(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】Zピンチプラズマ閉じ込めシステムのための原位置での再生可能電極
(51)【国際特許分類】
H05H 1/04 20060101AFI20250212BHJP
G21B 1/05 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H05H1/04
G21B1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544541
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2023061196
(87)【国際公開番号】W WO2023147316
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523445553
【氏名又は名称】ザップ エナジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、マシュー コリン
(72)【発明者】
【氏名】レビット、ベンジャミン ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA21
2G084CC23
2G084DD17
2G084FF04
2G084FF11
2G084FF38
(57)【要約】
様々な電極組成物及び構成を利用するZピンチプラズマ及び他のプラズマ閉じ込めのための方法及びシステムが提供される。一実施例では、プラズマ閉じ込めシステムは、複数の電極であって、複数の電極の各電極は、プラズマ閉じ込めシステムのアセンブリ領域に対して同軸に配設されており、かつアセンブリ領域に曝露されるように位置付けられている、複数の電極を含み、複数の電極のうちの1つ以上の電極は、閾値温度を超えて水素ガスを放出する電極材料を含む。追加的又は代替的な実施例では、プラズマ閉じ込めシステムは、ノーズコーン及び液体金属を含む電極体を含み、液体金属の一部分は、プラズマ閉じ込めシステムの動作中にノーズコーンの表面とノーズコーンの外部との間に保護フィルムを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ閉じ込めシステムであって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
電極体と、を備え、前記電極体が、
前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられているノーズコーンと、
液体金属源に流体連結されている内部貯蔵部であって、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に液体金属を前記内部貯蔵部に供給する、内部貯蔵部と、
前記内部貯蔵部を前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結するように、前記ノーズコーンの表面へと延在している複数の内部液体流チャネルと、を備える、プラズマ閉じ込めシステム。
【請求項2】
前記液体金属の第1の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記ノーズコーンの前記表面と前記プラズマ閉じ込めチャンバとの間に保護フィルムを形成し、前記液体金属の残りの第2の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記液体金属源から前記内部貯蔵部に、かつ前記複数の内部液体流チャネルに沿って前記ノーズコーンの前記表面に向かって供給される、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項3】
前記保護フィルムが、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、所定の厚さに維持される、請求項2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項4】
前記電極体が、金属、黒鉛、又は半導体のうちの1つ以上から形成される、先行請求項のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項5】
前記電極体が、重力方向と同軸であり、前記ノーズコーンが、前記重力方向に対して前記内部貯蔵部の下に位置付けられ、その上で、前記内部貯蔵部から延在して、前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、最初は上向きかつ前記ノーズコーンに対して反対に配向され、そこから前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが下向きかつ前記ノーズコーンに向かってアーチ状になっている、先行請求項のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項6】
前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、
前記内部貯蔵部に流体連結され、かつ前記内部貯蔵部から延在している主液体流チャネルと、
前記主液体流チャネルを前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結している複数の液体流毛細管であって、前記保護フィルムが、前記複数の液体流毛細管によって誘発される毛細管作用を介して前記ノーズコーンの前記表面上に保持されている、液体流毛細管と、を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項7】
前記電極体が、前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられた複数の電極のうちの1つの電極を形成しており、前記複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えるプラズマ発生で使用される水素ガスを放出する電極材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項8】
熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に少なくとも部分的に封入されている電極であって、前記電極が、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に閉じ込められているプラズマアークの軸と交差しているノーズコーンを備える、電極と、
前記ノーズコーンの表面上に形成されている液体金属メニスカスであって、前記液体金属メニスカスが、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記閉じ込められたプラズマアークと直接相互作用する、液体金属メニスカスと、を備える、熱核融合反応炉。
【請求項9】
前記電極が、複数の内部チャネル及び内部貯蔵部を備え、前記内部貯蔵部が、前記複数の内部チャネルの少なくとも第1の部分を介して前記液体金属メニスカスと流体連通する、請求項8に記載の熱核融合反応炉。
【請求項10】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、燃料ガスを前記プラズマ閉じ込めチャンバに供給する、請求項9に記載の熱核融合反応炉。
【請求項11】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、前記電極及び/又は前記液体金属メニスカスの温度を維持する熱交換流体を含む、請求項9又は10に記載の熱核融合反応炉。
【請求項12】
前記内部貯蔵部を液体金属源に流体連結する第1の供給チャネルを更に備えており、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項9~11のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
【請求項13】
前記内部貯蔵部を不活性ガス源に流体連結する第2の供給チャネルを更に備えており、前記不活性ガス源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項12に記載の熱核融合反応炉。
【請求項14】
方法であって、
液体金属を、電極の内部貯蔵部から前記電極の外面に液体金属流量で流すことと、
前記外面から前記液体金属を液体金属アブレーション速度でアブレーションするために閉じ込められたプラズマアークを発生させることと、
前記液体金属流量が、前記液体金属アブレーション速度から閾値大きさより大きく逸脱するのに応答して、前記内部貯蔵部内の液体金属レベル、前記内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を調整することによって、前記液体金属流量を調整することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、
前記液体金属レベルまで前記液体金属を前記内部貯蔵部に供給することと、
前記不活性ガス圧力が満たされるまで、不活性ガスを前記内部貯蔵部に供給することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、前記電極を通して熱交換流体を流すこと、及び/又は前記電極の内部加熱コイルからの熱を調整することによって、前記液体金属温度を維持することを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガス圧力を調整することが、前記電極の寿命使用にわたって平均して前記不活性ガス圧力を増加させることを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記液体金属流量が、前記液体金属流量を調整する前後でゼロではない、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記液体金属レベルが閾値レベル以下であることに応答して、
前記内部貯蔵部からの前記液体金属の流れを停止することと、
前記液体金属温度を上昇させることによって、前記外面から前記液体金属の少なくとも一部分を除去することと、を更に含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記閉じ込められたプラズマアークを維持する放電電流の繰り返し速度を調整することによって、前記液体金属アブレーション速度を調整することを更に含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、「ELECTRODE AND DECOMPOSABLE ELECTRODE MATERIAL FOR Z-PINCH PLASMA CONFINEMENT SYSTEM」と題され、2022年1月26日に出願された米国仮特許出願第63/303,473号、及び「IN SITU RENEWABLE ELECTRODE FOR Z-PINCH PLASMA CONFINEMENT SYSTEM」と題され、2022年1月26日に出願された米国仮特許出願第63/303,477号の各々に対する優先権を主張する。上述の出願の各々の全内容が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、少なくとも部分的に、米国エネルギー省によって付与された助成金番号DE-AR001010及びDE-AR001260の下、政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明における特定の権利を有する。
【0003】
本明細書に開示される主題の実施形態は、熱核融合反応を誘導するためのプラズマ閉じ込めのための方法及びシステムに関し、より具体的には、Zピンチプラズマ閉じ込めシステムのための電極組成物及び構成に関する。
【背景技術】
【0004】
経済的、効率的、かつ自己持続可能な核融合エネルギーは、手に入れにくいことが証明されている。継続的な前進があっても、核融合反応炉への電力入力の量は、特に生産規模設計において、核融合反応炉による電力出力をほぼ不変に上回っている。いくつかの要因が、自己持続型、捕捉可能な核融合エネルギー、又は「核融合点火」の発生に影響を及ぼす。例えば、核融合反応炉の構成は、プラズマ密度、プラズマ閉じ込め時間、及びプラズマ温度の三重積によって定量化され得る、核融合反応炉内のプラズマ閉じ込めの品質の観点から論じられ得る。正味の核融合エネルギー出力を得るために三重積の1つ以上の要因を最大化することは、特に困難である。
【0005】
利用され得る反応の一実施例は、重水素及びトリチウム核の融合であり、これは、以下の式によって与えられる。
2H+3H→4He+n (1)
重水素-トリチウム核融合反応によって導入される1つの複雑な態様は、自由中性子副産物nの導入である。放電電流(核融合反応炉の動作中に高エネルギーイオン流束をもたらす)と組み合わせて、自由中性子は、プラズマ閉じ込めチャンバとインターフェースする電極の表面から材料を侵食する可能性がある。放電電流の低減又は放電電流の繰り返し速度は、それに応じて電極の浸食を低減する場合があるが、核融合点火が達成されないままである場合があるように、正味の電力発生も影響を受ける場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
様々な実施形態及び技術が、図面を参照して説明される。
【0007】
【
図1】少なくとも1つの実施形態による、複数の電極を含むプラズマ閉じ込めシステムの概略断面図を示す。
【
図2】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、例えば、その中のせん断イオン速度流を開始及び駆動することによって、プラズマ閉じ込めシステムを動作させるための方法のブロック図を示す。
【
図3A】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図3B】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図3C】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図3D】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図3E】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図3F】少なくとも1つの実施形態による、Zピンチ放電の安定化のために、
図1のプラズマ閉じ込めシステムにおいてせん断イオン速度流を開始及び駆動するプロセスの概略断面図を示す。
【
図4】少なくとも1つの実施形態による、複数の電極を含むプラズマ閉じ込めシステムの概略断面図を示す。
【
図5】少なくとも1つの実施形態による、電極を形成し、それとともにプラズマ閉じ込めシステムを動作する方法のブロック図を示す。
【
図6】イオンエネルギー、例えばイオンの関数としてのチタンにおける複数のイオン注入深さのプロットを示す。
【
図7】水素化チタンの実施例におけるH:Ti原子比の関数としての複数の等温圧力のプロットを示す。
【
図8A】少なくとも1つの実施形態による、その動作中の熱核融合反応炉のプラズマ閉じ込めチャンバ内の電極の概略断面図を示す。
【
図8B】少なくとも1つの実施形態による、熱核融合反応炉の動作前又は動作後の、
図8Aの電極の概略断面を示す。
【
図9A】少なくとも1つの実施形態による、原位置での再生可能電極を含むプラズマ閉じ込めシステムを動作するための方法のブロック図を示す。
【
図9B】少なくとも1つの実施形態による、原位置での再生可能電極を含むプラズマ閉じ込めシステムを動作するための方法のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明及び示唆される技術は、複数の電極を含むプラズマ閉じ込めシステムを含み、複数の電極の各電極は、プラズマ閉じ込めシステムのアセンブリ領域に対して同軸に配設され、アセンブリ領域に曝露されるように位置付けられ、複数の電極の1つ以上の電極は、閾値温度を超えて水素ガスを放出する電極材料を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、熱核融合反応炉は、プラズマ閉じ込めチャンバと、内側電極と、内側電極を少なくとも部分的に囲む外側電極とを含み、内側電極又は外側電極の一方又は両方は、内側電極と外側電極との間に燃料ガスを放出して、プラズマを熱核融合反応炉の熱核融合プロセスに寄与させる金属水素化物を含む。例えば、内側電極又は外側電極の一方又は両方は、金属水素化物から構成されるセクションを含み得る。
【0010】
いくつかの実施例では、方法は、バルク材料から形成された電極及びその上に蒸発された金属層を少なくとも加熱することによって、熱核融合反応炉内に熱核融合反応を発生することであって、金属層が、重水素及び/又はトリチウムを装填し、電極に水素ガスを放出させる、発生することと、水素ガスを使用して、熱核融合反応炉内部にプラズマを形成することと、プラズマに向けられた電流を使用して、熱核融合反応を生成するために、電極を介して、プラズマを圧縮することと、を含む。例えば、金属層は、金属水素化物(例えば、金属重水素化物若しくは金属トリチウム化物、又はそれらの組み合わせ)から構成されてもよい。金属水素化物は、バルク材料上への金属層の蒸発、及び重水素及び/又はトリチウムによる金属層の装填後に形成されてもよい。
【0011】
少なくとも一実施形態では、プラズマ閉じ込めシステムは、プラズマ閉じ込めチャンバと、電極体と、を含み、電極体が、プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられているノーズコーンと、液体金属源に流体連結されている内部貯蔵部であって、液体金属源が、少なくとも液体金属の一部分を貯蔵し、及び/又はプラズマ閉じ込めシステムの動作中に、液体金属を内部貯蔵部に供給する、内部貯蔵部と、内部貯蔵部をプラズマ閉じ込めチャンバに流体連結するように、ノーズコーンの表面へと延在している複数の内部液体流チャネルと、を含む。
【0012】
様々な実施形態による熱核融合反応炉は、プラズマ閉じ込めチャンバと、プラズマ閉じ込めチャンバ内に少なくとも部分的に封入された電極と、を含み、電極が、熱核融合反応炉の動作中に、プラズマ閉じ込めチャンバ内に閉じ込められたプラズマアークの軸と交差するノーズコーンと、ノーズコーンの表面上に形成された液体金属メニスカスと、を含み、液体金属メニスカスが、熱核融合反応炉の動作中に閉じ込められたプラズマアークと直接相互作用する。
【0013】
様々な実施形態による方法は、液体金属流量で、電極の内部貯蔵部から電極の外面に液体金属を流すことと、外面から液体金属を液体金属アブレーション速度でアブレーションするために閉じ込められたプラズマアークを発生することと、液体金属流量が液体金属アブレーション速度から閾値の大きさを超えて逸脱するのに応答して、内部貯蔵部、内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度における液体金属レベルのうちの1つ以上を調整することによって、液体金属流量を調整することと、を含む。
【0014】
これら、並びに他の態様、利点、及び代替物は、添付図面に適切な場合、参照しながら、以下の詳細な説明を読むことによって当業者に明らかになるであろう。更に、本明細書に提供される説明及び図は、例証としてのみ本発明を例示することを意図しており、そのため、多数の変形が可能であることが理解されるべきである。
【0015】
例えば、以下の説明は、熱核融合を誘導するのに十分な温度及び十分な密度まで融合反応炉内のプラズマを閉じ込めるためのシステム及び方法の様々な実施形態に関する。いくつかの実施形態では、熱核融合からの出力は、エネルギー発生/貯蔵のために利用され得る。しかしながら、推進(例えば、スペースビークル、航空機、水上航空機、及び潜水艦など)、研究など、開示された実施形態又はその変形について、他の使用事例が想定される。極端な環境(例えば、スペースビークルに搭載される重力環境の低減)では、例えば、性能を維持するために、特定の修正がなされ得る。例えば、液体金属メニスカスは、表面張力及び/又は毛細管作用を介してノーズコーンの表面に保持され得るが、アブレーションされた金属が閉じ込められたプラズマアークと干渉することを防止するために、追加の構成要素を実装し得る。一実施例として、内部貯蔵部からノーズコーンの表面への、並びに逆方向(皮下注射器と類似の動作原理で、ノーズコーンの表面から内部貯蔵部へ)への液体金属の流れを誘導し得る機械的プランジャーが含まれ得る。しかしながら、特定の実施形態では、機械的プランジャーに対するより緊密な公差の保持は、より高い温度及び中性子束からの膨張によって複雑になる場合がある。
【0016】
例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めは、Zピンチ構成を介して達成されてもよく、電流(「Zピンチ放電電流」又は「ピンチ電流」としても知られる)は、プラズマを通して放電されて、軸に沿って(例えば、プラズマ閉じ込めチャンバのアセンブリ領域を通る直線経路に沿って)プラズマを圧縮又は「ピンチする」磁場を発生する。電流は一対の電極間で放電され、これは核融合反応炉の動作中にかなりの速度のイオン衝撃、電子衝撃、及び/又は中性子衝撃を受ける可能性がある。結果として、プラズマ閉じ込めチャンバ内の1つ以上の電極は、核融合反応炉の寿命にわたって劣化又は侵食(例えば、質量を失う)する可能性がある。
【0017】
生産規模では、プラズマ閉じ込めチャンバ内の放電の繰り返し速度は、数十ヘルツ程度であってもよい。一実施例では、既知のスパークギャップ侵食率(Zピンチ構成内の侵食に近似し得る)に基づいて、10~11Hzの繰り返し速度で望ましいプラズマ閉じ込めを誘発するのに十分な放電電流は、1時間当たり数百グラムの炭素電極侵食をもたらす可能性がある。こうした重度の電極侵食は、連続的に動作する核融合反応炉の寿命を1ヶ月未満にまで十分に制限し得る。
【0018】
特に、非限定的な関心は、電極とプラズマ閉じ込めチャンバ内の閉じ込められたプラズマアークとの間の安定な(例えば、ほとんど又は認識できる劣化のない)インターフェースを維持すること、及び/又は全体的な融合反応炉の性能を改善することである。少なくとも2つの戦略が本明細書で想定され、これらは、(i)核融合反応炉の性能を支援又は改善する電極材料から静的な固体電極を形成すること(例えば、炭素と比較して)、及び(ii)電極のバルク内部の劣化を防止するために原位置での再生可能電極を形成することであり、いくつかの実施形態では、分離して、及び他の実施形態では組み合わせて実施され得る。
【0019】
静的な固体電極の形成に関して、耐劣化性のみのために選択された電極材料からの性能改善は、桁違いに制限され得る。したがって、熱核融合のためのプラズマ閉じ込めチャンバ内の追加の利益を与えるか、又はそうでなければ状態を改善する電極材料が望ましい場合がある。例示的な実施形態では、電極、又はその少なくとも一部分は、1つ以上の金属水素化物から形成されてもよい。所与の金属水素化物は、以下の式に従って可逆平衡にある2相システムとみなし得る。
【数1】
式中、nは、固相における水素原子の金属イオンMに対する比である。MがH
2に曝露されると、金属水素化物MH
nは、発熱プロセスで自発的に形成され得る。熱の入力に伴い、MH
nは分解してM及びH
2に戻る場合がある。このように、MH
nは、プラズマ閉じ込め条件下で内部ガス源を提供してもよく、これは、プラズマ閉じ込めチャンバ内に追加のガス燃料を導入するバルブ(いわゆる「パフバルブ」)を補完又は完全に代替し得る。
【0020】
更に、MHnは、重水素(2H又はD)及び/又はトリチウム(3H又はT)で形成され得るため(例えば、MとD2及び/又はT2との反応を介して)、金属重水素化物及び/又は金属トリチウム化物から形成される電極(例えば、MDlTm、式中、l+m=n)は、電極のイオン衝撃時にプラズマ閉じ込めチャンバ内の熱核融合反応(例えば、反応(1))に直接関与し得る。このように、MHnは、融合中性子の追加的な供給源を提供してもよい(例えば、重水素-トリチウム融合の副産物として)。
【0021】
特定の実施形態では、MH
nはそれ自体が自由中性子を消費して内部トリチウム源を提供し得る。例えば、重水素化リチウム(
6LiD)は、次式のようにトリチウム源(「トリチウムブリーディング」)として使用され得る。
6Li
2H+n→
4He+
3H+
2H (3)
いくつかの実施形態では、反応(3)を介して供給源となるトリチウムは、外部トリチウム源(例えば、リチウム含有セラミックなどのトリチウムブリーディングブランケット、又は鉛リチウムなどの循環液体金属壁であり、このような構成は、例えば
図1の外側電極304の代わりに電極として機能することもできる)に内部サプリメントを提供してもよい。
【0022】
このように、1つ以上の金属水素化物(例えば、金属重水素化物及び/又は金属トリチウム化物)を電極材料として使用する1つの技術的効果は、電極自体が、閉じ込められたプラズマアークと相互作用して、核融合反応炉のプラズマ閉じ込めチャンバ内の熱核融合を補完又は増加させ得ることである。
【0023】
電極の静的な固体バルク又は複合体の組成又は調合を調整することに加えて、又は代替的に、電極及びアセンブリ領域が直接結合されるインターフェース(例えば、介在する構成要素又は体積を全く有さない)で、互いに、原位置での再生可能電極を形成するように連続的に更新され得る(本明細書で使用される場合「インターフェース」又は「インターフェースにより」は、固相又は液相がガス相と直接接触する固体ガス又は液体ガス相境界を指し得る)。一実施例として、インターフェースは、連続的に供給される(例えば、核融合反応炉動作中に、中断なしで供給される、又は明らかな遅延なしで供給される)、又は電極の表面に動的に供給される(例えば、インターフェースに所定の厚さを維持するように応答的に供給される)固体を含み得る。別の実施例として、インターフェースは、電極の表面において連続的に供給されるか、又は動的に供給される液体メニスカスを含み得る。別の実施例として、ガスは、電極の表面とアセンブリ領域との間で連続的又は動的に再発生され得る。
【0024】
例示的な実施形態では、液体金属フィルムは、放電電流の繰り返し速度及び/又は電力発生の速度に対する調整に応答して、所定の厚さで電極のノーズコーン上に維持され得る。より具体的には、所定の厚さは、電極体内の内部貯蔵部からノーズコーンの表面への液体金属の流量の調整を介して動的に維持され得る。一実施例として、流量は、それを超えると過剰な液体金属が液滴へと形成され、かつ閉じ込められたプラズマアークに悪影響を及ぼし得るノーズコーンの表面から分離され得る、上限閾値流量未満に維持され得る。追加的又は代替的な実施例として、流量は、より低い閾値流量よりも大きく維持され得、それを下回ると、不十分な液体金属がノーズコーンの表面上に存在し得て、かなりの電極侵食が生じ得る。例示的な実施形態では、上限閾値流量及び下限閾値流量の各々は、上限閾値流量と下限閾値流量との間に維持される液体金属の流量が、ノーズコーンの表面からの液体金属アブレーションの速度と合致し得るように、放電電流の繰り返し速度及び/又は電力発生の速度に依存し得る。
【0025】
このように、液体金属をノーズコーン上に供給及び動的に補充する1つの技術的効果は、液体金属が核融合反応炉動作中に侵食されても、交換でき得ることであり、その結果、電極体の浸食が軽減又は完全に除去され、電極を含む融合反応炉が、電極の交換なしに1年以上連続的に動作し得ることである。
【0026】
図1~9Bを参照して以下に詳細に説明される例示的な実施形態は、金属水素化物を含む、静的な固体電極、又は液体金属フィルムを含む原位置での再生可能な電極の分離された議論を含み得るが、他の実施形態では、金属水素化物を含む静的な固体電極体を含む電極(例えば、内側電極、外側電極、又は中間電極)は、電極体のノーズコーン上に動的に補充された液体金属フィルムで形成され得る。代替的な実施形態では、核融合反応炉の第1の電極(例えば、外側電極又は中間電極)は、金属水素化物を含む静的な固体電極であってもよく、核融合反応炉の別の第2の電極(例えば、内側電極)は、ノーズコーン又は他の表面と、ノーズコーン又は他の表面上に動的に補充された液体金属フィルムとを含む原位置での再生可能な電極であってもよい。こうした実施形態では、第2の電極は、閉じ込められたプラズマアークと交差してもよく、液体金属フィルムは、第2の電極体の侵食を軽減又は完全に排除するために、第2の電極のノーズコーン又は他の表面上に提供される。
【0027】
更に、
図1~9Bを参照して以下に詳細に記載される実施形態に追加、代替、又は別の方法で修正された実施形態では、プラズマ閉じ込めシステムの1つ以上の構成要素は、所与の使用事例のためにプラズマ閉じ込めシステムに適合させるために、追加、除去、置換、修正、又は交換されてもよい。一実施例として、プラズマは、例えば、プラズマへの燃料ガスのチャンバ内変換に加えて、又はその代わりに、プラズマ閉じ込めシステムのプラズマ閉じ込めチャンバに直接注入されてもよい。更に、本明細書に記載される様々な実施形態は、Zピンチプラズマ閉じ込めを参照して論じられるが、改変を伴うか、又は伴わない様々な実施形態は、プラズマを圧縮、反応、又は別の方法で使用する他のタイプの熱核融合反応炉及びプラズマ閉じ込めシステムに適用可能であり得る。
【0028】
ここで
図1を参照すると、熱核融合反応炉内に含まれ得るなどのプラズマ閉じ込めシステム300の概略断面図が示されている。プラズマ閉じ込めシステム300は、プラズマ閉じ込めチャンバ340のアセンブリ領域326内にプラズマアークを発生させ得、プラズマアークは、軸方向に対称な磁場によって閉じ込められ、圧縮され、かつ維持される。軸方向に対称な磁場は、プラズマ閉じ込めチャンバ340とインターフェースする一対の電極間の放電によって駆動されるせん断イオン速度流によって安定化されてもよい。
図2~3Fは、プラズマ閉じ込めシステム300の更なる動作詳細を論じている。プラズマ閉じ込めシステム300の1つ以上の態様は、
図4を参照して以下に詳述されるプラズマ閉じ込めシステム900などの、他のプラズマ閉じ込め構造に容易に交換可能であり得る。
【0029】
一実施形態では、一対の電極のうちの少なくとも1つは、プラズマアークの発生中にプラズマ閉じ込めチャンバ340内の熱核融合を補完又は増加させる電極材料346を含む、静的な固体電極である。例えば、電極材料346は、例えば、プラズマアークの燃料ガスを供給するために、閾値温度を超える水素ガスを放出し得る。例示的な組成物として、電極材料346は、金属重水素化物、及び/又はチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、リチウム-6(
6Li)のうちの1つ以上を含む金属トリチウム化物などの金属水素化物、又は前述の金属のうちの1つ若しくは複数の任意の組み合わせによって形成される合金であってもよい。このような金属水素化物含有電極を形成し、それを用いてプラズマ閉じ込めシステムを動作する方法は、
図5を参照して以下で詳細に議論する。例示的な金属水素化物に対するイオン注入曲線及び等温線が、それぞれ
図6及び7に提供される。
【0030】
追加的又は代替的な実施形態では、電極対のうちの少なくとも1つは、プラズマアークとの相互作用時に電極の外面からアブレーションし、それによって外面の高放電侵食を軽減し得る、流動する液体金属の保護フィルムを含む原位置での再生可能電極であってもよい。このような原位置での再生可能電極の追加的な特徴は、
図8A及び8Bを参照して以下で詳細に論じられ、並びに原位置での再生可能電極を含むプラズマ閉じ込めシステムを動作する方法は、
図9A及び9Bを参照して以下で詳細に論じられる。
【0031】
プラズマ閉じ込めシステム300の様々な構成要素の位置をコンテキスト化し、
図1及び
図3A~3Fの様々な図を比較するために、デカルト座標軸152のセットが
図1に示されている。具体的には、互いに垂直なx軸、y軸、及びz軸が提供され、x軸及びy軸は、
図1に示す概略断面図の平面を画定し、z軸は、それに対して垂直である。いくつかの実施形態では、重力の方向は、
図1の概略断面図の平面におけるいかなる方向にも平行かつ一致し得る。例えば、重力の方向は、x軸の正方向と平行かつ一致してもよい。追加的又は代替的な実施形態では、重力の方向は、y軸及びz軸によって画定される平面内にあってもよい(例えば、y軸の負の方向と平行かつ一致する)。
【0032】
例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302と、内側電極302を実質的に囲む外側電極304とを含み得る(本明細書では「実質的に」という用語が使用されるときには、列挙された特性、パラメータ、又は価値は正確に達成される必要はないが、例えば、公差、測定誤差、測定精度の制限、及び当業者に公知の他の因子を含む、その偏差や変化が、特性が与えることが意図された効果を妨げない量で発生し得る)。例えば、内側電極302は、内側電極302の一方の端部(例えば、第1の端部318)が外側電極304によって部分的又は完全に囲まれ得るように、外側電極304によって少なくとも部分的に円周方向に囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、内側電極302は、25cm~1m以上の範囲の長さ(例えば、y軸と平行に、かつ第1の端部318と対向する第2の端部320との間に)を、2cm~1mの範囲の半径(例えば、x軸と平行)を有し得、かつ外側電極304は、50cm~6mの範囲の長さ(例えば、y軸と平行に、かつ第1の端部322と反対側の第2の端部324との間に)を、6cm~2m以上の範囲の半径(例えば、x軸と平行に)を、6mm~12mmの範囲の環状の厚さ(例えば、x軸に沿って)を有し得る。
【0033】
特定の実施形態では、及び
図1に示すように、プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302に面する中間電極303を更に含み得る。他の実施形態では、
図4を参照して以下で詳細に説明するように、中間電極303は、内側電極302を実質的に囲んでもよく、外側電極304は、中間電極303を実質的に囲んでもよい。例えば、内側電極302は、中間電極303によって少なくとも部分的に円周方向に囲まれてもよく、中間電極303は、内側電極302の一方の端部(例えば、第1の端部318)が中間電極303によって部分的又は完全に囲まれてもよく、中間電極303の一方の端部が外側電極304によって部分的又は完全に囲まれてもよいように、外側電極304によって少なくとも部分的に円周方向に囲まれてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、プラズマ閉じ込めチャンバ340は、1つ以上の電極、絶縁体、及びプラズマ閉じ込めシステム300の内部構成要素によって区切られる体積を含む物理的構造であってもよい。このように、特定の実施形態では、プラズマ閉じ込めチャンバ340は、プラズマ閉じ込めチャンバ340の体積の範囲を定める、プラズマ閉じ込めシステム300の1つ以上の電極、絶縁体、及び内部構成要素を含み得る。
【0035】
例示的な実施形態では、外側電極304は、プラズマ閉じ込めチャンバ340の半径方向外側境界を画定し得る。一実施例では、半径方向外側境界は円筒形であってもよく、x軸に沿って伝播する円形断面として形成されてもよく、円形断面はy軸及びz軸によって形成される平面に平行である。プラズマ閉じ込めチャンバ340は、内側電極302と外側電極304との間の加速領域310、及び内側電極302の第1の端部318と中間電極303との間のアセンブリ領域326に分割されてもよい(例えば、物理的分割なしで)。代替的に、中間電極303が内側電極302を少なくとも部分的に囲む実施形態では、加速領域310は、内側電極302と中間電極303との間にあってもよく、アセンブリ領域326は、内側電極302の第1の端部318と外側電極304の対向する端部との間にあってもよい。いずれの場合も、プラズマ閉じ込めシステム300は、複数の電極(例えば、内側電極302、中間電極303、及び外側電極304)を含み得、複数の電極の各電極が、アセンブリ領域326に対して同軸に配設され(例えば、x軸に平行)、かつアセンブリ領域326に曝露されるように位置付けされる(例えば、複数の電極の各所与の電極は、介在する構成要素又は体積なしに、アセンブリ領域326の体積とインターフェースしてもよく、電流が閉じ込められたプラズマから所与の電極に直接通ることができる)。より具体的には、外側電極304は、アセンブリ領域326の外側境界の少なくとも一部分を画定するように位置付けられてもよく、内側電極302は、アセンブリ領域326の一方の端部に位置付けられてもよく(例えば、内側電極302の第1の端部318と一致)、かつ中間電極303は、含まれているときに、内側電極302に対してアセンブリ領域326の同じ端部に、又は内側電極302に対してアセンブリ領域326の反対側の端部に位置付けられ得る。プラズマ閉じ込めシステム300は、以下に記載されるように、アセンブリ領域326内のZピンチプラズマ(例えば、プラズマアーク)を維持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、加速領域310は、25cm~1.5mの範囲の長さ(例えば、y軸と平行、及び外側電極304の第2の端部324と内側電極302の第1の端部318との間に)及び2cm~10cmの範囲の環状の厚さを有してもよく、アセンブリ領域326は、25cm~3mの範囲の長さ(例えば、y軸と平行、及び内側電極302の第1の端部318と外側電極304の第1の端部322との間に)を有してもよい。
【0036】
プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302内から加速領域310へガスを方向付けるように構成された1つ以上の第1のバルブ306と、外側電極304の外側から加速領域310へガスを方向付けるように構成された1つ以上の第2のバルブ312とを含み得る。ガスは燃料ガスであってもよく、これはガスのプラズマ閉じ込めチャンバ340の中への放出及び放電電流の印加に伴い、プラズマアークを形成するために利用されてもよい。本明細書で使用される場合、「燃料ガス」は、プラズマアークを形成するために利用される任意の種を指し得る。このように、燃料ガスは、二水素[例えば、水素(H2)、重水素(D2)、及び/又はトリチウム(T2)]、3He、6Li、11Bなどの中性ガス種、及び/又は予備イオン化ガス種(例えば、「直接プラズマ注入」又は「プラズマ注入」構成を介して導入されるなど)を含み得る。
【0037】
プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302と外側電極304との間に電圧(例えば、いくつかの実施例では2kV~50kVの範囲、又は他の実施例では1kV~40kVの範囲)を印加するように構成された第1の電源314を含み得る。いくつかの実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302と中間電極303との間に電圧(例えば、いくつかの実施例では2kV~50kV、又は他の実施例では1kV~40kVの範囲)を印加するように構成された第2の電源315を更に含み得る。特定の実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム300は、第1の電源314及び第2の電源315のうちの1つのみで動作してもよい。他の実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム300は、少なくとも第1の電源314及び第2の電源315の両方とともに動作してもよい。いくつかの実施形態では、第1の電源314及び第2の電源315のうちの一方又は両方は、エネルギー源(例えば、コンデンサバンク)、スイッチ(例えば、スパークギャップ、イグニトロン、又は半導体スイッチ)、及びパルス成形ネットワーク(例えば、インダクタ、抵抗器、ダイオードなどを含む)を含む、スイッチングパルス直流(スイッチングパルスDC)電源を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の電源314及び第2の電源315の一方又は両方は、電圧制御されてもよい。他の実施形態では、第1の電源314及び第2の電源315のうちの一方又は両方は、電流制御されてもよい。いくつかの実施形態では、DC及び交流(AC)電源(例えば、DCグリッド、電圧源コンバータ、ホモポーラ発生器など)を含む、他の適切なタイプの電源が、第1の電源314及び第2の電源315のうちの一方又は両方として使用されてもよい。
【0038】
内側電極302は、修正された円筒体316(例えば、第1の端部318に先細りした丸みのある基部を有する実質的に円筒体)を有する導電性(例えば、ステンレス鋼)シェルを含み得る。具体的には、内側電極302は、第1の端部318(例えば、先細りした丸みのある基部)及び対向する第2の端部320(例えば、実質的に平坦な円形の基部)を含み得る。例えば、内側電極302は、第1の端部318に位置付けられたノーズコーン344を含んでもよく、ノーズコーン344は、複数の電極の各電極と同軸である(例えば、x軸に平行な)閉じ込められたプラズマアークの軸と交差するように、アセンブリ領域326に曝露される。例示的な実施形態では、ノーズコーン344は、プラズマアークの発生中に(例えば、限定されたプラズマアークに燃料を供給するための水素ガスの放出を介して)プラズマ閉じ込めチャンバ340内の熱核融合を補完又は増加させる電極材料346を含み得る。しかしながら、他の実施形態では、電極材料346は、ノーズコーン344に限定されず、内側電極302の別の部分上及び/又は複数の電極の任意の他の電極上に追加的に含まれてもよい(したがって、特定の実施形態では、電極材料346は、ノーズコーン344上に全く含まれなくてもよい)。いずれの場合でも、電極材料346は、複数の電極の1つ以上の電極の一部分のみを占有してもよく、残りの部分(例えば、電極材料346によって占有される部分を除く複数の電極の全ての部分)は、電極材料346から自由であってもよい。したがって、電極材料346が含まれる場合、燃料ガスは、内側電極302、中間電極303、又は外側電極304のうちの1つ以上を加熱することに応答して(例えば、電極材料346が熱分解して燃料ガスを放出するように)加速領域310内に排出され得る。内側電極302は、例えば、熱核融合を発生するプラズマ閉じ込めシステム300の動作中に、1つ以上の第1のバルブ306から加速領域310にガス(例えば、燃料ガス)を経路付けするための1つ以上の導管又はチャネル342を更に含み得る。
【0039】
追加的又は代替的な実施形態では、電極材料346は、プラズマ閉じ込めシステム300内の電極のいずれかとは別個のフィラメントとして存在してもよい。このような実施形態では、電極材料346は、その加熱及び熱分解に伴い、燃料ガスの少なくとも一部分をプラズマ閉じ込めチャンバ340に提供してもよい。
【0040】
外側電極304は、実質的に円筒形の本体328を有する導電性(例えば、ステンレス鋼)シェルを含み得る。具体的には、外側電極304は、第1の端部322(例えば、実質的に平坦な円形の基部)及び対向する第2の端部324(例えば、実質的に平坦な円形の基部)を含み得る。外側電極304は、内側電極302のほとんど(例えば、大部分)を囲んでもよい。例示的な実施形態では、内側電極302及び外側電極304は、同心であってもよく、x軸に対して半径方向対称性を有してもよい。内側電極302の第1の端部318は、外側電極304の第1の端部322と外側電極304の第2の端部324との間にあってもよい。外側電極304は、例えば、熱核融合を発生するプラズマ閉じ込めシステム300の動作中に、1つ以上の第2のバルブ312から加速領域310にガス(例えば、燃料ガス)を経路付けするための1つ以上の導管又はチャネル(
図1には図示せず)を更に含み得る。
【0041】
中間電極303は、導電性材料(例えば、ステンレス鋼)を含み得る。いくつかの実施形態では、中間電極303は、実質的に円盤形状であってもよい。他の実施形態では、中間電極は、内側電極302及び外側電極304のそれぞれと同心であり、x軸に対して半径方向対称性を有する、実質的に円筒形の本体を有してもよい。
【0042】
1つ以上の第1のバルブ306は、いわゆる「パフバルブ」(例えば、プラズマの形成のための燃料ガスを提供するように、又はガスパフを介して発生されるプラズマアークの密度を増加させるように動作可能である)又はプラズマインジェクタの形態を取ってもよい。追加的又は代替的な実施形態では、1つ以上の第1のバルブ306は、ソレノイド駆動バルブなどの少なくとも1つの電気的に作動するバルブを含み得る。しかしながら、1つ以上の第1のバルブ306は、こうした構成に限定されず、ガス(例えば、H2、D2、T2)を内側電極302内から加速領域310に向けるように構成された任意のタイプのバルブを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のバルブ306は、内側電極302に沿って規則的なアレイとして取り付けられる(例えば、加速領域310の中心軸の周りに規則的に分布される)、少なくとも1つのガスパフバルブ(例えば、加速領域310に中性ガスを提供するため)及び/又は少なくとも1つのプラズマインジェクタ(例えば、加速領域310に予備イオン化されたガスを提供するため)を含み得る。
図1に示すように、1つ以上の第1のバルブ306は、内側電極302の第1の端部318と内側電極302の第2の端部320との間に位置付けられ得る(例えば、軸方向に位置付けられる)。代替的に、1つ以上の第1のバルブ306は、内側電極302の第1の端部318又は内側電極302の第2の端部320に位置してもよい(例えば、直接隣接して)。
図1では、1つ以上の第1のバルブ306の各々は、内側電極302内に配設される(例えば、内側内面内及び内面上に位置付けられる)が、他の実施例も可能である(例えば、内側電極302の外側及び外面上に位置付けられる)。1つ以上の第1のバルブ306は、1つ以上の第1のバルブ306が、以下に説明するように、1つ以上の第1のバルブ306に制御電圧を提供することによって動作され得るという点で電気的に作動可能であり得る。電極材料346が含まれる特定の実施形態では、第1のバルブ306は含まれない(例えば、電極材料346は、その分解時にガスの少なくとも一部を供給し得る)。
【0044】
例示的な実施形態では、加速領域310は、内側電極302及び外側電極304の形状によって画定される実質的に環状の断面を有し得る。具体的には、内側電極302は、加速領域310の半径方向内側境界を画定してもよく、外側電極304は、加速領域310の半径方向外側境界を画定してもよい。一実施例では、半径方向内側境界及び半径方向外側境界の各々は、円筒形であってもよく、x軸に沿って伝播する円形断面として形成されてもよく、円形断面は、y軸及びz軸によって形成される平面に平行である。他の実施形態では、加速領域310の実質的に環状の断面は、内側電極302及び中間電極303の形状によって画定され得る(例えば、内側電極302は、半径方向内側境界を画定してもよく、中間電極303は、半径方向外側境界を画定し得る)。
【0045】
1つ以上の第1のバルブ306と同じ仕様で、1つ以上の第2のバルブ312は、パフバルブ又はプラズマインジェクタの形態を取ってもよい。追加的又は代替的な実施形態では、1つ以上の第2のバルブ312は、ソレノイド駆動バルブなどの少なくとも1つの電気的に作動するバルブを含み得る。しかしながら、1つ以上の第2のバルブ312は、こうした構成に限定されず、ガス(例えば、H2、D2、及び/又はT2)を外側電極304(又は中間電極303)の外側から加速領域310に向けるように構成された任意のタイプのバルブを含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2のバルブ312は、外側電極304に沿って規則的なアレイとして設置される(例えば、加速領域310の周りに規則的に分配される)、少なくとも1つのガスパフバルブ(例えば、加速領域310に中性ガスを提供するため)及び/又は少なくとも1つのプラズマインジェクタ(例えば、加速領域310に予備イオン化されたガスを提供するため)を含み得る。
図1に示すように、1つ以上の第2のバルブ312は、外側電極304の第1の端部322と外側電極304の第2の端部324との間に位置付けられ得る(例えば、軸方向に位置付けられる)。代替的に、1つ以上の第2のバルブ312は、外側電極304の第1の端部322又は外側電極304の第2の端部324に位置してもよい(例えば、直接隣接して)。
図1では、1つ以上の第2のバルブ312の各々は、外側電極304の周りに(例えば、外側及び外面上に位置付けられる)配設されているが、他の実施例が可能である(例えば、外側電極304の内面上又は中間電極303の内面上など、プラズマ閉じ込めチャンバ340内に位置付けられる)。更に、
図1では、1つ以上の第1のバルブ306の各々は、1つ以上の第2のバルブ312の各々と軸方向に整列しているが、他の実施例も可能である。1つ以上の第2のバルブ312は、1つ以上の第2のバルブ312が、以下に説明するように、1つ以上の第2のバルブ312に制御電圧を提供することによって動作され得るという点で電気的に作動可能であり得る。電極材料346が含まれる特定の実施形態では、第2のバルブ312は含まれない(例えば、電極材料346は、その分解時にガスの少なくとも一部を供給し得る)。
【0047】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のバルブ306及び/又は1つ以上の第2のバルブ312に含まれるガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタは、最大数百μs(例えば、最大1ミリ秒)持続する持続時間の間、充填中性ガス及び/又はイオン化ガスの「パフ」を独立して送達するように電子的にトリガされ得る。(例えば、「パフ」で)送達される充填ガス(本明細書では「燃料ガス」とも呼ばれる)の量はまた、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタ(例えば、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタ又はそれらのサブセットの個又は全て)に供給される充填ガス圧力の調整によって制御されてもよい。更に、異なるガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタ(又は複数のガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタの異なる組み合わせ)は、例えば、異なる元素比の充填ガス及び/又は異なる同位体比(例えば、調整可能なD2/T2分子比)を有する異なる充填用ガス混合物によって供給されてもよい。いくつかの実施形態では、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタは、均一であってもよい(例えば、実質的に同じ動作設定を有する同じタイプ/サイズの全て)。他の実施形態では、異なるガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタを、異なる位置に対して使用してもよい。追加的又は代替的な実施形態では、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタは、加速領域310内への通路を提供する複数のポートを含むマニホールドを介して、加速領域310内へのガスの流れを制御してもよい。このような実施形態では、マニホールドのポートは、均一であってもよく、又は構成が変化してもよい(例えば、それぞれのガスパフバルブ又はプラズマインジェクタが開いているときに、異なる量のガスを加速領域310の異なる位置に送達するため)。
【0048】
ガスパフバルブを介した中性ガス注入と同様に、(予備)イオン化されたガス又はプラズマは、加速領域310への注入の前にプラズマを発生するそれぞれのプラズマ発生器又はガンに流体連結された様々な位置のプラズマインジェクタの組み合わせ又はマニホールドを使用して注入されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマは、ガス注入ワッシャープラズマガン及び/又はプラズマスラスタ(例えば、ホール効果スラスタ又は磁気流体力学的スラスタ)から、又はプラズマが磁化される場合、高出力ヘリコンプラズマ源、無線周波数プラズマ源、プラズマトーチ、及び/又はレーザーベースのプラズマ源から供給されてもよい。ガス混合物から形成されたプラズマはまた、中性ガス注入と類似した様式で生成及び注入されてもよい。プラズマ注入は、最終的な軸方向プラズマ分布のより微細な制御、並びにそのせん断流プロファイルを提供してもよく、これは、プラズマ安定性及び寿命のより高忠実度での制御を可能にしてもよい。プラズマ粒子が、注入電極上の可変電気的バイアス(又は電圧)によって生成される電界によって加速される場合がある荷電粒子であるという理由で、プラズマ注入の更なる制御が提供されてもよい。したがって、注入されたプラズマの速度は、存在する任意の中性ガス(例えば、加速領域310内)の破壊の微調整及び最適化を可能にするように微細に制御されてもよい。更に、注入されたプラズマは、注入された中性ガスよりも速い速度で移動してもよく、これはZピンチ放電パルス中に(注入されたプラズマと比較して)ほぼ静的な様式で移動してもよい。このように、中性ガス注入に対して、プラズマ注入は、例えば、Zピンチ放電パルス中に燃料ガスを補充するために、予備イオン化燃料を「オンデマンド型で(例えば、より即座に)」提供してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、予備イオン化されたガスは、例えば、予備イオン化されたガスの磁場と加速領域310の磁場との間の相互作用を避けるために、磁化されていないプラズマとして生成されてもよい。他の実施形態では、予備イオン化されたガスは、例えば、予備イオン化されたガスの磁場を加速領域310の磁場と平行に整列させるように、及び/又は予備イオン化されたガスの注入点で所望の磁束プロファイルを提供するように調整可能であるように、磁化されたプラズマとして発生され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、加速領域310内に注入されるプラズマは、スパークプラグで中性ガスを予備イオン化することによって、又は誘導イオン化を介して生成されてもよい。より広義には、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタは、1つ以上の電極プラズマインジェクタ及び/又は1つ以上の無電極プラズマインジェクタを含んでもよい。1つ以上の電極プラズマインジェクタが含まれる実施例では、加速領域310内に注入されるプラズマは、少なくとも部分的に、電極放電によって生成されてもよい。1つ以上の無電極プラズマインジェクタが含まれる追加的又は代替的な実施例では、加速領域310内に注入されるプラズマは、少なくとも部分的に、外部コイル窓によって生成された誘導放電(例えば、400kHz、13.56MHz、2.45GHzで動作する無線周波数アンテナ、及び/又は所与の地方管轄で、例えば、連邦通信委員会によって許容される周波数範囲内での使用が許容される他の周波数)によって発生されてもよい。いくつかの実施形態では、予備イオン化のための中性ガスは、中性ガス貯蔵部(例えば、ガス源330)及び/又は選択されたプラズマインジェクタ構成への中性ガスのコンダクタンスによって制限されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、注入されたプラズマの軸方向分布は、軸対称プラズマインジェクタ構成を介して確保されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、8個のプラズマインジェクタは、マニホールドの8個の等間隔のポートにそれぞれ位置付けられてもよい。8個のポートはそれぞれ、加速領域310のハウジング(例えば、取り囲み外側電極304)に対して傾斜角(例えば、加速領域310の中心軸に対して5°~90°)で構成されてもよい。一実施例では、傾斜角は、加速領域310の中心軸に対して45°であってもよい。いくつかの実施形態では、8個のポートは、加速領域310の中心軸に沿った単一の軸方向位置に構成されてもよい(すなわち、8個のポートは、軸方向位置で加速領域310の円周又は他の周囲の周りに均等に離間されてもよい)。他の実施形態では、ポートは、8個のポートの複数のセットを含んでもよく、8個のポートの各セットは、加速領域310の中心軸に沿って異なる軸方向位置の周りに均等に離間されている。例示的な実施形態では、8個のポートのセットは、交互配置されたセットの対として構成されてもよく、8個のポートの第1のセットは、第1の軸方向位置に位置付けられてもよく、8個のポートの第2のセットは、第2の異なる軸方向位置に位置付けられてもよく、第2のセットの各ポートが加速領域310の周囲に対して第1のセットの一対のポートの間に位置付けられるように、第1のセットに対して回転されてもよい。具体的には、こうした実施形態では、8個のポートの第1のセットの各ポートは、45度ごとに加速領域310の周囲の周りに離間してもよく、8個のポートの第2のセットの各ポートは、第1のセットのポートから45度オフセット(回転)ごとに加速領域310の周囲の周りに22.5度離間してもよく、その結果、第1のセット及び第2のセットの1つのポートは、22.5度ごとに加速領域310の周囲の周りに提供される。追加的又は代替的な実施形態では、プラズマ注入は、加速領域310内に方位流を生成するように、例えば、加速領域310の中心軸に垂直な弦に沿って、方位角的に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、追加のガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタが、より多くの燃料ガスの注入(例えば、より長い持続的なピンチ放電のため)、及び加速領域310内の燃料ガスの軸方向圧力分布の制御(例えば、せん断イオン速度流の持続時間の更なる強化のため)を可能にするために、含まれ得る。追加的又は代替的な実施形態では、バルブは、変形の効果を補償することによって実質的に同等のプロファイルを達成するために、他の変形を用いて異なるように構成されてもよい(例えば、非対称的に方位角的に分布、及び/又は異なる角度分布を有する)。
【0052】
いくつかの実施形態では、加速領域310を予備イオン化ガスで注入すると、プラズマ温度が1~10eVの範囲であるプラズマをもたらしてもよい。プラズマ温度は、(例えば、予備イオン化されたガスを生成するために使用されるプロセスガスへのエネルギー入力の量を低減することによって)減少されて、予備イオン化されたガス及び結果として生じるプラズマの電気抵抗率を増加させてもよい。具体的には、電気抵抗率を増加させることは、予備イオン化されたガスが磁束の変化に対向する傾向を減少させ、それによって加速領域310内に存在する磁場内の運動に対向する傾向を減少させ得る。
【0053】
上述のように、予備イオン化ガスの注入速度は、中性ガスの注入速度よりも著しく大きくてもよいため、加速領域310内のプラズマの速度は、最大50×103m/sであってもよい。いくつかの実施形態では、予備イオン化ガスの注入は、注入された粒子の量に柔軟性を提供してもよい。具体的には、例示的な実施形態では、ある量の予備イオン化ガス粒子は、同量の中性ガス粒子を注入するために利用される時間の1/50で注入されてもよい。例えば、10Torr-Lの中性ガス粒子を注入するために利用される時間(1Torr-Lは273Kで2.5×1019分子に比例)は、500Torr-Lの予備イオン化ガス粒子を注入するために利用される時間と同じ量であってもよい。同様に、いくつかの実施形態では、予備イオン化ガスの注入率(又は質量流量)は、電源の電流及び電圧(すなわち、注入パルスの波形)に応じて変化させてもよい。一実施例として、電源電圧(例えば、100V~500V)を増加させることが、同時に注入速度を増加させてもよい。別の実施例として、電源電流(例えば、1A~500A)を増加させることが、同時に注入率を増加させてもよい。いくつかの実施形態では、電源電圧は、750V~5kVに増加され得る。
【0054】
上述のように、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタは、個別に又はグループとして起動されてもよい。所望の軸方向及び方位プロファイルを有する加速領域310の内側の初期ガス負荷は、個々のバルブ及び/又はバルブのグループを時間設定することによって達成されてもよい。このようなバルブ(又はそれらのグループ)は、中性ガス及び/又は予備イオン化ガス及び/又はそれらの混合物の到着を所望の初期プロファイルに一致させる様式で時間設定されてもよい。電源(例えば、電源314及び315又は分離の専用電源)は、所望の軸方向位置でイオン化を達成し、初期ガス負荷を利用して、せん断流を生成及び維持するように時間設定されてもよい。いくつかの実施形態では、電源はコンデンサバンク及びスイッチを含んでもよい。他の実施形態では、フライホイール電源を含む、他の好適なタイプの電源が使用され得る。
【0055】
プラズマインジェクタを有する(中性ガス)ガスパフバルブの様々な組み合わせを起動して、所望のレベルの電力出力を達成し得る。更に、プラズマは、パフされた中性ガスよりも著しく(例えば、約100倍)速く加速領域310内に注入されてもよい。プラズマ注入の中性ガス注入との加速によって許容されるこのような異なる注入速度の組み合わせは、最適化のための更に大きなパラメータ空間を提供する。追加的に、プラズマインジェクタは、質量を注入し、中性ガスイオン化の位置を正確に制御する役割を果たしてもよい。
【0056】
例示的な実施形態では、第1の電源314及び第2の電源315は、各々が最大10MJ(例えば、0.1~10MJ)を貯蔵することができるそれぞれのコンデンサバンクの形態を取ってもよい。一実施形態では、第1の電源314及び第2の電源315は、それぞれ最大100~200kJ及び3~4MJを貯蔵できるそれぞれのコンデンサバンクの形態を取る。
【0057】
プラズマ閉じ込めシステム300は、ガス源330(例えば、加圧貯蔵タンク)と、ガス源330から1つ以上の第1のバルブ306を通るガス流を制御するようにそれぞれ構成された1つ以上の第1の制御器332とを含んでもよい。明確にするために、1つ以上の第1の調整器332と1つ以上の第1のバルブ306との間のそれぞれのカップリング(例えば、配管)は、
図1では省略される。
【0058】
同様に、プラズマ閉じ込めシステム300は、ガス源330から1つ以上の第2のバルブ312を通るガス流を制御するようにそれぞれ構成された1つ以上の第2の調節器334を含んでもよい。明確にするために、1つ以上の第2の調節器334と1つ以上の第2のバルブ312との間のそれぞれの連結(例えば、配管)を
図1では省略する。
【0059】
いくつかの実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302と外側電極304との間の電気絶縁を維持するために、内側電極302と外側電極304との間に第1の絶縁体336(例えば、環状断面を有する)を含み得る。内側電極302が中間電極303によって少なくとも部分的に囲まれるときなどの他の実施形態では、第1の絶縁体336は、内側電極302と中間電極303との間に位置付けられて、内側電極302と中間電極303との間の電気的絶縁を維持し得る。例示的な実施形態では、第1の絶縁体336は、ガラス、セラミック、又はガラスセラミック材料などの電気絶縁材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のバルブ(例えば、ガスパフバルブ及び/又はプラズマインジェクタ)は、第1の絶縁体336を通って延在してもよく、又は第1の絶縁体336の代わりに提供されて、内側電極302の第1の端部318に対向する加速領域310の端部に中性ガス及び/又は予備イオン化ガスを注入してもよい。
【0060】
同様に、プラズマ閉じ込めシステム300は、中間電極303と外側電極304との間の電気的絶縁を維持するために、中間電極303と外側電極304との間に第2の絶縁体337(例えば、環状断面を有する)を含み得る。例示的な実施形態では、第2の絶縁体337は、ガラス、セラミック、又はガラスセラミック材料などの電気絶縁材料から形成され得る。
【0061】
プラズマ閉じ込めシステム300は、内側電極302、中間電極303、及び/又は外側電極304を少なくとも部分的に囲む真空チャンバ338を含み得る。
図1に示す例示的な実施形態では、真空チャンバ338は、内側電極302、中間電極303、及び外側電極304(及びそれによってプラズマ閉じ込めチャンバ340)の各々を完全に囲む。例示的な実施形態では、真空チャンバ338は、ステンレス鋼圧力容器として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、真空チャンバ338内の圧力は、10
-9Torr~20Torr(例えば、10
-9Torr~10
-3Torr)の範囲であってもよい。
【0062】
プラズマ閉じ込めシステム300は、実行可能な命令が格納され得る非一時的メモリを含んでもよい、コントローラ又は他のコンピューティング装置348を含んでもよい。実行可能な命令は、コントローラ348の1つ以上のプロセッサによって実行され、プラズマ閉じ込めシステム300の様々な機能が実行されてもよい。したがって、実行可能な命令は、プラズマ閉じ込めシステム300の動作、保守、及び試験のための様々なルーチンを含んでもよい。コントローラ348は、プラズマ閉じ込めシステム300のオペレータがコマンドを入力するか、又は別の方法でプラズマ閉じ込めシステム300の動作を修正し得るユーザインターフェースを更に含んでもよい。ユーザインターフェースは、プラズマ閉じ込めシステム300のオペレータ使用を容易にするための、及び1つ以上のディスプレイ、入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、コンピュータマウス、押圧可能ボタン、機械的スイッチ、他の機械的アクチュエータなど)、光などのオペレータ入力(例えば、熱核融合のためのプラズマアークを発生する要求など)を受信するための、様々な構成要素を含んでもよい。コントローラ348は、プラズマ閉じ込めシステム300の様々な構成要素(例えば、バルブ、電源など)に通信可能に結合されて、その作動及び使用を命令してもよい(明瞭にするために、コントローラ348と様々な構成要素との間の有線及び/又は無線通信経路は、
図1では省略されている)。
【0063】
ここで
図2~3Fを参照すると、
図1を参照して詳細に上述したプラズマ閉じ込めシステム300などのプラズマ閉じ込めシステムの動作態様が図示されている。具体的に、
図2では、プラズマ閉じ込めシステムを操作するための方法200のブロック図が示され、
図3A~3Fは、
図1のプラズマ閉じ込めシステム300の一部分350の概略断面図及びその機能性をそれぞれ示す。したがって、
図1及び3A~3Fを、一緒に見たとき、以下に記載される方法200の態様の少なくとも一部を示す。例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム(例えば、プラズマ閉じ込めシステム300)の動作は、Zピンチ放電の安定化のために、その中のせん断イオン速度流を開始及び駆動することを含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法200又はその一部は、プラズマ閉じ込めシステムに通信可能に結合されたコントローラなどのコンピューティング装置の非一時的メモリに格納された実行可能な命令として実装されてもよい。更に、特定の実施形態では、ステップの追加又は代替の順序が、このようなコンピューティング装置上で実行可能な命令として実装されてもよく、方法200を参照して論じられる個々のステップが、追加、除去、置換、修正、又は交換されてもよい。
【0065】
ブロック902で、方法200は、1つ以上の第1のバルブを介して、ガスを内側電極内からプラズマ閉じ込めチャンバの加速領域に向けることを含み得る。例示的な実施形態では、加速領域は、内側電極と、内側電極を実質的に囲む外側電極との間に位置してもよい。他の実施形態では、加速領域は、内側電極と内側電極を実質的に囲んでいる中間電極との間に配置され得、外側電極は中間電極を実質的に囲んでいる。
【0066】
例えば、
図3A及び3Bに示すように、1つ以上の第1のバルブ306は、ガス912を内側電極302内から、内側電極302と内側電極302を実質的に囲む外側電極304との間の加速領域310に向けることができる。具体的には、
図3Aは、加速領域310に入るガス912の初期量を示し、
図3Bは、加速領域310に入るガス912の追加量を示す。
図3Aに示されるように、領域310は、アセンブリ領域326とともに、プラズマ閉じ込めチャンバ340内に含まれてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のバルブ306を介してガス912を方向付けることは(例えば
図3A~3Fに示さないコンデンサバンクのような電源を介して)、第1のバルブ電圧を1つ以上の第1のバルブ306に提供すること(例えば、1つ以上の第1のバルブ306の端子を制御するために)、続いて第2のバルブ電圧を[例えば、DC電源を介して]1つ以上の第1のバルブ306に提供することを含む。例示的な実施形態では、第1のバルブ電圧は、第2のバルブ電圧よりも大きくてもよく、第2のバルブ電圧は、第1のバルブ電圧を提供した後、直ちに(例えば、実質的に直ちに)提供されてもよい。
【0068】
ブロック904で、方法200は、1つ以上の第2のバルブを介して、ガスを外側電極の外側から加速領域に向けることを含み得る。
【0069】
例えば、
図3A及び3Bに示すように、1つ以上の第2のバルブ312は、ガス912の一部分を加速領域310に向けることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2のバルブ312を介してガス912を方向付けること(例えば、示されていないコンデンサバンクなどの電源を介して)は、1つ以上の第2のバルブ312に第3のバルブ電圧を提供すること(例えば、1つ以上の第2のバルブ312の端子を制御するために)、続いて第4のバルブ電圧を(例えば、DC電源を介して)1つ以上の第2のバルブ312に提供することを含み得る。例示的な実施形態では、第3のバルブ電圧は、第4のバルブ電圧よりも大きくてもよく、第4のバルブ電圧は、第3のバルブ電圧を提供した後、直ちに(例えば、実質的に直ちに)提供されてもよい。
【0071】
1つ以上の第1のバルブ306及び1つ以上の第2のバルブ312の動作後、例えば、(解放時に)直接隣接する、又は(存在する場合、プレナム内など)内のガス圧力は、第1の電源314を介して内側電極302と外側電極304との間に電圧を印加する前に、1つ以上の第1のバルブ306及び1つ以上の第2のバルブ312のそれぞれは、1000~5800Torr(例えば、5450~5550Torr)の範囲内など、最大5800Torrであり得る。それに応じて、1つ以上の第1のバルブ306及び1つ以上の第2のバルブ312の動作後、加速領域310内のガス圧力は、第1の電源314を介して内側電極302と外側電極304との間に電圧を印加する前に、1000~5800Torr(例えば、5450~5550Torr)の範囲内など、最大5800Torrであってもよい。例示的な実施形態では、加速領域310内のガス圧力は、ガス挿入点からの距離の増加、及びガスが加速領域310にもはや導入されなくなった後の時間の経過とともに減少し得る。
【0072】
ブロック906では、方法200は、第1の電源を介して、内側電極と外側電極との間に電圧を印加して、方向付けられたガスの少なくとも一部分を実質的に環状の断面を有するプラズマに変換することを含んでもよく、プラズマは、内側電極の第1の端部及び外側電極の第1の端部に向かって加速領域内で軸方向に流れる。
【0073】
例えば、
図3C及び3Dに示すように、第1の電源314は、内側電極302と外側電極304との間に電圧を印加して、ガス912の少なくとも一部分を実質的に環状の断面を有するプラズマ916に変換し得る。内側電極302と外側電極304との間に第1の電源314によって印加される電圧は、最大500kV/m(例えば、30kV/m~500kV/mの範囲内)の加速領域310内の半径方向電場をもたらし得る。プラズマ916を通って移動する電流によって発生される磁場に起因して、プラズマ916は、内側電極302の第1の端部318及び外側電極304の第1の端部322に向かって加速領域310内で軸方向に流れてもよい(
図3C及び3Dに示す)。
【0074】
ブロック908で、方法200は、第2の電源を介して、内側電極と中間電極との間に電圧を印加して、中間電極と内側電極の第1の端部との間に流れるプラズマアーク(例えば、Zピンチプラズマ)を確立することを含み得る。例示的な実施形態では、中間電極は、外側電極の第1の端部に位置付けられてもよい。他の実施形態、及び前述のように、中間電極は、内側電極を実質的に囲んでもよく、外側電極は、中間電極を実質的に囲んでもよい。
【0075】
例えば、
図3E及び3Fを参照すると、第2の電源(例えば、
図1を参照して上記で詳細に説明された第2の電源315、明確にするために3A~3Fでは省略される)は、内側電極302と中間電極303との間に電圧を印加して、プラズマ916を閉じ込め、中間電極303と内側電極302の第1の端部318との間に流れるプラズマアーク918(本明細書ではZピンチプラズマ918とも呼ばれる)を確立し得る。示されるように、プラズマアーク918は、プラズマ916が加速領域310を超えて移動するときに確立され得る。具体的には、プラズマアーク918は、内側電極302の第1の端部318と中間電極303との間のアセンブリ領域326内に流れてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、内側電極302がカソードとして機能し、中間電極303がアノードとして機能する場合、プラズマアーク918を形成する放電電流及び放電電流を安定化するせん断軸方向(イオン速度)流れの各々は、内側電極302の第1の端部318から中間電極303に流れ得る。他の実施形態では、内側電極302がアノードとして機能し、中間電極303がカソードとして機能するときなどの他の実施形態では、放電電流は、中間電極303から内側電極302の第1の端部318に流れてもよく、せん断された軸方向の流れは、内側電極302の第1の端部318から中間電極303に流れてもよい。いくつかの実施形態では、中性ガス注入によって作り出されたせん断流プロファイルを増強するために、プラズマインジェクタ、プラズマガン、又はイオン源を使用した予備イオン化ガスの注入を併せて採用してもよい。したがって、そのような実施形態では、プラズマ注入は、ブロック902及び904と同じ規模で迅速に生じてもよく、プラズマアーク918の形成/初期化及びダイナミクスを制御するために使用されてもよい。
【0076】
例示的な実施形態では、プラズマアーク918は、せん断された軸方向の流れを示してもよく、最大5mmの半径(例えば、0.05~5mm)、最大100000eVのイオン温度、例えば、900~30000eV(例えば、900~2000eV)、500eVを超える電子温度、1×1023イオン/m3を超えるイオン数密度及び/又は1×1023電子/m3を超える電子数密度、及び/又は8Tを超える磁場、及び/又は少なくとも1μs安定であってもよく、例えば、5~10μs又は最大1msである。そのような範囲は例示的なものであり、プラズマ閉じ込めシステム300の動作モードに基づいて、又はプラズマ閉じ込めシステム300のサイズ、機能、構成などの修正に基づいて、修正されてもよいことに留意されたい。例えば、プラズマ閉じ込めシステム300のサイズが増加する場合、このような範囲は、比例的に(例えば、線形的に、指数関数的になど)拡大してもよい。
【0077】
ブロック906及び908は、当業者が認識するように、(a)内側電極302と外側電極304との間の電圧、及び(b)内側電極302と中間電極303との間の電圧を制御する他の手段によって実装され得ることに留意されたい。例えば、電源は、内側電極302と中間電極303との間の代わりに、中間電極303と外側電極304との間に電圧を提供し得る。
【0078】
ここで
図4を参照すると、熱核融合反応炉内に含まれ得るなどのプラズマ閉じ込めシステム900の概略断面図が示されている。プラズマ閉じ込めシステム900は、プラズマ閉じ込めチャンバ610のアセンブリ領域630内にプラズマアークを発生させ得、プラズマアークは、軸方向に対称な磁場によって閉じ込められ、圧縮され、かつ維持される。軸方向に対称な磁場は、プラズマ閉じ込めチャンバ610とインターフェースする一対の電極間の放電によって駆動されるせん断イオン速度流によって安定化されてもよい。
【0079】
プラズマ閉じ込めシステム900は、プラズマ閉じ込めシステム300と同様にアセンブルされ、構成されてもよく、実際には実質的に同様の様式で動作してもよい。
図1に図示したプラズマ閉じ込めシステム300と
図4に図示したプラズマ閉じ込めシステム900との間の主要な差異は、中間電極303(
図1)の相対的位置付け及び空間的構成、並びに中間電極920(
図4)の相対的位置付け及び空間的構成を含み、これは以下でより詳細に論じる。このような差異から生じ得る特定のアセンブリ及び動作態様を除き、
図1~3Fを参照して上記で提供された説明は、
図4に示す実施形態にも追加的に適用されてもよい。特定の実施形態では、追加のサブシステム及び/又は機能もまた、
図1~3Fを参照して上記で詳細に説明されておらず、
図1~3Fに示される実施形態に追加的に適用され得るプラズマ閉じ込めシステム900に含まれてもよい。
【0080】
したがって、一実施形態では、せん断イオン速度流を駆動する電極対のうちの少なくとも1つは、プラズマアークの発生中にプラズマ閉じ込めチャンバ610内の熱核融合を補完又は増加させる電極材料を含む、静的な固体電極である。追加的又は代替的な実施形態では、電極対のうちの少なくとも1つは、プラズマアークとの相互作用時に電極の外面からアブレーションし、それによって外面の高放電侵食を軽減し得る、流動する液体金属の保護フィルムを含む原位置での再生可能電極であってもよい。
【0081】
プラズマ閉じ込めシステム900の様々な構成要素の位置をコンテキスト化するために、デカルト座標軸452のセットを
図4に示す。具体的には、互いに垂直なx軸、y軸、及びz軸が提供され、x軸及びy軸は、
図4に示す概略断面図の平面を画定し、z軸は、それに対して垂直である。いくつかの実施形態では、重力の方向は、
図4の概略断面図の平面におけるいかなる方向にも平行かつ一致し得る。例えば、重力の方向は、x軸の正方向と平行かつ一致してもよい。追加的又は代替的な実施形態では、重力の方向は、y軸及びz軸によって画定される平面内にあってもよい(例えば、y軸の負の方向と平行かつ一致する)。
【0082】
例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム900は、外部真空境界910から物理的及び機能的に分離された外側電極650を含んでもよく、外部真空境界910は、内側電極660の部分とともに、プラズマ閉じ込めチャンバ610を含む低圧容器として真空容器640を形成する。中間電極920は、内側電極660の半径と外側電極650の半径との間に半径を有するように位置付けられてもよい。具体的には、中間電極920は、内側電極660を実質的に囲んでもよく、外側電極650は、中間電極920を実質的に囲んでもよい。例えば、内側電極660は、中間電極920によって少なくとも部分的に囲まれた一方の端部665を含んでもよく、中間電極920は、外側電極650によって少なくとも部分的に囲まれた一方の端部965を含んでもよい。
【0083】
プラズマ閉じ込めシステム900は、少なくとも2つの機能的に別個の電源、例えば、Zピンチ(放電)電流950(Ipinch)を駆動するように主に配設及び制御された少なくとも1つの一次電源930と、残留電流867を駆動するように主に配設及び制御された少なくとも1つの追加的な電源940を組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの一次電源930は、少なくとも1つの追加的な電源940とは別個の電源装置であってもよい。その他の実施形態では、少なくとも1つの一次電源930及び少なくとも1つの追加的な電源940は、同じ電源装置の構成要素であってもよい。
【0084】
例えば、少なくとも1つの実施形態では、単一の電源装置は、それぞれの機能の性能を可能にするために電力量を個別に提供する複数の出力を有してもよい(例えば、Zピンチ電流950を駆動する、残留電流867を駆動するなど)。こうした配設は、少なくとも2つの電源(例えば、1つの一次電源930及び1つの追加的な電源940)に基づいてもよく、Zピンチ電流950の追加的な制御及びそのせん断流安定化を可能にしてもよい。原則として、少なくとも2つの電源は、Zピンチ電流950及びその安定化が、少なくとも2つの電源のいずれかが貯蔵されたエネルギーが時期尚早に不足する又は使い果たす前に、相応の期間維持され得るように、スケール、充電、及び制御されてもよい。
【0085】
特定の実施形態では、プラズマ閉じ込めシステム900は、例えば、(支持されていない)端部665及び965の方向に、加速領域620の少なくとも一部分の体積を増加させるために、x軸に沿って、中間電極920の端部965を外向きに先細りさせることによって、内側電極660と中間電極920との間のギャップを広げることによって特徴付けられる、「先細りした電極」構成を組み込んでもよい。一実施例では、先細りは、プラズマ閉じ込めシステム900の中心軸から0~15°(例えば、x軸に平行)であってもよい。こうした配設は、例えば、x軸の正の方向に沿って、残留電流867によって加熱されたプラズマからの中性ガスへの運動量の伝達を容易にし、それによって、せん断流安定化を生成及び維持しもよい。運動量伝達は、ジェット推進分野で公知のように、「ラバールノズル」の設計/最適化に適用可能な方法論を使用して説明及びモデル化されてもよい。
【0086】
本明細書に記載の技術は、熱核融合、及び例えば、そこからのエネルギー生成の活用に関連して論じられるが、本明細書に記載の技術は、発熱(例えば、比較的高温を利用する製造)及び推進などの他の目的のために使用することができる。例えば、
図1のプラズマ閉じ込めシステム300又は
図4のプラズマ閉じ込めシステム900は、少なくとも真空チャンバ338又は外部真空境界910をそれぞれ除去し、核融合生成物が逃れる(例えば、x軸に平行)ことを可能にするように、外側電極650の一方の端部に開口部を導入することによって修正されてもよい。一実施形態では、磁気ノズル(
図4には図示せず)は、外側電極650の下流に、例えば、x軸に対して外側電極650の右に位置付けられて、プラズマを平行化して、任意の排気プルームの発散を低減する。
【0087】
プラズマ閉じ込めシステム900は、実行可能な命令が格納され得る非一時的メモリを含んでもよい、コントローラ又は他のコンピューティング装置948を含んでもよい。実行可能な命令は、コントローラ948の1つ以上のプロセッサによって実行され、プラズマ閉じ込めシステム900の様々な機能が実行されてもよい。したがって、実行可能な命令は、プラズマ閉じ込めシステム900の動作、保守、及び試験のための様々なルーチンを含んでもよい。コントローラ948は、プラズマ閉じ込めシステム900のオペレータがコマンドを入力するか、又は別の方法でプラズマ閉じ込めシステム900の動作を修正し得るユーザインターフェースを更に含んでもよい。ユーザインターフェースは、プラズマ閉じ込めシステム900のオペレータ使用を容易にするための、及び1つ以上のディスプレイ、入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、コンピュータマウス、押圧可能ボタン、機械的スイッチ、他の機械的アクチュエータなど)、光などのオペレータ入力(例えば、熱核融合のためのプラズマアークを発生する要求など)を受信するための、様々な構成要素を含み得る。コントローラ948は、プラズマ閉じ込めシステム900の様々な構成要素(例えば、バルブ、電源など)に通信可能に結合されて、その作動及び使用を命令してもよい(明瞭にするために、コントローラ948と様々な構成要素との間の有線及び/又は無線通信経路は、
図4では省略されている)。
【0088】
ここで
図5を参照すると、
図1~4を参照して詳細に上述したプラズマ閉じ込めシステムのいずれかなどのプラズマ閉じ込めシステムを動作させ、そのための電極を形成するための方法400のブロック図が示されており、電極は、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に熱核融合を補完又は増加させる電極材料で形成されてもよい。例示的な実施形態では、電極材料は、重水素化物、及び/又はTi、Zr、Sc、Mg、V、若しくは
6Li(例えば、TiD
2、
6LiDなど)のうちの1つ以上を含むトリチウム化物のような、金属水素化物、又は前述の金属のうちの1つ若しくは複数の任意の組み合わせによって形成される任意の合金であってもよい。金属水素化物は、プラズマ閉じ込めシステムの動作温度に曝露されたときに(例えば、プラズマアークを発生するためにZピン放電電流を印加する間)、分解して水素燃料ガス(例えば、H
2、D
2、T
2)を提供してもよく、イオン衝撃(例えば、重水素及び/又はトリチウム)時に自由中性子及び/又は中性子衝撃時に自由トリチウム原子を供給してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法400又はその一部は、プラズマ閉じ込めシステムに通信可能に結合されたコントローラなどのコンピューティング装置の非一時的メモリに格納された実行可能な命令として実装されてもよい。更に、特定の実施形態では、ステップの追加又は代替の順序が、こうしたコンピューティング装置上で実行可能な命令として実装されてもよく、方法400を参照して論じられる個々のステップが、追加、除去、置換、修正、又は交換されてもよい。
【0090】
ブロック402で、方法400は、バルク材料上に金属前駆体層を蒸発させることを含み得る。いくつかの実施形態では、バルク材料は、銅(Cu)、タングステン(W)、又はTiなどの金属を含み得る。追加的又は代替的な実施形態では、金属前駆体層は、Ti、Zr、Sc、Mg、V、6Li、又は前述の金属のうちの1つ以上の任意の組み合わせによって形成される任意の合金のうちの1つ以上を含み得る。金属前駆体層は、所定の厚さ未満、又は所定の厚さの閾値範囲内に形成されてもよい。例示的な実施形態では、所定の厚さは、1ミリメートル(例えば、数百ミクロン程度)であってもよい。
【0091】
例示的な実施形態では、バルク材料は、ノーズコーンで終わるシャフト(例えば、実質的に円筒形の本体)を形成し得る。一実施例では、金属前駆体層は、ノーズコーンのみ上で蒸発されてもよい。バルク材料の一部分(例えば、ノーズコーン)のみを覆うように金属前駆体層を閉じ込めるために、バルク材料は、金属前駆体層がバルク材料の曝露したマスクされていない部分(例えば、ノーズコーン)のみ上で蒸発し得るようにマスクされてもよい。
【0092】
ブロック404で、方法400は、イオンビーム源を介して発生される重水素及び/又はトリチウムを金属前駆体層に装填して、プラズマ閉じ込めシステム用の電極を形成することを含み得る。例示的な実施形態では、イオンビーム源は、プラズマ閉じ込めシステムの外部にあってもよく、プラズマ閉じ込めシステムから分離されてもよい。他の実施形態では、金属前駆体層は、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に(例えば、Zピンチ放電電流の印加によって発生されるプラズマアークを介して)装填されてもよく、したがって、装填は、ブロック406(以下を参照)の後に追加的又は代替的に生じてもよいが、外部イオンビーム源は、重水素及び/又はトリチウムをかなり速い速度で装填してもよい。例えば、外部イオンビーム源は、任意選択的にトリチウムイオンを装填し得る10~100kVの重水素イオン源であってもよい。他の実施例では、トリチウムイオンは、追加の外部イオンビーム源を介して装填されてもよい。Ti(いくつかの実施例では、金属前駆体層を形成し得る)におけるイオン注入深さの例を、H、D、T、
3He、及び
4Heイオンについて
図6に提供する。
【0093】
例示的な実施形態では、重水素及び/又はトリチウムを金属前駆体層に装填すると、電極材料層(例えば、重水素及び/又はトリチウムを装填した金属層)がバルク材料上に形成され得る。電極材料層は、MH
nの式を有する金属水素化物(例えば、MD
nの式を有する金属重水素化物、及び/又はMT
nの式を有する金属トリチウム化物)を含んでもよく、式中、nは、固相における金属イオンMに対する水素原子(例えば、D及び/又はTを含む様々な水素のうちのいずれか1つ)のモル比である。例えば、nは、TiH
2(例えば、TiD
2及び/又はTiT
2)中などの2であり得る。TiH
2の実施例を続けると、電極材料層内のTim
Tiの所与の質量について、いくつかのTi原子N
Tiが以下のように与えられ得る。
【数2】
式中、アボガドロ定数は、6.02×10
23mol
-1に近似され、Tiの原子質量は、48g・mol
-1に近似される。式(4)を、m
Ti=1g、N
Ti≒1.25×10
22、及びH原子の数を含むTiH
2に適用することは、2N
Ti≒2.5×10
22である。
【0094】
ブロック406で、方法400は、プラズマ閉じ込めシステムのプラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように電極を位置付けることを含み得る。例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めチャンバは、加速領域及びアセンブリ領域に分割されてもよく、電極は、加速領域及びアセンブリ領域の各々に曝露されるように位置付けられてもよい。一実施例として、電極は、内側電極の端部がアセンブリ領域に曝露され得るように、加速領域を通って延びるように、プラズマ閉じ込めチャンバと同軸の内側電極であってもよい。追加的又は代替的な実施例として、電極は、内側電極を少なくとも部分的に円周方向に囲み、加速領域及びアセンブリ領域のそれぞれの外側境界を少なくとも部分的に画定する外側電極であってもよい。別の実施例として、電極は、内側電極を少なくとも部分的に円周方向に囲み、かつ中間電極の端部がアセンブリ領域に曝露され得るように延びる加速領域の外側境界を少なくとも部分的に画定する中間電極であってもよい。
【0095】
ブロック408で、方法400は、プラズマ閉じ込めシステムを初期化する要求を発生することを含んでもよく、それに従って、プラズマ閉じ込めシステムの初期化段階が開始されてもよい。例示的な実施形態では、要求は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムのオペレータからのユーザ入力の受信に応答して発生されてもよい。例えば、プラズマ閉じ込めシステムの初期化は、ユーザインターフェース、例えば、プッシュボタンスイッチ、トグルスイッチ、又は他の機械的アクチュエータ、キーボード、タッチスクリーン、カーソル入力などと相互作用するオペレータを介してトリガされてもよく、又は別の方法で開始されてもよい。
【0096】
ブロック410で、方法400は、例えば、初期化段階の後に、プラズマ閉じ込めシステムのプラズマアーク発生段階を開始することを含み得る。具体的には、例示的な実施形態では、プラズマアーク発生段階は、少なくともプラズマ閉じ込めシステムに給電することによって開始されてもよく(例えば、1つ以上の電源は、プラズマアーク発生段階の間に利用される様々な構成要素に電力を供給してもよい)、1つ以上のバルブ開口部を増加させることによってプラズマ閉じ込めチャンバにプラズマを形成するための燃料ガスを提供してもよい。例示的な実施形態では、燃料ガスは、D2又はT2のうちの1つ以上を含み得る。
【0097】
ブロック412で、方法400は、例えば、プラズマアーク発生段階中に、プラズマ閉じ込めチャンバ内にプラズマアークを発生することを含み得る。例示的な実施形態では、Zピンチ放電電流は、電極材料層を含む電極と別の電極との間の繰り返し速度で印加されて、プラズマアークを発生し得る。したがって、プラズマ閉じ込めシステムの動作中、電極は、一部の実施形態ではカソード又は他の実施形態ではアノードのいずれかとして機能し得る。Zピンチ放電電流は、印加された残留電流を介して生成及び維持されるせん断イオン速度流によって安定化され得る。プラズマアーク発生の結果として、電極は加熱されてもよく、及び/又は電極は重水素、トリチウム、及び自由中性子(例えば、プラズマアーク内の熱核融合から生じる)で衝撃されてもよい。電極及び/又はイオン/中性子衝撃で発生される熱の量は、プラズマアークに対する電極の位置(例えば、プラズマアークが電極と直接相互作用しているかどうか)に依存し得る。
【0098】
例示的な実施形態では、電極材料層に含まれる金属水素化物は、プラズマアークを生成するためにプラズマ閉じ込めシステムの動作中に電極が分解温度に加熱されるとき、(例えば、式(2)を介して)金属及び燃料ガスに分解し得る。様々なTiH
n種の分解のための等温圧力の実施例を、
図7に提供する。
【0099】
追加的又は代替的な実施形態では、電極材料層に含まれる金属水素化物は、金属水素化物のイオン衝撃時に、自由中性子を放出又は排出し得る。具体的には、プラズマアークからの重水素及び/又はトリチウムは、熱核融合反応(例えば、反応(1))を介して金属水素化物中の水素と相互作用して、4He及び自由中性子を発生してもよい。
【0100】
金属水素化物が6Liを含む追加的又は代替的な実施形態では、電極材料層に含まれる金属水素化物は、金属水素化物の中性子衝撃時に自由トリチウム原子を放出又は排出し得る。具体的には、プラズマアークからの自由中性子は、(例えば、反応(3)を介して)金属水素化物中の6Liと相互作用して、トリチウム、並びに重水素及び4Heを発生してもよい。
【0101】
特定の実施形態では、金属水素化物は、プラズマ閉じ込めシステムの使用期間後に、その枯渇後に補充されてもよい。例えば、使用期間は1000時間であってもよい。
【0102】
ここで
図6を参照すると、イオンエネルギーの関数としてのTiにおけるイオン注入深さのプロット500が、様々なイオンの実施例について示されている。Tiは、例えば、バルク材料内、又はバルク材料上に配置された比較的薄い層若しくはフィルム内に含まれてもよい。プロット500では、横座標はイオンエネルギー(keV)を示し、縦座標はイオン注入深さ(μm)を示す。Ti中のH、D、T、
3He、及び
4Heイオンのイオン注入深さは、それぞれ曲線502、504、506、508、及び510にプロットされる。示されるように、プロット500にプロットされた所与のイオンエネルギーについて、イオン注入深さは、
3He、
4He、H、D、及びTの逐次的な順序に従って増加し得る。したがって、所与のイオン注入深さについて、より高いエネルギーイオンビームは、H、
3He、及び
4Heに利用されるイオンビームと比較して、TiにD及びTを注入するために利用され得る。
【0103】
ここで
図7を参照すると、水素化チタン(TiH
n)の様々な実施例について、H:Ti原子比nの関数としての等温圧力のプロット600が示されている。プロット600では、横座標は線形スケールでのH:Ti原子比を示し、縦座標は対数スケールでの等温圧力(Torr)を示す。等温圧力値は、200℃(点602)、225℃(点604)、250℃(点606)、275℃(点608)、及び300℃(点610)を含む、様々な固定温度でのTiH
nの定常状態分解についてプロットされる。示されるように、プロット600における所与のH:Ti原子比について、等温圧力は温度の上昇とともに増加し得る。更に、所与の温度では、等温圧力は、H:Ti原子比が増加するにつれて上向きに傾向を示し得る。したがって、より高い温度及びより高いH:Ti原子比は、TiH
nのTi及びH
2への分解の結果としてより高い圧力を生成し得る。
【0104】
ここで
図8A及び8Bは、熱核融合反応炉701用のプラズマ閉じ込めシステム700のプラズマ閉じ込めチャンバ706内の電極702(本明細書では電極体702又は原位置での再生可能電極702とも呼ばれる)の概略断面図をそれぞれ示す。具体的には、
図8Aの概略断面図は、熱核融合反応炉701の動作中の電極702及びプラズマ閉じ込めチャンバ706、並びに
図8Bの概略断面図は、熱核融合反応炉701の動作前及び動作後の電極702及びプラズマ閉じ込めチャンバ706を示す。熱核融合反応炉701の動作中、プラズマアーク708が発生され、その後、軸方向に対称な磁場によって閉じ込められ、圧縮され、維持され得る。軸方向に対称な磁場は、電極702とプラズマ閉じ込めチャンバ706とインターフェースする少なくとも1つの追加電極との間の放電によって駆動されるせん断イオン速度流によって安定化されてもよい。
【0105】
電極702は、電極702が、連続的に(例えば、中断することなく、又は顕著な遅延なしに)流れ、熱核融合反応炉701の動作中に発生されるプラズマアーク708との相互作用時に電極702の外面704aからアブレーションされ得る液体金属718の保護フィルム736(本明細書ではメニスカス736とも呼ばれる)を含み得るという点で、原位置での再生可能電極702と呼ばれ得る。プラズマアーク708と相互作用する電極702の一部分は、流れる液体金属718で連続的に補充され得るため、熱核融合反応炉701の動作中の外面704a(及びそれによって電極702全体の浸食)の浸食は、軽減又は完全に排除され得る。
【0106】
電極702は、プラズマ閉じ込めチャンバ706の文脈において以下に説明されるが、電極702は、その中の電極の代替として、上述のプラズマ閉じ込めシステムのいずれかに位置付けられてもよい。一実施例として、電極702は、
図1及び
図3A~3Fを参照して上記で詳細に説明したプラズマ閉じ込めシステム300に含まれる内側電極302を置き換えてもよい。別の実施例として、電極702は、
図4を参照して上記で詳細に説明したプラズマ閉じ込めシステム900の内側電極660を置き換えてもよい。更に、プラズマ閉じ込めシステム700の一部分(及びそれによって熱核融合反応炉701)のみが、
図8A及び8Bに示され、他の構成要素(例えば、追加の電極、電源、絶縁体など)は、プラズマ閉じ込めシステム300及び/又はプラズマ閉じ込めシステム900からの1つ以上の構成要素などは、追加、除去、置換、修正、又は交換されてもよい。
【0107】
デカルト座標軸752のセットは、熱核融合反応炉701の様々な構成要素の位置をコンテキスト化し、
図8A及び8Bの概略断面図の間で比較して、
図8A及び8Bに示される。具体的には、互いに垂直なx軸、y軸、及びz軸が提供され、x軸及びy軸は、
図8A及び8Bの概略断面図の各々の平面を画定し、z軸は、それらに対して垂直である。いくつかの実施形態では、重力の方向は、
図8A及び8Bの概略断面図の平面におけるいかなる方向にも平行かつ一致し得る。一実施例では、以下に記載される実施例で論じるように、重力の方向は、x軸の正方向と平行かつ一致し得る。追加的又は代替的な実施形態では、重力の方向は、y軸及びz軸によって画定される平面内にあってもよい(例えば、y軸の負の方向と平行かつ一致する)。
【0108】
例示的な実施形態では、電極702は、先細りした丸みのある基部又はノーズコーン704を有する実質的に円筒形状で形成され得る。追加的に又は代替的に、電極702は、x軸に沿った電極702の長さがy軸及びz軸に沿った電極702の長さよりも長いように、x軸に沿って細長くてもよい。
【0109】
例示的な実施形態では、電極702は、例えば、中性子衝撃中の(予想外の)活性化産物の形成を妨げるように、比較的高純度の材料から形成されてもよい。追加的又は代替的に、電極702(例えば、そのノーズコーン704)は、炭化ケイ素などの中性子損傷に対して比較的高い耐性のために選択された材料から鋳造又は付加的に製造されてもよい。いくつかの実施形態では、電極702は、金属(例えば、Cu及び/又はW)、黒鉛、又は半導体(例えば、炭化ケイ素)のうちの1つ以上を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、電極702は、ノーズコーン704を含む単一構成要素として形成され得る。他の実施形態では、ノーズコーン704は、電極702の別の部分/表面に取り外し可能に締結又は固定的に接着され得る。したがって、いくつかの実施例では、ノーズコーン704を所定位置に取り外し可能に固定するために、1つ以上の締結具又は他のロック構造が提供され得る。他の実施例では、ノーズコーン704は、所定位置に溶接されてもよく、又はそうでなければ接着されてもよい(例えば、接着剤で)。追加的又は代替的な実施形態では、ノーズコーン704は、電線/配線を介して、又は構成要素が互いに物理的に接触して配置されたときに構成要素間で電流を伝達する1つ以上の導電性材料から電極702の構成要素(ノーズコーン704を含む)を形成することによって、電極702の別の部分/表面に電気的に結合され得る。
【0111】
電極702は、プラズマ閉じ込めチャンバ706内に少なくとも部分的に囲まれてもよく、又は別の方法で収容されてもよい。例えば、電極702の大部分は、プラズマ閉じ込めチャンバ706からx軸の負方向に延在し、及び/又はプラズマ閉じ込めチャンバ706の1つの壁を形成する、電極702の一方の端部(
図8A及び8Bには示されない)を伴ってプラズマ閉じ込めチャンバ706によって全周を取り囲まれてもよい。
【0112】
熱核融合反応炉701の動作中、プラズマアーク708は、電極702と少なくとも1つの追加の電極(
図8A及び8Bには示されない)との間に放電電流を印加することによって発生され得る。放電電流によって発生される軸方向に対称な磁場の結果として、プラズマアーク708は、矢印712によって指示されるように、中心軸710に沿って(例えば、プラズマアーク708がその負の方向に流れる、x軸に平行に)電極702に向かって流れるように閉じ込め及び圧縮され得る。
【0113】
電極702は、実質的に円筒形の形状の中心軸がプラズマアーク708の中心軸710と一致するように位置付けられてもよい。したがって、電極702の外面704aは、より具体的には、ノーズコーン704で、その発生及び閉じ込め中にプラズマアーク708の中心軸710と交差し得る。このように、プラズマ閉じ込めチャンバ706は、ノーズコーン704の外部を完全に囲んでもよい。
【0114】
電極702は、その中に封入された、又は別様に収容された内部貯蔵部714を含み得る。例示的な実施形態では、内部貯蔵部714は、例えば、その中心軸に沿って延在し、その周りを半径方向に対称である、電極702のコア領域を占有し得る。以下に記載されるように、電極702は、液体金属718を内部貯蔵部714に流すための第1の部分と、不活性ガス726を内部貯蔵部714に流すための第2の部分と、液体金属718を内部貯蔵部714からノーズコーン704の外部に流すための第3の部分と、熱交換流体741を流して、電極702の温度及び/又は液体金属718の温度を維持又は調整する(例えば、プラズマ閉じ込めシステム700の1つの動作モード又は1つ以上の条件に応じて、増加又は減少する)ための第4の部分とを含む複数のチャネルを含んでもよい。
【0115】
内部貯蔵部714は、液体金属718の少なくとも一部分を収容してもよく、液体金属718は、矢印734aによって指示されるように、液体金属供給チャネル716(例えば、導管又は配管として形成される)を介して内部貯蔵部714に供給される。具体的には、液体金属供給チャネル716は、内部貯蔵部714を液体金属源720(例えば、加圧貯蔵タンク)に流体連結してもよく、液体金属源720はプラズマ閉じ込めチャンバ706の外部に位置付けられる。液体金属源720は、バルブ722の作動(
図8A及び8Bには示されないが、例えば、対応する調節器によって制御される)を介して内部貯蔵部714に制御可能に供給され得る液体金属718の少なくとも一部分(矢印734aを参照)を含み得る。バルブ722は、
図8Aに示すように、液体金属718が内部貯蔵部714に実質的に自由に流れることを可能にする開位置にあるが、バルブ722はまた、閉位置に配置されてもよく(
図8B参照)、液体金属718が液体金属源720から内部貯蔵部714に流れるのを防止する。いくつかの実施形態では、バルブ722は、バルブ722が、閉位置よりも大きい流れ及び開位置よりも少ない流れを可能にする、部分的な開位置の範囲を取り得るように、連続的に可変であってもよい。
【0116】
例示的な実施形態では、液体金属718は、熱核融合反応炉701の動作温度下で液体状態で存在し得る任意の金属を含み得る。追加的に又は代替的に、液体金属718は、中性子損傷に対して比較的高い耐性のために選択されてもよい(特定の実施形態では、液体金属718は、電極702の組成物よりも中性子損傷に対してより耐性があり得る)。更に、放射損失は、汚染物質の量及び原子数とともに拡大し得る。したがって、液体金属718は、例えばリチウム(Li)を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、例えば、粘度、表面張力などを修正するために、添加物が含まれてもよい。特定の実施例では、添加物は、毒性及び可燃性の低減のために選択され得る。一実施例として、液体金属718は、例えば、ビスマス(Bi)及び/又は鉛(Pb)を、Bi及び/又はPbを含むLi化合物/混合物/合金の形態で含み得る。他の実施形態では、液体水素化リチウムは、同様の目的のために、例えば、外面704a上に保護フィルム736を形成するために、液体金属718の一部又は全てを移植し得る。
【0117】
内部貯蔵部714は、不活性ガス726の少なくとも一部分を更に含んでもよく、不活性ガス726は、不活性ガス供給チャネル724を介して内部貯蔵部714に供給される(例えば、導管又は配管として形成される)。具体的には、不活性ガス供給チャネル724は、内部貯蔵部714を不活性ガス源728(例えば、加圧貯蔵タンク)に流体連結してもよく、不活性ガス源728はプラズマ閉じ込めチャンバ706の外部に位置付けられる。不活性ガス726は、
図8Aに矢印で指示する通り、不活性ガス726が熱核融合反応炉701の動作中に内部貯蔵部714に供給されるときに、不活性ガス726の流れ方向に向けられる。不活性ガス源728は、不活性ガス726の任意の残りの部分(例えば、不活性ガス源728内に収容される部分を除く任意の残りの不活性ガス726)を含有してもよく、これは、バルブ730の作動を介して内部貯蔵部714に制御可能に供給され得る(例えば、対応する調節器によって制御されるが、
図8A及び8Bには示されない)。
図8Aにおいて、バルブ730は、不活性ガス726が内部貯蔵部714に実質的に自由に流れることを可能にする開位置にあるが、バルブ730はまた、閉位置に配置されて(
図8Bを参照)、不活性ガス726が不活性ガス源728から内部貯蔵部714に流れるのを防止する。いくつかの実施形態では、バルブ730は、バルブ730が、閉位置よりも大きい流れ及び開位置よりも少ない流れを可能にする、部分的な開位置の範囲を取り得るように、連続的に可変であってもよい。
【0118】
例示的な実施形態では、不活性ガス726は、液体金属718及び電極702と著しく反応しないか、又はそうでなければ分解しない任意のガスを含み得る。例えば、不活性ガス726は、ヘリウム(He)を含んでもよい。追加的又は代替的な実施例では、不活性ガス726は、1つ以上の希ガス[ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)など]を含み得る。
【0119】
熱核融合反応炉701の動作中、内部貯蔵部714内の液体金属718は、液体金属レベル754の閾値範囲の、上方に、又は閾値範囲内に維持されてもよく、液体金属レベル754は、保護フィルム736の形成及び維持のために液体金属流量を維持するように予め選択される。したがって、いくつかの実施形態では、液体金属レベル754は、液体金属流量を維持するように調整され得る。追加的に又は代替的に、液体金属レベル754は、液体金属源720内に残っている液体金属718の量に対応する液体金属レベル758に応答して調整されてもよい(例えば、液体金属レベル754は、漸進的に減少する液体金属レベル758に応答して漸進的に減少してもよい)。内部貯蔵部714及び液体金属源720内に位置付けられたセンサ(
図8A及び8Bには示されない)は、それぞれ液体金属レベル754及び758を監視し得る。
【0120】
電極702は、内部貯蔵部714をノーズコーン704の外部に流体連結する複数の内部液体流チャネル732を含み得る。複数の内部液体流チャネル732の各々は、内部貯蔵部714に流体連結され、かつそこから延在する主液体流チャネル732aと、主液体流チャネル732aをノーズコーン704の外部に流体連結する複数の液体流毛細管732bとを含み得る。
【0121】
例示的な実施形態では、電極702の中心軸は、重力の方向と同軸であってもよく、重力の方向は、x軸の正方向と一致する。したがって、ノーズコーン704は、重力方向に対して内部貯蔵部714の下に位置付けられてもよい。更に、内部貯蔵部714から延在すると、複数の内部液体流チャネル732の各々は(例えば、その主液体流チャネル732a)、最初に上向きに配向され、かつノーズコーン704の反対側に配向され得る。上向きに配向した後、複数の内部液体流チャネル732(例えば、その主液体流チャネル732a)の各々は、下向きに、かつノーズコーン704に向かってアーチ状であってもよい。このように、内部貯蔵部714に供給される液体金属718の量(液体金属レベル754に対応する)と内部貯蔵部714内の不活性ガス圧力との組み合わされた力は、重力に打ち勝って、複数の内部液体流チャネル732の初期上向きの配向を通して液体金属718を流し、その後重力は液体金属流量の増加を支援し得る。
【0122】
液体金属718の少なくとも一部分は、内部貯蔵部714から、かつ複数の内部液体流チャネル732に沿って外面704aに供給されてもよい。具体的には、複数の内部液体流チャネル732のそれぞれについて、液体金属718は、矢印734bで指示するように、主液体流チャネル732aに沿って、複数の液体流毛細管732bに流れ、矢印734cで指示するように、複数の液体流毛細管に沿って外面704aに流れてもよい。複数の液体流毛細管732bが
図8A及び8Bに示されているが、他の実施形態では、ノーズコーン704で、及びy軸に対してプラズマアーク708の中心軸710の両側で、外面704aに流体連結されるものとして、複数の液体流毛細管732bの少なくとも一部分は、中心軸710と交差するように、ノーズコーン704で外面704aに流体連結されてもよく、及び/又は複数の液体流毛細管732bの少なくとも一部分は、ノーズコーン704から離れて外面704aの他の部分に完全に流体連結されてもよい。
【0123】
外面704aに流れると、液体金属718の少なくとも一部分は、外面704aとノーズコーン704の外部との間に保護フィルム736を形成し得る。保護フィルム736は、少なくとも複数の液体流毛細管732bによって誘発される毛細管作用を介して、外面704a上に保持(例えば、固定、接着、又はその他の方法で保持)されてもよい。ノーズコーン704上に保持され、電極702の中心軸を中心として実質的に対称である保護フィルム736は、熱核融合反応炉701の動作中にプラズマアーク708と直接相互作用するように位置付けられてもよい(すなわち、保護フィルム736は、プラズマアーク708が介在する構成要素又は体積が存在しない保護フィルム736と物理的に相互作用するように位置付けられてもよい)。
【0124】
このように、液体金属718の一部分は、内部貯蔵部714に、かつ複数の内部液体流チャネル732に沿って外面704aに(例えば、液体金属源720から)供給されてもよい。液体金属718の残りの部分(例えば、電極体702内に含まれ、外面704aに供給される部分を除いて、任意の残りの液体金属718)は、外面704a上に保護フィルム736を形成し得る。
【0125】
熱核融合反応炉701の動作中、保護フィルム736の部分は、プラズマアーク708及びプラズマアーク708を維持する高放電電流との相互作用を介して、液体金属アブレーション速度で外面704aからアブレーションされ得る。外面704aからアブレーションする保護フィルム736の部分は、液体金属流量で内部貯蔵部714から外面704aに流れる液体金属718によって連続的に(例えば、中断することなく、又は感知できる遅延なしに)補充されてもよい。
【0126】
重力の方向がx軸の正の方向と平行ではない実施形態では、保護フィルム736は、x軸の負の方向に沿って、外面704aの少なくとも部分的に下方及びノーズコーン704の下方に延在し得る。こうした実施形態では、流れる液体金属718がプラズマ閉じ込めシステム700の動作に干渉しないように、電極702上又はプラズマ閉じ込めシステム700内に様々な構造が提供されてもよい。例えば、外面704aに沿ったポート/開口部(例えば、1つ以上の燃料ガス供給チャネル742)は、外面704aから、y軸及びz軸によって画定される平面に平行に延在してもよく、及び/又はドレイン/トラフは、過剰な液体金属718を収集するために、x軸に対してノーズコーン704に対向する電極702の基部に提供されてもよい。重力の方向がx軸の正の方向に平行ではない追加的又は代替的な実施形態では、保護フィルム736は、プラズマアーク708の中心軸710を中心に非対称であってもよい。しかしながら、前述の実施形態のいずれかでは、保護フィルム736は、プラズマアーク708と外面704aとの間に位置付けられるように、プラズマ閉じ込めシステム700の動作中にプラズマアーク708の中心軸710と依然として交差し得る。
【0127】
電極702は、熱交換流体741を含む1つ以上の熱交換流体流チャネル740を含み得る。例示的な実施形態では、熱交換流体741は、液体金属718(例えば、液体金属718の一部分を形成する保護フィルム736)及び/又は電極702の一部分若しくは実質的に全体の温度を維持し得る。いくつかの実施形態では、複数の熱交換流体流チャネル740は、電極702内に含まれてもよく、例えば、各熱交換流体流チャネル740は、電極702の異なる部分又は構成要素の温度を維持する。他の実施形態では、1つの熱交換流体流チャネル740のみが、電極702に含まれてもよく、例えば、その中心軸の周りにコイル状に巻かれて、x軸に沿って電極702の長さの一部分又は実質的に全体に沿って延在する。例示的な実施形態では、1つ以上の熱交換流体流チャネル740は、プラズマ閉じ込めチャンバ706及び内部貯蔵部714から、及びその間の複数の内部液体流チャネル732から分離及び流体的に分断されてもよい。追加的又は代替的な実施形態では、内部発熱素子/装置743(例えば、他の構成が可能であるが、
図8A及び8Bに示される、内部加熱コイルとしての、1つ以上の熱交換流体流チャネル740とインターリーブされる鉱物絶縁ケーブルなど)が、内部貯蔵部714に熱的に連結されて(例えば、内部に位置付けられ)熱を排出して、それによって温度維持/調節のより大きな制御を提供する(例えば、加熱及び冷却機能は、内部発熱素子/装置743と1つ以上の熱交換流体流チャネル740との間で分割されてもよい)。追加的又は代替的な実施形態では、追加的な発熱素子/装置(
図8A及び8Bには示されない)は、液体金属源720に熱的に結合されてもよい。このような実施形態では、追加の発熱素子/装置の作動は、液体金属源720内の液体金属718の温度を調整してもよく、例えば、液体金属718を溶融/液化するために、又はそうでなければ、液体金属718が内部貯蔵部714に流される前に液体金属流量を調整してもよい。
【0128】
例示的な実施形態では、熱交換流体741は、液体金属(例えば、液体リチウム又はその混合物)、溶融塩(例えば、絶縁流体として)、水、又は不活性ガスのうちの1つ以上を含み得る。したがって、特定の実施形態では、液体金属718及び熱交換流体741の一方又は両方は、液体リチウムであってもよい。
【0129】
熱核融合反応炉701の動作中、プラズマ閉じ込めチャンバ706は、燃料ガス744の少なくとも一部分を含有してもよく、燃料ガス744は、1つ以上の燃料ガス供給チャネル742を介してプラズマ閉じ込めチャンバ706に供給される(例えば、1つ以上の導管又は配管として形成される)。具体的には、1つ以上の燃料ガス供給チャネル742は、プラズマ閉じ込めチャンバ706を1つ以上の燃料ガス源746(例えば、1つ以上の加圧貯蔵タンク)にそれぞれ流体連結してもよく、1つ以上の燃料ガス源746はプラズマ閉じ込めチャンバ706の外部に位置付けられる。燃料ガス744は、
図8Aに矢印で指示するように、燃料ガス744が熱核融合反応炉701の動作中にプラズマ閉じ込めチャンバ706に供給されるときに、燃料ガス744の流れ方向に向けられる。1つ以上の燃料ガス源746は、燃料ガス744の任意の残りの部分(例えば、1つ以上の燃料ガス源746内に収容される部分を除く任意の残りの燃料ガス744)を含んでもよく、これは、1つ以上のバルブ748の作動(例えば、1つ以上の対応する制御器によってそれぞれ制御されるが、
図8A及び8Bには示されない)を介してプラズマ閉じ込めチャンバ706に制御可能に供給され得る。1つ以上のバルブ748の各々は、
図8Aに示すように、燃料ガス744がプラズマ閉じ込めチャンバ706に実質的に自由に流れることを可能にする開位置にあるが、1つ以上のバルブ748の各々は、独立して閉位置に配置されてもよく(
図8B参照)、燃料ガス744が1つ以上の燃料ガス源746からプラズマ閉じ込めチャンバ706に流れるのを防止する。いくつかの実施形態では、1つ以上のバルブ748の各々は、1つ以上のバルブ748の各々が、閉位置よりも大きい流れ、及び開位置よりも少ない流れを可能にする、部分的な開位置の範囲を取り得るように、連続的に可変であってもよい。
【0130】
例示的な実施形態では、燃料ガス744は、プラズマを形成するためにイオン化されてもよく、実用的な条件(例えば、実験室又はパワープラント設定で実現可能な条件)下で熱核融合を受け得る核を含む任意のガスを含んでもよい。例えば、燃料ガス744は、D2又はT2のうちの1つ以上を含み得る(例えば、イオン化して、反応(1)を介して熱核融合を受け得る核子を形成することができる)。
【0131】
液体金属流量は、例えば、そのアブレーションに応答して、保護フィルム736の所定の厚さ738を維持するように予め選択及び/又は動的に調整されてもよい。例えば、液体金属流量は、熱核融合反応炉701の動作中に液体金属アブレーション速度から逸脱してもよく、例えば、液体金属流量は、累積中性子損傷による電極702の膨張の結果として減少してもよく、液体金属アブレーション速度は、放電電流又はプラズマアーク708の強度などの対応する減少/増加に応答して減少/増加してもよい。したがって、所定の厚さ738を維持するために、液体金属流量及びその変化は、液体金属アブレーション速度に合致するように予め選択及び/又は動的に調整されてもよい。いくつかの実施形態では、液体金属流量は、単一の値として予め選択されてもよく、これは、熱核融合反応炉701の動作中に動的に調整されてもよい。他の実施形態では、液体金属流量は、熱核融合反応炉701の予想される動作から続く一連の値として予め選択されてもよい。
【0132】
例示的な実施形態では、液体金属流量は、液体金属アブレーション速度から閾値の大きさを超えて逸脱するのに応答して調整されてもよい。追加的に又は代替的に、内部貯蔵部714内の不活性ガス圧力は、液体金属流量から逸脱する液体金属流量に反応して、閾値の大きさより大きい液体金属アブレーション速度から調整されてもよく、ここで、不活性ガス圧力の対応する減少/増加は、液体金属流量を減少/増加させる。特定の実施形態では、不活性ガス圧力は、熱核融合反応炉701の寿命使用にわたって上向く(例えば、平均的に増加)傾向があり、電極体702が累積的な中性子損傷によって膨張するにつれて、複数の内部液体流チャネル732内の増加した流れ抵抗を克服し得る。
【0133】
一実施例として、液体金属流量が液体金属アブレーション速度よりも閾値の大きさだけ低いことに応答して、液体金属流量は、液体金属源720からより多くの量の液体金属718を供給するためにバルブ722を部分的開位置又は閉位置から開位置に向けて調整することと、不活性ガス源728からより多くの量の不活性ガス726を供給するためにバルブ730を部分的開位置又は閉位置から開位置に向けて調整することと、1つ以上の熱交換流体流チャネル740内の熱交換流体の流量を増加させることと、又は内部加熱素子/装置743からの熱を増加させることのうちの1つ以上によって増加され得る。追加的に又は代替的に、液体金属流量が液体金属アブレーション速度よりも閾値の大きさだけ低いことに応答して、液体金属アブレーション速度は、1つ以上のバルブ748のうちの少なくとも1つを開位置又は部分開位置から閉位置に向かって調整することと、又は放電電流を減少させることとのうちの1つ以上によって減少され得る。
【0134】
別の実施例として、液体金属流量が液体金属アブレーション速度よりも閾値の大きさだけ高いことに応答して、液体金属流量は、液体金属源720からより少ない量の液体金属718を供給するためにバルブ722を開位置又は部分的開位置から閉位置に向けて調整することと、不活性ガス源728からより少ない量の不活性ガス726を供給するためにバルブ730を開位置又は部分的開位置から閉位置に向けて調整することと、1つ以上の熱交換流体流チャネル740内の熱交換流体の流量を減少させることと、又は内部加熱素子/装置743からの熱を減少させることのうちの1つ以上によって減少され得る。追加的に又は代替的に、液体金属流量が液体金属アブレーション速度よりも閾値の大きさだけ高いことに応答して、液体金属アブレーション速度は、1つ以上のバルブ748のうちの少なくとも1つを部分的開位置又は閉位置から開位置に向かって調整することと、又は放電電流を増加させることとのうちの1つ以上によって増加され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、ドレイン又はトラフ(
図8A及び8Bには示さない)は、プラズマ閉じ込めチャンバ706に流体連結されてもよい。外面704aからの液体金属718のアブレーションに伴い、アブレーションされた液体金属718の少なくとも一部分は、ドレイン又はトラフ内に落下又は流れてもよい。
【0136】
熱核融合反応炉701の動作前又は動作後、及び
図8Bに示すように、バルブ722、730、及び748の各々は、閉位置にあり得る。具体的には、バルブ722は、液体金属718が液体金属源720から内部貯蔵部714へと流れるのを防止するために閉位置にあり得、バルブ730は、不活性ガス726が不活性ガス源728から内部貯蔵部714へと流れるのを防止するために閉位置にあり得、1つ以上のバルブ748の各々は、燃料ガス744が1つ以上の燃料ガス源746の各々からプラズマ閉じ込めチャンバ706に流れることをそれぞれ防止するために閉位置にあり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、液体金属718は、液体金属レベル754が閾値レベル756に到達するか、又はそれを下回るときに、内部貯蔵部714から外面704aに流れることができない場合がある。したがって、及び
図8Aに示すように、液体金属レベル754は、熱核融合反応炉701の動作中に閾値レベル756を超えて維持され得る。しかしながら、
図8Bに示すように、金属レベル754が閾値レベル756に到達又は閾値レベル756を下回ることに応答して、熱核融合反応炉701は動作を停止してもよく、保護フィルム736は形成されなくてもよい。
【0138】
熱核融合反応炉701は、実行可能な命令が格納されてもよい非一時的メモリを含み得る、コントローラ又は他のコンピューティング装置750を含んでもよい。実行可能な命令は、コントローラ750の1つ以上のプロセッサによって実行され、熱核融合反応炉701の様々な機能を実行してもよい。したがって、実行可能な命令は、熱核融合反応炉701の動作、保守、及び試験のための様々なルーチンを含んでもよい。コントローラ750は、熱核融合反応炉701のオペレータがコマンドに入るか、又はそうでなければ熱核融合反応炉701の動作を修正し得る、ユーザインターフェースを更に含み得る。ユーザインターフェースは、熱核融合反応炉701のオペレータ使用を容易にするための、及び1つ以上のディスプレイ、入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリーン、コンピュータマウス、押圧可能ボタン、機械的スイッチ、又は他の押圧アクチュエータなど)、光などのオペレータ入力(例えば、熱核融合のためのプラズマを生成する要求など)を受信するための、様々な構成要素を含んでもよい。コントローラ750は、熱核融合反応炉701の様々な構成要素(例えば、バルブ、電源など)に通信可能に結合されて、その作動及び使用を命令してもよい(明瞭にするために、コントローラ750と様々な構成要素との間の有線及び/又は無線通信経路は、
図8A及び8Bでは省略されている)。例えば、液体金属流量の動的調整は、コントローラ750で受信された1つ以上の入力(例えば、液体金属アブレーション速度など)に基づいてもよく、1つ以上の入力は、互いに、及び/又は液体金属流量と相関してもよい(例えば、非一時的メモリに記憶された1つ以上のニューラルネットワークを介して)。相関関係に基づいて、コントローラ750は、(例えば、内部貯蔵部714に供給される液体金属718の量を調整するため、内部貯蔵部714に供給される不活性ガス726の量を調整するため、熱交換流体流量を調整するため、内部発熱素子/装置743からの熱を調整するためなど)熱核融合反応炉701の様々な構成要素の作動を介して実行され得る、液体金属流量に対する調整を出力し得る。
【0139】
液体金属源720、不活性ガス源728、及び燃料ガス源746は、様々なバルブ(例えば、バルブ722、730、及び748)、制御システム(例えば、コントローラ750)、並びにプラズマ閉じ込めチャンバ706から十分な距離にある他の高感度又は複雑な構成要素とともに位置付けられて、熱核融合中の高中性子流束による構成要素の劣化を軽減してもよい。このように、長い配管(例えば、供給チャネル716、724、及び742)、ワイヤ、ケーブル、並びに他のカップリング又は通信ラインは、プラズマ閉じ込めチャンバ706(及びその中に少なくとも部分的に封入された電極702)と、上述の様々な高感度及び複雑な構成要素との間に延在してもよい。
【0140】
本明細書で上述したように、電極702は、先細りした丸みのあるノーズコーン704を有する実質的に円筒形状で形成され得る。実質的に円筒形の形状(ノーズコーン704を含む)は、y軸に沿って実質的に円筒形状の最も広い部分で取られる
図8A及び8Bの断面により、x軸に対して半径方向に対称であり得る。更に、
図8A及び8Bの断面に示される構成要素は、x軸を含む1つ以上の平面内に半径方向に対称的に分布されるように、x軸の周りに複製されてもよい。例えば、複数の内部液体流チャネル732及び/又は1つ以上の燃料ガス供給チャネル742は、x軸の周りに規則的に間隔を置いてもよい(例えば、互いに対して60°、90°などの角度で)。
【0141】
ここで
図9A及び9Bを参照すると、
図1~4、8A、及び8Bを参照して上記で詳細に説明されたプラズマ閉じ込めシステムのいずれかなどの、熱核融合反応炉のプラズマ閉じ込めシステムを動作するための方法800のブロック図を示す。例示的な実施形態では、プラズマ閉じ込めシステムは、プラズマ閉じ込めシステムによって生成され、その中に閉じ込められるプラズマアークとの相互作用時に電極の外面からアブレーションされ得る、流動する液体金属の保護フィルムを含む原位置での再生可能な電極を含み得る。具体的には、以下に説明するように、保護フィルムは、プラズマアークの相互作用から生じる電極の外面の高放電侵食が軽減又は完全に除去され得るように、アブレーションに応答して継続的に(例えば、中断することなく、又はかなり遅延することなく)補充され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、方法800又はその一部は、プラズマ閉じ込めシステムに通信可能に結合されたコントローラなどのコンピューティング装置の非一時的メモリに格納された実行可能な命令として実装されてもよい。更に、特定の実施形態では、ステップの追加又は代替の順序が、こうしたコンピューティング装置上で実行可能な命令として実装されてもよく、方法800を参照して論じられる個々のステップが、追加、除去、置換、修正、又は交換されてもよい。
【0143】
ここで
図9Aを参照すると、ブロック802で、方法800は、プラズマ閉じ込めシステムを初期化する要求を生成することを含んでもよく、それに従ってプラズマ閉じ込めシステムの初期化段階が開始されてもよい。例示的な実施形態では、要求は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムのオペレータからのユーザ入力の受信に応答して発生されてもよい。例えば、プラズマ閉じ込めシステムの初期化は、ユーザインターフェース、例えば、プッシュボタンスイッチ、トグルスイッチ、又は他の機械的アクチュエータ、キーボード、タッチスクリーン、カーソル入力などと相互作用するオペレータを介してトリガされてもよく、又は別の方法で開始されてもよい。
【0144】
ブロック804では、方法800は、例えば、初期化段階中に、液体金属を電極の内部貯蔵部から電極の外面に液体金属流量で流すことを含み得る。例示的な実施形態では、液体金属が外面に到達すると、液体金属は、外面と電極を含むプラズマ閉じ込めチャンバとの間に保護フィルム又はメニスカスを形成し得る(例えば、プラズマアークが発生されると電極と相互作用し得るプラズマ閉じ込めチャンバの中心軸及びその周りで)。
【0145】
液体金属流量は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムの1つ以上の動作条件に基づいて、プラズマ閉じ込めシステムのオペレータによって予め選択されてもよい。例えば、1つ以上の動作条件は、内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、内部貯蔵部内の液体金属レベル、液体金属温度、プラズマ閉じ込めチャンバに提供される燃料ガスの量、プラズマに印加されるZピン放電電流の大きさ(以下のブロック814を参照)などを含み得る。具体的には、ブロック806で、液体金属は、液体金属レベルまで内部貯蔵部に供給されてもよい。例えば、第1のバルブ開口部は、液体金属が液体金属源から内部貯蔵部内に流れることを可能にするように増加されてもよい。ブロック808では、不活性ガス圧力が満たされるまで、不活性ガスが内部貯蔵部に供給されてもよい。例えば、第2のバルブ開口部は、不活性ガスが不活性ガス源から内部貯蔵部内に流れることを可能にするように増加されてもよい。ブロック810では、液体金属温度は、例えば、内部貯蔵部内に維持され得る。例えば、熱交換流体は、例えば、液体金属との間で熱を伝達するように位置付けられ得る流チャネルを介して、及び/又は例えば、内部貯蔵部内に位置付けられ得る電極の内部加熱コイルからの熱を調整することによって、電極を通って流れてもよい。いくつかの実施形態では、熱交換流体は、電極を通って流れてもよく、及び/又は内部加熱コイルは、使用のために電極を予熱するように、液体金属を流し、プラズマアークを生成する前に加熱されてもよい。液体金属レベル、不活性ガス圧力、及び液体金属温度の各々は、プラズマ閉じ込めシステムの開始時に(例えば、プラズマ閉じ込めシステムを開始する要求に従って)予め選択されてもよく、及び/又はプラズマ閉じ込めシステムの動作中に動的に調整されてもよい。例示的な実施形態では、液体金属レベル、不活性ガス圧力、及び液体金属温度は、液体金属流量を達成及び維持するために、互いに注意深くバランスが取れてもよい。
【0146】
ブロック812で、方法800は、例えば、初期化段階の後に、プラズマ閉じ込めシステムのプラズマアーク発生段階を開始することを含み得る。具体的には、例示的な実施形態では、プラズマアーク発生段階は、少なくともプラズマ閉じ込めシステムに給電することによって開始されてもよく(例えば、1つ以上の電源は、プラズマアーク発生段階中に利用される様々な構成要素に電力を供給してもよい)、1つ以上の第3のバルブ開口部を増加させることによってプラズマ閉じ込めチャンバにプラズマを形成するための燃料ガスを提供してもよい。例示的な実施形態では、燃料ガスは、D2又はT2のうちの1つ以上を含み得る。
【0147】
ここで
図9Bに続くと、ブロック814で、方法800は、例えば、プラズマアーク発生段階中に、プラズマ閉じ込めチャンバ内にプラズマアークを発生することを含み得る。例示的な実施形態では、Zピンチ放電電流は、一対の電極間の繰り返し速度で印加されてもよく、一対の電極は原位置での再生可能電極を含み、プラズマアークを発生する。したがって、プラズマ閉じ込めシステムの動作中、原位置での再生可能電極は、一部の実施形態ではカソード又は他の実施形態ではアノードのいずれかとして機能し得る。プラズマアークは、Zピンチ放電電流によって発生される軸方向に対称な磁場を介して閉じ込め、圧縮、及び維持されてもよく、Zピンチ放電電流は、印加された残留電流を介して生成及び維持されるせん断されたイオン速度流によって安定化される。プラズマアーク生成の結果として、一対の電極は加熱されてもよく、重水素、トリチウム、及び自由中性子(例えば、プラズマアーク内の熱核融合から生じる)で衝撃され得る。より具体的には、Zピンチ放電電流が増加するにつれて、電極の温度の各々が増加してもよく、重水素、トリチウム、及び自由中性子の増加した量が電極を衝撃し得る。しかしながら、原位置での再生可能電極は、電極の外面を継続的に補充することによって、こうした衝撃中の電極の外面の侵食を軽減又は完全に排除し得る。
【0148】
具体的には、ブロック816で、方法800は、プラズマアークを介して液体金属アブレーション速度で、(例えば、電極自体の外面ではなく)電極の外面から液体金属をアブレーションすることを含み得る。具体的には、いくつかの事例では、プラズマアークからの中性子衝撃に加えて、Zピンチ放電電流を電極に印加すると、電極の外面からの液体金属のアブレーションをもたらし得る。液体金属は、内部貯蔵部から外面で継続的に(例えば、中断することなく、又は感知できる遅延なしに)補充されてもよい。
【0149】
ブロック818で、方法800は、液体金属レベルが閾値レベル以下であるかどうかを決定することを含み得る。例示的な実施形態では、閾値レベルは、液体金属が所望の液体金属流量で外面にもはや供給されなくなる場合がある内部貯蔵部内のレベルであってもよい。このように、いくつかの実施例では、閾値レベルは、プラズマ閉じ込めシステムの所望の動作に基づいて動的に調整されてもよい。
【0150】
液体金属レベルが閾値レベルよりも大きい場合、方法800は、ブロック820に進み得、方法800は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムで発生された要求に従って、Zピン放電電流の繰り返し速度を調整するかどうかを決定することを含み得る。
【0151】
繰り返し速度の調整が示される場合、方法800は、ブロック822に進み得、方法800は、Zピンチ放電電流の繰り返し速度を調整することを含み得る。例示的な実施形態では、繰り返し速度は、例えば、繰り返し速度を調整する要求に示されるように、所望の電力発生に基づいて調整され得る。一実施例として、繰り返し速度は、電力生産の増加を示す繰り返し速度を調整する要求に応答して増加されてもよい。別の実施例として、繰り返し速度は、電力生産の減少を示す繰り返し速度を調整する要求に応答して減少されてもよい。このように、このような実施例では、繰り返し速度を調整する要求は、電力発生を調整することを示し得る(例えば、繰り返し速度が対応して調整されることをもたらし得る、電力発生を調整する要求が生成され得る)。
【0152】
更に、液体金属アブレーション速度は、繰り返し速度が調整された結果として調整されてもよい。一実施例として、液体金属アブレーション速度は、繰り返し速度が増加する結果として増加し得る(例えば、より少ない液体金属が電極の外面上に保持され得る)。別の実施例として、液体金属アブレーション速度は、繰り返し速度が減少する結果として減少し得る(例えば、より多くの液体金属が電極の外面上に保持され得る)。このように、このような実施例では、繰り返し速度を調整する要求は、電力発生を調整することを示し得る(例えば、繰り返し速度が対応して調整されることをもたらし得る、電力発生を調整する要求が発生され得る)。
【0153】
ブロック824では、方法800は、液体金属流量を調整することを含み得る。一実施例として、液体金属流量は、調整される繰り返し速度に応答して調整されてもよい(上記のブロック822を参照)。別の実施例として、液体金属流量は、液体金属アブレーション速度から閾値の大きさだけ逸脱する液体金属流量に応答して調整されてもよい(以下のブロック826を参照)。液体金属流量は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムがブロック824の直前及び直後に動作し得るため、液体金属流量を調整する前及び後にゼロでなくてもよい。したがって、調整の前に、液体金属流量は第1の非ゼロ値であってもよく、調整後、液体金属流量は第2の非ゼロ値であってもよく、第2の非ゼロ値は第1の非ゼロ値とは異なる。
【0154】
例示的な実施形態では、液体金属流量を調整することは、内部貯蔵部内の液体金属レベル、内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を調整することを含み得る。一実施例として、液体金属流量を増加させることは、液体金属レベル、不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を増加させることを含み得る。別の実施例として、液体金属流量を減少させることは、液体金属レベル、不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を減少させることを含み得る。特定の実施形態では、不活性ガス圧力を調整することは、例えば、電極を膨張させる累積中性子損傷に応答して、電極の寿命使用にわたって不活性ガス圧力を平均的に増加させること(例えば、正味量だけ増加させること)を含み得る。特定の実施形態では、液体金属流量は、以前の使用セッション中に検出されたプラズマ閉じ込めシステムの動的変化、又は同じ使用セッション中の早期放電(例えば、0.5秒などの短い遅延後)を考慮に入れ得るように、フィードフォワード様式で調整されてもよい。方法800は、ブロック814に戻って、プラズマ閉じ込めチャンバ内にプラズマアークを発生し続けてもよい。
【0155】
繰り返し速度に対する調整が示されない場合(上記のブロック820を参照)、方法800はブロック826に進み得、方法800は、液体金属流量が閾値の大きさよりも大きく液体金属アブレーション速度から逸脱したかどうかを決定することを含み得る。
【0156】
例示的な実施形態では、液体金属流量は、電極の外面上の保護フィルム又はメニスカスが一貫した厚さに維持され得るように、液体金属アブレーション速度と一致し得る。したがって、液体金属流量が液体金属アブレーション速度から閾値の大きさを超えて逸脱する場合、方法800はブロック824に進み得、方法800は、(上述のように)液体金属流量を調整することを含み得る。
【0157】
液体金属流量が液体金属アブレーション速度の閾値の大きさ内に維持される場合、方法800は、ブロック828に進み得、方法800は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムで発生された要求に従って、プラズマアーク発生を停止するかどうかを決定することを含み得る。プラズマアーク発生の停止が指示されない場合、方法800は、ブロック814に戻り、プラズマ閉じ込めチャンバ内にプラズマアークを発生し続けることができる。
【0158】
プラズマアーク発生を停止することが指示される場合、又は液体金属レベルが閾値レベル以下である場合(上記のブロック818を参照)、方法800はブロック830に進み得、方法800はプラズマアーク発生を停止することを含み得る。具体的には、Zピンチ放電電流がプラズマに印加されることを停止してもよく、プラズマアークが持続不可能になり、停止し得るように、1つ以上の第3のバルブ開口部が減少又は完全に閉じられて、プラズマ閉じ込めチャンバへの燃料ガスの供給を低減又は停止してもよい。
【0159】
ブロック832で、方法800は、例えば、内部貯蔵部から電極の外面への液体金属の流れを停止することを含み得る。例えば、第1のバルブ開口部は、液体金属の内部貯蔵部への、及びそれによって外面への供給を停止するために閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、液体金属の流れを停止すると、液体金属は、内部貯蔵部、及び気体、例えば、不活性気体でパージすることによってそれらに流体連結された1つ以上の内部チャネルから除去されてもよい。
【0160】
ブロック834で、方法800は、例えば、プラズマアーク発生段階中に存在する液体金属の量に対して、電極の外面から液体金属の少なくとも一部分を除去することを含み得る。例示的な実施形態では、液体金属は、液体金属温度を増加させることによって(例えば、電極を通る熱交換流体の流れを増加させることによって、及び/又は内部加熱コイルからの熱を増加させることによって)除去されてもよく、その結果、液体金属流量は、外面で増加し得る(プラズマアークが外面と相互作用していなくても)。このように、プラズマアークの発生及び外面への液体金属の流れの停止後、液体金属は、外面から流れ出て、プラズマ閉じ込めチャンバ内に、例えばトラフ内に収集され、及び/又はプラズマ閉じ込めチャンバを出て、例えば、ドレインを介して収集され得る。
【0161】
液体金属除去に続いて、いくつかの実施形態では、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に外面上に存在する液体金属の量に対して、電極の外面上により少ない量の液体金属が残る場合がある。一実施形態では、液体金属の全て又は実質的に全てが、液体金属除去後に外面から除去される。例えば、液体金属のいずれも、液体金属除去後に外面上に(例えば、ヒトの目に)可視的に存在しない場合がある。追加的又は代替的な実施形態では、液体金属の小さな部分は、液体金属除去後に外面上に存在(例えば、可視的に存在する)してもよいが、プラズマ閉じ込めシステムの将来の動作に実質的に影響を与えるのに十分な量ではない。他の実施形態では、液体金属の一部分は、例えば、プラズマ閉じ込めシステムの将来の動作中に電極の本体を浸食から保護するために、液体金属除去後に外面上に存在してもよい。
【0162】
本開示の実施形態は、以下の節を考慮して説明することができる。
1.プラズマ閉じ込めシステムであって、
複数の電極であって、複数の電極の各電極が、プラズマ閉じ込めシステムのアセンブリ領域に対して同軸に配設されており、かつアセンブリ領域に曝露されるように位置付けられている、複数の電極を含み、
複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えて水素ガスを放出する電極材料を含む、プラズマ閉じ込めシステム。
2.複数の電極が、
アセンブリ領域の外側境界の少なくとも一部分を画定するように位置付けられている第1の電極と、
アセンブリ領域の一方の端部を画定するように位置付けられている第2の電極と、を含む、項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
3.複数の電極が、第2の電極によって画定されるアセンブリ領域の同じ端部、又は第2の電極によって画定されるアセンブリ領域の端部に対向するアセンブリ領域の端部に位置付けられている第3の電極を更に含む、項2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
4.第2の電極が、複数の電極の各電極と同軸のプラズマアーク軸と交差するように、アセンブリ領域に曝露されているノーズコーンを含み、ノーズコーンが、電極材料を含む、項2又は3に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
5.電極材料が、金属重水素化物又は金属トリチウム化物のうちの1つ以上を含む、項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
6.金属重水素化物又は金属トリチウム化物のうちの1つ以上が、Ti、Zr、Sc、Mg、V、6Li、又はTi、Zr、Sc、Mg、V、若しくは6Liのうちの1つ以上の任意の組み合わせによって形成される任意の合金のうちの1つ以上を含む、項5に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
7.電極材料が、電極材料のイオン衝撃時に自由中性子を放出する、項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
8.電極材料が、電極材料の中性子衝撃時に自由トリチウム原子を放出する、項1~7のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
9.第2の電極が、
複数の電極の各電極と同軸のプラズマアーク軸によって交差されるように、アセンブリ領域に曝露されたノーズコーンであって、任意選択的に、ノーズコーンが電極材料を含む、ノーズコーンと、
液体金属であって、液体金属の一部分が、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、ノーズコーンの表面とアセンブリ領域との間に保護フィルムを形成する、液体金属と、を備える、項2、3、5、6、7又は8のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
10.熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
内側電極と、
内側電極を少なくとも部分的に囲んでいる外側電極と、を備え、
内側電極又は外側電極のうちの一方又は両方が、内側電極と外側電極との間に燃料ガスを放出し、プラズマを熱核融合反応炉の熱核融合プロセスに寄与する金属水素化物を含む、熱核融合反応炉。
11.内側電極及び外側電極のうちの一方又は両方が、熱核融合反応炉の動作中に、追加の燃料ガスをプラズマ閉じ込めチャンバに経路付ける1つ以上のバルブを備える、項10に記載の熱核融合反応炉。
12.金属水素化物が、分解温度に加熱されたときに金属及び燃料ガスに分解する、項10又は11に記載の熱核融合反応炉。
13.金属が、Ti、Zr、Sc、Mg、V、6Li、又はそれらの任意の組み合わせによって形成される任意の合金のうちの1つ以上を含み、燃料ガスが、D2又はT2のうちの1つ以上を含む、項12に記載の熱核融合反応炉。
14.金属水素化物が、重水素及び/又はトリチウムとのイオン衝撃時に自由中性子を排出する、項10~13のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
15.金属水素化物が、中性子衝撃時に自由トリチウム原子を排出する、項10~14のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
16.方法であって、
熱核融合反応炉において、熱核融合反応を発生することであって、
バルク材料及びその上に蒸発した金属層から形成された電極を加熱することであって、金属層に重水素及び/又はトリチウムを装填して、電極に水素ガスを放出させる、加熱することと、
水素ガスを使用して、熱核融合反応炉内にプラズマを形成することと、
電極を介してプラズマに向けられた電流を使用して、プラズマを圧縮して熱核融合反応を生成することと、によって、熱核融合反応を発生すること、を含む、方法。
17.金属層が、バルク材料をマスキングして、バルク材料のマスクされていない部分のみ上で金属層を蒸発させることによって、バルク材料上に蒸発される、項16に記載の方法。
18.バルク材料が、ノーズコーンで終わるシャフトを形成し、金属層が、ノーズコーンのみ上に蒸発される、項16又は17に記載の方法。
19.金属層が、Ti、Zr、Sc、及び/又は6Liを含む、項16~18のいずれか一項に記載の方法。
20.金属層の厚さが、ミリメートル未満である、項16~19のいずれか一項に記載の方法。
21.プラズマ閉じ込めシステムであって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
電極体であって、
プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられているノーズコーンと、
液体金属源に流体連結されている内部貯蔵部であって、液体金属源が、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に液体金属を内部貯蔵部に供給する、内部貯蔵部と、
内部貯蔵部をプラズマ閉じ込めチャンバに流体連結するように、ノーズコーンの表面へと延在している複数の内部液体流チャネルと、を含む、プラズマ閉じ込めシステム。
22.液体金属の第1の部分が、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、ノーズコーンの表面とプラズマ閉じ込めチャンバとの間に保護フィルムを形成し、液体金属の残りの第2の部分が、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、液体金属源から内部貯蔵部に、かつ複数の内部液体流チャネルに沿ってノーズコーンの表面に向かって供給される、項21に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
23.保護フィルムが、プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、所定の厚さに維持される、項22に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
24.電極体が、金属、黒鉛、又は半導体のうちの1つ以上から形成される、項21~23のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
25.電極体が、重力方向と同軸であり、ノーズコーンが、重力方向に対して内部貯蔵部の下に位置付けられ、その上で、内部貯蔵部から延在して、複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、最初は上向きかつノーズコーンに対して反対に配向され、そこから複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが下向きかつノーズコーンに向かってアーチ状になっている、項21~24のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
26.
複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、
内部貯蔵部に流体連結され、かつ内部貯蔵部から延在している主液体流チャネルと、
主液体流チャネルをプラズマ閉じ込めチャンバに流体連結している複数の液体流毛細管であって、保護フィルムが、複数の液体流毛細管によって誘発される毛細管作用を介してノーズコーンの表面上に保持されている、液体流毛細管と、を含む、項22~25のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
27.電極体が、プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられた複数の電極のうちの1つの電極を形成しており、複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えるプラズマ発生で使用される水素ガスを放出する電極材料を含む、項21~26のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
28.熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
プラズマ閉じ込めチャンバ内に少なくとも部分的に封入されている電極であって、電極が、熱核融合反応炉の動作中に、プラズマ閉じ込めチャンバ内に閉じ込められているプラズマアークの軸と交差しているノーズコーンを含む、電極と、
ノーズコーンの表面上に形成されている液体金属メニスカスであって、液体金属メニスカスが、熱核融合反応炉の動作中に、閉じ込められたプラズマアークと直接相互作用する、液体金属メニスカスと、を備える、熱核融合反応炉。
29.電極が、複数の内部チャネル及び内部貯蔵部を含み、内部貯蔵部が、複数の内部チャネルの少なくとも第1の部分を介して液体金属メニスカスと流体連通する、項28に記載の熱核融合反応炉。
30.複数の内部チャネルの第2の部分が、燃料ガスをプラズマ閉じ込めチャンバに供給する、項29に記載の熱核融合反応炉。
31.複数の内部チャネルの第3の部分が、電極及び/又は液体金属メニスカスの温度を維持する熱交換流体を含む、項29又は30に記載の熱核融合反応炉。
32.内部貯蔵部を液体金属源に流体連結する第1の供給チャネルを更に備えており、液体金属源が、プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、項29~31のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
33.内部貯蔵部を不活性ガス源に流体連結する第2の供給チャネルを更に備えており、不活性ガス源が、プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、項32に記載の熱核融合反応炉。
34.方法であって、
液体金属を、電極の内部貯蔵部から電極の外面に液体金属流量で流すことと、
外面から液体金属を液体金属アブレーション速度でアブレーションするために閉じ込められたプラズマアークを発生させることと、
液体金属流量が、液体金属アブレーション速度から閾値大きさより大きく逸脱するのに応答して、内部貯蔵部内の液体金属レベル、内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を調整することによって、液体金属流量を調整することと、を含む、方法。
35.液体金属を液体金属流量で流すことが、
液体金属レベルまで液体金属を内部貯蔵部に供給することと、
不活性ガス圧力が満たされるまで、不活性ガスを内部貯蔵部に供給することと、を含む、項34に記載の方法。
36.液体金属を液体金属流量で流すことが、電極を通して熱交換流体を流すこと、及び/又は電極の内部加熱コイルからの熱を調整することによって、液体金属温度を維持することを含む、項34又は35に記載の方法。
37.不活性ガス圧力を調整することが、電極の寿命使用にわたって平均して不活性ガス圧力を増加させることを含む、項34~36のいずれか一項に記載の方法。
38.液体金属流量が、液体金属流量を調整する前後でゼロではない、項34~37のいずれか一項に記載の方法。
39.
液体金属レベルが閾値レベル以下であることに応答して、
内部貯蔵部からの液体金属の流れを停止することと、
液体金属温度を上昇させることによって、外面から液体金属の少なくとも一部分を除去することと、を更に含む、項34~38のいずれか一項に記載の方法。
40.閉じ込められたプラズマアークを維持する放電電流の繰り返し速度を調整することによって、液体金属アブレーション速度を調整することを更に含む、項34~39のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載される発明のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることは明らかであろう。
【0164】
他の変形は、本開示の趣旨の範囲内である。したがって、開示された技術は、様々な修正及び代替的な構造を受けやすいが、その特定の図示された実施形態が図面に示され、上記で詳細に説明されている。しかしながら、当然のことながら、発明を、開示される特定の形態又は形態に限定する意図はなく、逆に、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正、代替的な構造、及び均等物を網羅することが意図される。
【0165】
開示された実施形態を説明する文脈における「a」及び「an」及び「the」といった用語、並びに類似の指示対象の使用(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)は、本明細書に別段の示唆がない限り、又は文脈上明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。同様に、「又は」という用語の使用は、明示的に又は文脈上矛盾しない限り、「及び/又は」を意味すると解釈されるべきである。別段の記載がない限り、「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」及び「含有する」といった用語は、オープンエンドな用語(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。修正されておらず物理的接続を指すとき、「接続された」という用語は、介在するものがあっても、部分的に又は完全に、内部に含有される、それに取り付けられる、又は一緒に結合されるものとして解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の示唆がない限り、その範囲内に収まる各別個の値に個別に言及する簡略な方法として機能することを単に意図しており、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。文脈上別段の記載がない限り、又は矛盾しない限り、「セット」(例えば、「項目のセット」)又は「サブセット」という用語の使用は、1つ以上のメンバーを含む空でない集合として解釈されるべきである。更に、文脈上別段の記載又は矛盾がない限り、対応するセットの「サブセット」という用語は、必ずしも対応するセットの適切なサブセットを示すものではなく、サブセット及び対応するセットは等しいものであってもよい。文脈上別段の明示的な記載がない限り、「~に基づく」という語句の使用は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味し、「それのみに基づく」という意味ではない。
【0166】
「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」(すなわち、オックスフォード・コンマを有する又は有さない、同じ語句)という形態の語句などの接続語は、別段の明確な記載がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、文脈内において品目、用語などが、A又はB又はCのいずれか、A及びB及びCのセットの空ではないサブセットのいずれか、又は少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、又は少なくとも1つのCを含み、文脈によって矛盾しないか、若しくは別の方法で除外されない任意のセット、を示すために一般に使用されると理解される。例えば、3つのメンバーを有するセットの例示的な実施例では、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」及び「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」という接続語は、以下のセットのいずれかを指す:{A}、{B}、{C}、{A、B}、{A、C}、{B、C}、{A、B、C}、及び、明示的に又は文脈上矛盾しない場合は、サブセットとして{A}、{B}、及び/又は{C}を有する任意のセット(例えば、複数の「A」を有するセット)。したがって、こうした接続語は、ある特定の実施形態が、Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つの各々が存在することを必要とすることを一般的に意味することを意図するものではない。同様に、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」及び「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」などの語句は、」A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」と同じことを指し、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、以下のセットのいずれかを指す:{A}、{B}、{C}、{A、B}、{A、C}、{B、C}、{A、B、C}。ただし、異なる意味が明示的に明記されているか、文脈上明確でない限りである。更に、文脈上別段の記載がない限り、又は矛盾しない限り、「複数」という用語は、複数である状態を示す(例えば、「複数の項目」は、複数の項目を示す)。複数における項目の数は少なくとも2つであるが、明示的又は文脈によって示される場合はそれ以上であってもよい。
【0167】
本明細書に記載のプロセスの動作は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。一実施形態では、本明細書に記載のプロセス(又はそれらの変形及び/又は組み合わせ)などのプロセスは、実行可能な命令を用いて構成された1つ以上のコンピュータシステムの制御下で実施され、ハードウェア又はそれらの組み合わせによって、1つ以上のプロセッサ上で集合的に実行されるコード(例えば、実行可能な命令、1つ以上のコンピュータプログラム、又は1つ以上のアプリケーション)として実施される。一実施形態では、コードは、例えば、1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数の命令を含むコンピュータプログラムの形態で、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される。一実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、一時的信号(例えば、伝搬する過渡的な送電又は電磁伝送)を除外するが、一時的信号のトランシーバ内に非一時的データ記憶回路(例えば、バッファ、キャッシュ、及びキュー)を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。一実施形態では、コード(例えば、実行可能コード又はソースコード)は、コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによって実行された(すなわち、実行された結果として)ときに、コンピュータシステムに本明細書に記載の動作を実施させる実行可能な命令を記憶している、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体のセット上に記憶される。一実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体のセットは、複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の個々の非一時的記憶媒体のうちの1つ以上には、コードの全てがなく、一方で、複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コードの全てを集合的に記憶する。一実施形態では、実行可能な命令は、異なる命令が異なるプロセッサによって実行されるように実行される。例えば、一実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶し、主CPUは命令の一部を実行し、一方でグラフィック処理装置は他の命令を実行する。別の実施形態では、コンピュータシステムの異なる構成要素は別個のプロセッサを有し、異なるプロセッサが命令の異なるサブセットを実行する。
【0168】
したがって、一実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に記載のプロセスの動作を単一又は集合的に実施する1つ以上のサービスを実装するように構成され、こうしたコンピュータシステムは、動作の実行を可能にする、適用可能なハードウェア及び/又はソフトウェアで構成される。更に、本開示の実施形態では、コンピュータシステムは、単一の装置であり、別の実施形態では、分散コンピュータシステムが本明細書に記載の動作を実施するように、及び単一の装置が全ての動作を実施するわけではないように、異なる動作をする複数の装置を備える分散コンピュータシステムである。
【0169】
本明細書に提供される任意の及び全ての実施例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の実施形態をより良く説明することを意図しており、別段の請求がない限り、発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、発明の実施に必須である、任意の特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0170】
本開示の実施形態は、発明を実施するための発明者らに公知の最良のモードを含め、本明細書に説明されている。それらの実施形態の変形は、前述の説明を読むことで当業者には明らかとなるであろう。発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を採用することを期待し、発明者らは、本開示の実施形態が、本明細書に具体的に記載される以外の方法で実施されることを意図する。したがって、本開示の範囲は、適用法により許容される通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正及び均等物を含む。更に、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、上述の要素の全ての可能な変形における任意の組み合わせは、本開示の範囲によって包含される。
【0171】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記述されているかのように、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ閉じ込めシステムであって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
電極体と、を備え、前記電極体が、
前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられているノーズコーンと、
液体金属源に流体連結されている内部貯蔵部であって、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に液体金属を前記内部貯蔵部に供給する、内部貯蔵部と、
前記内部貯蔵部を前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結するように、前記ノーズコーンの表面へと延在している複数の内部液体流チャネルと、を備える、プラズマ閉じ込めシステム。
【請求項2】
前記液体金属の第1の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記ノーズコーンの前記表面と前記プラズマ閉じ込めチャンバとの間に保護フィルムを形成し、前記液体金属の残りの第2の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記液体金属源から前記内部貯蔵部に、かつ前記複数の内部液体流チャネルに沿って前記ノーズコーンの前記表面に向かって供給される、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項3】
前記保護フィルムが、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、所定の厚さに維持される、請求項2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項4】
前記電極体が、金属、黒鉛、又は半導体のうちの1つ以上から形成される
、請求項
1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項5】
前記電極体が、重力方向と同軸であり、前記ノーズコーンが、前記重力方向に対して前記内部貯蔵部の下に位置付けられ、その上で、前記内部貯蔵部から延在して、前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、最初は上向きかつ前記ノーズコーンに対して反対に配向され、そこから前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが下向きかつ前記ノーズコーンに向かってアーチ状になっている
、請求項
1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項6】
前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、
前記内部貯蔵部に流体連結され、かつ前記内部貯蔵部から延在している主液体流チャネルと、
前記主液体流チャネルを前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結している複数の液体流毛細管であって、前記保護フィルムが、前記複数の液体流毛細管によって誘発される毛細管作用を介して前記ノーズコーンの前記表面上に保持されている、液体流毛細管と、を含む、請求項
2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項7】
前記電極体が、前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられた複数の電極のうちの1つの電極を形成しており、前記複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えるプラズマ発生で使用される水素ガスを放出する電極材料を含む
、請求項
1から6のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項8】
熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に少なくとも部分的に封入されている電極であって、前記電極が、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に閉じ込められているプラズマアークの軸と交差しているノーズコーンを備える、電極と、
前記ノーズコーンの表面上に形成されている液体金属メニスカスであって、前記液体金属メニスカスが、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記閉じ込められたプラズマアークと直接相互作用する、液体金属メニスカスと、を備える、熱核融合反応炉。
【請求項9】
前記電極が、複数の内部チャネル及び内部貯蔵部を備え、前記内部貯蔵部が、前記複数の内部チャネルの少なくとも第1の部分を介して前記液体金属メニスカスと流体連通する、請求項8に記載の熱核融合反応炉。
【請求項10】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、燃料ガスを前記プラズマ閉じ込めチャンバに供給する、請求項9に記載の熱核融合反応炉。
【請求項11】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、前記電極及び/又は前記液体金属メニスカスの温度を維持する熱交換流体を含む、請求項
9に記載の熱核融合反応炉。
【請求項12】
前記内部貯蔵部を液体金属源に流体連結する第1の供給チャネルを更に備えており、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項9~11のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
【請求項13】
前記内部貯蔵部を不活性ガス源に流体連結する第2の供給チャネルを更に備えており、前記不活性ガス源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項12に記載の熱核融合反応炉。
【請求項14】
方法であって、
液体金属を、電極の内部貯蔵部から前記電極の外面に液体金属流量で流すことと、
前記外面から前記液体金属を液体金属アブレーション速度でアブレーションするために閉じ込められたプラズマアークを発生させることと、
前記液体金属流量が、前記液体金属アブレーション速度から閾値大きさより大きく逸脱するのに応答して、前記内部貯蔵部内の液体金属レベル、前記内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を調整することによって、前記液体金属流量を調整することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、
前記液体金属レベルまで前記液体金属を前記内部貯蔵部に供給することと、
前記不活性ガス圧力が満たされるまで、不活性ガスを前記内部貯蔵部に供給することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、前記電極を通して熱交換流体を流すこと、及び/又は前記電極の内部加熱コイルからの熱を調整することによって、前記液体金属温度を維持することを含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガス圧力を調整することが、前記電極の寿命使用にわたって平均して前記不活性ガス圧力を増加させることを含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項18】
前記液体金属流量が、前記液体金属流量を調整する前後でゼロではない、請求項1
4に記載の方法。
【請求項19】
前記液体金属レベルが閾値レベル以下であることに応答して、
前記内部貯蔵部からの前記液体金属の流れを停止することと、
前記液体金属温度を上昇させることによって、前記外面から前記液体金属の少なくとも一部分を除去することと、を更に含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項20】
前記閉じ込められたプラズマアークを維持する放電電流の繰り返し速度を調整することによって、前記液体金属アブレーション速度を調整することを更に含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
プラズマ閉じ込めシステムであって、
複数の電極であって、前記複数の電極の各電極が、前記プラズマ閉じ込めシステムのアセンブリ領域に対して同軸に配設されており、かつ前記アセンブリ領域に曝露されるように位置付けられている、複数の電極を備え、
前記複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えて水素ガスを放出する電極材料を含む、プラズマ閉じ込めシステム。
【請求項22】
前記複数の電極が、
前記アセンブリ領域の外側境界の少なくとも一部分を画定するように位置付けられている第1の電極と、
前記アセンブリ領域の一方の端部を画定するように位置付けられている第2の電極と、を含む、請求項21に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項23】
前記複数の電極が、前記第2の電極によって画定される前記アセンブリ領域の同じ端部、又は前記第2の電極によって画定される前記アセンブリ領域の前記端部に対向する前記アセンブリ領域の端部に位置付けられている第3の電極を更に含む、請求項22に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項24】
前記第2の電極が、前記複数の電極の各電極と同軸のプラズマアーク軸と交差するように、前記アセンブリ領域に曝露されているノーズコーンを含み、前記ノーズコーンが、前記電極材料を含む、請求項22に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項25】
前記電極材料が、金属重水素化物又は金属トリチウム化物のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項26】
前記金属重水素化物又は前記金属トリチウム化物のうちの前記1つ以上が、Ti、Zr、Sc、Mg、V、
6
Li、又はTi、Zr、Sc、Mg、V、若しくは
6
Liのうちの1つ以上の任意の組み合わせによって形成される任意の合金のうちの1つ以上を含む、請求項25に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項27】
前記電極材料が、前記電極材料のイオン衝撃時に自由中性子を放出する、請求項21~26のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項28】
前記電極材料が、前記電極材料の中性子衝撃時に自由トリチウム原子を放出する、請求項21~26のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項29】
前記第2の電極が、
前記複数の電極の各電極と同軸のプラズマアーク軸によって交差されるように、前記アセンブリ領域に曝露されているノーズコーンと、
液体金属であって、前記液体金属の一部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記ノーズコーンの表面と前記アセンブリ領域との間に保護フィルムを形成する、液体金属と、を備える、請求項22又は23に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項30】
熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
内側電極と、
前記内側電極を少なくとも部分的に囲んでいる外側電極と、を備え、
前記内側電極又は前記外側電極のうちの一方又は両方が、前記内側電極と前記外側電極との間に燃料ガスを放出し、プラズマを前記熱核融合反応炉の熱核融合プロセスに寄与する金属水素化物を含む、熱核融合反応炉。
【請求項31】
前記内側電極及び前記外側電極のうちの一方又は両方が、前記熱核融合反応炉の動作中に、追加の燃料ガスを前記プラズマ閉じ込めチャンバに経路付ける1つ以上のバルブを備える、請求項30に記載の熱核融合反応炉。
【請求項32】
前記金属水素化物が、分解温度に加熱されたときに金属及び前記燃料ガスに分解する、請求項30に記載の熱核融合反応炉。
【請求項33】
前記金属が、Ti、Zr、Sc、Mg、V、
6
Li、又はそれらの任意の組み合わせによって形成される任意の合金のうちの1つ以上を含み、前記燃料ガスが、D
2
又はT
2
のうちの1つ以上を含む、請求項32に記載の熱核融合反応炉。
【請求項34】
前記金属水素化物が、重水素及び/又はトリチウムとのイオン衝撃時に自由中性子を排出する、請求項30~33のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
【請求項35】
前記金属水素化物が、中性子衝撃時に自由トリチウム原子を排出する、請求項30~33のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
【請求項36】
方法であって、
熱核融合反応炉において、熱核融合反応を発生することであって、
バルク材料及びその上に蒸発した金属層から形成された電極を加熱することであって、前記金属層に重水素及び/又はトリチウムを装填して、前記電極に水素ガスを放出させる、加熱することと、
前記水素ガスを使用して、前記熱核融合反応炉内にプラズマを形成することと、
前記電極を介して前記プラズマに向けられた電流を使用して、前記プラズマを圧縮して前記熱核融合反応を生成することと、によって、熱核融合反応を発生すること、を含む、方法。
【請求項37】
前記金属層が、前記バルク材料をマスキングして、前記バルク材料のマスクされていない部分のみ上で前記金属層を蒸発させることによって、前記バルク材料上に蒸発される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記バルク材料が、ノーズコーンで終わるシャフトを形成し、前記金属層が前記ノーズコーンのみ上に蒸発される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記金属層が、Ti、Zr、Sc、及び/又は
6
Liを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記金属層の厚さがミリメートル未満である、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ閉じ込めシステムであって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
電極体と、を備え、前記電極体が、
前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられているノーズコーンと、
液体金属源に流体連結されている内部貯蔵部であって、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に液体金属を前記内部貯蔵部に供給する、内部貯蔵部と、
前記内部貯蔵部を前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結するように、前記ノーズコーンの表面へと延在している複数の内部液体流チャネルと、を備える、プラズマ閉じ込めシステム。
【請求項2】
前記液体金属の第1の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記ノーズコーンの前記表面と前記プラズマ閉じ込めチャンバとの間に保護フィルムを形成し、前記液体金属の残りの第2の部分が、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、前記液体金属源から前記内部貯蔵部に、かつ前記複数の内部液体流チャネルに沿って前記ノーズコーンの前記表面に向かって供給される、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項3】
前記保護フィルムが、前記プラズマ閉じ込めシステムの動作中に、所定の厚さに維持される、請求項2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項4】
前記電極体が、金属、黒鉛、又は半導体のうちの1つ以上から形成される、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項5】
前記電極体が、重力方向と同軸であり、前記ノーズコーンが、前記重力方向に対して前記内部貯蔵部の下に位置付けられ、その上で、前記内部貯蔵部から延在して、前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、最初は上向きかつ前記ノーズコーンに対して反対に配向され、そこから前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが下向きかつ前記ノーズコーンに向かってアーチ状になっている、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項6】
前記複数の内部液体流チャネルの各内部液体流チャネルが、
前記内部貯蔵部に流体連結され、かつ前記内部貯蔵部から延在している主液体流チャネルと、
前記主液体流チャネルを前記プラズマ閉じ込めチャンバに流体連結している複数の液体流毛細管であって、前記保護フィルムが、前記複数の液体流毛細管によって誘発される毛細管作用を介して前記ノーズコーンの前記表面上に保持されている、液体流毛細管と、を含む、請求項2に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項7】
前記電極体が、前記プラズマ閉じ込めチャンバに曝露されるように位置付けられた複数の電極のうちの1つの電極を形成しており、前記複数の電極のうちの1つ以上の電極が、閾値温度を超えるプラズマ発生で使用される水素ガスを放出する電極材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項8】
熱核融合反応炉であって、
プラズマ閉じ込めチャンバと、
前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に少なくとも部分的に封入されている電極であって、前記電極が、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記プラズマ閉じ込めチャンバ内に閉じ込められているプラズマアークの軸と交差しているノーズコーンを備える、電極と、
前記ノーズコーンの表面上に形成されている液体金属メニスカスであって、前記液体金属メニスカスが、前記熱核融合反応炉の動作中に、前記閉じ込められたプラズマアークと直接相互作用する、液体金属メニスカスと、を備える、熱核融合反応炉。
【請求項9】
前記電極が、複数の内部チャネル及び内部貯蔵部を備え、前記内部貯蔵部が、前記複数の内部チャネルの少なくとも第1の部分を介して前記液体金属メニスカスと流体連通する、請求項8に記載の熱核融合反応炉。
【請求項10】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、燃料ガスを前記プラズマ閉じ込めチャンバに供給する、請求項9に記載の熱核融合反応炉。
【請求項11】
前記複数の内部チャネルの第2の部分が、前記電極及び/又は前記液体金属メニスカスの温度を維持する熱交換流体を含む、請求項9に記載の熱核融合反応炉。
【請求項12】
前記内部貯蔵部を液体金属源に流体連結する第1の供給チャネルを更に備えており、前記液体金属源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項9~11のいずれか一項に記載の熱核融合反応炉。
【請求項13】
前記内部貯蔵部を不活性ガス源に流体連結する第2の供給チャネルを更に備えており、前記不活性ガス源が、前記プラズマ閉じ込めチャンバの外部に位置付けられている、請求項12に記載の熱核融合反応炉。
【請求項14】
方法であって、
液体金属を、電極の内部貯蔵部から前記電極の外面に液体金属流量で流すことと、
前記外面から前記液体金属を液体金属アブレーション速度でアブレーションするために閉じ込められたプラズマアークを発生させることと、
前記液体金属流量が、前記液体金属アブレーション速度から閾値大きさより大きく逸脱するのに応答して、前記内部貯蔵部内の液体金属レベル、前記内部貯蔵部内の不活性ガス圧力、又は液体金属温度のうちの1つ以上を調整することによって、前記液体金属流量を調整することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、
前記液体金属レベルまで前記液体金属を前記内部貯蔵部に供給することと、
前記不活性ガス圧力が満たされるまで、不活性ガスを前記内部貯蔵部に供給することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記液体金属を前記液体金属流量で流すことが、前記電極を通して熱交換流体を流すこと、及び/又は前記電極の内部加熱コイルからの熱を調整することによって、前記液体金属温度を維持することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガス圧力を調整することが、前記電極の寿命使用にわたって平均して前記不活性ガス圧力を増加させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記液体金属流量が、前記液体金属流量を調整する前後でゼロではない、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記液体金属レベルが閾値レベル以下であることに応答して、
前記内部貯蔵部からの前記液体金属の流れを停止することと、
前記液体金属温度を上昇させることによって、前記外面から前記液体金属の少なくとも一部分を除去することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記閉じ込められたプラズマアークを維持する放電電流の繰り返し速度を調整することによって、前記液体金属アブレーション速度を調整することを更に含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】