(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】医療デバイスの経管導入のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B17/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545978
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2023011644
(87)【国際公開番号】W WO2023150055
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519239333
【氏名又は名称】エンドクエスト ロボティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シン ドンソク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨンマン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジェイハン
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョンヒ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160NN01
4C160NN07
(57)【要約】
方法は、湾曲部を有する身体管腔内に第1のデバイスを挿入することと、第1のシース直径を有する第1のシースを第1のデバイスの上で摺動させることと、第1のシース直径よりも大きい第2のシース直径を有する第2のシースを第1のデバイスの上で摺動させることと、第1のデバイスを湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動させることと、を含み得る。方法はまた、第1のデバイスを少なくとも部分的に直線化して、湾曲部を少なくとも部分的に直線化することと、第1のデバイス及び第1のシースを身体管腔から除去して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部内の所定の位置に第2のシースを残すことと、第2のデバイスを第2のシース内に導入して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部を通して、第2のデバイスを第2のシースの開口部まで移動させることと、を含み得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスを展開するための方法であって、
湾曲部を有する身体管腔内に第1のデバイスを挿入することと、
第1のシース直径を有する第1のシースを第1のデバイスの上で摺動させることと、
前記第1のシース直径よりも大きい第2のシース直径を有する第2のシースを、前記第1のデバイスの上で摺動させることと、
前記第1のデバイスを前記湾曲部を通りかつ前記湾曲部を越えて移動させることと、
前記第1のデバイスを少なくとも部分的に直線化して、前記湾曲部を少なくとも部分的に直線化することと、
前記第1のデバイス及び前記第1のシースを前記身体管腔から除去し、前記少なくとも部分的に直線化された湾曲部内の所定の位置に前記第2のシースを残すことと、
第2のデバイスを前記第2のシース内に導入して、前記少なくとも部分的に直線化された湾曲部を通して、前記第2のデバイスを前記第2のシースの開口部まで移動させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のシースを前記第1のデバイスの上で摺動させることが、前記第1のデバイスを少なくとも部分的に直線化した後、かつ前記第1のデバイスを前記身体管腔から除去する前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のシースを前記第1のシースの上で摺動させることが、前記第1のシースを前記少なくとも部分的に直線化された第1のデバイスの上で摺動させた後、かつ前記第1のデバイスを前記身体管腔から除去する前に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシースと前記第2のシースとが、前記第1のデバイスの上で一緒に摺動する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のデバイスを除去することが、前記第1のデバイスと前記第1のシースとを一緒に又は連続して除去することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のデバイスを挿入することが、前記第1のデバイスを、前記第1のシースが前記第1のデバイス上にあり、かつ前記第2のシースが前記第1のシース上にある状態で挿入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のデバイスが、前記第1のデバイスよりも伸展性が低く、かつ/又は操向性が低い、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のデバイスの直径が、前記第1のデバイスの直径よりも大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のデバイスの前記直径が、約13mm以下であり、前記第2のデバイスの前記直径が、約18mm以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のデバイスが、前記第1のシース内に適合するように構成された内視鏡である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のデバイスが、前記第2のシース内に適合するように構成されたオーバーチューブであるか、又はオーバーチューブを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記湾曲部を移動することが、前記第2のシースの前記開口部を標的部位又はその近くに配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のデバイスを前記第2のシースから前記標的部位まで伸長させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のデバイスを通して1つ以上のロボット手術工具を挿入して、前記標的部位へのアクセスのために前記第2のデバイスから伸長させることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記身体管腔が、結腸であり、前記湾曲部が、S状結腸である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
医療デバイスを移動させるための方法であって、
オーバーチューブを事前配置された外側シースを通して移動させて、S状結腸を越えて腸内位置にある標的部位に向かって前記外側シースから伸長させることを含む、方法。
【請求項17】
結腸鏡及び結腸鏡シースを用いて、前記S状結腸を横断するように、前記外側シースを事前配置することと、
前記結腸鏡を用いて、前記S状結腸及び前記外側シースを少なくとも部分的に直線化することと、
前記結腸鏡及び前記結腸鏡シースを除去して、前記オーバーチューブの挿入のために前記事前配置された外側シースを残すことと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記オーバーチューブを通して1つ以上のロボット手術工具を挿入して、前記オーバーチューブから伸長させて前記標的部位にアクセスすることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記標的部位において、前記1つ以上のロボット工具でロボット手術処置を実施することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
医療デバイスを展開するためのシステムであって、
内視鏡直径を有する内視鏡であって、前記内視鏡が、身体管腔の湾曲部を通りかつ前記湾曲部を越えて移動するように構成されている、内視鏡と、
前記内視鏡直径よりも大きいオーバーチューブ外径を有するオーバーチューブであって、前記オーバーチューブは、前記湾曲部が少なくとも部分的に直線化されるまで、前記身体管腔の前記湾曲部を通りかつ前記湾曲部を越えて移動するように構成されていない、オーバーチューブと、
前記内視鏡外径と相補的な大きさの第1のシース内径、及び第1のシース外径を有する第1のシースと、
前記第1のシース外径と前記オーバーチューブ外径との両方に相補的なサイズの第2のシース内径を有する、第2のシースと、を備える、システム。
【請求項21】
前記内視鏡直径が、約13mm以下であり、前記オーバーチューブ直径が、約18mm以上である、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年2月1日に出願された米国仮出願第63/305,454号の優先権及び利益を主張し、その全内容が、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、最小侵襲手術のための手術装置、システム、及び処置に関する。より具体的には、本開示は、医療デバイスを制御し、移動させ、標的化された部位に展開するための手術装置、システム、及び処置に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の経管処置では、少なくとも部分的に可撓性の及び/又は操向可能な特定のデバイスを利用することができる。従来、デバイスが大きくなるほど、デバイスの柔軟性は低くなる。特定の身体管腔(例えば、結腸)は、急な曲がり及び/又は複数の曲がりを伴う曲がりくねった経路を画定しており、このような管腔を伸展性の低いデバイスで移動させることは困難である。したがって、このような管腔は、曲がりくねった経路の位置で又はその位置を越えて経管処置に使用できるデバイスのサイズ及びタイプを制限する可能性がある。
【0004】
このような従来の方法及びシステムは、一般に、その意図された目的に対して満足のいくものであると考えられてきた。しかしながら、当該技術分野においては、改良されたシステム及び方法に対する必要性が依然として存在する。本開示は、この必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の少なくとも1つの態様によると、医療デバイスを展開するための方法は、湾曲部を有する身体管腔内に第1のデバイスを挿入することと、第1のシース直径を有する第1のシースを第1のデバイスの上で摺動させることと、第1のシース直径よりも大きい第2のシース直径を有する第2のシースを第1のデバイスの上で摺動させることと、第1のデバイスを湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動させることと、を含み得る。方法はまた、第1のデバイスを少なくとも部分的に直線化して、湾曲部を少なくとも部分的に直線化することと、第1のデバイス及び第1のシースを身体管腔から除去して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部内の所定の位置に第2のシースを残すことと、第2のデバイスを第2のシース内に導入して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部を通して、第2のデバイスを第2のシースの開口部まで移動させることと、を含み得る。
【0006】
特定の実施形態では、第1のシースを第1のデバイスの上で摺動させることは、第1のデバイスを少なくとも部分的に直線化した後、かつ第1のデバイスを身体管腔から除去する前に行われ得る。特定の実施形態では、第2のシースを第1のシースの上で摺動させることは、第1のシースを少なくとも部分的に直線化された第1のデバイスの上で摺動させた後、かつ第1のデバイスを身体管腔から除去する前に行われ得る。
【0007】
特定の実施形態では、第1のシース及び第2のシースは、一緒に第1のデバイスの上で摺動し得る。特定の実施形態では、第1のデバイスを除去することは、第1のデバイスと第1のシースとを一緒に又は連続して除去することを含み得る。特定の実施形態では、第1のデバイスを挿入することは、第1のデバイスを、第1のシースが第1のデバイス上にあり、かつ第2のシースが第1のシース上にある状態で挿入することを含み得る。
【0008】
特定の実施形態では、第2のデバイスは、第1のデバイスよりも伸展性が低くなり、かつ/又は操向性が低くなり得る。例えば、第2のデバイスの直径は、第1のデバイスの直径より大きくなり得る。特定の実施形態では、第1のデバイスの直径は、約13mm以下であり得、第2のデバイスの直径は、約18mm以上であり得る。本明細書では、任意の好適な相対的サイズが考えられる。
【0009】
特定の実施形態では、第1のデバイスは、第1のシース内に適合するように構成された内視鏡であり得る。特定の実施形態では、第2のデバイスは、第2のシース内に適合するように構成されたオーバーチューブであるか、又はそれを含み得る。
【0010】
特定の実施形態では、湾曲部を移動することは、第2のシースの開口部を標的部位又はその近くに配置することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、第2のデバイスを第2のシースから標的部位まで伸長させることを含み得る。特定の実施形態では、方法は、1つ以上のロボット手術工具を第2のデバイスを通して挿入して、標的部位へのアクセスのために第2のデバイスから伸長させることを含み得る。本明細書では、任意の他の好適な処置が考えられる。
【0011】
特定の実施形態では、身体管腔は、結腸である。例えば、湾曲部は、S状結腸であり得る。本明細書では、任意の他の好適な身体管腔又はその湾曲部が考えられる。
【0012】
本開示の少なくとも1つの態様によると、医療デバイスを移動させるための方法は、オーバーチューブを事前配置された外側シースを通して移動させて、外側シースからS状結腸を超えた腸内位置の標的部位に向かって伸長させることを含み得る。特定の実施形態では、方法はまた、結腸鏡及び結腸鏡シースを用いて、S状結腸を横断するように外側シースを事前配置することと、結腸鏡を用いてS状結腸及び外側シースを少なくとも部分的に直線化することと、結腸鏡及び結腸鏡シースを除去して、オーバーチューブの挿入のために事前配置された外側シースを残すことと、を含み得る。特定の実施形態では、方法は、オーバーチューブを通して1つ以上のロボット手術工具を挿入して、オーバーチューブから伸長させて標的部位にアクセスすることを含み得る。特定の実施形態では、方法は、標的部位において1つ以上のロボット工具を用いてロボット手術処置を行うことを含み得る。
【0013】
本開示の少なくとも1つの態様によると、医療デバイスを展開するためのシステムは、内視鏡直径を有する内視鏡であって、内視鏡が、身体管腔の湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動するように構成されている、内視鏡と、内視鏡直径よりも大きいオーバーチューブ外径を有するオーバーチューブと、を含み得る。オーバーチューブは、湾曲部が少なくとも部分的に直線化されるまで、身体管腔の湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動するように構成されなくてもよい。システムはまた、内視鏡外径と相補的なサイズの第1のシース内径、及び第1のシース外径を有する第1のシースを含み得る。システムはまた、第1のシースの外径とオーバーチューブの外径との両方に相補的なサイズの第2のシース内径を有する、第2のシースを含み得る。特定の実施形態では、内視鏡直径は、約13mm以下であり得、オーバーチューブ直径は、約18mm以上である。
【0014】
主題の開示の実施形態のこれらの特徴及び他の特徴は、図面と組み合わせてとられる以下の詳細な説明から、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
主題の開示が関連する当業者が過度な実験なしに、主題の開示のデバイス及び方法をどのように行い、及びどのように使用するかを容易に理解するように、それらの実施形態が特定の図面を参照して本明細書で詳細に説明される。
【0016】
【
図2A】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、方法は、結腸鏡を用いてS状結腸を移動することを含む。
【
図2B】本開示による方法の一部分を示しており、方法は、結腸鏡を用いて、S状結腸を少なくとも部分的に直線化すること、例えば、S状結腸が結腸鏡上で短縮されるように直線化することを含む。
【
図2C】本開示による方法の一部分を示しており、方法は、結腸鏡の上に第1のシース及び第2のシースを挿入することを含む。
【
図2D】結腸鏡の上に第1のシース及び第2のシースを有する、身体管腔内の
図2Cの構造の断面図を示す。
【
図2E】本開示による方法の一部分を示しており、方法は、第1のシース及び結腸鏡を(例えば同時に、又は例えば最初に結腸鏡を)除去して、第2のシースを所定の位置に残すことを含む。
【
図2F】第2のシースのみを有する、身体管腔内の
図2Eの残りの構造の断面図を示す。
【
図2G】本開示による方法の一部分を示す図であり、方法は、複数の管腔を有するオーバーチューブを第2のシースに挿入することを含む(例えば、オーバーチューブは、挿入中にビデオスコープが内部に配設されている)。
【
図2H】オーバーチューブの周囲に第2のシースを有する、身体管腔内の
図2Eの構造の断面図を示す。
【
図3A】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、第1のシース及び第2のシースを上部に有する内視鏡(例えば、結腸鏡)が身体管腔(例えば、S状結腸)に挿入されている。
【
図3B】内視鏡が標的部位に向かって移動している、本開示による方法の一実施形態の一部分を示す。
【
図3C】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、内視鏡が、標的部位又はその近くに配置されている。
【
図3D】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、第1のシース及び第2のシースは、第2のシースの遠位端が標的部位又はその近くにあるように、内視鏡が標的部位又はその近くに配置されている間に、標的部位に向かって内視鏡の上を前進している。
【
図3E】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、第1のシース及び内視鏡が除去され、標的部位又はその近くに配置される遠位端を有する第2のシースを残したままになっている。
【
図3F】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、オーバーチューブが、標的部位又はその近くに配置されるように、第2のシースを通って挿入され前進している。
【
図3G】本開示による方法の一実施形態の一部分を示しており、複数の器具(例えば、ロボット制御されるように構成されている)が、オーバーチューブを通って前進し、オーバーチューブから伸長し、標的部位又はその近くに配置されて、標的部位に作用できるようになっている。
【
図3H】標的部位に配置されて示される
図3Gのアセンブリの遠位端の斜視図であり、アセンブリが、オーバーチューブ、オーバーチューブを通って伸長するビデオスコープ、及びオーバーチューブを通って伸長する2つの器具を有することを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、図面を参照するが、図面では、同一の参照符号は、主題の開示の類似の構造的特徴又は態様を識別する。限定ではなく、説明及び例示の目的のために、本開示による方法の一実施形態の例示的な図が
図1に示され、参照文字100によって全体的に指定される。本開示の他の実施形態及び/又は態様が、
図2A~
図3Hに示されている。
【0018】
本開示の少なくとも1つの態様に従って、
図1及び
図2A~
図2Hに示す実施形態を参照すると、方法100は、例えば、ブロック101において、第1のデバイス201(例えば、結腸鏡などの内視鏡)を、湾曲部204(例えば、S状結腸、脾弯曲部、及び/又は任意の他の好適な湾曲部)を有する身体管腔203(例えば、結腸又は任意の他の好適な身体管腔)内に挿入することを含み得る。方法100は、例えばブロック103において、第1のシース直径を有する第1のシース205を第1のデバイス201の上で摺動させることと、例えばブロック105において、第1のシース直径よりも大きい第2のシース直径を有する第2のシース207を第1のデバイス201の上で摺動させることと、を含み得る。方法100は、例えばブロック107において、第1のデバイス201を湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動させることを含み得る。
【0019】
方法100はまた、例えばブロック109において、第1のデバイス201を少なくとも部分的に直線化して、湾曲部を少なくとも部分的に直線化することを含み得る。特定の実施形態では、特定の身体管腔203(例えば、S状結腸など)を直線化することは、腸重積症とも呼ばれる、組織の短縮(例えば、蛇腹などの、組織のそれ自体への折り畳み)を引き起こし得る。
【0020】
方法100は、例えばブロック111において、第1のデバイス201及び第1のシース205を身体管腔203から除去して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部内の所定の位置に第2のシース207を残すことを含み得る。方法100は、例えばブロック113において、第2のデバイス209を第2のシース207内に導入して、少なくとも部分的に直線化された湾曲部を通して、第2のデバイス209を第2のシース207の開口部まで移動させることを含み得る。第2のシース207は、第1のデバイス201及び第1のシース205が除去されたときに、第2のデバイス209の挿入のために身体管腔203が好適に直線に維持されるように、身体管腔203を少なくとも部分的に直線化された位置に維持するのに適した剛性を有し得る。
【0021】
特定の実施形態では、
図2Bに示すように、第1のシース205を第1のデバイス201の上で摺動させることは、第1のデバイス201を少なくとも部分的に直線化した後、かつ第1のデバイス201を身体管腔203から除去する前に行われ得る。特定の実施形態では、第2のシース207を第1のシース205の上で摺動させることは、第1のシース205を少なくとも部分的に直線化された第1のデバイス201の上で摺動させた後、かつ第1のデバイス201を身体管腔203から除去する前に行われ得る。
【0022】
特定の実施形態では、第1のシース205及び第2のシース207は、一緒に第1のデバイス201の上で摺動し得る。特定の実施形態では、第1のデバイス201を除去することは、第1のデバイス201及び第1のシース205を一緒に又は連続して除去することを含み得る。特定の実施形態では、第1のデバイス201を挿入することは、例えば、
図3Aに示すように、第1のシース205が第1のデバイス201の上にあり、第2のシース207が第1のシース205の上にある状態で、第1のデバイス201を挿入することを含み得る。
【0023】
特定の実施形態では、第2のデバイス209は、第1のデバイス201よりも伸展性が低くなり、かつ/又は操向性が低くなり得る。例えば、第2のデバイス209の直径は、例えば、第1のデバイス201の直径よりも大きくなり得る。特定の実施形態では、第1のデバイス201の直径は、約13mm以下であり得、第2のデバイス209の直径は、約18mm以上であり得る。本明細書では、任意の好適な相対的サイズが考えられる。特定の実施形態では、第2のデバイス209は、身体管腔203の1つ以上の湾曲部を通る操向又は屈曲が可能ではないが、第1のデバイス201は、それが可能である。
【0024】
特定の実施形態では、第1のデバイス201は、第1のシース205内に適合するように構成された内視鏡であり得る。特定の実施形態では、第2のデバイス209は、第2のシース207内に適合するように構成されたオーバーチューブ(例えば、
図2G、及び
図3F~
図3Hに示されるように)であり得るか、又はオーバーチューブを含み得る。特定の実施形態では、第1のデバイス201の長さは、第1のシース205の長さよりも長く、一方、第1のシース205の長さは、第2のシース207の長さよりも長い。第1のシース205及び第2のシース207は、例えば、第1のシース205及び第2のシース207の遠位端に形成されたテーパ端211(例えば、
図3A)を含み得る。これは、第2のシース207が、第1のシース205の上で摺動し、第1のシース205が、少なくとも部分的に直線化された第1のデバイス201の上で摺動することを支援して、例えば、追従性(医療デバイスが湾曲部の周囲で先端に追従する能力)、操向性、及びトルク付与性を制御することができる。
【0025】
図2A~
図2Hは、本開示による方法の一実施形態を示している。
図2Aは、結腸鏡を用いてS状結腸を移動することを含み得る、方法の一実施形態の一部分を示している。
図2Bは、結腸鏡を用いて、S状結腸を少なくとも部分的に直線化すること、例えば、S状結腸が結腸鏡上で短縮するようにすることを含み得る、方法の一部分を示している。
図2Cは、第1のシース及び第2のシースを結腸鏡の上で挿入することを含み得る、方法の一部分を示している。
図2Dは、結腸鏡の上に第1のシース及び第2のシースを有する、身体管腔内の
図2Cの方法に示される構造の断面図を示している。
図2Eは、第1のシース及び結腸鏡を(例えば同時に、又は例えば最初に結腸鏡を)除去して第2のシースを所定の位置に残すことを含み得る、方法の一部分を示している。
図2Fは、第2のシースのみを有する、身体管腔内の
図2Eの残りの構造の断面図を示している。
図2Gは、複数の管腔を有するオーバーチューブを第2のシース内に挿入することを含み得る(例えば、オーバーチューブは、挿入中に内部に配設されるビデオスコープを有する)、方法の一部分を示している。
図2Hは、オーバーチューブの周囲に第2のシースを有する、身体管腔内の
図2Eの方法から得られる断面図を示している。
【0026】
図3A~
図3Hは、本開示による、方法の一実施形態を示している。
図3Aは、身体管腔内(例えば、S状結腸)に挿入される、第1のシース及び第2のシースを上部に有する内視鏡(例えば、結腸鏡)を示している。
図3Bは、標的部位に向かって移動する内視鏡を示している。
図3Cは、標的部位又はその近くに配置される内視鏡を示している。
図3Dは、第2のシースの遠位端が標的部位又はその近くにあるように、内視鏡が標的部位又はその近くに配置されている間に、標的部位に向かって内視鏡の上で前進している、第1のシース及び第2のシースを示している。
図3Eは、標的部位又はその近くに配置される遠位端を有する第2のシースを残して除去される、第1のシース及び内視鏡を示している。
図3Fは、標的部位又はその近くに配置されるように、第2のシースを通して挿入され前進するオーバーチューブを示している。
図3Gは、複数の器具(例えば、ロボット制御されるように構成されている)が、オーバーチューブから伸長するように、オーバーチューブを通って前進し、標的部位に作用できるように、標的部位又はその近くに配置されている様子を示している。
図3Hは、標的部位に配置されて示される
図3Gのアセンブリの遠位端の斜視図であり、アセンブリが、オーバーチューブ209、オーバーチューブ209を通って伸長するビデオスコープ313、及びオーバーチューブ209を通って伸長する2つの器具315、317を有することが示されている。
【0027】
図3B~
図3Hに示すように、特定の実施形態では、湾曲部を移動することは、第2のシース207の開口部を標的部位202(例えば、ロボット手術のための部位)又はその近くに配置することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、第2のデバイス209を第2のシース207から標的部位202まで伸長することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、1つ以上のロボット手術工具を、第2のデバイス209を通して挿入して、標的部位202へのアクセスのために第2のデバイス209から伸長させることを含み得る。本明細書では、任意の他の好適な処置が考えられる。
【0028】
特定の実施形態では、身体管腔203は、結腸である。例えば、湾曲部は、S状結腸であり得る。本明細書では、任意の他の好適な身体管腔又はその湾曲部(例えば、脾弯曲部)が考えられる。
【0029】
本開示の少なくとも1つの態様によると、方法は、外側シースからS状結腸を超えた腸内位置の標的部位に向かって伸長するように、事前配置された外側シースを通してオーバーチューブを移動させることを含み得る。特定の実施形態では、方法はまた、結腸鏡及び結腸鏡シースを用いて、S状結腸を横断するように外側シースを事前配置することと、結腸鏡を用いてS状結腸及び外側シースを少なくとも部分的に直線化することと、結腸鏡及び結腸鏡シースを除去して、オーバーチューブの挿入のために事前配置された外側シースを残すことと、を含み得る。特定の実施形態では、方法は、オーバーチューブを通して1つ以上のロボット手術工具を挿入して、オーバーチューブから伸長させて標的部位にアクセスすることを含み得る。特定の実施形態では、方法は、標的部位において1つ以上のロボット工具を用いてロボット手術処置を行うことを含み得る。
【0030】
本開示の少なくとも1つの態様によると、システムは、内視鏡直径を有する内視鏡(例えば、デバイス201)を含み得、内視鏡は、身体管腔の湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動するように構成される。システムは、内視鏡直径よりも大きいオーバーチューブ外径を有する、オーバーチューブ(例えば、オーバーチューブ209)を含み得る。オーバーチューブ(例えば、オーバーチューブ209)は、湾曲部が少なくとも部分的に直線化されるまで、身体管腔の湾曲部を通りかつ湾曲部を越えて移動するように構成されなくてもよい。システムはまた、内視鏡外径と相補的なサイズの第1のシース内径、及び第1のシース外径を有する第1のシース205を含み得る。システムはまた、第1のシースの外径とオーバーチューブの外径との両方に相補的なサイズの第2のシース内径を有する、第2のシース207を含み得る。特定の実施形態では、内視鏡直径は、約13mm以下であり得、オーバーチューブ直径は、約18mm以上である。オーバーチューブ209は、任意の好適なオーバーチューブ、例えば、医療デバイスが内部で前進/後退するための1つ以上の器具チャネルを内部に有する、可撓性の細長い挿入チューブ又は操向可能なシャフトであり得、手動及び/又はロボットで制御され得る。例えば、特定の実施形態では、オーバーチューブは、2022年11月29日に出願された所有者が共通するPCT出願第PCT/US2022/051259号に開示されているようなオーバーチューブであり得、本出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0031】
方法の実施形態は、特定の文字通りの順序、又は特定の示された順序で本明細書に開示されているが、方法は、所望の結果(例えば、身体管腔の湾曲部を通過した標的部位への第2のデバイスの導入)を達成するために、任意の好適な順序(例えば、文字通りの順序、示された順序、又は他の順序)で実行することができ、文字通りに記載された又は示された順序に限定されない。例えば、本明細書に開示される実施形態における動作の順序は、示されたとおりであり得、又は任意の他の好適な順序(例えば、第2のデバイスが導入される前に、第2のシースが少なくとも部分的に直線化された身体管腔内に留まるような順序)であり得る。例えば、第1のシース及び第2のシースは、
図1に関して上述したように、第1のデバイスを直線化する前に摺動させることができ、又は
図2A~
図2Hの実施形態に示すように、第1のデバイスを直線化した後に摺動させることができる。また、
図3A~
図3Hに示すように、第1のシース及び第2のシースは、内視鏡の挿入前に内視鏡上に配設され得る。
【0032】
実施形態は、特定の部分を有するように示されているが、実施形態は、任意の他の好適な方法及び/又はその部分を含み得る。本明細書では、任意の好適な追加ステップ又は代替ステップが考えられる。
【0033】
実施形態は、管腔の複雑な湾曲に関係なく、身体の任意の管腔内でロボット手術を提供するために使用され得る。例えば、S状結腸を越えた結腸内の処置が可能になる。実施形態は、例えば、S状結腸、下行結腸、脾弯曲部、及び/又は横行結腸内の部位を標的化するために、直腸を通して経管挿入されるロボット手術を可能にし得る。
【0034】
実施形態は、二重シース構成を含み得る。例えば、従来の結腸鏡はオーバーチューブよりも小さくすることができ、したがって、両方のタイプのシースを使用して、結腸鏡の除去とオーバーチューブの挿入とを可能にすることができる。
【0035】
方法の実施形態は、S状結腸を移動するために、2つのシースを有する直径のより小さい結腸鏡を使用することと、次いで、直線化することと、次いで、直径のより小さい結腸鏡及び第1のオーバーチューブ構成要素を引き出して、第2の、例えば、外側のシースを直線化された所定の位置に残すことと、次いで、直線化されたチャネルに直径のより大きいロボット手術オーバーチューブを挿入することと、を含み得る。実施形態は、直線化デバイスとして内視鏡を使用するように開示されているが、本明細書では、任意の好適な直線化デバイスが考えられる。
【0036】
当業者は、本明細書で開示された任意の数値は、厳密な値であり得、又は範囲内の値であり得ることを理解するであろう。更に、本開示において使用される近似の任意の用語(例えば、「約」、「大体」、「およそ」)は、範囲内の述べられた値を意味し得る。例えば、特定の実施形態では、範囲は、20%内(プラス若しくはマイナス)、又は10%内、又は5%内、又は2%内、又は当業者によって理解されるような任意の他の好適な割合若しくは数以内(例えば、既知の許容限度若しくは誤差の範囲に対する)とすることができる。
【0037】
本明細書で使用され、添付の特許請求の範囲において使用される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に他を示さない限り、項目の文法上の目的語のうちの1つ又は1つよりも多いもの(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「要素」は、1つの要素又は1つよりも多い要素を意味する。
【0038】
明細書及び特許請求の範囲において使用されるフレーズ「及び/又は」は、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、あるケースでは結合して存在し、他方のケースでは分離して存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」により表記される複数の要素は、同一の方式において解釈されるべきであり、すなわち、要素のうちの「1つ以上」がそのように結合されると解釈されるべきである。「及び/又は」の章によって特に識別された要素以外の他の要素は、特に識別されたそれらの要素に関連するか又は関連しないかに関わらず、任意選択で存在してもよい。よって、非限定的な例として、「A及び/又はB」との言及は、「備える」などの制限のない言語とともに使用されるとき、1つの実施形態では、Aのみ(任意選択で、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択で、A以外の要素を含む)、更なる別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などを指してもよい。
【0039】
明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、「又は」は、上記で定義されたように「及び/又は」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおいて項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的、すなわち、少なくとも1つを含むが、1つよりも多い数又はリストの要素をも含み、任意選択で、追加の表記されていない項目も含むとして理解されるべきである。「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちの厳密に1つ」、又は特許請求の範囲において使用されるとき、「~からなる」など、明確に反対に示される用語のみは、要素の数又はリストの厳密に1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「~の1つのみ」、又は「~の厳密に1つ」など、排他的な用語が前にあるとき、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではないが、一方又は他方」)としてのみ解釈されるべきである。
【0040】
任意の開示された実施形態及び/又はそれらの任意の好適な部分の任意の好適な組み合わせは、本開示を参照した当業者によって認識されるように本明細書で考えられる。
【0041】
上述され、図面において示された本開示の実施形態は、それらが関連する分野における改善をもたらす。主題の開示が特定の実施形態への参照を含むとともに、当業者は、主題の開示の精神及び範囲から逸脱することなく、それらへの変更及び/又は修正が行われてもよいことを容易に理解するであろう。
【国際調査報告】