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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-20
(54)【発明の名称】電池と電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250213BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20250213BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250213BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20250213BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20250213BHJP
   H01M 10/02 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
H01M50/204 401E
H01M50/383
H01M50/204 401F
H01M50/342 101
H01M50/231
H01M50/209
H01M10/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543565
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 CN2022105942
(87)【国際公開番号】W WO2024011578
(87)【国際公開日】2024-01-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】柯剣煌
(72)【発明者】
【氏名】陳小波
(72)【発明者】
【氏名】李耀
(72)【発明者】
【氏名】陳世竜
【テーマコード(参考)】
5H012
5H028
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012FF01
5H012JJ10
5H028HH00
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS07
5H040AS12
5H040AS14
5H040AS19
5H040AS26
5H040AT06
5H040AY04
5H040JJ03
5H040NN01
5H040NN05
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池と電力消費装置を提供する。電池は、筐体と、電池ユニットと、防護部材とを含む。筐体は、第一の壁を含む。電池ユニットは、筐体内に収容され、電池ユニットに放圧機構が設けられ、放圧機構は、放圧孔を形成して、電池ユニット内部の物質を放出するために用いられる。防護部材は、筐体内に収容され、防護部材の少なくとも一部は、第一の壁と放圧機構との間に位置し、且つ放圧孔の軸方向において放圧孔を覆うために用いられる。防護部材の軸方向において放圧孔を覆う部分の、軸方向に沿った最小サイズは、Dであり、電池ユニットが放圧孔を介して放出するガスの流量は、Gであり、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦3.3×10-1mm・s/Lを満たす。本出願の実施例は、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
第一の壁を含む筐体と、
前記筐体内に収容される電池ユニットであって、前記電池ユニットに放圧機構が設けられ、前記放圧機構は、放圧孔を形成して、前記電池ユニット内部の物質を放出するために用いられる電池ユニットと、
前記筐体内に収容される防護部材であって、前記防護部材の少なくとも一部は、前記第一の壁と前記放圧機構との間に位置し、且つ前記放圧孔の軸方向において前記放圧孔を覆うために用いられ、
ここで、前記防護部材の前記軸方向において前記放圧孔を覆う部分の前記軸方向に沿った最小サイズは、Dであり、前記電池ユニットが前記放圧孔を介して放出するガスの流量は、Gであり、D及びGは、
2×10-3mm・s/L≦D/G≦3.3×10-1mm・s/Lを満たす防護部材とを含む、電池。
【請求項2】
D及びGは、
2×10-3mm・s/L≦D/G≦2×10-1mm・s/Lを満たす、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
Dの値は、0.5mm~5mmである、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記軸方向に垂直ないずれか方向において、前記防護部材のサイズは、いずれも前記放圧孔のサイズよりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記電池ユニットの体積エネルギー密度は、Eであり、D及びEは、
1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦1×10-2mm・L/Whを満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
D及びEは、
1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦6×10-3mm・L/Whを満たす、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、前記放圧孔のサイズは、kであり、前記防護部材の前記最大サイズ方向に沿ったサイズは、Kであり、k、K及びGは、
K>k、(K/k)/G≧3×10-3s/Lを満たす、請求項1から6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
k、K及びGは、
(K/k)/G≧8×10-3s/Lを満たす、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
k、K及びGは、
(K/k)/G≦20s/Lを満たす、請求項7又は8に記載の電池。
【請求項10】
前記防護部材と前記放圧孔との前記軸方向における最小距離は、hであり、h及びDは、
0.2≦h/D≦250を満たす、請求項1から9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記防護部材は、平板構造であり、前記防護部材の厚さ方向は、前記軸方向に平行である、請求項1から10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、前記防護部材の厚さは、中間から両側へ漸減し、前記防護部材の厚さ方向は、前記軸方向に平行であり、
前記防護部材の厚さが最も大きい部分は、前記軸方向において前記放圧孔の少なくとも一部を覆う、請求項1から10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記防護部材は、基体領域及び前記基体領域に接続された補強領域を含み、前記補強領域の前記軸方向に沿ったサイズは、前記基体領域の前記軸方向に沿ったサイズよりも大きく、
前記軸方向において、前記補強領域は、前記放圧孔の少なくとも一部を覆う、請求項1から10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記軸方向において、前記補強領域は、前記放圧孔を完全に覆う、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、前記防護部材のサイズは、Kであり、前記補強領域のサイズは、Kであり、
K、K及びGは、
K>K、(K/K)/G≦2×10-1s/Lを満たす、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記補強領域及び前記基体領域は、いずれも平板構造であり、前記補強領域の厚さ方向及び前記基体領域の厚さ方向は、いずれも前記軸方向に平行である、請求項14又は15に記載の電池。
【請求項17】
前記補強領域の前記軸方向に沿ったサイズは、Dであり、前記基体領域の前記軸方向に沿ったサイズは、dであり、
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、前記放圧孔のサイズは、kであり、前記補強領域のサイズは、Kであり、
D、d、k及びKは、0.04≦(K/k)/(D/d)≦300を満たす、請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記防護部材は、前記軸方向に沿って積層して設置される第一の防護板及び第二の防護板を含み、前記第一の防護板と前記第二の防護板とが前記軸方向において重なる部分及び前記第二の防護板は、前記補強領域を構成し、前記第一の防護板と前記第二の防護板とが前記軸方向において重ならない部分は、前記基体領域を構成する、請求項13から17のいずれか1項に記載の電池。
【請求項19】
前記第二の防護板は、放圧機構に面する前記第一の防護板の一側に設置される、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記第二の防護板は、複数であり、前記複数の第二の防護板は、間隔を置いて設置される、請求項18又は19に記載の電池。
【請求項21】
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、複数の前記第二の防護板が間隔を置いて設置される、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
前記第一の防護板及び前記第二の防護板は、いずれも平板構造であり、前記第一の防護板の厚さ方向及び前記第二の防護板の厚さ方向は、いずれも前記軸方向に平行である、請求項18から21のいずれか1項に記載の電池。
【請求項23】
前記第一の防護板は、平板構造であり、前記第一の防護板の厚さ方向は、前記軸方向に平行であり、
前記放圧孔の前記軸方向に垂直な最大サイズ方向において、前記第二の防護板の前記軸方向に沿ったサイズは、中間から両端へ漸減している、請求項18から21のいずれか1項に記載の電池。
【請求項24】
前記第二の防護板の材質は、前記第一の防護板の材質と異なる、請求項18から23のいずれか1項に記載の電池。
【請求項25】
前記第一の壁は、前記電池ユニットの上側又は下側に位置する、請求項1から24のいずれか1項に記載の電池。
【請求項26】
前記防護部材の融点は、1000℃よりも高い、請求項1から25のいずれか1項に記載の電池。
【請求項27】
前記防護部材の融点は、前記第一の壁の融点よりも高い、請求項1から26のいずれか1項に記載の電池。
【請求項28】
前記防護部材は、前記第一の壁に固定される、請求項1から27のいずれか1項に記載の電池。
【請求項29】
前記防護部材は、接着、溶接、締結具接続又は係止によって前記第一の壁に固定される、請求項28に記載の電池。
【請求項30】
電力消費装置であって、請求項1から29のいずれか1項に記載の電気エネルギーを提供するための電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、且つより具体的には、電池と電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、電子機器、例えば携帯電話、ノートパソコン、バッテリ車、電気自動車、電気飛行機、電気汽船、電動玩具自動車、電動玩具汽船、電動玩具飛行機と電動工具などに広く応用されている。
【0003】
電池の安全性をどのように向上させるかは、電池技術における研究方向である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、安全性を向上させることができる電池と電力消費装置を提供する。
【0005】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、筐体、電池ユニット及び防護部材を含む電池を提供する。筐体は、第一の壁を含む。電池ユニットは、筐体内に収容され、電池ユニットに放圧機構が設けられ、放圧機構は、放圧孔を形成して、電池ユニット内部の物質を放出するために用いられる。防護部材は、筐体内に収容され、防護部材の少なくとも一部は、第一の壁と放圧機構との間に位置し、且つ放圧孔の軸方向において放圧孔を覆うために用いられる。防護部材の軸方向において放圧孔を覆う部分の、軸方向に沿った最小サイズは、Dであり、電池ユニットが放圧孔を介して放出するガスの流量は、Gであり、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦3.3×10-1mm・s/Lを満たす。
【0006】
電池ユニットが熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、防護部材が受けるガスの熱衝撃も大きくなり、防護部材のDに対する需要も高くなり、逆に、電池ユニットが熱暴走する時に発生するガスの流量Gが低いほど、防護部材が受けるガスの熱衝撃も小さくなり、防護部材のDに対する需要も低くなる。流量Gが決定されている場合、防護部材が突き破られるリスクを低減させ、且つ第一の壁に伝達される熱量を低減させるために、Dの最小値を保証する必要がある。無論、Dの値が大きいほど、防護部材の体積及び重量も大きくなり、流量Gが決定されている場合、Dの最大値を限定することにより、防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させてもよい。上記技術案は、D/Gの値を2×10-3mm・s/L-3.3×10-1mm・s/Lに限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施形態では、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦2×10-1mm・s/Lを満たす。
【0008】
いくつかの実施形態では、Dの値は、0.5mm~5mmであり、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、防護部材の成形難易度を低減させ、電池の安全性を向上させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、軸方向に垂直ないずれか方向において、防護部材のサイズは、いずれも放圧孔のサイズよりも大きい。防護部材は、放圧孔に比べて比較的大きなサイズを有し、それは、ガスを効果的に遮断し、ガスが第一の壁に直接衝突するリスクを低減させ、安全性を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、電池ユニットの体積エネルギー密度は、Eであり、D及びEは、1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦1×10-2mm・L/Whを満たす。
【0011】
電池ユニットの体積エネルギー密度Eは、原則として流量Gと正の相関を有し、流量Gに比べて、電池ユニットの体積エネルギー密度Eは、より容易に決定される。上記技術案は、体積エネルギー密度Eで流量Gを間接的に特徴付け、且つ体積エネルギー密度EでDの値を限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、防護部材設計の難易度を低減させる。
【0012】
いくつかの実施形態では、D及びEは、1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦6×10-3mm・L/Whを満たす。
【0013】
いくつかの実施形態では、放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、放圧孔のサイズは、kであり、防護部材の最大サイズ方向に沿ったサイズは、Kであり、k、K及びGは、K>k、(K/k)/G≧3×10-3s/Lを満たす。
【0014】
電池ユニットが熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、電池ユニットが放出するガスによる防護部材への熱衝撃が激しく、ガス及び他の運ばれている物質が第一の壁の防護部材によって遮蔽されていない部分に飛散されるリスクが高く、第一の壁の防護部材によって遮蔽されていない部分の温度も高くなることを意味する。上記技術案は、電池ユニットが熱暴走する時に発生するガスの流量Gに基づき、防護部材と放圧孔との最大サイズ方向におけるサイズ関係を限定することにより、第一の壁の防護部材によって遮蔽されていない部分の温度を一定の範囲内にすることで、第一の壁が破損するリスクを低減させる。
【0015】
いくつかの実施形態では、k、K、及びGは、(K/k)/G≧8×10-3s/Lを満たす。
【0016】
いくつかの実施形態では、k、K、及びGは、(K/k)/G≦20s/Lを満たす。この技術案は、防護部材のサイズ設計の冗長性を小さくし、電池のエネルギー密度の損失を低減させることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、防護部材と放圧孔との軸方向における最小距離は、hであり、h及びDは、0.2≦h/D≦250を満たす。h/Dの値を0.2-250に限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、防護部材は、平板構造であり、防護部材の厚さ方向は、軸方向に平行である。平板構造は、成形が容易である。
【0019】
いくつかの実施形態では、放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、防護部材の厚さは、中間から両側へ漸減し、防護部材の厚さ方向は、軸方向に平行である。
【0020】
防護部材の厚さが最も大きい部分は、軸方向において放圧孔の少なくとも一部を覆う。防護部材の厚さが最も大きい部分は、放圧孔に対向し、それは、比較的大きな熱衝撃に耐えることができ、防護部材が突き破られるリスクを小さくする。防護部材の両端が受ける熱衝撃は、比較的小さく、比較的小さい厚さを有することができ、防護部材の重量及び体積を小さくし、電池のエネルギー密度を向上させる。
【0021】
いくつかの実施形態では、防護部材は、基体領域及び基体領域に接続された補強領域を含み、補強領域の軸方向に沿ったサイズは、基体領域の軸方向に沿ったサイズよりも大きい。軸方向において、補強領域は、放圧孔の少なくとも一部を覆う。補強領域は、放圧孔に対向し、それは、比較的大きな熱衝撃に耐えることができ、防護部材が突き破られるリスクを小さくする。
【0022】
いくつかの実施形態では、軸方向において、補強領域は、放圧孔を完全に覆う。補強領域は、比較的大きな熱衝撃に耐えることができるため、防護部材が突き破られるリスクを小さくする。基体領域は、軸方向において放圧孔に対向せず、防護部材の重量及び体積を小さくして、電池のエネルギー密度を向上させるために、それは、比較的小さい厚さを有してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、防護部材のサイズは、Kであり、補強領域のサイズは、Kである。K、K及びGは、K>K、(K/K)/G≦2×10-1s/Lを満たす。
【0024】
電池ユニットが熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、電池ユニットが放出するガスによる防護部材への熱衝撃が激しく、防護部材の補強領域に対するサイズ要件も高いことを意味する。発明者は、(K/K)/Gの値を2×10-1s/L以下に限定することにより、補強領域及び基体領域が高温高速物質を遮断して、第一の壁に伝達される熱量を減少させ、第一の壁の温度を低減できるようにした。
【0025】
いくつかの実施形態では、補強領域及び基体領域は、いずれも平板構造であり、補強領域の厚さ方向及び基体領域の厚さ方向は、いずれも軸方向に平行である。
【0026】
いくつかの実施形態では、補強領域の軸方向に沿ったサイズは、Dであり、基体領域の軸方向に沿ったサイズは、dである。放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、放圧孔のサイズは、kであり、補強領域のサイズは、Kである。D、d、k及びKは、0.04≦(K/k)/(D/d)≦300を満たす。
【0027】
/k数値の上昇に伴い、補強領域が電池ユニットが熱暴走する時に受ける熱衝撃の占有率が大きくなり、基体領域が担う必要のある熱暴走防護要件が低下し、それに対応して、D/dの比が上昇してもよく、即ち基体領域の厚さ要件が低下してもよい。K/k数値の低下に伴い、基体領域が担う必要のある熱暴走防護要件が高くなり、それに対応して、D/dの比が低下してもよく、即ち基体領域の厚さ要件が高くなりする。K/kが十分に小さい場合、基体領域が担う必要のある熱暴走防護要件が比較的大きく、D/dに最小値が存在し、即ちdに最大値が存在し、それにより基体領域の熱暴走防護要件を満たし、K/kが十分に大きい場合、基体領域が担う必要のある熱暴走防護要件が比較的小さく、D/dに最大値が存在し、即ちdに最小値が存在する。(K/k)/(D/d)の値を0.04-300に限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させる。
【0028】
いくつかの実施形態では、防護部材は、軸方向に沿って積層して設置される第一の防護板及び第二の防護板を含み、第一の防護板と第二の防護板とが軸方向において重なる部分及び第二の防護板は、補強領域を構成し、第一の防護板と第二の防護板とが軸方向において重ならない部分は、基体領域を構成する。第一の防護板と第二の防護板とが積層することにより、厚みの違いを有する防護部材を形成することで、防護部材の成形プロセスを簡略化する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第二の防護板は、放圧機構に面する第一の防護板の一側に設置される。この技術案は、防護部材の放圧機構から離反する一側の平坦性を向上させることができ、防護部材と他の部材との固定を容易にする。
【0030】
いくつかの実施形態では、第二の防護板は、複数であり、複数の第二の防護板は、間隔を置いて設置される。
【0031】
いくつかの実施形態では、放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、複数の第二の防護板は、間隔を置いて設置される。
【0032】
いくつかの実施形態では、第一の防護板及び第二の防護板は、いずれも平板構造であり、第一の防護板の厚さ方向及び第二の防護板の厚さ方向は、いずれも軸方向に平行である。
【0033】
いくつかの実施形態では、第一の防護板は、平板構造であり、第一の防護板の厚さ方向は、軸方向に平行である。放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、第二の防護板の軸方向に沿ったサイズは、中間から両端へ漸減している。
【0034】
第二の防護板の軸方向に沿ったサイズが最も大きい部分は、放圧孔に対向してもよく、それにより比較的大きな熱衝撃を受け、防護部材が突き破られるリスクを小さくする。第二の防護板の両端が受ける熱衝撃は、比較的小さく、第二の防護板の重量及び体積を小さくして、電池のエネルギー密度を向上させるために、それは、比較的小さい厚さを有してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、第二の防護板の材質は、第一の防護板の材質と異なる。第一の防護板と第二の防護板は、異なる材質を用い、このように異なる材質の特性を合わせて、耐熱衝撃性能がより高い防護部材を複合することができる。同じ材質で製造された第一の防護板及び第二の防護板に比べて、異なる材質で製造された第一の防護板及び第二の防護板は、防護部材の構造をより変化に富むようにすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第一の壁は、電池ユニットの上側又は下側に位置する。
【0037】
いくつかの実施形態では、防護部材の融点は、1000℃よりも高い。防護部材は、比較的高い融点を有し、それは、熱衝撃を受けた時に溶融しにくく、それにより防護部材は、比較的良好な耐熱衝撃性能を有し、防護部材が突き破られるリスクを低減させる。
【0038】
いくつかの実施形態では、防護部材の融点は、第一の壁の融点よりも高い。防護部材は、第一の壁に対してより良好な耐熱衝撃性能を有し、それにより熱防護機能を果たし、第一の壁が破損するリスクを低減させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、防護部材は、第一の壁に固定される。第一の壁は、防護部材を固定することができ、それにより防護部材が高温高速ガスの衝撃で動き回るリスクを低減させ、防護部材が衝突して破損する確率を小さくし、防護部材の防護が失効するリスクを低減させる。
【0040】
いくつかの実施形態では、防護部材は、接着、溶接、締結具接続又は係止によって第一の壁に固定される。
【0041】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、電力消費装置を提供し、この電力消費装置は電気エネルギーを提供するための第一の態様のいずれかの実施形態の電池を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例において使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下の記述における図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の分解概略図である。
図3】本出願のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図4図3に示す電池の別の構造概略図であり、ここで、電池の電池ユニットの放圧機構は作動状態にある。
図5図4に示す電池の円枠Aにおける拡大概略図である。
図6】本出願のいくつかの実施例による電池の電池ユニットの構造概略図である。
図7】本出願のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図8】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図9】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図10図9のブロックBにおける拡大概略図である。
図11】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図12】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図13】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図14】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
図15】本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0043】
図面において、図面は、実際の縮尺通りに描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0045】
特に定義されない限り、本出願に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本出願では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものである。
【0046】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互に排他する独立した又は代替的な実施例でもない。
【0047】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付設」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0048】
本出願における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0049】
本出願の実施例では、同じ符号の説明は、同じ部材を表し、且つ簡潔の便宜上、異なる実施例において、同じ部材に対する詳細な説明が省略される。理解すべきこととして、図面に示される本出願の実施例における様々な部材の厚さ、アスペクトなどの寸法、及び集積装置全体の厚さ、アスペクトなどの寸法は、例示的な説明だけであるが、本出願に任意の限定を構成するものではない。
【0050】
本出願に出現された「複数」は、二つ以上(二つを含む)を指す。
【0051】
本出願における用語である「平行」は、絶対平行の場合のみならず、工学的に一般的に認知されているほぼ平行の場合も含み、また、「垂直」とは、絶対垂直の場合のみならず、工学的に一般的に認知されているほぼ垂直の場合も含む。
【0052】
本出願では、電池ユニットは、リチウムイオン電池ユニット、リチウム硫黄電池ユニット、ナトリウムリチウムイオン電池ユニット、ナトリウムイオン電池ユニット又はマグネシウムイオン電池ユニットなどを含んでもよく、本出願の実施例は、これに限定されない。電池ユニットは、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状などをなしてもよく、本出願の実施例は、これにも限定しない。
【0053】
本出願の実施例に言及された電池とは、一つ又は複数の電池ユニットを含んでより高い電圧と容量を提供する単一の物理モジュールである。電池は、一般的には一つ又は複数の電池ユニットをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物による電池ユニットの充電又は放電への影響を回避することができる。
【0054】
電池技術の発展は、多岐にわたる設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0055】
電池ユニットの放圧機構は、電池ユニットの安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電などの現象が発生する時に、電池ユニット内部の熱暴走の発生による圧力の急激な上昇を引き起こす恐れがある。このような場合に、電池ユニットの爆発、発火を防止するために、放圧機構が作動することによって内部圧力を外にリリースすることができる。
【0056】
放圧機構は、電池ユニットが一定の条件に達した時に作動する素子又は部材であってもよい。例示的に、放圧機構は、電池ユニットの内部圧力又は内部温度が所定閾値に達した時に内部圧力及び/又は内部物質を放出するように作動する素子又は部材であってもよい。この閾値設計は、設計需要によって異なる。この閾値は、電池ユニットにおける正極極板、負極極板、電解液とセパレータ部材のうちの一つ又は複数の材料に依存し得る。
【0057】
放圧機構は、防爆弁、空気弁、放圧弁又は安全弁などのような形式を採用でき、且つ具体的に感圧素子又は構造を用いることができ、即ち、電池ユニットの内部圧力が所定閾値に達すると、放圧機構が動作を実行し、又は放圧機構に設けられる脆弱領域が破裂し、それによって内部圧力を放出することができる放圧孔を形成する。代替的に、放圧機構は、感温素子又は構造を用いてもよく、即ち電池ユニットの内部温度が所定閾値に達した時に、放圧機構は、動作を実行することにより、内部圧力を放出するための放圧孔を形成する。代替的に、放圧機構は、能動的に作動可能な部材であってもよく、例示的に、放圧機構は、電池の制御信号を受信した時に作動してもよい。
【0058】
放圧機構は、他の形態を用いてもよい。例示的に、放圧機構は、電池ユニットのハウジング上の強度が比較的低い構造であってもよく、電池ユニットが熱暴走した時に、強度が比較的に低い構造が亀裂又は変形することにより、内部圧力を放出するための放圧孔を形成する。例えば、放圧機構は、電池ユニットのハウジング上のはんだ付け印であってもよい。
【0059】
本出願に言及された「作動」とは、放圧機構が動作したり一定の状態に活性化したりすることによって、電池ユニットの内部圧力及び/又は内部物質が逃されることである。放圧機構による動作は、放圧機構の少なくとも一部の破裂、破砕、引き裂き又は開きなどを含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構の作動時、電池ユニットの内部の高温高速物質は、排出物として作動する部位から外へ排出される。この方式で圧力を制御することができる場合に、電池ユニットに放圧させることによって、潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0060】
本出願に言及された電池ユニットからの排出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極極板、セパレータ部材の破片、反応により発生した高温高速ガス、火炎などを含むが、それらに限らない。
【0061】
電池ユニットが熱暴走した時に、電池ユニットは、排出物を筐体内に放出する。筐体にも放圧機構が設けられ、筐体の放圧機構が作動することにより、筐体の設定位置で排出物を筐体の外に排出する。
【0062】
発明者は、電池ユニットが放出する排出物が高温高速状態にあり、排出物が筐体に衝突すると、筐体の破損を引き起こす可能性があり、排出物が筐体の放圧機構から放圧されなくなり、筐体の破損点から放圧され、それにより電池外部の発火のリスクをもたらし、安全上のリスクを引き起こすことに気付いた。
【0063】
上記問題を発見した後、発明者は、電池ユニットの放圧機構に対向する位置に防護部材を設置することを試み、防護部材は、電池ユニットが放出する高温高速物質を遮断することにより、筐体が受ける熱衝撃を小さくし、筐体破損のリスクを低減させ、安全性を向上させることができる。
【0064】
発明者は、研究により、電池ユニットが熱暴走した時に、電池ユニットのガス発生が激しすぎると、厚さが比較的小さい防護部材が電池ユニットからリリースされた高温高速ガスに衝突され、防護部材に穿孔が形成され、高温高速ガスが穿孔を介して筐体に衝突し、筐体が破損するリスクを引き起こす可能性があることを発見した。防護部材がガスに突き破られるリスクを低減させるために、発明者は、防護部材のサイズを大きくしようと試みたが、防護部材のサイズを増大させると電池のエネルギー密度が低下し、防護部材のサイズが過度に設計されると、エネルギー密度の無駄が生じる。
【0065】
これに鑑み、発明者は、電池ユニットが放出するガスの流量に応じて防護部材のサイズを設定することにより、防護部材が溶融貫通されるリスクを低減させ、且つ電池のエネルギー密度の無駄を減少させる技術案を提供した。
【0066】
本出願の実施例に記述された技術案は、電池を使用する電力消費装置に適用される。
【0067】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙機、電動玩具と電動工具などであってもよい。車両は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含み、電動玩具は、据置式又は移動式の電動玩具、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具及び電気飛行機玩具などを含み、電動工具は、金属切削電動工具、研削電動工具、組み立て電動工具及び鉄道用電動工具、例えば電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ及び電気かんななどを含む。本出願の実施例は、上記電力消費装置を特に制限しない。
【0068】
以下の実施例では、説明の便宜上、電力消費装置が車両であることを例にして説明する。
【0069】
図1は本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
【0070】
図1に示すように、車両1の内部に電池2が設置され、電池2は、車両1の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池2は、車両1への給電に用いられてもよく、例えば電池2は、車両1の操作電源として用いられてもよい。
【0071】
車両1はさらに、コントローラ3とモータ4とを含んでもよく、コントローラ3は、電池2がモータ4に給電し、例えば車両1の起動、ナビゲーションと走行時の作動電力消費需要に用いるように制御するために用いられる。
【0072】
本出願のいくつかの実施例では、電池2は、車両1の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0073】
図2は本出願のいくつかの実施例による電池の分解概略図である。
【0074】
図2に示すように、電池2は、筐体20と電池ユニット10とを含み、電池ユニット10は、筐体20内に収容される。
【0075】
筐体20は、電池ユニット10を収容するために用いられ、筐体20は、様々な構造であってもよい。いくつかの実施例では、筐体20は、第一の筐体部21と第二の筐体部22とを含んでもよく、第一の筐体部21と第二の筐体部22は、互いに被せられ、第一の筐体部21と第二の筐体部22は、電池ユニット10を収容するための収容空間を共に画定する。
【0076】
いくつかの実施例では、第二の筐体部22は、一端が開口した中空構造であってもよく、第一の筐体部21は、板状構造であり、第一の筐体部21は、第二の筐体部22の開口側に被せ、それにより収容空間を有する筐体20を形成する。別のいくつかの実施例では、第一の筐体部21及び第二の筐体部22は、いずれも一側が開口した中空構造であってもよく、第一の筐体部21の開口側は、第二の筐体部22の開口側に被せ、それにより収容空間を有する筐体20を形成する。
【0077】
第一の筐体部21と第二の筐体部22は、様々な形状、例えば、円筒体、直方体などであってもよい。
【0078】
第一の筐体部21と第二の筐体部22とを接続した後のシール性を向上させるために、第一の筐体部21と第二の筐体部22との間にシール材を設置してもよく、例えば、シーラント、シールリングなどを設置してもよい。
【0079】
第一の筐体部21が第二の筐体部22の頂部に被せると仮定すると、第一の筐体部21は、上筐体蓋とも呼ばれ、第二の筐体部22は、下筐体20とも呼ばれる。
【0080】
電池2において、電池ユニット10は、一つであってもよく、複数であってもよい。電池ユニット10が複数である場合、複数の電池ユニット10の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、複数の電池ユニット10に直列接続も並列接続もあることを指す。複数の電池ユニット10の間は、一体に直接に直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、次に複数の電池ユニット10により構成された全体を筐体20内に収容し、無論、複数の電池ユニット10を先ず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュール形式に組み合わせ、複数の電池モジュールをさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体を形成し、且つ筐体20内に収容したものであってもよい。
【0081】
図3は、本出願のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図であり、図4は、図3に示す電池の別の構造概略図であり、ここで、電池の電池ユニットの放圧機構は、作動状態にあり、図5は、図4に示す電池の円枠Aにおける拡大概略図である、図6は、本出願のいくつかの実施例による電池の電池ユニットの構造概略図である、図7は、本出願のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0082】
図3図7に示すように、本出願の実施例の電池2は、筐体20と、電池ユニット10と、防護部材30とを含む。筐体20は、第一の壁21aを含む。電池ユニット10は、筐体20内に収容され、電池ユニット10に放圧機構11が設けられ、放圧機構11は、放圧孔111を形成して、電池ユニット10内部の物質を放出するために用いられる。防護部材30は、筐体20内に収容され、防護部材30の少なくとも一部は、第一の壁21aと放圧機構11との間に位置し、且つ放圧孔111の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆うために用いられる。防護部材30の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆う部分の、軸方向Zに沿った最小サイズは、Dであり、電池ユニット10が放圧孔111を介して放出するガスの流量は、Gであり、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦3.3×10-1mm・s/Lを満たす。
【0083】
筐体20は、電池2の外被であってもよく、電池ユニット10は、外被の内部に位置する。筐体20は、液体又は他の異物による電池ユニット10の充電又は放電への影響を回避することができる。
【0084】
筐体20の第一の壁21aは、筐体20の軸方向Zにおいて放圧機構11に対向する壁である。第一の壁21aは、電池ユニット10の上側に位置する筐体20の頂壁であってもよく、電池ユニット10の下側に位置する筐体20の底壁であってもよく、電池ユニット10の一側に位置する筐体20の側壁であってもよく、無論、第一の壁21aは、筐体20の他の位置にある壁であってもよい。例示的に、第一の壁21aは、第一の筐体部の一部であってもよく、第二の筐体部の一部であってもよい。
【0085】
本実施例は、第一の壁21aの形状を限定しない。例示的に、第一の壁21aは、平板状、曲板状、又はその他の形状であってもよい。
【0086】
電池ユニット10は、一つであってもよく、複数であってもよい。例示的に、電池ユニット10は、複数である。選択的に、複数の電池ユニット10の放圧機構11は、いずれも第一の壁21aに向いている。
【0087】
電池ユニット10は、一つ又は複数の電池セルを含む。電池セルは、電池を構成する最小ユニットであり、充放電の機能を独自に実現することができる。電池セルは、円筒形電池セル、角形電池セル、ソフトパッケージ電池セル又は他の電池セルであってもよい。
【0088】
電池セルは、電池セルハウジング、電極アセンブリ13、電解液及び他の機能性部材を含み、電極アセンブリ13及び電解液は、電池セルハウジング内に収容される。
【0089】
例示的に、電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、セパレータ部材とを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極極板と負極極板との間を移動することによって動作する。正極極板は、正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極集電体は、正極集電部及び正極タブを含み、正極集電部には、正極活物質層が塗布され、正極タブには、正極活物質層が塗布されない。リチウムイオン電池セルを例にすると、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極極板は、負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布され、負極集電体は、負極集電部及び負極タブを含み、負極集電部には、負極活物質層が塗布され、負極タブには、負極活物質層が塗布されない。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質層は、負極活物質を含み、負極活物質は炭素又はシリコンなどであってもよい。セパレータ部材の材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。電池セルハウジングは、硬質ハウジングであってもよく、例えば電池セルハウジングは、アルミニウム合金で製造されてもよく、電池セルハウジングは、軟質ハウジングであってもよく、例えば電池セルハウジングは、アルミニウムプラスチック膜で製造されてもよい。
【0090】
いくつかの例では、電池ユニット10は、一つの電池セルであってもよく、電池ユニット10のハウジング12は、電池セルハウジングであり、放圧機構11は、ハウジング12に設置されてもよい。他の例では、電池ユニット10は、ハウジング12及びハウジング12内に収容された複数の電池セルを含み、放圧機構11は、ハウジング12に設置されてもよい。
【0091】
例示的に、電池ユニット10のハウジング12は、第一の壁21aに面する第二の壁12aを含み、放圧機構11は、第二の壁12aに取り付けられ、第二の壁12aは、電極アセンブリ13の第一の壁21aに面する一側に位置する。放圧機構11は、溶接、接着又は他の方式によって第二の壁12aに固定されてもよく、代替的に、放圧機構11と第二の壁12aは、一体に形成されてもよい。
【0092】
電池ユニット10が正常状態にある時、放圧機構11は、放圧孔111を形成していない。放圧機構11は、電池ユニット10の電極アセンブリ13と電解液とを電池ユニット10の内部に閉塞することにより、電解液が漏れるリスクを低減させる。電池ユニット10の内部に熱暴走が発生した場合、放圧機構11が作動することにより、放圧孔111を形成し、電池ユニット10内部の物質は、放圧孔111を介して電池ユニット10の外部に放出することができる。
【0093】
例示的に、放圧孔111を介して放出される物質は、高温高速ガスを含む。放圧孔111は、ガスの流れ方向を限定することにより、一部のガスを放圧孔111の軸方向Zに沿って噴出させる。
【0094】
防護部材30は、全体が第一の壁21aと放圧機構11との間に位置してもよく、一部のみが第一の壁21aと放圧機構11との間に位置してもよい。例示的に、第一の壁21a及び放圧機構11は、軸方向Zに沿って設置され、軸方向Zにおいて、防護部材30の少なくとも一部は、第一の壁21aと放圧機構11との間に位置する。
【0095】
放圧機構11が作動して放圧孔111が形成した時、防護部材30は、軸方向Zにおいて放圧孔111を覆うことができる。本実施例では、「防護部材30が放圧孔111の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆う」とは、放圧孔111の軸方向Zにおける投影は、防護部材30の軸方向Zにおける投影内に位置することを意味する。防護部材30の軸方向Zにおける投影の面積は、放圧孔111の軸方向Zにおける投影の面積以上であってもよい。
【0096】
防護部材30は、板状構造、枠体構造又は他の構造であってもよい。例示的に、防護部材30は、厚さが均一な平板であってもよく、厚さが不均一な板であってもよい。
【0097】
防護部材30は、一体的な構造であってもよく、複数のサブ部材によって組み立てられた構造であってもよい。
【0098】
防護部材30は、第一の壁21aに固定されてもよく、電池ユニット10に固定されてもよく、筐体20内の他の部材に固定されてもよく、本出願の実施例は、これを制限しない。
【0099】
防護部材30の耐熱衝撃性能は、第一の壁21aの耐熱衝撃性能よりも優れている。耐熱衝撃性能とは、材料が破壊することなく温度の急激な変化に耐える能力を指す。言い換えれば、同じ高温高速物質の衝撃を受けた時、防護部材30は、第一の壁21aに比べても破損しにくい。
【0100】
防護部材30の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆う部分は、防護部と略称してもよく、防護部の軸方向Zにおける投影と放圧孔111の軸方向Zにおける投影とが完全に重なる。防護部は、防護部材30の他の部分よりも高温高速物質の衝撃を受けやすい。
【0101】
流量Gの単位は、リットル/秒(L/s)である。本出願の実施例では、流量Gは、電池ユニット10が放圧孔111を介して放出するガスの平均流量であってもよい。
【0102】
電池ユニット10が放圧孔111を介して放出するガスの流量G=V/tである。Vは、電池ユニット10の熱暴走による常温常圧(25℃、1atm)でのガス量(単位L)であり、tは、電池ユニット10の熱暴走の時間である。
【0103】
例示的に、電池ユニット10の流量Gは、以下の方法に従って測定して得られる。
【0104】
試験サンプル:満充電状態にある電池ユニット10である。
【0105】
試験環境:一つの密閉タンク(電池ユニット10が熱暴走する過程において顕著な体積変化及びガス漏れが発生しない)であり、タンク内の空間がVであり、タンク内が常温常圧状態(25℃、1atm)である。
【0106】
試験フロー:電池ユニット10を密閉タンク内に入れ且つ電池ユニット10の熱暴走をトリガーし、電池ユニット10の放圧機構11が作動し且つ放圧孔111を形成し、電池ユニット10が放出する物質は、タンク内に温度及び圧力の変化を発生させることがあり、電池ユニット10が15min熱暴走した後、タンク内の温度が均衡し、この時、タンク内の気圧がPであり、タンクの中心点の温度がTであると検出し、理想的な状態方程式に基づき、常温常圧(25℃、1atm)における、電池ユニット10の熱暴走によるガス量は、
【数1】
である。
【0107】
上記試験フローにおいて、Rは、ガス定数であり、R=8.314J/(mol・K)であり、24.5は、常温常圧におけるガスモル体積である。電池ユニット10の熱暴走をトリガーする方法は、GB 38031-2020 C.5.3.4を参照することができる。タンクの中心点は、タンクの内キャビティの幾何学的中心であってもよい。
【0108】
電池ユニット10の熱暴走の時間tは、電池ユニット10が熱暴走する開始から、密閉タンク内の気圧が最大値に達するまでの時間間隔である。
【0109】
電池ユニット10が熱暴走する時に放出するガスは、防護部材30に作用し、防護部材30は、第一の壁21aが受ける熱衝撃を小さくし、且つ第一の壁21aに伝達される熱量を減少させ、第一の壁21aが溶融貫通されるリスクを低減させ、電池2の安全性を向上させることができる。Dの値が大きいほど、防護部材30がガスに突き破られるリスクが低くなり、第一の壁21aに伝達される熱量も少ない。
【0110】
電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、防護部材30が受けるガスの熱衝撃も大きくなり、防護部材30のDに対する需要も高くなり、逆に、電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが低いほど、防護部材30が受けるガスの熱衝撃も小さくなり、防護部材30のDに対する需要も低くなる。流量Gが決定されている場合、防護部材30が突き破られるリスクを低減させ、且つ第一の壁21aに伝達される熱量を低減させるために、Dの最小値を保証する必要がある。無論、Dの値が大きいほど、防護部材30の体積及び重量も大きくなり、流量Gが決定されている場合、Dの最大値を限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくしてもよい。
【0111】
発明者は、研究により、D/Gの値を2×10-3mm・s/L-3.3×10-1mm・s/Lに限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくし、電池2の安全性を向上させる。
【0112】
いくつかの実施例では、D/Gの値は、2×10-3mm・s/L、5×10-3mm・s/L、1×10-2mm・s/L、5×10-2mm・s/L、1×10-1mm・s/L、2×10-1mm・s/L、3×10-1mm・s/L又は3.3×10-1mm・s/Lである。
【0113】
いくつかの実施例では、防護部材30は、第一の壁21aに伝達される熱量を減少させるための断熱の役割を果たすことができる。電池ユニット10が熱暴走した時に、防護部材30の存在により、第一の壁21aに伝導される熱量が比較的少ないため、本出願の実施例は、筐体20の材質に対する要件を低減させることができる。
【0114】
例示的に、筐体20は、いくつかの高温に耐えられない材質、例えばポリエステル材料を用いてもよい。無論、筐体20は、いくつかの比較的耐高温の材質を用いてもよく、例えばアルミニウム、鋼又は他の金属を用いてもよい。筐体20が比較的耐高温の材質を用いる場合、D/Gの値を適応的に小さくしてもよく、それにより防護部材30が占有する空間及び重量を小さくし、電池2のエネルギー密度を向上させる。
【0115】
いくつかの実施例では、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦2×10-1mm・s/Lを満たす。
【0116】
いくつかの実施例では、Dの値は0.5mm~5mmである。選択的に、Dの値は、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、又は5mmである。
【0117】
Dの値が小さいほど、防護部材30がガスに突き破られるリスクが高くなり、Dの値が大きいほど、防護部材30がガスに突き破られるリスクが低くなり、防護部材30が電池2内で占有する空間及び重量も大きくなる。発明者は、Dの値を0.5mm~5mmに限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくし、防護部材30の成形難易度を低減させ、電池2の安全性を向上させる。
【0118】
いくつかの実施例では、防護部材30は、熱絶縁性を有し、その熱伝導率は、第一の壁21aの熱伝導率よりも小さい。防護部材30は、電池ユニット10が熱暴走する時に第一の壁21aに伝導される熱量を減少させる断熱の役割を果たすことができる。他の代替的な実施例では、防護部材30は、比較的良好な熱伝導性を有してもよく、防護部材30は、熱量を周囲に迅速に伝導し、熱量の集中を減少させ、第一の壁21aの温度を低減できるようにした。
【0119】
いくつかの実施例では、防護部材30の材料は、無機塩、無機セラミック、金属単体、単体炭素、及び有機コロイドのうちの少なくとも一つを含む。
【0120】
いくつかの例では、無機塩は、ケイ酸塩を含む。
【0121】
いくつかの例では、無機セラミックは、アルミナ、シリカ、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びジルコニアのうちの少なくとも一つを含む。
【0122】
いくつかの例では、金属単体系材料は、銅、鉄、アルミニウム、タングステン、及びチタンのうちの少なくとも一つを含む。
【0123】
いくつかの例では、単体炭素は、非晶質炭素及び黒鉛のうちの少なくとも一つを含む。
【0124】
いくつかの例では、有機コロイドは、エポキシ樹脂構造用接着剤、アクリレート構造用接着剤、ポリイミド構造用接着剤、マレイミド構造用接着剤、ポリウレタン構造用接着剤及びアクリル構造用接着剤のうちの少なくとも一つを含む。
【0125】
いくつかの実施例では、防護部材30の材料は、無機塩、無機セラミック、金属単体、単体炭素、及び有機コロイドのうちの少なくとも二つを含む。
【0126】
複数の材料で形成された複合構造は、防護部材30の耐熱衝撃性能及び熱絶縁性能を改善することができる。
【0127】
いくつかの実施例では、防護部材30は、炭素繊維布及び有機コロイドから形成された炭素繊維板を含む。
【0128】
いくつかの実施例では、防護部材30は、無機セラミック粉末及び有機コロイドから形成された樹脂シートを含む。
【0129】
いくつかの実施例では、防護部材30は、積層して設置された黒鉛層及び金属層を含む。
【0130】
いくつかの実施例では、防護部材30は、炭素繊維及びセラミック繊維からなる複合繊維シートを含む。
【0131】
いくつかの実施例では、防護部材30は、セラミック層とセラミック層に接続された金属メッシュとを含む。
【0132】
いくつかの実施例では、防護部材30の融点は、1000℃よりも高い。防護部材30は、比較的高い融点を有し、それは、熱衝撃を受けた時に溶融しにくく、それにより防護部材30は、比較的良好な耐熱衝撃性能を有し、防護部材30が突き破られるリスクを低減させる。
【0133】
いくつかの実施例では、防護部材30の融点は、1500℃よりも高い。
【0134】
いくつかの実施例では、防護部材30の融点は、第一の壁21aの融点よりも高い。防護部材30は、第一の壁21aに対してより良好な耐熱衝撃性能を有し、それにより熱防護機能を果たし、第一の壁21aが破損するリスクを低減させる。
【0135】
いくつかの実施例では、防護部材30は、第一の壁21aに固定される。第一の壁21aは、防護部材30を固定することができ、それにより防護部材30が高温高速ガスの衝撃で動き回るリスクを低減させ、防護部材30が衝突して破損する確率を小さくし、防護部材30の防護が失効するリスクを低減させる。
【0136】
いくつかの実施例では、防護部材30は、接着、溶接、締結具接続又は係止によって第一の壁21aに固定される。無論、防護部材30は、他の方式によって第一の壁21aに固定されてもよい。
【0137】
いくつかの実施例では、防護部材30は、第一の壁21aの内面に設置される。
【0138】
いくつかの実施例では、第一の壁21aは、電池ユニット10の上側又は下側に位置する。例示的に、図3に示すように、第一の壁21aは、電池ユニット10の上側に位置する。
【0139】
いくつかの実施例では、電池ユニット10の体積エネルギー密度は、Eであり、D及びEは、1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦1×10-2mm・L/Whを満たす。
【0140】
体積エネルギー密度Eの単位は、Wh/Lである。E=C/Vであり、Cは、電池ユニット10の容量であり、Vは、電池ユニット10の体積である。
【0141】
例示的に、電池ユニット10のハウジング12の体積を電池ユニット10の体積とし、電池ユニット10のハウジング12から突出する極柱14の体積は、考慮しない。例えば、角形電池ユニット10のハウジング12の長さ、幅及び高さは、それぞれl、l及びlであり、V=l×l×lである。
【0142】
一般的に、電池ユニット10に熱暴走が発生した場合、Eの値が高いほど、電池ユニット10内部で発生する連鎖反応が激しくなり、電池ユニット10がリリースするガスの温度が高くなり、流量Gが大きくなる。
【0143】
電池ユニット10の体積エネルギー密度Eが高いほど、防護部材30が受けるガスの熱衝撃も大きくなり、防護部材30のDに対する需要も高くなり、逆に、電池ユニット10の体積エネルギー密度Eが低いほど、防護部材30が受けるガスの熱衝撃も小さくなり、防護部材30のDに対する需要も低くなる。体積エネルギー密度Eが決定されている場合、防護部材30が突き破られるリスクを低減させ、且つ第一の壁21aに伝達される熱量を低減させるために、Dの最小値を保証する必要がある。無論、Dの値が大きいほど、防護部材30の体積及び重量も大きくなり、体積エネルギー密度Eが決定されている場合、Dの最大値を限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくしてもよい。
【0144】
電池ユニット10の体積エネルギー密度Eは、流量Gと正の相関を有し、流量Gに比べて、電池ユニット10の体積エネルギー密度Eは、より容易に決定される。発明者は、実験と計算を通して、体積エネルギー密度Eで流量Gを間接的に特徴づけ、且つ体積エネルギー密度EでDの値を限定することにより、防護部材30の設計の難易度を低減させるようと試みた。
【0145】
選択的に、D/Eの値は、1×10-3mm・L/Wh、2×10-3mm・L/Wh、4×10-3mm・L/Wh、6×10-3mm・L/Wh、8×10-3mm・L/Wh又は1×10-2mm・L/Whである。
【0146】
いくつかの実施例では、D及びEは、1×10-3mm・L/Wh≦D/E≦6×10-3mm・L/Whを満たす。
【0147】
いくつかの実施例では、軸方向Zに垂直ないずれか方向において、防護部材30のサイズは、いずれも放圧孔111のサイズよりも大きい。
【0148】
放圧孔111を介して放出されるガスは、主に放圧孔111の軸方向Zに沿って流れ、無論、一部のガス及びガスに運ばれている粒子などの物質は、放圧孔111を通過した後も、周囲に発散する可能性もある。本実施例では、防護部材30は、放圧孔111に比べて比較的大きなサイズを有し、それは、ガスを効果的に遮断し、ガスが第一の壁21aに直接衝突するリスクを低減させ、安全性を向上させることができる。
【0149】
いくつかの実施例では、放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、放圧孔111のサイズは、kであり、防護部材30の最大サイズ方向Xに沿ったサイズは、Kである。k、K及びGは、K>k、(K/k)/G≧3×10-3s/Lを満たす。
【0150】
軸方向Zに垂直な複数の方向において、放圧孔111がそのうちの一方向に沿ったサイズは、放圧孔111の他の方向に沿ったサイズ以上であり、この一方向は、放圧孔111の最大サイズ方向Xと呼ばれる。防護部材30のサイズKは、放圧孔111の最大サイズ方向Xに沿った防護部材30のサイズである。
【0151】
電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、電池ユニット10が放出するガスによる防護部材30への熱衝撃が激しく、ガス及び他の運ばれている物質が第一の壁21aの防護部材30によって遮蔽されていない部分に飛散されるリスクが高く、第一の壁21aの防護部材30によって遮蔽されていない部分の温度も高くなることを意味する。
【0152】
発明者は、熱暴走する時の電池ユニット10のガス発生の流量Gに基づいて、防護部材30と放圧孔111との最大サイズ方向Xにおけるサイズ関係を限定することにより、第一の壁21aの防護部材30によって遮蔽されていない部分の温度を一定の範囲内にすることで、第一の壁21aが破損するリスクを低減させる。
【0153】
電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが比較的小さい場合、防護部材30は、比較的小さいサイズを有してもよく、このように防護部材30が占有する電池2の空間及び重量を小さくし、エネルギー密度を向上させることができる。電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが比較的大きい場合、防護部材30は、比較的大きいサイズを有してもよく、このように防護部材30によって遮蔽されている第一の壁21aの範囲を増大させ、第一の壁21aの温度を小さくすることができる。
【0154】
いくつかの実施例では、k、K、及びGは、(K/k)/G≧8×10-3s/Lを満たす。
【0155】
いくつかの実施例では、k、K、及びGは、(K/k)/G≦20s/Lを満たす。本実施例は、防護部材30のサイズ設計の冗長性を小さくし、電池2のエネルギー密度の損失を低減させることができる。
【0156】
いくつかの実施例では、(K/k)/Gの値は、3×10-3s/L、5×10-3s/L、8×10-3s/L、1×10-2s/L、5×10-2s/L、1×10-1s/L、5×10-1s/L、1s/L、5s/L、10s/L、15s/L、20s/Lである。
【0157】
いくつかの実施例では、防護部材30と放圧孔111との軸方向Zにおける最小距離は、hであり、h及びDは、0.2≦h/D≦250を満たす。
【0158】
hが十分に低い場合、防護部材30に作用するガスの温度及び速度がほぼ低下せず、防護部材30が受ける熱衝撃が比較的大きく、それに対応して、Dに防護効果を確保する最小値が存在する。hが十分に高い場合、防護部材30に作用するガスの温度及び速度が顕著に低下し、防護部材30が受ける熱衝撃が比較的小さく、それに対応して、Dに最大値が存在し、それにより熱暴走防護要件と両立させると同時に経済性を有し、設計の冗長性を減少させる。発明者は、実験及び計算により、h/Dの値を0.2-250に限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくし、電池2の安全性を向上させる。
【0159】
いくつかの実施例では、筐体20内に複数の電池ユニット10が設けられ、防護部材30は、軸方向Zにおいて複数の電池ユニット10の放圧孔111を覆うために用いられる。どの電池ユニット10に熱暴走が発生しても、防護部材30は、高温高速物質を遮断する役割を果たし、第一の壁21aが破損するリスクを低減させることができる。
【0160】
いくつかの実施例では、防護部材30は、平板構造であり、防護部材30の厚さ方向は、軸方向Zに平行である。例示的に、防護部材30の厚さは、Dである。
【0161】
いくつかの実施例では、電池は、順次配列された複数の電池ユニット10を含み、例示的に、複数の電池ユニット10の配列方向Yは、軸方向Z及び最大サイズ方向Xに垂直である。
【0162】
図8は本出願の別のいくつかの実施例による電池の構造概略図である。
【0163】
図8に示すように、いくつかの実施例では、放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、防護部材30の厚さは、中間から両側へ漸減し、防護部材30の厚さ方向は、軸方向Zに平行である。防護部材30の厚さが最も大きい部分は、軸方向Zにおいて放圧孔111の少なくとも一部を覆う。
【0164】
防護部材30の厚さが最も大きい部分は、放圧孔111に対向し、それは、比較的大きな熱衝撃に耐えることができ、防護部材30が突き破られるリスクを小さくする。防護部材30の両端が受ける熱衝撃は、比較的小さく、比較的小さい厚さを有することができ、防護部材30の重量及び体積を小さくし、電池2のエネルギー密度を向上させる。
【0165】
いくつかの実施例では、防護部材30は、放圧孔111に面する一側に斜面を形成し、斜面は、ガスの流れを誘導し、防護部材30が受ける熱衝撃を小さくすることができ、
図9は本出願の別のいくつかの実施例による電池の構造概略図であり、図10は、図9のブロックBにおける拡大概略図である。
【0166】
図9図10に示すように、いくつかの実施例では、防護部材30は、基体領域30a及び基体領域30aに接続された補強領域30bを含み、補強領域30bの軸方向Zに沿ったサイズは、基体領域30aの軸方向Zに沿ったサイズよりも大きい。軸方向Zにおいて、補強領域30bは、放圧孔111の少なくとも一部を覆う。
【0167】
補強領域30bは、放圧孔111に対向し、それは、比較的大きな熱衝撃に耐えることができ、防護部材30が突き破られるリスクを小さくする。
【0168】
いくつかの実施例では、軸方向Zにおいて、補強領域30bは、放圧孔111を完全に覆う。補強領域30bは、比較的大きな熱衝撃に耐えることができるため、防護部材30が突き破られるリスクを小さくする。基体領域30aは、軸方向Zにおいて放圧孔111に対向せず、防護部材30の重量及び体積を小さくして、電池2のエネルギー密度を向上させるために、それは、比較的小さい厚さを有してもよい。
【0169】
いくつかの実施例では、放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、防護部材30のサイズは、Kであり、補強領域30bのサイズは、Kである。K、K及びGは、K>K、(K/K)/G≦2×10-1s/Lを満たす。
【0170】
電池ユニット10が熱暴走する時に発生するガスの流量Gが高いほど、電池ユニット10が放出するガスによる防護部材30への熱衝撃が激しく、防護部材30の補強領域30bに対するサイズ要件も高いことを意味する。発明者は、(K/K)/Gの値を2×10-1s/L以下に限定することにより、補強領域30b及び基体領域30aが高温高速物質を遮断して、第一の壁21aに伝達される熱量を減少させ、第一の壁21aの温度を低減できるようにした。
【0171】
いくつかの実施例では、基体領域30aは、二つであり、二つの基体領域30aは、それぞれ補強領域30bの最大サイズ方向Xに沿った両側に位置する。
【0172】
いくつかの実施例では、二つの基体領域30aは、最大サイズ方向Xに垂直な仮想平面に対して対称である。
【0173】
いくつかの実施例では、補強領域30b及び基体領域30aは、いずれも平板構造であり、補強領域30bの厚さ方向及び基体領域30aの厚さ方向は、いずれも軸方向Zに平行である。
【0174】
例示的に、補強領域30bの厚さは、Dである。
【0175】
いくつかの実施例では、補強領域30bの軸方向Zに沿ったサイズは、Dであり、基体領域30aの軸方向Zに沿ったサイズは、dである。放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、放圧孔111のサイズは、kであり、補強領域30bのサイズは、Kである。D、d、k及びKは、0.04≦(K/k)/(D/d)≦300を満たす。
【0176】
/k数値の上昇に伴い、補強領域30bが電池ユニット10が熱暴走する時に受ける熱衝撃の占有率が大きくなり、基体領域30aが担う必要のある熱暴走防護要件が低下し、それに対応して、D/dの比が上昇してもよく、即ち基体領域30aの厚さ要件が低下してもよい。K/k数値の低下に伴い、基体領域30aが担う必要のある熱暴走防護要件が高くなり、それに対応して、D/dの比が低下してもよく、即ち基体領域30aの厚さ要件が高くなりする。K/kが十分に小さい場合、基体領域30aが担う必要のある熱暴走防護要件が比較的大きく、D/dに最小値が存在し、即ちdに最大値が存在し、それにより基体領域30aの熱暴走防護要件を満たし、K/kが十分に大きい場合、基体領域30aが担う必要のある熱暴走防護要件が比較的小さく、D/dに最大値が存在し、即ちdに最小値が存在し、それにより熱暴走防護要件と両立させると同時に経済性を有し、設計の冗長性を減少させる。
【0177】
発明者は、(K/k)/(D/d)の値を0.04-300に限定することにより、熱防護要件と両立させる前提で防護部材30のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池2のエネルギー密度の損失を小さくし、電池2の安全性を向上させる。
【0178】
図11は本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0179】
図11に示すように、いくつかの実施例では、防護部材30は、軸方向Zに沿って積層して設置される第一の防護板31及び第二の防護板32を含み、第一の防護板31と第二の防護板32とが軸方向Zにおいて重なる部分及び第二の防護板32は、補強領域30bを構成し、第一の防護板31と第二の防護板32とが軸方向Zにおいて重ならない部分は、基体領域30aを構成する。
【0180】
第一の防護板31の材質と第二の防護板32の材質とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0181】
第二の防護板32は、第一の防護板31の放圧機構11に面する一側に設置されてもよく、第一の防護板31の放圧機構11に背向する一側に設置されてもよい。
【0182】
第二の防護板32の数は、一つであってもよく、複数であってもよく、本出願の実施例は、これを制限しない。
【0183】
第二の防護板32は、厚さが均一な平板であってもよく、厚さが不均一な板であってもよい。
【0184】
第一の防護板31と第二の防護板32とが積層することにより、厚みの違いを有する防護部材30を形成する。本実施例は、防護部材30の成形プロセスを簡略化することができる。
【0185】
いくつかの実施例では、第二の防護板32は、放圧機構11に面する第一の防護板31の一側に設置される。
【0186】
本実施例は、防護部材30の放圧機構11から離反する一側の平坦性を向上させることができ、防護部材30と他の部材との固定を容易にする。
【0187】
いくつかの実施例では、第一の防護板31及び第二の防護板32は、いずれも平板構造であり、第一の防護板31の厚さ方向及び第二の防護板32の厚さ方向は、いずれも軸方向Zに平行である。
【0188】
いくつかの実施例では、第二の防護板32の材質は、第一の防護板31の材質と異なる。第一の防護板31と第二の防護板32は、異なる材質を用い、このように異なる材質の特性を合わせて、耐熱衝撃性能がより高い防護部材30を複合することができる。同じ材質で製造された第一の防護板31及び第二の防護板32に比べて、異なる材質で製造された第一の防護板31及び第二の防護板32は、防護部材30の構造をより変化に富むことができる。
【0189】
いくつかの実施例では、第二の防護板32の耐熱衝撃性能は、第一の防護板31よりも優れている。
【0190】
いくつかの実施例では、第二の防護板32の融点は、第一の防護板31の融点よりも高い。例示的に、第二の防護板32の融点は、1000℃よりも高い。本出願の実施例は、第一の防護板31の融点を制限せず、第一の防護板31の融点は、1000℃以上、1000℃以下であってもよい。
【0191】
いくつかの実施例では、第二の防護板32は、第一の防護板31に接着される。
【0192】
図12は本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0193】
図12に示すように、いくつかの実施例では、第一の防護板31は、平板構造であり、第一の防護板31の厚さ方向は、軸方向Zに平行である。放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、第二の防護板32の軸方向Zに沿ったサイズは、中間から両端へ漸減している。
【0194】
第二の防護板32の軸方向Zに沿ったサイズが最も大きい部分は、放圧孔111に対向してもよく、それにより比較的大きな熱衝撃を受け、防護部材30が突き破られるリスクを小さくする。第二の防護板32の両端が受ける熱衝撃は、比較的小さく、比較的小さい厚さを有することができ、第二の防護板32の重量及び体積を小さくし、電池2のエネルギー密度を向上させる。
【0195】
いくつかの実施例では、第二の防護板32は、放圧孔111に面する一側に斜面を形成し、斜面は、ガスの流れを誘導し、第二の防護板32が受ける熱衝撃を小さくすることができる。
【0196】
図13は本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0197】
図13に示すように、いくつかの実施例では、第二の防護板32は、複数であり、複数の第二の防護板32は、間隔を置いて設置される。
【0198】
いくつかの実施例では、第二の防護板32の数は、補強領域30bの数と同じである。
【0199】
いくつかの実施例では、第二の防護板32は、平板構造である。
【0200】
いくつかの実施例では、放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、複数の第二の防護板32は、間隔を置いて設置される。
【0201】
図14は本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0202】
図14に示すように、いくつかの実施例では、第二の防護板32は、複数であり、複数の第二の防護板32は、間隔を置いて設置されるか又は連続的に設置される。
【0203】
いくつかの実施例では、第一の防護板31は、平板構造であり、第一の防護板31の厚さ方向は、軸方向Zに平行である。放圧孔111の軸方向Zに垂直な最大サイズ方向Xにおいて、各第二の防護板32の軸方向Zに沿ったサイズは、中間から両端へ漸減している。
【0204】
図15は本出願の別のいくつかの実施例による電池の一つの構造概略図である。
【0205】
図15に示すように、いくつかの実施例では、第一の壁21aは、電池ユニット10の下側に設置されてもよい。
【0206】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願は、電力消費装置をさらに提供し、以上のいずれか一つの実施例の電池を含み、電池は、電力消費装置に電気エネルギーを提供するために用いられる。電力消費装置は、前述いずれか一つの、電池を応用する機器又はシステムであってもよい。
【0207】
本出願のいくつかの実施例によれば、図3図7を参照すると、本出願は、筐体20と、電池ユニット10と、防護部材30とを含む電池2を提供する。電池ユニット10は、筐体20内に収容される。筐体20は、電池ユニット10の上側に位置する第一の壁21aを含む。電池ユニット10に放圧機構11が設けられ、放圧機構11は、放圧孔111を形成して、電池ユニット10内部の物質を放出するために用いられる。
【0208】
防護部材30は、筐体20内に収容されて第一の壁21aに固定される。防護部材30の少なくとも一部は、第一の壁21aと放圧機構11との間に位置し、且つ放圧孔111の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆うために用いられる。軸方向Zに垂直ないずれか方向において、防護部材30のサイズは、いずれも放圧孔111のサイズよりも大きい。
【0209】
防護部材30の軸方向Zにおいて放圧孔111を覆う部分の、軸方向Zに沿った最小サイズは、Dであり、電池ユニット10が放圧孔111を介して放出するガスの流量は、Gであり、D及びGは、2×10-3mm・s/L≦D/G≦3.3×10-1mm・s/Lを満たす。
【0210】
以下では、実施例を結び付けながら本出願をさらに説明する。
【0211】
本出願の発明目的、技術案及び有益な技術的効果をより明確にするために、以下では、実施例を結び付けながら本出願をさらに詳細に記述する。しかしながら、理解すべきこととして、本出願の実施例は、本出願を解釈するためのものに過ぎず、本出願を限定するものではなく、且つ本出願の実施例は、明細書に示された実施例に限定されるものではない。実施例において具体的な実験条件又は操作条件が明記されていないものは、通常の条件で製造され、又は材料供給業者が推奨する条件で製造される。
【0212】
実施例1:
(i)二つの同じ角形の電池ユニットを製造し、各電池ユニットの長さlは、220mmであり、幅lは、44mmであり、高さlは、100mmである。
【0213】
(ii)一つの電池ユニットが放圧孔を介して放出するガスの流量Gを試験し、Gは、500L/sである。
【0214】
(iii)もう一つの電池ユニットを密閉された筐体内に置き、且つ筐体の電池ユニットの上方に位置する壁(以下、第一の壁という)に防護部材を貼り付け、防護部材は、電池ユニットの放圧機構に対向し且つ放圧孔を覆うために用いられる。防護部材は、平板であり、その厚さDは、1mmであり、その材質は、窒化ホウ素と炭素繊維で構成された複合板である。放圧孔の軸方向において、防護部材と放圧孔との間隔hは、15mmである。
【0215】
(iv)筐体内の電池ユニットの熱暴走をトリガーし、電池ユニットに放圧孔を形成させ且つ物質を外へ放出する。電池ユニットが熱暴走する過程において、電池ユニットから離反する防護部材の表面の複数の部位で温度を測定し、且つ電池ユニットから離反する防護部材の表面の最高温度Tを記録する。
【0216】
(v)電池ユニットの熱暴走が終了した後、筐体を開き、防護部材が突き破れたか否かを観察する。
【0217】
実施例2-9:実施例2-9の試験方法は、実施例1を参照し、実施例2-9と実施例1の違いは、表1に示すようである。例示的に、電池ユニットの化学系を変えることによって、電池ユニットの流量Gを変えてもよい。
【0218】
比較例1-4:比較例1-4の試験方法は、実施例1を参照し、比較例1-4と実施例1の違いは、表1に示すようである。
【0219】
【表1】
【0220】
実施例1-9及び比較例1-2を参照すると、本出願の実施例は、D/Gの値を2×10-3mm・s/L以上に限定し、防護部材が突き破られるリスクを低減させて、電池の熱防護要件を満たすことができる。
【0221】
実施例1-9及び比較例3-4を参照すると、防護部材は、熱量の伝導を遮断し、筐体に伝達される熱量を減少させ、筐体の温度を低減させることができる。D/Gがある程度大きくなると、筐体の温度が需要を満たすようにすることができる。本実施例は、D/Gの値を3.3×10-1mm・s/L以下に限定することにより、防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させる。
【0222】
実施例10:
(i)角形の電池ユニットを製造し、電池ユニットの長さlは、220mmであり、幅lは、44mmであり、高さlは、100mmである。電池ユニットの体積エネルギー密度Eは、500Wh/Lである。
【0223】
(ii)電池ユニットを密閉された筐体内に置き、且つ筐体の電池ユニットの上方に位置する第一の壁に防護部材を貼り付け、防護部材は、電池ユニットの放圧機構に対向し且つ放圧孔を覆うために用いられる。防護部材は、平板であり、その厚さDは、5mmであり、その材質は、窒化ホウ素と炭素繊維で構成された複合板である。放圧孔の軸方向において、防護部材と放圧孔との間隔hは、15mmである。
【0224】
(iii)筐体内の電池ユニットの熱暴走をトリガーし、電池ユニットに放圧孔を形成させ且つ物質を外へ放出する。電池ユニットが熱暴走する過程において、電池ユニットから離反する防護部材の表面の複数の部位で温度を測定し、且つ電池ユニットから離反する防護部材の表面の最高温度Tを記録する。
【0225】
(iv)電池ユニットの熱暴走が終了した後、筐体を開き、防護部材が突き破れたか否かを観察する。
【0226】
実施例11-15:実施例11-15の試験方法は、実施例10を参照すると、実施例11-15と実施例10の違いは、表2に示すようである。例示的に、電池ユニットの化学系を変えることによって、電池ユニットの体積エネルギー密度Eを変えてもよい。
【0227】
比較例5-8:比較例5-8の試験方法は、実施例10を参照すると、比較例5-8と実施例10の違いは、表2に示すようである。
【0228】
【表2】
【0229】
実施例10-15及び比較例5-6を参照すると、本出願の実施例は、D/Eの値を1×10-3mm・L/Wh以上に限定し、防護部材が突き破られるリスクを低減させて、電池の熱防護要件を満たすことができる。
【0230】
実施例10-15及び比較例7-8を参照すると、防護部材は、熱量の伝導を遮断し、筐体に伝達される熱量を減少させ、筐体の温度を低減させることができる。D/Eがある程度大きくなると、筐体の温度が需要を満たすようにすることができる。本実施例は、D/Eの値を10×10-3mm・L/Wh以下に限定することにより、防護部材のサイズ設計の冗長性を減少させ、電池のエネルギー密度の損失を小さくし、電池の安全性を向上させる。
【0231】
実施例16:
(i)二つの同じ角形の電池ユニットを製造し、各電池ユニットの長さlは、220mmであり、幅lは、44mmであり、高さlは、100mmである。
【0232】
(ii)一つの電池ユニットが放圧孔を介して放出するガスの流量Gを試験し、Gは、200L/sである。放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、放圧孔のサイズkは、60mmである。
【0233】
(iii)もう一つの電池ユニットを密閉された筐体内に置き、且つ筐体の電池ユニットの上方に位置する第一の壁に防護部材を貼り付け、防護部材は、電池ユニットの放圧機構に対向し且つ放圧孔を覆うために用いられる。防護部材は、平板であり、その厚さDは、2mmであり、その材質は、窒化ホウ素と炭素繊維で構成された複合板である。放圧孔の軸方向において、防護部材と放圧孔との間隔hは、15mmである。放圧孔の最大サイズ方向において、防護部材のサイズKは、180mmである。
【0234】
(iv)筐体内の電池ユニットの熱暴走をトリガーし、電池ユニットに放圧孔を形成させ且つ物質を外へ放出する。電池ユニットが熱暴走する過程において、防護部材の最大サイズ方向のエッジに近接し且つ防護部材によって覆われていない第一の壁の領域の温度を測定して、最高温度Tを記録する。
【0235】
(v)電池ユニットの熱暴走が終了した後、筐体を開き、防護部材が突き破れたか否かを観察する。
【0236】
実施例17-22:実施例17-22の試験方法は、実施例16を参照すると、実施例17-22と実施例16の違いは、表3に示すようである。例示的に、電池ユニットの化学系を変えることによって、電池ユニットの流量Gを変えてもよい。
【0237】
比較例9-11:比較例9-11の試験方法は、実施例16を参照すると、比較例9-11と実施例16の違いは、表3に示すようである。
【0238】
【表3】
【0239】
実施例16-22及び比較例9を参照すると、K=kの場合、放圧孔を介して放出された一部のガスは、防護部材によって覆われていない第一の壁の領域に発散して作用し、第一の壁の温度を比較的高くする可能性がある。本出願の実施例は、好ましくKをkよりも大きくすることにより、防護部材の防護範囲を増大させ、ガスが第一の壁に直接衝突するリスクを低減させ、第一の壁の温度を小さくし、安全性を向上させる。
【0240】
実施例16-22及び比較例10-11を参照すると、本出願の実施例は、(K/k)/Gの値を3×10-3s/L以上に限定することにより、第一の壁の防護部材によって遮蔽されていない部分の温度を一定の範囲内にすることで、第一の壁が破損するリスクを低減させる。
【0241】
実施例23:
(i)二つの同じ角形の電池ユニットを製造し、各電池ユニットの長さlは、220mmであり、幅lは、44mmであり、高さlは、100mmである。
【0242】
(ii)一つの電池ユニットが放圧孔を介して放出するガスの流量Gを試験し、Gは、15L/sである。放圧孔の軸方向に垂直な最大サイズ方向において、放圧孔のサイズkは、50mmである。
【0243】
(iii)もう一つの電池ユニットを密閉された筐体内に置き、且つ筐体の電池ユニットの上方に位置する第一の壁に防護部材を貼り付け、防護部材は、電池ユニットの放圧機構に対向し且つ放圧孔を覆うために用いられる。防護部材は、中部が厚い構造であり、即ち防護部材は、中部の補強領域及び両側の基体領域を含み、補強領域の厚さDは、2mmであり、基体領域の厚さは、1mmである。防護部材の材質は、窒化ホウ素と炭素繊維からなる複合板である。放圧孔の軸方向において、補強領域は、放圧孔に正対し、且つ補強領域と放圧孔との間隔hは、15mmである。放圧孔の最大サイズ方向において、防護部材のサイズKは、180mmであり、補強領域のサイズKは、60mmであり、各基体領域のサイズは、60mmである。
【0244】
(iv)筐体内の電池ユニットの熱暴走をトリガーし、電池ユニットに放圧孔を形成させ且つ物質を外へ放出する。電池ユニットが熱暴走する過程において、電池ユニットから離反する基体領域の表面の複数の部位で温度を測定し、且つ電池ユニットから離反する基体領域の表面の最高温度Tを記録する。
【0245】
(v)電池ユニットの熱暴走が終了した後、筐体を開き、防護部材が突き破れたか否かを観察する。
【0246】
実施例24-25:実施例24-25の試験方法は、実施例23を参照すると、実施例24-25と実施例23の違いは、表4に示すようである。
【0247】
比較例12-13:比較例12-13の試験方法は、実施例23を参照すると、比較例12-13と実施例23の違いは、表4に示すようである。
【0248】
【表4】
【0249】
実施例24-25及び比較例12-13を参照すると、本出願の実施例は、(K/K)/Gの値を2×10-1s/L以下に限定することにより、補強領域及び基体領域が高温高速物質を遮断して、第一の壁に伝達される熱量を減少させ、第一の壁の温度を低減できるようにした。
【0250】
説明すべきこととして、衝突しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせられてもよい。
【0251】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものでは、なく、前述実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者が理解すべきことは、それは、依然として前記各実施例に記載の技術案に対してを修正を行い、又はそのうちの一部の技術的特徴に対して同等置換を行うことができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させない。
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【国際調査報告】