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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電極及びそれを含む電気化学素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20250212BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20250212BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250212BHJP
   H01M 6/16 20060101ALI20250212BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20250212BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20250212BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20250212BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20250212BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/36 E
H01M4/139
H01M10/0566
H01M10/052
H01M6/16 A
H01M4/86 M
H01M4/86 B
H01M4/88 K
H01G11/26
H01G11/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543118
(86)(22)【出願日】2023-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2023011268
(87)【国際公開番号】W WO2024029906
(87)【国際公開日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2022-0095678
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0105751
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒョン-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ムン-ス
【テーマコード(参考)】
5E078
5H018
5H024
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078BA06
5E078BA18
5E078BA27
5E078BA53
5E078BB24
5H018AA01
5H018BB03
5H018BB08
5H018CC06
5H018EE05
5H018EE12
5H018HH00
5H018HH01
5H018HH03
5H018HH05
5H024AA02
5H024AA09
5H024AA11
5H024AA12
5H024FF11
5H029AJ03
5H029AJ06
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AL18
5H050AA08
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050DA11
5H050FA18
5H050GA03
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
(57)【要約】
本発明の一面は、電気化学素子用の電極に関し、前記電極は、下層領域及び上層領域に含まれるグラニュールが相異なり、下層領域と上層領域との間に位置し、四角形状の凹部と凸部による界面が形成されている中問層領域と、を含むことで、イオンの拡散速度及び電極容量が増大した特徴を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する電極活物質層と、を含む電極であって、
前記電極活物質層は、
前記集電体に隣接し、複数の第1グラニュールを含む下層領域と、
前記下層領域の上部に位置し、複数の第2グラニュールを含む上層領域と、
前記下層領域と前記上層領域との間に位置し、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域がn回交互に配置される中問層領域と、を含み、前記nは2以上の整数であり、
前記第1単位領域及び前記第2単位領域が、各々四角形状の断面を有し、
前記第1グラニュールが、第1電極活物質及び前記第1電極活物質を結着する第1バインダーを含み、
前記第2グラニュールが、第2電極活物質及び前記第2電極活物質を結着する第2バインダーを含むことを特徴とする、電極。
【請求項2】
前記第1グラニュール及び第2グラニュールが、次の少なくとも一つの特性を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電極:
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性。
【請求項3】
前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状が各々下記T1、T2、W1及びW2の条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電極:
d1≦T1、
d2≦T2、
50d1≦W1≦1,000d1、
50d2≦W2≦1,000d2、
前記T1が、前記第1単位領域の厚さ(thickness)であり、
前記T2が、前記第2単位領域の厚さであり、
前記W1が、前記第1単位領域の幅(width)であり、
前記W2が、前記第2単位領域の幅であり、
前記d1が、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、
前記d2が、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【請求項4】
前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状が各々下記T1、T2、W1及びW2の条件を満たすことを特徴とする、請求項3に記載の電極:
d1≦T1≦2d1、
d2≦T2≦2d1、
100d1≦W1≦600d1、
100d2≦W2≦600d2。
【請求項5】
前記第1グラニュールの平均粒径D50がd1であり、
前記第2グラニュールの平均粒径D50がd2であるとき、
d2≧d1であることを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
前記第1グラニュールの平均粒径D50がd1であり、
前記第2グラニュールの平均粒径D50がd2であるとき、
15μm≦d1≦150μmであり、
15μm≦d2≦150μmであることを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記電極活物質層が、負極活物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項8】
前記電極活物質層が、正極活物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項9】
前記第1電極活物質及び第2電極活物質の少なくとも一つ以上が炭素系化合物を含み、
前記第1電極活物質及び第2電極活物質の少なくとも一つ以上が、シリコン系酸化物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項10】
前記第2電極活物質が、SiOx(0≦x≦2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項11】
前記下層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第1グラニュールの重量が95重量%以上であり、
前記上層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第2グラニュールの重量が95重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記nが、15~25の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項13】
前記中問層領域のイオン拡散速度が前記上層領域のイオン拡散速度よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項14】
前記上層領域の体積当たりの電極容量が、前記下層領域の体積当たりの電極容量よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電極。
【請求項15】
集電体の少なくとも一面に電極活物質層を形成する工程を含み、
前記電極活物質層を形成する工程は、
前記集電体の少なくとも一面に複数の第1グラニュールを塗布する段階と、
パターンが形成された加圧ロールを用いて前記塗布された第1グラニュールの表面を加圧して前記第1グラニュールの表面にパターンを形成する第1加圧段階と、
前記加圧された第1グラニュールの表面に複数の第2グラニュールを塗布する段階と、
前記塗布された第2グラニュールの表面を加圧する第2加圧段階と、を含み、
前記第1グラニュールが、第1電極活物質と、前記第1電極活物質を結着する第1バインダーと、を含み、
前記第2グラニュールが、第2電極活物質と、前記第2電極活物質を結着する第2バインダーと、を含むことを特徴とする、電極の製造方法。
【請求項16】
前記第1グラニュール及び第2グラニュールが、次の少なくとも一つの特性を満たすことを特徴とする、請求項15に記載の電極の製造方法:
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性。
【請求項17】
前記加圧ロールのパターンが、突起型またはメッシュ型であることを特徴とする、請求項15に記載の電極の製造方法。
【請求項18】
前記加圧ロールのパターンが、複数の四角形状の突起を含み、
前記突起の形状が、下記W3、W4及びT3の条件を満たすことを特徴とする、請求項15に記載の電極の製造方法:
d2≦T3
50d2≦W3≦1,000d2
50d1≦W4≦1,000d1、
前記W3が、前記突起の突出部の幅であり、
前記W4が、2個の突起間の最短直線距離であり、
前記T3が、前記突起の突出部の厚さであり、
前記d1が、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、
前記d2が、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【請求項19】
前記電極活物質層は、
集電体に隣接し、複数の第1グラニュールを含む下層領域と、
前記下層領域の上部に位置し、複数の第2グラニュールを含む上層領域と、
前記下層領域と前記上層領域との間に位置し、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域がn回交互に配置される中問層領域と、を含み、
前記第1単位領域及び前記第2単位領域が、各々四角形状の断面を有することを特徴とする、請求項15に記載の電極の製造方法。
【請求項20】
正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜及び電解液を含み、
前記正極及び負極の少なくとも一つが、請求項1から14のいずれか一項に記載の電極を含むことを特徴とする、電気化学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極及びそれを含む電気化学素子に関する。
本出願は、2022年8月1日出願の韓国特許出願第2022-0095678号及び2022年8月23日出願の韓国特許出願第2022-0105751号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
化石燃料使用の急増につれ、代替エネルギーや清浄エネルギーの使用に対する要求が増加しつつあり、その一環として最も研究が盛んでいる分野が電気化学を用いた発電、蓄電分野である。現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例としては二次電池が挙げられ、ますますその使用領域が拡がっている。このような二次電池として代表的なリチウム二次電池は、モバイル機器のエネルギー源のみならず、最近は大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を使用する車両を代替できる電気自動車、ハイブリッド電気自動車の動力源としての使用が実現されつつあり、グリッド(Grid)化による電力補助電源などの用途としても使用領域が拡がっている。
【0003】
最近は、電池性能の向上のために複数の電極活物質を用いる電池開発に関し、多様な研究が行われている。複数の電極活物質を混合して単一の電極活物質層を形成する場合、かえって活物質種類間の干渉効果によって電池性能が低下する問題が発生した。そこで、電池の製造時において、電極活物質層を多層で構成して各層別に機能を特化して電極特性及び電池性能の向上を図る方法が考えられている。
【0004】
この際、通常、電極活物質の種類によってイオン拡散速度と重さまたは体積当たりの電極容量が異なる特徴がある。これによって、イオン拡散速度が高いが、電極容量が小さい電極活物質から構成される一つの層とイオン拡散速度が低いが、電極容量が大きい電極活物質から構成される一つの層が備えられた多層電極を製造するなどの試みがあったが、この場合にもイオン拡散速度と電極容量とが共に向上する電極は具現できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高いイオン拡散速度と大きい電極容量を共に具現する多層電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、乾式工程を導入した方法により、上述した特性を有する電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、
本発明の一面によれば、下記実施形態の電極が提供される。
【0008】
第1実施形態による電極は、
集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置する電極活物質層と、を含み、
前記電極活物質層は、集電体に隣接し、複数の第1グラニュールを含む下層領域と、前記下層領域の上部に位置し、複数の第2グラニュールを含む上層領域と、前記下層領域と前記上層領域との間に位置し、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域がn回交互に配置される中問層領域と、を含み、前記nは2以上の整数であり、
前記第1単位領域及び前記第2単位領域は各々四角形状の断面を有し、前記第1グラニュールは、第1電極活物質及び前記第1電極活物質を結着する第1バインダーを含み、前記第2グラニュールは、第2電極活物質及び前記第2電極活物質を結着する第2バインダーを含む。
【0009】
第2実施形態によれば、第1実施形態において、
前記第1グラニュール及び第2グラニュールは、次の少なくとも一つの特性を満たし得る:
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性。
【0010】
第3実施形態によれば、第1実施形態または第2実施形態において、
前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状が各々下記T1、T2、W1及びW2の条件を満たし得る:
d1≦T1、
d2≦T2、
50d1≦W1≦1,000d1、
50d2≦W2≦1,000d2、
前記T1が、前記第1単位領域の厚さ(thickness)であり、
前記T2が、前記第2単位領域の厚さであり、
前記W1が、前記第1単位領域の幅(width)であり、
前記W2が、前記第2単位領域の幅であり、
前記d1が、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、
前記d2が、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【0011】
第4実施形態によれば、第1実施形態から第3実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状が各々下記T1、T2、W1及びW2の条件を満たし得る:
d1≦T1≦2d1、
d2≦T2≦2d1、
100d1≦W1≦600d1、
100d2≦W2≦600d2。
【0012】
第5実施形態によれば、第1実施形態から第4実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記第1グラニュールの平均粒径D50がd1であり、
前記第2グラニュールの平均粒径D50がd2であるとき、
d2≧d1であり得る。
【0013】
第6実施形態によれば、第1実施形態から第5実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記第1グラニュールの平均粒径D50がd1であり、
前記第2グラニュールの平均粒径D50がd2であるとき、
15μm≦d1≦150μmであり、
15μm≦d2≦150μmであり得る。
【0014】
第7実施形態によれば、第1実施形態から第6実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記電極活物質は、負極活物質を含み得る。
【0015】
第8実施形態によれば、第1実施形態から第7実施形態のいずれか一つの実施形態によれば、
前記電極活物質は、正極活物質を含み得る。
【0016】
第9実施形態によれば、第1実施形態から第8実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記第1電極活物質及び第2電極活物質の少なくとも一つ以上は炭素系化合物を含み、前記第1電極活物質及び第2電極活物質の少なくとも一つ以上は、シリコン系酸化物を含み得る。
【0017】
第10実施形態によれば、第1実施形態から第9実施形態のいずれか一つの実施形態例において、
前記第2電極活物質は、SiOx(0≦x≦2)を含み得る。
【0018】
第11実施形態によれば、第1実施形態から第10実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記下層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第1グラニュールの重量が95重量%以上であり、
前記上層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第2グラニュールの重量が95重量%以上であり得る。
【0019】
第12実施形態によれば、第1実施形態から第11実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記nは15~25の整数であり得る。
【0020】
第13実施形態によれば、第1実施形態から第12実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記中問層領域のイオン拡散速度が前記上層領域のイオン拡散速度よりも大きくてもよい。
【0021】
第14実施形態によれば、第1実施形態から第13実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記上層領域の体積当たりの電極容量が、前記下層領域の体積当たりの電極容量よりも大きくてもよい。
【0022】
本発明の他面によれば、下記の実施形態の電極の製造方法を提供する。
【0023】
第15実施形態による電極製造方法は、
集電体の少なくとも一面に電極活物質層を形成する工程を含み、
前記電極活物質層を形成する工程は、前記集電体の少なくとも一面に複数の第1グラニュールを塗布する段階と、パターンが形成された加圧ロール(roll)を用いて前記塗布された第1グラニュールの表面を加圧して前記第1グラニュールの表面にパターンを形成する第1加圧段階と、前記加圧された第1グラニュールの表面に複数の第2グラニュールを塗布する段階と、前記塗布された第2グラニュールの表面を加圧する第2加圧段階と、を含み、
前記第1グラニュールは、第1電極活物質と、前記第1電極活物質を結着する第1バインダーと、を含み、前記第2グラニュールは、第2電極活物質と、前記第2電極活物質を結着する第2バインダーと、を含む。
【0024】
第16実施形態によれば、第15実施形態において、
前記第1グラニュール及び第2グラニュールは、次の少なくとも一つの特性を満たし得る:
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性。
【0025】
第17実施形態によれば、第15実施形態または第15実施形態において、
前記加圧ロールのパターンが、突起型またはメッシュ型であり得る。
【0026】
第18実施形態によれば、第15実施形態から第17実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記加圧ロールのパターンは、複数の四角形状の突起を含み、
前記突起の形状が、下記W3、W4及びT3の条件を満たし得る:
d2≦T3
50d2≦W3≦1,000d2
50d1≦W4≦1,000d1、
前記W3が、前記突起の突出部の幅(width)であり、
前記W4が、2個の突起間の最短直線距離であり、
前記T3が、前記突起突出部の厚さ(thickness)であり、
前記d1が、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、
前記d2が、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【0027】
第19実施形態によれば、第15実施形態から第18実施形態のいずれか一つの実施形態において、
前記電極活物質層は、集電体に隣接し、複数の第1グラニュールを含む下層領域と、前記下層領域の上部に位置し、複数の第2グラニュールを含む上層領域と、前記下層領域と前記上層領域との間に位置し、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域がn回交互に配置される中問層領域と、を含み、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は、各々四角形状の断面を有し得る。
【0028】
本発明の他面によれば、下記の実施形態の電気化学素子が提供される。
【0029】
第20実施形態による電気化学素子は、
正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜及び電解液を含み、前記正極及び負極の少なくとも一つは、第1実施形態から第14実施形態のいずれか一つの実施形態による電極を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一面による電極は、イオン拡散速度及び/または電極容量が向上した効果を奏する。
【0031】
例えば、本発明の一実施形態による電極は、単一層から構成される電極のみならず、中問層領域の界面が平坦な直線形状を有する多層の電極と比較してイオン拡散速度が向上するか、または類似な水準のイオン拡散速度を有しながらも電極容量が向上する効果を奏する。
【0032】
特に、本発明の一実施形態による電極は、中問層領域の界面が平坦な直線形状を有する多層の電極と比較して抵抗を類似な水準に維持しながらも電極容量が向上する効果を奏する。
【0033】
本発明の他面による電極の製造方法は、上述した特性を有する電極を提供する効果を奏する。
【0034】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層の模式図である。
図2】本発明の別の実施形態による電極内の電極活物質層の模式図である。
図3】本発明のさらに別の実施形態による電極内の電極活物質層の模式図である。
図4】本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層の模式図である。
図5】本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層の模式図である。
図6】本発明の一実施形態による電極の製造方法のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態による電極の製造方法に用いられる加圧ロールのパターンの写真である。
図8】本発明の一実施形態による電極の製造時に用いるパターンが形成された加圧ロールの模式図である。
図9】本発明の一実施形態による電極を用いた電極組立体の模式図である。
図10】本明細書における実施例1による電極を用いた電極組立体の模式図である。
図11】本明細書における実施例2による電極を用いた電極組立体の模式図である。
図12】本明細書における実施例3による電極を用いた電極組立体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明について詳しく説明する。しかし、本発明は、下記の内容のみによって限定されず、必要に応じて各構成要素が多様に変形されるか、または選択的に混用され得る。したがって、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変形例、均等物または代替物が組み込まれることを理解する必要がある。
【0037】
明細書において、ある構成が、ある構成要素を「含む」とするとき、特に明記しない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
本明細書において、「A及び/またはB」の記載は、AまたはB、もしくはこれら全部を意味する。
【0039】
本発明は、電極及び前記電極を含む電気化学素子に関する。本発明の電気化学素子は、電気化学反応をする全ての素子を含み、具体的に例えば、全種類の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池またはスーパーキャパシタ素子のようなキャパシタ(capacitor)などが挙げられる。本発明において、望ましくは、前記電気化学素子は二次電池であり、より望ましくはリチウムイオン二次電池であり得る。
【0040】
本発明の一面によれば、活物質層が多層構造で備えられた電極が提供される。
具体的には、前記電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に配置された電極活物質層と、を含む。
【0041】
本明細書において、前記電極内の集電体から前記電極活物質層の表面までの垂直方向を電極活物質層の「厚さ方向」とし、前記厚さ方向に直交する方向を電極活物質層の「長手方向」とする。
【0042】
本発明の一面において、前記電極活物質層は、集電体に隣接し、複数の第1グラニュールを含む下層領域と、前記下層領域の上部に配置され、複数の第2グラニュールを含む上層領域と、前記下層領域と前記上層領域との間に配置され、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域が、n回交互に配置される中問層領域と、を含む。この際、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は、各々四角形状の断面を有する。
【0043】
また、前記第1グラニュールは、第1電極活物質と、前記第1電極活物質を結着する第1バインダーと、を含み、前記第2グラニュールは、第2電極活物質と、前記第2電極活物質を結着する第2バインダーと、を含む。
【0044】
本発明の一面によれば、前記第1グラニュールの大きさと前記第2グラニュールの大きさが相異なる。
【0045】
本発明の一面による前記電極において、前記中問層領域は、前記第1単位領域及び第2単位領域が交互に形成されることによる反復的な四角形状を有する界面を含む。
【0046】
本発明の一面によれば、前記第1単位領域及び第2単位領域は、相異なる大きさのグラニュールによって形成され、前記界面でイオン拡散速度を増加させる効果を奏し得る。特に、相異なる大きさのグラニュールによって下層領域及び上層領域を含むが、下層領域と上層領域の界面が直線形状である多層電極と比較して、本発明の一面によれば、界面の表面積が広くなるので、イオン拡散速度が増加するという面で有利な効果を奏し得る。
【0047】
特に、本発明の一実施形態によれば、下層領域よりもイオン拡散の動的(kinetic)な面で有利なグラニュールを上層領域に配置し、中問層領域に第1単位領域と第2単位領域が交互に形成される四角断面形状の界面が形成される場合、電極の厚さ方向へリチウム(イオン)の伝達が容易であり、これによって、電極の充電容量を改善する効果を奏し得る。
【0048】
このために、本発明の一実施形態によれば、下層領域に配置される第1グラニュール及び上層領域に配置される第2グラニュールは、次の少なくとも一つの特性を満たすように備えられ得る。
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性
本発明の一実施形態において、前記第1特性は、グラニュールの組成に関わらず、グラニュールの大きさを異にすることで、グラニュールの容量及び/またはイオンの拡散速度を異にするためであり得る。
【0049】
前記第1特性に関わり、本発明の一実施形態によれば、前記第1グラニュール及び第2グラニュールは、互いに同じ組成を有するか、または相異なる組成を有し得る。
【0050】
前記「グラニュールの組成が互いに同一である」とは、グラニュールに含まれる活物質、バインダー、(さらに含まれる場合)導電材などの種類及びこれらの重量比が互いに同一であることを意味する。逆に、前記「グラニュールの組成が相異なる」とは、グラニュールに含まれる活物質、バインダー及び導電材のうち少なくとも一つの種類が異なるか、または各々の種類が同一であってもこれらの重量比が相異なることを示す。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記第2特性は、グラニュールの大きさに関わらず、グラニュールの組成を異にすることでグラニュールの容量及び/またはイオン拡散速度を異にするためであり得る。
【0052】
前記第2特性に関わり、本発明の一実施形態によれば、前記第1グラニュール及び第2グラニュールは、同一または類似の大きさに具現でき、前記類似の大きさは、相互間の粒径差が±10%以内、望ましくは±5%以内であり得る。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は、各々四角形状の断面を有し、例えば、正方形の断面または長方形の断面を有し得る。具体的には、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は、各々長手方向の幅W1、W2よりも厚さ方向の高さT1、T2が大きい長方形の断面を有し得るが、本発明はこれに制限されない。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は、各々四角形状の断面を有することによって、他の形状(例えば、三角形、台形など)を有する電極よりも中問層領域の界面301の表面積を増大させることで、イオン拡散速度を増加させる面でより有利な効果を奏し得る。また、中問層領域の界面301の表面積が増大することで、前記下層領域及び上層領域の接着特性を向上させる面でも有利な効果を奏し得るが、本発明の効果がこれに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一面において、前記中問層領域に配置される第1単位領域及び前記第2単位領域の交互回数を示す前記nは、2以上の整数であり得る。例えば、前記nは、2以上の整数、3以上の整数、4以上の整数、5以上の整数または10以上の整数であってもよく、具体的には、前記nは、前述した範囲内で50以下の整数であり得るが、前記nはこれに制限されない。例えば、前記nは、10~50、15~40、15~25または15~20の整数であり得る。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記電極は必要に応じてその大きさが変わり、例えば、5mm~1,000mmの長さを有し得る。例えば、前記電極の長さが10mm~700mm、50mm~600mm、100mm~600mm、または500mm~550mmであり得る。本発明の一実施形態において、前記電極の長さが500mm~520mm、例えば509.5mmである場合を基準にして、第1単位領域及び前記第2単位領域の交互回数を示す前記nが10以上50以下の整数、例えば、15~35、15~30、20~30または20~25の整数であることが望ましい。
【0057】
また、本発明の一実施形態によれば、前記電極は、必要に応じてその大きさが変わり得るが、例えば、5mm~1,000mmの幅を有し得る。例えば、前記電極の幅が5mm~500mm、10mm~200mm、50mm~150mm、80mm~100mmまたは90mm~100mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記電極は、長さが509.3mmであり、幅が93.3mmである長方形であり得る。
【0059】
本明細書において、前記電極の長さは、電極活物質層で第1単位領域及び第2単位領域が交互に展開される方向の大きさを示し、例えば、前記電極が長方形である場合、長辺を示し得る。前記電極の幅は、前記電極の長手方向に直交する方向の大きさを示し、例えば、前記電極が長方形である場合、短辺を示し得る。
【0060】
前記電極活物質層は、電極材料として電極活物質及びバインダーを含み得る。具体的には、前記電極材料は、前記電極活物質層中にグラニュール(granule)の形態で含まれ得る。前記グラニュールは、電極活物質及び電極バインダーを含む複合粒子を示す。本発明の一実施形態において、前記グラニュールは、電極活物質が、電極バインダーによって結着している形態であり得る。
【0061】
一方、前記電極活物質層には、グラニュールに由来した流離状態の電極活物質粒子などがさらに含まれ得る。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記グラニュールは、前記電極活物質を前記電極バインダーと混合した後、噴霧乾燥(spray drying)の方式で粒子化して製造されたものであり得るが、前記グラニュールの製造方法がこれに限定されるものではない。
【0063】
本発明の一実施形態において、前記グラニュールを集電体の一面に塗布した後、加圧(press)方式によって別の溶媒を使用することなく電極活物質層が形成され得るが、前記グラニュールの使用目的及び用途がこれに限定されるものではない。
【0064】
前記グラニュールの具体的な構造及び組成に関しては後述し、先ず、電極活物質層の構造について説明する。
【0065】
本発明において、前記電極活物質層は、複数の前記グラニュールが層状構造で集積したものであって、前記グラニュール間の空間であるインタースティシャルボリューム(interstitial volume)によって提供される複数の微細気孔(pore)を有し、このような構造に由来した多孔性特性を示す。この際、微細気孔の大きさと個数のような因子によって電極活物質層のイオン拡散速度が決定され、グラニュールの充填密度(packing density)によって電極活物質層の電極容量が決定され得る。
【0066】
本発明の一面による電極活物質層は、集電体に隣接する順に、下層領域、中問層領域及び上層領域を含む。
【0067】
図1には、本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層1の断面を示した模式図である。
【0068】
図1を参照すると、前記電極活物質層1は、集電体(図示せず)に隣接し、複数の第1グラニュール100を含む下層領域10と、前記下層領域の上部に位置し、複数の第2グラニュール200を含む上層領域20と、前記下層領域と前記上層領域との間に位置する中問層領域30と、を含む。
【0069】
前記中問層領域30は、前記電極活物質層1の長手方向に沿って前記第1グラニュール100を含む第1単位領域301及び前記第2グラニュール200を含む第2単位領域302がn回交互に配置される。この際、前記第1単位領域及び前記第2単位領域は各々四角形状の断面を有し、これによって、前記中問層領域30には、前記第1単位領域301及び前記第2単位領域302の反復によって連続的な四角形状の界面が形成される。
【0070】
本発明において、前記第1グラニュール及び前記第2グラニュールの粒子サイズが相異なり、図1は、前記第2グラニュール200の粒子サイズが前記第1グラニュール100の粒子サイズよりも大きい場合を示す。
【0071】
図2は、本発明の他の実施形態による電極内の電極活物質層1の断面を示した模式図である。図2は、前記第1グラニュール100の粒子サイズが前記第2グラニュール200の粒子サイズよりも大きい場合を示す。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記第1グラニュール及び前記第2グラニュールの粒子サイズが相異なり、これによって、本発明の一実施形態による電極は、前記第1グラニュール及び前記第2グラニュールのみを各々用いた電極とは異なる電極容量を示す。また、前記上層領域と下層領域に含まれるグラニュールの粒子サイズが相異なることから、上層領域と下層領域の気孔度が異なって形成される。これによって、本発明の一実施形態による電極は、前記第1グラニュール及び前記第2グラニュールのみを各々用いた電極とは異なるイオン拡散速度を示す。
【0073】
従来、相異なるサイズの活物質粒子を用いて多層負極を具現した試みがあったが、従来技術によれば、相異なるサイズの活物質粒子を用いて形成された各々の層の間には、扁平な(flat)界面、即ち、直線状の界面が形成される特徴がある。この際、各々の層内では、気孔度(porosity)が均一な特性があり、界面を基準にして下層領域と上層領域の気孔度が有意に変化しない現象が現われ得る。または、下層領域を構成する活物質粒子の大きさがより小さく、充填密度(packing density)がより高い場合には、前記界面を基準にして下層領域の気孔度がかえって減少する現象が現われ得る。この場合、電極活物質層の表面に近い上層領域から集電体に近い下層領域へ電解質(電解液)が含浸するとき、界面付近で前記電解質の含浸速度、即ち、電解質に含まれたリチウムイオンの拡散速度が低下し、これによって電解質の含浸(リチウムイオンの拡散)時間が増加する問題が観察された。
【0074】
そこで、本発明のメカニズムがこれに限定されるものではないが、本発明の一面によれば、粒子サイズが相異なるグラニュールを用いるか、及び/または組成が相異なるグラニュールを用いて下層領域及び上層領域を備えた多層電極を提供し、この際、前記下層領域と前記上層領域との間に、粒子サイズ及び/または組成が相異なるグラニュールが混入して下層領域を基準にして四角形状の凸部と凹部が交差する連続的な四角形状の界面を備えることで、界面の表面積を増加させ、これによって活物質層の中間に気孔度を向上させてイオン拡散速度を増大させる効果を奏し得る。
【0075】
図3には、本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層1の断面の模式図が示されている。図3を参照すると、前記電極活物質層の中問層領域30に四角形状の第1単位領域及び第2単位領域が交互に形成された四角形状の界面310が形成されることが分かる。前記中問層領域に形成された界面は、前述したように、前記第1単位領域の第1グラニュールと前記第2単位領域の第2グラニュールの大きさ及び/または組成が相異なって現われる界面であって、前記界面310は、例えば、電極に対する目視観察、SEM(scanning electronic microscopy)観察などによって確認され得る。
【0076】
本発明の一実施形態において、前記界面は、SEM観察によって確認し得る。
本発明の一実施形態において、前記第1単位領域と前記第2単位領域がn回交互に配置されるとき、各々の第1単位領域の垂直断面形状の大きさは互いに同一また異なってもよく、各々の第2単位領域の垂直断面形状の大きさも互いに同一でまたは異なってもよい。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記第1単位領域と前記第2単位領域がn回交互に配置され、前記n個が偶数である電極の場合、前記電極はn/2個の第1単位領域及びn/2個の第2単位領域を含み得る。
【0078】
本発明の他の実施形態において、前記第1単位領域と前記第2単位領域がn回交互に配置され、前記nが奇数である電極の場合、前記電極は(n-1)/2個の第1単位領域及び(n+1)/2個の第2単位領域を含むか、または(n+1)/2個の第1単位領域及び(n-1)/2個の第2単位領域を含み得る。
【0079】
図4は、本発明の一実施形態による電極内の電極活物質層1の断面を示す模式図である。図4を参照すると、前記中問層領域30には、複数の第1単位領域301、301’及び複数の第2単位領域302、302’が交互に配置されており、この際、各々の第1単位領域301、301’は各々四角形状の断面を有するが、形状の大きさが相異なってもよく、各々の第2単位領域302、302’も、各々四角形状の断面を有するが、形状の大きさが相異なってもよい。
【0080】
本発明の他の実施形態において、前記中問層領域30に配置された複数の第1単位領域の垂直断面形状の大きさが互いに同一であり、複数の第2単位領域の垂直断面形状の大きさが互いに同一であり得る。
【0081】
本発明のさらに他の実施形態において、前記中問層領域30に配置された複数の第1単位領域の形状の大きさが互いに同一であり、複数の第2単位領域の形状の大きさが相異なってもよく、複数の第1単位領域の形状の大きさが互いに相異なり、複数の第2単位領域の形状の大きさが互いに同一であってもよい。
本発明の一実施形態において、前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状は各々下記の条件を満たすものであり得る:
d1≦T1、
d2≦T2、
50d1≦W1≦1,000d1、
50d2≦W2≦1,000d2、
前記T1は、前記第1単位領域の厚さ(thickness)であり、
前記T2は、前記第2単位領域の厚さであり、
前記W1は、前記第1単位領域の幅(width)であり、
前記W2は、前記第2単位領域の幅であり、
前記d1は、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、
前記d2は、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【0082】
本発明の他の実施形態において、前記中問層領域の前記第1単位領域及び前記第2単位領域の断面形状は、各々下記の条件を満たすものであり得る。
【0083】
d1≦T1≦2d1、
d2≦T2≦2d1、
100d1≦W1≦600d1、
100d2≦W2≦600d2、
本発明の一実施形態において、前記W1、W2、T1及びT2が前述した条件を満たす場合、前記電極のイオン拡散速度及び/または電極容量の面で有利な効果を奏し得るが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
図5には、前記第1単位領域301の幅W1及び厚さT1、第2単位領域302の幅W2及び厚さT2が示されている。
【0085】
本発明の一実施形態において、前記第1グラニュールの平均粒径D50がd1であり、前記第2グラニュールの平均粒径D50がd2であるとき、d2≧d1であり得る。具体的には、前記d1は、15μm~150μmであり、前記d2は、15μm~150μmであり得る。前記第1グラニュール及び前記第2グラニュールの大きさがこのような条件を満たす場合、第1グラニュール及び第2グラニュールの分級及び電極製造の容易性の面で有利な効果を奏し得る。また、イオン拡散速度の面で有利な効果を奏し得るが、本発明がこれに制限されることではない。
【0086】
本発明の他の実施形態において、d1≧d2であり、この際、前記d1が15μm~150μmであり、前記d2が15μm~150μmであり得る。
【0087】
本発明の一実施形態において、15μm≦d1≦60μmであり、15μm≦d2≦60μmであり、d1≧d2であり得る。また、30μm≦d1≦60μmであり、30μm≦d2≦60μmであり、d1≧d2であり得る。また、45μm≦d1≦55μmであり、45μm≦d2≦55μmであり、d1≧d2であり得る。他の実施形態において、d1>d2であり得る。
【0088】
本発明の一実施形態において、前記d1及びd2は各々第1グラニュール及び第2グラニュールに含まれる電極活物質の粒径の2倍~5倍の粒径を有するものであってよく、例えば、3倍~4倍の粒径を有するものであり得る。
【0089】
前記グラニュールの「平均粒径D50」とは、粒径による粒子個数累積分布の50%地点における粒径を意味し、前記粒径はレーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定されたものであり得る。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザービームを通過するとき、粒子サイズによる回折パターン差を測定して粒度分布を算出する。測定装置における粒径による粒子個数累積分布の50%になる地点における粒子直径を算出することで、D50粒径を測定し得る。
【0090】
本発明の一実施形態において、前記T1及びT2は、各々例えば、1μm~1,000μmであり得る。望ましくは、前記T1は、第1グラニュールの平均粒径D50と同一であるか、または大きく、電極の高さと同一であるか、または小さくてもよい。前記T2は、第2グラニュールの平均粒径D50と同一であるか、または大きく、電極の高さと同一であるか、または小さくてもよい。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記T1及びT2は、各々例えば、1μm~500μmであってもよく、20μm~100μmであってもよく、具体的には、25μm~75μm、25μm~70μm、25μm~65μm、25μm~60μm、30μm~60μm、40μm~60μm、50μm~60μmまたは50μm~55μmであり得るが、これに限定されない。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記下層領域には、前記上層領域の形成のための第2グラニュールが所定の含量でさらに含まれ得るが、前記下層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第1グラニュールの重量が、例えば、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上または100重量%(即ち、第1グラニュールのみからなる。)であることが電極のイオン拡散速度の面で望ましい。
【0093】
本発明の他の実施形態において、前記上層領域には、前記下層領域の形成のための第1グラニュールが所定の含量でさらに含まれ得るが、前記上層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第2グラニュールの重量が、例えば、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上または100重量%(即ち、第2グラニュールのみからなる。)であることが、負極のイオン拡散速度の面で望ましい。
【0094】
本発明のさらに他の実施形態において、前記下層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第1グラニュールの重量が95重量%以上であり、前記上層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第2グラニュールの重量が95重量%以上であり得る。
【0095】
本発明のさらに他の実施形態において、前記下層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第1グラニュールの重量が100重量%であり、前記上層領域に含まれるグラニュールの総重量を基準にして前記第2グラニュールの重量が100重量%であり得る。
【0096】
本発明の一実施形態において、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の反復数nが増加するにつれ、前記中問層領域に形成された界面の表面積が増加する効果を奏する。これによって、界面によってイオン拡散速度の増加率が高くなる効果が得られる。
【0097】
本発明の一実施形態において、前記上層領域に含まれる第2グラニュールの大きさが前記下層領域に含まれる第1グラニュールの大きさよりも大きいものを用いる場合、上層領域が下層領域に比べてインタースティシャルボリュームの増加によって高い気孔度を示し得る。これによって、前記上層領域のイオン拡散速度が前記下層領域のイオン拡散速度よりも大きい効果を奏することができる。前記上層領域のイオン拡散速度が前記下層領域のイオン拡散速度よりも大きい場合、電極の表面でリチウム結合を抑制し、イオンの拡散を円滑にすることで電池の充電性能を改善する効果を奏し得るが、本発明はこれに制限されない。
【0098】
前記イオン拡散速度とは、特定物質内におけるイオンの拡散程度を意味する。具体的には、本明細書において、別途定義されない限り、前記イオン拡散速度はリチウムイオンの拡散速度を示す。
【0099】
前記イオン拡散速度の測定方法は特に限定されない。例えば、充放電状態でGITT(Galvanostatic Intermittent Titration Technique)法を用いて測定し得る。本発明の一実施形態によれば、前記イオン拡散速度はSOC50%条件でGITT法によって測定され、cm/sの単位として表され得るが、これに制限されない。
【0100】
本発明の他の実施形態において、前記中問層領域のイオン拡散速度が前記上層領域のイオン拡散速度よりも大きい効果を奏する。これは、前記中問層領域でグラニュールの充填密度(parking density)が上層領域に比べて低くなり、これによって中問層領域の気孔度(porosity)が上層領域に比べて増加したことに由来した結果であり得るが、本発明のメカニズムがこれに限定されるものではない。
【0101】
前記気孔度は、ある構造体において全体体積に対して気孔が占める体積の割合を意味する。前記気孔度の単位は体積%を用い、空隙率、多孔度などの用語と相互交換して使用し得る。前記負極の気孔度は、例えば、窒素気体を使用したBET(Brunauer-Emmett-Teller)測定法または水銀浸透法(Hg porosimeter)及びASTM D-2873によって測定され得る。または、電極の密度(見掛け密度)と電極に含まれた材料の組成比と各成分の密度から電極の真密度を計算し、見掛け密度(apparent density)と真密度(net density)との差から電極の気孔度を計算して測定され得る。例えば、下記の式1によって気孔度を算出し得る。
(式1)
気孔度(体積%)={1-(見掛け密度/真密度)}×100
前記式1で見掛け密度は、下記式2から算出され得る。
(式2)
見掛け密度(g/cm)=(多孔性基材の重量(g))/{(多孔性基材の厚さ(cm))×(多孔性基材の面積(cm))}
本発明の一実施形態において、前記中問層領域の気孔度は、例えば、10体積%~50体積%または20体積%~40体積%であり得るが、これに制限されない。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記中問層領域の気孔度が前記上層領域及び下層領域の気孔度よりも高く、例えば、前記中問層領域の気孔度が前記上層領域及び下層領域の気孔度各々に対して10%~200%、例えば30%~100%増加した値を有し得るが、本発明はこれに制限されない。
【0103】
本発明の一実施形態において、前記上層領域に含まれる第2グラニュールとして前記下層領域に含まれる第1グラニュールよりも低いイオン拡散速度を有することを用いることで、上層領域のイオン拡散速度を下層領域よりも低くし得る。前記上層領域におけるイオン拡散速度が低い場合、上層領域におけるリチウム結合量を増加させ、これによって上層領域の電極のエネルギー密度を向上させる効果を奏し得る。これによって、前記上層領域が前記下層領域に比べて向上した電極容量を有することができる。
【0104】
本発明の他の実施形態において、前記上層領域の体積当たりの電極容量が前記下層領域の体積当たりの電極容量よりも大きい特性を示し得る。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記下層領域に含まれる第1グラニュールとして前記上層領域に含まれる第2グラニュールよりも低いイオン拡散速度を有することを用いることで、下層領域のイオン拡散速度を上層領域よりも低くし得る。前記下層領域におけるイオン拡散速度が低い場合、下層領域におけるリチウム結合量を増加させ、これによって下層領域の電極のエネルギー密度を向上させ得る。これによって、前記下層領域が前記上層領域に比べて向上した電極容量を有することができる。
【0106】
本発明の他の実施形態において、前記下層領域の体積当たりの電極容量が前記上層領域の体積当たりの電極容量よりも大きい特性を示し得る。
【0107】
前記体積当たりの電極容量は、前記電極の同じ体積を基準にして測定した電極容量を示し、前記電極容量は、充放電条件で放電容量を測定することで測定され得る。測定方法がこれに制限されることではないが、例えば、前記体積当たりの電極容量は、同じ体積にして準備された電極試料に対して各々25℃で0.1Cの定電流CCで3.0V(vs Li/Li+)になるまで充電し、0.1Cの電流密度で1.7V(vs Li/Li+)まで放電したときの放電容量として測定され得る。
【0108】
本発明の一実施形態において、上記のように体積当たりの電極容量の差を有する二つの電極活物質層の間に中問層領域を配置して上層領域と下層領域との界面の表面積を増やすことで、電極の全体積当たりの電極容量を効率的に向上させる面で有利な効果を奏し得る。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質層の総厚さは、例えば、50μm~120μm、具体的には70μm~112μmであり得る。この際、前記電極活物質層の総厚さを基準にして前記中問層領域の厚さが、例えば15μm~40μm、具体的には20~40μmまたは27μm~37μmであり、前記上層領域及び前記下層領域の各々の厚さが、例えば15μm~40μm、具体的には20~40μmまたは27μm~37μmであり得る。
【0110】
前記電極活物質層の全体「厚さ」、またはこれに含まれる各層(layer)の「厚さ」、または前記W1、W2、T1及びT2は、厚さを測定する公知の方法によって測定された値を示し得る。厚さの測定方法は、これに制限されないが、例えば、厚さ測定器(Mitutoyo社、VL-50S-B)を用いて測定された値であり得る。
【0111】
次に、前記電極活物質層に含まれるグラニュールの構造及び組成について説明する。
【0112】
本明細書において、電極活物質層のうち下層領域に含まれるグラニュールを第1グラニュールとし、上層領域に含まれるグラニュールを第2グラニュールとし、この際、前記第1グラニュールと前記第2グラニュールは、粒子の大きさが相異なることを示す。前記中問層領域には、前記第1グラニュールと前記第2グラニュールが共に含まれ、各々前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域によって含まれる。
【0113】
前記グラニュールは電極活物質及びバインダーを含み、必要に応じて導電材をさらに含み得る。本明細書において、前記第1グラニュールに含まれる電極活物質、バインダー及び導電材を各々第1電極活物質、第1バインダー及び第1導電材とし、前記第2グラニュールに含まれる電極活物質、バインダー及び導電材を各々第2電極活物質、第2バインダー及び第2導電材とする。
【0114】
前記グラニュールは、前記電極活物質及び/または導電材が前記バインダーによって結着して一団の粒子の形態を有するものであって、前記電極活物質層は、複数のグラニュールを含む。
【0115】
本発明の一実施形態において、前記グラニュールは、活物質、バインダー及び含まれる場合、導電材の総重量100wt%に対して、前記バインダーの含量(wt%)はグラニュールの中心部よりも表面部がさらに高くてもよい。
【0116】
ここで、前記表面部は、グラニュールの表面からグラニュールの中心方向へ所定の深さまでのグラニュールの表面付近の領域を意味し、前記中心部は、表面部以外の部分を意味する。本発明の一実施形態において、前記表面部は、前記グラニュールの粒径中心から半径70%以上のグラニュールの表面までの領域、望ましくは、半径85%以上、または90%以上または95%以上のグラニュール表面までの領域を意味し得る。
【0117】
本発明の一実施形態において、前記グラニュール粒子中心から半径90%以上のグラニュール表面までの領域において、グラニュールの総重量100wt%に対してバインダーの含量は50wt%以上、60wt%以上、70wt%以上、80wt%以上、または90wt%以上であり得る。
【0118】
本発明の他の一実施形態において、前記グラニュール中心から粒子半径95%以上のグラニュール表面までの領域において、グラニュールの総重量100wt%に対してバインダーの含量は50wt%以上、60wt%以上、70wt%以上、80wt%以上または90wt%以上であり得る。
【0119】
前記グラニュールをさらに詳細に説明すると、前記グラニュールは、複数の電極活物質を含む中心部と、前記中心部の外側の全部または一部に位置して前記電極活物質を結着しているバインダーを含む表面部と、を備え得る。即ち、前記グラニュールの中心部では、複数の電極活物質が互いに面接触、線接触、点接触、またはこれらのうち二つ以上の接触をして凝集体を形成し、前記グラニュールの表面部では、このような凝集体の外側の一部または全部にバインダーが配置されることによって、グラニュールの中心部の複数の電極活物質を互いに固定して結着させ得る。
【0120】
本発明の一実施形態によれば、前記中心部にも少量のバインダーがさらに含まれ、中心部の複数の電極活物質を互いに連結及び固定する役割を果たし得る。しかし、前記グラニュールの中心部では、複数の電極活物質が互いに面接触、線接触、点接触、またはこれらのうち二つ以上の接触をして凝集体を形成し、前記グラニュールの表面部ではこのような凝集体の外側の一部または全部にバインダーが位置することによって、グラニュールの中心部の複数の電極活物質を互いに固定して結着させ得る。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記グラニュールは0.5~1.5の縦横比を有し得る。前記縦横比が1に近いほど前記グラニュールは球形を有するものであり得る。具体的には、前記グラニュールの縦横比は0.8~1.2であり得る。より具体的には、前記グラニュールの縦横比は0.95~1.05であり得る。前記縦横比は、グラニュールの短縮の長さと長軸の長さとの比を意味し、この際、短縮の長さは、10個のグラニュールのうち最も短い長さを有する軸方向における長さの平均値を示し、長軸の長さは、10個のグラニュールのうち最も長い長さを有する軸方向における長さの平均値を示す。前記グラニュールの縦横比がこのような範囲の満たす場合、工程に適する十分な流動性を有するという面で有利である。
【0122】
一方、前記グラニュールが導電材をさらに含む場合、前記導電材は、前記バインダーによって、導電材と電極活物質粒子との結着、または導電材粒子間の結着によってグラニュール中に固定され得る。
【0123】
本発明の一実施形態において、前記電極は負極であり、前記電極活物質は負極活物質であり得る。
【0124】
本発明の一実施形態において、前記電極が負極である場合、前記第1負極活物質及び前記第2負極活物質は、互いに同一または相異なる種類であり得る。例えば、各々、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素系化合物;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SiO、SiO/C、SiOなどのシリコン系酸化物;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi及びBiなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料;またはこれらのうち二つ以上の混合物より選択されるものであり得るが、これらに限定されない。
【0125】
本発明の一実施形態において、前記第1負極活物質及び第2負極活物質は、各々炭素系化合物を含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記第1負極活物質及び第2負極活物質のうち少なくとも一つ以上は炭素系化合物を含み、前記第1負極活物質及び第2負極活物質のうち少なくとも一つ以上はシリコン系化合物を含み得る。
【0127】
本発明の他の実施形態において、前記第1負極活物質は、炭素系化合物のみから構成され、前記第2負極活物質は、炭素系化合物及びシリコン系酸化物(SiOx(0≦x≦2))の混合物から構成されるものであり得る。
【0128】
本発明のさらに他の実施形態において、前記第1負極活物質は、炭素系化合物及びシリコン系酸化物の混合物から構成され、前記第2負極活物質は、炭素系化合物のみに構成され得る。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記第1負極活物質及び第2負極活物質のうち少なくとも一つ以上が炭素系化合物とシリコン系化合物の混合物を含む場合、前記炭素系化合物とシリコン系化合物の混合比は、炭素系化合物:シリコン化合物の重量比として9:1~1:9、9:1~5:5、9:1~6:4、9:1~7:3または9:1~8:2であり得るが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0130】
本発明の一実施形態において、前記第1負極活物質は人造黒鉛のみから構成され、第2負極活物質はSiO及び人造黒鉛の混合物から構成され得る。具体的には、前記第1負極活物質は人造黒鉛のみから構成され、第2負極活物質は人造黒鉛とSiOの混合物、例えば、人造黒鉛:SiOが9:1~5:5、または9:1の重量比を有する混合物から構成されるものであり得る。
【0131】
本発明の一実施形態において、前記電極は正極であり、前記電極活物質は正極活物質であり得る。
【0132】
本発明の一実施形態において、前記電極が正極である場合、前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質は、互いに同一であるか、または相異なる種類であり得る。例えば、各々リチウム遷移金属酸化物;リチウム金属鉄リン酸化物;リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物;リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物の一部が他の遷移金属に置換された酸化物;またはこれらのうち二つ以上を含み得るが、これらに限定されない。具体的には、前記正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や一つまたはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは0~0.33である。)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である。)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;リチウム金属リン酸化物LiMPO(ここで、Mは、M=Fe、CO、NiまたはMnである。);リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物Li1+x(NiCoMn1-x(x=0~0.03、a=0.3~0.95、b=0.01~0.35、c=0.01~0.5、a+b+c=1);リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物の一部がアルミニウムに置換された酸化物Li[NiCoMnAl1-f (M1は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群より選択される一種以上であり、0.8≦a≦1.2、0.5≦b≦0.99、0<c<0.5、0<d<0.5、0.01≦e≦0.1、0≦f≦0.1);リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物の一部が他の線維金属に置換された酸化物Li1+x(NiCoMn1-x(x=0~0.03、a=0.3~0.95、b=0.01~0.35、c=0.01~0.5、d=0.001~0.03、a+b+c+d=1、Mは、Fe、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択されたいずれか一つである。)、ジスルフィド化合物;Fe(MoOまたはこれらの二種以上の混合物より選択されるものであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0133】
本発明の一実施形態において、前記第1バインダー及び前記第2バインダーは互いに同一または相異なる種類であってもよく、粘着性を有するものであって、電気化学反応に安定的であり、前記電極活物質と導電材などの電極材料を結着してグラニュール形態を維持し、かつ圧着によってグラニュールが相互に結着することで層状構造として集積させて安定的な形態を維持可能にするものであれば、特定の成分に限定されない。前記第1バインダー及び前記第2バインダーは、例えば、各々スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンスチレンブロック重合体(SBS)、スチレンエチレンブタジエンブロック重合体(SEB)、スチレン-(スチレンブタジエン)-スチレンブロック重合体、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-5-メチレン-2-ノルボルネン)(Poly(ethylene-co-propylene-co-5-methylene-2-norbornene)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリビニルクロリド(polyvinyl chloride)、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチルヘキシルアクリレート(polyethylhexylacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)またはこれらの二種以上を含み得る。具体的には、前記バインダーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチルヘキシルアクリレート(polyetylexylacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)またはこれらの二種以上の混合物より選択され得るが、これらに限定されない。
【0134】
本発明の一実施形態において、前記第1導電材及び前記第2導電材は、相互に同一または相異なる種類であってもよく、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。前記第1導電材及び前記第2導電材は、例えば、各々、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック系炭素化合物;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉体などの金属粉体;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが挙げられる。具体的な一実施様態において、前記第1導電材及び前記第2導電材は各々、これらより選択された一種または二種以上の混合物であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0135】
本発明の一実施形態において、前記グラニュールは、電極活物質及びバインダーを溶媒と混合して流動状のスラリーを製造し、前記スラリーを噴霧乾燥する方法を適用して得られる。前記グラニュールは、前述したように、必要に応じて導電材をさらに含んで製造され得る。また、性能改善のためのその他の添加剤をさらに含んで製造されたものであり得る。
【0136】
まず、前記電極活物質及びバインダーと選択的に導電材及び追加の添加剤を分散媒(電極バインダーに対しては溶媒)に分散または溶解して、電極活物質及びバインダーが分散または溶解されてなるスラリーを得る。
【0137】
前記スラリー得るために用いる分散媒には、最も望ましくは水が使用されるが、有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのアルキルケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類;ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPともいう。)、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの硫黄系溶剤;などが挙げられるが、アルコール類が望ましい。水よりも沸点の低い有機溶媒を併用すると、流動造粒時に乾燥速度を早め得る。また、負極バインダーの分散性または溶解性が変わり得るため、スラリーの粘度や流動性を分散媒の量または種類に応じて調整可能であるため、生産効率を向上させることができる。
【0138】
前記スラリー調剤するときに使用する分散媒の量は、スラリーの固形分の濃度が通常1~50wt%、または5~50wt%、または10~30wt%の範囲になる量であり得る。
【0139】
前記電極活物質及びバインダーなどを分散媒に分散または溶解する方法または順序は特に限定されず、例えば、分散媒に電極活物質及びバインダーを添加して混合する方法、分散媒にバインダーを溶解または分散させた後、最後に電極活物質を添加して混合する方法などが挙げられる。導電材または添加剤が含まれる場合には、電極活物質の投入時にこれらの成分が投入され得る。混合手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、ストーンミル、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどの混合機器が挙げられる。混合は、例えば、室温~80℃の範囲で10分~数時間行われ得る。
【0140】
次に、前記スラリーを噴霧乾燥する。噴霧乾燥法は、熱風中にスラリーを噴霧して乾燥する方法である。噴霧乾燥法に用いる装置の代表的な例としては、アトマイザーが挙げられる。アトマイザーは、回転円盤方式と加圧方式の二種類の装置がある。回転円盤方式とは、高速回転する円盤のほぼ中央にスラリーを導入し、円盤の遠心力によってスラリーが円盤から離れる際に霧状にして乾燥する方式である。円盤の回転速度は、円盤の大きさに依存するが、通常は5,000~35,000rpm、望ましくは、15,000~30,000rpmである。一方、加圧方式は、スラリーを加圧してノズルから霧状で噴霧して乾燥する方式である。
【0141】
噴霧されるスラリーの温度は、通常は室温であるが、加温して室温以上にしてもよい。噴霧乾燥時の熱風温度は、表面にバインダー含量の高いグラニュール構造を形成するという面で反応器の入口温度を基準にして(投入時)80℃~250℃、望ましくは100℃~250℃に制御され得る。本発明の一実施様態によれば、前記バインダー含量の勾配及びグラニュールの縦横比を考慮して、望ましくは175℃~250℃、より望ましくは180℃~250℃の温度に制御され得る。噴霧乾燥法において、熱風の吸入方法は特に制限されず、例えば、熱風と噴霧方向が横方向に並流する方式、乾燥塔の最上部から噴霧されて熱風と共に下降する方式、噴霧された液滴と熱風が向流接触する方式、噴霧された液滴が最初の熱風と並流した後、重力によって落下して向流接触する方式などが挙げられる。一方、本発明の一実施様態において前記噴霧乾燥時、反応器の出口温度(反応器から排出される熱風温度)は90℃~130℃に制御され得る。
【0142】
出口温度及び/または入口温度と出口温度との差であるΔTが低い場合、乾燥がまともに行われなくて残留溶媒の多い粒子が形成され、均一な形態の球状粒子が作られなく、グラニュールが凝集するか、非定形の状態に作われ得る。一方、入口温度が高すぎてΔTが大きい場合は、過乾燥されてグラニュールが造粒されず、粒径D50が非常に小さくて縦横比が低い形態の粒子が生成され得る。したがって、球形度が高くてバインダーの凝集が少なく、かつ適正の水準に粒子の大きさを制御するためには、入口温度及び出口温度を適切な範囲に制御する必要がある。
【0143】
なお、選択的に噴霧乾燥して得た結果物、即ち、グラニュールの表面を硬化させるために加熱処理してもよく、この際、熱処理温度は通常80℃~300℃であり得る。
【0144】
本発明の一実施形態において、前記集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。前記集電体は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。また、前記集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して活物質の接着力を高めることも可能であり、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。一方、本発明の一実施形態において、前記集電体は10μm~50μmの厚さを有し得るが、
特にこれに限定されるものではない。前記集電体は、例えば、10μm~20μmの厚さを有し得る。
【0145】
本発明の一実施形態において、前記集電体の少なくとも一面に、表面の全部または少なくとも一部を被覆するプライマー層が形成され得る。前記プライマー層は、集電体と電極活物質層との結着力及び電気伝導度の改善のために導入され得る。前記プライマー層は、バインダーと導電材を含んでもよく、前記バインダーと導電材については前述した電極活物質層のバインダーと導電材の内容を援用し得る。
【0146】
本発明の一実施形態において、前記プライマー層は、例えば、バインダー、導電材の他にもこれらを分散させるための分散剤をさらに含み得る。
【0147】
本発明の一実施形態において、前記プライマー層は前述した組成を含み、その厚さが300nm~1.5μm、具体的には700nm~1.3μmであり得るが、これに制限されない。
【0148】
前述した本発明の一面による電極の電極活物質層は、単一層の電極活物質層、及び/または多層から構成されるが、層間界面が水平の直線形態で備えられるとか、または三角形または台形などの他の形状を有するように備えられた電極活物質層と比較してイオン拡散速度が高い効果を奏し得る。または、類似のイオン拡散速度を有する場合、体積当たりの電極容量が向上した効果を奏し得る。
本発明の他面によれば、電極の製造方法が提供される。
【0149】
本発明の他面による電極の製造方法は、集電体の少なくとも一面に電極活物質層を形成する工程を含む。
【0150】
本発明の他面によれば、前記電極活物質層を形成する工程は、次の段階を含む:
(S1)前記集電体の少なくとも一面に複数の第1グラニュールを塗布する段階
(S2)パターンが形成された加圧ロール(roll)を用いて前記塗布された第1グラニュールの表面を加圧して前記第1グラニュールの表面にパターンを形成する第1加圧段階
(S3)前記加圧された第1グラニュールの表面に複数の第2グラニュールを塗布する段階
(S4)前記塗布された第2グラニュールの表面を加圧する第2加圧段階。
前記第1グラニュールは、第1電極活物質及び前記第1電極活物質を結着する第1バインダーを含むものであり、前記第2グラニュールは、第2電極活物質及び前記第2電極活物質を結着する第2バインダーを含むものである。
【0151】
本発明の一実施形態によれば、前記第1グラニュール及び第2グラニュールは、次の少なくとも一つの特性を満たし得る:
1)第1グラニュール及び第2グラニュールの粒子サイズが相異なる第1特性
2)第1グラニュール及び第2グラニュールの組成が相異なる第2特性。
【0152】
前記電極活物質層を形成する工程は、上述した下層領域と、上層領域と、下層領域と上層領域との間に位置する中問層領域と、を含む電極活物質層を形成するための工程である。この際、前記中問層領域は、前記電極活物質層の長手方向に沿って前記第1グラニュールを含む第1単位領域及び前記第2グラニュールを含む第2単位領域がn回交互に配置され、これによって断面が連続的な四角形状を有する界面が形成される。
【0153】
図6は、本発明の一実施形態による電極の製造方法を示したフローチャートである。
【0154】
図6を参照すると、本発明の一実施形態による電極の製造方法は、(a)集電体2に複数の第1グラニュール100を塗布した後、(b)パターンが形成された加圧ロール1000を用いて(c)前記塗布された第1グラニュールの表面を加圧した後、(d)加圧された第1グラニュールの表面に複数の第2グラニュール200を塗布した後、(e)塗布された第2グラニュールの表面を加圧する段階を含む。
【0155】
具体的には、集電体(2)の少なくとも一面に複数の第1グラニュール100を塗布した後、パターンが形成されたロール1000を用いて塗布された第1グラニュールの表面を加圧して前記第1グラニュールの表面にパターンを形成する。この際、第1グラニュールの表面に形成されたパターンは、製造される電極活物質中の中問層領域の界面のプレパターン(pre-pattern)の機能を果たす。
【0156】
従来、集電体に電極活物質を塗布して加圧した後、さらに電極活物質を塗布して加圧する方式で多層電極を製造する方法においては、層間界面を平坦にするために滑らかな表面を有する加圧ロールが使用された。
【0157】
本発明においては、電極活物質層間の界面の表面積を増加させるために、加圧ロールとしてロールの表面にパターンが形成されたロールを用いる。
【0158】
図7には、本発明の一実施形態によって前記S2段階で用いられ得るパターンが形成された加圧ロールの表面写真である。
【0159】
図7の(a)のように、本発明の一実施形態によれば、前記加圧ロールのパターンは中心の棒(rod)からパターンが外部へ突出した突起型であり得る。特に、第1単位領域及び第2単位領域が各々四角形状の断面を有するよう、四角形状の突起パターンが形成されたロールを用い得る。
【0160】
図7の(b)のように、本発明の他の実施形態によれば、前記加圧ロールのパターンは中心の棒からパターンが内部へ凹んだメッシュ型(mesh type)であり得る。
【0161】
本発明の一実施形態において、前記加圧ロールのパターンは、複数の四角形状の突起を含み得る。
【0162】
図8には、本発明の一実施形態によって所定の突出部の幅を有し、円筒状の圧延ロールの長手方向に沿って平行な突起(突出部)を含む加圧ロールの断面の形状が示されている。図8のように、円筒状の加圧ロールの長手方向に沿って平行な突起を有する加圧ロールを用いて、電極の長さ方向(または機械方向(MD))へ凹部及び凸部のパターンを形成し得る。
【0163】
本発明の他の実施形態において、前記円筒状の加圧ロールの長手方向に垂直に円筒状の上面及び下面と平行な方向に沿って平行な突起(突出部)を含む加圧ロールを用いて電極に凹部及び凸部のパターンを形成し得る(図示せず)。この場合、電極の幅方向(または横方向(TD))へ凹部及び凸部のパターンを形成し得る。
【0164】
図8を参照して、前記四角形状の突起は、下記W3、W4及びT3の条件を満たすものであり得る:
d2≦T3
50d2≦W3≦1,000d2
50d1≦W4≦1,000d1。
【0165】
前記W3は、前記突起の突出部の幅(width)であり、前記W4は、2個の突起間の最短直線距離であり、前記T3は、前記突起の突出部の厚さ(thickness)であり、前記d1は、前記第1グラニュールの平均粒径D50であり、前記d2は、前記第2グラニュールの平均粒径D50である。
【0166】
本発明の一実施形態において、前記突起型加圧ロールによって加圧された第1グラニュールの表面には、電極活物質層のうち中問層領域の四角形状のプレパターンが形成される。プレパターンが形成された第1グラニュールの表面に第2グラニュールが塗布されるとき、前記加圧ロールの突出部によって加圧された第1グラニュールの表面には第2グラニュールが塗布されて電極活物質層における中問層領域で第2単位領域を構成し得る。
【0167】
前記のようにプレパターンが形成された第1グラニュールの表面に第2グラニュールを塗布して加圧し、前述した下層領域、中問層領域及び上層領域が形成された電極活物質層が備えられた電極を製造し得る。
【0168】
この際、前記S4の加圧段階では、図6の(e)に示したように、ロールの表面が平坦な一対の圧延ロールを用いて行い得る。
【0169】
本発明の他の実施形態によれば、第2グラニュールを塗布した後、S2段階の加圧時に用いたパターンが形成された加圧ロールを用いてさらに加圧した後、第3グラニュールを塗布する方式で前記電極活物質層内に前述した中問層領域が二枚以上含まれた電極活物質層を製造し得る。
【0170】
その他、前記S1~S4の各段階でグラニュールの塗布工程及び加圧工程の各々の温度及び圧力条件は通常の条件によって遂行可能であり、本発明において特に限定されない。
【0171】
本発明のさらに他面によれば、正極、負極及び前記正極と負極との間に介在された分離膜を含む電極組立体が提供される。
【0172】
図9は、本発明の一面による電極組立体の模式図である。
【0173】
図9を参照すると、前記電極組立体は、中央の分離膜を基準にして分離膜の両面に各々正極及び負極を含んでもよく、前記正極及び負極は各々集電体に形成された活物質層を含んでもよく、前記集電体は、活物質層が形成されていない非塗布部(またはタブ)を含み得る。
【0174】
本発明の一実施形態によれば、前記正極及び負極の少なくとも一つは、集電体を含まない電極であり得る(図示せず)。
【0175】
本発明において、前記正極及び負極の少なくとも一つの電極は前述した電極であって、上層領域、下層領域及び中問層領域を含む電極であることを特徴とする。
【0176】
本発明の一実施形態によれば、図9に示したように、分離膜の上面に位置する電極が負極であり、分離膜の下面に位置する電極が正極であってもよく、逆に、分離膜の上面に位置する電極が正極であり、分離膜の下面に位置する電極が負極であってもよいが、これに限定されない。
【0177】
図10図12には、本発明の一実施形態による電極を含む電極組立体であって、正極及び負極のいずれかの電極が上層領域、下層領域及び中問層領域を含む電極組立体の模式図が示されている。
【0178】
本発明のさらに他面によれば、正極、負極、前記正極と負極との間に介在された分離膜及び電解液を含み、前記正極及び負極の少なくとも一つの電極が前述した電極を含む電気化学素子が提供される。
【0179】
本発明の一実施形態において、前記分離膜及び電解液は、本発明の目的を阻害しない範囲内で通常の電気化学素子に使用可能なものであれば、特に制限なく使用できるので、この具体的な種類については説明を省略する。
【0180】
本発明の一実施形態において、前記電気化学素子の外形は、例えば、コイン型、円筒形、パウチ型または角形などであってもよく、電池の外形は特に制限されない。また、前記電気化学素子は、小型デバイスの電源に使用される電池セルに使用できるだけではなく、複数の電池セルを含む中・大型電池モジュールに単位電池として使用可能であり、その使用形態は特に制限されない。
【0181】
以下、本発明の内容の理解を助けるために、実施例、比較例及び実験例を提示する。但し、下記実験例は、本発明の構成及び効果に関する単なる一実験例であり、本発明の権利範囲及び効果がこれに限定されるものではない。
【0182】
実験例1.界面形状の高さによる充電速度の評価
[電極の製造]
第1グラニュールの準備(下層領域)
電極活物質として人造黒鉛(D50:15μm)95.6wt%、電極導電材としてカーボンブラック(SuperC65)1.0wt%、電極分散剤としてカルボキシメチルセルロース(daicel2200、水溶液形態、固形分濃度1.5wt%)1.1wt%、電極バインダーとして変性スチレンブタジエン共重合体(Grade NameはAX-B119)2.3wt%を分散媒である水と共に混合してホモジナイザーによって粘度が約1000cPs水準のスラリーを製造した。この際、スラリー中の固形分の含量は30wt%であった。前記重量比において、カルボキシメチルセルロースは、固形分を基準にして計算された。
【0183】
製造されたスラリーを熱風と共に噴霧乾燥器の内部へ-40mmHOの圧力範囲の条件で投入して乾燥した。この際、噴霧乾燥器の条件は、入口温度を250℃、出口温度を100℃、回転速度18,000rpmに制御した。前記得られたグラニュールを工業用ふるい用いて150μm以上の粗粉を除去した。前記グラニュールは、複数の電極活物質及び電極導電材を含む中心部と、前記中心部の外側に配置された前記電極活物質と電極導電材とを結着している電極バインダーを含む表面部と、を備えた。得られた第1グラニュールの平均粒径D50は50.1μmであり、縦横比は1.04であった。

第2グラニュールの準備(上層領域)
電極活物質として人造黒鉛(D50:15μm):SiO(D50:6μm) (重量比9:1)の混合物を用いたことを除いては、第1グラニュールと同じ方法によって第2グラニュールを準備した。得られた第2グラニュールの平均粒径D50は48.28μmであり、縦横比は1.01であった。

電極の製造
図6に示した順序に従って次のように電極を製造した。
【0184】
銅集電体(厚さ10μm)の一面に厚さ調節バーを用いて集電体25cm当たり200mgの量で前記で準備した第1グラニュールを均一に散布し、圧延装置を用いてcm当たり0.1tonの圧力、60℃の条件で分当たり2mの速度で加圧した後、加圧された表面に集電体25cm当たり200mgの量で前記で準備した第2グラニュールを均一に散布した後、表面が滑らかなロールを備えた圧延装置を用いてcm当たり0.5tonの圧力、60℃の条件で分当たり2mの速度で加圧して電極を製造した。
【0185】
この際、使用した加圧ロールの断面模式図を図8に示しており、円筒形ロールの長手方向へ断面に現われた突出部が同じ幅を有して平行に形成された加圧ロールを用いた。突出部の幅は一定に維持し、突出部の厚さを異にして中問層領域の界面の形状が相異なる3個の電極を製造し、3個の電極の模式図を図10(実施例1)、図11(実施例2)及び図12(実施例3)に各々示した。
【0186】
図10図12の電極は、全長509.5mm、幅93.3mm、第1単位領域と第2単位領域が30回交互に配置されるように形成し、第1単位領域及び第2単位領域の厚さT1、T2は各々3μm(図10、実施例1)、27μm(図11、実施例2)、54μm(図12、実施例3)になるように製造した。
【0187】
下層領域と上層領域との界面の形状が直線形状である電極との効果を比較するために、比較例1として表面に突出部なく扁平な(flat)通常の加圧ロールを備えて圧延した電極を準備した。加圧ロールの形状が異なることを除いては、前述した方法と同じ方法で電極を製造した。
【0188】
[物性評価]
前記製造した電極(負極)にポリエチレン多孔質膜を挟んで基準正極と接触して加圧した後、電解液に浸漬して各々0.5C及び1Cの速度で充電してSOC100%状態に到達するまでかかる時間を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0189】
また、各々の電極の抵抗値を比較評価するために、2.5Cで30秒間電流を印加してV=IRによる抵抗値を計算して下記表1に共に示した。
【0190】
【表1】

前記表1の結果から、実施例3>実施例2>実施例1の順に充電容量の改善効果があることを確認した。このことから、電池容量の向上に動的(kinetic)な面で有利なグラニュールが上層部に配置され、中問層領域の界面を介してリチウムの伝達がより容易になることで抵抗を増加させなくても電池の最終充電容量の改善された効果を奏することを確認した。
【0191】
特に、中問層領域に平行な界面を有する場合、充電容量が劣り、抵抗値も増加することが確認された。

実験例2.単位領域の幅(交互回数n)による充電速度の評価
電極の長さを維持し、第1単位領域及び第2単位領域の幅W1、W2を異にして第1単位領域と第2単位領域の交互回数nを異にして電極を準備した後、実験例1と同じ方法によって0.5C、1C及び2Cの速度で充電してSOC100%状態に到達するまでかかる時間を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0192】
また、各々の電極の抵抗値を比較評価するために、2.5Cで30秒間電流を印加してV=IRによる抵抗値を計算し、下記表2に共に示した。
【0193】
【表2】
前記表2の結果から、nが20であるとき、0.5C~2Cの速度で充電する場合に充電時間が最も高いことから、電極の最終充電容量の面で最も優秀であることを確認した。特に、nの数が変わっても抵抗値が大きく変わらないことから、本発明による電極は抵抗値を増加させないまま、電極容量を向上させることができることを確認した。
【符号の説明】
【0194】
1 電極活物質層
2 集電体
10 下層領域
20 上層領域
30 中間層領域
100 第1グラニュール
200 第2グラニュール
301、301’ 第1単位領域
302、302’ 第2単位領域
310 界面
1000 パターンの形成された加圧ロール
2000、3000 圧延ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】