(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】接着剤及びその製造方法、及びセパレータ、電極アセンブリ、電池セル、電池と電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20250214BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20250214BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20250214BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20250214BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/443 B
H01M50/443 E
H01M50/42
H01M50/426
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570298
(86)(22)【出願日】2023-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 CN2023099972
(87)【国際公開番号】W WO2024146075
(87)【国際公開日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】202310010467.3
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】李雷
(72)【発明者】
【氏名】洪海藝
(72)【発明者】
【氏名】程曉楠
(72)【発明者】
【氏名】楊建瑞
(72)【発明者】
【氏名】汪鵬
(72)【発明者】
【氏名】鄭義
(72)【発明者】
【氏名】孫成棟
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE15
5H021HH01
5H021HH03
(57)【要約】
本出願は、電池技術分野に関し、特に接着剤及びその製造方法、及びこの接着剤を含むセパレータ、電極アセンブリ、電池セル、電池と電力消費装置に関する。接着剤は、コア層構造と、コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、ポリフッ化ビニリデンがホモポリマーであり、結晶度が約50%であり、接着力が不十分であるため、本出願は、ポリフッ化ビニリデンポリマーでポリアクリレート系ポリマーを被覆し、コアシェル構造の接着剤を得ることによって、コアシェル構造の接着剤におけるポリフッ化ビニリデンポリマーの結晶度を改善し、コアシェル構造の接着剤の接着性能を向上させることを実現し、この接着剤によってセパレータと極板との間の接着力を向上させるとともに、シェル層構造は、コア層構造を完全に被覆することで、接着剤の耐酸化能力を向上させ、電池CVフロート充電リーク電流を低減させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤であって、コア層構造と、前記コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、前記コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、前記シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、前記シェル層構造は、前記コア層構造を完全に被覆する、接着剤。
【請求項2】
前記ポリアクリレート系ポリマーと前記ポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、選択的に7μm-8μmである、請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項5】
前記第一の重合柔軟性モノマーと、前記第二の重合極性モノマーと、前記第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)であり、選択的に1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である、請求項4に記載の接着剤。
【請求項6】
前記第一の重合柔軟性モノマーの構造には、エステル結合が含有され、前記第二の重合極性モノマーの構造には、シアノ基が含有され、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アミド結合を含有する、請求項4又は5に記載の接着剤。
【請求項7】
前記第一の重合柔軟性モノマーは、アクリレート系モノマーであり、前記第二の重合極性モノマーは、アクリロニトリル系モノマーであり、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アクリルアミド系モノマーである、請求項4から6のいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項8】
前記アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含む、請求項7に記載の接着剤。
【請求項9】
前記ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の接着剤。
【請求項10】
接着剤の製造方法であって、
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップと、
水、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを前記コア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、コアシェル構造の接着剤を得るステップとを含み、
ここで、前記接着剤のシェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する、接着剤の製造方法。
【請求項11】
前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量と前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である、請求項10に記載の接着剤の製造方法。
【請求項12】
前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデンを含み、
又は、前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つを含む、請求項10又は11に記載の接着剤の製造方法。
【請求項13】
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、
水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得るステップと、
昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップとを含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の接着剤の製造方法。
【請求項14】
セパレータであって、前記セパレータ上には、請求項1から9のいずれか1項に記載の接着剤又は請求項10から13のいずれか1項に記載の接着剤の製造方法によって製造された接着剤が含まれる、セパレータ。
【請求項15】
請求項14に記載のセパレータを含む、電極アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の電極アセンブリを含む、電池セル。
【請求項17】
請求項16に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項18】
請求項16に記載の電池セル又は請求項17に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年01月04日に提出された、出願番号が202310010467.3である中国特許出願の優先権を主張しており、その内容のすべては、援用により本出願に取り込まれる。
【0002】
本出願は、電池技術分野に関し、特に接着剤及びその製造方法、及びセパレータ、電極アセンブリ、電池セル、電池と電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯型電子機器、電気自動車などの急速な増加に伴い、動力電池の需要に対しても絶えずに増えている。ここで、電池の電気化学性能もますます注目を集めている。
【0004】
現在、電池の電池コアは、開口の問題があり、即ち、極板とセパレータとの間には隙間が容易に形成され、それによって電池サイクル性能が悪くなる。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、主に接着剤を提供することを目的としており、この接着剤によってセパレータと極板との間の接着力を向上させることを意図する。
【0006】
上記目的を実現するために、本出願は、接着剤を提供し、前記接着剤は、コア層構造と、前記コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、前記コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、前記シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、前記シェル層構造は、前記コア層構造を完全に被覆する。
【0007】
本出願の接着剤は、コア層構造と、コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、ポリフッ化ビニリデンがホモポリマーであり、結晶度が約50%であり、接着力が不十分であるため、本出願は、ポリフッ化ビニリデンポリマーでポリアクリレート系ポリマーを被覆し、コアシェル構造の接着剤を得ることによって、コアシェル構造の接着剤におけるポリフッ化ビニリデンポリマーの結晶度を改善し、コアシェル構造の接着剤の接着性能を向上させることを実現し、この接着剤によってセパレータと極板との間の接着力を向上させるとともに、シェル層構造は、コア層構造を完全に被覆することで、接着剤の耐酸化能力を向上させ、電池CVフロート充電リーク電流を低減させる。
【0008】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーと前記ポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である。
【0009】
上記に言及されたシェル層がコア層を完全に被覆するコアシェル構造を得るために、コア層構造の質量をシェル層構造の質量以下にし、コア層構造が露出しないように、シェル層構造をコア層構造の表面に完全に被覆させることによって、上記の完全に被覆されるコアシェル構造を得る。ここで、コア層構造の質量がシェル層構造の質量以下であり、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であってもよく、上記1:(1~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0010】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーと前記ポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(2~50)である。
【0011】
シェル層構造の安定性がコア層構造よりも高いこと、及びシェル層構造によって形成される気孔が電解液の浸潤性を向上させるために用いられることに基づいて、シェル層構造の質量をコア層構造の質量よりも大きくすることにより、シェル層構造の質量をより多くし、接着剤の耐電酸化性をさらに向上させることに寄与する。上記1:(2~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:2、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:48、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0012】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーと前記ポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(3~45)である。
【0013】
上記1:(3~45)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:3、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:45などを含むが、それらに限らない。
【0014】
選択的に、前記接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、選択的に7μm-8μmである。
【0015】
理論的には、本出願における接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μmを下回ってもよく、50μmを上回ってもよいが、本出願の接着剤がセパレータに用いられることを考慮すると、接着剤の平均粒径Dv50は、大きすぎたり小さすぎたりすることができず、接着剤が小さすぎると、セパレータの穴道を塞ぎやすく、リチウムイオンのセパレータにおける通過性を低減させ、接着剤が大きすぎると、接着剤をセパレータに塗覆する時、厚いコーティングが形成され、後期に製造される電池のエネルギー密度に影響を与えるため、接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、例えば0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μmなどであってもよく、具体的に限定しない。
【0016】
選択的に、前記接着剤の平均粒径Dv50は、7μm-8μmである。
【0017】
接着剤の平均粒径Dv50は、7μm-8μmであり、得られたセパレータの性能は、優れており、例えば7μm、7.5μm、8μmなどであってもよく、具体的に限定しない。
【0018】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含む。
【0019】
本出願におけるポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含み、三種類のモノマーを架橋反応させて、ポリマーを得ることにより、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0020】
選択的に、前記第一の重合柔軟性モノマーと、前記第二の重合極性モノマーと、前記第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)であり、選択的に1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である。
【0021】
第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比が1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)である場合、接着剤の接着効果が優れており、上記1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:0.01:0.01、1:0.1:0.01、1:0.4:0.01、1:0.8:0.01、1:0.01:0.05、1:0.01:0.1、1:0.01:0.15、1:0.1:0.01、1:0.1:0.05、1:0.1:0.15、1:0.4:0.01、1:0.4:0.05、1:0.4:0.15、1:0.8:0.01、1:0.8:0.05、1:0.8:0.15などを含むが、それらに限らない。
【0022】
選択的に、前記第一の重合柔軟性モノマーと、前記第二の重合極性モノマーと、前記第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である。
【0023】
第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比が1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である場合、接着剤の接着効果が優れており、上記1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:0.05:0.05、1:0.1:0.05、1:0.4:0.05、1:0.7:0.05、1:0.1:0.05、1:0.1:0.1、1:0.1:0.12などを含むが、それらに限らない。
【0024】
選択的に、前記第一の重合柔軟性モノマーの構造には、エステル結合が含有され、前記第二の重合極性モノマーの構造には、シアノ基が含有され、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アミド結合を含有する。
【0025】
エステル結合は、分子鎖の柔軟性を向上させることができ、シアノ基は、モノマーの極性を向上させることができ、アミド結合は、極性を有し、水素結合を形成しやすく、接着性を向上させることができる。第一の重合柔軟性モノマーの構造にエステル結合が含有され、第二の重合極性モノマーの構造にシアノ基が含有され、第三の重合分子量調整モノマーがアミド結合を含有することにより、上記三種類のモノマーを重合して得られたポリマーは、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0026】
選択的に、前記第一の重合柔軟性モノマーは、アクリレート系モノマーであり、前記第二の重合極性モノマーは、アクリロニトリル系モノマーであり、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アクリルアミド系モノマーである。
【0027】
アクリレート系モノマーは、ポリマーの耐膨潤性を向上させることができるとともに、分子セグメントにおける柔軟性モノマーセグメントとしてポリマーのガラス化転移温度を調整し、接着剤の塗布時の靱性を改善することができ、良好な接着作用を発揮することに寄与する。
【0028】
アクリロニトリル系モノマーは、極性の強いシアノ基を有し、イオン伝導率を向上させ、接着性を向上させることに寄与する。
【0029】
アクリルアミド系モノマーは、分子量を調整する役割を果たすとともに、比較的に良い接着性も有する。
【0030】
上記三種類のモノマーによって製造して得られたポリマーは、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0031】
選択的に、前記アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含む。
【0032】
アクリレート系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含んでもよく、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリレート系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリレート系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0033】
アクリロニトリル系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリロニトリル系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリロニトリル系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0034】
アクリルアミド系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリルアミド系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリルアミド系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0035】
選択的に、前記ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含む。
【0036】
ポリフッ化ビニリデンポリマーは、良好な耐化学薬品性と耐腐食性を有することに加えて、耐高温性、耐酸化性、耐候性、耐放射線性などの特殊性能、例えば圧電性、誘電性、と熱電特性も有し、リチウムイオン電池セパレータによく用いられる。
【0037】
本出願に使用されるポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリフッ化ビニリデンポリマーは、上記の一つのポリフッ化ビニリデンポリマーを含んでもよく、上記の複数のポリフッ化ビニリデンポリマーを含んでもよく、具体的に限定しない。
【0038】
本出願は、接着剤の製造方法を提供し、
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップと、
水、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを前記コア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、コアシェル構造の接着剤を得るステップとを含み、
ここで、前記接着剤のシェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する。
【0039】
本出願は、乳化重合の方式でまずコア層のポリアクリレート系ポリマーを得、そして乳化重合の方式で、コア層構造の表面にシェル層を得るポリフッ化ビニリデンポリマーを製造し、最終的にコアシェル構造を有する接着剤を形成する。
【0040】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量と前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である。
【0041】
上記に言及されたシェル層がコア層を完全に被覆するコアシェル構造を得るために、コア層構造の質量をシェル層構造の質量以下にし、コア層構造が露出しないように、シェル層構造をコア層構造の表面に完全に被覆させることによって、上記の完全に被覆されるコアシェル構造を得る。ここで、コア層構造の質量がシェル層構造の質量以下であり、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であってもよく、上記1:(1~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0042】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量と前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(2~50)である。
【0043】
シェル層構造の安定性がコア層構造よりも高いこと、及びシェル層構造によって形成される気孔が電解液の浸潤性を向上させるために用いられることに基づいて、シェル層構造の質量をコア層構造の質量よりも大きくすることにより、シェル層構造の質量をより多くし、接着剤の耐電酸化性をさらに向上させることに寄与する。上記1:(2~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:2、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:48、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0044】
選択的に、前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量と前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(3~45)である。
【0045】
上記1:(3~45)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:3、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:45などを含むが、それらに限らない。
【0046】
選択的に、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、
水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得るステップと、
昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップとを含む。
【0047】
1ロットの開始剤を滴下することにより、滴下が過剰になり、爆発的に重合することを回避するために、昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得ることを採用する。
【0048】
選択的に、前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデンを含み、
又は、前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つを含む。
【0049】
ポリフッ化ビニリデンポリマーとは、フッ化ビニリデンをモノマーとするポリマーであり、なお、ポリフッ化ビニリデンポリマーのモノマーは、フッ化ビニリデンに加えて、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つをさらに含む。即ち、ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであってもよく、フッ化ビニリデンと他のフッ素含有エチレンとの共重合体であってもよく、具体的に限定しない。
【0050】
本出願は、セパレータを提供し、前記セパレータ上には、上記の接着剤又は上記のような接着剤の製造方法によって製造して得られた接着剤が含まれる。
【0051】
セパレータ上には上記の接着剤が塗覆されており、極板と接着剤との間の接着性能を向上させ、従来の電池コアの予冷間プレスのプロセスの開口の問題を改善することができる。
【0052】
本出願の実施例は、電極アセンブリを提供し、前記電極アセンブリは、上記のセパレータを含む。
【0053】
電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、セパレータとを含み、この接着剤は、セパレータ上に塗覆され、それによって極板とセパレータとが接着され、極板とセパレータとの開口の問題が改善される。
【0054】
本出願の実施例は、電池セルを提供し、前記電池セルは、上記のような電極アセンブリを含む。
【0055】
上記電極アセンブリを電池セルに応用することで、電池セルの大治具のサイクル性能を向上させることができる。
【0056】
本出願の実施例は、電池を提供し、前記電池は、上記の電池セルを含む。
【0057】
本出願の実施例は、電力消費装置を提供し、前記電力消費装置は、上記の電池セル又は上記の電池を含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本出願の実施例又は従来の技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例又は従来の技術記述において使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下の記述における図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に示す構造に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願の実施例による接着剤の製造方法のフローチャートである。
【
図2】本出願の実施例による接着剤の製造方法のフローチャートである。
【
図3】本出願の実施例による接着剤のコアシェル構造概略図である。
【
図4】本出願の実施例による接着剤の走査電子顕微鏡図である。
【
図5】本出願の実施例による電極アセンブリの概略図である。
【
図6】
図5に示す本出願の実施例による電極アセンブリの分解図である。
【
図7】本出願の実施例による電池モジュールの概略図である。
【
図8】本出願の実施例による電池パックの概略図である。
【
図9】
図8に示す本出願の実施例による電池パックの分解図である。
【
図10】本出願の実施例による電極アセンブリが電源として使用される電力消費装置の概略図である。 本出願の目的の実現、機能的特徴及び利点は、実施例を結び付けながら、図面を参照してさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述し、明らかに、記述された実施例は、ただ本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0060】
以下、図面を適当に参照しながら、本出願の接着剤及びその製造方法、及びこの接着剤を含むセパレータ、電極アセンブリ、電池セル、電池と電力消費装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。しかしながら、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載されたテーマを限定するものではない。
【0061】
本出願に開示された「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、与えられた範囲は、一つの下限と一つの上限を選定することで限定されるものであり、選定された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定した。このように限定される範囲は、端値を含むか又は含まないものであってもよく、且つ任意の組み合わせが可能であり、即ち任意の下限は、任意の上限と組み合わせて、一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60-120と80-110の範囲がリストアップされている場合、60-110と80-120の範囲も想定できると理解される。なお、最小範囲値として1と2がリストアップされており、最大範囲値として3、4及び5がリストアップされている場合、1-3、1-4、1-5、2-3、2-4と2-5という範囲がすべて想定できる。本出願では、特に断りのない限り、「a-b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0-5」は、本明細書においてすでに「0-5」の間のすべての実数をリストアップしたことを表し、「0-5」は、これらの数値の組み合わせの短縮表現だけである。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現すると、このパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0062】
特に説明しない場合、本出願のすべての実施の形態及び選択的な実施の形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0063】
特に説明しない場合、本出願のすべての技術的特徴及び選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0064】
特に説明しない場合、本出願のすべてのステップは、順番に行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順番に行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が、順番に行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順番に行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含んでもよいことは、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0065】
特に説明しない場合、本出願に言及された「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含むか又は包含してもよく、リストアップされている成分のみを含むか又は包含してもよいことを表してもよい。
【0066】
特に説明しない場合、本出願では、用語である「又は」は包括的である。例を挙げると、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」を満たしている。
【0067】
電池の電池コアは、開口の問題があり、即ち、極板とセパレータとの間には隙間が容易に形成され、それによって電池サイクル性能が悪くなる。
【0068】
例えば、ポリフッ化ビニリデンは、最もよく使われる接着剤として、セパレータに広く応用されているが、現段階ではポリフッ化ビニリデンの価格上昇幅が激しく、市場供給が逼迫している。ポリフッ化ビニリデンポリマーをリチウム電池セパレータの表面に塗覆することで、セパレータの高温収縮性問題を部分的に解決することができ、電池コアを捲回した後に冷間プレスを行うが、一般的なポリフッ化ビニリデンがホモポリマーであり、結晶度が約50%であり、正負極極板との接着力が不足しており、電池コアの開口問題がよく発生し、動力リチウムイオン電池の塗覆セパレータ性能に対する需要を満たすことができない。
【0069】
即ち、ポリフッ化ビニリデンポリマーをリチウム電池セパレータの表面に塗覆することで、セパレータの高温収縮性問題を部分的に解決することができ、電池コアを捲回した後に冷間プレスを行うが、一般的なポリフッ化ビニリデンがホモポリマーであり、結晶度が約50%であり、正負極極板との接着力が不足しており、電池コアの開口問題がよく発生する。電池コアに開口が発生することによって極板とセパレータとの間に隙間が形成され、電池コア全体の構造が緩み、電池コアの硬度が低下し、電池コアのサイクル性能が悪くなる。
【0070】
電池コアは、正負極極板とセパレータとを接着して形成され、電池コアは、一定の硬度を有し、即ち、接着された正負極極板とセパレータとが互いに密着して支持され、一定の厚さを有する構造を形成するため、一定の厚さの構造は、一定の硬度を有し、負極が充放電中に膨張が発生し、接着力が弱いと、正負極極板とセパレータとの間に隙間が形成され、正負極極板とセパレータは、互いに密着して支持されることができず、電池コアが緩み、硬度が低くなり、この時、電池コアの動力性能が悪くなり、例えばレート性能が低下するとともに、サイクル性能が悪くなる。例えば、電気自動車では、電池の電池コアが緩み、電池の充電速度が遅くなるとともに、電池のサイクル性能が悪くなり、直接に電池寿命が短くなることを引き起こし、電気自動車は、頻繁に電池を交換する必要があり、消費者の電気自動車でのコストが増加する。
【0071】
なお、接着剤が電池セパレータに応用されており、電池環境が複雑であり、接着剤の安定性が悪いため、接着剤が一定の電圧又は温度で破壊され、例えば一定の場合に発生するCVフロート充電リーク電流現象の原因となる。CVフロート充電リーク電流とは、電池を4.4v以上の電圧と60℃-70℃の温度で充電すると、接着剤がこの条件で酸化され、接着剤構造が破壊され、接着性能が弱まることを引き起こし、電流がリークする現象である。
【0072】
これに基づいて、本出願は、接着剤を提供し、接着剤は、コア層構造と、コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、シェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する。
【0073】
接着剤とは、異なる物質を接着するための接着性能を有する材料である。
【0074】
コアシェル構造とは、中心のコアと外層を被覆するシェルからなるものである。
【0075】
コア層構造は、コアシェル構造において、内部に位置し、外層のシェルで被覆される構造をコア層構造とする。
【0076】
シェル層構造は、コアシェル構造において、外部に位置し、コア層構造の表面を被覆する構造をシェル層構造とする。
【0077】
ポリアクリレート系ポリマーは、アクリレート系をモノマーのポリマーとする。
【0078】
ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンをモノマーのポリマーとする。
【0079】
シェル層構造がコア層構造を完全に被覆することとは、ポリアクリレート系ポリマーをコアとする構造の表面全体がポリフッ化ビニリデンポリマーをシェルとする構造で被覆されることであり、ポリアクリレート系ポリマーの構造が露出することを回避し、この接着剤を電池に応用する時にポリアクリレート系ポリマーが露出し、ポリアクリレート系ポリマーが酸化され、接着剤の接着性能が悪くなることを回避する。
【0080】
本出願は、ポリフッ化ビニリデンポリマーでポリアクリレート系ポリマーを被覆し、コアシェル構造の接着剤を得ることによって、コアシェル構造の接着剤におけるポリフッ化ビニリデンポリマーの結晶度を改善し、コアシェル構造の接着剤の接着性能を向上させることを実現し、この接着剤によってセパレータと極板との間の接着力を向上させる。本出願の接着剤により、接着性能が良く、極板の膨張中に極板とセパレータとが分離することがなく、電池コアの良好な硬度を維持し、電池コアの動力学性能とサイクル性能を向上させる。同時に、シェル層構造は、コア層構造を完全に被覆し、ポリフッ化ビニリデンポリマーの安定性がポリアクリレート系ポリマーの安定性よりも優れるため、ポリアクリレート系ポリマーをコアとする構造の表面全体がポリフッ化ビニリデンポリマーをシェルとする構造で被覆されることにより、ポリアクリレート系ポリマーの構造が酸化破壊されることを回避し、接着剤の耐電酸化性を向上させ、電池CVフロート充電リーク電流現象を低減させる。
【0081】
理論的には、結晶度の増加に伴い、分子鎖の配列が緊密で秩序があり、空隙率が低く、分子間の相互作用力が増加し、セグメントの運動が困難になり、ポリマーの降伏応力、強度、モジュラスと硬度などがいずれも向上するが、破断伸びと衝撃靱性が低下し、明らかに結晶化によりポリマーが硬く脆くなるとともに、接着性能も低下する。
【0082】
本出願は、ポリフッ化ビニリデンポリマーでポリアクリレート系ポリマーを完全に被覆し、純粋なポリフッ化ビニリデンに比べて、本出願のコアシェル構造の接着剤全体の結晶度が低下し、接着性能が改善されており、このコアシェル構造の接着剤を使用することでセパレータと極板との間の接着力を向上させ、電池コアの開口の問題を回避することができる。同時に、結晶度が低下し、接着剤における分子構造の無秩序性が高くなり、空隙率が高くなり、さらにこの接着剤の液体への浸潤性を向上させ、この接着剤をセパレータ上に塗覆することで、セパレータの電解液への浸潤性を向上させ、電池のサイクル性能を向上させることに有利である。
【0083】
図3と
図4に示すように、
図3は、本出願の接着剤のコアシェル構造概略図であり、内層は、コア層構造6であり、外層は、シェル層構造7であり、シェル層構造は、コア層構造を完全に被覆しており、
図4は、接着剤の走査電子顕微鏡図であり、シェル層構造がコア層構造を完全に被覆していることが明らかになった。
【0084】
理解できるように、ポリフッ化ビニリデンポリマーシェル層とポリアクリレート系ポリマーコア層の表面の官能基は、架橋反応が発生せず、コア層とシェル層との間は、主にイオン結合メカニズムであり、イオン結合、ファンデルワールス力などの作用により、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー上に吸着させる。
【0085】
いくつかの実施の形態では、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である。
【0086】
上記に言及されたシェル層がコア層を完全に被覆するコアシェル構造を得るために、コア層構造の質量をシェル層構造の質量以下にし、コア層構造が露出しないように、シェル層構造をコア層構造の表面に完全に被覆させることによって、上記の完全に被覆されるコアシェル構造を得る。ここで、コア層構造の質量がシェル層構造の質量以下であり、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であってもよく、上記1:(1~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0087】
質量比試験方法は、接着剤の製造過程において、反応過程で投入される、コア層構造を製造するためのモノマー質量をmとして、シェル層構造を製造するためのモノマー質量をnとして記録すると、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、m:nである。
【0088】
いくつかの実施の形態では、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(2~50)である。
【0089】
シェル層構造の安定性がコア層構造よりも高いこと、及びシェル層構造によって形成される気孔が電解液の浸潤性を向上させるために用いられることに基づいて、シェル層構造の質量をコア層構造の質量よりも大きくすることにより、シェル層構造の質量をより多くし、接着剤の耐電酸化性をさらに向上させることに寄与する。上記1:(2~50)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:2、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:48、1:50などを含むが、それらに限らない。
【0090】
いくつかの実施の形態では、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(3~45)である。
【0091】
上記1:(3~45)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:3、1:8、1:12、1:16、1:18、1:22、1:26、1:32、1:36、1:42、1:45などを含むが、それらに限らない。
【0092】
いくつかの実施の形態では、接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、選択的に7μm-8μmである。
【0093】
接着剤の体積平均粒Dv50は、当分野に公知の方法を用いて試験することができる。例としては、GB/T 19077-2016を参照して、マルバーンマスターサイザーを用いて特徴付け試験を行い、例えばMalvernのMastersizer-3000などの機器を用いて試験を行うことができる。
【0094】
理論的には、本出願における接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μmを下回ってもよく、50μmを上回ってもよいが、本出願の接着剤がセパレータに用いられることを考慮すると、接着剤の平均粒径Dv50は、大きすぎたり小さすぎたりすることができず、接着剤が小さすぎると、セパレータの穴道を塞ぎやすく、リチウムイオンのセパレータにおける通過性を低減させ、接着剤が大きすぎると、接着剤をセパレータに塗覆する時、厚いコーティングが形成され、後期に製造される電池のエネルギー密度に影響を与えるため、接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、上記0.5μm-50μmにおいて、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μmなどを含むが、それらに限らない。
【0095】
いくつかの実施の形態では、接着剤の平均粒径Dv50は、7μm-8μmである。
【0096】
接着剤の平均粒径Dv50は、7μm-8μmであり、得られたセパレータの性能は、優れており、上記7μm-8μmにおいて、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び7μm、7.5μm、8μmなどを含むが、それらに限らない。
【0097】
いくつかの実施の形態では、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含む。
【0098】
柔軟性モノマーについて、柔軟性モノマーのホモポリマーガラス化温度は、剛性モノマーのホモポリマーガラス化温度よりも低く、柔軟性モノマーは、剛性基に対して、一定の柔軟性を有し、セグメントが自由に運動することができ、柔軟性モノマーセグメントは、ポリマーのガラス化転移温度を調整し、接着剤の塗布時の靱性を改善することができ、良好な接着作用を発揮することに寄与する。
【0099】
極性モノマーは、モノマーに極性基が含有されるモノマーであり、極性モノマーは、ポリマーの接着性を向上させることに寄与する。
【0100】
分子量調整モノマーは、架橋反応に関与するモノマーであり、ポリマーの分子量を調整するために用いられ、接着剤の分子量が一定の範囲内にあることは、接着性を向上させることに寄与する。
【0101】
本出願におけるポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含み、三種類のモノマーを架橋反応させて、ポリマーを得ることにより、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0102】
改質されたポリマーの軟化点が純ポリフッ化ビニリデン系ポリマーよりも低く、電池コアが予冷間プレスを行う時、接着剤は、正負極極板とセパレータとの隙間内に十分に浸透することができ、即ち、極板とセパレータに隙間があり、接着性が隙間に浸透し、極板とセパレータとを効果的に接続し、接着剤が隙間から離脱しにくく、極板の膨張中に、接着剤は、靱性を有し、膨張時にも接着剤は、両者を効果的に接続することができ、接着剤は、その接着性能を十分に発揮できるようになり、さらに電池の動力学性能と大治具のサイクル性能を改善することに寄与する。
【0103】
ここで、軟化点とは、物質が軟化する温度である。高分子ポリマーの構造に関連するだけでなく、その分子量の大きさにも関連し、本出願では、第三の重合分子量調整モノマーによってポリマーの分子量を調整することにより、ポリマーの軟化点を改善する。
【0104】
ここで、大治具のサイクル性能は、電池コアの一つのサイクル機能的試験性能であり、試験過程において、電池コアに治具を加え、一定の力を用いて治具に印加し、電池コアを押圧すると、電池コアが満充電になったら膨張が発生し、治具のクランプ力と膨張力の二重押圧で、電池コアが変形し、この試験は、電池コアの形状保持性能と耐圧性能を試験するために用いられ、本方案の接着剤を採用する場合、接着性能が良いため、電池コアの膨張が弱まり、電池コアの形状保持が比較的に良く、本出願の接着剤を採用する電池コアは、大治具の試験条件で、性能保持が比較的に良く、本方案の接着剤を採用して得られた電池コアが、変形保持性に優れることを説明し、電池コアを組み立てて電池を形成すると、電池コアが変形しにくいため、電池において電池コアを取り付けるための空間を節約することができ、このように、電池の体積をより小さくすることができる。従って、電池コアが変形しやすい場合、電池コア付近の構造を押圧することになり、この現象を回避するために、変形後の電池コアを収容するためにより大きな空間が必要となり、即ち、電池コアの変形部分を収容するために電池における空間を予約する必要があり、それによって、電池内の空間がより多く占有される。
【0105】
同時に、電池コアの大治具のサイクル性能が良いことは、電池コアのサイクル性能が良いことも説明し、例えば電池コアが膨張すると、極板とセパレータとの間の隙間が大きくなり、リチウムイオンが正負極を通過する経路が長くなり、サイクルが悪くなる。
【0106】
いくつかの実施の形態では、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)であり、選択的に1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である。
【0107】
モル比の試験方法は、接着剤の製造過程において、反応過程で投入されるシェル層構造を製造するための各種類のモノマーのモル数を記録し、ここで、各種類のモノマーのモル数は、各種類のモノマーの質量を各種類のモノマーの分子量で割ったものであり、第一の重合柔軟性モノマーのモル数をa、第二の重合極性モノマーのモル数をb、第三の重合分子量調整モノマーのモル数をcとして定義すると、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、a:b:cである。
【0108】
第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比が1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)である場合、接着剤の接着効果が優れており、上記1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:0.01:0.01、1:0.1:0.01、1:0.4:0.01、1:0.8:0.01、1:0.01:0.05、1:0.01:0.1、1:0.01:0.15、1:0.1:0.01、1:0.1:0.05、1:0.1:0.15、1:0.4:0.01、1:0.4:0.05、1:0.4:0.15、1:0.8:0.01、1:0.8:0.05、1:0.8:0.15などを含むが、それらに限らない。
【0109】
いくつかの実施の形態では、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である。
【0110】
第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとのモル比が1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である場合、接着剤の接着効果が優れており、上記1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)において、値は、この範囲の最小値及び最大値、及びこのような最小値と最大値との間の各値を含み、具体的な例は、実施例におけるポイント値及び1:0.05:0.05、1:0.1:0.05、1:0.4:0.05、1:0.7:0.05、1:0.1:0.05、1:0.1:0.1、1:0.1:0.12などを含むが、それらに限らない。
【0111】
いくつかの実施の形態では、第一の重合柔軟性モノマーの構造には、エステル結合(-COOR(Rは、一般的にアルキル基などの他の非H基である))が含有され、第二の重合極性モノマーの構造には、シアノ基(-C三N)が含有され、第三の重合分子量調整モノマーは、アミド結合(-CO-NH-)を含有する。
【0112】
エステル結合は、分子鎖の柔軟性を向上させることができ、シアノ基は、モノマーの極性を向上させることができ、アミド結合は、極性を有し、水素結合を形成しやすく、接着性を向上させることができる。第一の重合柔軟性モノマーの構造にエステル結合が含有され、第二の重合極性モノマーの構造にシアノ基が含有され、第三の重合分子量調整モノマーがアミド結合を含有することにより、上記三種類のモノマーを重合して得られたポリマーは、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0113】
いくつかの実施の形態では、第一の重合柔軟性モノマーは、アクリレート系モノマーであり、第二の重合極性モノマーは、アクリロニトリル系モノマーであり、第三の重合分子量調整モノマーは、アクリルアミド系モノマーである。
【0114】
アクリレート系モノマーは、ポリマーの耐膨潤性を向上させることができるとともに、分子セグメントにおける柔軟性モノマーセグメントとしてポリマーのガラス化転移温度を調整し、接着剤の塗布時の靱性を改善することができ、良好な接着作用を発揮することに寄与する。
【0115】
アクリロニトリル系モノマーは、極性の強いシアノ基を有し、イオン伝導率を向上させ、接着性を向上させることに寄与する。
【0116】
アクリルアミド系モノマーは、分子量を調整する役割を果たすとともに、比較的に良い接着性も有する。
【0117】
上記三種類のモノマーによって製造して得られたポリマーは、ポリマーの分子量とガラス化転移温度を制御することができ、それによって接着剤の接着性能を改善する。
【0118】
いくつかの実施の形態では、アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含み、及び/又は、アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、及び/又は、アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含む。
【0119】
アクリレート系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含んでもよく、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリレート系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリレート系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0120】
アクリロニトリル系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリロニトリル系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリロニトリル系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0121】
アクリルアミド系モノマーに基づけば、接着剤の接着性の改善に寄与し、アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーには、上記の一つのアクリルアミド系モノマーが含まれてもよく、上記の複数のアクリルアミド系モノマーが含まれてもよく、具体的に限定しない。
【0122】
いくつかの実施の形態では、ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含む。
【0123】
ポリフッ化ビニリデンポリマーは、良好な耐化学薬品性と耐腐食性を有することに加えて、耐高温性、耐酸化性、耐候性、耐放射線性などの特殊性能、例えば圧電性、誘電性、と熱電特性も有し、リチウムイオン電池セパレータによく用いられる。
【0124】
本出願に使用されるポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含み、即ち、ポリフッ化ビニリデンポリマーは、上記の一つのポリフッ化ビニリデンポリマーを含んでもよく、上記の複数のポリフッ化ビニリデンポリマーを含んでもよく、具体的に限定しない。
【0125】
図1に示すように、本出願は、接着剤の製造方法をさらに提供し、
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップと、
水、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをコア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、コアシェル構造の接着剤を得るステップとを含み、
ここで、接着剤のシェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する。
【0126】
本出願は、乳化重合の方式でまずコア層のポリアクリレート系ポリマーを得、そして乳化重合の方式で、コア層構造の表面にシェル層を得るポリフッ化ビニリデンポリマーを製造し、最終的にコアシェル構造を有する接着剤を形成する。
【0127】
乳化重合について、乳化重合とは、モノマーが乳化剤と機械攪拌により、モノマーを水中に分散させてエマルジョンを形成し、さらに開始剤を添加してモノマー重合を開始することである。
【0128】
乳化剤について、乳化剤とは、相溶しない油と水を、層状になりにくいエマルジョンに変換できるような物質である。乳化剤は、一般的にいくつかの親水性の極性基と疏水性(親油性)の非極性基の両方の性質を両立させる表面活性剤である。
【0129】
開始剤について、開始剤とは、モノマーの重合反応を開始させることができる物質である。例えば、ラジカル開始剤とは、熱によりラジカル(即ち一次ラジカル)に分解されやすいような化合物であり、エン系、ジエン系モノマーのラジカル重合と共重合反応を開始させるために用いられてもよい。
【0130】
コアシェル構造とは、中心のコアと外層を被覆するシェルからなるものである。
【0131】
シードエマルジョンは、まず少量のモノマーを一般的な乳化重合法によりシードラテックスを製造し、そして少量のシードラテックスを、正式な乳化重合の処方に添加し、シードエマルジョンのラテックス粒子をコアとして、重合反応を行い、ラテックス粒子を絶えず成長させていく。
【0132】
プレエマルジョンとは、モノマーを予備乳化して得られた溶液であり、乳化とは、液体が極めて微小な液滴で相溶しない別の液体に均一に分散させる作用であり、水、乳化剤とポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを乳化剤の作用で水に分散させる。
【0133】
記述の便宜上、上記接着剤の製造方法では、記載された段落の順序に従って、上記製造方法の過程をステップ1、ステップ2とステップ3と区分して定義し、当業者であれば理解できるように、具体的な実施例の上記方法では、各ステップの記載順序は、厳密な実行順序を意味して実施過程に対していかなる限定を構成するものではなく、各ステップの具体的な実行順序は、その機能と可能な内在論理によって決定されるべきである。
【0134】
ステップ1において、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、水と乳化剤を攪拌して分散させた後にエマルジョンを形成し、即ち乳化剤が水相においてミセルを形成し、大部分のミセルにモノマーを可溶化して、温度が上昇した条件で、開始剤は、ミセル内部でモノマーの重合を開始し、コア層シードエマルジョンを得、ステップ2において、乳化剤と水を同様に分散させてエマルジョンを形成し、一定の圧力で、モノマーがミセルの反応系に入り、温度が上昇した条件で、開始剤は、反応系に入ってモノマーの重合反応を開始し、ここで、ステップ2は、ステップ1のコア層シードエマルジョンにおいて反応を行い、ステップ2で形成されるポリフッ化ビニリデンポリマーをステップ1におけるポリアクリレート系ポリマーの表面に付着させることによって、コアシェル構造の接着剤を形成するとともに、接着剤のシェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する。ステップ2において、ポリフッ化ビニリデンの分散重合及びコア化メカニズムは、オリゴマーコア化メカニズムに属し、同じ転化率で、開始剤又は乳化剤の含有量を増加させることによってより小さいポリフッ化ビニリデン系ラテックス粒子の粒径を得ることができる。
【0135】
ステップ2において、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーがガス状態であり、常圧ではミセルに入りにくいため、加圧の方式でガス状態のモノマーをミセルに入れ、反応を効率的に進行させる。
【0136】
ステップ1とステップ2における開始剤がモノマー重合を開始する機能を有するように変換するために一定の温度が必要であるため、ステップ1とステップ2は、いずれも加熱条件で行われる。
【0137】
同時に、ステップ2における水の質量が0以上であることは、ステップ2において水を加えてもよく、水を加えなくてもよいことであり、理解できるように、ステップ1において水が十分に添加されている場合、即ち、ステップ1で加えられた水によりステップ1とステップ2の反応終了後の固形分が予め設定される範囲内になることが可能である場合、ステップ2において水を加えなくてもよく、ステップ1において水が十分に添加されていない場合、ステップ2において、反応後の粘度が大きくなり、反応レートが遅くなるのを防止するように、系の固形分を調整するために、一定量の水を添加する必要がある。
【0138】
理解できるように、ステップ1とステップ2における攪拌レートは、1000r/min-5000r/minであり、例えば1000r/min、2000r/min、3000r/min、4000r/min、5000r/minなどであってもよく、具体的に限定しないとともに、攪拌時間は、60min±20minであり、この攪拌条件で、均一に乳化されたプレポリマーを得、予備とする。
【0139】
いくつかの実施の形態では、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量とポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である。
【0140】
上記に言及されたシェル層がコア層を完全に被覆するコアシェル構造を得るために、コア層構造の質量をシェル層構造の質量以下にし、コア層構造が露出しないように、シェル層構造をコア層構造の表面に完全に被覆させることによって、上記の完全に被覆されるコアシェル構造を得る。ここで、コア層構造の質量がシェル層構造の質量以下であり、ポリアクリレート系ポリマーとポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であってもよく、例えば1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などであってもよく、具体的に限定しない。
【0141】
いくつかの実施の形態では、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得るステップと、昇温後に開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップとを含む。
【0142】
加熱前に開始剤を投入することにより、開始剤が一度に過剰に投入され、加熱された条件で爆発的に重合することを回避するために、本出願は、まず水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得ることを採用し、そして再昇温後に開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得る。理解できるように開始剤の添加は、緩やかな滴下の方式で行われ、例えば10ml/min-500ml/minの滴下レートであってもよく、さらに理解できるように、開始剤を水に溶解してから滴下する。
【0143】
いくつかの実施の形態では、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得るステップと、昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップとを含む。
【0144】
1ロットの開始剤を滴下することにより、滴下が過剰になり、爆発的に重合することを回避するために、昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得ることを採用する。同時に開始剤の半減期が一定であることを考慮すると、最初のロットで滴下した開始剤がすべてのモノマー反応を開始させることができないことを回避するために、ロット分けの方式で開始剤、例えば最初のロットで添加した開始剤を滴下し、分解完了後、少量のモノマーが残り、そして少量の開始剤を補充し、残りのモノマーができるだけ反応しきるようにし、開始剤を補充した後も、少量のモノマーが残るが、残留量が大幅に低下する。
【0145】
いくつかの実施の形態では、昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、70℃±10℃に昇温して、1/3の開始剤を添加し、30min±20min攪拌して反応させ、80℃±10℃に昇温し続け、2/3の開始剤を添加し、90℃±10℃に昇温し続け、30min±20min攪拌して反応させ、降温後にコア層シードエマルジョンを得るステップを含む。
【0146】
反応温度と反応時間は、架橋反応の重合度に影響を与え、モノマーを適切な温度と時間で反応させ、良好なポリマーを得るために、ステップ1において、水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得、70℃±10℃に昇温して、1/3の開始剤を添加し、30min±20min攪拌して反応させ、80℃±10℃に昇温し続け、2/3の開始剤を添加し、90℃±10℃に昇温し続け、30min±20min攪拌して反応させ、降温後にコア層シードエマルジョンを得、理解できるように、降温の温度は、常温又は35℃-45℃であってもよく、例えば40℃であってもよく、具体的に限定しない。
【0147】
いくつかの実施の形態では、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップと、コア層シードエマルジョンのpHを6-8に調整するステップとを含む。
【0148】
製造して得られたコア層構造のポリマー、粒子が凝集して堆積しやすく、後続のコアシェル構造の接着剤を製造して得るのに不利であるため、コア層構造のポリマーの凝集沈降を回避するために、製造されたコア層シードエマルジョンにpH調整試薬を添加することにより、コア層シードエマルジョンにおける粒子を均一に分散させ、系が安定化する。コア層シードエマルジョンのpH範囲は、pH6-8であり、例えばpH6、pH7、pH8などであってもよく、具体的に限定しない。理解できるように具体的にどのようなpH調整試薬を採用するかについて、本出願は限定せず、例えばアンモニア水を使用してpHを調整してもよい。
【0149】
いくつかの実施の形態では、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをコア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、接着剤を得るステップにおいて、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、反応容器内の酸素ガスを除去し、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、攪拌し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行うステップを含む。
【0150】
重合中に酸素ガスが重合禁止剤として重合反応に影響を与えることを考慮すると、そのため、反応容器内の酸素ガスを除去する必要があり、例えばステップ2を行う前に、反応容器内の酸素ガスを除去してもよく、例えば反応容器に窒素ガスを導入することにより酸素ガスを置換し、酸素ガスを除去した後、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、攪拌し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行ってもよい。
【0151】
いくつかの実施の形態では、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、反応容器内の酸素ガスを除去し、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、攪拌し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行うステップにおいて、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、乳化剤、開始剤を反応容器に投入し、攪拌し、反応容器内の酸素ガスを除去し、さらにポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行うステップを含む。
【0152】
まず乳化剤と開始剤を反応容器に投入し、攪拌し、さらにポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを添加することで、モノマー乳化をより十分にすることができることを考慮するため、シェル層を製造するステップは、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、乳化剤、開始剤を反応容器に投入し、攪拌し、反応容器内の酸素ガスを除去し、さらにポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行うことであってもよい。
【0153】
いくつかの実施の形態では、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、反応容器内の酸素ガスを除去し、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、攪拌し、反応圧力で、75±10℃に昇温し、重合反応を行うステップにおいて、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、反応容器内の酸素ガスを除去し、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、反応容器内の反応圧力を3.0MP~4MPに制御し、攪拌し、75±10℃に昇温し、重合反応を行い、反応容器内の圧力が3.0MPaに低下した場合、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを投入し続け、反応が終了するまで、反応容器内の圧力を3.0MP~4MPaに制御するステップを含む。
【0154】
ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーがガスであることを考慮すると、重合反応が進行する過程において、反応容器内のモノマーが絶えず消費され、反応容器内の圧力が絶えず低下し、圧力が一定値まで低下すると、モノマーが溶液系に入ってミセル内に到着して反応することが困難になるため、反応容器における圧力を一定の範囲値に制御し、モノマーが反応に効果的に関与することを保証する必要があり、そのため、シェル層を製造するステップは、コア層シードエマルジョンを反応容器に置き、反応容器内の酸素ガスを除去し、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを反応容器に投入し、反応容器内の反応圧力を3.0MP~4MPに制御し、攪拌し、75±10℃に昇温し、重合反応を行い、反応容器内の圧力が3.0MPaに低下した場合、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを投入し続け、反応が終了するまで、反応容器内の圧力を3.0MP~4MPaに制御することであってもよい。
【0155】
圧力が低すぎると反応レートが遅くなり、圧力が高すぎるとエネルギー消費が多いとともに、反応が激しくなることを考慮するため、反応圧力の制御範囲は、3.0MP~4MPであり、例えば3.0MP、3.5MP、4MPなどであってもよく、具体的に限定しない。
【0156】
いくつかの実施の形態では、ステップ1において、乳化剤の質量は、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量の0.15%~5%であり、開始剤の質量は、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量の0.15%~1%である。
【0157】
乳化剤の使用量は、適度である必要があり、乳化剤は、乳化重合の重要な成分であり、相溶しない油(モノマー)-水を、かなり安定して層状になりにくいエマルジョンに変換することができる。乳化重合系では、乳化剤の作用は、主に3つあり、1つ目は、表面張力を低減させ、モノマーを微細な液滴として分散させることであり、2つ目は、液滴又はコロイド粒子表面に保護層を形成し、凝集を防止し、エマルジョンを安定に保つことであり、3つ目は、ミセルを形成し、モノマーを可溶化することである。ミセルの大きさと数量は、乳化剤の使用量に依存するため、乳化剤の使用量は、生成物の性能に直接影響する。ステップ1において、乳化剤の質量は、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量の0.15%~5%であり、例えば0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、5%などであってもよく、具体的に限定しない。開始剤の使用量は、重合レートと生成物の性能に大きく影響し、開始剤の使用量が増大すると、重合レートが速くなり、重合反応が不安定になり、分子量及び収量が低下し、ポリマーの性能も悪くなるとともに、開始剤が不足すると、重合反応が困難になるため、ステップ1において、開始剤の質量は、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量の0.15%~1%であり、例えば0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%などであってもよく、具体的に限定しない。
【0158】
いくつかの実施の形態では、ステップ1において、乳化剤は、アニオン系乳化剤を含み、開始剤は、アゾ系開始剤、有機過酸化物開始剤、無機過酸化物開始剤を含む。
【0159】
アニオン系乳化剤は、水に溶解すると、その活性部分が負イオンに解離する傾向を有する表面活物質であり、一つの大きな有機アニオンを有し、塩基と作用して塩を生成できることを特徴としている。負イオンを帯びる部分の構造によって、カルボン酸塩型、スルホン酸塩型及び硫酸塩型の三種類に分けられる。
【0160】
アゾ系開始剤について、アゾ系開始剤は、分子構造に窒素と窒素の二重結合が含有されるようなラジカル開始剤である。
【0161】
過酸化物開始剤は、ペルオキシ基(-O-O-)を含有する化合物であり、熱を受けると-O-O-結合が切断され、二つの該当するラジカルに分裂することによって、モノマー重合を開始し、過酸化物開始剤と呼ばれる。無機過酸化物と有機過酸化物の2種類に分けられる。無機過酸化物開始剤は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムなどを含み、有機過酸化物開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ベンゾイルt-ブチル、メチルエチルケトン過酸化物などを含む。
【0162】
乳化剤とは、水をエマルジョン状態に形成させることができる物質であり、本出願では、乳化剤の具体的な種類と構造を限定しておらず、上記機能を果たすことができ、且つ反応系に影響を与えない任意の物質も本出願に応用することができ、例えばステップ1では、使用される乳化剤は、アニオン系乳化剤を含む。開始剤とは、モノマーの重合反応を開始させることができる物質であり、本出願では、開始剤の具体的な種類と構造を限定しておらず、上記機能を果たすことができ、且つ反応系に影響を与えない任意の物質も本出願に応用することができ、例えばステップ1では、開始剤は、アゾ系開始剤、有機過酸化物開始剤、無機過酸化物開始剤を含む。
【0163】
いくつかの実施の形態では、ステップ1において、乳化剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウムのうちの少なくとも一つを含み、開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプタノニトリル、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイルなど、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素のうちの少なくとも一つを含む。
【0164】
乳化剤とは、水をエマルジョン状態に形成させることができる物質であり、例えばステップ1に使用される乳化剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウムのうちの少なくとも一つを含み、即ち、使用される乳化剤は、上記のうちの一つであってもよく、例えば好ましくは、乳化剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、上記のうちの複数の物質の混合であってもよい。開始剤とは、モノマーの重合反応を開始させることができる物質であり、例えばステップ1に使用される開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプタノニトリル、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイルなど、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素のうちの少なくとも一つを含み、即ち、使用される開始剤は、上記のうちの一つであってもよく、例えば好ましくは、開始剤は、過硫酸カリウムであり、上記のうちの複数の物質の混合であってもよい。
【0165】
いくつかの実施の形態では、ステップ2において、乳化剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の0.1%~5%であり、開始剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の0.15%~1%である。
【0166】
乳化剤の使用量は、適度である必要があり、乳化剤は、乳化重合の重要な成分であり、相溶しない油(モノマー)-水を、かなり安定して層状になりにくいエマルジョンに変換することができる。乳化重合系では、乳化剤の作用は、主に3つあり、1つ目は、表面張力を低減させ、モノマーを微細な液滴として分散させることであり、2つ目は、液滴又はコロイド粒子表面に保護層を形成し、凝集を防止し、エマルジョンを安定に保つことであり、3つ目は、ミセルを形成し、モノマーを可溶化することである。ミセルの大きさと数量は、乳化剤の使用量に依存するため、乳化剤の使用量は、生成物の性能に直接影響する。ステップ2において、乳化剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の0.1%~5%であり、例えば0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、5%などであってもよく、具体的に限定しない。開始剤の使用量は、重合レートと生成物の性能に大きく影響し、開始剤の使用量が増大すると、重合レートが速くなり、重合反応が不安定になり、分子量及び収量が低下し、ポリマーの性能も悪くなるとともに、開始剤が不足すると、重合反応が困難になるため、ステップ2において、開始剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の0.15%~1%であり、例えば0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%などであってもよく、具体的に限定しない。
【0167】
いくつかの実施の形態では、ステップ2において、乳化剤は、ポリフルオロ化合物を含み、開始剤は、有機過酸化物開始剤、無機過酸化物開始剤を含む。
【0168】
乳化剤とは、水をエマルジョン状態に形成させることができる物質であり、本出願では、乳化剤の具体的な種類と構造を限定しておらず、上記機能を果たすことができ、且つ反応系に影響を与えない任意の物質も本出願に応用することができ、例えばステップ2では、使用される乳化剤は、ポリフルオロ化合物を含む。開始剤とは、モノマーの重合反応を開始させることができる物質であり、本出願では、開始剤の具体的な種類と構造を限定しておらず、上記機能を果たすことができ、且つ反応系に影響を与えない任意の物質も本出願に応用することができ、例えばステップ2では、開始剤は、有機過酸化物開始剤、無機過酸化物開始剤を含み、使用する開始剤は、好ましくは有機過酸化物開始剤であり、その製造したポリフッ化ビニリデンの安定性が高い。
【0169】
いくつかの実施の形態では、ステップ2において、乳化剤は、パーフルオロポリエーテルカルボン酸アンモニウム、パーフルオロポリエーテルカルボン酸ナトリウム、パーフルオロポリエーテルカルボン酸カリウムのうちの少なくとも一つを含み、開始剤は、過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルペルオキシジカーボネート、ジエチルパーオキシジカーボネート、過硫酸塩のうちの少なくとも一つを含む。
【0170】
乳化剤とは、水をエマルジョン状態に形成させることができる物質であり、例えばステップ2に使用される乳化剤は、パーフルオロポリエーテルカルボン酸アンモニウム、パーフルオロポリエーテルカルボン酸ナトリウム、パーフルオロポリエーテルカルボン酸カリウムのうちの少なくとも一つを含み、即ち、使用される乳化剤は、上記のうちの一つであってもよく、例えばパーフルオロポリエーテルカルボン酸ナトリウムであってもよく、乳化剤は、液滴の間の表面張力を低減させ、モノマー液体又はラテックス粒子の凝集を防止することができ、同時に、乳化剤は、上記のうちの複数の物質の混合であってもよい。開始剤とは、モノマーの重合反応を開始させることができる物質であり、例えばステップ2に使用される開始剤は、過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルペルオキシジカーボネート、ジエチルパーオキシジカーボネート、過硫酸塩のうちの少なくとも一つを含み、即ち、使用される開始剤は、上記のうちの一つであってもよく、例えば好ましくは、開始剤は、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートであり、上記のうちの複数の物質の混合であってもよい。
【0171】
いくつかの実施の形態では、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデンを含み、又は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つを含む。
【0172】
ポリフッ化ビニリデンポリマーとは、フッ化ビニリデンをモノマーとするポリマーであり、なお、ポリフッ化ビニリデンポリマーのモノマーは、フッ化ビニリデンに加えて、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つをさらに含む。即ち、ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであってもよく、フッ化ビニリデンと他のフッ素含有エチレンとの共重合体であってもよく、具体的に限定しない。
【0173】
いくつかの実施の形態では、ステップ2において、水、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをコア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、接着剤を得るステップにおいて、水、連鎖移動剤、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをコア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、接着剤を得るステップを含む。
【0174】
連鎖移動剤は、重合反応における生成物の分子量分布を制御する役割を果たす。連鎖移動とは、連鎖重合反応における活性中心が成長連鎖から別の分子に移動する過程である。活性中心の数は、変化せず、成長している高分子鎖は、活性を失い、安定な高分子を形成し、生成物の分子量を低減させた。
【0175】
反応生成物の分子量を効果的に制御するために、ステップ2において、水、連鎖移動剤、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーをコア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、接着剤を得る。重合反応中に連鎖移動剤を添加して適切な接着剤を製造して得る。
【0176】
いくつかの実施の形態では、連鎖移動剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の1%~3%であり、連鎖移動剤は、アルコール系化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物及びハロゲン化アルカンを含む。
【0177】
連鎖移動剤の質量は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量の1%~3%であり、例えば1%、1.5%、2%、2.5%、3%などであってもよく、具体的に限定せず、連鎖移動剤は、アルコール系化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物及びハロゲン化アルカンを含み、連鎖移動剤の具体的な種類に対して限定しない。
【0178】
いくつかの実施の形態では、ステップ1における水とステップ2における水の質量の合計は、ステップ1とステップ2におけるすべての物料の質量の45%-60%を占め、ステップ1とステップ2における水は、脱イオン水である。
【0179】
水は、分散媒体として、物質移動と温度制御などの作用を有し、水の使用量が少なすぎ又は多すぎると、反応系の粘度を合理的な範囲に制御することが困難であり、ステップ1における水とステップ2における水の質量の合計は、ステップ1とステップ2におけるすべての物料の質量の45%-60%を占め、例えば45%、50%、55%、60%などであってもよく、具体的に限定しない。同時に、ステップ1とステップ2における水は、脱イオン水であり、水中の不純物が重合反応に影響を与えることを回避する。
【0180】
本出願の実施例は、セパレータをさらに提供し、セパレータ上には、上記の接着剤又は上記のような接着剤の製造方法によって製造して得られた接着剤が含まれる。接着剤が上記すべての実施例のすべての技術案を採用したため、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有し、ここでこれ以上説明しない。
【0181】
セパレータ上には上記の接着剤が塗覆されており、極板と接着剤との間の接着性能を向上させ、従来の電池コアの予冷間プレスのプロセスの開口の問題を改善することができる。
【0182】
本出願の実施例は、電極アセンブリをさらに提供し、電極アセンブリは、上記のセパレータを含む。セパレータが上記すべての実施例のすべての技術案を採用したため、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有し、ここでこれ以上説明しない。
【0183】
電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、セパレータとを含み、この接着剤は、セパレータ上に塗覆され、それによって極板とセパレータとが接着され、極板とセパレータとの開口の問題が改善される。
【0184】
本出願の実施例は、電池セルをさらに提供し、電池セルは、上記のような電極アセンブリを含む。電極アセンブリが上記すべての実施例のすべての技術案を採用したため、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有し、ここでこれ以上説明しない。
【0185】
上記電極アセンブリを電池セルに応用することで、電池セルの大治具のサイクル性能を向上させることができる。
【0186】
本出願の実施例は、電池をさらに提供し、電池は、上記の電池セルを含む。電池セルが上記すべての実施例のすべての技術案を採用したため、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有し、ここでこれ以上説明しない。
【0187】
電池は、電池モジュールと電池パックとを含む。
【0188】
本出願の実施例は、電力消費装置をさらに提供し、電力消費装置は、上記の電池セル又は上記の電池を含む。電池セル又は電池が上記すべての実施例のすべての技術案を採用したため、少なくとも上記実施例の技術案によるすべての有益な効果を有し、ここでこれ以上説明しない。
【0189】
また、以下、図面を適切に参照しながら、本出願の電極アセンブリ、電池セル、電池と電力消費装置を説明する。
【0190】
本出願の一つの実施の形態では、電極アセンブリを提供する。
【0191】
一般的には、電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電中に、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵と離脱をする。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、主に正負極の短絡を防止する作用を果たすとともに、イオンを通過させることができる。セパレータは、本出願の上記向上したセパレータである。
【0192】
正極極板は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面に設置される正極膜層を含む。
【0193】
例として、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方に設置される。
【0194】
いくつかの実施の形態では、正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と高分子材料ベース層の少なくとも一つの表面上に形成される金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することで形成されてもよい。
【0195】
いくつかの実施の形態では、電極アセンブリがリチウムイオン電池である時、正極活物質は、当分野に公知のリチウムイオン電池に用いられる正極活物質を採用してもよい。例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれぞれの改質化合物のうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限らず、他の電池正極活物質として使用できる従来材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811と略称されてもよい))、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えばLiNi0.85Co0.15Al0.05O2)及びその改質化合物などのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO4(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。
【0196】
いくつかの実施の形態では、正極膜層は、さらに選択的に接着剤を含む。例として、接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ素含有アクリレート樹脂のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0197】
いくつかの実施の形態では、正極膜層は、さらに選択的に導電剤を含む。例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0198】
いくつかの実施の形態では、以下の方式で正極極板を製造することができる。上記正極極板を製造するための成分、例えば正極活物質、導電剤、接着剤といずれの他の成分を溶媒(例えばN-メチルピロリドン)に分散させて、正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体上に塗覆し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、正極極板が得られる。
【0199】
負極極板は、負極集電体及び負極集電体の少なくとも一つの表面上に設置される負極膜層を含み、負極膜層は、負極活物質を含む。
【0200】
例として、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0201】
いくつかの実施の形態では、負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。例えば、金属箔シートとして、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層と高分子材料基材の少なくとも一つの表面上に形成される金属層を含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)に形成することで形成されてもよい。
【0202】
いくつかの実施の形態では、負極活物質は、当分野に公知の電池用の負極活物質を採用してもよい。例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコーン系材料、スズ系材料とチタン酸リチウムなどのうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。シリコーン系材料は、ケイ素単体、シリコーン酸化物、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体及びシリコーン合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物及びスズ合金のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。しかし、本出願は、これらの材料に限らず、他の電池負極活物質として使用できる従来材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0203】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に接着剤を含む。接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0204】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に導電剤を含む。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0205】
いくつかの実施の形態では、負極膜層は、さらに選択的に他の助剤、例えば増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などを含む。
【0206】
いくつかの実施の形態では、以下の方式で負極極板を製造することができる。上記負極極板を製造するための成分、例えば負極活物質、導電剤、接着剤といずれの他の成分を溶媒(例えば脱イオン水)に分散させて、負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体上に塗覆し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、負極極板が得られる。
【0207】
電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。本出願は、電解質の種類に対して具体的に限定せず、需要に応じて選択することができる。
【0208】
いくつかの実施の形態では、電解質として、電解液を採用する。電解液は、電解質塩と溶媒とを含む。
【0209】
いくつかの実施の形態では、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウムのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0210】
いくつかの実施の形態では、溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン及びジエチルスルホンのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。
【0211】
いくつかの実施の形態では、電解液は、さらに選択的に添加剤を含む。例えば、添加剤は、負極膜形成添加剤、正極膜形成添加剤を含んでもよく、さらに、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池高温又は低温性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0212】
いくつかの実施の形態では、電極アセンブリには、セパレータがさらに含まれる。本出願は、セパレータの種類に対して特に限定せず、任意の公知の良好な化学安定性と機械安定性を持つ多孔質構造セパレータを選択してもよい。
【0213】
いくつかの実施の形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニリデンフルオライドのうちの少なくとも一つから選ばれてもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよく、特に制限がない。セパレータが多層複合フィルムである時、各層の材料は、同じであってもよく又は異なってもよく、特に制限がない。
【0214】
いくつかの実施の形態では、正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリに製造されることができる。
【0215】
いくつかの実施の形態では、電極アセンブリは、外装体を含んでもよい。この外装体は、上記電極アセンブリ及び電解質をパッケージングするために用いられてもよい。
【0216】
いくつかの実施の形態では、電極アセンブリの外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。電極アセンブリの外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0217】
本出願は、電極アセンブリの形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、
図5は、一例としての四角形構造の電極アセンブリ5である。
【0218】
いくつかの実施の形態では、
図6を参照すると、外装体は、ケース51とカバープレート53とを含んでもよい。ここで、ケース51は、底板と底板に接続される側板とを含んでもよく、底板と側板は、囲んで収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティと連通する開口を有し、カバープレート53は、収容キャビティを密閉するように、開口を覆うことができる。正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤される。電極アセンブリ5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、当業者は、具体的な実際の需要に応じて選択することができる。
【0219】
いくつかの実施の形態では、電極アセンブリは、電池モジュールに組み立てられることができ、電池モジュールに含まれる電極アセンブリの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池モジュールの応用と容量に応じて選択することができる。
【0220】
図7は、一例としての電池モジュール4である。
図7を参照すると、電池モジュール4において、複数の電極アセンブリ5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で並べてもよい。さらに締結具によりこれらの複数の電極アセンブリ5を固定してもよい。
【0221】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の電極アセンブリ5は、この収容空間に収容される。
【0222】
いくつかの実施の形態では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられることができ、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池パックの応用と容量に応じて選択することができる。
【0223】
図8と
図9は、一例としての電池パック1である。
図8と
図9を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと電池ボックスに設置される複数の電池モジュール4とが含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを含み、上部筐体2は、下部筐体3を覆うことができ、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成する。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに並べられてもよい。
【0224】
また、本出願は、電力消費装置をさらに提供し、電力消費装置は、本出願による電極アセンブリ、電池モジュール又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む。電極アセンブリ、電池モジュール又は電池パックは、電力消費装置の電源として使用されてもよく、電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして使用されてもよい。電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどを含んでもよいが、これらに限らない。
【0225】
電力消費装置として、その使用需要に応じて電極アセンブリ、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0226】
図10は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の電極アセンブリの高出力と高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0227】
別の例としての装置は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。この装置は、一般的には薄型化が要求されており、電極アセンブリを電源として採用した。
【0228】
実施例
以下では、本出願の実施例を説明する。以下の記述の実施例は、例であり、本出願を解釈するためにのみ用いられ、本出願に対する制限と理解されるべきではない。実施例に具体的な技術又は条件が明記されていない場合、当分野における文献に記述された技術又は条件に従って又は製品説明書に従って行う。使用する試薬又は機器は、製造メーカが明記されていない場合、いずれも市場で購入できる通常製品である。
【0229】
実施例1
接着剤の製造
ステップ1、5Lの高圧反応釜に376.2gのアクリル酸メチル、92.8gのアクリロニトリル、31.0gのアクリルアミドをそれぞれ添加し、三者のモル比を1:0.4:0.1とし、且つ18gのドデシルスルホン酸ナトリウム、600gの脱イオン水を添加し、十分に攪拌して分散乳化し、70℃に昇温して開始剤溶液(0.3gの過硫酸カリウムを脱イオン水に溶解して形成した溶液)を添加し、30min攪拌して反応させ、80℃に昇温し続け、蠕動ポンプで開始剤溶液(0.6gの過硫酸カリウムを脱イオン水に溶解して形成した溶液)をゆっくりと滴下し、滴下完了後に90℃に昇温して0.5h保温反応させ、40℃に冷却し、コア層シードエマルジョンを得、アンモニア水でpHを7に調整し、
ステップ2、高圧反応釜に800gの脱イオン水、1.5gのパーフルオロポリエーテルカルボン酸ナトリウム、0.75gのジイソプロピルペルオキシジカーボネートを添加し、攪拌を開始し、真空引きして、窒素ガスでガスを置き換え、高圧反応釜にフッ化ビニリデンガスとヘキサフルオロプロピレンを導入し、高圧釜内圧力を3.5MPaまで上昇させ、系の反応温度を75℃まで上昇させ、重合反応を開始し、高圧反応釜内の圧力が3.0MPaに低下した場合、フッ化ビニリデンガスとヘキサフルオロプロピレンを導入し続け、高圧反応釜内の圧力を3.0~3.5MPaに制御し、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンが反応に関与する量を合計500gとし、圧力が2MPa以下に低下した時点で反応を停止し、濾過し、排出し、コアシェル構造のポリマー接着剤を得た。
【0230】
セパレータの製造
市販の厚さ20μm、平均穴径80nmのPP-PE共重合体微細穴フィルムを基材として採用した。上記のように製造された接着剤を脱イオン水において均一に攪拌混合し、スラリー(固形分20%)を得た。スラリーを基材の二つの表面に均一に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、組成物を基材上に塗覆する塗布密度を1.0g/m2とし、セパレータを得た。
【0231】
正極極板の製造
ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、リン酸鉄リチウム(LFP)、導電剤であるカーボンブラック、N-メチルピロリドン(NMP)を質量比1.2:58.38:0.42:40で、十分に攪拌して均一に混合した後に正極スラリーとして製造した。この正極スラリーを200g/m2の負荷量で正極集電体アルミニウム箔上に均一に塗覆し、その後に乾燥、冷間プレス、スリットを経て、正極極板を得た。
【0232】
負極極板の製造
人造黒鉛、導電剤であるアセチレンブラック、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を質量比96.2:1.0:1.6:1.2で、脱イオン水に添加し、十分に攪拌して均一に混合した後に負極スラリー(固形分63%)として製造した。この負極スラリーを98g/m2の負荷量で負極集電体銅箔上に塗覆し、その後に乾燥、冷間プレス、スリットを経て、負極極板を得た。
【0233】
電解液の製造
25℃で、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1で混合して混合溶媒を得、そしてLiPF6を上記混合溶媒に溶解し、電解液を得、ここで、LiPF6の濃度は、1mol/Lである。
【0234】
電池セルの製造
上記正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積層して捲回し、プリプレス成形(この期間にセパレータと極板を接着)し、電極アセンブリを得、電極アセンブリを外装体に入れ、上記製造された電解液を添加し、パッケージング、静置、化成、エージングなどの工程を経た後、電池セルを得た。
【0235】
実施例1のうえでパラメータ(例えば表1に示す)を変更し、実施例2~実施例11の実験データを得た。
【0236】
比較例1:ポリフッ化ビニリデンポリマーの製造ステップ
高圧反応釜に200gの脱イオン水、1gのパーフルオロポリエーテルカルボン酸ナトリウム、0.5gのジイソプロピルペルオキシジカーボネートを添加し、攪拌を開始し、真空引きして、窒素ガスでガスを置き換え、高圧反応釜にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンガスを導入し、高圧釜内圧力を3.5MPaまで上昇させ、系の反応温度を75℃まで上昇させ、重合反応を開始し、高圧反応釜内の圧力が3.0MPaに低下した場合、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンガスを導入し続け、高圧反応釜内の圧力を3.0~3.5MPaに制御し、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン投入量は、計200gであり、圧力が2MPa以下に低下した時点で反応を停止し、濾過し、排出した。
【0237】
比較例2:第一の重合柔軟性モノマーを重合して得られたポリマーの製造ステップ
三口フラスコに、752.4gのアクリル酸メチル、且つ36gのドデシルスルホン酸ナトリウム、1.2kgの脱イオン水をそれぞれ添加し、十分に攪拌して分散乳化し、70℃に昇温して開始剤溶液(0.6gの過硫酸カリウムを脱イオン水に溶解して形成した溶液)を添加し、30min攪拌して反応させ、80℃に昇温し続け、蠕動ポンプで開始剤溶液(1.2gの過硫酸カリウムを100gの脱イオン水に溶解して形成した溶液)をゆっくりと滴下し、滴下完了後に90℃に昇温して0.5h保温反応させ、40℃に冷却し、アンモニア水でpHを7に調整し、反応を停止し、濾過し、排出した。
【0238】
比較例3:第二の重合極性モノマーを重合して得られたポリマーの製造ステップ
還流凝縮器、温度計、攪拌マグネトンを入れた三口フラスコに脱イオン水、一定の割合の開始剤を添加した。室温で均一に攪拌した後に、設定温度まで加熱昇温して開始剤の分解を促した。温度が一定になってから約半時間後、蠕動ポンプを用いてアクリロニトリルの重合系への濃度を制御し、モノマーを小液滴方式で水に滴下して重合反応を実現した。モノマー滴下完了後、攪拌しながら恒温で一定時間反応し続けた。反応終了後に三口フラスコを空気中に移して室温まで冷却し、反応を停止し、濾過し、排出した。
【0239】
比較例4:第三の重合分子量調整モノマーを重合して得られたポリマーの製造ステップ
まずアクリルアミドモノマー30g~90gに水120gを加えてアクリルアミド溶液を調製し、過硫酸塩0.02g~1gを水30gに溶解して開始剤溶液を得た。250mLの四口反応フラスコに37.5gのイソプロピルアルコール溶媒を添加し、開いて攪拌し、攪拌速度を200r/minとし、還流まで昇温し、モノマー溶液と開始剤溶液を連続的に滴下し、滴下速度を制御し、滴下時間を120minとした。還流反応を2h維持し、イソプロピルアルコールを蒸留し、ポリアクリルアミド溶液を得、濾過し、排出した。
【0240】
比較例5:ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレートとを混合して重合するステップ
比較例1で製造されたポリフッ化ビニリデン溶液と比較例2で製造されたポリアクリレート溶液を、質量比1:1の割合で混合し、均一に攪拌し、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレートとのブレンド溶液を得、濾過し、排出した。
【0241】
表1と表2に示すように、実施例2-実施例4、実施例16と実施例17では、他の条件をそのまま変えず、コア層の三種類のポリマーの割合を変え、実施例5-実施例8、実施例12-実施例15では、他の条件をそのまま変えず、コア層とシェル層の質量を変えた。
【0242】
表3に示すように、比較例1は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを製造して得られた接着剤であり、比較例2は、アクリレート系ポリマーを製造して得られた接着剤であり、比較例3は、アクリロニトリル系ポリマーを製造して得られた接着剤であり、比較例4は、アクリルアミド系ポリマーを製造して得られた接着剤であり、比較例5は、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレートとを混合して重合して得られたポリマーを製造して得られた接着剤である。
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
性能試験:
1、セパレータと極板の接着力試験ステップ
電池極板とセパレータを重ね、熱プレス機に置き、熱プレス機のパラメータとして、温度25℃、圧力10t、時間30sに設定し、圧力を印加して接着したセパレータ/正極板サンプルを製造し、セパレータ/極板サンプルを150×20mmの長方形スプラインに切断した。両面接着剤によって上記長方形スプラインの極板の片面を鋼板に貼り付け、長方形スプラインの一端でセパレータと極板を長手方向に沿って2cmの長さだけ離間させ、試験サンプルを作製した。
【0247】
鋼板を水平に維持して万能試験機(協強機器製造(上海)有限公司、型番CTM2100)の下治具で固定し、上記のセパレータの剥離端部を万能試験機の上治具で固定し、引張機を接続した。試験条件として引張りレート20mm/min、水平引張り10cmに設定した。引張力が安定になったら、引張力値を記録し、引張力値とサンプル幅との比により、セパレータと極板接着力を得た。
【0248】
2、CVフロート充電リーク電流試験ステップ
電池の実電流の測定:CV段階では、初期電流を0.02Cとし、電圧を4.35Vに維持し、120Days維持し、リーク電流がカットオフされるまで、記録電流を監視し、リーク電流がカットオフされる時間を記録した。
【0249】
3、電池サイクル性能試験ステップ
25℃で、実施例1~実施例17及び比較例1~比較例5で製造して得られた電池を、1/3Cで3.8Vまで定電流充電し、さらに3.8Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、5min放置し、さらに1/3Cで2.0Vまで放電し、得られた放電容量を初期容量C0とし、上記の同一の電池に対して以上のステップを繰り返し、nサイクル目以降の電池の放電容量Cnを同時に記録すると、各サイクル後の電池容量保持率Pn=(Cn/C0)×100%である。即ち500回サイクルでの電池容量保持率でサイクル性能の差異を示すことができる。
【0250】
【0251】
表4に示すように、実施例1~実施例17における接着剤を使用して得られた電池コアは、セパレータと極板の接着力が良好であるが、比較例1~比較例5における接着剤を使用して得られた電池コアは、そのセパレータと極板の接着力が実施例1~実施例17よりも劣っていた。実施例1~実施例17における接着剤の接着性能が比較例1~比較例5における接着剤の接着性能よりも優れていることを説明した。そして、実施例1~実施例17におけるCVフロート充電リーク電流試験性能及び電池サイクル性能は、比較例1~比較例5におけるCVフロート充電リーク電流試験性能と電池サイクル性能よりも優れた。接着剤の接着性能が改善された場合に、この接着剤を電池セパレータに用いることで電池のサイクル性能を効果的に向上させることができ、且つ電池のCVフロート充電リーク電流現象を低減させることを説明した。
【0252】
上記は、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願の特許範囲を制限するものではなく、本出願の出願思想で、本出願明細書及び図面内容を利用して行った等価構造変換、又は他の関連する技術分野における直接的/間接的な運用は、いずれも本出願の特許保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0253】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤であって、コア層構造と、前記コア層構造の表面に設けられるシェル層構造とを含み、前記コア層構造は、ポリアクリレート系ポリマーを含み、前記シェル層構造は、ポリフッ化ビニリデンポリマーを含み、前記シェル層構造は、前記コア層構造を完全に被覆する、接着剤。
【請求項2】
前記ポリアクリレート系ポリマーと前記ポリフッ化ビニリデンポリマーとの質量比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記接着剤の平均粒径Dv50は、0.5μm-50μmであり、選択的に7μm-8μmである、請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーは、第一の重合柔軟性モノマーと、第二の重合極性モノマーと、第三の重合分子量調整モノマーとを含む、請求項1
又は2に記載の接着剤。
【請求項5】
前記第一の重合柔軟性モノマーと、前記第二の重合極性モノマーと、前記第三の重合分子量調整モノマーとのモル比は、1:(0.01~0.8):(0.01~0.15)であり、選択的に1:(0.05~0.7):(0.05~0.12)である、請求項4に記載の接着剤。
【請求項6】
前記第一の重合柔軟性モノマーの構造には、エステル結合が含有され、前記第二の重合極性モノマーの構造には、シアノ基が含有され、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アミド結合を含有する、請求項
4に記載の接着剤。
【請求項7】
前記第一の重合柔軟性モノマーは、アクリレート系モノマーであり、前記第二の重合極性モノマーは、アクリロニトリル系モノマーであり、前記第三の重合分子量調整モノマーは、アクリルアミド系モノマーである、請求項
4に記載の接着剤。
【請求項8】
前記アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸-2ヒドロキシプロピルのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとのうちの少なくとも一つを含み、
及び/又は、前記アクリルアミド系モノマーは、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドとN-ブトキシメタクリルアミドのうちの少なくとも一つを含む、請求項7に記載の接着剤。
【請求項9】
前記ポリフッ化ビニリデンポリマーは、フッ化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロブテン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロクロロエチレン共重合体又はフッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1
又は2に記載の接着剤。
【請求項10】
接着剤の製造方法であって、
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップと、
水、乳化剤、開始剤、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーを前記コア層シードエマルジョンに投入し、攪拌し、反応圧力で加熱して重合反応し、コアシェル構造の接着剤を得るステップとを含み、
ここで、前記接着剤のシェル層構造は、コア層構造を完全に被覆する、接着剤の製造方法。
【請求項11】
前記ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマー質量と前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマー質量との比は、1:(1~50)であり、選択的に1:(3~45)である、請求項10に記載の接着剤の製造方法。
【請求項12】
前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデンを含み、
又は、前記ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つを含む、請求項10又は11に記載の接着剤の製造方法。
【請求項13】
水、乳化剤、開始剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、加熱して反応させ、コア層シードエマルジョンを得るステップにおいて、
水、乳化剤、ポリアクリレート系ポリマーの構成モノマーを混合攪拌し、コア層モノマープレエマルジョンを得るステップと、
昇温後、ロットに分けて開始剤を添加し、攪拌して反応させ、反応終了後にコア層シードエマルジョンを得るステップとを含む、請求項10
又は11に記載の接着剤の製造方法。
【請求項14】
セパレータであって、前記セパレータ上には、請求項
1に記載の接着
剤が含まれる、セパレータ。
【請求項15】
請求項14に記載のセパレータを含む、電極アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の電極アセンブリを含む、電池セル。
【請求項17】
請求項16に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項18】
請求項16に記載の電池セル又は請求項17に記載の電池を含む、電力消費装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
接着剤の体積平均粒径Dv50は、当分野に公知の方法を用いて試験することができる。例としては、GB/T 19077-2016を参照して、マルバーンマスターサイザーを用いて特徴付け試験を行い、例えばMalvernのMastersizer-3000などの機器を用いて試験を行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
改質されたポリマーの軟化点が純ポリフッ化ビニリデン系ポリマーよりも低く、電池コアが予冷間プレスを行う時、接着剤は、正負極極板とセパレータとの隙間内に十分に浸透することができ、即ち、極板とセパレータに隙間があり、接着剤が隙間に浸透し、極板とセパレータとを効果的に接続し、接着剤が隙間から離脱しにくく、極板の膨張中に、接着剤は、靱性を有し、膨張時にも接着剤は、両者を効果的に接続することができ、接着剤は、その接着性能を十分に発揮できるようになり、さらに電池の動力学性能と大治具のサイクル性能を改善することに寄与する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
いくつかの実施の形態では、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデンを含み、又は、ポリフッ化ビニリデンポリマーの構成モノマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン、パーフルオロブテン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニルのうちの少なくとも一つを含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0191
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0191】
一般的には、電極アセンブリは、正極極板と、負極極板と、電解質と、セパレータとを含む。電池の充放電中に、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵と離脱をする。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、主に正負極の短絡を防止する作用を果たすとともに、イオンを通過させることができる。セパレータは、本出願の以上に記述されたセパレータである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0217
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0217】
本出願は、電極アセンブリの形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、
図5は、一例としての四角形構造の
電池セル5である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0218
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0218】
いくつかの実施の形態では、
図6を参照すると、外装体は、ケース51とカバープレート53とを含んでもよい。ここで、ケース51は、底板と底板に接続される側板とを含んでもよく、底板と側板は、囲んで収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティと連通する開口を有し、カバープレート53は、収容キャビティを密閉するように、開口を覆うことができる。正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、収容キャビティ内にパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤される。
電池セル5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、当業者は、具体的な実際の需要に応じて選択することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0220
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0220】
図7は、一例としての電池モジュール4である。
図7を参照すると、電池モジュール4において、複数の
電池セル5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で並べてもよい。さらに締結具によりこれらの複数の
電池セル5を固定してもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0221
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0221】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の電池セル5は、この収容空間に収容される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0253
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0253】
【国際調査報告】