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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】触媒繊維及びその用途
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/58 20240101AFI20250212BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20250212BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20250212BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B01J35/58 F ZAB
B01J23/30 A
B01J32/00
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545958
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-09-25
(86)【国際出願番号】 US2023012398
(87)【国際公開番号】W WO2023150340
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/306,678
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509032313
【氏名又は名称】コーメテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】509316589
【氏名又は名称】エボニック ファイバース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Evonik Fibres GmbH
【住所又は居所原語表記】Gewerbepark 4, A-4861 Schoerfling am Attersee, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ベルトレ、 クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】プリチャード、 スコット
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、 サムエル
(72)【発明者】
【氏名】モリス、 マックス
(72)【発明者】
【氏名】サントルソラ、 ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ、 フローリン
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA17
4D148AB01
4D148BA03Y
4D148BA06Y
4D148BA07X
4D148BA07Y
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4D148BA23Y
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4D148BA27Y
4D148BA30Y
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4D148BA32Y
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4D148BA50Y
4D148BB01
4D148BB08
4D148DA03
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4G169AA11
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4G169BA22B
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4G169BB04B
4G169BC33A
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4G169BC54B
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4G169BC60B
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4G169CA08
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4G169EA10
4G169FA02
4G169FB15
4G169FB19
4G169FB20
4G169FB70
(57)【要約】
本明細書では、触媒繊維、特に、低い圧力損失を示す触媒ファブリックを提供するように使用可能な特性及び構造を示す触媒繊維について説明する。いくつかの実施形態において、触媒繊維は、繊維体の表面に沿った1つ以上の溝を含む繊維体と、1つ以上の溝内に存在する触媒材料とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒繊維であって、
繊維体の表面に沿った1つ以上の溝を含む繊維体と、
前記1つ以上の溝内に存在する触媒材料と
を備える触媒繊維。
【請求項2】
前記1つ以上の溝は、前記繊維体の縦軸に沿って延びる、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項3】
複数の溝を備え、前記溝の間に突出部を画定する、請求項2に記載の触媒繊維。
【請求項4】
前記1つ以上の溝は、前記繊維体の外周に沿って延びる、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項5】
前記1つ以上の溝は、湾曲した断面形状を有する、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項6】
前記1つ以上の溝は、多角形の断面形状を有する、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項7】
前記1つ以上の溝は、曲線状の断面形状を有する、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項8】
前記触媒材料は、溝容積の少なくとも5パーセントを充填する、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項9】
前記触媒材料は、溝容積の少なくとも50パーセントを充填する、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項10】
前記1つ以上の溝は、前記繊維体の縦軸に沿って螺旋状に延びる、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項11】
前記触媒材料は、窒素酸化物の選択的触媒還元に使用可能である、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項12】
前記触媒材料は、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、五酸化バナジウム(V25)、酸化タングステン(WO3)、又は酸化モリブデン(MoO3)の1つ以上を含む、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項13】
前記繊維体はガラスから形成される、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項14】
前記繊維体はポリマー材料から形成される、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項15】
前記ポリマー材料は、200℃又は250℃を超える温度で熱安定性を示す、請求項14に記載の触媒繊維。
【請求項16】
前記ポリマー材料は、120℃から350℃までの温度で熱安定性を示す、請求項14に記載の触媒繊維。
【請求項17】
前記ポリマー材料はポリイミドである、請求項14に記載の触媒繊維。
【請求項18】
前記ポリマー材料は、ポリエーテルケトン(PEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項14に記載の触媒繊維。
【請求項19】
前記触媒材料は粒子状である、請求項1に記載の触媒繊維。
【請求項20】
触媒活性ファブリックであって、
繊維体の表面に沿った1つ以上の溝を含む繊維体と、前記1つ以上の溝内に存在する触媒材料とを備える触媒繊維
を備える触媒活性ファブリック。
【請求項21】
前記触媒繊維は不織である、請求項20に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項22】
前記触媒繊維は織られている、請求項20に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項23】
前記触媒材料は、前記ファブリックの前記触媒繊維によって画定される隙間空間にも存在する、請求項20に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項24】
前記触媒材料は、前記ファブリックの40重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する、請求項23に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項25】
40~80体積%の空隙率を有する、請求項24に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項26】
前記ファブリックはバッグ構造を有する、請求項20に記載の触媒活性ファブリック。
【請求項27】
少なくとも50パーセントの脱NOx効率を有する、請求項26に記載の触媒活性ファブリック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒活性繊維構造物、特に、窒素酸化物の選択的触媒還元に使用可能な触媒活性繊維及びファブリックに関する。
【0002】
本出願は、特許協力条約第8条に従って、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2022年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/306,678号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
脱窒又は選択的触媒還元(SCR)技術は、触媒反応器に通されたときに窒素酸化物を除去するために燃焼由来の煙道ガスに一般に適用される。脱窒は、窒素酸化物(NO)又は二酸化窒素(NO2)などのガス中の窒素酸化物種と、アンモニア又は尿素などの窒素含有還元剤との反応から成り、結果として二原子窒素(N2)及び水を生成する。さらに、触媒的に分解されない煙道ガスの他の化学種を除去するために、様々な吸収又は捕捉技術が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、触媒反応器のモジュール化されたセクション及びバッグハウスなどの他の下流装置を流れる排気ガス流は圧力低下を起こす。圧力低下は、排気ガス流の流れを阻害又は阻止する構造、摩擦力及び他の要因によって起こり得る。圧力低下は、様々な非効率性をもたらし、発電などの産業上の利用中に寄生電力損失を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの欠点を考慮して、本明細書では、触媒繊維、特に、低い圧力低下を示す触媒ファブリックを提供するように使用可能な特性及び構造を示す触媒繊維について説明する。いくつかの実施形態において、触媒繊維は、繊維体の表面に沿った1つ以上の溝を含む繊維体と、1つ以上の溝内に存在する触媒材料とを備える。1つ以上の溝は、いくつかの実施形態において、繊維体の縦軸に沿って延びる。縦軸に沿って延びる場合、溝は、溝の間に突出部(ローブ)を画定することができ、突出部は、繊維中心から半径方向外側に延在する。代わりに、1つ以上の溝が、繊維体の外周に沿って延びることができる。繊維外周の周りに延びる場合、溝は、繊維のセクションを画定することができる。いくつかの実施形態において、溝は、繊維体の縦軸に沿って螺旋状に延びる。
【0006】
繊維体内の溝は、任意の所望の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、溝は、湾曲した断面形状を有する。他の実施形態において、溝は、多角形又は曲線状の断面形状を有する。繊維の溝は、すべて同じ断面形状を有することができ、又は断面形状は、繊維体上の溝の半径方向及び/又は長手方向の位置に応じて異なることができる。
【0007】
別の態様において、触媒活性ファブリックが提供される。触媒活性ファブリックは、上述の触媒繊維を備え、触媒繊維は、繊維体の表面に沿った1つ以上の溝と、1つ以上の溝内に存在する触媒材料とを備える。いくつかの実施形態において、ファブリックは、触媒繊維の不織布アセンブリである。不織布は、ニードルパンチング又はバインダーの使用を含むいくつかの技術によって形成することができる。他の実施形態において、ファブリックは、触媒繊維の織布アセンブリであることができる。
【0008】
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明にさらに記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される実施形態は、以下の詳細な説明及び実施例、ならびにそれらの前後の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載される要素、装置及び方法は、詳細な説明及び実施例に示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理を単に例示するものに過ぎないことを認識すべきである。多くの変更及び適合が、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかであろう。
【0010】
I.触媒繊維
一態様において、触媒繊維は、繊維体の表面に沿った1つ以上の溝(チャネル)を含む繊維体と、1つ以上の溝内に存在する触媒材料とを含む。1つ以上の溝は、いくつかの実施形態において、繊維体の縦軸に沿って延びる。縦軸に沿って延びる場合、溝は、溝の間に突出部(ローブ)を画定することができ、突出部は、繊維中心から半径方向外側に延在する。本明細書に記載される触媒繊維は、任意の所望の数の溝及び突出部を含むことができる。いくつかの実施形態において、溝及び関連する突出部は回転対称である。例えば、溝は、互いから120度など、同じ又は実質的に同じ径方向間隔を示すことができる。このような実施形態において、突出部は、120度の同じ又は実質的に同じ径方向間隔を示す。溝及び突出部の径方向間隔は、溝の数、溝の幾何学的形状、及び突出部の幾何学的形状を含むいくつかの考慮事項によって決まり得る。他の実施形態において、突出部及び/又は溝の径方向間隔は不規則又は非対称である。
【0011】
繊維体は、SCR用途での使用を含め、本明細書に記載された技術的な目的と矛盾しない任意の材料から形成することができる。いくつかの実施形態において、繊維体はガラスから形成される。他の実施形態において、繊維体は、ホモポリマー及びコポリマーを含むポリマー材料から形成される。ポリマー材料は、いくつかの実施形態において、120℃から350℃の範囲の温度で熱安定性を示すことができる。ポリマー材料は、例えば、ポリイミドであり得る。いくつかの実施態様において、ポリマー材料は、ポリエーテルケトン(PEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。ポリマー材料はまた、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリフルオロエチレン繊維から成る群から選択することができる。
【0012】
繊維体は、いくつかの実施態様において、単一のポリマー材料又はコポリマー材料から形成される。代わりに、繊維体は、2つ以上のポリマー/コポリマー材料から形成することができる。いくつかの実施態様において、例えば、繊維体は、コア/シェル構造を示す。コアは、望ましい機械的特性を提供するポリマー材料又はコポリマー材料から形成することができ、シェルは、繊維溝内に存在する粒子状触媒材料と適合する相互作用を示すポリマー材料又はコポリマー材料から形成される。更なる実施態様において、繊維体は、中空ポリイミド繊維などの中空であってもよい。
【0013】
繊維体は、圧力降下が低い触媒ファブリックの形成を含む、本明細書に記載された技術的な目的と合致する任意の直径を有することができる。いくつかの実施態様において、繊維体は、10μmから2mmの最大直径を有する。繊維体の最大直径は、いくつかの実施態様において、突出部から突出部まで測定される。繊維体の直径は、いくつかの実施形態において、100μmから1mm又は250μmから1mmである。いくつかの実施形態において、繊維体の最大直径は2mmより大きい。
【0014】
本明細書に記載されるように、触媒材料は溝内に存在する。いくつかの実施形態において、溝容積の少なくとも5パーセント又は溝容積の少なくとも10パーセントに触媒材料が充填される。触媒材料が充填される溝容積はまた、表Iから選択される値を有してもよい。
【0015】
【表1】
【0016】
繊維体内の溝は、任意の所望の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、溝は、半円形、楕円形、又は放物線状などの湾曲した断面形状を有する。代わりに、溝の断面形状は、正方形、長方形、又は六角形などの多角形であってもよい。更なる実施形態において、溝の断面形状は、曲線状であってもよい。
【0017】
本明細書に記載される技術的な目的と合致する任意の触媒材料をファイバ溝内に配置することができる。いくつかの実施形態において、触媒は、窒素酸化物の選択的触媒還元、ダイオキシン、フラン及び/又は揮発性有機化合物(VOC)の破壊、ならびに一酸化炭素(CO)の酸化に使用可能である。触媒材料は、例えば、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、五酸化バナジウム(V25)、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)又は他の貴金属又はそれらの混合物/合金を含む1つ以上の白金族金属(PGM)を含むことができる。いくつかの実施形態において、触媒材料は、バナジウムタングステンチタン合金(V-W-Ti)である。触媒材料は、粒子形態を示すことができる。いくつかの実施形態において、前述の触媒金属、合金又は金属酸化物のいずれかの粒子が使用される。さらに、いくつかの実施形態において、粒子は、無機酸化物担体及び触媒活性金属官能基を含む。無機酸化物担体は、限定されるものではないが、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、及び/又はそれらの混合物を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態において、触媒活性金属官能基は、限定されるものではないが、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、五酸化バナジウム(V25)、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)又は他の貴金属又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、触媒材料は、ゼオライト担持PGMなどの1つ以上の触媒金属又は合金を組み込んだ1つ以上のゼオライトを含む。例えば、触媒材料は、Cu-SSZ-13を含む銅ゼオライトを含むことができる。
【0018】
上述のように、触媒材料は、本質的に粒子状であり得る。粒子状であることで、触媒材料は、いくつかの実施形態において、繊維と化学的相互作用を形成せず、機械的係合によって、繊維溝及び以下に説明される繊維の隙間空間内に保持される。
【0019】
II.触媒活性ファブリック
別の態様において、触媒活性ファブリックが本明細書に記載される。触媒活性ファブリックは、上記セクションIに記載された触媒繊維を含む。いくつかの実施形態において、ファブリックは、触媒繊維の不織布アセンブリである。不織布は、ニードルパンチング又はバインダーの使用を含むいくつかの技術によって形成することができる。他の実施形態において、ファブリックは、触媒繊維の織布アセンブリであることができる。
【0020】
有利には、触媒活性ファブリックは、有効な触媒活性を維持しながら、望ましい空隙率を示す。望ましい空隙率は、ファブリック全体にわたって又はファブリックによって低い圧力低下を維持するのに役立つことができる。いくつかの実施態様において、触媒ファブリックは、少なくとも40体積%の空隙率を示す。いくつかの実施態様において、触媒ファブリックの空隙率は、表IIから選択される値を有する。
【0021】
【表2】
【0022】
触媒ファブリックの空隙率は、ファブリックの織布又は不織布構造、ファブリックの触媒充填、ファブリックの層化、及び/又は非触媒状態でのファブリックの当初空隙率を含む、いくつかの考慮事項によって決まり得る。本明細書にさらに記載されるように、触媒ファブリックは、セクションIに記載された触媒繊維から直接製造することができ、又は触媒材料を非触媒ファブリックに加えることができ、それによって繊維の溝内に触媒材料を付与することができる。
【0023】
触媒ファブリックは、任意の所望の触媒充填を有することができる。いくつかの実施形態において、触媒材料は、触媒ファブリックの40重量パーセントから80重量パーセントの量でファブリック内に存在する。触媒材料は、触媒ファブリックの50重量パーセントから75重量パーセントの量で存在してもよい。本明細書に記載されるように、触媒材料は、繊維体の溝内に存在する。さらに、いくつかの実施形態において、触媒材料は、繊維間の隙間空間にも存在する。有利には、触媒ファブリックは、表IIから選択された空隙率を含む、本明細書に記載された空隙率を示すことができ、触媒材料は、繊維溝及び繊維の隙間空間に存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成及び特性を有する触媒ファブリックは、ファブリックを通過するガス流から50パーセント超又は60パーセント超のNOxを除去することができる。さらに、ファブリックの触媒材料は、バックフラッシュ又はファブリックから粒子状汚染物質を除去する他の方法などの様々な洗浄プロセスに対して安定であり得る。例えば、触媒ファブリックは、少なくとも5回又は10回の洗浄サイクル後に50パーセント超の脱NOx効率を維持することができる。
【0024】
本明細書に記載されたファブリックは、発電所及び他の工業用濾過/ガス処理作業に関連するバッグハウス用途を含む、様々な用途に使用することができる。
【0025】
これら及び他の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。
【0026】
実施例1-触媒ファブリック
オーストリア、シェルフリングのEvonik Fibres GmbHからP84(登録商標)という商品名で市販されている複数溝/複数突出部の断面を有する高温(HT)ポリイミド繊維を、不織布フィルターバッグ構造に加工した。V-W/Ti触媒材料の水性スラリーを作製した。不織布フィルターバッグをスラリーと接触させ、機械的にプレスしてV-W/Ti触媒材料をポリイミド繊維に付与した。コーティングされた繊維を機械的にプレスして、V-W/Ti触媒材料をポリイミド繊維の溝及び不織布の隙間空間に堆積させた。スラリーを塗布し、続いて機械的にプレスして、40~45重量%の触媒材料の充填を達成するまで与えた。その後、触媒不織布フィルターバッグを乾燥させ、除塵した。
【0027】
実施例2-触媒ファブリックによる選択的触媒還元
実施例1の触媒不織布フィルターバッグを、表IIIに示す脱NOx試験にかけた。
【0028】
【表3】
【0029】
表IIIに示されるように、触媒不織布フィルターバッグは、様々な条件でガス流中の窒素酸化物を大幅に削減した。
本発明の様々な目的を達成するために、本発明の様々な実施形態について説明した。これらの実施形態は、本発明の原理を単に例示するものに過ぎないことを認識すべきである。それらの多くの変更及び適合が、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかであろう。
【国際調査報告】