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特表2025-505064乾式電極プロセスを使用して電極トラックを製造するための温度制御可能なカレンダローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-20
(54)【発明の名称】乾式電極プロセスを使用して電極トラックを製造するための温度制御可能なカレンダローラ
(51)【国際特許分類】
   F16C 13/00 20060101AFI20250213BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
F16C13/00 C
H01M4/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024542278
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 DE2022100492
(87)【国際公開番号】W WO2023138712
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/300,310
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】524116298
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】マルコ スタルトマン
(72)【発明者】
【氏名】レネ ウォルターズ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ファストリング
(72)【発明者】
【氏名】ステファン テルビル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハックフォート
(72)【発明者】
【氏名】ワイルドリッチ シュヴィータース
【テーマコード(参考)】
3J103
5H050
【Fターム(参考)】
3J103AA02
3J103AA24
3J103AA28
3J103AA33
3J103AA42
3J103BA09
3J103FA01
3J103GA02
3J103GA26
5H050AA19
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA29
5H050HA00
5H050HA04
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、乾式電極法を用いて電極トラックを製造するための温度制御可能なカレンダローラに関し、この温度制御可能なカレンダローラは、ローラ本体と、ローラ本体の端面から外側に延在する2つのローラジャーナルとを有し、ローラ本体の温度制御のための流体チャネル構成であって、ローラ本体を少なくとも部分的に通って、かつ、ローラジャーナルの少なくとも1つを通って軸方向に延在する中央ボアと、ローラ本体の周囲にわたって分布され、ローラ本体表面の下にローラ本体と平行に延在し、中央ボアに流体的に結合される複数の温度制御チャネルとを有し、熱流体のための入口ライン及び出口ラインであって、流体チャネル構成に接続された入口ライン及び出口ラインとを有し、入口ラインは、熱流体を流体チャネル構成に導入するための中央ボア内に少なくとも部分的に延在する供給パイプを有し、出口ラインは、供給パイプの外側と中央ボアの内径との間に形成された流体チャネル構成の外側ギャップに流体的に結合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式電極プロセスを使用して電極トラックを製造するための温度制御可能なカレンダローラ(1)であって、
ローラ本体(2)と、その端面から外側に向かって延在する2つのローラジャーナル(3)とを有し、
前記ローラ本体(2)の温度制御のための流体チャネル構成(4)であって、前記ローラ本体(2)を少なくとも部分的に通って、かつ前記ローラジャーナル(3)の少なくとも1つを通って軸方向に延在する中央ボア(5)と、前記ローラ本体(2)の周囲にわたって分布され、前記ローラ本体の表面の下に前記ローラ本体の表面に平行に延在し、前記中央ボア(5)に流体的に結合される複数の温度制御チャネル(6)とを有する前記流体チャネル構成(4)を有し、
熱流体のための入口ライン(7)及び出口ライン(8)であって、前記流体チャネル構成(4)に接続され、前記入口ライン(7)は、前記熱流体を前記流体チャネル構成(4)内に導入するために前記中央ボア(5)内に少なくとも部分的に延在する供給パイプ(9)を有し、前記出口ライン(8)は、前記供給パイプ(9)の外側と前記中央ボア(5)の内径との間に形成された前記流体チャネル構成(4)の出口ギャップ(10)に流体的に結合された、前記入口ライン(7)及び前記出口ライン(8)を有する、
前記温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項2】
前記入口ライン(7)及び前記出口ライン(8)が、前記カレンダローラ(1)の同じローラジャーナル(3)に開口し、前記温度制御チャネル(6)が、複数の入口チャネル(11)を介して前記供給パイプ(9)に、また、複数の出口チャネル(12)を介して前記出口ギャップ(10)に流体的に結合され、前記入口チャネル(11)は、前記入口ライン(7)の反対側を向く第1の口領域(13)で前記中央ボア(5)内に開口し、前記出口チャネル(12)は、第2の口領域(14)で前記出口ギャップ(10)内に開口する、請求項1に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項3】
前記供給パイプ(9)の出口(24)が、前記入口チャネル(11)の前記口の開口部(13)を超えて前記中央ボア(5)内に軸方向に延在する、請求項2に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項4】
前記中央ボア(5)が、ローラジャーナル(3)と前記ローラ本体(2)の両方を通って延在する貫通孔であり、前記供給パイプ(9)が、前記供給ライン(7)の反対側の前記ローラジャーナル(3)の領域まで前記中央ボア(5)内に延在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項5】
前記第1の口領域(13)が、前記第2の口領域(14)から、前記供給パイプ(9)の前記外側のこれらの領域間に配置された少なくとも1つの封止ブッシング(15)によって封止される、請求項2~4のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項6】
前記第1の口領域(13)と前記第2の口領域(14)との間の前記供給パイプ(9)の前記外側上に、2つの離間した封止ブッシング(15)が配置され、それによって、前記供給パイプ(9)の前記外側と前記中央ボア(5)の前記内径との間の前記封止ブッシング(15)間に囲まれた部分に熱流体が存在しない、請求項5に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項7】
ローラ回転方向に互いに平行に離間した奇数の複数の温度制御チャネル(6)が、各入口チャネル(11)とそれに割り当てられた前記出口チャネル(12)との間に配置され、前記温度制御チャネル(6)を通って、前記熱流体が、温度制御チャネル(6)の数に従って、軸方向(X)に及びその反対に導かれる、請求項2~6のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項8】
前記温度制御チャネル(6)が、それぞれ、前記ローラ本体(2)を通ってガイドされる貫通孔として設計され、隣り合う温度制御チャネル(6)は、前記端面内に導入された基本的に接線方向に延在する軸方向に封止された溝(17)によって互いに接続される、請求項7に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項9】
前記ローラ本体(2)が、前記ローラ本体(2)の両側の端面上の前記温度制御チャネル(6)の領域で、前記溝(17)及びボア(19)を有するカバーキャップ(20)を挿入する軸方向環状溝(18)を有し、前記軸方向環状溝(18)は、封止要素(21)を使用して軸方向に封止される、請求項8に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項10】
前記封止要素(21)が、前記ローラ本体(2)の前記端面を基本的に完全にカバーし、前記封止要素(21)は、3W/(m・K)未満の熱伝導率を有する、請求項9に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項11】
前記中央ボア(5)が、前記供給ライン(7)の反対側でカバー(22)を使用して端部で閉じられている、請求項4~10のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項12】
前記入口チャネル(11)が、前記入口側から軸方向に離れるように第1の対角線方向に、かつ、前記中央ボア(5)から離れるように半径方向に延在し、前記出口チャネル(12)が、前記入口側に向かって軸方向に第2の対角線方向に、かつ、前記中央ボア(5)から離れるように半径方向に延在する、請求項2~11のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項13】
前記流体チャネル構成(4)が、少なくともそれを含む前記ローラジャーナル(3)の領域に、前記ローラジャーナル(3)に対して前記流体チャネル構成(4)を熱的に遮蔽する断熱要素(23)を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項14】
前記断熱要素(23)が、PTFEなどの0.3W/(m・K)未満の熱伝導率を有する材料からなる、請求項13に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項15】
前記流体チャネル構成(4)が、両方のローラジャーナル(3)を少なくとも部分的に通って延在し、前記流体チャネル構成(4)は、両方のローラジャーナル(3)の領域で、前記各ローラジャーナル(3)に対して前記流体チャネル構成(4)を熱的に遮蔽するための断熱要素(23)を有する、請求項13または14のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの断熱要素(23)が、前記中央ボア(5)をライニングする断熱スリーブの形態で前記中央ボア(5)内に挿入される、請求項13~15のいずれか1項に記載の温度制御可能なカレンダローラ(1)。
【請求項17】
電極トラックを製造するためのプロセスであって、
粉末電極前駆体材料と、少なくとも1つのカレンダローラとを提供するステップであって、前記カレンダローラは、前記カレンダローラ(1)の温度制御のための流体チャネル構成(4)を有する、前記提供するステップと、
前記流体チャネル構成(4)を通して流体を導くことによって、前記カレンダローラ(1)を加熱するステップと、
前記カレンダローラ(1)を前記粉末電極前駆体材料に接触させるステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項18】
前記流体が油である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記流体が、30℃~200℃の温度に保たれる、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記流体が、60℃~150℃の温度に保たれる、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項21】
前記流体が、90℃~120℃の温度に保たれる、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項22】
前記カレンダローラ(1)を冷却するために、前記流体チャネル構成(4)を通って冷却媒体が導かれ、前記冷却媒体の温度が、前記カレンダローラ(1)の温度より低い温度に保たれる、請求項17に記載のプロセス。
【請求項23】
請求項17~22のいずれか1項に記載のプロセスによって製造される乾式電極。
【請求項24】
1μm未満の厚さ公差を有する、請求項23に記載の乾式電極。
【請求項25】
カレンダローラ(1)を製造するプロセスであって、前記方法は、
1つまたは複数のカレンダローラ部品を製造することと、
前記1つまたは複数のカレンダローラ部品を接続することと
を含み、
前記1つまたは複数のカレンダローラ部品は、少なくとも1つの供給パイプ(9)、少なくとも1つの温度制御チャネル(6)、及び少なくとも1つの出口ライン(8)を含み、
前記カレンダローラ(1)は、第1の端部及び第2の端部を有し、
前記少なくとも1つの供給パイプ(9)は、前記第1の端部から前記第2の端部に延在する、
前記プロセス。
【請求項26】
前記1つまたは複数のカレンダローラ部品が、CNC機械加工、鍛造、インベスメント鋳造、射出成形、ダイカスト、積層造形、またはそれらの組み合わせによって製造される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記1つまたは複数のカレンダローラ部品が、金属ガス溶接、アーク溶接、タングステン不活性ガス溶接、フラックスコア溶接、はんだ付け、混合、接着、またはそれらの組み合わせによって接続される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
少なくとも1つの断熱スリーブ(23)を製造することと、前記断熱スリーブ(23)を前記1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続することとをさらに含み、
前記少なくとも1つの断熱スリーブ(23)は、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造され、
前記少なくとも1つの断熱スリーブ(23)は、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって前記1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続される、
請求項25に記載のプロセス。
【請求項29】
少なくとも1つの断熱層を製造することと、前記断熱層を前記1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続することとをさらに含み、
前記少なくとも1つの断熱層は、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造され、
前記少なくとも1つの断熱層は、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって前記1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続される、
請求項25に記載のプロセス。
【請求項30】
前記カレンダローラ(1)が、表面を有し、前記カレンダローラ(1)の前記表面を処理することをさらに含み、前記カレンダローラ(1)の前記表面は、マイクロエッチング処理、レーザ彫刻処理、超研磨処理、またはそれらの組み合わせを用いて処理される、
請求項25に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式電極プロセスを使用して電極トラックを製造するための、ローラ本体とローラ本体の端面から延びる2つのローラジャーナルとを備えた温度制御可能なカレンダローラに関し、流体チャネル構成はカレンダローラの内部に備えられる。
【背景技術】
【0002】
温度制御デバイスを備えた中空ローラは、文書DE 33 21 122 A1から既知である。これは、温度制御流体を導くためにローラ表面に平行に延在する複数の通路と、通路に接続された中央ボアとを有し、これによって、通路に流体が供給される。
【0003】
乾式電極プロセスを使用した電極トラックの製造には、100℃を超えるプロセス温度が必要である。したがって、電極トラックの製造に使用されるカレンダローラを加熱する必要がある。しかしながら、ローラを加熱することに伴う1つの問題は、状況によっては、ローラ表面がその軸方向に沿って温度勾配を有することであり、これにより、例えば、ローラの中央領域の温度が、縁部の外側領域の温度よりも高くなる。これにより、より加熱されたローラ材料が、縁部領域の加熱の少ない材料よりも中央でより膨張するため、クラウニング、すなわち、円筒形状から逸脱する断面の肥厚が発生する。ただし、電池セルの電極トラックには、その幅全体で最も均一な可能な厚さの要件がある。そのため、ローラの加熱時に発生するクラウニングを回避する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ローラ表面上で均一な温度プロファイルを有するような方法で乾式電極プロセスを使用して電極トラックを製造するために、温度制御可能なカレンダローラを改善することである。
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有する温度制御可能なカレンダローラによって達成される。本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0006】
したがって、カレンダローラが、ローラ本体の温度制御のための流体チャネル構成を有し、流体チャネル構成が、少なくとも部分的にローラ本体を通り、かつ、ローラジャーナルの少なくとも1つを通って軸方向に延在する中央ボアと、ローラ本体の周囲にわたって分布され、ローラ本体表面より下でローラ本体表面に平行に延在する複数の温度制御チャネルであって、中央ボアに流体的に結合される、複数の温度制御チャネルとを有することが定められている。さらに、カレンダローラは、熱流体のための入口ライン及び出口ラインを有し、入口ライン及び出口ラインは、流体チャネル構成に接続され、入口ラインは、熱流体を流体チャネル構成に導入するために中央ボア内に少なくとも部分的に延在する供給パイプを有し、出口ラインは、供給パイプの外側と中央ボアの内径との間に形成された流体チャネル構成の出口ギャップに流体的に結合される。流体チャネル構成を使用して、例えば、油などの熱流体によって提供されたプロセス温度にローラを加熱することができる。あるいは、例えば、メンテナンス上の理由でカレンダローラを取り外す必要がある場合、加熱に使用される熱流体と同じ場合もある冷却媒体が、流体チャネル構成を通して導かれ、取り外しの準備が整うまでのローラの冷却時間を短縮し得ることを定めることができる。
【0007】
入口ライン及び出口ラインは、カレンダローラの同じローラジャーナルに開口し、温度制御チャネルは、複数の入口チャネルを介して供給パイプに流体的に結合され、複数の出口チャネルを介して出口ギャップに流体的に結合され、入口チャネルは入口ラインとは反対側を向いた側で中央ボアに開口し、出口チャネルは出口ギャップに開口すると定めることができる。
【0008】
さらに、供給パイプが入口チャネルの口の開口部を越えて中央ボア内に軸方向に延在することを定めることができる。供給パイプは、例えば、反対側のローラジャーナルにまたはその中に軸方向に延在し得る。これによって、より短い供給パイプとの関連で、ローラジャーナル内の熱流体の循環が良くなる。さらに、供給パイプの出口と入口チャネルの口領域との間の領域では、供給パイプの外側と中央ボアの入口との間に入口ギャップを形成することができ、入口ギャップを通って、熱流体は、供給パイプの出口を出た後、入口チャネルの口領域に向かって流れることができる。
【0009】
さらに、中央ボアが、ローラジャーナルとローラ本体の両方を通って延在する貫通孔であることと、供給パイプが、入口ラインの反対側のローラジャーナルの領域内まで中央ボア内に延在することとを定めることができる。供給パイプの出口と中央ボアの端部との間は、カバーによって閉じることができ、空間が設けられ、この空間を通って熱流体が流れることができる。したがって、ローラジャーナルを含むローラ全体の加熱を効果的に達成することができて、ローラ本体とローラジャーナルとの間の温度勾配が回避され、その結果、ローラ表面に沿った温度分布がより均一になる。
【0010】
入口チャネルの口領域は、出口チャネルの口領域から、供給パイプの外側でこれらの領域の間に配置された少なくとも1つの封止ブッシングによって封止されることが考えられる。さらに、2つの離間した封止ブッシングが、入口チャネルの口領域と出口チャネルの口領域との間の供給パイプの外側に配置され、それにより、供給パイプの外側と中央ボアの内径の間の封止ブッシング間の囲まれた部分には熱流体が存在しないことが考えられる。
【0011】
ローラの回転方向に互いに平行に離間した奇数の複数の温度制御チャネルが、各入口チャネルと、各入口チャネルに割り当てられた出口チャネルとの間に配置され、温度制御チャネルを通って、熱流体が温度制御チャネルの数に従って軸方向に蛇行して導かれることが考えられる。これによって、ローラ表面下に延在する温度制御チャネルの数を最大化することができる。なぜなら、中央ボアにつながる入口チャネル及び出口チャネルの最大数は、中央ボアと入口チャネル及び出口チャネルとの直径比によって制限されるからである。
【0012】
温度制御チャネルが、ローラ本体を通してガイドされる貫通孔としてそれぞれ設計され、隣接する温度制御チャネルが、端面に導入された基本的に接線方向に延在し軸方向に封止された溝によって、互いに接続されることを定めることができる。
【0013】
さらに、ローラ本体は、ローラ本体の両端面の温度制御チャネルの領域に軸方向の環状溝を有し、そこに、溝及びボアを有するカバーキャップが挿入され、封止要素を使用して軸方向に封止されることを定めることができる。封止要素は基本的に、ローラ本体の端面を完全に覆うことができる。封止要素はまた、3W/(m・K)未満の低い熱伝導率を有し得る。これにより、端面に沿った熱の放射または空気の対流を回避することができ、ローラを通って流れる流体のローラを通って移動する距離に沿った熱勾配が可能な限り小さくなる。各穴は、入口チャネルまたは出口チャネルに接続された温度制御チャネルと整列して隣接してよく、これにより、カバーキャップと熱流体との間の接触面積が増加する。
【0014】
さらに、中央ボアは、入口ラインとは反対側のカバーを有する端部で閉鎖されることを定めることができる。
【0015】
入口チャネルが、入口側から軸方向に、第1の対角線方向に中央ボアから離れるように半径方向に延び、出口チャネルが、入口側に向かって軸方向に、第2の対角線方向に中央ボアから離れるように半径方向に延びることが考えられる。
【0016】
さらに、流体チャネル構成は、流体チャネル構成をローラジャーナルから熱的に遮蔽するために、少なくともこの構成を含むローラジャーナルの領域に、断熱要素を有することが考えられる。
【0017】
断熱要素が、PTFEなど、0.3W/(m・K)未満の熱伝導率を有する材料からなるということも考えられる。
【0018】
さらに、流体チャネル構成が両方のローラジャーナルを通って少なくとも部分的に延在し、流体チャネル構成が、両方のローラジャーナルの領域に、流体チャネル構成を各ローラジャーナルから熱的に遮蔽するための断熱要素を有することを定めることができる。
【0019】
中央ボアをライニングする断熱スリーブの形態の少なくとも1つの断熱要素が中央ボア内に挿入されることを定めることができる。
【0020】
さらに本発明は、電極トラックを製造するプロセスに関し、このプロセスは、
粉末電極前駆体材料と、少なくとも1つのカレンダローラとを提供するステップであって、カレンダローラは、カレンダローラの温度制御のための流体チャネル構成を有する、提供するステップと、
流体チャネル構成を通して流体を導くことにより、カレンダローラを加熱するステップと、
カレンダローラを粉末電極前駆体材料と接触させるステップとを含む。
【0021】
流体が油であることを定めることができる。流体が30℃~200℃の温度に保たれることが考えられる。さらに、流体が60℃~150℃の温度に保たれることが考えられる。さらに、流体が90℃~120℃の温度に保たれることも定めることができる。
【0022】
さらに、冷却媒体が流体チャネル構成を通って導かれてカレンダローラを冷却し、冷却媒体の温度がカレンダローラの温度よりも低い温度に保たれることを定めることができる。
【0023】
本発明はさらに、請求項17~22のいずれか1項に記載のプロセスによって製造される乾式電極に関する。乾式電極は、1μm未満の厚さ公差を有し得る。
【0024】
本発明はさらに、カレンダローラを製造するプロセスに関し、このプロセスは、1つまたは複数のカレンダローラ部品を製造することと、1つまたは複数のカレンダローラ部品を接続することとを含み、1つまたは複数のカレンダローラ部品は、少なくとも1つの供給パイプ、少なくとも1つの温度制御チャネル、及び少なくとも1つの出口ラインを含み、カレンダローラは第1の端部及び第2の端部を有し、少なくとも1つの供給パイプは、第1の端部から第2の端部に延在する。
【0025】
さらに、1つまたは複数のカレンダローラ部品が、CNC機械加工、鍛造、インベストメント鋳造、射出成形、ダイカスト、積層造形、またはそれらの組み合わせによって製造されることを定めることができる。
【0026】
さらに、1つまたは複数のカレンダローラ部品が、金属ガス溶接、アーク溶接、タングステン不活性ガス溶接、フラックスコア溶接、はんだ付け、混合、接着、またはそれらの組み合わせによって接続されることを定めることができる。
【0027】
さらに、少なくとも1つの断熱スリーブの製造、及び1つまたは複数のカレンダローラ部品への断熱スリーブの接続が提供されてもよく、少なくとも1つの断熱スリーブは、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造されてもよく、少なくとも1つの断熱スリーブは、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続されてもよい。
【0028】
さらに、少なくとも1つの断熱層の製造、及び1つまたは複数のカレンダローラ部品への断熱層の接続が提供されてもよく、少なくとも1つの断熱層は、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造されてもよく、少なくとも1つの断熱層は、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続されてもよい。
【0029】
さらに、カレンダローラは表面を有し、カレンダローラの表面を処理することをさらに含み、カレンダローラの表面は、マイクロエッチング処理、レーザ彫刻処理、超研磨処理、またはそれらの組み合わせを使用して処理されることを定めることができる。
【0030】
本発明の例示的な実施形態を、以下の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による、温度制御可能なカレンダローラの実施形態の断面図を示す。
図2】本発明による、温度制御可能なカレンダローラの実施形態の斜視図を示す。
図3】平行に延在する温度制御チャネルを有する、本発明による温度制御可能なカレンダローラの実施形態の断面図を示す。
図4】温度制御チャネルと入口チャネルとの間の交点の断面図を示す。
図5】温度制御チャネルの溝を接続する詳細図を半分の断面で示す。
図6】ローラ本体の端面に取り付けられたローラジャーナル及びカバーキャップの斜視図を示す。
図7】乾式電極を製造するためのプロセスのフローチャートを示す。
図8】標準ローラの熱クラウニング試験の測定結果を有する図を示す。
図9】修正された端部キャップを有するローラの熱クラウニング試験の測定結果の図を示す。
図10】延長された供給パイプを有するローラの熱クラウニング試験の測定結果の図を示す。
図11】カレンダローラの熱クラウニング試験の測定結果を有する図を示す。
図12】カレンダローラの熱クラウニング試験の測定結果を有する図を示す。
図13】カレンダローラの熱クラウニング試験の測定結果を有する図を示す。
【0032】
図1に示す温度制御可能なカレンダローラ1は、2つのローラジャーナル3がローラ本体2から反対方向に突出しているローラ本体2を有する。流体チャネル構成4が、ローラ1の内部に配置され、流体チャネル構成4は、一方では、軸方向Xにローラ1を通って延びる中央ボア5と、ローラの周囲にわたって分布し、ローラ表面の下方にローラ表面に平行に配置された複数の温度制御チャネル6とを備える。中央ボア5は、対角線に延びる複数の入口チャネル11、及び反対方向に対角線に延びる複数の出口チャネル12を介して温度制御チャネル6に流体的に接続されている。入口チャネル11は、第1の口領域13で中央ボア5に開口し、出口チャネル12は、第2の口領域14で開口する。供給パイプ9が中央ボア5に挿入され、入口ライン7に流体的に結合され、入口ラインを通って熱流体がローラ1に供給される。供給パイプ9の長さは、両方の口領域13、14を越えて突出するような寸法にされ、供給パイプ9の出口24は、入口チャネル11の第1の口領域13を越えて突出する。第1及び第2の口領域13、14において、供給パイプ9は、中央ボア5に対して直径差があり、供給パイプ9の外径と中央ボア5の内径との間にギャップが形成される。すなわち、出口24と第1の口領域13との間の入口ギャップ30、及び画像の右側のローラジャーナル3の軸端までの第2の口領域14との間の出口ギャップ10が形成される。第1の口領域13と第2の口領域14との間で、供給パイプ9は、2つの封止ブッシング15によって中央ボア5に対して封止され、これにより、第1の口領域13と第2の口領域14から中央ボア5を通って熱流体が逆流するのが防止される。封止ブッシング15は、それらの間に封入されたセクション16を形成する。したがって、熱流体は、最初に入口ライン7を通って供給パイプ9に流入し、次に供給パイプ9に沿って一旦、中央ボア5を横方向に供給パイプ9の出口24に流れる。出口24の後、熱流体は、最初に、左側のローラジャーナル3内に延びている中央ボア5のセクションに流入し、そのセクションは、カバー22を使用して端部で閉じられている。このセクションはまた、テフロン製の断熱スリーブ23を有し、断熱スリーブ23は、中央ボア5をライニングし、ローラジャーナル3に対して中央ボア5を熱的に封止する。この空間が満たされると、熱流体は、供給パイプ9と中央ボア5の間の入口ギャップ30内に反対方向に流れ、そこから、個々の入口チャネル11内に流れる。熱流体は、温度制御チャネル6に開口する入口チャネル11を通って温度制御チャネル6に、したがって、ローラ表面の下で平行に流入し、表面が加熱される。温度制御チャネル6を通って流れた後、熱流体は出口チャネル12に流入し、これらを通って排出ギャップ10に流入し、排出ギャップを通って、熱流体は、入口ライン7と同じローラジャーナル3に位置する出口ライン8に供給される。
【0033】
図2は、温度制御可能なカレンダローラ1の斜視図を示す。図1に示す構成とは対照的に、これは断熱スリーブ23を有さないため、ローラジャーナル3の内側に位置する中央ボア5の両方の領域がローラジャーナル3に対して熱的に封止されていない。また、カバーキャップ20も見え、各カバーキャップは、軸方向の環状溝18内に配置され、両側の端面でローラ本体2に導入される。図2はまた、ローラ1に設置された状態の供給パイプ9の詳細図と、ローラ1の隣に別個の表現での供給パイプ9の詳細図とを示す。供給パイプ9は、入口側に、すなわち、出口24の反対に、入口ライン7に結合するための接続部品を有する。供給パイプ9の外側には、2つの封止ブッシング15が互いに距離を置いて配置され、中央ボアに対して供給パイプ9を封止する。封止ブッシング15はまた、中央ボア5における供給パイプ9の設置を容易にするために、スライドブッシングとして使用される。
【0034】
図3は、ローラ表面下に延在する温度制御チャネル6の詳細図を示し、温度制御チャネル6を通る熱流体の経路を示す。熱流体は、軸方向に延在する第1の温度制御チャネル6.1に入口26を通って流入し、第1の温度制御チャネル6.1は、それに関連付けられた入口チャネル11(図示せず)に流体的に接続される。次に、熱流体は、入口26とは反対側のカバーキャップ20で半径方向に延びる溝17(図示せず)を通って、第2の温度制御チャネル6.2に流入する。第2の温度制御チャネル6.2は、第1の温度制御チャネル6.1に平行に延び、互いに離間している。第2の温度制御チャネル6.2で、熱流体はここで、入口26の側の方向に戻る反対方向に流れる。反対端には、さらなるカバーキャップ20が取り付けられ、これは、半径方向に延びる対応する溝17(図示せず)を有し、溝17は、第2の温度制御チャネル6.2を、第3の温度制御チャネル6.3に接続し、第3の温度制御チャネル6.3も、第1及び第2の温度制御チャネル6.1、6.2に平行に配置され、ローラ1の円周方向に互いに離間している。第3の温度制御チャネル6.3を通って、熱流体は再び、入口側から離れるように、第3の温度制御チャネル6.3の端部に位置する出口25に流れ、そこから、熱流体は、出口25に割り当てられた出口チャネル12(図示せず)に流入する。
【0035】
図4は、流体チャネル構成4の温度制御チャネル6と入口チャネル11との間の口領域の詳細図を示す。温度制御チャネル6はそれぞれ、ローラ本体2を通って延びる貫通孔として設計されている。温度制御チャネル6がローラ本体2の端面に開口する領域では、ローラ本体は軸方向の環状溝18を有する。環状のカバーキャップ20が環状溝18に挿入され、環状溝18は、ローラ本体2の各端面にネジ固定され、複数の止まり穴19または溝17を有する。止まり穴19はそれぞれ、各温度制御チャネル6の端部セクションを表し、各端部セクションは、カバーキャップ20内に突出し、各止まり穴19に接する。図3を参照すると、カバーキャップ20は、第1の温度制御チャネル6.1の入口側及び第3の温度制御チャネル6.3の出口側にこのような止まり穴19を有する。止まり穴19は、熱流体とカバーキャップ20の間の接触面積を拡大し、これにより、キャップは熱をローラ本体2に、より効果的に放出することができる。これは、入口チャネル11または出口チャネル12が温度制御チャネル6に流入する場合は必ず、止まり穴19が温度制御チャネル6に割り当てられることを意味する。軸方向の封止用のフラットシール27が、カバーキャップ20と軸方向環状溝18の底部の間に配置される。半径方向に封止するために、第1のOリング28.1がカバーキャップ20の外側の放射状溝に挿入され、第2のOリング28.2がカバーキャップ20の内側の放射状溝に挿入される。外部の影響からカバーキャップ20をさらに封止するために、フラット封止要素21がカバーキャップ20の外側の端面に配置される。封止要素21は、端面での熱損失を最小限に抑えるために、ローラ本体2の端面の可能な限り大きな表面積を覆う。封止要素21は、低い熱伝導率を有する断熱材料からなる。
【0036】
図5は再び、ローラ1の円周方向に見た温度制御チャネル6とカバーキャップ20との間の接触面積を示す。部分的にしか示されていないが、温度制御チャネル6は、ローラの周囲にわたって一定の間隔で分布し、それぞれ、その端面で、止まり穴19の1つまたは溝17の1つのいずれかと接している。各止まり穴19は温度制御チャネル6と接しており、溝17のそれぞれは2つの温度制御チャネル6に接しており、溝17は、溝17に接する一方の温度制御チャネルから熱流体を溝17に接する他方の温度制御チャネルに逸らすために使用される。共通の入口チャネル11及び共通の出口チャネル12を共有する3つの相互に関連する温度制御チャネル6.1、6.2及び6.3から構成される各温度制御チャネル構成は、したがって、両側のカバーキャップ20に止まり穴19及び隣接する溝17が割り当てられる。カバーキャップ20は、ローラ本体の端面に導入された軸方向の環状溝18に挿入され、カバーキャップ20に導入されたボア29を介してローラ本体2にねじ込まれる。
【0037】
図6は、ローラ本体が隣接し、カバーキャップ20がその中に挿入されたローラジャーナル3の斜視図を示し、このキャップは、後部溝17及びボア19が見えるように半断面で示されている。ボア19及び溝17が交互に設けられ、それらが互いに規則的に離間していることがわかる。
【0038】
図7は、電極トラックを製造するためのフローチャートを示す。方法は、乾式電極前駆体材料と、少なくとも1つの供給パイプ、少なくとも1つの温度制御チャネル、及び少なくとも1つの出口ラインを含むカレンダローラとを提供すること(701)と、少なくとも1つの温度制御チャネルを通して流体を導くことによってカレンダローラを加熱すること(702)と、カレンダローラを乾式電極前駆体材料と接触させること(703)とを含む。一部の実施形態では、カレンダローラは、少なくとも1つの温度制御チャネルを通して流体を導くことによって加熱され(702)、流体は、カレンダローラを直接、取り囲む環境の温度よりも高い温度に維持される。流体は、カレンダローラを加熱するのに適しており、当業者に知られている任意の流体であってよい。
【0039】
一部の実施形態では、流体は油である。一部の実施形態では、流体は、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、または、これらの値のうちの2つの値の間の温度値もしくは温度範囲で保たれる。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの温度制御チャネルを通して冷却流体を通すことによってカレンダローラを冷却することをさらに含み、冷却流体は、カレンダローラの温度よりも低い温度に保たれる。一部の実施形態では、冷却ガスは空気である。
【0040】
少なくとも1つの供給パイプ、少なくとも1つの温度制御チャネル、及び少なくとも1つの出口ラインを備えるカレンダローラを製造するためのプロセスをまとめることができる。プロセスは、1つまたは複数のカレンダローラ部品を製造することであって、1つまたは複数のカレンダローラ部品は、少なくとも1つの供給パイプ、少なくとも1つの温度制御チャネル、及び少なくとも1つの出口ラインを含む、製造することと、1つまたは複数のカレンダローラ部品を接続することとを含む。一部の実施形態では、カレンダローラは、第1の端部及び第2の端部を有し、少なくとも1つの供給パイプは、第1の端部から第2の端部に延在する。カレンダローラは、当技術分野で既知の任意の製造プロセスを用いて製造することができる。一部の実施形態では、カレンダローラは、CNC機械加工、鍛造、インベストメント鋳造、射出成形、ダイカスト、積層造形、またはそれらの組み合わせによって製造される。
【0041】
一部の実施形態では、1つまたは複数のカレンダローラ部品は、金属部品を接続する当業者に適していると思われる任意の方法によって接続することができる。例えば、1つまたは複数のカレンダローラ部品は、ガス金属アーク溶接、アーク溶接、タングステン不活性ガス溶接、フラックスコア溶接、ろう付け、混合、接着、またはそれらの組み合わせによって接続されてよい。
【0042】
一部の実施形態では、プロセスはさらに、少なくとも1つの断熱スリーブを製造することを含む。少なくとも1つの断熱スリーブは、当業者に既知の任意の製造プロセスによって製造することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの断熱スリーブは、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造される。一部の実施形態では、少なくとも1つの断熱スリーブは、1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続される。少なくとも1つの断熱スリーブは、この分野の当業者に既知の任意のプロセスによって、1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続されてよい。例えば、少なくとも1つの断熱スリーブは、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続することができる。
【0043】
一部の実施形態では、プロセスはさらに、少なくとも1つの断熱層を製造することを含む。少なくとも1つの断熱層は、当業者に既知の任意の製造プロセスによって製造することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの断熱層は、トランスファ成形、射出成形、溶融成形、圧縮成形、真空成形、引き抜き成形、またはそれらの組み合わせによって製造される。一部の実施形態では、少なくとも1つの断熱層は、1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続される。少なくとも1つの断熱層は、この分野の当業者に既知の任意のプロセスによって、1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続されてよい。例えば、少なくとも1つの断熱層は、接着、機械的固定、またはそれらの組み合わせによって1つまたは複数のカレンダローラ部品に接続することができる。
【0044】
一部の実施形態では、方法は、カレンダローラの製造後にカレンダローラの表面を処理することをさらに含む。一部の実施形態では、カレンダローラの表面は、マイクロエッチング処理、レーザ彫刻処理、超研磨処理、またはこれらの組み合わせを使用して処理される。金属の表面は、多くの場合、カレンダローラによって製造された電極の効率に悪影響を与え得るスクラッチ及び欠陥を有する。マイクロエッチングとレーザ彫刻とを組み合わせることによって、金属表面の材料が除去され、欠陥が取り除かれる。
【0045】
超研磨処理は、表面欠陥をなくすことによって、ローラの表面粗さを低減する。一部の実施形態では、ローラの表面全体が、超研磨を使用して処理される。一部の実施形態では、超研磨処理が、ローラ表面の一部に適用される。一部の実施形態では、ローラの平均表面粗さは、約0.1μm未満、約0.09μm未満、約0.08μm未満、約0.07μm未満、約0.06μm未満、約0.05μm未満、約0.04μm未満、約0.03μm未満、約0.02μm未満、または約0.01μm未満である。
【0046】
実施例
実施例1:カレンダローラの製造
ローラの表面を洗浄して汚染物質を除去することによってカレンダローラを準備し、加熱システム及び油圧ユニットをオンにした。次に、第1のセットのニッケル発泡ストリップをカレンダローラの表面に置いた。各ニッケル発泡ストリップは、幅10mm、及び長さ300mmであった。ストリップをローラの全長に沿って、個々のストリップ間の距離50mmで適用した。このようにして、31のストリップがローラの全長にわたって分布し、各ストリップがローラ上の位置に対応した。第2のセットのニッケル発泡ストリップを、第1のセットのニッケル発泡ストリップの反対側でローラに同様に適用した。次に、各ローラをカレンダローラの隣に配置し、各ニッケル発泡ストリップがニップを通過するまで回転させた。ローラは2m/分の速度で回転し、引張力は150kNで、ローラ間の距離は350μmであった。次に、各ニッケル発泡ストリップをローラから取り外し、ストリップの厚さを測定した。試験は、標準ローラ、修正された端部キャップを有するローラ、及び供給パイプを延長したローラを含む、3つの変形例を使用して実施した。
【0047】
実施例2:標準カレンダローラ
試験は、実施例1に記載したパラメータに従って、2つの標準ローラで行った。試験は、ローラを20℃、90℃、120℃、及び150℃に加熱して行った。各ニッケル発泡ストリップの結果と、各ローラからの測定値とを平均し、図8に示す。
【0048】
実施例3:修正した端部キャップを有するカレンダローラ
試験は、実施例1に記載したパラメータに従って、2つのローラで行った。試験した第1のローラは標準ローラであった。試験した第2のローラは、端部キャップが修正されている。第2のローラ上で、キャップを粉砕し、フラットシールを取り除いた。試験中、ローラを20℃、90℃、120℃、及び150℃に加熱した。各ニッケル発泡ストリップの結果と、各ローラからの測定値を平均し、図9に示す。
【0049】
実施例4:延長された供給パイプを有するカレンダローラ
試験は、実施例1に記載したパラメータに従って、2つのローラで行った。第1のローラは細長い供給パイプを有し、他のすべての特徴は標準ローラに対応した。第2のローラも細長い供給パイプを含み、フラットシールがローラから取り外された。試験は、ローラを20℃、90℃、120℃、及び150℃に加熱して実施した。各ニッケル発泡ストリップの結果と、各ローラからの測定値を平均し、図10に示す。
【0050】
実施例5:異なるカレンダローラの比較
3つのローラの変形例のそれぞれの熱クラウニングの測定値を平均し、異なる試験温度で比較した。90℃では、位置4と位置28との間の作業ゾーン全体で、供給パイプを延長したローラのみが許容可能な1μmの公差内の平均厚さの変動をもたらしたことに注意されたい。標準ローラは、位置8と位置26の間で許容可能な1μmの公差内の平均厚さの変動を有し、修正された端部キャップを有するローラは、位置5と位置27の間で許容可能な1μmの公差内の平均厚さの変動を有した。90℃での試験の結果を図11に示す。120℃では、供給パイプを延長したローラは、位置5と位置27の間で許容可能な1μmの公差内の平均厚さの変動を有した。標準ローラでは、位置8と位置25の間の平均厚さの変動は、1μmの許容可能な公差内であり、修正された端部キャップを有するローラでは、位置7と位置27の間の平均厚さの変動は、1μmの許容可能な公差内であった。120℃での試験の結果を、図12に示す。150℃では、延長された供給パイプを有するローラは、位置5と位置26の間で1μmの許容可能な公差内の平均厚さの偏差を有した。標準ローラでは、位置7と位置25の間の平均厚さの変動は、1μmの許容可能な公差内であり、修正された端部キャップを有するローラでは、位置7と位置27の間の平均厚さの変動は、1μmの許容可能な公差内であった。150℃での試験の結果を図13に示す。供給パイプの拡張により熱クラウニングが減少した結果、ニッケル発泡ストリップの厚さの許容範囲が増加した。これにより、電極の製造におけるカレンダローラの潜在的な作業領域が増加し、カレンダローラの潜在的な作業領域とカレンダローラの全長との比が大きくなる。潜在的な作業領域が作業ゾーン全体に増加することにより、トリミングしなければ寸法精度が低くなる製造された電極のエッジをトリミングする必要がなくなる。潜在的な作業領域とローラ長との間の比は、ローラの許容可能な公差値の長さを1,600mmのローラの全長で割ることによって計算した。試験した各温度での各ローラのカレンダローラの作業領域とカレンダローラの全長との比の差を、以下の表1に示す。
【表1】
【0051】
上記の説明、図面、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別にも、また任意の組み合わせでも、本発明の実施態様に不可欠となり得る。
【0052】
符号の説明
1.温度制御可能なカレンダローラ
2.ローラ本体
3.ローラジャーナル
4.流体チャネル構成
5.中央ボア
6.温度制御チャネル
6.1.第1の温度制御チャネル
6.2.第2の温度制御チャネル
6.3.第3の温度制御チャネル
7.入口ライン
8.出口ライン
9.供給パイプ
10.出口ギャップ
11.入口チャネル
12.出口チャネル
13.入口チャネルの口領域
14.出口チャネルの口領域
15.封止ブッシング
16.囲まれたセクション
17.溝
18.軸方向の環状溝
19.止まり穴
20.カバーキャップ
21.封止要素
22.カバー
23.断熱スリーブ
24.出口
25.入口
26.出口
27.フラットシール
28.1.Oリング
28.2.Oリング
29.ボア
30.入口ギャップ
X.軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】