(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】バッテリー装置及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545998
(86)(22)【出願日】2023-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2023012194
(87)【国際公開番号】W WO2024122797
(87)【国際公開日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0171446
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ハク・イン・キム
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
(57)【要約】
本発明は、主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置であって、前記補助バッテリーからのウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの状態を判断する制御部と、前記制御部の判断に基づいて、前記補助バッテリーから電力の供給を受けて前記主バッテリーを充電するブーストチャージャーと、を備えるバッテリー装置及びその運用方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置であって、
前記補助バッテリーからのウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの状態を判断する制御部と、
前記制御部の判断に基づいて、前記補助バッテリーから電力の供給を受けて前記主バッテリーを充電するブーストチャージャーと、
を備える、バッテリー装置。
【請求項2】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの充放電経路に接続される、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態で所定の第1の時間が過ぎた後に、前記制御部がスリーブモードに切り換えられる、請求項2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記スリーブモードにおいて、前記補助バッテリーから周期的に前記ウェイクアップ信号の供給を受けて前記制御部がウェイクアップされて前記主バッテリーの状態を判断する、請求項3に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの電圧が第1の設定電圧以下である場合に、前記補助バッテリーの電力により動作される、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーが前記第1の設定電圧よりも大きい第2の設定電圧以上の電圧に保たれるように前記主バッテリーを充電する、請求項5に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
モーター駆動型装置に装着されて前記主バッテリーはモーターに駆動力を与え、前記補助バッテリーは、電装部品に電力を与える、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
主バッテリーと、
前記主バッテリーの出力を外部の出力端子に接続する外部出力経路と、
周期的なウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの状態を判断する制御部と、
前記外部出力経路に接続され、充電電力を前記外部出力経路に与えて前記主バッテリーを充電するブーストチャージャーと、
前記ウェイクアップ信号を周期的に生じさせ、前記主バッテリーの電圧に基づいて、前記ブーストチャージャーに駆動電力を与える補助バッテリーと、
を備える、バッテリー装置。
【請求項9】
前記主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態で所定の時間が過ぎた後、前記補助バッテリーから周期的に前記ウェイクアップ信号の供給を受けて前記制御部が前記主バッテリーの状態を判断する、請求項8に記載のバッテリー装置。
【請求項10】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの電圧が第1の設定電圧以下である場合に前記補助バッテリーの電力により動作され、
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーが第2の設定電圧以上の電圧に保たれるように前記主バッテリーを充電する、請求項8又は9に記載のバッテリー装置。
【請求項11】
前記第1の設定電圧は2V以下であり、前記第2の設定電圧は3V以上である、請求項10に記載のバッテリー装置。
【請求項12】
主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置の運用方法であって、
前記主バッテリーが所定の時間の間に充電又は放電の動作を行わないことから、長期保管であると判断する過程と、
前記補助バッテリーからの所定の周期のウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの電圧を測定する過程と、
前記主バッテリーの電圧が所定の電圧以下である場合に、前記補助バッテリーの電力を用いてブーストチャージャーを動作させる過程と、
前記ブーストチャージャーにより前記主バッテリーの電圧が所定の電圧になるまで前記主バッテリーを充電する過程と、
を含む、バッテリー装置の運用方法。
【請求項13】
充電器が接続されれば、主バッテリーを正常に充電する過程と、前記充電器が接続されなければ、前記ブーストチャージャーの動作を終了した後に、前記主バッテリーの電圧を測定する過程から繰り返し行う過程と、をさらに含む、請求項12に記載のバッテリー装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー装置及びその運用方法に関し、特に、主バッテリーと補助バッテリーを備えるバッテリー装置の主バッテリーの長期保管のために補助バッテリーを用いるバッテリー装置及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な二次電池、すなわち、バッテリー(battery)は、スマートフォンなどのモバイル機器のエネルギー源として広範に用いられている。のみならず、バッテリーは、化石燃料を用いるガソリン車両、ディーゼル車両などによる大気汚染などの解決策として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの環境にやさしい自動車のエネルギー源としても用いられている。バッテリーを用いるアプリケーションの種類は非常に多様化しており、今後からは、現在よりはさらに多くの分野と製品にバッテリーが適用される見込みである。
【0003】
現在、商用化されているバッテリーとしては、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリー、リチウムイオンバッテリーなどが挙げられるが、中でも、リチウムイオンバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。また、リチウムイオンバッテリーは、小型・軽量に作製可能であることから、移動機器の電源として用いられ、電気自動車の電源へと使用範囲が広がって次世代のエネルギー貯蔵媒体として注目を集めている。
【0004】
このようなバッテリーは、単一のバッテリーセルとして用いられるよりは、バッテリーパックの形で用いられるのが普通である。バッテリーパックは、少なくとも1つ以上のバッテリーモジュールを備え、バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルからなり得る。また、バッテリーは、バッテリーセルと、バッテリーモジュール又はバッテリーパックの全般的な状態を管理するバッテリー管理装置(Battery Management System;BMS)と、を備えている。
【0005】
一方、主バッテリーと補助バッテリーを備えるバッテリー装置を用いて電力消耗装置に適用することが可能である。例えば、環境にやさしい自動車は、ホイールに回転力を供給する電気モーターに与えられる電気エネルギーを貯蔵する高電圧の主バッテリーと、前照灯、ワイパーなどといったように、車両の電装負荷に電源を供給する低電圧の補助バッテリーと、を備える。すなわち、環境にやさしい自動車に適用されるバッテリー装置は、主バッテリーと補助バッテリーを備えていてもよい。
【0006】
主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置は、バッテリー装置を使用しない所定の期間(すなわち、主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の時間)の間に補助バッテリーの電力を用いて主バッテリーの健康状態(SOC:State of Charge)などの状態を確認する。すなわち、長期未使用の期間の間に補助バッテリーの電力を用いてBMSがウェイクアップされて主バッテリーの状態を測定する。
【0007】
ところが、リチウムイオンバッテリーの特性からみて、SOCが所定のレベルよりも低い電圧ではエネルギーが少ないため、BMSを低電力モードにて運用して主バッテリーの再充電可能時間を最大限に確保しようとする。しかしながら、少ないエネルギーのため、SOCが所定のレベルよりも低い場合に再充電を行える期間が長くない。例えば、1.5kWのバッテリーパックの場合、再充電期間が約80日である。したがって、高価なリチウムイオンバッテリーの再使用可能時間を最大限に長く設定することが好ましい。
【0008】
これと関わる先行技術としては、下記に掲げるような特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0069416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、主バッテリーと補助バッテリーを備えるバッテリー装置及びその運用方法を提供する。
【0011】
本発明は、補助バッテリーの電力を用いて主バッテリーを充電するようにして、主バッテリーの長期保管のための再使用可能期間を延ばすことのできるバッテリー装置及びその運用方法を提供する。
【0012】
本発明は、長期未使用の期間の間に主バッテリーの電圧が所定の電圧以下である場合に、補助バッテリーの電力を用いてブーストチャージャーを動作させて主バッテリーを所定の電圧以上に充電するバッテリー装置及びその運用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一例に係るバッテリー装置は、主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置であって、前記補助バッテリーからのウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの状態を判断する制御部と、前記制御部の判断に基づいて、前記補助バッテリーから電力の供給を受けて前記主バッテリーを充電するブーストチャージャーと、を備える。
【0014】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの充放電経路に接続される。
【0015】
前記主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態で所定の第1の時間が過ぎた後に、前記制御部がスリーブモードに切り換えられる。
【0016】
前記スリーブモードにおいて、前記補助バッテリーから周期的に前記ウェイクアップ信号の供給を受けて前記制御部がウェイクアップされて前記主バッテリーの状態を判断する。
【0017】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの電圧が第1の設定電圧以下である場合に、前記補助バッテリーの電力により動作される。
【0018】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーが前記第1の設定電圧よりも大きい第2の設定電圧以上の電圧に保たれるように前記主バッテリーを充電する。
【0019】
モーター駆動型装置に装着されて前記主バッテリーはモーターに駆動力を与え、前記補助バッテリーは、電装部品に電力を与える。
【0020】
本発明の他の例に係るバッテリー装置は、主バッテリーと、前記主バッテリーの出力を外部の出力端子に接続する外部出力経路と、周期的なウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの状態を判断する制御部と、前記外部出力経路に接続され、充電電力を前記外部出力経路に与えて前記主バッテリーを充電するブーストチャージャーと、前記ウェイクアップ信号を周期的に生じさせ、前記主バッテリーの電圧に基づいて、前記ブーストチャージャーに駆動電力を与える補助バッテリーと、を備える。
【0021】
前記主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態で所定の時間が過ぎた後、前記補助バッテリーから周期的に前記ウェイクアップ信号の供給を受けて前記制御部が前記主バッテリーの状態を判断する。
【0022】
前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーの電圧が第1の設定電圧以下である場合に、前記補助バッテリーの電力により動作され、前記ブーストチャージャーは、前記主バッテリーが第2の設定電圧以上の電圧に保たれるように前記主バッテリーを充電する。
【0023】
前記第1の設定電圧は2V以下であり、前記第2の設定電圧は3V以上である。
【0024】
本発明のさらに他の例に係るバッテリー装置の運用方法は、主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置の運用方法であって、前記主バッテリーが所定の時間の間に充電又は放電の動作を行わないことから、長期保管であると判断する過程と、前記補助バッテリーからの所定の周期のウェイクアップ信号に基づいて、前記主バッテリーの電圧を測定する過程と、前記主バッテリーの電圧が所定の電圧以下である場合に前記補助バッテリーの電力を用いてブーストチャージャーを動作させる過程と、前記ブーストチャージャーにより前記主バッテリーの電圧が所定の電圧になるまで前記主バッテリーを充電する過程と、を含む。
【0025】
前記バッテリー装置の運用方法は、充電器が接続されれば、主バッテリーを正常に充電する過程と、前記充電器が接続されなければ、前記ブーストチャージャーの動作を終了した後に、前記主バッテリーの電圧を測定する過程から繰り返し行う過程と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態に係る主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置は、主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の時間が過ぎた後、補助バッテリーの電力を用いて制御部を備えるBMSがウェイクアップされて主バッテリーの状態をモニタリングするようにする。また、本発明は、主バッテリーが充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の時間が過ぎた後(すなわち、主バッテリーの長期未使用のとき)、主バッテリーが設定電圧よりも低い場合に補助バッテリーの電力を用いてブーストチャージャーを動作させ、ブーストチャージャーを介して主バッテリーを充電して主バッテリーが設定電圧以上の電圧に保たれるようにする。したがって、長期未使用の際に主バッテリーの電圧を一定の電圧に長期にわたって保つことができ、それにより、主バッテリーの長期保管のための再使用可能期間を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置が適用された環境にやさしい自動車のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の運用方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化されることが可能なものであって、以下の実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置は、バッテリー装置が装着される電力消耗装置の駆動に必要な第1の電力を貯蔵しかつ与える主バッテリー100と、主バッテリー100の第1の電力よりも低いか又はそれに等しい第2の電力を貯蔵しかつ与える補助バッテリー200と、主バッテリー100の電圧などの状態を測定する測定部300と、補助バッテリー200からのウェイクアップ信号に基づいて、ウェイクアップされて主バッテリー100の状態を判断する制御部400と、補助バッテリー200から電力の供給を受けて主バッテリー100を充電するためのブーストチャージャー500と、を備えていてもよい。ここで、本発明のバッテリー装置は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の第1の時間が過ぎた後、制御部400を備えるBMSがスリーブモード(sleep mode)に切り換えられ、スリーブモードにおいて、補助バッテリー200の電力を用いて、制御部400を備えるBMS Aがウェイクアップされて主バッテリー100の状態をモニタリングするようにする。また、本発明は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の第2の時間が過ぎた後(すなわち、主バッテリー100の長期未使用のとき)、主バッテリー100が設定電圧よりも低い場合に、補助バッテリー200の電力を用いてブーストチャージャー500を動作させ、ブーストチャージャー500を介して主バッテリー100が設定電圧以上の電圧に保たれるようにする。ここで、前記第1及び第2の時間は、同じ時間であってもよいし、あるいは、第2の時間が第1の時間よりも長い時間であってもよい。また、長期未使用は、「主バッテリー100のSOCが使い尽くされた後」、すなわち、「SOCが0%となり、所定の時間が過ぎた後」に設定されてもよい。例えば、主バッテリー100の容量によるが、SOCが0%となってから約80日の後に主バッテリー100が完全放電可能であるため、それ以前に設定された時間を長期未使用と判断してもよい。このようにすることで、主バッテリー100のSOCが所定のレベル以下、例えば、SOCが0%である場合に再充電を行える期間を延ばすことができる。一方、測定部300と、制御部400及びブーストチャージャー500は、主バッテリー100を管理するためのBMS Aを構成する。すなわち、測定部300と、制御部400及びブーストチャージャー500は、BMS Aの一部であってもよい。このような本発明の一実施形態に係るバッテリー装置を各構成要素ごとにさらに詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0031】
1.主バッテリー
【0032】
主バッテリー100は、電力消耗装置を駆動する電気エネルギー源である。すなわち、主バッテリー100は、第1の電力を貯蔵しかつ与えて電力消耗装置を駆動する。ここで、電力消耗装置は、電動スクーター、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの運送手段を網羅し得る。本実施形態の電力消耗装置は、
図2に示されているように、インバーター600及びモーター700を備える環境にやさしい自動車であってもよく、主バッテリー100は、インバーター600を介してモーター700を駆動するための電力を与える。また、主バッテリー100は、充放電経路に設けられてもよい。充放電経路とは、主バッテリー100への充電電流及び主バッテリー100からの放電電流が流れる経路のことであって、主バッテリー100の正極端子P+と主バッテリー100の負極端子P-とを接続する電気的な経路であってもよい。
【0033】
主バッテリー100は、少なくとも1つのバッテリーパックを備えていてもよい。このとき、少なくとも1つのバッテリーパックは、それぞれ複数のバッテリーモジュールを備えていてもよく、バッテリーモジュールは、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えていてもよい。すなわち、主バッテリー100は、複数のバッテリーセルを備え、複数のバッテリーセルを所定の単位で束ねてバッテリーモジュールをなしてもよいし、あるいは、複数のバッテリーモジュールが1つのバッテリーパックをなしてもよい。一方、複数のバッテリーセルは、電力消耗装置のスペック(specification)に見合うように様々な方法により直列に及び/又は並列に接続され得る。いうまでもなく、複数のバッテリーセルをそれぞれ備える複数のバッテリーパックもまた直列に及び/又は並列に接続され得る。ここで、バッテリーセルの種類は特に限定されず、例えば、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリーなどから構成してもよい。
【0034】
2.補助バッテリー
【0035】
補助バッテリー200は、主バッテリー100の第1の電力よりも低い第2の電力を貯蔵しかつ与える。すなわち、補助バッテリー200は、主バッテリー100よりも低い電圧及び電流を有していてもよい。例えば、補助バッテリー200は、14Vの電圧と、6Ahの電流量を有していてもよい。このような補助バッテリー200は、環境にやさしい自動車の場合に、環境にやさしい自動車を駆動するための電力を与えず、環境にやさしい自動車の周辺部品に必要な電力を与える。すなわち、補助バッテリー200は、モーター700を駆動するための電力を与えず、各種の電装部品を駆動するための電力を与える。また、本発明の補助バッテリー200は、ウェイクアップ信号を供給してBMS Aをウェイクアップさせる機能をする。すなわち、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の時間が過ぎた後、補助バッテリー200の電力を用いて制御部400を備えるBMS Aがウェイクアップされて主バッテリー100の状態をモニタリングするようにする。また、ウェイクアップされた主バッテリー100の電圧が設定電圧よりも低い場合、補助バッテリー200は、ブーストチャージャー500を動作させる電力を与える。補助バッテリー200の電力によりブーストチャージャー500が動作されて主バッテリー100を充電し、それにより、主バッテリー100が設定電圧以上の電圧に保たれるようにする。
【0036】
補助バッテリー200は、環境にやさしい自動車に装着されてもよい。すなわち、主バッテリー100及びBMSからなるバッテリー装置が環境にやさしい自動車に装着された補助バッテリー200と接続されて本発明のバッテリー装置が構成されてもよい。このような補助バッテリー200は、充放電可能であり得る。このとき、補助バッテリー200は、環境にやさしい自動車の回生発電により充電されてもよいし、あるいは、主バッテリー100とともに外部の充電装置により充電されてもよい。このような補助バッテリー200は、主バッテリー100と同様に、複数のバッテリーセルを備えていてもよく、リチウム系のバッテリーセルであってもよい。すなわち、補助バッテリー200は、充電及び放電可能な複数のバッテリーセルが直列にもしくは並列に接続されたバッテリーパックの形状に形成され、このようなバッテリーパックを複数備えていてもよい。いうまでもなく、補助バッテリー200は、主バッテリー100とは異なり、例えば、鉛蓄電池からなる場合もある。
【0037】
3.測定部
【0038】
測定部300は、主バッテリー100の状態を測定するために設けられてもよい。例えば、測定部300は、主バッテリー100の電流、電圧、温度などを測定することができる。また、測定部300は、バッテリーパック、バッテリーモジュール及びバッテリーセルの電流及び電圧などの状態を測定することができる。すなわち、測定部300は、複数のバッテリーセルのそれぞれの状態を測定することもでき、複数のバッテリーセルが束ねられたバッテリーモジュールの状態を測定することもでき、複数のバッテリーモジュールが束ねられたバッテリーパックの状態を測定することもできる。このために、測定部300は、複数のセンサーを備えていてもよい。すなわち、測定部300は、少なくとも1つの電流センサーと、少なくとも1つの電圧センサー及び少なくとも1つの温度センサーを備えていてもよい。電圧センサーと、電流センサー及び温度センサーは、制御部400の制御に従って主バッテリー100の電流、電圧及び温度を周期的に測定し、測定結果を制御部400に与える。ここで、電圧センサーは、主バッテリー100の正極と負極との間に印加される電圧に相当する信号を生成して制御部400に与える。電圧センサーは、一例として、主バッテリー100の正極及び負極端子の間の電圧差に相当する電圧信号を出力する差動増幅回路を備えていてもよい。また、電流センサーは、センス抵抗又はホールセンサーであって、充電電流の大きさに相当する信号を生成して制御部400に与える。電流センサーは、充電電流のみならず、放電電流の大きさをも測定することができる。温度センサーは、一例として、温度の測定に用いられるサーモカプラーであってもよい。温度センサーは、主バッテリー100の温度に相当する信号を生成して制御部400に提供する。
【0039】
4.制御部
【0040】
制御部400は、主バッテリー100の電圧に基づいて、不図示の充放電スイッチを制御して主バッテリー100の充電及び放電を制御する。また、本発明の制御部400は、主バッテリー100が充電及び放電を設定された時間の間に行わない場合、BMS Aをスリーブモード(sleep mode)に切り換える。このように、スリーブモードに切り換えられた状態で、制御部400は、補助バッテリー200の電力によりウェイクアップされる。すなわち、補助バッテリー200は、所定の周期ごとにウェイクアップ信号を与え、それにより、制御部400はウェイクアップされて主バッテリー100をモニタリングする。このとき、補助バッテリー200により測定部300もまたウェイクアップされて主バッテリー100の状態を測定するが、少なくとも測定部300の電圧センサーがウェイクアップされて主バッテリー100の電圧を測定する。また、制御部400は、主バッテリー100の電圧が設定された電圧以下である場合に、補助バッテリー200を用いて主バッテリー100を充電するように制御する。すなわち、主バッテリー100の電圧が、例えば、2V以下である場合に、制御部400は、補助バッテリー200に制御信号を印加して補助バッテリー200がブーストチャージャー500を駆動できるようにする。
【0041】
5.ブーストチャージャー
【0042】
ブーストチャージャー500は、主バッテリー100の充放電経路の上に設けられて主バッテリー100を充電することができる。このようなブーストチャージャー500は、補助バッテリー200から所定の電圧の印加を受けて主バッテリー100を充電するための電圧を生産する。すなわち、ブーストチャージャー500は、補助バッテリー200から所定の電圧の供給を受け、供給を受けた電圧を用いて所定の電圧を生産して主バッテリー100に供給することにより、主バッテリー100が所定の電圧に充電されるようにすることができる。例えば、補助バッテリー200から14Vの電圧の供給を受けてこれを42Vにブーストアップして主バッテリー100を充電し、主バッテリー100が3Vになるまで充電する。
【0043】
上述したように、本発明の一実施形態に係る主バッテリー100及び補助バッテリー200を備えるバッテリー装置は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の第1の時間が過ぎた後、補助バッテリー200の電力を用いて制御部400を備えるBMSがウェイクアップされて主バッテリー100の状態をモニタリングするようにする。また、本発明は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の第2の時間が過ぎた後(すなわち、主バッテリー100の長期未使用のとき)、主バッテリー100が設定電圧よりも低い場合に、補助バッテリー200の電力を用いてブーストチャージャー500を動作させ、ブーストチャージャー500を介して主バッテリー100が設定電圧以上の電圧に保たれるようにする。例えば、主バッテリー100が2V以下である場合に、補助バッテリー200の電力を用いてブーストチャージャー500が動作されて主バッテリー100が3V以上に保たれるようにする。したがって、長期未使用の際に主バッテリー100の電圧を一定の電圧に長期にわたって保つことができ、それにより、主バッテリー100の長期保管のための再使用可能期間を延ばすことができる。
【0044】
表1は、従来と本発明の再使用期間を比較したものである。すなわち、補助バッテリーを用いてブーストチャージャーを動作させて主バッテリーを充電する本発明の場合と、そうではない従来の場合とを表1にまとめて示す。ここで、本発明に適用された補助バッテリーは、14Vの電圧と6Ahの電気量を有しており、効率80%を考慮したときに充電可能な容量が1600mAhである。
【0045】
【0046】
表1に示されているように、スリーブモードにおいて、従来には容量が441mAhであるが、本発明は1696mAhに大幅に増え、再使用可能期間もまた、従来には36.55日であるが、本発明は138.4日に大幅に延びる。また、シャットダウンモードにおいて、従来には容量が121mAhであるが、本発明は465mAhに増え、再使用可能期間もまた、従来には45.5日であるが、本発明は171.6日に大幅に延びる。結局、全体の再使用可能期間は、従来には約82日であるが、本発明は310日に大幅に延びることが分かる。
【0047】
このような本発明の一実施形態に係るバッテリー装置は、
図2に示されているように、インバーター600及びモーター700を備える環境にやさしい自動車に適用可能である。すなわち、
図2に示されているように、主バッテリー100と、測定部300と、制御部400及びブーストチャージャー500が主バッテリー装置1000を構成し、主バッテリー装置1000が補助バッテリー200と、インバーター600及びモーター700を備える環境にやさしい自動車2000に適用可能である。このとき、環境にやさしい自動車に適用された主バッテリー装置1000は、制御部400及びブーストチャージャー500が補助バッテリー200と接続されてもよい。したがって、制御部400が所定の間隔にて補助バッテリー200によりウェイクアップされ、ブーストチャージャー500が補助バッテリー200により動作されることができる。このような環境にやさしい自動車を構成する各構成要素についてさらに詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0048】
6.インバーター
【0049】
インバーター600は、環境にやさしい自動車が走行可能なようにモーター700を駆動する。すなわち、インバーター600は、主バッテリー100の直流電源をモーター700に使用する交流電源に変換し、正確な充電を保持し、モーター700の回転速度及びトルクの調節に影響を与える。いうまでもなく、直流モーターを用いる環境にやさしい自動車は、インバーターが不要であるものの、高性能の交流モーターを用いるためには、周波数と電圧及び回転数とトルクを自由に変化可能なインバーターが欠かせない必須品である。
【0050】
7.モーター
【0051】
モーター700は、環境にやさしい自動車に駆動力を与えることができる。すなわち、モーター700は、インバーター600を介して主バッテリー100から供給されるエネルギーを用いて環境にやさしい自動車が動くようにホイール駆動力を与えることができる。このようなモーター700は、例えば、誘導モーター、永久磁石同期モーター、リラクタンスモーター(reluctance motor)のうちの少なくとも1つから構成されてもよい。一方、環境にやさしい自動車は、モーター700を制御するためのモーター制御器をさらに備えていてもよい。モーター制御器は、アクセルペダルの操作量及び速度を検出して、そこから意図の通りのトルクの変化をもたらすように車速や負荷などの条件に従ってモーター700のトルク及び回転速度を制御する。直流モーターは、電流がトルク制御を、かつ、電圧が速度制御を行い、交流モーターは、振幅がトルク制御を、かつ、周波数が速度制御を行う。
【0052】
一方、図示はしないが、環境にやさしい自動車は、回生発電装置をさらに備えていてもよい。回生発電装置は、環境にやさしい自動車のエネルギーの消費を減らすために設けられてもよい。環境にやさしい自動車は、モーター700が発電機と同一の構造を有しており、電流を流せば回転し、逆に、外から力をかけて回転させれば発電機となる。環境にやさしい自動車が走行中である状態でブレーキを作動させて減速を実行すれば、自動車には、走行し続けようとする慣性力が生じるため、モーター700は、慣性力により逆駆動されて発電機として動作されることにより、電気を発電させ、これを回生発電と呼ぶ。また、自動車の制動に際しては、制動力の一部を電気の発電に使用し、発電された電気エネルギーを主バッテリー100及び/又は補助バッテリー200に充電することができる。
【0053】
また、補助バッテリー200により駆動される電装部品は、環境にやさしい自動車を構成する部品のうち、電気により駆動される電気電子部品を備えていてもよい。例えば、電装部品としては、走行に必要な灯火、照明装置(Lighting System)、走行及び運行に必要な情報をまとめて提供する計器装置(Cluster)、衝突の際に搭乗者の身体を保護するエアバッグシステム、運転者に各種の運行の利便性と情報を提供するボディコントロールシステム(BCS:Body Control System)、車両の室内の空気を自動的に浄化する空気清浄化システム(AQS:Air Quality System)、車両の室内の温湿度の調節を自動的に制御する自動空調制御システム、後進の際に後方の物体を識別して警報する後方警報システム(BWS:Back Warning System)などが挙げられる。これらの他にも、車両の盗難を防ぐためのセキュリティシステムや車両の状態を検出して運転者に予防整備情報を提供するビフォア・サービス警報システム(BSWS:Before Service Warning System)など多種多様な電装部品が挙げられる。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態に係る主バッテリー及び補助バッテリーを備えるバッテリー装置の運用方法を説明するためのフローチャートである。
【0055】
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の運用方法は、所定の時間の間に主バッテリーが充電又は放電の動作を行わないことから、長期保管であると判断する過程(S110)と、所定の間隔にて補助バッテリーのウェイクアップ信号に基づいて、主バッテリーの電圧を測定する過程(S120)と、主バッテリーが所定の電圧以下であるか否かを判断する過程(S130)と、主バッテリーの電圧が所定の電圧以下である場合に、補助バッテリーの電源を用いてブーストチャージャーを動作させる過程(S140)と、ブーストチャージャーにより主バッテリーの電圧が所定の電圧になるまで充電する過程(S150)と、を含んでいてもよい。この後、充電器が接続されれば、主バッテリーを正常に充電し、充電器が接続されなければ、ブーストチャージャーの動作を終了した後に、S110過程から繰り返し行う。このような本発明の一実施形態に係るバッテリー装置の運用方法を各過程ごとにさらに詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0056】
S110:本発明のバッテリー装置は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の時間が過ぎた後、制御部400を備えるBMSがスリーブモード(sleep mode)に切り換えられ、スリーブモードにおいて、補助バッテリー200の電力を用いて制御部400を備えるBMSがウェイクアップされて主バッテリー100の状態をモニタリングするようにする。また、本発明は、主バッテリー100が充電又は放電の動作を行わない状態に設定された所定の第2の時間が過ぎた後、主バッテリー100の長期未使用であると判断することができる。このとき、主バッテリー100の長期未使用は、「主バッテリー100のSOCが使い尽くされた後」、すなわち、「SOCが0%となり、所定の時間が過ぎた後」に設定され得る。例えば、主バッテリー100の容量によるが、SOCが0%となってから約80日の後に主バッテリー100が完全放電されるので、それ以前の設定された時間、例えば、1日~70日ののうちのいずれか1日を長期未使用と判断することができる。
【0057】
S120:主バッテリー100が長期未使用であると判断された後にも、補助バッテリー200からのウェイクアップ信号に基づいて、BMSがウェイクアップされて主バッテリー100の電圧を測定する。補助バッテリー200のウェイクアップ信号は、設定された周期にて生じることができ、それにより、BMSは、設定された周期ごとにウェイクアップされることが可能である。BMSがウェイクアップされれば、測定部300の電圧センサーが主バッテリー100の電圧を測定し、測定値を制御部400に引き渡す。
【0058】
S130:制御部400は、ウェイクアップされている間に測定部300からの電圧測定値を受け取り、設定された電圧よりも低いか否かを判断する。例えば、制御部400は、主バッテリー100の電圧が2V以下であるか否かを判断する。判断の結果、主バッテリー100の電圧が2V以上である場合に、所定の周期ごとに補助バッテリー200のウェイクアップ信号に基づいて、主バッテリー100の電圧を測定する過程(S120)を繰り返し行う。
【0059】
S140:制御部400は、主バッテリー100の電圧が2V以下であると判断されれば、補助バッテリー200を制御してブーストチャージャー500を動作させる。すなわち、補助バッテリー200は、ブーストチャージャー500を動作させるための電圧、例えば、14Vの電圧をブーストチャージャー500に与え、ブーストチャージャー500は、これを用いて主バッテリー100を充電するための電圧、例えば、42Vの電圧を生成する。
【0060】
S150:補助バッテリー200によりブーストチャージャー500から生成されたブースト電圧は、主バッテリー100に与えられて主バッテリー100が充電される。例えば、ブーストチャージャー500は、42Vのブースト電圧を主バッテリー100に供給して主バッテリー100を充電する。主バッテリー100が充電される間に、測定部300は、主バッテリー100の電圧を測定し、主バッテリー100の電圧が設定された電圧、例えば、3Vの電圧に達すると、制御部400は、補助バッテリー200を制御してブーストチャージャー500への電力の供給を中断してブーストチャージャー500の動作を停止する。すなわち、ブーストチャージャー500は、補助バッテリー200の電源を用いて主バッテリー100が、例えば、3Vの設定電圧になるまで主バッテリー100を充電する。
【0061】
この後、充電器が接続されれば、主バッテリー100を正常に充電し、充電器が接続されなければ、過程120から繰り返し行う。
【0062】
上述したような本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0063】
本発明において用いられている図面符号の各名称は、下記の通りである。
【符号の説明】
【0064】
100 主バッテリー
200 補助バッテリー
300 測定部
400 制御部
500 ブーストチャージャー
【国際調査報告】