(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】ドープされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティングされたニッケルリッチカソード活物質並びにその方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20250214BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20250214BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20250214BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20250214BHJP
C01G 53/42 20250101ALI20250214BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M4/131
C01G53/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540871
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 US2023010105
(87)【国際公開番号】W WO2023133133
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルベスタ,アンドリュー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゴウダ,サンケス
(72)【発明者】
【氏名】メータ,ヴィニート ハレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ジェシー,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AA05
4G048AA07
4G048AB01
4G048AB02
4G048AB04
4G048AB05
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050GA03
5H050GA10
5H050HA02
(57)【要約】
ドープされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティングされたニッケルリッチカソード活物質、並びに製造方法が説明されている。ドープされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティングされたニッケルリッチカソード活物質によって、改善されたエネルギー密度及び容量維持率を含むがこれらに限定されない、性能が改善したエネルギー貯蔵デバイスが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドープされたニッケルリッチカソード活物質であって、化学式
LiNi
aTm
bM
cO
2;
(式中、
Tmは遷移金属元素であり、
Mはドーパント元素であり、
aは少なくとも0.9の値であり、
bは0.01~0.0995の値であり、
cは0.005~0.02の値である)
を有する化合物を含む、ドープされたニッケルリッチカソード活物質。
【請求項2】
前記ドーパント元素が、Ca、Mg、Zr及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の物質。
【請求項3】
前記ドーパント元素が、Zr並びにCa、Mg及びこれらの組合せからなる群から選択される別の元素である、請求項1又は2に記載の物質。
【請求項4】
前記化合物が、少なくとも約0.003のZrの原子量を含む、請求項1~(エラー!参照ソースが見つからない)のいずれか一項に記載の物質。
【請求項5】
前記遷移金属元素が、Al、Mn、Ti、Co及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~(エラー!参照ソースが見つからない)のいずれか一項に記載の物質。
【請求項6】
前記遷移金属元素がAl
x(式中、xが0.01~0.03の値である)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の物質。
【請求項7】
前記遷移金属元素がMn
yCo
z(式中、yが0~0.05の値であり、zが0~0.05の値である)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の物質。
【請求項8】
前記遷移金属元素が、Al
xMn
yCo
z(式中、xが0.01~0.03の値であり、yが0.01~0.05の値であり、zが0.01~0.05の値である)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の物質。
【請求項9】
前記ドープされたニッケルリッチカソード活物質上に配置されたコーティング材料を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の物質。
【請求項10】
前記コーティング材料が、硫黄化合物、金属化合物及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の物質。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の材料を含む電極フィルム。
【請求項12】
集電体上に配置された請求項11に記載の電極フィルムを含む、ニッケルリッチカソード電極。
【請求項13】
エネルギー貯蔵デバイスであって、
請求項12に記載のニッケルリッチカソード電極、
セパレータ、
アノード電極、
電解質、及び
ハウジングを含み、前記ニッケルリッチカソード電極、前記セパレータ及び前記アノード電極が、前記ハウジング内に配置されている、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項14】
前記エネルギー貯蔵デバイスが電池である、請求項13に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項15】
コーティングされたニッケルリッチカソード活物質であって、
ニッケルリッチカソード活物質、及び
前記ニッケルリッチカソード活物質上に配置された硫黄コーティング、を含む、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質。
【請求項16】
前記硫黄コーティングが、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、硫黄ナノ粒子、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む、請求項15に記載の物質。
【請求項17】
金属コーティングを更に含む、請求項15又は16に記載の物質。
【請求項18】
前記金属コーティングが、Al、W、Mo及びこれらの組合せからなる群から選択される元素を含む、請求項17に記載の物質。
【請求項19】
前記コーティングが複数のコーティング層を含む、請求項15に記載の物質。
【請求項20】
前記ニッケルリッチカソード活物質がドーパント元素を含む、請求項15に記載の物質。
【請求項21】
請求項1~10のいずれか一項に記載の物質を調製するプロセスであって、
ニッケルリッチ前駆体、ドーパント材料及びリチウム源を混合し、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物を形成するステップと、
前記リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物を加熱し、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を形成するステップと、を含む、プロセス。
【請求項22】
前記ドープされたニッケルリッチカソード活物質上に硫黄コーティング材料を配置するステップを更に含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
請求項15に記載の物質を調製するプロセスであって、
ニッケルリッチカソード活物質と硫黄コーティング材料とを混合してニッケルリッチカソード活物質混合物を形成するステップであって、前記硫黄コーティング材料が前記ニッケルリッチカソード活物質上に配置される、ステップと、
前記ニッケルリッチカソード活物質混合物を加熱して、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成するステップと、を含む、プロセス。
【請求項24】
前記ニッケルリッチカソード活物質がドーパント元素を更に含む、請求項23に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年1月6日に出願された、「DOPED AND COATED NICKEL-RICH CATHODE ACTIVE MATERIALS AND METHODS THEREOF」と題する米国仮特許出願第63/266,506号の利益を主張するものであり、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概してエネルギー貯蔵デバイスに関し、具体的にはリチウムイオン電池用のカソード活物質及びそれを形成するためのプロセスに関する。
【0003】
電気化学エネルギー貯蔵システムは、電子デバイス、電動機械デバイス、電気化学デバイス及びその他の有用なデバイスに電力を供給するために広く使用されている。リチウムイオン電池は、電気化学エネルギー貯蔵システムのうちの最も一般的な例の1つであり、リチウムイオン電池の普及は、その他の電気化学エネルギー貯蔵システムと比較した場合のより高いエネルギー密度によるものである。この10年間にわたって、リチウムイオン電池の使用は家電製品から自動車産業を含むその他の領域まで拡大してきている。リチウムイオン電池は、カソード電極、アノード電極、電解質及びセパレータといった4つの主要な構成要素からなっており、リチウムイオン電池の成功は、高エネルギー密度の電極開発に少なくとも部分的に貢献し得る。
【0004】
現在、例えば自動車産業においてリチウムイオン電池用のカソード電極で使用するための、既知である、又は検討されているカソード活物質は少数しか存在していない。カソード活物質の例としては、LiNiO2(LNO)、LiNi1-x-yCoxAlyO2(NCA)又はLiNi1-x-yCoxMnyO2(NCM若しくはNMC)ファミリーに属する遷移金属の層状酸化物が挙げられる。これらのニッケルリッチカソード活物質は、ニッケル含量が高いことを理由に、部分的に高いエネルギー密度をもたらすことができる。これらのニッケルリッチカソード活物質は非常に有望であることを示しているが、これらはまた、繰り返し充電/放電サイクルにわたる充電容量の大幅な損失を含む欠点を有している。したがって、改善されたニッケルリッチカソード活物質の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示及び先行技術を超えて達成される利点をまとめる目的で、本開示のある特定の目的及び利点が本明細書にて説明される。かかる目的又は利点すべてが、任意の特定の実施形態で達成され得るというわけではない。そのため、例えば当業者は、本明細書にて教示又は提案され得るような、その他の目的又は利点を必ずしも達成する必要なく、本明細書にて教示されるような1つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する方式で本発明が具体化され得る又は実行され得ることを認識するであろう。
【0006】
第1の態様では、ドープされたニッケルリッチカソード活物質がもたらされる。ドープされたニッケルリッチカソード活物質としては、化学式LiNiaTmbMcO2(式中、Tmは遷移金属元素であり、Mはドーパント元素であり、aは少なくとも0.9の値であり、bは0.01~0.0995の値であり、cは0.005~0.02の値である)が挙げられる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、Ca、Mg、Zr及びこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ドーパント元素は、Zr並びにCa、Mg及びこれらの組合せからなる群から選択される別の元素である。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも約0.003のZrの原子量を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、Al、Zr、Mn、Ti、Co及びこれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、Alx(式中、xは0.01~0.03の値である)を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、MnyCoz(式中、yは0~0.05の値であり、zは0~0.05の値である)を含む。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、AlxMnyCoz(式中、xは0.01~0.03の値であり、yは0.01~0.05の値であり、zは0.01~0.05の値である)を含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、ニッケルリッチカソード活物質上に配置されているコーティング材料を更に含む。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、硫黄化合物、金属化合物及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、電極フィルムは、提供されたドープされたニッケルリッチカソード活物質を含む。いくつかの実施形態では、電極フィルムは、ニッケルリッチカソード電極を形成する集電体上に配置されている。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、ニッケルリッチカソード電極、セパレータ、アノード電極、電解質及びハウジングを含み、ニッケルリッチカソード電極、セパレータ及びアノード電極はハウジング内に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは電池である。
【0009】
第2の態様では、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質がもたらされる。コーティングされたニッケルリッチカソード活物質は、ニッケルリッチカソード活物質及びニッケルリッチカソード活物質上に配置されている硫黄コーティングを更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質は、金属コーティングを更に含む。いくつかの実施形態では、硫黄コーティングは、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、硫黄ナノ粒子、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム及びこれらの組合せの群から選択される化合物を含む。いくつかの実施形態では、金属コーティングは、Al、W、Mo及びこれらの組合せからなる群から選択される元素を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、複数のコーティング層を含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、ドーパント元素を更に含む。
【0011】
第3の態様では、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を調製するための方法がもたらされる。方法は、ニッケルリッチ前駆体とドーパント材料及びリチウム源とを混合し、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物を形成する、ことと、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物を加熱し、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を形成することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、ドープされたニッケルリッチカソード活物質上に硫黄コーティング材料を配置することを更に含む。
【0013】
第4の態様では、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を調製するための方法がもたらされる。方法は、ニッケルリッチカソード活物質と硫黄コーティング材料とを混合してニッケルリッチカソード活物質混合物を形成することであって、硫黄コーティング材料がニッケルリッチカソード活物質上に配置される、ことと、ニッケルリッチカソード活物質混合物を加熱して、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、ドーパント元素を更に含む。
【0015】
これらの実施形態はすべて、本明細書に開示される発明の範囲内にあることが意図されている。これらの実施形態及びその他の実施形態は、添付の図面を参照した以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなり、本発明は、開示された任意の特定の好ましい実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】いくつかの実施形態による、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を形成するプロセスを示す概略図である。
【0017】
【
図2】いくつかの実施形態による、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成するためのプロセスを示す概略図である。
【0018】
【
図3】いくつかの実施形態による、ニッケルリッチカソード活物質のXRDパターンプロットである。
【0019】
【
図4】いくつかの実施形態による、正規化された半電池の放電容量に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質をカルシウムでドープする影響を示すプロットである。
【0020】
【
図5】いくつかの実施形態による、正規化された全電池の放電エネルギーに及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質をカルシウムでドープする影響を示すプロットである。
【0021】
【
図6】いくつかの実施形態による、正規化された半電池の放電容量に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質を硫黄でコーティングする影響を示すプロットである。
【0022】
【
図7】いくつかの実施形態による、正規化された全電池のカソード放電エネルギーに及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質を硫黄でコーティングする影響を示すプロットである。
【0023】
【
図8A】いくつかの実施形態による、正規化された半電池の放電容量に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質を金属でコーティングする影響を示すプロットである。
【0024】
【
図8B】いくつかの実施形態による、半電池の平均充電電圧-平均放電電圧に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質を金属でコーティングする影響を示すプロットである。
【0025】
【
図9】いくつかの実施形態による、正規化された半電池の放電容量に及ぼす、カルシウムでドープされたニッケルリッチカソード活物質を硫黄でコーティングする影響を示すプロットである。
【0026】
【
図10】いくつかの実施形態による、正規化された全電池のカソード放電エネルギーに及ぼす、カルシウムでドープされたニッケルリッチカソード活物質を硫黄でコーティングする影響を示すプロットである。
【0027】
【
図11A】いくつかの実施形態による、正規化された半電池の放電容量に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質内に様々な遷移金属を含む影響を示すプロットである。
【0028】
【
図11B】いくつかの実施形態による、半電池の充電電圧-放電電圧に及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質内に様々な遷移金属を含む影響を示すプロットである。
【0029】
【
図12】いくつかの実施形態による、正規化された全電池のカソードエネルギーに及ぼす、ニッケルリッチカソード活物質内に様々な遷移金属を含む影響を示すプロットである。
【発明の詳細な説明】
【0030】
改善された放電容量及び容量維持率を備えたニッケルリッチカソード活物質の様々な実施形態、並びにニッケルリッチカソード活物質を調製するための方法が、本明細書にてもたらされる。かかるニッケルリッチカソード活物質は、1)結晶格子内でのリチウム原子とニッケル原子との混合、2)サイクル中のカソード電極表面での酸素移動度又は発生を減少させるためにドープかつ/又はコーティングされ得る。したがって、改善された、本明細書に記載のニッケルリッチカソード活物質は、エネルギー貯蔵デバイスにおける電気抵抗を減らし、サイクル寿命を改善させるために仕様され得る。
【0031】
特定の実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、一般式LiNiaO2又はLiNiaTmbO2(式中、「a」は、少なくとも0.8、又は少なくとも約0.8であり、「Tm」は、少なくとも1つの遷移金属元素である)のものである。例えば、かかるニッケルリッチカソード活物質としては、LiNi1-x-yCoxAlyO2(「NCA」)及びLiNi1-x-yCoxMnyO2(「NCM」)が挙げられる。
【0032】
特定の実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、ドーパント材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属(M)、金属酸化物(MyOz)、金属水酸化物(My(OH)z)及びこれらの組合せから選択され、式中、「M」は金属を表し、「y」及び「z」は、中性に荷電したドーパント材料を生成する値である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択された金属(「M」)を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Zr並びにカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及びこれらの組合せから選択された金属を含む。
【0033】
特定の実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、コーティング材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、硫黄化合物、金属化合物及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、硫黄化合物は、ジメチルスルホン(dimethyl sulfone、DMS)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、金属化合物は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)及びこれらの組合せから選択される金属を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、ドーパント材料及びコーティング材料を含み得る。かかるドープ及びコーティングされたニッケルリッチカソード活物質が説明され、本明細書に記載のプロセスによって調製され得る。
ドープされたニッケルリッチカソード活物質及びそのプロセス
【0035】
ニッケル含量が高い(「ニッケルリッチ(ニッケルに富む)」)カソード活物質は、カソード電極の性能を改善するためにドーパントを含み得る。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、ドーパント元素(M)及び酸素(O)を含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、遷移金属元素(Tm)を更に含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、LiNiaZcO2、LiNiaTmbZcO2又はこれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、LiNiaMcO2、LiNiaTmbMcO2又はこれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、「a」は、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.92、0.95、0.98若しくは0.99若しくはこれらの間の任意の範囲の値であるか、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.92、約0.95、約0.98若しくは約0.99若しくはこれらの間の任意の範囲の値であるか、少なくとも0.7、少なくとも0.75、少なくとも0.8、少なくとも0.85、少なくとも0.9、少なくとも0.92、少なくとも0.95、少なくとも0.98若しくは少なくとも0.99若しくはこれらの間の任意の範囲の値であるか、又は少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.92、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98若しくは少なくとも約0.99若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「a」は0.7~0.99の間の数値、0.85~0.95の間の数値、又は0.9~0.99の間の数値である。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素(「Tm」)は、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、MnyCoz(式中、yは0.01~0.05、若しくは0~0.05の値であり、及び/又はzは0.01~0.05、若しくは0~0.05の値である)を含む。いくつかの実施形態では、yが0であるときには、zは0よりも大きい(例えば、0.01)。いくつかの実施形態では、zが0であるときには、yは0よりも大きい(例えば、0.01)。いくつかの実施形態では、遷移金属元素は、AlxMnyCoz(式中、xは0.01~0.03の値であり、yは0.01~0.05の値であり、zは0.01~0.05の値である)を含む。いくつかの実施形態では、「b」は、0、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.0995、0.1若しくはこれらの間の任意の範囲の値であるか、又は約0、約0.001、約0.005、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.0995、約0.1若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「b」は、0.001~0.1の数値、0.001~0.05の数値、又は0.001~0.03の数値である。いくつかの実施形態では、Tmの各元素は、0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.0995又は0.1mol%若しくはこれらの間の任意の範囲の値の、又は約0、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.0995又は約0.1mol%若しくはこれらの間の任意の範囲の値の、ニッケルリッチカソード活物質である。いくつかの実施形態では、ドーパント元素(「Z」)は金属(「M」)を含む。いくつかの実施形態では、金属(「M」)は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、ドーパント元素(例えば、金属)は、Zr並びにカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択された金属を含む。いくつかの実施形態では、「c」は、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.04、0.06、0.08、0.1若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.005、約0.01、約0.015、約0.02、約0.025、約0.04、約0.06、約0.08、約0.1若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「c」は0.005~0.1の間の数値、0.005~0.025の間の数値、又は0.005~0.01の間の数値である。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、少なくとも0.002、少なくとも0.003、少なくとも0.004、少なくとも0.005、少なくとも0.006、少なくとも0.007、少なくとも0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、少なくとも約0.004、少なくとも約0.005、少なくとも約0.006、少なくとも約0.007、少なくとも約0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のZrの原子量を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、LiaNibAlcCadZreO2を含み得る。いくつかの実施形態では、「a」は、0.97、0.975、0.98、0.99、0.995、1、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.97、約0.975、約0.98、約0.99、約0.995、約1、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「a」は、0.97~1の数値、0.98~1の数値、又は0.99~1の数値である。いくつかの実施形態では、「b」は、0.95、0.955、0.96、0.965、0.97、0.975、0.98、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.95、約0.955、約0.96、約0.965、約0.97、約0.975、約0.98、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「b」は、0.95~0.98の数値、0.96~0.97の数値、又は0.96~0.98の数値である。いくつかの実施形態では、「c」は、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.001、約0.0015、約0.002、約0.0025、約0.003、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「c」は、0.001~0.003の数値、0.0015~0.0025の数値、又は0.0015~0.003の数値である。いくつかの実施形態では、「d」は、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.001、約0.0015、約0.002、約0.0025、約0.003、約0.0035、約0.004、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「d」は、0.001~0.004の数値、0.0015~0.004の数値、又は0.0015~0.0035の数値である。いくつかの実施形態では、「e」は、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、若しくは約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、若しくは少なくとも0.002、少なくとも0.003、少なくとも0.004、少なくとも0.005、少なくとも0.006、少なくとも0.007、少なくとも0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、少なくとも約0.004、少なくとも約0.005、少なくとも約0.006、少なくとも約0.007、少なくとも約0.008、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。例えば、いくつかの実施形態では、「e」は、0.002~0.008の数値、0.003~0.008の数値、又は0.003~0.007の数値である。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、LiaNibAlcCadZreO2の式を有し、式中、aは約0.99~約1であり、bは約0.96~約0.97であり、cは約0.015~約0.025であり、dは約0.0015~約0.0035であり、eは約0.003~約0.007である。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、LiNi0.965Al0.02Ca0.0025Zr0.005O2の式、又はおおよそLiNi0.965Al0.02Ca0.0025Zr0.005O2の式を有する。
【0037】
ニッケルリッチ前駆体材料、ニッケルリッチ前駆体混合物及びリチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物は加工され、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を形成する。
図1は、実施形態のいくつかによる、ドープされたニッケルリッチカソード活物質形成プロセスの一例を示すフローチャート100である。ニッケルリッチ前駆体102及びドーパント材料104が提供され、加工ステップ106にて組み合わせられ(例えば、混合され)てニッケルリッチ前駆体混合物108を形成する。ニッケルリッチ前駆体混合物108は、加工ステップ112にてリチウム源110と組み合わせられ(例えば、混合され)てリチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物114を形成する。リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物114は、加工ステップ116にて加熱(例えば、高温焼成)されてドープされたニッケルリッチカソード活物質118を形成する。
図1は加工ステップ108前に生じる加工ステップ106を示すが、加工ステップは同時に実行され得る、又は加工ステップ106は加工ステップ108後に生じ得ることを理解されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ前駆体は、酸化物、水酸化物又はこれらの組合せである。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ前駆体は、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択される遷移金属元素(「Tm」)を含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ前駆体は、NiAl(OH)2、NiMnAl(OH)2、NiMnCo(OH)2、NiCoAl(OH)2、NiZr(OH)2及びこれらの組合せから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、金属(M)、金属酸化物(MyOz)、金属水酸化物(My(OH)z)及びこれらの組合せから選択され、式中、「M」は金属を表し、「y」及び「z」は、中性に荷電したドーパント材料を生成する値である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)及びこれらの組合せから選択された金属(「M」)を含む。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、Ca(OH)2、Mg(OH)2及びこれらの組合せから選択される金属水酸化物である。いくつかの実施形態では、ドーパント材料は、ZrO2などの金属酸化物である。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ前駆体混合物は、0.1mol%、0.125mol%、0.25mol%、0.5mol%、0.75mol%、1mol%若しくは1.5mol%、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のドーパント材料を含む、又は約0.1mol%、約0.125mol%、約0.25mol%、約0.5mol%、約0.75mol%、約1mol%若しくは約1.5mol%、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のドーパント材料を含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ前駆体混合物中のドーパント材料に対するニッケルのモル比は、1:0.005、1:0.01、1:0.015、1:0.02、1:0.025、1:0.03、1:0.035、1:0.04、1:0.045、若しくは1:0.05、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約1:0.005、約1:0.01、約1:0.015、約1:0.02、約1:0.025、約1:0.03、約1:0.035、約1:0.04、約1:0.045若しくは約1:0.05、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。
【0040】
リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物は、ニッケルリッチ前駆体混合物及びリチウム源を含み得る。いくつかの実施形態では、リチウム源はリチウム塩を含む。いくつかの実施形態では、リチウム塩は、LiOH.H2O、Li2CO3及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物中のニッケルに対するリチウムのモル比は、0.9:1、0.95:1、0.99:1、1:1、1.01:1、1.05:1若しくは1.1:1、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は約0.9:1、約0.95:1、約0.99:1、約1:1、約1.01:1、約1.05:1若しくは約1.1:1、若しくはこれらの間の任意の範囲の値である。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチ活物質混合物は、10重量%、11重量%、12重量%、14重量%、16重量%、18重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%若しくは40重量%、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のリチウム源を含む、又は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約14重量%、約16重量%、約18重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%若しくは約40重量%、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のリチウム源を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物は、形成後に加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、550℃、600℃、625℃、650℃、675℃、700℃、725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、820℃、840℃、850℃、860℃、880℃、900℃、950℃若しくは1000℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、約550℃、約600℃、約625℃、約650℃、約675℃、約700℃、約725℃、約750℃、約760℃、約780℃、約800℃、約820℃、約840℃、約850℃、約860℃、約880℃、約900℃、約950℃若しくは約1000℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、少なくとも550℃、少なくとも600℃、少なくとも625℃、少なくとも650℃、少なくとも675℃、少なくとも700℃、少なくとも725℃、少なくとも750℃、少なくとも760℃、少なくとも780℃、少なくとも800℃、少なくとも820℃、少なくとも840℃、少なくとも850℃、少なくとも860℃、少なくとも880℃、少なくとも900℃、少なくとも950℃若しくは少なくとも1000℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、又は少なくとも約550℃、少なくとも約600℃、少なくとも約625℃、少なくとも約650℃、少なくとも約675℃、少なくとも約700℃、少なくとも約725℃、少なくとも約750℃、少なくとも約760℃、少なくとも約780℃、少なくとも約800℃、少なくとも約820℃、少なくとも約840℃、少なくとも約850℃、少なくとも約860℃、少なくとも約880℃、少なくとも約900℃、少なくとも約950℃若しくは少なくとも約1000℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の温度で実施される。いくつかの実施形態では、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物の加熱は、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元雰囲気中で実施される。いくつかの実施形態では、酸化雰囲気は、例えば空気又は酸素リッチ雰囲気など、酸素を含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、酸素リッチ雰囲気は、少なくとも21体積%の酸素、少なくとも23.5体積%の酸素、又は少なくとも25体積%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素又はこれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、還元雰囲気は、水素、一酸化炭素、硫化水素又はこれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、加熱は、0時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、7時間、10時間、20時間若しくは50時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、約0時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約7時間、約10時間、約20時間若しくは約50時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、少なくとも0時間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも7時間、少なくとも10時間、少なくとも20時間若しくは少なくとも50時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、又は少なくとも約0時間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約7時間、少なくとも約10時間、少なくとも約20時間若しくは少なくとも約50時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間にわたって実施される。いくつかの実施形態では、リチウム化されたニッケルリッチ前駆体混合物は、加熱時に焼成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、プロセスは、ドープされたニッケルリッチカソード活物質の構造を破壊することを更に含む。いくつかの実施形態では、構造の破壊は、圧壊、粉砕及びこれらの組合せから選択されるステップを含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、ドープされたニッケルリッチカソード活物質を処理することを含む。いくつかの実施形態では、処理は、ふるい分け、洗浄、濾過、乾燥、コーティング及びこれらの組合せから選択されるステップを含む。
【0043】
・コーティングされたニッケルリッチカソード活物質及びそのプロセス
ニッケルリッチカソード活物質は、カソード電極の性能を改善するためにコーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、カソード活物質の外面上に配置された層を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、カソード活物質の外面上に配置された複数のコーティング要素を含む。いくつかの実施形態では、コーティング(例えば、層及び/又は複数のコーティング要素)は、カソード活物質の外面を部分的に、実質的に、又は完全に覆う。いくつかの実施形態では、コーティングは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はこれらの間の任意の範囲の値のコーティング層など複数のコーティング層を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、硫黄化合物、金属化合物及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、硫黄化合物は、硫黄ナノ粒子、硫黄ゲル、硫黄溶液又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、硫黄化合物は、(CH3)2SO、(CH3)2SO2、NaC12H25SO4又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、金属化合物は、Al、W、Mo及びこれらの組合せからなる群から選択される元素を含む。いくつかの実施形態では、金属化合物は、化合物NH4W、NH4Mo、NaAlO2又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、記載され、本明細書に記載のプロセスによって調製されるドープされたニッケルリッチカソード活物質である。
【0044】
ニッケルリッチカソード活物質及びコーティング材料を加工して、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成する。
図2は、実施形態のいくつかによる、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質形成プロセスの一例を示すフローチャート200である。ニッケルリッチカソード活物質202及びコーティング材料204が提供され、加工ステップ206にて組み合わせられ(例えば、混合され)てニッケルリッチカソード活物質混合物208を形成する。ニッケルリッチカソード活物質混合物208は加工ステップ210にて加熱され、コーティングされたニッケルリッチカソード活物質212を形成する。
【0045】
いくつかの実施形態では、コーティング材料は、硫黄化合物、金属化合物及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、金属化合物は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)及びこれらの組合せから選択される金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウムコーティング材料は、Al2O3、NaAlO2、Al(OH)3及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、タングステンコーティング材料は、NH4W、(NH4)10H2(W2O7)6、Na2WO4、WO3及びこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、モリブデン化合物はNH4Moである。いくつかの実施形態では、硫黄化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン(DMS)、硫黄ナノ粒子、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム及びこれらの組合せの群から選択される化合物を含む。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、0.01mol%、0.02mol%、0.04mol%、0.08mol%、0.1mol%、0.15mol%、0.20mol%、0.25mol%、0.30mol%、0.35mol%、0.40mol%、0.45mol%、0.50mol%又は0.60mol%又はこれらの間の任意の範囲の値でニッケルリッチカソード活物質に加えられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、コーティング材料との混合前に水で洗浄される。いくつかの実施形態では、コーティング材料との混合前に洗浄されたニッケルリッチカソード活物質にて固液分離を実施する。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質は、1重量%、2重量%、3重量%、5重量%、7重量%、9重量%又は12重量%の水、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のリチウム源を含む、又は約1重量%、約2重量%、約3重量%、約5重量%、約7重量%、約9重量%又は約12重量%の水、若しくはこれらの間の任意の範囲の値のリチウム源を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質混合物は、形成後に加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、100℃、125℃、150℃、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃若しくは350℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、約275℃、約300℃、約325℃若しくは約350℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値、少なくとも約100℃、少なくとも約125℃、少なくとも約150℃、少なくとも約175℃、少なくとも約200℃、少なくとも約225℃、少なくとも約250℃、少なくとも約275℃、少なくとも約300℃、少なくとも約325℃若しくは少なくとも約350℃、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の温度で実施される。いくつかの実施形態では、ニッケルリッチカソード活物質混合物の加熱は、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元雰囲気中で実施される。いくつかの実施形態では、酸化雰囲気は、例えば空気又は酸素リッチ雰囲気など、酸素を含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、酸素リッチ雰囲気は、少なくとも21体積%の酸素、少なくとも23.5体積%の酸素、又は少なくとも25体積%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素又はこれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、還元雰囲気は、水素、一酸化炭素、硫化水素又はこれらの組合せを含む雰囲気である。いくつかの実施形態では、加熱は、0時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、20時間若しくは30時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、約0時間、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約20時間若しくは約30時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、少なくとも0時間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも20時間若しくは少なくとも30時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間、又は少なくとも約0時間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約20時間若しくは少なくとも約30時間、若しくはこれらの間の任意の範囲の値の持続期間にわたって実施される。
【0048】
・エネルギー貯蔵デバイス
ドープされた、かつ/又はコーティングされたニッケルリッチカソード活物質は、エネルギー貯蔵デバイス用の電極の調製に使用され得る。いくつかの実施形態では、電極フィルム(例えば、ドープされた、かつ/又はコーティングされたニッケルリッチ電極フィルム)は、ドープされた、かつ/又はコーティングされたニッケルリッチカソード活物質を含む。いくつかの実施形態では、電極は、集電体及び電極フィルムを含む。いくつかの実施形態では、電極はカソード電極である。
【0049】
いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、本明細書に記載の電極を含む。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、セパレータ、アノード電極、カソード電極及びハウジングを含み、セパレータ、アノード電極及びカソード電極は、ハウジング内部に配置され、セパレータは、アノード電極とカソード電極との間に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは、セパレータ、アノード電極及びカソード電極をハウジング内部に配置することによって形成され、セパレータは、アノード電極とカソード電極との間に配置される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスは電池である。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスはリチウムイオン電池である。
【実施例】
【0050】
プロセス、材料及び/又は結果として生じる生成物を含む、本開示の例示的実施形態は、以下の実施例で説明される。
【0051】
・実施例1-カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質
カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質及びドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質を調製した。ニッケルリッチ、Ni0.98Al0.02(OH)2前駆体材料を、0.125~1.00mol%のZrO2及び0.25mol%のCa(OH)2ドーパント材料と混合し、カルシウムドープされたニッケルリッチ前駆体混合物を形成した。更には、Ni0.98Al0.02(OH)2前駆体材料を、0.125~1.00mol%のZrO2ドーパント材料と混合することで、ドープ制御されたニッケルリッチ前駆体混合物を調製した。リチウム源であるLiOHを、カルシウムドープされたニッケルリッチ前駆体混合物及びドープ制御されたニッケルリッチ前駆体混合物と、リチウム:ニッケルが1.03:1のモル比で混合し、リチウム化され、カルシウムドープされたニッケルリッチ前駆体混合物及びリチウム化され、ドープ制御されたニッケルリッチ前駆体混合物とを形成した。リチウム化されたカルシウムドープされたニッケルリッチ前駆体混合物及びリチウム化されたドープ制御されたニッケルリッチ前駆体混合物を、670~700℃で3~8時間、酸素中で加熱した。加熱した、リチウム化され、カルシウムドープされたニッケルリッチ前駆体混合物及び加熱した、リチウム化され、ドープ制御されたニッケルリッチ前駆体を粉砕し、ふるい分けしてカルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質及びドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質とを製造した。
【0052】
製造された、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質は、LiaNibAlcCadZreO2の式を有し、式中、aは約0.99~約1であり、bは約0.96~約0.97であり、cは約0.015~約0.025であり、dは約0.0015~約0.0035であり、eは約0.003~約0.007であった。a、b、c、d及びeの値によって、中性に荷電したドーパント材料が生成された。
【0053】
・実施例2-硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質
硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティング制御されたニッケルリッチカソード活物質を調製した。ドープされたニッケルリッチカソード活物質を水で洗浄し、続いて洗浄したニッケルリッチカソード活物質上で固液分離を実施した。洗浄したニッケルリッチカソード活物質をNaAlO2溶液と混合し、続いてNH4W溶液と混合して、金属コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成した。金属コーティングされたニッケルリッチカソード活物質の一部を取り出し、200~250℃で3~8時間、酸素中で加熱してコーティング制御されたニッケルリッチカソード活物質を形成した。
【0054】
金属コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を0.1~0.5mol%のDMS乾燥粉末と混合し、200~250℃で3~8時間、酸素中で加熱して硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を形成した。
【0055】
・実施例3-XRDピーク幅
図3は、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質の格子構造を、ドープ制御されたカソード活物質と比較したXRDパターンプロットである。
図3で提供されたデータを、以下の表1にて更にまとめる。
図3及び表1に見られ得るように、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質(「Ca」と表示)は、ドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質(「非Ca」)と表示)よりもX線回折ピーク幅が狭いことが分かった。これは、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質の結晶格子に混合しているリチウムとニッケルが減少していることを示している。
【表1】
【0056】
・実施例4-電気化学セルの調製及び試験
カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質及びドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質、並びに/又は硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティング制御されたニッケルリッチカソード活物質を含む半電池を調製し、試験した。実施例1及び実施例2に説明されたプロセスと同様のプロセスを使用し、ドープされた、及び/又はコーティングされたカソード活物質を調製した。ドープされたカソード活物質及びコーティングされたカソード活物質を提供することでカソード電極を調製した。材料を、Nーメチルー2ーピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)中で、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)及びSuper-Sカーボンブラックとを85:10:5重量%の比率で混合してスラリーを形成した。スラリーをアルミニウム箔片上へとキャストし、オーブンにて120℃で3時間乾燥させた。続いて乾燥させた混合物を2000atmの圧力でカレンダー加工して、負荷が10.51mg/cm2であるバルク電極材料を形成した。1.2cmのコイン型セルの電極をバルク電極材料から打ち抜き、コイン型セルの電極を、真空下、120℃で14時間乾燥させた。コイン型セルを、コイン型セルの電極、第1のセパレータ、第2のセパレータ及びリチウム箔陰極を積層することによって、アルゴン充填グローブボックス内で組み立てた。
【0057】
カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質及びドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質、並びに/又は硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質及びコーティング制御されたニッケルリッチカソード活物質を含む全電池(すなわち、パウチ型セル)を調製し、試験した。全電池用のカソード電極を、半電池用で調製したカソード電極同様に調製した。カソード電極、セパレータ及びアノード電極を一緒に積層し、電極積層体を形成することによって全電池を調製した。電極積層体を、ヘキサフルオロリン酸リチウム電解液で満たされたパウチに入れた。調製されるように、全電池の容量はおよそ200mAhであった。Arbin電池試験システムを使用し、定電流充放電サイクルを実施した。試験中、全電池を40℃に維持した。全電池を最初にC/20の一定速度で4.2Vまで充電し、その後C/20の速度で2.5Vまで放電させた。続いて全電池を、C/3の一定速度で2.85~4.20Vの間でサイクルさせた。
実施例5-カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セル
【0058】
図4及び
図5は、ドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルと比較して、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質を含む半電池及び全電池の性能をそれぞれ示すプロットである。
図4及び
図5に見られ得るように、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質(「Caを含む」と表示)を含む電気化学セルの正規化された放電容量は、ドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質(「Caを含まない」と表示)を含むセルに対して改善された性能を示した。
実施例6-硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セル
【0059】
図6及び
図7は、コーティング制御されたニッケルリッチカソード活物質(「コーティング」と表示)を含む電気化学セルと比較して、硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質(「コーティング+硫黄」と表示)を含む半電池及び全電池の性能をそれぞれ示すプロットである。
図6及び
図7に見られ得るように、硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルの正規化された放電容量及び正規化された容量維持率はそれぞれ、ドープ制御されたニッケルリッチカソード活物質を含むセルに対して改善された性能を示した。
実施例7-タングステンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質、又はモリブデンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質のいずれかを含む電気化学セル
【0060】
図8A及び
図8Bは、未洗浄のコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質(「未洗浄」と表示)、洗浄されたコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質(「洗浄」と表示)及び洗浄され、再加熱したコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質(「洗浄+再加熱」と表示)を含むセルと比較した、タングステンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質(「W処理」と表示)及びモリブデンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質(「Mo処理」と表示)を含む半電池の性能を示すプロットである。
図8A及び
図8Bに見られ得るように、タングステンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質又はモリブデンコーティングされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルの放電容量及びdV成長はそれぞれ、未洗浄のコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質、洗浄されたコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質及び洗浄され、再加熱したコーティングされていないニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルに対して改善された性能を示した。
【0061】
・実施例8-硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質及び/又はカルシウムドープされた活物質を含む電気化学セル
図9及び
図10は、DMSコーティング(すなわち、硫黄コーティング)されたニッケルリッチカソード活物質(「硫黄のみ」と表示)及びカルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質(「Caのみ」)を含む電気化学セルと比較して、DMSコーティングされ、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質(「Ca+硫黄」と表示)を含む半電池及び全電池の性能をそれぞれ示すプロットである。
図9及び
図10に見られ得るように、硫黄コーティングされ、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルの正規化された放電容量及び正規化された容量維持率はそれぞれ、カルシウムドープされたニッケルリッチカソード活物質及び硫黄コーティングされたニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルに対して改善された性能を示した。
【0062】
・実施例9-アルミニウム又はジルコニウム遷移金属のいずれかを含むカソード活物質を含む電気化学セル
図11A及び
図11Bは、活物質内部に2mol%、1mol%若しくは0.5mol%のアルミニウム遷移金属(「2%Al」、「1%Al」、「0.5%Al」とそれぞれ表示)、又は代替的に0.5mol%若しくは0.25mol%のジルコニウム遷移金属(「0.5%Zr」、「0.25%Zr」とそれぞれ表示)を含むカソード活物質を含む半電池の性能を示すプロットである。
図11A及び
図11Bに見られ得るように、アルミニウム遷移金属を含むニッケルリッチカソード活物質を含む電気化学セルの放電容量及び平均充電電圧-平均放電電圧成長はそれぞれ、遷移金属のmol%が増加するにつれて改善した性能を示した。
【0063】
図12は、LiNi
0.8Co
0.1Mn
0.1O
2(「NMC811」と表示)カソード活物質又はLiNiO
2(「LiNiO
2」と表示)カソード活物質を有する電気化学セルと比較した場合、活物質内部に2mol%、1mol%若しくは0.5mol%のアルミニウム遷移金属(「2%Al」、「1%Al」、「0.5%Al」とそれぞれ表示)、又は代替的に活物質内部に0.5mol%若しくは0.25mol%のジルコニウム遷移金属(「0.5%Zr」、「0.25%Zr」とそれぞれ表示)を含むカソード活物質を含む全電池の性能を示すプロットである。
図12に見られ得るように、ジルコニウム遷移金属が含まれているニッケルリッチカソード活物質を有する電気化学セルは、NMC811カソード活物質及びLNOカソード活物質を含む電気化学セルに対して改善された寿命を示した。
【0064】
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、本開示の範囲を限定しようとしたものではない。実際に、本明細書に記載の新規方法及びシステムは、その他の様々な形態で具体化され得る。更に、本明細書に記載のシステム及び方法における様々な省略、置換及び変更は、本開示の精神から逸脱しない限り行われ得る。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び精神に含まれるような形態又は修正を包含することを意図している。
【0065】
特定の態様、実施形態又は実施例に関連して説明された特徴、材料、特性又は群は、それらが矛盾しない限り、このセクション又は本明細書中のその他の部分に説明された任意のその他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書で開示された特徴のすべて(任意の添付の請求項、要約及び図面を含む)並びに/又は同様に開示されている任意の方法若しくはプロセスのステップのすべては、かかる特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせられ得る。保護は、任意の前述の実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(添付の任意の請求項、要約及び図面)に開示された特徴のうちの新規であるいずれか1つ、若しくはそれらの新規の任意の組合せに、又は同様に開示された任意の方法若しくはプロセスのステップのうちの新規であるいずれか1つ、若しくはそれらの新規の任意の組合せに及ぶ。
【0066】
更に、別個の実装の文脈で本開示にて説明されているある特定の特徴もまた、単独の実装にて組み合わせられて実装され得る。逆に、単独の実装の文脈で説明されている様々な特徴はまた、複数の実装で別々に、又は任意の好適な組合せの構成要素にて実装され得る。加えて、特徴は特定の組合せで作用するものとして上にて説明され得るが、特許請求された組合せの1つ以上の特徴は、いくつかの場合では組合せから削除され得る。また、組合せは組合せの構成要素、又は組合せの構成要素の変形として特許請求され得る。
【0067】
加えて、操作は特定の順序で図面に示され得るか、又は本明細書に説明され得るが、かかる操作は、示される特定の順序又は連続した順で実施される必要はなく、すべての操作は望ましい結果を達成するために実施され得る。図示されていない、又は説明されていないその他の操作は、例示的な方法及びプロセスに組み込まれ得る。例えば、1つ以上の追加の操作は、記載の操作のいずれかの前、後、これと同時に、又はこれらの間に実施され得る。更に、操作はその他の実装では再度並べ直されたり再度整理され得る。当業者は、いくつかの実施形態では、示された及び/又は開示されたプロセスで行われる実際のステップは、図に示されているものと異なり得ることを理解するであろう。実施形態に応じて、上記ステップのうちの特定のステップを削除し、その他のステップを追加してもよい。更に、上で開示された特定の実施形態の特徴及び特質は、異なる方法で組み合わせられて追加の実施形態を形成してもよく、それらすべては本開示の範囲内に入る。また、上記実装中の様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装でかかる分離を必要とするものと理解されるべきではなく、所望の構成要素及びシステムは、概して単一の製品に一緒に統合され得るか、複数の製品へとパッケージ化され得ることを理解されたい。例えば、本明細書に記載のエネルギー貯蔵システム用の構成要素のいずれかは、別々に、又は一緒に統合(例えば、一緒にパッケージ化されるか、一緒に取り付けられる)されてエネルギー貯蔵システムを形成し得る。
【0068】
本開示の目的のために、特定の態様、利点及び新規特徴が本明細書に説明される。かかる利点すべてが、任意の特定の実施形態に従って達成され得るというわけではない。そのため、例えば当業者は、本明細書にて教示又は提案され得るように、その他の利点を必ずしも達成する必要なく、本明細書にて教示されるような1つの利点又は利点の一群を達成する方式で本開示が具体化され得る又は実行され得ることを認識するであろう。
【0069】
「can」、「could」、「might」又は「may」といった条件付き言語は、特段具体的に記載しない限り、又は使用されるような文脈内で理解されない限り、その他の実施形態が含まない特定の特徴、要素及び/又はステップを含まない一方、特定の実施形態は含むことを、概して伝えようと意図されている。したがって、かかる条件付き言語は、特徴、要素及び/又はステップが、任意の方法にて1つ以上の実施形態で必要とされること、又は1つ以上の実施形態がユーザ入力若しくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/若しくはステップが、任意の特定の実施形態に含まれるか、又は任意の特定の実施形態で実施されることになるかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することを概して意図したものではない。
【0070】
「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」といった語句などの接続語は、特段具体的に記載しない限り、項目や用語などがX、Y又はZのいずれかであり得ることを伝えるために、一般に使用されるような文脈で理解されることになる。そのためかかる接続語は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ及びZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを示すことを概して意図しているわけではない。
【0071】
「およそ」、「約」、「概して」及び「実質的には」といった本明細書にて使用される程度の言語は、依然として所望の機能を実施するか、所望の結果を達成する記載の値、量又は特徴に近似する値、量又は特性を表す。
【0072】
本開示の範囲は、このセクション又は本明細書中のその他の部分の実施形態の特定の開示によって限定されることを意図したものではなく、このセクション若しくは本明細書中のその他の部分に表されるように、又は将来的に表されるように、特許請求の範囲によって規定され得る。特許請求の範囲の言語は、特許請求の範囲で使用される言語に基づいて広い意味で解釈されなければならず、本明細書に説明された、又は出願審査中には実施例に限定されることはなく、実施例は非排他的であると解釈されなければならない。
【0073】
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、本開示の範囲を限定しようとしたものではない。実際に、本明細書に記載の新規方法及びシステムは、その他の様々な形態で具体化され得る。更に、本明細書に記載のシステム及び方法における様々な省略、置換及び変更は、本開示の精神から逸脱しない限り行われ得る。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び精神に含まれるような形態又は修正を包含することを意図している。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ規定される。
【国際調査報告】