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特表2025-505059芳香または香りのリラックス特性または刺激特性を決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-20
(54)【発明の名称】芳香または香りのリラックス特性または刺激特性を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20250213BHJP
   G01N 33/00 20060101ALI20250213BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A61B5/16 110
G01N33/00 C
C11B9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538167
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2022087259
(87)【国際公開番号】W WO2023118311
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21217360.3
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22176541.5
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン デルプランク
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド サンダー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マルゴ
(72)【発明者】
【氏名】クリステル ポルシェロ ラサレット
(72)【発明者】
【氏名】ドナート セレゲッティ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PR00
4C038PS00
4C038PS01
(57)【要約】
本発明は、芳香および香りの分野に関する。より具体的には、本発明は、自律神経系に対する匂いまたは香りのリラックス/刺激(元気付け、活気付け)特性を明らかにする指標を用いて、匂いまたは香りの中期的効果を決定するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者においてリラックスした生理学的状態または刺激された生理学的状態を増大させる匂いを有する物質を特定するための方法であって、
a.前記被験者に、匂いを有する物質を含むデバイスの匂いを嗅がせる工程、
b.安静状態中の前記被験者における自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータを測定する工程、
c.前記少なくとも1つの身体パラメータを前記被験者の前記自律神経系の第1の状態の指標(第1のANSind)に関連付ける工程、
d.工程a.~c.を少なくともさらに2回行う工程であって、
前記被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイスの匂いを嗅がせ、
その少なくとも1つの測定された身体パラメータを前記被験者の前記自律神経系の第2の状態の指標(第2のANSind)に関連付ける、
工程、
e.前記匂いを有する物質の前記第1のANSindが、工程d.において得られた前記物質の前記第2のANSindよりもリラックスさせるまたは刺激的であることを示す場合、前記匂いを有する物質をリラックスさせるまたは刺激的であると特定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記被験者における前記自律神経系を示す前記少なくとも1つの身体パラメータが、交感神経系を示す少なくとも1つのパラメータおよび副交感神経系の少なくとも1つのパラメータを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験者における前記自律神経系を示す以下の前記身体パラメータ:
iii.交感神経系の少なくとも1つの身体パラメータ、および/または
iv.副交感神経系の少なくとも1つの身体パラメータ
の少なくとも1つを測定し、
式(I):
【数1】
[式中、oは匂いであり、sは被験者であり、
【数2】
はXXの平均であり、σは、特定のパネリストに対する全ての匂いにわたるXX値の標準偏差であり、
【数3】
は、数値が交感神経活性化によって(交感神経の影響下で)増加し、かつ/または副交感神経活性化によって(副交感神経の影響下で)減少する身体パラメータであり、
【数4】
は、数値が交感神経活性化によって(交感神経の影響下で)減少し、かつ/または副交感神経活性化によって(副交感神経の影響下で)増加する身体パラメータであり、nは、各々独立して、前記交感神経系および前記副交感神経系の異なる身体パラメータの数であり、Nはnの数の合計である]
に従って自律神経系指標(ANSind)を計算することにより、前記測定された身体パラメータを前記自律神経系の第1および第2の状態の指標に関連付ける、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程b.において、前記自律神経系を示す少なくとも3つの身体パラメータを測定する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
被験者における前記自律神経系を示す以下の前記身体パラメータ:
i.心拍数(HR)、
ii.心拍変動の低周波変動(LF)、
iii.非特異的皮膚コンダクタンス反応(nsSCR)、
iv.脈拍のフォトプレチスモグラフィー振幅(PPGa)、
v.心拍間隔における連続差の二乗平均平方根(RMSSD)
を測定し、
式(II):
【数5】
[式中、oは匂いであり、sは被験者であり、
【数6】
はXXの平均であり、σは、特定のパネリストに対する全ての匂いにわたるXX値の標準偏差である]
に従って自律神経系指標(ANSind)を計算することにより、前記身体パラメータを前記自律神経系の第1および第2の状態の指標に関連付ける、請求項1または4記載の方法。
【請求項6】
前記第1のANSindが前記第2のANSindよりも低い場合、前記物質をリラックスさせると特定し、前記第1のANSindが前記第2のANSindよりも高い場合、前記物質を刺激的であると特定する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程b.における前記安静状態中の測定が、被験者が安静状態に達するまでのタスクネガティブ時間に関する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程b.における前記安静状態中の測定が、25秒~600秒、好ましくは40秒~300秒、さらにより好ましくは90秒~150秒、最も好ましくは約90秒のタスクネガティブ期間に関する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
リラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードを含む香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品を作製するための方法であって、
a.請求項1から8までのいずれか1項に従って、被験者においてリラックスしたまたは刺激された生理学的状態を増大させる匂いを有する物質を特定する工程、
b.前記物質を香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品に組み込む工程
を含む、方法。
【請求項10】
香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品中のリラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードのレベルを増加させるための方法であって、匂いおよび第1のANSindを有する第1の物質を、匂いおよび第2のANSindを有する第2の物質と置き換えることを含み、前記第1のANSindおよび第2のANSindが、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法に従って測定され、前記第2の物質の第2のANSindが、前記第1の物質の第1のANSindよりもリラックスさせるまたは刺激的であることを示す、方法。
【請求項11】
物質をリラックスさせるまたは刺激的であると特定するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の自律神経系指標(ANSind)および/または請求項1から8までのいずれか1項記載の方法の使用。
【請求項12】
ペパーミントを刺激的であると特定するための、請求項11記載の使用。
【請求項13】
被験者において刺激された生理学的状態を増大させるためのペパーミントの使用。
【請求項14】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法によって特定されたリラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードを含む香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品。
【請求項15】
前記香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品が、高級フレグランス製品、ランドリーケア製品、ホームケア製品、ボディケア製品、スキンケア製品、エアケア製品または衛生製品の形態である、請求項14記載の香料、賦香組成物または香料消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香(fragrances)および香り(aromas)の分野に関する。より具体的には、本発明は、自律神経系に対する匂いまたは香りのリラックス/刺激(元気付け(energizing)、活気付け(invigorating))特性を明らかにする指標を用いて、匂いまたは香りの中期的効果を決定するための方法に関する。
【0002】
発明の背景
芳香および香りによって誘発される感情および情動状態は、消費者の満足度を高める重要な要素である。芳香によって誘発される感情の意識的側面を特徴付けるために、消費者の口頭申告に依存するツールが使用されてきた。
【0003】
芳香によって誘発される感情の無意識的側面を、特に生理学的パラメータの観察によって明らかにする方法が試みられている。芳香によって誘導される生理学的パラメータの測定としては、EEGによる電気的脳活動の変化、ECGによる心律動、皮膚コンダクタンス等が提案されている。これらの事象関連の方法は、殆どの嗅覚刺激技術がもたらす時間分解能が低いため、匂いの評価については不満足であることが多い。さらに、嗅覚におけるこれらの研究では、逆推論が利用されており、すなわち、非常に限られた研究で得られた生理学的読取り値に基づいて感情状態が特定される。公表された既存の科学的研究では、被験者が研究中の匂いを嗅いだ場合に口頭で報告された匂いのリラックス/元気付け特性と生理学的状態との関係についての調査が報告されている。例えば、Loos et al., (2020)には、刺激に対する即時の生理学的適応を表す事象関連反応が記載されている。しかしながら、これまでの試みでは、匂いの中期的効果に関する情報を提供することができず、或る特定の匂いのリラックスまたは刺激効果が、匂いがなくなってからも持続するかについての確実な情報はない。かかるリラックスおよび/または刺激効果の持続性が、消費者の経験、例えば、香り付きシャワージェルのリラックスまたは刺激効果が、シャワーの後(すなわち、シャワーを浴びるという事象の後の中程度の無事象の期間)にも維持され、ひいては、対応する賦香済み組成物および賦香済み消費者製品の作製および配合に重大な影響を及ぼすため、この情報を得る必要がある。これまで、かかる生理学的効果を中程度の(無事象の)期間に測定する確実な方法はない。
【0004】
さらに、生理学的反応(例えば、平均心拍数、筋電図検査、皮膚電気活動)が、不快な匂いと比較して、心地よい匂いでは異なることが文献により開示されている。しかしながら、同様の方法で心地よいと判断された匂いと強烈と判断された匂いとを生理学的反応に基づいて区別し得ることは実証されてない。同様の方法で心地よいと判断された匂いと強烈と判断された匂いとでは、生理学的な刺激またはリラックス効果が異なることがあり、このことが、対応する賦香済み組成物および賦香済み消費者製品の作製および配合に影響を与えるため、この情報を得る必要がある。
【0005】
したがって、特にリラックスおよび刺激(元気付け、活気付け)香料、賦香組成物および賦香済み消費者製品を設計するための確実な基礎を提供するために、匂いを有する物質のリラックスおよび刺激(元気付け、活気付け)特性を、事象とは独立して、すなわち、匂いを嗅いだ直後ではなく、中期的に確実に特定する必要がある。
【0006】
本発明は、匂いを有する物質のリラックスおよび刺激(元気付け、活気付け)特性を、事象とは独立して中期的に特定する確実な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】或る匂いを提示する際の一連の事象を示す図である。
図2】(A)生のPPGシグナル(青色の丸=ピーク、緑色の丸=最小)、(B)心拍間隔(ms)、および(C)PPG振幅の時系列(任意単位)のグラフである。
図3】匂いのリラックス/元気付け特性の評定(横軸)とANS指標値との相関を示すグラフである。
図4】ラベンダーおよびペパーミントについてのANS指標値の平均(±SD)分布密度および個々のデータ点を示すグラフである。
図5】ペパーミントおよび無臭状態についてのANS指標値の平均(±SD)分布密度および個々のデータ点を示すグラフである。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、嗅覚刺激後数秒間の短期的効果(事象関連)に注目するのではなく、心地よさおよび強さが類似している匂いのリラックス/元気付け(刺激、活気付け)特性を明らかにする指標を用いた中期的効果に向けられたものである。このように、本発明は、匂いおよび香りの生理学的な活気付けまたはリラックス効果を、被験者が芳香を嗅いだ後に中期的に測定する確実な方法を提供する。
【0009】
中期という表現は、本明細書では、好ましくは少なくとも25秒の期間として理解される。特定の実施形態では、中期という表現は、少なくとも40秒、好ましくは少なくとも90秒の期間として本明細書で理解される。特定の実施形態では、中期という表現は、600秒以下、好ましくは300秒以下、より好ましくは150秒以下、さらにより好ましくは90秒以下の期間として本明細書で理解される。特定の実施形態では、中期という表現は、25秒~600秒、好ましくは40秒~300秒、さらにより好ましくは90秒~150秒の期間として本明細書で理解される。特定の実施形態では、この表現は、90秒の期間として本明細書で理解される。
【0010】
本発明は、ブレンド、成分および精油を含む香料および芳香組成物に適用可能である。本発明は、香気または香りの情緒的利点に適用され、関連する生理学的変化の測定を可能にする。
【0011】
本発明は、被験者においてリラックスしたまたは刺激された生理学的状態を増大させる匂いを有する物質を特定するための方法であって、
a.被験者に、匂いを有する物質を含むデバイスの匂いを嗅がせる工程、
b.安静状態中の被験者における自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータを測定する工程、
c.前記少なくとも1つの身体パラメータを被験者の自律神経系の第1の状態の指標(第1のANSind)に関連付ける工程、
d.工程a.~c.を少なくともさらに2回行う工程であって、
被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイスの匂いを嗅がせ、
その少なくとも1つの測定された身体パラメータを被験者の自律神経系の第2の状態の指標(第2のANSind)に関連付ける、
工程、
e.匂いを有する物質の第1のANSindが、第2の物質の第2のANSindよりもリラックスさせるまたは刺激的であることを示す場合、匂いを有する物質をリラックスさせるまたは刺激的であると特定する工程
を含む、方法に関する。
【0012】
本発明によると、工程a.において、被験者に、匂いを有する物質を含むデバイスの匂いを嗅がせる。
【0013】
それにより、匂いを有する(第1の)物質を含むデバイスの匂いを被験者に嗅がせることが理解される。
【0014】
被験者とは、本明細書では、好ましくはヒトと理解される。特定の実施形態では、被験者は健康なヒトである。特定の実施形態では、被験者は健康なヒトであり、精神医学的または神経学的病歴がない。特定の実施形態では、被験者は正常な嗅覚を有する。特定の実施形態では、被験者は健康なヒトであり、精神医学的または神経学的病歴がなく、正常な嗅覚を有する。特定の実施形態では、被験者は、方法の実施前の4時間、好ましくは3時間、より好ましくは2時間以内に飲食しなかった。
【0015】
特定の実施形態では、被験者は、好ましくは、少なくとも5人、好ましくは少なくとも10人の被験者、より好ましくは少なくとも15人の被験者、さらにより好ましくは少なくとも18人の被験者、少なくとも20人の被験者を含む被験者の群である。被験者の群は、好ましくは、5:1~1:5、好ましくは4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3、より好ましくは2:1~1:2の割合の数の女性および男性を含む。
【0016】
デバイスとは、被験者が物質の匂いを嗅ぐことができるように物質を提供するための手段として本明細書で理解される。デバイスは、例えば容器、ガラスまたはプラスチックチューブ、ペン、ストライプ(stripe)、プローブ、嗅覚計等とすることができる。
【0017】
特定の実施形態では、工程a.は、嗅覚計を用いて行われる。工程a.におけるパラメータの測定に適合し、触覚刺激または熱刺激なしに、正確にかつ制御されて、規定の再現性のある嗅覚刺激を鼻に与えることができる限り、任意の嗅覚計を使用することができる。
【0018】
特定の実施形態では、被験者に少なくとも1秒、好ましくは少なくとも5秒、より好ましくは少なくとも10秒、さらにより好ましくは少なくとも15秒のセグメントにわたってデバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に45秒以下、好ましくは35秒以下、より好ましくは25秒以下、さらにより好ましくは15秒以下のセグメントにわたってデバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に1~45秒、好ましくは5~35秒、より好ましくは10~25秒、さらにより好ましくは12~20秒、さらにより好ましくは15秒のセグメントにわたってデバイスの匂いを嗅がせる。
【0019】
特定の実施形態では、被験者に、上記のようなセグメントにわたって各々独立して数回デバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回、より好ましくは3回デバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に5回以下、好ましくは4回以下、より好ましくは3回以下デバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に1~5回、好ましくは2~4回、より好ましくは3回デバイスの匂いを嗅がせる。
【0020】
特定の実施形態では、被験者にデバイスの匂いを嗅がせる各セグメントの間に、強さ、好み、熟知度および/またはリラックス/元気付け特性について匂いが評価される。特定の実施形態では、強さ、好み、熟知度および/またはリラックス/元気付け特性の評価は、例えばPorcherot et al., Food Quality and Preference, 2010;21(8):938-947に記載されているようなプロトコルに従う。
【0021】
特定の実施形態では、被験者に合計で少なくとも10秒、好ましくは少なくとも20秒、より好ましくは少なくとも30秒、さらにより好ましくは少なくとも40秒デバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に90秒以下、好ましくは80秒以下、より好ましくは60秒以下、さらにより好ましくは50秒以下デバイスの匂いを嗅がせる。特定の実施形態では、被験者に10~90秒、好ましくは20~80秒、より好ましくは30~60秒、さらにより好ましくは40~50秒、さらにより好ましくは45秒デバイスの匂いを嗅がせる。
【0022】
匂いを有する物質は、本明細書では、好ましくは賦香成分、香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品、好ましくは賦香成分として理解される。
【0023】
「香料」(または「香油」も)とは、本明細書では約20℃で液体、固体または半固体である成分または組成物を意味する。上記の実施形態のいずれか1つによると、上記香油は賦香成分単独であっても、または賦香組成物の形態の成分の混合物であってもよい。「賦香成分」とは、本明細書では匂いを付与または調節することを主要目的として使用される化合物を意味する。言い換えると、かかる成分は、賦香成分とみなされるためには、少なくとも組成物の匂いを付与、増強または修正することができると当業者によって認識されなければならない。本発明の目的上、香油には、賦香成分と香料前駆体、エマルションまたは分散液等の賦香成分の送達をともに改善、増強または修正する物質との組合せ、および匂いを修正または付与すること以上の付加的な利点、例えば持続性、ブルーミング(blooming)、消臭、抗菌作用、微生物安定性、害虫防除を与える組合せも含まれる。
【0024】
賦香成分の性質および種類は、本明細書でのより詳細な説明を必要とするものではなく、いずれの場合にも包括的ではなく、当業者は一般的な知識に基づき、使用目的または用途、および所望の感覚刺激効果に応じてそれらを選択することができる。概して、これらの賦香成分はアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物、および精油のように多様な化学クラスに属し、上記賦香共成分は天然または合成起源であり得る。これらの共成分の多くは、いずれの場合にも参照文献、例えばS. Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより最新版、または同種の他の論文、および香料の分野における豊富な特許文献に記載されている。上記成分が、様々な種類の賦香化合物を制御された形で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0025】
賦香成分は、香料産業において現在使用されている溶媒に溶解することができる。かかる溶媒の例は、ジプロピレングリコール(DIPG)、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン系樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように非常に疎水性であり、高度に立体障害されている。好ましくは、香料は30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージは全て、香料の総重量に対する重量によって定義される。最も好ましくは、香料は本質的に溶媒を含まない。
【0026】
本発明によると、工程b.において、被験者における自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータを安静状態で測定する。
【0027】
それにより、安静またはタスクネガティブ状態で、すなわち明示的なタスクが実行されていないときに、被験者の無意識の自律神経系に関する少なくとも1つの身体パラメータを測定することが理解される。
【0028】
特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系および/または副交感神経系を示す少なくとも1つのパラメータである。
【0029】
特定の実施形態では、被験者における自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータは、
i.交感神経系の少なくとも1つの身体パラメータ(BP(SNS))、および/または
ii.副交感神経系の少なくとも1つの身体パラメータ(BP(PNS))
を含むことができ、ここで、BP(SNS)は交感神経系の身体パラメータであり、BP(PNS)は副交感神経系の身体パラメータである。
【0030】
特定の実施形態では、自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも1つのパラメータと、副交感神経系の少なくとも1つのパラメータとを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも1つのパラメータと、副交感神経系の少なくとも2つのパラメータとを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも2つのパラメータと、副交感神経系の少なくとも1つのパラメータとを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも2つのパラメータと、副交感神経系の少なくとも2つのパラメータとを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも3つのパラメータと、副交感神経系の少なくとも2つのパラメータとを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、交感神経系を示す少なくとも2つのパラメータと副交感神経系の少なくとも3つのパラメータとを含む。
【0031】
特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、被験者の自律神経系を示す少なくとも1つの身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも2つの身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも3つの身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも4つの身体パラメータおよび被験者の自律神経系を示す少なくとも5つの身体パラメータを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、被験者の自律神経系を示す9つ以下の身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも8つの身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも7つの身体パラメータ、被験者の自律神経系を示す少なくとも6つの身体パラメータおよび被験者の自律神経系を示す少なくとも5つの身体パラメータを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、1~9つを含み、好ましくは、少なくとも1つの身体パラメータは、被験者の自律神経系を示す2~8つの身体パラメータを含み、好ましくは、少なくとも1つの身体パラメータは、被験者の自律神経系を示す3~7つの身体パラメータを含み、好ましくは、少なくとも1つの身体パラメータは、被験者の自律神経系を示す4~6つの身体パラメータを含み、より好ましくは、少なくとも1つの身体パラメータは、自律神経系を示す約5つの身体パラメータを含む。
【0032】
特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは心拍数(HR)、心拍変動の低周波変動(LF)、非特異的皮膚コンダクタンス反応(nsSCR)、脈拍のフォトプレチスモグラフィー振幅(PPGa)、心拍間隔における連続差の二乗平均平方根(RMSSD)、血圧(BP)、脈拍数(PPGr)、皮膚コンダクタンスの持続性レベル(SCL)、前駆出時間(PEP)、脈波伝播時間(PTT)、瞳孔径、レーザーコントラストイメージング(LSCI)もしくは分析(LASCA)、赤外線サーモグラフィー、皮膚温、またはそれらの任意の組合せからなるリストから選択される。
【0033】
心拍数(HR)は、本明細書では、被験者の1分当たりの拍動数として理解される。HRは、副交感神経系(コリン作動性ムスカリン受容体を介する)および交感神経系(β-アドレナリン受容体を介する)の両方の影響を受ける。心拍数は、フォトプレチスモグラフ(PPG)によって測定することができる。連続する脈波間の全期間(秒単位の脈拍間隔)の逆数を求め、60を乗じて、瞬時心拍数を毎分拍動数で得る。次いで、これらの値を対象期間にわたって平均する。
【0034】
脈拍の振幅(PPGa)は、本明細書では、フォトプレチスモグラフ脈波の全高さとして理解される。PPGaは、末梢血管系(α-アドレナリン受容体を介する)の血管拡張/血管収縮を反映する。PPGaは、フォトプレチスモグラフを用いて測定することができる。全ての脈波の振幅(PPGa)を計算する(極大値-先の極小値)。得られたPPGaを対象期間にわたって平均する。
【0035】
心拍間隔における連続差の二乗平均平方根(RMSSD)は、本明細書では、正常心拍間の連続差の二乗平均平方根(RMSSD)として理解される。RMSSDは、特に副交感神経の呼吸を介した影響(コリン作動性受容体を介する)を特徴付け、初めに対象期間中の脈拍間隔間の連続時間差を全てms単位で計算することによって得られる。次いで、それぞれの値を二乗し、結果を平均してから合計の平方根を得る。RRSMDは、フォトプレチスモグラフ(PPG)を用いて測定および計算することができる。
【0036】
心拍変動の低周波変動(LF)とは、PPG脈拍間隔の時系列における低周波振動(特徴的な周波数は0.04~0.15Hz)を指す。LFは、特に副交感神経圧反射を介した変動(α,β-アドレナリン受容体を介する)を特徴付ける。LFは、フォトプレチスモグラフによって測定された脈拍間隔の時系列に周波数分解を適用し、対象期間にわたる0.04~0.15Hzの周波数帯域の係数を抽出することによって計算される。
【0037】
非特異的皮膚コンダクタンス反応(nsSCR)とは、識別可能な誘発刺激の非存在下で起こる皮膚電気活動を指す。nsSCRの数は、皮膚電気活動から導かれ、交感神経変動(コリン作動性ムスカリン受容体、Boucsein, 2014)を特徴付ける。nsSCRは、直接定電圧法を用いた任意の皮膚電気記録デバイスによって測定することができる。
【0038】
皮膚コンダクタンスの持続性レベル(SCL)。皮膚電気活動は、ゆっくりと変化する持続性交感神経活動と急速に変化する相動性交感神経活動との両方を反映する。持続性活動は、皮膚電気レベル(SCL)の単位で表すことができ、相動性活動は、皮膚電気反応(EDR)の単位で表される。
【0039】
前駆出時間(PEP)は、左心室の電気的脱分極(ECGのQRS)から心室駆出の開始までの経過時間であり、心臓弁が閉じた状態での左心室収縮の期間を表す。PEPは、β1アドレナリン受容体による交感神経活動の影響を受け、刺激下で短縮する。PEPは、胸郭インピーダンスの変化(胸部および頸部の電極により測定)を経時的な容積の変化に変換し、心周期中に生じるような容積変化の追跡を可能にするインピーダンスカルジオグラフィーから非侵襲的に導くことができる。
【0040】
脈波伝播時間(PTT):血圧変化の代用指標、交感神経制御。脈波伝播時間(PTT)は、動脈脈波が末梢に到達するまでにかかる時間の測定法である。PTTは、酸素飽和度モニターの指フォトプレチスモグラフ(PPG)および睡眠ポリグラフ中の心電図(ECG)のR波から計算することができる。
【0041】
瞳孔径:瞳孔反応は、視神経および眼球運動脳神経を介して瞳孔の大きさを変化させる生理学的反応である。副交感神経活性化は、収縮を誘導する。交感神経活性化は、拡大を誘導する。
【0042】
レーザースペックルコントラストイメージング(LSCI)または分析(LASCA)。レーザースペックルコントラストイメージング(LSCI)は、新規の非侵襲的微小血管画像診断法である。交感神経を介した血管収縮が測定される。
【0043】
皮膚温は、交感神経を介した末梢血管収縮の尺度である。
【0044】
特定の実施形態では、少なくとも1つの身体パラメータは、以下のパラメータ:
i.心拍数(HR)、
ii.心拍変動の低周波変動(LF)、
iii.非特異的皮膚コンダクタンス反応(nsSCR)、
iv.脈拍のフォトプレチスモグラフィー振幅(PPGa)、および/または
v.心拍間隔における連続差の二乗平均平方根(RMSSD)
に関する。
【0045】
それにより、本発明は、好ましくは、交感神経系(SNS)および副交感神経系(PNS)の活性化を反映する指標のための身体パラメータを包含し、それにより、匂いに応答した身体のリラックス/元気付け状態を特定することができる。被験者がリラックスした状態から刺激された状態に移行すると、例えばHRおよびnSCRの値が増加し、PPGa、RMSSDおよびLFの値が減少する。
【0046】
安静状態は、本明細書では、安静またはタスクネガティブ状態、すなわち明示的なタスクが実行されていないときに生じる被験者の状態として理解される。安静状態とは、刺激または他の行動的に顕著な事象が課されていない一定の状態を指す操作的定義である。特定の実施形態では、被験者は座っているか、または横になっており、環境により刺激または他の行動的に顕著な事象は課されない。特定の実施形態では、被験者は、暗い部屋で座っているか、または横になっている。
【0047】
特定の実施形態では、安静状態中の測定は、被験者が安静状態に達するまでのタスクネガティブ時間に関する。被験者が安静状態に達したかどうかは、例えば被験者がタスクに従わなかったかを尋ねるか、またはEEGもしくは磁気共鳴機能画像法(fMRI)によって決定することができる。
【0048】
特定の実施形態では、安静状態中の測定は、少なくとも25秒、好ましくは少なくとも40秒、より好ましくは少なくとも90秒のタスクネガティブ期間に関する。安静状態中の測定は、600秒以下、好ましくは300秒以下、より好ましくは150秒以下、さらにより好ましくは90秒以下のタスクネガティブ期間に関する。特定の実施形態では、安静状態中の測定は、25秒~600秒、好ましくは40秒~300秒、さらにより好ましくは90秒~150秒のタスクネガティブ期間に関する。特定の実施形態では、安静状態中の測定は、90秒のタスクネガティブ期間に関する。
【0049】
本発明によると、工程c.において、少なくとも1つの身体パラメータを、被験者の自律神経系の第1の状態の指標(第1のANSind)に関連付ける。
【0050】
それにより、少なくとも1つの身体パラメータが、被験者の自律神経系の状態の基準として使用されることが理解される。
【0051】
特定の実施形態では、自律神経系の指標は、身体パラメータの計算および平均化に基づくことができ、好ましくは標準偏差も含み得る。
【0052】
特定の実施形態において、式(I):
【数1】
[式中、oは匂いであり、sは被験者であり、
【数2】
はXXの平均であり、σは、特定のパネリストに対する全ての匂いにわたるXX値の標準偏差であり、
【数3】
は、数値が交感神経活性化によって増加し、かつ/または副交感神経活性化によって減少する身体パラメータであり、
【数4】
は、数値が交感神経活性化によって減少し、かつ/または副交感神経活性化によって増加する身体パラメータであり、nは、各々独立して、交感神経系および副交感神経系の異なる身体パラメータの数であり、Nはnの数の合計である]
に従って自律神経系指標(ANSind)を計算することにより、測定された身体パラメータを第1の自律神経系の指標に関連付ける。
【0053】
特定の実施形態では、工程c.は、式(II):
【数5】
[式中、本明細書で上述したように、oは匂いであり、sは被験者であり、
【数6】
はXXの平均であり、σは、特定のパネリストに対する全ての匂いにわたるXX値の標準偏差であり、HRは心拍数であり、LFは心拍変動の低周波変動であり、nsSCRは非特異的皮膚コンダクタンス反応であり、PPGaは脈拍のフォトプレチスモグラフィー振幅であり、RMSSDは心拍間隔における連続差の二乗平均平方根である]
に従って第1の自律神経系指標(ANSind)を計算することを含む。
【0054】
ANSindの計算により、被験者のリラックスしたおよび刺激された生理学的状態を評定することができ、PNSがより活性化され、生理学的状態がリラックスに相当すると、ANSindは低くなり、SNSがより活性化され、より元気付けられた状態となるほど、ANSindは高くなる。
【0055】
本発明によると、工程d.において、工程a.~c.を少なくともさらに2回行う。
【0056】
それにより、工程d.において、言及したものと同じ被験者および同じ身体パラメータセットおよび身体パラメータを測定するための同じ設定で、工程a.、b.およびc.を少なくともさらに2回行うことが理解される。特定の実施形態では、工程a.~c.のセットを少なくともさらに2回行う。
【0057】
工程a.、b.およびc.について本明細書で上述したものと同じ定義および実施形態が工程d.に準用される。
【0058】
工程a.、b.およびc.は、匂いを有する物質が刺激的であるかまたはリラックスさせるかについて確実な評定を提供するためのデータの正規化を可能にする少なくとも2つのデータセットを得るために少なくともさらに2回用いられる。
【0059】
特定の実施形態では、工程a.~c.を少なくともさらに3回、さらに5回、さらに7回またはさらに9回行う。工程a.~c.の実行回数が多いほど、物質がリラックスさせるまたは刺激的であるかについての評定がより確実となる。
【0060】
工程a.~c.を少なくともさらに3回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイス、および匂いを有する少なくとも2つの物質の匂いを嗅がせる。代替的には、工程a.~c.を少なくともさらに3回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも2つのデバイス、および匂いを有する少なくとも1つの物質の匂いを嗅がせる。
【0061】
工程a.~c.を少なくともさらに5回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイス、および匂いを有する少なくとも4つの物質の匂いを嗅がせる。代替的には、工程a.~c.を少なくともさらに3回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも2つのデバイス、および匂いを有する少なくとも3つの物質の匂いを嗅がせる。
【0062】
工程a.~c.を少なくともさらに7回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイス、および匂いを有する少なくとも6つの物質の匂いを嗅がせる。代替的には、工程a.~c.を少なくともさらに3回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも2つのデバイス、および匂いを有する少なくとも5つの物質の匂いを嗅がせる。
【0063】
工程a.~c.を少なくともさらに9回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイス、および匂いを有する少なくとも8つの物質の匂いを嗅がせる。代替的には、工程a.~c.を少なくともさらに3回行う場合、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも2つのデバイス、および匂いを有する少なくとも7つの物質の匂いを嗅がせる。
【0064】
匂いを有しない物質および匂いを有する物質の定義および実施形態は、以下と同じである。
【0065】
本発明によると、工程d.において、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイスの匂いを嗅がせる。それにより、工程d.において、工程a.~c.を少なくともさらに2回行う場合、工程a.の1回は、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイスの匂いを嗅がせることであることが理解される。
【0066】
それにより、被験者に、匂いを有しない物質を含む少なくとも1つのデバイス(プローブ)と、匂いを有する(第2の)物質を含むか、または匂いを有しない物質を含む別のデバイス(プローブ)との匂いを嗅がせることが本明細書で理解される。それにより、少なくとも2つのデータセット、すなわち、匂いを有する(第1の)物質についてのデータセット、匂いを有しない物質についての少なくとも1つのデータセット、および任意に匂いを有する(第2の)物質の少なくとも1つの更なるデータセットが本発明によって得られる。これにより、匂いを有する物質が刺激的であるまたはリラックスさせるかについて確実な評定を提供するためのデータの正規化が可能となる。
【0067】
被験者に、匂いを有しない物質を含むデバイスの匂いを嗅がせ、特にその生理学的効果を評価させて、工程a.~c.において測定された匂いを有する物質が、刺激またはリラックス効果が高いかまたは低いかを決定する。これは主に、匂いを有しないプローブが、匂いの形でのタスクが課されていない被験者の安静状態の基準として機能するためである。特定の実施形態では、匂いを有しない物質は空気、好ましくは無臭の空気である。
【0068】
被験者に、匂いを有する物質または匂いを有しない物質を含む更なるデバイスの匂いを嗅がせ、特にその生理学的効果を評価させる。この更なる試験により、匂いを有する物質または匂いを有しない物質のいずれかについて付加的なデータ点が生成され、これにより、匂いを有する物質が刺激的であるまたはリラックスさせるかについて確実な評定を行うためのデータの正規化が可能となる。
【0069】
特定の実施形態では、匂いを有する(第2の)物質は、匂いを有する(第1の)物質、すなわち工程a.~c.で使用される匂いを有する物質と同じである。特定の実施形態では、匂いを有する(第2の)物質は、匂いを有する(第1の)物質、すなわち工程a.~c.で使用される匂いを有する物質と同じではない。匂いを有する(第2の)物質が、匂いを有する(第1の)物質と同じでない場合、(第1の)および(第2の)物質は、例えばPorcherot et al., Food Quality and Preference, 2010;21(8):938-947において決定されているように、強さ、好み、熟知度および/またはそれらのリラックス/元気付け特性が同様である。特定の実施形態では、(第2の)物質は、匂いを有しない。
【0070】
明確にするために、匂いを有しない物質に対する工程a.~c.を行う本発明の方法における工程d.の順序は、匂いを有する(第1の)物質に対する工程a.~c.と交換可能である。それにより、匂いを有しない物質に対する工程d.による工程a.~c.が、匂いを有する(第1の)物質に対する工程a.~c.の前または後に行われ得ることが理解される。
【0071】
特定の実施形態では、匂いを有しない物質に対する工程a.~c.を、匂いを有する(第1の)物質に対する工程a.~c.の前に行う。特定の実施形態では、匂いを有しない物質に対する工程a.~c.を、匂いを有する(第1の)物質に対する工程a.~c.の後に行う。
【0072】
特定の実施形態では、匂いを有しない物質に対する工程a.~c.を、匂いを有するか、または匂いを有しない(第2の)物質に対する工程a.~c.の前に行う。特定の実施形態では、匂いを有しない物質に対する工程a.~c.を、匂いを有するか、または匂いを有しない(第2の)物質に対する工程a.~c.の後に行う。
【0073】
本発明によると、工程d.において、少なくとも1つの測定されたその身体パラメータを、被験者の自律神経系の第2の状態の指標(第2のANSind)と関連付ける。
【0074】
それにより、匂いを有しない物質のいずれかの少なくとも1つの測定された身体パラメータ、または匂いを有するか、もしくは匂いを有しない(第2の)物質の測定された身体パラメータが、第1のANSindと同じ尺度を用いて被験者の自律神経系の第2の状態(第2のANSind)と関連付けられることが理解される。
【0075】
それにより、被験者の自律神経系の第2の状態(第2のANSind)が、匂いを有しない物質に対する測定によって得られた少なくとも1つの身体パラメータ、または匂いを有するか、もしくは匂いを有しない(第2の)物質の測定された身体パラメータと関連付けられることが理解される。
【0076】
特定の実施形態では、第2のANSindは、式(I)または(II)に従って計算される。
【0077】
それにより、工程b.による同じ式(I)または(II)が、匂いを有しない物質に対する測定によって得られたパラメータ、または匂いを有するか、もしくは匂いを有しない(第2の)物質の測定された身体パラメータとともに用いられることが理解される。
【0078】
匂いを有する(第1の)物質について本明細書で上記したものと同じ定義および実施形態が、匂いを有しない物質についての少なくとも1つの測定身体パラメータ、または匂いを有するか、もしくは匂いを有しない(第2の)物質の測定された身体パラメータの関連付けに準用される。
【0079】
本発明によると、工程e.において、匂いを有する物質の第1のANSindが、工程d.において得られた物質の第2のANSindよりもリラックスさせるまたは刺激的であることを示す場合、物質をリラックスさせるまたは刺激的な匂いを有すると特定する。
【0080】
それにより、第1のANSindと第2のANSindとを比較する場合、その比較により、匂いを有する(第1の)物質が、匂いを有するか、もしくは匂いを有しない(第2の)物質と比べて刺激的であるもしくはリラックスさせるか、または匂いを有する(第1の)物質が、匂いを有しない物質と比較して絶対的に刺激的であるもしくはリラックスさせるかが示されることが理解される。
【0081】
特定の実施形態では、第1のANSindが第2のANSindよりも低い場合、匂いを有する物質は、リラックスさせると特定される。
【0082】
それにより、第1のANSindおよび第2のANSindの(計算)値が比較され、第2のANSindが第1のANSindよりも高いかどうかに応じて、匂いがリラックスさせると分類されることが理解される。
【0083】
特定の実施形態では、第1のANSindが第2のANSindよりも高い場合、匂いを有する物質は、刺激的であると特定される。
【0084】
それにより、第1のANSindおよび第2のANSindの(計算)値が比較され、第2のANSindが第1のANSindよりも低いかどうかに応じて、匂いが刺激的であると分類されることが理解される。
【0085】
本発明による匂いのリラックスまたは刺激特性を決定するための特定の実施形態では、
- 一連の被験者に対して試験を行うこと;
- 試験すべき最低5つの心地よい試験用の匂いを提示すること;
- 匂いをランダムな順序でそれぞれ1回、15秒のセグメントで合計45秒間嗅がせること;
- 各セグメントの間に、匂いを強さ、好み、熟知度、次いでそのリラックス/元気付け特性について、10cmの線形スケール[ここで、0=全く該当しない、10=非常に該当する]を用いて被験者に評価させること。Porcherot et al., Food Quality and Preference, 2010;21(8):938-947;
- これらの提示および評価に続いて90秒の安静状態を設けること;
- 安静状態の間に、自律神経系を非利き手のフォトプレチスモグラフおよび皮膚電気活動で測定すること;
- 90秒の安静状態の間に生理学的シグナルからHR、nsSCR、PPGa、RMSSDおよびLFを抽出すること;
- 式(II)に従ってANSindを計算すること;ならびに
- 式(II)に従うANSindにより、匂いのリラックス/元気付け特性を割り当てること;
または
- 一連の被験者に対して試験を行うこと;
- 試験すべき匂いおよび無臭状態を提示すること;
- 匂いをそれぞれ1回、被験者間でバランスをとって、15秒のセグメントで合計45秒間嗅がせること;
- 各セグメントの間に、匂いを強さ、好み、熟知度、次いでそのリラックス/元気付け特性について、10cmの線形スケール[ここで、0=全く該当しない、10=非常に該当する]を用いて評価させること;
- これらの提示および評価に続いて90秒の安静状態を設けること;
- 安静状態の間に、自律神経系を非利き手のフォトプレチスモグラフおよび皮膚電気活動で測定すること;
- 90秒の安静状態の間に生理学的シグナルからHR、nsSCR、PPGa、RMSSDおよびLFを抽出すること;
- SNS/PNSを推測するために、上記の尺度の1つまたは幾つかを使用すること;ならびに
- 匂いのリラックス/元気付け特性を無臭状態と比較して割り当てること
が含まれる。
【0086】
本発明は、リラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードを含む香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品を作製するための方法であって、
a.本明細書で上述したように、被験者においてリラックスしたまたは刺激された生理学的状態を増大させる匂いを有する物質を特定する工程、
b.物質を香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品に組み込む工程
を含む、方法にも関する。
【0087】
被験者においてリラックスした状態を増大させる匂いを有する物質を特定するために本明細書で上述したものと同じ定義および実施形態が、本発明のこの態様に準用される。
【0088】
被験者においてリラックスした状態を増大させると特定される物質は、当業者にとって標準的な手段により、香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品に含まれる。
【0089】
本発明は、香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品中のリラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードのレベルを増加させるための方法であって、匂いおよび第1のANSindを有する第1の物質を、匂いおよび第2のANSindを有する第2の物質と置き換えることを含み、第1のANSindおよび第2のANSindが、本明細書で上述したような方法に従って測定され、第2の物質の第2のANSindが、第1の物質の第1のANSindよりもリラックスさせるまたは刺激的であることを示す、方法にも関する。
【0090】
それにより、香料、賦香組成物または賦香消費者製品において、ANSindが第1の物質の第1のANSindよりも大きい匂いを有する第2の物質で第1の物質を置き換えるにつれ、第2の物質を含む得られる香料、賦香組成物または賦香消費者製品は、第1の物質を含む香料、賦香組成物または賦香消費者製品と比較して増大した刺激的な匂いを有するようになることが理解される。
【0091】
匂いを有する別の物質よりも被験者において刺激された状態を増大させる匂いを有する物質を特定するために本明細書で上述したものと同じ定義および実施形態が、本発明のこの態様に準用される。
【0092】
本発明は、物質をリラックスさせるまたは刺激的であると特定するための、本明細書で上述した自律神経系指標(ANSind)および/または方法の使用にも関する。
【0093】
特定の実施形態では、本発明は、ペパーミントを刺激的であると特定するために使用される。特定の更なる実施形態では、本発明は、ラベンダーをリラックスさせると特定するために使用される。
【0094】
本発明はまた、或る特定の成分を、被験者の刺激されたまたはリラックスした生理学的状態を増大させると特定するために使用される。
【0095】
したがって、本発明は、被験者において刺激された生理学的状態を増大させるためのペパーミントの使用にも関する。
【0096】
本発明は、本明細書で上記した方法によって特定されたリラックスさせるまたは刺激的な物質またはアコードを含む香料、賦香組成物または賦香済み消費者製品にも関する。
【0097】
特定の実施形態では、賦香消費者製品は、高級フレグランス製品、ランドリーケア製品、ホームケア製品、ボディケア製品、スキンケア製品、エアケア製品または衛生製品の形態である。
【実施例
【0098】
実施例1
18~45歳(M=26.5、SD=6.59)の18人の被験者(女性11人)を研究に採用した。被験者は右利きであり、嗅覚が正常であると自己申告し、精神医学的または神経学的病歴はなかった。被験者には、研究の2時間前から飲食しないよう指示した。
【0099】
手順
匂いの順序は、被験者毎に擬似ランダム化を行った。各試行において1つの匂いを合計45秒間提示し(図1)、15秒毎に15秒間の休憩が設けられ、無臭の空気がバルブから吹き出す。休憩の間に、被験者に匂いの特性に関する質問に答えるよう求めた。最初の2回の休憩では、匂いがどの程度心地よいか、なじみ深いか、強烈か、リラックスさせる/元気付けるかの匂いに関する4つの質問に線形スケールを用いて答えるよう被験者に求めた。最後の15秒間に、被験者にどの程度リラックスしたまたは元気付けられたと感じたかを評定するよう求めた。全ての評定を0から100までのスライド式スケールで行った。この匂いを嗅ぎ、質問に答える時間の後、被験者に90秒の安静状態の間にぼんやりするよう求めた。安静状態が終わると、被験者に研究の再開を知らせるためにスクリーンが短く点滅する。試行の50%で、安静状態の間に考えていたことを評定するよう被験者に求めた。回答は以下の通りである:1-匂いによって呼び起こされた考え;2-私生活;3-雑音またはMRIのような実際の環境;および4-眠気との闘い。対照条件として匂いの代わりに空気を用いた1回の試行に加えて、この手順を10種類の匂いのそれぞれについて繰り返した。図1を参照されたい。
【0100】
刺激
合計6つの異なる匂いを、心地よさおよび強さ(被験者がその匂いをどの程度強いと考えたか)が同様のレベルであることを基準に選択した。嗅覚計からの気流をニュートラルな対照条件として用いた。研究に用いた匂いを、その平均強さ、誘意性(valence)およびリラックス/元気付けの評定とともに表1に提示する。
【0101】
【表1】
【0102】
刺激提示
匂いは、MRI対応の嗅覚計によって供給された。Ischer, et al., Frontiers in Psychology, 2014;5(JUL)。匂いの入ったガラス管を参加者の近くのプラスチックサポートの上に置いた。匂いは鼻腔内カニューレに取り付けた管に接続した。各ガラスバイアルは、異なる匂い物質刺激を送るためにオンオフが切り替えられるコンピュータ制御の空気弁によって加圧した。匂いのないニュートラルな条件では、刺激間の追加の空気弁により澄んだ空気が鼻に送られた。システムは、建物の独立した空気源に接続され、匂いを送る場合にも検出可能な流量変動はなく、常に清浄な空気を供給することができた。
【0103】
生理学的記録および前処理
生理学的活動は、Biopac Systems Inc.(BIOPAC Systems Inc,CA,USA)のデータ収集システム(MP150)を用いて記録した(サンプリング周波数1000Hz)。脈拍(PPG)は、左手薬指末節骨に取り付けたプレチスモグラフを用いて測定した。PPGシグナルは、Blackman -61dBオクターブ/スロープフィルター(ハイパス=0.5Hz、ローパス=4Hz)を用いてオフラインでフィルタリングした。皮膚電気活動(EDA)は、皮膚コンダクタンスペースト(Biopac)を充填したBeckmanのAg-AgCl電極(直径8mmの有効面積)を、被験者の非利き手で第二および第三指の中節骨の掌側に取り付けて測定した。EDAシグナルは、Blackman -61dBオクターブ/スロープフィルター(ローパス=5Hz)を用いてオフラインでフィルタリングした。
【0104】
測定値の抽出
フィルタリングしたPPGシグナル(図2A)から、ピークおよび連続する2つのピーク間の間隔(秒単位)を、例えばBiopac Systems Inc.またはKubiosから入手可能な標準ソフトウェアによって計算し、心拍間隔の時系列(IBI、図2B)と、ピークと先の最小値とを隔てる振幅(PPGa、図2C)とを生成した。次いで、90秒間のそれぞれの安静状態について得られたIBI時系列をHRVASソフトウェアで分析し、RMSSD、LFおよびHRの値を得た。平均PPGaは、90秒間の安静状態における各PPGa値を平均することで得た。図2を参照されたい。
【0105】
それぞれ90秒間のEDAシグナルを、Ledalabソフトウェアを用いて分析し、安静状態中の非特異的皮膚電気反応(nsSCR)の数を得た。
【0106】
被験者によって報告された匂いのリラックス/刺激特性とリラックス/元気付けの生理学的測定値との関係を、10cmの線形スケール[ここで、0=全く該当しない、10=非常に該当する]を用いて測定された被験者の評定とANS指標とを相関させることによって調べた。
【0107】
この指標は、心地よさ/嗜好および強さが類似していると判断される匂いが、生理学的なANS活性化およびリラックス/元気付け特性の被験者の評定において統計的差異を示す場合に特に有効である。この目的で、対応のある測定値のt検定を行い、異なる変数間の統計的差異を試験した。
【0108】
結果
リラックス/元気付けの評定とANS指標との相関
リラックス/元気付けの生理学的測定値が匂いのリラックス/元気付け性質についての判断とどの程度関係しているかを評定するために、ANS指標と、10cm線形スケール[ここで、0=全く該当しない、10=非常に該当する]を用いて得られた被験者のリラックス/元気付けの評定との相関を計算した(図3)。
【0109】
結果(表2)から、ANS指標と匂いのリラックス/刺激特性の評価との強い相関が示される。
【0110】
【表2】
【0111】
次いで、匂いの誘意性および強さの潜在的な影響を制御し、偏相関を行ったところ(表3)、2つの変数間に強い正の関係があることも示された。これにより、結果が心地よさおよび匂いの強さによるものである可能性は排除された。
【0112】
【表3】
【0113】
強さおよび誘意性が類似している匂いのリラックス/元気付け特性
以下の分析から、強さおよび嗜好が類似しているが、リラックス/元気付け特性が異なる匂いを本発明により区別し得ることが示された。ペパーミントおよびラベンダーの匂いに対する被験者の評定および生理学を比較に用いた。
【0114】
表4および表5に示されるように、ペパーミントおよびラベンダーの匂いは、被験者により、好みまたは強さの評価に基づいて区別されなかった。t検定は有意でなく、ベイズ因子(BF01=1/BF10)計算から、これらの変数に差がない確率が、差がある確率よりも少なくとも倍大きいことが明らかとなった。
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
リラックスさせる/刺激的な物質の評定に対して行ったt検定は、統計的に有意であり(表6)、被験者がペパーミントをラベンダーよりも元気付けると評定することが示された。
【0118】
【表6】
【0119】
ラベンダー提示後の安静状態中のANS指標は、ペパーミント提示後よりも統計的に低かった(表7および図4)。
【0120】
【表7】
【0121】
結果から、本発明による安静状態プロトコル、生理学的測定、およびANS指標の計算を組み合わせることにより、心地よさおよび強さが類似している匂いについて、芳香の情緒的、生理学的な利点をリラックス/刺激の観点から中期的に特徴付けることができることが示される。
【0122】
さらに、無臭提示後の安静状態中のANS指標は、ペパーミント提示後よりも統計的に低かった(表8および図5)。
【0123】
【表8】
【0124】
結果から、本発明による安静状態プロトコル、生理学的測定、およびANS指標の計算を組み合わせることにより、芳香の情緒的、生理学的な利点をリラックス/刺激の絶対的な観点から中期的に特徴付けることができることが示される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】