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特表2025-505125空気吸入エンジン改質器の入力・出力圧力を管理するためのシステム、装置、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】空気吸入エンジン改質器の入力・出力圧力を管理するためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 33/00 20060101AFI20250214BHJP
   C01B 3/36 20060101ALI20250214BHJP
   C07C 29/152 20060101ALN20250214BHJP
   C07C 31/04 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
F02M33/00 D
C01B3/36
C07C29/152
C07C31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544671
(86)(22)【出願日】2023-01-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 US2023061523
(87)【国際公開番号】W WO2023147525
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/304,463
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/304,471
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/304,475
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/746,942
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/953,056
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/984,126
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524173176
【氏名又は名称】エムトゥーエックス エナジー インク
【氏名又は名称原語表記】M2X ENERGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】イェルヴィントン, ポール, イー.
(72)【発明者】
【氏名】ディーン, ジョン, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ, アンドリュー, エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ジョシュア, ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー, ダグ, シー.
【テーマコード(参考)】
4G140
4H006
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA07
4G140EA09
4G140EB12
4G140EB37
4G140EB39
4H006AA04
4H006AC41
4H006BC18
4H006BE20
4H006BE40
4H006BE41
(57)【要約】
部分酸化を利用して、フレアガスなどの炭化水素ガスから最終生成物を製造するシステムおよび方法が提供される。ガス液化システムにおける空気吸入エンジン改質器に必要な圧縮仕事量を最小化する方法及びシステムが提供される。ガス液化システムおよび方法における空気吸入エンジン改質器に必要とされる圧縮仕事量を、(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジン改質器の背圧を標準的な1barまたは2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の多くを回収することにより、とりわけプラントを運転するためのコストを低減すること、および(d)強化合成ループを利用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること、のうちの1つ又は複数によって最小化する方法およびシステムが提供される。一実施形態では、最終生成物はメタノールである。
【選択図】図15

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを最終生成物に変換する方法であって、
a. 組成が主としてガス状炭化水素と供給源からの不活性ガスである、炭化水素をベースとする燃料源の流れを受け入れる工程と、
b. 前記燃料源を空気吸入レシプロエンジン内で部分的に酸化して、液体の合成に適したH/CO比を有する合成ガス混合気を生成する工程と、
c. コンプレッサの仕事量を低減する工程を実行する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、窒素の量を減らすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、前記空気吸入レシプロエンジンの背圧を増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記背圧が5barまで増加する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記背圧が2barより大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、ターボエキスパンダ・熱交換器システムを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、反応分離合成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記空気吸入レシプロエンジンがリッチバーンエンジンである、請求項1から7のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項9】
前記空気吸入レシプロエンジンが可変圧縮比エンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記空気吸入レシプロエンジンが圧縮点火エンジンである、請求項1から7のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項11】
前記空気吸入レシプロエンジンが火花点火エンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ガスを最終生成物に変換するためのシステムであって、
a. 組成が主としてガス状炭化水素と供給源からの不活性ガスである、炭化水素をベースとする燃料源の流れを受け入れるための流入ポートであって、
b. 前記燃料源を部分的に酸化して液体の合成に適したH/CO比を有する合成ガス混合気を生成するようにされた空気吸入レシプロエンジンと流体連通している流入ポートと、
c. コンプレッサの仕事量を低減する手段と、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が窒素の量を減らす手段を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記窒素の量を減らす手段が酸素富化ユニットを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記窒素の量を減らす手段が窒素除去ユニットを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が、前記空気吸入レシプロエンジンの増加した背圧を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記増加した背圧が最大5barである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記増加した背圧が2barよりも大きい、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段がターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムを使用することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段階で構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムがコンプレッサ・タービンアセンブリを備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが2段で構成され、各段がコンプレッサとタービンと熱交換器を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段で構成され、各段がコンプレッサとタービンと熱交換器を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が反応分離合成ループを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
前記空気吸入レシプロエンジンがリッチバーンエンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記空気吸入レシプロエンジンが可変圧縮比エンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記空気吸入レシプロエンジンが圧縮点火エンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記空気吸入レシプロエンジンが火花点火エンジンである、請求項12から24のいずれか一向に記載のシステム。
【請求項29】
前記燃料源がフレアガスである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記燃料源がフレアガスである、請求項12から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記エンジンが、ディーゼルサイクルエンジンを含む圧縮点火エンジン、又は予混合圧縮点火エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項32】
前記エンジンが、オットーサイクルを含む火花点火エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項33】
前記エンジンが、対向ピストン・フリーピストン・リニア内燃エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項34】
前記エンジンは、クランクシャフト駆動式の対向ピストン内燃エンジンであり、一方のピストンの位相を他方のピストンの位相に対して回転させて全体的な圧縮比を変更するクランクシャフト位相器を備えている、請求項12に記載のシステム。
【請求項35】
コンプレッサの仕事量を低減させた状態でフレアガスをメタノールに変換するためのシステムであって、
a. 空気の流れを受け入れるための第1ライン、及びフレアガスの流れを受け入れるための第2ラインであって、
b. 空気吸入エンジン改質器アセンブリと流体連通した第1及び第2ラインと、
c. 第3ラインと流体連通したターボエキスパンダアセンブリであって、
d. 前記エンジン改質器アセンブリが前記第3ラインと流体連通しており、
e. 前記第3ラインは、前記エンジン改質器アセンブリと当該ターボエキスパンダアセンブリを連結して、前記エンジン改質器からの中間生成物を当該ターボエキスパンダアセンブリに流すことができるようにし、
f. 第4ライン、第5ライン、及び第6ラインに流体連通している、ターボエキスパンダアセンブリと、
g. 前記第4ライン、前記第5ライン、及び前記第6ラインと流体連通しているメタノール合成アセンブリと、を備え、
h. 前記第4ラインは、前記ターボエキスパンダを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記ターボエキスパンダから前記メタノール合成アセンブリへの第1の流れを提供するようにされ、
i. 前記第5ラインは、前記ターボエキスパンダを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記ターボエキスパンダアセンブリから前記メタノール合成アセンブリへの第2の流れを提供するようにされ、
j. 前記第6ラインは、前記ターボエキスパンダを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記メタノール合成アセンブリから前記ターボエキスパンダへの第3の流れを提供するようにされた、システム。
【請求項36】
前記中間生成物が合成ガスである、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記ターボエキスパンダから前記メタノール合成アセンブリへの前記第1の流れが合成ガスである、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記エンジンが、バルブの開閉に作用するように吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを回転させるカムシャフト位相器を利用して可変「有効」圧縮比を達成する従来の火花点火レシプロエンジンである、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項39】
前記エンジンが、バルブの開閉に作用するように可変リフトおよび/または可変デュレーションのバルブトレインを利用して可変「有効」圧縮比を達成する従来の火花点火レシプロエンジンである、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項40】
前記エンジンが、前記クランクシャフトを回転させる従来のコネクティングロッドの代わりにマルチリンクシステムを備え、アクチュエータモータが前記マルチリンクシステムの終点を変更する、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項41】
前記エンジンがツーストロークエンジンである、請求項1から35のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項42】
前記エンジンがフォーストロークエンジンである、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項43】
エンジン回転数をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項44】
前記入口マニホールドの空気温度をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項45】
前記入口マニホールドの空気圧(例えば、ブーストレベル)をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項46】
蒸気または水素を流入空気または燃料に添加し、その添加量をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項47】
前記エンジンが少なくとも1.5のERの下で運転される,請求項1から46のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項48】
前記エンジンが少なくとも約2のERの下で運転される、請求項1から47のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項49】
前記エンジンが少なくとも約2.5のERの下で運転される、請求項1から48のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項50】
前記エンジンが少なくとも約3のERの下で運転される、請求項1から49のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項51】
前記エンジンが少なくとも約2.5のERの下で運転される、請求項1から50のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項52】
圧縮比が8:1から14:1の間で制御される、請求項1から51のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項53】
前記エンジンの下流で、統合された熱交換器、圧縮システムコンポーネント、および熱交換器を組み合わせて、前記下流の合成反応器用の合成ガスを調製するようにした、請求項1から52のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項54】
前記エンジンの下流に、有用な液体生成物を生成するための下流合成反応器システムを有する、請求項1から53のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項55】
AIで訓練された異常検知を含むクラウドベースの遠隔監視システムが、可変バルブタイミングの変化を動的に監視し、燃料供給の異常を評価して対応する、請求項1から54のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項56】
COeライフサイクルアセスメントの観点から、フレアガスから製造された場合において、パイプライン天然ガスからのベースライン液体メタノール製造と比較して、最終生成物(この場合、液体メタノール)1kgあたり約40kgCOeの負のCOe排出をもたらすことになる、請求項1から55のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項57】
フレアガスから製造され、パイプライン天然ガスからのベースラインメタノールと等価なkgのメタノールを置き換える場合において、結果として生じる前記負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)1kgあたり約70kgCOeである、請求項1から56のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項58】
フレアガスから製造され、石炭ガス化からのベースラインメタノールと等価なkgを置き換える場合において、結果として生じる前記負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)kgあたり約130kgCOeである、請求項1から57のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項59】
前記最終生成物がメタノールを含む、請求項1から58のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項60】
前記最終生成物が、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、およびF-T液体からなる群から選択される材料を有する、請求項1から59のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項61】
前記燃料源が炭化水素井からのフレアガスである、請求項1から60のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項62】
前記燃料源が油井からのフレアガスである、請求項1から61のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項63】
前記燃料源が、非従来型油井からのフレアガスである、請求項1から62のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項64】
前記燃料源がフレアガスであり、前記フレアガスは、石油化学処理、精製、埋立地、廃水処理、および畜産からなる群から選択される、請求項1から63のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項65】
前記燃料ガスの流量が約50,000scfdから約30,000,000scfdである、請求項1から64いずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項66】
前記燃料ガスの流量が、約500,000scfdから約20,000,000scfdである、請求項1から65のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項67】
前記燃料ガスの流量が、約600,000scfdから約15,000,000scfdである、請求項1から66のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【請求項68】
前記燃料ガスの流量が、約700,000scfdから約10,000,000scfdである、請求項1から67のいずれか一項に記載のシステムおよび方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(i)35U.S.C.§119条(e)(1)に基づき、2022年1月28日に出願された米国仮出願第63/304,463号の出願日の利益を主張し、またその優先権の利益を主張し、(ii)2022年5月17日に出願された米国出願番号17/746,942号の一部継続出願であり、(iii)2022年9月26日に出願された米国出願番号17/953,056号の一部継続出願であり、(iv)2022年11月9日に出願された米国出願番号17/984,126号の一部継続出願であり、(v)35U.S.C.§119(e)(1)に基づき、2022年1月28日に出願された米国仮出願第63/304,371号の出願日の利益を主張し、またその優先権の利益を主張し、そして(vi)35U.S.C.§119(e)(1)に基づき、2022年1月28日に出願された米国仮出願第63/304,475号の出願日の利益を主張し、またその優先権の利益を主張するものであり、それぞれの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フレアガスなどの炭化水素ガスを回収して有用かつ経済的に実現可能な材料に変換するシステムを含む、ガス液化システムなどの改質器ベースの炭化水素処理システムに必要なコンプレッサの仕事量(例えば、コンプレッサの数およびサイズ、コンプレッサの運転に必要なエネルギーなどの圧縮要件)を低減するための新規かつ改良された方法、装置およびシステムに関する。
特に、本発明は、ガス液化システムおよびプロセスで使用されるエンジン、特に空気吸入(air-breathing)改質器を運転するための新規かつ改良された方法、装置およびシステムに関する。
「フレアガス」、「廃棄ガス」、および同様の用語は、可能な限り広範な意味が与えられ、石油・ガス生産、炭化水素井(在来型井および非在来型井を含む)、石油化学処理、精製、埋立地、廃水処理、酪農、家畜生産、およびその他の自治体、化学、工業プロセスによって、またはそれらから発生、生成、関連、または生産されるガスを含むものとする。したがって、例えばフレアガスや廃棄ガスには、ストランデッドガス(stranded gas)、随伴ガス、埋立地ガス、ベントガス、バイオガス、消化器ガス、スモールポケットガス、遠隔地ガスなどが含まれる。
【背景技術】
【0003】
通常、フレアガスの組成は、異なるガスの混合物である。その組成は、フレアガスの発生源に依存する。例えば、石油・ガス生産時に放出されるガスは、主に天然ガスを含んでいる。天然ガスは90%以上がメタン(CH)で、エタンや少量の他の炭化水素、水、N、COも含まれる。製油所やその他の化学・製造事業からのフレアガスは、通常、炭化水素と場合によってはHの混合物である。埋立地ガス、バイオガス、消化器ガスは通常、CHとCOの混合物であり、少量の他の不活性ガスも含まれる。一般に、フレアガスは、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、エチレン、プロピレン、1-ブテン、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、水素、酸素、窒素、水のうちの1つ又は複数のガスを含む。
【0004】
フレアガスの大部分は、油田における多数の油井またはガス井、埋立地、または化学工場のような、より小規模で個々の点源から発生する。本発明以前は、フレアガス、特に炭化水素生成井戸やその他の小規模な点源から生成するフレアガスは、燃焼させて廃棄されており、場合によっては直接大気中に排出していたかも知れない。このフレアガスは経済的に回収・利用することはできなかった。炭化水素生産とその他の試みの両方から発生するフレアガスの燃焼や排出は、公害と温室効果ガスの発生に関する深刻な懸念を引き起こしている。
【0005】
本明細書では、特に断りのない限り、「シンガス」、「合成ガス」、および同様の用語は、可能な限り広い意味が与えられるべきであり、HとCOの混合物を主成分として有するガスを含み、またCO、N,および水、並びに僅かな量の他の材料も含み得る。
【0006】
本明細書では、特に断りのない限り、「生成物ガス」および同様の用語は、可能な限り広い意味が与えられるべきであり、H、CO、およびその他の炭化水素を有し、典型的にはメタンなどのその他の炭化水素を相当量含むガスが含まれる。
【0007】
本明細書では、特に断りのない限り、「再処理ガス」という用語には、「シンガス」、「合成ガス」、「生成物ガス」が含まれる。
【0008】
特に断りのない限り、本明細書で使用される場合、「部分酸化」、「部分酸化する」及び同様の用語は、燃料及び空気の化学量論以下の混合気(すなわち、燃料が豊富な混合気)が部分的に反応(例えば、燃焼)して合成ガスを生成する化学反応を意味する。部分酸化という用語には、一般的に無触媒改質器で起こる熱部分酸化(TPOX)と触媒部分酸化(CPOX)の両方が含まれる。部分酸化反応の一般式は次の通りである。
【0009】
【0010】
特に断りのない限り、本明細書で使用される値の範囲の記載は、単に、範囲内に入る各個別の値を個別に参照するための略記法としての役割を果たすことを意図している。本明細書において別段の記載がない限り、範囲内の各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0011】
一般に、本明細書で使用される「約」という用語は、特に断りのない限り、±10%の分散または範囲、あるいは記載された値を得ることに関連する実験誤差または機器誤差のうち大きい方を包含することを意味する。
【0012】
別に断りがない限り、ここでは、「COe」という用語は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)の方法論に基づき、20年又は100年の地球温暖化係数ベースで、他の、より影響力の強い温室効果ガス(例えば、メタンや亜酸化窒素)の二酸化炭素に対する等価性を定義するために使用される。「炭素強度」という用語は、生成物の単位質量当たりに発生するライフサイクルCOeを意味する。
【0013】
本明細書では、特に断りのない限り、「粗メタノール」という用語は、水、溶存ガス、その他の汚染物質を取り出す前のメタノール合成ループで製造されたメタノールと定義する。粗メタノールには、5~20wt%の水、溶存ガス(例えば、1~2wt%のCO)および微量汚染物質(例えば、エタノール)が含まれることが多い。本明細書では、特に断りのない限り、「安定化メタノール」という用語は、溶存ガスおよびその他の軽質成分の濃度を低減するためのフラッシュ操作(例えば、1段フラッシュドラム)を経た粗メタノールと定義する。多くの場合、安定化メタノールのCO濃度は1%未満であり、最も一般的には約0.5wt%である。本明細書では、「原料メタノール」、「初期メタノール」などの用語は、「粗メタノール」、「安定化メタノール」またはその両方を指す。本明細書では、「グレードメタノール」という用語は、ASTM AA規格(D1152)またはIMPCAメタノール参照規格などの純度規格を満たすメタノールとして定義される。
【0014】
本明細書において、特に断りのない限り、%およびmol%という用語は互換的に使用され、例えば、製剤、混合物、材料または生成物全体のモル数に対する第一成分のモル数の割合を指す。
【0015】
本明細書において、特に断りのない限り、重量%(略号:wt%)および質量%という用語は、例えば、製剤、混合物、材料または生成物などの全体の重量に対する第一成分の重量のパーセンテージを指す。
【0016】
本明細書では、特に断りのない限り、室温は25℃、標準温度と標準圧力は15℃、1気圧(1.01325bar(バール))とする。明示的に別段の記載がない限り、すべての試験、試験結果、物理的特性、および温度依存性、圧力依存性、またはその両方の値は、標準温度および標準圧力で提供されている。
【0017】
本明細書で使用する場合,特に断らない限り,「燃料対空気当量比」、「当量比」、「燃料/空気当量比」、「Φ」または「ER」、および類似のそのような用語は、同じ意味を有し、その最も広い意味を与えられ、化学量論的燃料/空気比に対する実際の燃料/空気比の比を含むものとする。化学量論的空燃比とは、理想的な化学量論的燃焼が起こるのに必要な空燃比のことで、燃料と酸素がすべて反応で消費され、生成物は二酸化炭素と水である。

地球温暖化と環境問題
【0018】
すでに深刻な問題となっている二酸化炭素と比較したときの、廃棄ガスの放出による環境への相対的な影響が図12に示されている。
【0019】
フレアガスやベントからメタンが漏れることによる地球温暖化への影響は、決して過小評価できるものではない。国際エネルギー機関(IEA)の2019年の報告書によると、2018年には約2000億立方メートルの廃棄ガスやフレアガスが大気中で燃焼または大気中に放出された。約500億立方メートルのガスが放出され、約1500億立方メートルのガスがフレアで燃焼された。燃焼は炭化水素を二酸化炭素に変換することを目的としているが、そのピーク効率は98%であり、風があると効率は低下する。燃焼効率の低さとガス放出とが相まって、COe換算で合計約14億トンのCOeが排出された。これは、年間の人為的COe排出源全体の約2.7%に相当する。
【0020】
この発明の背景技術の欄は、本発明の実施形態に関連する可能性がある技術のさまざまな側面を紹介することを目的としている。したがって、この欄の前述の議論は、本発明の理解を深めるための枠組みを提供する。であり、先行技術の承認とみなされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
非経済的な炭化水素系燃料(例えば、ストランデッドガス、随伴ガス、非随伴ガス、埋立地ガス、フレアガス、スモールポケットガス、遠隔地ガス、廃水処理ガス)を、付加価値のある輸送しやすい生成物(例えば、メタノール、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、およびその他の燃料または化学物質)に変換するシステム、装置、および方法に対するニーズは、長年にわたって拡大しつつも満たされていない。炭化水素系の不経済な燃料を付加価値のある輸送しやすい生成物に変換するためのシステム、装置および方法において、改質装置として空気吸入エンジンおよびその運転が使用される場合、およびこれらのエンジンがリッチな条件下で運転される場合に、エンジンの運転、特に、入口圧力および出口圧力並びに圧力差を制御するための改良されたシステムおよび方法が引き続き必要とされてきた。本発明は、特に、本明細書で教示され、開示される製造品、装置およびプロセスを提供することにより、これらのニーズを解決する。
【0022】
一般に、ガス液化システムのいくつかの実施形態で使用される圧縮仕事に関連する重大な問題、コスト、および非効率性がある。なぜなら、合成工程で必要とされる圧力は、通常、エンジン改質器の出口の圧力よりもはるかに高いからである。例えば、メタノール合成の場合、メタノール製造装置への入口に必要な圧力は通常50barであるが、商用エンジンの出口の圧力は通常1bar付近である(エンジンの出口または出力は、例えばメタノール合成装置の中間体への供給に使用される)。したがって、本発明以前は、この50倍の差を、圧縮仕事、例えばコンプレッサによって補う必要があった。本発明の実施形態は、特に、本明細書で教示され、開示される製造品、装置およびプロセスを提供することによって、これらの問題およびニーズを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って、以下の1つ又は複数のものを有する又は使用する、空気吸入エンジン改質器を利用したガス液化システムに必要な圧縮仕事量を最小化する方法及びシステムが提供される。(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1barまたは2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の多くを回収し、他の効果のなかでもとりわけ、プラントの運転に必要なコストを低減すること、(d)強化合成ループ(intensified synthesis loop)を利用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること。
【0024】
さらに、下流の圧縮要件を低減する手段として約2barから約5barの圧力で中間合成ガスを生成するエンジン改質器、合成ガスを所望の下流合成圧力まで圧縮して高圧合成ガスを提供する合成ガスコンプレッサ、および高圧合成ガスを所望の生成物に変換する下流合成プロセスを有する、ガス液化システムおよび方法が提供される。
【0025】
さらに、合成反応の生成物または副生成物を未反応合成ガス(シンガス)から選択的に取り出してより低い合成圧力で高いシングルパス変換率を達成するために平衡をシフトさせる下流合成反応器を有するガス液化システムおよび方法を提供し、生成物分離が合成反応器内でその場で行なわれるか、密接に連結された態様で行なわれるか、又はその両方で行なわれ、これにより、合成反応器への再循環ループが減少または排除され、再循環ガスの再圧縮のための圧縮仕事が減少するようにされ、さらに、反応器内で反応物から生成物を分離する手段であって、吸着、吸収、膜分離、及び蒸留等のうちの1つ又は複数の手段を含むことができる。
【0026】
さらに、システムから排出される前に減圧されるガス状生成物ストリームからエネルギーを回収するために、レキュペレーターの下流にターボエキスパンダを有するガス液化システムおよび方法が提供され、回収されたエネルギーは、プロセスのための正味圧縮仕事量を低減するために使用され、それによって自立運転が可能になる。
【0027】
さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法、システム及び装置が提供される。エンジンの良好な容積効率および正味軸出力を促進するための、入口チャージ昇圧またはバルブタイミングの変更などのエンジン改質器の変更。すす、硫黄、酸素、カルボニル、および他の汚染物質を除去するための、様々な合成ガス調整工程。生成物を回収し、吸着剤/掃引材料(sweep material)を反応器に戻すための、吸着剤または掃引流を再生する手段。下流の反応性分離工程に熱、電気、軸動力、または空気圧/油圧を供給するために、エンジン改質器からの出力を使用すること。エンタルピーとターボエキスパンダの仕事量を増加させるために、高温の合成ガスの流れからターボエキスパンダの入口の流れに熱を送るための復熱熱交換器、プロセスの流れを切り離す復熱熱交換のための間接的な熱伝達ループ、熱利用を改善し、プロセスの起動を容易にし、プロセスの妨害によるフィードバックを抑制するための間接的な熱伝達ループ内の蓄熱、および多段階コンプレッサのエキスパンダーに段間熱交換器を含む統合ターボエキスパンダ。
【0028】
したがって、ガスを最終生成物に変換する方法が提供され、その方法は、主にガス状炭化水素および不活性ガスからなる組成の炭化水素系燃料源の流れを供給源から受け取る工程と、液体の合成に適したH/CO比を有する合成ガス混合気を生成するために、空気吸入レシプロエンジン内で燃料源を部分酸化する工程と、コンプレッサの仕事量を低減する工程を実行する。
【0029】
さらに、以下の特徴のうち1つ又は複数を有するこれらの方法およびシステムが提供される。コンプレッサの仕事量を低減する工程が窒素の量を減らすことを含む。コンプレッサの仕事量を低減する工程が空気吸入レシプロエンジンの背圧を増加させることを含む。背圧が5barまで増加される。背圧が2barより大きい。コンプレッサの仕事量を低減する工程がターボエキスパンダ・熱交換器システムを使用することを含む。空気吸入レシプロエンジンがリッチバーンエンジンである。空気吸入レシプロエンジンが可変圧縮比エンジンである。空気吸入レシプロエンジンが圧縮点火エンジンである。空気吸入レシプロエンジンが火花点火エンジンである。
【0030】
さらに、ガスを最終生成物に変換するシステムが提供され、そのシステムは、組成が主としてガス状炭化水素と供給源からの不活性ガスである、炭化水素をベースとする燃料源の流れを受け入れるための流入ポートであって、燃料源を部分的に酸化して液体の合成に適したH/CO比を有する合成ガス混合気を生成するようにされた空気吸入レシプロエンジンと流体連通している流入ポートと、コンプレッサの仕事量を低減する手段と、を備えている。
【0031】
さらに、以下の特徴のうち1つ又は複数を有するこれらの方法およびシステムが提供される。コンプレッサの仕事量を低減する手段が窒素の量を減らす手段を含む。窒素の量を減らす手段が酸素富化ユニットを含む。窒素の量を減らす手段が窒素除去ユニットを含む。コンプレッサの仕事量を低減する手段が空気吸入レシプロエンジンの増加した背圧を含む。増加した背圧が最大5barである。増加した背圧が2barより大きい。増加した背圧が2barより大きい。コンプレッサの仕事量を低減する手段がターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器を使用することを含む。ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段階を含む。ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムがコンプレッサ・タービンアセンブリを含む。ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが2段階で構成され、各段階がコンプレッサとタービンと熱交換器を有する。ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段階を含み、各段階がコンプレッサとタービンと熱交換器を有する。コンプレッサの仕事量を減らす手段が反応分離合成ループを含む。空気吸入レシプロエンジンはリッチバーンエンジンである。空気吸入レシプロエンジンは可変圧縮比エンジンである。空気吸入レシプロエンジンは圧縮点火エンジンである。空気吸入レシプロエンジンは火花点火エンジンである。燃料源はフレアガスである。エンジンが、ディーゼルサイクルエンジンを含む圧縮点火エンジン、または予混合圧縮点火エンジンである。エンジンが、オットーサイクルを含む火花点火エンジンである。エンジンは対向ピストン・フリーピストン・リニア内燃エンジンである。エンジンはクランクシャフト位相器を備えたクランクシャフト駆動対向ピストン内燃エンジンであり、一方のピストンの位相を他方のピストンの位相に対して回転させて全体的な圧縮比を変更するクランクシャフト位相器を備えている。
【0032】
さらに、コンプレッサの仕事量を低減させた状態でフレアガスをメタノールに変換するためのシステムが提供され、このシステムは、空気の流れを受け入れるための第1ライン、及びフレアガスの流れを受け入れるための第2ラインであって、空気吸入エンジン改質器アセンブリと流体連通した第1及び第2ラインと、第3ラインと流体連通したターボエキスパンダアセンブリであって、エンジン改質器アセンブリが第3ラインと流体連通しており、第3ラインは、エンジン改質器アセンブリとターボエキスパンダアセンブリを連結して、エンジン改質器からの中間生成物をターボエキスパンダアセンブリに流すことができるようにし、ターボエキスパンダアセンブリが第4ライン、第5ライン、及び第6ラインに流体連通している、ターボエキスパンダアセンブリと、第4ライン、第5ライン、及び第6ラインと流体連通しているメタノール合成アセンブリと、を備え、第4ラインは、ターボエキスパンダをメタノール合成アセンブリに連結して、ターボエキスパンダからメタノール合成アセンブリへの第1の流れを提供するようにされ、第5ラインは、ターボエキスパンダをメタノール合成アセンブリに連結して、ターボエキスパンダアセンブリからメタノール合成アセンブリへの第2の流れを提供するようにされ、第6ラインは、ターボエキスパンダをメタノール合成アセンブリに連結して、メタノール合成アセンブリからターボエキスパンダへの第3の流れを提供するようにされている。
【0033】
さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法及びシステムが提供される。中間生成物が合成ガスである。ターボエキスパンダからメタノール合成アセンブリへの第1の流れが合成ガスである。エンジンが、バルブの開閉に作用するように吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを回転させるカムシャフト位相器を利用して可変「有効」圧縮比を達成する従来の火花点火レシプロエンジンである。エンジンが、可変リフトおよび/または可変デュレーションのバルブトレインを利用して可変「有効」圧縮比を達成し、バルブ開閉に影響を与える従来の火花点火レシプロエンジンである。エンジンが、クランクシャフトを回転させる従来のコネクティングロッドの代わりにマルチリンクシステムを備え、アクチュエータモータがマルチリンクシステムの終点を変更する。エンジンがツーストロークエンジンである。エンジンがフォーストロークエンジンである。エンジン回転数をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成する。入口マニホールドの空気温度をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成する。入口マニホールドの空気圧(例えば、ブーストレベル)をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成する。a蒸気または水素を流入空気または燃料に添加し、その添加量をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成する。
【0034】
さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有するこれらの方法及びシステムが提供される。エンジンが少なくとも1.5のERの下で運転される。エンジンが少なくとも約2のERの下で運転される。エンジンが少なくとも約2.5のERの下で運転される。エンジンが少なくとも約3のERの下で運転される。エンジンが少なくとも約3のERの下で運転される。圧縮比が8:1から14:1の間で制御される。エンジンの下流で、統合された熱交換器、圧縮システムコンポーネント、および熱交換器を組み合わせて、下流の合成反応器用の合成ガスを調製する。エンジンの下流に、有用な液体生成物を生成するための下流合成反応器システムを有する。AIで訓練された異常検知を含むクラウドベースの遠隔監視システムが、可変バルブタイミングの変化を動的に監視し、燃料供給の異常を評価して対応する。COeライフサイクルアセスメントの観点から、フレアガスから製造された場合において、パイプライン天然ガスからのベースライン液体メタノール製造と比較して、最終生成物(この場合、液体メタノール)1kgあたり約40kgCOeの負のCOe排出をもたらす。フレアガスから製造され、パイプライン天然ガスからのベースラインメタノールと等価なkgのメタノールを置き換える場合において、結果として生じる負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)1kgあたり約70kgCOeであ。フレアガスから製造され、石炭ガス化からのベースラインメタノールと等価なkgを置き換える場合において、結果として生じる負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)kgあたり約130kgCOeである。最終生成物がメタノールを含む。最終生成物が、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、およびF-T液体からなる群から選択される材料を有する。燃料源が炭化水素井からのフレアガスである。燃料源が油井からのフレアガスである。燃料源が、非従来型油井からのフレアガスである。燃料源がフレアガスであり、フレアガスは、石油化学処理、精製、埋立地、廃水処理、および畜産からなる群から選択される。燃料ガスの流量が約50,000scfdから約30,000,000scfdである。燃料ガスの流量が、約500,000scfdから約20,000,000scfdである。燃料ガスの流量が、約600,000scfdから約15,000,000scfdである。燃料ガスの流量が、約700,000scfdから約10,000,000scfdである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に従って使用するメタノール合成反応の平衡定数を示すチャートであり、K1は単位atm-2でのCO水素化反応(R1)の平衡定数であり、K2はatm-2単位でのCO水素化反応(R2)の平衡定数であり、K3は単位無しでの逆水-ガスシフト反応(R3)の平衡定数である。
【0036】
図2】本発明による、反応器温度および圧力の関数としての、メタノールへの平衡限界炭素(CO+CO)転換率のサーフェスプロットを示すチャートである。チャートの左側のパーセンテージは、特定の温度および圧力に対応するチャート領域の各領域の炭素転換率を示す。
【0037】
図3】本発明によるシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【0038】
図4】メタノール合成圧力の違いを強調した、本発明によるシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【0039】
図5】本発明に従って使用する、50barの下流合成圧力を達成するための、エンジン背圧の関数としてのコンプレッサ出力を示す表である。
【0040】
図6】本発明による反応生成物分離器を有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【0041】
図7】本発明による反応性副生成物分離を有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【0042】
図8】本発明によるレキュペレーターおよびターボエキスパンダを有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【0043】
図9】本発明によるターボエキスパンダ(エンジン背圧3bar、メタノール合成圧力50bar)を使用したガスからメタノールへの変換プロセスにおけるコンプレッサの出力(総(グロス)出力および正味(ネット)出力)を示す表である。
【0044】
図10】本発明によるガスからメタノールへの変換システムの実施形態で使用するための統合ターボエキスパンダシステムおよび方法(温度および圧力動作プロファイルを含む)の実施形態を示すシステムおよびプロセスの実施形態の概略フロー図である。
【0045】
図11】例えばフレアガスを合成ガスに変換して付加価値のある生成物に変換する、本発明による空気吸入プロセスの一実施形態の熱力学的状態点のT-S線図である。
【0046】
図12】地球温暖化係数の値を示す表である。
【0047】
図13】本発明による火花点火レシプロエンジンを備える図8のシステムを使用して、フラッグガス(flag gas)を合成ガスに変換し、さらにメタノールに変換するプロセスの一実施形態、動作条件、および熱力学的状態点を表すT-S線図である。
【0048】
図14】本発明による圧縮点火レシプロエンジンを有する図8のシステムを使用して、フラッグガスを合成ガスに変換し、さらにメタノールに変換するプロセス、動作条件、および熱力学的状態点の実施形態を示すT-S線図である。
【0049】
図15】本発明による流量適合型ターボエキスパンダおよびコンプレッサを有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
図15A】本発明による流量適合型ターボエキスパンダおよびコンプレッサを有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
図15B】本発明による流量適合型ターボエキスパンダおよびコンプレッサを有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
図15C】本発明による流量適合型ターボエキスパンダおよびコンプレッサを有するシステムおよびプロセスの一実施形態の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は概して、炭化水素ガスから利用可能な燃料を経済的に回収するシステム、装置および方法に関するものであり、特に、実施形態においては、フレアガス用のより小型で、隔離されたまたは遠隔の場所または位置でこのような回収を達成する。
【0051】
概して、本発明の実施形態は、ガス液化システムなどの改質器ベースの炭化水素処理システムに必要なコンプレッサの仕事量(例えば、コンプレッサの数やサイズ、コンプレッサの運転に必要なエネルギーなどの圧縮要件)を低減する装置およびシステムを含む。
【0052】
一般に、本発明の実施形態は、レシプロエンジン改質器ベースの炭化水素処理システム、例えばガス液化システムに必要なコンプレッサの仕事量を低減する装置およびシステムを含む。
【0053】
一般に、本発明の実施形態は、例えばフレアガスをメタノールに加工するような、ガス液化システムおよびガス液化プロセスを有するシステムおよび方法に関する。これらのシステムでは、空気吸入エンジン改質器が合成ガス中間体を生成し、その合成ガス中間体は下流の合成工程でさらにメタノールに変換される。このようなガス液化システムの例は、米国特許公開第2022/0388930号および米国特許出願第17/953,056号(2022年9月26日出願)および17/984,126(2022年11月9日出願)に開示されており、これらの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。)特に、本発明の実施形態は、これらのガス液化システムおよびガス液化プロセスにおける空気吸入エンジン改質器に関連する圧力差を改善および強化し、その結果、これらのシステムの動作に必要なコンプレッサの仕事量を削減する装置、システム、および方法に関する。したがって、レシプロエンジン改質器ベースの炭化水素処理システムに必要なコンプレッサの仕事量を低減する本装置およびシステムの実施形態は、これらのガス液化システムとともに、またはその一部として利用される。
【0054】
図1には、メタノール合成における典型的な3つの反応の平衡定数が示されている。これらの反応のうち任意の2つ(例えばR1とR2)は線形独立であり、3つ目(例えばR3)は他の2つの組み合わせであることに注目されたい。理想的な合成ガスの化学量論を実現することは、反応式(1)~(3)に従って下流の合成工程でメタノールを生成する直接的な方法を示す。
(R1) CO+2H2 ⇔ CH3OH ΔHr = -90.7kJ/mol(CO水素化)
(R2) CO2+3H2 ⇔ CH3OH+H2O ΔHr = -49.5kJ/mol(CO水素化)
(R3) CO2+H2 ⇔ CO+H2O ΔHr = 41.2kJ/mol(逆水ガス変換)
【0055】
COとCOからメタノールを生成する水素化反応(R1とR2)は発熱反応であり、RWGS反応(R3)は吸熱反応である。そのため、メタノールへの全体的な平衡反応は低温が好ましい。しかし、触媒活性(および関連する反応速度)は温度とともに低下するため反応器の温度には実用的な最低限の温度がある。
【0056】
図2では、反応器の温度と圧力の関数として、平衡状態における予測された一工程での炭素(CO+CO)変換が示されている。高い変換率を得るには、より低い温度とより高い圧力が好ましい。これらの結果は、空気吸入改質器からの理想的な合成ガスの化学量論(S=2)におけるR1~R3の測定平衡データを使用して生成された。図1図2は、化学的および物理的な基本的な制限を明らかにしており、これまでは商業用メタノール合成プロセスにおいて比較的高い合成圧力と関連する圧縮仕事に結びついていた。これは、本発明の実施形態がコンプレッサの仕事量を低減することで対処し、改善している。
【0057】
さらに、図5を参照すると、50barの合成圧力下流におけるエンジン排気背圧の関数として、予測されたコンプレッサの仕事量(合計の合成ガス圧縮のみ)が示されている。これらのデータは、例えば図4に示されているようなタイプのガス液化システムおよびガス液化方法の具体化のために質量およびエネルギーバランスを実行する化学プロセスシミュレーションを使用して生成される。合成ガスコンプレッサは、中間冷却付きの3段階コンプレッサとして扱われる。このコンプレッサの等エントロピー効率は、産業用遠心式およびレシプロ式のコンプレッサの代表値として75%と想定される。合成ガス比率調整再循環流は、第2段入口でコンプレッサに入る。エンジンの排気背圧を2barから3barに増加させると、圧縮の仕事量が20.4%減少する。さらに背圧を2barから4barに増加させると、圧縮仕事は28.0%減少する。したがって、図4の実施形態におけるエンジン排気背圧の収穫逓減と最適値は、圧縮仕事の減少とエンジン改質器の吸入と性能の減少とのバランスを取るために、2~5bar範囲になるであろう。
【0058】
次に図9を参照すると、3barのエンジン背圧と50barのメタノール合成圧力を想定した場合のターボエキスパンダを使用するガスからメタノールへの変換プロセスの実装例におけるコンプレッサ出力(総計(グロス)および正味(ネット))が示されている。これらのデータは、例えば図8に示されているようなタイプのガス液化システムおよびガス液化方法の具体例について、質量およびエネルギーのバランスを実行した化学プロセスシミュレーションを使用して生成されたものである。合成ガスコンプレッサ、一次再循環コンプレッサ、および入口空気コンプレッサで構成される総コンプレッサの仕事量は、合成ガスコンプレッサが大部分を占める。総コンプレッサ出力は1055.7kWであり、エネルギー回収を行わない自立運転では通常、高すぎる。ターボエキスパンダは292.5kWの電力を回収し、コンプレッサの必要電力を763.2kWに削減する。これは、自立運転シナリオにおいてエンジン改質器で生成される軸出力(brake power)を使用する方が望ましい。
【0059】
本方法、装置、システムの利点には、とりわけ以下のものが含まれる。1)従来技術と比較して、設備投資および運転費用が低い。2)電力に関してプロセスが自己維持できるという利点を持つ、遠隔地や分散型アプリケーションに適している。また、従来型の商業用メタノール合成技術を改良し、未利用ガスを利用した小規模で分散型かつ自立型のアプリケーションを可能にする。
【0060】
本明細書ではメタノール合成を例として取り上げているが、本方法およびシステムは、他の類似した下流合成プロセスにも適用可能であることが理解される。したがって、概して、本明細書に記載された方法およびシステムの実施形態は、経済性のない炭化水素系燃料(例えば、ストランデッドガス、随伴ガス、埋立地ガス、フレアガス、スモールポケットガス、遠隔地ガス)を付加価値が高くて輸送が容易な生成物(例えば、メタノール、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、およびその他の燃料または化学物質)に変換するためのシステムおよび方法とともに又はそれらと連動して利用するこができる。
【0061】
本発明の一実施形態では、システムおよび方法により、エンジンベースの改質器を備えた統合システムにおいて、ストランドガスを生成物(好ましくは付加価値の高い、輸送しやすい生成物、例えばメタノール、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、その他の燃料または化学物質)に小規模でモジュール式に分散変換する際に、メタノール(またはアンモニアやF-T液体などの他の下流生成物)の合成に必要なガス圧縮要件が削減される。ガスの圧縮要件は、プロセスの全体的な設備投資および運転費用に影響を与え、モジュール式プラントの全体的な収益性に影響を与える。エンジン改質器を出た合成ガスの圧力を、下流のメタノール合成に適した値まで高めるためのコンプレッサは、プラント全体の設備投資のほぼ半分を占める可能性がある。さらに、実用化されたアプリケーションでは、外部からの電力供給をほとんど必要としない自立型のプラントが望ましい。電力要件の大半はコンプレッサを駆動させるために必要な電力が占めるため、コンプレッサの仕事量はプラントの運転費用と自立性に結びつく。
【0062】
合成ガス中間体を生成するためにエンジンベースの改質器を使用するガスからメタノールに変換するプラントの圧縮仕事に対する改善、例えば、その量の削減は、本発明の実施形態において提供される。コンプレッサの仕事量の削減は、例えば、以下の1つ又は複数の使用を通じて、いくつかの装置やプロセスによって達成することができる。(a)窒素の量を減らすこと。(b)エンジンの背圧を標準の1または2barから最大5barまで増加させること。(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、プラントの運転費用を削減すること。(d)強化された合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容できるメタノール合成を実現すること。
【0063】
石油生産に伴う随伴ガスなどのストランドガス資源の収益化には、通常、ガスを常温で液体(例えば、メタノール、FT液体)または容易に凝縮可能なガス(例えば、アンモニア)である生成物または中間体に変換することが含まれる。アンモニアおよびメタノールの合成は、いずれも発熱が強く、平衡が制限され、反応中のモル数の全体的な減少を伴う。発熱性であるため、低温では良好な転換率(変換率)が得られる。しかしながら、低温では触媒活性が低下するため、より大きな反応器とより高い触媒負荷が必要となり、実用上最低限の反応器温度が要求される。反応器の圧力を高めると、平衡がより高い転換率にシフトする。実施態様では、メタノールプラントは、エンジンベースの改質器、特に空気吸入エンジンベースの改質器からの公称排気圧よりもはるかに高い公称50barの昇圧下でメタノール合成を行う。この高圧力は、相当な圧縮仕事を必要とし、それに伴う設備投資および運転費用も高額となる。高圧力にもかかわらず、シングルパス変換率は依然として低いため、全体的な変換率を高めるために再循環ループを使用することが可能であるが、その場合は大型の反応器や、より複雑で高額な下流分離工程が必要となる。
【0064】
好ましい実施態様では、コンプレッサの仕事量を低減する装置およびプロセスの1つ又は複数のものが、エンジンベースの改質器と合成ガス中間体を使用して、ストランドガスを容易に輸送可能な代替可能な生成物に変換するための、小型でモジュール式の分散型自給プラントの一部として使用される。
【0065】
本発明の実施態様は、再処理ガス、好ましくは合成ガスを生成するためのレシプロエンジンを備えており、特定の状況下では有利であり、ガス液化システムおよび方法に関連する、又はそれらと共に使用されるコンプレッサの仕事量を低減するための装置およびプロセスの1つ又は複数を備えている。本システムの実施態様は、好ましくはモジュール式であり、フレアガスが発生するアクセスが困難な場所、システムの設置面積が限られている場所、およびこれらの組み合わせやバリエーションに容易に配置することができる。
【0066】
本発明の実施態様の目的は、とりわけ、自律型モジュール式システムを使用して、さもなければ非経済的な炭化水素系燃料(例えば、ストランドガス、随伴ガス、埋立地ガス、フレアガス、小規模ガス田ガス、遠隔地ガス)を付加価値の高い、輸送しやすい生成物(例えば、メタノール、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、その他の燃料または化学物質)に変換する際に必要なコンプレッサの仕事量を削減することである。
【0067】
本発明の実施形態は、油田や埋立地から発生する燃料源(フレアガスなど)を含む燃料源の様々な燃焼特性に対応するレシプロエンジンおよびそのエンジンの運転方法に重点を置いている。これらのガスが非経済的な理由のひとつは、燃料組成が大きく変動することである。組成の変動の結果、発熱量、セタン価(燃料の点火タイミングの遅れ)、オクタン価(圧縮による予点火に対する抵抗)などの燃焼特性に影響が及ぶ。これらのばらつきは、供給源ごとに生じ、また同じ供給源でも日によって(一時的なもの)、季節によって(特にバイオガス)、そして供給源が経年変化することによっても生じる。本願の実施形態は、これらの問題に対処し、解決するものである。
【0068】
従来の空気吸入レシプロエンジンは、通常、燃料仕様が狭い燃料を使用するように設計されている。例えば、自動車用ガソリンエンジンの圧縮比は、使用する燃料の品質に合わせて選択される。米国の「レギュラー」ガソリンのオクタン価は86~87である。より高性能なエンジン(例えば、より高い圧縮比)では、オクタン価91~94のプレミアムガソリンが必要になる場合がある。
【0069】
本発明の一実施形態は、市販レシプロエンジン(例えば、市販エンジン)を燃料対空気の比が高いリッチな条件で運転して合成ガスを製造する構成、動作、およびその両方である。エンジンを意図された設計ポイントから逸脱した状態で動作させ、オクタン価およびセタン価が幅広い範囲で変動する燃料を使用しても良好に動作させるために、この発明では、圧縮比、吸気マニホールドでの空気温度、吸気マニホールドでの空気圧、エンジン速度などのエンジン動作パラメータを修正する。この実施形態は、圧縮点火エンジン(ディーゼルサイクル)と火花点火エンジン(オットーサイクル)の両方に適用される。火花点火エンジンでは、燃料の変動にエンジン動作を適応させるために、点火タイミングも使用できる。望ましくは、この実施形態は、コンプレッサの仕事量を低減するために、本装置およびプロセスの1つ又は複数のものを有するシステムで使用される。
【0070】
本発明の実施形態は、主に気体の炭化水素である非経済的な炭化水素系燃料を油井や遠隔地で採取し、より価値が高く容易に凝縮可能なガスまたは液体化合物、例えばメタノールに変換するために使用することができる。油田で副産物として生産される随伴ガスやフレアガスも燃料源となり得る。また、精製所で発生するフレアガスなどの産業プロセスで発生するフレアガスも燃料源となり得る。埋立地や嫌気性消化槽から発生するバイオガスも燃料源となり得る。
【0071】
本発明の実施形態は、1台または複数台の合成ガスエンジンを使用し、入口ガス流量600,000scfd(標準立方フィート/日)を目標とする小規模プラントにおいて特に有用である。このようなプラントの規模は、80,000scfdから3,000,000scfd、または20,000scfdから100,000scfdの範囲で変化し得る。
【0072】
本発明の実施形態は、中央の製造業者施設で製造されてその後現場で設置される、1つ又は複数のモジュール式で相互接続されたスキッド又はコンテナに組み込むことができる。システムは少数のモジュールで構成され、現場で接続すると統合システムを形成する。この組立のモジュール性により、現場での労力を最小限に抑えながら、幅広い入口ガス供給量で遠隔地への適用が可能になる。
【0073】
図3を参照すると、例えばフレアガスなどの廃棄ガスを、例えばメタノールなどの付加価値のある生成物に変換するためのシステムおよび方法の一般的な実施形態が示されている。システム100は、改質段階101と合成段階102を有する。システム100は、空気取り入れ口110を有し、この空気取り入れ口110は、空気を圧縮するコンプレッサ111に空気を送り込む。圧縮された空気は、熱交換器120aを通ってミキサー113に送り込まれる。システムは、例えばフレアガスなどの廃棄ガスのための取り入れ口110を有する。廃棄ガスは熱交換器120bを通ってミキサー113に流入する。ミキサー113は、本明細書で教示および開示されているように、空気と廃棄ガスの所定の混合物を改質器114に供給する。
【0074】
ミキサー113で形成される燃料・空気混合気は、好ましくはリッチであり、より好ましくは、全体的な燃料対空気当量比(Φ又はER)が、1より大きく、1.5より大きく、2より大きく、3より大きく、約1.5から約4.0、約1.1から約3.5、約2から約4.5、約1.1から約3、およびそれ以上の値である。
【0075】
酸素を空気中に添加できることが理解されている。また、水又は蒸気を空気・燃料混合気中、又は空気又は燃料単体に注入することもできる。約1%から約20%(モル)の水を注入でき、約10%から約15%(モル)の水、約5%から約17%(モル)の水、5%(モル)より多い水、10%(モル)より多い水、15%(モル)より多い水、25%(モル)より少ない水を注入できる。酸素濃縮後、燃焼空気は約21%から約90%の酸素を含むことができる。ここで使用される「空気吸入」改質器および空気吸入エンジンには、水、酸素、またはその両方を添加して改質した空気を使用するエンジンも含まれる。
【0076】
改質器114は、廃棄ガスと空気(例えば、フレアガスと空気)の所定の混合物を燃焼させて、再処理ガス(例えば、合成ガス)を形成する。合成ガスは、熱交換器120a、120bを通り、フィルタ115、例えば微粒子フィルタに流入する。
【0077】
フィルタ115を通過した後、再処理されたガス(例えば合成ガス)は、2つのガードベッド反応器(guard bed reactor)116a、116bを有するガードベッド反応器アセンブリ116に流れる。ガードベッド反応器116は、システム内の後続の装置やプロセスに悪影響を与えたり、阻害したり、汚染したりする可能性のある合成ガスから、汚染物質やその他の物質を除外する材料、例えば触媒を備えている。例えば、ガードベッド反応器116は、硫黄(例えば鉄スポンジ、酸化亜鉛または同様なもの)やハロゲン化化合物を除去するための触媒、吸着剤、またはその他の材料を含んでいてもよい。
【0078】
ガードベッド反応器116を出た後、再処理ガス(例えば合成ガス)は脱酸素(「デオキソ」)反応器117に流れる。デオキソ反応器117は、混合物の可燃性化合物(例えばメタン、一酸化炭素、水素)を酸化することにより、再処理ガス(例えば合成ガス)から余剰酸素を除去する。酸素は水に変換される。脱酸素反応の触媒は、白金、パラジウム、およびアルミナまたは他の触媒担体材料に担持された他の活性材料である。
【0079】
システム100は冷却システム150を備え、冷却流体、例えば冷却水が冷却ライン、例えば151を流れる。他の冷却手段、例えば直接空冷も想定されている。
【0080】
デオキソ反応器117を出た後、再処理ガス(例えば合成ガス)は熱交換器120cに流れる。その後、再処理されたガス(例えば合成ガス)は、熱交換器120cから水分除去ユニット118、例えばウォーターノックアウトドラム、デミスタ、乾燥機、膜、サイクロン、乾燥剤または同様の装置に流れ、そこで再処理されたガス(例えば合成ガス)から水分が除去される。一般的に、ユニット118を出た再処理ガス(例えば、合成ガス)は、重量で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.1%未満の水分を含むべきである。
【0081】
リッチな燃料・空気混合気の部分酸化による合成ガスへの全体的な(概略的な)反応は、次の式で表される。
ФCH4 + 2[O2 + 3.76N2] → aCO + bH2 + cCO2 + dH2O + 7.52N2
化学量論係数a、b、c、およびdは、化学反応速度論、原子種の保存、および反応条件によって決定される。
【0082】
改質器を出たガス中の微量成分には、合成ガスに加えて、水蒸気、二酸化炭素、およびさまざまな未燃焼炭化水素が含まれる可能性がある。
【0083】
ユニット118を出た後、乾燥した再処理ガス(例えば合成ガス)は合成段階102に送られる。段階102では、乾燥した再処理ガス(例えば合成ガス)はアセンブリ130に流れる。アセンブリ130は、ライン131から乾燥した再処理ガス(例えば合成ガス)に水素を制御しながら添加する。このようにして、合成ガスの成分の比率は、所定の比率に調整および制御される。水素は水素分離ユニット139から供給される。比率調整済みの乾燥再処理ガス(例えば合成ガス)は、アセンブリ130を出て、コンプレッサ132に流れ込む。コンプレッサ132は、本明細書で教示および開示されているように、合成ユニット133で使用するために、再生ガス(例えば合成ガス)を最適圧力まで圧縮する。任意の合成ユニット133は、第1反応器ユニット133aおよび第2反応器ユニット133bを備えた2段階ユニットである。各反応器は、発熱反応においてプロセスガスが触媒層を通って流れる圧力容器である。触媒層チューブは、通常、制御された温度および圧力で冷却水のプールに浸されている。合成ユニット133は、熱交換器120eも備えている。
【0084】
合成ユニット133は、比率調整された乾燥再処理ガス(例えば合成ガス)を付加価値生成物(例えばメタノール、エタノール、混合アルコール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、およびその他の燃料または化学物質)に変換する。付加価値生成物(例えばメタノールなど)は熱交換器120dに流入する。付加価値生成物(例えばメタノールなど)は回収ユニット140に流入する。回収ユニット140は付加価値生成物(例えばメタノールなど)を回収し、販売、保管、またはさらなる処理のためにライン141に流す。
【0085】
概して、合成ガスは、約15~約100bar、好ましくは30~50bar、約25~約80bar、少なくとも約10bar、少なくとも約25bar、少なくとも約50bar、およびそれ以上の圧力およびそれ以下の圧力に圧縮される。加圧された合成ガスの温度は、約150℃から約350℃、好ましくは250℃、約200℃から約300℃、約250℃から約375℃、125℃超、150℃超、200℃超、250℃超、350℃超、400℃超、およびそれより高い温度およびそれより低い温度である。圧力と温度が制御された合成ガスは、合成ガスをメタノール、エタノール、混合アルコール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、その他の燃料や化学物質など、より有用で輸送が容易で経済的に実現可能な生成物に変換するための反応器に供給される。好ましい実施形態では、熱交換型反応器や沸騰水型原子炉などの能動的に冷却された反応器と、Cu/ZnO/Alなどの銅含有触媒を使用し、一酸化炭素の水素化反応、二酸化炭素の水素化反応、逆水蒸気シフト反応を経て合成ガスからメタノールを生成する。
【0086】
概して、好ましい実施形態では、このシステムで使用される反応器の特性長さスケールは十分に小さく(例えば、マイクロチャネルまたはミニチャネル)、金属やその他の高温材料用の新しい3D印刷技術を使用して、従来にない形状やトポロジーに成形できるため、コンパクトなパッケージングと反応条件の厳密な制御が可能になる。また、反応器から生成物をその場でまたは密接に結合した方法で選択的に除去するなど、下流合成反応の強化に向けた他の戦略も検討できる。これにより、平衡制限反応をより高い転換率にシフトさせることができる。このプロセス強化により、大規模な再循環の流れの必要性を最小限に抑えたり、より穏やかな条件下(例えば、低圧)で反応を進行させたりすることが可能となり、プロセスの安全性のマージンを向上させ、その他の利点をもたらすことができる。
【0087】
通常、合成ガスを反応させてより高価値の生成物を形成する際に、未反応の水素も生成される。この水素は回収して販売することも、ガスタービンや第2の発電機を動かすために使用して、追加の電力を生産することもできる。
【0088】
概して、エンジンで生成された合成ガスのH/COの比率は、下流の変換プロセスに合わせて調整することができる。例えば、メタノール合成やフィッシャー・トロプシュ(F-T)合成の場合、理想的なH/COの比率は2~3である。アンモニア合成や水素製造の場合、可能な限り高いH/COの比率が望ましく、例えば水蒸気を添加して水ガス変換反応を促進することで、その比率を高めることができる。アンモニアおよび水素の生産においては、下流の合成工程ではCOは必要とされない。そのため、COおよびCOの副生成物は回収、隔離、貯蔵、または他の用途に利用することができる。
【0089】
また、回収ユニット140は、付加価値生成物(例えばメタノールなど)から分離されたガスをバルブ135に流すラインも有しており、そこから水素分離ユニット139、再循環ループ136、またはその両方に送られる。再循環ループには、合成ユニット133に未反応合成ガスを戻すためのコンプレッサ134とバルブ138が設けられている。水素分離は、水素分離ユニット139における膜分離または圧力スイング吸着(PSA)などによって行うことができる。
【0090】
好ましくは、図3のシステム及びプロセスは、コンプレッサの仕事量を低減するための1つ又は複数の装置及びプロセスを有する。従って、図3のシステム及び工程は、(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準的な1又2barから最大5barにまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の多くを回収し、その結果、プラントを運転するための他の効率の中でも特にコストを低下させること、及び(d)強化合成ループを利用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること、のうちの1つ又は複数のものを有するか又は使用することができる。コンプレッサの仕事量を低減するためのこれらの装置およびプロセスは、図3のシステムおよびプロセス、図3のシステムおよびプロセスの一部(例えば、モジュール式、一体型、およびそれらの組み合わせ)、ならびにこの態様の組み合わせおよび変形形態と関連させて使用することができる。
【0091】
燃料から有用な生成物への全体的な変換プロセスは、プロセスの空気の標準的な近似(air standard approximation)における空気の特性を用いたT-S線図を用いて説明することができる。図11には、例えば図3に示すタイプのフレアガスからメタノールへの変換システムの一般的な運転と熱力学に関する温度-エントロピー(T-S)図を示されている。廃棄ガス、例えばフレアガスから有用な生成物、例えばメタノールへの全体的な変換プロセスは、図11のT-S線図を用いて説明される。この図は、プロセスの空気の標準的な近似における空気の特性を使用している。図11は、熱力学、温度および圧力の点からの、図3に示すようなシステムの一般的な解決策および動作の概要を示している。この図は、周囲条件でのプロセスの開始点、改質器でのリッチな部分酸化のための高温・高圧条件、およびメタノール合成のための高圧低温反応を示している。したがって、60気圧の場合の破線201、30気圧の場合の破線202、8気圧の場合の破線203、1気圧の場合の破線204の温度対エントロピーが示されている。(1気圧は1.013barに相当する。)流入空気(例えば、図3の110)と廃棄ガス(例えば、フレアガス)の温度と圧力は、点206(図11)にある。改質段階(例えば、図3、101)の運転条件は、ゾーン210(図11)に示されている。ゾーン210は900℃以上の温度を有する。ゾーン210は、210aと210bの2つのサブゾーンを有する。サブゾーン210aは低圧ゾーン(1bar未満から約25bar)である。サブゾーン210bは、高圧ゾーン(約20barから約100bar)であり、特に、改質器(例えば、図3、114)におけるリッチな部分酸化条件のための高圧ゾーンであり、これは、本発明の実施形態にとって好ましい条件である。合成段階(例えば、図3の131)の最適運転は、メタノール合成のためのゾーン211に示されている。ゾーン211は、温度200~300℃、圧力約20bar~100barである。メタノール生成のための好ましいゾーンは、200~300℃および30~100barの圧力である。
【0092】
したがって、図11は、フレアガスから最終生成物(この場合はメタノール)への変換を行うシステムで一般的に使用される可能性のある条件を図式化したものであり、好ましくは、中立(すなわち、システムおよびプロセスの運転に必要なすべてのエネルギーを供給する、または正の余剰エネルギーを供給する)のエネルギーバランスでこれを行う。比エントロピーの軸(横軸)はkJ/kg℃の単位で、空気の単位質量あたりのエントロピーを表す。この種の図は、圧縮や膨張(圧力レベル間のほぼ垂直線)、熱交換(通常はほぼ一定圧力)などの物理的プロセスを示すのに便利な方法である。理想的な圧縮や膨張は等方的であり、2つの圧力レベル間でエントロピーの変化がないことを意味する。実際の機器による圧縮は、垂直でない線で示されるように非等方的である。温度軸(縦軸)は℃であり、空気と同様の特性を持つと仮定した流体の温度を表す。温度と一定圧力の線の関係は、流体の物理的特性によって支配される。T-S線図の利点のひとつは、物理的プロセスとコンポーネント間の関係を視覚的に表現できることである。
【0093】
部分酸化ウィンドウ210は、合成ガスを生成するための重要な部分酸化(POX)反応が起こる温度と圧力の領域を定義する。この領域は、改質器(例えばガスタービン)での燃焼滞留時間に見合った反応時間(通常、5~50ミリ秒)をもたらす反応条件を定義する。一般的に、POX反応は下流の合成(例えばメタノール)反応よりもはるかに高い温度で起こるため、メタノール反応器の前に熱交換器で温度を下げる必要がある
【0094】
メタノール合成ウィンドウ211は、メタノール合成反応が起こる温度と圧力の領域を定義する。この領域は、平衡制限反応(equilibrium-limited reaction)に対して妥当な平衡転換率(equilibrium conversion)をもたらす反応条件を定義する。この発熱プロセスでは、平衡転換率を高めるには低温が望ましいが、触媒活性を十分に確保することで低温側が制限される。圧力が高くなると、反応におけるモル数の純減により平衡濃度が高くなるが、高圧化のための圧縮コストや設計が必要となる。図11はメタノール合成ウィンドウを具体的に示しているが、例えばフィッシャー・トロプシュ合成など、他の可能性のある下流合成反応でも同様の条件が必要であることが理解できる。
【0095】
図4は、フレアガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換するシステムおよび方法の実施形態を示す。システム1600は、改質段階1601および合成段階1602を有する。システム1600は、空気をコンプレッサ1611に供給する空気取り入れ口を有し、コンプレッサ1611は空気を圧縮する。圧縮空気は熱交換器を通ってミキサーに供給される。システムはフレアガス吸気口を備えている。フレアガスは熱交換器を通ってミキサーに流れる。ミキサーは、本明細書で教示および開示されているように、空気と廃棄ガスの所定の混合物をレシプロエンジンである改質器1614に供給する。
【0096】
ミキサーで形成される燃料・空気混合気は、好ましくはリッチであり、より好ましくは、全体的な燃料対空気当量比(Φ又はER)が1より大きく、1.5より大きく、2より大きく、3より大きく、約1.5から約4.0、約1.1から約3.5、約2から約4.5、約1.1から約3、およびそれ以上の値である。
【0097】
空気中に酸素を添加できることが理解される。水又は蒸気は、空気・燃料混合気中、又は空気又は燃料単体に注入することもできる。約1~約20%(モル)の水を注入でき、約10~約15%(モル水)、約5~約17%(モル)の水、5%(モル)より多くの水、10%(モル)より多くの水、15%(モル)より多くの水、25%(モル)未満の水、を注入することができる。酸素濃縮後、燃焼空気は約21%(モル)から約90%(モル)の酸素を含むことができる。ここで使用される「空気吸入」改質器および空気吸入エンジンには、水、酸素、またはその両方を添加して改質した空気を使用するエンジンも含まれる。
【0098】
レシプロエンジン1614は、フレアガスと空気の所定の混合物を部分燃焼させて合成ガスを生成する。合成ガスは熱交換器を通り、例えば粒子状物質フィルタなどのフィルタに流入する。
【0099】
フィルタを通過した後、合成ガスはガードベッド反応器アセンブリに流れるが、これは任意で2つのガードベッド反応器を持つ。ガードベッド反応器を出た後、合成ガスはデオキソ反応器に流れる。デオキソ反応器は、再処理されたガス(例えば合成ガス)から余分な酸素を除去する。
【0100】
このシステムには、冷却流体、例えば冷却水を使用する冷却システムが搭載されており、冷却流体は冷却ラインに流される。その他の冷却手段、例えば直接空冷も想定されている。
【0101】
デオキソ反応器を出た後、合成ガスは熱交換器に流れ、そこでガスが冷却される。再処理されたガス(例えば合成ガス)は、熱交換器から水分除去ユニット(例えば、ウォーターノックアウトドラム、デミスタ、乾燥機、膜、サイクロン、乾燥剤など)に流れ、そこで合成ガスから水分が除去される。一般的に、水分除去ユニットを出た合成ガスは、重量比で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.1%未満の水分のみを含むべきである。
【0102】
水分除去ユニットを出た後、乾燥した合成ガスは合成段階1602に流入する。段階1602では、乾燥した合成ガスは、乾燥した合成ガスに水素を豊富に含むガスを制御しながら添加するアセンブリに流れ込む。このようにして、合成ガスの成分の比率は、所定の比率に調整および制御される。水素は、水素分離ユニット1639から供給される。比率調整後の乾燥した合成ガスは、アセンブリから出てコンプレッサ1632に流れ込む。コンプレッサ1632は、本明細書で教示および開示されているように、合成ユニット1633(これは任意の2段階ユニットであり、第1反応器ユニット1633aおよび第2反応器ユニット1633bを備える)で使用するために、合成ガスを最適圧力まで圧縮する。合成ユニット1633は、再生式熱交換器も備える。
【0103】
合成ユニット1633は、比率調整された乾燥合成ガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換する。メタノールは熱交換器(すなわち冷却器)に流入し、その後、回収ユニット1640に流入する。回収ユニット1640は凝縮したメタノールを回収し、販売、保管、またはさらなる処理のためにラインを通して流れていく。
【0104】
また、回収ユニット1640には、メタノールから分離された未反応ガスがT字型コネクタに流れるラインがあり、そこから水素分離ユニット1639、再循環ループ、またはその両方に送られる。再循環ループには、メタノールを合成ユニット1633に戻すためのコンプレッサとバルブが備わっている。
【0105】
好ましくは、図4のシステムおよびプロセスは、図5に示す条件下で、上述したように動作する。実施形態では、図4のシステムおよびプロセスは、コンプレッサの仕事量を低減するための1つ又は複数の装置およびプロセスを備えることができる。したがって、図4のシステムおよびプロセスは、(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1または2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、プラントを稼働させるためのコストを、他の効率性とともに低減すること、および(d)強化合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること、のうちの1つ又は複数を有したり、使用したりすることができる。これらのコンプレッサの仕事量を削減する装置およびプロセスは、例えばモジュール式、一体型、およびそれらの組み合わせなどとして、図4のシステムおよびプロセスと併用することができ、また、この組み合わせ方法の組み合わせや変形形態も可能である。
【0106】
図6を参照すると、フレアガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換するシステムおよび方法の実施形態が示されている。システム1800は、エンジンの背圧を周囲圧力よりも高く、最大約5barまで上昇させることによって、必要な圧縮仕事を低減するように構成されている。
【0107】
システム1800は、改質段階1801と合成段階1802を備えている。システム1800は、空気を圧縮するコンプレッサ1811に空気を送り込む空気取り入れ口を備えている。圧縮空気は、熱交換器を通ってミキサーに供給される。システムはフレアガス取り入れ口を備えている。フレアガスは熱交換器1820bを通ってミキサー1813に流れ込む。ミキサー1813は、この明細書で教示および開示されているように、空気と廃棄ガスの所定の混合物をレシプロエンジンである改質器1814に供給する。
【0108】
ミキサーで形成される燃料・空気混合気は、好ましくはリッチであり、より好ましくは、全体的な燃料対空気当量比(Φ又はER)が1より大きく、1.5より大きく、2より大きく、3より大きく、約1.5から約4.0、約1.1から約3.5、約2から約4.5、約1.1から約3、およびそれ以上の値である。
【0109】
空気中に酸素を添加できることが理解されている。水又は蒸気は、空気・燃料混合気中、又は空気又は燃料単体に注入することもできる。約1~約20%(モル)の水を注入でき、約10~約15%(モル)の水、約5~約17%(モル)の水、5%(モル)より多くの水、10%(モル)より多くの水、15%(モル)より多くの水、25%(モル)未満の水が注入できる。酸素濃縮後、燃焼空気は約21%(モル)から約90%(モル)の酸素を含みうる。ここで使用される「空気吸入」改質器および空気吸入エンジンには、水、酸素、またはその両方を添加して改質した空気を使用するエンジンも含まれる。
【0110】
レシプロエンジン1814は、フレアガスと空気の所定の混合物を部分燃焼させて合成ガスを生成する。合成ガスは熱交換器を通り、例えば微粒子フィルタなどのフィルタに流入する。
【0111】
フィルタを通過した後、合成ガスはガードベッド反応器アセンブリに流れるが、これは任意に2つのガードベッド反応器を持つ。ガードベッド反応器を出た後、合成ガスはデオキソ反応器に流れる。デオキソ反応器は、再処理されたガス(例えば合成ガス)から余分な酸素を除去する。
【0112】
このシステムには、冷却流体、例えば冷却水を使用する冷却システムが搭載されており、この冷却流体は冷却ラインに流される。その他の冷却手段、例えば直接空冷も想定されている。
【0113】
デオキソ反応器を出た後、合成ガスは冷却のために熱交換器に流れる。再処理されたガス(例えば合成ガス)は、熱交換器から水分除去ユニット(例えば、ウォーターノックアウトドラム、デミスタ、乾燥機、膜、サイクロン、乾燥剤など)に流れ、そこで合成ガスから水分が除去される。一般的に、水分除去ユニットを出た合成ガスは、重量比で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.1%未満の水分を含むべきである。
【0114】
水分除去ユニットを出た後、乾燥した合成ガスは合成段階1802に入る。段階1802では、乾燥した合成ガスは、乾燥した合成ガスに水素を豊富に含むガスを制御しながら添加するアセンブリに流れる。このようにして、合成ガスの成分の比率は、所定の比率に調整および制御される。水素は水素分離ユニット1839から供給される。比率調整済みの乾燥した合成ガスは、アセンブリから出てコンプレッサ1832に流れる。コンプレッサ1832は、本明細書で教示および開示されているように、合成ユニット1833(これは任意の2段階ユニットであり、第1反応器ユニット1833aおよび第2反応器ユニット1833bを備える)で使用するために、合成ガスを最適圧力まで圧縮する。合成ユニット1833は、再生式熱交換器も備える。
【0115】
合成ユニット1833は、比率調整された乾燥合成ガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換する。メタノールは熱交換器(すなわち冷却器)に流入し、その後、回収ユニット1840に流入する。回収ユニット1840は凝縮したメタノールを回収し、販売、保管、またはさらなる処理のためにラインに流す。
【0116】
また、回収ユニット1840には、メタノールから分離された未反応ガスをT字型コネクタに流すラインがあり、そこから水素分離ユニット1839、再循環ループ、またはその両方に送られる。再循環ループには、メタノールを合成ユニット1833に戻すためのコンプレッサとバルブが備わっている。
【0117】
段階1802には、ユニット1833bから使用済みメタノールを回収し、熱交換器1820dに送るためのライン1883がある。段階1802には、ポンプ1881を備えたメタノール脱着器1880がある。脱着器1880用のライン1882は、メタノールリッチな生成物を熱交換器1820gに流す。
【0118】
システム1800の動作では、好ましいプロセスは2段階のメタノール合成反応器を使用し、第2段階(Rxtr2)1833bのみで反応分離を行う。第1段階(Rxtr1)1833aは一般的に平衡から遠く、反応分離は保証されない。この図に示されている例は、液体掃引(liquid sweep)による反応吸収または膜分離である。メタノールは反応器から選択的に除去され、主に未反応合成ガスを含むメタノール枯渇ガスストリームと、メタノール豊富な吸収剤ストリームが生成される。他の実施形態と比較すると、シングルパス変換が改善されているため、主再循環ループは使用されない。メタンを多く含む吸収液はバルブを通過して圧力を下げ、メタノールを脱着させる。脱着したメタノールは凝縮され、生成物ストリームに送られる。再生された吸収液は、合成反応器の圧力までポンプで戻され、反応器に再循環される。吸収液はほぼ非圧縮性であるため、合成ガス用コンプレッサの仕事量と比較すると、吸収液のポンプ仕事量は最小限に抑えられる。反応器は、吸収液をトリクルベッドまたは膜反応器(透過液側)にすることができる。吸収液に分配されないメタノールは、下流の分離ステップで気相から凝縮され、メタノール生成物ストリームと混合される。
【0119】
実施形態では、図6のシステムおよびプロセスは、コンプレッサの仕事量を低減するための装置およびプロセスの1つ又は複数を備えてもよい。したがって、図6のシステムおよびプロセスは、以下の1つ又は複数を備えてもよいし、使用してもよい。(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1または2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、その結果、プラントを運転するためのコストを、他の効率性とともに低減すること、および(d)強化された合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること。これらのコンプレッサの仕事量を低減する装置およびプロセスは、例えばモジュール式、一体型、およびそれらの組み合わせなど、図6のシステムおよびプロセスの一部として、また、この関連付けの組み合わせおよび変形例として、図6のシステムおよびプロセスと併用することができる。
【0120】
実施形態では、システムおよびプロセスは反応分離を利用する。このシステムおよびプロセスは、一般的に、2段階のメタノール合成反応器を使用し、第2段階(Rxtr2)のみで反応分離を行う。第1段階(Rxtr1)は一般的に平衡から遠く、反応分離は保証されない。このシステムは、液体掃引による反応吸収または膜分離を行う。メタノールは反応器から選択的に除去され、主に未反応合成ガスを含むメタノールが減少した気体ストリームと、メタノールが豊富な吸収液ストリームが生成される。図3に示されているような他のシステムと比較すると、シングルパス変換率が向上しているため、主再循環ループは必要ない可能性があり、また、好ましくは必要ない。メタンを多く含む吸収液はバルブを通過して圧力を下げ、メタノールを脱着させる。脱着したメタノールは凝縮され、生成物ストリームに送られる。再生された吸収液は合成反応器の圧力までポンプで戻され、反応器に再循環される。吸収液はほぼ非圧縮性であるため、合成ガス用コンプレッサの仕事量と比較すると、吸収液のポンプ仕事量は最小限に抑えられる。反応器は、トリクルベッド型でも、膜透過液側に吸収液(スイープ)を配置した膜反応器でもよい。吸収液に分配されないメタノールは、下流の分離ステップで気相から凝縮され、メタノール生成物ストリームと混合される。このシステムおよびプロセスには、コンプレッサの仕事量を削減する装置やプロセスが1つ又は複数含まれていてもよい。
【0121】
図7を参照すると、フレアガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換するシステムおよび方法の実施形態が示されている。システム1900は、改質段階1901と合成段階1902を備えている。システム1900は、空気を圧縮するコンプレッサ1911に吸気を供給する空気取り入れ口を備えている。圧縮された空気は熱交換器を通してミキサーに供給される。システムはフレアガス吸気口を備えている。フレアガスは熱交換器1920bを通ってミキサー1913に流れ込む。ミキサー1913は、本明細書で教示および開示されているように、空気と廃棄ガスの所定の混合物をレシプロエンジンである改質器1914に供給する。
【0122】
ミキサーで形成される燃料・空気混合気は、好ましくはリッチであり、より好ましくは、全体的な燃料対空気当量比(Φ又はER)が1より大きく、1.5より大きく、2より大きく、3より大きく、約1.5から約4.0、約1.1から約3.5、約2から約4.5、約1.1から約3、およびそれ以上の値である。
【0123】
空気中に酸素を添加できることが理解されている。水又は蒸気は、空気・燃料混合気中、又は空気又は燃料単体に注入することもできる。約1~約20%(モル)の水を注入でき、約10~約15%(モル)の水、約5~約17%(モル)の水、5%(モル)より多くの水、10%(モル)より多くの水、15%(モル)より多くの水、25%(モル)未満の水、水が注入できる。酸素濃縮後、燃焼空気は約21%(モル)から約90%(モル)の酸素を含むことができる。ここで使用される「空気吸入」改質器および空気吸入エンジンには、水、酸素、またはその両方を添加して改質した空気を使用するエンジンも含まれる。
【0124】
レシプロエンジン1914は、フレアガスと空気の所定の混合物を部分燃焼させて合成ガスを生成する。合成ガスは熱交換器を通り、例えば微粒子フィルタなどのフィルタに流入する。
【0125】
フィルタを通過した後、合成ガスはガードベッド反応器アセンブリに流れるが、これは任意で2つのガードベッド反応器を備える。ガードベッド反応器を出た後、合成ガスはデオキソ反応器に流れる。デオキソ反応器は、再処理されたガス(例えば合成ガス)から余分な酸素を除去する。
【0126】
このシステムには、冷却流体、例えば冷却水を使用する冷却システムが搭載されており、これは冷却ラインに流される。その他の冷却手段、例えば直接空冷も想定されている。
【0127】
デオキソ反応器を出た後、合成ガスは熱交換器に流れ、そこでガスが冷却される。その後、処理済みのガス(例えば合成ガス)は熱交換器から水分除去ユニット(例えば、ウォーターノックアウトドラム、デミスタ、乾燥機、膜、サイクロン、乾燥剤など)に流れ、そこで合成ガスから水分が除去される。一般的に、水分除去ユニットを出た合成ガスは、重量比で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.1%未満の水分を含むべきである。
【0128】
水分除去ユニットを出た後、乾燥した合成ガスは合成段階1902に入る。段階1902では、乾燥した合成ガスは、ラインから乾燥した合成ガスに水素を豊富に含むガスを制御しながら添加するアセンブリに流れる。このようにして、合成ガスの成分の比率は、所定の比率に調整および制御することができる。水素は水素分離ユニット1939から供給される。比率調整された乾燥した合成ガスは、アセンブリから出てコンプレッサ1932に流れる。コンプレッサ1932は、本明細書で教示および開示されているように、合成ユニット1933(任意の2段階ユニットであり、第1反応器ユニット1933aおよび第2反応器ユニット1933bを備える)で使用するために、合成ガスを最適圧力まで圧縮する。合成ユニット1933は、再生式熱交換器1920eも備える。
【0129】
合成ユニット1933は、比率調整された乾燥合成ガスを付加価値生成物、例えばメタノールに変換する。メタノールは熱交換器(すなわち冷却器)に流入し、その後、回収ユニット1940に流入する。回収ユニット1940は凝縮したメタノールを回収し、販売、保管、またはさらなる処理のためにラインに流す。
【0130】
また、回収ユニット1940には、メタノールから分離された未反応ガスをT字型コネクタに流すラインがあり、そこから水素分離ユニット1939、再循環ループ、またはその両方に送られる。再循環ループには、メタノールを合成ユニット1933に戻すためのコンプレッサとバルブが備わっている。
【0131】
段階1902には、ユニット1933bから水分の少ないメタノールを取り出し、熱交換器1920dに送るためのライン1983がある。段階1902には、ユニット1833bから水分の多い生成物を取り除くライン1987がある。
【0132】
システム1900は、反応分離による副生成物のガス液化プロセス用である。このプロセスでは、2段階のメタノール合成反応器を使用し、第2段階(Rxtr2)1933bのみで反応分離を行う。第1段階(Rxtr1)1833aは一般的に平衡状態から遠く、反応分離は保証されない。この図に示されている例は、ガス洗浄を伴う膜分離である。水(CO水素化によるメタノール生成の副生成物)は、反応器1833b(ライン1987経由)からその場で選択的に除去され、その結果、主に未反応合成ガスと水が豊富な洗浄ガスとを含む水が除去されたガス流が生成される。この実施形態では、シングルパス転換率が改善されているため、主たる再循環ループは使用されない。さらに、この実施形態では、掃引ストリーム(sweep stream)(例えば、この実施形態では空気)の再生は行われない。膜反応器は、水に対して透過選択性があり、膜の透過側で掃気ガス(例えば、空気)となる高分子膜またはセラミック膜材料を使用できる。水を除去すると、平衡が生成物側にシフトする。逆水-ガスシフト反応によりCOはCOに変換されるため、このアプローチはCOをより反応性の高いCOに変換するのにも役立つ。そのため、このアプローチは部分酸化により生成されるようなCOを多く含む合成ガスストリームには特に魅力的である。メタノールは下流の分離ステップでガス相から凝縮され、メタノール生成物ストリームと混合される。
【0133】
実施形態では、図7のシステムおよびプロセスは、コンプレッサの仕事量を減らすための装置およびプロセスの1つ又は複数を備えることができる。したがって、図7のシステムおよびプロセスは、以下の1つ又は複数を備えるか、又は使用することができる。(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1または2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、その結果、プラントを運転するためのコストを、他の効率性とともに低減すること、および、(d)強化された合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること。これらのコンプレッサの仕事量を低減する装置およびプロセスは、例えばモジュール式、一体型、およびそれらの組み合わせなど、図7のシステムおよびプロセスの一部として、また、この関連付けの組み合わせおよび変形例として、図7のシステムおよびプロセスと併用することができる。
【0134】
実施形態では、システムとプロセスは副生成物の反応分離を利用する。このプロセスでは、2段階のメタノール合成反応器を使用し、反応分離は2段階目の段階(Rxtr2)のみで行う。1段階目(Rxtr1)は一般的に平衡状態から遠く、反応分離は保証されない。この図に示されている例は、ガス洗浄による膜分離である。水(COの水素化によるメタノール生成の副生成物)は、反応器からその場で選択的に除去され、主に未反応合成ガスと水が豊富な掃気ガスとを含む水が減少したガスストリームとなる。図3に示されているような他のシステムと比較すると、シングルパス変換率が改善されているため、主たる再循環ループは必要なく、また、好ましくは必要ない。さらに、図6に示すような他の実施形態と比較すると、掃引ストリーム(例えば、この実施形態では空気)の再生は必要ない可能性があり、また、好ましくは必要ない。膜反応器は、水に対して透過選択性があり、膜の透過側で掃気ガス(例えば、空気)に対して透過選択性のある高分子膜またはセラミック膜材料を使用できる。水を除去すると、平衡が生成物側にシフトする。逆水-ガスシフト反応により、COはCOに変換されるため、このアプローチはCOをより反応性の高いCOに変換するのにも役立つ。そのため、このアプローチは部分酸化により生成されるようなCOを豊富に含む合成ガスストリームには特に魅力的である。メタノールは下流の分離ステップで気相から凝縮され、メタノール生成物ストリームと混合される。このシステムおよびプロセスには、コンプレッサの仕事量を低減する装置やプロセスが1つ又は複数含まれている可能性がある。
【0135】
図8を参照すると、フレアガスを付加価値生成物に変換するシステムおよび方法の実施形態が示されている。システム800は、改質段階801と合成段階802を備えている。システム800は、空気を圧縮するコンプレッサ811に空気を送り込む空気取り入れ口810を備えている。圧縮空気は、熱交換器820aを通ってミキサー813に送り込まれる。システムはフレアガス取り込み口884を有する。フレアガスは熱交換器820bを通ってミキサー813に流入する。ミキサー813は、本明細書でより詳細に開示および説明されているように、空気とフレアガスの所定の混合物をレシプロエンジンである改質器814に供給する。
【0136】
ミキサー813で形成される燃料・空気混合気は、好ましくはリッチであり、より好ましくは、全体的な燃料対空気当量比(Φ又はER)が1より大きく、1.5より大きく、2より大きく、3、約1.5から約4.0、約1.1から約3.5、約2から約4.5、約1.1から約3、およびそれ以上の値である。
【0137】
空気中に酸素を添加できることが理解されている。水又は蒸気は、空気・燃料混合気中、又は空気又は燃料単体に注入することもできる。約1~約20%(モル)の水を注入でき、約10~約15%(モル)の水、約5~約17%(モル)の水、5%(モル)より多くの水、10%(モル)より多くの水、15%(モル)より多くの水、25%(モル)未満の水、を注入することができる。酸素濃縮後、燃焼空気は約21%(モル)から約90%(モル)の酸素を含むことができる。ここで使用される「空気吸入」改質器および空気吸入エンジンには、水、酸素、またはその両方を添加して改質した空気を使用するエンジンも含まれる。
【0138】
レシプロエンジン814は、所定の混合物のフレアガスと空気を部分燃焼させて合成ガスを形成する。合成ガスは、熱交換器820a、820bを通り、例えば微粒子フィルタであるフィルタ815に流入する。
【0139】
フィルタ815を通過した後、合成ガスはガードベッド反応器アセンブリ816に流れるが、これは任意に2つのガードベッド反応器816a、816bを備える。ガードベッド反応器816は、例えば触媒などの材料を備えており、合成ガスから、システム内の後続の装置やプロセスに悪影響を与えたり、阻害したり、汚染したりする可能性のある汚染物質やその他の物質を除去する。例えば、ガードベッド反応器816は、硫黄(例えば、鉄スポンジ、酸化亜鉛または類似物)やハロゲン化化合物を除去するための触媒またはその他の材料を含んでいてもよい。
【0140】
ガードベッド反応器816を出た後、合成ガスはデオキソ反応器817に流れる。デオキソ反応器817では、混合物の可燃性化合物、例えばメタン、一酸化炭素、水素を酸化することにより、再処理ガス(例えば合成ガス)から余剰酸素が除去され、酸素は水に変換される。デオキソ反応用の触媒は、白金、パラジウム、およびアルミナまたは他の触媒担体材料に担持された他の活性材料である。
【0141】
システム800は、冷却流体、例えば冷却水を使用する冷却システム850を備えており、この冷却流体は、例えば851のような冷却ラインに流される。他の冷却手段、例えば直接空冷も想定されている。
【0142】
デオキソ反応器817を出た後、合成ガスは熱交換器820cに流れ、そこでガスが冷却される。その後、処理済みのガス(例えば合成ガス)は熱交換器820fおよび820cから水分除去ユニット818、例えばウォーターノックアウトドラム、デミスタ、乾燥機、膜、サイクロン、乾燥剤または同様のものに流れ、そこで合成ガスから水分が除去される。一般的に、ユニット818を出る合成ガスは、重量で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.1%未満の水分を含むべきである。
【0143】
ユニット818を出た後、乾燥した合成ガスは合成段階802に入る。段階802では、乾燥した合成ガスはアセンブリ830に流れる。アセンブリ830は、ライン831からの水素リッチガスを乾燥した合成ガスに制御しながら添加する。このようにして、合成ガス成分の比率は、所定の比率に調整および制御することができる。水素は水素分離ユニット839から供給される。比率調整済みの乾燥した合成ガスはアセンブリ830を出て、コンプレッサ832に流れ込む。コンプレッサ832は、本明細書で教示および開示されているように、合成ユニット833で使用するために、合成ガスを最適圧力まで圧縮する。望ましくは、合成ユニット833は、任意の第1反応器ユニット833aおよび第2反応器ユニット833bを備えた2段階ユニットである。合成ユニット833は、再生式熱交換器820eも備えている。
【0144】
合成ユニット833は、比率調整された乾燥合成ガスを付加価値生成物であるメタノールに変換する。メタノールは熱交換器(すなわち冷却器)820dに流入する。メタノールは回収ユニット840に流入する。回収ユニット840は凝縮したメタノールを回収し、販売、保管、またはさらなる処理のためにライン841に流す。
【0145】
概して、合成ガスは約15~約100bar、好ましくは約30~50bar、約25~約80bar、少なくとも約10bar、少なくとも約25bar、少なくとも約50bar、およびそれ以上の圧力およびそれ以下の圧力に圧縮される。加圧された合成ガスの温度は、約150℃から約350℃、好ましくは約250℃、約200℃から約300℃、約250℃から約375℃、125℃超、150℃超、200℃超、250℃超、350℃超、400℃未満、およびそれ以上の温度およびそれ以下の温度に調節される。圧力と温度が制御された合成ガスは、合成ガスをメタノール、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、F-T液体、その他の燃料や化学物質など、より有用で輸送が容易で経済的に利用可能な生成物に変換するための反応器に供給される。好ましい実施形態では、熱交換反応器や沸騰水型原子炉などの能動的に冷却される反応器と、Cu/ZnO/Alなどの銅含有触媒を使用し、COの水素化反応、COの水素化反応、逆水蒸気シフト反応を経て合成ガスからメタノールを生成する。
【0146】
概して、好ましい実施形態では、このシステムで使用される反応器の特性長さスケールは十分に小さく(例えば、マイクロチャネルまたはミニチャネル)、金属やその他の高温材料用の新しい3D印刷技術を使用して、従来にない形状やトポロジーに成形できるため、コンパクトなパッケージングと反応条件の厳密な制御が可能になる。また、反応器から生成物をその場で、あるいは密接に結合した状態で選択的に除去し、平衡制限反応をより高い転換率にシフトさせるなど、下流合成反応の強化に向けた他の戦略も検討できる。このプロセス強化により、大規模な再循環の流れの必要性を最小限に抑えたり、より穏やかな条件下(例えば、低圧)で反応を進行させたりすることが可能となり、それによってプロセスの安全性の余地が拡大し、その他の利点も得られる。
【0147】
概して、エンジンで生成された合成ガスのH/COの比率は、下流の変換プロセスに合わせて調整することができる。例えば、メタノール合成やフィッシャー・トロプシュ(F-T)合成の場合、理想的なH/COの比率は2~3である。アンモニア合成や水素製造の場合、可能な限り高いH/COの比率が望ましく、例えば水蒸気を添加して水ガス変換反応を促進することで、その比率を高めることができる。アンモニアおよび水素の生成においては、COは下流の合成では必要とされない。そのため、COおよびCOの副生成物は回収、隔離、貯蔵、または他の目的での利用が可能である。
【0148】
また、回収ユニット840には、メタノールから分離されたガスをT字型コネクタ835に流すラインがあり、そこから水素分離ユニット839、再循環ループ、またはその両方に送られる。再循環ループには、メタノールを合成ユニット833に戻すためのコンプレッサ834とバルブ838が備わっている。水素の分離は、水素分離ユニット839における膜分離や圧力スイング吸着(PSA)などによって行うことができる。
【0149】
水素分離後の残りのガスは、ループ890と熱交換器820fを通ってターボエキスパンダ891に送られ、そこでガスは排気される。ターボエキスパンダは、コンプレッサの必要電力の一部を埋め合わせる電力を生成する。
【0150】
図8のシステムの一実施形態では、改質器814は火花点火(オットーサイクル)レシプロエンジンである。このシステムは、図13のT-S線図に示されるように好適に動作させることができる。参照点(図8の番号81、82、83、84、85、86、87、88、89)は、図8のシステムのそれらの位置におけるプロセス条件、すなわち状態点に対応し、それらのプロセス条件は、図13の対応する参照点によって示される。状態点84a’から84b’への線は、より反応性の高いフレアガス燃料に応じて生じる圧縮比の減少を表している。状態点85bは、ターボチャージャーの拡張後に合成ガス改質器を出る合成ガスに関連する。85から85bへの拡張はターボチャージャー内で生じる。このプロセスの開始時の比エントロピーは点81、82(6.9kJ/kg°C)であり、このプロセスの最終的な比エントロピーポイントは点89(6.95kJ/kg°C)である。したがって、開始時と最終的な比エントロピーの差は0.05kJ/kg°Cである。
【0151】
図8のシステムの一実施形態では、改質器814は圧縮点火(ディーゼルサイクル)レシプロエンジンである。このシステムは、図14のT-S線図に示されているように、好適に動作させることができる。参照点(図8の番号81、82、83、84、85、86、87、88、89)は、図8のシステムのそれらの位置におけるプロセス条件、すなわち状態点に対応し、それらのプロセス条件は図14の対応する参照点によって示される。状態点84a’から84b’への線は、より反応性の高いフレアガス燃料に応じて生じる圧縮比の減少を表している。状態点85bは、ターボチャージャーの拡張後に合成ガス改質器を出る合成ガスに関連する。85から85bへの拡張はターボチャージャー内で生じる。このプロセスの開始時の比エントロピーは点81、82(6.9kJ/kg°C)であり、このプロセスの最終的な比エントロピーポイントは点89(6.95kJ/kg°C)である。したがって、開始時と最終的な比エントロピーの差は0.05kJ/kg°Cである。
【0152】
好ましくは、図8のシステムおよびプロセスの火花点火(オットーサイクル)レシプロエンジンおよび圧縮点火(ディーゼルサイクル)レシプロエンジンの実施形態は、コンプレッサを低減する装置およびプロセスの1つ又は複数を備える。したがって、図8のシステムおよびプロセスは、以下の1つ又は複数を備えるか、又は使用することができる。(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1または2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、その結果、プラントを運転するためのコストを、他の効率性とともに低減すること、および(d)強化された合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を達成すること。これらのコンプレッサの仕事量を低減する装置およびプロセスは、例えばモジュール式、一体型、およびそれらの組み合わせなど、図8のシステムおよびプロセスの一部として、また、この関連付けの組み合わせおよび変形例として、図8のシステムおよびプロセスと併用することができる。

実施例
【0153】
以下に、廃棄燃料、例えばフレアガスの変換システム、装置、およびプロセスの様々な実施形態を例示する実施例を挙げる。これらの実施例は例示目的であり、予言的である可能性があり、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではなく、また、それ以外にも限定するものではない。
【0154】
実施例1
【0155】
図10を参照すると、ガス液化システムなどの改質器ベースの炭化水素処理システムに必要なコンプレッサの仕事量を低減するためのターボエキスパンダ・熱交換器システムの実施形態が示されている。システム1000は3つの段階1100、1200、1300を有する。各段階は、コンプレッサとタービンのアセンブリ、および熱交換器を有する。段階1100はタービン1102によって駆動されるコンプレッサ1101と熱交換器1103を有する。段階1200には、タービン1202によって駆動されるコンプレッサ1201と熱交換器1203がある。段階1300には、タービン1302によって駆動されるコンプレッサ1301と熱交換器1303がある。運転時には、通常はガス液化システムによって分離された排ガスである生成物600が段階1300に供給される。生成物600は、50bar以上の圧力と250℃未満の温度を有することができる。生成物600は、図に示されているように、段階1300、1200、1100を流れる。改質器の出力によって供給される材料、例えば合成ガスである反応物500は、段階1100に供給され、図示されているように段階1200および1300を通って流れ、250℃および50barの付近で出て行く。グラフ1000bは、生成物600bおよび反応物500bが段階1100a、1200a、1300aを通過する際の圧力および圧力変化を示している。グラフ1000cは、段階1100a、1200a、1300aを通過する生成物600cおよび反応物500cの温度および温度変化を示す。グラフ1000bの軸上の1および5は、bar単位の圧力を示す。
【0156】
図10の実施形態は3段階であるが、1段階、2段階、4段階、5段階又はそれ以上の段階が考えられる。システム1000は、図3、4、6、7、または8のシステムのようなガス液化システムの不可欠な一部とすることができる。また、ガス液化システムに動作可能に接続された(例えば、パイプ、バルブ、制御システム)別個のモジュール(例えば、スキッド搭載)とすることもできる。
【0157】
実施例2
【0158】
一実施形態では、図3のシステム100は、例えば図10にコンプレッサ132として示されているようなターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムを備えている。この実施形態では、図10の生成物600は水素分離ユニット139からの排ガスである。そして、図10の反応物500は、アセンブリ830を出る比率調整乾燥再処理ガス(例えば合成ガス)である。
【0159】
実施例2
【0160】
図3のシステム100の一実施形態では、高圧の液体および気体の生成物ストリームは、ジュール・トムソン(実質的に等温等圧)膨張プロセスにおいてバルブ(または背圧レギュレータ)を介して膨張される。この構成では、自己充足のための十分な電力がないため、圧縮には補助電力が必要である。
【0161】
実施例4
【0162】
一実施形態では、図4のシステム1600は、例えば図10にコンプレッサ1632として示されているようなターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムを備えている。この実施形態では、図10の生成物600は水素分離ユニット1639からの排ガスである。そして、図10の反応物500は、コンプレッサ1632に供給される比率調整乾燥再処理ガス(例えば合成ガス)である。
【0163】
実施例5
【0164】
一実施形態では、図8のシステム800は、例えば図10にコンプレッサ832として示されているようなターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムを備えている。この実施形態では、図10の生成物600は水素分離ユニット839からの排ガスである。そして、図10における反応物500は、アセンブリ830を出る比率調整乾燥再処理ガス(例えば合成ガス)である。この実施形態では、ターボエキスパンダ891を使用しない場合もあるが、図10のターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器の動作に使用されない余剰排ガスに対しては、依然として使用される場合もある。
【0165】
実施例6
【0166】
図3、4、6、7、8、または15に示すタイプのモジュール式システムおよび方法の実施形態では、システムおよび方法は、リッチ条件下で動作し、加圧合成ガスを生成する手段を有する名目上の空気吸入エンジンを利用する。この合成ガスは、エンジン改質器から排出される際の圧力が1bar超、2bar超、3bar超、4bar超、5bar超、約2barから約5bar、約3barから約5barとなる可能性がある。このシステムでは、例えば、水冷式ノックアウトを出た合成ガスがコンプレッサに入る際の温度が約50℃の場合、40℃から60℃、あるいはそれ以上、あるいはそれ以下である。
【0167】
実施例7
【0168】
図3、4、6、7、8、または15に示すタイプのモジュール式システムおよび方法の実施形態では、システムおよび方法は、リッチ条件下で動作し、加圧合成ガスを生成する手段を有する名目上の空気吸入エンジンを利用する。さらに、このシステムには、酸素富化ユニット、空気分離ユニット、又は合成ガスから窒素を除去する窒素除去ユニットなどの窒素量を削減する手段がある。このシステムでは、例えば窒素を10%又は20%又はそれ以上削減する。
【0169】
実施例8
【0170】
図3、4、6、7、8、または15に示すタイプのモジュール式システムおよび方法の実施形態では、システムおよび方法は、リッチ条件下で動作し、加圧合成ガスを生成する手段を有する、名目上の空気吸入エンジンを利用する。このシステムにはさらに、余剰の高圧ガスを使用して膨張させ、仕事を生み出すタービン駆動シャフトなどのターボエキスパンダまたは膨張タービンが備わっている。このシステムでは、例えばタービン入口は約50bar、タービン出口は約3barである。
【0171】
実施例9
【0172】
図3、4、6、7、8、または15に示すタイプのモジュール式システムおよび方法の実施形態では、システムおよび方法は、リッチ条件下で動作し、加圧合成ガスを生成する手段を有する名目上の空気吸入エンジンを利用する。さらに、このシステムは、生成物または副生成物の反応分離など、より低圧でのメタノール合成のための強化合成ループを備えている。このシステムでは、例えば、シングルパスメタノール合成の変換率が5%または10%あるいはそれ以上またはそれ以下の割合で増加する。
【0173】
実施例10
【0174】
一実施形態では、エンジン改質器の排気背圧を増加させて、下流の合成ガスの圧縮要件を低減する。排気圧は、大気圧付近の典型的な値(約1bar)から5barまたはそれ以上に合理的に増加できると予想される。下流の合成圧力が通常50barに設定されていることを考慮すると、エンジン改質器の排気背圧を高めることで合成ガスの圧縮に必要な全体的な圧力比が減少し、コンプレッサの仕事量(kJ/kg)または出力(kW)が減少する。エンジン改質器は自立しているため、排気背圧を高めても上流の圧縮仕事には直接影響しない。しかし、背圧を高めるとエンジンの容積効率とエンジンの純牽引力が影響を受ける。これらのトレードオフを考慮すると、中間値の最適な背圧が示唆される。背圧は下流プロセスの流量抵抗によって決定される。エンジン改質器(例えば、エンジン改質器の入口空気のターボチャージ、バルブオーバーラップを低減または排除するためのエンジンバルブタイミングの変更)のさまざまな改良により、排気背圧の上昇に伴う許容可能なエンジン性能の維持が期待される。
【0175】
実施例11
【0176】
一実施形態では、ルシャトリエの原理に従って平衡を生成物側にシフトさせるために、反応生成物(または副生成物)を選択的に除去する反応分離が用いられる。生成物(例えばメタノール)または副生成物(例えば水)は、その場で、または密結合型方式で合成反応器から除去される。密結合型とは、高価でエネルギー集約的な下流分離を行わずにループ内で分離することを意味する。分離は、吸着、吸収、膜分離、蒸留などによって行うことができる。反応分離により、良好なシングルパス変換が可能となり、エネルギー集約型で設備投資の必要な分離および再循環ループの必要性を低減または排除することができる。さらに重要なのは、このソリューションの観点では、反応分離により反応器の圧力を高める必要がなくなるため、結果としてプロセスに必要な圧縮仕事を低減できることである。吸着分離には、メタノールまたは水に対して選択性のある様々な吸着剤(例えばシリカアルミナ)や、様々な吸着装置(例えば充填層、移動層、移動層シミュレーター)を使用することができる。吸収分離では、様々な吸収剤(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、一般的にTGDEまたはテトラグリメ、またはスクアラン)を様々な吸収装置(例えば、滴下床、バブルコラム)で使用することができる。膜分離では、様々な膜モジュール構成(例えば中空繊維束、スパイラル型、プレート型)において、メタノールまたは水を分離除去するために、様々な高分子材料(例えばナフィオン(登録商標)のようなスルホン化テトラフルオロエチレンベースのフッ素ポリマー共重合体)またはセラミック材料(例えばゼオライト)を使用することができる。任意の選択として、透過液側にガス(例えば空気)または液体(例えばTGDE)の掃引ストリームを使用して膜分離を行うことができる。反応蒸留(RD)も、揮発性の違いに基づいて反応物からメタノールを選択的に除去するために使用できる。任意のRDでは、様々な改良型(例えば、分割壁カラム蒸留)またはハイブリッド型(例えば、TGDEなどとの抽出蒸留)の蒸留アプローチを使用できる。
【0177】
実施例12
【0178】
一実施形態では、ルシャトリエの原理に従って平衡を生成物側にシフトさせるために、反応生成物(または副生成物)を選択的に除去する反応分離が用いられる。生成物(例えばメタノール)または副生成物(例えば水)は、その場で、または密結合型方式で合成反応器から除去される。密結合型とは、高価でエネルギー集約的な下流分離を行わずにループ内で分離することを意味する。分離は、吸着、吸収、膜分離、蒸留などによって行うことができる。反応分離により、良好なシングルパス変換が可能となり、エネルギー集約型で設備投資の必要な分離および再循環ループの必要性を低減または排除することができる。さらに重要なのは、このソリューションの観点では、反応分離により反応器の圧力を高める必要がなくなるため、結果としてプロセスに必要な圧縮仕事を低減できることである。吸着分離には、メタノールまたは水に対して選択性のある様々な吸着剤(例えばシリカアルミナ)や、様々な吸着装置(例えば充填層、移動層、移動層シミュレーター)を使用することができる。吸収分離では、様々な吸収剤(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、一般的にTGDEまたはテトラグリメ、またはスクアラン)を様々な吸収装置(例えば、滴下床、バブルコラム)で使用することができる。膜分離では、様々な膜モジュール構成(例えば中空繊維束、スパイラル型、プレート型)において、メタノールまたは水を分離除去するために、様々な高分子材料(例えばナフィオン(登録商標)のようなスルホン化テトラフルオロエチレンベースのフッ素ポリマー共重合体)またはセラミック材料(例えばゼオライト)を使用することができる。任意の選択として、透過液側にガス(例えば空気)または液体(例えばTGDE)の掃引ストリームを使用して膜分離を行うことができる。反応蒸留(RD)も、揮発性の違いに基づいて反応物からメタノールを選択的に除去するために使用できる。任意のRDでは、様々な改良型(例えば、分割壁カラム蒸留)またはハイブリッド型(例えば、TGDEなどとの抽出蒸留)の蒸留アプローチを使用できる。
【0179】
実施例13
【0180】
小規模プラントで、入口ガス流量3,000,000標準立方フィート/日(scfd)をターゲットとする。このようなプラントの規模は、50,000scfdから15,000,000scfdまで様々である。プラントは、1つ又は複数のモジュール式で相互接続されたスキッド又はコンテナに組み込まれ、中央の製作工場で組み立てられた後、現場に設置される。システムは少数のモジュールで構成されており、現場で接続すると統合システムとなる。モジュール式の組み立てにより、さまざまな流入ガス供給量に対応し、現場での労力を最小限に抑えながら、遠隔地への適用が可能となる。モジュール式の特性により、これらの資産の展開や再展開の柔軟性がさらに向上し、初期資本支出とプロジェクトの財務リスクが低減され、プロセス処理量をフレアガス供給量に一致させることができ、モジュールの製造と現場準備を並行して行うことで市場投入までの時間を短縮できる。このプラントには、(a)窒素の量を減らすこと、(b)エンジンの背圧を標準の1bar又は2barから最大5barまで増加させること、(c)ターボエキスパンダを使用して圧縮仕事の大部分を回収し、プラントの運転コストを削減すること、(d)強化された合成ループを使用して、より低い全体圧力で許容可能なメタノール合成を実現すること、のうちの1つ又は複数の機能がある。
【0181】
実施例14
【0182】
実施例10および12で説明したコンポーネントを含むシステムの実施形態では、質量流量とエネルギーの観点でバランスが取れた完全なシステムが図15に示されている。
【0183】
図15、および図15Aから図15Cを参照すると、ガス液化システム1400における実施例10および13の実施形態を利用するシステムおよびプロセスシステムの概略が示されている。システムおよびプロセス1400は、改質器サブシステム1440、メタノールサブシステム1460、およびターボエキスパンダ(例えば、ターボコンプレッサ)サブシステム1480を有する。改質器サブシステム1440の拡大図(および他の構成要素)は、図15Aに示されている。メタノールサブシステム1460の拡大図は図15Bに示されている。ターボエキスパンダサブシステム1480の拡大図は図15Cに示されている。(ラインまたはパイプA、B、C、Dは、3つのサブシステム間の流体フローおよび流体通信を提供する。)
【0184】
図15Aを参照すると、改質器サブシステム1440は、空気の流れを受けるための空気取り入れ口1445と、炭化水素ガス(例えばフレアガス)の流れを受けるための炭化水素ガス取り入れ口1446(例えばフレアガス取り入れ口)とを有する。改質器サブセクションは、過給機1441、空気予熱器1442、空気吸入改質器1449、ミキサー1444、脱硫ユニット1447を備える。さらに、改質器サブシステム1440からターボエキスパンダサブシステム1480へのライン上に、デオキソユニット1433が示されている。矢印は、システムおよびプロセスにおける流れの方向を示している。
【0185】
図15Bを参照すると、メタノール合成サブシステム1460は、コンプレッサ1461、ミキサー1462、CO膜ユニット1463、および水素膜ユニット1464を有する。サブシステム1460は、反応器ユニット1469、熱交換器1474を有する。サブシステム1460はさらに、熱交換器1471、1472およびメタノール凝縮器1465、メタノール脱気器1466を有する。このシステムには、供給空気1468の排ガス酸化ユニット1467と、関連する熱交換器1475がある。システム1460には、コンプレッサ1473、熱交換器1474、およびミキサー1470がある。システムには、システムおよびプロセスの流れの方向を示す矢印がある。
【0186】
図15Cを参照すると、ターボエキスパンダサブシステム1480は、熱交換器1481、熱交換器1481、およびノックアウトドラム1483を備えている。サブシステム1480はさらに、コンプレッサ1484およびタービン1485を備えている。タービン(ターボエキスパンダ)1485は、バランスバルブ1486およびミキサー1487も備えている。サブシステム1480は、熱交換器1488およびウォーターノックアウトドラム1439を備えている。サブシステム1480は、コンプレッサ1490とタービン(ターボ抽出器)1493を備え、これにはバランスバルブ1491と熱交換器1492が関連付けられている。サブシステム1480は、スプリッター1494、熱交換器1495、熱交換器1496、および水抜きドラム1497も有する。システムには、システムおよびプロセスにおける流れの方向を示す矢印がある。
【0187】
このシステムは、化学プロセスから得られる高圧の流れと、プロセスで利用可能な熱エネルギー(熱)を利用して、ターボエキスパンダを介して軸仕事を作り出す。この軸仕事は、流入するプロセス流体のための最初の圧縮システムを駆動する。タービン側で段階の間に再加熱を加えることで、追加のタービン仕事が生み出される。圧縮の段階間にインタークーリングを行うことで、圧縮の仕事量が削減される。ターボコンプレッサの制御には、個別のバイパス(ウェイストゲート)制御バルブが使用される。初期圧縮システムの排出口の圧力は、水素分離ユニットからの保持ガス(排ガス)の排出口の圧力と一致しており、流れを1つの圧縮装置に統合してメタノールプロセスに必要な圧力まで圧力を高めることができる。このターボコンプレッサシステムは、通常58kg/hの炭化水素ガスを処理するシステムの場合、電動モーターなどによる外部軸出力を98kWから60kWに削減する。プロセス流体の凝縮温度は30℃から60℃に引き上げられ、その結果、冷却器の負荷は258kWthから20kWthに削減される。
【0188】
本発明の実施形態の対象または関連する、新規かつ画期的な生成速度、性能、またはその他の有益な機能や特性の基礎となる理論を提供または説明する必要はない。しかし、この重要な分野、特に炭化水素の探査、生成、および下流変換の分野における技術をさらに発展させるため、本明細書ではさまざまな理論が提示されている。これらの理論は、本明細書で提示されているが、明示的に別段の記載がない限り、特許請求の範囲に記載された発明に与えられる保護の範囲を制限、制約、狭めるものではない。これらの理論は、本発明を利用するために必要とされるものでも、実施されるものでもない。さらに、本発明は、本発明の方法、物品、材料、装置およびシステムの実施形態の動作、活動、資源生成、化学、機能的特徴を説明する、新しい、これまで知られていなかった理論につながる可能性があることが理解される。また、そのような後に開発された理論は、本発明に与えられる保護の範囲を限定するものではない。
【0189】
本明細書に記載された装置、システム、活動、方法および業務の様々な実施形態は、本明細書に記載された図の実施形態および開示されたものに加えて、様々なプロセス、産業および業務において、それらとともに、それらの中で、またはそれらによって使用される可能性がある。本明細書に記載された装置、システム、方法、活動、および操作の様々な実施形態は、今後開発される可能性のある他のプロセス、産業、および操作と併用できる可能性がある。また、本明細書の教示に基づいて部分的に修正される可能性のある既存のプロセス、産業、および操作と併用できる可能性がある。さらに、他のタイプのガス回収および価値安定化システムおよび方法と併用できる可能性もある。さらに、本明細書に記載された装置、システム、活動、方法、および操作の様々な実施形態は、異なる様々な組み合わせで互いに使用することができる。したがって、例えば、本明細書の様々な実施形態に記載された構成は、互いに使用することができる。例えば、A、A’、およびBを有する実施形態の構成要素と、A’、C、およびDを有する実施形態の構成要素は、単独で、または互いに、例えば、A、C、D、およびA、A’、C、D、およびA’、B、およびDなど、本明細書の教示に従って様々な組み合わせで使用することができる。したがって、本発明に与えられる保護の範囲は、特定の実施形態、実施例、または特定の図における実施形態に記載されている特定の実施形態、構成、または配置に限定されるべきではない。
【0190】
本明細書に具体的に開示されたもの以外の形態で、その精神または実質的な特徴から逸脱することなく、本発明を具現化することができる。本明細書に記載された実施形態は、あらゆる面において、例示的なものとしてのみ考慮され、制限的なものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図15A
図15B
図15C
【手続補正書】
【提出日】2024-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを最終生成物に変換する方法であって、
a. 組成が主としてガス状炭化水素と供給源からの不活性ガスである、炭化水素をベースとする燃料源の流れを受け入れる工程と、
b. 前記燃料源を空気吸入レシプロエンジン内で部分的に酸化して、液体の合成に適したH2/CO比を有する合成ガス混合気を生成する工程と、
c. コンプレッサの仕事量を低減する工程を実行する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、窒素の量を減らすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、前記空気吸入レシプロエンジンの背圧を増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記背圧が5barまで増加する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記背圧が2barより大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、ターボエキスパンダ・熱交換器システムを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンプレッサの仕事量を低減する工程が、反応分離合成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記空気吸入レシプロエンジンがリッチバーンエンジンである、請求項1から7のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項9】
前記空気吸入レシプロエンジンが可変圧縮比エンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記空気吸入レシプロエンジンが圧縮点火エンジンである、請求項1から7のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項11】
前記空気吸入レシプロエンジンが火花点火エンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ガスを最終生成物に変換するためのシステムであって、
a. 組成が主としてガス状炭化水素と供給源からの不活性ガスである、炭化水素をベースとする燃料源の流れを受け入れるための流入ポートであって、
b. 前記燃料源を部分的に酸化して液体の合成に適したH/CO比を有する合成ガス混合気を生成するようにされた空気吸入レシプロエンジンと流体連通している流入ポートと、
c. コンプレッサの仕事量を低減する手段と、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が窒素の量を減らす手段を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記窒素の量を減らす手段が酸素富化ユニットを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記窒素の量を減らす手段が窒素除去ユニットを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が、前記空気吸入レシプロエンジンの増加した背圧を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記増加した背圧が最大5barである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記増加した背圧が2barよりも大きい、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段がターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムを使用することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段階で構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムがコンプレッサ・タービンアセンブリを備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが2段で構成され、各段がコンプレッサとタービンと熱交換器を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記ターボエキスパンダ・コンプレッサ・熱交換器システムが3段で構成され、各段がコンプレッサとタービンと熱交換器を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コンプレッサの仕事量を低減する手段が反応分離合成ループを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
前記空気吸入レシプロエンジンがリッチバーンエンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記空気吸入レシプロエンジンが可変圧縮比エンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記空気吸入レシプロエンジンが圧縮点火エンジンである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記空気吸入レシプロエンジンが火花点火エンジンである、請求項12から24のいずれか一向に記載のシステム。
【請求項29】
前記燃料源がフレアガスである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記燃料源がフレアガスである、請求項12から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記空気吸入レシプロエンジンが、ディーゼルサイクルエンジンを含む圧縮点火エンジン、又は予混合圧縮点火エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項32】
前記空気吸入レシプロエンジンが、オットーサイクルを含む火花点火エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項33】
前記空気吸入レシプロエンジンが、対向ピストン・フリーピストン・リニア内燃エンジンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項34】
前記空気吸入レシプロエンジンは、クランクシャフト駆動式の対向ピストン内燃エンジンであり、一方のピストンの位相を他方のピストンの位相に対して回転させて全体的な圧縮比を変更するクランクシャフト位相器を備えている、請求項12に記載のシステム。
【請求項35】
コンプレッサの仕事量を低減させた状態でフレアガスをメタノールに変換するためのシステムであって、
a. 空気の流れを受け入れるための第1ライン、及びフレアガスの流れを受け入れるための第2ラインであって、
b. 空気吸入エンジン改質器アセンブリと流体連通した第1及び第2ラインと、
c. 第3ラインと流体連通したターボエキスパンダアセンブリであって、
d. 前記空気吸入エンジン改質器アセンブリが前記第3ラインと流体連通しており、
e. 前記第3ラインは、前記空気吸入エンジン改質器アセンブリと当該ターボエキスパンダアセンブリを連結して、前記空気吸入エンジン改質器アセンブリからの中間生成物を当該ターボエキスパンダアセンブリに流すことができるようにし、
f. 第4ライン、第5ライン、及び第6ラインに流体連通している、ターボエキスパンダアセンブリと、
g. 前記第4ライン、前記第5ライン、及び前記第6ラインと流体連通しているメタノール合成アセンブリと、を備え、
h. 前記第4ラインは、前記ターボエキスパンダアセンブリを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記ターボエキスパンダアセンブリから前記メタノール合成アセンブリへの第1の流れを提供するようにされ、
i. 前記第5ラインは、前記ターボエキスパンダアセンブリを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記ターボエキスパンダアセンブリから前記メタノール合成アセンブリへの第2の流れを提供するようにされ、
j. 前記第6ラインは、前記ターボエキスパンダアセンブリを前記メタノール合成アセンブリに連結して、前記メタノール合成アセンブリから前記ターボエキスパンダアセンブリへの第3の流れを提供するようにされた、システム。
【請求項36】
前記中間生成物が合成ガスである、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記ターボエキスパンダアセンブリから前記メタノール合成アセンブリへの前記第1の流れが合成ガスである、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記空気吸入レシプロエンジンが、バルブの開閉に作用するように吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを回転させるカムシャフト位相器を利用して可変「有効」圧縮比を達成する従来の火花点火レシプロエンジンである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記空気吸入レシプロエンジンが、バルブの開閉に作用するように可変リフトおよび/または可変デュレーションのバルブトレインを利用して可変「有効」圧縮比を達成する従来の火花点火レシプロエンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記空気吸入レシプロエンジンが、クランクシャフトを回転させる従来のコネクティングロッドの代わりにマルチリンクシステムを備え、アクチュエータモータが前記マルチリンクシステムの終点を変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記空気吸入レシプロエンジンがツーストロークエンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記空気吸入レシプロエンジンがフォーストロークエンジンである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
エンジン回転数をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
入口マニホールドの空気温度をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
入口マニホールドの空気圧(例えば、ブーストレベル)をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
蒸気または水素を流入空気または燃料に添加し、その添加量をエンジン圧縮比とともに変化させて、所望の燃焼と所望の排気ガス組成を達成するようにした、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記空気吸入レシプロエンジンが少なくとも1.5のERの下で運転される,請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記空気吸入レシプロエンジンが少なくとも約2のERの下で運転される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記空気吸入レシプロエンジンが少なくとも約2.5のERの下で運転される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記空気吸入レシプロエンジンが少なくとも約3のERの下で運転される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記空気吸入レシプロエンジンが少なくとも約2.5のERの下で運転される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
圧縮比が8:1から14:1の間で制御される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記空気吸入レシプロエンジンの下流で、統合された熱交換器、圧縮システムコンポーネント、および熱交換器を組み合わせて、前記下流の合成反応器用の合成ガスを調製するようにした、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記空気吸入レシプロエンジンの下流に、有用な液体生成物を生成するための下流合成反応器システムを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
AIで訓練された異常検知を含むクラウドベースの遠隔監視システムが、可変バルブタイミングの変化を動的に監視し、燃料供給の異常を評価して対応する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
COeライフサイクルアセスメントの観点から、フレアガスから製造された場合において、パイプライン天然ガスからのベースライン液体メタノール製造と比較して、最終生成物(この場合、液体メタノール)1kgあたり約40kgCOeの負のCOe排出をもたらすことになる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
フレアガスから製造され、パイプライン天然ガスからのベースラインメタノールと等価なkgのメタノールを置き換える場合において、結果として生じる負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)1kgあたり約70kgCOeである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
フレアガスから製造され、石炭ガス化からのベースラインメタノールと等価なkgを置き換える場合において、結果として生じる負のCOe排出量は、最終生成物(メタノール)kgあたり約130kgCOeである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記最終生成物がメタノールを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記最終生成物が、エタノール、アンモニア、ジメチルエーテル、およびF-T液体からなる群から選択される材料を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記燃料源が炭化水素井からのフレアガスである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記燃料源が油井からのフレアガスである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記燃料源が、非従来型油井からのフレアガスである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記燃料源がフレアガスであり、前記フレアガスは、石油化学処理、精製、埋立地、廃水処理、および畜産からなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記燃料の流量が約50,000scfdから約30,000,000scfdである、請求項1からいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記燃料の流量が、約500,000scfdから約20,000,000scfdである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記燃料の流量が、約600,000scfdから約15,000,000scfdである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記燃料の流量が、約700,000scfdから約10,000,000scfdである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】