(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】エネルギー蓄積用電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/559 20210101AFI20250212BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20250212BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20250212BHJP
【FI】
H01M50/559
H01M50/533
H01M50/566
H01M50/179
H01M50/107
H01M50/184 D
H01M50/586
H01M50/593
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546110
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2022062578
(87)【国際公開番号】W WO2023148547
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】102022000001841
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592033493
【氏名又は名称】ジ・ディ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】ノフェリーニ,ジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】フォルティーニ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】エウセピ,イヴァン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF02
5H011GG02
5H043AA19
5H043CA03
5H043DA09
5H043EA35
5H043EA36
5H043HA08D
5H043HA17D
5H043JA01D
5H043JA01E
(57)【要約】
エネルギー蓄積電池(1)は、電気化学セル(2)と、電気化学セル(2)の一端に結合された集電体(11)と、第1の貫通孔(15)を有する第1の壁(8)を有し、集電体(11)が第1の壁(8)に近接して配置されるように電気化学セル(2)を内部に収容する容器(3)と、電池(1)の電極(14)を構成し、第1の壁(8)の外面上に配置され、第1の孔(15)と少なくとも部分的に位置合わせされた第2の孔(22;26)を有する外側本体(17;25)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー蓄積電池(1)であって、
電気化学セル(2)と、
前記電気化学セル(2)の一端に結合された集電体(11)と、
第1の貫通孔(15)を有する第1の壁(8)を有し、前記集電体(11)が前記第1の壁(8)に近接して配置されるように前記電気化学セル(2)を内部に収容する容器(3)と、
前記電池(1)の電極(14)を構成し、前記第1の壁(8)の外面上に配置される外側本体(17;25)と、
を備え、
前記外側本体(17;25)が、前記第1の孔(15)と少なくとも部分的に位置合わせされた第2の孔(22;26)を有する、エネルギー蓄積電池(1)。
【請求項2】
前記第2の孔(22;26)に溶接部(24)をさらに有し、前記溶接部(24)が、前記集電体(11)と前記外側本体(17;25)との間の電気的接続を確立する、請求項1に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項3】
前記溶接部(24)が、少なくとも部分的に前記容器(3)の外側に配置される、請求項2に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項4】
前記溶接部(24)が、少なくとも部分的に前記第2の孔(22;26)の内部に配置される、請求項2または3に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項5】
前記外側本体(17;25)の前記第2の孔(22;26)が貫通孔である、請求項2、3または4に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項6】
前記集電体(11)が、前記第1の壁(8)の前記第1の孔(15)および前記外側本体(17;25)の前記第2の孔(22;26)に挿入される突出部(23)を有し、
前記溶接部(24)が、前記外側本体(17;25)と前記集電体(11)の前記突出部(23)との間に作られる、請求項2から5のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項7】
前記突出部(23)の外面が、前記外側本体(17;25)の外面と同一平面上にある、請求項6に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項8】
前記外側本体(17;25)の前記第2の孔(22;26)が、外側フレアを有し
前記突出部(23)の外側部分が、前記突出部(23)の外面を前記外側本体(17;25)の外面と同一平面上にするように前記外側本体(17;25)に対して押し込まれる、請求項6に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項9】
前記第1の壁(8)の前記第1の孔(15)と係合し、前記容器(3)の外側に配置されて前記外側本体(17;25)を構成するヘッド(17)と前記容器(3)の内側に配置されるカウンタヘッド(21)とを有するリベット(16)を備える、請求項6、7または8に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項10】
前記リベット(16)が最初に前記ヘッド(17)のみを有し、前記カウンタヘッド(21)は、前記リベット(16)を前記第1の壁(8)の内面に押し込むことによって前記リベット(16)を前記第1の壁(8)の前記第1の孔(15)を通して挿入した後に得られる、請求項9に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項11】
前記外側本体(17;25)が、前記容器(3)の外側に完全に配置された接続要素(25)のみからなる、請求項6、7または8に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項12】
前記集電体(11)の前記突出部(23)が、基部において、前記第1の壁(8)の内面に対して絶縁ガスケット(20)を圧縮する機能を有する固定要素(27)によって囲まれている、請求項11に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項13】
前記集電体(11)が突出部を有さず、前記溶接部(24)が前記外側本体(17;25)の前記第2の孔(22;26)の内側に作られる、請求項2から5のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【請求項14】
前記第1の孔(15)を並べるために前記第1の壁(8)の前記第1の孔(15)の内側に配置される第1の絶縁ガスケット(18)と、
前記外側本体(17;25)と前記第1の壁(8)の外面との間に配置される第2の絶縁ガスケット(19)と、
前記第1の壁(8)の内面と前記集電体(11)との間に配置される第3の絶縁ガスケット(20)と、
を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積電池(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー蓄積電池に関する。
【0002】
本発明は、一般性を失うことなく以下の説明が明示的に言及するリチウムイオン円筒形電池の製造/組立てに有利な用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
市販のリチウムイオン電池は、円筒形、角柱形、および袋状の3つの異なる形状で組み立てられる。
【0004】
円筒形電池は、中央ピンの周りに一緒に巻き付けられたアノード、セパレータ、およびカソードによって形成された「ジェリーロール」または「スイスロール」タイプの単一の電気化学セルを内部に有する円筒形金属容器によって形成される。
【0005】
具体的には、円筒形容器は、巻回された電気化学セルおよび巻回された電気化学セルを含浸する電解質の挿入を可能にするために、一方の側で最初に開いている(すなわち、閉鎖された第1の端部と開放された第2の端部とを有するカップの形状を有する)。電池の形成が完了すると(すなわち、すべての構成要素が円筒形容器の内側に配置されると)、円筒形容器の開放端部が閉鎖されて密閉された閉鎖部が形成される。
【0006】
特に、円筒形容器の開口端を閉じるために、円筒形容器自体の上縁を蓋に対して変形させることによって円筒形容器に接続された(場合によっては環状ガスケットに結合された)円形蓋が使用される。
【0007】
円筒形容器の内側に電気化学セルを挿入する前に、電気化学セルの2つの対向する端部において、2つの集電体がカソード(アルミニウム製の集電体が使用される)およびアノード(銅製の集電体が使用される)で結合される(円筒形電池の特定の場合には円盤形状である)。各集電体は、電気化学セルの対応する端部に押し付けられ、(絶縁セパレータを介在させて)一緒に巻き付けられて電気化学セルを構成する導電性ストリップ(アルミニウムおよび銅から作られる)の接続薄板に溶接される。
【0008】
円筒形容器の第1の壁は、円筒形容器の外側に配置されて円筒形電池の正極を構成するヘッドを有するアルミニウム製のリベット(リベットとも呼ばれる)によって係合される貫通孔を中央に有する。特に、リベットは、リベットを円筒形容器から隔離する一連のプラスチックガスケットを介して円筒形容器の第1の壁の貫通孔を通して挿入され、次いでリベットのヘッドレス端部が押し込まれて(すなわち塑性変形されて)カウンタヘッド(counter-head)を形成する。
【0009】
2つの集電体が設けられた電気化学セルが円筒形容器の内側に挿入されると、カソード集電体(アルミニウム製)は、リベットのカウンタヘッド(円筒形容器の第1の壁に予め結合されている)に押し付けられ、次いで、安定した接続および大きな伸長(接触面積が大きいほど、接触面積における電気抵抗が低くなる)を行うためにリベットのカウンタヘッドに溶接される。
【0010】
典型的には、カソード集電体とリベットのカウンタヘッドとの間の溶接は、カソード集電体に熱を加え、したがって金属(アルミニウム)を局所的に溶融するために電気化学セルの(寸法が縮小された)中央孔を使用することによって行われる。実際のところ、一般に、円筒形容器の第1の壁から通過するリベットのカソード集電体とカウンタヘッドとの間の領域に熱を加えることは、そうすることによって、リベットを円筒形容器から隔離するプラスチックガスケットが過剰な加熱によって損傷を受けるため、不可能である。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本出願人は、高品質の最終製品の達成を保証しながら、(単位時間当たりに製造される円筒形電池として測定される)高い製造速度で組立てを可能にする電池形状を提供する必要性を感じている。
【0012】
本出願人は、まず、従来の電気化学セルと相対的な中央孔との間の幾何学的割合が、特に高い生産速度で中央孔自体を通して溶接を行うことを容易にしないことを観察した。特に、この孔の底部に(すなわち、電気化学セルの中央孔の端部に位置するカソード集電体に)例えば熱を加えることは特に複雑である。その結果、溶接作業は高精度を必要とし、特に遅いことが判明しているため、非常に長い実行時間を必要とし、高い製造速度(単位時間当たりに製造される円筒形電池として測定される)で動作することができない。
【0013】
本出願人はまた、溶接中に発生するあらゆる金属スプラッシュ(冷却により小さな金属屑を形成する)が、ジェリーロールの孔の内部、またはいずれの場合も電池の内部に閉じ込められたままであり、したがって、電気化学セルを「汚染する」ことができ、小さな局所的短絡を引き起こし、これにより、経時的にその性能が損なわれるか、または早期に劣化する可能性さえあることを観察した。
【0014】
したがって、本出願人は、容器の外側から(少なくとも一時的に)アクセスを可能にする電池形状により、溶接作業から生じる金属屑の存在を容器の内部において排除することができ、また同時に高速で動作することを可能にすることを理解している。
【0015】
さらに、本出願人は、アクセスは、容器を通じて、あるいは外側本体を通じて直接行うことができることを理解している。
【0016】
本発明によれば、エネルギー蓄積電池が提供され、エネルギー蓄積電池は、電気化学セルと、電気化学セルの一端に結合された集電体(electrical collector)と、第1の貫通孔を有する第1の壁を有し、集電体が第1の壁に近接して配置されるように電気化学セルを内部に収容する容器と、電池の電極を構成し、第1の壁の外面上に配置される外側本体と、を備え、外側本体が、第1の孔と少なくとも部分的に位置合わせされた第2の孔を有する。
【0017】
好ましくは、電池は、第2の孔に溶接部(weld)をさらに有し、溶接部は、集電体と外側本体との間の電気的接続を確立する。
【0018】
好ましくは、溶接部は、少なくとも部分的に容器の外側に配置される。
【0019】
好ましくは、溶接部は、少なくとも部分的に第2の孔の内部に配置される。
【0020】
好ましくは、外側本体の第2の孔は貫通孔である。
【0021】
実施形態では、集電体は、第1の壁の第1の孔および外側本体の第2の孔に挿入される突出部を有し、溶接は、外側本体と集電体の突出部との間で行われる。
【0022】
実施形態では、突出部の外面は、外側本体の外面と同一平面上にある。
【0023】
実施形態では、外側本体の第2の孔は、外側フレア(outer flaring)を有し、突出部の外側部分は、突出部の外面を外側本体の外面と同一平面上にするように外側本体に対して押し込まれる(bucked)。
【0024】
実施形態では、電池は、第1の壁の第1の孔と係合し、容器の外側に配置されて外側本体を構成するヘッドと容器の内側に配置されたカウンタヘッドとを有するリベットを備える。
【0025】
好ましくは、リベットは、最初にヘッドのみを有し、カウンタヘッドは、リベットを第1の壁の内面に押し込むことによってリベットを第1の壁の第1の孔を通して挿入した後に得られる。
【0026】
実施形態では、外側本体は、容器の外側に完全に配置された接続要素のみからなる。
【0027】
好ましくは、集電体の突出部は、基部において、第1の壁の内面に対して絶縁ガスケットを圧縮する機能を有する固定要素によって囲まれている。
【0028】
実施形態では、集電体は突出部を有さず、溶接は外側本体の第2の孔の内側で行われる。
【0029】
好ましくは、電池は、第1の孔を並べるために第1の壁の第1の孔の内側に配置される第1の絶縁ガスケットと、外側本体と第1の壁の外面との間に配置される第2の絶縁ガスケットと、第1の壁の内面と集電体との間に配置される第3の絶縁ガスケットとを備える。
【0030】
次に、本発明を添付の図面を参照して説明し、添付の図面のいくつかの非限定的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図1の円筒形電池の第1の端部の拡大概略側面図である。
【
図3】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図4】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図5】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図6】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図7】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図8】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図9】
図2の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図10】
図2の円筒形電池の正極を作製するためのいくつかの動作の変形例を概略的に示す図である。
【
図11】
図2の円筒形電池の正極を作製するためのいくつかの動作の変形例を概略的に示す図である。
【
図12】
図1の円筒形電池の第1の端部の概略平面図である。
【
図13】
図1の円筒形電池の変形例の第1の端部の拡大概略側面図である。
【
図14】
図1の円筒形電池のさらなる変形例の第1の端部の拡大概略側面図である。
【
図15】
図14の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図16】
図14の円筒形電池の正極を作製するための一連の動作を概略的に示す図である。
【
図17】
図14の円筒形電池の正極を作製するためのいくつかの動作の変形例を概略的に示す図である。
【
図18】
図14の円筒形電池の正極を作製するためのいくつかの動作の変形例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1において、符号1は、全体としてエネルギー蓄積電池を示し、図示の電池1は、単なる例として、円筒形状であり、それによって本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
電池1は、円筒形状をとるように重ね合わされ、したがって一緒に巻かれた複数のシートによって形成された「ジェリーロール」または「スイスロール」タイプの円筒形状の電気化学セル2と、内側に電気化学セル2を囲み、中央に配置された長手方向対称軸4を有する円筒形容器3とを含む。特に、円筒形の電気化学セル2は、4つのストリップ:カソードを構成する金属系材料(典型的にはアルミニウム)の導電性ストリップ、(後に液体電解質に浸漬される)多孔質材料から作製されるセパレータストリップ、アノードを構成する金属系材料(典型的には銅)から作製される導電性ストリップ、および(後に液体電解質に浸漬される)多孔質材料から作製されるセパレータストリップのセットの螺旋状巻線から構成される。言い換えれば、4つの重ね合わされたストリップは、円筒形の電気化学セル2を形成するようにそれ自体に螺旋状に巻き付けられた複合材料(すなわち、4つのストリップの「サンドイッチ」)を形成する。電気化学セル2は、中央に、それを横切って(from side to side)貫通する貫通孔5(螺旋状巻線の作製に必要)を有する。
【0034】
容器3は、円筒形状の側壁6と、側壁6に継ぎ目なく接続された第1の壁8によって(すなわち、下部によって)最初から閉じられている第1の端部7と、第1の端部7の反対側の第2の端部9と、を有し、第2の端部9は、電気化学セル2を容器3内に挿入することを可能にするために最初は開いており、その後閉じられ密閉される。特に、容器3の第2の端部9には、(円筒形電池が円形の場合)第2の端部9を閉じる蓋10が配置されている(すなわち、容器3の上部基部を構成する)。
【0035】
電気化学セル2を容器3の内側に挿入する前に、電気化学セル2の2つの対向する端部で、2つの集電体11および12がカソード(アルミニウム集電体11が使用される)およびアノード(銅集電体12が使用される)で結合される(円筒形電池の特定の場合には円盤形状である)。各端子集電体11または12は、電気化学セル2の外部において電流の流れを可能にするために、電気化学セル2の内部で生成される前記電流を収集する集電体(アルミニウム製の集電体11の場合はカソード、銅製の集電体12の場合はアノード)を構成する。各端子集電体11または12は、電気化学セル2の対応する端部に押し付けられ、(絶縁セパレータを介在させて)一緒に巻き付けられて電気化学セル2を構成する導電性ストリップ(アルミニウムおよび銅から作られる)の接続薄板に溶接される。
【0036】
電池1は、第2の端部9に配置され、蓋10内に作られた負電極13と、第1の壁8に配置された(後述するように十分な電気絶縁を有する)正電極14と、を含む。
【0037】
一般に、本発明によれば、集電体11は、少なくとも1つのアクセス部15、22、26によって容器3の外側と連通するように配置される。
【0038】
図2に示すように、アクセス部は孔15を含む。特に、容器3の第1の壁8は、容器3の外側(すなわち、容器3の第1の壁8の外側)に配置されて電池1の正電極14を構成するヘッド17(すなわち、ヘッド17は、電池1の正電極14を構成する端子である)を有するアルミニウム製のリベット16(リベットとも呼ばれ、
図7を参照されたい)によって係合される貫通孔15(
図5によりよく示されている)(この場合は中央)を有する。
【0039】
特に、リベット16は、容器3から(特に容器3の第1の壁8から)リベット16を隔離する一連のプラスチック絶縁ガスケット18、19、および20を介して容器3の第1の壁8の孔15に挿入され、次いで、リベット16のヘッドレス端部が押し込まれて(すなわち塑性変形されて)カウンタヘッド21を形成する。言い換えれば、リベット16は、容器3の第1の壁8の貫通孔15と係合し、容器3の第1の壁8の外側に配置され、電池1の正電極14を構成するヘッド17と、容器3の第1の壁8の内側に配置され、したがってカソード集電体11に面するカウンタヘッド21と、を含む。
【0040】
絶縁ガスケット18は、円筒形状を有し、容器3の第1の壁8の貫通孔15の内側に並んでおり、リベット16を孔15の壁から隔離する。
【0041】
絶縁ガスケット19は、円盤状であり、リベット16のヘッド17と容器3の第1の壁8との間に介在して、リベット16を第1の壁8の外面から隔離する。
【0042】
絶縁ガスケット20は、円盤形状を有し、リベット16のカウンタヘッド21と容器3の第1の壁8との間に介在して、リベット16を第1の壁8の内面から隔離する。言い換えると、2つの絶縁ガスケット19,20は、容器3の第1の壁8の両側に配置されている。
【0043】
リベット16は、図示する例では貫通孔であり、円筒形状であり、リベット16を横切って貫通する孔22を中央に有し、集電体11は、集電体11から片持ち状に立ち上がる突出部23(図示する例では中央に配置され、円筒形状である)を有し、リベット16の孔22は、集電体11の突出部23に係合している。さらに、孔22は、ヘッド17が第1の壁8の外面に配置されたときに、孔15と少なくとも部分的に整列して(好ましくは同軸に)配置されることになる。一般に、突出部は、アクセス部15、22、25に嵌合する。この場合、アクセス部は孔22も含む。
【0044】
孔22の代わりに、リベット16は代替的に凹部を含むことができる(状況は図示せず)。
【0045】
好ましくは、リベット16の孔22は、低減された隙間、すなわち最小隙間で集電体11の突出部23を収容する(集電体11の突出部23をリベット16の孔22に適合するためには、ある程度の隙間が必要であるが、その後に、突出部23と孔22との接合の実現を容易にするためには、この隙間は小さくする必要がある)。リベット16と集電体11の突出部23との間には、リベット16と集電体11の突出部23との間の安定した機械的接続、およびリベット16と集電体11の突出部23との間の低抵抗電気的接続の両方を形成する、好ましくは環状の(すなわち、
図12に示すように閉じたリングを形成する)溶接部24がある。
【0046】
溶接という用語は、一般に、動作が行われる技術にかかわらず、要素の接合/結合/固定の結果を指す。例えば、接合/結合/固定は、熱および/または機械的圧力および/または振動によるものとすることができ、あるいは接合される部品の圧着またはリベット留めから生じることができる。実施形態では、溶接は、要素間の溶融(溶加材の有無にかかわらず)、例えば、レーザ溶接(以下では例としてのみ言及する)または超音波溶接であり得る。
【0047】
図3~
図9を参照して、電池1の正電極14を作製する方法を以下に説明する。
【0048】
図3に示すように、突出部23が設けられた集電体11は、電気化学セル2に接続され、突出部23が設けられた集電体11は、
図4によりよく示されている。
【0049】
図5に示すように、貫通孔15(図では中央である)は、容器3の第1の壁8を通して得られる。
【0050】
図6に示すように、容器3の第1の壁8は、絶縁ガスケット18、19、および20と結合され、図示する例の絶縁ガスケット18は、円筒形状を有し、容器3の第1の壁8の貫通孔15の内側に並んでおり、図示する例の絶縁ガスケット19は、円盤形状を有し、第1の壁8の外面上に配置され、図示する例の絶縁ガスケット20は、円盤形状を有し、第1の壁8の内面上に配置される。
【0051】
図7に示すように、絶縁ガスケット18、19および20を容器3の第1の壁8に結合させた後に、容器3の第1の壁8の孔15を通して、容器3の外側(すなわち、容器3の第1の壁8の外側)に配置され、電池1の正電極14を構成し、容器3の第1の壁8に対して絶縁ガスケット19を圧縮するヘッド17を有するリベット16が配置される。このようにして、ヘッド17は、容器3の第1の壁8の外面に配置される。この時点で、
図8に示すように、リベット16のヘッドレス端部は、容器3の第1の壁8に対して、特に第1の壁8の前述の外面とは反対側の内面に対して絶縁ガスケット20を圧縮するカウンタヘッド21を形成するために押し込まれる(すなわち塑性変形される)。
【0052】
続いて、
図9に示すように、突出部23(図示の場合には円筒形である)を(中央に)有する集電体11を備えた電気化学セル2を容器3に挿入する。電気化学セル2の挿入の終了時に、集電体11の突出部23は、孔22自体と係合することにより、リベット16の孔22に挿入される。電気化学セル2の容器3への挿入が完了すると、すなわち、集電体11の突出部23のリベット16の孔22への挿入が完了すると、良好な機械的接続および良好な電気的接続の両方を確立するために、リベット16を集電体11の突出部23に接続する溶接部24が作られる。
【0053】
溶接部24(この場合は環状である)は、容器3の外側から、したがっていかなる種類の障害物もなしに作ることができることに留意することが重要である。その結果、高い全体的な品質の達成を依然として保証しながら、溶接24の実行を迅速に完了することができる。
【0054】
本質的に、本発明による方法では、集電体11は(少なくとも一時的に)容器の外側と連通して(孔15を介して)配置され、したがって溶接部24は容器3の外側から作ることができる。
【0055】
図2~
図9に示す実施形態では、集電体11の突出部23の外面は、最初からリベット16のヘッド17の外面と同一平面上にある。言い換えると、突出部23の外面は、一旦孔22に挿入されると(突出部23が孔22に挿入されると)、リベット16のヘッド17の外面と同一平面上にある。この実施形態では、リベット16の孔22および突出部23は、互いに実質的に相補的な形状(すなわち、フレアなし)を有する(図示の場合は円筒形である)(両者の間に形状結合が生じる)。
図10および
図11に示す代替的な実施形態によれば、集電体11の円筒形突出部23の外面は、最初にリベット16のヘッド17の外面から突出し、すなわち、突出部23が孔22に挿入されると、上述の外面から突出する。この実施形態では、リベット16の孔22は外側にフレア部を有する。集電体11の円筒形突出部23をリベット16の孔22に挿入した後に、突出部23の外側部分は、集電体11の突出部23の外面をリベット16のヘッド17の外面と同一平面にするように、塑性変形によってリベット16のヘッド17に押し込まれる。
【0056】
図13に示す異なる実施形態によれば、集電体11は突出部23を有さず、溶接部24は、リベット16の孔22を介してリベット16のカウンタヘッド21と集電体11との間に作られる。
図14に示す異なる実施形態によれば、リベット16は、貫通孔26を(好ましくは中心に)有する接続要素25(図示の場合にはリングである)に置き換えられ、図示の場合には、接続要素25を横切って貫通する円筒形状を有する。接続要素25の孔26は、集電体11の突出部23と係合する。特に、孔26は、接続要素25が第1の壁8の外面に配置されたときに、孔15と少なくとも部分的に整列して(好ましくは同軸に)配置される。
【0057】
この場合、アクセス部は孔26を含む。
【0058】
接続要素25と集電体11の突出部23との間には、接続要素25と集電体11の突出部23との間の安定した機械的接続と、接続要素25と集電体11の突出部23との間の低抵抗電気的接続の両方を行う溶接部24がある。この実施形態では、電池1の正電極14は、リベット16のヘッド17に取って代わる接続要素25からなる。
【0059】
図14に示す実施形態では、集電体11の突出部23は、容器3の第1の壁8の内面に対して絶縁ガスケット20を圧縮する(したがって、所定の位置に保持する)機能を有する固定要素27(図示の場合、リングである)によって内部で囲まれている。
【0060】
図15および
図16は、接続要素25および集電体11の突出部23の形態をよりよく見ることを可能にする、
図14に示す実施形態のいくつかの実現ステップを示す。
【0061】
図14~
図16に示す実施形態では、集電体11の突出部23の外面は、最初から接続要素25の外面と同一平面上にあり、すなわち、孔26に挿入されると同一平面上にある。この実施形態では、接続要素25の孔26は、突出部23(すなわち、フレアのない)と実質的に相補的な形状(この場合は円筒形である)を有する(形状結合が生成される)。
図17および
図28に示す代替的な実施形態によれば、集電体11の突出部23の外面は、最初に接続要素25の外面から突出する、すなわち突出部23が孔26に挿入されるとそこから突出する。この実施形態では、接続要素25の孔26は、外側フレアを有する。集電体11の突出部23を接続要素25の孔26に挿入した後に、突出部23の外側部分は、集電体11の突出部23の外面を接続要素25の外面と同一平面上にするように、塑性変形によって接続要素25に押し込まれる。
【0062】
図示されているすべての実施形態において、リベット16の孔22および接続要素25の孔26は貫通孔であり、すなわち、孔22はリベット16を横切って貫通し、孔26は接続要素25を横切って貫通する。図示されていない異なる実施形態によれば、リベット16の孔22および接続要素25の孔26は、孔22および26を閉じ、集電体11の突出部23を視界から隠す(薄い)上壁を有するので、目に見えない。
【0063】
添付の図面に示す実施形態では、電池1は円筒形状を有し、したがって、電池1の構成要素の少なくとも一部(例えば、電気化学セル2および容器3)は円筒形状(またはいずれの場合も筒対称形状)を有する。図示しない他の実施形態によれば、電池1は円筒形状以外の形状(例えば、平行六面体形状)を有しているため、電池1の構成要素(例えば、電気化学セル2および容器3)の少なくとも一部は円筒形状以外の形状(例えば、平行六面体形状)を有している。すなわち、電気化学セル2および容器3は、円形の基部を有する角柱形状を有することができ(したがって、筒形状であることができ)、または長方形もしくは正方形の基部を有する角柱形状を有することができる(したがって、直方体形状であることができる)。
【0064】
容器3の外側(すなわち、容器3の第1の壁8の外側)に配置され、電池1の正電極14を構成するヘッド17は、(添付の図に示すように)円筒形状を有してもよいし、円筒形状以外の形状(例えば、直方体形状)を有してもよい。
【0065】
図示されていないさらなる実施形態では、溶接される集電体11へのアクセスは、外側本体17、25に影響を及ぼすことなく、容器3を介してのみ行われる。この実施形態では、容器3の第1の壁8は、リベット16を挿入するための孔15と、集電体11の突出部23が挿入されるさらなる貫通孔と、を含み、溶接部24は、集電体11のヘッド17と突出部23との間に(外部から)作られる。
【0066】
したがって、先の実施形態によるエネルギー蓄積電池は、電気化学セル2と、電気化学セル2の一端に結合された集電体11と、第1の貫通孔15を有する第1の壁8を有し、集電体11が第1の壁8に近接して配置されるように電気化学セル2を内部に収容する容器3と、第1の孔15に挿入されたリベット16と、容器3の第1の壁8に、集電体11の突出部23が挿入されるさらなる貫通孔と、を含み、リベット16のヘッド17と集電体11の突出部23との間に溶接部24が作られる。
【0067】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく互いに組み合わせることができる。
【0068】
上述した製造方法および電池1には、多くの利点がある。
【0069】
第1に、上述の製造方法および電池1は、環状溶接部24が容器3の外側に作られているため、溶接ツールの寸法および動きに空間的制約がなく、高い製造速度で動作する(すなわち、単位時間当たりに生成される円筒形容器3の数が多い)ことを可能にする。これは、容器3の外側から溶接24を行うことができるように、集電体11を容器3の外側と(孔15および/または孔22/26を通して)(少なくとも一時的に)連通させて配置することによって可能である。
【0070】
また、上述した製造方法および電池1によれば、最終製品の高品質化(すなわち、欠陥の減少)を保証することができる。この結果は、溶接部24が容器3の内部(すなわち、内部から)ではなく、容器3の外部で(すなわち、外部から)行われるという事実のおかげで得られる。このようにして、溶接部24を作製している間に偶発的に形成された金属屑は、容器3の内部に入らず、容器3の外側に留まり、したがって円筒形電気化学セル2を汚染することができない。換言すれば、環状溶接部24を形成している間に、冷却することによって小さな金属屑を形成する溶融金属のスプラッシュが発生する可能性がある。しかしながら、溶接部24が容器3の外側に作られるので、そのような小さな破片は容器3に入ることができない。溶接部24によって生成された金属屑が容器3内に存在しないことにより、電気化学セル2の不良を実質的に低減することが可能になる。これは、これらの小さな金属屑が存在する場合、経時的に電気化学セル2の早期劣化を引き起こす可能性がある小さな局所的短絡を引き起こす可能性があるからである。
【0071】
さらに、集電体11の厚さは、(
図2~
図11に示す実施形態では)溶接部24が集電体11に直接影響を及ぼさず、集電体11の突出部23に影響を及ぼすため、集電体11は溶接部24を作る間に起こり得る破過に耐える必要がないため、電池1の高さを減少させるという利点に限定することができる(すなわち、集電体11の厚さを増加させなくてもよい)。
【0072】
リベット16が貫通孔22を有する(あるいは、接続要素25が貫通孔26を有する)という事実は、電気化学セル2が容器3に入ると、電気化学セル2の前進によって圧縮された容器3の底部に存在する空気を、電気化学セル2の孔5を通して排出するのではなく(必然的にリベット16の貫通孔22がない場合のように)、リベット16の貫通孔22を通してより効果的に排出することができる点において、電気化学セル2の容器3への挿入を単純化(高速化)する。
【0073】
最後に、上述の製造方法および電池1は、複雑な機械加工または特定の(非標準的な)材料の使用を必要としないため、実施が簡単で安価である。
【符号の説明】
【0074】
1 電池
2 電気化学セル
3 容器
4 長手方向軸
5 貫通孔
6 側壁
7 第1の端部
8 第1の壁
9 第2の端部
10 蓋
11 集電体
12 集電体
13 負電極
14 正電極
15 孔
16 リベット
17 ヘッド
18 絶縁ガスケット
19 絶縁ガスケット
20 絶縁ガスケット
21 カウンタヘッド
22 孔
23 突出部
24 溶接部
25 接続要素
26 孔
27 固定要素
【国際調査報告】