(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】レーザおよび箔ベースのアディティブマニュファクチャリングシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/34 20140101AFI20250212BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20250212BHJP
B23K 26/02 20140101ALI20250212BHJP
B23K 26/12 20140101ALI20250212BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20250212BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250212BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250212BHJP
B29C 64/147 20170101ALI20250212BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20250212BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20250212BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20250212BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20250212BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/36
B23K26/02 A
B23K26/12
B23K26/21 Z
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/147
B29C64/268
B29C64/25
B29C64/371
B33Y40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545994
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 US2023011842
(87)【国際公開番号】W WO2023150073
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イゴール・サマルツェフ
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168BA35
4E168BA81
4E168BA83
4E168BA87
4E168BA90
4E168CB01
4E168DA42
4E168DA43
4E168DA46
4E168DA47
4E168FB03
4E168JA02
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA05
4E168JA06
4E168JA17
4F213AC03
4F213AM30
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL27
4F213WL85
(57)【要約】
アディティブマニュファクチャリングのための方法およびシステムが開示される。一例では、この方法は、(a)箔層を基板上に位置決めするステップと、(b)箔層を基板にレーザ溶接するステップと、(c)パルスレーザ光線を使用して箔層にレーザアブレーションを施して箔層の少なくとも一部を除去するステップであって、パルスレーザ光線が、0.5ピコ秒(ps)から10psの範囲(0.5psおよび10ps自体を含む)のパルス持続時間を有する光パルスを含む、ステップと、(d)3D部品が完成するまでステップ(a)~(c)を繰り返すステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元部品のアディティブマニュファクチャリング(AM)のための方法であって、
(a)箔層を基板上に位置決めするステップと、
(b)前記箔層を前記基板にレーザ溶接するステップと、
(c)0.5psから10psの範囲(0.5psおよび10ps自体を含む)のパルス持続時間を有する光パルスを含むパルスレーザ光線を使用して前記箔層にレーザアブレーションを施して前記箔層の少なくとも一部を除去するステップでと、
(d)前記3次元部品が完成するまでステップ(a)~(c)を繰り返すステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記光パルスは、25μJ~200μJの範囲(25μJおよび200μJ自体を含む)のパルスエネルギーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パルスレーザ光線の各パルスは、少なくとも1MWのピーク電力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
連続波(CW)レーザ光源および準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方から得られたレーザ光線を使用してレーザ溶接が実施され、前記方法は、前記連続波(CW)レーザ光源および前記準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記連続波(CW)レーザ光源および前記準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方は、少なくとも1kWの出力電力を有するように構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記連続波(CW)レーザ光源および前記準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方は、少なくとも5kWの出力電力を有するように構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
箔材料のロールとして巻かれている前記箔層を受け取るステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記箔層は、厚さが最大1mmである(1mm自体を含む)、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記箔層は金属材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
レーザ溶接およびレーザアブレーションが処理領域において実施され、前記方法は、前記箔層を前記ロールから一方向に広げ、前記箔層を前記処理領域まで案内するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記基板を支持するビルドプラットフォームをステップ(a)の前にz軸方向に移動させることによって下降させるステップであって、z軸方向が、前記ビルドプラットフォームに直交する平面内で向きを定められる、ステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
溶接がz軸方向において実施され、レーザアブレーションがx軸およびy軸方向において実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも部分的に不活性ガスを含むように構成された大気制御されたビルドチャンバにおいて前記レーザ溶接および前記レーザアブレーションを実施するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザ溶接および前記レーザアブレーションが処理領域において実施され、前記方法は、不活性ガスを前記処理領域に送るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
複数の連続する箔層から3次元部品を形成するためのアディティブマニュファクチャリング(AM)システムであって、
基板上に箔層を溶接することのできるレーザ光線を生成するように構成された溶接レーザと、
前記箔層の少なくとも一部を除去することのできるパルスレーザ光線を生成するように構成されたアブレーションレーザであって、前記パルスレーザ光線が、0.5ps~10psの範囲(0.5psおよび10ps自体を含む)のパルス持続時間を有する光パルスを含む、アブレーションレーザと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラが、
前記3次元部品を連続的に構築するために使用され、各箔層についての溶接エネルギー情報およびアブレーションエネルギー情報を含む、各箔層に関するビルド命令を受信し、
前記溶接レーザが、各箔層について、前記溶接エネルギー情報に対応する溶接レーザエネルギーを提供し、前記アブレーションレーザが、前記アブレーションエネルギー情報に対応するアブレーションレーザエネルギーを提供するように、前記溶接レーザおよび前記アブレーションレーザの各々に制御信号を送信するように構成されている、アディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項16】
前記ビルド命令は、前記溶接エネルギー情報および前記アブレーションエネルギー情報の各々に関連付けられたx位置データ、y位置データ、およびz位置データのうちの少なくとも1つを含み、前記コントローラは、前記x位置データ、前記y位置データ、および前記z位置データに基づいてx軸方向、y軸方向、およびz軸方向のうちの少なくとも1つにおける前記溶接レーザの位置および前記アブレーションレーザの位置のうちの少なくとも一方を制御するようにさらに構成されている、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項17】
前記コントローラは、箔給送システムを制御するようにさらに構成され、前記箔給送システムは、前記箔層を処理領域に案内するように構成されている、請求項16に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項18】
前記箔層は、箔材料のロールとして巻かれ、前記箔給送システムは、前記箔層を前記ロールから一方向に広げるようにさらに構成されている、請求項17に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項19】
前記溶接レーザは、前記処理領域に直交する平面内で向きを定められるz軸方向に溶接を行うように構成されている、請求項17に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項20】
前記処理領域に送られる不活性ガスをさらに含む請求項17に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項21】
前記アブレーションレーザは、前記x軸方向および前記y軸方向のうちの少なくとも一方において箔層材料を除去するように構成されている、請求項16に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項22】
前記溶接レーザは、少なくとも1kWの出力電力を有するように構成されている、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項23】
前記溶接レーザは、少なくとも5kWの出力電力を有するように構成されている、請求項22に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項24】
前記溶接レーザは、連続波(CW)レーザ光源および準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方を含む、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項25】
前記アブレーションレーザは、前記パルスレーザ光線の各パルスが少なくとも1MWのピーク電力を有するように構成されている、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項26】
前記溶接レーザおよび前記アブレーションレーザのうちの少なくとも一方はファイバレーザとして構成されている、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項27】
少なくとも部分的に不活性ガスを含み、前記溶接レーザおよび前記アブレーションレーザを囲むように構成された大気制御されたビルドチャンバをさらに備える請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【請求項28】
前記箔層は、最大1mmの厚さを有する金属材料である、請求項15に記載のアディティブマニュファクチャリング(AM)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年2月2日に出願され、「LASER AND FOIL BASED ADDITIVE MANUFACTURING SYSTEM AND METHOD」という名称を有する、米国仮出願第63/305768号の優先権を主張する。米国仮出願第63/305768号の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野は、概してアディティブマニュファクチャリング法に関し、より詳細には、レーザエネルギーを使用してアディティブマニュファクチャリングプロセスにおいて連続する箔層を処理することに関する。
【背景技術】
【0003】
アディティブマニュファクチャリング(AM,additive manufacturing、積層造形)プロセスは、個々の材料層を付加することによって3次元(3D)個体物体を作製するためのまったく新しい産業に進化している。レーザを使用する2つのAMプロセスには、レーザメタルデポジション(LMD,laser metal deposition、レーザ粉体肉盛溶接)および選択的レーザ溶融(SLM)が含まれる。別のレーザ技法は、より短い波長のレーザを使用して液体を局所的に光重合するステレオリソグラフィ(SLA)として知られている。これらの技法はすべて、粉体の層を使用し、粉体の層は、各層がレーザ溶融された後に再生される。LMDと呼ばれる別のレーザ技法では、粉体がノズルを通して同軸方向に、集束されたレーザスポットに送り込まれ、十分に密な機能金属部品が作製される。
【0004】
粉体ベースのAMプロセスは、いくつかの欠点を有する。1つには、これらのプロセスは低速であり、たとえば、部品を完成するのに何時間または何日もかかり、したがって、独特な部品の短い工程または単一の工程に使用される。粉体AMプロセスが低速である理由の1つとして、部品には、初期レーザ焼結を超えた追加の処理(すなわち、後処理手順)が必要である。金属粉体はまた、高価であり、再利用が容易ではない。したがって、大量の3D部品を迅速にかつ安価に作製することのできるAMプロセスシステムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様および実施形態は、3D部品のアディティブマニュファクチャリングのための方法およびシステムを対象とする。
【0006】
例示的な実施形態によれば、3次元(3D)部品のAMのための方法が提供される。この方法は、(a)箔層を基板上に位置決めするステップと、(b)箔層を基板にレーザ溶接するステップと、(c)パルスレーザ光線を使用して箔層にレーザアブレーションを施して箔層の一部を除去するステップであって、パルスレーザ光線が0.5ピコ秒(ps)から10psの範囲(0.5psおよび10ps自体を含む)のパルス持続時間を有する光パルスを含む、ステップと、(d)3D部品が完成するまでステップ(a)~(c)を繰り返すステップとを含む。
【0007】
一例では、光パルスは、25マイクロジュール(μJ)~200(μJ)(25μJおよび200μJ自体を含む)のパルスエネルギーを有する。
【0008】
一例では、パルスレーザ光線の各パルスは、少なくとも1メガワット(MW)のピーク電力を有する。
【0009】
一例では、連続波(CW)レーザ光源および準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方から得られたレーザ光線を使用してレーザ溶接が実施され、この方法は、CWレーザ光源およびQCWレーザ光源のうちの少なくとも一方を提供するステップをさらに含む。さらなる例では、CWレーザ光源およびQCWレーザ光源のうちの少なくとも一方は、少なくとも1kWの出力電力を有するように構成される。さらなる例では、CWレーザ光源およびQCWレーザ光源のうちの少なくとも一方は、少なくとも5kWの出力電力を有するように構成される。
【0010】
一例では、方法は、箔層を受け取るステップをさらに含み、箔層は箔材料のロールとして巻かれる。さらなる例では、箔層は、厚さが最大1ミリメートル(mm)である(1mm自体を含む)。さらなる例では、箔層は金属材料を含む。さらなる例では、レーザ溶接およびレーザアブレーションが処理領域において実施され、方法は、箔層をロールから一方向に広げ、箔層を処理領域まで案内するステップをさらに含む。
【0011】
一例では、方法は、基板を支持するビルドプラットフォームをステップ(a)の前にz軸方向に移動させることによって下降させるステップであって、z軸方向が、ビルドプラットフォームに直交する平面内で向きを定められる、ステップをさらに含む。
【0012】
一例では、溶接がz軸方向において実施され、レーザアブレーションがx軸およびy軸方向において実施される。
【0013】
一例では、方法は、少なくとも部分的に不活性ガスを含むように構成された大気制御されたビルドチャンバにおいてレーザ溶接およびレーザアブレーションを実施するステップをさらに含む。
【0014】
一例では、レーザ溶接およびレーザアブレーションが処理領域において実施され、方法は、不活性ガスを処理領域に送るステップをさらに含む。
【0015】
別の例示的な実施形態によれば、複数の連続する箔層から3D部品を形成するためのAMシステムが提供される。AMシステムは、基板上に箔層を溶接することのできるレーザ光線を生成するように構成された溶接レーザと、箔層の少なくとも一部を除去することのできるパルスレーザ光線を生成するように構成されたアブレーションレーザであって、パルスレーザ光線が、0.5ps~10psの範囲(0.5psおよび10ps自体を含む)のパルス持続時間を有する光パルスを含む、アブレーションレーザと、コントローラであって、3D部品を連続的に構築するために使用され、各箔層についての溶接エネルギー情報およびアブレーションエネルギー情報を含む、各箔層に関するビルド命令を受信し、溶接レーザが、各箔層について溶接エネルギー情報に対応する溶接レーザエネルギーを提供し、アブレーションレーザが、各箔層についてアブレーションエネルギー情報に対応するアブレーションレーザエネルギーを提供するように、溶接レーザおよびアブレーションレーザの各々に制御信号を送信するように構成されたコントローラとを含む。
【0016】
一例では、ビルド命令は、溶接エネルギー情報およびアブレーションエネルギー情報の各々に関連付けられたx位置データ、y位置データ、およびz位置データのうちの少なくとも1つを含み、コントローラは、x位置データ、y位置データ、およびz位置データに基づいてx軸方向、y軸方向、およびz軸方向のうちの少なくとも1つにおける溶接レーザの位置およびアブレーションレーザの位置のうちの少なくとも一方を制御するようにさらに構成される。
【0017】
一例では、コントローラは、箔給送システムを制御するようにさらに構成され、箔給送システムは、箔層を処理領域に案内するように構成される。
【0018】
一例では、箔層は、箔材料のロールとして巻かれ、箔給送システムは、箔層をロールから一方向に広げるようにさらに構成される。
【0019】
一例では、溶接レーザは、処理領域に直交する平面内で向きを定められるz軸方向に溶接を行うように構成される。
【0020】
一例では、AMシステムは、処理領域に送られる不活性ガスをさらに含む。
【0021】
一例では、アブレーションレーザは、x軸方向およびy軸方向のうちの少なくとも一方において箔層材料を除去するように構成される。
【0022】
一例では、溶接レーザは、少なくとも1kWの出力電力を有するように構成される。さらなる例では、溶接レーザは、少なくとも5kWの出力電力を有するように構成される。
【0023】
一例では、溶接レーザは、連続波(CW)レーザ光源および準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方を含む。
【0024】
一例では、アブレーションレーザは、パルスレーザ光線の各パルスが1メガワット(MW)のピーク電力を有するように構成される。
【0025】
一例では、溶接レーザおよびアブレーションレーザのうちの少なくとも一方はファイバレーザとして構成される。
【0026】
一例では、AMシステムは、少なくとも部分的に不活性ガスを含み、溶接レーザ光線およびアブレーションレーザ光線を囲むように構成された大気制御されたビルドチャンバをさらに含む。
【0027】
一例では、箔材料は、最大1mmの厚さを有する金属材料である。
【0028】
これらの例示的な態様および実施形態のさらに他の態様、実施形態、および利点について以下で詳細に説明する。さらに、上記の情報と以下の詳細な説明の両方が、様々な態様および実施形態の例示的な例にすぎず、請求される態様および実施形態の性質および特性を理解するための概要および骨組みを提供することが意図されていることを理解されたい。本明細書で開示される実施形態は、他の実施形態と組み合わされてもよく、「実施形態」、「一例」、「いくつかの実施形態」、「いくつかの例」、「代替実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」、「このおよび他の実施形態」、「ある実施形態」などは、必ずしも相互に排他的なものではなく、説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことが意図されている。本明細書においてそのような用語が出現する場合、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するとは限らない。
【0029】
以下では、少なくとも1つの実施形態の様々な態様について、添付の図を参照して説明する。図は、縮尺通りに描かれることを意図されてはいない。図は、様々な態様および実施形態の例示およびさらなる理解を可能にするために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成しているが、特定の実施形態の限界の定義として意図されたものではない。図面は、明細書の残りの部分とともに、説明および請求される態様および実施形態の原則および動作を説明する働きをする。図において、様々な図において示される各同一のまたはほぼ同一の部品は、同じ数字によって表されている。説明を明確にするために、あらゆる部品があらゆる図において識別されているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の態様によるアディティブマニュファクチャリング(AM)システムの一例のブロック図である。
【
図2A】
図1のAMシステムのレーザを使用した箔層への溶接処理の一例のブロック図である。
【
図2B】
図1のAMシステムのレーザを使用した
図2Aの箔層へのアブレーション処理の一例のブロック図である。
【
図3】本発明の態様による3D部品を構築するために連続的に付加される各箔層の漸進的ビルドプロセスの概略図である。
【
図4】
図1のAMシステムの2つのレーザによって造形されている3D部品の一例のブロック図である。
【
図5】本発明の態様による連続プロセスにおける箔材料のアドバンシング層の一例の概略図である。
【
図6】本発明の態様による連続プロセスにおける箔材料のアドバンシング層の別の例の概略図である。
【
図7】本発明の態様によるアディティブマニュファクチャリングのための方法のステップおよび決定ブロックを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
前述のように、コストおよびスループットは、粉体ベースのAMプロセスおよびシステムに伴う最大の問題のうちの2つである。粉体ベースのシステムは従来、航空および医療産業などのモデリングおよび少量用途に使用されている。本明細書では、粉体ベースのAMプロセスに伴う問題のうちの多くに対処する、レーザを使用する箔ベースのAMシステムおよび方法が開示される。開示されたシステムおよび方法は、粉体ベースのAMシステムよりも著しく高速であり、たとえば、100倍高速であり、連続的な大量製造用途において実装することができる。加えて、箔ベースのAM技法は、粉体ベースのAM技法と同様に後処理手順を必要としない。以下でより詳細に説明するように、箔層が基板に連続的に付加され、各箔層が2回の別個のレーザ処理に曝露される。第1のレーザ処理は、箔材料を溶接し、第2のレーザ処理は箔材料にアブレーションを施す。粉体ベースのAMプロセスとは異なり、箔材料は粉体材料よりも安価であり、再利用がはるかに容易である。加えて、低重量および/または多孔構造を有する3D部品は、箔層を使用して造形することが可能であり、このことは、必ずしも粉体材料には当てはまらない。箔材料はまた、粉体よりも安全に使用することができる。その理由は、粉体は一般に、顕微鏡的大きさを有し(<100μm)、毒性、反応性、燃焼性、および不安定性に関する危険を伴うことが多いためである。
【0032】
図1を参照すると、全体的に100で示されているAMシステムの非限定的な一例のブロック図が示されている。AMシステム100は、溶接レーザ120と、アブレーションレーザ110と、コントローラ150とを備える。
【0033】
溶接レーザ120は、箔層105を基板132上に溶接することができるレーザ光線122(本明細書では溶接レーザ光線とも呼ばれる)を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、基板132は、ビルドプラットフォーム130上に位置決めされる。いくつかの実施形態によれば、基板132は以前の箔層であり、(たとえば、AMプロセスの開始時における)いくつかの例では、基板132は、後で除去される2Dまたは3Dビルド基板であってもよいことを諒解されたい。
【0034】
本明細書では、箔層という用語は、たとえば、厚さが約10μm~約1mmの任意の材料の薄い可撓性のフィルムまたはシートを指すが、より厚い材料も本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、箔層は、厚さが最大で1ミリメートル(mm)である(1mm自体を含む)。箔層は、所望の3D部品を造形するために開示されたプロセスを受けることのできる任意の厚さを有してもよいことが諒解されたい。いくつかの実施形態によれば、箔層は金属材料を含む。開示されたAMシステムおよびプロセスに適した金属材料の非限定的な例には、アルミニウム、鋼、および鋼合金、ニッケル、チタン、銅、スズ、コバルト、ニトビウム、タンタル、インコネル、および他の金属材料および任意の合金が含まれる。他の実施形態によれば、箔層はポリマー材料を含む。開示された方法およびシステムに適し得るポリマーの非限定的な例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリイミド、および他のポリマーベースの材料が含まれる。他の材料および複合材料も本開示の範囲内である。
【0035】
溶接レーザ120(溶接レーザ光源とも呼ばれる)を使用した箔層105の溶接は、箔層105を下層の基板132に取り付ける働きをする。このプロセスの一例の概略図が
図2Aに示されている。溶接レーザ120のレーザ光線122は、箔層105の表面に送られ、箔層105を溶接するのに十分なレーザエネルギーを下層の基板132(この例では、基板132は以前の箔層である)に印加する。
図2Aにおいて溶接された領域は、黒い円として示されている。いくつかの実施形態によれば、溶接レーザ120は、少なくとも1キロワット(kW)の出力電力を有するように構成され、いくつかの実施形態では、少なくとも5kWの出力電力を有し、さらに他の実施形態では、5~10kWの範囲(5kWおよび10kW自体を含む)の出力電力を有する。1kW未満の出力電力も本開示の範囲内である。その理由は、いくつかの用途では、より低い溶接電力が必要となるかまたは望まれる場合があるからである。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、連続波(CW)レーザ光源および準連続波(QCW)レーザ光源のうちの少なくとも一方から得られるレーザ光線を使用してレーザ溶接が実施される。一実施形態によれば、CWレーザは、10μmまでの範囲のスポットサイズを有するシングルモード(SM)レーザ光線を生成するように構成されるが、200mm未満の焦点距離を有することによってより小さいスポットサイズが達成され得る。準連続波(QCW)レーザは、熱効果を低減させるために十分に短い期間の間オンに切り替えられ、また連続波出力を維持するために十分に長い期間の間オンに切り替えられたままになる切り替え式ポンプレーザ光源を備える。QCWレーザ光源の構成では、アクティブファイバとして接合されるポンプダイオードの数が増やされている。低デューティサイクル(たとえば、1~15%(1%および15%自体を含む))が実施され、それには、より小さい電源が必要であるが、パルスモードでは、レーザは、CWモードでの出力電力と比較して最大10倍高いピーク電力を提供する。たとえば、CWレーザは、600ワット(W)の平均出力電力を有するように構成されてもよく、QCWレーザは、6000Wのピーク電力を有するように構成されてもよい。基本的に、QCWは、短いデューティサイクルのために高ピーク電力を提供する。QCWレーザは、マイクロ秒(μs)~ミリ秒(ms)パルス持続時間で、複数kWピーク電力において複数ジュールのパルスエネルギーを提供するように構成され得る。CWレーザおよびQCWレーザは、それぞれに異なるタイプの溶接工程を実施するために使用され得る。たとえば、QCWレーザは、レーザ処理中に部品への熱入力を最小限に抑え、すなわち、熱入力を低減させるように変調され得る。QCWレーザは、スポット溶接およびシーム溶接など、ロングパルスレジームにおいて高ピーク電力およびパルスエネルギーを必要とする用途に特に有用である場合がある。適切なCWおよびQCW溶接レーザの例は、米国マサチューセッツ州オクスフォードのIPG Photonicsから得られ得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、箔層105の溶接は、複数のステップで実施され得、いくつかの例では、溶接は、それぞれに異なるモードで動作するように構成され得る複数の溶接レーザまたはシングルレーザを使用して行われ得る。一実施形態では、第1の溶接レーザは、高電力および大きいスポットサイズを使用してバルク溶接工程を実施するのに適したレーザ光線を生成するように構成され得る。バルク溶接は、より大きい表面積を迅速に溶接するために使用され得る。第2の溶接レーザは、精密溶接を実施するために使用され得る。精密溶接は、より高い精度を必要とする領域(たとえば、トポグラフィの角部、縁部)に対して行われ得る。各タイプの溶接用途に使用されるレーザ光線の出力電力およびスポットサイズは互いに異なることがあり、3D部品の材料および構成に依存する。タイミングに関しては、いずれのタイプの溶接も、用途およびレーザ構成に応じて、他方よりも前に実施され得るかまたは他方と同時に実施され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、最初にスポット溶接が実施され得、次いで2番目に、異なる種類の溶接が実施され得る。
【0038】
アブレーションレーザ110は、箔層105の少なくとも一部を除去することができるパルスレーザ光線112(アブレーションレーザ光線とも呼ばれる)を生成するように構成される。パルスレーザ光線112は、0.5ps~10ps(0.5psおよび10ps自体を含む)の範囲のパルス持続時間を有する光パルスを含む。一実施形態によれば、光パルスは、1psのパルス持続時間を有する。いくつかの実施形態では、光パルスは、1~3ps(1psおよび3ps自体を含む)のパルス持続時間および50~2000kHzの範囲(50kHzおよび2000kHz自体を含む)のパルス周波数を有する。次に
図2Bを参照すると、アブレーションプロセスの一例の概略図が示されている。アブレーションレーザ110のレーザ光線112は、箔層105の表面に送られ、箔層105の少なくとも一部を除去するのに十分なレーザエネルギーを印加する。箔層105は、
図2Bでは黒いリングとして示されている。アブレーションレーザエネルギーは、箔材料によって吸収され、蒸発、気化、または昇華する。
図2Bの例では、黒いリングの中心領域は、
図2Aにおける溶接レーザ120を使用してすでに溶接されている(領域「A」と示されている)。アブレーションの後、黒いリングの外側の箔材料(領域「B」と示されている)は、溶接された領域「A」から分離している。次いで、領域「A」に関連付けられた作業領域の近傍から領域「B」が除去され得る(たとえば、再利用されるように送られる)。
【0039】
レーザアブレーションには2つの広いクラス、すなわち、熱的アブレーションおよび非熱的アブレーションがある。熱的アブレーションは、溶融などの熱効果に依存し、本明細書で説明するアブレーションレーザ110によって誘導されるアブレーションのタイプではない。非熱的アブレーションは、高電場が超短パルスに関連付けられた結果として超短パルスが材料に集束されたときに生じ得、アブレーションレーザ110によって誘導されるアブレーションのタイプである。非熱的アブレーションによって誘導されるかまたは他の方法で生じさせられる材料除去は、機械加工などの他の従来の材料除去方法と比較したときにいくつかの利点を有する。1つには、非熱的アブレーションは、周囲の材料に機械的な損傷を与えずに材料を正確に除去するのを可能にする。psレベルよりも長い(たとえば、>1ns)パルスおよびCWレーザから得られるレーザエネルギーはまた、周囲の材料を損傷する。適切なアブレーションレーザの例は、米国マサチューセッツ州オックスフォードのIPG Photonicsから得られ得る。
【0040】
材料を除去すること以外に、アブレーションレーザ110は、テクスチャ化、パターン化など、箔層に対して表示処理/機能化を実施するために使用され得る。このことは、粉体ベースのAMシステムに対する追加の利点である。その理由は、追加の機器なしにそのような高精度の技法を適用することはできないからである。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、パルスレーザ光線112の光パルスは、25マイクロジュール(μJ)~200(μJ)(25μJおよび200μJ自体を含む)のパルスエネルギーを有する。別の実施形態によれば、パルスレーザ光線112の各パルスは、少なくとも1メガワット(MW)のピーク電力を有する。いくつかの実施形態では、ピーク電力は25~50MWの範囲とすることができる。たとえば、非限定的な一例によれば、光パルスは、1psの持続時間、25μJのパルスエネルギー、および25MWのピーク電力を有する。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、溶接レーザ120およびアブレーションレーザ110のうちの少なくとも一方はファイバレーザとして構成される。ファイバレーザは、利得媒質としてドープファイバを有するレーザを指すが、レーザ共振器の大部分が光ファイバで作られるレーザも指す。
【0043】
次に
図1を参照すると、少なくとも1つの態様によれば、箔層105は箔材料107のロールとして巻かれる。箔材料107のロールは、
図1において全体的に115として示されている箔給送システムを使用して基板132および/または処理領域135(レーザ溶接またはレーザアブレーションエネルギーのうちの少なくとも一方が箔層105に適用される)に案内されるかまたは他の方法で送られ得る。いくつかの実施形態では、箔給送システムは、箔材料をビルドプラットフォーム130に案内し、ビルドプラットフォーム130は、基板132を支持する働きをする。箔層105は、箔給送システム115によってロール107から一方向に広げられる。いくつかの実施形態では、箔層105はビルドプラットフォーム130に沿って案内される。
【0044】
箔層105は、基板132および/または処理領域135に搬送されるときに溶接レーザ120およびアブレーションレーザ110によって処理される。箔材料107のロールは、箔材料の連続する層が3D部品を形成するようにレーザ処理されるように基板132および/または処理領域135に送られるかまたは他の方法で案内される。いくつかの実施形態によれば、箔給送システム115は、箔層105をx軸方向およびy軸方向のうちの少なくとも一方において基板132および/または処理領域135に案内するように構成される。
図1は、基準座標系を含み、基準座標系は、長手方向軸またはx軸、横軸またはy軸、および垂直軸またはz軸を含む3つの直交軸を備える。
図1の例では、箔材料107のロールは、x軸方向に送られる。
【0045】
AMシステム100はまた、
図1に示されるようにコントローラ150を備える。少なくとも1つの実施形態によれば、コントローラ150は、3D部品を連続的に構築するために使用される各箔層105に関するビルド命令を受信するように構成される。ビルド命令は、各箔層についての溶接エネルギー情報とアブレーションエネルギー情報とを含む。たとえば、溶接エネルギー情報は、箔層105を下層の基板に溶接するための必要なレーザエネルギー(溶接レーザ構成を仮定する)を含み、アブレーションエネルギー情報は、箔層105にアブレーションを施すための必要なレーザエネルギー(アブレーションレーザ構成を仮定する)を含む。エネルギー情報は、各レーザが各箔層105に所望のレーザエネルギーを提供するように溶接レーザ120およびアブレーションレーザ110の各々に制御信号を送信するためにコントローラ150によって使用される。
【0046】
ビルド命令は、各層について溶接エネルギー情報およびアブレーションエネルギー情報の各々に関連付けられたx位置データ、y位置データ、およびz位置データのうちの少なくとも1つを含んでもよい。たとえば、箔層nについてのビルド命令は、必要な溶接エネルギー情報に関連付けられたx位置データ、y位置データ、およびz位置データのうちの少なくとも1つを含む。これは、溶接レーザ120のからのレーザ光線122に、箔層105上の正しい地理的位置に所望の溶接エネルギーを印加させるためのものである。溶接情報が一定の溶接レーザエネルギー値であり得、溶接レーザが、位置に対して変調または変更されるのではなく、電源をオンまたはオフにされることを意味することを諒解されたい。コントローラ150は、溶接レーザエネルギーを生成し、箔層105上の位置に提供するかまたは他の方法で送るために溶接レーザ120に制御信号を送信する。たとえば、溶接レーザ120は、箔層105上の位置x1およびy1に2kWレーザ光線を印加するためにコントローラ150によって制御されてもよい。
【0047】
いくつかの例では、溶接レーザ120は、x、y、および/またはz軸方向移動機能を有するように構成され、コントローラ150は、位置データを有する制御信号を溶接レーザ120に送信する(たとえば、溶接レーザをこれらの座標のうちの少なくとも1つにおいて移動させるデバイスまたは構造)。他の例では、ビルドプラットフォーム130は、溶接レーザ120の下方の箔層105が、溶接レーザ光線122からの所定の溶接レーザエネルギーを受信するための所望の位置に移動させられるようにx方向移動機能、y方向移動機能、およびz方向移動機能のうちの少なくとも1つを有するように構成される。移動可能なビルドプラットフォーム130を有するこの後者の場合、コントローラ150はまた、ビルドプラットフォーム130を正しい位置に送る制御信号をビルドプラットフォーム130に送信する。
【0048】
箔層nについてのビルド命令を用いた同様のプロセスもアブレーションエネルギー情報に使用される。コントローラ150は、所望のアブレーションレーザエネルギーを生成して箔層105上の位置に送るためにアブレーションレーザ110に制御信号を送信する。溶接レーザ120と同様に、アブレーションレーザ110またはビルドプラットフォーム130のいずれかは、x、y、および/またはz軸方向移動機能を備え、コントローラ150は、位置データを有する制御信号をこれらのデバイスのうちの1つに送信する。
【0049】
図3は、3D部品を構築するために各箔層105が連続的に付加される各箔層105の漸進的ビルドプロセスの概略図である。左から1番目の図において、単一の箔層105を用いてプロセスが開始する。複数の箔層が順次付加されて積み重ねられ(すなわち、
図3に示されているように右向きの矢印の方向に移動する)、各層は、所望の層形状に形作られるように溶接レーザエネルギーおよびアブレーションレーザエネルギーを受ける。箔層は、所望の3D部品103が形成され、プロセスが完了するまで付加される。いくつかの実施形態によれば、ビルドプラットフォーム130は、箔材料の「新しい」層を基板上に位置決めする前にz軸方向に移動させる(すなわち、下降させる)ことができる。
【0050】
AMシステム100の制御は、コントローラ150を用いて達成される。コントローラ150は、様々な例において、ソフトウェア制御モジュールとハードウェア制御モジュールとを有するマイクロプロセッサを実装したコンピュータシステムとして構成される。
図1に示されるように、コントローラ150は、溶接レーザ120、アブレーションレーザ110、箔給送システム115、およびビルドプラットフォーム130に結合されるかまたは溶接レーザ120、アブレーションレーザ110、箔給送システム115、およびビルドプラットフォーム130と通信し、前述のように、レーザ110および120の各々用の移動装置に結合されてもよい。コントローラ150は、ビルド命令を受信する(たとえば、内部に記憶されるかまたは外部に送信される)能力を有するように構成され、ビルド命令は、多層3D部品の設計の詳細を含み、箔層形状および処理パラメータを用いた溶接およびアブレーションレーザプロセスを使用して順次ビルドアップを可能にするデジタルファイルである。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、レーザ溶接がz軸方向において実施され、レーザアブレーションがx軸方向およびy軸方向において実施される。このことは、
図4の概略図に示され得る。溶接レーザ120は、溶接レーザエネルギーを溶接レーザ光線122を介してz軸方向に送るように構成され、いくつかの例では、
図4に示されるようにz軸方向に移動するように構成される。溶接レーザ120はまた、x軸方向およびy軸方向のうちの少なくとも一方に移動するように構成され得ることを諒解されたい。アブレーションレーザ110は、アブレーションレーザエネルギーをアブレーションレーザ光線112を介してx軸方向およびy軸方向のうちの少なくとも一方に送るように構成され、
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、x軸方向およびy軸方向に移動するように構成される。アブレーションレーザ110はまた、z軸方向に移動するように構成されてもよく、いくつかの例では、溶接レーザ120およびアブレーションレーザ110のうちの少なくとも一方が回転移動することができることを諒解されたい。加えて、レーザ110および120の一方または両方は、当技術分野で知られている走査デバイスを有するように構成されてもよい。
図4において説明した構成においてレーザを使用することは、プロセスの高速化を含むいくつかの利点を有する。一態様では、プロセスは、各々がそれぞれに異なる処理技法を実施するように2つの別個のレーザが専用に使用されることに起因して高速化される。別の例では、アブレーションレーザ110によるxおよびy方向処理によって、除去された材料は、重力を使用して落下させることが可能になる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、レーザ溶接およびアブレーションは、不活性ガスの存在下で実施される。たとえば、大気制御されたビルドチャンバ170(たとえば、
図4を参照されたい)は、不活性ガスを部分的に含み、溶接およびアブレーションレーザ光線122および112ならびに処理領域135を囲むように構成され得る。不活性ガスは、窒素もしくはアルゴン、または本明細書で説明するAMプロセスに適した任意の他の不活性ガスであり得る。いくつかの実施形態では、大気制御されたビルドチャンバ170は、レーザ光線112および122の少なくとも一部がチャンバ170に入るのを可能にするように処理窓(図示せず)を有する気密チャンバであり得る。チャンバ170は、箔層の溶接およびアブレーションを実施する際に酸化効果を低減させるように大気が制御され得る。チャンバ170から酸素を除去するために真空システム(図示せず)が使用されてもよく、ガスシステム(図示せず)がチャンバ170に不活性ガスを供給してもよい。別の例によれば、当業者に諒解されるように、溶接および/またはアブレーション工程においてシールドガスが送られるのとほとんど同じように、不活性ガス175は、処理領域135に送られ得る。そのような例では、ノズルまたは他のガス給送デバイスが使用されてもよい。どちらの例でも、不活性ガス/シールドガスは、特に、箔層材料が酸素の存在下で容易に参加する材料である(たとえば、金属)例において、表面を酸化から保護するために働く。
【0053】
いくつかの実施形態では、AMシステムは、コンベアのように連続的または準連続的に動作するように構成される。このことは、いくつかの異なる方法で実現され得る。第1の例は
図5に示されており、
図5の矢印によって示されるように、箔材料のロールを前進させることができるように、処理される領域(箔層の、レーザ処理を受ける部分または領域)を囲む十分な材料を損傷しないように維持することによって実現される。ビルドプラットフォーム130(
図5には示されていない)は、各箔層がレーザ処理された後で下降され得る。この場合、すでに処理された領域も下降する。箔層は次いで、前進させられ、すでに処理された領域を「覆う」。この「新しい」処理された領域は次いで、レーザ処理される準備が整う。
【0054】
連続的に動作するように構成されたAMシステムの第2の非限定的な例が
図6に示されている。箔材料107のロールは、一方向に巻かれ、まず溶接レーザ120によって処理され、次いで、示されているように、第2のアブレーションレーザ110によって処理される。この例では、箔層105はロール107から広げられ、
図6に示されるように黒い矢印の方向に案内されるかまたは他の方法で送られる。箔層105は、溶接レーザ120から生成された溶接レーザ光線122からの溶接レーザエネルギーに曝露され、次いで、ロール状に巻かれ、アブレーションレーザ110によって生成されたアブレーションレーザ光線112によるアブレーションを施される。図示のように、溶接レーザエネルギーはz軸方向に送られ、アブレーションレーザエネルギーはx軸方向およびy軸方向に送られる。アブレーションを施された後、不要な材料は(処理領域に加えられる重力および/または加圧ガスを介して)廃棄物収集デバイス160に落下し、そこで再利用され得る。処理された領域は次いで、上向きに再度逆回転して、溶接レーザ光線122の近傍に戻り、ロール107から得られた箔材料の新しい層によって覆われ、プロセスは、3D部品が完成するまで繰り返される。この実施形態では、「ビルドプラットフォーム」は円筒形であり、回転するたびに溶接およびアブレーションが生じ、3D部品は層毎に造形される。いくつかの実施形態によれば、
図6に示されるように、溶接レーザおよびアブレーションレーザのアレイを使用して複数の3D部品が同時に処理され得る。処理の間、箔層105の処理領域内への移動は、箔材料が必要なレーザエネルギーに曝露され得るように停止または減速させてもよい。他の実施形態では、箔層105は、連続的に移動する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、箔材料の個々のシートは、ビルドプラットフォームおよび/または基板上に順次位置決めされ、個々に処理され得る。
【0056】
図7を参照して、アディティブマニュファクチャリングのための例示的な方法700について説明する。最初に、方法700のステップ710において、箔層が所定の位置に配置される。これは、箔材料の未処理の「新しい」層が、溶接レーザエネルギーおよび/またはアブレーションレーザエネルギーに曝露され得るように位置決めされることを意図したものである。ステップ720において、前述のように、箔層に対してレーザ溶接が実施され、ステップ730において、前述のように、箔層に対してレーザアブレーションが実施される。ステップ740において判定が下され、すなわち、コントローラ150によって、3D部品が完成したかどうか、すなわち、ビルド命令のシーケンスが完了したかどうかが判定される。3D部品が完成している場合、プロセスは終了する。3D部品が完成していない場合、プロセスはステップ710に戻り、ステップ710、720、および730を通してシーケンスにおける次の箔層が処理される。
【0057】
本発明による本明細書で開示された態様は、以下の説明に記載されるかまたは添付の図面に示された造形の詳細および部品の構成への態様の適用に限定されない。これらの態様は、他の実施形態を仮定し得、様々な方法で実践され得るかまたは実行され得る。特定の実装形態の例は、例示を目的としてのみ提供されており、限定を意図したものではない。特に、1つまたは複数の実施形態に関連して説明した行為、部品、要素、および特徴は、任意の他の実施形態における同様に役割から除外されることを意図したものではない。
【0058】
また、本明細書で使用される語句および用語は、説明を目的としたものであり、限定と見なされるべきではない。本明細書において単数形で参照されたシステムおよび方法の例、実施形態、部品、要素、または行為のあらゆる参照は、複数を含む実施形態を包含してもよく、本明細書における任意の実施形態、部品、要素、または行為の複数形でのあらゆる参照は、単数のみを含む実施形態を包含してもよい。単数形または複数形での参照は、現在開示されているシステムまたは方法、それらの部品、行為、または要素を限定するものではない。本明細書における「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。「または」の参照は、「または」を使用して説明したあらゆる用語が、説明した用語の1つ、複数、またはすべてのいずれかを示すように包括的であると解釈され得る。加えて、本文献と参照によって本明細書に組み込まれた文献との間に用語の使用の一貫性がない場合、組み込まれた文献における用語の使用は、本文献の用語の使用を補助するものであり、相容れない矛盾に関しては、本文献における用語の使用が支配的となる。
【0059】
少なくとも一例のいくつかの態様について説明したが、当業者には様々な代替例、修正例、および改良例が容易に企図されようことを諒解されたい。たとえば、本明細書で開示された例は他の文脈で使用されてもよい。そのような代替例、修正例、および改良例は、本開示の一部であることが意図され、本明細書で説明する例の範囲内であることが意図される。したがって、上記の説明および図面は一例としてのみ使用される。
【符号の説明】
【0060】
100 AMシステム
103 3D部品
105 箔層
107 ロール
110 アブレーションレーザ
112 パルスレーザ光線
115 箔給送システム
120 溶接レーザ
122 レーザ光線
130 ビルドプラットフォーム
132 基板
135 処理領域
150 コントローラ
160 廃棄物収集デバイス
170 大気制御されたビルドチャンバ
【国際調査報告】