(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】潤滑剤の寿命を延ばす方法
(51)【国際特許分類】
C10M 175/00 20060101AFI20250212BHJP
C10M 129/10 20060101ALI20250212BHJP
C10M 133/12 20060101ALI20250212BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/12 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20250212BHJP
C10N 40/00 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
C10M175/00
C10M129/10
C10M133/12
C10N30:00 Z
C10N40:25
C10N40:04
C10N40:12
C10N40:08
C10N40:30
C10N40:00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547017
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2023052249
(87)【国際公開番号】W WO2023148142
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】オンダルツァ,フレデリック・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウェンシ
(72)【発明者】
【氏名】クロム,ロリ・アン
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA07A
4H104BB05C
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104BE07C
4H104DA02A
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104JA04
4H104LA20
4H104PA03
4H104PA05
4H104PA07
4H104PA20
4H104PA39
4H104PA41
(57)【要約】
本発明は、潤滑剤組成物の寿命を延長する方法であって、上記潤滑剤組成物が1種以上の基油および1種以上の添加剤を含み、添加剤の少なくとも1種が枯渇性添加剤であり、
i.潤滑剤組成物の所望の延長された寿命のために必要な1種以上の枯渇性添加剤の量を特定するステップであって、上記延長された寿命が、上記潤滑剤組成物の標準的な寿命よりも長い、ステップと、
ii.上記1種以上の枯渇性添加剤の第1の部分を新鮮な潤滑剤組成物に提供するステップと、
iii.上記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りを、潤滑剤組成物の標準的な寿命にわたって広がる2つ以上の部分に分けて提供するステップと、
を含む方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物の寿命を延ばす方法であって、前記潤滑剤組成物が1種以上の基油および1種以上の添加剤を含み、前記添加剤の少なくとも1種は、枯渇性添加剤であり、
i.前記潤滑剤組成物の所望の延長された寿命のために必要な前記1種以上の枯渇性添加剤の量を特定するステップであって、前記延長された寿命が、前記潤滑剤組成物の標準的な寿命よりも長い、ステップと、
ii.前記1種以上の枯渇性添加剤の第1の部分を新鮮な前記潤滑剤組成物に提供するステップと、
iii.前記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りを、前記潤滑剤組成物の前記標準的な寿命にわたって広がる2つ以上の部分に分けて提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1種以上の枯渇性添加剤は、酸化防止添加剤、耐摩耗添加剤、および防錆もしくは防食添加剤のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
本発明における前記1種以上の枯渇性添加剤は1種以上の酸化防止添加剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上の枯渇性添加剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用される前記1種以上の枯渇性添加剤の全量は、好適には、前記潤滑組成物の全質量に基づいて1重量%以下かつ0.001重量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上の枯渇性添加剤の前記第1の部分は、前記1種以上の枯渇性添加剤の全量の30~70重量%の範囲、好ましくは40~60重量%の範囲の量である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りは、2つのさらなる部分に分けて提供され、それぞれのさらなる部分は、前記枯渇性添加剤の量の残りの40~60重量%の範囲、好ましくは約50重量%を含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りは、3つのさらなる部分に分けて提供され、それぞれのさらなる部分は、前記枯渇性添加剤の量の残りの30~35重量%の範囲、好ましくは約33重量%を含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記さらなる部分は、1種以上の酸化防止添加剤と1種以上の基油とを含む添加剤ブースターパッケージとして提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記期間は、前記標準的な寿命にわたってほぼ均等に間隔を空けられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤組成物の寿命を延ばす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤組成物は、1種以上の基油と1種以上の添加剤との混合物を含有する。各潤滑剤組成物は、特定のタイプの装置において特定の機能を発揮するように配合される。多くの設計および革新が、延長された寿命にわたって優れた機能を維持する潤滑剤組成物の開発につながった。しかしながら、適合された配合および理想的な動作条件においてさえ、潤滑剤組成物は時間経過と共に劣化する。
【0003】
この劣化の少なくとも一部は、潤滑剤組成物内のある特定の添加剤の枯渇に起因する。特に、酸化防止添加剤は、それらの作用機構が酸化された分子の捕捉または酸化された分子との反応を伴うため、「犠牲的」または「枯渇性」添加剤である。耐摩耗添加剤などの他の添加剤も、時間経過と共に枯渇または劣化することが知られている。
【0004】
潤滑剤組成物の寿命の延長は望ましい目標であり、多くの研究がオイルドレイン間隔(ODI)を延ばすことに焦点を当ててきた。これは、潤滑剤組成物の完全な交換を必要とする前に、ある特定の潤滑剤組成物によって潤滑されている間に機械が効率的なレベルにおいてどれほど長く機能することができるかの指標である。
【0005】
潤滑剤組成物中の全ての成分が同じ速度で劣化または枯渇するわけではない。したがって、潤滑剤組成物は、組成物内の多くの成分が依然として使用可能な状態であるときに交換することを必要とし得る。特に、ある特定の添加剤は時間経過と共に枯渇または劣化し、このように枯渇した潤滑剤組成物は、義務付けられた基準を満たさなくなることによって使用に適さなくなる。
【0006】
徐放性添加剤ゲルが、この問題を克服するための1つの選択肢として提案されている(例えば、米国特許第6843916号および国際公開第2010014528号において)。しかしながら、そのようなゲルを製造するための複雑な技術は困難であることがわかっており、そのようなゲルは、概して、タービンなどの大規模装置には適していない。
【0007】
潤滑剤の寿命を延ばすために、例えば、米国特許第5009799号に記載されているものなど、分解生成物を物理的および/または化学的に除去する濾過システムも提案されている。これらのシステムは、分解生成物を除去するが、有用な化合物、とりわけ酸性添加物も除去し得る。フィルタも、全ての油のタイプに適合するわけではない。
【発明の概要】
【0008】
再処理および再利用はこの分野ではまだ標準的な処理方法ではないため、使用済みの潤滑剤組成物は、多くの場合、廃棄される。潤滑剤組成物の寿命および/またはオイルドレイン間隔を延ばす努力は、環境上の利点を有すると共に、エンドユーザの利便性を高め、コストを削減する。潤滑剤組成物の寿命を延ばす改善された方法は、常に望ましい。
【0009】
本発明は、潤滑剤組成物の寿命を延ばす方法であって、上記潤滑剤組成物が1種以上の基油および1種以上の添加剤を含み、添加剤の少なくとも1種は、枯渇性添加剤であり、
i.潤滑剤組成物の所望の延長された寿命のために必要な1種以上の枯渇性添加剤の量を特定するステップであって、上記延長された寿命が、上記潤滑剤組成物の標準的な寿命よりも長い、ステップと、
ii.上記1種以上の枯渇性添加剤の第1の部分を新鮮な潤滑剤組成物に提供するステップと、
iii.上記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りを、潤滑剤組成物の標準的な寿命にわたって広がる2つ以上の部分に分けて提供するステップと、
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、潤滑剤組成物の寿命を延ばす手段を提供する。上記潤滑剤組成物は、1種以上の基油および1種以上の添加剤を含む。
【0012】
潤滑剤組成物は、装置を潤滑するのに適した任意の潤滑剤組成物であり得る。上記装置は、例えば、内燃機関、電気モータ、自動変速装置、手動式変速装置および/または差動装置、液圧システム、ポンプ、または他の機械装置であり得る。本発明は、特に、タービン油において使用される潤滑剤組成物、例えば、蒸気およびガスタービンならびにターボコンプレッサでの使用に適したもの、ならびに油圧システムでの使用のための潤滑剤組成物に関する。
【0013】
潤滑剤組成物は、1種以上の基油を含む。本発明において使用される基油は特に限定されず、様々な従来の既知の鉱油および合成油が、好都合に使用され得る。本発明において使用される基油は、1種以上の鉱油および/または1種以上の合成油の混合物を好都合に含み得る。
【0014】
鉱油としては、水素化仕上げプロセスおよび/または脱蝋によってさらに精製され得る、パラフィン系、ナフテン系、または混合パラフィン系/ナフテン系の液体石油および溶媒処理もしくは酸処理された鉱油潤滑油が挙げられる。
【0015】
合成油としては、炭化水素油、例えば、オレフィンオリゴマー(PAO)、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、および脱蝋ワックス状ラフィネートなど、が挙げられる。
【0016】
フィッシャー・トロプシュ由来の基油(GTL基油とも呼ばれる)も、本発明の潤滑油組成物において基油として好都合に使用され得る。
【0017】
上記潤滑剤組成物は、1種以上の添加剤も含む。好適な添加剤は、潤滑剤組成物の意図された使用、潤滑される装置、および潤滑が生じる条件に基づいて選択され得る。潤滑剤組成物での使用のための典型的な添加剤としては、これらに限定されるわけではないが、酸化防止剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤、摩擦調整剤、洗浄剤、流動点降下剤、腐食防止剤、極圧/耐摩耗添加剤、解乳化剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
上記1種以上の添加剤は、個別にまたは予め調製された添加剤パッケージの一部として潤滑剤組成物に提供され得る。添加剤および/または添加剤パッケージは、希釈された形態において潤滑剤組成物に提供され得、この場合、希釈剤はさらなる基油を含み得る。
【0019】
上記添加剤の少なくとも1種は、枯渇性添加剤である。そのような枯渇性添加剤は、物理的または化学的劣化のいずれかによって、潤滑剤組成物の寿命にわたって消費される添加剤である。本発明の方法に特に関連する枯渇性添加剤としては、酸化防止添加剤、耐摩耗添加剤、および防錆もしくは防食添加剤が挙げられる。より詳細には、本発明における枯渇性添加剤は、1種以上の酸化防止添加剤である。
【0020】
潤滑剤組成物において典型的に使用され、本発明の方法に関連する酸化防止添加剤は、いわゆるヒンダードフェノール系またはアミン系酸化防止剤、例えば、ナフトール、立体障害性一価、二価、および三価フェノール、立体障害性二核、三核、および多核フェノール、アルキル化もしくはスチレン化ジフェニルアミンまたはイオノール由来のヒンダードフェノールである。本発明での使用にとって特に好ましい酸化防止添加剤としては、アルキル化ジフェニルアミン、ヒンダードフェノール、およびアルキル化フェニルα-ナフチルアミンが挙げられる。
【0021】
本発明の方法において、潤滑剤組成物の所望の延長された寿命のために必要な1種以上の枯渇性添加剤の量が特定される。これは、i)本発明の方法が適用されていない同じ基油および添加剤を含有する潤滑剤組成物の標準的(すなわち、非延長)寿命(X時間)を識別するステップ、ii)潤滑剤組成物の所望の延長された寿命(Y時間)を特定するステップであって、Yは、Xより長く、好ましくはXより少なくとも1%長く、より好ましくはXより少なくとも2%長く、さらにより好ましくはXより少なくとも5%長い、ステップ、およびiii)所望の延長された寿命のために潤滑剤組成物を支援するために必要な上記1種以上の枯渇性添加剤の量を特定するステップ、によって特定される。標準的寿命(X時間)を特定するステップは、既知の潤滑剤組成物、設備、条件、および用途を考慮することによって実施することができる。所望の延長された寿命(Y時間)を特定するステップは、設備および条件の実用性ならびに潤滑剤組成物内の他の成分の寿命を考慮することによって達成することができる。所望の延長された寿命のために潤滑組成物を支援するために必要な上記1種以上の枯渇性添加剤の量のこの特定は、油のタイプにおける問題の1種以上の枯渇性添加剤に対する、ならびに潤滑組成物に対して予想される使用のタイプに対する、既知の分解/枯渇タイムスケールに基づいて行うことができる。
【0022】
本発明の方法において使用される1種以上の枯渇性添加剤の全量は、好適には、潤滑組成物の全質量に基づいて1重量%以下である。これは、特に鉱物油系タービン流体タイプの潤滑剤組成物に関連する。好ましくは、本発明の方法において使用される1種以上の枯渇性添加剤の全量は、好適には、潤滑組成物の全質量に基づいて0.80重量%以下、より好ましくは0.75重量%以下である。典型的には、本発明の方法において使用される1種以上の枯渇性添加剤の全量は、潤滑組成物の全質量に基づいて0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上である。
【0023】
本発明の潜在的利点の1つは、延長された寿命を支援するために必要な枯渇性添加剤の量が標準的な寿命のために必要な量以下であり得ることである。
【0024】
上記1種以上の枯渇性添加剤の量の第1の部分は、新鮮な潤滑剤組成物に加えられる。「新鮮な」なる用語は、本明細書において使用される場合、機械または装置において使用される前の潤滑剤組成物を意味する。潤滑剤組成物の要素は、再利用またはリサイクルされていてもよいが、組成物自体は、以前には使用されていない。
【0025】
第1の部分は、配合中に、すなわち基油および任意の他の添加剤がブレンドされている間に潤滑剤組成物に添加され得るか、またはインサイチューにおいて添加され得る。
【0026】
枯渇性添加剤の第1の部分は、1種以上の枯渇性添加剤の全量の30~70重量%の範囲、好ましくは40~60重量%の範囲の量であり得る。
【0027】
第1の部分は、個々の添加剤として、または新鮮な潤滑剤組成物を形成する他の添加剤のいずれかと共に混合添加剤パッケージの一部として添加され得る。
【0028】
次いで、上記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りが、潤滑剤組成物の延長された寿命にわたって広がる2つ以上のさらなる部分に分けて添加される。好適には、上記量の残りは、上記1種以上の枯渇性添加剤の全量の30~70重量%の範囲、好ましくは40~60重量%の範囲である。この残りは、好ましくは、上記2つ以上のさらなる部分の間で均等に分割される。例えば、2つのさらなる部分が添加される場合、それぞれのさらなる部分は、好ましくは、枯渇性添加剤の量の残りの40~60重量%の範囲、より好ましくは約50重量%を含有するであろう。あるいは、3つのさらなる部分が添加される場合、それぞれのさらなる部分は、好ましくは、上記1種以上の枯渇性添加剤の量の残りの30~35重量%の範囲、より好ましくは約33重量%を含有するであろう。
【0029】
上記さらなる部分は、個々の添加剤として提供され得るか、または添加剤と希釈剤、例えば、基油など、との混合物を含有する添加剤ブースターパッケージとして提供され得る。好ましい実施形態において、上記さらなる部分は、1種以上の酸化防止添加剤と1種以上の基油とを含む添加剤ブースターパッケージとして提供される。
【0030】
上記さらなる部分は、標準的な寿命にわたって間隔を空けた期間の後に添加される。好ましくは、上記の期間は、標準的な寿命にわたってほぼ均等に間隔を空けられる。例えば、上記の期間は、標準的な寿命を、加えられる部分の数で割ることによって決定され得る。
【0031】
【0032】
1種以上の枯渇性添加剤の量の第1の部分は、新鮮な潤滑剤組成物に、すなわち、時間=0時間において添加される。次いで、さらなる部分が、今度は各期間が終了する30時間前、好ましくは20時間前から各期間が終了した30時間後、好ましくは20時間後までの範囲内であるように決定された添加時間において添加され得る。したがって、第1のさらなる部分は、[0時間+1期間]+/-30時間として計算される第1の添加時間において添加される。第2のさらなる部分は、[第1の添加時間+期間]+/-30時間として計算される第2の添加時間において添加される。第3のさらなる部分は、存在する場合、[第2の添加時間+期間]+/-30時間として計算される第3の添加時間において添加され、添加されるさらなる部分の数に応じて以下同様である。
【0033】
上記さらなる部分は、任意の好適な方式において潤滑剤組成物に添加され得る。典型的には、さらなる部分は、潤滑されている装置のアクセスポイントを介して添加され、潤滑下の装置において一般的に生じる乱流によって混合することが可能である。しかしながら、時間経過において一部の放出を可能にする、潤滑される装置に組み込まれた挿入体も想定される。
【実施例】
【0034】
ここで、以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例1~6
6つ全ての実施例において、新鮮な潤滑剤組成物は、グループII鉱物基油および添加剤パッケージを含有した(全量は360mLである)。上記添加剤パッケージは、アミン系およびフェノール系酸化防止剤および防錆剤、ならびにタービン油での使用にとって典型的な他の添加剤を含有した。
【0036】
実験室規模のエージング条件下におけるこの潤滑剤組成物の典型的な(非延長)寿命は、約800時間であると特定された。これは、乾燥TOST酸化安定性試験による標準的な寿命であり、明らかに実験室外での実際のオイルドレイン間隔と同等ではない。
【0037】
酸化防止剤ブースターパッケージをブレンドした。酸化防止剤ブースターパッケージは以下のものを含んだ:
・30重量%のアルキル化-フェニルアルファナフチルアミン、
・20重量%のブチル化/オクチル化ジフェニルアミン、
・20重量%のアルキル化フェノールエステル、および
・30重量%のアルキル化ナフタレン基油。
【0038】
実施例の潤滑剤組成物を、ASTM D7873による条件下に維持した。それは、120℃、酸素流量3リットル/時間、銅および鋼コイルの存在下、である。酸化防止剤ブースターパッケージを、以下のように各実施例に添加した。
【0039】
・実施例1~3:抗酸化ブースターパッケージを、192時間、408時間および576時間のそれぞれにおいて0.55mLずつ3回に分けて添加した。
【0040】
・実施例4:新鮮な潤滑剤に、または試験中に酸化防止剤ブースターパッケージを添加しなかった。
【0041】
・実施例5および6:酸化防止剤ブースターパッケージを、試験の開始時(時間=0時間)に新鮮な潤滑剤に一度に添加した(1.65mL)。
【0042】
試験中、実施例からの試料を様々な試験に従って試験した。
【0043】
・TOST:ASTM D7873による乾式タービン酸化安定性試験。酸化プロセスの不溶性副生成物および残存抗酸化剤を測定する。
【0044】
・RULER:ASTM D6971による残存耐用時間評価ルーチン(Remaining Useful Life Evaluation Routine)。フェノールおよびアミン抗酸化剤の濃度を別々に測定する(残存抗酸化予備能)。
【0045】
・MPC:ASTM D7843による膜パッチ比色分析。不溶性酸化副生成物を測定する(ワニスポテンシャル)。値が40 DEを超える場合、油は寿命の終わりであるとみなされる。
【0046】
・RPVOT:ASTM D2272による回転圧力容器式酸化安定度試験。新鮮な油に対する残存酸化寿命を測定する。維持が25%未満である場合、油は寿命の終わりであるとみなされる。
【0047】
表1に示されるように、異なる時点において様々な試験を用いて、6つの実施例を経時的に試験した。分析の結果は、
図1~4に見ることができる。
【0048】
【0049】
特定の試験では、試料全体を使い果たした。したがって、同等の試料を使用して、時間経過における試料の劣化を実証した。
【0050】
図1において、RULEAR-アミンのみの試験の結果が、a)実施例4の参照油、b)酸化防止剤ブースターパッケージの全てを0時間に添加した実施例5および6、ならびにc)酸化防止剤ブースターパッケージを時間経過において分割添加した実施例1、2および3、に対してプロットされている。2つ以上の実施例が測定された場合には、平均が提供される。実施例1~3を、抗酸化ブースターパッケージの添加の前後に評価した。このグラフの点線は、25%のアミンが残っていることを示しており、これは潤滑剤組成物の「寿命の終わり」であるとみなされる。
【0051】
図2において、RULER-フェノールのみの試験の結果が、a)実施例4の参照油、b)酸化防止剤ブースターパッケージの全てを0時間に添加した実施例5および6、ならびにc)酸化防止剤ブースターパッケージを時間経過において分割添加した実施例1、2および3、に対してプロットされている。1つを超える実施例が測定された場合には、平均が提供される。
【0052】
図3において、MPC DE試験の結果が、a)実施例4の参照油、b)酸化防止剤ブースターパッケージの全てを0時間に添加した実施例5および6、ならびにc)酸化防止剤ブースターパッケージを時間経過において分割添加した実施例1、2および3、に対してプロットされている。このグラフの点線は、40 DEの値を示しており、これは潤滑剤組成物の「寿命の終わり」であるとみなされる。
【0053】
図4において、RPVOT試験の結果が、a)実施例4の参照油、b)酸化防止剤ブースターパッケージの全てを0時間に添加した実施例5および6、ならびにc)酸化防止剤ブースターパッケージを時間経過において分割添加した実施例1、2および3、に対してプロットされている。このグラフ上の点線は、25%の値を示しており、これは潤滑剤組成物の「寿命の終わり」であるとみなされる。
【0054】
各試験において、本発明の実施例が実施例4の参照油よりも延長された寿命を有することが、明確に示されている。比較例5および6との比較において、これは単に潤滑剤組成物に追加の酸化防止剤を添加した結果ではなく本発明の方法により結果として潤滑剤組成物の寿命が延長されることが、明確に示されている。
【国際調査報告】