IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図1
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図2
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図3A
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図3B
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図4A
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図4B
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図5
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図6
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図7
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図8
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図9
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図10
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図11
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図12
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図13
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図14
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図15
  • 特表-患者ガス送達システム及び方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】患者ガス送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20250212BHJP
   A61M 16/08 20060101ALI20250212BHJP
   A61M 16/04 20060101ALI20250212BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61M16/00 343
A61M16/00 345
A61M16/08 300A
A61M16/04 Z
A61M16/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547581
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 IB2023051252
(87)【国際公開番号】W WO2023152712
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/309,145
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ジョン・ダービー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・サミュエル・ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジョン・シムズ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ジョエル・バベッジ
(72)【発明者】
【氏名】シメイ・ゴメス・ウィソスキー
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジョン・グリマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ニコラス・ボスマ
(72)【発明者】
【氏名】ザク・ジェイク・フリントフ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・デイヴィッド・アラン・ライト
(72)【発明者】
【氏名】マディソン・ブルック・チュ
(57)【要約】
呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと流体連通するように配置されたデバイスであって、本デバイスは、呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取るための入口と、呼吸可能ガスを患者インタフェースに搬送するための出口と、入口と出口との間に延在する本体部分であって、トリガポートを含む本体部分と、1つ又は複数センサであって、1つ又は複数のセンサの出力が、トリガポートのステータスを決定するために使用される、1つ又は複数のセンサとを備える、デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと流体連通するように配置されたデバイスであって、
呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取るための入口と、
前記呼吸可能ガスを前記患者インタフェースに搬送するための出口と、
前記入口と前記出口との間に延在する本体部分であって、トリガポートを含む本体部分と、
1つ又は複数センサであって、前記1つ又は複数のセンサの出力が、前記トリガポートのステータスを決定するために使用される、1つ又は複数のセンサと、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記本体部分が1つ又は複数の検知ポートを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと流体連通するように配置されたデバイスであって、
呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取るための入口と、
前記呼吸可能ガスを前記患者インタフェースに搬送するための出口と、
前記入口と前記出口との間に延在する本体部分であって、トリガポートと、1つ又は複数のセンサに流体接続されるように配置された1つ又は複数の検知ポートとを含み、前記1つ又は複数のセンサの出力が、前記トリガポートのステータスを決定するために使用される、本体部分と、
を備えるデバイス。
【請求項4】
前記本体部分が第1部材を含み、前記トリガポートが前記第1部材の壁又は端部に位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記本体部分が第2部材を含み、前記第2部材が、前記呼吸可能ガスが流れる通路を形成する実質的に中空の構成である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2部材が、患者インタフェースの入口への取付けを可能にするように構成されている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1部材と前記第2部材とが恒久的に接合されている、請求項5~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1部材と前記第2部材とが、超音波溶接、接着剤又はオーバーモールドを使用して互いに接合されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1部材と前記第2部材とが、取外し可能に互いに接合されている、請求項5~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記1つ又は複数のセンサが、1つ又は複数の圧力センサ及び/又は流量センサを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記1つ又は複数のセンサが、少なくとも1つの差圧センサを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの差圧センサが、ガス流路内に流量制限部を含み、前記流量制限部が、前記流量制限部の両側に差圧を生じさせるように配置されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記流量制限部が、1つ又は複数の偏向可能なフラップ、可変オリフィス膜/ダイヤフラム、及びそれらに類似するものを含むことができる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
偏向可能なフラップが、前記第1部材と前記第2部材との間に位置決めされている、請求項5~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つ又は複数のセンサが、少なくとも部分的に前記本体部分の内部空洞内に延びている、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記1つ又は複数のセンサが、少なくとも部分的に前記1つ又は複数の検知ポート内に延びている、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項17】
少なくとも1つの前記1つ又は複数のセンサが、前記デバイスの前記本体部分内に収容されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つが、前記本体部分の外側に位置し、前記1つ又は複数の検知ポートから前記呼吸可能ガスの流れを受けるように配置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記1つ又は複数の検知ポートが、前記本体部分の壁から外側に延在する2つの圧力検知ポートを含む、請求項2又は3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つが、前記患者に送達される前記呼吸可能ガスの流量を測定するために使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つが、前記デバイス内又は前記患者インタフェース内の前記呼吸可能ガスの圧力を測定するために使用される、請求項1~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記トリガポートが開放状態及び閉鎖状態を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記トリガポートが、物体によって塞がれている場合、閉鎖状態にある、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記トリガポートが、物体によって塞がれていない場合、開放状態にあり、前記デバイス内の空気流が周囲空気に出ることができるようになっている、請求項22又は23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記トリガポートが、前記本体部分の壁に形成されたオリフィスである、請求項1~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記1つ又は複数のセンサの前記出力がコントローラによって受信又は取得され、前記コントローラが、前記トリガポートの前記ステータス、及び/又は前記出力に基づく前記トリガポートの前記ステータスの変化を決定する、請求項1~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記コントローラが、前記呼吸可能ガスが好適な圧力で前記患者に送達されるように前記呼吸装置の動作を制御する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記コントローラが、流れ発生器のモータ速度を設定することにより前記呼吸装置の動作を制御する、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記コントローラが、トリガポートの前記ステータスに変化がある場合に、前記呼吸装置に制御信号を送信する、請求項26~28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記デバイスが前記患者インタフェースに取外し可能に接続されるのを可能にする連結機構を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
導管を介して前記呼吸装置から前記呼吸可能ガスを受け取る、請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記導管が前記デバイスの前記入口に流体連通している、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
Tピースデバイスである、請求項1~32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
呼吸療法で使用されるインタフェースアセンブリであって、
請求項1~33のいずれか1項に記載のデバイスと、
呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと、
を含むインタフェースアセンブリ。
【請求項35】
前記呼吸装置の導管アセンブリに取外し可能に連結されるように配置された、前記デバイスの入口に連結された導管をさらに備える、請求項1~33のいずれか一項に記載のデバイス又は請求項34に記載のインタフェースアセンブリ。
【請求項36】
患者に呼吸可能ガスを送達するガス送達システムであって、
流れ発生器と、前記流れ発生器を制御するように配置されたコントローラと、前記流れ発生器からの供給源流量(Fs)とインタフェースガス流量(Fm)とを決定するように構成された1つ又は複数のセンサとを含む呼吸装置と、
前記流れ発生器から前記患者に前記呼吸可能ガスを送達する導管アセンブリと、
前記導管アセンブリから前記呼吸可能ガスを受け取り、前記呼吸可能ガスを前記患者に搬送するように配置されたインタフェースアセンブリであって、トリガポートを備えるインタフェースアセンブリと、
を備え、
前記コントローラが、前記供給源流量と前記インタフェースガス流量との差を計算し、前記差に基づいて前記トリガポートのステータスを決定し、前記トリガポートの前記決定されたステータスに基づく圧力で前記患者に前記呼吸可能ガスを提供するように前記流れ発生器を動作させるように配置されている、ガス送達システム。
【請求項37】
ガス送達システムを、
供給源ガス流量を決定することと、
送達ガス流量を決定することと、
前記供給源ガス流量と前記送達ガス流量との差を計算することと、
前記ガス送達システムに、前記供給源ガス流量と前記送達ガス流量との前記計算された差に基づく圧力で前記患者に呼吸可能ガスを送達させることと、
によって制御する方法。
【請求項38】
インタフェースアセンブリを介して患者に呼吸可能ガスを送達する方法であって、前記インタフェースアセンブリがトリガポートを含み、
ガス送達システムによって生成された供給源ガス流量と、前記インタフェースアセンブリに送達された送達ガス流量とを決定することによって、前記トリガポートのステータスを決定することと、
前記ガス送達システムに、前記トリガポートの前記決定されたステータスに基づく圧力で前記患者に呼吸可能ガスを送達させることと、
を含む方法。
【請求項39】
供給源ガス流量を決定する前記ステップが、
1つ又は複数の第1センサから測定値を受信又は取得することと、
前記測定値に基づいて、供給源ガス流の流量(Fs)である第1流量を決定することと、
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
送達ガス流量を決定する前記ステップが、
1つ又は複数の第2センサから測定値を受信又は取得することと、
前記測定値に基づいて、患者インタフェースに供給される前記呼吸可能ガスの流量(Fm)である第2流量を決定することと、
を含む、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1流量と前記第2流量との差(ΔF=Fs-Fm)を計算することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1流量と前記第2流量との差を、第1閾値流量(Fa)及び/又は第2閾値流量(Fb)と比較することと、
前記比較に基づいてトリガポートのステータスを決定することと、
をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記トリガポートの前記ステータスが、開放状態又は閉鎖状態を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
トリガポートの以前のステータスを取得することであって、前記トリガポートの前記以前のステータスが開放状態又は閉鎖状態を含む、取得することと、
前記トリガポートの前記以前のステータスが開放状態にある場合、前記第1流量と前記第2流量との前記差を第1閾値流量Faと比較し、又は、前記トリガポートの前記以前のステータスが閉鎖状態にある場合、前記第1流量と前記第2流量との前記差を第2閾値流量Fbと比較することと、
前記比較に基づいて前記トリガポートの現在のステータスを決定することと、
前記以前のステータスを前記現在のステータスと比較することにより、前記トリガポートのステータスが変化したか否かを判断することと、
をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記トリガポートが、前記差が前記第1閾値流量よりも小さい(ΔF<Fa)場合、前記閉鎖状態にある、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記トリガポートが、前記差が前記第2閾値流量よりも大きい(ΔF>Fb)場合、前記開放状態にある、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第2閾値流量が、インタフェース圧力に基づいて決定されるか、又はK*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmがインタフェース圧力であり、Kが実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第2閾値流量が、0.5~10L/minの範囲内である、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第2閾値流量が一定レベルに設定される、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第2閾値流量が、1pmの一定レベルに設定される、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1閾値流量が、インタフェース圧力に基づいて決定されるか、又はFa=J*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmがインタフェース圧力であり、Jが実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第1閾値流量が、0.5~10L/minの範囲内である、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1閾値流量が一定レベルに設定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1閾値流量が、1L/分の一定レベルに設定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記トリガポートが閉鎖状態にあると判断された場合、第1圧力で前記患者に呼吸可能ガスを送達するように前記ガス送達システムを動作させることと、
前記トリガポートが開放状態にあると判断された場合、第2圧力で前記患者に呼吸可能ガスを送達するように前記ガス送達システムを動作させることと、
をさらに含む、請求項42~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記トリガポートの前記ステータスが変化するまで、前記患者に前記第1圧力又は第2圧力で前記患者に前記呼吸可能ガスを送達し続けるように前記ガス送達システムを動作させること
をさらに含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1圧力が前記第2圧力よりも高い、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1圧力が最大吸気圧(PIP)に対応し、前記第2圧力が呼気終末陽圧(PEEP)に対応する、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
乳児又は新生児患者の場合、PEEPが、1、2、3、4、5、6、7又は8cmHOに相当し、PIPが、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60cmHOに相当する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1圧力又は前記第2圧力で前記患者に前記呼吸可能ガスを送達するように前記ガス送達システムを動作させる前記ステップが、
前記システムの流れ発生器に制御信号を送信すること
を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記流れ発生器が、前記流れ発生器のモータ速度が制御されることによって動作する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記流れ発生器が、ブロワファンの速度が制御されることにより動作する、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記モータ速度が、前記送達される呼吸可能ガスが前記第1圧力又は前記第2圧力の流れに達するまで、所定の時間間隔にわたって変更される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記所定の時間間隔が、100~400ms、又は100~300ms、又は100~200ms、又は約150msである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記トリガポートを介する空気流を実質的に減少させるか又は阻止することによって、前記トリガポートが閉鎖状態にあるようにすることと、
前記トリガポートを介する空気流を可能にすることにより、前記トリガポートが開放状態にあるようにすることと、
をさらに含む、請求項38~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記トリガポートが閉鎖状態にあるようにする前記ステップが、前記トリガポートを物体で塞ぐことを含み、前記トリガポートが開放状態にあるようにする前記ステップが、前記トリガポートから前記物体を取り除くことを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第2流量を決定する前記ステップが、
第1位置で前記呼吸可能ガスの第1圧力を測定することと、
第2位置で前記呼吸可能ガスの第2圧力を測定することと、
前記第1圧力と前記第2圧力の圧力差を計算することと、
前記圧力差に基づいて、前記患者インタフェースに供給される前記呼吸可能ガスの流量(Fm)を計算することと、
を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項68】
前記第1位置が、デバイスの入口又はその近くであり、そこで、前記デバイスが、流れ発生器と流体連通している導管アセンブリから前記呼吸可能ガスを受け取る、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第2位置が、前記デバイスの出口又はその近くであり、そこで、前記デバイスが、前記呼吸可能ガスを前記患者インタフェースに搬送する、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記第2圧力が前記インタフェース圧力Pmである、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
患者に呼吸可能ガスを送達するガス送達システムであって、
流れ発生器と、前記流れ発生器を制御するように配置されたコントローラと、前記流れ発生器に近接する少なくとも1つのセンサとを含む呼吸装置であって、前記少なくとも1つのセンサが、少なくとも、前記流れ発生器からの供給源流量(Fs)を決定するように構成されている呼吸装置と、
前記流れ発生器から前記患者に前記呼吸可能ガスを送達する導管アセンブリと、
前記導管アセンブリから前記呼吸可能ガスを受け取り、前記呼吸可能ガスを前記患者に搬送するように配置されたインタフェースアセンブリであって、トリガポートを備えるインタフェースアセンブリと、
を備え、
前記コントローラが、前記決定された供給源流量(Fs)を閾値流量(Fth)と比較することによって、前記トリガポートのステータスを決定し、前記トリガポートの前記決定されたステータスに基づく圧力で前記患者に前記呼吸可能ガスを提供するように前記流れ発生器を動作させるように配置されている、ガス送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、患者ガス送達システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼気終末陽圧(PEEP:Positive End Expiratory Pressure)及び/又は最大吸気圧(PIP:Peak Inspiratory Pressure)は、呼吸、蘇生又は補助呼吸(換気)中に患者に制御可能に提供することができる。
【0003】
PEEPは、陽圧換気、蘇生又は補助呼吸の呼気相を通じて患者に送達される圧力である。PIPは、陽圧換気、蘇生又は補助呼吸の吸気相中に患者に提供される所望の最高圧力である。患者は、呼吸補助又は蘇生を必要とする新生児又は乳児である場合がある。PEEP又はPIPを適用する際、患者の上気道及び肺は、適用された圧力によって開存した状態で保持される。
【0004】
乳幼児の蘇生に使用することができるもの等、いくつかの呼吸療法システムは、患者に送達される呼吸可能ガスの圧力を手動で調整するためのTピースデバイスに依存している。Tピースデバイスを組み込んだ既存の乳児蘇生呼吸システムは、多くの場合、空気圧式であり、事前設定された又は手動で調整可能な流量で、固定ガス流源、通常、壁供給源から作動する。使用時、ガス流源は呼吸装置(例えば、蘇生デバイス)に呼吸可能ガスの流れを供給し、次いで、呼吸装置は、相互接続されたガス送達チューブ、Tピースデバイス及び好適な患者インタフェースを介して、患者に呼吸可能ガスを供給する。通常、固定ガス流源からのガス流の流量を制御又は監視するために流量計が使用される。加えて、呼吸装置は、オペレータが、患者に送達される呼吸可能ガスの圧力を設定及び監視することができるようにする、ユーザ制御装置を含む。既存の呼吸装置によっては、定流量デバイスである場合があり、すなわち、呼吸装置は、患者に送達する呼吸可能ガスの流量を調整しない。その代わりに、固定ガス流量源は定流量で動作し、呼吸装置は、所望のPEEP及びPIPを達成するように調整することができる、圧力逃がし弁及び較正(校正)された流れ抵抗を含む。これらのシステムでは、通常、Tピースデバイスにオリフィスが設けられており、呼吸システムのオペレータが、オリフィスを閉塞するか又は閉塞解除することができる。オリフィスが閉塞されているとき、送達される圧力は、呼吸装置の圧力調整弁によって決定される。これが「PIP」圧力設定である。オリフィスが開放しているとき、送達される圧力は、Tピースデバイス内部の圧力調整弁によって決定される。これが「PEEP」圧力設定である。オリフィスが繰り返し閉塞及び閉塞解除されるに従い、PIP及びPEEPが患者に供給されて、患者に呼吸が送達される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、特許明細書及び他の文献を含む外部の情報源を参照した場合、これは、概して、本発明の特徴を考察するための文脈を提供することを目的とする。別段の定めのない限り、こうした情報源への参照は、いかなる法域においても、こうした情報源が先行技術であること、又は本技術分野における共通の一般知識の一部を形成していることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0006】
第1態様において、本開示は、呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと流体連通するように配置されたデバイスを提供し、本デバイスは、
呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取るための入口と、
呼吸可能ガスを患者インタフェースに搬送するための出口と、
入口と出口との間に延在する本体部分であって、トリガポートを含む本体部分と、
1つ又は複数センサであって、1つ又は複数のセンサの出力が、トリガポートのステータスを決定するために使用される、1つ又は複数のセンサと、
を備える。
【0007】
いくつかの構成では、本体部分は1つ又は複数の検知ポートを含む。
【0008】
第2態様において、本開示は、呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと流体連通するように配置されたデバイスを提供し、本デバイスは、
呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取るための入口と、
呼吸可能ガスを患者インタフェースに搬送するための出口と、
入口と出口との間に延在する本体部分であって、トリガポートと、1つ又は複数のセンサに流体接続されるように配置された1つ又は複数の検知ポートとを含み、1つ又は複数のセンサの出力が、トリガポートのステータスを決定するために使用される、本体部分と、
を備える。
【0009】
いくつかの構成では、本体部分は第1部材を含み、トリガポートは、第1部材の壁又は端部に形成されている。
【0010】
いくつかの構成では、本体部分は第2部材を含み、この第2部材は、呼吸可能ガスが流れる通路を形成する実質的に中空の構成である。
【0011】
いくつかの構成では、第2部材は、患者インタフェースの入口への取付けを可能にするように構成されている。
【0012】
いくつかの構成では、第1部材と第2部材は恒久的に接合されている。
【0013】
いくつかの構成では、第1部材と第2部材とは、超音波溶接、接着剤又はオーバーモールドを使用して互いに接合されている。
【0014】
いくつかの構成では、第1部材と第2部材とは、取外し可能に互いに接合されている。
【0015】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは、1つ又は複数の圧力センサ及び/又は流量センサを含む。
【0016】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは少なくとも1つの差圧センサを含む。
【0017】
いくつかの構成では、少なくとも1つの差圧センサは、ガス流路内に流量制限部を含み、流量制限部は、流量制限部の両側に差圧を生じさせるように配置されている。
【0018】
いくつかの構成では、流量制限部は、1つ又は複数の偏向可能なフラップ、可変オリフィス膜/ダイヤフラム、及びそれらに類似するものを含むことができる。
【0019】
いくつかの構成では、偏向可能なフラップが、第1部材と第2部材との間に位置決めされている。
【0020】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは、少なくとも部分的に本体部分の内部空洞内に延びている。
【0021】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは、少なくとも部分的に1つ又は複数の検知ポート内に延びている。
【0022】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは、デバイスの本体部分内に収容されている。
【0023】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、本体部分の外側に位置し、1つ又は複数の検知ポートから呼吸可能ガスの流れを受けるように配置されている。
【0024】
いくつかの構成では、1つ又は複数の検知ポートは、本体部分の壁から外側に延在する2つの圧力検知ポートを含む。
【0025】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、患者に送達される呼吸可能ガスの流量を測定するために使用される。
【0026】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つは、デバイス内又は患者インタフェース内の呼吸可能ガスの圧力を測定するために使用される。
【0027】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスは、開放状態及び閉鎖状態を含む。
【0028】
いくつかの構成では、トリガポートは、オペレータの指によって塞がれている場合、トリガポートは閉鎖状態にある。
【0029】
いくつかの構成では、トリガポートは、オペレータの指によって塞がれていない場合、開放状態にあり、デバイス内の空気流が周囲空気に出ることができるようになっている。
【0030】
いくつかの構成では、トリガポートは、本体部分の壁に形成されたオリフィスである。
【0031】
いくつかの構成では、トリガポートは、本体部分の壁に形成された円形のオリフィスである。
【0032】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサの出力は、コントローラによって受信又は取得され、コントローラは、トリガポートのステータス、及び/又は出力に基づくトリガポートのステータスの変化を決定する。
【0033】
いくつかの構成では、コントローラは、呼吸可能ガスが好適な圧力で患者に送達されるように呼吸装置の動作を制御する。
【0034】
いくつかの構成では、コントローラは、流れ発生器のモータ速度を設定することにより、呼吸装置の動作を制御する。
【0035】
いくつかの構成では、コントローラは、トリガポートのステータスの変化がある場合に、呼吸装置に制御信号を送信する。
【0036】
いくつかの構成では、デバイスは、患者インタフェースに取外し可能に接続されるのを可能にする連結機構を含む。
【0037】
いくつかの構成では、デバイスは、導管を介して呼吸装置から呼吸可能ガスを受け取る。
【0038】
いくつかの構成では、導管はデバイスの入口に挿入される。
【0039】
いくつかの構成では、デバイスはTピースデバイスである。
【0040】
さらなる態様において、本開示は、
本開示の第1又は第2態様によるデバイスと、
第1端部でデバイスの入口に連結され、第2端部で呼吸装置のガス出口に接続するように配置されて、そこから呼吸可能ガスの流れを受け取るように配置された導管と、
を備えるデバイス回路を提供する。
【0041】
いくつかの構成では、導管は、第2端部に、呼吸装置に接続するためのコネクタを含む。
【0042】
いくつかの構成では、コネクタは、呼吸装置の出口に挿入されるように配置されたテーパ状の接続部分を備える。
【0043】
いくつかの構成では、導管は、1~2メートル、約1.5~2メートル、又は1.6メートルの長さを有する。
【0044】
いくつかの構成では、導管は、デバイスの入口に取外し不能に連結されている。
【0045】
第3態様において、本開示は、呼吸療法で使用されるインタフェースアセンブリを提供し、本インタフェースアセンブリは、
本開示の第1態様又は第2態様のうちの任意の1つ又は複数によるデバイスと、
呼吸療法中に患者の気道と連通するように配置された患者インタフェースと、
を含む。
【0046】
第4態様において、本開示は、患者に呼吸可能ガスを送達するガス送達システムであって、
流れ発生器と、流れ発生器を制御するように配置されたコントローラと、流れ発生器からの供給源流量(Fs)とインタフェースガス流量(Fm)とを決定するように構成された1つ又は複数のセンサとを含む呼吸装置と、
流れ発生器から患者に呼吸可能ガスを送達する導管アセンブリと、
導管アセンブリから呼吸可能ガスを受け取り、呼吸可能ガスを患者に搬送するように配置されたインタフェースアセンブリであって、トリガポートを備えるインタフェースアセンブリと、
を備え、
コントローラが、供給源流量とインタフェースガス流量との差を計算し、その差に基づいてトリガポートのステータスを決定し、トリガポートの決定されたステータスに基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを提供するように流れ発生器を動作させるように配置されている、ガス送達システムを提供する。
【0047】
いくつかの構成では、インタフェースアセンブリは、
患者の気道と連通する患者インタフェースと、
患者インタフェース及び導管アセンブリに流体的に結合された、呼吸可能ガスを導管アセンブリから患者インタフェースに搬送するデバイスと、
を含む。
【0048】
いくつかの構成では、1つ又は複数のセンサは、流量センサ、圧力センサ、差圧センサ、質量流量センサ、超音波流量センサ及び/又はサーミスタのうちの1つ又は複数を含む。
【0049】
いくつかの構成では、差圧センサは、ガス流路内に流量制限部を含み、流量制限部は、流量制限部の両側に差圧を生じさせるように配置されている。
【0050】
いくつかの構成では、流量制限部は、1つ又は複数の偏向可能なフラップ、可変オリフィス膜/ダイヤフラム、及びそれらに類似するものを含むことができる。
【0051】
いくつかの構成では、差圧センサは、デバイス内の呼吸可能ガスの第1圧力及び第2圧力を測定するように配置された2つの圧力検出素子を含む。
【0052】
いくつかの構成では、圧力検知素子は圧力検知チューブを含む。
【0053】
いくつかの構成では、デバイスは2つの圧力検知ポートを含み、圧力検知素子は、圧力検知ポートを介して圧力測定を行うように配置されている。
【0054】
いくつかの構成では、圧力検知素子は、偏向可能なフラップの両側の圧力差を測定するように配置されている。
【0055】
いくつかの構成では、トリガポートは装置の壁内に位置している。
【0056】
いくつかの構成では、デバイスはTピースデバイスである。
【0057】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスは、少なくとも閉鎖状態及び開放状態を含む。
【0058】
いくつかの構成では、トリガポートが物体によって塞がれて、トリガポートを介するガス流を制限又は阻止する場合、トリガポートのステータスは閉鎖であり、トリガポートが塞がれていない場合、トリガポートのステータスは開放である。
【0059】
いくつかの構成では、コントローラは、
上記差を第1閾値流量(Fa)及び/又は第2閾値流量(Fb)と比較し、
その比較に基づいてトリガポートのステータスを決定し、トリガポートは開放状態又は閉鎖状態のいずれかである
ように配置されている。
【0060】
いくつかの構成では、コントローラは、
トリガポートの以前のステータスをメモリから取得し、
トリガポートの以前のステータスが開放状態である場合、上記差を第1閾値流量Faと比較し、トリガポートの以前のステータスが閉鎖状態である場合、上記差を第2閾値流量Fbと比較し、
その比較に基づいてトリガポートの現在のステータスを決定し、
以前のステータスを現在のステータスと比較することにより、トリガポートのステータスが変化したか否かを判断する
ように配置されている。
【0061】
いくつかの構成では、トリガポートは、供給源流量とインタフェースガス流量との差が第1閾値流量よりも小さい(ΔF<Fa)場合、閉鎖状態にある。
【0062】
いくつかの構成では、差が第2閾値流量よりも大きい(ΔF>Fb)場合、トリガポートは開放状態にある。
【0063】
いくつかの構成では、第2閾値流量はインタフェース圧力に基づいて計算される。
【0064】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、K*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Kは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0065】
いくつかの構成では、第2閾値流量は0.5~10リットル/分(L/min)の範囲内である。
【0066】
いくつかの構成では、第2閾値流量は一定レベルに設定される。
【0067】
いくつかの構成では、第2閾値流量は1L/minである。
【0068】
いくつかの構成では、第1閾値流量はインタフェース圧力に基づいて決定される。
【0069】
いくつかの構成では、第1閾値流量は、Fa=J*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Jは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0070】
いくつかの構成では、第1閾値流量は0.5~10L/minの範囲内である。
【0071】
いくつかの構成では、第1閾値流量は一定レベルに設定される。
【0072】
いくつかの構成では、第1閾値流量は1L/minに設定される。
【0073】
いくつかの構成では、コントローラは、トリガポートが閉鎖状態にあると判断された場合は第1圧力で、トリガポートが開放状態にあると判断された場合には第2圧力で、患者に呼吸可能ガスを送達するように流れ発生器を動作させるように配置されている。
【0074】
いくつかの構成では、第1圧力は第2圧力よりも高い。
【0075】
いくつかの構成では、第1圧力は高圧であり、第2圧力は低圧である。
【0076】
いくつかの構成では、高圧ガス流は最大吸気圧(PIP)に対応し、低圧ガス流は呼気終末陽圧(PEEP)に対応する。
【0077】
いくつかの構成では、乳児又は新生児患者の場合、PEEPは、1、2、3、4、5、6、7、又は8cmHOに相当し、PIPは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60cmHOに相当する。
【0078】
いくつかの構成では、コントローラは、流れ発生器のモータ速度を設定することにより、流れ発生器を動作させる。
【0079】
いくつかの構成では、流れ発生器のモータ速度は、所定の時間間隔にわたって調整される。
【0080】
いくつかの構成では、所定の時間間隔は、100~400ms、又は100~300ms、又は100~200ms、又は約150msである。
【0081】
いくつかの構成では、流れ発生器は、呼吸可能ガス供給源に流体的に連結されており、この呼吸可能ガス供給源は、壁に取り付けられたガス供給源であってもよい。
【0082】
いくつかの構成では、システムは、患者に搬送される前の呼吸可能ガスに湿気を加える加湿器を含む。
【0083】
いくつかの構成では、システムは、患者を蘇生させるように、又は患者に陽圧換気(PPV)療法を送達するように、呼吸可能ガスを送達するために使用される。
【0084】
第5態様において、本開示は、ガス送達システムを、
供給源ガス流量を決定することと、
送達ガス流量を決定することと、
供給源ガス流量と送達ガス流量との差を計算することと、
ガス送達システムに、供給源ガス流量と送達ガス流量との計算された差に基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを送達させることと、
によって制御する方法を提供する。
【0085】
いくつかの構成では、供給源ガス流量を決定するステップは、
1つ又は複数の第1センサから測定値を受信又は取得することと、
測定値に基づいて、供給源ガス流の流量(Fs)である第1流量を決定することと、
を含む。
【0086】
いくつかの構成では、送達ガス流量を決定するステップは、
1つ又は複数の第2センサから測定値を受信又は取得することと、
測定値に基づいて、患者インタフェースに供給される呼吸可能ガスの流量(Fm)である第2流量を決定することと、
を含む。
【0087】
いくつかの構成では、供給源ガス流量と送達ガス流量との差を計算するステップは、
第1流量と第2流量との差(ΔF=Fs-Fm)を計算すること
を含む。
【0088】
いくつかの構成では、本方法は、
第1流量と第2流量との差を、第1閾値流量(Fa)及び/又は第2閾値流量(Fb)と比較することと、
その比較に基づいてトリガポートのステータスを決定することと、
をさらに含む。
【0089】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスは、開放状態又は閉鎖状態を含む。
【0090】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートの以前のステータスを取得することであって、トリガポートの以前のステータスが開放状態又は閉鎖状態を含む、取得することと、
トリガポートの以前のステータスが開放状態にある場合、第1流量と第2流量との差を第1閾値流量Faと比較し、又は、トリガポートの以前のステータスが閉鎖状態にある場合、第1流量と第2流量との差を第2閾値流量Fbと比較することと、
その比較に基づいてトリガポートの現在のステータスを決定することと、
以前のステータスを現在のステータスと比較することにより、トリガポートのステータスが変化したか否かを判断することと、
を含む。
【0091】
いくつかの構成では、トリガポートは、上記差が第1閾値流量よりも小さい(ΔF<Fa)場合、閉鎖状態にある。
【0092】
いくつかの構成では、トリガポートは、上記差が第2閾値流量よりも大きい(ΔF>Fb)場合、開放状態にある。
【0093】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、インタフェース圧力に基づいて計算される。
【0094】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、K*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Kは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0095】
いくつかの構成では、第2閾値流量は0.5~10L/minの範囲内である。
【0096】
いくつかの構成では、第2閾値流量は一定レベルに設定される。
【0097】
いくつかの構成では、第2閾値流量は1L/minの一定レベルに設定される。
【0098】
いくつかの構成では、第1閾値流量はインタフェース圧力に基づいて決定される。
【0099】
いくつかの構成では、第1閾値流量は、Fa=J*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Jは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0100】
いくつかの構成では、第1閾値流量は0.5~10L/minの範囲内である。
【0101】
いくつかの構成では、第1閾値流量は一定レベルに設定される。
【0102】
いくつかの構成では、第1閾値流量は1L/minの一定レベルに設定される。
【0103】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートが閉鎖状態にあると判断された場合、第1圧力で患者に呼吸可能ガスを送達するようにガス送達システムを動作させることと、
トリガポートが開放状態にあると判断された場合、第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達するようにガス送達システムを動作させることと、
をさらに含む。
【0104】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートのステータスが変化するまで、患者に第1圧力又は第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達し続けるようにガス送達システムを動作させること
をさらに含む。
【0105】
いくつかの構成では、第1圧力は第2圧力よりも高い。
【0106】
いくつかの構成では、第1圧力は最大吸気圧(PIP)に対応し、第2圧力は呼気終末陽圧(PEEP)に対応する。
【0107】
いくつかの構成では、乳児又は新生児患者の場合、PEEPは、1、2、3、4、5、6、7、又は8cmHOに相当し、PIPは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60cmHOに相当する。
【0108】
いくつかの構成では、第1圧力又は第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達するようにガス送達システムを動作させるステップは、
システムの流れ発生器に制御信号を送信すること
を含む。
【0109】
いくつかの構成では、流れ発生器は、流れ発生器のモータ速度が制御されることによって動作する。
【0110】
いくつかの構成では、流れ発生器は、ブロワファンの速度が制御されることによって動作する。
【0111】
いくつかの構成では、モータ速度は、送達される呼吸可能ガスが第1圧力又は第2圧力に達するまで、所定の時間間隔にわたって変更される。
【0112】
いくつかの構成では、所定の時間間隔は、100~400ms、又は100~300ms、又は100~200ms、又は約150msである。
【0113】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートを介する空気流を実質的に減少させるか又は阻止することによって、トリガポートが閉鎖状態にあるようにすることと、
トリガポートを介する空気流を可能にすることにより、トリガポートが開放状態にあるようにすることと、
をさらに含む。
【0114】
いくつかの構成では、トリガポートが閉鎖状態にあるようにするステップは、トリガポートを物体で塞ぐことを含み、トリガポートが開放状態にあるようにするステップは、トリガポートから物体を取り除くことを含む。
【0115】
いくつかの構成では、物体はオペレータの指である。
【0116】
いくつかの構成では、第2流量を決定するステップは、
第1位置で呼吸可能ガスの第1圧力を測定することと、
第2位置で呼吸可能ガスの第2圧力を測定することと、
第1圧力と第2圧力の圧力差を計算することと、
圧力差に基づいて、患者インタフェースに供給される呼吸可能ガスの流量(Fm)を計算することと、
を含む。
【0117】
いくつかの構成では、第1位置は、デバイスの入口又はその近くであり、そこで、デバイスは、流れ発生器と流体連通している導管アセンブリから呼吸可能ガスを受け取る。
【0118】
いくつかの構成では、第2位置は、デバイスの出口又はその近くであり、そこで、デバイスは、呼吸可能ガスを患者インタフェースに搬送する。
【0119】
いくつかの構成では、第2圧力はインタフェース圧力である。
【0120】
第7態様において、本開示は、インタフェースアセンブリを介して患者に呼吸可能ガスを送達する方法であって、前記インタフェースアセンブリがトリガポートを含み、
ガス送達システムによって生成された供給源ガス流量と、インタフェースアセンブリに送達された送達ガス流量とを決定することによって、トリガポートのステータスを決定することと、
ガス送達システムに、トリガポートの決定されたステータスに基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを送達させることと、
を含む方法を提供する。
【0121】
いくつかの構成では、供給源ガス流量を決定するステップは、
1つ又は複数の第1センサから測定値を受信又は取得することと、
測定値に基づいて、供給源ガス流の流量(Fs)である第1流量を決定することと、
を含む。
【0122】
いくつかの構成では、送達ガス流量を決定するステップは、
1つ又は複数の第2センサから測定値を受信又は取得することと、
測定値に基づいて、患者インタフェースに供給される呼吸可能ガスの流量(Fm)である第2流量を決定することと、
を含む。
【0123】
いくつかの構成では、本方法は、第1流量と第2流量との差(ΔF=Fs-Fm)を計算することをさらに含む。
【0124】
いくつかの構成では、本方法は、
第1流量と第2流量との差を、第1閾値流量(Fa)及び/又は第2閾値流量(Fb)と比較することと、
その比較に基づいてトリガポートのステータスを決定することと、
をさらに含む。
【0125】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスは、開放状態又は閉鎖状態を含む。
【0126】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートの以前のステータスを取得することであって、トリガポートの以前のステータスが開放状態又は閉鎖状態を含む、取得することと、
トリガポートの以前のステータスが開放状態にある場合、第1流量と第2流量との差を第1閾値流量Faと比較し、又は、トリガポートの以前のステータスが閉鎖状態にある場合、第1流量と第2流量との差を第2閾値流量Fbと比較することと、
その比較に基づいてトリガポートの現在のステータスを決定することと、
以前のステータスを現在のステータスと比較することにより、トリガポートのステータスが変化したか否かを判断することと、
を含む。
【0127】
いくつかの構成では、トリガポートは、上記差が第1閾値流量よりも小さい(ΔF<Fa)場合、閉鎖状態にある。
【0128】
いくつかの構成では、トリガポートは、上記差が第2閾値流量よりも大きい(ΔF>Fb)場合、開放状態にある。
【0129】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、インタフェース圧力に基づいて計算される。
【0130】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、K*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Kは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0131】
いくつかの構成では、第2閾値流量は0.5~10L/minの範囲内である。
【0132】
いくつかの構成では、第2閾値流量は一定レベルに設定される。
【0133】
いくつかの構成では、第2閾値流量は1L/minの一定レベルに設定される。
【0134】
いくつかの構成では、第1閾値流量はインタフェース圧力に基づいて決定される。
【0135】
いくつかの構成では、第1閾値流量は、Fa=J*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Jは実験に基づいて又は較正段階中に決定された係数である。
【0136】
いくつかの構成では、第1閾値流量は0.5~10L/minの範囲内である。
【0137】
いくつかの構成では、第1閾値流量は一定レベルに設定される。
【0138】
いくつかの構成では、第1閾値流量は1L/minの一定レベルに設定される。
【0139】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートが閉鎖状態にあると判断された場合、第1圧力で患者に呼吸可能ガスを送達するようにガス送達システムを動作させることと、
トリガポートが開放状態にあると判断された場合、第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達するようにガス送達システムを動作させることと、
をさらに含む。
【0140】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートのステータスが変化するまで、患者に第1圧力又は第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達し続けるようにガス送達システムを動作させること
をさらに含む。
【0141】
いくつかの構成では、第1圧力は第2圧力よりも高い。
【0142】
いくつかの構成では、第1圧力は最大吸気圧(PIP)に対応し、第2圧力は呼気終末陽圧(PEEP)に対応する。
【0143】
いくつかの構成では、乳児又は新生児患者の場合、PEEPは、1、2、3、4、5、6、7、又は8cmHOに相当し、PIPは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60cmHOに相当する。
【0144】
いくつかの構成では、ガス送達システムに第1圧力又は第2圧力で患者に呼吸可能ガスを送達させるステップは、
システムの流れ発生器に制御信号を送信すること
を含む。
【0145】
いくつかの構成では、流れ発生器は、流れ発生器のモータ速度が制御されることによって動作する。
【0146】
いくつかの構成では、流れ発生器は、ブロワファンの速度が制御されることによって動作する。
【0147】
いくつかの構成では、モータ速度は、送達される呼吸可能ガスが第1圧力又は第2圧力に達するまで、所定の時間間隔にわたって変更される。
【0148】
いくつかの構成では、所定の時間間隔は、100~400ms、又は100~300ms、又は100~200ms、又は約150msである。
【0149】
いくつかの構成では、本方法は、
トリガポートを介する空気流を実質的に減少させるか又は阻止することによって、トリガポートが閉鎖状態にあるようにすることと、
トリガポートを介する空気流を可能にすることにより、トリガポートが開放状態にあるようにすることと、
をさらに含む。
【0150】
いくつかの構成では、トリガポートが閉鎖状態にあるようにするステップは、トリガポートを物体で塞ぐことを含み、トリガポートが開放状態にあるようにするステップは、トリガポートから物体を取り除くことを含む。
【0151】
いくつかの構成では、物体はオペレータの指である。
【0152】
いくつかの構成では、第2流量を決定するステップは、
第1位置で呼吸可能ガスの第1圧力を測定することと、
第2位置で呼吸可能ガスの第2圧力を測定することと、
第1圧力と第2圧力の圧力差を計算することと、
圧力差に基づいて、患者インタフェースに供給される呼吸可能ガスの流量(Fm)を計算することと、
を含む。
【0153】
いくつかの構成では、第1位置は、デバイスの入口又はその近くであり、そこで、デバイスは、流れ発生器と流体連通している導管アセンブリから呼吸可能ガスを受け取る。
【0154】
いくつかの構成では、第2位置は、デバイスの出口又はその近くであり、そこで、デバイスは、呼吸可能ガスを患者インタフェースに搬送する。
【0155】
いくつかの構成では、第2圧力はインタフェース圧力Pmである。
【0156】
第8態様において、本開示は、患者に呼吸可能ガスを送達するガス送達システムであって、
流れ発生器と、流れ発生器を制御するように配置されたコントローラと、流れ発生器に近接する少なくとも1つのセンサとを含む呼吸装置であって、少なくとも1つのセンサが、少なくとも、流れ発生器からの供給源流量(Fs)を決定するように構成されている呼吸装置と、
流れ発生器から患者に呼吸可能ガスを送達する導管アセンブリと、
導管アセンブリから呼吸可能ガスを受け取り、呼吸可能ガスを患者に搬送するように配置されたインタフェースアセンブリであって、トリガポートを備えるインタフェースアセンブリと、
を備え、
コントローラが、決定された供給源流量(Fs)を閾値流量(Fth)と比較することによって、トリガポートのステータスを決定し、トリガポートの決定されたステータスに基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを提供するように流れ発生器を動作させるように配置されている、ガス送達システムを提供する。
【0157】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスは、開放又は閉鎖のいずれかである。
【0158】
いくつかの構成では、圧力はPIP状態又はPEEP状態のいずれかで提供され、PIP状態はPEEP状態よりも高く、PIP状態はトリガポートが閉鎖していることに対応し、PEEP状態はトリガポートが開放していることに対応する。
【0159】
いくつかの構成では、コントローラは、システム内のある点の圧力(P)を決定するようにさらに構成されている。
【0160】
いくつかの構成では、閾値流量(Fth)はL*sqrt(P)に関係し、ここで、Lは係数であり、Pはインタフェースアセンブリの患者インタフェースにおける数学的に求められた圧力である。
【0161】
いくつかの構成では、Lは、システムの2つ以上の流出点/シナリオに関連付けられたコンダクタンス値に関連する。
【0162】
いくつかの構成では、Lは、トリガポートに関連付けられたコンダクタンス値と、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システムを通る最小予想流量に関連付けられたコンダクタンス値とに関連する。
【0163】
いくつかの構成では、Lは、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システムを通る予想される最小予想流量に関連付けられたコンダクタンス値と、PIPの送達中に患者インタフェースを通る最大流出に関連付けられたコンダクタンス値とに関連する。
【0164】
いくつかの構成では、閾値流量(Fth)は、流れが患者の肺に出入りする流量にさらに関連する。
【0165】
いくつかの構成では、Fs<Fthである場合、トリガポートは閉鎖状態にあると判断される。
【0166】
いくつかの構成では、Fs>Fthである場合、トリガポートは開放状態にあると判断される。
【0167】
いくつかの構成では、トリガポートのステータスの決定は、ヒステリシス分析をさらに含み、そこでは、トリガポートのステータスを決定する際に、トリガポートの以前のステータスが考慮される。
【0168】
いくつかの構成では、本システムは、
- 患者インタフェースの切断及び/又は不適切な接続/不完全な接続(まとめて「接続の問題」)、
- 導管又は加湿器等、システムの1つ又は複数の他の構成要素の切断、及び/又は
- システム内又はシステムの閉塞
のうちの1つ又は複数を検出するようにさらに構成されている。
【0169】
いくつかの構成では、本システムは、患者インタフェースの接続問題を検出するように構成されており、本システムは、患者インタフェースの接続問題を示す過剰流量閾値(Fleakth)を決定するように構成されている。
【0170】
いくつかの構成では、Fleakthは、1つ又は複数のコンダクタンス値、及び圧力に依存する。
【0171】
いくつかの構成では、Fleakthは、患者の肺に出入りする流量にさらに依存する。
【0172】
いくつかの構成において、請求項71に従属するとき、本システムは、供給源流量(Fs)がFleakthよりも大きいとき、患者インタフェース接続問題が存在すると判断する。
【0173】
いくつかの構成において、請求項36に従属するとき、本システムは、インタフェースガス流量(Fm)がFleakthよりも大きいとき、患者インタフェース接続問題が存在すると判断する。
【0174】
いくつかの構成では、患者インタフェース接続問題が検出された場合、本システムは、
- 供給源流量(Fs)を固定流量に設定すること、
- 流れ発生器のモータ速度を固定速度に設定すること、
- 流れ発生器における圧力を固定圧力に設定すること、及び/又は
- アラーム又はアラートを発生させること
の1つ又は複数を行うように構成されている。
【0175】
いくつかの構成では、本システムは、導管又は加湿器等、システムの1つ又は複数の他の構成要素の切断を検出するように構成されており、システムは、システムの1つ又は複数の他の構成要素に対応するコンダクタンスを決定し、システムの全体的なコンダクタンスを決定し、システムの全体的なコンダクタンスが、1つ又は複数の他の構成要素に対応するコンダクタンスよりも大きい場合、システムの前記1つ又は複数の他の構成要素の切断を検出するように構成されている。
【0176】
いくつかの構成では、前記1つ又は複数の他の構成要素の切断が検出された場合、本システムは、固定モータ速度を設定すること、及び/又はアラーム又はアラートを生成することを行うように構成されている。
【0177】
いくつかの構成では、本システムは、システム内又はシステムの閉塞を検出するように構成されており、本システムは、閉塞を検出する際に使用する閾値流量値を決定するように構成されている。
【0178】
いくつかの構成では、閾値流量値は、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システムを通る最小予想流量に対応し、供給源流量(Fs)が閾値流量値よりも小さい場合、閉塞が検出される。
【0179】
いくつかの構成では、閾値流量値は、トリガポートが閉じられ、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システムを通る最小予想流量に関連付けられたコンダクタンスと、患者インタフェースにおける圧力との組合せから導出され、供給源流量(Fs)が閾値流量値よりも小さい場合、閉塞が検出される。
【0180】
いくつかの構成では、閾値流量値は、患者の実際の肺コンプライアンス又は近似した肺コンプライアンスからさらに導出される。
【0181】
いくつかの構成では、システムの閉塞が検出された場合、システムは、固定モータ速度を設定すること、及び/又はアラーム又はアラートを発生させることを行うように構成されている。
【0182】
本開示のいくつかの実施形態のさらなる態様及び利点は、単に例示を目的として与える以下の説明から明らかとなろう。
【0183】
例示の目的で添付図面にさまざまな実施形態を描いているが、それらは、決して実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、異なる開示する実施形態のさまざまな特徴を組み合わせて、本開示の一部である、追加の実施形態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
図1】本開示の1つの実施形態によるガス送達システムの一例を示す。
図2】本開示の1つの実施形態による導管アセンブリ及びインタフェースアセンブリの一例を示す。
図3A】各々、本開示の1つの実施形態によるデバイスの一例を示す。
図3B】各々、本開示の1つの実施形態によるデバイスの一例を示す。
図4A】各々、本開示の1つの実施形態によるデバイスの代替例を示す。
図4B】各々、本開示の1つの実施形態によるデバイスの代替例を示す。
図5】アクチュエータがさまざまな異なる位置にある、デバイスのトリガポートを閉塞又は閉塞解除するために使用される弁の一実施形態の断面図を示す。
図6図5の弁の側面外観図を示す。
図7】1つの実施形態によるガス送達システムの簡略化した概略図を示す。
図8】1つの実施形態によるガス送達システムの別の簡略化した概略図を示す。
図9】コントローラの一実施形態に実装された制御ロジックの概略図を示す。
図10】コントローラの一実施形態に実装された別の制御ロジックの概略図を示す。
図11】コントローラの一実施形態に実装された制御ロジックのさらに別の例を示す。
図12】1つの実施形態によるデバイス及び例示的な流量センサの一例の外観図を示す。
図13図12のデバイス及び流量センサの例の断面図を示す。
図14図12及び図13のデバイス及び流量センサの分解図を示す。
図15図12及び図13のデバイス及び流量センサの側面断面図を示す。
図16】本開示の別の実施形態によるガス送達システムの簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0185】
本開示は、患者に呼吸可能ガスを送達するように配置されたガス送達システムに適用可能なさまざまなシステム及び方法に関する。
【0186】
概要
図1に、本開示の1つの実施形態によるガス送達システム1の一例を示す。
【0187】
ガス送達システム1は、呼吸可能ガスを患者の気道に送達することにより、患者に呼吸療法を提供するように構成されている。呼吸療法は、呼吸を補助し且つ/又は呼吸障害を治療するために患者に送達される圧力療法であり得る。圧力療法は、ガス送達システム1が、1つ又は複数の時間窓にわたり、1つ又は複数の目標圧力で患者に又は患者の近くに圧力を提供することを含むことができる。圧力療法は、乳児蘇生療法、気道陽圧療法(PAP)、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、二相性気道陽圧療法、非侵襲的換気、バブルCPAP療法、又は別の形態の圧力療法とすることができる。いくつかの構成では、デバイスは、乳児蘇生を達成するために二相性気道陽圧療法を提供することができる。
【0188】
本開示で用いる場合の「圧力療法」は、約1cmHO以上の圧力での呼吸可能ガスの患者への送達を指すものとし、患者の自然な呼吸サイクルを模倣するように送達され、且つ/又は患者の呼吸を補助するために患者の呼吸サイクルに従って送達される。
【0189】
いくつかの構成では、患者に送達される呼吸可能ガスは、酸素であるか又は酸素を含む。いくつかの構成では、ガスは、酸素又は酸素富化ガスと周囲空気との混合物を含む。いくつかの構成では、送達されるガス中の酸素の割合は、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は約100%であってもよい。少なくとも1つの構成では、送達されるガスは、大気組成であってもよい。少なくとも1つの構成では、送達されるガスは大気であってもよい。
【0190】
乳児蘇生に関連して、子宮内にあるとき、胎児の肺は流体で満たされており、酸素は胎盤の血管から来る。出生時には、産道による肺の圧迫に補助されて、出生後の連続呼吸への移行が起こる。また、表面張力を低下させるために肺胞を覆う界面活性剤の存在も、乳児の呼吸を補助している。乳児蘇生の必要性は、以下にさらに述べるように、さまざまな状況で起こる可能性がある。
【0191】
大部分の乳児は平均的な子宮収縮の間、産道を通過することに耐えるが、そうでない少数の乳児は、出生時に正常な呼吸を確立するために補助を必要とする場合がある。分娩中に重大な胎児機能不全の徴候がある場合、嬰児が妊娠25週以前に分娩される場合(特に、界面活性剤の産生は妊娠24週目までは開始せず、妊娠34週目まで継続するため)、嬰児が骨盤位分娩で経腟分娩される場合、母体の感染症、多胎妊娠の場合にも、蘇生が必要となる場合がある。さらに、医療介入を必要とする出生時、特に妊娠39週以前の分娩の場合の移行。
【0192】
全体的に言えば、ガス送達システム1は、呼吸装置100と、1つ又は複数の相互接続されたチューブを含む導管アセンブリ200と、患者の気道と連通するように配置された患者インタフェース340を含むインタフェースアセンブリとを備える。いくつかの実施形態では、デバイス320が、導管アセンブリ200を患者インタフェース340に流体連結している。デバイス320は、患者インタフェース340の一部とすることができ、又は、インタフェース340とは別個に作製され、後に使用時にインタフェース340に連結されるデバイスとすることもできる。少なくともいくつかの実施形態では、デバイス320は、デバイス320が、一方の端部において患者インタフェース340の入口に流体的に連結し、もう一方の端部において導管アセンブリ200のコネクタに流体的に連結するのを可能にする、好適なコネクタ又は構造を含む。いくつかの実施形態では、デバイス320及び患者インタフェース340は、本開示においてまとめてインタフェースアセンブリと称する。
【0193】
図2は、インタフェースアセンブリに接続された導管アセンブリ200の一例を示す。導管アセンブリ200は、コネクタ211、212を介して互いに連結されている相互接続チューブ210、312を含む。チューブ210は、別の好適なコネクタ201を介して供給源ガス流に接続するように配置することができる。
【0194】
再び図1を参照すると、呼吸装置100は、流れ発生器110と、流れ発生器110によって発生したガスを加湿する任意選択的な加湿器120と、流れ発生器110及び/又は加湿器120(存在する場合)の動作を管理する関連するコントローラ130とを含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、流れ発生器110は、ブロワ110の形態とすることができる。
【0195】
呼吸装置100のコントローラ130は、例えば、ディスプレイと、ボタン、タッチスクリーン等の入力デバイスとを含む、関連するユーザインタフェース140を含むことができる。コントローラ130は、患者に送達するガスの流れを生成するように流れ発生器110を動作させることと、生成されたガス流を加湿及び/又は加熱するように加湿器120(存在する場合)を動作させることと、ガス送達システム1の再構成及び/又はユーザ定義動作のためにセンサ30、31、32、33及び/又はユーザインタフェース140から1つ又は複数の入力を受け取ることと、ディスプレイ上でオペレータに情報を出力することとのうちの1つ又は複数等、ガス送達システム1の構成要素を制御し且つ/又は構成要素と相互作用するように、構成又はプログラムされている。
【0196】
コントローラ130は、所望の圧力又は所望の流量でガス流を発生させるように呼吸装置100を制御することができる。特に、コントローラ130は、所望の圧力及び/又は流量でガス流を発生させるように流れ発生器110を制御する。
【0197】
コントローラ130は、適切なレベルまでガス流を加湿し且つ/又はガス流を加熱するように、加湿器120(存在する場合)を制御することもできる。ガス流は、導管アセンブリ200及び患者インタフェース340を通って患者まで誘導される。コントローラ130は、ガスを所望の温度まで加熱し且つ/又は所望の温度で維持するように、加湿器120の加湿器加熱素子及び/又は導管210の加熱素子220を制御することができる。コントローラ130は、ガス流の好適な目標温度及び/又は湿度でプログラムすることができ、又はそうした温度及び湿度を決定することができる。コントローラ130は、ガス流の適切な目標温度及び/又は湿度でプログラムすることができ、又は、そうした温度及び湿度を決定し、加湿器加熱素子、導管加熱素子220及び流れ発生器110のうちの1つ又は複数を使用して、流量及び/又は圧力を目標温度及び/又は湿度に制御することができる。加熱されたガスの目標温度及び/又は湿度は、患者の所望の治療レベル及び/又は快適さを達成するように設定することができる。
【0198】
呼吸装置100及び/又は導管アセンブリ200及び/又は患者インタフェース340のさまざまな場所に、動作センサ30、31、32及び33を配置することができる。センサ30、31、32、33からの1つ又は複数の出力は、コントローラ130によって監視されて、コントローラ130が最適な療法を提供する方法でガス送達システム1を動作させるのに役立つことができる。いくつかの構成では、最適な療法を提供することは、患者の吸気要求を満たすことを含む。少なくとも1つの構成では、最適な療法を提供することは、第1時点で第1目標圧力を患者に提供し、第2時点で第2目標圧力を患者に提供することを含む。
【0199】
呼吸装置100は、コントローラ130がセンサ30、31、32、33からの送信信号を受信すること、及び/又はガス送達システム1のさまざまな構成要素を制御することを可能にするように、送信器150、受信器150及び/又は送受信器150を有することができる。コントローラ130は、限定されないが、流れ発生器110、加湿器120又は加湿器加熱素子220を含む構成要素に関連する、センサからの送信信号を受信し、又はそうした構成要素を制御することができる。上述したように、ガス送達システム1は、呼吸装置100から呼吸可能ガスを受け取り、ガス流を患者インタフェース340に向けるための導管アセンブリ200を備える。
【0200】
少なくとも1つの構成では、患者インタフェース340は密閉式患者インタフェースの形態とすることができる。少なくとも1つの構成では、患者インタフェース340は、呼吸マスク、又は気管内チューブ、又は喉頭マスクの形態とすることができる。患者インタフェース340は、患者の鼻及び/又は口の中又は周囲に気密シールを形成する、患者側終端部26のシール又はクッションを介して、患者の気道に呼吸可能ガスを送達するように構成することができる。患者インタフェース340は、患者側終端部26と患者の鼻及び/又は口との間に気密シールを形成する、口鼻、鼻、直接鼻及び/又は口患者インタフェースとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、シール又はクッションは、ヘッドギアによって患者の顔面の適所に保持することができる。少なくとも1つの実施形態では、患者インタフェース340は、医療専門家であり得るオペレータによって患者の顔面に保持することができる。こうした密閉式患者インタフェースを使用して、患者に圧力療法を送達することができる。代替的な患者インタフェース、例えば鼻プロングを含むものも使用することができる。いくつかの例では、鼻プロングは密閉式であっても非密閉式であってもよい。
【0201】
新生児インタフェースは、新生児に使用するように構成された、上述したような任意のインタフェースであり得る。新生児インタフェースは、患者の鼻及び口の周りを少なくとも部分的に、好ましくは実質的に封止するように構成することができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、呼吸装置100から離れた患者側の端部で呼吸装置100をトリガして、患者に送達されるガスの圧力を調整するように、ガス送達システム1で使用されるデバイス320が設けられている。すなわち、トリガは、呼吸装置100の設定を直接変更することなく、デバイス320を介して患者側の端部で行われる。図3A図3B図4A図4Bは、Tピースデバイスと呼ばれることがある、2つのタイプのこうしたデバイスを示す。
【0203】
上述したように、既存の呼吸装置は、定流量で呼吸可能ガスの流れを供給する固定ガス流源に基づいて動作するように構成されていることが多い。TピースデバイスのPEEPオリフィスを閉塞又は閉塞解除することにより、患者に異なる圧力の呼吸可能ガスを提供することができる。加えて、既存のTピースデバイスでは、「PIP」圧力及び「PEEP」圧力の両方が、少なくとも部分的に供給源流量とインタフェース漏れとによって決まる。これは、送達圧力を所望のレベルで維持するためには、固定ガス流源又は呼吸装置の手動調整が必要となる可能性があることを意味する。場合により、患者の呼吸、咳、患者の動き、マスクの膨張、ホースの曲げ、及び漏れ等の「誤ったトリガ」に起因して、送達圧力が異なる設定に切り替えられる可能性がある。本開示は、こうしたシステムが直面する1つ又は複数の問題を改善すること、又は少なくとも有用な代替手段を提供することを目的とする。本明細書に開示する実施形態によれば、呼吸装置は、呼吸システムのデバイスのトリガポートを閉塞又は閉塞解除することにより、目標圧力レベルで患者に呼吸可能ガスを供給するように遠隔でトリガされ、これにより呼吸装置はその設定を構成する。
【0204】
図3A図3B図4A図4Bを参照すると、各デバイス320は、導管アセンブリ200を介して呼吸装置100から呼吸可能ガスを受け取るように配置された入口324と、呼吸療法を送達しているときに患者インタフェース340に接続される出口325とを含む。各デバイス320は、患者に呼吸療法を送達しているときに、物体、例えばオペレータ又は医療専門家の指で、閉塞又は閉塞解除されるように配置されたトリガポート322も含む。トリガポート322は、デバイス320の排気口も形成している。トリガポート322が閉塞されると、流れ発生器110から受け取られる呼吸可能ガスの大部分又はすべてが、患者インタフェース340を介して患者に送達され、ガス送達システム1は、呼吸可能ガスを第1圧力で患者に送達する。トリガポート322から閉塞が取り除かれると、トリガポート322は、排気口として動作し、呼吸可能ガスの一部がデバイス320の内部空洞から周囲空気に出るのを可能にし、ガス送達システム1は、呼吸可能ガスを第2圧力で患者に送達する。Tピースデバイス320に、任意選択的な弁、例えばダックビル弁323も含めることができ、これは、ガスサンプリングデバイス、又は流体クリアランス若しくは界面活性剤送達のためのカテーテル等の補助機器の挿入に使用することができる。
【0205】
少なくともいくつかの構成では、トリガポート322は、可動アクチュエータを含む弁によって閉塞又は閉塞解除されるように配置することができ、そこでは、アクチュエータの移動により、弁を通る流路が調整される。図5及び図6に、こうした弁の例示的な実施形態を示す。図5は、アクチュエータ502がさまざまな異なる動作位置にある、弁50のさまざまな断面図を示し、図6は、弁50の外観側面図を示す。
【0206】
弁50は、ハウジング501を含み、ハウジング501の反対側の端部に第1開口部512及び第2開口部511がある。第1開口部512は、使用時にトリガポート322に流体連通することができ、第2開口部511は、アクチュエータ502を移動可能に受けるように構成されている。ハウジング501は、第1開口部512と第2開口部511との間に延在する本体を含み、本体は、中空の空洞を形成している。本体の側壁は、第2開口部511から第1開口部512に向かってテーパ状になっており、第1開口部512は第2開口部511よりも小径である。図6に示すように、本体の側壁には複数の開口部503が形成されており、それは、アクチュエータ502とハウジング501との間の相対位置に応じてガス送達システム1内からのガスが流れることができるように構成されている。
【0207】
図示するように、アクチュエータ502は、弁50を通るガス流路のサイズを調整するために、上昇位置と挿入位置との間で移動するように配置されている。上昇位置では、ガスは、ハウジング501の第1開口部512に流れ込み、次いで複数の開口部503を通ってガス送達システム1から周囲の空気に出ることができる。これには、アクチュエータ502が挿入位置にあるときと比較して、患者に送達される圧力を低下させる効果がある。挿入位置では、アクチュエータ502は、ハウジング501内に下ろされて、ハウジング501の第1開口部512を閉塞する。これにより、弁50を通る空気流路が遮断され、空気が、弁50及びトリガポート322を介してガス送達システムから漏れ出ることができなくなり、これにより、患者に送達される圧力が上昇する。アクチュエータ502が上昇位置にあるとき、患者に送達される呼吸可能ガスの圧力はPEEPに対応し、アクチュエータ502が挿入位置にあるとき、患者に送達される呼吸可能ガスの圧力はPIPに対応する。アクチュエータ502がこれらの位置間で繰り返し動かされるに従い、PEEPとPIPとの間の圧力が患者に送達される。
【0208】
弁50は、アクチュエータ501の動きを補助する変形可能な膜504を含むことができる。図5に示すように、膜504は、ハウジング501の第2開口部511とアクチュエータ502の肩部との間に延在するチャンバを形成している。膜504は、アクチュエータ502に外力が加えられていないとき、アクチュエータ502を上昇位置に付勢するように構成されている。例えばオペレータによって、アクチュエータ502に押圧力が加えられると、膜504は変形し始める。アクチュエータ502は、膜504のたわみ点を越えて移動すると、完全に挿入された位置に移動するか又はスナップ式に嵌まる。
【0209】
膜504がアクチュエータ502を上昇位置に付勢するのを可能にし、アクチュエータ502を挿入位置にスナップ式に嵌める機構は、膜504を構成するために使用される材料の弾性及び形状によって制御される。膜504は、第1部材504a及び第2部材504bを含み、これらは斜めに接合されている。2つの部材の間の接合部504cは、可撓性ヒンジとして機能し、膜の2つの部材の相対的な曲げ運動を可能にする。アクチュエータ502が上昇位置にあり、部材504a及び504bがともに静止しているとき。これは、膜504の安定した静止位置である。アクチュエータ502が押し下げられると、膜504は、たわみ点に達するまで、伸張又は変形し始める。アクチュエータ502は、このたわみ点を越えて移動すると、膜の弾性により、挿入位置にスナップ式に嵌まる。これは、膜504の半安定位置である。アクチュエータ502に加えられた力が取り除かれると、膜504は安定位置に戻る。弁50、特にその膜504は、弁50を通るガス流路が徐々に変更されるのを可能にすることにより、且つ弁50を使用しているオペレータに触覚フィードバックを提供することにより、トリガポート322の閉塞及び閉塞解除の改善された制御を提供する。
【0210】
弁50に案内部材506も設けることができ、この案内部材は、アクチュエータ502が上昇位置と挿入位置との間を移動する際に、アクチュエータ502を直立方向に維持するのに役立つ。図5は、こうした案内部材506の一例を示しており、案内部材506は、垂直ロッドとして形成され、アクチュエータ502のテーパ状端部の下方に位置決めされている。アクチュエータ502の下端部には受け溝又は凹部508が形成されており、アクチュエータ502がその挿入位置に移動する際に案内部材506を受ける。
【0211】
弁50の基部にコネクタ部分509も形成することができ、弁50とトリガポート322との間に連結がもたらされることを可能にする。
【0212】
図5及び図6に示す弁50は、トリガポート322の閉塞及び閉塞解除が、オペレータの指を使用する代わりに、弁50を介して達成することができることを実証するように、単に例示的な目的のものであることが理解されるべきである。Tピースデバイスのトリガポート322とともに使用するのに好適な弁の他の例は、米国仮特許出願第63/269,289号明細書において言及されており、その出願の内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0213】
図3A図4Bのデバイス320の構成により、呼吸療法中の片手での操作、すなわち、デバイス320のトリガポート322を閉塞又は閉塞解除することによる操作が可能になり、ガス送達システム1は、患者の呼吸サイクルを模倣するように第1圧力及び第2圧力で呼吸可能ガスを、典型的には毎分30~60回の呼吸で患者に送達する。
【0214】
少なくともいくつかの実施形態では、患者に送達される呼吸可能ガスの圧力は、呼吸装置100の流れ発生器110を必要なモータ速度で動作させることによって制御される。より具体的には、患者に高い圧力を送達する必要がある場合は、モータの回転速度が上昇し、低い圧力を送達する必要がある場合には、モータの回転速度が低下する。流れ発生器110のモータを使用して、ファン/インペラに動力を供給することができる。したがって、モータが高い速度で動作する場合、ブロワファンも高速で回転し、高い圧力の呼吸可能ガスが患者に供給され、患者インタフェース340内部の圧力を必要なレベルまで上昇させる。モータが低い回転速度で動作する場合、ブロワファンは低い速度で回転することになり、それにより患者に供給される呼吸可能ガスの圧力を低下させ、それによって、患者インタフェース340内部の圧力が必要なレベルまで低下する。
【0215】
いくつかの実施形態では、第1圧力レベルは、第1時点で又は第1時間窓の間に、患者側終端部26に又はその近くに送達される。インタフェースの嵌合が確認されると、且つ/又は、上述したように、流れ発生器110をそのモータ速度を設定するように構成するために使用される制御信号がコントローラ130によって生成された後に、第1圧力レベルを患者側終端部26に又はその近くに送達することができる。
【0216】
同様に、第2圧力レベルは、第2時点で又は第2時間窓の間に、患者側終端部26に又はその近くに送達することができる。インタフェースの嵌合が確認されると、且つ/又は、流れ発生器110をそのモータ速度を設定するように構成するために使用される制御信号がコントローラ130によって生成された後に、第2圧力レベルを患者側終端部26に又はその近くに送達することができる。コントローラ130は、患者の呼吸サイクルを模倣するために、ガス送達システム1が第1圧力レベル及び第2圧力レベルで患者に呼吸可能ガスを連続的に提供するように、試行し、流れ発生器110を連続的に制御することができる。通常、呼吸療法中、30~60回/分の呼吸サイクルが患者に提供される。いくつかの用途では、患者の呼吸サイクルは、臨床医によって手動で決定される。必要な呼吸サイクル/分の数は、患者に提供すべき療法のタイプ、患者の状態(年齢、呼吸状態)に大きく依存し、患者によって異なる場合があることが理解されるべきである。
【0217】
少なくとも1つの実施形態では、第1圧力レベルは所望のPIPに等しい。好ましくは、第2圧力は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60cmH2Oであり、有用な値は、これらの範囲のうちの任意の範囲(例えば、約15~約60、約15~約60、約20~約25、約21~約30、約21~約27、約21~約25、約22~約30、約22~約29、約22~約25、約23~約30、約23~約28、約23~約26、約24~約30、約24~約29、約24~約28、約24~約26又は約25~約30cmH2O)で選択することができる。最初の数回の呼吸サイクルに対して(気道から液体を除去し、肺の曝気を開始するため)、且つ/又は患者が最初に与えられた呼吸療法に積極的に反応しない場合、より高いPIPが必要とされることがある。加えて、蘇生に必要な圧力のレベルは、通常、肺の成熟度、肺疾患の有無、障害等の要因に応じて、患者ごとに異なる。上述した圧力範囲は単に目安であり、実際には患者の反応に応じて圧力を個別に調整する必要がある。
【0218】
1つの実施形態では、第2圧力レベルは所望のPEEPに等しい。第2圧力は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15cmHOであってもよく、有用な値は、これらの範囲のうちの任意の範囲(例えば、約1~約15、約1~約14、約1~約13、約1~約12、約1~約11、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約2~約8、約2~約6、約2~約5、約3~約8、約3~約5、約4~約8、約4~約7、約4~約5、約5~約8又は約6~約8cmH2O)で選択することができる。第2圧力は、約5cmH2Oであってもよいが、例えば、患者の要件及び/又は臨床医の選好に応じて設定することができる。
【0219】
いくつかの実施形態では、デバイス320は、使用後の交換及び洗浄を容易にするために、導管アセンブリ200に取外し可能に接続され、且つ/又は患者インタフェース340に取外し可能に接続されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス320は、導管アセンブリ200の導管312に恒久的に接続し、且つ/又は患者インタフェース340に恒久的に接続することができる。いくつかの実施形態では、デバイス320は、患者インタフェース340の一体部分であってもよい。
【0220】
制御方法
本開示によれば、上述した患者ガス送達システム1を、供給源ガス流量を決定することと、送達ガス流量を決定することと、供給源ガス流量と送達ガス流量との差を計算することと、ガス送達システム1に、供給源ガス流量と送達ガス流量との計算された差に基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを送達させることとにより、制御する方法が提供される。
【0221】
代替実施形態では、本開示は、インタフェースアセンブリを介して患者に呼吸可能ガスを送達する方法であって、前記インタフェースアセンブリがトリガポート322を含み、ガス送達システム1によって生成された供給源ガス流量と、インタフェースアセンブリに送達された送達ガス流量とを決定することにより、トリガポート322のステータスを決定することと、ガス送達システム1に、トリガポート322の決定されたステータスに基づく圧力で患者に呼吸可能ガスを送達させることとを含む方法を提供する。
【0222】
上述した2つの方法はともに、供給源ガス流量を決定することと、送達ガス流量を決定することと、次いでこれら2つの測定値を用いて、呼吸可能ガスが好適な圧力レベルで患者に送達されるようにガス送達システム1を動作させることとを含む。
【0223】
図7は、上述した方法のうちの一方又は両方を実施するために使用することができるガス送達システム1の簡略化した概略図を示す。ガス送達システム1は、患者に送達すべき呼吸可能ガスを発生させるように配置された、この例ではブロワである流れ発生器110を含む。説明を容易にするために、導管アセンブリ200及び患者インタフェース340はともに図7から省略している。流れ発生器110の動作は、関連するコントローラ130によって制御される。ガス送達システム1は、さらに、供給源ガス流量及び送達ガス流量を測定するように配置された複数のセンサ141、321を含む。1つの実施形態では、センサ321を使用して、患者インタフェース340内の呼吸可能ガスの圧力も決定することができる。
【0224】
患者インタフェース340内の呼吸可能ガスの圧力を測定するために、圧力センサを設けることができる。圧力センサは、それがデバイス320内又は患者インタフェース340内の呼吸可能ガスの圧力を測定するのに、好適な検知位置に位置することができる。圧力センサは、ひずみゲージ、静電容量、電磁タイプの圧力センサであり得る。センサは、その構成に応じて、完全にガス流路内に位置してもよく、その測定値を有線又は無線通信を介してコントローラ130に戻すことができる。別法として、適切な圧力取出し点をデバイス320又は患者インタフェース340に形成してもよく、圧力センサの構成要素を、圧力取出し点を介して圧力測定値を取得するように配置してもよい。例えば、デバイス320又は患者インタフェース340に、ガスバイパスチャネル又は圧力検知ポートを設けることができる。次いで、1つ又は複数の圧力検知チューブが、圧力取出し点と、デバイス320及び患者インタフェース340の外部に位置する検知素子との間の流体接続を確立することができる。
【0225】
センサ141及び321の読取り値は、トリガポート322のステータス、及び患者に送達すべき圧力のレベルに関する決定を行うために、コントローラ130によって受信又は計算され、次いで、対応する制御信号が生成され、コントローラ130から流れ発生器110に転送され、流れ発生器110がそのモータ速度を設定することができるようにする。
【0226】
完全を期すために、検出された流量及び/又は圧力を使用することに加えて、又はその代わりに、トリガポート322の現在のステータスを決定する因子として、流れ発生器110のモータ速度が使用されることも本発明の範囲内であることに留意されたい。例として、流れ発生器110のモータ速度は、関連するモータモジュールによって提供してもよい。コントローラ130は、モータモジュールと信号通信することができる。モータ及びシステムの他の構成要素(患者インタフェース、導管アセンブリ及びトリガポート等)の特性が既知である場合、トリガポートの開放及び閉鎖ステータスに対応する(モータ速度及び流量、並びに/又はモータ速度及び圧力に関する)予測値も既知となる(又は計算することができる)。例えば、この方法論を使用して、コントローラは、最初に、流れ発生器110が目下患者にPEEP又はPIP圧力を送達しているか否かを判断することができ、次いで、患者に送達されている圧力に基づいて、コントローラ130は、トリガポート322の現在のステータスを決定することができる。
【0227】
より具体的には、供給源ガス流量は、流れ発生器110によって生成され、導管アセンブリ200に搬送される呼吸可能ガスの流量である。これは、コントローラ130によって決定される第1流量であり、本開示全体を通してFsと表記する。第1流量は、流れ発生器110の近くの流体路に少なくとも部分的に配置される流量センサであり得る第1センサ141によって決定することができる。流量センサ141の測定値は、有線又は無線の検知回路を介してコントローラ130に送信される。1つの実施形態では、センサ141は圧力センサであってもよく、その測定値は、圧力及び流量の関係に基づいて第1流量に変換することができる。少なくともいくつかの実施形態では、圧力センサは、導管アセンブリ200に入る際の呼吸可能ガスと流体連通している1つ又は複数の圧力検知チューブを含むことができる。1つ又は複数の検知チューブは、呼吸可能ガスの流量をコントローラ130内の対応する検知素子に送り、その時点で流量の決定が実行される。
【0228】
送達ガス流量は、患者インタフェース340に送達される呼吸可能ガスの流量を指す。これは、コントローラ130によって決定される第2流量であり、本開示全体を通してFmと表記する。Fmは、呼吸療法中に患者が吸入する呼吸可能ガスを含むが、任意のインタフェース漏れ(いくらかでもあれば)も含む。FsとFmとの差は、インタフェース漏れ及び他のシステムノイズ源(患者の咳等)とは無関係であり、トリガポート322を通る呼吸可能ガス流量を表す。このように、この差(すなわち、Fs-Fm)は、トリガポート322が閉塞されている、すなわち、閉鎖状態にあるとき、小さいはずであり、トリガポート322が閉塞解除されている(開放状態にある)とき、トリガポート322を通る呼吸可能ガス流の量にほぼ等しい、より高い値にあるはずである。コントローラ130は、この差(Fs-Fm)を求め又は計算し、次いで、この差を用いて、トリガポート322が目下いかなる状態にあるか、又はトリガポート322のステータスが変化したか否かを判断する。
【0229】
図8は、ガス送達システム1の概略図であり、ガス送達システム1内のガス流の方向を示す矢印と、コントローラ130が流れ発生器110のその制御機能を実施するために使用する関連する流量とを含む。図示するように、供給源ガス流量Fs、すなわち、流れ発生器110によって生成され導管アセンブリ200に搬送される呼吸可能ガスの流量は、流れ発生器110端部の近くの呼吸可能ガスの流量特性に基づいて測定される。比較すると、送達ガス流量Fm、すなわち、患者のインタフェース340に送達される呼吸可能ガスの流量は、患者の端部の近く、好ましくは、デバイス320自体又はその近くの呼吸可能ガスの流れ特性に基づいて測定される。図8は、2つの圧力測定値、すなわち供給源圧力Ps及びマスク圧力Pm(又はインタフェース圧力)も示す。これらの圧力測定は、さらに後述するように、第1センサ141及び第2センサ321によって直接行ってもよく、又は、それらの測定値は、追加の圧力センサによって測定してもよい。
【0230】
上述した第1センサ141と同様に、第2センサ321は、一体型センサであってもよく、センサ321によって測定された測定値は、有線回線を介して、又は無線信号伝送を介して、コントローラ130に戻すように送信される。いくつかの実施形態では、第2センサ321は、ガス流路内に又は圧力取出し位置に配置された検知構成要素(例えば、ダイヤフラム又は偏向可能なフラップ等の流量制限部)と、デバイス320及び患者インタフェース340の空洞の外側に位置する1つ又は複数の圧力検知チューブによって確立された空気圧接続部とを備えるように構成することができる。これについては、差圧センサを含むデバイス320の1つの例示的な実施形態を示す図12図16を参照して後述する。
【0231】
図9図11は、コントローラ130が、トリガポート322が開放状態であるか閉鎖状態であるかを判断するために実施する、制御ロジックの例を示し、次いで、コントローラ130は、その判断を使用して、患者に目標圧力を送達するために流れ発生器110を動作させる。図示する例では、流れ発生器110は、コントローラ130が、患者の呼吸サイクルを模倣するように第1圧力レベル及び第2圧力レベルで患者に呼吸可能ガスを繰り返し送達するように動作させる。好ましくは、第1圧力は第2圧力よりも高く、より好ましくは、第1圧力はPIPに対応し、第2圧力はPEEPに対応する。
【0232】
完全を期すために、システムが、圧力ベースモードのみで動作する代わりに、トリガポート322のステータスに応じて、コントローラ130が圧力ベースモード又は流量ベースモードのいずれかであり得る「ハイブリッド」モードで動作することが、本発明の範囲内であることに留意されたい。例えば、トリガポート322が開放状態にあるとき、デバイスは、流量ベース(又は「流量制御」)モードで動作することができ、これにより、目標流量が達成目標となる。トリガポートが閉鎖状態にあるとき、デバイスは、圧力ベース(又は「圧力制御」)モードで動作することができ、これにより、目標圧力が達成目標となる。
【0233】
いくつかの実施形態では、トリガポート322の以前のステータスは、コントローラ130のメモリに格納されている。センサ141、321からの測定値は、好ましくは予め定義された周波数で、コントローラ130によって取得又は受信される。コントローラ130は、第1流量と第2流量との差を計算した後、トリガポート322の現在のステータスを決定するために、その差を第1閾値流量(Fa)及び/又は第2閾値流量(Fb)と比較し、次いで、トリガポート322の現在のステータスと以前のステータスとの比較を行うことによって、トリガポート322のステータスが変化したか否かを判断する。以下に説明するように、Fa又はFbを決定する、複数の異なる方法がある。
【0234】
いくつかの構成では、第1閾値流量は、インタフェース圧力に基づいて決定される。いくつかの構成では、第1閾値流量Faは、図11に示すように、J*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Jは、実験に基づいて又は較正段階中に決定された、且つ/又はシステムに組み込まれた若しくはシステムがアクセス可能なデータベース若しくはルックアップテーブルから取得された係数である。インタフェース圧力Pmは、患者インタフェース340内の呼吸可能ガスの圧力であり、第2センサ321又は別の圧力センサによって測定することができる。別法として、第1閾値流量Faは、0.5~10L/min等の所定の範囲であってもよい。別法として、第1閾値流量Faは、一定のレベル/流量に設定してもよい。いくつかの構成では、図10に示すように、第1閾値流量は、1L/minの一定流量に設定される。少なくともいくつかの構成では、係数Jは、例えば、2~6L/min*cmH2O-1/2とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、係数Jは、例えば4.47L/min*cmH-1/2とすることができ、これにより、閾値Faは、5cmHOのPmに対して10L/minとなる。
【0235】
いくつかの構成では、第2閾値流量は、インタフェース圧力Pmに基づいて計算される。いくつかの構成では、閾値流量Fbは、図9に示すように、K*sqrt(Pm)から計算され、ここで、Pmはインタフェース圧力であり、Kは、実験に基づいて又は較正段階中に決定された、且つ/又はシステムに組み込まれた若しくはシステムがアクセス可能なデータベース若しくはルックアップテーブルから取得された係数である。別法として、第2閾値流量Fbは、0.5~10L/min等の所定の範囲であってもよい。別法として、第2閾値流量は、一定のレベル/流量に設定してもよい。いくつかの構成では、第2閾値流量は、1~3L/minの範囲の値に設定される。少なくともいくつかの構成では、係数Kは、例えば、1~4L/min*cmH2O-1/2とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、係数Kは例えば2.23L/min*cmH-1/2とすることができ、これにより、閾値Fbは、5cmHOのPmに対して5L/minとなる。
【0236】
図16の代替実施形態を参照して以下でさらに考察するように、係数J及びKは、理論的な「トリガオリフィス」及び「バイアスオリフィス」に関連する計算されたコンダクタンス値(Ctrig、Cbias)に基づいてもよい。これらの理論的オリフィスは、ガス送達システム1における流出点/シナリオの数学的表現である。トリガオリフィスは、トリガポート322を通る流出を表す。バイアスオリフィスは、トリガポート322が閉鎖され、患者インタフェース340を通る流出がない状態で、ガス送達システム1を通る最小予想流量を表す。
【0237】
例示的に、係数J及びKは、各々、(Ctrig+Cbias)に対応してもよい。すなわち、J及びKの値は、各々、Ctrig+Cbiasに等しくてもよい。
【0238】
いくつかの実施形態では、第1閾値流量Fa又は第2閾値流量Fbは等しくてもよい。いくつかの実施形態では、トリガポート322が閉鎖状態にあるときに、幾分かの空気がトリガポート322から漏出する可能性があるという事実を考慮して、Fbの値は、Faよりもわずかに大きくなるように選択してもよい。
【0239】
図9を参照すると、流れ発生器110がすでにPIPを送達している場合、トリガポート322の以前のステータスは閉鎖となる。「以前のステータス」とは、コントローラ130によって記録された最後のステータスを指す。流れ発生器110を遠隔でトリガしてPEEPに切り替えるために、オペレータは、トリガポート322を(例えば、トリガポート322から指を離すことによって、又は図5及び図6に示す弁50を使用することによって)閉塞解除し、これにより、呼吸可能ガスがトリガポート322を通って周囲空気に出るように流れる。コントローラ130は、計算されたFsとFmとの差を、閾値流量Fbと比較する。その差がFbよりも大きい場合、コントローラ130は、トリガポート322がこのとき閉鎖状態から開放状態に変化したと判断し、送達圧力がPEEPレベルまで低下するように、流れ発生器130にそのモータ速度を構成する制御信号を送信する。流れ発生器110は、コントローラ130から新たな制御信号が受信されるまで、このモータ速度で維持される。
【0240】
同様に、図10及び図11を参照すると、流れ発生器110がすでにPEEPを送達しているとき、トリガポート322の以前のステータスは開放となる。すなわち、コントローラ130による、トリガポート322の最後に記録されたステータスは、開放である。流れ発生器110をPIPに切り替えるように遠隔でトリガするために、オペレータは、例えば、トリガポート322の前に指を置くことによってトリガポート322を閉塞し、トリガポート322を介して周囲空気に漏出する呼吸可能ガスが少なくなるようにする。コントローラ130は、計算されたFsとFmとの差を閾値流量Faと比較する。その差がFaよりも小さい場合、コントローラ130は、トリガポート322がこのとき閉鎖状態に変化したと判断し、送達圧力がPIPレベルまで上昇するように、流れ発生器110に対してそのモータ速度を上昇させる制御信号を生成する。流れ発生器110は、新たな制御信号が再びコントローラ130から受信されるまで、このレベルで維持される。
【0241】
1つの実施形態では、コントローラ130は、トリガポート322の現在のステータスがその以前のステータスから変化したと判断した場合、適切な呼吸数又は分時換気量(1分あたりの送達呼吸数)を達成するために、所定の時間間隔にわたってPIPとPEEPとの間で圧力を変化させるように構成されている。1つの実施形態では、所定の時間間隔は、100~400ms、又は100~300ms、又は100~200ms、又は約150msである。
【0242】
上述した制御ロジックは、好ましくは、好適なソフトウェアアルゴリズムによってコントローラ130に実装される。センサ141、321からの測定値を受信すると、又は受信した後、コントローラ130は、さらに、測定値に対して適切なフィルタリング、又は平滑化計算を実行して、ノイズ又は疑似信号を除去することができる。
【0243】
上述したように、コントローラ130は、センサ141及び321によって提供される測定値に基づいて、供給源ガス流量Fs及び送達ガス流量Fmを求めるように配置されている。これらのセンサは、質量流量センサ、圧力センサ、差圧センサ、流量センサ、超音波流量センサ及び/又はサーミスタ等のさまざまな異なる形態とすることができる。いくつかの実施形態では、センサ141、321のうちの一方又は両方は、圧力センサを含み、コントローラ130は、その圧力測定値を使用して、上述した第1流量及び第2流量を計算することができる。
【0244】
少なくともいくつかの実施形態では、コントローラ130及び流れ発生器110は、呼吸療法を患者に送達するときに、例えば固定壁供給源から呼吸可能ガス源を受ける呼吸装置100に組み込むことができる。センサ141及び321は、呼吸装置100の筐体の外側の好適な検知位置に設けることができる。バイパスチャネル又は検知チューブ等の1つ又は複数の圧力取出し点を介して測定値を得ることができるセンサの場合、それらを呼吸装置100の筐体内に収容することができる。
【0245】
少なくともいくつかの実施形態では、センサ141、321のうちの1つ又は複数は、一体型センサであってもよく、それにより、それらをガス送達システム1のガス流路内に完全に収容することができ、それらの測定信号は、無線又は有線接続を介してコントローラ130に戻すように送信することができる。
【0246】
別の実施形態では、1つ又は複数のセンサのうちの少なくとも1つが空気圧センサを含む場合、ガス流の測定を可能にするために、Tピースデバイス320の好適な位置に1つ又は複数の検知ポートが必要となる可能性がある。1つ又は複数の検知ポートは、フラップ、ダイヤフラム、サーミスタ等のセンサの1つ又は複数の構成要素に流体接続されるように配置され、センサのいくつかの構成要素は、Tピースデバイス320によって形成される空洞の外側に位置することができる。
【0247】
患者側の端部でいずれのタイプのセンサが使用されるかにかかわらず、上述した制御方法のうちの1つ又は複数を使用して、患者インタフェース340に送達される呼吸可能ガスの流量を決定するために使用することができる限り、センサは、本明細書に記載するシステム及び方法に好適である。
【0248】
図12図15は、例示的なセンサ配置を組み込んだデバイス320及び患者インタフェース340のさまざまな異なる図を示す。
【0249】
デバイス320は、導管アセンブリ200から呼吸可能ガスを受け取る入口324と、使用時に患者インタフェース340に流体連結されるように配置された出口325と、トリガポート322とを含む。入口324と出口325との間に、デバイス320の実質的に中空の本体部分が延在している。本体部分は、トリガポート322を含む第1部材331を含む。この特定の実施形態では、本体部分は、本体部分の長さに沿って、角度を形成する屈曲部を含み、この角度の上に、トリガポート322が位置している。他の実施形態では、本体部分は、屈曲部なしで構成してもよく、例えば、本体部分は、その長さに沿った屈曲部なしで実質的に直線状の中空空洞として形成され、トリガポート322は、本体部分の側壁内に又は本体部分の端部に位置することができる。本体部分の第2部材332が、実質的に中空の構成であり、使用時に患者インタフェース340に接続されるように配置されている。第1部材331及び第2部材332は、超音波溶接、接着剤又はオーバーモールドによって恒久的に接合することができ、又は、互いに取外し可能に連結することもできる。図14は、デバイス320の第1部材331及び第2部材332の分解図を示す。
【0250】
センサ321は、流量制限部を有する差圧センサであってもよい。流量制限部は、ガス流路に沿って圧力降下を生じさせ、これは、デバイス320を通って流れるガスの流量を導出するために使用される。例えば、流量制限部は、オリフィスプレート又は偏向可能なフラップであってもよく、又はそれらを含んでもよい。図12図15に示す例では、センサ321は、上述した第1部材331と第2部材332との間に位置決めされた偏向可能なフラップ328を含む差圧センサである。偏向可能なフラップ328は、デバイス320の内部空洞を通過するガスに対する可変流量制限部として作用し、偏向可能なフラップ328の両側のガス圧に差を生じさせ、コントローラ130は、この差を用いて、デバイス320を通って流れるガスの流量を導出する(すなわち、フラップ328の偏向は、フラップ328の両側の圧力差によって決まる)。センサには多くの異なる形態とすることができ、そうした複数の偏向可能なフラップ328を必要とするものもあることが理解されるべきである。加えて、いくつかのセンサでは、偏向可能なフラップ328は、さまざまな角度センサ又は変位センサ、例えば、ロータリエンコーダ、ひずみゲージ、ホール効果及びそれらに類似するものに取り付けることができる。そして、角度センサ又は変位センサの読取り値に基づいて、差圧又は流量の測定値を導出することができる。
【0251】
再び図12図15を参照すると、デバイス320の側壁に、第1圧力検知ポート329a及び第2圧力検知ポート329bを形成することができる。圧力検知ポート329a及び329bは、偏向可能なフラップ328の両側におけるデバイス320の内部空洞と、デバイス320の外部に位置する差圧センサの他の構成要素との間に流体路を形成する、圧力取出し点である。使用時、一対の検知チューブ330a、330bが、それぞれ圧力検知ポート329a、329bの上に取り付けられる。平衡状態では、2つの検知チューブ330a、330b内の空気の圧力は、フラップ328の両側におけるデバイス320内の空気の圧力に等しくなる。最も単純な形態では、圧力検知チューブ330a、330bは、デバイス320と、コントローラ130に設けられた検知素子との間の完全空気圧接続を形成する、2つの可撓性チューブであってもよい。コントローラ130は、差圧測定値に基づいて双方向流量を計算するようにプログラムされている。空気圧センサは、デバイス320とコントローラ130との間に電気回路接続を設ける必要性をなくし、場合によっては好ましい可能性がある。
【0252】
完全を期すため、1つ又は複数の圧力取出し点/圧力検知ポートと1つ又は複数の圧力検知チューブとを備える実施形態に関連して、以下の追加点について述べる。
- いくつかの実施形態では、圧力取出し点/圧力検知ポート329a、329bは、両方とも、本体部分の部材331、332のうちの一方に位置することができる。例えば、それらは、それら(及び1つ又は複数の圧力検知チューブ)がトリガポート322とともに取り付けて分離することができるように、本体部分の第1部材331に位置することができる。
- より全体的には、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の圧力検知チューブ330a、330bは、本体部分に取外し可能に取り付けることができる。それらは、それ自体で取外し可能であってもよく、且つ/又は、それ自体が本体部分の他の構成要素から取外し可能/分離可能である本体部分の構成要素に取り付けてもよい。
- いくつかの実施形態では、システムは、例えば、圧力取出し点/圧力検知ポート及び/又は1つ又は複数の圧力検知チューブに影響を及ぼす閉塞がある場合に、圧力を決定するための「バックアップ」プロトコルを適所に有することができる。例えば、「バックアップ」は、流量に基づいて患者インタフェースにおける圧力を推定することを含むことができる。別法として又はさらに、システムは、バックアップとして使用するために、システムの他の場所に追加の圧力センサを含むことができる。
【0253】
代替実施形態
図16は、本開示の別の例示的な実施形態によるガス送達システム900を示す。
【0254】
この実施形態では、ガス送達システム900は、流れ発生器110に近接する1つ又は複数のセンサ141を有するように構成されているが、この実施形態では、患者インタフェース340(図16には示さず)に近接するセンサはない。すなわち、この実施形態では、患者側の端部の近くに配置されるセンサ321は省略されている。このように構成されたシステム900は、依然として、検出された流量レベルが、トリガポート322(図16には示さず)が開放状態にあることに対応するか閉鎖状態にあることに対応するか否かを判断し、それに応じて患者インタフェース340に送達される呼吸可能ガスの圧力を制御するように(コントローラ130を介して)流れ発生器110を動作させることができる。
【0255】
具体的には、こうした実施形態では、1つ又は複数のセンサ141は、供給源ガス流量(Fs)を決定することができるように、流れ発生器110に近接して少なくとも1つの流量センサを含む。
【0256】
1つ又は複数のセンサ141は、供給源圧力(Ps)、すなわち、流れ発生器110に近接する圧力を測定するために、流れ発生器110に近接する圧力センサも含むことができる。別法として、流れ発生器110に近接する、又はシステム900内の任意の箇所における圧力(P)は、(圧力センサの代わりに流量センサが展開されている場合)流量に基づいて数学的に求めることができる。
【0257】
システム900内には、複数の流出(又は「漏れ」)点/シナリオ、例えば、患者インタフェース340、トリガポート322、及び、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システム900を通る最小予想流量(すなわち、ガスの安全なクリアランスを確保するためのシステムを通る最小流量)がある。これらの各々は、それぞれオリフィス(図16には示さず)、すなわち、患者インタフェースオリフィス、トリガオリフィス及びバイアスオリフィスによってそれぞれ、数学的に近似することができる。これらの理論的なオリフィスの各々は、コンダクタンス値(コンダクタンスは、所与の圧力に対してオリフィスを通過する流れの関数である)と関連している。流出点/シナリオを表すこれらの理論的オリフィスの各々のコンダクタンス値は、数学的に求めることができ(実験に基づき、又は較正段階の間に決定し、且つ/又はシステムに組み込まれた若しくはシステムがアクセス可能なデータベース若しくはルックアップテーブルから取得する等)、求められると、コンダクタンス値は、システムの既知の特性である。
【0258】
ここから、動的閾値流量(Fth)を決定することができる。
【0259】
Fthは、L*sqrt(P)に関連する可能性があり、Pは、流量に基づく患者インタフェース340における数学的に計算された圧力であり、Lは、実験に基づき又は較正段階中に決定された、且つ/又はシステムに組み込まれた若しくはシステムがアクセス可能なデータベース又はルックアップテーブルから取得された係数である。少なくともいくつかの構成では、係数Lは、例えば、2~10L/min*cmH-1/2とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、Lは、例えば4.47L/min*cmH-1/2とすることができ、これにより、インタフェースにおけるPが5cmHOである場合、閾値Fth=10L/minとなる。
【0260】
1つの実施形態では、係数Lは、バイアスオリフィス及びトリガオリフィスの計算されたコンダクタンス値である(Cbias+Ctrig)によって提供される。Cbiasは、例えば、2.23L/min*cmH-1/2とすることができ、これは、計算されたマスク圧力5cmHOにおいてバイアス流量が5L/minである、バイアスオリフィスに対応する(式Cbias=FlowBias/sqrt(P)による)。Ctrigは、例えば、2.23L/min*cmH-1/2とすることができ、これは、トリガポート322を通過する流量が、計算されたマスク圧力5cmHOにおいて5L/minであるトリガオリフィスに対応する(式Ctrig=FlowTrig/sqrt(P)による)。
【0261】
別の実施形態では、係数Lは、(Cbias+CmaskMaxPIP)によって提供することができる。CmaskMaxPIPは、PIPの送達中に患者インタフェースを通る最大流出量を表すオリフィスに関連する計算されたコンダクタンス値である。少なくとも1つの実施形態では、CmaskMaxPIPは、例えば、11.18L/min*cmH-1/2とすることができ、これは、PIP圧力(例えば、20cmH2O)で最大流量(例えば、50L/min)を通過させる仮想オリフィスに対応する(式CmaskMaxPIP=FlowmaskMaxPIP/sqrt(PIP)による。)
【0262】
代替実施形態では、動的閾値流量(Fth)式は、患者の肺に出入りする流量(すなわち、呼吸療法中に患者が吸入する呼吸可能なガス)を考慮する成分も有することができる。これは、患者の測定された又は近似された肺コンプライアンスから導出することができる。例えば、治療されている患者のタイプの典型的な肺コンプライアンスを近似値として使用することができる。
【0263】
したがって、例示的に、動的閾値流量(Fth)の式は以下のようにすることができ、
Fth=L*sqrt(P)+Fpatient(t)
式中、Fpatient(t)は、考慮されている時点で患者の肺に出入りする流量である。
【0264】
次いで、供給源ガス流量(Fs)を動的閾値Fthと比較して、トリガポート322が開放状態にあるか閉鎖状態にあるかを判断することができる。
【0265】
Fs<Fthである場合、すなわち、供給源ガス流量Fsが動的閾値流量Fthよりも小さい場合、これは、トリガポート322が閉鎖状態にあることを示す。
【0266】
Fs>Fthである場合、すなわち、供給源ガス流量Fsが動的閾値流量Fthよりも大きい場合、これは、トリガポート322が開放状態にあることを示す。
【0267】
任意選択的に、トリガポート322が開放状態にあるか閉鎖状態にあるかを判断する一部として、システム900は、「ヒステリシス」分析も実施することができ、これは、軽微な又はボーダーラインにある流量変動に基づくトリガポート322の開放状態と閉鎖状態との間の望ましくない振動を防ぐことによって、システムを安定化させるように作用する。判断がヒステリシス分析を含む場合、判断の一部として、システム900はさらに、FsとFthとの比較の直前にトリガポート322の先行する(既存の)状態を判断する必要がある。
【0268】
他の点では、この実施形態のシステムは、実質的に、他の実施形態に関して上述したとおりであり得る。
【0269】
追加の機能
(それぞれ、図7及び図16に示すような)デュアルポジションセンサ(141、321)及びシングルポジションセンサ(141)の両方の実施形態において、システム(1、900)は、以下のうちの1つ又は複数を検出するようにさらに構成することができる。
- 患者インタフェース340は、切断されている(外れている)か、又は不完全に接続されているか、又は不適切に接続されていること、
- システムの他の構成要素(特に、加湿器(図1の120)及び/又は導管(図1の210))が切断されていること、及び/又は
- システム1/900内又はシステム1/900の閉塞。
こうした状態が検出された場合、システムは、安全性及び/又は機能性の理由で、これに応じて1つ又は複数の措置を講ずるように構成することができる。
【0270】
患者インタフェースの切断の検出
患者インタフェースの切断により、システムから過剰な漏れ/流出(すなわち、患者インタフェースが正しく取り付けられているときよりも大きい漏れ/流出)がもたらされる。
【0271】
これは、過剰な漏れ/流出をシステムの追加の理論的オリフィスとして扱うことによってモデル化することができる。この理論的オリフィスは、所与の圧力に対してこの理論的オリフィスを通過する流量の関数である、数学的に求めることができるコンダクタンス値(Cmaskleak)を有する。少なくとも1つの実施形態では、Cmaskleakは、例えば6.71L/min*cmH-1/2とすることができ、これは、オリフィスを通過する流量が5cmHOの圧力で15L/minである、仮想マスク漏れオリフィスに対応する(式Cmaskleak=FlowMaskLeak/sqrt(P)による)。
【0272】
このことから、過剰流量閾値(Fleakth)を、例示的に、以下:
- シングルセンサの実施形態では、
leakth=(Cbias+Ctrig+Cmaskleak)*sqrt(P)+Fpatient(t)
- デュアルセンサの(センサが供給源及びインタフェースにある)実施形態では、
leakth=Cmaskleak*srt(Pm)+Fpatient(t)
のように求めることができる。
【0273】
少なくとも1つの実施形態では、漏れ閾値(Fleakth)は、例えば80L/minとすることができ、これは、オリフィスを通過する流量が80L/minよりも大きい場合に過剰な漏れが検出されることを意味する。同様に、オリフィスを通過する流量が80L/minよりも小さい場合、過剰な漏れはない。
【0274】
次いで、システム内の実際の流量をこの閾値(Fleakth)と比較して、患者インタフェースの切断を示す過剰な漏れが存在するか否かを判断することができる。
- シングルセンサの実施形態では、過剰な漏れは、
Fs>Fleakth
である場合に、検出され、
- 過剰な漏れの停止は、
Fs<Fleakth
となると検出される。
- デュアルセンサの実施形態では、過剰な漏れは、
Fm>Fleakth
である場合に検出され、
- 過剰な漏れの停止は、
Fm<Fleakth
となると検出される。
【0275】
同様の方法論を使用して、(漏れが、患者インタフェースが完全に外れている場合よりは小さいが、予測される漏れよりも大きくなる)患者インタフェースが完全に又は適切に接続されていない場合を検出することができる。
【0276】
患者インタフェースが切断されている(又は不完全に/不適切に接続されている)ことを示す、過剰な漏れが検出された場合、システムは、例示的に、流量を固定流量に設定し、モータを固定モータ速度に設定し、又は圧力を固定圧力に設定することができる。これらの措置は、例えば、患者インタフェースが患者の顔面にあるが不適切に/不完全に接続されている場合に、システムが依然として何らかのレベルの呼吸補助を提供することを確実にするのに役立つことができる。システムはまた、安全上の理由等で、過剰な漏れが検出された場合、ガス送達又は一部のガス送達機能を無効にすることができる。例えば、検出されたトリガポートのステータスに基づく特定の圧力での送達を無効にすることができる。システムは、介護者、医師又は他の関係者に問題が通知されるのを確実にするために、1つ又は複数のアラーム又はアラートを発生させることもできる。
【0277】
他の構成要素の切断の検出
構成要素の切断は、過剰な漏れの極端な場合として概念化することができる。したがって、患者インタフェースの切断の検出と同様に、切断された構成要素(加湿器120又は導管210等)は、システムの追加の理論的オリフィスとして近似することができ、そのコンダクタンス値(Cdisconnectedcomponent)は数学的に求めることができる。
【0278】
システムの全体的なコンダクタンス値(Csystem)は、Fs及びPの関数として求めることができ、この場合、Pは供給源圧力、すなわち、流れ発生器に近接する圧力である。具体的には、
Csystem=Fs/sqrtP
となる。
【0279】
したがって、切断された構成要素の検出は、
Csystem>Cdisconnectedcomponent
である場合に、検出することができる。
【0280】
切断された構成要素の検出に対するシステムの応答には、固定モータ速度を(最低速度等に)設定することとともに、アラーム又はアラートの発生が含まれる。
【0281】
少なくとも1つの実施形態では、Cdisconnectedcomponentは、例えば、70.71L/min*cmH-1/2とすることができ、これは、オリフィスを通過する流量が2cmHOの圧力で100L/minである仮想オリフィスに対応する(式Cdisconnectedcomponent=FlowDisconnectedcomponent/sqrt(P)による)。
【0282】
閉塞の検出
システム内の閉塞の検出は、実際の流量を適切な閾値流量値と比較することによって検出することができる。本発明のシステム(1、900)のデュアルポジションセンサ(141、321)及びシングルポジションセンサ(141)の実施形態の両方について、実際の流量が閾値流量値よりも小さい場合、それはシステムの閉塞の存在を示す可能性がある。
【0283】
シングルポジションセンサの実施形態では、閾値流量値は、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る流出がない状態で、システム900を通る上記で考察した最小予想流量に対応する場合がある。実際の供給源流量(Fs)がこの値よりも小さい場合、これは閉塞を示す。
【0284】
デュアルポジションセンサの実施形態では、閾値流量値は、トリガポートが閉鎖され、患者インタフェースを通る他の流出がない状態で、システムを通る最小予想流量から、より詳細には、インタフェース圧力と組み合わせて、関連するコンダクタンス値Cbiasから、導出することができる。この閾値流量値は、供給源流量であるFsと比較することができる。Fsが閾値流量値よりも小さい場合、これは閉塞を示す。
【0285】
任意選択的に、患者の(実際の又は近似された)肺コンプライアンスも、デュアルポジションセンサの実施形態について閾値流量値を決定する際の因子として含めることができる。
【0286】
閉塞の検出に対するシステムの応答には、固定モータ速度を(最低速度等に)設定することとともに、アラーム又はアラートの発生が含まれる。
【0287】
用語
呼気終末陽圧(PEEP)は最大呼気終末圧(Peak End Expiratory Pressure)としても知られており、呼吸療法システム及び方法の文脈では、この2つの用語は同義で使用されることが多い。
【0288】
文脈において明示的な別段の要求がない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「備える、含む(comprise)」、「備える、含む(comprising)」等の語は、排他的な又は網羅的な意味とは対照的に包含的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。とりわけ、「できる」、「可能性がある」、「あり得る」、「てもよい」、「例えば」等、本明細書で用いる条件付きの文言は、別段明確な定めがない限り、又は使用されている文脈内で他の意味に理解されない限り、概して、いくつかの実施形態は、いくつかの特徴、要素及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを示唆するように意図されている。したがって、こうした条件付きの文言は、概して、特徴、要素及び/又は状態が、任意の特定の実施形態に含まれるか又は任意の特定の実施形態で実施されるか否かに関わらず、著者の入力又は入力促進があってもなくても、これらの特徴、要素及び/状態が、1つ又は複数の実施形態に対して必ず必要とされること、又は、1つ又は複数の実施形態が必然的に判断のためのロジックを含むことを示唆するようには意図されていない。
【0289】
「複数」という用語は、項目が2つ以上であることを指す。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙は、その量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴の前に、「約」又は「ほぼ」という用語が付くかのように解釈されるべきである。「約」又は「ほぼ」という用語は、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴が、正確である必要はないが、許容可能な許容誤差、変換因子、四捨五入、測定誤差等、及び当業者に既知である他の要素を反映して、必要に応じて、概算され、且つ/又はよりも大きいか若しくは小さい場合があることを意味する。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙はまた、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴の前に、「実質的に」という用語が付くかのように解釈されるべきである。本明細書で用いる場合の「ほぼ」、「約」及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実施するか又は所望の結果を達成する、述べられている量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈によって決まる可能性があるように、「ほぼ」、「約」及び「実質的に」という用語は、述べられている量の10%以下の範囲内にある量を指す場合がある。本明細書で用いる場合の「概して」という用語は、特定の値、量又は特徴を大部分含む、又はそれに向かう傾向がある、値、量又は特徴を表す。例えば、文脈によって決まる可能性があるように、「概して直線状の」という用語は、15°以下、正確に平行から逸脱するものを意味することができる。
【0290】
本明細書において、数値データは、範囲形式で表現するか又は提示する場合がある。こうした範囲形式は、単に便宜上及び簡潔にするために使用されており、したがって、範囲の限界値として明示的に列挙される数値を含むように柔軟に解釈されるだけでなく、その範囲内に含まれる個々の数値又は部分範囲のすべてを、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、含むようにも解釈されるべきであることが理解されるべきである。例示として、「1~5」という数値範囲は、約1~約5という明示的に列挙された値のみを含むように解釈されるべきであるだけでなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むようにも解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3及び4等の個々の値と、「1~3」、「2~4」及び「3~5」等の部分範囲とが含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲(例えば、「1よりも大きい」)にも適用され、範囲の広さ又は記載されている特徴に関わらず適用されるべきである。
【0291】
便宜上、複数の項目を共通のリストに提示している場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の且つ一意の要素として個々に特定されるかのように解釈されるべきである。したがって、こうしたリストのいかなる個々の要素も、反対であると示すことなく、共通のグループに提示されていることにのみ基づいて、同じリストの他のいかなる要素の事実上の均等物として解釈されるべきではない。さらに、項目のリストとともに「及び」及び「又は」という用語が使用される場合、それらの用語は、リストに載せられた項目のうちの任意の1つ又は複数を単独で又は他のリストに載せられた項目と組み合わせて使用することができるという点で、広義に解釈されるべきである。「別法として」という用語は、2つ以上の代替形態のうちの1つの選択を指し、文脈において別段明らかな指示がない限り、一度に、リストに載せられた代替形態のみ又はリストに載せられた代替形態のうちの1つのみに選択を限定するようには意図されていない。
【0292】
本明細書においていかなる先行技術に対する言及も、その先行技術が世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成すると認めるもの、又はいかなる形態のそうした示唆ではなく、且つそのように解釈されるべきではない。さらに、他の特許明細書、他の外部文献、又は他の情報源を参照することは、概して、いくつかの実施形態の特徴を考察するための背景を提供することを目的とする。別段明確な断りのない限り、こうした外部文献への言及は、いかなる法域においても、こうした文献又はこうした情報源が先行技術であること、又は本技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0293】
本発明の実施形態は、個々に又はまとめて、本出願の明細書において言及するか又は示した部分、要素及び特徴、並びに、任意の2つ以上の前記部分、要素又は特徴のうちの任意の又はすべての組合せにおいて、具現化されると広義に言うこともでき、本発明が関連する技術分野において既知の均等物を有する具体的な完全体が本明細書で言及される場合、そうした既知の均等物は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれているとみなされる。
【0294】
上述した記載において、既知の均等物を有する完全体又は構成要素について言及している場合、それらの完全体は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0295】
当業者には、本明細書に記載する現時点で好ましい実施形態に対するさまざまな変形形態及び変更形態が明らかとなることは留意されるべきである。こうした変形形態及び変更形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、且つその付随する利点を低減させることなく、作成することができる。例えば、さまざまな構成要素は、必要に応じて再配置することができる。したがって、こうした変形形態及び変更形態は、本発明の範囲内に含まれるように意図されている。さらに、本発明を実施するために、特徴、態様及び利点のすべてが必ずしも必要であるとは限らない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】