ポリオレフィン及び1つ以上の添加剤(例えば、PP、TPV、OBC、EPDM、EVA、EBACコポリマー、及びEMAコポリマー)を含む。上記特許において言及された製造方法は、反応性押出、押出、成形、及び硬化を伴う。
【0010】
米国特許第10100139(B2)号は、シラングラフト化ポリオレフィンを含有するホース組成物;並びに反応性押出、押出、成形、及び硬化を伴う製造方法について言及している。
【0011】
米国特許第6624254(B1)号は、シラン官能化オレフィンインターポリマー誘導体について言及している。上記特許において、シラン官能性ポリマーは、均一なシラン分布、長鎖分岐及び/又は第三級シラン官能基を有する。上記特許に開示されている変換方法は、カップリング、加水分解、加水分解及び中和、縮合、酸化又はヒドロシリル化によって行われる。
【0012】
米国特許第6667098(B1)号は、電気ゴムケーブル用の絶縁及び被覆層を製造するために使用される湿気硬化性エチレン-アルキル(メタ)アクリレートビニルトリアルコキシシランターポリマー組成物について言及している。アルキル(メタ)アクリレートコモノマーは、ターポリマー組成物中の5モル%超を構成し、トリアルコキシシランターモノマーは、ターポリマー組成物の0.2重量%~5重量%を構成する。絶縁及び被覆層を製造するための上記特許に開示された総ポリマー組成物は、0重量%~最大50重量%の可塑剤、最大60重量%の充填剤、及び最大10重量%の別の添加剤を含むことができる。
【0013】
上記の先行技術文献には、特に湿気硬化性であり、より具体的には自動車用ホース及び自動車用ウェザーシールなどの自動車用物品及び部品を製造するのに有用なエラストマーポリマー組成物について何も言及されていない。また、自動車の相手先商標製品製造業者(original equipment manufacturer、OEM)は、EPDM及びTPVなどの現在使用されている様々なエラストマー製品のより良い代替解決策及び代替品を強く望んでいる。
【0014】
したがって、自動車用途で使用するための、例えば、自動車産業における自動車OEMによる使用のための;並びにワイヤ及びケーブル用途で使用するためのエラストマーポリマー組成物を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0015】
一実施形態では、本発明は、湿気硬化性エラストマーポリマー組成物及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を含む、プロファイル又は物品であって、
(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量を有し、0.1グラム/10分~10.0グラム/10分のメルトインデックスを有する、ポリマーと、(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、
(B)エラストマーポリマー組成物の湿気硬化及び/又は熱硬化を促進する少なくとも1つの硬化触媒と、
の混合物、混和物、又はブレンドを含む、プロファイル又は物品に関する。
【0016】
一実施形態では、少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマー、上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物の成分(A)としては、例えば、エチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー又はテトラポリマーが挙げられる。
【0017】
別の実施形態では、少なくとも1つの硬化触媒、上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物の成分(B)としては、例えば、少なくとも1つのシラノール縮合触媒が挙げられる。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を含む、プロファイル又は物品を調製するための方法に関する。
【0019】
上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物は、様々な用途、より具体的には自動車用途に有用である。例えば、他の実施形態では、上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物は、ウェザーシール、ホース、ベルト、又はプロファイル組成物を含む。
【0020】
更に別の実施形態では、本発明は、ウェザーシール、ホース、ベルト、又はプロファイル製品を製造するための方法であって、
(I)(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、(B)エラストマーポリマー組成物の湿気硬化及び/又は熱硬化を促進する少なくとも1つの硬化触媒と、を提供するステップと、
(II)ステップ(I)からの(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、(B)エラストマーポリマー組成物の湿気硬化及び/又は熱硬化を促進する少なくとも1つの硬化触媒と、を混合又は配合して、湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を形成するステップと、
(III)ステップ(II)からのエラストマーポリマー組成物を押出するステップと、
(IV)ステップ(III)からの押出エラストマーポリマー組成物を最終(仕上げた)部品又は物品の形状に成形するステップと、
(V)ステップ(IV)からの最終部品又は物品を湿度及び/又は熱に曝露して、ステップ(IV)からの最終部品又は物品を硬化させるステップと、を含む、方法に関する。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記方法の混合又は配合ステップ(II)は、従来の混合又は配合装置、例えば、ロールミル、密閉式ミキサー、一軸押出機、又は二軸配合押出機を使用して行われる。他の実施形態では、上記プロセスのステップ(II)において、上記湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物の成分(A)である少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーとしては、例えば、エチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー又はテトラポリマーが挙げられる。更に他の実施形態では、上記方法のステップ(II)において、上記湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物の成分(B)である硬化触媒としては、例えば、少なくとも1つのシラノール縮合触媒が挙げられる。
【0022】
上記方法のステップ(IV)において、エチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー又はテトラポリマー及びシラノール縮合触媒組成物は、最終部品又は物品、例えば、ウェザーシール、ホース、ベルト、プロファイル物品などの形状に成形される。
【0023】
別の好ましい実施形態では、物品は、上記プロセスによって製造された、ウェザーシール、ホース、ベルト、又はプロファイル物品である。
【0024】
本発明は、従来の硫黄硬化ステップ又は過酸化物硬化ステップを必要としない、様々な架橋/熱硬化自動車用部品のための技術的解決策を開発する。完全に処方されたコンパウンドは、必要なコンパウンド硬度を示し、例えば湿気硬化プロセスによって完全に加硫することができる。したがって、従来の硫黄及び過酸化物硬化EPDM系と比較して、大幅な製造コスト削減を達成することができる。本質的に、本発明のプロファイル又は物品を形成する湿気硬化架橋ネットワークは、優れた色安定性、長期高温耐性、長期耐候性、及び長期シーリング性能をプロファイル又は物品に付与する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される温度は、摂氏温度(℃)である。
【0026】
本明細書で「室温(room temperature、RT)」とは、別途指定しない限り、20℃~26℃の温度を意味する。
【0027】
本明細書で「周囲温度」とは、特に湿気架橋を促進する目的のための加熱又は冷却システムの適用なしに存在する環境の温度を意味する。広義の一実施形態では、本開示において企図される周囲温度は、例えば、0℃~50℃であり得る。
【0028】
本明細書で「周囲湿度」とは、特に湿気架橋を促進する目的のための技術を適用せずに存在する、環境の湿度を意味する。広義の一実施形態では、本開示において企図される周囲湿度は、例えば、5%~100%であり得る。
【0029】
「周囲条件」という語句は、特に湿気架橋を促進する目的で加熱、冷却、又は湿気を提供するための技術を適用せずに存在する、環境の温度及び湿度を指す。用語「周囲条件」は、一実施形態では、0℃~50℃の温度及び5%~100%の相対湿度を有する空気雰囲気である。
【0030】
本明細書で「加硫」とは、3次元架橋(硬化)ネットワークの形成を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を構成する材料、並びに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物を指す。
【0032】
本明細書で「エラストマー」又は「エラストマー材料」又は「エラストマーポリマー」とは、弾性特性を有し、大幅に伸張された後にその元の形状を回復することができるポリマーを意味する。
【0033】
本明細書で「湿気硬化性エラストマーポリマー組成物」という語句は、水との反応によって化学的に架橋することができるエラストマーポリマー組成物を意味し、アルコキシシランが加水分解ステップにおいて水と反応してシラノールを形成する。エラストマーポリマー組成物中の隣接するシラノール基の縮合は、シロキサン結合を形成し、三次元的に架橋されたネットワークをもたらす。
【0034】
「ターポリマー」は、3つの別個のモノマー(又はコモノマー)の共重合から生じるポリマー(複合樹脂など)である。
【0035】
「テトラポリマー」は、4つの別個のモノマー(又はコモノマー)の共重合から生じるポリマー(複合樹脂など)である。
【0036】
「縮合触媒」は、アルコキシシラン加水分解反応及び/又はシラノール縮合反応を促進してシロキサン架橋を形成する触媒である。
【0037】
本明細書で、「長期耐熱性」、「長期耐候性」、「長期動的シール性」、「長期圧縮永久歪特性」、「長期NVH(Noise,Vibration and Harshness)特性」などの特性に関する「長期」とは、1ヶ月より長いことを意味する。
【0038】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、いかなる追加の構成要素、ステップ、又は手順の存在も除外することを意図していない。疑義を避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであるか否かにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント又はコンパウンドを含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる他の成分、工程、又は手順をあらゆる前出の記載の範囲から除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写も列挙もされていないあらゆる成分、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、特に記載しない限り、列挙されたメンバーを個別に、及び任意の組み合わせで指す。単数形の使用には複数形の使用が含まれ、その逆もまた同様である。
【0039】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値から上限値までの全ての値(下限値及び上限値を含む)を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば1、又は2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。
【0040】
本明細書全体にわたって使用される場合、以下の略称は、文脈から別途明確に指示されない限り、以下の意味を有する:「=」は、「等しい」又は「と等しい」を意味し、「<」は、「未満」を意味し、「>」は、「よりも大きい」を意味し、「≦」は、「以下」を意味し、「≧」は、「以上」を意味し、「@」は、「において」を意味し、「及び/又は」の意味は、「及び」という用語、あるいは「又は」という用語を含み、ppm=百万分率、ppb=十億分率、ppt=一兆分率、「BV/時」=床容積/時間、「MT」=メートルトン、g=グラム、mg=ミリグラム、Kg=キログラム、J/g=1グラム当たりのジュール、L=リットル、g/L=1リットル当たりのグラム、μL=マイクロリットル、「g/cm3」又は「g/cc」=1立方センチメートル当たりのグラム、g/10分=10分当たりのグラム、mg/mL=ミリリットル当たりのミリグラム、「kg/m3=1立方メートル当たりのキログラム、ppm=重量百万分率、pbw=重量部、rpm=1分間当たりの回転数、m=メートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、μm=ミクロン又はマイクロメートル、nm=ナノメートル、min=分、s=秒、ms=ミリ秒、hr=時、Pa=パスカル、MPa=メガパスカル、Pa・s=パスカル秒、mPa・s=ミリパスカル秒、g/mol=1モル当たりのグラム、g/eq=1当量当たりのグラム、Mn=数平均分子量、Mw=重量平均分子量、pts=重量部、1/s又は秒-1=秒の逆数[s-1]、℃=摂氏温度、℃/分=1分当たりの摂氏温度、psi=1平方インチ当たりのポンド、kPa=キロパスカル、%=パーセント、vol%=体積パーセント、mol%=モルパーセント、及びwt%=重量パーセントである。
【0041】
本発明の具体的な実施形態が、本明細書の以下に記載される。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に本発明の主題の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0042】
別途記載がない限り、文脈から暗示されない限り、又は当該技術分野で慣例となっている場合を除き、全てのパーセンテージ、部、比率、及び同様の量は、重量に基づき、全ての温度は、℃単位であり、全ての試験方法は、本開示の提出日時点で最新のものである。
【0043】
概して、本開示に記載されるエラストマーポリマー組成物は、例えば、自動車用部品/物品/プロファイルを調製するのに有用であり、本発明において有用なエラストマーポリマー組成物は、(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、(B)少なくとも1つの硬化触媒と、を含む。他の任意選択の添加剤又は薬剤、又はコンパウンド、任意選択成分(C)は、所望であれば、上記エラストマーポリマー組成物に添加することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、エチレン-オレフィンモノマー-シランポリマー、成分(A)としては、ターポリマーを挙げることができる。あるいは、他の実施形態では、成分(A)としては、テトラポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、成分(A)は、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シラン、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-シラン、エチレンマレイン無水物-アルキル(メタクリレート)シラン、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレートアルキル(メタ)アクリレートシラン、エチレンビニルアセテート-シラン、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-ビニルアセテート-シラン、エチレン一酸化炭素-シラン、エチレンアルキル(メタ)アクリレート一酸化炭素-シラン、及びこれらの混合物などの1つ以上のテトラポリマーから選択される。好ましい実施形態では、成分(A)は、エチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーなどのターポリマーである。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーである成分(A)は、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シランターポリマーであり得る。ターポリマーのオレフィンモノマー成分は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーであることができ、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、一般式CH2:C(R1)CO2(R2)によって表すことができる。上記一般式中、R1は、水素、又は分岐、環及び/若しくは不飽和結合を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基である。R2は、炭素数1~30の炭化水素基であり、分岐、環及び/又は不飽和結合を有し得る。R1の炭素数が11より大きいと、重合活性が抑制される傾向がある。したがって、R1は、水素又は炭素数1~10の炭化水素基であり、好ましい一実施形態では、アルキル(メタクリレート)モノマー成分としては、例えば、R1が水素又は炭素数1~5の炭化水素基である(メタ)アクリレートが挙げられる。別の好ましい実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートとしては、R1がメチル基である(メタ)アクリレート、又はR1が水素であるアクリレートが挙げられる。同様に、R2の炭素数が30より大きい場合、重合活性が抑制される傾向がある。したがって、R2の炭素数は、広義の一実施形態では1~30であり、別の実施形態では1~12であり、更に別の実施形態では1~8である。
【0046】
エラストマーポリマー組成物を調製するためのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーにおいて有用なアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルオイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な追加のコモノマーとしては、ビニルアセテート、無水マレイン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、一酸化炭素、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物を含む、ヘテロ原子含有オレフィンモノマーが挙げられる。
【0047】
成分(A)であるエチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シランターポリマーの例としては、エチレン-エチル(メタ)アクリレート-シランターポリマー、エチレン-メチルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-プロピルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-ブチルアクリレート-シランターポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
好ましい一実施形態では、エラストマーポリマー組成物の成分(A)は、エチレン-メチル(メタ)アクリレート-シランターポリマー、エチレン-エチルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-ブチルアクリレート-シランターポリマー、及びこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。
【0049】
他の実施形態では、本発明において有用な少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーのオレフィンモノマー成分(成分(A))は、例えば、エチレン-メチルアクリレートシランターポリマー、エチレン-エチルアクリレートシランターポリマー、エチレン-プロピルアクリレートシランターポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレートシランターポリマー、エチレン-i-ブチルアクリレートシランターポリマー、エチレン-2-エチルヘキシルアクリレートシランターポリマー、エチレン-イソボルニルアクリレートシランターポリマー、エチレン-ペンチルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-ヘキシルアクリレート-シランターポリマー、エチレン-オクチルアクリレートシランターポリマー、エチレン-メチルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-エチルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-プロピルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-n-ブチルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-i-ブチルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-2-エチルヘキシルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-イソボルニルメタクリレートシランターポリマー、エチレン-ペンチルメタクリレート-シランターポリマー、エチレン-ヘキシルメタクリレート-シランターポリマー又はエチレン-オクチルメタクリレートシランターポリマー及びそれらの混合物であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、エラストマーポリマー組成物の成分(A)が少なくとも1つのエチレン-アルキル(メタ)アクリレート-シランターポリマーであり、ターポリマーのオレフィンモノマー部分がエチル(メタ)アクリレートであるとき、ターポリマーのオレフィンモノマー部分の含有量、すなわちエチル(メタ)アクリレート含有量は、広義の一実施形態では1重量%~50重量%、別の実施形態では5重量%~40重量%、更に別の実施形態では10重量%~30重量%であり得る。ターポリマーのエチル(メタ)アクリレート含有量は、プロトン核磁気共鳴スペクトル法(1H NMR)によって決定することができる。エチル(メタ)アクリレートは、1H NMRスペクトル法又は当業者に公知の他の分析技術、例えば、Analytical Chemistry,Vol.35,No.12,pages 1948-1950,1963に記載されている分析技術によって決定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、エチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーのシラン部分の含有量は、広義の一実施形態では0.1重量%~2.5重量%、別の実施形態では0.5重量%~2.0重量%、更に別の実施形態では0.8重量%~1.5重量%であり得る。ターポリマーのシラン含有量は、核磁気共鳴(NMR)又は中性子放射化分析(NAA)によって決定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明において使用されるエラストマーポリマー組成物のエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマー、成分(A)は、広義の一実施形態では0.1g/10分~10.0g/10分、別の実施形態では0.5g/10分~5g/10分、更に別の実施形態では1.0g/10分~2.5g/10分のメルトインデックスを有する。ターポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238に記載されている方法で決定することができる。本発明で使用されるエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーのMI測定は、コンパウンドの加工性及び物理的特性の指標を提供し、広義の好ましい一実施形態では、ターポリマーのメルトインデックスは、0.1g/10分~10.0g/10分の範囲である。
【0053】
広義の一実施形態では、エラストマーポリマー組成物を調製するのに有用なエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマー、成分(A)の濃度は、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、20重量%~99重量%、別の実施形態では35重量%~95重量%、更に別の実施形態では50重量%~90重量%の範囲であり得る。
【0054】
エラストマーポリマー組成物の成分(B)は、エラストマーポリマー組成物の湿気硬化及び/又は熱硬化を促進する少なくとも1つの硬化触媒である。例えば、触媒は、ルイス酸、ブレンステッド酸、及びこれらの混合物などの酸から選択することができる。また、塩基を触媒として使用してもよい。好ましい実施形態では、成分(B)としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、スルホン酸、及びそれらの混合物を挙げることができる。本発明の実施において使用され得るルイス酸の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジメチルヒドロキシスズオレエート、ジオクチルスズマレエート、ジ-n-ブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズなどのカルボン酸スズ、並びに様々なチタネート、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、及びナフテン酸コバルトなどの様々な他の有機金属化合物、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明において有用な好適なブレンステッド酸触媒の例としては、モノスルホン酸及びジスルホン酸;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。スルホン酸は、1つ以上のスルホン酸(すなわち、-SO3)基を有し、一般式RS(=O)2-OHを有する有機酸であり、式中、Rは、有機アルキル若しくはアリール又は置換アリール基であり、S(=O)2-OH基は、スルホニルヒドロキシドである。スルホン酸は、脂肪族であっても芳香族であってもよく、融点が著しく異なっていてもよい。芳香族スルホン酸の例は、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルエチルベンゼンスルホン酸、アルキルトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸(p-トルエンスルホン酸としても知られる)、アルキルキシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、及びブロック化スルホン酸;並びにそれらの混合物である。スルホン酸としては、例えば、米国特許第8460770(B2)号に開示されているシラノール縮合触媒が挙げられる。
【0056】
他の実施形態では、シラノール縮合触媒は、ブロック化スルホン酸であり得る。ブロック化スルホン酸は、アミンブロック化(イオン性、荷電種である)であり得、又は共有結合ブロック化(アルコール、エポキシ、又は官能性ポリマーとの反応を介して)され得る。ブロック化スルホン酸は、加水分解、アルコール分解又は分解反応によって高温で解離して遊離酸を生成する。ブロック化スルホン酸に関する更なる情報は、「Coatings Materials and Surface Coatings”(CRC Press,Nov.7,2006;Arthur A.Tracton編)」及び「Handbook of Coating Additives”(CRC Press,May 26,2004;John J.Florio,Daniel J.Miller編)」に示されている。米国特許出願公開第2011/0171570号に開示されているNACURE(商標)材料(全てKing Industries製品)は、様々な解離温度を有するブロック化スルホン酸の例である。市販のブロック化スルホン酸の例としては、キシレン/4-メチル-2-ペンタノン中の共有結合的ブロック化ジノニルナフタレンスルホン酸の30%溶液であるNACURE(商標)1419(King Industries製品)、及びキシレン中の共有結合的ブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸の25%溶液であるNACURE(商標)5414(King Industries製品)が挙げられる。
【0057】
本発明の様々な実施形態では、2つ以上の酸性シラノール縮合触媒の組み合わせを採用し得る。1つ以上の実施形態では、酸性シラノール縮合触媒は、アルキル芳香族スルホン酸、アルキル芳香族スルホン酸の加水分解性前駆体、有機ホスホン酸、有機ホスホン酸の加水分解性前駆体、ハロゲン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択することができる。他の実施形態では、酸性シラノール縮合触媒は、アルキル芳香族スルホン酸を含む。市販のアルキル芳香族スルホン酸の例としては、NACURE(商標)CD-2180及びNACURE(商標)B201(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)、並びにARISTONIC(商標)Acid 9900(Pilot Chemical Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能)が挙げられる。別の好ましい実施形態では、本発明において有用なエラストマーポリマー組成物の成分(B)は、例えば、ジブチルスズジラウレートマスターバッチ、又はスルホン酸マスターバッチ及びそれらの混合物を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0058】
エラストマーポリマー組成物を調製するのに有用な硬化触媒、成分(B)の濃度は、広義の一実施形態では、組成物中の全ての成分の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、別の実施形態では0.25重量%~5重量%、更に別の実施形態では0.5重量%~2.5重量%であり得る。
【0059】
本発明において有用な得られたエラストマーポリマー組成物を形成する成分(A)及び(B)の組み合わせは、湿気を使用して及び/又は熱を使用して硬化され得る、エラストマーポリマー組成物を提供する。いずれか1つの特定の理論に限定されるものではないが、本発明のプロファイル又は物品を製造するのに有用なエラストマーポリマー組成物のシラン官能基は、湿気を使用して及び/又は熱を使用して、硬化される。
【0060】
任意選択的に、エラストマーポリマー組成物に多種多様な添加剤を処方して、エラストマーポリマー組成物の優れた利点/特性を維持しながら特定の機能を発揮できるようにしてもよい。例えば、エラストマーポリマー組成物において有用な任意選択の添加剤、成分(C)は、着色剤、カーボンブラック;無機充填材、プロセス油;難燃剤、発泡剤、加工助剤、酸化防止剤、UV光安定剤、スコーチ遅延添加剤、及びそれらの混合物、からなる群から選択され得る。
【0061】
他の実施形態では、エラストマーポリマー組成物に添加される任意選択の添加剤は、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性加硫物、エチレンプロピレンジエンモノマー、エチルビニルアセテート、及びそれらの混合物の1つ以上のポリマー成分を含むことができる。
【0062】
任意選択のコンパウンドは、エラストマーポリマー組成物の製造に使用されるとき、一実施形態では、概ね0重量%~50重量%、別の実施形態では0.01重量%~40重量%、更に別の実施形態では0.1重量%~30重量%、の範囲の量で存在することができる。
【0063】
別の広範な実施形態では、湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物又は処方物を使用して、プロファイル又は物品を作製するための方法は、(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーであって、(i)1重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量、(ii)0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量、及び(iii)0.1g/10分~10.0g/10分のメルトインデックスを有する、少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を、混合、混和、又はブレンドすることを含む。必要に応じて、1つ以上の追加の任意選択成分、成分(C)をエラストマーポリマー組成物に添加し得る。必要に応じて、任意選択の添加剤である成分(C)は、成分(A)及び(B)のいずれか一方又は成分(A)及び(B)の両方と混合することができる。成分の混合順序は重要ではなく、2つ以上の成分を一緒に混合した後、残りの成分を添加してもよい。処方物の成分は、混合において当業者に知られている任意の従来の混合プロセス及び装置によって一緒に混合することができる。
【0064】
他の実施形態では、湿気硬化性又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を使用して、プロファイル又は物品を作製するための方法は、
(I)以下の成分:(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、(B)硬化触媒と、を秤量して、適切な量の成分(A)と(B)とを提供するステップと、
(II)ステップ(I)の成分を混合又は配合して、湿気によって又は熱/温度によって硬化することができる硬化性反応性混合物エラストマーポリマー組成物を形成するステップと、
(III)ステップ(II)から得られた湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を、未硬化の最終部品又は物品の形状に成形するステップと、
(IV)ステップ(III)からの成形された未硬化の最終部品又は物品を、形成された/未硬化の部品又は物品を湿度及び/又は熱に曝露することによって硬化させて、硬化された最終部品又は物品を形成するステップと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、上記方法において有用な少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーである成分(A)は、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量を有し、この少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーは、0.1g/10分~10.0g/10分のメルトインデックスを有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、上記方法において有用な成分(B)である硬化触媒は、反応性混合物エラストマーポリマー組成物を形成するための少なくとも1つのシラノール縮合触媒であり得る。
【0067】
上述の方法によって製造された、湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物は、既知のエラストマーポリマー組成物と比較して、いくつかの有利な特性及び/又は利点を有する。例えば、本発明のプロファイル又は物品を作製するのに有用なエラストマーポリマー組成物によって示される特性/利益のいくつかとしては、例えば、以下を挙げることができる:(1)エラストマーポリマー組成物は、熱水浴又はサウナなどの湿気制御環境において、周囲条件又は高温で湿気によって硬化させることができること、(2)湿気硬化エラストマーポリマー組成物は、EPDMコンパウンドに対してはるかに低い密度を有すること、及び(3)湿気硬化エラストマーポリマー組成物は、従来のエラストマーポリマー組成物よりも良好な長期耐熱性、良好な優れた耐候性、良好な圧縮永久歪、及び改善されたNVHを有すること。
【0068】
本発明において有用なエラストマーポリマー組成物は、例えば、自動車用途において、例えば、ウェザーシール、可撓性ホース(例えば、織物強化ホース)、共押出多層チューブ、ベルト、又はプロファイル製品を含む、様々な自動車用プロファイル、部品又は物品を製造するために使用することができる。
【0069】
自動車用ウェザーシールは、概して、ドア及び車体への取付け品として、金属キャリアを有する高密度プロファイル上に共押出しされた低密度スポンジプロファイルからなる。これらの自動車用ウェザーシール(ドア取り付けシール及びボディ取り付けシール)は、水、振動、及び空気力学的ノイズからの遮断を提供することによって、車内の快適性に寄与する。全体的なシール性能を改善するために、スポンジプロファイルの幾何学的形状は、長年にわたってますます複雑になってきている。自動車用ウェザーシールの典型的な製造方法は、以下のステップ:処方及び混合と、プロファイル押出と、硬化及び発泡と、必要に応じて表面コーティングと、切断及び成形と、最終アセンブリの接続と、その後の、仕上げ、梱包及び出荷と、を含む。
【0070】
可撓性ホースの典型的な構造は、内側チューブ層、補強層、及び外側被覆層からなる。第1の層は、輸送される材料を運ぶ内側チューブである。内側チューブの厚さは、意図された用途に応じて異なる。次の層は、補強層と呼ばれ、金属(メッシュ又はワイヤ)、合成ポリマー、及び/又は織物被覆(又はこれらの材料の組み合わせ)からなり、ホースが内圧及び外圧並びに酷使に耐えることを可能にする。一般的に使用される補強織物(布)としては、綿、ガラス繊維、アラミド繊維(Kevlar(登録商標)及びNomex(登録商標)ブランドなど)、ナイロン、ポリエステル、及びレーヨンが挙げられる。外側被覆層は、環境への曝露、流体夾雑、及び物理的酷使によって引き起こされる損傷から補強材を保護する。可撓性ホースは、位置合わせ不良、経路指定及び設置の容易さ、動き、携帯性、熱膨張、及び振動に対応するために可撓性である必要がある。
【0071】
1つの広範な実施形態では、ウェザーシール、ホース(例えば、織物強化ホース)、共押出多層チューブ、ベルト、又はプロファイル製品を製造するための方法は、
(I)(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーであって、5重量%~50重量%のオレフィンモノマー含有量及び0.1重量%~2.5重量%のシラン含有量の組成を有し、0.1g/10分~10.0g/10分のメルトインデックスを有する、少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーと、(B)反応性混合組成物を形成するための少なくとも1つのシラノール縮合触媒と、を混合又は配合するステップと、(II)ステップ(I)からの反応性混合組成物を最終部品又は物品の形状に形成するステップと、
(III)ステップ(II)からの製造部品又は物品を湿度及び/又は熱に曝露することによって、ステップ(II)からの最終部品又は物品を硬化させて、硬化した最終部品又は物品を形成するステップと、を含む。
【0072】
組成物の成分を混合又は配合するための条件、ステップ(I)は、例えば、従来の混合又は配合装置、例えば、ロールミル、密閉式ミキサー、一軸押出機、又は二軸配合押出機を用いて、85℃~225℃の温度で混合を行うことを可能にすることを含む。
【0073】
上記方法のステップ(II)を実行するための、すなわち、ステップ(I)からの反応性混合組成物を最終部品又は物品の形状に形成するためのプロセス条件は、例えば、従来のポリマー製造装置、例えば、一軸押出機、二軸押出機、共押出ライン、射出成形機、及びカレンダー成形機を用いて85℃~225℃の温度でステップ(II)を行うことを含む。
【0074】
上記の方法において、ステップ(I)及びステップ(II)は、成分(A)少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランターポリマーと(B)少なくとも1つのシラノール縮合触媒との混合と、ステップ(I)からの反応性混合物組成物の最終部品又は物品の形状への成形と、の両方を達成するために、1つのステップに組み合わせることができる。
【0075】
上記方法のステップ(III)である硬化ステップを行う際に、ステップ(II)から形成された未硬化部品又は物品を硬化させるための条件としては、例えば、周囲温度及び周囲湿気含有量/湿度レベルで、又は高温及び/若しくは高湿度で、湿気により硬化させるための条件(例えば、水浴の使用を含む)が挙げられる。例えば、湿気による硬化は、広義の一実施形態では0℃~100℃の温度で、別の実施形態では15℃~90℃の温度で、更に別の実施形態では25℃~40℃の温度で行うことができる。硬化時の湿気含有量/湿度レベルは、広義の一実施形態では0%~100%であり、別の実施形態では20%~80%であり、更に別の実施形態では40%~80%である。
【実施例】
【0076】
以下の本発明の実施例(Inventive Example、Inv.Ex.)及び比較例(Comparative Example、Comp.Ex.)(まとめて「実施例」とする)は、本発明の特徴を更に詳細に説明するために本明細書で提示されるが、特許請求の範囲を限定するものとして、明示的に、又は暗示によるいずれかで解釈されることを意図しない。本発明の実施例はアラビア数字によって特定され、比較例はアルファベット文字によって表される。以下の実験で、本明細書に記載の組成物の実施形態の性能を分析している。特に指示しない限り、全ての部及びパーセンテージは、総重量に基づく重量による。
【0077】
略記
実施例において使用される材料及び品目のいくつかについて使用される名称及び略語のいくつかは、以下の通りである:
「VTMS」は、ビニルトリメトキシシランを表す。
「E/EA/VTMS」は、エチレン/エチルアクリレート/ビニルトリメトキシシランターポリマーを表す。
「E/VTMS」は、エチレン/ビニルトリメトキシシランコポリマーを表す。
「DPTT」は、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドを表す。
「TMTD」は、テトラメチルチウラムジスルフィドを表す。
「ZDBC」は、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛を表す。
「MBT」は、メルカプトベンゾチアゾールを意味する。
「MBTS」はメルカプトベンゾチアゾールジスルフィドを表す。
【0078】
可塑剤油に関して、実施例に記載の表で使用される用語「ブリード油」とは、数日の貯蔵期間後に、上記の湿気及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物から形成された完全に処方された部品の表面に移動する過剰量の可塑剤油を意味する。
【0079】
原料(成分)
実施例で使用した関連する原料(製品又は成分)を表Iに記載する。実施例で使用され、以下の表に記載される触媒は、ポリエチレン(The Dow Chemical Companyから入手可能)中の1.5重量%芳香族スルホン酸及び5重量%抗酸化剤の濃縮物のマスターバッチである。
【表1】
【0080】
ポリマー
実施例で使用したポリマーは、EPDMゴム、ポリオレフィンエラストマー、E/VTMSコポリマー及びE/EA/VTMSターポリマーである。これらのポリマーの特性を表II及び表IIIにまとめて記載する。更に、実施例で使用されるE/VTMSコポリマーは、0.922g/ccの密度及び1.5g/10分のメルトインデックス(2.16kg/cm、190℃)を有する。
【表2】
【表3】
【0081】
E/EA/VTMS又はE/BA/VTMSターポリマー製造/重合手順
アクリレート/VTMSターポリマーを調製するために使用した溶液は、過酸化物開始剤tert-ブチルパーオクトエート(TBPO、無臭ミネラルスピリット中1重量%溶液)とした。重合手順を準備する際に使用した容器(反応器)を、使用前に5分間窒素でスパージし、操作中は窒素パッド下に保った。調製方法で使用した典型的な重合条件及び各実験の正確な詳細を以下の表IVに記載する。使用した反応器は、環境へのCSTR熱損失を最小限に抑えるために外部加熱ジャケットを備えた545mLの高圧連続撹拌槽反応器(CSTR)とした。
【0082】
下記の反応器条件下で、2200rpmで撹拌されているCSTRにエチレン流を注入した。エチルアクリレート、VTMS、及び連鎖移動剤(CTA)として機能するプロピレンを、62バールの圧力でエチレン流に別々に添加し、プロピレンCTAを、ある範囲の最終生成物を生成する速度で制御した。TBPO開始剤溶液を、CSTRの内部温度を220℃に制御する速度で、1,930バールの圧力で、側壁を通してCSTRに直接添加した。
【表4】
*「温度(Temp)」=「温度(Temperature)」
【0083】
エチルアクリレートの定量は、核磁気共鳴1H NMRにより行った。各1H NMR試料は、Norell 1001-7 10 mm NMRチューブにおいて、0.1~0.2gの試料を、0.001MのCr(AcAc)3及び約75ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有する3.25gの、50/50重量比の1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレンに添加することによって調製した。試料は、チューブに挿入したピペットを介して、およそ3分間、溶媒を通してN2を通気することによりパージして、酸素を除去し、蓋をし、テフロンテープで密封してから加熱し、115℃でボルテックスして、溶解させ、均一性を確保した。
【0084】
Bruker high-temperature CryoProbeを備えたBruker AVANCE 600MHzスペクトル計にて、120℃の試料温度で、1H NMRを行った。スペクトルは、20秒の緩和遅延で、ZGパルス、2秒のAQ16スキャンで取得した。
【0085】
処方物
実施例の湿気硬化性及び/又は熱硬化性エラストマーポリマー組成物を含む、処方物を表V(比較例)及び表VI(本発明の実施例)に記載する。
【表5】
【表6】
【0086】
コンパウンドを混合するための全般的プロセス
これらのコンパウンドをブラベンダー(Brabender)又はバンバリー(Banbury)密閉式ミキサー内で標準的な「上下逆」混合手順を用いて混合し、最初にカーボンブラック及び油を添加し、次いで最後にポリマー(EPDMゴム又はE/EA/VTMSターポリマー)を添加した。混合条件は以下の通りであった:混合材料の体積の混合チャンバの容積に対する比である充填率を75%に設定し、混合サイクル中、ロータ速度を50RPMで一定に保ち、ミキサー本体温度を60℃に設定した。混合物の温度が115℃に達したとき、試料をミキサーから取り出した。
【0087】
圧縮成形プラーク及び湿気硬化
上記の十分に混合された未硬化のコンパウンド混合物からの試料を切断し、次いで圧縮成形機で、130℃で成形して、試験片を作製した。成形試験片の各々は、幅15.24cm×長さ15.24cm、厚さ2mmのプラックとした。
【0088】
ターポリマーを用いて作製されたプラーク試料を加硫するために、成形されたプラーク試料を水浴中に置き、60℃の浴中で24時間保持した。
【0089】
EPDMゴムで作製されたプラーク試料を加硫するために、成形されたプラック試料を180℃で15分間ホットプレスに入れた。
【0090】
試験方法
引張強度及び伸び試験
上記加硫試料の物理的特性は、ASTM D412に記載されている手順に従って測定した。
【0091】
圧縮永久歪み
全ての加硫試料の圧縮永久歪を、ASTM D395(25%たわみ方法B)に記載されている手順に従って、23℃で22時間測定した。
【0092】
硬度
ショアAタイプ硬度は、3層積層の加硫試料プラークを使用して、ASTM D2240記載されている手順に従って測定した。
【0093】
結果
上記の試験方法を使用して加硫プラーク試料を試験した結果を表VII(比較例)及び表VIII(本発明の実施例)に記載する。
【表7】
*BOは「ブリード油」を表す
【表8】
*BOは「ブリード油」を表す
【0094】
他の実施形態
一実施形態、本発明の方法では、反応性混合物組成物を形成するステップ(II)が、ステップ(I)からの少なくとも1つのエチレン-オレフィンモノマー-シランポリマーと、シラノール縮合触媒と、を最終部品又は物品の形状に押出することを含む。
【0095】
別の実施形態、本発明の方法では、混合又は配合するステップが、ロールミル、密閉式混合機、一軸押出機、二軸配合押出機、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、混合又は配合装置を使用して行われる。
【0096】
別の実施形態、本発明の方法では、ステップ(II)の反応性混合物組成物が、ウェザーシール、ホース、ベルト、及びプロファイル物品からなる群から選択される、最終部品又は物品の形状に形成される。
【0097】
別の実施形態、本発明の方法では、最終部品又は物品が、自動車用ウェザーシール、自動車用ウェザーシール、自動車用ホース、自動車用ベルト、又は自動車用プロファイル物品である。
【国際調査報告】