(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】核酸ガイド型ニッカーゼ融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 9/16 20060101AFI20250214BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20250214BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250214BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250214BHJP
C12N 9/12 20060101ALI20250214BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250214BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20250214BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250214BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20250214BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
C12N9/16 ZNA
C12N15/55
C12N1/15
C12N1/19
C12N9/12
C12N5/10
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/09 110
C12N15/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024545893
(86)(22)【出願日】2023-02-02
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 US2023061877
(87)【国際公開番号】W WO2023150637
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518454564
【氏名又は名称】インスクリプタ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュハン
(72)【発明者】
【氏名】マイツ、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA60
4H045AA10
4H045BA41
4H045DA89
4H045EA60
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、標的核酸分子の編集に有用な組成物及び方法を提供する。本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、逆転写酵素、及び融合タンパク質並びにMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、逆転写酵素、及び融合タンパク質を使用して核酸分子をインビボ及びインビトロの両方で編集する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、I1142Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1と比較してS409Rアミノ酸置換、L500Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、I1142Rアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、D1139Nアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項11】
配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、A1221Hアミノ酸置換、及びK1285Rアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項12】
配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項13】
少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸配列。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び核酸分子を含む核タンパク質複合体。
【請求項16】
前記核酸分子は、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームを含む、請求項15に記載の核タンパク質複合体。
【請求項17】
前記核酸分子は、RNA分子である、請求項15又は16に記載の核タンパク質複合体。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む真核細胞。
【請求項19】
請求項14に記載の核酸配列を含む真核細胞。
【請求項20】
請求項15~17のいずれか一項に記載の核タンパク質複合体を含む真核細胞。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む融合タンパク質。
【請求項22】
逆転写酵素をさらに含む、請求項21に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
前記逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素である、請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
前記Tf1逆転写酵素は、配列番号12と比較してD364Nアミノ酸置換を含む、請求項23に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
前記Tf1逆転写酵素は、配列番号13を含む、請求項23に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
前記逆転写酵素は、HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス)逆転写酵素、M-MLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素、及びAMV(トリ骨髄芽球症ウイルス)逆転写酵素からなる群から選択される逆転写酵素に由来する、請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
リンカーアミノ酸配列を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドと前記逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の融合タンパク質。
【請求項30】
配列番号12と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質。
【請求項31】
前記Tf1逆転写酵素は、配列番号12と比較してD362Nアミノ酸置換を含む、請求項30に記載の融合タンパク質。
【請求項32】
前記Tf1逆転写酵素は、配列番号13を含む、請求項30に記載の融合タンパク質。
【請求項33】
ニッカーゼをさらに含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項34】
前記ニッカーゼは、CRISPR-Casニッカーゼである、請求項33に記載の融合タンパク質。
【請求項35】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、I型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項36】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、II型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項37】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、III型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項38】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、IV型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項39】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、V型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項40】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、VI型CRISPR-Casニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項41】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、Cas9ニッカーゼである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項42】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019ポリペプチドである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項43】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aポリペプチドである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項44】
前記CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドである、請求項34に記載の融合タンパク質。
【請求項45】
配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをさらに含み、前記MAD2019-H848Aニッカーゼは、配列番号1に従う848位のアラニンを含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項46】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項47】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、I1142Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項48】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項49】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項50】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してS409Rアミノ酸置換、L500Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項51】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項52】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項53】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、I1142Rアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項54】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、D1139Nアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項55】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、A1221Hアミノ酸置換、及びK1285Rアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項56】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、請求項45に記載の融合タンパク質。
【請求項57】
少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、請求項30~56のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項58】
リンカーアミノ酸配列を含む、請求項30~57のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項59】
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドと前記Tf1逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、請求項45~56のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項60】
前記ニッカーゼと前記Tf1逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の融合タンパク質。
【請求項61】
請求項21~60のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸配列。
【請求項62】
請求項21~60のいずれか一項に記載の融合タンパク質及び核酸分子を含む核タンパク質複合体。
【請求項63】
前記核酸分子は、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームを含む、請求項62に記載の核タンパク質複合体。
【請求項64】
前記核酸分子は、RNA分子である、請求項62又は63に記載の核タンパク質複合体。
【請求項65】
請求項21~60のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む真核細胞。
【請求項66】
請求項61に記載の核酸配列を含む真核細胞。
【請求項67】
請求項62~64のいずれか一項に記載の核タンパク質複合体を含む真核細胞。
【請求項68】
MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを細胞に提供する方法であって、
(a)細胞を得ること;及び
(b)前記細胞に、請求項1~13のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、又は前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を提供すること
を含む方法。
【請求項69】
融合タンパク質を細胞に提供する方法であって、
(a)細胞を得ること;及び
(b)前記細胞に、請求項21~60のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は前記融合タンパク質をコードする核酸分子を提供すること
を含む方法。
【請求項70】
前記細胞に、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記ガイドは、前記細胞内で前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成するRNA分子である、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記ガイドは、前記細胞内の標的核酸分子と相補的な配列を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記核タンパク質複合体は、前記細胞内の前記標的核酸分子を編集する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ガイドは、前記細胞内で前記融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成するRNA分子である、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記ガイドは、前記細胞内の標的核酸分子と相補的な配列を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記核タンパク質複合体は、前記細胞内の前記標的核酸分子を編集する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記標的核酸分子は、前記細胞の核ゲノム内に位置する、請求項72、73、75、及び76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記標的核酸分子は、前記細胞のミトコンドリアゲノム内に位置する、請求項72、73、75、及び76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記提供は、ポリエチレングリコール媒介形質転換、バイオリスティック形質転換、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルス形質導入、1つ以上の送達粒子の使用、マイクロインジェクション、及びエレクトロポレーションからなる群から選択される方法を含む、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、
(a)
(i)前記少なくとも1つの真核細胞に、請求項1~13のいずれか一項に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、又は前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を;及び
(ii)前記少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、前記真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードする核酸分子を
導入することであって;
前記MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び前記ガイドRNAは、前記少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、前記核タンパク質複合体は、前記標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、前記標的核酸分子の対照バージョンと比較して前記標的核酸分子内で作製されること;並びに
(b)前記少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定すること
を含む方法。
【請求項81】
少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、
(a)
(i)前記少なくとも1つの真核細胞に、請求項21~60のいずれか一項に記載の融合タンパク質、又は前記融合タンパク質をコードする核酸分子を;及び
(ii)前記少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、前記真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードする核酸分子を
導入することであって;
前記融合タンパク質及び前記ガイドRNAは、前記少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、前記核タンパク質複合体は、前記標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、前記標的核酸分子の対照バージョンと比較して前記標的核酸分子内で作製されること;並びに
(b)前記少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定すること
を含む方法。
【請求項82】
前記方法のステップ(a)は、少なくとも1つのホモロジーアーム、又は前記ホモロジーアームをコードする核酸分子を、前記真核細胞に導入することをさらに含み、前記少なくとも1つのホモロジーアームは、前記少なくとも1つの編集を含む核酸配列を含む、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つの編集は、挿入を含む、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも1つの編集は、欠失を含む、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記少なくとも1つの編集は、置換を含む、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記少なくとも1つの編集は、単一ヌクレオチドの置換を含む、請求項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
単一ヌクレオチドの前記置換は、トランシジョンを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
単一ヌクレオチドの前記置換は、トランスバージョンを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を有する足場領域を含むガイドRNA(gRNA)。
【請求項90】
前記核酸配列は、配列番号24と少なくとも90%同一である、請求項89に記載のgRNA。
【請求項91】
前記核酸配列は、配列番号24と少なくとも95%同一である、請求項89に記載のgRNA。
【請求項92】
前記核酸配列は、配列番号24と100%同一である、請求項89に記載のgRNA。
【請求項93】
融合タンパク質及び請求項89~92のいずれか一項に記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【請求項94】
前記融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む、請求項93に記載の核タンパク質複合体。
【請求項95】
前記融合タンパク質は、逆転写酵素を含む、請求項93又は94に記載の核タンパク質複合体。
【請求項96】
MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び請求項89~92のいずれか一項に記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【請求項97】
ニッカーゼ及び請求項89~92のいずれか一項に記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【請求項98】
請求項89~92のいずれか一項に記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工学操作核酸ガイド型タンパク質(例えば、ニッカーゼ)及び融合タンパク質を提供する。提供されるタンパク質は、生存細胞中の核酸分子に対して標的化編集を作製するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
生存細胞のゲノムに対して正確に標的化変化を作製する能力は、生物医学的な研究及び開発における長年の目的である。近年、遺伝子配列、及びしたがって遺伝子機能の操作を可能とする種々のヌクレアーゼが同定されている。
【0003】
同定されたヌクレアーゼとしては、核酸ガイド型ヌクレアーゼ及び核酸ガイド型ヌクレアーゼに由来するニッカーゼが挙げられる。ニッカーゼは、二本鎖分解ではなく一本鎖分解を生成する。DNAの一本鎖のみを開裂させる能力は、ある編集作業のための核酸ガイド型ヌクレアーゼの多用途性を増加させ得る。
【0004】
ニッカーゼを使用する1つの編集作業は、プライム編集である。プライム編集は、ニッカーゼを逆転写酵素と組み合わせて融合タンパク質を作出する。融合タンパク質は、編集すべき標的部位を規定するとともに所望の編集をコードするプライム編集ガイドRNAとの核タンパク質複合体を形成する。プライム編集は、挿入、欠失、及び点突然変異の12タイプ全てを作出し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当技術分野において、異なる生物からの細胞中の変化した活性を有し、異なる切断モチーフを有し、及び/又は変更された酵素フィデリティを有する新規ヌクレアーゼ及び新規ニッカーゼに由来するニッカーゼが必要とされている。本明細書に提供される新規ポリペプチドは、このアンメットニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aポリペプチドを提供する。
一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。
【0007】
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
一態様において、本開示は、配列番号13と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質を提供する。
【0008】
一態様において、本開示は、配列番号14のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質を提供する。
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む核タンパク質複合体を提供する。
【0009】
一態様において、本開示は、本明細書に提供される融合タンパク質を含む核タンパク質複合体を提供する。
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む真核細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される融合タンパク質を含む真核細胞を提供する。
【0010】
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを細胞に提供する方法であって、(a)細胞を得ること;及び(b)細胞に、MAD2019-H848バリアントポリペプチド又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を提供することを含む方法を提供する。
【0011】
一態様において、本開示は、融合タンパク質を細胞に提供する方法であって、(a)細胞を得ること;及び(b)細胞に、本明細書に提供される融合タンパク質、又は融合タンパク質をコードする核酸分子を提供することを含む方法を提供する。
【0012】
一態様において、本開示は、少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、(a)(i)少なくとも1つの真核細胞に、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を;及び(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を導入することであって;MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定することを含む方法を提供する。
【0013】
一態様において、本開示は、少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、(a)(i)少なくとも1つの真核細胞に、本明細書に提供される融合タンパク質又は融合タンパク質をコードする核酸分子を;及び(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を導入することであって;融合タンパク質及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定することを含む方法を提供する。
【0014】
一態様において、本開示は、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を有する足場領域を含むガイドRNA(gRNA)を提供する。本開示はまた、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を有する足場領域を含むgRNAを含む核タンパク質複合体を提供する。
【0015】
配列の簡単な説明
表1は、本開示により提供される核酸配列及びアミノ酸配列のリストを提供する。
表1.核酸配列及びアミノ酸配列。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】いかなる科学的理論によっても限定されるものではないが、
図1は、CREATE融合編集についての機序を示す。
【
図2】
図2は、切断活性及びCREATE融合活性についてのニッカーゼのスクリーニングのための作業手順の一例を示す。
【
図3A】
図3Aは、HEK293T細胞中のニッカーゼ融合酵素MAD2019-H848A::逆転写酵素を用いた編集の結果を示す。
【
図3B】
図3Bは、人工多能性幹細胞中のニッカーゼ融合酵素MAD2019-H848A::逆転写酵素を用いた編集の結果を示す。
【
図4】
図4は、逆転写酵素Tf1(配列番号12)に融合しているMAD2019-H848A(配列番号1)又は逆転写酵素Tf1-D364N(配列番号13)に融合しているMAD2019-H848Aを用いた緑色蛍光タンパク質(GFP)の青色蛍光タンパク質(BFP)への編集の結果を示す。
【
図5】
図5は、CFE19(配列番号20)及びCFE19バリアント(例えば、配列番号21~23など)を用いたGFPのBFPへの編集の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特に定義のない限り、使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。用語が単数形で提供される場合、本発明者らは、その用語の複数形により記載される本開示の態様も企図する。参照により組み込まれる参照文献において使用される用語及び定義に相違が生じる場合、本出願において使用される用語は、本明細書に挙げられる定義を有するものとする。使用される他の技術用語は、種々の技術分野専門辞典、例えば、「アメリカン・ヘリテージ(登録商標)科学辞典(The American Heritage(登録商標)Science Dictionary)」(アメリカン・ヘリテージ辞典(American Heritage Dictionaries)の編者、2011年、ホートン・ミフリン・ハーコート(Houghton Mifflin Harcourt)、ボストン及びニューヨーク)、「マグローヒル科学技術用語大辞典(McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms)」(第6版、2002年、マグローヒル(McGraw-Hill)、ニューヨーク)、又は「オックスフォード生物学辞典(Oxford Dictionary of Biology)」(第6版、2008年、オックスフォード大学プレス(Oxford University Press)、オックスフォード及びニューヨーク)により例示される、それらが使用される技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0028】
本明細書に記載される技術の実施は、特に示されない限り、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学及びシーケンシング技術の慣用の技術及び説明を用い得、それらは当業者の技能の範囲内である。このような慣用の技術としては、ポリマーアレイ合成並びにポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション及びライゲーションが挙げられる。好適な技術の具体的な説明は、本明細書の実施例を参照することにより得ることができる。しかしながら、無論、他の均等な慣用の手順を使用することもできる。このような慣用の技術及び説明は、標準的な実験室マニュアル、例えば、グリーン(Green)ら編、1999年、「ゲノム分析:実験室マニュアルシリーズ(Genome Analysis:A Laboratory Manual Series)」、第I~IV巻;ウェイナー(Weiner)、ガブリエル(Gabriel)、スティーブンズ(Stephens)編、2007年、「遺伝子変異:実験室マニュアル(Genetic Variation:A Laboratory Manual)」;ディーフェンバハ(Dieffenbach)、ドベクスラー(Dveksler)編、2003年、「PCRプライマー:実験室マニュアル(PCR Primer:A Laboratory Manual)」;マウント(Mount)著、2004年、「バイオインフォマティクス:配列及びゲノム分析(Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis)」;サムブルック(Sambrook)及びラッセル(Russell)著、2006年、「分子クローニングからのプロトコル要約:実験室マニュアル(Condensed Protocols from Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」;並びにサムブルック(Sambrook)及びラッセル(Russell)著、2002年、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」(全てコールド・スプリング・ハーバ・ラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)から);ストライヤー・L.(Stryer,L.)著、1995年、「生化学(Biochemistry)」、第4版、W.H.フリーマン(W.H.Freeman)、ニューヨーク;ガイト(Gait)著、「オリゴヌクレオチド合成:実践アプローチ(Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach)」、1984年、IRLプレス(IRL Press)、ロンドン;ネルソン(Nelson)及びコックス(Cox)著、2000年、「レーニンジャの新生化学:生化学と分子生物学の基本原理(Lehninger,Principles of Biochemistry)」、第3版、W.H.フリーマン出版(W.H.Freeman Pub.)、ニューヨーク;「ウイルスベクター(Viral Vectors)」(カプリフト(Kaplift)及びローウィ(Loewy)編、アカデミックプレス(Academic Press)、1995年)に見出すことができ;それらは全て、あらゆる目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれる。哺乳類/幹細胞培養及び方法については、例えば、「基礎細胞培養プロトコル(Basic Cell Culture Protocols)」、第4版(ヘルガソン(Helgason)及びミラー(Miller)編、ヒューマナプレス(Humana Press)、2005年);「動物細胞の培養(Culture of Animal Cells)」、第7版(フレッシュニー(Freshney)編、ヒューマナプレス(Humana Press)、2016年);「マイクロ流路細胞培養(Microfluidic Cell Culture)」、第2版(ボレンステイン(Borenstein)、バンドン(Vandon)、タオ(Tao)及びチェアレスト(Charest)編、エルセビアプレス(Elsevier Press)、2018年);「ヒト細胞培養(Human Cell Culture)」(ヒューズ(Hughes)編、ヒューマナプレス(Humana Press)、2011年);「3D細胞培養(3D Cell Culture)」(コレドバ(Koledova)編、ヒューマナプレス(Humana Press)、2017年);「細胞及び組織培養:バイオテクノロジーにおける実験室手順(Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology)」(ドイル(Doyle)及びグリフィス(Griffiths)編、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1998年);「基本的な幹細胞方法(Essential Stem Cell Methods)」、(ランザ(Lanza)及びクリマンスカヤ(Klimanskaya)編、アカデミックプレス(Academic Press)、2011年);「幹細胞療法:臨床供与の品質及び安全性を確保するための好機:合同ワークショップの要旨(Stem Cell Therapies:Opportunities for Ensuring the Quality and Safety of Clinical Offerings:Summary of a Joint Workshop)」(ヘルスサイエンス政策委員会(Board on Health Sciences Policy)、ナショナル・アカデミーズ・プレス(National Academies Press)、2014年);「幹細胞生物学の要点(Essentials of Stem Cell Biology)」、第3版、(ランザ(Lanza)及びアタラ(Atala)編、アカデミックプレス(Academic Press)、2013年);並びに「幹細胞ハンドブック(Handbook of Stem Cells)」、(アタラ(Atala)及びランザ(Lanza)編、アカデミックプレス(Academic Press)、2012年)参照。CRISPR専門技術は、例えば、「ゲノム編集及び工学操作 TALEN及びCRISPRから分子手術まで(Genome Editing and Engineering from TALENs and CRISPRs to Molecular Surgery)」、アパサニ(Appasani)及びチャーチ(Church)著、2018年;並びに「CRISPR:方法及びプロトコル(CRISPR:Methods and Protocols)」、リンドグレン(Lindgren)及びシャルパンティエ(Charpentier)著、2015年に見出すことができる。
【0029】
例えば、全ての特許、公開特許出願、及び非特許刊行物を含む本明細書に引用される任意の参照文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
選択肢の群が提示される場合、その選択肢の群を構成するメンバーのありとあらゆる組み合わせが具体的に想定される。例えば、項目がA、B、C、及びDからなる群から選択される場合、本発明者らは、各選択肢を個々に(例えば、A単独、B単独など)、並びに組み合わせ、例えば、A、B、及びD;A及びC;B及びCなどを具体的に想定する。
【0030】
用語「及び/又は」は、2つ以上の項目のリストにおいて使用される場合、列記される項目をそれ自体のいずれか1つで、又は他の列記される項目のいずれか1つ以上との組み合わせで意味する。例えば、表現「A及び/又はB」は、A及びBのいずれか又は両方、例えば、A単独、B単独、又はA及びBの組み合わせを意味することが意図される。表現「A、B及び/又はC」は、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、又はA、B、及びCの組み合わせを意味することが意図される。
【0031】
数字の範囲が本明細書に提供される場合、範囲は、範囲の端部及び範囲の定義される端部間の任意の数字を含むことが理解される。例えば、「1~10」には、1~10の任意の数字、並びに数字1及び数字10が含まれる。
【0032】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈が特に明示しない限り複数の参照対象が含まれる。例えば、用語「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」には、それらの混合物を含む複数の化合物が含まれ得る。
【0033】
本明細書に提供される核酸ガイド型ニッカーゼは、核酸ニッカーゼ融合指向ゲノム編集を実施して所望の編集を生存真核細胞に導入することを可能とするために用いられる。本明細書に提供される核酸ガイド型ニッカーゼは、核酸ニッカーゼ融合指向ゲノム編集を実施して所望の編集をインビトロ環境中の標的核酸分子に導入することを可能とするためにも用いられる。
【0034】
本明細書において使用される場合、「ニッカーゼ」は、二本鎖DNA分子の一本鎖を開裂させるヌクレアーゼを指す(例えば、ニッカーゼはDNA分子を「ニッキングする」)。ニッカーゼは、二本鎖DNA分子の両方の鎖を開裂させない。ニッカーゼ又は核酸ガイド型ヌクレアーゼの例は、米国特許第9,982,279号明細書;同第10,337,028号明細書;同第10,435,714号明細書;同第10,011,849号明細書;同第10,626,416号明細書;同第10,604,746号明細書;同第10,665,114号明細書;同第10,640,754号明細書;同第10,689,669号明細書;同第10,876,102号明細書;同第10,883,077号明細書;同第10,704,033号明細書;同第10,745,678号明細書;同第10,724,021号明細書;同第10,767,169号明細書;同第10,870,761号明細書;同第10,883,077号明細書;同第11,053,485号明細書;同第11,085,030号明細書;同第11,200,089号明細書;同第11,268,078号明細書;同第11,293,115号明細書;同第11,306,298号明細書;及び同第11,332,742号明細書;並びに米国特許出願公開第2021/0214671号明細書に見出すことができる。
【0035】
ニッカーゼは、二本鎖DNA分子の両方の鎖を開裂させるヌクレアーゼに由来し又は工学操作することができる。一部の例において、ニッカーゼは、CRISPR-Cas酵素に由来する。工学操作ニッカーゼの非限定的な例は、MAD2019並びにMAD2019-H848A(配列番号1)及び表2に提供されるバリアントを含むバリアントである。一態様において、ニッカーゼは、核酸分子(例えば、ガイド)により標的核酸分子内の特異的部位にガイドされ得る。核酸分子によりガイドされるニッカーゼは、「核酸ガイド型ニッカーゼ」と称される。
【0036】
本明細書に提供される核酸ガイド型ニッカーゼは、逆転写酵素と組み合わせて標的核酸分子への配列特異的な結合及びニッキングの両方を行い、修復テンプレート(例えば、ホモロジーアーム)を利用してヌクレオチドをニックの部位の標的核酸配列中に取り込み得る融合酵素(例えば、融合タンパク質)を生成することができる。このような酵素は、本明細書において「核酸ガイド型ニッカーゼ融合酵素」、「CREATE融合酵素」、又は「CF酵素」として称することができる。このような酵素を使用して標的核酸分子を編集するプロセスは、「CREATE融合編集」と称される。
【0037】
図1は、編集、フラップ平衡、フラップ除去及び修復、並びにDNA複製及び細胞分裂のステップを含む、CREATE融合編集のプロセスの簡易図を提供する。
核酸ガイド型ニッカーゼに加え、種々のガイドRNA足場配列及びガイドRNA(gRNA)の増強物が、編集効率を改善するために本明細書に提供されるニッカーゼ及び融合タンパク質と使用されることが同定されている。例えば、2021年11月30日に出願された米国特許第11,268,078号明細書及び米国特許出願第17/538,066号明細書参照。
【0038】
いかなる科学的理論によっても限定されるものではないが、細胞中でガイド核酸と複合体化された核酸ガイド型ニッカーゼ融合酵素は、標的核酸分子内の細胞のゲノムをニッキングし得る。ガイド核酸は、核酸ガイド型ニッカーゼ融合酵素を標的核酸分子の一方の鎖の認識及び切断について支援する。ガイド核酸分子のヌクレオチド配列を操作することにより、適切なプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)が近傍に位置する限り開裂のための任意のDNA配列を標的化するように核酸ガイド型ニッカーゼ融合酵素をプログラムすることができる。当技術分野において公知のとおり、PAMについての正確な配列及び長さの要件は、異なる核酸ガイド型ヌクレアーゼ及び核酸ガイド型ニッカーゼ間で変動する。しかしながら、PAMは、典型的には、2ヌクレオチド~10ヌクレオチド長(最も典型的には、2ヌクレオチド~6ヌクレオチド)を含み、それらは通常、所望のニック部位に隣接しており、又はその10ヌクレオチド以内に存在する。PAM部位の非限定的な例は、配列5’-NGG-3’である。PAMは、標的核酸分子内の所望のニック部位の5’又は3’に位置させることができる。
【0039】
一態様において、編集は、PAMに対する編集を含む。一態様において、PAMに対する編集は、標的核酸分子からのPAMの除去をもたらす。一態様において、PAMに対する編集は、標的核酸分子中のPAMの不活性化をもたらす。
【0040】
CREATE融合編集を使用してニッカーゼMAD2019-H848Aを改変して「MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド」を同定した。MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して少なくとも1つのアミノ酸変化を含むが、それらはまた、配列番号1のナンバリングに従う848位のアラニンを維持する。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子の一方の鎖を開裂させる(例えば、ニッキングする)。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子の両方の鎖を開裂させない。限定的であることは意図されないが、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドの具体例は表2に提供される。
【0041】
一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも70%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも75%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも85%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも92.5%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも95%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも96%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも97%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも98%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも99%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と少なくとも99.5%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1と100%類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを提供する。
【0042】
用語「同一性パーセント」又は「同一パーセント」は、2つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸配列に関して本明細書において使用される場合、(i)比較のウィンドウ(「アライン可能な」1つ又は複数の領域)にわたり2つの最適にアラインされた配列(ヌクレオチド又はアミノ酸)を比較すること、(ii)同一の核酸塩基(ヌクレオチド配列について)又はアミノ酸残基(タンパク質及びポリペプチドについて)が両方の配列中に存在する位置の数を決定してマッチ位置の数を得ること、(iii)マッチ位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数により除すこと、及び次いで(iv)この商に100%を乗じて同一性パーセントを得ることにより算出される。「同一性パーセント」が、特定の比較ウィンドウを規定せずに参照配列に関して算出されている場合、同一性パーセントは、アラインメントの領域にわたるマッチ位置の数を参照配列の全長により除すことにより決定される。したがって、本出願の目的のために、2つの配列(クエリ及びサブジェクト)が最適にアラインされる場合(それらのアラインメントにおけるギャップを許容)、クエリ配列についての「同一性パーセント」は、2つの配列間の同一位置の数をその長さ(又は比較ウィンドウ)にわたるクエリ配列中の位置の総数により除し、次いでそれに100%を乗じたものに等しい。
【0043】
配列同一性の割合がアミノ酸に関して使用される場合、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換により異なることが多く、アミノ酸残基は、類似の化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されており、したがって分子の機能的特性を変化させないことが認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的特質を補正するために上方に調整することができる。このような保存的置換により異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。
【0044】
配列の同一性パーセントを算出するための配列の最適なアラインメントのため、種々のペアワイズ又は多重配列アラインメントアルゴリズム及びプログラム、例えば、クラスタルダブル(ClustalW)又はベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール(Basic Local Alignment Search Tool)(登録商標)(ブラスト(BLAST)(商標))などが当技術分野において公知であり、それらは2つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸配列間の配列同一性又は類似性を比較するために使用することができる。他のアラインメント及び比較方法が当技術分野において公知であるが、2つの配列間のアラインメント及び同一性パーセント(上記の同一性パーセントの範囲を含む)は、クラスタルダブル(ClustalW)アルゴリズムにより決定されるものであり得、例えば、全内容及び開示が参照により本明細書に組み込まれるチェンナ(Chenna)ら著、「プログラムのクラスタルシリーズを用いる多重配列アラインメント(Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs)」、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、第31巻、p.3497~3500、2003年;トンプソン(Thompson)ら著、「クラスタルダブル:配列重み付け、位置特異的ギャップペナルティ及び重みマトリックス選択を介するプログレッシブな多重配列アラインメントの感度の改善(Clustal W:Improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position-specific gap penalties and weight matrix choice)」、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、第22巻、p.4673~4680、1994年;ラーキン・MA(Larkin MA)ら著、「クラスタルダブル及びクラスタルエックスバージョン2.0(Clustal W and Clustal X version 2.0)」、バイオインフォマティクス(Bioinformatics)、第23巻、p.2947~48、2007年;及びアルチュール(Altschul)ら著、「ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール(Basic local alignment search tool.)」、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、第215巻、p.403~410、1990年参照。
【0045】
用語「相補性パーセント」又は「相補的パーセント」は、2つのヌクレオチド配列に関して本明細書において使用される場合、同一性パーセントの概念に類似するが、クエリ及びサブジェクト配列が二次フォールディング構造、例えば、ループもステムもヘアピンもなしで線状に配置され、最適に塩基対形成される場合にサブジェクト配列のヌクレオチドに最適に塩基対形成又はハイブリダイズするクエリ配列のヌクレオチドの割合を指す。このような相補性パーセントは、2つのDNA鎖間、2つのRNA鎖間、又はDNA鎖とRNA鎖との間のものであり得る。「相補性パーセント」は、(i)比較のウィンドウにわたり2つのヌクレオチド配列を線状で、完全に伸ばした配置(例えば、フォールディング構造も二次構造もなし)で、最適に塩基対形成又はハイブリダイズさせること、(ii)比較のウィンドウにわたり2つの配列間で塩基対形成する位置の数を決定して相補的位置の数を得ること、(iii)相補的位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数により除すこと、及び(iv)この商に100%を乗じて2つの配列の相補性パーセントを得ることにより算出することができる。2つの配列の最適な塩基対形成は、水素結合を介するヌクレオチド塩基の公知の対形成、例えば、G-C、A-T、及びA-Uに基づき決定することができる。「相補性パーセント」が、特定の比較ウィンドウを規定せずに参照配列に関して算出されている場合、同一性パーセントは、2つの線状配列間の相補的位置の数を参照配列の全長により除すことにより決定される。したがって、本出願の目的のため、2つの配列(クエリ及びサブジェクト)が最適に塩基対形成される場合(ミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチドを許容)、クエリ配列についての「相補性パーセント」は、2つの配列間の塩基対形成位置の数をその長さにわたるクエリ配列中の位置の総数により除し、次いでそれに100%を乗じたものに等しい。
【0046】
用語「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」の使用は、デオキシリボ核酸(DNA)を含むポリヌクレオチドに本開示を限定することを意図しない。例えば、リボ核酸(RNA)分子も想定される。当業者は、ポリヌクレオチド及び核酸分子がリボヌクレオチド並びにリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含み得ることを認識する。このようなデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドとしては、天然に存在する分子及び合成アナログの両方が挙げられる。本開示のポリヌクレオチドはまた、限定されるものではないが、一本鎖形態、二本鎖形態、ヘアピン、ステムループ構造などを含む配列の全ての形態を包含する。一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、DNA分子である。別の態様において、本明細書に提供される核酸分子は、RNA分子である。一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、一本鎖である。別の態様において、本明細書に提供される核酸分子は、二本鎖である。一態様において、核酸分子は、ポリペプチドをコードする。
【0047】
一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の逆転写酵素をコードする核酸分子を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のガイドをコードする核酸分子を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のホモロジーアームをコードする核酸分子を提供する。
【0048】
一態様において、本明細書に提供される任意の核酸分子、融合タンパク質、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、インビトロでの使用のために提供される。一態様において、本明細書に提供される任意の核酸分子、融合タンパク質、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、インビボでの使用のために提供される。一態様において、本明細書に提供される任意の核酸分子、融合タンパク質、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、エクスビボでの使用のために提供される。
【0049】
一態様において、核酸分子は、プロモータを含む。一態様において、プロモータは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、プロモータは、逆転写酵素をコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、プロモータは、融合タンパク質をコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、プロモータは、ガイドをコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、プロモータは、ホモロジーアームをコードする核酸分子に作動可能に結合している。目的の細胞中の発現に好適な任意のプロモータを使用することができる。
【0050】
当技術分野において一般に理解されるとおり、用語「プロモータ」は、RNAポリメラーゼ結合部位、転写開始部位、及び/又はTATAボックスを含有し、付随する転写可能なポリヌクレオチド配列及び/又は遺伝子(若しくはトランス遺伝子)の転写及び発現を支援又は促進するDNA配列を指す。プロモータは、合成により産生し、変化させ、又は公知の若しくは天然に存在するプロモータ配列若しくは他のプロモータ配列に由来することができる。プロモータには、2つ以上の異種配列の組み合わせを含むキメラプロモータも含まれ得る。したがって、本出願のプロモータには、組成が公知の又は本明細書に提供される他のプロモータ配列と類似するが同一でないプロモータ配列のバリアントが含まれ得る。
【0051】
本明細書において使用される場合、「作動可能に結合している」は、2つ以上のエレメント間の機能的結合を指す。例えば、目的のポリヌクレオチドと調節配列(例えば、プロモータ)との間の作動可能な結合は、目的のポリヌクレオチドの発現を可能とする機能的結合である。作動可能に結合しているエレメントは、連続又は非連続であり得る。一態様において、プロモータは、異種核酸分子に作動可能に結合している。
【0052】
一態様において、プロモータは、誘導性プロモータである。本明細書において使用される場合、「誘導性プロモータ」は、特異的刺激に応答して細胞中で活性になる調節されるプロモータ(例えば、それは、作動可能に結合している配列の発現をドライブする)を指す。
【0053】
一態様において、プロモータは、構成的プロモータである。本明細書において使用される場合、「構成的プロモータ」は、インビボで常に活性であるプロモータを指す。典型的には、構成的プロモータの活性は、好適な濃度の好適なRNAポリメラーゼの存在によってのみ制限される。
【0054】
一態様において、核酸分子は、転写ターミネータを含む。一態様において、転写ターミネータは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、転写ターミネータは、逆転写酵素をコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、転写ターミネータは、融合タンパク質をコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、転写ターミネータは、ガイドをコードする核酸分子に作動可能に結合している。一態様において、転写ターミネータは、ホモロジーアームをコードする核酸分子に作動可能に結合している。目的の細胞中の核酸分子の転写終結に好適な任意の転写ターミネータを使用することができる。
【0055】
本明細書において使用される場合、用語「ポリペプチド」は、少なくとも2つの共有結合しているアミノ酸の鎖を指す。ポリペプチドは、本明細書に提供されるポリヌクレオチドによりコードされ得る。本明細書に提供されるタンパク質は、本明細書に提供される核酸分子によりコードされ得る。タンパク質は、本明細書に提供されるポリペプチドを含み得る。本明細書において使用される場合、「タンパク質」は、構造又は酵素的活性を細胞に提供し得るアミノ酸残基の鎖を指す。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、タンパク質である。
【0056】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して67位のトレオニンのグリシンへのアミノ酸置換(T67G)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して409位のセリンのアルギニンへのアミノ酸置換(S409R)を含む。
【0057】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して500位のロイシンのリジンへのアミノ酸置換(L500K)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して500位のロイシンのアルギニンへのアミノ酸置換(L500R)を含む。
【0058】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して578位のグリシンのフェニルアラニンへのアミノ酸置換(G578F)を含む。
【0059】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して624位のロイシンのグルタミンへのアミノ酸置換(L624Q)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して669位のアスパラギンのセリンへのアミノ酸置換(N669S)を含む。
【0060】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して700位のアスパラギン酸のアラニンへのアミノ酸置換(D700A)を含む。
【0061】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して701位のアスパラギン酸のプロリンへのアミノ酸置換(D701P)を含む。
【0062】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して701位のアスパラギン酸のアスパラギンへのアミノ酸置換(D701N)を含む。
【0063】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して701位のアスパラギン酸のトレオニンへのアミノ酸置換(D701T)を含む。
【0064】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して720位のリジンのセリンへのアミノ酸置換(K720S)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1110位のロイシンのアルギニンへのアミノ酸置換(L1110R)を含む。
【0065】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1142位のイソロイシンのアルギニンへのアミノ酸置換(I1142R)を含む。
【0066】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1142位のイソロイシンのリジンへのアミノ酸置換(I1142K)を含む。
【0067】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1143位のバリンのトレオニンへのアミノ酸置換(V1143T)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1221位のアラニンのヒスチジンへのアミノ酸置換(A1221H)を含む。
【0068】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1285位のリジンのアルギニンへのアミノ酸置換(K1285R)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1321位のアラニンのアルギニンへのアミノ酸置換(A1321R)を含む。
【0069】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1321位のアラニンのリジンへのアミノ酸置換(A1321K)を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1336位のセリンのグルタミンへのアミノ酸置換(S1336Q)を含む。
【0070】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して1339位のアラニンのアルギニンへのアミノ酸置換(A1339R)を含む。
【0071】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも4つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも5つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも6つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも7つのアミノ酸置換を含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択される少なくとも8つのアミノ酸置換を含む。
【0072】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、I1142Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む。
【0073】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む。
【0074】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換及びV1143Tアミノ酸置換を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してS409Rアミノ酸置換、L500Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む。
【0075】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換及びA1221Hアミノ酸置換を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む。
【0076】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、I1142Rアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む。
【0077】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、D1139Nアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む。
【0078】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、A1221Hアミノ酸置換、及びK1285Rアミノ酸置換を含む。
【0079】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較して改善されたニッキング効率を含む。
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の2.5%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の5%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の7.5%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の10%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の12.5%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の15%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の20%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の25%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の30%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の35%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の40%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の45%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の50%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の55%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の60%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の65%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の70%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の75%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の80%以内の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の90%以内の効率でニッキングする。
【0080】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~90%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~75%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~60%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~50%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~40%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~30%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~20%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~10%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の10%~70%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の10%~60%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の10%~50%の効率でニッキングする。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、二本鎖DNA分子を配列番号1のニッキング効率の1%~25%の効率でニッキングする。
【0081】
ニッキング効率は、当技術分野において任意の好適な方法を使用して測定することができる。例えば、ウェイ(Wei)ら著、サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)、第6巻、p.32560、2016年参照。
【0082】
一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも1つの核局在化シグナル(NLS)をさらに含む。一態様において、融合タンパク質は、少なくとも1つのNLSを含む。核局在化シグナルは、当技術分野において、核輸送を介する細胞の核中へのインポートのためにタンパク質を「タグ付けする」短鎖(例えば、限定されるものではないが、典型的には、25アミノ酸未満)アミノ酸配列として公知である。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも2つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも3つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも4つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも5つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも6つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも7つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも8つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも9つのNLSを含む。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、少なくとも10個のNLSを含む。
【0083】
一態様において、NLSは、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドのN末端前に位置する。一態様において、NLSは、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドのC末端後に位置する。一態様において、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、そのN末端前に第1のNLS及びそのC末端後に第2のNLSを含む。
【0084】
一態様において、NLSは、融合タンパク質のN末端前に位置する。一態様において、NLSは、融合タンパク質のC末端後に位置する。一態様において、融合タンパク質は、そのN末端前に第1のNLS及びそのC末端後に第2のNLSを含む。
【0085】
一態様において、NLSは、50個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、40個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、30個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、25個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、20個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、15個以下のアミノ酸を含む。一態様において、NLSは、10個以下のアミノ酸を含む。
【0086】
任意の好適なNLSは、本明細書に提供されるMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドと使用することができる。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも70%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、は、配列番号15又は19と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも85%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも92.5%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも95%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも97.5%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15又は19と少なくとも99%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、NLSは、配列番号15及び19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0087】
一態様において、本開示は、NLSをコードする核酸配列を提供する。
一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも92.5%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも97.5%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも99.5%同一又は類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。一態様において、本開示は、配列番号1、12、13、及び15~23からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも100%類似のアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供する。
【0088】
一態様において、本開示は、本明細書に提供されるMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドのいずれか及び核酸分子を含む核タンパク質複合体を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される融合タンパク質のいずれか及び核酸分子を含む核タンパク質複合体を提供する。本明細書において使用される場合、「核タンパク質複合体」は、核酸分子とコンジュゲートしているタンパク質を指す。核タンパク質複合体がRNA分子を含む場合、それはリボ核タンパク質複合体と称することができる。核タンパク質複合体がDNA分子を含む場合、それはデオキシリボ核タンパク質複合体と称することができる。一態様において、本明細書に提供される核タンパク質複合体は、リボ核タンパク質複合体である。一態様において、本明細書に提供される核タンパク質複合体は、デオキシリボ核タンパク質複合体である。一態様において、核タンパク質複合体の核酸分子構成成分は、RNA分子である。一態様において、核タンパク質複合体の核酸分子構成成分は、DNA分子である。
【0089】
一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、ガイドをコードする。一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、ガイドを含む。本明細書において使用される場合、「ガイド」は、それが複合体化しているタンパク質を標的核酸分子にガイドし得る核酸分子を指す。典型的には、ガイドは、標的核酸分子と相補的であるが、完全な(例えば、100%の)相補性は要求されず、ガイドは標的核酸分子とハイブリダイズし得る。一態様において、ガイドは、DNA分子である。一態様において、ガイドは、RNA分子である。一態様において、ガイドは、DNA分子及びRNA分子を含む。一態様において、ガイドは、一本鎖である。一態様において、ガイドは、二本鎖である。一態様において、ガイドは、一本鎖である1つ以上のセクション及び二本鎖である1つ以上の領域を含む。
【0090】
ガイドがRNA分子である場合、それは「ガイドRNA」又は「gRNA」と称することができる。一態様において、核タンパク質複合体又はリボ核タンパク質複合体は、gRNAを含む。一態様において、gRNAは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを標的核酸分子にガイドし得る。一態様において、gRNAは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを標的核酸分子にガイドする。一態様において、gRNAは、融合タンパク質を標的核酸分子にガイドし得る。一態様において、gRNAは、融合タンパク質を標的核酸分子にガイドする。
【0091】
一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びガイドを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びガイドを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、ホモロジーアーム、及びgRNAを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質、ホモロジーアーム、及びgRNAを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、ホモロジーアーム、及びガイドを含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質、ホモロジーアーム、及びガイドを含む。
【0092】
一態様において、ガイドは、少なくとも5ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも10ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも15ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも20ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも25ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも30ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも35ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも40ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも45ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも50ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも60ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも70ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも80ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも90ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも100ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、少なくとも125ヌクレオチドを含む。
【0093】
一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~125ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~75ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~40ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~30ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、5ヌクレオチド~25ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、15ヌクレオチド~30ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、15ヌクレオチド~25ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、20ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、20ヌクレオチド~125ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、20ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、20ヌクレオチド~75ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、20ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、40ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、50ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、ガイドは、50ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。
【0094】
一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、ミスマッチは存在しない。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、1つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、2つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、3つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、4つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、5つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、6つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、7つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、8つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、9つ以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、10個以下のミスマッチが存在する。一態様において、ガイド又はgRNAと標的核酸分子との間には、最適にアラインされた場合、15個以下のミスマッチが存在する。
【0095】
一態様において、ガイドは、細胞内でMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成する。一態様において、gRNAは、細胞内でMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成する。一態様において、ガイドは、細胞内で融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成する。一態様において、gRNAは、細胞内で融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成する。
【0096】
一態様において、ガイドは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成する。一態様において、gRNAは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成する。一態様において、ガイドは、融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成する。一態様において、gRNAは、融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成する。
【0097】
一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも90%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも92.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも95%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも97.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、融合タンパク質及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と100%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。
【0098】
一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも90%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも92.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも95%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも97.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と100%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。
【0099】
一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも90%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも92.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも95%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも97.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、ニッカーゼ及びgRNAを含み、gRNAは、配列番号24と100%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。
【0100】
一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも90%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも92.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも95%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と少なくとも97.5%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。一態様において、核タンパク質複合体は、gRNAを含み、gRNAは、配列番号24と100%同一の核酸配列を含む足場領域を含む。
【0101】
一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、少なくとも1つのステムループ構造を含む。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、標的核酸分子の両方の鎖に結合し得る。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、逆転写酵素テンプレートを含む。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、標的核酸分子中に組み込まれることが所望される編集を含む。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、プライマー結合部位領域を含む。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、スペーサ領域を含む。一態様において、本明細書に提供されるgRNAは、足場領域を含む。
【0102】
本明細書において使用される場合、「スペーサ領域」は、本明細書に提供されるMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドにより切断されない標的核酸分子の鎖にハイブリダイズするgRNAのサブセクションを指す。本明細書において使用される場合、「足場領域」は、スペーサ領域と逆転写酵素テンプレートとの間に位置するgRNA領域を指す。一態様において、足場領域は、少なくとも1つのステムループ構造を含む。一態様において、足場領域は、少なくとも2つのステムループ構造を含む。いかなる科学的理論によっても限定されるものではないが、足場領域は、タンパク質(例えば、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド)と相互作用又は複合体化し得る。本明細書において使用される場合、「プライマー結合部位領域」は、本明細書に提供されるMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドにより切断される標的核酸分子の鎖にハイブリダイズするgRNAのサブセクションを指す。典型的には、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、プライマー結合部位領域の下流の標的核酸分子をニッキングする。プライマー結合部位領域は逆転写酵素テンプレートのすぐ上流に存在し、それ自体は足場領域の上流に存在する。一態様において、逆転写酵素は、逆転写酵素テンプレートを逆転写する。一態様において、逆転写酵素テンプレートは、標的核酸分子中に組み込まれることが所望される少なくとも1つの編集を含む。
【0103】
一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも82.5%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも85%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも87.5%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも90%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも91%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも92%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも93%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも94%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも95%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも96%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも97%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも98%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と少なくとも99%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。一態様において、gRNAは、配列番号24と100%同一の核酸配列を有する足場領域を含む。
【0104】
一態様において、gRNAは、少なくとも20ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも30ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも40ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも50ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも60ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも70ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも80ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも90ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも100ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも110ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも120ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも130ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも140ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも150ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも175ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも200ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、少なくとも250ヌクレオチドを含む。
【0105】
一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~500ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~400ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~300ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~200ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、20ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、50ヌクレオチド~250ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、50ヌクレオチド~200ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、50ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、75ヌクレオチド~250ヌクレオチドを含む。一態様において、gRNAは、100ヌクレオチド~250ヌクレオチドを含む。
【0106】
一態様において、gRNAは、プライム編集gRNA(pegRNA)である。pegRNAは、タンパク質を標的核酸分子にガイドするためのその5’末端上の配列と、プライマー結合部位領域と、所望の編集を含むその3’末端上の逆転写酵素テンプレート配列とを含む。
【0107】
一態様において、核酸分子は、ホモロジーアームを含む。一態様において、核酸分子は、ホモロジーアームをコードする。本明細書において使用される場合、「ホモロジーアーム」は、標的核酸分子中に組み込まれることが所望される編集を含むが、他の点では標的核酸分子配列と同一又は相補的である核酸分子を指す。一態様において、ホモロジーアームは、逆転写酵素により標的核酸分子中に取り込まれる。一態様において、ホモロジーアームは、逆転写酵素を含む融合タンパク質により標的核酸分子中に取り込まれる。一態様において、2つのホモロジーアームが所望の編集を標的核酸分子中に組み込むために使用される。一態様において、1つのホモロジーアームが所望の編集を標的核酸分子中に組み込むために使用される。
【0108】
一態様において、ホモロジーアームは、DNAを含む。一態様において、ホモロジーアームは、RNAを含む。一態様において、ホモロジーアームは、一本鎖である。一態様において、ホモロジーアームは、二本鎖である。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも10ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも20ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも30ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも40ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも50ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも60ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも70ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも75ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも80ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも90ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも100ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも250ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも750ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも1000ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、少なくとも1500ヌクレオチドを含む。
【0109】
一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~2500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~1000ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~400ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~300ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~250ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~125ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~75ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、10ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~400ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~300ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~200ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~150ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、50ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、100ヌクレオチド~1000ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、100ヌクレオチド~500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、250ヌクレオチド~1000ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、250ヌクレオチド~500ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、500ヌクレオチド~2000ヌクレオチドを含む。一態様において、ホモロジーアームは、500ヌクレオチド~1000ヌクレオチドを含む。
【0110】
所望の編集に言及する場合、「対照配列」(本明細書において「標的核酸分子の対照バージョン」とも称される)は、比較点として使用される。対照配列と比較してホモロジーアーム中に存在する任意の相違は、そのホモロジーアームについての「所望の編集」又は「編集」とみなすべきである。対照配列は、未編集配列を指す。対照配列は、天然に存在し、又は天然に存在しないトランスジェニック若しくは合成産生(例えば、人工)配列であり得る。例えば、酵母細胞のゲノム中に挿入されたGFPをコードする配列は、編集すべきトランス遺伝子の対照配列を提供し得る。標的核酸分子の対照バージョンは、未編集の標的核酸分子を指す。標的核酸分子の対照バージョンは、天然に存在し、又は天然に存在しないトランスジェニック若しくは合成産生(例えば、人工)配列であり得る。
【0111】
一態様において、所望の編集は、対照配列と比較して少なくとも1ヌクレオチドの欠失を含む。一態様において、所望の編集は、対照配列と比較して少なくとも1ヌクレオチドの挿入を含む。一態様において、所望の編集は、対照配列と比較して少なくとも1ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、所望の編集は、対照配列と比較して少なくとも2ヌクレオチドの挿入を含む。
【0112】
一態様において、編集は、欠失を含む。一態様において、少なくとも1ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも2ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも3ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも4ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも5ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも10ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも15ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも20ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも25ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも30ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも40ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも50ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも75ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも100ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも250ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。一態様において、少なくとも500ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子から欠失される。
【0113】
一態様において、編集は、挿入を含む。一態様において、少なくとも1ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも2ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも3ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも4ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも5ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも10ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも15ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも20ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも25ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも30ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも40ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも50ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも75ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも100ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも250ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。一態様において、少なくとも500ヌクレオチドが標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中に挿入される。
【0114】
一態様において、編集は、置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の単一ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも2ヌクレオチドの置換を含む。2つ以上のヌクレオチドが核酸分子中で置換される場合、置換は互いに隣接する必要がない。2つ以上のヌクレオチド置換は、非編集ヌクレオチドにより分離することができる。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも3ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも4ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも5ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも6ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも7ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも8ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも9ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも10ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも15ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも20ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも30ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも40ヌクレオチドの置換を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも50ヌクレオチドの置換を含む。
【0115】
一態様において、編集は、逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも2ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも3ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも4ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも5ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも10ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも20ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも30ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも40ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも50ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも75ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも100ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも150ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも200ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも500ヌクレオチドの逆位を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子中の少なくとも1000ヌクレオチドの逆位を含む。
【0116】
一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失及び少なくとも1つの挿入を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失及び少なくとも1つの置換を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失及び少なくとも1つの逆位を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの挿入及び少なくとも1つの置換を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの挿入及び少なくとも1つの逆位を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの置換及び少なくとも1つの逆位を含む。
【0117】
一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失、少なくとも1つの挿入、及び少なくとも1つの置換を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失、少なくとも1つの挿入、及び少なくとも1つの逆位を含む。一態様において、編集は、少なくとも1つの挿入、少なくとも1つの置換、及び少なくとも1つの逆位を含む。
【0118】
一態様において、編集は、少なくとも1つの欠失、少なくとも1つの挿入、少なくとも1つの置換、及び少なくとも1つの逆位を含む。
一態様において、編集は、タンパク質をコードする核酸配列中への未成熟終止コドンの導入を含む。一態様において、編集は、標的核酸分子中の機能喪失突然変異をもたらす。
【0119】
一態様において、編集は、ナンセンス編集、ミスセンス編集、フレームシフト編集、スプライス部位編集、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の突然変異タイプを含む。本明細書において使用される場合、「ナンセンス編集」は、核酸配列によりコードされるアミノ酸配列に未成熟終止コドンを導入する核酸配列に対する編集を指す。本明細書において使用される場合、「ミスセンス編集」は、核酸配列によりコードされるアミノ酸配列内の置換を引き起こす核酸配列に対する編集を指す。本明細書において使用される場合、「フレームシフト編集」は、核酸配列をアミノ酸配列に翻訳するためのフレームをシフトする核酸配列に対する挿入又は欠失を指す。「スプライス部位編集」は、タンパク質翻訳のための、又は代替的にタンパク質翻訳からのエクソン除外のためのイントロンの保持を引き起こす核酸配列中の編集を指す。スプライス部位編集は、ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト編集を引き起こし得る。
【0120】
遺伝子のコード領域中の編集(例えば、エクソン編集)は、突然変異メッセンジャーRNA(mRNA)がタンパク質又はポリペプチドに翻訳される場合、トランケートタンパク質又はポリペプチドをもたらし得る。一態様において、本開示は、タンパク質又はポリペプチドのトランケーションをもたらす編集を提供する。本明細書において使用される場合、「トランケート」タンパク質又はポリペプチドは、内因性対照タンパク質又はポリペプチドと比較して少なくとも1つ少ないアミノ酸を含む。例えば、内因性プロテインAが100アミノ酸を含む場合、プロテインAのトランケートバージョンは、1~99アミノ酸を含み得る。
【0121】
いかなる科学的理論によっても限定されるものではないが、タンパク質又はポリペプチドトランケーションを引き起こす1つの手法は、内因性遺伝子のmRNA転写産物中の未成熟終止コドンの導入によるものである。一態様において、本開示は、内因性遺伝子のmRNA転写産物中の未成熟終止コドンをもたらす編集を提供する。本明細書において使用される場合、「終止コドン」は、タンパク質翻訳の終結をシグナリングするmRNA転写産物内のヌクレオチドトリプレットを指す。「未成熟終止コドン」は、内因性mRNA転写産物中の通常の終止コドン位置よりも前に(例えば、5’側上で)位置する終止コドンを指す。限定されるものではないが、いくつかの終止コドンが当技術分野において公知であり、それとしては「UAG」、「UAA」、「UGA」、「TAG」、「TAA」、及び「TGA」が挙げられる。
【0122】
本明細書において使用される場合、「機能喪失編集」は、編集を含む遺伝子によりコードされるタンパク質についての完全な機能損失を付与する編集、又は代替的に、ゲノム遺伝子座によりコードされる低分子RNAについての完全な機能損失を付与する編集を指す。機能喪失編集は、mRNA転写産物産生の欠落、低分子RNA転写産物産生の欠落、タンパク質機能の欠落、又はそれらの組み合わせを引き起こし得る。
【0123】
タンパク質又は核タンパク質複合体が標的核酸分子を「編集する」場合、タンパク質又は核タンパク質複合体は、標的核酸分子配列の対照バージョンと比較して標的核酸分子配列中の少なくとも1つの欠失、挿入、置換、又は逆位を引き起こす。一態様において、核タンパク質複合体は、細胞内の標的核酸分子を編集する。
【0124】
一態様において、単一ヌクレオチドの置換は、トランジションを含む。トランジション置換は、あるプリンの別のものに代わる置換(例えば、アデニンのグアニンに代わる置換若しくはその逆)又はあるピリミジンの別のものに代わる置換(例えば、シトシンのチミンに代わる置換若しくはその逆)である。
【0125】
一態様において、単一ヌクレオチドの置換は、トランスバージョンを含む。トランスバージョン置換は、あるプリンのピリミジンに代わる置換又はその逆(例えば、アデニンのシトシンに代わる置換又はその逆;アデニンのチミンに代わる置換又はその逆;グアニンのシトシンに代わる置換若しくはその逆;グアニンのチミンに代わる置換又はその逆)である。
【0126】
一態様において、編集は、標的核酸分子のエクソン内に位置する。一態様において、編集は、標的核酸分子のイントロン内に位置する。一態様において、編集は、標的核酸分子の5’-非翻訳領域(UTR)内に位置する。一態様において、編集は、標的核酸分子の3’-UTR内に位置する。一態様において、編集は、標的核酸分子の非コード領域内に位置する。一態様において、編集は、標的核酸分子のコード領域に位置する。標的核酸分子のコード領域は、タンパク質又は非コードRNAをコードし得る。一態様において、編集は、標的核酸分子中の遺伝子内に位置する。一態様において、編集は、プロモータ内に位置する。一態様において、編集は、転写ターミネータ内に位置する。一態様において、編集は、ポリアデニル化部位内に位置する。
【0127】
本明細書において使用される場合、「標的核酸分子」は、編集が所望される核酸配列を含む任意の核酸分子を指す。一態様において、標的核酸分子は、細胞のゲノム内に位置する。一態様において、標的核酸分子は、核ゲノム内に位置する。一態様において、標的核酸分子は、ミトコンドリアゲノム内に位置する。一態様において、標的核酸分子は、クロロプラストゲノム内に位置する。一態様において、標的核酸分子は、プラスミド内に位置する。一態様において、標的核酸分子は、二本鎖である。一態様において、標的核酸分子は、DNA分子である。
【0128】
一態様において、標的核酸分子は、遺伝子を含む。一態様において、標的核酸分子は、プロモータを含む。一態様において、標的核酸分子は、タンパク質コード配列を含む。一態様において、標的核酸分子は、非コードRNA分子をコードする配列を含む。非コードRNAは、タンパク質に翻訳されないRNA分子である。非コードRNA分子の非限定的な例としては、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、細胞外RNA(exRNA)、gRNAなどが挙げられる。
【0129】
一態様において、標的核酸分子は、少なくとも1つのエクソンを含む。一態様において、標的核酸分子は、少なくとも1つのイントロンを含む。一態様において、標的核酸分子は、非翻訳領域(例えば、5’-UTR、3’-UTR)を含む。
【0130】
一態様において、標的核酸分子は、レポータ遺伝子をコードする。本明細書において使用される場合、「レポータ遺伝子」は、作動可能に結合しているプロモータの転写活性をアッセイするために使用することができる任意の遺伝子を指す。レポータ遺伝子活性は、限定されるものではないが、MRI、PET、生物発光又は蛍光の可視化、変色、及び細胞がある培地上で成長し得るか否かにより検出することができる。限定されるものではないが、レポータ遺伝子の編集は、融合タンパク質又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドの編集効率及び/又は有効性を決定するために使用することができる。例えば、実施例1参照。
【0131】
一態様において、レポータ遺伝子は、蛍光分子をコードする。本明細書において使用される場合、「蛍光分子」は、励起時に再発光し得る分子を指す。蛍光分子は、当技術分野においてフルオロフォアとも称される。一態様において、蛍光分子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)である。一態様において、蛍光分子は、赤色蛍光タンパク質(RFP)である。一態様において、蛍光分子は、黄色蛍光タンパク質(YFP)である。一態様において、蛍光分子は、シアン蛍光タンパク質(CFP)である。一態様において、蛍光分子は、mチェリー(mCherry)、mオレンジ(mOrange)、mラズベリー(mRaspberry)、mKO、タグRFP(TagRFP)、mケイト(mKate)、mルビー(mRuby)、フュージョンレッド(FusionRed)、mスカーレット(mScarlet)、及びDsRed-エクスプレス(DsRed-Express)からなる群から選択される。
【0132】
一態様において、レポータ遺伝子は、生物発光分子をコードする。一態様において、生物発光分子は、ルシフェラーゼである。
一態様において、レポータ遺伝子は、β-グルクロニダーゼ(GUS)をコードする。
【0133】
一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のポリペプチド、融合タンパク質、DNA分子、又はRNA分子を含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の核タンパク質複合体を含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントを含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の融合タンパク質を含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のガイドを含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のホモロジーアームを含む細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の逆転写酵素を含む細胞を提供する。
【0134】
一態様において、細胞は、原核細胞である。一態様において、原核細胞は、細菌細胞である。一態様において、原核細胞は、古細菌細胞である。態様において、原核細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞である。
【0135】
一態様において、細胞は、真核細胞である。
一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のポリペプチド、融合タンパク質、DNA分子、又はRNA分子を含む真核細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の核タンパク質複合体を含む真核細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意のMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントを含む真核細胞を提供する。一態様において、本開示は、本明細書に提供される任意の融合タンパク質を含む真核細胞を提供する。
【0136】
一態様において、真核細胞は、動物細胞である。一態様において、真核細胞は、魚類細胞、鳥類細胞、爬虫類細胞、両生類細胞、昆虫細胞、クモ形類細胞、扁形動物細胞、環形動物細胞、及び甲殻類細胞からなる群から選択される。一態様において、真核細胞は、哺乳類細胞である。一態様において、哺乳類細胞は、霊長類細胞である。一態様において、真核細胞は、ヒト細胞である。一態様において、哺乳類細胞は、ネコ細胞、イヌ細胞、ウサギ細胞、げっ歯類細胞、有蹄動物細胞、有袋動物細胞、及びコウモリ細胞からなる群から選択される。
【0137】
一態様において、真核細胞は、インビボ細胞である。一態様において、真核細胞は、エクスビボ細胞である。
一態様において、真核細胞は、ヒト細胞でない。一態様において、真核細胞は、非ヒト哺乳類細胞である。一態様において、真核細胞は、非ヒト動物細胞である。一態様において、ヒト細胞は、エクスビボ細胞である。
【0138】
一態様において、ヒト細胞は、人工多能性幹細胞である。一態様において、ヒト細胞は、HEK293T細胞である。
一態様において、ヒト細胞は、骨細胞、靭帯細胞、腱細胞、筋細胞、舌細胞、口唇細胞、唾液腺細胞、咽頭細胞、食道細胞、胃細胞、小腸細胞、大腸細胞、直腸細胞、肝臓細胞、胆嚢細胞、腸間膜細胞、膵臓細胞、鼻腔細胞、咽頭細胞、喉頭細胞、気管細胞、気管支細胞、細気管支細胞、肺細胞、腎臓細胞、尿管細胞、膀胱細胞、尿道細胞、生殖器系細胞、下垂体細胞、松果腺細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、膵臓細胞、心臓細胞、動脈細胞、静脈細胞、毛細血管細胞、リンパ管細胞、リンパ節細胞、骨髄細胞、胸腺細胞、脾臓細胞、扁桃腺細胞、間質細胞、脳細胞、脊髄細胞、神経細胞、眼細胞、及び耳細胞からなる群から選択される。
【0139】
一態様において、真核細胞は、真菌細胞である。一態様において、真核細胞は、酵母細胞である。一態様において、真核細胞は、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)細胞である。一態様において、真核細胞は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。
【0140】
一態様において、真核細胞は、植物細胞である。
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び逆転写酵素を含む。一態様において、本開示は、配列番号12と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質を提供する。一態様において、本開示は、配列番号13と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質であって、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む融合タンパク質を提供する。一態様において、本開示は、配列番号13のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質を提供する。
【0141】
本明細書において使用される場合、「融合タンパク質」は、2つ以上のポリペプチド(又はタンパク質)アミノ酸配列を一緒に結合させることにより作出されるタンパク質を指す。一態様において、融合タンパク質は、単一核酸分子によりコードされる。一態様において、融合タンパク質は、ヌクレアーゼ及び逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、ニッカーゼ及び逆転写酵素を含む。
【0142】
一態様において、融合タンパク質は、配列番号1を含むニッカーゼ及びHIV-1逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、配列番号1を含むニッカーゼ及びM-MLV逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、配列番号1を含むニッカーゼ及びAMV逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、配列番号16を含むニッカーゼ及びHIV-1逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、配列番号16を含むニッカーゼ及びM-MLV逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、配列番号16を含むニッカーゼ及びAMV逆転写酵素を含む。
【0143】
一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びTf1逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びTf1-D364N逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びHIV-1逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びM-MLV逆転写酵素を含む。一態様において、融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びAMV逆転写酵素を含む。
【0144】
一態様において、融合タンパク質は、配列番号20~23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一態様において、融合タンパク質は、リンカーアミノ酸配列を含む。本明細書において使用される場合、「リンカーアミノ酸配列」は、融合タンパク質を含む2つ以上のポリペプチド配列間に配置されるアミノ酸残基を指す。リンカーアミノ酸配列はそれ自体、酵素的活性を有さないことが認識される。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、ニッカーゼと逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドと逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとTf1逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとTf1-D364N逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとHIV-1逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとM-MLV逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとAMV逆転写酵素との間に位置する。
【0145】
一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとニッカーゼとの間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSと逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとTf1逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとTf1-D364N逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとHIV-1逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとM-MLV逆転写酵素との間に位置する。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、NLSとAMV逆転写酵素との間に位置する。
【0146】
一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも1アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも2アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも3アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも4アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも5アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも6アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも7アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも8アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも9アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも10アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも15アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも20アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも25アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも30アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも35アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも40アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも45アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも50アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも60アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、少なくとも70アミノ酸残基を含む。
【0147】
一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~75アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~50アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~40アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~30アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~20アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、1アミノ酸残基~10アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、10アミノ酸残基~50アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、10アミノ酸残基~40アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、20アミノ酸残基~50アミノ酸残基を含む。一態様において、リンカーアミノ酸配列は、20アミノ酸残基~40アミノ酸残基を含む。
【0148】
本明細書において使用される場合、「逆転写酵素」は、RNAテンプレートから相補的DNA(cDNA)を生成し得る任意の酵素である。逆転写酵素は、酵素番号及びCAS登録番号(CAS Registry Number)(登録商標)9068-38-6によるセクション2.7.7.49のもと分類される。逆転写酵素アミノ酸配列の非限定的な例は、配列番号12及び13(両方ともTf1逆転写酵素である)として提供される。
【0149】
一態様において、逆転写酵素は、Tf1逆転写酵素である。一態様において、逆転写酵素は、Tf1逆転写酵素に由来する。一態様において、逆転写酵素は、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)逆転写酵素である。一態様において、逆転写酵素は、HIV-1逆転写酵素に由来する。一態様において、逆転写酵素は、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)逆転写酵素である。一態様において、逆転写酵素は、M-MLV逆転写酵素に由来する。一態様において、逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素である。一態様において、逆転写酵素は、AMV逆転写酵素に由来する。一態様において、逆転写酵素は、HIV-1逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素、及びAMV逆転写酵素からなる群から選択される。一態様において、逆転写酵素は、HIV-1逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素、及びAMV逆転写酵素からなる群から選択される逆転写酵素に由来する。
【0150】
一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも85%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも91%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも92%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも93%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも94%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも95%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも96%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも97%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも98%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも99%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号12と100%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。
【0151】
一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも80%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも85%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも91%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも92%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも93%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも94%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも95%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも96%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも97%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも98%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と少なくとも99%同一又は類似のアミノ酸配列を含み、アミノ酸配列は、配列番号13と比較して364位のアスパラギンを含む。一態様において、逆転写酵素は、配列番号13と100%同一又は類似のアミノ酸配列を含む。
【0152】
一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、ニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、I型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、II型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、III型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、IV型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、V型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、VI型CRISPR-Casニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、Cas9ニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、MAD2019ニッカーゼをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、MAD2019-H848Aポリペプチドをさらに含む。一態様において、Tf1逆転写酵素を含む融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをさらに含む。
【0153】
一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、I型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、II型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、III型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、IV型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、V型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、VI型CRISPR-Cas誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、Cas9ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、Cas9誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019誘導ニッカーゼである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aポリペプチドである。一態様において、CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドである。
【0154】
CRISPR-Cas(規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖回文反復配列(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)-CRISPR会合タンパク質)酵素は、ガイドを使用して特異的DNA標的を認識し、開裂させるヌクレアーゼである。いかなる科学的理論によっても限定されるものではないが、ニッカーゼは、ヌクレアーゼから(例えば、CRISPR-Cas酵素)、ヌクレアーゼを突然変異させ、又は編集することにより誘導することができる。一態様において、ニッカーゼは、CRISPR-Cas酵素に由来する。
【0155】
I型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例としては、Cas3、Cas5、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas10d、Cse1、Cse2、Csy1、Csy2、Csy3、及びGSU0054が挙げられる。II型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例としては、Cas4、Cas9、及びCsn2が挙げられる。III型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例としては、Cas10、Csm2、Cmr5、Csx10、及びCsx11が挙げられる。IV型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例は、Csf1である。V型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例としては、Cas12、Cas12a(Cpf1としても公知)、Cas12b(C2c1としても公知)、Cas12c(C2c3としても公知)、Cas12d(CasYとしても公知)、Cas12e(CasXとしても公知)、Cas12f(Cas14又はC2c10としても公知)、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k(C2c5としても公知)、C2c4、C2c8、及びC2c9が挙げられる。VI型CRISPR-Cas酵素の非限定的な例としては、Cas13、Cas13a(C2c2としても公知)、Cas13b、Cas13c、及びCas13dが挙げられる。
【0156】
一態様において、本開示は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを細胞に提供する方法であって、(a)細胞を得ること;及び(b)細胞に、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を提供することを含む方法を提供する。一態様において、本開示は、融合タンパク質を細胞に提供する方法であって、(a)細胞を得ること;及び(b)細胞に、融合タンパク質又は融合タンパク質をコードする核酸分子を提供することを含む方法を提供する。一態様において、方法は、細胞に、ガイドをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む。一態様において、方法は、細胞に、ホモロジーアームをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む。一態様において、方法は、細胞に、ガイド及びホモロジーアームをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む。一態様において、方法は、細胞に、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む。
【0157】
一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、細胞中のゲノム中に安定的に組み込まれる。一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、細胞中に一過的に導入される。一態様において、本明細書に提供される核酸分子は、プラスミド内に位置する。本明細書において使用される場合、「プラスミド」は、環状二本鎖DNA分子を指す。一態様において、プラスミドは、複製起点を含む。一態様において、プラスミドは、選択マーカ遺伝子を含む。
【0158】
細胞中への任意の核酸分子の一過的形質転換又は安定的組み込みを含む方法が本明細書に提供される。本明細書において使用される場合、「安定的組み込み」又は「安定的に組み込まれる」は、標的化細胞が導入される核酸分子を次世代の形質転換生物に移すことを可能とする、標的化細胞のゲノム中への核酸分子の導入を指す。
【0159】
本明細書において使用される場合、「一過的に導入される」、「一過的に形質転換される」、又は「一過的形質転換」は、次世代の形質転換生物に導入されない、細胞中へのDNAの導入を指す。
【0160】
細胞を核酸分子又は核タンパク質複合体で形質転換する(例えば、細胞に核酸分子又は核タンパク質複合体を提供する)多数の方法が当技術分野において公知であり、それらを本出願の方法に従って使用することができる。当技術分野において公知の細胞の形質転換のための任意の好適な方法又は技術が本方法に従って使用され得る。細胞の形質転換のための非限定的な方法としては、ポリエチレングリコール媒介形質転換、バイオリスティック形質転換、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルス形質導入、1つ以上の送達粒子の使用、及びエレクトロポレーションが挙げられる。一態様において、方法は、ポリエチレングリコール媒介形質転換、バイオリスティック形質転換、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルス形質導入、1つ以上の送達粒子の使用、及びエレクトロポレーションからなる群から選択される方法を使用して1つ以上の核酸分子又は核タンパク質複合体を細胞に導入することを含む。
【0161】
一態様において、方法は、ポリエチレングリコール媒介形質転換を介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、バイオリスティック形質転換を介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、リポソーム媒介トランスフェクションを介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、ウイルス形質導入を介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、1つ以上の送達粒子の使用を介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、マイクロインジェクションを介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、エレクトロポレーションを介して細胞に核酸分子を提供することを含む。一態様において、方法は、マイクロインジェクションを介して細胞に核タンパク質複合体を提供することを含む。一態様において、方法は、エレクトロポレーションを介して細胞に核タンパク質複合体を提供することを含む。
【0162】
形質転換の他の方法、例えば、減圧浸潤、圧力処理、超音波処理、及び炭化ケイ素繊維撹拌も当技術分野において公知であり、本明細書に提供される任意の方法での使用に想定される。
【0163】
細胞を形質転換する方法は、当業者に周知である。例えば、核酸分子でコーティングされた粒子を用いるマイクロプロジェクティルボンバードメント(microprojectile bombardment)による植物細胞の形質転換(例えば、バイオリスティック形質転換)についての具体的な指示は、米国特許第5,550,318号明細書;同第5,538,880号明細書、同第6,160,208号明細書;同第6,399,861号明細書;及び同第6,153,812号明細書に見出される。
【0164】
リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号明細書、同第4,946,787号明細書;及び同第4,897,355号明細書)に記載されており、リポフェクション試薬は市販されている(例えば、トランスフェクタム(Transfectam)(商標)及びリポフェクチン(Lipofectin)(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに好適なカチオン性及び中性脂質としては、フェルナー(Felgner)、国際公開第91/17424号パンフレット;国際公開第91/16024号パンフレットのものが挙げられる。
【0165】
核酸分子の1つ以上のエレメントの発現のための送達ビヒクル、ベクター、粒子、ナノ粒子、製剤及びそれらの構成成分は、国際公開第2014/093622号パンフレットにおいて使用されるものである。一態様において、核酸分子又はタンパク質を細胞に提供する方法は、送達粒子を介する送達を含む。一態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、送達ベシクルを介する送達を含む。一態様において、送達ベシクルは、エクソソーム及びリポソームからなる群から選択される。一態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、ウイルスベクターを介する送達を含む。一態様において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクターからなる群から選択される。別の態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、ナノ粒子を介する送達を含む。一態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、マイクロインジェクションを含む。一態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、ポリカチオンを含む。一態様において、核酸分子を細胞に提供する方法は、カチオン性オリゴペプチドを含む。
【0166】
一態様において、送達粒子は、エクソソーム、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ナノ粒子、ポリカチオン、及びカチオン性オリゴペプチドからなる群から選択される。一態様において、本明細書に提供される方法は、1つ以上の送達粒子の使用を含む。別の態様において、本明細書に提供される方法は、2つ以上の送達粒子の使用を含む。別の態様において、本明細書に提供される方法は、3つ以上の送達粒子の使用を含む。
【0167】
細胞中への核酸分子の導入を容易にするための好適な作用因子としては、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドに対する細胞の透過性を増加させる作用因子が挙げられる。細胞中への組成物の導入を容易にするためのこのような作用因子としては、化学的作用因子、若しくは物理的作用因子、又はそれらの組み合わせが挙げられる。コンディショニングのための化学的作用因子としては、(a)界面活性剤、(b)有機溶媒、水溶液、若しくは有機溶媒の水性混合物、(c)酸化剤、(e)酸、(f)塩基、(g)油、(h)酵素、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0168】
ポリヌクレオチドによる透過に対する細胞の実験室コンディショニングのための作用因子としては、例えば、化学的作用因子の適用、酵素的処理、加熱若しくは冷蔵、陽圧若しくは陰圧による処理、又は超音波処理が挙げられる。
【0169】
一態様において、本開示は、少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、(a)(i)少なくとも1つの真核細胞に、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を;及び(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を導入することであって;MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定することを含む方法を提供する。一態様において、方法のステップ(a)は、少なくとも1つのホモロジーアーム、又はホモロジーアームをコードする核酸分子を真核細胞に導入することをさらに含み、少なくとも1つのホモロジーアームは、少なくとも1つの編集を含む核酸配列を含む。
【0170】
一態様において、本開示は、少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、(a)(i)少なくとも1つの真核細胞に、融合タンパク質又は融合タンパク質をコードする核酸分子を;及び(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を導入することであって;融合タンパク質及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定することを含む方法を提供する。一態様において、方法のステップ(a)は、少なくとも1つのホモロジーアーム、又はホモロジーアームをコードする核酸分子を真核細胞に導入することをさらに含み、少なくとも1つのホモロジーアームは、少なくとも1つの編集を含む核酸配列を含む。
【0171】
非限定的な実施形態の以下の実施例が具体的に想定される:
1.配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドであって、配列番号1に従う848位のアラニンを含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0172】
2.配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
3.配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、I1142Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0173】
4.配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0174】
5.配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
6.配列番号1と比較してS409Rアミノ酸置換、L500Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0175】
7.配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
8.配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0176】
9.配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、I1142Rアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0177】
10.配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、D1139Nアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0178】
11.配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、A1221Hアミノ酸置換、及びK1285Rアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0179】
12.配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
【0180】
13.少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。
14.実施形態1~13のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸配列。
【0181】
15.実施形態1~13のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び核酸分子を含む核タンパク質複合体。
16.核酸分子は、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームを含む、実施形態15に記載の核タンパク質複合体。
【0182】
17.核酸分子は、RNA分子である、実施形態15又は16に記載の核タンパク質複合体。
18.実施形態1~13のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む真核細胞。
【0183】
19.実施形態14に記載の核酸配列を含む真核細胞。
20.実施形態15~17のいずれか1つに記載の核タンパク質複合体を含む真核細胞。
【0184】
21.実施形態1~12のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む融合タンパク質。
22.逆転写酵素をさらに含む、実施形態21に記載の融合タンパク質。
【0185】
23.逆転写酵素は、配列番号12と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素である、実施形態22に記載の融合タンパク質。
24.Tf1逆転写酵素は、配列番号12と比較してD362Nアミノ酸置換を含む、実施形態23に記載の融合タンパク質。
【0186】
25.Tf1逆転写酵素は、配列番号13を含む、実施形態23に記載の融合タンパク質。
26.逆転写酵素は、HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス)逆転写酵素、M-MLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素、及びAMV(トリ骨髄芽球症ウイルス)逆転写酵素からなる群から選択される逆転写酵素に由来する、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0187】
27.少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、実施形態21~26のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
28.リンカーアミノ酸配列を含む、実施形態21~27のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0188】
29.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドと逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の融合タンパク質。
30.配列番号12と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むTf1逆転写酵素を含む融合タンパク質。
【0189】
31.Tf1逆転写酵素は、配列番号12と比較してD362Nアミノ酸置換を含む、実施形態30に記載の融合タンパク質。
32.Tf1逆転写酵素は、配列番号13を含む、実施形態30に記載の融合タンパク質。
【0190】
33.ニッカーゼをさらに含む、実施形態30~32のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
34.ニッカーゼは、CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態33に記載の融合タンパク質。
【0191】
35.CRISPR-Casニッカーゼは、I型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
36.CRISPR-Casニッカーゼは、II型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0192】
37.CRISPR-Casニッカーゼは、III型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
38.CRISPR-Casニッカーゼは、IV型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0193】
39.CRISPR-Casニッカーゼは、V型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
40.CRISPR-Casニッカーゼは、VI型CRISPR-Casニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0194】
41.CRISPR-Casニッカーゼは、Cas9ニッカーゼである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
42.CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019ポリペプチドである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0195】
43.CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aポリペプチドである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
44.CRISPR-Casニッカーゼは、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドである、実施形態34に記載の融合タンパク質。
【0196】
45.配列番号1と少なくとも90%同一又は類似のアミノ酸配列を含むMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをさらに含み、MAD2019-H848Aニッカーゼは、配列番号1に従う848位のアラニンを含む、実施形態30~32のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0197】
46.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
47.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、I1142Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0198】
48.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Rアミノ酸置換、D700Aアミノ酸置換、D701Pアミノ酸置換、K720Sアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0199】
49.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0200】
50.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してS409Rアミノ酸置換、L500Kアミノ酸置換、及びV1143Tアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0201】
51.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してV1143Tアミノ酸置換及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0202】
52.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0203】
53.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、I1142Rアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0204】
54.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、D1139Nアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、及びA1221Hアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0205】
55.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してL500Kアミノ酸置換、V1143Tアミノ酸置換、A1221Hアミノ酸置換、及びK1285Rアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0206】
56.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドは、配列番号1と比較してT67G、S409R、L500K、L500R、G578F、L624Q、N669S、D700A、D701P、D701N、D701T、K720S、L1110R、D1139N、I1142R、I1142K、V1143T、A1221H、K1285R、A1321R、A1321K、S1136Q、及びA1139Rからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態45に記載の融合タンパク質。
【0207】
57.少なくとも1つの核局在化シグナルをさらに含む、実施形態30~56のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
58.リンカーアミノ酸配列を含む、実施形態30~57のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0208】
59.MAD2019-H848AバリアントポリペプチドとTf1逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、実施形態45~56のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0209】
60.ニッカーゼとTf1逆転写酵素との間に位置するリンカーアミノ酸配列を含む、実施形態33に記載の融合タンパク質。
61.実施形態21~60のいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードする核酸配列。
【0210】
62.実施形態21~60のいずれか1つに記載の融合タンパク質及び核酸分子を含む核タンパク質複合体。
63.核酸分子は、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームを含む、実施形態62に記載の核タンパク質複合体。
【0211】
64.核酸分子は、RNA分子である、実施形態62又は63に記載の核タンパク質複合体。
65.実施形態21~60のいずれか1つに記載の融合タンパク質を含む真核細胞。
【0212】
66.実施形態61に記載の核酸配列を含む真核細胞。
67.実施形態62~64のいずれか1つに記載の核タンパク質複合体を含む真核細胞。
【0213】
68.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを細胞に提供する方法であって、
(a)細胞を得ること;及び
(b)細胞に、実施形態1~13のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を提供すること
を含む方法。
【0214】
69.融合タンパク質を細胞に提供する方法であって、
(a)細胞を得ること;及び
(b)細胞に、実施形態21~60のいずれか1つに記載の融合タンパク質、又は融合タンパク質をコードする核酸分子を提供すること
を含む方法。
【0215】
70.細胞に、(a)ガイド;(b)ホモロジーアーム;又は(c)ガイド及びホモロジーアームをコードする核酸分子をトランスフェクトすることをさらに含む、実施形態68又は69に記載の方法。
【0216】
71.ガイドは、細胞内でMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドとの核タンパク質複合体を形成するRNA分子である、実施形態69に記載の方法。
72.ガイドは、細胞内の標的核酸分子と相補的な配列を含む、実施形態71に記載の方法。
【0217】
73.核タンパク質複合体は、細胞内の標的核酸分子を編集する、実施形態72に記載の方法。
74.ガイドは、細胞内で融合タンパク質との核タンパク質複合体を形成するRNA分子である、実施形態70に記載の方法。
【0218】
75.ガイドは、細胞内の標的核酸分子と相補的な配列を含む、実施形態74に記載の方法。
76.核タンパク質複合体は、細胞内の標的核酸分子を編集する、実施形態75に記載の方法。
【0219】
77.標的核酸分子は、細胞の核ゲノム内に位置する、実施形態72、73、75、及び76のいずれか1つに記載の方法。
78.標的核酸分子は、細胞のミトコンドリアゲノム内に位置する、実施形態72、73、75、及び76のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
79.提供は、ポリエチレングリコール媒介形質転換、バイオリスティック形質転換、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルス形質導入、1つ以上の送達粒子の使用、マイクロインジェクション、及びエレクトロポレーションからなる群から選択される方法を含む、実施形態68~76のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
80.少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、
(a)
(i)少なくとも1つの真核細胞に、実施形態1~13のいずれか1つに記載のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド、又はMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドをコードする核酸分子を;及び
(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を
導入することであって;
MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに
(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定すること
を含む方法。
【0222】
81.少なくとも1つの真核細胞を編集する方法であって、
(a)
(i)少なくとも1つの真核細胞に、実施形態21~60のいずれか1つに記載の融合タンパク質、又は融合タンパク質をコードする核酸分子を;及び
(ii)少なくとも1つの真核細胞に、ガイドRNAであって、真核細胞のゲノム内の標的核酸分子と相補的な核酸配列を含むガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸分子を
導入することであって;
融合タンパク質及びガイドRNAは、少なくとも1つの真核細胞内で核タンパク質複合体を形成し、核タンパク質複合体は、標的核酸分子の一方の鎖を開裂させ、少なくとも1つの編集は、標的核酸分子の対照バージョンと比較して標的核酸分子内で作製されること;並びに
(b)少なくとも1つの編集を含む少なくとも1つの真核細胞を同定すること
を含む方法。
【0223】
82.方法のステップ(a)は、少なくとも1つのホモロジーアーム、又はホモロジーアームをコードする核酸分子を、真核細胞に導入することをさらに含み、少なくとも1つのホモロジーアームは、少なくとも1つの編集を含む核酸配列を含む、実施形態80又は81に記載の方法。
【0224】
83.少なくとも1つの編集は、挿入を含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
84.少なくとも1つの編集は、欠失を含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
85.少なくとも1つの編集は、置換を含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
86.少なくとも1つの編集は、単一ヌクレオチドの置換を含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
87.単一ヌクレオチドの置換は、トランシジョンを含む、実施形態86に記載の方法。
88.単一ヌクレオチドの置換は、トランスバージョンを含む、実施形態86に記載の方法。
【0227】
89.配列番号24と少なくとも80%同一の核酸配列を有する足場領域を含むガイドRNA(gRNA)。
90.核酸配列は、配列番号24と少なくとも90%同一である、実施形態89に記載のgRNA。
【0228】
91.核酸配列は、配列番号24と少なくとも95%同一である、実施形態89に記載のgRNA。
92.核酸配列は、配列番号24と100%同一である、実施形態89に記載のgRNA。
【0229】
93.融合タンパク質及び実施形態89~92のいずれか1つに記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
94.融合タンパク質は、MAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを含む、実施形態93に記載の核タンパク質複合体。
【0230】
95.融合タンパク質は、逆転写酵素を含む、実施形態93又は94に記載の核タンパク質複合体。
96.MAD2019-H848Aバリアントポリペプチド及び実施形態89~92のいずれか1つに記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【0231】
97.ニッカーゼ及び実施形態89~92のいずれか1つに記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
98.実施形態89~92のいずれか1つに記載のgRNAを含む核タンパク質複合体。
【0232】
本開示を目下一般的に記載したが、それは、説明として提供され、規定のない限り本開示の限定と意図されない以下の実施例への言及を介してより容易に理解される。
【実施例】
【0233】
実施例1.作業手順概要
MAD2019-H848A(配列番号1)をベースとする、本明細書に提供されるMAD2019バリアントポリペプチドは、
図2に示される方法を使用して同定した。最初に、配列番号1の全ての残基についての部位飽和突然変異誘発により、バリアントのプール(
図2のSeq 1;Seq 1は、アラニンに代えて848位のアミノ酸ヒスチジンを有する配列番号1バリアントを指す)を生成した。全ての残基についての部位飽和突然変異誘発により、H848を有するSeq 1のバリアントの別のプールを生成した。次に、スクリーニングを実施して配列番号1Seq 1を含む融合タンパク質と比較して改善された切断効率を有する配列番号1バリアントを同定し(
図2のスクリーニング1)、又はSeq 1若しくはSeq 1を含む融合タンパク質と比較して改善されたCREATE融合編集効率を有するバリアントを同定した(
図2のスクリーニング2)。例えば、米国特許第11,268,078号明細書参照。
【0234】
改善された切断効率についての候補の同定後、さらなる評価のためにMAD2019-H848A(
図2)中にバリアントを導入する。全ての残基についての部位飽和突然変異誘発により生成された、改善されたCREATE融合編集を有するMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを同定するための2回目のスクリーニングラウンド。両方のスクリーニングからの候補のプール(
図2の候補のコレクション)をさらにバリデートして複数のアッセイ(例えば、バリデーション)を介してCREATE融合編集の改善を測定する。表2は、少なくとも1つのアッセイ(例えば、
図2のアッセイT21、アッセイT22、アッセイT23、アッセイT24)においてMAD2019-H848Aと比較して改善されたCREATE融合編集を示したMAD2019-H848Aバリアントのリストを提供する。
【0235】
切断効率についてのスクリーニングは、細胞のゲノム中にランダムに組み込まれた合成緑色蛍光タンパク質(GFP)の単一コピーの発現から生成された蛍光を検出することを含む。切断が行われない場合、GFPシグナルは、同様の条件下で成長させた対照細胞からのGFP発現と同様である。GFPの正常な発現又は活性を中断する二本鎖分解が生成される場合、GFPシグナルの低減が観察される。しかしながら、正確な編集が行われる場合、GFPは変換されて青色波長の蛍光(BFP)を放出し得、それを検出及び定量することができる。例えば、ハイム(Heim)ら著、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Sci.USA)、第91巻、p.12501~12504、1994年;及びグレイザー(Glaser)ら著、モレキュラー・セラピー・ヌクレイック・アシッズ(Mol.Ther.Nucleic Acids)、第5巻、e334、2016年参照。
【0236】
表2.MAD2019-H848A(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアッセイにおいて改善されたCREATE融合編集を有するMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド。MAD2019-H848Aポリペプチドバリアント欄は、各バリアントについてのアミノ酸残基変化及び変化の位置を示す。例えば、T67Gは、配列番号1の67位のトレオニン(T)からグリシン(G)への変化を指す。アッセイ欄の値は、配列番号1と比較した活性倍率を指し、1.0の値は配列番号1と等しい活性を指す。アッセイは、表3に提供されるガイド配列を指す。
【0237】
【0238】
実施例2.MADザイム(MADzyme)のためのベクター構築物及びガイド発現プラスミド
MAD2019バリアントポリペプチドを、CMVプロモータの制御下でクローニングしてHEK293T(ヒト腎)細胞中で発現させた。MAD2019バリアントポリペプチドを、EF1-アルファプロモータ下においてもクローニングして人工多能性幹細胞(PGP168)中で発現させた。HEK293T細胞系は、そのゲノム中にランダムに組み込まれた合成緑色蛍光タンパク質(GFP)の単一コピーを含んだ。CREATE融合編集アッセイのため、MAD2019ポリペプチド及びMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントを逆転写酵素と融合させ、単一融合構築物として発現させた。
【0239】
GFP遺伝子座を標的化するガイドRNAを、ヒトU6プロモータの制御下で、単一ガイドRNA(sgRNA)足場(配列番号24)及び各sgRNAの5’末端に位置するガイド配列(表3参照)とともにクローニングした。最終配列の3’末端における追加のRNA安定化配列エレメント(例えば、配列番号25)とそれに続く転写ターミネータ(例えば、5’-TTTTTTT-3’)を用いてCREATE融合編集アッセイを実施した場合、各sgRNA(表3参照)の3’末端にCREATE融合ホモロジーアームを位置させた。
【0240】
表3.CREATE融合アッセイにおいて使用されたガイド及びホモロジーアーム配列。PAMは、プロトスペーサ隣接モチーフを指す。
【0241】
【0242】
実施例3.HEK293T細胞中のトランスフェクション
1μLのポリフェクト(PolyFect)(商標)トランスフェクション試薬と、ガイドを発現するプラスミド(50ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及びM-MLV逆転写酵素と融合しているMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド(表2参照)を発現するプラスミド(50ng)を混合し、35μLのオプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈した。この混合物は、リバーストランスフェクションのために100μLのDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で合成GFP標的遺伝子座を含む25000個のトリプLE(TrypLE)単体化HEK293T宿主細胞に添加した。
【0243】
トランスフェクションの6日後、HEK293T細胞を回収し、フローサイトメータを使用して分析してGFPの発現を妨げた二本鎖分解の証拠であるGFPシグナルの枯渇を検出し、又は正確なゲノム編集の証拠であるBFPシグナルを検出した。
図3A参照。
【0244】
実施例4.人工多能性幹細胞中のトランスフェクション
0.75μLのリポフェクタミン(Lipofectamine)(商標)ステムトランスフェクション試薬と、ガイドを発現するプラスミド(25ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及びM-MLV逆転写酵素と融合しているMAD2019-H848Aバリアントポリペプチド(表2参照)を発現するプラスミド(25ng)を混合し、オプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈した。事前にプレーティングされた人工多能性幹細胞に対するフォワードトランスフェクションを実施した。
【0245】
トランスフェクションの6日後、人工多能性幹細胞を回収し、フローサイトメータを使用して分析してGFPの発現を妨げた二本鎖分解の証拠であるGFPシグナルの枯渇を検出し、又は正確なゲノム編集の証拠であるBFPシグナルを検出した。
図3B参照。
【0246】
実施例5.MADザイムのためのベクター構築物及びガイド発現プラスミド
哺乳類動物中の発現のためにCMVプロモータの制御下でプラスミド中に、MAD2019-H848A又は表2に記載のMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントと、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)逆転写酵素Tf1(配列番号12)又はTf1バリアントTf1-D364N(配列番号13)との融合タンパク質をクローニングした。
【0247】
GFP遺伝子座を標的化するガイドRNAを、ヒトU6プロモータの制御下で、単一ガイドRNA(sgRNA)足場(配列番号14)及び各sgRNAの5’末端に位置するガイド配列(表3参照)とともにクローニングした。各sgRNA(表3参照)の3’末端にCREATE融合ホモロジーアームを位置させた。
【0248】
構築物は、細胞のゲノム中にランダムに組み込まれたGFPの単一コピーを含むHEK293T細胞中に導入されることが意図される。
実施例6.HEK293T細胞中のトランスフェクション
プラスミドセットの2つの群を調製し、HEK293T細胞中にトランスフェクトする。
【0249】
第1の群は、ガイドを発現するプラスミド(50ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及びMAD2019-H848A::Tf1(それぞれ配列番号1及び12)を発現するプラスミド(50ng)を含み、それらを1μLのポリフェクト(PolyFect)(商標)トランスフェクション試薬と混合し、35μLのオプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈する。この混合物は、リバーストランスフェクションのために100μLのDMEM中で合成GFP標的遺伝子座を含む25000個のトリプLE(TrypLE)単体化HEK293T宿主細胞に添加した。
【0250】
第2の群は、ガイドを発現するプラスミド(50ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及びMAD2019-H848A::Tf1-D364N(それぞれ配列番号1及び13)を発現するプラスミド(50ng)を含み、それらを1μLのポリフェクト(PolyFect)(商標)トランスフェクション試薬と混合し、35μLのオプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈する。この混合物は、リバーストランスフェクションのために100μLのDMEM中で合成GFP標的遺伝子座を含む25000個のトリプLE(TrypLE)単体化HEK293T宿主細胞に添加した。
【0251】
トランスフェクションの6日後、人工多能性幹細胞を回収し、フローサイトメータを使用して分析してGFPの発現を妨げた二本鎖分解の証拠であるGFPシグナルの枯渇を検出し、又は正確なゲノム編集の証拠であるBFPシグナルを検出した。
図4参照。
【0252】
実施例7.HEK293T細胞中の追加のトランスフェクション
プラスミドセットの2つの追加の群を調製し、HEK293T細胞中にトランスフェクトする。
【0253】
第1の群は、23個のユニーク混合物を含む。各混合物は、ガイドを発現するプラスミド(50ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及び表2に提供される23個のMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントの1つ::Tf1(50ng)を含む。1μLのポリフェクト(PolyFect)(商標)トランスフェクション試薬と23個の混合物の各々を独立して混合し、35μLのオプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈する。リバーストランスフェクションのために100μLのDMEM中で合成GFP標的遺伝子座を含む25000個のトリプLE(TrypLE)単体化HEK293T宿主細胞の単一の独立アリコートに混合物の各々を添加し、プラスミド/細胞の組み合わせの23個のユニークセットをもたらす。
【0254】
第2の群は、23個のユニーク混合物を含む。各混合物は、ガイドを発現するプラスミド(50ng)、又は陰性対照としてのpUC19、及び表2に提供される23個のMAD2019-H848Aポリペプチドバリアントの1つ::Tf1-D364N(50ng)を含む。1μLのポリフェクト(PolyFect)(商標)トランスフェクション試薬と23個の混合物の各々を独立して混合し、35μLのオプティメム(OptiMem)(商標)中で希釈する。リバーストランスフェクションのために100μLのDMEM中で合成GFP標的遺伝子座を含む25000個のトリプLE(TrypLE)単体化HEK293T宿主細胞の単一の独立アリコートに混合物の各々を添加し、プラスミド/細胞の組み合わせの23個のユニークセットをもたらす。
【0255】
トランスフェクションの6日後、人工多能性幹細胞を回収し、フローサイトメータを使用して分析してGFPの発現を妨げた二本鎖分解の証拠であるGFPシグナルの枯渇を検出し、又は正確なゲノム編集の証拠であるBFPシグナルを検出した。
【0256】
実施例8.追加のMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドの生成
CREATE融合酵素19(CFE19)は、核局在化シグナル(配列番号15)、MAD2019-H848Aニッカーゼ(配列番号16)、リンカー(配列番号17)、MLV逆転写酵素(配列番号18)及び第2の核局在化シグナル(配列番号19)を含む。CFE19についての全長アミノ酸配列は、配列番号20に提供する。
【0257】
CFE19は編集に供してコンビナトリアルMAD2019-H848Aバリアントポリペプチドを生成する。表4は、産生されたバリアントのまとめを提供する。
表4.CFE19バリアント
【0258】
【0259】
表4に提供されるCFE19バリアントの各々は、人工多能性幹細胞に導入した後にEF1-アルファプロモータの制御下でプラスミドから発現させる。各CFE19バリアントの発現は、T2Aリンカーにより連結されているmチェリーレポータを介してモニタリングする。
【0260】
ランダムに挿入されたGFPコード配列の単一コピーを含む、事前にプレーティングされた人工多能性幹細胞に対するフォワードトランスフェクションを実施した。
トランスフェクションの6日後、人工多能性幹細胞を回収し、フローサイトメータを使用して分析してGFPの発現を妨げた二本鎖分解の証拠であるGFPシグナルの枯渇を検出し、又は正確なゲノム編集の証拠であるBFPシグナルを検出した。
図5参照。特に、CFE19v3は、複数の標的についての全体的な性能改善を示した。
【配列表】
【国際調査報告】