(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】保護培養物の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20250212BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20250212BHJP
A23C 19/032 20060101ALI20250212BHJP
A23C 13/16 20060101ALI20250212BHJP
A23B 2/783 20250101ALI20250212BHJP
A23C 9/123 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A23L33/135
A23C19/032
A23C13/16
A23B2/783
A23C9/123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547455
(86)(22)【出願日】2023-02-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2023053581
(87)【国際公開番号】W WO2023152390
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】インターナショナル エヌ アンド エイチ デンマーク エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】メテ・ライアン・ドラスベック
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ・ウルシュラ・モーゲンシュターン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B021
4B065
【Fターム(参考)】
4B018LB06
4B018LB07
4B018LE06
4B018MD85
4B018ME09
4B021LA41
4B021LW05
4B021MC01
4B021MK06
4B021MP01
4B065AA30X
4B065AA30Y
4B065AC20
4B065BB24
4B065CA41
(57)【要約】
本発明は、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の新規な株並びに種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む発酵ブロス、保護培養物、最終食品又は飼料製品などの調製物及び組成物に関する。本発明は、さらに、これらの新規な株及び組み合わせを使用することによって、酵母又はカビなどの混入物の成長を制御するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物。
【請求項2】
前記種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の前記株は、DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2021年9月08日に受け入れ番号DSM34014の下で寄託された株又はその変異体である、請求項1に記載の細菌調製物。
【請求項3】
前記種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の前記株は、DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2020年9月29日に受け入れ番号DSM33650の下で寄託された株又はその変異体である、請求項1又は2に記載の細菌調製物。
【請求項4】
前記調製物のそれぞれの特定の個々の株は、他と関係なく少なくとも約1×10
5CFU/g、少なくとも約1×10
6CFU/gなど、少なくとも約1×10
7CFU/gなど、少なくとも約1×10
8CFU/gなど、少なくとも約1×10
9CFU/gなど、少なくとも約1×10
10CFU/gなどの量で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の細菌調製物。
【請求項5】
前記種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及び前記種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の少なくとも2つの株は、1:20~20:1の間、1:15~15:1の範囲など、1:10~10:1の範囲など、1:8~8:1の範囲など、1:6~6:1の範囲など、1:4~4:1の範囲など、1:2~2:1の範囲など、1:1.5~1.5:1の範囲など、約1:1などの比で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の細菌調製物。
【請求項6】
前記調製物は、濃縮される、請求項1~5のいずれか一項に記載の細菌調製物。
【請求項7】
前記調製物は、凍結乾燥される又は凍結される、請求項1~6のいずれか一項に記載の細菌調製物。
【請求項8】
前記細菌調製物は、酵母及び/又はカビなどの混入物微生物の成長を抑制する、請求項1~7のいずれか一項に記載の細菌調製物。
【請求項9】
DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2021年9月08日に受け入れ番号DSM34014の下で寄託されたラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)株又はその変異体の細菌株。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌調製物又は請求項9に記載の細菌株を含む飲食物。
【請求項11】
前記飲食物は、発酵肉製品などの肉製品又は肉代替製品又は発酵飲食物、任意選択で、発酵乳製品又は発酵乳代替製品である、請求項10に記載の飲食物。
【請求項12】
前記飲食物は、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、チーズ、フレッシュチーズ、クリームチーズ、カテージチーズ、セミソフト若しくはソフトチーズ、セミハード若しくはハードチーズ、ホワイトブラインチーズなどのホワイトチーズ、サワーミルク製品又はサワークリームである、請求項10又は請求項11に記載の飲食物。
【請求項13】
前記飲食物は、保存される、請求項10~12のいずれか一項に記載の飲食物。
【請求項14】
酵母及び/又はカビの成長を抑制するための請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌調製物又は請求項9に記載の細菌株の使用。
【請求項15】
飲食物において酵母及び/又はカビの成長を抑制するための方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌調製物又は請求項9に記載の細菌株を飲食物に追加することを含む方法。
【請求項16】
飲食物を調製するための請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌調製物又は請求項9に記載の細菌株の使用。
【請求項17】
飲食物を調製するための方法であって、前記飲食物を調製するためのプロセスにおいて請求項1~8のいずれか一項に記載の細菌調製物又は請求項9に記載の細菌株を食品基材に追加するステップを含む方法。
【請求項18】
飲食物を生産するために、スターター培養物を前記食品基材に追加すること及び前記食品基材を発酵させることをさらに含み、任意選択で、前記発酵させることは、好熱性発酵又は中温性発酵である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細菌調製物は、前記飲食物において酵母及び/又はカビの成長を抑制する、請求項16に記載の使用又は請求項17若しくは請求項18に記載の飲食物を調製するための方法。
【請求項20】
前記飲食物は、保存される、飲食物において酵母及び/若しくはカビの成長を抑制するための請求項15に記載の方法、請求項16若しくは請求項19に記載の使用又は飲食物を調製するための請求項17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記飲食物は、肉製品又は発酵肉製品などの肉代替製品、発酵飲食物、任意選択で、発酵乳製品又は発酵乳代替製品である、飲食物において酵母及び/又はカビの成長を抑制するための請求項15若しくは請求項20に記載の方法、請求項16若しくは19のいずれか一項に記載の使用又は請求項17~18のいずれか一項に記載の飲食物を調製するための方法。
【請求項22】
前記飲食物は、肉製品、植物由来製品若しくは肉代替製品、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、チーズ、フレッシュチーズ、クリームチーズ、カテージチーズ、セミソフト若しくはソフトチーズ、セミハード若しくはハードチーズ、ホワイトブラインチーズ、サワーミルク製品又はサワークリームである、請求項15、20~21のいずれか一項に記載の飲食物において酵母及び/若しくはカビの成長を抑制するための方法、請求項16若しくは19のいずれか一項に記載の使用又は請求項17~18のいずれか一項に記載の飲食物を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の新規な株並びに種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む発酵ブロス、保護培養物、最終食品又は飼料製品などの調製物及び組成物に関する。本発明は、さらに、これらの新規な株及び組み合わせを使用することによって酵母又はカビなどの混入物の成長を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母及びカビは、ヨーグルト、酸味をおさえたサワークリーム並びにフレッシュタイプのチーズ及び熟成タイプのチーズのような様々なタイプの乳製品の腐敗において主な役割を果たし、よって、大きな経済的損失につながり得る。有機酸並びにそれらの塩(例えばソルビン酸塩及びプロピオン酸塩)のような化学保存料は、乳製品を保存し、保存性を保ち、延長するために使用される。化学保存料を使用することにおける欠点は、表示規定(多くの場合、Eナンバーとして)及び食料品の官能的な特性に対して悪影響となる可能性があることである。
【0003】
乳酸菌は、有機酸、過酸化水素、ジアセチル及びバクテリオシンなどの種々の抗菌化合物を生産することが知られている。乳酸菌及び乳酸菌によって生産される生産物は、食品及び動物用飼料の保存性を改善するための代替的なタイプの添加物として示唆されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
酵母及びカビを抑制する生物保護(bioprotective)培養物は、市販で入手可能であり、製品の保存性を保つために、新鮮な乳製品、種々のタイプのチーズ及び植物由来の乳代替品において使用されているが、改善された抗真菌活性を有する生物保護培養物が、市場によって求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、5℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産したヨーグルト中の酵母(カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae))のレベルを示す図である。保護培養物なし(◆)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650(■)。
【
図2】
図2は、10℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産したヨーグルト中の酵母(カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae))のレベルを示す図である。保護培養物なし(◆)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650(■)。
【
図3】
図3は、5℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産した、目に見えるカビ成長のないヨーグルトの保存性を示す図である。試料に、3つのカビの株(ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum))のプールを接種した。
【
図4】
図4は、10℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産した、目に見えるカビ成長のないヨーグルトの保存性を示す図である。試料に、3つのカビの株(ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum))のプールを接種した。
【
図5】
図5は、10℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産したサワークリーム中の酵母(カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae))のレベルを示す図である。保護培養物なし(◆)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650(■)。
【
図6】
図6は、10℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産したサワークリーム中の酵母(クリベロミセス・マルシアナス(Kluyveromyces marxianus)のレベルを示す図である。保護培養物なし(◆)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650(■)。
【
図7】
図7は、5℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産した、目に見えるカビ成長のないサワークリームの保存性を示す図である。試料に、3つのカビの株(ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum))のプールを接種した。
【
図8】
図8は、10℃で保存した、抗真菌培養物あり及びなしで生産した、目に見えるカビ成長のないサワークリームの保存性を示す図である。試料に、3つのカビの株(ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum))のプールを接種した。
【
図9】
図9は、ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)に対する抗真菌活性を示す図である。6℃及び12℃の保存温度でのゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)1730-Jの増殖に対する、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物の抑制効果。
【
図10】A:6℃で28日間インキューベートした、基準と比較した、ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)1730-Jに対するラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物の抑制活性;B:12℃で13日間インキューベートした、基準と比較した、ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)1730-Jに対するラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物の抑制活性。
【発明を実施するための形態】
【0006】
酵母及び/又はカビに対する抗真菌活性などの改善された抗菌特性を有する細菌株の調製物を提供することは、本発明の実施形態の目的である。
【0007】
改善された抗菌特性を有する細菌株のこれらの調製物は、良好な味を保持しながら、より長い時間、新鮮に保たれるかもしれないクリーンラベル製品の調製を可能にする。これは、さらに、食品廃棄物を減少させるといった利益を有する。
【0008】
本発明は、広い一態様において、一方は種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)であり、もう一方は種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株である少なくとも2つの異なる株を組み合わせる細菌調製物に関する。
【0009】
したがって、第1の態様では、本発明は、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物に関する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2021年9月8日に受け入れ番号DSM34014の下で寄託されたラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)株又はその変異体の細菌株に関する。
【0011】
第3の態様では、本発明は、本発明の細菌調製物を含む飲食物に関する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、酵母及び/又はカビの成長を抑制するための本発明の細菌調製物又は本発明の細菌株の使用に関する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、飲食物において酵母及び/又はカビの成長を抑制するための方法であって、本発明の細菌調製物又は本発明の細菌株を飲食物に追加することを含む方法に関する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、飲食物を調製するための本発明の細菌調製物又は本発明の細菌株の使用に関する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、飲食物を調製するための方法であって、飲食物を調製するためのプロセスにおいて、本発明の細菌調製物又は本発明の細菌株を食品基材に追加するステップを含む方法に関する。
【0016】
本発明の発明者は、少なくとも2つの異なる株の特定の組み合わせ、すなわち、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株の組み合わせが、望ましくない酵母及びカビの混入に対して驚くほど良好な抗菌効果を提供することを見出した。
【0017】
本発明による細菌調製物は、種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の1つ以上の株を含有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)は、(a)DSMZに受け入れ番号DSM33650の下で寄託されたラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)株又はその変異体である又はそれを含む。
【0018】
本発明による細菌調製物は、さらに、1つ以上のラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)株を含有する。いくつかの実施形態では、本発明による細菌調製物は、DSMZに受け入れ番号DSM34014の下で寄託されたラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)又はその変異体を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物は、任意の他の細菌種が実質的にない。いくつかの実施形態では、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物は、これらの2つの異なる種の2つ、3つ、4つ又は5つの異なる株を含む又はからなる。いくつかの実施形態では、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物は、これらの2つの異なる種のそれぞれに由来する1つの特定の株を含む又はからなる。いくつかの実施形態では、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物は、これらの2つの異なる種を含む又はからなる。いくつかの実施形態では、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株を含む細菌調製物は、2つの異なる種に加えて、1つ、2つ、3つ又は4つのさらなる異なる種を含む。いくつかの実施形態では、細菌調製物は、本質的に、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の1つの特定の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の1つ特定の株などの、種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の株と組み合わせた種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の株からなる。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明による細菌調製物は、濃縮される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明による細菌調製物は、凍結乾燥される又は凍結される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明による調製物は、ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の保護培養物である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明による調製物は、少なくとも約1×105CFU/g又はml、少なくとも約1×106CFU/g又はml、少なくとも107CFU/g又はmlなど、少なくとも5×107CFU/g又はmlなど、少なくとも108CFU/g又はmlなど、少なくとも109CFU/g又はmlなど、少なくとも1010CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1010CFU/g又はmlなど、少なくとも1011CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1011CFU/g又はmlなど、少なくとも1012CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1012CFU/g又はmlなど、少なくとも1013CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1013CFU/g又はmlなどの組成物の量で存在するラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の生きている細菌を含有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明による調製物は、少なくとも約1×105CFU/g又はml、少なくとも約1×106CFU/g又はml、少なくとも107CFU/g又はmlなど、少なくとも5×107CFU/g又はmlなど、少なくとも108CFU/g又はmlなど、少なくとも109CFU/g又はmlなど、少なくとも1010CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1010CFU/g又はmlなど、少なくとも1011CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1011CFU/g又はmlなど、少なくとも1012CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1012CFU/g又はmlなど、少なくとも1013CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1013CFU/g又はmlなどの組成物の量で存在するラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の生きている細菌を含有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、最終食品又は飼料製品であり、ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)の前記生きている細菌は、少なくとも105CFU/g又はml、少なくとも5×105CFU/g又はmlなど、少なくとも106CFU/g又はmlなど、少なくとも5×106CFU/g又はmlなど、少なくとも107CFU/g又はmlなど、少なくとも5×107CFU/g又はmlなど、少なくとも108CFU/g又はmlなど、少なくとも5×108CFU/g又はmlなど、少なくとも109CFU/g又はmlなど、少なくとも5×109CFU/g又はmlなど、少なくとも1010CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1010CFU/g又はmlなど、少なくとも1011CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1011CFU/g又はmlなど、少なくとも1012CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1012CFU/g又はmlなど、少なくとも1013CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1013CFU/g又はmlなどの組成物の量で存在する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、最終食品又は飼料製品であり、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の前記生きている細菌は、少なくとも105CFU/g又はml、少なくとも5×105CFU/g又はmlなど、少なくとも106CFU/g又はmlなど、少なくとも5×106CFU/g又はmlなど、少なくとも107CFU/g又はmlなど、少なくとも5×107CFU/g又はmlなど、少なくとも108CFU/g又はmlなど、少なくとも5×108CFU/g又はmlなど、少なくとも109CFU/g又はmlなど、少なくとも5×109CFU/g又はmlなど、少なくとも1010CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1010CFU/g又はmlなど、少なくとも1011CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1011CFU/g又はmlなど、少なくとも1012CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1012CFU/g又はmlなど、少なくとも1013CFU/g又はmlなど、少なくとも5×1013CFU/g又はmlの組成物の量で存在する。
【0027】
態様では、本明細書において提供される方法又は使用に従って得られる飲食物が、提供される。いくつかの実施形態では、飲食物は、発酵飲食物である。いくつかの実施形態では、発酵飲食物は、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、チーズ、フレッシュチーズ、クリームチーズ、カテージチーズ、セミソフト若しくはソフトチーズ、セミハード若しくはハードチーズ、ホワイトブラインチーズなどのホワイトチーズ、サワーミルク製品若しくはサワークリーム又は発酵植物由来乳代替飲食物である。いくつかの実施形態では、飲食物は、植物由来ヨーグルト代替品、植物由来クリーム代替品、植物由来成熟クリーム代替品、植物由来バター代替品、植物由来ファットスプレッド、植物由来チーズ代替品、植物由来フロマージュフレ代替品、植物由来乳飲料代替品、植物由来プロセスチーズ代替品、植物由来クリームデザート代替品、植物由来カテージチーズ代替品又は植物由来ケフィア代替品である。
【0028】
用語「食品」は、広義に使用され、飼料、食料品、食品成分、栄養補助食品及び機能性食品を含む。本明細書では、用語「食品」は、広義に使用され、ヒトのための食品及び動物のための食品(すなわち飼料又はペットフード)を包含する。好ましい態様では、食品は、ヒトが摂取するためのものである。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される、例えばスターター培養物の細菌株又は細菌組成物は、食品成分、栄養補助食品又は機能性食品であってもよい又はそれに追加されてもよい。本明細書において使用されるように、用語「機能性食品」は、栄養学的効果及び/又は味の満足感を提供することができるだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を届けることもできる食品を意味する。機能性食品の法的な定義はないが、この領域に関心がある関係者のほとんどは、特定の健康効果を有するものとして販売されている食品があることを認める。
【0030】
本発明に従って使用される株を指す場合、これらの株は、生きていることが想定される。本明細書において使用されるように、用語「生きている」は、生存する、成長する又は増えるための活性な代謝を有する能力を有する細菌細胞を指す。
【0031】
本明細書において使用されるように、用語「ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の保護培養物」は、両方の種の生きている状態のラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)を含む組成物を指し(純粋培養物又は培養濃縮物)、組成物は、摂取に適した最終飲食物ではないが、病原性又は毒素産生微生物によるリスクを低下させる目的で飲食物に追加される。発酵培地及びその濃縮調製物などの組成物が、この定義の範囲内に含まれ、ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)は、適した培地中で成長させたものである又は成長させる。
【0032】
European Food and Feed Cultures Association(EFFCA)は、以下のとおり保護培養物を特徴づけた:用語「保護培養物」は、食品において望まれない微生物の成長を抑制する又は制御するのに貢献する代謝活性を見せる微生物食品培養物(MFC)に適用されている。これらの望まれない微生物は、病原性又は毒素産生細菌及び真菌とすることができるが、腐敗を引き起こす種もまた、含まれてもよい。
【0033】
保護培養物は、スターター培養物の不可欠な部分と考えられ、スターター培養物は、チーズ、ヨーグルト、ある特定のソーセージ、ワイン等の発酵食品を生産するために使用される食品技術の伝統的なツールである。これらが、非発酵原材料よりも長い保存性を備えているというのは発酵食品の一般的な特性である(例えば、チーズは、乳よりもかなり長い保存性を有する)。この特性は、発酵している培養物の活性な代謝の結果であり、栄養分及び結合部位において競合する複雑なシステムを通して並びに有機酸、過酸化水素、ジアセチル、ロイテリン及びバクテリオシンのような抑制性の代謝産物の生産によってその作用を遂行する。
【0034】
使用される特定の培養物に応じて、培養物は、通常、飲食物にとって官能的な栄養に関する価値のある多数の特性も形成する。このようにして、発酵プロセスにおいて使用される同じスターター培養物種もまた、官能的なインパクトの有無にかかわらず、「生物保護」能力を利用するために食品に適用されてきた。これらのスターター培養物に、保護培養物という用語が適用されてきた。
【0035】
それらの利用は、「典型的な」発酵食品に限られず、食品病原体の成長のリスクが増加しやすい中性pH及び高い水分活性を有する食品においてそれらの代謝活性が起こる場合にも、重要な役割を果たす。「保護培養物」の適用は、食品衛生を改善するための補足的な手段にあたり、高水準の食品安全性を保証する優良製造規範のいかなる基準も疎かにすることを容認するべきではない。
【0036】
保護培養物は、添加物ではなくスターター培養物の不可欠な部分である。これらの培養物が、すべてのスターター培養物のように、食品における又は食品に対するそれらの代謝活性の結果として、それらの保護の有益な能力を発現することは明らかである。(EFFCA、2011年12月)
【0037】
保護培養物は、食品又は飼料の発酵の前に食品又は飼料基材にスターター培養物と一緒に追加される。よって、保護培養物は、発酵ステップを経て、成長することができる及び/又は代謝的に活性となる。スターター培養物は、ヨーグルト、チーズ及びサワークリームのような発酵食品を生産するために必要であり、味、食感及び風味の発生における所望の生産物の変化に貢献する。これに加えて、保護培養物は、病原性又は腐敗細菌の成長を制限するために食品に追加され、よって、食品中毒のリスクを低下させ、保存性を保つ。
【0038】
本明細書において使用されるように、用語「最終食品又は飼料製品」は、食品又は餌の形態をした、ヒト又は動物が摂取するなどの摂取に適した組成物を指す。
【0039】
本明細書において使用されるように、用語「調製物」は、種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)若しくは種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の細菌の成長によって調整した培地に由来する任意の組成物若しくはその一部又は種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)若しくは種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の生きている細菌細胞を含有する抽出物を含むその抽出物又は種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)若しくは種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の細菌に由来する、脂質、タンパク質若しくは核酸構成要素などの1つ以上の生きていない細菌細胞構成要素を指す。液体調製物及び乾燥粉末調製物の両方が、調製物のこの定義の範囲内に含まれ、水は、本質的に除去されている。
【0040】
本明細書において使用される用語「混入物」は、細菌、酵母又はカビなどの真菌などの任意の微生物の任意の望ましくない意図的でない成長を指す。場合によっては、混入物は、疾患を引き起こすかもしれない。しかしながら、多くの場合、混入物は、生産物を分解し、劣化させるだけで、それは、不快で望ましくない味又は口あたりであることがわかる及び/又はを与える。
【0041】
いくつかの実施形態では、混入物は、ペニシリウム属の種、ペニシリウム・ブレビコンパクタム(Penicillium brevicompactum)、ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)、ペニシリウム・クリゾゲヌム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・ソリタム(Penicillium solitum)、ペニシリウム・グラブラム(Penicillium glabrum)、ペニシリウム・コリロフィラム(Penicillium corylophilum)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、アスペルギルス属の種、アスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)、アスペルギルス・パラジチカス(Aspergillus parasiticus)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ユーロチウム属の種などのユーロチウム目における真菌、フザリウム属の種などのベニアワツブタケ科の真菌、カンジダ属の種、カンジダ・コリクロサ(Candida colliculosa)、カンジダ・インターメディア(Candida intermedia)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)、カンジダ・ランビカ(Candida lambica)、カンジダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・サケ(Candida sake)、カンジダ・スファエリカ(Candida sphaerica)、カンジダ・パラプローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ペリクロサ(Candida pelliculosa)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides)、デバリオミセス属の種、デバリオミセス・ハンゼニイ(Debaryomyces hansenii)、クリベロミセス属の種、クリベロミセス・マルシアナス(Kluyveromyces marxianus)、ロドトルラ属の種、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、サッカロミセス属の種、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・セルバジー及びゲオトリクム属の種、ゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)などのサッカロミセス科の真菌並びにケカビ属の種及びクモノスカビ属の種などのケカビ科におけるカビの種からなるリストから選択される真菌又はカビである。
【0042】
いくつかの実施形態では、混入物は、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、シュードモナス属の種、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バチルス属の種、ラクトバチルス属の種、ロイコノストック属の種、クロストリジウム属の種、シトロバクター属の種、エンテロバクター属の種、エシェリキア属の種、クレブシエラ属の種及びサルモネラ属の種のような腸内細菌科からなるリストから選択されるいずれかなどの、本発明による方法において使用される種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)及び種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)と異なる細菌である。
【0043】
種ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)は、ラクトバチルス・ラムノサス(lactobacillus rhamnosus)として以前から知られている。種ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)と呼ばれてもよく、ラクトバチルス・アラビノサス(Lactobacillus arabinosus)として以前から知られている。
【0044】
以下の寄託は、特許手続を目的とした微生物の寄託の国際的承認に関してブダペスト条約に従ってなされた又はなされている。
-DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2020年9月29日に受け入れ番号DSM33650の下で寄託されたラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)株。
-ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)は、DSMZ[Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,D-38124 Braunschweig-Germany]に2021年9月08日に受け入れ番号DSM34014の下で寄託された株である。
【0045】
生物材料は、請求人によって指名された専門家に試料を分譲することによってのみ入手可能にされなければならないことが要求される。欧州特許を求める旨の表示に関して、寄託された微生物の試料は、欧州特許の付与に関する言及の公告まで又は出願が拒絶された若しくは取り下げられた若しくは取り下げられたとみなされる日まで、試料を要求する請求人によって指名され且つi)出願人によって及び/又はii)欧州特許庁によって、どちらでも該当するものによって承認される専門家にそのような試料を分譲することによってのみ入手可能にされる(規則32EPC)。
【実施例】
【0046】
実施例1
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の抗真菌活性を、寒天アッセイによって酵母に対して評価した。保護培養物を追加していない基準サンプル及びよく知られている標準的な保護培養物を有するサンプルを、比較に含めた。
【0047】
ヨーグルト試料は、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びデルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)亜種ブルガリカス(bulgaricus)からなるスターター培養物(IFF、デンマーク)により43℃で全脂肪乳を発酵させることによって調製した。試験試料に、さらに、市販の標準的な抗真菌培養物又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物を接種した。ヨーグルト試料を、寒天溶液と混ぜ合わせ、混合物を、ペトリ皿又は12ウェル培養プレート中に注ぎ、ラミナーフローベンチにおいて乾燥させた。
【0048】
抑制試験において使用される酵母の株を、表1に示す。
【0049】
【0050】
酵母の株を、希釈し、寒天溶液に追加した。12ウェル培養プレート中のヨーグルト試料を、30CFU/ウェルの接種濃度を目標にして、選択した酵母の株を播種した寒天により覆った。プレートを、25℃でインキューベートし、保護培養物を追加した試料上での酵母の成長を、保護培養物を有していない基準プレート上での成長と比較した。抑制は、以下のとおりに判断した:
・抑制なし-
・0~25%+
・26~50%++
・51~75%+++
・76~100%++++
【0051】
【0052】
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物は、表2において示されるように市販の標準的な保護培養物と比較して、14の試験した酵母の株のうち10に対して、より強力な抑制を示した。14の株のうちの5つは、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物による以外は、市販の標準的な保護培養物によって抑制されなかった。よって、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物は、試験した条件下で、市販の標準的な保護培養物と比較して、より広い抗真菌スペクトルを示した。
【0053】
実施例2
ヨーグルトにおける抗真菌活性
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の抗真菌活性を、ヨーグルト中の酵母及びカビに対して評価した。保護培養物を追加していない基準サンプルを、比較に含めた。ヨーグルト試料は、3.5%の脂肪を有する全乳を使用して調製した。乳に、市販で入手可能な好熱性ヨーグルトスターター培養物(IFF、デンマーク)を接種した。試験試料に、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物をさらに接種した。pHが試料中で4.60に達するまで、発酵を43℃で行った。ヨーグルトを冷まし、滅菌ビーカー中に急いで入れ、酵母又はカビを接種した。ヨーグルト試料を、5及び10℃で保存し、酵母を、それぞれ37日及び13日間の保存期間を通して数えた。カビを接種した試料は、5℃及び10℃の両方で保存し、42日間の保存までカビ成長を目視で調べた。
【0054】
図1において示されるように、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)のプールの増殖は、抗真菌培養物なしの基準と比較して、5℃の保存温度で、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物によって抑制された。酵母は、1.0E07 CFU/gのレベルまで成長したが、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650を有する試料中のレベルは、1.0E04 CFU/g未満であった。
【0055】
カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)のプールの増殖の遅延もまた、
図2において示されるように、10℃の保存温度で、基準と比較して、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650により調製した試料において観察された。
【0056】
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物は、それぞれ
図3及び
図4において示されるように、5℃及び10℃の両方で、基準と比較して、ペニシリウム属の株のプールの増殖を抑制した。基準におけるカビの最初の増殖は、5℃では18日後及び10℃では8日後に生じるが、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物により調製した試料において、成長は、テストが終了した42日まで観察されなかった。
【0057】
実施例3
サワークリームにおける抗真菌活性
サワークリーム試料は、18%の脂肪を有する全乳脂を使用して調製した。乳に、市販で入手可能な中温性スターター培養物(IFF、デンマーク)を接種した。試験試料に、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物をさらに接種した。pHが試料中で4.60に達するまで、発酵を28℃で行った。サワークリームを冷まし、滅菌ビーカー中に急いで入れ、酵母又はカビを接種した。サワークリーム試料を10℃で保存し、酵母を19日間の保存期間を通して数えた。カビを接種した試料は、5℃及び10℃の両方で保存し、カビ成長を目視で調べた。
【0058】
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物は、
図5において示されるように、基準と比較して、10℃の保存温度で、カンジダ・ケフィール(Candida kefyr)及びカンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)のプールの増殖を遅延させた。
【0059】
クリベロミセス・マルシアナス(Kluyveromyces marxianus)の増殖は、
図6において示されるように、基準と比較して、10℃の保存温度で、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物によって遅延した。
【0060】
実施例4
ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)に対する抗真菌活性
ヨーグルト試料は、1.5%の脂肪を有する乳を使用して調製した。乳に、市販で入手可能な好熱性スターター培養物(IFF、デンマーク)を接種した。試験試料に、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物をさらに接種した。pHが試料中で4.70に達するまで、発酵を43℃で行い、2:1の比で、45~50℃に調節した2.5%の強度を有する寒天溶液と混ぜ合わせた。寒天をペトリ皿に充填し、固めるためにクリーンベンチ中に放置した。株ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)1730-Jを、1,000胞子/mlの胞子数まで希釈し、カビ胞子溶液の20μlの一定分量を、プレートにスポットした(試料当たりの5枚のプレート)。プレートを12℃で13日間及び6℃で28日間インキューベートし、増殖したカビのコロニーの面積を測定した。ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物の抑制活性を、以下のとおりに計算した:
【数1】
【0061】
加えて、シャーレの写真を撮った。
【0062】
ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)DSM34014及びラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)DSM33650の配合物は、
図9及び10において示されるように、6℃及び12℃の保存温度の両方で、ゲオトリクム・シルビコラ(Geotrichum silvicola)1730-Jの増殖を遅延させた。
【0063】
【国際調査報告】