(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】圧力スリーブを有する回転ユニオン
(51)【国際特許分類】
F16L 27/087 20060101AFI20250212BHJP
F16J 15/34 20060101ALI20250212BHJP
F16J 15/32 20160101ALI20250212BHJP
F16L 39/06 20060101ALI20250212BHJP
F16L 17/02 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F16L27/087
F16J15/34 Z
F16J15/32
F16L39/06
F16L17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544409
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 US2023010596
(87)【国際公開番号】W WO2023146757
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524023963
【氏名又は名称】デユブリン カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペトロウ,アントン エー.
【テーマコード(参考)】
3H014
3H104
3J041
3J043
3J106
【Fターム(参考)】
3H014AA09
3H104JA04
3H104JB02
3H104JB04
3H104JC10
3H104LE03
3H104LE07
3H104LF10
3J041AA01
3J041BA09
3J041BD06
3J043AA16
3J043BA06
3J043CA01
3J043HA02
3J106FA05
(57)【要約】
回転ユニオンは、ボアを形成する非回転構成要素と、ボア内に摺動可能に配設された、非回転シールキャリアと、を含む。圧力スリーブは、非回転構成要素と非回転シールキャリアとの間でボア内に摺動可能に配設される。非回転シール部材は、非回転シールキャリア上に配設され、回転シールキャリアは、上部に回転シール部材が配設されている。回転シール部材は、非回転シールキャリアが流圧の存在下で回転シールキャリアに向かって摺動するときに非回転シール部材と回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、非回転シール部材に対して対向関係で配設される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアを形成する非回転構成要素と、
前記ボア内に摺動可能に配設された非回転シールキャリアと、
前記非回転構成要素と前記非回転シールキャリアとの間で前記ボア内に摺動可能に配設された圧力スリーブと、
前記非回転シールキャリア上に配設された非回転シール部材と、
回転シールキャリアと、を備え、
前記回転シールキャリアは、当該回転シールキャリア上に配設された回転シール部材を有し、
前記回転シール部材は、前記非回転シールキャリアが流圧の存在下で前記回転シールキャリアに向かって摺動するときに前記非回転シール部材と前記回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、前記非回転シール部材に対して対向関係で配設されている、回転ユニオン。
【請求項2】
前記ボアに沿って形成された第1のチャネル内に配設された第1のラジアルシールと、
前記非回転シールキャリアの外面に沿って形成された第2のチャネル内に配設された第2のラジアルシールと、を更に備え、
前記第1のラジアルシールは、前記非回転構成要素と前記圧力スリーブとの間に摺動シールを形成しており、
前記第2のラジアルシールは、前記非回転シールキャリアと前記圧力スリーブとの間に摺動シールを形成している、請求項1に記載の回転ユニオン。
【請求項3】
前記第1のラジアルシール及び前記第2のラジアルシールに隣接して、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内に配設されたシールリテーナを更に備える、請求項2に記載の回転ユニオン。
【請求項4】
円筒形ボアを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記円筒形ボア内に回転可能に支持されたシャフトと、を更に備え、
前記円筒形ボアは、前記ハウジングの本体を通って延在し、実質的に直線状であり、前記非回転構成要素は、前記ハウジングの前記円筒形ボア内に配設されたキャリッジであり、
前記回転シールキャリアは、前記シャフトと共に回転するように回転可能に係合された環状プレートである、請求項1に記載の回転ユニオン。
【請求項5】
前記非回転構成要素、前記非回転シールキャリア、前記圧力スリーブ、前記非回転シール部材、及び前記回転シールキャリアは、一緒になってシール段を画定し、
前記ハウジングは、複数のシール段を積み重ねられた関係で更に含んで多流路回転ユニオンを画定している、請求項4に記載の回転ユニオン。
【請求項6】
前記圧力スリーブは、
前記ボアと前記非回転シールキャリアとの間に摺動シール関係で配設された円筒部と、
前記非回転シール部材に隣接して配設された肩部と、を含む、請求項1に記載の回転ユニオン。
【請求項7】
前記圧力スリーブは、前記流圧が前記非回転シールキャリアに対して内部に存在するときに前記肩部が前記非回転シールキャリアの一部に当接するように、動水力又は空気力下で摺動するように構成されている、請求項4に記載の回転ユニオン。
【請求項8】
円筒形ボアを有するハウジングであって、前記円筒形ボアは前記ハウジングの本体を通って延在し実質的に直線状である、ハウジングと、
前記ハウジングの前記円筒形ボア内に回転可能に支持されたシャフトと、
ボア及び径方向流路を形成するキャリッジであって、前記キャリッジは前記ハウジングの前記円筒形ボア内にシールされた関係で配設されている、キャリッジと、
前記ボア内に摺動可能に配設された非回転シールキャリアと、
前記キャリッジと前記非回転シールキャリアとの間で前記ボア内に摺動可能に配設された圧力スリーブと、
前記非回転シールキャリア上に配設された非回転シール部材と、
回転シールキャリアと、を備え、
前記回転シールキャリアは、当該回転シールキャリア上に配設された回転シール部材と、追加の径方向流路と、を有し、
前記非回転シールキャリアは、前記シャフトと共に回転するように係合されており、
前記回転シール部材は、前記非回転シールキャリアが流圧の存在下で前記回転シールキャリアに向かって摺動するときに前記非回転シール部材と前記回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、前記非回転シール部材に対して対向関係で配設されて、前記径方向流路と前記追加の径方向流路との間に延在する、シールされた流体通路を設けている、多媒体用回転ユニオン。
【請求項9】
前記ボアに沿って形成された第1のチャネル内に配設された第1のラジアルシールであって、前記第1のラジアルシールは、前記キャリッジと前記圧力スリーブとの間に摺動シールを形成している、第1のラジアルシールと、
前記非回転シールキャリアの外面に沿って形成された第2のチャネル内に配設された第2のラジアルシールであって、前記第2のラジアルシールは、前記非回転シールキャリアと前記圧力スリーブとの間に摺動シールを形成している、第2のラジアルシールと、を更に備える、請求項8に記載の多媒体用回転ユニオン。
【請求項10】
前記第1のラジアルシール及び前記第2のラジアルシールに隣接して、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネル内に配設されたシールリテーナを更に備える、請求項9に記載の多媒体用回転ユニオン。
【請求項11】
前記回転シールキャリアは、前記シャフトと共に回転するように回転可能に係合された環状プレートである、請求項9に記載の多媒体用回転ユニオン。
【請求項12】
前記圧力スリーブは、
前記ボアと前記キャリッジとの間に摺動シール関係で配設された円筒部と、
前記非回転シール部材に隣接して配設された肩部と、を含む、請求項8に記載の多媒体用回転ユニオン。
【請求項13】
前記圧力スリーブは、前記流圧が前記径方向流路内に存在するときに前記肩部が前記非回転シールキャリアの一部に当接するように、動水力又は空気力下で摺動するように構成されている、請求項12に記載の多媒体用回転ユニオン。
【請求項14】
前記ハウジングの前記円筒形ボアに沿って交互に配設された、複数のキャリッジ及び複数の非回転シールキャリアを更に備え、
前記複数のキャリッジ及び前記複数の非回転シールキャリアのそれぞれは、上部にそれぞれの非回転シール部材及び回転シール部材を有して、前記ハウジングに沿ってそれぞれの摺動メカニカル面シールを画定している、請求項8に記載の多媒体用回転ユニオン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2022年1月26日に出願された米国特許仮出願第63/303,434号の利益を主張するものであり、参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は回転ユニオンに関し、より具体的には、多数の流路を有する回転ユニオンに関する。
【背景技術】
【0003】
多数の流路を有する回転ユニオンは、回転機械構成要素と非回転機械構成要素との間にシールされた流体通路又はシール可能な流体通路を形成することで知られている。それらの典型的な複雑さに起因して、多流路回転ユニオンは、多くの場合、摩耗、又はいくつかの事例では、不完全な又は不正確なデバイスの組み立てに起因して漏出する傾向にある。更に、そのようなユニオンの修理に関連する複雑な組み立てプロセス又は分解プロセスは、時間がかかり、費用のかかる作業を生じさせる。
【0004】
典型的な回転ユニオンは、ユニオンの媒体チャネルとハウジング又はボアとの間にシールを有する非回転シールキャリアを含み、非回転シールキャリアは、ハウジング又はボア内に摺動可能かつシール可能に配設される。回転ユニオンの一例は、Fordらの米国特許第7,815,224号(以下、「Ford」)に見ることができる。Fordに記載されているように、回転ユニオンは、典型的にはバランス比を有し、バランス比は、回転シールと非回転シールとの間でシール面に、シールされた内部圧力によって加えられる平均負荷の比として定義され、代数的にB=Pf/Pとして表すことができ、式中、Pfは、一次シールアセンブリのシール面にかかるシール圧力、すなわち、回転シール部材と非回転シール部材との間で界面に沿って作用するシール圧力であり、Pは、ユニオンの媒体チャネル内に存在するシール圧力である。
【0005】
Fordのデバイスでは、非回転シールキャリアがシール係合位置とシール非係合位置との間を移動するときに非回転シールキャリアを摺動可能にシールするために使用されるシールはUカップシールとして示されており、これは、シールの凹面に圧力が加えられたときに有効なシールを設けるのに有効であることが分かる。しかしながら、このようなシールは、圧力がシールの両側に加えられる場合、すなわち、回転ユニオンが外部加圧だけでなく内部加圧の状態でも動作している場合には有効ではない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、独立型デバイス、又は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年10月5日に出願された同時係属中の米国特許出願第16/152,749号に記載のユニオンなどの多流路回転ユニオンの一部、として使用される回転ユニオンに関する。本開示による回転ユニオンでは、ハウジングは、モジュール式アセンブリのユニオンを可能にする略直線状のボアを形成する。これは、既知の回転ユニオン構成に対する改善である。回転ユニオン構成要素は、ハウジングに対して回転しないように構成されており、少なくとも1つの非回転シールキャリアとハウジングとの間に配設された中間カラーを含む、1つ以上の摺動シールキャリアを含む。一対のシールが中間カラーの両側に配設される。カラー及びシールは、非回転シールキャリア上に配設された非回転シール部材又はシールリングと、回転シールキャリア上に配設された、対応する回転シールキャリア又はシールリングとの間に形成されたメカニカル面シールを相応に開閉する開閉水圧面又は開閉空気圧面を画定することに関与する。中間リングは、一対のシールの間で軸方向に移動して、特定の状況下でシールリングを一緒に押す傾向がある、少なくとも追加の閉鎖力を与える。本開示による回転ユニオンは、有利には、流圧の内部印加又は外部印加下で動作するように構成されている(configured)か、又は構成されている(arranged)。
【0007】
一態様では、本開示は回転ユニオンについて説明する。回転ユニオンは、ボアを形成する非回転構成要素と、ボア内に摺動可能に配設された、非回転シールキャリアと、を含む。圧力スリーブは、非回転構成要素と非回転シールキャリアとの間でボア内に摺動可能に配設される。非回転シール部材は、非回転シールキャリア上に配設され、回転シールキャリアは、回転シールキャリア上に回転シール部材が配設されている。回転シール部材は、非回転シールキャリアが流圧の存在下で回転シールキャリアに向かって摺動するときに非回転シール部材と回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、非回転シール部材に対して対向関係で配設される。
【0008】
別の態様では、本開示は、多媒体用回転ユニオンについて説明する。多媒体用回転ユニオンは、円筒形ボアが本体を通って延在するハウジングであって、円筒形ボアは実質的に直線状である、ハウジングと、ハウジングの円筒形ボア内に回転可能に支持されたシャフトと、を含む。キャリッジは、ボア及び径方向流路を形成し、ハウジングの円筒形ボア内にシールされた関係で配設される。非回転シールキャリアは、ボア内に摺動可能に配設される。圧力スリーブは、キャリッジと非回転シールキャリアとの間でボア内に摺動可能に配設される。非回転シール部材は、非回転シールキャリア上に配設され、回転シール部材を有する回転シールキャリアは、非回転シールキャリア上に配設されて、追加の径方向流路を形成する。非回転シールキャリアは係合されて、シャフトと共に回転する。回転シール部材は、非回転シールキャリアが流圧の存在下で回転シールキャリアに向かって摺動するときに非回転シール部材と回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、非回転シール部材に対して対向関係で配設されて、径方向流路と追加の径方向流路との間に延在する、シールされた流体通路を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示による多流路回転ユニオンの前方から見た概略図である。
【
図2】本開示による多流路回転ユニオンの後方から見た概略図である。
【
図3】
図1及び
図2に示された多流路回転ユニオンの断面図である。
【図面の詳細な説明】
【0010】
本明細書に記載の例示的な実施形態では、多チャネル回転ユニオンは、円筒形ボアが本体を通って延在するハウジングを含み、円筒形ボアは実質的に直線状である。回転ユニオンは、円筒形ボア内に回転可能に取り付けられたシャフトを更に含み、シャフトは、ボアの中心線に沿って延在する長手方向軸を有する。複数の環状プレートがシャフトに取り付けられ、複数の環状プレートは、長手方向軸に沿って一定間隔で互いに離間され、複数の環状プレートのそれぞれは、ボア内でシャフトから径方向距離を延在し、内部を通って延在する径方向流路を有し、複数の環状プレートは、シャフトと共に回転するように回転可能かつシール可能に係合される。複数のスプールは、複数の環状プレートの間に交互に配設される。複数のスプールは、円筒形ボアにシール可能に係合し、シャフトと共に回転しないようにハウジングによって軸方向に拘束される。複数のスプールのそれぞれは、複数の環状プレートからの2つの隣接する環状プレートの間に配設され、対応する摺動シールキャリアを含み、この摺動シールキャリアは、ボアの中心線に沿って一方向又は他方向に軸方向に移動して、摺動シールキャリアによって担持されたシールリングと、シールキャリアに面する、隣接した環状プレートの片側との間で対応するメカニカルシール面に対して係合及び係合解除を行う。
【0011】
回転ユニオン100の前方及び後方から見た概略図がそれぞれ
図1及び
図2に示されている。ユニオン100の内部の一部の拡大断面図が
図3に示されている。図示された実施形態における回転ユニオン100は、8つの流体通路を含むが、そのモジュール式構造は、単一の流体通路を有するユニオンなど8よりも少ない、又は多い流路を有する回転ユニオンに好適であることを理解されたい。ここに示される多流路ユニオン100において、ユニオンを通って延在する各流体通路(複数の流体通路が存在する場合)は、以下の段落で説明されるように、対応するメカニカル面シール構成を有することを理解されたい。
【0012】
図に示される例示的な実施形態に示されるように、回転ユニオン100は、ロータシャフト104を取り囲むハウジング102を含み、ロータシャフト104は、図示される残りの構造を不明瞭にしないように、
図3の断面において部分的に、断面で見ることができる。一般的に言えば、ロータシャフト104及びシャフトに結合された任意の関連構造体は、ハウジング102及びハウジングに関連するか、又は概して結合された構造体に対して回転するように構成されている。ロータシャフト104及びハウジング102を通って延在する流体通路は、ユニオン100が、内部を通る、シールされた、又はシール可能な流体通路を流体に提供することができるように、それぞれの回転機械部品及び非回転機械部品に接続される。既知の方法では、ユニオン100内で動作するシール構成が、回転しているか否かにかかわらず、流体通路の一部へのシール可能な接続を提供する。図示の実施形態では、ロータシャフト104は、一端でフランジ108(
図1)に接続されており、このフランジは、回転ユニオン100を通って延在する様々な流体通路に流体インターフェースを提供する。ハウジング102はまた、流体インターフェース、すなわち流体ポート120、152、又は160を提供する。シャフト上の流体インターフェースはハウジング上の流体インターフェースに接続可能であり、動作中にそれらの間で流体接続を連通させる。ユニオン内部の流体通路の回転部分と非回転部分との間でのシールの形成は、圧力下の流体が流路の回転部分又は非回転部分のいずれかに導入されたときに自動的に行われるように構成されている。これらの流体通路は、以下で更に詳細に説明されるように、ユニオンを通って延在し、回転可能なロータシャフト104とハウジング102との間に取り付けられた構成要素の摺動界面に沿って形成された摺動メカニカル面シールを使用することによって、互いから、及び環境から流体的に隔離されている。
【0013】
図示の実施形態では、フランジ108は、フランジ108の後面112上の回転軸110の周りに構成された1つ以上の回転流体ポートを含む。構成は対称であっても非対称であってもよい。フランジ108の形状は、回転機械構成要素(図示せず)に接続するために構成された円形状を有する平坦なプレートとして示されている。フランジ108は、ユニオン100の様々な機械への接続を容易にする位置に配設された、様々な他の流路及び流体ポートを含むようにする柔軟性又は機会を提供する。例えば、フランジ108上の回転流体ポートのそれぞれは、回転流体ポートに対して径方向外向きに配設された、軸方向に延在するポート116を有するハウジングに、及び/又はフランジ108の外周に沿って配設された、径方向に面する流体ポート120に内部で接続することができる。これら及び他の構成により、回転機械構成要素の流体通路をユニオン100に柔軟かつ便利に接続することが可能になる。
【0014】
例えば、ラジアルシール(図示せず)又は任意の他の種類のシール又はガスケットを収容するシール溝122を、ユニオン100の後部のフランジ108の平坦面、並びにフランジ、したがってユニオン100を回転機械構成要素(図示せず)に取り付けるための取り付け穴124に組み込むこともできる。ハウジング102は、中空円筒に積み重ねられたセグメント142からなる。フランジ108内の回転ポートは、ハウジング102内に形成された、対応する非回転流体ポート152に流体接続可能である。
【0015】
ここで特に
図3を参照すると、シャフト104がハウジング102(その一部が示されている)を通って延在することが分かる。ハウジング102は、構成要素が内部に取り付けられるボア204を形成する、略中空円筒形の外側シェル、すなわちハウジング202を含み得る。示されるように、シェル202内には、シェル202と回転不能に係合されるキャリッジ206が含まれる。キャリッジ206は、周方向に延在するチャネル208と、1つ以上の径方向に延在するチャネル210と、を含む。1つ以上の径方向に延在するチャネル210は、キャリッジ206の内部の環状に延在する媒体チャネル212をボア204の内部と流体接続し、それにより、流体を、例えば、ハウジング102内のポート152、120、又は160を通して移送することができる。シール、例えばラジアルシール(図示せず)を、周方向に延在するチャネル208内に配置して、媒体チャネル212内に存在する流体を、同じ又は隣接するキャリッジ206内の隣接するチャネル内に存在し得る流体からシールすることができる。ユニオン100を完全に組み立てるときに、積み重ねられた順序でキャリッジ206を組み立てることによって、ユニオン100を通る、2つ以上の流体経路を作り出すことができる。
【0016】
各キャリッジは、その内側部分に沿って1つ以上のシールチャネル214を含む。図示されるように、第1のシールチャネル214(符号なし)は、その内部にシール216を収容する。第2のシールチャネル214は、同一キャリッジ206内に収容された第2の回転ユニオン構成(図示せず)のために第2のシール216をその内部に収容するように構成されている。シールチャネル214は、媒体チャネル212の両側に配設される。各シールチャネル214は、環状シールリテーナ218が軸方向の両側に位置するラジアルシール216を含む。シールリテーナ218は、図示の実施形態ではОリングであるシール216の適切な圧縮を確実にし、ユニオン100の動作中の運動又は圧力印加条件下でのシール216の変形を低減する。
【0017】
外側ラジアルシール216は、圧力スリーブ220に対してシールするように配設され、図示の実施形態では、円筒部222と、フランジ部、すなわち肩部224と、を含む略中空円筒形状を有する。肩部224は、キャリッジ206の一部に形成された内側停止面226に接して、機械的停止部として一方向に作用する。円筒部は、中心線110に垂直な径方向に厚さt(
図4を参照)を有する。圧力スリーブ220は、カートリッジ206によって形成されたボア内に摺動可能に配設され、また、円筒部222の外周及び円筒面と外側ラジアルシール216との接触を介して摺動するときにシール可能に配設される。
【0018】
非回転シールキャリア228は、円筒部222の内周及び円筒面内に摺動可能かつシール可能に配設される。非回転シールキャリア228は、2つの環状シールリテーナ232によってフランジが付けられた内側非回転ラジアルシール230を収容する、周方向に延在するチャネルを含む。外側非回転ラジアルシール216と同様に、内側非回転ラジアルシール230では、リテーナ232による摺動運動又は圧力印加による過度の変形が防止される。非回転シールキャリア228は、媒体チャネル212の一部を形成し、媒体チャネル212に対して流体的に開放されている内部ボア234を含む。非回転シールキャリア228は、キャリッジ206に形成されたポケット238内に配設された、1つ以上の径方向に延在するキー236を更に含み、非回転シールキャリア228がキャリッジ206に対して、ひいては外側シェル202及びハウジング102全体に対して回転することを防止する。
【0019】
非回転シールキャリア228は、非回転シール部材240を更に支持し、非回転シール部材240は、断面が略矩形状を有するシール本体部242を含み、シール部材240の外面の周りを周方向に延在する隆起部244を形成する。これに関連して、シール部材の外面は、キャリッジ206内のキャリア228の軸方向運動の方向に外向きに、シールキャリア228から離れる方向に面する本体部分の表面である。図示の実施形態では、非回転シール部材240は、非回転シールキャリア228が(
図3に示される向きで右に向かって)伸長位置にあるとき、回転シールキャリア248上に配設される回転シール部材246に当接するように構成されている。
【0020】
回転シール部材246と非回転シール部材240との間での当接接触は、隆起部244と回転シール部材246の露出面との間に摺動メカニカル面シールを形成して、メカニカル面シールの内部及び/又は外部に存在する流体をシールする。キャリッジ206と同様に、非回転シールキャリア248は、径方向に延在する流路250を含み、2つの軸方向に対向するシールリングチャネル252内で、図示のように、2つ以上の回転シール部材246を対向する面上で支持するように構成され得る。回転シールキャリア248は、シャフト104上に係合され、シャフト104と共に回転するように構成される。シャフト内に形成された流体通路(図示せず)は、流路250に流体的に接続されて、動作中に加圧媒体が存在する状態で、ハウジング202内に形成された、シールされたチャンバと、非回転シール部材240と回転シール部材246との間に形成された、係合したメカニカル面シールとの間で流体を通過させる。
【0021】
2つの動作状態及び位置における回転シール部材及び非回転シール部材の概略図が
図4及び
図5に示されている。これらの図では、先に説明した対応する構造体及び特徴と同じであるか、又は類似の構造体及び特徴は、簡略化及び説明のために同じ参照番号によって示されている。
図4に示される動作状態では、加圧流体又は媒体が、メカニカル面シールの外部、すなわち、ハウジング202(
図2)内であるが、媒体チャネル212の外部に提供される。この動作状態では、(液体又は気体である流体の性質に応じて)開閉水圧面又は開閉空気圧面が、非回転シールキャリア228、キャリッジ206、及び圧力スリーブ220の表面に作用する。より具体的には、圧力分布300は、非回転シール部材244と回転シール部材246(説明のために、
図3及び
図4の破線輪郭に示される)との間で摺動接触の界面302に沿って存在する環状面に沿って開方向(
図4に示されるように左)に作用する。
図4に示されるように、分布300の径方向外方縁部における圧力は最大であり、外部から加えられる流体の圧力Pに等しい。次いで、圧力は、最大値Pから内圧値pまで界面302に沿って減少し、内圧値pは、大気圧であり得るか、又はPよりも低い(p<P)別の圧力であり得る。分布300の形状は、液体に適用される線形として示されているが、ガス又は高粘度を有する液体など他の種類の流体に対しては、例えば対数又は多項式など別の形状をとり得る。
【0022】
正味開水圧面領域304は、非回転シールキャリア228を開方向に(
図4の左に向かって)押すように作用する正味圧力が印加される、存在する全構造体の圧力不均衡面の総面領域として定義することができる。同様に、正味閉水圧面領域306は、非回転シールキャリア228を閉方向に(
図4の右に向かって)押すように作用する正味圧力が印加される、存在する全構造体の圧力不均衡面の総面領域として定義することができる。
【0023】
図4に見られるように、正味閉領域306は正味開領域304よりも小さいが、それに作用する圧力は大きい(すなわち、閉領域全体に作用する圧力Pを有する圧力分布のプロファイルが存在する)。これは、内圧pよりも大きい外圧Pが存在する場合、外圧Pの存在下では、非回転シールキャリア228及び圧力スリーブ220に対する閉方向の正味力が、それらを閉方向(
図4の向きでは左)に押す傾向があり、その結果、非回転シール部材244及び回転シール部材246が係合してメカニカル面シール302を形成することを意味する。
【0024】
示されるように、正味閉領域306は、正味開領域304の約75%である。このため、開領域304の約25%が残り、シール部材が当接し、メカニカル面シール302が形成されるまで、非回転シールキャリア228及び圧力スリーブ220の組み合わせを閉方向に付勢する。
図4に示される構造体の構成では、正味閉領域306は、主に圧力スリーブ220によって形成され、より具体的には、円筒部222の厚さt及び円筒部222の外面とキャリッジ206の内側ボア面との間のギャップ厚さによって形成されることが分かる。ラジアルシール216及び230は、圧力スリーブ220の円筒部222の両側で外部から加圧され、図示のように内側(左側)リテーナ218に接して変形し得る。有利には、メカニカル面シール302が形成されるときの閉方向(右)への非回転シールキャリア228の運動は、非回転シールキャリア228と圧力スリーブ220との間で分割され、これにより、ラジアルシール216及び230がさらされる摺動運動全体が低減され、摩耗を低減し、シールリングが回転する傾向も低減する。
【0025】
図5に示される動作状態では、加圧流体又は媒体は、メカニカル面シールの内部、すなわち、キャリッジ206及び非回転シールキャリア228の内部の媒体チャネル212(
図2)内に提供される。この動作状態では、外圧状態(
図4)と同様に、(液体又は気体である流体の性質に応じて)開閉水圧面又は開閉空気圧面が、非回転シールキャリア228、キャリッジ206、及び圧力スリーブ220の表面に作用する。
【0026】
より具体的には、圧力分布300’は、メカニカル面シール302界面に沿って開方向(
図4に示されるように左)に作用する。
図5に示されるように、分布300’の径方向内方縁部における圧力は最大であり、外部から加えられる流体の圧力Pに等しい。次いで、圧力は、最大値Pから外圧値pまで界面302に沿って減少し、外圧値pは、大気圧であり得るか、又はPよりも低い(p<P)別の圧力であり得る。分布300’の形状は、ここでも液体に適用される線形として示されているが、ガス又は更には高粘度を有する液体など他の種類の流体に対しては、例えば対数又は多項式など別の形状をとり得る。
【0027】
正味開水圧面領域304’は、非回転シールキャリア228を開方向に(
図5の左に向かって)押すように作用する正味圧力が印加される、存在する全構造体の圧力不均衡面の総面領域として定義することができる。同様に、正味閉水圧面領域306’は、非回転シールキャリア228を閉方向に(
図4の左に向かって)押すように作用する正味圧力が印加される、存在する全構造体の圧力不均衡面の総面領域として定義することができる。
【0028】
図5に見られるように、正味開領域304’は正味閉領域306’よりも大きい。
図4に示される状態と同様に、閉領域306’に作用する総圧力は、その面にわたって一定であり、したがって、圧力分布は、大きさPを有する正味閉領域306’にわたって一定である。正味開領域に作用する圧力は、例えば、三角形又は別の形状のプロファイルを有する分布300’に従う。例えば、分布が三角形である場合、分布によって印加される正味力は、圧力Pの一定の印加に対する力よりも低いか、又は約1/2である。正味閉領域306’が小さい、例えば正味開領域304’の75%又は他の値などであっても、正味閉力は、非回転シールキャリア228、そしてまた圧力スリーブ220の両方に作用し、非回転シールキャリア228の肩部を延ばして押し、全体として正味開力よりも大きい。
【0029】
一例では、閉領域が開領域の75%であるが、圧力分布(例えば、三角形)が開領域に適用されると仮定すると、開領域は、圧力分布が開領域にわたって均一であれば、その全体の50%となり、これは、全体として、閉方向に25%の力の優位性があることを意味する。したがって、非回転シールキャリア228に作用する正味閉力は、非回転シールキャリア228及び圧力スリーブ220を閉方向に付勢し、その結果、非回転シール部材244及び回転シール部材246が係合して、メカニカル面シール302を形成する。
【0030】
図5に示される動作状態では、正味閉領域306’は、主に圧力スリーブ220によって形成され、より具体的には、シール216と230との間で圧力にさらされる円筒部222の厚さt及び円筒部222の内面とシール230の周りの非回転シールキャリア228の外面との間のギャップ厚さによって形成されることが分かる。この状態では、圧力スリーブ220のフランジ部、すなわち肩部224はまた、非回転シールキャリア228を閉方向(図の右側)に押す。ラジアルシール216及び230は、圧力スリーブ220の円筒部222の両側で内部から加圧され、図示のように外側(右側)リテーナ218に接して変形し得る。有利には、メカニカル面シール302が形成されるときの閉方向(右)への非回転シールキャリア228の運動は、非回転シールキャリア228と圧力スリーブ220との間で分割され、これにより、ラジアルシール216及び230がさらされる摺動運動全体が低減され、摩耗を低減し、シールリングが回転する傾向も低減する。
【0031】
本開示による1つの例示的な実施形態では、本開示は、ボアを形成する非回転構成要素と、ボア内に摺動可能に配設された非回転シールキャリアと、非回転構成要素と非回転シールキャリアとの間でボア内に摺動可能に配設された圧力スリーブと、非回転シールキャリア上に配設された非回転シール部材と、回転シールキャリアと、を含む回転ユニオンについて説明する。回転シールキャリアは、当該回転シールキャリア上に配設された回転シール部材を有し、流圧の存在下で非回転シールキャリアが回転シールキャリアに向かって摺動するときに非回転シール部材と回転シール部材との間に摺動メカニカル面シールが形成されるように、回転シール部材が非回転シール部材に対して対向関係で配設される。
【0032】
説明したように、回転ユニオンは、ボアに沿って形成された第1のチャネル内に配設され、非回転構成要素と圧力スリーブとの間に摺動シールを形成する、第1のラジアルシールと、非回転シールキャリアの外面に沿って形成された第2のチャネル内に配設され、非回転シールキャリアと圧力スリーブとの間に摺動シールを形成する、第2のラジアルシールと、を含む。回転ユニオンは、第1のラジアルシール及び第2のラジアルシールに隣接して、第1のチャネル及び第2のチャネル内に配設されたシールリテーナを更に備え得る。
【0033】
一実施形態では、回転ユニオンは、円筒形ボアが本体を通って延在するハウジングであって、円筒形ボアは実質的に直線状であり、非回転構成要素は、ハウジングの円筒形ボア内に配設されたキャリッジである、ハウジングと、ハウジングの円筒形ボア内に回転可能に支持されたシャフトであって、回転シールキャリアは、シャフトと共に回転するように回転可能に係合された環状プレートである、シャフトと、を更に含む。回転ユニオンは、多媒体用回転ユニオンのハウジング内に積み重ねられた関係で複数のメカニカル面シール構成を更に含み得る。
【0034】
一実施形態では、圧力スリーブは、ボアと非回転シールキャリアとの間に摺動シール関係で配設された円筒部と、非回転シール部材に隣接して配設された肩部と、を含み、圧力スリーブは、流圧が非回転シールキャリアに対して内部に存在するときに肩部が非回転シールキャリアの一部に当接するように、動水力又は空気力下で摺動するように構成されている。
【0035】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許など全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」並びに類似の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包むと解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストが続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(A又はB)、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個別に言及する簡易な方法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個別に引用されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で提供される任意及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0037】
本発明者らに既知の本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読んだ当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを予想しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されているものとは別の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載されている主題の、適用法によって許容されるあらゆる修正及び均等物を含む。更に、上述した要素の全ての可能な変形での任意の組み合わせが、本明細書において別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【国際調査報告】