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特表2025-504948磁気ボールの較正方法及び磁気ボールの較正装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】磁気ボールの較正方法及び磁気ボールの較正装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
A61B1/00 611
A61B1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544894
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2023072318
(87)【国際公開番号】W WO2023143172
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210104801.7
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517396261
【氏名又は名称】アンコン メディカル テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANKON MEDICAL TECHNOLOGIES (SHANGHAI) CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Floor 1,No.435,Chuanqiao Road,Pilot Free Trade Zone,Pudong New Area,Shanghai,201206,China
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティンチ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥァン シャォドン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD07
4C161FF15
4C161GG28
4C161JJ11
(57)【要約】
本願は、磁気ボールの較正方法及び磁気ボールの較正装置を開示するものである。本願による磁気ボール較正方法は、磁気ボール(10)が第1軸(110)回りに第1角度を回動し、回動中の検出データを取得するステップと、検出データに基づいて磁気ボール(10)の第2軸(120)方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するステップと、検出データとゼロ点位置Pに基づいて、磁気ボール(10)の較正位置を得るステップと、磁気ボールの較正位置に基づいて、磁気ボールを較正するステップと、を備える。ここで、磁気ボール(10)が較正位置に位置するときに、磁気ボール(10)の磁極化方向は第2軸(120)と重なり、第1軸(110)と第2軸(120)とは互いに垂直であり、三軸磁場成分はX軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含み、Z軸磁場成分の方向は第2軸(120)の方向と重なり、Y軸磁場成分は第1軸(110)の方向と重なっている。本願の磁気ボールの較正方法と磁気ボールの較正装置によれば、磁気ボールを便利、迅速且つ正確に較正することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ボールの較正方法であって、
磁気ボールが第1軸の回りに180°以上の第1角度回動し、回動中の検出位置での三軸磁場成分の検出データを取得するステップと、
検出データに基づいて、前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するステップと、
前記検出データ及び前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を取得するステップと、
前記磁気ボールの較正位置に基づいて、磁気ボールを較正するステップと、を備え、
ここで、前記磁気ボールが前記較正位置に位置するときに、前記磁気ボールの磁極化方向は第2軸と重なり、
前記第1軸と前記第2軸とは互いに垂直であり、
前記三軸磁場成分は、X軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含み、
前記Z軸磁場成分の方向は前記第2軸の方向と重なり、前記Y軸磁場成分は前記第1軸の方向と重なっていることを特徴とする磁気ボールの較正方法。
【請求項2】
検出データに基づいて前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するには、
磁気ボールの第1軸回りに回動中の検出位置での磁場強度の変化に関する複数組の検出データを取得すること、
検出データに基づいて、各組の検出データの第2軸方向での磁場強度の成分を取得すること、及び
第2軸方向における磁場強度の成分が0であるか否かを判断し、前記第2軸方向における磁場強度の成分が0であるゼロ点位置Pを得ること、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気ボールの較正方法。
【請求項3】
検出データに基づいて前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するには、
検出データに基づいて、第2軸方向における磁場成分のゼロ点に近い位置をゼロ点近接位置Pとして取得すること、及び
前記ゼロ点近接位置Pをゼロ点位置Pとすること、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気ボールの較正方法。
【請求項4】
前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を得るステップは、
前記磁気ボールが第1軸の回りに第1角度回転する過程において、前記ゼロ点位置Pの方向データを判断すること、及び
前記ゼロ点位置Pの方向データ、前記ゼロ点位置P及び検出データに基づいて、磁気ボールの第1較正位置Vと第2較正位置Hを得ることを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の磁気ボールの較正方法。
【請求項5】
前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を算出する場合には、
前記ゼロ点位置Pの方向データが正から負へと変化すると、前記第1較正位置をV=α-90°とし、前記第2較正位置をH=-βとし、
前記ゼロ点位置Pの方向データが負から正になると、前記第1較正位置をV=α+90°とし、前記第2較正位置をH=180°-βとし、
ここで、前記ゼロ点位置Pでの前記三軸磁場成分は(bxi,byi,bzi)であり、
αは、前記磁気ボールが前記ゼロ点位置Pに到達したときに回動した角度であり、
βは、前記ゼロ点位置Pでのx方向成分bxiとy方向成分byiとの間の角度であることを特徴とする請求項4に記載の磁気ボールの較正方法。
【請求項6】
磁気ボールの較正装置であって、
前記磁気ボールは主軸方向に沿う磁極を有し、前記磁気ボールの較正装置は、
前記磁気ボールが第1軸の回りに第1角度回転するように駆動する第1駆動ユニットと、
磁気ボールに隣接して配置されて、前記磁気ボールの回動中の検出位置における三軸磁場成分の検出データを取得するための三軸磁場センサと、
前記三軸磁場センサに接続されて前記三軸磁場成分の検出データを受信し、前記検出データに基づいて前記検出位置での第2軸方向における磁場強度がゼロとなるゼロ点位置Pを取得し、且つ前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて前記磁気ボールの較正位置を取得し、及び磁気ボールの較正位置に基づいて磁気ボールを較正するためのデータ処理ユニットと、を備え、
ここで、前記磁気ボールが前記較正位置に位置するときに、前記主軸は第2軸と重なり、
前記第1軸と前記第2軸とは、互いに垂直であり、
前記三軸磁場成分は、X軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含み、
前記Z軸磁場成分の方向は前記第2軸の方向と重なり、前記Y軸磁場成分は前記第1軸の方向と重なることを特徴とする磁気ボールの較正装置。
【請求項7】
前記第1角度は180°以上であるか、または200°であることを特徴とする請求項6に記載の磁気ボールの較正装置。
【請求項8】
前記データ処理ユニットは、第1処理ユニットを含み、
前記第1処理ユニットは、検出データに基づいて、各組の検出データの第2軸方向における磁場強度の成分を取得し、且つ第2軸方向における磁場強度の成分が0であるかどうかを判断して、第2軸方向における磁場強度の成分が0であるゼロ点位置Pを得ることを特徴とする請求項6に記載の磁気ボールの較正装置。
【請求項9】
前記データ処理ユニットは、第1処理ユニットを含み、
前記第1処理ユニットは、検出データに基づいて、第2軸方向における磁場成分のゼロ点に近い位置をゼロ点近接位置Pとして取得し、且つゼロ点近接位置Pをゼロ点位置Pとすることを特徴とする請求項6に記載の磁気ボールの較正装置。
【請求項10】
前記データ処理ユニットは、第2処理ユニットを含み、
前記第2処理ユニットは、前記検出データに基づいて前記ゼロ点位置Pの方向データを判断し、且つ前記ゼロ点位置P、前記ゼロ点位置Pの方向データ及び検出データに基づいて、磁気ボールの第1較正位置Vと第2較正位置Hとを取得することを特徴とする請求項8または9に記載の磁気ボールの較正装置。
【請求項11】
前記第1軸または前記第2軸は、前記三軸磁場センサを貫通し、
前記検出位置には、前記三軸磁場センサが所在する位置が含まれることを特徴とする請求項6に記載の磁気ボールの較正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2022年1月28日であり、出願番号が202210104801.7であり、名称が「磁気ボールの較正方法及び磁気ボールの較正装置」である中国特許出願の優先権を主張し、かつ、前述の中国特許出願の全ての明細書、請求項、図面及び要約を参照することにより、その内容を本願に取り組む。
【0002】
本願は、磁気制御の技術分野及びカプセル内視鏡の技術分野に関し、特に磁気ボールの較正方法及び磁気ボールの較正装置に関する。
【背景技術】
【0003】
カプセル内視鏡は、外部の磁気制御装置の能動的な制御の下で、詳細かつ全面的な検査を行うことができる。挿管型内視鏡に比べて、カプセル内視鏡は快適性がよく、交差感染リスクが低いなどの利点があり、臨床応用への普及率が絶えず高まっている。
【0004】
磁気制御カプセル内視鏡システムにとって、外部の磁気制御装置における永久磁石(通常は磁性球体、即ち磁気ボール)は、カプセル内視鏡の動きを制御するコア部品である。磁気ボールの姿勢及び/または位置などを制御することにより、磁場の変化を実現する。カプセル内視鏡は、この変換されている磁場に応じて対応する並進、回転や反転などの運動を実現することができる。そして、磁気ボールは、磁場の方向を通じてカプセル内視鏡の姿勢に影響を与える。実際の使用において、永久磁石の磁場方向の不確定または磁極位置のばらつきによって、カプセル内視鏡の姿勢角度の誤差が大きくなり、カプセル内視鏡の姿勢の精度に影響を与え、さらにカプセル内視鏡の情報収集の正確性に影響を与える。カプセル内視鏡の外部磁気制御装置に対して、使用時に、その中の磁気ボールの方向を較正する必要がある。
【0005】
従来技術では、通常、複数のセンサを用いて磁場のデータを取得して、磁気ボールの磁場方向を決定する。この方法は磁気ボールの方向を正確に特定することができるが、過程が煩雑で、操作が複雑で、広範な応用に不利である。
【0006】
そのため、より簡単で、便利で、且つ正確な磁気ボールの較正方法と磁気ボールの較正装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題点に鑑み、本願の目的は、磁気ボールを正確、便利且つ迅速に較正することができる磁気ボールの較正方法と磁気ボールの較正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一態様による磁気ボールの較正方法は、
磁気ボールが第1軸回りに180°以上の第1角度回動し、回動中の検出位置での三軸磁場成分の検出データを取得するステップと、
検出データに基づいて、前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するステップと、
前記検出データ及び前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を取得するステップと、
磁気ボールの較正位置に基づいて、磁気ボールを較正するステップと、を備え、
ここで、前記磁気ボールが前記較正位置に位置するときに、前記磁気ボールの磁極化方向は第2軸と重なり、
前記第1軸と前記第2軸とは互いに垂直であり、
前記三軸磁場成分は、X軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含み、
前記Z軸磁場成分の方向は前記第2軸の方向と重なり、前記Y軸磁場成分は前記第1軸の方向と重なっている。
【0009】
好ましくは、検出データに基づいて前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するには、
磁気ボールの第1軸回りに回動中の検出位置での磁場強度の変化に関する複数組の検出データを取得すること、
検出データに基づいて、各組の検出データの第2軸方向での磁場強度の成分を取得すること、及び
第2軸方向における磁場強度の成分が0であるか否かを判断し、第2軸方向における磁場強度の成分が0であるゼロ点位置Pを得ること、を含む。
【0010】
好ましくは、検出データに基づいて前記磁気ボールの第2軸方向における磁場強度の成分がゼロとなるゼロ点位置Pを取得するには、
検出データに基づいて、第2軸方向における磁場成分のゼロ点に近い位置をゼロ点近接位置Pとして取得すること、及びゼロ点近接位置Pをゼロ点位置Pとすること、を含む。
【0011】
好ましくは、前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を得るステップは、
前記磁気ボールが第1軸の回りに第1角度回転する過程において、前記ゼロ点位置Pの方向データを判断すること、及び
前記ゼロ点位置Pの方向データ、前記ゼロ点位置P及び検出データに基づいて、磁気ボールの第1較正位置Vと第2較正位置Hを得ることを含む。
【0012】
好ましくは、前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて、前記磁気ボールの較正位置を算出する場合には、
前記ゼロ点位置Pの方向データが正から負へと変化すると、前記第1較正位置をV=α-90°とし、前記第2較正位置をH=-βとし、
前記ゼロ点位置Pの方向データが負から正になると、前記第1較正位置をV=α+90°とし、前記第2較正位置をH=180°-βとし、
ここで、前記ゼロ点位置Pでの前記三軸磁場成分は(bxi,byi,bzi)であり、
αは、前記磁気ボールが前記ゼロ点位置Pに到達したときに回動した角度であり、
βは、前記ゼロ点位置Pでのx方向成分bxiとy方向成分byiとの間の角度である。
【0013】
本願の別の態様によれば、磁気ボールの較正装置が提供され、前記磁気ボールは主軸方向に沿う磁極を有し、前記磁気ボールの較正装置は、
前記磁気ボールが第1軸の回りに第1角度回動するように駆動する第1駆動ユニットと、
磁気ボールに隣接して配置されて、前記磁気ボールの回動中の検出位置における三軸磁場成分の検出データを取得するための三軸磁場センサと、
前記三軸磁場センサに接続されて前記三軸磁場成分の検出データを受信し、前記検出データに基づいて前記検出位置での第2軸方向における磁場強度がゼロとなるゼロ点位置Pを取得し、且つ前記検出データと前記ゼロ点位置Pに基づいて前記磁気ボールの較正位置を取得し、及び磁気ボールの較正位置に基づいて磁気ボールを較正するためのデータ処理ユニットと、を備え、
ここで、前記磁気ボールが前記較正位置に位置するときに、前記主軸は第2軸と重なり、
前記第1軸と前記第2軸とは、互いに垂直であり、
前記三軸磁場成分は、X軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含み、
前記Z軸磁場成分の方向は前記第2軸の方向と重なり、前記Y軸磁場成分は前記第1軸の方向と重なる。
【0014】
好ましくは、前記第1角度は180°以上であるか、または200°である。
【0015】
好ましくは、前記データ処理ユニットは、第1処理ユニットを含み、
前記第1処理ユニットは、検出データに基づいて、各組の検出データの第2軸方向における磁場強度の成分を取得し、且つ第2軸方向における磁場強度の成分が0であるかどうかを判断して、第2軸方向における磁場強度の成分が0であるゼロ点位置Pを得る。
【0016】
好ましくは、前記データ処理ユニットは、第1処理ユニットを含み、
前記第1処理ユニットは、検出データに基づいて、第2軸方向における磁場成分のゼロ点に近い位置をゼロ点近接位置Pとして取得し、且つゼロ点近接位置Pをゼロ点位置Pとする。
【0017】
好ましくは、前記データ処理ユニットは、第2処理ユニットを含み、
前記第2処理ユニットは、前記検出データに基づいて前記ゼロ点位置Pの方向データを判断し、且つ前記ゼロ点位置P、前記ゼロ点位置Pの方向データ及び検出データに基づいて、磁気ボールの第1較正位置Vと第2較正位置Hとを取得する。
【0018】
好ましくは、前記第1軸または前記第2軸は、前記三軸磁場センサを貫通し、
前記検出位置には、前記三軸磁場センサが所在する位置が含まれる。
【0019】
本願実施例の磁気ボールの較正装置と磁気ボールの較正方法によれば、1つの三軸磁場センサを用いて磁気ボールの方向を決定し、操作が簡単で、磁気ボールを便利、迅速且つ正確に較正することができ、カプセル内視鏡の姿勢の判断に正確な根拠を提供する。
【0020】
本願実施例の磁気ボールの較正装置及び磁気ボールの較正方法によれば、検出位置における磁場値を検出、分析することにより磁気ボールの較正を実現し、操作が簡単で且つ便利である。
【0021】
本願実施例の磁気ボールの較正装置と磁気ボールの較正方法によれば、磁気ボールを一定角度回転させることで自動較正を実現でき、較正過程の制御が便利であり、且つ人為的な操作による誤差の導入を回避することができる。
【0022】
本願実施例に係る磁気ボールの較正装置と磁気ボールの較正方法によれば、ゼロ点位置及び磁場値に基づいて磁気ボールの較正位置を決定し、データの分割度が小さすぎることによる検出誤差を回避でき、磁気ボールの較正精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面を参照して本願の実施例について説明することにより、本願の上述及びその他の目的、特徴及び利点は、より明確になる。図面において、
図1】本願の実施例による磁気ボールの磁場分布の模式図である。
図2】本願第1実施例による磁気ボールの較正装置の斜視図である。
図3】本願第1実施例による磁気ボールの較正方法のフローチャートを示す図である。
図4】本願の第2の実施例による磁気ボールの較正方法のフローチャートを示す図である。
図5】本発明の実施例による第1較正位置及び第2較正位置を取得する場合のフローチャートを示す図である。
図6】本願の実施例による磁気ボールの較正後の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本願の様々な実施例についてより詳細に説明する。各図面において、同一の要素は同一または類似の符号を用いて表される。明確にするために、図面の各部分は比例して描かれていない。また、図中には幾つかの公知の部分が示されていない可能性がある。
【0025】
以下、添付図面と実施例に合わせて、本願の具体的な実施形態についてさらに説明する。本願をより明確に理解するために、部品の構造、材料、寸法、処理プロセスや技術など、本願の多くの特定の詳細を以下に説明する。しかし、当業者が理解できるように、これらの特定の詳細に従って本願を実現しなくてもよい。
【0026】
部品の構造を説明する際に、1つの層、1つの領域を別の層、別の領域の「上面」または「上方」と述べる場合、別の層、別の領域の上面に直接位置するか、別の層、別の領域との間に他の層または領域をさらに含んでもよいことを理解すべきである。また、部品を反転すると、当該1つの層、1つの領域が別の層、別の領域の「下面」または「下方」に位置するようになる。
【0027】
図1は、本願の実施例による磁気ボール10の磁場分布の概略図を示している。図1に示すように、本願実施例に係る磁気ボール10は、主軸方向に沿う磁極(特定方向の磁場)を有する。主軸は、磁気ボールのN磁極とS磁極との接続線と重なり、磁気ボールにおける特定の軸である。本願実施例の磁気ボール10によれば、そのある直径の両端はそれぞれN磁極とS磁極である。磁気ボール10の磁場分布は、例えば図1の磁気線により示される。
【0028】
図2は、本願の第1実施例による磁気ボールの較正装置の斜視図を示している。図2に示すように、一態様では、本願の実施例は、三軸磁場センサ20、第1駆動ユニット40及びデータ処理ユニット60を含む磁気ボールの較正装置を提供する。磁気ボール10は、第1方向と、第2方向とを含む。ここで、第1方向は、磁気ボール10が第1軸110の回りを回動する方向である。第2方向は、磁気ボール10が第2軸の回りを回動する方向である。
【0029】
第1駆動ユニット40は、磁気ボール10を駆動して第1方向において回動させるためのものである。
【0030】
三軸磁場センサ20は、回動中の三軸磁場成分の検出データを取得するために、磁気ボール10に隣接して配置される。
【0031】
データ処理ユニット60は、三軸磁場成分の検出データを受信するために三軸磁場センサ20に接続され、且つ検出データから検出位置での、選定方向の磁場強度の成分がゼロであるゼロ点位置Pを取得し、且つ検出データとゼロ点位置Pに基づいて磁気ボールの較正位置を取得して、磁気ボールの較正位置に基づいて磁気ボールを較正する。ここで、ゼロ点位置Pは、その点の位置情報だけでなく、その点のデータ変化方向なども含む。
【0032】
ここで、図6に示すように、磁気ボール10が較正位置にあるときに、主軸は第2軸方向と重なり、第1軸と第2軸は互いに直交している。三軸磁場成分は、X軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含む。Z軸磁場成分の方向は、第2軸の方向と重なる。Y軸磁場成分の方向は、第1軸の方向と重なっている。
【0033】
具体的には、磁気ボール10は、第1軸110及び/または第2軸120の回りに回動(即ち、第1方向及び/または第2方向において回動)することができる。磁気ボール10の運動過程では、第1軸110は、第2軸120に対して固定された姿勢(例えば、固定された角度)を維持する。オプションとして、第1軸110及び/または第2軸120の回転軸の位置が固定されているか、または上記回転軸がカプセル内視鏡システムの中に固定的に取り付けられている。好ましくは、第1軸110と第2軸120はいずれも磁気ボール10の球心を通り、第1軸110は第2軸120に対して垂直である。これに基づいて、3軸(三次元直角座標系)は、構築された。オプションとして、この座標系では、第1軸110が位置する直線はY軸であり、磁気ボール10の球心はゼロ点である。三軸磁場成分とは、即ち三次元直角座標系の3つの軸における磁場成分である。
【0034】
オプションとして、三軸磁場成分は、三軸磁場センサ20自体の方向によって決定される。具体的には、このセンサのチップ(図示せず)により決定される。上記三軸磁場成分の3軸方向については、それぞれ、Z軸がチップの平面に垂直であり、X軸とY軸がチップの平面に平行である。ここで、チップのX軸、Y軸及びZ軸の方向は、三次元直角座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸の方向に一致している。後述する三軸磁場成分の3軸のうち、いずれも三次元直角座標の3軸で説明する。即ち、三軸磁場成分はX軸磁場成分、Y軸磁場成分及びZ軸磁場成分を含む。Z軸磁場成分の方向は、第2軸120の方向と重なる。Y軸磁場成分の方向は、第1軸110の方向と重なる。
【0035】
本実施例では、較正を行う際に、第1駆動ユニット40は、磁気ボール10を第1軸110の回り(第1方向において)に第1角度だけ回動させるように駆動する。オプションとして、第1駆動ユニット40は、磁気ボール10が第1軸110の回りに回転するように駆動する。また、磁気ボールの較正装置は、磁気ボール10に隣接して配置された三軸磁場センサ20をさらに含む。この三軸磁場センサ20は、磁気ボール10の磁場強度、特に磁気ボール10の回動中の磁場強度の変化を検出することに用いられる。
【0036】
より具体的には、三軸磁場センサ20は、磁気ボール10の直上に位置して(即ち、Z軸に沿って磁気ボール10の先端に位置する)、磁気ボール10の3軸方向における磁場強度(即ち、三次元空間の各方向における磁場強度)を検出するために用いられる。一方、本願の他の実施例では、三軸磁場センサ20は他の位置に設置されてもよく、磁気ボール10の回動中の磁場強度のデータを正確に取得できればよい。
【0037】
1つの実施例では、第1駆動ユニット40は、磁気ボール10の側面(例えば、磁気ボール10の両側)に位置して、磁気ボール10が第1軸110回りに回転するように駆動する。
【0038】
三軸磁場センサ20は、磁気ボール10に隣接して配置されて、磁気ボール10の回動中の三軸磁場成分の検出データを検出する(例えば、三次元空間内での各方向における磁気ボール10の磁場強度を検出する)。本願の実施例では、三軸磁場センサ20と磁気ボール10の表面との距離は、磁気ボール10の磁場強度及び/又は三軸磁場センサ20の感度などに応じて調節される。本願では、三軸磁場センサ20が磁気ボール10の磁場強度データを取得できるようにすれば、磁気ボール10の外面からの三軸磁場センサ20の距離をさらに限定しない。なお、本実施例における第1駆動ユニット40は、磁気ボール10の回動を直接制御してもよいし、伝動部材(図示せず)を介して磁気ボール10の回動を制御してもよいが、ここではこれ以上説明しない。
【0039】
設置の容易さと測定精度の向上を考慮して、1つの選択可能な実施例では、第1軸110または第2軸120は三軸磁場センサ20を通過している。この場合、この三軸磁場センサ20が所在する位置を検出位置とすることができる。
【0040】
データ処理ユニット60は、三軸磁場センサ20に接続されて、三軸磁場成分の検出データを受信し、且つ検出データに基づいて磁気ボール10に伴って回動して、磁気ボール10の較正位置を取得する。ここで、データ処理ユニット60と三軸磁場センサ20との間の接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
【0041】
本実施例では、データ処理ユニット60は、第1処理ユニット(図示せず)と、第2処理ユニット(図示せず)とを含む。第1処理ユニットは、検出データに基づいて、特定の位置でのZ軸方向の磁場強度がゼロであるゼロ点位置Pを得る。なお、第1処理ユニットが取得するゼロ点位置Pは、位置情報(または角度情報)である。ここで、第2処理ユニットは、前記検出データに基づいて前記ゼロ点位置Pの方向データを判断することに用いられる。第2処理ユニットは、ゼロ点位置P、ゼロ点位置Pの方向データ及び検出データに基づいて、磁気ボール10の第1較正位置V及び第2較正位置Hを取得する。
【0042】
本願の好ましい実施例では、三軸磁場センサ20と第1駆動ユニット40の取り付け位置は相対的に固定されており、磁気ボールの較正装置の一体化設計を容易にしている。カプセル内視鏡システムの構成を簡略化するために、本願の実施例では、第1駆動ユニット40は、カプセル内視鏡システムにおける磁気制御装置での磁気ボール10を駆動して回動させるための駆動アセンブリであってもよい。
【0043】
本願の選択可能な実施例では、三軸磁場センサ20を支持するために、磁気ボール10に隣接する位置には、例えば、磁場板30が設けられる。磁場板30には、三軸磁場センサ20が設けられている。そのうち、磁場板30は、三軸磁場センサ20を取り付けるために用いられる。しかも、磁場板30は、全体構造が平坦で、占有空間が小さく、磁気ボール10を全面的に覆うことができ、三軸磁場センサ20を柔軟に取り付けるのに便利で、全体装置の体積を減らすのに有利である。本願の他の実施例において、磁場板30は、三軸磁場センサ20を固定する他の構造であってもよい。ここではこれ以上述べない。
【0044】
本願の選択可能な実施例では、磁気ボールの較正装置は、データを記憶するための可読記憶媒体(図示せず)をさらに含む。可読記憶媒体は、例えば、データ処理ユニット60及び三軸磁場センサ20にそれぞれ接続されている。あるいは、可読記憶媒体は、データ処理ユニット60が演算したデータ及び/又はデータ処理ユニット60が受信するデータ(例えば、三軸磁場センサ20が取得した検出データ及び/又は磁気ボール10の動きデータ)を記憶するために、データ処理ユニット60に接続される。あるいは、可読記憶媒体は、三軸磁場センサ20に接続されて、三軸磁場センサ20が取得した検出データを記憶する。
【0045】
図3は、本願の第1実施例による磁気ボールの較正方法のフローチャートを示している。
【0046】
図2及び図3に示すように、本願の第1実施例に係る磁気ボールの較正装置による磁気ボール10の較正方法は、以下のステップを含む。
【0047】
ステップS101において、第1方向において磁気ボール10を第1角度回動し、回動中の検出位置での三軸磁場成分の検出データを取得する。ここで、検出位置とは、設定された検出位置であり、例えば検出装置(三軸磁場センサ)が所在する位置などである。好ましくは、上記第1角度は180°より大きい。本願の好ましい実施例では、磁気ボール10が回動する第1角度は200°であり、これにより、磁気ボール10が回動した位置が必ずゼロ点位置Pを含むことを確保するとともに、磁気ボール10が過剰に回転して導入された大量のデータによる不要な計算量を防止することができ、磁気ボールを較正する場合の効率を高めることができる。
【0048】
ステップS102において、検出データから磁気ボール10の較正位置を算出する。
【0049】
ここで、磁気ボール10が較正位置にあるときに、磁気ボール10の磁極化方向は第2軸120の軸方向と重なり合い、即ち、磁気ボール10の主軸は第2軸120と重なっている。
【0050】
図2に示す内容と合わせて、第1駆動ユニット40は、磁気ボール10を第1軸110の回りで第1角度だけ回動させるように駆動する。磁気ボール10が第1軸110の回りを回動する間、三軸磁場センサ20は、回動中の検出位置での三軸磁場成分の検出データを取得する。本実施例では、検出位置である三軸磁場センサ20が所在する位置を例に説明する。
【0051】
さらに、データ処理ユニット60は、取得した三軸磁場成分の検出データを受信し、且つ三軸磁場成分の検出データに基づいて磁気ボール10の較正位置を算出する。
【0052】
なお、本願では、三軸磁場センサ20は、磁気ボール10の周囲に設けられていてもよく、且つ磁気ボール10の磁場の変化を正確に検出できる任意の位置に設けられていてもよく、角度を計算する際に、1つまたは複数の偏向角を増加または減少することによって補償される。上述した磁気ボール10のゼロ点位置を測定する過程において、そのゼロ点を決定する過程は、磁気ボール10の回転過程における磁場の変化を誘導することによって処理されたままである。ここで、この偏向角は、三軸磁場センサ20と磁気ボール10の回転軸との間の位置関係により得られることが可能である。
【0053】
なお、データ処理ユニット60は、磁気ボール10の回転中に磁気ボールの回動角度に伴う三軸磁場成分の検出データの変化に基づいて磁気ボール10の較正位置を得ることができる。磁気ボール10の運動方式が明確であり、即ち、磁気ボール10の回動角度と時間は一定の関係を満たす場合、データ処理ユニット60は、検出データの磁気ボール10の回転中の経時変化に基づいて磁気ボール10の較正位置を取得することができる。
【0054】
ステップS103において、磁気ボール10の較正位置に基づいて、磁気ボール10を較正する。計算された較正位置に基づいて、磁気ボール10を較正位置に回転させ、較正を完了する。
【0055】
上述の磁気ボールの較正方法により、現在位置と較正位置とにずれがある磁気ボール10は矯正(較正)され、即ち、磁気ボール10が較正位置まで回動される。例えば、磁気ボール10は、その磁極化方向が第1軸110と重なるように矯正されるか、またはその磁極化方向が第1軸110に垂直になるように矯正される(即ち、磁極化方向が第2軸120と重なる)。
【0056】
図4は、本願の第2実施例による磁気ボールの較正方法のフローチャートを示している。図4に示すように、本願の第2実施例に係る磁気ボールの較正方法は、第1実施例における磁気ボールの較正方法に対する更なる改良である。
【0057】
図4に示すように、本願の第2実施例は、以下のステップを含む。
【0058】
ステップS201において、磁気ボール10を第1軸回りに第1角度回動させる。
【0059】
磁気ボール10は、垂直に回転する。即ち、磁気ボール10は、第1軸110の回りに第1角度回転する。ここで、第1角度は180°より大きく、例えば200°である。これにより、磁気ボール10の回転中に、ゼロ点位置が三軸磁場センサ20が設置された検出位置を通過できることは保証される。
【0060】
ステップS202において、ゼロ点位置Pを見付ける。
検出データから、第2軸120の方向における磁気ボール10の磁場強度の成分がゼロであるゼロ点位置Pを取得する。
【0061】
磁気ボール10が第1軸110の回りに回転する過程における検出位置での磁場強度の変化を検出して記録し、回転中の検出位置での三軸磁場成分の幾つかの組の検出データ(bx0,by0,bz0)、(bx1,by1,bz1)、……(bxn,byn,bzn)を記録する。ここで、検出された1組の検出データのうち、その磁場の選定方向における成分値が0であれば、当該組のデータに対応する磁気ボール10の回動位置はゼロ点位置Pとなる。言い換えれば、ゼロ点位置Pは、検出位置での三軸磁場センサ20によって検出された選定方向における磁場強度の成分がゼロであるときの磁気ボール10の回動位置である。本実施例では、磁場強度のZ軸方向における成分がゼロであるか否かで判断する。ゼロ点位置Pは、磁気ボール10が回動を開始してから選定方向における磁場強度がゼロとなる位置までに回動した角度を反映することができる。他の実施例では、上記の選定方向は、実際の状況に応じてX軸方向またはY軸方向のいずれかを選択することもできる。
【0062】
しかし、実際の動作では、三軸磁場センサ20の測定精度が制限されているため、測定可能値が0の場合、選定方向における磁気ボール10の磁気誘導強度は0ではなく、即ち、当該ゼロ点位置Pは検出によって正確に得られない可能性がある。
【0063】
これにより、本願の選択可能な実施例では、ゼロ点位置Pを見付けるには、具体的に、以下のことを含む。
【0064】
選定方向における磁場のゼロ点近接位置Pを検出して取得する。ここで、ゼロ点近接位置Pとは、磁気ボール10のこの方向における磁場成分がゼロ点に近い位置を意味する。また、三軸磁場センサ20のゼロ点近接位置Pにおける測定値とゼロ点近接位置Pの次の位置における測定値には、正負の変化がある。
【0065】
ゼロ点近接位置Pに基づいてゼロ点位置Pを得る。オプションとして、本実施例では、ゼロ点位置Pとしてゼロ点近接位置Pを選択することができる。
【0066】
好ましくは、ゼロ点近接位置Pに基づいてゼロ点位置Pを算出することもできる。例えば、差分法を用いてゼロ点位置Pを算出する。ここでは、これ以上説明しない。
【0067】
ステップS203において、ゼロ点位置Pの方向を判断する。
【0068】
具体的には、磁気ボール10の回動に伴い、ゼロ点位置Pの方向を判断するのは、ゼロ点位置Pが検出された時に、検出されたZ軸方向における磁場強度の成分の変化が正から負へ、または負から正へと変化するかを判断することを指す。
【0069】
ステップS204において、ゼロ点位置Pの方向及び検出データに基づいて、磁気ボールの較正位置を算出する。
【0070】
本実施例では、較正位置は、第1較正位置Vと、第2較正位置Hとを含む。ここで、第1較正位置Vは、第1方向(即ち、磁気ボール10が第1軸110の回りに回転する方向)における較正位置を決定する。第2較正位置Hは、第2方向(即ち、磁気ボール10が第2軸120の回りに回転する方向)における較正位置を決定する。
【0071】
図5に示すように、本願の選択可能な実施例では、磁気ボール10が第1方向において180°よりも大きい第1角度回転するように制御し、その後、磁気ボール10の回転中に、三軸磁場センサ20が取得した三次元磁場データ(bx0,by0,bz0)、(bx1,by1,bz1)……(bxn,byn,bzn)を記録する。磁場のZ方向データがゼロ点を通過する位置を検出して、それをゼロ点位置Pとする。
【0072】
磁気ボール10がゼロ点位置に到達したときに回動した角度をαとして取得する。αの角度範囲は、例えば、0~2πの左閉右開区間である。
【0073】
ゼロ点位置Pにおけるx方向成分bxiとy方向成分byiとの間の角度はβであり、β=atan2(byi,bxi)である。x方向成分bxiとy方向成分byiの数値の大きさに応じて、βは以下のような幾つかの場合を含むことができる。
【0074】
xi>0の場合、β=arctan(byi/bxi)。
yi≧0、bxi<0の場合、β=arctan(byi/bxi)+π。
yi≦0、bxi<0の場合、β=arctan(byi/bxi)-π。
yi≧0、bxi=0の場合、β=π/2。
yi≦0、bxi=0の場合、β=-π/2。
【0075】
ここで、βの角度範囲は、例えば-πからπまでの左開閉右区間である。
【0076】
ゼロ点位置Pの磁場強度のデータ変化方向が正から負へと変化すると、磁気ボール10の第1較正位置(即ち、磁気ボール10の第1軸110回りに回動するゼロ点)はV=α-90°となる。このとき、磁気ボール10の第2較正位置(即ち、磁気ボール10の第2軸120回りに回動するゼロ点)はH=-βとなる。
【0077】
ゼロ点位置Pの磁場強度のデータの変化方向が負から正へとなれば、磁気ボール10の第1較正位置をV=α+90°とする。このとき、磁気ボール10の第2較正位置はH=180°-βとなる。
【0078】
第1処理ユニットは、検出データに基づいて、特定の位置でのZ軸方向における磁場強度がゼロであるゼロ点位置を得る。ここで、前記第2処理ユニットは、前記検出データに基づいて前記ゼロ点位置Pの方向データを判断する。また、第2処理ユニットは、ゼロ点位置P、ゼロ点位置Pの方向データ及び検出データに基づいて、磁気ボール10の第1較正位置V及び第2較正位置Hを得るためにも用いられる。
【0079】
図6は、本願の実施例による磁気ボールの較正後の概略図を示めしている。図6に示すように、本願の実施例による磁気ボール10が較正された後に、磁気ボール10の主軸(即ち、N磁極とS磁極が位置する直線)は、第2軸120と重なる。
【0080】
本実施例は磁気ボール10のゼロ点位置Pを較正基準としている。この位置におけるデータの区分度が良く、磁気ボールの較正精度が不足している問題を効果的に回避し、実際の測定過程における較正結果に対する誤差の影響を低減し、較正の精度をより高くした。
【0081】
本明細書では、第1及び第2などの関係用語は、必ずしもこれらのエンティティまたは操作の間にそのような実際の関係または順序が存在することを要求または暗示することなく、1つのエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作と区別するためにのみ使用されることを説明すべきである。さらに、用語「含む」、「包含」、またはその任意の他のバリエーションは、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含むか、又はそのような過程、方法、物品、または装置に固有の要素も含むように、非排他的な包含をカバーすることを意図している。これ以上の制限がない場合、「1つを含む」との文によって定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスの中に別の同じ要素が存在することを除外するものではない。
【0082】
上述のような本願の実施例によれば、これらの実施例はすべての詳細を詳述しておらず、また、本開示が単に記載された特定の実施例であることを限定するものではない。明らかに、上記の説明によれば、多くの修正と変更が可能である。本明細書がこれらの実施例を選択して具体的に説明するのは、本願の原理と実際の応用をよりよく解釈し、それによって、当業者が本願をうまく利用できるようにする及び本願に基づいて修正して使用できるようにするためである。本願は、特許請求の範囲及びそのすべての範囲及び等価物によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】