(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】医療装置パッケージおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
A61M5/00 518
A61M5/00 512
A61M5/00 514
A61M5/00 516
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545923
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 US2023061946
(87)【国際公開番号】W WO2023150685
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ウラ、シブガット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066GG01
4C066LL23
(57)【要約】
パッケージは、開口部、少なくとも3つの空洞部を含む空洞、複数の側壁、および基部を有するトレイと、空洞内に収容された滅菌シリンジとを備える。滅菌シリンジは、薬剤または他の流体で予め充填されている。第1の空洞部が滅菌シリンジのプランジャロッドを含み、第2の空洞部が滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が滅菌シリンジの針取付部を含み、当該少なくとも3つの空洞部が中間位置にある複数の狭窄部によって互いに接続されている。狭窄部の各々は、第1の側壁と、第2の側壁と、基部と、狭窄部の内部に突出して滅菌シリンジを複数の側壁から離して配置するための複数の幾何学的特徴とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージであって、
開口部と、少なくとも3つの空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイと、
前記空洞内に収容され、薬剤または他の流体が予め充填された滅菌シリンジと、
を備え、
第1の空洞部が前記滅菌シリンジのプランジャロッドを含み、第2の空洞部が前記滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が前記滅菌シリンジの針取付部を含み、当該3つの空洞部が中間位置にある複数の狭窄部によって互いに接続されており、
前記狭窄部の各々が、第1の側壁と、第2の側壁と、基部と、前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置するための複数の幾何学的特徴とを含む、パッケージ。
【請求項2】
前記狭窄部の前記第1の側壁が第1の幾何学的特徴を含み、前記狭窄部の前記第2の側壁が第2の幾何学的特徴を含む、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が、前記狭窄部内に収容された前記滅菌シリンジの部分の幅未満であって約2.0mm未満である、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が約5.5mm~約6.5mmの範囲である、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記狭窄部の前記基部が第3の幾何学的特徴を含む、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記滅菌シリンジの一部と一致する位置で前記トレイに付随する突起部をさらに備える請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記第1の空洞部が、前記滅菌シリンジのフランジを保持するように構成されたフランジ部を含む、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記フランジ部と前記第1の空洞部との間に凹部が位置する、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記少なくとも3つの空洞部の各々が矩形形状を有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記少なくとも3つの空洞部の各々が各角部に丸みを有した矩形形状を有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項11】
滅菌シリンジ用のパッケージであって、
開口部と、複数の空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイであって、
前記複数の空洞部が中間位置にある複数の狭窄部によって互いに接続されており、各狭窄部が第1の側壁と第2の側壁と基部とを含み、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、および前記基部の各々が、対応する前記側壁または基部から離れて延在するとともに前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置するための幾何学的特徴を含む、前記トレイと、
前記開口部を取り囲み、前記空洞から径方向外向きに延在して前記トレイの周縁を画定する縁部と、
前記縁部に接着された周辺部を有し、ガス状滅菌剤に対して透過性を有する取り外し可能なカバーと、
を備えるパッケージ。
【請求項12】
前記第1の側壁上における前記幾何学的特徴が第1の幾何学的特徴であり、前記第2の側壁上における前記幾何学的特徴が第2の幾何学的特徴であり、前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が約5.5mm~約6.5mmの範囲である、請求項11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記複数の空洞部が少なくとも3つの空洞部を含み、第1の空洞部が前記滅菌シリンジのプランジャロッドを含み、第2の空洞部が前記滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が前記滅菌シリンジの針取付部を含む、請求項11に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記ガス状滅菌剤は、気化過酸化水素、エチレンオキシド、または亜酸化窒素のうちの1つ以上である、請求項11に記載のパッケージ。
【請求項15】
外部滅菌シリンジをパッケージから取り出す方法であって、前記パッケージが、空洞を有するトレイと、前記空洞に付随する複数の幾何学的特徴と、取り外し可能なカバーとを含み、当該方法が、
前記トレイの開口部を露出させるように前記取り外し可能なカバーを取り外すことと、
前記複数の幾何学的特徴によって保持された前記外部滅菌シリンジの一部を把持することと、
前記複数の幾何学的特徴を前記外部滅菌シリンジから遠ざけて前記トレイから前記外部滅菌シリンジを解放させるように、前記トレイから前記外部滅菌シリンジを取り出すことと、
を備える方法。
【請求項16】
前記外部滅菌シリンジが、アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、コンバーセプト、OPT-302、RTH258(ブロルシズマブ)、ペグ化設計アンキリン反復タンパク(DARPin)、またはRG7716で予め充填されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トレイが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタレートグリコールのうちの1つ以上を含む材料から製造される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記取り外し可能なカバーがガス状滅菌剤に対して透過性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ガス状滅菌剤が気化過酸化水素である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記パッケージの一部を前記トレイの前記空洞の前方に押すことをさらに備え、前記パッケージの前記一部を押すことによって前記トレイの一部を撓ませる、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記トレイの前記一部を押すことによって前記外部滅菌シリンジを前記複数の幾何学的特徴から解放させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
押される前記パッケージの前記一部が、変形可能な突起部を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記トレイが、熱成形射出またはブロー成形技術から製造される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/306,925号および2022年8月26日に出願された米国仮特許出願第63/401,549号の優先権の利益を主張するものであり、それらのすべてが参照によって本明細書内に組み込まれる。本開示の種々の実施形態は、医療装置のパッケージに関する。本開示の実施形態は、薬物送達装置、例えば、シリンジ、より具体的には、プレフィルドシリンジを収容するためのブリスターパッケージを含み得る。いくつかの実施形態では、ブリスターパッケージは、パッケージの基部に付随する突起部、例えば、ドーム状、球根状、マウンド状、または他の適切な形状(例えば、長方形状)の部分を、装置がブリスターパッケージ内に収容されているときに装置から離れて延在するように含む。突起部は、ブリスターパッケージから装置を取り出すために使用され得る。具体的には、ブリスターパッケージを曲げてブリスターパッケージからシリンジ、例えばプレフィルドシリンジを取り出すために突起部が使用され得る。このような突起部のない実施形態では、ブリスターパッケージは、内部のシリンジの取り出しを可能にするように適切な可撓性を有し得る。
【背景技術】
【0002】
多くの医療装置は、例えば、医療施設への流通および/または保管のためにパッケージされる。医療提供者が医療装置を使用する準備ができると、医療装置がパッケージから取り出され、必要であれば、患者に使用するために準備される。パッケージから医療装置を取り出すために、ユーザは、多くの場合、装置を直接取り扱い、医療装置を押すか、引くか、持ち上げるか、スライドさせるか、または他の方法で医療装置に手で直接触れる必要がある。いくつかの事例では、医療装置をそのパッケージから取り出すときに、例えば、滅菌性の理由で、または医療装置への損傷を阻止するために、医療装置を過度に取り扱うことが望ましくない場合がある。例えば、シリンジ、特にプレフィルドシリンジは、それらがパッケージの除去中に取り扱われると汚染されることがあり、シリンジ本体、針、針アタッチメント、および/またはその内部に収容された薬剤もしくは他の流体の滅菌性を危うくすることがある。プレフィルドシリンジが眼科用シリンジである場合、パッケージから取り出す際の取り扱いがシリンジおよび/またはその内部に収容された薬剤もしくは他の流体の汚染につながることがあり、眼の感染性炎症、例えば、注射後眼内炎などの眼内感染につながることがある。また、プレフィルドシリンジの場合、シリンジの取り扱いは、例えば、パッケージからの取り出し中にシリンジプランジャが衝突すると用量精度を危うくすることがある。眼科用シリンジでは、用量サイズが比較的小さく、例えば、20ml以下、15ml以下、10ml以下、0.5ml以下、または1ml以下であり得るために、用量精度がより重要であり得る。例えば、用量は、200μl以下、150μl以下、または100μl以下であり得る。したがって、パッケージから取り出す間における医療装置、特に眼科用プレフィルドシリンジの直接的な取り扱い量を減少させ、および/またはパッケージからの医療装置のより容易な取り出しを提供する医療装置パッケージが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様によれば、パッケージは、開口部と、3つの空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイと、
前記空洞内に収容された滅菌シリンジであって、薬剤または他の流体が予め充填された滅菌シリンジと、を備える。
【0004】
第1の空洞部が前記滅菌シリンジのプランジャを含み、第2の空洞部が前記滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が前記滅菌シリンジの針取付部を含み、少なくとも3つの空洞部が複数の中間狭窄部によって互いに接続されている。前記狭窄部の各々は、第1の側壁と、第2の側壁と、基部と、前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置する複数の幾何学的特徴とを含む。
【0005】
前記パッケージの種々の実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。前記狭窄部の前記第1の側壁は、第1の幾何学的特徴を含み得る。前記狭窄部の前記第2の側壁は、第2の幾何学的特徴を含み得る。前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離は、前記狭窄部内に収容された前記滅菌シリンジの部分の幅未満であり約2.0mm未満であり得る。前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離は、約5.5mm~約6.5mmの範囲であり得る。前記狭窄部の前記基部は、第3の幾何学的特徴を含み得る。前記滅菌シリンジの一部と一致する位置において前記トレイに付随する突起部を備え得る。前記第1の空洞部は、前記シリンジのフランジを保持するように構成されたフランジ部を含み得る。前記フランジ部と前記第1の空洞部との間に狭窄凹部が位置し得る。前記少なくとも3つの空洞部の各々は矩形形状を有し得る。前記少なくとも3つの空洞部の各々は、各角部の周りに径を有した矩形形状を有する。
【0006】
本開示の別の実施形態は、滅菌シリンジ用のパッケージを記載する。前記パッケージは、開口部と、複数の空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイを備える。前記複数の空洞部は、複数の中間狭窄部によって互いに接続されており、各狭窄部は、第1の側壁と、第2の側壁と、基部とを含む。前記第1の側壁、前記第2の側壁、および前記基部の各々は、対応する前記側壁または基部から離れて延在するとともに前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置する幾何学的特徴を含む。前記パッケージは、前記開口部を取り囲む縁部であって、前記空洞から径方向外向きに延在して前記トレイの周縁を画定する前記縁部と、前記縁部に接着された周辺部を有する取り外し可能なカバーであって、ガス状滅菌剤に対して透過性を有する前記取り外し可能なカバーとを備える。
【0007】
前記パッケージの種々の実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。前記第1の側壁上における前記幾何学的特徴は、第1の幾何学的特徴であり得る。前記第2の側壁上における前記幾何学的特徴は、第2の幾何学的特徴であり得る。前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離は、約5.5mm~約6.5mmの範囲であり得る。前記複数の空洞部は3つの空洞部を含み得る。第1の空洞部は、前記滅菌シリンジのプランジャを含み得る。第2の空洞部は、前記滅菌シリンジのバレルを含み得る。第3の空洞部は、前記滅菌シリンジの針取付部を含み得る。前記ガス状滅菌剤は、気化過酸化水素、エチレンオキシド、または亜酸化窒素のうちの1つ以上である。
【0008】
本開示の別の実施形態は、外部滅菌シリンジをパッケージから取り外す方法を記載する。前記パッケージは、空洞を有するトレイと、前記空洞に付随する複数の幾何学的特徴と、取り外し可能カバーとを含む。前記方法は、前記トレイの開口部を露出させるように前記取り外し可能カバーを取り外すことと、前記複数の幾何学的特徴によって保持された前記外部滅菌シリンジの一部を把持することと、前記トレイから前記外部滅菌シリンジを取り出すこととを含む。前記外部滅菌シリンジを取り出すことでは、前記複数の幾何学的特徴を前記外部滅菌シリンジから離れるように移動させて前記外部滅菌シリンジを前記トレイから解放させる。
【0009】
外部滅菌シリンジをパッケージから取り出す方法の種々の実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を含み得る。前記外部滅菌シリンジは、アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、コンベルセプト、OPT-302、RTH258(ブロルシズマブ)、ペグ化設計アンキリン反復タンパク(DARPin)、またはRG7716で予め充填され得る。前記トレイは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、またはポリエチレンテレフタレートグリコールのうちの1つ以上を含む材料から製造され得る。前記取り外し可能なカバーは、ガス状滅菌剤に対して透過性であり得る。前記ガス状滅菌剤は、過酸化水素蒸気であり得る。前記パッケージの一部を前記トレイの空洞の前方に押すことを備える。前記パッケージの一部を押すことで、前記トレイの一部が撓み得る。前記トレイの一部を押すことで、前記外部滅菌シリンジが前記複数の幾何学的特徴から解放され得る。押される前記パッケージの一部は変形可能な突起部を含み得る。前記トレイは、熱成形射出またはブロー成形技術により製造され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、シリンジを収容する例示的なパッケージの底面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態による、シリンジを収容する
図2のパッケージの断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施形態による、屈曲構成の間に部分的に取り出されるシリンジを収容した
図2のパッケージの断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの上面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、シリンジを収容する例示的なパッケージの底面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの斜視図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による、シリンジを収容する例示的なパッケージの底面図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態にしたがって印刷されたシリンジを収容する例示的なパッケージの底面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による例示的パッケージの上面図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの底面図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態による例示的パッケージの斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの側面図であり、鎖線は、
図14に示される断面図を特定するものである。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの断面図であって、
図13に示された鎖線で切断された断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の一実施形態による例示的なパッケージの上面図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの底面図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの斜視図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの側面図であり、鎖線は、
図19に示される断面図を特定するものである。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態による例示的なパッケージの断面図であって、
図18に示された鎖線で切断された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、種々の例示的な実施形態を示すものであり、以下の説明とともに、開示される実施形態の原理を説明するのに役立つものである。図面は、本開示の様々な態様を示し、異なる図において、同様の構造、構成要素、材料、および/または要素を示す参照符号は、必要に応じて同様にラベル付けされる。具体的に示されたもの以外の構造、構成要素、および/または要素の種々の組み合わせが想定されるとともに、本開示の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0012】
本明細書では多くの発明が記載および例示されているが、記載される発明は、いかなる単一の態様にもその実施形態にも限定されるものでなく、そのような態様および/または実施形態のいかなる組み合わせおよび/または置換にも限定されるものでない。さらに、記載された発明および/またはその実施形態の態様の各々は、単独で、または記載された発明および/またはその実施形態の他の態様のうちの1つ以上と組み合わせて使用され得る。簡潔化のために、いくつかの置換および組み合わせは、本明細書では別個に説明および/または例示されていない。なお、「例示的」として本明細書で説明される実施形態または実装形態は、例えば、他の実施形態または実装形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、むしろ、1つまたは複数の実施形態が「例示」の1つまたは複数の実施形態であることを反映または示すことが意図されている。
【0013】
本明細書で使用される「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」という用語、またはそれらの他の変形語は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないまたはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有ではない他の要素を含み得るように、非排他的包含を網羅することが意図される。「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」という意味で使用される。また、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書において順序、量、または重要性を示すものでなく、むしろ、要素または構造を別のものと区別するために使用される。また、本明細書における「1つ」という用語は、量の限定を示すものではなく、むしろ言及された項目の1つ以上の存在を示す。
【0014】
「遠位端」という用語またはその変形語は、注射動作中に装置の操作者から最も遠い装置の部分を指す。例えば、シリンジの遠位端は、シリンジの針端部である。反対に、「近位端」という用語またはその変形語は、注射動作中に装置の操作者に最も近い装置の部分を指す。例えば、シリンジの近位端は、シリンジのプランジャ端である。さらに、本明細書で使用される「約」、「実質的に」、「およそ」という用語は、概して、示された値の+/-10%を意味する。
【0015】
本開示で使用される「滅菌」という用語は、商業的流通および使用のための製剤化された原薬または医薬品に適切なレベルの滅菌性を達成することを指す。このような滅菌性のレベルは、例えば、米国食品医薬品局によって公表されたガイドラインなどの規制ガイドラインまたは規制において定義され得る。いくつかの実施形態において、このようなレベルの滅菌性は、例えば、医薬品の外面または内面(例えば、シリンジの外面またはブリスターパックの内面)上に位置する生物学的指標の微生物個体数の6log減少を含み得る。他の実施形態では、このようなレベルの滅菌性は、例えば、生物学的指標の微生物個体数の9log減少または12log減少を含み得る。滅菌は、このような適切なレベルの滅菌性を達成すると同時に、商業的流通および使用のために十分に低いレベルの残留滅菌化学薬品(例えば、気化過酸化水素、エチレンオキシドなど)を実現することも指す。このような低レベルの残留滅菌化学薬品はまた、規制ガイドラインまたは規制において定義され得る。
【0016】
本開示で使用される「外部滅菌」という用語は、商業的流通および使用に適した(例えば、一次パッケージ構成要素、または一次および二次パッケージ構成要素の両方の)容器またはパッケージ内の薬物送達装置の滅菌を指す。
【0017】
本開示の実施形態は、医療装置パッケージに関し、特に、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)のためのパッケージに関する。いくつかの実施形態において、パッケージは、外部滅菌シリンジを収容するように構成され得る。特に、本開示の実施形態は、眼科用薬剤または他の流体(例えば、プラセボ)を収容した外部滅菌プレフィルドシリンジのためのパッケージを対象とし得る。例示的な眼科用シリンジは、例えば、50mL以下、20mL以下、15mL以下、10mL以下、5mL以下、または1mL以下の眼科用薬剤または他の流体(例えば、プラセボ)で予め充填され得る。いくつかの実施形態において、例示的なパッケージは、1mL未満の公称サイズを有し得る。例示的なシリンジは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2020/036200に記載されている。パッケージは、パッケージからの医療装置の取り出しを容易にするための1つまたは複数の特徴を含み得る。例えば、パッケージは、1つまたは複数の変形可能な突起部を含み得る。この突起部は、医療装置をパッケージから解放するために、医療装置を取り外すか、排出するか、押すか、または他の方法で移動させるために、反転され得るか、押され得るか、および/または他の方法で変形され得る。また、パッケージは、内部に収容された医療装置の解放を促進するべく、ユーザが突起部を押してパッケージを屈曲または撓ませることを可能とするように可撓性を有し得る。また、パッケージは、シリンジまたはそのプランジャ/針への障害、および/またはシリンジの滅菌性への影響を最小限にしつつ、ユーザがシリンジを引き上げてパッケージから引き出すことを可能にする特徴を含み得る。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態では、1つまたは複数の変形可能部分は、医療装置、例えばシリンジがパッケージ内に収容されたときに医療装置がその上に配置されるように構成された、パッケージの基部に付随する突起部、例えば、ドームマウンド、または他の球根状の突起部を含み得る。突起部は、医療装置が位置する場所から離れるように外向きに延在し得るとともに、パッケージの外面からアクセス可能とされ得る。本明細書に開示される突起部は矩形形状を含むが、それに限定されない任意の適切な形状を含み得る。
【0019】
パッケージからの医療装置の取り外しを容易にするために、ユーザは、医療装置が取り出される面にパッケージの開口部が向けられるようにパッケージを配向し得る。また、ユーザは、パッケージの中央部が医療装置に向かって屈曲する一方、パッケージの1つまたは複数の縁が医療装置から離れて屈曲するように、突起部を押してパッケージを撓ませ得る。例えば、ユーザは、シリンジをトレイから滅菌表面、例えば、滅菌テーブル、トレイ、布、ライナーなどの上に放出するために、突起部を押してパッケージを撓ませながらパッケージを横向きに回転または上下反転させ得る。パッケージの開口部が重力方向下向きに向けられているときにパッケージを曲げることで、ユーザは、パッケージのみに接触して、医療装置に直接接触することなく、医療装置をパッケージから面上に解放、例えば排出させることができる。
【0020】
また、突起部を押すことにより、突起部を少なくとも部分的に反転させることができる。突起部の反転部分は、パッケージ内に収容された医療装置に接触しても接触しなくてもよく、医療装置をパッケージから押し出すのを助ける。いくつかの実施形態では、突起部を押してパッケージを撓ませることは、装置を取り出すのに十分であり得る一方、他の実施形態では、反転された突起部が、パッケージからの装置の取り出しを促進するように医療装置の一部(例えば、シリンジのバレル)を押し得る。実際に、突起部は、パッケージを撓ませて装置を取り出すためにユーザが押すための中心ランドマークまたはターゲットとして機能し得る。突起部は、例えば、パッケージを撓ませてシリンジを取り出すために中心箇所においてパッケージを押すことをユーザに示唆するための矢印または他の視覚的識別子を含み得る。パッケージの例示的な態様は、本明細書でさらに詳細に説明される。
【0021】
図1は、医療装置のための例示的なパッケージ100の底面図を示す。具体的に、パッケージ100は、シリンジ、例えばプレフィルドシリンジなどの薬物送達装置を収容するように設計され得る。例示的なプレフィルドシリンジは、血管新生(湿性)加齢黄斑変性(AMD)、網膜静脈閉塞症(RVO)後の黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、および/または糖尿病性網膜症(DR)を有する患者の治療を含む、眼疾患のための任意の治療法とともに使用され得る。具体的には、アフリベルセプト(Eylea(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、コンバーセプト、OPT-302、RTH258(ブロルシズマブ)、アビシパルペゴル(abicipar pegol)のようなペグ化設計アンキリン反復タンパク(DARPin)、またはRG7716などの、VEGFおよび/またはANG-2の高分子および低分子アンタゴニストが、例示的なシリンジと共に使用され得る。また、本開示の実施形態は、美容用途または医学的皮膚科学(例えば、アレルギー応答の処置または診断)のために使用され得る。パッケージ100は、保管中にシリンジが収容されるトレイ8と、トレイ8の周囲に延在し、トレイ8の開口部を画定する縁部9とを含む。トレイ8の上部(
図4に示される)は、取り外し可能なカバー28(
図3A)で密閉され得る。取り外し可能なカバー28は、滅菌および/または保管の間、トレイ8内にシリンジを封入し得る。いくつかの実施形態では、パッケージ100は、ブリスターパッケージであ得る。すなわち、パッケージ100は、プリフォームプラスチックパッケージであってよく、トレイ8は、熱成形プラスチック等の成形可能ウェブから作製されてよい。
【0022】
パッケージ100は、外部滅菌プロセス、例えば、気化過酸化水素(VHP)滅菌プロセスおよび/またはエチルアルコール滅菌プロセスとともに使用するのに好適であり得る。したがって、医療装置(例えば、プレフィルドシリンジ)は、パッケージ100内にパッケージされることで外部滅菌され得る。VHPなどの滅菌剤は、シリンジ内に収容された薬剤に影響を与えることなくシリンジの外面を滅菌することができる。例示的な滅菌プロセスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2018/021013に記載されている。パッケージ100で使用される材料は、滅菌剤に対して半透過性を有し得ることで、医療装置がパッケージ100内に密閉されると、滅菌剤がパッケージ100の一部または全部を横断することで、パッケージ100内に収容された医療装置の外部ならびにパッケージ100の内部を滅菌することが可能である。例えば、パッケージ100の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が滅菌される。例えば、取り外し可能なカバー28(
図3A)は、気化過酸化水素および/またはエチルアルコールに対して透過性を有し得る。カバー28は、例えば、Tyvek(登録商標)または他の適切な高密度ポリエチレン繊維、エチレン酢酸ビニル、および/または他の熱可塑性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、トレイ8は、ユーザがトレイ8およびその内容物が滅菌されたかどうかを判定可能とするためのインジケータを含み得る。例えば、トレイ8は、滅菌プロセスが行われたかどうかを視覚的に示すために、色またはパターンの外観を変化させるインジケータ(例えば、テープまたはラベル)を含み得る。
【0023】
本明細書に記載されるように、外部滅菌プロセスと併用され、かつユーザが内容物を直接取り扱うことなくパッケージ100の内容物を取り出すことを可能とするようにパッケージ100を設計することにより、収容された医療装置の滅菌性が損なわれる可能性が低減する。その結果、パッケージ100は、本明細書に記載されるように、医療装置が使用される人が医療装置によって感染する可能性も低減することができる。例えば、パッケージ100が眼科用シリンジを含む場合、パッケージ100は、汚染されたシリンジによる眼の感染症、例えば注射後眼内炎のような眼内感染症にかかるリスクを減少させることができる。
【0024】
外部滅菌シリンジは、シリンジの表面上の生存生物を終結または死滅させ、それらが残存し得る場合であってもそれらを生存不能にするものであり得る。シリンジプランジャロッドの外面、フランジ、ピストンの後面、およびシリンジピストンの背後のシリンジバレルの内部、ならびにシリンジの任意の他の外面が外部滅菌され得る。いくつかの態様では、発熱物質除去(depyrogenation)および/または他の除去プロセスが外部滅菌の前に行われ得る。
【0025】
トレイ8は、シリンジの遠位部分を収容するように構成された空洞3を含み得る。シリンジの遠位端は、例えば、シリンジが使用のためにトレイ8から取り出されると針が結合され得るルアーロックおよび/またはシリンジアタッチメントを含み得る。他の実施形態では、針は、パッケージ100内でシリンジにすでに結合され得るとともに、パッケージ100内での保管中にキャップによってさらに覆われ得る。空洞2は、シリンジバレル(滅菌剤と適合性を有するガラスまたはプラスチック材料であり得る)の少なくとも一部を収容するように構成され得る。空洞5は、シリンジのフランジおよび/またはプランジャを収容するように構成され得る。空洞5は、
図1に示されるように、シリンジのフランジおよび/またはプランジャの形状に対応するように成形され得る。例えば、空洞5のフランジ部6は、フランジの形状に対応し得る。
図1、
図5、
図7、
図11、および
図16を対比すると、空洞5のフランジ部6の形状および/または側壁は、シリンジのフランジを収容するように丸くされ得る。
図2、
図6、
図8、
図12、および
図17を対比すると、空洞5のフランジ部6の内部領域は、例えば丸みを帯びた側壁を含み、シリンジのフランジを収容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、フランジ部6は、空洞5とは別個の空洞であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、トレイ8は、空洞3、空洞2、フランジ部空洞6、および空洞5、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0026】
いくつかの態様において、トレイ8内に収容されるシリンジは、例えば、硝子体内注射のためにプランジャロッドを押すときに臨床医の手の安定性を増加させるように、標準的なシリンジと比較して、より大きい、例えば、より幅広のプランジャロッド、またはプランジャロッドのより大きな部分を含み得る(
図7および
図8)。このような態様において、パッケージ100は、より大きなプランジャロッドを収容するようにサイズ決定および成形され得る。トレイ8内に収容されたシリンジが、シリンジプランジャの移動および/またはシリンジ内に収容された薬剤もしくは他の流体の分注を防止するための保護プランジャストップ、カバー、および/または他の要素を含む場合、空洞5は、その保護要素が所定の位置にある状態でフランジおよび/またはプランジャの外形を反映するように成形され得る。しかしながら、他の実施形態では、空洞5の内部領域がシリンジの近位部分(および、含まれる場合には任意の付随する保護要素)を収容するのに十分に大きな空間を画定する限り、空洞5は、実質的に矩形形状、楕円形、または任意の他の適切な形状であり得る。例えば、
図5および
図6は、空洞5の長手方向の側壁が概して平面であり、シリンジのプランジャロッドの少なくとも一部に対して平行である例示的な実施形態を示す。
図7および
図8は、空洞5がフランジまたはプランジャの少なくとも一部の形状に対応するように、例えば、シリンジプランジャの移動および/またはシリンジ内に収容された薬剤もしくは他の流体の分注を防止するための保護プランジャストップ、カバー、および/または他の要素の形状に対応するように成形された凹部11を含み得る例示的な実施形態を示す。例えば、凹部11は、空洞5の主領域とフランジ部6との間に存在し得る。例示的な実施形態、例えば、
図5では、空洞5の形状は、パッケージ体100の高速製造を容易にするように、および/またはパッケージ体100の材料分布を改善するようにサイズ決定され得る。
【0027】
同様に、
図1の例示的な実施形態では、空洞3は実質的に矩形として、空洞2は概して正方形として示されているが、空洞3および空洞2は、それぞれシリンジの遠位端(および遠位端に付随する任意のカバー)とシリンジバレルの少なくとも一部を収容するように任意の適切なサイズおよび/または形状とされ得る。例えば、空洞2,3は、楕円形、円形、台形、またはより幅広もしくは幅狭の長方形、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。空洞2,3,5は、パッケージ100の内部表面およびシリンジの外部表面を滅菌するべく、空洞の壁とシリンジとの間に空間を提供して滅菌プロセス中にパッケージ100内で滅菌剤を循環可能とするように寸法決定され得る。また、トレイ8および空洞2,3,5は、保管中に複数のパッケージを互いに積み重ねることができるように、上部および底部(例えば、カバー28および基部)において実質的に平坦な表面を有し得る。また、平坦な表面は、オートクレーブ内での一貫した配置を可能にし得る。ただし、いくつかの実施形態では、空洞2,3,5およびトレイ8は、丸みを帯びた形状、例えば、円筒形状、または任意の他の適切な形状を有し得る。また、トレイ8は、丸みを帯びたまたは鋭い角部および/または縁部を有し得る。例示的な実施形態では、例えば、
図5を参照すると、空洞2,3,5およびトレイ8の形状および/またはサイズは、パッケージ100の高速製造を容易にするようにおよび/またはパッケージ100の材料分布を改善するように成形および/またはサイズ決定され得る。
【0028】
図1、
図5、
図7、
図11、および
図16の実施形態において、狭窄部7は、空洞2と空洞3,5との間に延在して、3つの空洞すべてを流体的に結合する。
図2、
図6、
図8、
図12、および
図17に見られるように、狭窄部7は、その内部にシリンジバレルの領域を収容するように寸法決定されており、シリンジがパッケージ100内に収容されたときに3つすべての空洞内にシリンジが延在することを可能にする。例えば、
図2、
図6、および
図8では、上述したように、パッケージングされたシリンジのプランジャフランジ14は、空洞5のフランジ部6内に位置し、シリンジバレル12は、狭窄部7内で空洞2を横切って延在し、ガード15(例えば、ルアーロック(luer lock))によって少なくとも部分的に覆われたシリンジの遠位領域は、空洞3内に位置している。
【0029】
トレイ8は、長手方向軸22(
図2、
図6、
図8、
図12、および
図17)に沿って延在し、狭窄部7によって互いに接続された3つの空洞2,3,5を含むものとして示されているが、トレイ8は、任意の適切な数の空洞を有し得ることが意図されている。例えば、医療装置を保持するために、実質的に等しい深さの1つの空洞が含まれてもよいし、2つの空洞が含まれてもよいし、または4つ以上の空洞が含まれてもよい。各空洞(複数の空洞を有する実施形態の場合)は、それらの組み合わせによって医療装置を収容し得るように互いに接続され得る。あるいは、複数の医療装置または複数の構成要素がトレイ8内に収容される場合、トレイ8は、互いに接続されていない複数の空洞を含み得る。このような実施形態では、以下でさらに説明されるように、空洞のうちの2つ以上が、トレイ8からの医療装置および/または構成要素の取り出しを容易にするための突起部を含み得ることが意図されている。
【0030】
図1および
図2の実施形態において、空洞2は、パッケージ100の底部にドーム4を含む。ドーム4は、パッケージ100からのシリンジの取り外しを容易にするように構成された、トレイ8内の可撓性の中空突起部であり得る。ドーム4は、シリンジがパッケージ100内に収容されたときにドーム4がシリンジの下に配向されるように、空洞2の基部に付随している。
図2の実施形態では、ドーム4は、シリンジバレル12の中央領域に位置合わせされている。ドーム4は、圧力、例えばユーザによって加えられた圧力の下で変形する圧縮可能材料で形成され得る。ドーム4は、トレイ8の残りの部分と同じ材料から形成され得るか、または異なる材料、例えば、相対的により可撓性を有する材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、上述したように、ドーム4およびトレイ8は熱成形プラスチックであり得る。例えば、ドーム4および/またはトレイ8は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)から形成され得る。ドーム4の基部(例えば、トレイ8の基部と交わるドーム4の最も幅の広い部分)の直径は、約10mm~20mm、例えば、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、または約19mmであり得る。
図5を参照すると、
図1と比較して、ドーム4の基部の直径は、パッケージ100の高速製造を容易にするようにおよび/またはパッケージ100の材料分布を改善するようにサイズ決定され得る。
【0031】
図3Aは、シリンジ(例えば、エンプティシリンジまたは眼科用薬剤または他の流体を収容するプレフィルドシリンジ)を含むトレイ8の断面図を示す。上述したように、ドーム4は、シリンジがトレイ8内に受容されているときにはシリンジから離れるようにトレイ8の基部から外側に突出している。ドーム4は、シリンジバレル12の下(または、トレイ8の向きに応じて上)に位置合わせされている。パッケージ100からシリンジを取り外すために、取り外し可能なカバー28が取り外され(例えば、剥がされ)得るとともに、パッケージの開口部を或る面に向けて位置決めするようにトレイ8が横向きに回転または上下反転され得る。そして、ドーム4がユーザによって押され得る。ユーザは、1本以上の指、例えば親指でドーム4をパッケージ内に収容されたシリンジに向かって押し得る。ユーザがドーム4を押すと、パッケージは、パッケージの中央部分が医療装置に向かって屈曲される一方、パッケージの1つまたは複数の縁部が医療装置から離れて屈曲されるように撓み得る。パッケージ100が撓むと(
図3B)、シリンジがパッケージから取り外され得る。パッケージ100は、開口部が重力方向下向きに(または少なくとも下方の表面に対して垂直に)面するように配向されるため、シリンジはパッケージ100から表面上に排出され得る。したがって、ドーム4を押してパッケージ100を撓ませることにより、ユーザは、シリンジに直接触れることなく、パッケージ100からシリンジを取り外すことができる。パッケージ100が上下反転されているとき、シリンジはそれ自体では落下し得ず、パッケージ100は、ユーザが例えばドーム4を押してパッケージ100を湾曲させるまで、シリンジを吊り下げて保持し得る。
【0032】
ユーザがドーム4を押してトレイ8が湾曲されると、ドーム4は変形して少なくとも部分的に反転し得る。ドーム4は、ドーム4が反転したときにシリンジバレル12に接触するように構成されてもよいし、そのように構成されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、ドーム4は、シリンジバレル12を押すことでパッケージ100からシリンジを排出し易くし得る。このような実施形態では、ドーム4の頂点から、ドーム4が延在する空洞の基部までのドーム4の高さは、空洞の基部から、医療装置(例えば、シリンジ)がトレイ8内に位置している場所までの距離よりも大きくされ得る。本明細書で使用される「頂点」という用語は、ドーム4およびトレイ8の相対的配向にかかわらず、ドーム4が延在する空洞の基部から最も離れたドーム4の部分を指す。例示的な実施形態では、ドーム4の頂点からトレイ8の基部までのドーム4の高さが約5mm~6mmとされ、トレイ8の基部とドーム4を覆うシリンジの底部との間の距離が約3mm~4mmとされるように、シリンジがトレイ8内に収容され得る。しかしながら、他の実施形態では、ドーム4は、ユーザによって押されたときにシリンジバレル12に接触しなくてもよい。むしろ、トレイ8の開口部を重力方向の下方に向けることと組み合わせてドーム4を押すことによって引き起こされるトレイ8の撓みが、シリンジをトレイ8から取り外してシリンジを表面(好ましくは、滅菌表面)上に排出するのに十分とされ得る。
【0033】
ユーザは、シリンジが排出される表面に対してトレイ8の開口部が下向きまたは横向きに面するようにトレイ8を配向する(すなわち、開口部が重力方向下向きとなるようにトレイ8を回転させる)前、その間、および/またはその後に、ドーム4を押してトレイ8を撓ませ得る。開口部が表面を向く状態にトレイを配向することにより、シリンジをそのパッケージから取り出すべく、ユーザがシリンジを直接取り扱うことなくシリンジをトレイ8から適切な滅菌表面上に落下させることが可能となり得る。ユーザがシリンジを取り扱う量を減少させることは、シリンジおよび/またはその内容物が汚染され、シリンジの内容物が注入される身体の部分に感染する可能性を減少させ得る。例えば、滅菌された眼科用シリンジはパッケージ100内に収容され得る。ドーム4およびパッケージ100は、ユーザがシリンジを取り外すときに滅菌性を危うくしないようにし得る。これにより、最終的に、汚染されたシリンジによる眼の感染症、例えば、注射後の眼内炎のリスクを低減することができる。また、シリンジの取り扱いを減少させることは、パッケージ100からシリンジを除去するときに、薬剤または他の流体の一部をシリンジから偶発的に放出するリスクを減少させ得る。
【0034】
ドーム4のような突起部および/またはトレイ8上の他の突起部の箇所は、シリンジの取り外しを容易にし得るだけではなく、パッケージ100からシリンジを取り外すときに、パッケージ100の特定の部分を取り扱う方法についてユーザを誘導し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ドーム4またはパッケージ100の他の部分は、トレイ8を撓ませてシリンジをパッケージ100から取り外すために、どこを押すべきかをユーザに示すマーク、印、および/または触覚特徴(例えば、リッジ、バンプ、または溝)を含み得る。全体として、ドーム4または他の適切な突起部をトレイ8内に含めることは、ユーザへの損傷、装置への損傷、装置の滅菌性の損失または装置内における任意の薬剤もしくは他の流体の滅菌性の損失、および/または装置内の薬剤もしくは他の流体の偶発的放出の可能性のうちの1つ以上を減少させ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ドーム4を押すこと、および/またはトレイ8を屈曲させることもしくは撓ませることにより、トレイ8の摩擦嵌合部分からシリンジが解放され得る。例えば、
図4に示されるように、狭窄部7は、狭窄部内に突出して滅菌シリンジを摩擦嵌合により空洞内に保持する1つまたは複数の幾何学的特徴17を含み得る。幾何学的特徴17は、シリンジバレル12を狭窄部7内に配置するように、狭窄部7の側壁上および/または狭窄部7の底部上に位置し得る。パッケージ100が滅菌を容易化する(例えば、シリンジとの接触面積を減少させて滅菌のために利用可能なシリンジの表面積を最大限にする)とともに、シリンジを依然として保持してトレイ8が上下反転されたときにシリンジをトレイ8内に吊り下げるようにシリンジをトレイ8内にパッケージするために、シリンジがトレイ8の中に押し込まれることで、シリンジバレル12が幾何学的特徴17を越えて摺動し、シリンジがトレイ8内に摩擦嵌合可能となる。シリンジバレル12がトレイ8内の所定の位置に押し込まれると、幾何学的特徴17は、シリンジバレル12を狭窄部7内に保持してシリンジをトレイ8内に保持し得る。ドーム4を押すことにより、トレイ8を撓ませるおよび/またはシリンジバレル12を押し上げることができ、その結果、シリンジバレル12が幾何学的特徴17を越えて移動し、シリンジがトレイ8から解放される。例えば、トレイ8を屈曲させることにより、幾何学的特徴17を含むトレイ8の部分をシリンジから離れるように移動させてシリンジを解放してもよい。したがって、ドーム4は、トレイ8からのシリンジの解放を容易にするために、トレイ8の他の摩擦嵌合部分と組み合わせて使用され得る。
【0036】
本開示の他の実施形態では、
図10~
図19に示されるように、幾何学的特徴17は、狭窄部7の側壁上に位置する幾何学的特徴17aと、狭窄部7の基部上に位置する幾何学的特徴17bとを含み得る。幾何学的特徴17aは、肩部であり得るかまたはシリンジに向かって突出する半円形状を有し得る一方、幾何学的特徴17bは、シリンジに向かって突出する円形形状、例えばバンプまたは突起部であり得る。狭窄部7の基部上に位置する1つまたは複数の幾何学的特徴17bは、シリンジがパッケージ100内に収容されているときにシリンジが狭窄部7の側壁および/または他の空洞の側壁、例えば空洞2,3,5の側壁に直接接触しないようにシリンジを配向するために、狭窄部7の側壁上の幾何学的特徴17aと併せて作用し得る。これは、パッケージ100内の滅菌剤がパッケージ100内およびシリンジの外面の周りを循環することを可能にし得る。パッケージの内面から離間した状態でシリンジを所定の位置に保持するための幾何学的特徴17を含むことにより、パッケージ100の内壁と接触するシリンジの表面積を幾何学的特徴17によって減少させることができ、その結果、パッケージ100内の滅菌剤に曝されるシリンジの表面積を増加させることができる。
【0037】
なお、
図4の各狭窄部7には3つの幾何学的特徴17が示されているが、3つよりも少ない(例えば、2つ)または4つ以上の幾何学的特徴17が各狭窄部7に含まれ得ることが意図されている。また、幾何学的特徴17は、狭窄部7のような狭窄部分に代えて、またはそれに加えて、複数の空洞の任意の組み合わせを含むトレイ8の任意の適切な部分に含まれてもよい。
【0038】
図10~
図19はさらに、フランジ部6と主空洞5との間に凹部11を含む本開示の実施形態を示す。凹部11も、1つまたは複数の幾何学的特徴17を含み得る。例えば、凹部11は、幾何学的特徴17a,17bのうちの1つ以上を含み得る。
図10~
図19に示されるように、フランジ部6と主空洞5との間の凹部11は、幾何学的特徴17bを含む。幾何学的特徴17bは、上述した目的と同じ目的を果たし得る。
【0039】
図14および
図19は、
図13および
図18に示された実施形態の断面図をそれぞれ提供する。これらの断面図は、狭窄部7における幾何学的特徴17a,17bをさらに詳細に示す。第1および第2の幾何学的特徴17aは、互いに対向して配置されてもよいし、または互いにずれて(図示略)配置されてもよい。
【0040】
各狭窄部7(例えば、
図14および
図19)内の幾何学的特徴17a間の距離は、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)の一部を所定の位置に保持するように、任意の適切な距離とされ得る。シリンジの1つまたは複数の部分を所定の位置に保持することによって、幾何学的特徴17aは、シリンジがパッケージ100の狭窄部7の基部または空洞2,3,5の基部に接触することやパッケージ100から脱落することを防止し得る。例えば、1つの狭窄部7を参照すると、狭窄部7は一対の側壁を含み得る。これらの側壁は、一対の幾何学的特徴17a、すなわち、第1の幾何学的特徴17aおよび第2の幾何学的特徴17aを含み得る。第1の幾何学的特徴17aおよび第2の幾何学的特徴17aは、それら幾何学的特徴17aによって保持されるシリンジの部分の直径または幅以下の距離を有し得る。いくつかの実施例では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、それら特徴によって保持されるシリンジの部分の直径または幅に等しい。他の実施例では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、それら特徴によって保持されるシリンジの部分の直径または幅未満である。いくつかの実施例では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17bとの間の距離は、それら特徴によって保持されるシリンジの部分の直径または幅未満であって約0.01mm~約2.0mmである。ある実施例では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、それら特徴によって保持されるシリンジの部分の直径または幅未満であって、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、または約2.0mmである。いくつかの実施形態では、それら特徴によって保持されるシリンジの部分の幅は、シリンジ単独の外径であるか、またはシリンジに接着されたラベルを含めたシリンジの外径である。
【0041】
いくつかの実施形態では、幾何学的特徴17aによって保持されるシリンジの部分の直径または幅は、シリンジにラベルが接着されていない状態で約6.85mmである。このような実施形態では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、6.85mm±2.0mm(その端数増分を含む)であり得る。他の実施形態では、幾何学的特徴17aによって保持されるシリンジの部分の直径または幅は、シリンジにラベルが接着された状態で約6.92mmである。このような実施形態では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、6.92mm±2.0mm(その端数増分を含む)であり得る。
【0042】
代替的な実施形態では、第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、約4mm~約20mm、約4.25mm~約19mm、約4.5mm~約18mm、約4.75mm~約17mm、約4.75mm~約16mm、約5mm~約15mm、約5.25mm~約14mm、約5.5mm~約13mm、約4.25mm~約15mm、約4.5mm~約10mm、約4.75mm~約9mm、約5mm~約7.5mm、約5.25mm~約7.25mm、約5.5mm~約7.2mm、約5.55mm~約7.1mm、約6.6mm~約7.1mm、約6.7mm~約7.05mm、約6.75mm~約6.95mm、約6.8mm~約6.9.mm、約6.8mm~約7.1mm、約6.85mm~約7.1mm、または約6.85mm~約7.05mmの範囲であり得る。いくつかの例では、第1の幾何学的特徴17aおよび第2の幾何学的特徴17aは、約4.7mm、約4.8mm、約4.9mm、約5mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、約5.9mm、約6mm、約6.1mm、約6.2mm、約6.3mm、約6.4mm、約6.5mm、約6.6mm、約6.7mm、約6.8mm、約6.9mm、約7mm、約7.1mm、約7.2mm、約7.3mm、約7.4mm、約7.5mm、約7.6mm、約7.7mm、約7.8mm、約7.9mm、約8mm、約8.1mm、約8.2mm、約8.3mm、約8.4mm、約8.5mm、約8.6mm、約8.7mm、約8.8mm、約8.9mm、または約9.0mmの距離を有し得る。他の例では、第1の幾何学的特徴17aおよび第2の幾何学的特徴17aは、約5mm±0.5mm、約6mm±0.5mm、約7mm±0.5mm、約8mm±0.5mm、約9mm±0.5mm、または約10mm±0.5mmの距離を有し得る。
【0043】
凹部11の側壁が第1の幾何学的特徴17aおよび第2の幾何学的特徴17aを含む実施形態では、凹部11内の第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、狭窄部7内の第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離と同じであり得る。他の実施形態では、凹部11内の第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離は、狭窄部7内の第1の幾何学的特徴17aと第2の幾何学的特徴17aとの間の距離とは異なる。
【0044】
本明細書ではドーム状の部分に言及したが、当業者であれば、トレイ8を撓ませるようにトレイ8上の突起部を押すことが可能である限り、および/または反転位置に圧縮することが可能である限り、任意の適切な形状を有し得ることが理解され得る。例えば、上述したように、
図15~
図19の実施形態は、長尺形状を有する1つまたは複数の空洞を含み得る。1つまたは複数の空洞は、対応する空洞の形状に対応するように、長尺形状、すなわち矩形形状を有する突起部を有し得る。さらに、トレイ8は、狭窄部7によって互いに接続された3つの空洞2,3,5を含むように示されているが、トレイ8は、医療装置を収容するための1つまたは複数の空洞を有する任意の適切な形状を有し得ることが意図されている。例えば、本開示の実施形態は、シリンジ、例えばプレフィルドシリンジ用のパッケージを対象としているが、ドーム4などの突起部は、任意の適切な医療機器および/または消費財用のパッケージとともに使用され得ることが理解され得る。ドーム4は、パッケージからのシリンジの取り外しを容易にするように任意のサイズおよび/または形状を有し得る。ドーム4の寸法は、本開示で説明されるものである。例えば、ドーム4は、略円形状(
図20A)または略長方形状(
図20B)を有し得る。したがって、トレイ8は、他のタイプの医療装置を収容するように成形され得る。また、トレイ8内の医療装置の取り出しを容易にするために複数の突起部(例えば、複数のドーム4)がトレイ8に組み込まれ得る。
【0045】
上述したように、パッケージ内に収容されたシリンジを解放するためにパッケージ、例えばブリスターパッケージにおいてドーム4を使用することは、シリンジの内容物を人に投与する前にユーザがシリンジに直接触れなければならない量を減少させることができるので、シリンジおよびユーザの滅菌性、用量精度、および/または安全性を促進することができる。これは、ひいては薬剤または他の流体を人に投与する前にシリンジの内容物を誤って放出するリスクを低減し、人への感染の発生を低減することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、空洞2,3,5は突起部を含んでいなくてもよい。例えば、
図15~
図19を参照すると、ユーザは、トレイ8を撓ませるように空洞2,3,5のうちの1つを押してもよく、その結果、幾何学的特徴17を越えてシリンジを移動させてトレイ8から解放させてもよい。別の実施例では、ユーザは、カバー28を除去した後にシリンジの滅菌性を保つようにしてもよく、ユーザは、複数の狭窄部7のうちの1つ以上に保持されるシリンジの一部を把持して、シリンジを幾何学的特徴17から解放してもよい。例えば、
図17を参照すると、ユーザは、トレイ8内に手を伸ばし、空洞2,3の間、または空洞2,5の間、または空洞2内の狭窄部7において保持されるシリンジの一部を把持してもよい。次いで、ユーザは、シリンジが幾何学的特徴17aおよび/または幾何学的特徴17bから解放されるまで、シリンジを引いてもよい。
【0047】
ここで、
図1および
図2を再度参照すると、パッケージ100はさらに、トレイ8の少なくとも一部の周りに延在してトレイ8の開口部を画定する縁部9を含み得る。縁部9は、医療装置を保管中にトレイ8内に収容するために、取り外し可能なカバー28、例えば剥離可能なカバー28がトレイ8の上部開口部を覆って封止することを可能にし得る。取り外し可能なカバー28を縁部9に封止するために、接着剤18、例えば、グルー、ペースト、フィルム、テープ、感圧性材料、および/または低温接着剤が使用され得る。接着剤18は、パッケージ100に対して実施され得る外部滅菌の種類に適合したものが使用され得る。接着剤18の幅は、トレイ8の上部開口部のサイズに応じて変更され得る。例えば、トレイ8の上部開口部のサイズが増加すると、接着剤18の幅が減少し得る。縁部9の角部、例えば
図2の角部16は、ユーザが取り外し可能なカバー28を角部16から持ち上げてトレイ8からカバーを取り外すことができるように、接着剤18がなくてもよい。
図6および
図8に示すように、角部16は、ユーザが取り外し可能なカバー28を持ち上げて角部16から外し、カバー28をトレイ8から取り外すことを可能にするタブ20(または他の突起もしくは窪み)を含み得る。タブ20は、縁部9の角部16または取り外し可能なカバー28の角部16に含まれ得る。例示的な実施形態では、
図2および
図6を参照すると、縁部9またはタブ20(または他の突起部分もしくは窪み)の種類、形状、および/またはサイズは、パッケージ100の高速製造を容易にするように、および/またはパッケージ100の材料分布を改善するように設定され得る。取り外し可能なカバー28は、任意の適切な材料、例えば、ホイル紙、プラスチックなどから作製され得る。また、取り外し可能なカバー28は、適切なガス状滅菌剤、例えば、蒸気過酸化水素、エチルアルコール、亜酸化窒素、または当該分野における任意の適切な滅菌剤に対して透過性を有し得る。
【0048】
使用時において、ユーザは最初に、例えば取り外し可能なカバー28を縁部9から剥がすことにより、カバー28をトレイ8から取り外してトレイ8の開口部を露出させ得る。次いで、ユーザは、トレイ8の開口部を横向きにするかまたは上下反転させることにより、その開口部が、医療装置(例えば、プレフィルド眼科用シリンジ)が排出される表面を向くようにする。続いて、または同時に、ユーザは、ドーム4(または他の突起部)を押すことで、パッケージの中央部分を医療装置に向かって屈曲させる一方、パッケージの1つまたは複数の縁を医療装置から離れる方向に屈曲させるようにトレイ8を撓ませ得る。ドーム4を押すことにより、ドーム4を少なくとも部分的に反転させることができる。いくつかの実施形態では、ドーム4の反転部分は、医療装置(例えば、シリンジバレル12)に接触し得るが、他の実施形態では、ドーム4はシリンジに全く接触しなくてもよい。このように、ドーム4を押してトレイ8を撓ませることにより、トレイ8の開口部が向けられていた表面に医療装置が着地するように、トレイ8から医療装置を排出することができる。適切な滅菌表面は、例えば、滅菌テーブル、医療装置を保持するためのトレイ、布、ライナー、または任意の他の適切な滅菌表面を含み得る。ドーム4を押すこと、ドーム4を反転させること、トレイ8を屈曲させること、および/またはトレイ8を横向きに回転もしくは上下反転させることの組み合わせにより、トレイ8の基部をシリンジの上方および滅菌表面の上方に配向して、ユーザが実際にシリンジに直接接触することなくシリンジを取り出すことが可能となる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ドーム4を押してトレイ8を撓ませることにより、トレイ8の摩擦嵌合部分、例えば、1つまたは複数の幾何学的特徴17から医療装置が解放され得る。トレイ8を回転させることにより、シリンジが(例えば、ドーム4の反転および/または屈曲を通じて)トレイ8から解放されると、シリンジがトレイ8から落下することが可能となり得る。複数のドーム4(または複数の他の突起部)を含む実施形態では、複数のドーム4は、医療装置をトレイ8から解放するように、および/またはトレイ8の異なる部分を撓ませるように押され得る。
【0050】
プレフィルドシリンジ用のパッケージの場合、シリンジがトレイ8から解放されると、シリンジ上の任意の追加のパッケージ(例えば、遠位ガードもしくはルアーロック、および/またはプランジャガード)がシリンジから取り外され得る。いくつかの実施形態では、シリンジは、針を伴わずにパッケージ100内に収容され得るとともに、針、例えばステーク針が、例えば針アタッチメントを介してシリンジの遠位端に取り付けられ得る。次いで、シリンジの内容物(例えば、アフリベルセプト(Eylea(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、コンバーセプト、OPT-302、RTH258(ブロルシズマブ)、アビシパルペゴル(abicipar pegol)のようなペグ化設計アンキリン反復タンパク(DARPin)、またはRG7716などの、VEGFおよび/またはANG-2の高分子および/または低分子アンタゴニスト)が接種者の眼に注射され得る。
【0051】
上述したように、パッケージ100の構成要素、ならびにそのような構成要素のサイズおよび/または形状は、パッケージ100の高速製造を容易にし、および/またはパッケージ100の材料分布を改善するように構成され得る。
図9は、パッケージ100の製造プロセスの一部を示す例示的な実施形態であり、例えば、パッケージ101a,101b,101cは、例えば、Tyvekまたは他の適切な高密度ポリエチレン繊維、エチレンビニルアセテート、および/または他の熱可塑性材料であり得る、取り外し可能なカバー28(
図3A)を形成する材料30で封止される。
【0052】
上記の説明および実施例は例示的なものであり、限定的なものではない。当業者は、本発明の一般的な範囲から逸脱することなく、多くの変形および/または変更を行うことができる。例えば、上述したように、上記実施形態(および/またはその態様)は互いに組み合わせて使用されてもよい。また、上記実施形態の一部は、本発明の範囲から逸脱することなく省略されてもよい。また、特定の状況または態様を種々の実施形態の教示に適合させるように、それらの範囲から逸脱することなく変更が行われてもよい。上記の説明を検討すれば、多くの他の実施形態が当業者には明らかとなり得る。さらに、任意の実施形態の特徴が他の開示された実施形態のいずれかと併せて使用されてもよい。
【0053】
本開示の実施形態は、以下の特徴を含み得る。
(項目1)パッケージであって、
開口部と、少なくとも3つの空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイと、
前記空洞内に収容され、薬剤または他の流体が予め充填された滅菌シリンジと、
を備え、
第1の空洞部が前記滅菌シリンジのプランジャロッドを含み、第2の空洞部が前記滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が前記滅菌シリンジの針取付部を含み、当該少なくとも3つの空洞部が中間位置にある複数の狭窄部によって互いに接続されており、
前記狭窄部の各々が、第1の側壁と、第2の側壁と、基部と、前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置するための複数の幾何学的特徴とを含む、パッケージ。
【0054】
(項目2)各前記狭窄部の前記第1の側壁が第1の幾何学的特徴を含み、各前記狭窄部の前記第2の側壁が第2の幾何学的特徴を含む、項目1に記載のパッケージ。
(項目3)前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が、前記狭窄部内に収容された前記滅菌シリンジの部分の幅未満であって約2.0mm未満である、項目2に記載のパッケージ。
【0055】
(項目4)前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が約5.5mm~約6.5mmの範囲である、項目2に記載のパッケージ。
(項目5)前記狭窄部の前記基部が第3の幾何学的特徴を含む、項目2に記載のパッケージ。
【0056】
(項目6)前記滅菌シリンジの一部と一致する位置で前記トレイに付随する突起部をさらに備える項目1に記載のパッケージ。
(項目7)前記第1の空洞部が前記シリンジのフランジを保持するように構成されたフランジ部を含む、項目1に記載のパッケージ。
【0057】
(項目8)前記フランジ部と前記第1の空洞部との間に凹部が位置する、項目7に記載のパッケージ。
(項目9)前記少なくとも3つの空洞部の各々が矩形形状を有する、項目1に記載のパッケージ。
【0058】
(項目10)前記少なくとも3つの空洞部の各々が各角部に丸みを有した矩形形状を有する、項目2に記載のパッケージ。
(項目11)滅菌シリンジ用のパッケージであって、
開口部と、複数の空洞部を含む空洞と、複数の側壁と、基部とを有するトレイであって、
前記複数の空洞部が中間位置にある複数の狭窄部によって互いに接続されており、各狭窄部が第1の側壁と第2の側壁と基部とを含み、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、および前記基部の各々が、対応する前記側壁または基部から離れて延在するとともに前記狭窄部の内部に突出して前記滅菌シリンジを前記複数の側壁から離して配置するための幾何学的特徴を含む、前記トレイと、
前記開口部を取り囲み、前記空洞から径方向外向きに延在して前記トレイの周縁を画定する縁部と、
前記縁部に接着された周辺部を有し、ガス状滅菌剤に対して透過性を有する取り外し可能なカバーと、
を備えるパッケージ。
【0059】
(項目12)前記第1の側壁上における前記幾何学的特徴が第1の幾何学的特徴であり、前記第2の側壁上における前記幾何学的特徴が第2の幾何学的特徴であり、前記第1の幾何学的特徴と前記第2の幾何学的特徴との間の距離が約5.5mm~約6.5mmの範囲である、項目11に記載のパッケージ。
【0060】
(項目13)前記複数の空洞部が少なくとも3つの空洞部を含み、第1の空洞部が前記滅菌シリンジのプランジャロッドを含み、第2の空洞部が前記滅菌シリンジのバレルを含み、第3の空洞部が前記滅菌シリンジの針取付部を含む、項目10に記載のパッケージ。
【0061】
(項目14)前記ガス状滅菌剤が、気化過酸化水素、エチレンオキシド、または亜酸化窒素のうちの1つ以上である、項目11に記載のパッケージ。
(項目15)外部滅菌シリンジをパッケージから取り出す方法であって、前記パッケージが、空洞を有するトレイと、前記空洞に付随する複数の幾何学的特徴と、取り外し可能なカバーとを含み、当該方法が、
前記トレイの開口部を露出させるように前記取り外し可能なカバーを取り外すことと、
前記複数の幾何学的特徴によって保持された前記外部滅菌シリンジの一部を把持することと、
前記複数の幾何学的特徴を前記外部滅菌シリンジから遠ざけて前記トレイから前記外部滅菌シリンジを解放させるように、前記トレイから前記外部滅菌シリンジを取り出すことと、
を備える方法。
【0062】
(項目16)外部滅菌シリンジが、アフリベルセプト、ラニビズマブ、ベバシズマブ、コンバーセプト、OPT-302、RTH258(ブロルシズマブ)、ペグ化設計アンキリン反復タンパク(DARPin)、またはRG7716で予め充填されている、項目15に記載の方法。
【0063】
(項目17)前記トレイが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタレートグリコールのうちの1つ以上を含む材料から製造される、項目15に記載の方法。
【0064】
(項目18)前記取り外し可能なカバーがガス状滅菌剤に対して透過性を有する、項目15に記載の方法。
(項目19)前記ガス状滅菌剤が気化過酸化水素である、項目18に記載の方法。
【0065】
(項目20)前記パッケージの一部を前記トレイの前記空洞の前方に押すことをさらに備え、前記パッケージの前記一部を押すことによって前記トレイの一部を撓ませる、項目15に記載の方法。
【0066】
(項目21)前記トレイの前記一部を押すことによって前記外部滅菌シリンジを前記複数の幾何学的特徴から解放させる、項目20に記載の方法。
(項目22)押される前記パッケージの前記一部が、変形可能な突起部を含む、項目20に記載の方法。
【0067】
(項目23)前記トレイが熱成形射出またはブロー成形技術から製造される、項目15に記載の方法。
【国際調査報告】