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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】艶出し組成物
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/28 20170101AFI20250212BHJP
   A21D 13/24 20170101ALI20250212BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20250212BHJP
   A21D 15/08 20250101ALN20250212BHJP
【FI】
A21D13/28
A21D13/24
A23G3/34 109
A21D15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547031
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2023052911
(87)【国際公開番号】W WO2023148393
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】BE2022/5078
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505090469
【氏名又は名称】プラトス ナームローズ フェノートサップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ボズマンズ,ギートゥルイ
(72)【発明者】
【氏名】レン,クレア
(72)【発明者】
【氏名】パレイト,ブラム
【テーマコード(参考)】
4B014
4B032
【Fターム(参考)】
4B014GK12
4B014GL11
4B014GP18
4B032DB01
4B032DE10
4B032DG02
4B032DK12
4B032DK15
4B032DK18
4B032DK54
4B032DL13
4B032DP08
4B032DP25
4B032DP33
4B032DP40
4B032DP57
4B032DP68
(57)【要約】
本発明は、食品加工の分野に関する。より詳細には、本発明は、艶出し組成物、より具体的には、焼成後に塗布される、すぐに使用できるタンパク質フリーの艶出し組成物に関する。艶出し組成物は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンをヒドロキシプロピルデンプンと組み合わせる。成分に関する本特定の組合せは、艶出し組成物が、焼成製品または菓子製品に、密閉包装での保管後にべたつきのない上質の光沢/艶のある外観を与えることを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む焼成製品または菓子製品用の艶出し組成物であって、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量の間の比が0.30から3.30の間である、艶出し組成物。
【請求項2】
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比が0.50から2.00の間である、請求項1に記載の艶出し組成物。
【請求項3】
レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計量との間の比が、0.15から2.00の間、より好ましくは0.50から1.50の間である、請求項1または2に記載の艶出し組成物。
【請求項4】
少なくとも85.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、好ましくは少なくとも90.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、より好ましくは少なくとも95.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、さらに好ましくは少なくとも99.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の艶出し組成物。
【請求項5】
前記組成物が、10.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、好ましくは5.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、より好ましくは2.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、さらに好ましくは1.0%(w/w乾物)未満のタンパク質を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の艶出し組成物。
【請求項6】
前記組成物が、乾燥艶出し組成物であり、好ましくは、前記乾燥艶出し組成物の乾物が75.0%(w/w)以上、好ましくは80.0%(w/w)以上、より好ましくは85.0%(w/w)以上、さらに好ましくは90.0%(w/w)以上である乾燥艶出し組成物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の艶出し組成物。
【請求項7】
前記艶出し組成物が液体または半液体の艶出し組成物であり、前記艶出し組成物が、エタノールおよび水またはそれらの混合物から好ましくは選択される液体成分をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の艶出し組成物。
【請求項8】
前記艶出し組成物が:
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの液体成分、好ましくは水
を含む、請求項7に記載の艶出し組成物。
【請求項9】
前記艶出し組成物が、1.50から6.00%(w/w)の間のレシチン、好ましくは2.00から5.00%(w/w)の間のレシチンをさらに含む、請求項8に記載の艶出し組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記艶出し組成物でコーティングされた焼成製品または菓子製品。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の艶出し組成物を調製する方法であって、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを混合するステップと、任意選択で、混合成分を包装するステップとを含む、方法。
【請求項12】
艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を調製するための方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の前記艶出し組成物を焼成製品または菓子製品の表面に塗布するステップと、任意選択で、生成する艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を冷却し保管するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記艶出し組成物が、前記焼成製品または菓子製品の表面に前記艶出し組成物を塗布するステップの前に、5.0から400.0cpsの間、好ましくは20.0から200.0cpsの間、より好ましくは30.0から100.0cpsの間の粘度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
乾燥、液体または半液体の艶出し組成物としての、請求項1から9のいずれかに記載の組成物の使用であって、好ましくは前記艶出し組成物がすぐに使用できる艶出し組成物である、使用。
【請求項15】
焼成製品または菓子製品を焼成した後に、前記焼成製品または菓子製品の表面に艶出しを塗布するための、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品加工の分野に関する。より詳細には、本発明は艶出し組成物に、より具体的には、焼成後に塗布される、すぐに使用できる艶出し組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光沢のあるまたは艶を有する焼成食品は、より新鮮でありより甘いという点で消費者によって上等と受け取られる。その目的のため、パン職人および菓子職人は、食品に光沢のある外観をもたらすために艶出し料を使用する。
伝統的に、液状(低温殺菌)卵は、「エッグウォッシュ」とも呼ばれるが、ベーカリー製品および菓子製品に光沢のある表面をもたらすための艶出し剤として使用されてきた。しかし、卵の使用は、例えば、微生物上の安全性、アレルゲンの存在または艶出しおよび焼成後のベーキングトレイの面倒な洗浄などの、いくつかの欠点を有する。
現在、いくつかの卵フリーの艶出し組成物(すなわち、卵洗浄液の代替品)が説明および/または商品化されてきた。しかし、これらの艶出し料は:
- 光沢/輝き/艶の出来栄えが低い、
- 焼成食品の保管過程での光沢の喪失、
- 焼成食品の不均一な被覆度、
- 品質欠陥を生じる艶出しされた製品のべたつき:(均一な)表面の光沢がない、製品がくっつき合うまたは包装にくっつく、艶出しされた製品の消費過程でべとべとの食感、...
- 艶出し料が薄片を形成し、艶出しおよび焼成の後にベーキングトレイにくっつき、追加作業:ベーカリーエリアから艶出し料の薄片を掃除すること、ベーキングトレイから残留艶出し料を掃除すること、...を生じる
- 液体艶出し組成物の粘度を変動させ、製品上に塗布される艶出し料に関し分量の不一致が生じる、
- 液体艶出し組成物の不安定性(塊、相分離等)が使用前に艶出し料を振とうさせることを必要とする、
- ある特定の消費者にとってアレルゲンとなるおそれのあるタンパク質または乳製品の存在、
- 一部の不要な/望ましくない成分、加工助剤または添加物、例えば、脂肪、保存料、消泡剤および/もしくは滑沢剤、ならびに/または
- 非滅菌製品の限られた保管期間、などの1つまたは複数の欠点を有する。
今に至るまで、満足のいく特性(光沢、べたつき無し、均質な表面、...)を有することによって特徴付けられる艶出し料、特に焼成後艶出し料を提供することに何の解決策も与えられてこなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上で論議のように、従来技術は、満足のいく特性(光沢、べたつき無し、均質な表面、...)を備える艶出し料の、具体的には焼成後艶出し料の解決策を提供していない。本明細書で論議されるのは、改善された特性を備える艶出し料を提供する組成物および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で論議されるのは、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(hydroxypropyl distarch phosphate)をヒドロキシプロピルデンプンと組み合わせる艶出し組成物である。成分に関する本特定の組合せは、艶出し組成物が、焼成製品または菓子製品に、密閉包装での保管後にべたついていない上質の光沢/艶のある外観を与えることを可能にする。艶出し料組成物とは、光沢、香味および/または見栄えを加えるために焼成製品または菓子製品上へと塗布される(刷毛で塗られる、振りかけられる、噴霧される、...)組成物を指す。
したがって、第一の態様では、本出願は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む焼成製品または菓子製品用の艶出し組成物に関する。より具体的には、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量の間の比が0.30から3.30の間、好ましくは0.50から2.00の間である艶出し組成物。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、0.15から2.00の間に、より好ましくは0.50から1.50の間に、レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計の量との間の比を有することによって特徴付けられる。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、少なくとも85.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、好ましくは少なくとも90.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、より好ましくは少なくとも95.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、さらに好ましくは少なくとも99.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、10.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、好ましくは5.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、より好ましくは2.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、さらに好ましくは1.0%(w/w乾物)未満のタンパク質を含む。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、乾燥艶出し組成物であり、好ましくは、上記乾燥艶出し組成物の乾物が75.0%(w/w)以上、好ましくは80.0%(w/w)以上、より好ましくは85.0%(w/w)以上、さらに好ましくは90.0%(w/w)以上である乾燥艶出し組成物である。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、液体または半液体の艶出し組成物であり、ここで、前記艶出し組成物は、エタノールおよび水またはそれらの混合物から好ましくは選択される液体成分をさらに含む。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は:
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの液体成分、好ましくは水
を含む。
より具体的には、本明細書で開示される艶出し組成物は:
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 1.50から6.00%(w/w)の間、好ましくは2.00から5.00%(w/w)の間のレシチン
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの液体成分、好ましくは水
を含む。
さらなる態様では、本出願は、本明細書で開示される艶出し組成物でコーティングされた焼成製品または菓子製品に関する。
さらなる態様では、本出願はまた、本明細書で開示される艶出し組成物を調製する方法であって、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを混合するステップと、混合成分を任意選択で包装するステップとを含む、方法に関する。
さらなる態様では、本出願は、艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を調製するための方法であって、本明細書で開示される艶出し組成物を焼成製品または菓子製品の表面に塗布するステップと、生成する艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を任意選択で冷却するステップおよび保管するステップとを含む、方法に関する。
より具体的には、本明細書で開示される艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を調製するため方法は、艶出し組成物が、焼成製品または菓子製品の表面に艶出し組成物を塗布するステップの前に、5.0から400.0cpsの間、好ましくは20.0から200.0cpsの間、より好ましくは30.0から100.0cpsの間の粘度を有すること、をもたらす。
さらなる態様では、本出願は、乾燥、液体または半液体の艶出し。組成物としての本明細書で開示される組成物の使用に関する。
具体的には、本明細書で開示される使用は、本明細書で開示される艶出し組成物がすぐに使用できる艶出し組成物として使用されるという点において、さらに可能となる。
具体的には、本明細書で開示される使用は、本明細書で開示される艶出し組成物が、焼成製品または菓子製品を焼成した後に、前記焼成製品または菓子製品の表面に塗布されるという点において、さらに可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明で使用される提示の方法およびデバイスを説明する前に、本発明は、記載された特定の方法、構成要素またはデバイスに限定されないことを理解されたいが、そのような方法、構成要素およびデバイスは当然変更し得るからである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または均等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料はここに記載されている。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上明確に指示しない限り単数形と複数形の両方を含む。
本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comproses)」および「から構成される(comprised of)」という各用語は、「含めて(including)」、「含む(includes)」または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、さらなる、列挙されていない部材、要素または方法ステップを除外しない。本説明が特定の特徴、部分またはステップを「含む」製品または方法に言及する場合、これは、他の特徴、部分またはステップも存在し得るという可能性を意味するものであるが、列挙された特徴、部分またはステップのみを含む実施態様を意味する場合もある。「含む」、「含む」および「から構成される」という各用語はまた、「からなる(consisting of)」という用語を含む。
数字の範囲による数値の列挙は、すべての値およびこれらの範囲内の少数、ならびに引用される端点を含む。
測定可能な値、例えばパラメータ、量、期間等について言及する場合に使用される「約」および「概」という用語は、当該ばらつきが本明細書で開示される発明にあてはまる限りにおいて、指定された値のおよび指定された値から、+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、さらに好ましくは+/-0.1%以下のばらつきを含むことを意図する。「約」または「概」という用語が指す値は、それ自体も開示されたことを理解されたい。
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、当該実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「一実施形態」または「一実施形態」という句の出現は、同じ実施形態を必ずしもすべて参照しているとは限らないが、参照している場合もある。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者にとって明白であると思われるように、適切な任意様式で組み合わされ得る。さらに、本明細書に記載される一部の実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特徴を含みその他の特徴は含まないが、一方、当業者であれば理解すると思われるように、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲内にあること、および異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求された実施形態のいずれも任意の組合せで使用され得る。
本明細書で別途記載がない限り、本明細書で記述のパーセンテージとは重量によるパーセンテージを指す。
発明者らは、驚くべきことに、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンと、ヒドロキシプロピルデンプンと、任意選択でレシチンとの組合せは、焼成製品または菓子製品に密閉包装での保管後にべたついていない上質の光沢/艶のある外観を与える艶出し組成物を取得することを可能にすること、を見いだした。
したがって、第一の態様では、本出願は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンを含む焼成製品または菓子製品用の艶出し組成物に関する。より具体的には、本出願は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよびレシチンを含む焼成製品または菓子製品用の艶出し組成物に関する。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比が0.30から3.30の間、より好ましくは0.50から2.00の間であること、をもたらす。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、0.30から3.30の間に、より好ましくは0.50から2.00の間に、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量の間の比を有することによって特徴付けられ、ここで、レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計の量(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとヒドロキシプロピルデンプンの合計量)との間の比が、0.15から2.00の間、より好ましくは0.50から1.50の間である。
【0006】
本発明者らはまた、本明細書で開示される艶出し組成物では、非卵ベースの艶出し料で普通に使用されるタンパク質の存在は、所望の機能性を提供するのに必要とされないことも見いだした。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、10.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、好ましくは5.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、より好ましくは2.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、さらに好ましくは1.0%(w/w乾物)未満のタンパク質を含む。
タンパク質が組成物中に存在する場合、タンパク質は、植物性または非植物性タンパク質などの、任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、タンパク質は植物性タンパク質である。植物性タンパク質の非限定的な例は、豆類タンパク質(エンドウ豆タンパク質、ひよこ豆タンパク質、...)、塊茎タンパク質(ジャガイモタンパク質、...)、穀類タンパク質(小麦タンパク質、...)または油糧種子タンパク質(大豆タンパク質、カノーラタンパク質、...)である。
より具体的には、本明細書で開示される艶出し組成物はタンパク質を含まない。タンパク質の非存在は、特定の食事要件のある消費者またはある特定のアレルゲンに敏感な消費者にとって重要とすることができる。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、少なくとも85.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、好ましくは少なくとも90.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、より好ましくは少なくとも95.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、さらに好ましくは少なくとも98.0または99.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む。より具体的には、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンエステルの、ヒドロキシプロピルデンプンの、および存在する場合はレシチンの乾物の合計は、艶出し組成物の乾物の85.0wt%超、好ましくは90.0wt%超、より好ましくは95.0wt%超、さらに好ましくは98.0または99.0wt%超となる。
発明者らはまた、本明細書に開示された艶出し組成物は、例えば製品ラベル上に表示されることを必要とする添加物の数の減少を含有し得ることも見いだした。これは、特定の食事要件および/または「クリーン(よりクリーンな)ラベル」食品に対する懸念を有する消費者にとっても重要である。一部の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、親水コロイド、脂肪および誘導体、繊維、乳化剤、炭水化物、ポリオール、塩、酸または酸味料、保存料、着色剤、香味料等などのさらなる成分を含有することができる。
親水コロイドは、艶出し組成物の乾物の0.01から30.0wt%の間、好ましくは0.01から10.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な親水コロイドの非限定的な例は、ガム、セルロースおよびセルロース誘導体、アルギン酸塩、ペクチン等である。
脂肪および誘導体は、艶出し組成物の乾物の0.10から50.0wt%の間、好ましくは0.10から30.0wt%の間、より好ましくは1.0から10.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な脂肪および誘導体の非限定的な例は、天然植物油、水素添加植物油等である。
繊維は、艶出し組成物の乾物の0.010から10.0wt%の間、好ましくは0.01から5.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な繊維の非限定的な例は、小麦繊維または柑橘類(可溶性)繊維である。
乳化剤は、艶出し組成物の乾物の0.50から10.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な乳化剤の非限定的な例は、レシチン、リゾレシチン、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリド等である。
炭水化物は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンを除いて、単糖類、二糖類または重合度のより高い糖類とすることができる。炭水化物は、艶出し組成物の乾物の0.10から50.0wt%の間、好ましくは0.10から10.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な炭水化物の非限定的な例は、デキストロース、マルトデキストリン、デキストリン、スクロース等である。したがって、本明細書で開示される艶出し組成物は、本明細書で開示される艶出し組成物中に既に存在するヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンに加えて、0.10から50.0wt%の間の量で炭水化物を含むことができる。
塩は、艶出し組成物の乾物の0.10から5.0%の間の量で有利に使用され得る。適切な塩の非限定的な例は、NaCl、KClまたはCaClなどの有機酸および無機酸のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩である。
酸または酸味料は、艶出し組成物の乾物の0.10から3.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な酸または酸味料の非限定的な例は、クエン酸、リンゴ酸、葉酸等である。
保存料は、艶出し組成物の乾物の0.1から3.0wt%の間の量で有利に使用され得る。適切な保存料の非限定的な例は、ソルビン酸カリウム、グリセロールまたはプロピオン酸などのソルビン酸塩および抗酸化剤等である。
所望の製品を取得するためにさらなる成分の濃度を調整することは、当業者にとって一般的な方法である。
【0007】
本発明の文脈において、「艶出し組成物」という用語は、焼成製品または菓子製品上に塗布されて、これに光沢のある表面を与え、最終的にこれを例えば乾燥から保護することを目的とした製品を指す。「焼成後」という用語により先行される場合、艶出し組成物は特に焼成後の塗布に適することを意味する。好ましい実施形態では、本明細書で教示される艶出し組成物は焼成後艶出し組成物である。
本発明の文脈では、「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」という用語は、「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(hydroxypropylated distarch phosphate)」としても知られるが、デンプンをプロピレンオキシドおよびリン酸で処理することによって取得される難消化性デンプンを指す。これは、欧州連合(EU)によってコードE1442で添加剤として承認されている。
本発明の文脈では、「ヒドロキシプロピルデンプン」という用語は、「ヒドロキシルプロピル(Hydroxyl propyl)デンプン」、「2-ヒドロキシプロピルデンプン」または「ヒドロキシルプロピル(hydroxylpropyl)デンプン」とも知られるが、デンプンをプロピレンオキシドで処理することにより取得されるデンプンを指す。これは、欧州連合によってコードE1440で添加剤として承認されている。
本発明の文脈では、「レシチン」という用語は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールからなるアセトン不溶性リン脂質の複合混合物を指し、トリグリセリド、脂肪酸、炭水化物などの他の物質の種々の量と組み合わされる(Food Chemical Codex、The National Academies Press、2003年、248頁)。レシチンは、EUによって食品添加物として認められ、E322として指定されている。好ましい実施形態では、レシチンは天然源由来、特に植物源由来である。植物レシチンの供給源の例は、大豆、菜種およびヒマワリである。レシチンは、それらに限定されないが、天然レシチン、(脱油)加水分解レシチン(リゾレシチン)、分別レシチンをはじめとする任意のタイプのものであってもよい。
一部の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、粉末などの乾燥艶出し組成物である。したがって、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む。特に、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物では、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比は、0.30から3.30の間、好ましくは0.50から2.00の間である。より具体的には、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物は、0.30から3.30の間に、より好ましくは0.50から2.00の間に、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量の間の比を有することによって特徴付けられ、ここで、レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計の量(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとヒドロキシプロピルデンプンの合計量)との間の比が、0.15から2.00の間、より好ましくは0.50から1.50の間である。
特定の実施形態では、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物は、乾燥艶出し組成物の乾物が75.0%(w/w)以上、好ましくは80.0%(w/w)以上、より好ましくは85.0%(w/w)以上、さらに好ましくは90.0%(w/w)以上である乾燥艶出し組成物である。
特定の実施形態では、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物は、10.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、好ましくは5.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、より好ましくは2.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、さらに好ましくは1.0%(w/w乾物)未満のタンパク質を含む。より具体的には、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物はタンパク質を含まない。
特定の実施形態では、本明細書で開示される乾燥艶出し組成物は、少なくとも85.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、好ましくは少なくとも90.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、より好ましくは少なくとも95.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、さらに好ましくは少なくとも98.0または99.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む。
【0008】
一部の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、液体または半液体の組成物であり、特に、本明細書で開示される艶出し組成物は、艶出し組成物は、エタノールおよび水またはそれらの混合物から好ましくは選択される液体成分をさらに含む。より好ましくは、液体成分は水である。したがって、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、液体成分および任意選択でレシチンを含む。特に、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物では、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比は、0.30から3.30の間、好ましくは0.50から2.00の間である。より具体的には、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は、0.30から3.30の間に、より好ましくは0.50から2.00の間に、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量の間の比を有することによって特徴付けられ、ここで、レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計の量(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとヒドロキシプロピルデンプンの合計量)との間の比が、0.15から2.00の間、より好ましくは0.50から1.50の間である。
特定の実施形態では、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は、10.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、好ましくは5.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、より好ましくは2.0%(w/w乾物)未満のタンパク質、さらに好ましくは1.0%(w/w乾物)未満のタンパク質を含む。より具体的には、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物はタンパク質を含まない。
特定の実施形態では、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は、少なくとも85.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、好ましくは少なくとも90.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、より好ましくは少なくとも95.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチン、さらに好ましくは少なくとも98.0または99.0%(w/w乾物)のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを含む。
一部の実施形態では、本明細書で言及される液体または半液体の艶出し組成物は、親水コロイド、脂肪および誘導体、繊維、乳化剤、炭水化物、ポリオール、塩、酸または酸味料、保存料、着色剤、香味料等などのさらなる成分を含有することができる。
一部の実施形態では、本明細書で言及される液体または半液体の艶出し組成物は、すぐに使用できる液体または半液体の艶出し組成物である、すなわち、混合ステップまたは加熱ステップなどのさらなる処理ステップなしで焼成製品または菓子製品上に塗布され得る液体または半液体の艶出し組成物である。
特定の実施形態では、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は:
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの液体成分、好ましくは水
を含む。
【0009】
より具体的には、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物は:
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 1.50から6.00%(w/w)の間、好ましくは2.00から5.00%(w/w)の間のレシチン
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの液体成分、好ましくは水
を含む。
さらなる態様では、本出願は、本明細書で開示される艶出し組成物でコーティングされた焼成製品または菓子製品に関する。より具体的には、焼成製品または菓子製品に塗布される艶出し組成物の量は、2.50mg/cmから15.0mg/cmの間、好ましくは4.0mg/cmから10mg/cmの間の範囲である。艶出し組成物は、好ましくは焼成製品または菓子製品の上面上に塗布されるのが好ましく、より具体的には、焼成製品または菓子製品の上面の少なくとも50.0%、少なくとも60.0%、少なくとも70.0%、少なくとも80.0%、少なくとも90.0%または少なくとも95.0%が、本明細書で開示される艶出し組成物でカバーされる。
コーティングされた焼成製品または菓子製品は、焼成されたパン、ブリオッシュ、ヴィエノワズリー、パフペストリー、ビスケット、...の任意のタイプとすることができる。焼成製品または菓子製品は、幅広い組成(例えばリーンまたはリッチ)および食感(例えばソフトまたはクラスティー)を有することができ、作りたての生地/練り粉の焼成、部分発酵の冷凍(PFF)生地/練り粉の焼成、未発酵冷凍(UFF)生地/練り粉の焼成のような加工条件によって、取得される。焼成製品または菓子製品の非限定的な例は、(ハンバーガー)バンズ、クロワッサン、パン、パネットーネ等である。
さらなる態様では、本出願はまた、本明細書で開示される艶出し組成物を調製する方法であって、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンを混合するステップと、混合成分を任意選択で包装するステップとを含む、方法にも関する。本明細書で開示される艶出し組成物を調製する方法の特定の実施形態では、他のさらなる成分もまた、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンおよび任意選択でレシチンと混合される。
特に、本明細書で開示される艶出し組成物を調製する方法は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比が0.30から3.30の間、より好ましくは0.50から2.00の間であること、をもたらす。より具体的には、開示される艶出し組成物を調製する方法は、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量とヒドロキシプロピルデンプンの量との間の比が0.30から3.30の間、より好ましくは0.50から2.00の間であること、ならびに、レシチンの量と、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの量およびヒドロキシプロピルデンプンの量の合計の量(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとヒドロキシプロピルデンプンの合計量)との間の比が、0.15から2.00の間、より好ましくは0.50から1.50の間であること、をもたらす。
【0010】
成分の混合は、適切な任意の方法によっておよび/または適切な任意の装置を用いて実施され得る。よく知られる方法またはツールの特定の改造は必要とされない。適切な装置の例には、回転ミキサー、水平ミキサー、垂直ミキサー、対流ミキサー、衝撃ミキサー、タンブリングミキサー、せん断ミキサー、...が挙げられる。
一部の実施形態では、レシチンおよび/または脂肪(存在する場合)は、液体の形態で使用され得、例えば、組成物のその他の成分のブレンド上に噴霧され得る。
開示される艶出し組成物を調製する方法は、艶出し組成物が乾燥艶出し組成物または液体もしくは半液体艶出し組成物であるという点において特徴付けられ得る。
本明細書で開示される調製方法において、乾燥艶出し組成物は、粉末製品を収容するのに適した任意の包装に包装され得る。適切な包装の非限定的な例は、紙袋もしくプラスチック袋、バケツ、段ボール箱またはプラスチック箱、ドラム等である。
本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための方法では、液体成分がその他の成分にさらに添加される。液体成分は、エタノールおよび水、またはそれらの混合物から選択されるのが好ましく、より好ましくは、前記液体成分は水である。
本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための方法の一部の実施形態では、乾燥成分は、液体成分に添加される前に、まず一緒にブレンドまたは混合される。
特定の実施形態では、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための方法は、液体または半液体の混合物をホモジナイズするステップをさらに含む。混合物のホモジナイズは、液体または半液体の混合物をホモジナイズするように設計された適切な任意の装置を使用して、適切な任意の方法によって実施され得る。適切な装置の例は、1段階または2段階のホモジナイザーである。
一部の実施形態では、混合するステップとホモジナイズステップは同じ装置内で同時に実施され得る。
特定の実施形態では、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための方法は、液体または半液体の混合物を加熱するステップをさらに含む。混合物の加熱するステップは、時間-温度の組合せ設定を用いて液体または半液体の溶液を加熱するように設計された適切な任意の装置を使用して、適切な任意の方法によって実施され得る。適切な装置の非限定的な例は、直接蒸気インジェクション、直接蒸気インフュージョン、プレート型またはチューブ型または掻き取り型熱交換器である。好ましい実施形態では、加熱するステップは、混合物の低温殺菌または滅菌を確保する。より好ましい実施形態では、混合物はUHT処理である。
液体または半液体の混合物の加熱するステップの後、本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための方法は、加熱された液体または半液体の混合物を冷却するステップをさらに含んでもよい。
液体または半液体混合物の包装は、無菌状態で液体または半液体溶液を包装するように設計された適切な任意の装置を使用して、適切な任意の方法によって実施され得る。適切な装置の非限定的な例としては、カートンブリック内の、ボトル内の、バッグインボックス内のまたはコンテナ内の無菌充填システムが挙げられる。
【0011】
本明細書で開示される液体または半液体の艶出し組成物を調製するための適切な方法は:
- 任意の順序で、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 任意選択で1.50から6.00%(w/w)の間、好ましくは2.00から5.00%(w/w)の間のレシチン、
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの水
を混合するステップと、
- 混合物を任意選択で加熱するステップと、
- 混合物を任意選択でホモジナイズするステップと、
- 混合物を任意選択で冷却するステップと、
- 混合物を任意選択で包装するステップと
を含む。
さらなる態様では、本出願はまた、艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を調製するための方法であって、本明細書で開示される艶出し組成物を焼成製品または菓子製品の表面に塗布するステップと、生成する艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を任意選択で冷却するステップと、それらを包装するステップと、それらを保管するステップとを含む、方法にも関する。
一部の実施形態では、コーティングされた焼成製品または菓子製品は、気密性/不透過性材料の包装に包装される。
一部の実施形態では、コーティングされた焼成製品または菓子製品は、焼成製品または菓子製品に応じて、標準条件を使用して保管される。温度は、凍結温度(例えば-2℃から最低-20℃までまたはさらにより低い)から室温(大気)温度までとすることができる。保管時間は、0分(製品の直接消費)から最長数か月までとすることができる。
焼成製品または菓子製品の表面に本明細書で塗布される艶出し組成物は、塗布前は液体であることが好ましい。当業者であれば、粉末または半液体の艶出し組成物は、使用前に水などの液体成分に溶解されることまたは希釈されることを必要とすることを、理解するであろう。
特定の実施形態では、本明細書で開示される艶出し組成物は、少なくとも85.0%の液体成分、具体的には少なくとも90.0%の液体成分、より具体的には少なくとも95.0%の液体成分を含む。
【0012】
より具体的には、本明細書で開示される艶出しされたベーカリー製品または菓子製品を調製するための方法は、艶出し組成物が、艶出し組成物を焼成製品または菓子製品の表面に塗布するステップの前に、5.0から400.0cpsの間、好ましくは20.0から200.0cpsの間、より好ましくは30.0から100.0cpsの間の粘度を有すること、をもたらす。粘度は、50rpmの速度で回転するスピンドルn°3を備えるBrookfield粘度計を使用することによって、そして室温(20+/-2℃)で測定するのが有利である。
艶出し組成物は、適切な任意の方法によって、焼成製品または菓子製品の表面に塗布され得る。適切な方法は、当技術分野で使用される従来の方法である。方法の例は、刷毛塗り、噴霧、ロールシステムコーティング等による塗布である。
好ましい実施形態では、艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の焼成後に塗布される。より好ましい実施形態では、艶出し組成物は、熱い焼成製品または菓子製品上に塗布される。さらに好ましい実施形態では、艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の表面の温度が50℃より高い、好ましくは60℃より高い、より好ましくは70℃より高い場合に塗布される。さらなる一部の実施形態では、艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の表面の温度が150℃より低い、好ましくは100℃より低い場合に塗布される。
一部の実施形態では、焼成製品または菓子製品に塗布される液体艶出し組成物の量は、2.5mg/cmから15.0mg/cmの間、好ましくは4.0mg/cmから10mg/cmの間である。艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の上面上に塗布されるのが好ましく、より具体的には、焼成製品または菓子製品の上面の少なくとも50.0%、少なくとも60.0%、少なくとも70.0%、少なくとも80.0%、少なくとも90.0%または少なくとも95.0%が、本明細書で開示される艶出し組成物でカバーされる。
艶出しされた焼成製品または菓子製品を調製するための適切な方法は:
- 任意の順序で、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、
- 1.50から5.00%(w/w)の間、好ましくは1.80から4.00%(w/w)の間のヒドロキシプロピルデンプン、
- 1.50から6.00%(w/w)の間、好ましくは2.00から5.00%(w/w)の間のレシチン、
- 任意選択で1種以上のさらなる成分、および
- 100%となるまでの水
を混合するステップと、
- 混合物を任意選択で加熱するステップと、
- 混合物を任意選択でホモジナイズするステップと、
- 混合物を任意選択で冷却するステップ、それによって液体艶出し組成物を得るステップと、
- 液体艶出し組成物を焼成製品または菓子製品上に塗布するステップと、
- コーティングされた焼成製品または菓子製品を任意選択で冷却するステップと、
- コーティングされた焼成製品または菓子製品を任意選択で包装するステップと、
- コーティングされた焼成製品または菓子製品を任意選択で保管するステップと
を含み得る。
さらなる態様では、本発明は、焼成製品または菓子製品をカバーするための、本明細書で教示される艶出し組成物の使用に関する。
より具体的には、本出願は、乾燥、液体または半液体の艶出し組成物としての、本明細書で開示される組成物の使用に関する。
一部の実施形態では、艶出し組成物は、すぐに使用できる(RTU)艶出し組成物である、すなわち、直接にまたは液体に希釈もしくは溶解の後に焼成物品または菓子物品上に塗布され得る艶出し組成物である。
特に、本明細書で開示される使用は、本明細書で開示される艶出し組成物が、すぐに使用できる艶出し組成物として使用されるという点において、さらに可能となる。
発明者らはまた、このような艶出し組成物が焼成後の塗布に特に適することを見いだした。
特に、本明細書で開示される使用は、本明細書で開示される艶出し組成物が、焼成製品または菓子製品を焼成した後に、前記焼成製品または菓子製品の表面に塗布されるという点において、さらに可能となる。より好ましい実施形態では、艶出し組成物は、熱い焼成製品または菓子製品上に塗布される。さらに好ましい実施形態では、艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の表面の温度が50℃より高い、好ましくは60℃より高い、より好ましくは70℃より高い場合に塗布される。さらなる一部の実施形態では、艶出し組成物は、焼成製品または菓子製品の表面の温度が150℃より低い、好ましくは100℃より低い場合に塗布される。
本発明は、以下の実施例を用いてさらに例示されるが、記載された特定の実施形態に範囲を制約するものではない。
【実施例
【0013】
実施例1:艶出し組成物
液体艶出し組成物を、表1に列記の成分を使用して調製した。
【表1】
方法
- 水を最低45℃に加熱する。
- 乾燥成分を添加し、せん断ミキサーで15分間混合する。
- 混合物を約75℃に加熱する。
- 直接蒸気インジェクションシステムを用いて145℃に4秒間加熱することによって混合物を殺菌する。
- 混合物を75℃に冷却する。
- 2段階高圧ホモジナイザーで、それぞれ135バールおよび35バールの圧力を加えることによって混合物をホモジナイズする。
- 混合物を13℃に冷却する。
- 混合物をバッグインボックスに無菌的に充填する。
【0014】
実施例2:艶出しされたハンバーガーバンズ
ハンバーガーバンズを、小麦粉(DUO、Ceres)3000g、水1290g、マーガリン(AristoPan、Puratos)450g、砂糖240g、生イースト180g、低温殺菌の液全卵150g、生地改良剤(S500 Controller、Puratos)90gおよび塩60gをDiosna SP 24ミキサー(1速で2分、2速で9分)で25℃/55%相対湿度(RH)で混合することによって調製した。生地を分割し(60g片)、室温で20分間中間発酵させた。最終発酵(フェーズ1:35℃および95%RHで45分、フェーズ2:室温および常湿で15分)の前にベーキングペーパーとともにベーキングトレイ上でRotamatを用いて成形を実施し、その後に、Miwe Condoオーブンで焼成(230℃で9分)した。
実施例1の艶出し組成物を、焼成直後に60gのバンズ上にスプレーガン(Krebbs型)を用いて塗布した。バンズの表面の温度は塗布時で70℃から80℃の間であった。噴霧した量は、バンズの上部上で約8mg/cmであった。
対照バンズは、艶出しなしのバンズ(対照1)または、参照タンパク質含有艶出し組成物(Sunset Glaze CLND-Puratos)を用いて焼成前に艶出しされたバンズ(最終発酵のフェーズ2の5分後に艶出し)(対照2)のいずれかとした。
対照および艶出しされたバンズを密閉プラスチック包装に包装し、一部については室温条件(20+/-2℃)で、他の部分については冷凍庫(-18+/-2℃)で保管した。24時間後、冷凍バンズを2時間解凍し、訓練を受けた専門家パネルによって室温で保管したバンズとともに評価した。
専門家パネルは、艶出しされた焼成製品または菓子製品の特性を説明しかつスコア化するように訓練を受けた。以下の基準について評価した:
【0015】
光沢(光沢があることまたは輝きとも呼ばれる):
定義:光沢とは、反射光で光沢のあるものの視覚的な特性である。
評価:一定かつ標準化した白色光の下で、製品の表面にての光の反射の強度を評価し、それを0から5まで(光沢がないから光沢があるまで)スコア化する。
【0016】
べたつき
定義:製品と包装の間の接着性
評価:包装の開封直後に、手または前腕で製品の表面に触れる。手または前腕を離すのに必要とされる力を評価し、それを0から5まで(べたつかないから極端にべたつくまで)スコア化する。
【0017】
評価後、専門家パネルのメンバは彼らのスコアを比較し、両方の保管条件に関して基準が満たされているか否かについて合意する。結果を表2に示す。
【表2】
結果は、ヒドロキシプロピルデンプンとヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの組合せが、光沢の強度と均一性、およびべたつきの低さの点で満足のいく特性を備える艶出し料を取得することを可能にすること、を示す。
【0018】
実施例3:艶出し組成物
液体艶出し組成物を、表3に列記の成分を使用して調製した。
【表3】
プロセス:
艶出し組成物を、実施例1と同じプロセスを使用して調製した。
【0019】
実施例4:艶出しされたハンバーガーバンズ
ハンバーガーバンズを調製し、実施例2で記載したように実施例3の艶出し組成物で艶出しした。
艶出しされたバンズを実施例2に記載のように評価した。さらなるパラメータ(表面の均一性)を評価した。これは、バン上の艶出し組成物の均一な広がりに関する指標を与える;
【0020】
表面の均一性
定義:均一な構造または組成を有する品質または状態。
評価:バンの表面を観察し、艶出し料の分配におけるいかなる不規則性:穴、「継ぎはぎ」の表面、...をも記録する。少なくとも1タイプの欠陥が存在する場合、当該組成は許容できないとされる。
【0021】
艶出し料間に若干の差異が観察されたが(表4)、艶出しされたバンズはすべてが上質の光沢、許容されるべたつきを有し、不規則性のない均質な表面を提示した。
【表4】
【0022】
このことは、さまざまなタイプのレシチンまたはさまざまなタイプのヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの使用が、上質な特性を備える艶出し組成物を取得することを可能にすること、を示す。
【国際調査報告】