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特表2025-505068エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-20
(54)【発明の名称】エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/30 20160101AFI20250213BHJP
   C07H 15/256 20060101ALI20250213BHJP
   C07J 17/00 20060101ALI20250213BHJP
   C07H 5/02 20060101ALI20250213BHJP
   C07D 291/06 20060101ALI20250213BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20250213BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20250213BHJP
   B01D 9/02 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
A23L27/30 A
C07H15/256 A
C07J17/00
C07H5/02
C07D291/06
B01D71/02
B01D61/02 500
B01D9/02 602E
B01D9/02 603A
B01D9/02 604
B01D9/02 605
B01D9/02 606
B01D9/02 608A
B01D9/02 610Z
B01D9/02 615A
B01D9/02 617
B01D9/02 618A
B01D9/02 625A
B01D9/02 625B
B01D9/02 625D
B01D9/02 625F
B01D9/02 625E
B01D9/02 619Z
B01D9/02 601G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544517
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2023096372
(87)【国際公開番号】W WO2024139030
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211669958.0
(32)【優先日】2022-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 淑芳
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】張 文瑤
(72)【発明者】
【氏名】楊 武龍
(72)【発明者】
【氏名】呉 強
(72)【発明者】
【氏名】甄 ▲ニー▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 偉冬
【テーマコード(参考)】
4B047
4C057
4C091
4D006
【Fターム(参考)】
4B047LB08
4B047LB09
4B047LE06
4B047LG05
4B047LG06
4B047LG17
4B047LG31
4B047LG32
4B047LP05
4B047LP07
4B047LP20
4C057BB02
4C057BB03
4C057CC02
4C057DD01
4C057JJ53
4C091AA01
4C091BB06
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE06
4C091FF02
4C091FF06
4C091GG01
4C091HH04
4C091JJ01
4C091KK12
4C091LL03
4C091LL06
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA07
4C091PB05
4C091QQ01
4D006GA03
4D006KA72
4D006KB11
4D006KB20
4D006KB30
4D006MC03
4D006PA01
4D006PB20
4D006PC12
(57)【要約】
本発明は、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法を開示する。システムは、配管を介して順次連通する、発酵液貯蔵タンク、セラミック膜ろ過システム、ナノろ過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、糖溶解タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、調和タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、熱風乾燥タンク、流動乾燥層、及び完成品タンクを含み、高甘味度甘味剤貯蔵タンク、一次母液タンク、及び二次母液タンクをさらに含み、発酵液貯蔵タンクに滅菌後のエリスリトール発酵液の供給口が設けられ、調和タンクに高甘味度甘味剤の供給口が設けられ、第1遠心分離機は一次母液タンクに連通し、一次母液タンクは第1蒸発器に連通し、第2遠心分離機は二次母液タンクに連通し、二次母液タンクは調和タンクに連通し、完成品タンクは、製造されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を貯蔵する。本発明の配合結晶は、粒度が集中しており制御可能であり、生産コストを削減させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムであって、
配管を介して順次連通する、発酵液貯蔵タンク、セラミック膜ろ過システム、ナノろ過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、糖溶解タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、調和タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、熱風乾燥タンク、流動乾燥層、及び完成品タンクを含み、高甘味度甘味剤貯蔵タンク、一次母液タンク、及び二次母液タンクをさらに含み、発酵液貯蔵タンクに滅菌後のエリスリトール発酵液の供給口が設けられ、ナノろ過システムに透過液排出口が設けられ、透過液排出口は配管を介して第1蒸発器の供給口に連通し、糖溶解タンクに精製水の給水口画設けられ、調和タンクに高甘味度甘味剤の供給口が設けられ、第1遠心分離機及び第2遠心分離機には固形物排出口及び液状物排出口がそれぞれ設けられ、第1遠心分離機の液状物排出口は配管を介して一次母液タンクの供給口に連通し、一次母液タンクの排出口は配管を介して第1蒸発器の供給口に連通し、第2遠心分離機の液状物排出口は配管を介して二次母液タンクの供給口に連通し、二次母液タンクの排出口は配管を介して調和タンクの1つの供給口に連通し、完成品タンクは、製造されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を貯蔵する、ことを特徴とする製造システム。
【請求項2】
前記高甘味度甘味剤は、ステビオサイド、モグロシド、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテームのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムを使用しており、
発酵液貯蔵タンクに貯蔵された滅菌済みのエリスリトール発酵液を、配管を介してセラミック膜ろ過システムに送って濾過し、次にナノろ過システムに送って分離し、透過液を得て、配管を介して透過液を第1蒸発器に送って濃縮し、次に第1結晶化釜に送って結晶化し、さらに第1遠心分離機に送って遠心分離し、固形物としてエリスリトール単結晶糖及び液状物として一次母液を得て、一次母液を一次母液タンクに仮貯蔵してから配管を介して第1蒸発器にリサイクルして再利用するステップであって、このステップでは、ナノろ過後の透過液は、エリスリトールの含有量が93%以上、光透過率が85%以上である、ステップ1と、
エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンクに投入して溶解し、その後、得た溶解液に対して脱色タンクによる脱色、イオン交換カラムによる不純物除去を施して、調和タンクにおいて高甘味度甘味剤貯蔵タンクから送られてきた高甘味度甘味剤溶液、二次母液タンクから送られてきた二次母液と互いに混合して調和液を得て、さらに配管を介して調和液を第2蒸発器に投入して濃縮し、次に第2結晶化釜に投入して結晶化し、さらに第2遠心分離機に投入して遠心分離して、固形物としてエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖及び液状物として二次母液をそれぞれ得て、二次母液を二次母液タンクに仮貯蔵してから配管を介して調和タンクにリサイクルして再利用するステップであって、このステップでは、イオン交換による不純物除去を受けたイオン交換液は、光透過率が97%以上であり、導電率が30μs/cm未満であり、第2蒸発器による濃縮を受けた調和濃縮液は、屈折率が65~70%であり、エリスリトールの含有量が95~99.9%であり、高甘味度甘味剤の含有量が0.1~5%である、ステップ2と、
得られたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖を、配管を介して熱風乾燥タンクによる熱風乾燥及び流動乾燥層による冷風乾燥を順次施して、完成品タンクに仮貯蔵されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を得るステップ3と、を含む、ことを特徴とするエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法。
【請求項4】
ステップ1では、第1蒸発器による濃縮を受けて得られたエリスリトール濃縮液の屈折率は55~60%であり、第1結晶化釜の結晶化温度は60~65℃である、ことを特徴とする請求項3に記載のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法。
【請求項5】
ステップ2では、第2結晶化釜による結晶化において、撹拌速度を50~100rpm、結晶化温度を60~65℃に設定して、エリスリトール種結晶を加え、種結晶を糖液に均一に分散させた後、温度及び撹拌速度を維持しながら、0.5~2h結晶を成長させ、結晶成長終了後、第2結晶化釜の圧力を150~220mbarに設定して、撹拌しながら蒸発結晶化し、結晶化を2~6h行った時点に、結晶化を停止して釜から取り出し、
エリスリトール種結晶の添加割合は1~5%であり、種結晶の粒度は60~120メッシュである、ことを特徴とする請求項3に記載のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法。
【請求項6】
ステップ3では、熱風乾燥タンク中の熱風の温度は90~100℃とし、流動乾燥層中の冷風の温度は15~30℃とする、ことを特徴とする請求項3に記載のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖アルコール製造の技術分野に属し、特にエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスリトールは、純粋な甘味、低カロリー、非う蝕性、さわやかな口当たりなど、多くの利点を備えた天然の糖アルコール甘味剤であり、その甘味がスクロースの60~70%で、スクロースに比べて甘味が目立たず、味が薄く、苦い後味がある。したがって、エリスリトールを単独で使用する場合のこれらの欠点を解決し、良好な味や低カロリーに対する人々の要求を満たすために、業界では、高甘味度甘味剤又は他の糖アルコールをエリスリトールと配合又は共結晶することがよくある。
【0003】
既存の噴霧造粒技術は、エリスリトールの表面にコーティングをスプレーするか、エリスリトールとその他の高甘味度甘味剤を混合した糖液を直接噴霧して造粒するものであり、この加工方法では、コーティングの剥がれや味のムラなどの問題が存在する。また、共結晶技術を使用して、エリスリトールとその他の高甘味度甘味剤を冷却結晶化又は溶融結晶化し、共結晶製品を得ることもある。例えば、特許公開第CN110179096A号では、溶液冷却結晶化方法を用いてエリスリトール、イヌリン、ステビオサイド、モグロシドを配合し結晶化させており、得られる配合甘味剤は、粒子径が均一で、味が良好である。特許公開第CN103262972A号では、溶融結晶化方法を用いてエリスリトールとスクラロースを共結晶し、即時溶解性が良く、均一な甘味を有する共結晶が得られた。上記の方法は、冷却結晶化を使用するか溶融結晶化を使用するかにかかわらず、配合結晶生成物の粒子径を制御できるかどうかについては言及していない。これは、様々な粒度の製品の製造には不利である。製品の粒度が要求される場合、上記の製品を篩分けして必要な粒度要件の製品を得るしかなく、その結果、生産コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、蒸発結晶化によってエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶を得て、添加されるエリスリトール種結晶の粒度の大きさと撹拌速度とを組み合わせる制御手段によって、得られた配合結晶の粒度を集中して制御可能にし、様々な粒度の製品の生産に有利であり、生産コストを削減させるとともに、エリスリトールの不快な風味を改善し、味を均一にし、エリスリトールが消費者の好みに合わせるようにする、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のように達成される。配管を介して順次連通する、発酵液貯蔵タンク、セラミック膜ろ過システム、ナノろ過システム、第1蒸発器、第1結晶化釜、第1遠心分離機、糖溶解タンク、脱色タンク、イオン交換カラム、調和タンク、第2蒸発器、第2結晶化釜、第2遠心分離機、熱風乾燥タンク、流動乾燥層、及び完成品タンクを含み、高甘味度甘味剤貯蔵タンク、一次母液タンク、及び二次母液タンクをさらに含み、発酵液貯蔵タンクに滅菌後のエリスリトール発酵液の供給口が設けられ、ナノろ過システムに透過液排出口が設けられ、透過液排出口は、配管を介して第1蒸発器の供給口に連通し、糖溶解タンクに精製水の給水口が設けられ、調和タンクに高甘味度甘味剤の供給口が設けられ、第1遠心分離機及び第2遠心分離機には、固形物排出口及び液状物排出口がそれぞれ設けられ、第1遠心分離機の液状物排出口は、配管を介して一次母液タンクの供給口に連通し、一次母液タンクの排出口は、配管を介して第1蒸発器の供給口に連通し、第2遠心分離機の液状物排出口は、配管を介して二次母液タンクの供給口に連通し、二次母液タンクの排出口は、配管を介して調和タンクの1つの供給口に連通し、完成品タンクは、製造されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を貯蔵する、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムを提供する。
【0006】
本発明は以下のように達成される。前記エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムを使用しており、
発酵液貯蔵タンクに貯蔵された滅菌済みのエリスリトール発酵液を、配管を介してセラミック膜ろ過システムに送って濾過し、次にナノろ過システムに送って分離し、透過液を得て、配管を介して透過液を第1蒸発器に送って濃縮し、次に第1結晶化釜に送って結晶化し、さらに第1遠心分離機に送って遠心分離し、固形物としてエリスリトール単結晶糖及び液状物として一次母液を得て、一次母液を一次母液タンクに仮貯蔵してから配管を介して第1蒸発器にリサイクルして再利用するステップであって、このステップでは、ナノろ過後の透過液は、エリスリトールの含有量が93%以上、光透過率が85%以上である、ステップ1と、
エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンクに投入して溶解し、その後、得た溶解液に対して脱色タンクによる脱色、イオン交換カラムによる不純物除去を施して、調和タンクにおいて高甘味度甘味剤貯蔵タンクから送られてきた高甘味度甘味剤溶液、二次母液タンクから送られてきた二次母液と互いに混合して調和液を得て、さらに配管を介して調和液を第2蒸発器に投入して濃縮し、次に第2結晶化釜に投入して結晶化し、さらに第2遠心分離機に投入して遠心分離して、固形物としてエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖及び液状物として二次母液をそれぞれ得て、二次母液を二次母液タンクに仮貯蔵してから配管を介して調和タンクにリサイクルして再利用するステップであって、このステップでは、イオン交換による不純物除去を受けたイオン交換液は、光透過率が97%以上であり、導電率が30μs/cm未満であり、第2蒸発器による濃縮を受けた調和濃縮液は、屈折率が65~70%であり、エリスリトールの含有量が95~99.9%であり、高甘味度甘味剤の含有量が0.1~5%である、ステップ2と、
得られたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖を、配管を介して熱風乾燥タンクによる熱風乾燥及び流動乾燥層による冷風乾燥を順次施して、完成品タンクに仮貯蔵されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を得るステップ3と、を含む、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
従来技術と比べて、本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法は以下の特徴がある。
【0008】
1.本発明により得られるエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶は、粒度が集中しており、制御可能である。
【0009】
2.本発明により得られるエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶は、エリスリトール結晶と外観が類似しており、結晶形が良好である。
【0010】
3.本発明により得られるエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶は、甘味度が調整可能であり、スクロースの0.7~2倍であり、エリスリトール結晶に比べて味が均一で良好である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムの好ましい実施例の原理模式図である。
図2】本発明の各実施例で製造されるエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品の粒度分布の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有利な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される特定の実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0013】
図1に示すように、本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムの好ましい実施例は、配管を介して順次連通する、発酵液貯蔵タンク1、セラミック膜ろ過システム2、ナノろ過システム3、第1蒸発器4、第1結晶化釜5、第1遠心分離機6、糖溶解タンク7、脱色タンク8、イオン交換カラム9、調和タンク10、第2蒸発器11、第2結晶化釜12、第2遠心分離機13、熱風乾燥タンク14、流動乾燥層15、及び完成品タンク16を含み、高甘味度甘味剤貯蔵タンク17、一次母液タンク18、及び二次母液タンク19をさらに含む。図における矢印の方向は、本システムにおける材料の流動方向を表す。
【0014】
発酵液貯蔵タンク1に滅菌後のエリスリトール発酵液の供給口が設けられ、ナノろ過システム3に透過液排出口が設けられ、透過液排出口は、配管を介して第1蒸発器4の供給口に連通する。糖溶解タンク7に精製水の給水口が設けられ、調和タンク10に高甘味度甘味剤の供給口が設けられる。
【0015】
第1遠心分離機6及び第2遠心分離機13には、固形物排出口及び液状物排出口がそれぞれ設けられ、第1遠心分離機6の液状物排出口は、配管を介して一次母液タンク18の供給口に連通し、一次母液タンク18の排出口は、配管を介して第1蒸発器4の供給口に連通する。第2遠心分離機13の液状物排出口は、配管を介して二次母液タンク19の供給口に連通し、二次母液タンク19の排出口は、配管を介して調和タンク10の1つの供給口に連通する。完成品タンクは、製造されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を貯蔵する。
【0016】
滅菌済みのエリスリトール発酵液は供給口から発酵液貯蔵タンク1に入って仮貯蔵される。滅菌済みのエリスリトール発酵液が、セラミック膜ろ過システム2及びナノろ過システム3のそれぞれによって濾過されて、ほとんどの不純物を除去された後、第1蒸発器4による蒸発濃縮、第1結晶化釜5による結晶化、及び第1遠心分離機6による遠心分離を受けて、エリスリトール単結晶糖及び一次母液が得られる。エリスリトール単結晶糖は配管を介して糖溶解タンク7に送られて溶解され、得られた溶解液は、脱色タンク8による脱色、イオン交換カラム9によるイオン交換を順次受けて、調和タンク10で高甘味度甘味剤貯蔵タンク17から送られてきた高甘味度甘味剤溶液、二次母液タンク19から送られてきた二次母液と互いに混合して調和液となり、調和液は、さらに第2蒸発器11による濃縮、第2結晶化釜12による結晶化、第2遠心分離機13による遠心分離、熱風乾燥タンク14による熱風乾燥、流動乾燥層15による冷風乾燥を受けて、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品が得られる。
【0017】
高甘味度甘味剤は、ステビオサイド、モグロシド、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテームのうちの少なくとも1種である。
【0018】
本発明はまた、エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法を開示し、前記製造方法は、前記エリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システムを使用しており、以下のステップを含む。
【0019】
ステップ1:発酵液貯蔵タンク1に貯蔵された滅菌済みのエリスリトール発酵液を、配管を介してセラミック膜ろ過システム2に送って濾過し、次にナノろ過システム3に送って分離し、透過液を得て、配管を介して透過液を第1蒸発器4に送って濃縮し、次に第1結晶化釜5に送って結晶化し、さらに第1遠心分離機6に送って遠心分離し、固形物としてエリスリトール単結晶糖及び液状物として一次母液を得て、一次母液を一次母液タンク18に仮貯蔵してから配管を介して第1蒸発器4にリサイクルして再利用する。このステップでは、ナノろ過後の透過液は、エリスリトールの含有量が93%以上であり、光透過率が85%以上である。
【0020】
ステップ2:エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンク7に投入して溶解し、その後、得た溶解液に対して脱色タンク8による脱色、イオン交換カラム9による不純物除去を施して、調和タンク10において高甘味度甘味剤貯蔵タンク17から送られてきた高甘味度甘味剤溶液、二次母液タンク19から送られてきた二次母液と互いに混合して調和液を得て、さらに配管を介して調和液を第2蒸発器11に投入して濃縮し、次に第2結晶化釜12に投入して結晶化し、さらに第2遠心分離機13に投入して遠心分離して、固形物としてエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖及び液状物として二次母液をそれぞれ得る。二次母液を二次母液タンク19に仮貯蔵してから配管を介して調和タンク10にリサイクルして再利用する。このステップでは、イオン交換による不純物除去を受けたイオン交換液は、光透過率が97%以上であり、導電率が30μs/cm未満である。第2蒸発器11による濃縮を受けた調和濃縮液は、屈折率が65~70%であり、エリスリトールの含有量が95~99.9%であり、高甘味度甘味剤の含有量が0.1~5%である。
【0021】
ステップ3:得られたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合湿潤糖に対して、配管を介して熱風乾燥タンク14による熱風乾燥処理及び流動乾燥層15による冷風乾燥を順次施して、完成品タンク16に仮貯蔵されたエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶製品を得る。
【0022】
具体的には、ステップ1では、第1蒸発器4による濃縮を受けて得られたエリスリトール濃縮液の屈折率は55~60%であり、第1結晶化釜5の結晶化温度は60~65℃である。
【0023】
具体的には、ステップ2では、第2結晶化釜12による結晶化において、撹拌速度を50~100rpm、結晶化温度を60~65℃に設定して、エリスリトール種結晶を加え、種結晶を糖液に均一に分散させた後、温度及び撹拌速度を維持しながら、0.5~2h結晶を成長させる。結晶成長終了後、第2結晶化釜12の圧力を150~220mbarに設定して、撹拌しながら蒸発結晶化し、結晶化を2~6h行った時点に、結晶化を停止して釜から取り出す。エリスリトール種結晶の添加割合は1~5%であり、種結晶粒度は60~120メッシュである。
【0024】
具体的には、ステップ3では、熱風乾燥タンク14中の熱風の温度は90~100℃とし、流動乾燥層15中の冷風の温度は15~30℃とする。
【0025】
以下、特定実施例によって本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造システム及びその方法について説明する。
実施例1
【0026】
本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法の第1実施例は、以下のステップを含む。
【0027】
(11)滅菌済みのエリスリトール発酵液をセラミック膜ろ過システム2、ナノろ過システム3に順次通して、菌体及び他の不純物の一部を除去し、エリスリトールの含有量が93%、光透過率が85%のナノろ過液を得て、ナノろ過液を第1蒸発器4で濃縮し、屈折率が55%のエリスリトール濃縮液を得た。エリスリトール濃縮液を第1結晶化釜5により結晶化温度60℃で蒸発結晶化し、エリスリトール糖ペーストを得た。エリスリトール糖ペーストを第1遠心分離機6で遠心分離し、エリスリトール単結晶糖及び一次遠心分離母液を得た。一次遠心分離母液をナノろ過にリサイクルして再利用した。
【0028】
(12)エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンク7に投入して溶解させ、得た溶解液を脱色タンク8、イオン交換カラム9に順次通して、光透過率が98%、導電率が18μs/cmの脱色イオン交換液を得て、調和タンク10において脱色イオン交換液をステビオサイド溶液と所定の割合で混合して、エリスリトールの含有量が99.84%、ステビオサイドの含有量が0.1%の調和液を得て、調和液を第2蒸発器11に投入して濃縮し、屈折率が66%のエリスリトール・ステビオサイドの調和濃縮液を得た。
【0029】
(13)調和濃縮液を第2結晶化釜12に投入し、撹拌を60rpm、温度を65℃に設定し、粒度60~80メッシュのエリスリトール種結晶を2%の割合で加えた。エリスリトール種結晶を糖液にて均一に分散させた後、温度及び撹拌速度を維持しながら、1h結晶を成長させた。結晶成長終了後、第2結晶化釜12の圧力を18Mpaに設定し、撹拌しながら蒸発結晶化し、4h蒸発結晶化した時点に、結晶化を停止して釜から取り出し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを得た。
【0030】
(14)エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを第2遠心分離機13で分離し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶及び二次母液を得た。配合結晶を90℃で熱風乾燥、30℃で冷風乾燥して、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を得、二次遠心分離母液を調和タンク10にリサイクルして再利用した。
【0031】
本実施例で得られたエリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を篩分けして得た製品の粒度分布を以下の表1に示す。
【0032】
【表1】
表1から分かるように、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品のうち粒度が10~30メッシュの間のものの割合は70.69%であった。
実施例2
【0033】
本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法の第2実施例は、以下のステップを含む。
【0034】
(21)滅菌済みのエリスリトール発酵液をセラミック膜ろ過システム2、ナノろ過システム3に順次通して、菌体及び他の不純物の一部を除去し、エリスリトールの含有量が96%、光透過率が87%のナノろ過液を得て、ナノろ過液を第1蒸発器4で濃縮し、屈折率が60%のエリスリトール濃縮液を得た。エリスリトール濃縮液を第1結晶化釜5により結晶化温度60℃で蒸発結晶化し、エリスリトール糖ペーストを得た。エリスリトール糖ペーストを第1遠心分離機6で遠心分離し、エリスリトール単結晶糖及び一次遠心分離母液を得た。一次遠心分離母液をナノろ過にリサイクルして再利用した。
【0035】
(22)エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンク7に投入して溶解させ、得た溶解液を脱色タンク8、イオン交換カラム9に順次通して、光透過率が99%、導電率が25μs/cmの脱色イオン交換液を得て、調和タンク10において脱色イオン交換液をステビオサイド溶液と所定の割合で混合して、エリスリトールの含有量が99.11%、ステビオサイドの含有量が0.64%、モグロシドの含有量が0.25%の調和液を得て、調和液を第2蒸発器11に投入して濃縮し、屈折率が70%エリスリトール・ステビオサイドの調和濃縮液を得た。
【0036】
(23)調和濃縮液を第2結晶化釜12に投入し、撹拌を100rpm、温度を64℃に設定し、粒度100~120メッシュのエリスリトール種結晶を5%の割合で加えた。エリスリトール種結晶を糖液にて均一に分散させた後、温度及び撹拌速度を維持しながら、0.5h結晶を成長させた。結晶成長終了後、第2結晶化釜12の圧力を20Mpaに設定し、撹拌しながら蒸発結晶化し、6h蒸発結晶化した時点に、結晶化を停止して釜から取り出し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを得た。
【0037】
(24)エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを第2遠心分離機13で分離し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶及び二次母液を得た。配合結晶を95℃で熱風乾燥、22℃で冷風乾燥して、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を得、二次遠心分離母液を調和タンク10にリサイクルして再利用した。
【0038】
本実施例で得られたエリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を篩分けして得た製品の粒度分布を以下の表2に示す。
【0039】
【表2】
表2から分かるように、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品のうち粒度が40メッシュのものの割合は76.2%であった。
実施例3
【0040】
本発明のエリスリトールと高甘味度甘味剤との配合結晶の製造方法の第3実施例は、以下のステップを含む。
【0041】
(31)滅菌済みのエリスリトール発酵液をセラミック膜ろ過システム2、ナノろ過システム3に順次通して、菌体及び他の不純物の一部を除去し、エリスリトールの含有量が95%、光透過率が90%のナノろ過液を得て、ナノろ過液を第1蒸発器4で濃縮し、屈折率が58%のエリスリトール濃縮液を得た。エリスリトール濃縮液を第1結晶化釜5により結晶化温度65℃で蒸発結晶化し、エリスリトール糖ペーストを得た。エリスリトール糖ペーストを第1遠心分離機6で遠心分離し、エリスリトール単結晶糖及び一次遠心分離母液を得た。一次遠心分離母液をナノろ過にリサイクルして再利用した。
【0042】
(32)エリスリトール単結晶糖を糖溶解タンク7に投入して溶解させ、得た溶解液を脱色タンク8、イオン交換カラム9に順次通して、光透過率が99%、導電率が20μs/cmの脱色イオン交換液を得て、調和タンク10において脱色イオン交換液をステビオサイド溶液と所定の割合で混合して、エリスリトールの含有量が95.00%、スクラロースが0.88%、ステビオサイドの含有量が1.12%、モグロシドの含有量が3.0%調和液を得て、調和液を第2蒸発器11に投入して濃縮し、屈折率が68%エリスリトール・ステビオサイドの調和濃縮液を得た。
【0043】
(33)調和濃縮液を第2結晶化釜12に投入し、撹拌を85rpm、温度を65℃に設定し、粒度80~100メッシュのエリスリトール種結晶を1%の割合で加えた。エリスリトール種結晶を糖液にて均一に分散させた後、温度及び撹拌速度を維持しながら、2h結晶を成長させた。結晶成長終了後、第2結晶化釜12の圧力を15Mpaに設定し、撹拌しながら蒸発結晶化し、2h蒸発結晶化した時点に、結晶化を停止して釜から取り出し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを得た。
【0044】
(34)エリスリトール・ステビオサイド配合結晶糖ペーストを第2遠心分離機13で分離し、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶及び二次母液を得た。配合結晶を100℃で熱風乾燥、15℃で冷風乾燥して、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を得、二次遠心分離母液を調和タンク10にリサイクルして再利用した。
【0045】
本実施例で得られたエリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品を篩分けして得た製品の粒度分布を以下の表3に示す。
【0046】
【表3】
表3から分かるように、エリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品のうち粒度が30~50メッシュのものの割合は67.93%であった。
【0047】
実施例1~3で製造されたエリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品の粒度分布をまとめて図2に示す粒度分布図を得た。
【0048】
各実施例で得られたエリスリトール・ステビオサイド配合結晶製品のそれぞれについて味をテストした。一方、スクロース製品、ステビオサイド製品の味と比較した。そのうち、スクロース、ステビオサイドのいずれも濃度7%の糖液を調製し、ここで、濃度7%のスクロースの甘味度が7とされ、味は、1-非常に弱い、2-比較的弱い、3-僅かに弱い、4-一般、5-僅かに強い、6-比較的強い、7-非常に強い、の7つのレベルに分けられる。表4に示すテスト結果が得られた。
【0049】
【表4】
上記は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内で行われたあらゆる修正、同等の置換、及び改良等は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
【国際調査報告】