(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-19
(54)【発明の名称】空気を処理するためのフィルタシステム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20250212BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20250212BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20250212BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20250212BHJP
B03C 3/28 20060101ALI20250212BHJP
A61M 16/10 20060101ALI20250212BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20250212BHJP
A01P 1/00 20060101ALN20250212BHJP
A01N 59/08 20060101ALN20250212BHJP
A01N 59/00 20060101ALN20250212BHJP
【FI】
A61L9/01 F
A61L9/014
A61L9/16 F
B01D46/00 F
B03C3/28
A61M16/10 Z
A01P3/00
A01P1/00
A01N59/08 A
A01N59/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024564620
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 US2023010554
(87)【国際公開番号】W WO2023141041
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524111433
【氏名又は名称】アイシーエー トリノヴァ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ビアーズ, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】テニー, ジョエル
【テーマコード(参考)】
4C180
4D054
4D058
4H011
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180CC15
4C180DD09
4C180EA14X
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4C180FF07
4D054AA11
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4D058KB11
4D058TA03
4D058TA08
4H011AA01
4H011AA04
4H011BB18
(57)【要約】
空気を処理するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を処理するためのフィルタシステムであって、前記フィルタシステムが、
媒体を備える第1のフィルタを備え、
前記フィルタシステムを通って流れるように誘導された空気が前記第1のフィルタに接触し、
前記媒体は、処理ガスを、前記処理ガスが前記空気の流路内に放出されるように、前駆体から発生させるように構成されており、
前記処理ガスが、二酸化塩素(ClO
2)を含み、前記前駆体が、二酸化塩素前駆体を含み、前記処理ガスが、二酸化炭素(CO
2)を含み、前記前駆体が、二酸化炭素前駆体を含み、又はそれらの組み合わせである、フィルタシステム。
【請求項2】
空気流の方向に沿って前記第1のフィルタに対して続けて配置された第2のフィルタを更に備える、請求項1に記載のフィルタシステム。
【請求項3】
前記第2のフィルタが、粗フィルタ、微細フィルタ、準HEPAフィルタ、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のフィルタシステム。
【請求項4】
前記第2のフィルタが、活性炭フィルタを含む、請求項2又は3に記載のフィルタシステム。
【請求項5】
前記処理ガスが二酸化塩素を含み、前記前駆体が二酸化塩素前駆体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項6】
前記二酸化塩素前駆体が、金属亜塩素酸塩、金属塩素酸塩、塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される二酸化塩素生成化合物を含む、請求項5に記載のフィルタシステム。
【請求項7】
前記金属亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸マグネシウム、若しくはそれらの組み合わせを含むか、又は前記金属塩素酸塩が、塩素酸ナトリウム、塩素酸リチウム、塩素酸カリウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム、若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載のフィルタシステム。
【請求項8】
前記処理ガスが、二酸化炭素を含み、前記前駆体が、二酸化炭素前駆体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項9】
前記二酸化炭素前駆体が、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素含有化合物を含む、請求項8に記載のフィルタシステム。
【請求項10】
前記炭素含有化合物が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載のフィルタシステム。
【請求項11】
前記媒体が、前記前駆体を含む乾燥粒子を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項12】
前記前駆体を含む前記乾燥粒子が、ゼオライト結晶、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、及び粘土からなる群から選択される多孔質担体を更に含み、前記前駆体が、前記多孔質担体に含浸されている、請求項11に記載のフィルタシステム。
【請求項13】
前記多孔質担体が、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)~25.4ミリメートル(mm)の平均粒径を有する、請求項12に記載のフィルタシステム。
【請求項14】
前記前駆体を含む前記乾燥粒子が、1重量%~100重量%、1重量%~90重量%、又は1重量%~50重量%の前記前駆体を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項15】
前記媒体が、プロトン発生種を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項16】
前記媒体が、前記プロトン発生種を含む乾燥粒子を更に含む、請求項15に記載のフィルタシステム。
【請求項17】
前記プロトン発生種が、有機酸、無機酸、金属塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15又は16に記載のフィルタシステム。
【請求項18】
前記プロトン発生種が、酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される有機酸及び/又は無機酸を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項19】
前記プロトン発生種が、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、CaCl
2、ZnSO
4、ZnCl
2、CoSO
4、CoCl
2、MnSO
4、MnCl
2、CuSO
4、CuCl
2、MgSO
4、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素、リン酸水素二ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属塩を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項20】
前記プロトン発生種を含む前記乾燥粒子が、ゼオライト結晶、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、及び粘土からなる群から選択される多孔質担体を更に含み、前記プロトン発生種が、前記多孔質担体に含浸されている、請求項16~19のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項21】
前記多孔質担体が、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)~25.4ミリメートル(mm)の平均粒径を有する、請求項20に記載のフィルタシステム。
【請求項22】
前記プロトン発生種を含む前記乾燥粒子が、1重量%~100重量%、1重量%~90重量%、又は1重量%~50重量%の前記プロトン発生種の前記乾燥粒子を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項23】
前記媒体が、1cm~50cmの平均総厚さで前記第1のフィルタ内に配設されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項24】
前記媒体が、前記前駆体を含む前記乾燥粒子と、前記プロトン発生種を含む前記乾燥粒子と、の混合物として、前記第1のフィルタ内に配設されている、請求項16~23のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項25】
前記媒体が、前記前駆体を含む前記乾燥粒子と、前記プロトン発生種を含む前記乾燥粒子と、の2つ以上の交互の層を含む層状床として、前記第1のフィルタ内に配設されている、請求項16~23のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項26】
前記層状床内の層の総数が、3層以上である、請求項25に記載のフィルタシステム。
【請求項27】
前記前駆体を含む乾燥粒子の前記層の各々の平均厚さ及び/又は前記プロトン発生種を含む乾燥粒子の前記層の各々の平均厚さが、独立して、1cm~50cmである、請求項25又は26に記載のフィルタシステム。
【請求項28】
前記第1のフィルタが、前記第1のフィルタ全体に配設されたグリッド構造を更に備える、請求項1~27のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項29】
前記グリッド構造が、複数のウェルを備え、前記媒体が、前記複数のウェル内に配設されている、請求項28に記載のフィルタシステム。
【請求項30】
前記第1のフィルタが、前記第1のフィルタの周囲を画定するフレームを更に備える、請求項1~29のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項31】
前記第1のフィルタが、前記第1のフィルタの表面を画定する透過性層を更に含み、前記フレーム及び前記透過性層が、一緒になって容積を画定しており、前記媒体が、前記容積内に少なくとも部分的に囲まれているか、又は収容されている、請求項30に記載のフィルタシステム。
【請求項32】
前記透過性層が、接着剤を介して前記フレームに接合されている、請求項31に記載のフィルタシステム。
【請求項33】
前記第1のフィルタが、前記第1のフィルタの上面を画定する第1の透過性層と、前記第1のフィルタの底面を画定する第2の透過性層と、を更に備え、これにより、前記フレーム、前記第1の透過性層、及び前記第2の透過性層が、一緒になって容積を画定しており、前記媒体が、前記容積内に囲まれている、請求項30に記載のフィルタシステム。
【請求項34】
前記第1の透過性層及び前記第2の透過性層が、接着剤を介して前記フレームに接合されている、請求項33に記載のフィルタシステム。
【請求項35】
空気が、1cfm~1,000cfm、又は250~500cfmの流量で前記フィルタシステムを通って流れるように誘導される、請求項1~34のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項36】
前記媒体が、最初に存在する前駆体1グラム当たり1日当たり0.1~600ミリグラムの処理ガス、又は最初に存在する前駆体1グラム当たり1日当たり0.1~60ミリグラムの処理ガスの速度で前記処理ガスを発生させる、請求項1~35のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項37】
前記空気が、前記フィルタシステムを出て、容積を有するチャンバ内に流れ込み、前記第1のフィルタは、前記チャンバの前記容積内の前記処理ガスの濃度が1ppmv以下であるように、前記処理ガスを前記空気の前記流路内に放出する、請求項1~36のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項38】
前記媒体が、静電的に帯電した表面を備える、請求項1~37のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項39】
前記空気が、20%~90%又は50%~80%の湿度を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項40】
前記フィルタシステムを通って誘導された前記空気が、前記フィルタシステムに入る前に第1の量の第1の成分を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項41】
前記第1の成分が、毒素、汚染物質、兵器剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項40に記載のフィルタシステム。
【請求項42】
前記第1の成分が、有機分子、生物剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項40又は41に記載のフィルタシステム。
【請求項43】
前記第1の成分が、感染性微生物などの病原体を含む、請求項40~42のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項44】
前記フィルタシステムは、前記フィルタシステムを出る前記空気が、前記フィルタシステムに入る前記空気と比較して、より少ない量の前記第1の成分を有するように、前記空気中の前記第1の成分の前記量を低減させる、請求項40~43のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項45】
前記フィルタシステムが、前記第1の成分を前記空気から実質的に除去する、請求項40~44のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項46】
前記第1の成分が、病原体を含み、前記フィルタシステムが、前記病原体の活性を低減させる、請求項40~45のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項47】
前記第1の成分が、有機分子を含み、前記第1のフィルタが、前記第1の成分を酸化する、請求項40~46のいずれか一項に記載のフィルタシステム。
【請求項48】
空気を処理するための、請求項1~47のいずれか一項に記載のフィルタシステムの使用の方法。
【請求項49】
前記方法が、感染性微生物を含有するバイオエアロゾルの伝播を低減することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、空気浄化、環境修復、又はそれらの組み合わせを含む、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記フィルタシステムを出る前記空気が、前記フィルタシステムに入る前記空気と比較して処理される、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する処理ガスを前記チャンバ内に放出することによって処理することを含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記チャンバが、建物内に設けられている、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記フィルタシステムは、前記チャンバの前記容積内の前記処理ガスの濃度が1ppmv以下であるように、ある量の前記処理ガスを前記チャンバ内に放出する、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
疾患又は障害の治療を必要としている対象において疾患又は障害を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象に、請求項1~47のいずれか一項に記載のフィルタシステムによって発生する処理ガスの治療的に有効な量を投与することを含む、方法。
【請求項56】
前記方法が、前記処理ガスの治療的に有効な量を前記対象の気道の少なくとも一部分に送達することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記処理ガスの前記治療的に有効な量を吸入する、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
前記フィルタシステムが、前記処理ガスの治療的に有効な量を前記対象の前記気道の少なくとも一部分に送達するように構成された人工呼吸器又はマスクの一部である、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する前記処理ガスを前記チャンバ内に放出することによって処理することを含み、前記対象が、前記チャンバ内に位置し、これにより、前記対象が、前記チャンバ内の処理された前記周囲空気を吸入する、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象に送達される前記処理ガスが、1ppmv以下の濃度を有する、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患又は障害が、感染症を含む、請求項55~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患又は障害が、呼吸器感染症を含む、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患又は障害が、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、又はそれらの組み合わせによる感染症を含む、請求項55~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
請求項1~40のいずれか一項に記載のフィルタシステムを備える製造物品であって、前記製造物品が、人工呼吸器、ガスマスク、個人用保護デバイス、又はそれらの組み合わせを含む、製造物品。
【請求項65】
前記人工呼吸器、ガスマスク、又は個人用保護デバイスが、有害な化学物質及び/又は生物剤への曝露からの保護を提供する、請求項48に記載の製造物品。
【請求項66】
前記人工呼吸器、前記ガスマスク、又は前記個人用保護デバイスが、保護を必要とする対象による使用に好適であり、前記対象が、ヒト、介助動物、法執行動物、死体動物、捜索救助動物、軍用動物、又は探知動物である、請求項48又は49に記載の製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月18日に出願された米国仮出願第63/300,496号の優先権の利益を主張するものであり、本仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
例えば、コロナウイルスなどの感染性微生物を含有するバイオエアロゾルの活性(例えば、伝染性及び/若しくは感染性)並びに/又は伝播を低減するために、空気及び/又は表面を処理するためのシステム及び方法が必要である。本明細書で考察されるシステム及び方法は、これら及び他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0003】
本開示のシステム及び方法の目的に従い、本明細書において具現化され、広く記載されるように、本開示の主題は、空気を処理するためのシステム及び方法に関する。
【0004】
例えば、本明細書に開示されるのは、空気を処理するためのフィルタシステムであり、フィルタシステムは、媒体を備える第1のフィルタを備え、フィルタシステムを通って流れるように誘導された空気が、第1のフィルタに接触し、媒体は、処理ガスを、処理ガスが空気の流路内に放出されるように、前駆体から発生させるように構成されており、処理ガスが、二酸化塩素(ClO2)を含み、前駆体が、二酸化塩素前駆体を含み、処理ガスが、二酸化炭素(CO2)を含み、前駆体が、二酸化炭素前駆体を含み、又はそれらの組み合わせである。
【0005】
いくつかの例では、フィルタシステムは、空気流の方向に沿って第1のフィルタに対して続けて配置された第2のフィルタを更に備えることができる。いくつかの例では、第2のフィルタは、粗フィルタ、微細フィルタ、準HEPAフィルタ、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、第2のフィルタは、活性炭フィルタを含む。
【0006】
いくつかの例では、処理ガスは、二酸化塩素を含み、前駆体は、二酸化塩素前駆体を含む。いくつかの例では、二酸化塩素前駆体は、金属亜塩素酸塩、金属塩素酸塩、塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される二酸化塩素生成化合物を含む。いくつかの例では、金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、金属塩素酸塩は、塩素酸ナトリウム、塩素酸リチウム、塩素酸カリウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0007】
いくつかの例では、処理ガスは、二酸化炭素を含み、前駆体は、二酸化炭素前駆体を含む。いくつかの例では、二酸化炭素前駆体は、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素含有化合物を含む。いくつかの例では、炭素含有化合物は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子を含む。いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、ゼオライト結晶、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、及び粘土からなる群から選択される多孔質担体を更に含み、前駆体は、多孔質担体に含浸されている。いくつかの例では、多孔質担体は、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)~25.4ミリメートル(mm)の平均粒径を有する。いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、1重量%~100重量%、1重量%~90重量%、又は1重量%~50重量%の前駆体を含む。
【0009】
いくつかの例では、媒体は、プロトン発生種を更に含む。いくつかの例では、媒体は、プロトン発生種を含む乾燥粒子を更に含む。いくつかの例では、プロトン発生種は、有機酸、無機酸、金属塩、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、プロトン発生種は、酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される有機酸及び/又は無機酸を含む。いくつかの例では、プロトン発生種は、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、CaCl2、ZnSO4、ZnCl2、CoSO4、CoCl2、MnSO4、MnCl2、CuSO4、CuCl2、MgSO4、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素、リン酸水素二ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属塩を含む。いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子が、ゼオライト結晶、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、及び粘土からなる群から選択される多孔質担体を更に含み、プロトン発生種は、多孔質担体に含浸されている。いくつかの例では、多孔質担体は、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)~25.4ミリメートル(mm)の平均粒径を有する。いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、1重量%~100重量%、1重量%~90重量%、又は1重量%~50重量%のプロトン発生種の乾燥粒子を含む。
【0010】
いくつかの例では、媒体は、1cm~50cmの平均総厚さで第1のフィルタ内に配設されている。
【0011】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、の混合物として、第1のフィルタ内に配設されている。
【0012】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、の2つ以上の交互の層を含む層状床として、第1のフィルタ内に配設されている。いくつかの例では、層状床内の層の総数は、3層以上である。いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子の各層の平均厚さ及び/又はプロトン発生種を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、独立して、1cm~50cmである。
【0013】
いくつかの例では、第1のフィルタは、第1のフィルタ全体に配設されたグリッド構造を更に備える。いくつかの例では、グリッド構造は、複数のウェルを備え、媒体は、複数のウェル内に配設されている。
【0014】
いくつかの例では、第1のフィルタは、第1のフィルタの周囲を画定するフレームを更に備える。
【0015】
いくつかの例では、第1のフィルタは、第1のフィルタの表面を画定する透過性層を更に備え、フレーム及び透過性層は、一緒になって容積を画定しており、媒体は、容積内に少なくとも部分的に囲まれているか、又は収容されている。いくつかの例では、透過性層は、接着剤を介してフレームに接合されている。
【0016】
いくつかの例では、第1のフィルタは、第1のフィルタの上面を画定する第1の透過性層と、第1のフィルタの底面を画定する第2の透過性層と、を更に備え、これにより、フレーム、第1の透過性層、及び第2の透過性層が、一緒になって容積を画定しており、媒体が、容積内に囲まれている。いくつかの例では、第1の透過性層及び第2の透過性層は、接着剤を介してフレームに接合されている。
【0017】
いくつかの例では、空気は、1cfm~1,000cfm(例えば、250~-500cfm)の流量でフィルタシステムを通って流れるように誘導される。
【0018】
いくつかの例では、媒体は、最初に存在する前駆体の1グラム当たり1日当たり0.1~600ミリグラムの処理ガスの速度で(例えば、0.1~60)処理ガスを発生させる。
【0019】
いくつかの例では、空気は、フィルタシステムを出て、容積を有するチャンバ内に流れ込み、第1のフィルタは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が1ppmv以下であるように、処理ガスを空気の流路内に放出する。
【0020】
いくつかの例では、媒体は、静電的に帯電した表面を備える。
【0021】
いくつかの例では、空気は、20%~90%又は50%~80%の湿度を有する。
【0022】
いくつかの例では、フィルタシステムを通って誘導される空気は、フィルタシステムに入る前に第1の量の第1の成分を含む。いくつかの例では、第1の成分は、毒素、汚染物質、兵器剤、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子、生物剤、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、第1の成分は、感染性微生物などの病原体を含む。いくつかの例では、フィルタシステムは、フィルタシステムを出る空気が、フィルタシステムに入る空気と比較して、より少ない量の第1の成分を有するように、空気中の第1の成分の量を低減させる。いくつかの例では、フィルタシステムは、第1の成分を空気から実質的に除去する。いくつかの例では、第1の成分は、病原体を含み、フィルタシステムは、病原体の活性を低減させる。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子を含み、第1のフィルタは、第1の成分を酸化する。
【0023】
また、例えば、空気を処理するための、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかの使用方法が本明細書に開示される。いくつかの例では、方法は、感染性微生物を含有するバイオエアロゾルの伝播を低減することを含む。いくつかの例では、方法は、空気浄化、環境修復、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、フィルタシステムを出る空気は、フィルタシステムに入る空気と比較して処理される。いくつかの例では、方法は、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する処理ガスをチャンバ内に放出することによって処理することを含む。いくつかの例では、チャンバは、建物内に設けられている。いくつかの例では、フィルタシステムは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が1ppmv以下であるように、ある量の処理ガスをチャンバ内に放出する。
【0024】
また、疾患又は障害の治療を必要としている対象において疾患又は障害を治療するための方法が本明細書に開示され、方法は、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかによって発生する治療的に有効な量の処理ガスを対象に投与することを含む。いくつかの例では、方法は、治療的に有効な量の処理ガスを対象の気道の少なくとも一部分に送達することを含む。いくつかの例では、対象は、治療的に有効な量の処理ガスを吸入する。いくつかの例では、フィルタシステムは、治療的に有効な量の処理ガスを対象の気道の少なくとも一部分に送達するように構成された人工呼吸器又はマスクの一部である。いくつかの例では、方法は、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する処理ガスをチャンバ内に放出することによって処理することを含み、対象は、チャンバ内に位置し、これにより、対象は、チャンバ内の処理された周囲空気を吸入する。いくつかの例では、対象に送達される処理ガスは、1ppmv以下の濃度を有する。いくつかの例では、疾患又は障害は、感染症を含む。いくつかの例では、疾患又は障害は、呼吸器感染症を含む。いくつかの例では、疾患又は障害は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、又はそれらの組み合わせによる感染症を含む。
【0025】
本明細書にはまた、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかを備える製造物品が開示され、製造物品は、例えば、人工呼吸器、ガスマスク、個人用保護デバイス、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、人工呼吸器、ガスマスク、又は個人用保護デバイスは、有害な化学物質及び/又は生物剤への曝露からの保護を提供する。いくつかの例では、人工呼吸器、ガスマスク、又は個人用保護デバイスは、保護を必要とする対象による使用に好適であり、対象は、ヒト、介助動物、法執行動物、死体動物、捜索救助動物、軍用動物、又は探知動物である。
【0026】
本開示のシステム及び方法の追加の利点は、以下の説明に一部記載され、この説明から一部明らかであろう。本開示のシステム及び方法の利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘される要素及び組み合わせにより実現され、達せられるであろう。前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的及び説明的であり、特許請求される本開示のシステム及び方法を限定するものではないことを理解されたい。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0029】
【
図1】本明細書に開示される例示的なフィルタシステムの写真である。
【
図2】チャンバ内に配設された本明細書に開示される例示的なフィルタシステムの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、本開示の主題の特定の態様の以下の詳細な説明、及びそこに含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0031】
定義
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、用語「comprise(含む)」並びに「comprising(含んでいる)」及び「comprises(含む)」などのその単語の他の形態は、「including but not limited to(含むがそれに限定されない)」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数、又はステップを除外することを意図しない。
【0032】
本説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a composition(ある組成物)」に対する言及は、2つ以上のそのような組成物の混合物を含み、「the compound(その化合物)」に対する言及は、2つ以上のそのような化合物の混合物を含み、「an agent(ある薬剤)」に対する言及は、2つ以上のそのような薬剤の混合物を含むなどである。
【0033】
「任意選択の」又は「任意選択的に」は、後で説明する事象又は状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、この記載には、事象又は状況が生じる事例及び生じない事例が含まれる。
【0034】
本明細書では、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、のように表現され得る。「約」とは、値の5%以内、例えば、値の4、3、2、又は1%以内を意味する。そのような範囲が表現される場合、別の態様は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞の「約」を使用することによって、特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲の各々の終点は、他の終点と関連して、及び他の終点とは独立して、両方とも重要であることが更に理解されよう。
【0035】
「例示的な」は、「~の例」を意味し、好ましい又は理想的な実施形態の指示を伝えることを意図しない。「など」は、限定的な意味で使用されるのではなく、説明目的で使用される。
【0036】
値は、本明細書において「平均」値として表すことができる。「平均」は、概して、統計的平均値を指す。
【0037】
「実質的に」とは、5%以内、例えば4%、3%、2%、又は1%以内を意味する。
【0038】
本明細書全体を通して、識別子「第1の」及び「第2の」は、本開示の主題の様々な構成要素、特徴、又はステップの区別において読み手を助けるために単に使用されることが理解される。識別子「第1の」及び「第2の」は、これらの用語によって修飾された構成要素又はステップに対する任意の特定の順序、量、優先性、又は重要性を暗示することを意図しない。
【0039】
組成物中の特定の要素又は成分の重量部に対する、本明細書及び結びの特許請求項の範囲における参照は、重量部が表される組成物又は物品中の要素又は成分と任意の他の要素又は成分との間の重量関係を示す。したがって、2重量部の成分X及び5重量部の成分Yを含有する化合物において、X及びYは2:5の重量比で存在し、追加の成分が化合物中に含有されるか否かにかかわらず、このような比率で存在する。
【0040】
成分の重量パーセント(wt.%)は、特に反対の記載がない限り、成分が含まれる製剤又は組成物の総重量に基づく。
【0041】
「又はそれらの組み合わせ」という用語は、本明細書で使用される場合、その用語に先行して列挙された項目の全ての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCのうちの少なくとも1つ、また特定の文脈において順序が重要である場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABのうちの少なくとも1つも含むことが意図される。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどといった1つ以上の項目又は用語の反復を含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者は、文脈から別段明らかでない限り、典型的には、任意の組み合わせにおける項目又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」は、個体を意味する。したがって、「対象」は、飼いならされた動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、及び鳥を含むことができる。「対象」はまた、霊長類又はヒトなどの哺乳類を含むことができる。したがって、対象は、ヒト又は獣医学的患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある対象を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、抗菌剤としては、例えば、抗菌剤、抗真菌剤、及び抗ウイルス剤が挙げられる。本明細書で使用される場合、「抗菌剤」は、任意の濃度で微生物の増殖を処理又は制御(例えば、低減、予防、処理、又は排除)する能力を指す。同様に、「抗菌」、「抗真菌」、及び「抗ウイルス」という用語は、それぞれ、任意の濃度で細菌、真菌、及びウイルスの増殖を処理又は制御する能力を指す。
【0044】
「阻害する」という用語は、活性、応答、状態、疾患、又は他の生物学的パラメータの減少を指す。これには、活性、応答、状態、又は疾患の完全な除去が含まれ得るが、これらに限定されない。これには、例えば、天然又は対照レベルと比較して、活性、応答、状態、又は疾患の10%低減も含まれ得る。したがって、低減は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の低減であり得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「低減する」、又は「低減すること」若しくは「低減」などのその単語の他の形態は、事象又は特徴(例えば、細菌集団/感染)の低下を指す。低減は、典型的には、ある標準値又は期待値との比較であることが理解される。例えば、「微生物感染症を低減させる」とは、標準又は対照と比較した微生物感染症の広がりの低減を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「予防する」又はその単語の他の形態、例えば「予防すること」又は「予防」とは、特定の事象若しくは特徴を停止すること、特定の事象若しくは特徴の発達若しくは進行を安定化させるか、若しくは遅らせること、又は特定の事象若しくは特徴が生じる可能性を最小限に抑えることを指す。「予防」は、典型的には、例えば、「低減」よりも絶対的であるため、対照との比較を必要としない。本明細書で使用される場合、何かを低減することができるが、予防することができない場合があるが、低減される何かを予防することができる場合もある。同様に、何かを予防することができるが、低減することができない場合があるが、予防される何かを低減することができる場合もある。例えば、「予防する」又は「抑制する」という用語は、疾患若しくは状態の発症を妨げる若しくは遅らせる、又は疾患若しくは状態の重症度を低減する処理を指すことができる。したがって、処理が疾患の症状を有する対象の疾患を処理することができる場合、処理はまた、症状の一部又は全てにまだ罹患していない対象の疾患を予防又は抑制することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「処理する」、又はその単語の他の形態、例えば、「処理された」若しくは「処理」は、特定の特徴又は事象(例えば、細菌の成長又は生存)を低減、予防、阻害、又は排除するための、組成物の投与又は方法の実施を指す。「対照」という用語は、「処理」という用語と同義的に使用される。
【0048】
「治療的に有効な量」という用語は、使用される組成物の量が、疾患又は障害の1つ以上の原因又は症状を軽減するのに十分なものであることを指す。そのような軽減は、低減又は変化を必要とするだけであり、排除である必要はない。
【0049】
「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は妥当な利益/リスク比に見合った他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織に接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「送達」という用語は、局所送達及び全身送達の両方を包含する。
【0051】
システム及び方法
空気を処理するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。
【0052】
例えば、本明細書に開示されるのは、空気を処理するためのフィルタシステムであり、フィルタシステムは、媒体を備える第1のフィルタを備え、フィルタシステムを通って流れるように誘導された空気が、第1のフィルタに接触し、媒体は、処理ガスを、処理ガスが空気の流路内に放出されるように、前駆体から発生させるように構成されており、処理ガスが、二酸化塩素(ClO2)を含み、前駆体が、二酸化塩素前駆体を含み、処理ガスが、二酸化炭素(CO2)を含み、前駆体が、二酸化炭素前駆体を含み、又はそれらの組み合わせである。本明細書のシステム及び方法は、空気を使用するように記載されているが、システム及び方法は、他の成分(例えば、窒素)の使用を包含することができる。例えば、空気は、シアン化水素、硫化水素、塩酸、フッ化水素、ヨウ化水素、臭化水素、硝酸蒸気、塩素、二硫化炭素、メルカプタン、又はそれらの組み合わせなどの酸性ガス化合物を含むことができる。
【0053】
いくつかの例では、フィルタシステムは、空気流の方向に沿って第1のフィルタに対して続けて配置された第2のフィルタ(例えば、1つ以上の第2のフィルタ)を含むことができる。第2のフィルタは、当該技術分野で既知のものなど、任意のタイプの空気フィルタを含むことができる。例えば、第2のフィルタは、空気から微粒子を除去するためのフィルタ、例えば、粗フィルタ(例えば、ガラスG1~G4などにおける粗粒子を除去するためのフィルタ)、微細フィルタ(例えば、クラスM5、M6、F7、F8、F9)、準HEPAフィルタ(例えば、クラスE10、E11、E12)、HEPAフィルタ(例えば、クラスH13、H14)、ULPAフィルタ(例えば、クラスU15、U16、U17)、又はそれらの組み合わせなどを含むことができる。いくつかの例では、第2のフィルタは、活性炭フィルタを含むことができる。
【0054】
前駆体は、前駆体が(例えば、プロトン発生種からの)プロトンと反応して処理ガスを生成することを可能にする任意の形態で提供され得る。いくつかの例では、媒体は前駆体を含み、前駆体は空気中又は媒体中のプロトンと反応する。いくつかの例では、媒体は、静電的に帯電した表面を備える。
【0055】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子を含む。本明細書で使用される場合、「乾燥粒子」という用語は、粒子が、20重量%以下(例えば、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下)の水含有量を有することを示す。
【0056】
いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、粉末の形態である。いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、前駆体が多孔質担体に含浸された多孔質担体を含むことができる。いくつかの例では、多孔質担体は、不活性である。いくつかの例では、多孔質担体は、その中に位置する細孔、チャネルなどを有する。例示的な多孔質担体としては、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、粘土、多孔質ポリマー、アルミナ、ゼオライト(例えば、ゼオライト結晶)、又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、多孔質担体は、細孔、チャネルなどを介して、多孔質担体の体積全体にわたって前駆体が均一に含浸される。
【0057】
多孔質担体は、平均粒径を有することができる。「平均粒径」及び「平均的な粒径」は、本明細書で互換的に使用され、概して、粒子集団中の粒子の統計的な平均的な粒径を指す。例えば、実質的に球形の形状を有する複数の粒子の平均粒径は、複数の粒子の平均直径を含むことができる。異方性粒子の場合、平均粒径は、例えば、粒子の平均最大寸法(例えば、ロッド形状の粒子の長さ、立方体形状の粒子の対角線、三角形形状の粒子の二等分線など)を指すことができる。平均的な粒径は、ふるい分け又は顕微鏡法などの当該技術分野で既知の方法を使用して測定することができる。
【0058】
いくつかの例では、多孔質担体は、その最大寸法において、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)以上(例えば、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、175μm以上、200μm以上、225μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、450μm以上、500μm以上、600μm以上、700μm以上、800μm以上、900μm以上、1ミリメートル(mm)以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上、15mm以上、又は20mm以上)の平均粒径を有することができる。いくつかの例では、多孔質担体は、25.4mm(例えば、1インチ)以下(例えば、24mm以下、23mm以下、22mm以下、21mm以下、20mm以下、19mm以下、18mm以下、17mm以下、16mm以下、15mm以下、14mm以下、13mm以下、12mm以下、11mm以下、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、225μm以下、200μm以下、175μm以下、150μm以下、125μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、又は5μm以下)の平均粒径を有することができる。それらの最大寸法における多孔質担体の平均粒径は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、多孔質担体は、0.5μm~25.4mm(例えば、0.5μm~1mm、1mm~25.4mm、0.5μm~100μm、100μm~500μm、500μm~1mm、1mm~10mm、10mm~25.4mm、175μm~400μm、又は600μm~2mm)の平均粒径を有することができる。
【0059】
いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、1重量%以上(例えば、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は95%以上)の前駆体を含む。いくつかの例では、前駆体を含む乾燥粒子は、100重量%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下)の前駆体を含む。いくつかの実施形態では、前駆体を含む乾燥粒子は、前駆体が含浸された多孔質担体を含み、多孔質担体は、1重量%以上(例えば、上で提供された量)の前駆体及び/又は50重量%以下の前駆体(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、又は10%以下)を含む。前駆体を含む乾燥粒子中の前駆体の量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、前駆体を含む乾燥粒子は、1重量%~100重量%(例えば、1%~50%、50%~100%、1%~25%、25%~50%、50%~75%、75%~100%、1%~90%、又は1%~50%)の前駆体を含むことができる。
【0060】
いくつかの例では、多孔質担体は、低い水分(例えば、水)含有量を有する多孔質担体を使用することによって前駆体で含浸される。いくつかの例では、低い水分含有量は、20重量%以下(例えば、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下)である。いくつかの例では、多孔質担体は、5%を超える初期水分含有量を有し、したがって、5%以下の水分含有量を生成するために脱水することができる。いくつかの例では、次いで、脱水された多孔質担体を、高温(例えば、120°F~190°Fの範囲)で前駆体の水溶液に浸漬するか、又は前駆体の水溶液を噴霧し、得られたスラリーを完全に混合する。いくつかの例では、混合スラリーは、次いで、20重量%以下(例えば、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下)の水分レベルまで空気乾燥されて、本明細書に開示される含浸剤(すなわち、多孔質担体に含浸された前駆体)を生成する。いくつかの例では、本明細書に開示される含浸剤は、所望の最終水分レベル(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下)を達成するために必要な前駆体の水溶液の量を計算し、この量の水溶液を脱水された多孔質担体に添加して多孔質担体を含浸させることによって、乾燥ステップなしで調製され得、それによって、前駆体を含む乾燥粒子を形成する。
【0061】
いくつかの例では、前駆体を多孔質担体に含浸させ、塩基で処理する。いくつかの例では、塩基は、利用可能なプロトンを低減し、プロトン発生種が塩基を克服し、前駆体と反応するまで反応を阻害して、混合物が活性化されると、棚安定性を高め、反応速度を遅くすることができる任意の好適な塩基である。例示的な塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又はそれらのブレンドが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、塩基の量は、生成される処理ガスの所望の量及び/又は処理ガスが生成される所望の速度などの様々な要因を考慮して選択することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、前駆体は、例えば、二酸化塩素前駆体を含み得、処理ガスは、二酸化塩素を含み得、前駆体は、二酸化炭素前駆体を含み得、処理ガスは、二酸化炭素を含み得、又はそれらの組み合わせである。
【0063】
二酸化塩素前駆体は、二酸化塩素ガスを生成することができる任意の組成物から選択することができる。二酸化塩素前駆体は、例えば、金属亜塩素酸塩、金属塩素酸塩、塩素酸、次亜塩素酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される二酸化塩素生成化合物を含むことができる。金属亜塩素酸塩の例としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸マグネシウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。金属塩素酸塩の例としては、塩素酸ナトリウム、塩素酸リチウム、塩素酸カリウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、二酸化塩素前駆体は、上で記載したような、並びにそれらの全体が参照により組み込まれる米国特許第5,567,405号、同第5,573,743号、同第5,730,948号、同第5,776,850号、同第5,853,689号、同第5,885,543号、同第6,174,508号、同第6,379,643号、同第6,423,289号、同第7,347,994号、同第7,922,992号、及び同第9,382,116号に記載されるような、ゼオライト結晶などの多孔質担体中に含浸される。
【0064】
二酸化炭素前駆体は、二酸化炭素ガスを生成することができる任意の組成物から選択することができる。二酸化炭素前駆体は、例えば、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素含有化合物を含むことができる。炭素含有化合物の例としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、二酸化炭素前駆体は、上で記載したような、並びにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,992,992号及び同第8,709,396号に記載されるような、ゼオライト結晶などの多孔質担体中に含浸される。
【0065】
いくつかの例では、媒体は、プロトン発生種を更に含むことができる。本明細書に開示されるようなプロトン発生種は、プロトンを発生させて前駆体と反応させ、処理ガスを発生させることができる任意の組成物であり得る。プロトン発生種は、例えば、有機酸、無機酸、金属塩、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、有機酸及び/又は無機酸は、酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。金属塩の例としては、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、CaCl2、ZnSO4、ZnCl2、CoSO4、CoCl2、MnSO4、MnCl2、CuSO4、CuCl2、MgSO4、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素、リン酸水素二ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、プロトン発生種は、揮発性酸を含むことができる。いくつかの例では、プロトン発生種は、保水物質(例えば、CaCl2、MgSO4)としても作用することができる金属塩である。いくつかの例では、プロトン発生種は、多孔質担体の一部であり得る。
【0066】
いくつかの例では、プロトン発生種は、プロトン発生種を水分含有(又は水含有)流体と接触させることによって、プロトンを生成するように活性化される。いくつかの実施形態では、金属塩は、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、又はそれらの混合物であり、これらの鉄塩は、プロトン発生種として機能することに加えて水を吸収することができる。いくつかの実施形態では、水分含有流体は、液体水又は水溶液である。いくつかの実施形態では、水分含有流体は、空気又は水蒸気などの水分含有ガスである。いくつかの実施形態では、プロトン発生種によって生成されるプロトンは、処理ガスの前駆体と反応する。プロトン発生種はまた、水分含有流体への曝露以外の方法で活性化することができる。いくつかの実施形態では、プロトン発生種は、活性化されることができ、前駆体を含有する粉末又は含浸多孔質担体中の水に曝露するとプロトンを放出することができる。
【0067】
プロトン発生種は、プロトンの放出を可能にする任意の形態で提供することができる。
【0068】
いくつかの例では、媒体は、プロトン発生種を含む乾燥粒子を更に含む。本明細書で使用される場合、「乾燥粒子」という用語は、粒子が、20重量%以下(例えば、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下)の水含有量を有することを示す。
【0069】
いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、粉末の形態である。いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、多孔質担体を含むことができ、プロトン発生種は、多孔質担体中に含浸される。いくつかの例では、多孔質担体は、不活性である。いくつかの例では、多孔質担体は、その中に位置する細孔、チャネルなどを有する。例示的な多孔質担体としては、シリカ、軽石、珪藻土、ベントナイト、粘土、多孔質ポリマー、アルミナ、ゼオライト(例えば、ゼオライト結晶)、又はそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、多孔質担体は、細孔、チャネルなどを介して、多孔質担体の体積全体にわたってプロトン発生種が均一に含浸される。いくつかの例では、多孔質担体は、それらの最大寸法において、0.5マイクロメートル(ミクロン、μm)以上(例えば、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、100μm以上、125μm以上、150μm以上、175μm以上、200μm以上、225μm以上、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、450μm以上、500μm以上、600μm以上、700μm以上、800μm以上、900μm以上、1ミリメートル(mm)以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上、15mm以上、又は20mm以上)の平均粒径を有することができる。いくつかの例では、多孔質担体は、それらの最大寸法において、25.4mm(例えば、1インチ)以下(例えば、24mm以下、23mm以下、22mm以下、21mm以下、20mm以下、19mm以下、18mm以下、17mm以下、16mm以下、15mm以下、14mm以下、13mm以下、12mm以下、11mm以下、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、225μm以下、200μm以下、175μm以下、150μm以下、125μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下、又は5μm以下)の平均粒径を有することができる。それらの最大寸法における多孔質担体の平均粒径は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、多孔質担体は、0.5μm~25.4mm(例えば、0.5μm~1mm、1mm~25.4mm、0.5μm~100μm、100μm~500μm、500μm~1mm、1mm~10mm、10mm~25.4mm、175μm~400μm、又は600μm~2mm)の平均粒径を有することができる。
【0070】
いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、1重量%以上(例えば、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は95%以上)のプロトン発生種を含む。いくつかの例では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、100重量%以下(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下)のプロトン発生種を含む。いくつかの実施形態では、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、プロトン発生種が含浸された多孔質担体を含み、多孔質担体は、1重量%以上(例えば、上で提供された量)のプロトン発生種及び/又は50重量%以下のプロトン発生種(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、又は10%以下)を含む。プロトン発生種を含む乾燥粒子中のプロトン発生種の量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、プロトン発生種を含む乾燥粒子は、1重量%~100重量%(例えば、1%~50%、50%~100%、1%~25%、25%~50%、50%~75%、75%~100%、1%~90%、又は1%~50%)のプロトン発生種を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施例では、多孔質担体は、低い水分(例えば、水)含有量を有する多孔質担体を使用することによって、プロトン発生種で含浸される。いくつかの実施形態では、低い水分含有量は、20重量%以下(例えば、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下)である。いくつかの実施形態では、多孔質担体は、5%を超える初期水分含有量を有し、したがって、5%以下の水分含有量を生成するために脱水することができる。いくつかの実施形態では、次いで、脱水された多孔質担体を、高温(例えば、120°F~190°Fの範囲)でプロトン発生種の水溶液に浸漬するか、又はプロトン発生種の水溶液を噴霧し、得られたスラリーを完全に混合する。いくつかの実施形態では、混合スラリーは、次いで、0重量%~20重量%(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下)の水分レベルまで空気乾燥されて、含浸剤(すなわち、多孔質担体に含浸されたプロトン発生種)を生成する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される含浸剤は、所望の最終水分レベル(例えば、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下)を達成するために必要なプロトン発生種の水溶液の量を計算し、この量の水溶液を脱水された多孔質担体に添加して多孔質担体を含浸させることによって、乾燥ステップなしで調製され得、それによって、プロトン発生種を含む乾燥粒子を形成する。
【0072】
いくつかの例では、媒体は、潮解剤を更に含むことができる。潮解剤の例としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸性フッ化アンモニウム、硝酸カドミウム、水酸化セシウム、塩化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化コバルト(II)、塩化金(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マンガン(II)、メソキサル酸、炭酸カリウム、酸化カリウム、過塩素酸銀、ギ酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、タキヒドライト、タウロコール酸、四塩化テルル、塩化スズ(II)、硫酸スズ(II)、塩化イットリウム(III)、塩化亜鉛、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、潮解剤は、粉末の形態である。いくつかの例では、潮解剤は、多孔質担体中に含浸させることができる。いくつかの例では、多孔質担体は、不活性である。いくつかの例では、多孔質担体は、その中に位置する細孔、チャネルなどを有する。いくつかの例では、多孔質担体は、細孔、チャネルなどを介して、多孔質担体の体積全体にわたって潮解剤が均一に含浸される。いくつかの例では、潮解剤を含浸させた多孔質担体は、前駆体を含浸させた多孔質担体及び/又はプロトン発生種を含浸させた多孔質担体とは別である。
【0073】
いくつかの例では、媒体は、乾燥剤を更に含むことができる。乾燥剤の例としては、活性アルミナ、ベンゾフェノン、ベントナイト粘土、酸化カルシウム、硫酸カルシウム(Drierite)、スルホン酸カルシウム、硫酸銅(II)、塩化リチウム、臭化リチウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、分子ふるい、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、ナトリウム、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、スクロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、乾燥剤は、粉末の形態である。いくつかの例では、乾燥剤は、多孔質担体中に含浸させることができる。いくつかの例では、多孔質担体は、不活性である。いくつかの例では、多孔質担体は、その中に位置する細孔、チャネルなどを有する。いくつかの例では、多孔質担体は、細孔、チャネルなどを介して、多孔質担体の体積全体にわたって乾燥剤が均一に含浸される。いくつかの例では、乾燥剤を含浸させた多孔質担体は、前駆体を含浸させた多孔質担体及び/又はプロトン発生種を含浸させた多孔質担体とは別である。
【0074】
いくつかの例では、媒体は、1センチメートル(cm)以上(例えば、1.5cm以上、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、3.5cm以上、4cm以上、4.5cm以上、5cm以上、6cm以上、7cm以上、8cm以上、9cm以上、10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、30cm以上、35cm以上、又は40cm以上)の平均総厚さを有する第1のフィルタ内に配設することができる。いくつかの例では、第1のフィルタ内の媒体の平均総厚さは、50cm以下(例えば、45cm以下、40cm以下、35cm以下、30cm以下、25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下、9cm以下、8cm以下、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下、3.5cm以下、3cm以下、又は2.5cm以下)であり得る。第1のフィルタ内の媒体の平均総厚さは、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第1のフィルタ内の媒体の平均総厚さは、1cm~50cm(例えば、1cm~25cm、25cm~50cm、1cm~40cm、1cm~30cm、1cm~20cm、又は2.5cm~10cm)であり得る。
【0075】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、を含む。
【0076】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、の混合物として、第1のフィルタ内に配設されている。
【0077】
いくつかの例では、媒体は、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、の2つ以上の交互の層を含む層状床として、第1のフィルタ内に配設されている。いくつかの例では、空気と接触した床内の第1の層は、プロトン発生種を含む乾燥粒子の層である。いくつかの例では、層状床は、交互の層を含み、前駆体を含む乾燥粒子と、プロトン発生種を含む乾燥粒子と、の混合物を含む少なくとも1つの層を更に含む。
【0078】
いくつかの例では、層状床内の層の総数は、3層以上(例えば、4層以上、5層以上、6層以上、7層以上、8層以上、9層以上、10層以上、11層以上、12層以上、13層以上、14層以上、15層以上、16層以上、17層以上、18層以上、19層以上、20層以上、22層以上、24層以上、26層以上、28層以上、30層以上、35層以上、又は40層以上)である。いくつかの例では、層状床内の層の総数は、48層以下(例えば、46層以下、44層以下、42層以下、40層以下、38層以下、36層以下、34層以下、32層以下、30層以下、28層以下、26層以下、24層以下、22層以下、20層以下、19層以下、18層以下、17層以下、16層以下、15層以下、14層以下、13層以下、12層以下、11層以下、10層以下、9層以下、8層以下、7層以下、6層以下、又は5層以下)である。層状床内の層状の総数は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、層状床内の層の総数は、3層~48層(例えば、3層~24層、24層~48層、3層~30層、3層~20層、又は4層~16層)であり得る。
【0079】
いくつかの例では、床は、層を分離するために、層のうちの1つ以上の前、後、及び/又は間に多孔質の織布層又は不織布層を更に含むことができる。織布層又は不織布層は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))などのポリマー材料から形成することができる。例えば、多孔質セパレータ層は、スパンボンド不織布ポリエステル層であり得る。
【0080】
層状床の各層は平均厚さを有することができ、層の厚さは、流体流の間に空気が通過する層の寸法である。例えば、層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の層の各々の平均厚さは、1センチメートル(cm)以上(例えば、1.5cm以上、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、3.5cm以上、4cm以上、4.5cm以上、5cm以上、6cm以上、7cm以上、8cm以上、9cm以上、10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、30cm以上、35cm以上、40cm以上)であり得る。いくつかの例では、層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、50cm以下(例えば、45cm以下、40cm以下、35cm以下、30cm以下、25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下、9cm以下、8cm以下、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下、3.5cm以下、3cm以下、又は2.5cm以下)であり得る。層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、1cm~50cm(例えば、1cm~25cm、25cm~50cm、1cm~40cm、1cm~30cm、1cm~20cm、又は2.5cm~10cm)であり得る。
【0081】
層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、1センチメートル(cm)以上(例えば、1.5cm以上、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、3.5cm以上、4cm以上、4.5cm以上、5cm以上、6cm以上、7cm以上、8cm以上、9cm以上、10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、30cm以上、35cm以上、又は40cm以上)であり得る。いくつかの例では、層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、50cm以下(例えば、45cm以下、40cm以下、35cm以下、30cm以下、25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下、9cm以下、8cm以下、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下、3.5cm以下、3cm以下、又は2.5cm以下)であり得る。層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の各層の平均厚さは、1cm~50cm(例えば、1cm~25cm、25cm~50cm、1cm~40cm、1cm~30cm、1cm~20cm、又は2.5cm~10cm)であり得る。
【0082】
いくつかの例では、層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の層の各々の平均厚さは、層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の層の各々の平均厚さと実質的に同じであり得る。例えば、層状床内の各層の平均厚さは、1センチメートル(cm)以上(例えば、1.5cm以上、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、3.5cm以上、4cm以上、4.5cm以上、5cm以上、6cm以上、7cm以上、8cm以上、9cm以上、10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、30cm以上、35cm以上、又は40cm以上)であり得る。いくつかの例では、層状床内の各層の平均厚さは、50cm以下(例えば、45cm以下、40cm以下、35cm以下、30cm以下、25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下、9cm以下、8cm以下、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下、3.5cm以下、3cm以下、又は2.5cm以下)であり得る。層状床内の各層の平均厚さは、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、層状床内の各層の平均厚さは、1cm~50cm(例えば、1cm~25cm、25cm~50cm、1cm~40cm、1cm~30cm、1cm~20cm、又は2.5cm~10cm)であり得る。
【0083】
媒体は概して安定しており、用途で使用する前に第1のフィルタに組み立てることができる。第1のフィルタは、安定性を維持するように設計された湿度及び/又は空気流条件で別々に保管及び出荷することができる。
【0084】
例えば、前駆体を含む乾燥粒子及びプロトン発生種を含む乾燥粒子は、概して安定しており、ある用途で使用する前に、層状床及び/又は第1のフィルタに組み立てることができる。前駆体を含む乾燥粒子及びプロトン発生種を含む乾燥粒子は、最小湿度で別々に保管及び出荷することができる。例えば、前駆体を含む乾燥粒子及びプロトン発生種を含む乾燥粒子は、各々、別個の密封円筒形容器に提供することができる。円筒形容器は開くことができ、層状床及び/又は第1のフィルタは、使用の直前に準備することができる。米国特許第9,382,116号に例示されているものなどのいくつかの例では、層状床は、出荷前に調製することができる。保管中の層状床の安定性を維持する方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,382,116号に記載されている。
【0085】
いくつかの例では、第1のフィルタは、支持構造を更に備えることができる。支持構造は、例えば、ポリマー(例えば、ポリエチレン)、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛メッキ鋼、チタン、タンタル)、又はそれらの組み合わせなどの剛性材料を含むことができる。
【0086】
支持構造は、第1のフィルタ内に媒体を保持するのに役立ち、及び/又は第1のフィルタに所望の剛性を与えることができる。支持構造は、例えば、第1のフィルタの周囲を画定するフレームを備えることができる。フレームは、任意の形状(例えば、長方形、正方形、円形など)を有することができる。いくつかの例では、支持構造は、第1のフィルタ全体に配設されたグリッド構造(例えば、正方形グリッド、ハニカムグリッドなど)を含むことができる。いくつかの例では、支持構造は、複数のウェルを含むグリッド構造を含み、媒体は、複数のウェル内に配設されている。
【0087】
フレームは、任意の好適な材料を含むことができる。いくつかの例では、フレームは、酸化ガスなどの処理ガスと互換性があり得る。例えば、フレームは、(例えば、処理ガスによる)酸化に対して実質的に耐性があり得る。フレームは、例えば、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛メッキ鋼、チタン、タンタル)及び/又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、セルロース(例えば、紙)、又はそれらの組み合わせなどのポリマー材料から形成することができる。
【0088】
いくつかの例では、第1のフィルタは、フィルタの周囲を画定するフレームを備え、第1のフィルタの表面を画定する透過性層を更に備え、これにより、フレームと透過性層は一緒になって容積を画定しており、媒体は、容積内に少なくとも部分的に囲まれているか、又は収容されている。いくつかの例では、第1のフィルタは、フィルタの周囲を画定するフレームを備え、第1のフィルタの上面を画定する第1の透過性層と、第1のフィルタの底面を画定する第2の透過性層と、を更に備え、これにより、フレーム、第1の透過性層、及び第2の透過性層が、一緒になって容積を画定しており、媒体が、容積内に囲まれている。
【0089】
いくつかの例では、透過性層は、フレームに結合することができる。例えば、透過性層は、接着剤接合などの任意の好適な方法(例えば、適切なグルー又はポリウレタン接着剤などの他の接着剤を介して)によってフレームに接合することができる。いくつかの例では、接着剤及び/又は透過性層は、酸化性ガスなどの処理ガスと適合性があり得る。例えば、接着剤及び/又は透過性層は、(例えば、処理ガスによる)酸化に対して実質的に耐性があり得る。
【0090】
透過性層は、いくつかの例では、水に対して実質的に不透過性であり得るが、ガス(例えば、空気、処理ガスなど)が通過することを可能にする。
【0091】
透過性層は、いくつかの例では、多孔性織布層又は不織布層を含むことができる。織布層又は不織布層は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、セルロース(例えば、紙)、又はそれらの組み合わせなどのポリマー材料から形成することができる。例えば、多孔質セパレータ層は、スパンボンド不織布ポリエステル層であり得る。
【0092】
いくつかの例では、透過性層は、スクリーンを含むことができる。スクリーンは、例えば、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛メッキ鋼、チタン、タンタル)を含むことができる。
【0093】
透過性層は、平均的な特徴的な寸法を有する複数の細孔を含む。本明細書で使用される場合、「特徴的な寸法」という用語は、透過性層の平面内の2つの点の間の最大の直線距離を指す。「平均の特徴的な寸法」及び「平均的な特徴的な寸法」は、本明細書で互換的に使用され、概して、細孔の集団中の複数の細孔の統計的な中間の特徴的な寸法を指す。例えば、円筒形の細孔のセットの場合、平均の特徴的な寸法は、平均的な直径を指すことができる。
【0094】
透過性層の複数の細孔の平均の特徴的な寸法は、例えば、前駆体を含む乾燥粒子の平均粒径、プロトン発生種を含む乾燥粒子の平均粒径、又はそれらの組み合わせを考慮して選択することができる。例えば、透過性層の複数の細孔の平均の特徴的な寸法は、例えば、前駆体を含む乾燥粒子の平均粒径、プロトン発生種を含む乾燥粒子の平均粒径、又はそれらの組み合わせよりも小さく、その結果、例えば、前駆体を含む乾燥粒子及び/又はプロトン発生種を含む乾燥粒子が、第1のフィルタから漏れないように選択することができる。
【0095】
いくつかの例では、透過性層は、微粒子を空気から除去するように更に構成することができる。例えば、第1のフィルタは、粗フィルタ(例えば、ガラスG1~G4などの粗粒子を除去するためのフィルタ)、微細フィルタ(例えば、クラスM5、M6、F7、F8、F9)、準HEPAフィルタ(例えば、クラスE10、E11、E12)、HEPAフィルタ(例えば、クラスH13、H14)、ULPAフィルタ(例えば、クラスU15、U16、U17)、又はそれらの組み合わせを更に含むことができる。
【0096】
第1のフィルタは、平均厚さを有し得、厚さは、空気流の方向に沿った寸法である。いくつかの例では、第1のフィルタの平均厚さは、1センチメートル(cm)以上(例えば、1.5cm以上、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、3.5cm以上、4cm以上、4.5cm以上、5cm以上、6cm以上、7cm以上、8cm以上、9cm以上、10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、30cm以上、35cm以上、又は40cm以上)であり得る。いくつかの例では、第1のフィルタの平均厚さは、50cm以下(例えば、45cm以下、40cm以下、35cm以下、30cm以下、25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下、9cm以下、8cm以下、7cm以下、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下、3.5cm以下、3cm以下、又は2.5cm以下)であり得る。第1のフィルタの平均厚さは、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第1のフィルタの平均厚さは、1cm~50cm(例えば、1cm~25cm、25cm~50cm、1cm~40cm、1cm~30cm、1cm~20cm、又は2.5cm~10cm)であり得る。
【0097】
空気は、一定の流量でフィルタシステムを通って流れるように誘導される。例えば、空気は、1立方フィート毎分(cfm)以上(例えば、2cfm以上、3cfm以上、4cfm以上、5cfm以上、6cfm以上、7cfm以上、8cfm以上、9cfm以上、10cfm以上、15cfm以上、20cfm以上、25cfm以上、30cfm以上、35cfm以上、40cfm以上、45cfm以上、50cfm以上、55cfm以上、60cfm以上、65cfm以上、70cfm以上、75cfm以上、80cfm以上、85cfm以上、90cfm以上、95cfm以上、100cfm以上、110cfm以上、120cfm以上、130cfm以上、140cfm以上、150cfm以上、160cfm以上、170cfm以上、180cfm以上、190cfm以上、200cfm以上、225cfm以上、250cfm以上、275cfm以上、300cfm以上、325cfm以上、350cfm以上、375cfm以上、400cfm以上、425cfm以上、450cfm以上、475cfm以上、500cfm以上、550cfm以上、600cfm以上、650cfm以上、700cfm以上、750cfm以上、800cfm以上、850cfm以上、900cfm以上、又は950cfm以上)の流量でフィルタシステムを通って流れるように誘導することができる。いくつかの例では、空気は、1,000立方フィート毎分(cfm)以下(例えば、950cfm以下、900cfm以下、850cfm以下、800cfm以下、750cfm以下、700cfm以下、650cfm以下、600cfm以下、550cfm以下、500cfm以下、475cfm以下、450cfm以下、425cfm以下、400cfm以下、375cfm以下、350cfm以下、325cfm以下、300cfm以下、275cfm以下、250cfm以下、225cfm以下、200cfm以下、190cfm以下、180cfm以下、170cfm以下、160cfm以下、150cfm以下、140cfm以下、130cfm以下、120cfm以下、110cfm以下、100cfm以下、95cfm以下、90cfm以下、85cfm以下、80cfm以下75cfm以下、70cfm以下、65cfm以下、60cfm以下、55cfm以下、50cfm以下、45cfm以下、40cfm以下、35cfm以下、30cfm以下、25cfm以下、20cfm以下、15cfm以下、10cfm以下、9cfm以下、8cfm以下、7cfm以下、6cfm以下、又は5cfm以下)の流量でフィルタシステムを通って流れるように誘導することができる。空気がフィルタシステムを通って流れるように誘導された流量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、空気は、1cfm~1,000cfm(例えば、1cfm~500cfm、500cfm~1000cfm、1cfm~200cfm、200cfm~400cfm、400cfm~600cfm、600cfm~800cfm、800cfm~1000cfm、10cfm~1000cfm、1cfm~950cfm、10cfm~950cfm、50cfm~900cfm、100cfm~750cfm、200cfm~600cfm、又は250cfm~500cfm)の流量でフィルタシステムを通って流れるように誘導することができる。フィルタシステムをわたる空気流は、自然に、又はファン、ポンプ、若しくは空気の移動を引き起こすためにフィルタシステムをわたって圧力差を作り出すことができる任意の他のデバイスによって作り出すことができる。
【0098】
いくつかの例では、フィルタシステムをわたる圧力降下は、低い又は無視できるものであり得る。例えば、圧力降下は、400パスカル(Pa)以下(例えば、375Pa以下、350Pa以下、325Pa以下、300Pa以下、275Pa以下、250Pa以下、225Pa以下、200Pa以下、175Pa以下、150Pa以下、125Pa以下、100Pa以下、90Pa以下、80Pa以下、70Pa以下、60Pa以下、50Pa以下、45Pa以下、40Pa以下、35Pa以下、30Pa以下、25Pa以下、20Pa以下、15Pa以下、10Pa以下、9Pa以下、8Pa以下、7Pa以下、6Pa以下、5Pa以下、4Pa以下、3Pa以下、2Pa以下、又は1Pa以下)であり得る。いくつかの例では、圧力降下は、0Pa以上(例えば、1Pa以上、2Pa以上、3Pa以上、4Pa以上、5Pa以上、6Pa以上、7Pa以上、8Pa以上、9Pa以上、10Pa以上、15Pa以上、20Pa以上、25Pa以上、30Pa以上、35Pa以上、40Pa以上、45Pa以上、50Pa以上、60Pa以上、70Pa以上、80Pa以上、90Pa以上、100Pa以上、125Pa以上、150Pa以上、175Pa以上、200Pa以上、225Pa以上、250Pa以上、275Pa以上、300Pa以上、325Pa以上、350Pa以上、又は375Pa以上)であり得る。圧力降下は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、圧力降下は、0~400Pa(例えば、0~200Pa、200~400Pa、0~100Pa、100~200Pa、200~300Pa、300~400Pa、0~350Pa、0~300Pa、0~250Pa、0~150Pa、0~50Pa、0~25Pa、0~10Pa、又は0~5Pa)であり得る。
【0099】
いくつかの例では、処理ガスは、最初に存在する前駆体1グラム(g)当たり1日当たり0.1ミリグラム(mg)の処理ガス(例えば、ガス0.5mg/日/gの前駆体以上、1mgのガス/日/gの前駆体以上、2mgのガス/日/gの前駆体以上、3mgのガス/日/gの前駆体以上、4mgのガス/日/gの前駆体以上、5mgのガス/日/gの前駆体以上、10mgのガス/日/gの前駆体以上、15mgのガス/日/gの前駆体以上、20mgのガス/日/gの前駆体以上、25mgのガス/日/gの前駆体以上、30mgのガス/日/gの前駆体以上、35mgのガス/日/gの前駆体以上、40mgのガス/日/gの前駆体以上、45mgのガス/日/gの前駆体以上、50mgのガス/日/gの前駆体以上、60mgのガス/日/gの前駆体以上、70mgのガス/日/gの前駆体以上、80mgのガス/日/gの前駆体以上、90mgのガス/日/gの前駆体以上、100mgのガス/日/gの前駆体以上、150mgのガス/日/gの前駆体以上、200mgのガス/日/gの前駆体以上、250mgのガス/日/gの前駆体以上、300mgのガス/日/gの前駆体以上、350mgのガス/日/gの前駆体以上、400mgのガス/日/gの前駆体以上、450mgのガス/日/gの前駆体以上、又は500mgのガス/日/gの前駆体以上)の速度で生成される。いくつかの例では、処理ガスは、最初に存在する前駆体1g当たり1日当たり600mgのガス以下(例えば、550mgのガス/日/gの前駆体以下、500mgのガス/日/gの前駆体以下、450mgのガス/日/gの前駆体以下、400mgのガス/日/gの前駆体以下、350mgのガス/日/gの前駆体以下、300mgのガス/日/gの前駆体以下、250mgのガス/日/gの前駆体以下、200mgのガス/日/gの前駆体以下、150mgのガス/日/gの前駆体以下、100mgのガス/日/gの前駆体以下、90mgのガス/日/gの前駆体以下、80mgのガス/日/gの前駆体以下、70mgのガス/日/gの前駆体以下、60mgのガス/日/gの前駆体以下、50mgのガス/日/gの前駆体以下、45mgのガス/日/gの前駆体以下、40mgのガス/日/gの前駆体以下、35mgのガス/日/gの前駆体以下、30mgのガス/日/gの前駆体以下、25mgのガス/日/gの前駆体以下、20mgのガス/日/gの前駆体以下、15mgのガス/日/gの前駆体以下、10mgのガス/日/gの前駆体以下、5mgのガス/日/gの前駆体以下、4mgのガス/日/gの前駆体以下、3mgのガス/日/gの前駆体以下、2mgのガス/日/gの前駆体以下、又は1mgのガス/日/gの前駆体以下)の速度で生成される。処理ガスが生成される速度は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、処理ガスは、最初に存在する前駆体1グラム当たり1日当たり0.1ミリグラムのガス~前駆体1グラム当たり1日当たり600ミリグラムのガス(例えば、0.1mgのガス/日/gの前駆体~300mgのガス/日/gの前駆体、300mgのガス/日/gの前駆体~600mgのガス/日/gの前駆体、0.1mgのガス/日/gの前駆体~200mgのガス/日/gの前駆体、200mgのガス/日/gの前駆体~400mgのガス/日/gの前駆体、400mgのガス/日/gの前駆体~600mgのガス/日/gの前駆体、0.1mgのガス/日/gの前駆体~500mgのガス/日/gの前駆体、0.1mgのガス/日/gの前駆体~100mgのガス/日/gの前駆体、又は0.1mgのガス/日/gの前駆体~60mgのガス/日/gの前駆体)の速度で生成することができる。
【0100】
いくつかの例では、空気は、20%以上の湿度を有することができ、湿度は、結露しない(例えば、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上)。いくつかの例では、空気は、100%以下の湿度を有することができ、湿度は、結露しない(例えば、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、又は30%以下)。フィルタシステムを通って流れる空気中の湿度の量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、空気は、20%~100%の湿度を有することができ、湿度は、結露しない(例えば、20%~60%、60%~100%、20%~40%、40%~60%、60%~80%、80%~100%、又は50%~80%)。
【0101】
いくつかの例では、空気は、フィルタシステムを出て、容積を有するチャンバ内に流れ込む。いくつかの例では、チャンバは、建物(例えば、部屋、ガレージ、実験室、ヒュームフードなど)内に設けることができる。
【0102】
いくつかの例では、第1のフィルタは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が百万分の1容積(ppmv)以下(例えば、0.95ppmv以下、0.9ppmv以下、0.85ppmv以下、0.8ppmv以下、0.75ppmv以下、0.7ppmv以下、0.65ppmv以下、0.6ppmv以下、0.55ppmv以下、0.5ppmv以下、0.45ppmv以下、0.4ppmv以下、0.35ppmv以下、0.3ppmv以下、0.25ppmv以下、0.2ppmv以下、0.15ppmv以下、0.1ppmv以下、0.09ppmv以下、0.08ppmv以下、0.07ppmv以下、0.06ppmv以下、0.05ppmv以下、0.04ppmv以下、0.03ppmv以下、又は0.02ppmv以下)であるように、処理ガスを空気の流路内に放出する。いくつかの例では、空気は、フィルタシステムを出て、容積を有するチャンバに流れ込み、第1のフィルタは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が0.01ppmv以上(例えば、0.02ppmv以上、0.03ppmv以上、0.04ppmv以上、0.05ppmv以上、0.06ppmv以上、0.07ppmv以上、0.08ppmv以上、0.09ppmv以上、0.1ppmv以上、0.15ppmv以上、0.2ppmv以上、0.25ppmv以上、0.3ppmv以上、0.35ppmv以上、0.4ppmv以上、0.45ppmv以上、0.5ppmv以上、0.55ppmv以上、0.6ppmv以上、0.65ppmv以上、0.7ppmv以上、0.75ppmv以上、0.8ppmv以上、0.85ppmv以上、0.9ppmv以上、又は0.95ppmv以上)であるように、処理ガスを空気の流路内に放出する。チャンバの容積内の処理ガスの濃度は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、空気はフィルタシステムから出て、容積を有するチャンバに流れ込み、第1のフィルタは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が0.01ppmv~1ppmv(例えば、0.01ppmv~0.1ppmv、0.1ppmv~1ppmv、0.01ppmv~0.05ppmv、0.05ppmv~0.1ppmv、0.1ppmv~0.5ppmv、0.5ppmv~1ppmv、0.02ppmv~1ppmv、0.01ppmv~0.9ppmv、又は0.02ppmv~0.9ppmv)になるように、処理ガスを空気の流路内に放出することができる。
【0103】
いくつかの例では、空気は、1分以上(例えば、5分以上、10分以上、15分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、16時間以上、20時間以上、1日以上、1.5日以上、2日以上、2.5日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、14日以上、21日以上、35日以上、42日以上、49日以上、56日以上、63日以上、70日以上、77日以上、又は84日以上)の時間量の間、フィルタシステムを通って流れる。いくつかの例では、空気は、90日以下(例えば、84日以下、77日以下、70日以下、63日以下、56日以下、49日以下、42日以下、35日以下、21日以下、14日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2.5日以下、2日以下、1.5日以下、1日以下、20時間以下、16時間以下、12時間以下、10時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、45分以下、30分以下、15分以下、10分以下)の時間量の間、フィルタシステムを通って流れる。空気がフィルタシステムを通って流れる時間は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、空気は、1分~90日(例えば、1分~45日、45日~90日、1分~1時間、1時間~1日、1日~7日、7日~30日、30日~60日、60日~90日、1分~66日、又は5分から45日)の時間量でフィルタシステムを通って流れることができる。
【0104】
いくつかの例では、空気は、第1の時間量の間フィルタシステムを通って流れ、その後、フィルタシステムを通る空気の流れは、第2の時間量の間停止する。第2の時間量は、例えば、1分以上(例えば、5分以上、10分以上、15分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、16時間以上、20時間以上、1日以上、1.5日以上、2日以上、2.5日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、14日以上、21日以上、35日以上、42日以上、49日以上、56日以上、63日以上、70日以上、77日以上、又は84日以上)であり得る。いくつかの例では、第2の時間量は、90日以下(例えば、84日以下、77日以下、70日以下、63日以下、56日以下、49日以下、42日以下、35日以下、21日以下、14日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2.5日以下、2日以下、1.5日以下、1日以下、20時間以下、16時間以下、12時間以下、10時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、45分以下、30分以下、15分以下、10分以下)であり得る。第2の時間量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第2の時間量は、1分~90日(例えば、1分~45日、45日~90日、1分~1時間、1時間~1日、1日~7日、7日~30日、30日~60日、60日~90日、1分~66日、又は5分~45日)であり得る。
【0105】
いくつかの例では、第2の時間量の後、空気は第3の時間量の間フィルタシステムを通って流れる。第3の時間量は、例えば、1分以上(例えば、5分以上、10分以上、15分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、16時間以上、20時間以上、1日以上、1.5日以上、2日以上、2.5日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、14日以上、21日以上、35日以上、42日以上、49日以上、56日以上、63日以上、70日以上、77日以上、又は84日以上)であり得る。いくつかの例では、第3の時間量は、90日以下(例えば、84日以下、77日以下、70日以下、63日以下、56日以下、49日以下、42日以下、35日以下、21日以下、14日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2.5日以下、2日以下、1.5日以下、1日以下、20時間以下、16時間以下、12時間以下、10時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、45分以下、30分以下、15分以下、10分以下)であり得る。第3の時間量は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、第3の時間量は、1分~90日(例えば、1分~45日、45日~66日、1分~1時間、1時間~1日、1日~7日、7日~30日、30日~60日、60日~90日、1分~66日、又は5分~45日)であり得る。
【0106】
いくつかの例では、同様に、第3の時間量の後、フィルタシステムを通る空気の流れは第4の時間量の間停止し、第4の時間量の後、空気は、第5の時間量の間フィルタシステムを通って流れる。したがって、フィルタシステムを通る空気の流れは、空気がフィルタシステムを通って流れる時間量、及び空気がフィルタシステムを通って流れるのを停止する時間の量で、任意の所望の回数だけパルス化することができ、所望の量の処理ガス生成、及び/又は処理ガスが生成される所望の速度などの様々な要因を考慮して、独立して選択することができる。
【0107】
いくつかの例では、空気の温度は、-25℃以上(例えば、-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-10℃以上、-5℃以上、0℃以上、5℃以上、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、31℃以上、32℃以上、33℃以上、34℃以上、35℃以上、36℃以上、37℃以上、38℃以上、39℃以上、又は40℃以上)であり得る。いくつかの例では、空気の温度は、50℃以下(例えば、45℃以下、40℃以下、39℃以下、38℃以下、37℃以下、36℃以下、35℃以下、34℃以下、33℃以下、32℃以下、31℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、5℃以下、0℃以下、-5℃以下、-10℃以下、-15℃以下、-16℃以下、又は-17℃以下)であり得る。空気の温度は、上で記載した最小値のいずれかから上で記載した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、空気の温度は、-25℃~50℃(例えば、-25℃~15℃、15℃~50℃、-25℃~-15℃、-15℃~0℃、0℃~25℃、25℃~50℃、0℃~30℃、又は32℃~38℃)の温度であり得る。
【0108】
前駆体を含む乾燥粒子の平均粒径、プロトン発生種を含む乾燥粒子の平均粒径、フィルタシステムを通って流れる空気の有無、空気がフィルタシステムを通って流れる時間量、空気中の湿度の量、前駆体を含む乾燥粒子中の前駆体の量、プロトン発生種を含む乾燥粒子中のプロトン発生種の量、前駆体の同一性、プロトン発生種、前駆体を含む乾燥粒子の量、プロトン発生種を含む乾燥粒子の量、層状床内の層の総数、層状床内の前駆体を含む乾燥粒子の層の各々の平均厚さ、層状床内のプロトン発生種を含む乾燥粒子の層の各々の平均厚さ、空気の温度、前駆体で含浸された多孔質担体を処理するために使用される塩基の量、又はそれらの組み合わせを選択して、生成される処理ガスの総量及び/又は処理ガスが生成される速度を制御することができる。
【0109】
いくつかの例では、フィルタシステムを通って誘導される空気は、フィルタシステムに入る前に第1の量の第1の成分を含む。フィルタシステムは、例えば、フィルタシステムを出る空気がフィルタシステムに入る空気と比較して、より少ない量の第1の成分を有するように、空気中の第1の成分の量を低減させることができる。いくつかの例では、フィルタシステムは、第1の成分を空気から実質的に除去する。いくつかの例では、第1の成分は、病原体を含み、フィルタシステムは、病原体の活性(例えば、伝染性及び/又は感染性)を低減する。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子を含み、第1のフィルタは、第1の成分を酸化する。
【0110】
第1の成分は、例えば、毒素、汚染物質、兵器剤(例えば、化学又は生物兵器剤)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子、生物剤(例えば、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫、真菌、生物兵器剤、若しくはそれらの組み合わせ)、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、第1の成分は、感染性微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌、原虫など)などの病原体を含む。
【0111】
ウイルスの例としては、DNAウイルス及びRNAウイルスの両方が挙げられる。例示的なウイルスは、以下の、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アストロウイルス科、バキュロウイルス科、バルナウイルス科、ベータヘルペスウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、ブニャウイルス科、カリシウイルス科、コルドポックスウイルス科、サーコウイルス科、コモウイルス科、コロナウイルス科、シストウイルス科、コルチコウイルス科、エントモポックスウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、フセロウイルス科、ジェミニウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ガンマヘルペスウイルス科、イノウイルス科、イリドウイルス科、レビウイルス科、リポトリクスウイルス科、マイクロウイルス科、ミオウイルス科、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、パルティウイルス科、パルボウイルス科、フィコドナウイルス科、ピコルナウイルス科、プラズマウイルス科、ニューモウイルス科、ポドウイルス科、ポリドナウイルス科、ポティウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、セキウイルス科、シフォウイルス科、テクティウイルス科、テトラウイルス科、トガウイルス科、トンブスウイルス科、及びトティウイルス科の非排他的リストに属することができる。
【0112】
ウイルスの具体的な例としては、マスタデノウイルス、アデノウイルス、ヒトアデノウイルス2、アビアデノウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、豚コレラウイルス、アレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピーウイルス、ラッサ熱ウイルス、アルテリウイルス、ヒトアストロウイルス1、核多角体ウイルス、オートグラファカリフォルニア核多角体ウイルス、グラニュロウイルス、プロディアインターパンクテラグラニュロウイルス、バドナウイルス、ツユクサ黄色斑紋ウイルス、イネツングロバチルス様ウイルス、バルナウイルス、キノコバチルス様ウイルス、アクアビルナウイルス、伝染性膵臓壊死ウイルス、アビビルナウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、エントモビルナウイルス、ショウジョウバエXウイルス、アルファモウイルス、アルファルファモザイクウイルス、イラルウイルス、イラルウイルスサブグループ1-10、タバコ条斑ウイルス、ブロモウイルス、ブロムモザイクウイルス、ククモウイルスキュウリモザイクウイルス、バンジャウイルスグループ、カイソディウイルス、マプッタウイルス、オコラウイルス、レシステンシアウイルス、ウポルウイルス、ヨーグウイルス、ブニャウイルス、ハマダラカAウイルス、ハマダラカBウイルス、バカウウイルス、ブニャムウェラウイルス、ブワンバウイルス、Cウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、カピムウイルス、ガンボアウイルス、グアマウイルス、クンゴルウイルス、ミナティトランウイルス、ニャンドウイルス、オリファンツフレイウイルス、パトワウイルス、シンブウイルス、テテウイルス、ターロックウイルス、ハンタウイルス、ハンターンウイルス、ナイロウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、デラガジカーンウイルス、ヒューズウイルス、ナイロビ羊病ウイルス、カリブウイルス、サハリンウイルス、チアフォラウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、フレボウイルス、サトバエ熱ウイルス、ブジャル複合体、カンディル複合体、チリブレ複合体、フリホーレス複合体、プンタトロ複合体、リフトバレー熱複合体、サレハバード複合体、サトバエ熱シチリアウイルス、ウークニエミウイルス、ウークニエミウイルス、トスポウイルス、トマト黄化えそウイルス、カリシウイルス、豚水疱性発疹ウイルス、カピロウイルス、リンゴ茎溝形成ウイルス、カルラウイルス、カーネーション潜伏ウイルスウイルス、カリモウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、サーコウイルス、鶏貧血ウイルス、クロステロウイルス、ビート黄化ウイルス、コモウイルス、ササゲモザイクウイルス、ファバウイルス、ソラマメ萎凋ウイルス1、ネポウイルス、タバコ輪点ウイルス、コロナウイルス、鳥伝染性気管支炎ウイルス、ウシコロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ヒトコロナウイルス299E、ヒトコロナウイルスOC43、マウス肝炎ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタ繁殖呼吸障害症候群ウイルス、ラットコロナウイルス、七面鳥コロナウイルス、ウサギコロナウイルス、トロウイルス、ベルンウイルス、ブレダウイルス、コルチコウイルス、アルテロモナスファージPM2、シュードモナスファージphi6、デルタウイルス、デルタ肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ダイアンソウイルス、カーネーションリングスポットウイルス、アカクローバー壊死性モザイクウイルス、スイートクローバー壊死性モザイクウイルス、エナモウイルス、エンドウマメエネーションモザイクウイルス、フィロウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、ザイールエボラウイルス、フラビウイルス、黄熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、リオブラボーグループ、日本脳炎、チュレニーグループ、Ntayaグループ、ウガンダSグループ、デング熱グループ、モドックグループ、ペスティウイルス、ウシ下痢ウイルス、C型肝炎ウイルス、フロウイルス、土壌伝染性小麦モザイクウイルス、ビート壊死性黄色葉脈ウイルス、フセロウイルス、サルフォボラスウイルス1、サブグループI、II、IIIジェミニウイルス、トウモロコシ条斑ウイルス、ビートカーリートップウイルス、豆ゴールデンモザイクウイルス、オルソヘパドナウイルス、B型肝炎ウイルス、アビヘパドナウイルス、アルファヘルペスウイルス科、シンプレックスウイルス、ヒトヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、水痘ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトヘルペスウイルス3、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス5、ムロメガロウイルス、マウスサイトメガロウイルス1、ロゼオロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、リンフォクリプトウイルス、ヒトヘルペスウイルス4、ラジノウイルス、アテリンヘルペスウイルス2、ホルデイウイルス、大麦縞モザイクウイルス、ハイポウイルス科、ハイポウイルス、クリフォネクトリアハイポウイルス1-EP713、イデオウイルス、ラズベリーブッシードワーフウイルス、イノウイルス、コリファージfd、プレクトロウイルス、アコレプラズマファージL51、イリドウイルス、チロイリデッセントウイルス、クロリリドウイルス、蚊イリデッセントウイルス、ラナウイルス、カエルウイルス3、リンフォシスチウイルス、リンフォシスチス病ウイルスヒラメ分離株、金魚ウイルス1、レビウイルス、腸内細菌ファージMS2、アロールウイルス、腸内細菌ファージQbeta、リポスリックスウイルス、サーモプロテウスウイルス1、ルテオウイルス、大麦黄萎ウイルス、マクロモウイルス、トウモロコシクロロティックモットルウイルス、マラフィウイルス、トウモロコシラヤドフィノウイルス、ミクロウイルス、コリファージphiX174、スピロミクロウイルス、スピロプラズマファージ4、ベデロミクロウイルス、ベデロビブリオファージMAC1、クラミジアミクロウイルス、クラミジアファージ1、T4様ファージ、コリファージT4、ネクロウイルス、タバコ壊死ウイルス、ノダウイルス、ノダムラウイルス、インフルエンザウイルスA、B、C、トゴトウイルス、ポリオーマウイルス、マウスポリオーマウイルス、パピローマウイルス、ウサギ(ショープ)パピローマウイルス、パラミクソウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス1、モルビリウイルス、麻疹ウイルス、ルブラウイルス、おたふく風邪ウイルス、ニューモウイルス、ヒトRSウイルス、パルティティウイルス、ガウマノミセスグラミニスウイルス019/6-A、クリソウイルス、ペニシリウムクリソゲナムウイルス、アルファクリプトウイルス、シロツメクサクリプティックウイルス1及び2、ベータクリプトウイルス、パルボウイルス科、パルボウイルス、ミニッツマウスウイルス、エリスロウイルス、B19ウイルス、ディペンドウイルス、アデノ随伴ウイルス1、デンソウイルス科、デンソウイルス、ジュノニアコエニアデンソウイルス、イテラウイルス、カイコウイルス、コントラウイルス、ネッタイシマカデンソウイルス、フィコドナウイルス、1-ゾウリムシクロレラNC64Aウイルスグループ、ゾウリムシクロレラウイルス1、2-ゾウリムシクロレラPbiウイルス、3-ヒドラビリディスクロレラウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、ヒトポリオウイルス1、ライノウイルス、ヒトライノウイルス1A、ヘパトウイルス、ヒトA型肝炎ウイルス、カルジオウイルス、脳心筋炎ウイルス、アフトウイルス、口蹄疫ウイルス、プラズマウイルス、アコレプラズマファージL2、ポドウイルス、コリファージT7、イクノウイルス、カンポレティスソノレンシスウイルス、ブラコウイルス、コテシアメラノセラウイルス、ポテックスウイルス、ジャガイモウイルスX、ポティウイルス、ジャガイモウイルスY、ライモウイルス、ライグラスモザイクウイルス、バイモウイルス、大麦黄斑モザイクウイルス、オルトポックスウイルス、ワクシニアウイルス、パラポックスウイルス、オルフウイルス、アビポックスウイルス、鶏痘ウイルス、カプリポックスウイルス、羊痘ウイルス、レポリポックスウイルス、ミクソマウイルス、スイポックスウイルス、豚痘ウイルス、軟属腫ウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ヤタポックスウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、昆虫痘ウイルスA、B、C、メロロンタメロロンタ昆虫痘ウイルス、アムサクタムーレイ昆虫痘ウイルス、ユスリカ昆虫痘ウイルス、オルトレオウイルス、哺乳類オルソレオウイルス、レオウイルス3、鳥類オルソレオウイルス、オルビウイルス、アフリカ馬疫ウイルス1、ブルータングウイルス1、チャンギノラウイルス、コリパルタウイルス、流行性出血性疾患ウイルス1、馬脳症ウイルス、ユーベナンジーウイルス群、レボンボウイルス、オルンゴウイルス、パリアムウイルス、ウマティラウイルス、ワラルウイルス、ワレゴウイルス、ケメロボウイルス、ロタウイルス、グループA-Fロタウイルス、サルロタウイルスSA11、コルチウイルス、コロラドダニ熱ウイルス、アクアレオウイルス、グループA-Eアクアレオウイルス、ゴールデンシャイナーウイルス、サイポウイルス、サイポウイルス1-12型、カイコサイポウイルス1、フィジーウイルス、フィジーウイルスグループ1-3、フィジー病ウイルス、フィジーウイルスグループ2-3、フィトレオウイルス、創傷腫瘍ウイルス、オリザウイルス、ライスラギッドスタント、哺乳類B型レトロウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、哺乳類C型レトロウイルス、マウス白血病ウイルス、爬虫類C型オンコウイルス、バイパーレトロウイルス、細網内皮症ウイルス、鳥類C型レトロウイルス、鳥類白血病ウイルス、D型レトロウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、BLV-HTLVレトロウイルス、牛白血病ウイルス、レンチウイルス、牛レンチウイルス、牛免疫不全ウイルス、馬レンチウイルス、馬伝染性貧血ウイルス、ネコレンチウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、イヌ免疫不全ウイルス羊/山羊レンチウイルス、山羊関節炎脳炎ウイルス、ビスナ/マエディウイルス、霊長類レンチウイルス群、ヒト免疫不全ウイルス1、ヒト免疫不全ウイルス2、ヒト免疫不全ウイルス3、サル免疫不全ウイルス、スプマウイルス、ヒトスプマウイルス、ベシクロウイルス、水疱性口内炎ウイルス、水疱性口内炎インディアナウイルス、リッサウイルス、狂犬病ウイルス、エフェメロウイルス、牛流行熱ウイルス、サイトラブドウイルス、レタス壊死性黄化ウイルス、ヌクレオラブドウイルス、ジャガイモ黄化萎縮ウイルス、リジジオウイルス、リジジオミセスウイルス、セキウイルス、パースニップ黄斑病ウイルス、ワイカウイルス、イネツングロ球状ウイルス、ラムダ様ファージ、コリファージラムダ、ソベモウイルス、南部インゲンマメモザイクウイルス、テクティウイルス、腸内細菌ファージPRD1、テヌイウイルス、イネ縞葉枯れウイルス、ヌーダウレリアカペンシスベータ様ウイルス、ヌーダウレリアベータウイルス、ヌーダウレリアカペンシスオメガ様ウイルス、ヌーダウレリアオメガウイルス、トバモウイルス、タバコモザイクウイルス(ブルガレ株、ssp.NC82株)、トブラウイルス、タバコラトルウイルス、アルファウイルス、シンドビスウイルス、ルビウイルス、風疹ウイルス、トンブスウイルス、トマトブッシースタント、ウイルス、カルモウイルス、カーネーションモットルウイルス、カブクリンクルウイルス、トティウイルス、サッカロミセスセレビシエウイルス、ジアルジアウイルス、ジアルジアランブリアウイルス、リーシュマニアウイルス、リーシュマニアブラジリエンシスウイルス1-1、トリコウイルス、リンゴクロロティックリーフスポットウイルス、チモウイルス、カブイエローモザイクウイルス、ウンブラウイルス、ニンジンモットルウイルス、天然痘ウイルス、コクサッキーウイルス、デングウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ジカウイルス、ラッサ熱ウイルス、東部馬脳炎ウイルス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス、西部馬脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー熱ウイルス、ウエストナイルウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス1型、エコーウイルス、ノロウイルス、ネコカリシウイルス(FCV)が
挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
いくつかの例では、ウイルスは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、又はそれらの組み合わせを含み得る。インフルエンザウイルスの例としては、インフルエンザウイルスA(H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、H10N7、H7N9、及びH6N1血清型を含む)、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、並びにインフルエンザウイルスDが挙げられるが、それらに限定されない。コロナウイルスの例としては、鳥コロナウイルス(IBV)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ブタ呼吸器コロナウイルス(PRCV)、ブタ繁殖呼吸器症候群(PRRS)ウイルス、伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)、ネココロナウイルス(FCoV)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、ネコ腸コロナウイルス(FECV)、イヌコロナウイルス(CCoV)、ウサギコロナウイルス(RaCoV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミコロナウイルス(RCoV)、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス(SDAV)、ウシコロナウイルス(BCoV)、ウシエンテロウイルス(BEV)、ブタコロナウイルスHKU15(PorCoV HKU15)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV)、シチメンチョウブルーコムコロナウイルス(TCoV)、ヒトコロナウイルス(HCoV)‐229E、HCoV‐OC43、HCoV‐HKU1、HCoV‐NL63、重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス(CoV)(SARS-CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス(CoV)-2(SARS-CoV-2)、及び中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス(CoV)(MERS‐CoV)が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの例では、ウイルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス(CoV)-2(SARS-CoV-2)を含むことができる。
【0114】
細菌の具体的な例として、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium bovis、Mycobacterium bovis株BCG、BCG亜株、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellular、Mycobacterium africanum、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium marinum、Mycobacterium ulcerans、Mycobacterium avium亜種paratuberculosis、Nocardia asteroides、他のNocardia種、Legionella pneumophila、他のLegionella種、Acetinobacter baumanii、Salmonella typhi、Salmonella enterica、Salmonella Typhimurium、他のSalmonella種、Shigella boydii、Shigella dysenteriae、Shigella sonnei、Shigella flexneri、他のShigella種、Yersinia pestis、Pasteurella haemolytica、Pasteurella multocida、他のPasteurella種、Actinobacillus pleuropneumoniae、Listeria monocytogenes、Listeria ivanovii、Brucella abortus、Brucella suis、Brucella melitensis、他のBrucella種、Cowdria ruminantium、Borrelia burgdorferi、Bordetella avium、Bordetella pertussis、Bordetella bronchiseptica、Bordetella trematum、Bordetella hinzii、Bordetella pteri、Bordetella parapertussis、Bordetella ansorpii、他のBordetella種、Burkholderia mallei、Burkholderia psuedomallei、Burkholderia cepacian、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Chlamydia psittaci、Coxiella burnetii、rickettsia rickettsia、rickettsia prowazekii、rickettsia typhi、他のRickettsial種、Ehrlichia種、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus agalactiae、Streptococcus uberis、Escherichia coli、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Campylobacter種、Neiserria meningitidis、Neiserria gonorrhea、Pseudomonas aeruginosa、他のPseudomonas種、Haemophilus influenzae、Haemophilus ducreyi、他のHemophilus種、Clostridium tetani、Clostridium difficile、Clostridium botulinum、Clostridium perfringens、他のClostridium種、Yersinia enterolitica、yersinia pestis、他のYersinia種、Mycoplasma種、Bacillus anthracis、Bacillus abortus、他のBacillus種、Corynebacterium diptheriae、Corynebacterium bovis、Francisella tularensis、Chlamydophila psittaci、Campylocavter jejuni、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca、Proteus属、serratia marcescens、Trueperella pyogenes、及びVibria vulnificusが挙げられるが、それらに限定されない。
【0115】
真菌の具体的な例としては、カンジダアルビカンス、クリプトコッカスネオホルマンス、ヒストプラマカプスラツム、アスペルギルスニゲル、アスペルギルスオリザ、アスペルギルスフミガツス、コクシジオデスイミチス、パラコクシジオデスブラシリエンシス、ブラストマイセスデルミチディス、ニューモシスティスカリニ、ペニシリウムマルネフィ、アルテルナリアオルタネイト、コクシジオイデスイミット、フザリウムオキシスポルム、ジオトリチウムカンジュウム、及びヒストプラズカプスラツムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0116】
寄生虫の具体的な例としては、Toxoplasma gondii、Plasmodium falciparum、Plasmodium vivax、Plasmodium malariae、他のPlasmodium種、Entamoeba histolytica、Naegleria fowleri、Rhinosporidium seeberi、Giardia lamblia、Enterobius vermicularis、Enterobius gregorii、Ascaris lumbricoides、Ancylostoma duodenale、Necator americanus、Cryptosporidium属、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania major、他のLeishmania種、Diphyllobothrium latum、Hymenolepis nana、Hymenolepis diminuta、Echinococcus granulosus、Echinococcus multilocularis、Echinococcus vogeli、Echinococcus oligarthrus、Diphyllobothrium latum、Clonorchis sinensis;Clonorchis viverrini、Fasciola hepatica、Fasciola gigantica、Dicrocoelium dendriticum、Fasciolopsis buski、Metagonimus yokogawai、Opisthorchis viverrini、Opisthorchis felineus、Clonorchis sinensis、Trichomonas vaginalis、Acanthamoeba種、Schistosoma intercalatum、Schistosoma haematobium、Schistosoma japonicum、Schistosoma mansoni、他のSchistosoma種、Trichobilharzia regenti、Trichinella spiralis、Trichinella britovi、Trichinella nelsoni、Trichinella nativa、又はEntamoeba histolyticaが挙げられるが、それらに限定されない。
【0117】
いくつかの例では、第1の成分は、化学又は生物兵器剤を含むことができる。化学兵器剤の例としては、神経剤(例えば、サリン、ソマン、シクロサリン、タブン、エチル({2-[ビス(プロパン-2-イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)、O-ピナコリルメチルホスホノフルオリデート)、ベシケート剤又はブリスタリング剤(例えば、マスタード、ルイサイト)、呼吸剤(例えば、塩素、ホスゲン、ジホスゲン)、シアン化物、抗ミスカリン剤(例えば、抗コリン化合物)、オピオイド剤、ラクリマー剤(例えば、a-コロトルエン、ベンジルブロミド、ボロモアセトン(BA)、ボロモベンジルシアニド(CA)、カプサイシン(OC)、クロラセトフェノン(MACE)、クロルメチルコロホルメテート、デノキサゼピン(CR)、エチルイオドアセテート、又はトロクロベンゼンゼンマロニトリル(CS)、トリクロロメチルクロロホルメート、キシリルブロミド)、嘔吐剤(アダムサイト(DM)、ジフェニルクロロアルシン(DA)、ジフェニルカノアルシン(DC)など)が挙げられるが、それらに限定されない。生物兵器剤としては、細菌(例えば、炭疽菌、バチルスアボルタス、ブルセラスイス、コレラ菌、ジフテリア菌、赤痢菌、大腸菌、鼻疽菌、リステリア菌、鼻疽菌、ペスト菌、野兎病菌、クラミドフィラオウム病、コクシエラバーネティ、リケッチア、リケッチアプロワゼキイ、チフス菌)、ウイルス(例えば、東部馬脳炎ウイルス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス、西部馬脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、天然痘ウイルス、黄熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、コロナウイルス)、原生動物、寄生虫、真菌(コクシジオイデスイミティス)、病原体、毒素、生物毒素(アブリン、ボツリヌス毒素、リシン、サキシトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、テトロドトキシン、トリコテセンマイコトキシン)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0118】
本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかの使用方法もまた、本明細書に開示される。
【0119】
例えば、空気を処理するための本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかの使用方法も、本明細書に開示される。例えば、フィルタシステムから出る空気は、フィルタシステムに入る空気と比較して処理される。
【0120】
いくつかの例では、フィルタシステムを通って誘導される空気は、フィルタシステムに入る前に第1の量の第1の成分を含む。方法は、例えば、フィルタシステムを出る空気がフィルタシステムに入る空気と比較して、より少ない量の第1の成分を有するように、空気中の第1の成分の量を低減させることができる。いくつかの例では、方法は、第1の成分を空気から実質的に除去することができる。いくつかの例では、第1の成分は、病原体を含み、方法は、病原体の活性(例えば、伝染性及び/又は感染性)を低減することができる。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子を含み、方法は、第1の成分を酸化することを含むことができる。第1の成分は、例えば、毒素、汚染物質、兵器剤(例えば、化学又は生物兵器剤)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、第1の成分は、有機分子、生物剤(例えば、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫、真菌、生物兵器剤、若しくはそれらの組み合わせ)、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、第1の成分は、感染性微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌、原虫など)などの病原体を含む。
【0121】
いくつかの例では、方法は、感染性微生物を含有するバイオエアロゾルの伝播を低減することを含むことができる。いくつかの例では、方法は、空気浄化、環境修復、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0122】
いくつかの例では、方法は、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する処理ガスをチャンバ内に放出することによって処理することを含む。チャンバは、例えば、建物(例えば、部屋、ガレージ、実験室、ヒュームフードなど)内に設けることができる。いくつかの例では、フィルタシステムは、チャンバの容積内の処理ガスの濃度が1ppmv以下であるように、ある量の処理ガスをチャンバ内に放出する。
【0123】
本明細書に記載されるフィルタシステムは、例えば、様々な呼吸及びフィルタ用途において、例えば、軍事及び/又は産業用途のために使用することができる。いくつかの例では、フィルタシステムは、ガスマスク、人工呼吸器、及び/又は他の個人用保護デバイスで使用することができる。例えば、個人用保護デバイスは、布地などの材料を更に含むことができる。個人用保護デバイスは、例えば、マスク、ヘッドカバー、フェイスシールド、呼吸スカーフ、人工呼吸器システム、オーバーガード(例えば、コート、パンツ、スーツ、手袋、フットカバーなど)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書に開示されるフィルタシステムと組み合わせることができる好適な生地としては、綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ウール、及びシルクなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0124】
また、人工呼吸器、ガスマスク、個人用保護デバイス、又はそれらの組み合わせなど、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかを備える製品も本明細書に開示される。
【0125】
本明細書に記載されるフィルタシステム、人工呼吸器、ガスマスク、及び/又は個人用保護デバイスは、例えば、軍事、国土安全保障、ファーストレスポンダー、民間、及び/又は産業用途に使用することができる。本明細書に記載されるフィルタシステム、人工呼吸器、ガスマスク、及び/又は個人用保護デバイスは、例えば、有害な化学物質及び/又は生物剤への曝露からの保護を提供することができる。
【0126】
本明細書に記載されるフィルタシステム、人工呼吸器、ガスマスク、及び/又は個人用保護デバイスは、保護を必要とする対象、例えば、ヒト、介助動物、作業動物(例えば、法執行動物、死体動物、捜索救助動物、軍用動物、探知動物)などの使用に好適である。
【0127】
いくつかの例では、本明細書に記載されるフィルタシステム、人工呼吸器、ガスマスク、及び/又は個人用保護デバイスは、動物産業又は獣医産業用途における使用に好適である。
【0128】
また、疾患又は障害の治療、予防、又は改善を必要としている対象において、疾患又は障害を治療、予防、又は改善するための方法が本明細書に開示され、方法は、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかによって発生する治療的に有効な量の処理ガスを対象に投与することを含む。
【0129】
例えば、疾患又は障害の治療を必要としている対象において疾患又は障害を治療するための方法が本明細書に開示され、方法は、本明細書に開示されるフィルタシステムのいずれかによって発生する治療的に有効な量の処理ガスを対象に投与することを含む。
【0130】
例えば、本明細書に記載される処理ガスは、ヒト、例えば、小児集団及び高齢者集団、並びに動物、例えば、獣医用途における疾患又は障害の処理に有用であり得る。開示される方法は、任意選択的に、疾患又は障害の処理を必要としている、又は必要としている可能性がある患者を特定することを含むことができる。
【0131】
いくつかの例では、方法は、治療的に有効な量の処理ガスを対象の気道の少なくとも一部分に送達することを含む。例えば、対象は、治療的に有効な量の処理ガスを吸入することができる。
【0132】
いくつかの例では、フィルタシステムは、治療的に有効な量の処理ガスを対象の気道の少なくとも一部分に送達するように構成された人工呼吸器又はマスクの一部である。
【0133】
いくつかの例では、方法は、容積を有するチャンバ内の周囲空気を、媒体によって発生する処理ガスをチャンバ内に放出することによって処理することを含み、対象は、チャンバ内に位置し、これにより、対象は、チャンバ内の処理された周囲空気を吸入する。
【0134】
いくつかの例では、疾患又は障害は、感染性微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌、原虫など)などとの感染症を含む。いくつかの例では、疾患又は障害は、呼吸器感染症を含む。いくつかの例では、疾患又は障害は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、又はそれらの組み合わせによる感染症を含む。
【0135】
本明細書に記載される疾患又は障害の処理方法は、1つ以上の追加の薬剤による処理を更に含むことができる。本明細書に記載される1つ以上の追加の薬剤及び処理ガスは、同時投与、並びに最大数日の間隔の時間的に間隔を置いた順序を含む任意の順序で投与することができる。方法はまた、本明細書に記載されるように、1つ以上の追加の薬剤及び/又は処理ガスの1回以上の投与を含むことができる。本明細書に記載される1つ以上の追加の薬剤及び処理ガスの投与は、同じ又は異なる経路によって行うことができる。1つ以上の追加の薬剤で処理する場合、本明細書に記載される処理ガスを、1つ以上の追加の薬剤を含む医薬組成物に組み合わせることができる。
【0136】
いくつかの例では、対象に送達又は投与される処理ガスは、1ppmv以下の濃度を有することができる。
【0137】
しかしながら、任意の特定の対象の特定の用量レベルは、様々な要因に依存することが理解される。そのような要因としては、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事が挙げられる。他の要因としては、投与時間及び経路、排泄速度、薬物併用、並びに特定の疾患又は障害のタイプ及び重症度が挙げられる。
【0138】
本明細書に記載される方法及び処理ガスは、予防的処理及び治療的処理の両方に有用である。本明細書で使用される場合、「処理すること」又は「処理」という用語は、予防、発症の遅延、発症後の徴候又は症状の悪化の減少、根絶、又は遅延、及び再発の予防を含む。予防的使用のために、本明細書に記載される治療的に有効な量の処理ガスは、発症前(例えば、疾患若しくは障害の明らかな徴候の前)、早期発症中(例えば、疾患又は障害の初期徴候及び症状のとき)、又は疾患若しくは障害の確立された発症後に、対象に投与される。予防的投与は、疾患又は障害の症状の兆候前の数日~数年間行うことができる。治療的処理は、疾患又は障害が診断された後に、対象に、本明細書に記載される治療的に有効な量の処理ガスを投与することを伴う。
【0139】
開示される処理ガス及びそれらを含有する組成物のインビボ適用は、当業者に現在又は将来的に既知の任意の好適な方法及び技法によって達成することができる。例えば、開示される処理ガスは、生理学的に又は薬学的に許容される形態で製剤化され、例えば、経口及び鼻投与経路を含む、当該技術分野で既知の任意の好適な経路によって投与することができる。開示される処理ガスの投与は、単回投与であってもよく、又は当業者によって容易に決定され得るように、連続的又は別個の間隔であり得る。
【0140】
本明細書に開示される化合物は、薬学的に許容される組成物を調製するための既知の方法に従って製剤化することができる。製剤は、当業者によく知られており、容易に入手可能ないくつかの供給源に詳細に記載されている。例えば、E.W.Martin(1995)によるRemington’s Pharmaceutical Scienceは、開示された方法に関連して使用することができる製剤を記載している。一般に、本明細書に開示される化合物は、化合物の有効な投与を促進するために、有効な量の化合物が好適な賦形剤と組み合わせられるように製剤化することができる。
【0141】
組成物はまた、当業者に既知である従来の薬学的に許容される担体及び希釈剤を含むことができる。使用される医薬担体は、例えば、ガスであり得る。ガス状担体の例としては、二酸化炭素及び窒素が挙げられる。
【0142】
本明細書に開示される化合物及び薬剤、並びに医薬組成物の有用な投薬量は、それらのインビトロ活性と、動物モデルにおけるインビボ活性とを比較することによって決定することができる。マウス及び他の動物におけるヒトへの有効な投薬量の外挿のための方法は、当業者に既知である。
【0143】
本組成物の投与のための投薬量範囲は、障害の症状に影響する所望の効果を生成するのに十分に大きいものである。投薬量は、有害な副作用、例えば、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などを引き起こすほどに大きいものであってはならない。概して、投薬量は、患者の年齢、状態、性別、及び疾患の程度、によって変動することになり、これは、当業者であれば決定することができる。投薬量は、いかなる禁忌の場合にも、個々の医師によって調整することができる。投薬量は、変動し得、1日又は数日間にわたり、毎日1回以上の用量投与で投与され得る。
【0144】
また、1つ以上の容器に本明細書に開示されるフィルタシステムを含むキットが開示される。開示されるキットは、任意選択的に、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を含むことができる。一実施形態では、キットは、本明細書に記載される1つ以上の他の成分、補助剤、又はアジュバントを含む。一実施形態では、キットは、キットの化合物又は組成物を投与する方法を説明する説明書又は包装材料を含む。キットの容器は、任意の好適な材料、例えば、ガラス、プラスチック、金属などであり得、任意の好適なサイズ、形状、又は構成であり得る。
【0145】
キットはまた、他の成分と共包装、共製剤化、及び/又は共送達される化合物及び/又は製品を含むことができる。例えば、医薬品メーカー、医薬品再販業者、医師、調剤店、又は薬剤師は、開示された化合物及び/又は製品と、患者に送達するための別の成分とを含むキットを提供することができる。
【0146】
開示されたキットは、開示された作製方法、開示された使用方法、及び/又は開示された組成物に関連して使用することができることが企図される。
【0147】
加えて、以下の実施例は、本明細書に記載される方法及び化合物の特定の態様を更に例示することを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は、本開示の主題に従う方法及び結果を例示するために以下に記載される。これらの実施例は、本明細書に開示される主題の全ての態様を含むことを意図しないが、むしろ代表的な方法、組成物、及び結果を例示することが意図される。これらの実施例は、本発明の等価物及び変形を除外することを意図せず、これは当業者には明らかである。
【0149】
数値(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指定しない限り、部(parts)は重量部であり、温度は℃、又は周囲温度であり、圧力は、大気圧又はその付近である。反応条件、例えば、成分濃度、温度、圧力、及び他の反応範囲、並びに記載のプロセスから得た生成物の純度及び収率を最適化するために使用され得る条件の多くの変形及び組み合わせがある。このようなプロセス条件を最適化するために、妥当な及び日常的な実験のみが必要とされる。
【0150】
実施例1
温度及び湿度が制御された742立方フィートの密閉チャンバ内で、エアロゾル化及び表面堆積バクテリオファージMS2(ATCC:15597-B1)に対する二酸化塩素媒体フィルタ処理の殺ウイルス効果を決定するための研究を行い、温度を24~26℃に維持し、湿度を40~50%に維持した。
【0151】
滅菌された空気に開放された3つのペトリ皿を、部屋内の自己閉鎖サンプリングポートの近くの3つの別々の位置に配置した。ペトリ皿は、部屋に入ることなく回収することを可能にするように、自己閉鎖サンプリングポートからアクセスできるようになっていた。加えて、1つの滅菌された空気に開放されたペトリ皿を部屋内の床の3つの別々の位置に配置した。これらのペトリ皿は、最後の曝露後の時点で部屋から回収した。
【0152】
二酸化塩素媒体フィルタ(
図1)をチャンバ(
図2)の中央に配置し、チャンバを密閉し、ユニットを16時間稼働させた。MS2(ATCC:15597-B1)は、ヒトウイルスの保存的代理物として使用した。MS2(ATCC:15597-B1)を、滅菌リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中で希釈し、シングルジェットアトマイザ9302(TSI Incorporated、USA)に添加した。アトマイザを35.0PSIに加圧して、ウイルスを室内雰囲気に注入した。NISTトレース可能なタイマを開始した。75分間のエアロゾル化後、アトマイザをオフにした。二酸化塩素媒体フィルタは、エアロゾル化プロセス全体にわたって、及びエアロゾル化の停止後に続く180分間、オンのままにした。
【0153】
20mLの滅菌PBSとチオ硫酸ナトリウム(最終濃度0.01%)を含有するBioSampler液体インピンジャ(SKC Ltd.)を使用して、チャンバの側面の中間に位置する空気サンプリングポートを通して120リットルのチャンバ空気をサンプリングした。それぞれの3つの自己閉鎖サンプリングポートからのペトリ皿も、エアロゾル化の停止後の指示された時間に回収した。収集されたサンプルは、T=0のイベントサンプルを表す。ペトリ皿サンプル収集手順を、示された時点の各々で再度繰り返した。加えて、各々、25mLの0.02%KI溶液を含有する2つのMidget Impingers with Frit(SKC Inc.)に接続されたAirChek Sampler(SKC Inc.)を使用して、チャンバの正面側に位置する空気サンプリングポートを通じて1LPMの流量で30分間、チャンバの空気をサンプリングした。続いて、ヨウ化カリウム溶液を2つの別々の滅菌容器に移し、二酸化塩素濃度を分析した。空気に開放された各ペトリ皿の回収後、チオ硫酸ナトリウムを含有するPBS20mL(最終濃度0.01%)を各皿に添加し、溶液を、5分間穏やかに渦巻くように混ぜて均質化し、次いで、0.1mLの10X TSBを含有する滅菌50mLの遠心分離機チューブに注いだ。直接接種したペトリプレートからなる陽性対照と、露出していないペトリプレートからなる陰性対照と、を同様に処理した。検査室標準で認定されたISO17025:2017の方法論に従って、精度管理及び参照データを提供するために、陽性及び陰性対照を実施した。収集した全てのサンプルは、試験当日に原液及び様々な希釈液で、少なくとも2回の反復で分析した。MS2(ATCC:15597-B1)ウイルスを分析し、EPA1602に従ってプラーク形成単位(PFU)として数えた。対照及び試験サンプルの回収率に基づいて、それぞれのパーセント崩壊率を決定した。全ての機器及び消耗品は、NISTのトレーサブル規格に従って検証又は較正した。全てのQCは、方法の許容限界内にあった。試験結果又は測定に影響を与える可能性のある一般的な環境条件は、規格に指定されていないか、又は特定されていない。
【0154】
試験の結果を下の表1及び表2に示す。
【0155】
追加の試験は、本明細書に開示されるような空気ろ過システムを使用して実施し、これは、例えば、既存のファン及び送風機のための標準的なハウジングに統合することができる。結果を表3に要約する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0156】
添付の特許請求の範囲のシステム及び方法は、本明細書に記載される特定のシステム及び方法によって範囲が限定されず、これらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図され、機能的に等価である任意のシステム及び方法は、本開示の範囲内である。本明細書に示され、説明されるものに加えて、システム及び方法の様々な修正は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。更に、特定の代表的なシステム及び方法、並びにこれらのシステム及び方法の態様のみが具体的に説明されるが、他のシステム及び方法、並びにシステム及び方法の様々な特徴の組み合わせは、具体的に記載されていなくても、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。したがって、ステップ、要素、構成要素、又は組成の組み合わせは、本明細書に明示的に記載することができるが、明示的に記載されていなくても、ステップ、要素、構成要素、及び組成の他の全ての組み合わせが含まれる。
【国際調査報告】