(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】密閉された電子機器を備えたプロセス変数送信機のカスタマイズ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546021
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 US2023061161
(87)【国際公開番号】W WO2023150442
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリクセン、クリストファー リー
(72)【発明者】
【氏名】ウィンホールド、ニコラス アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ディーデ、クルト カルヴィン
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055FF38
2F055GG25
(57)【要約】
プロセス変数送信機(102)は、プロセス変数センサ(110)と、プロセス変数センサ(110)に結合された電磁干渉(EMI)保護回路(182)を含む。また、プロセス変数送信機(102)は、EMI保護回路(182)を密閉する密閉モジュール(104)と、密閉モジュール(104)内のEMI保護回路(182)に結合された電気コネクタ(132、134、136)を含む。電気コネクタ(132、134、136)は、EMI保護回路(182)の電子部品が過渡保護を提供する構成で接続されるように、密閉モジュール(104)の外部から構成可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス変数センサと、
プロセス変数センサに結合された、電磁干渉(EMI)保護回路と、
前記EMI保護回路を密閉する、密閉モジュールと、
前記密閉モジュール内の前記EMI保護回路に結合されており、前記EMI保護回路の電子部品が過渡保護を提供する構成で接続されるように、前記密閉モジュールの外部から構成可能な電気コネクタと、
を備える、プロセス変数送信機。
【請求項2】
前記密閉モジュール内の前記EMI保護回路に結合された前記電気コネクタは、前記EMI保護回路の前記電子部品を前記過渡保護のない標準構成で接続するように前記密閉モジュールの外部から構成可能である、請求項1に記載のプロセス変数送信機。
【請求項3】
前記電気コネクタは、前記EMI保護回路の前記電気部品のうち第1の電子部品に電気的に結合された第1の電気コネクタを備え、
前記第1の電子部品は、アクティブ導電体にさらに結合されている、
請求項2に記載のプロセス変数送信機。
【請求項4】
前記第1の電気コネクタは、前記第1の電子部品が前記過渡保護を提供できるように、前記密閉モジュールの外部にある電気接地コネクタに結合可能である、請求項3に記載のプロセス変数送信機。
【請求項5】
前記第1の電気コネクタは、前記第1の電子部品が前記過渡保護を提供できなくするように、前記密閉モジュールの外部から前記アクティブ導電体に結合可能である、請求項3に記載のプロセス変数送信機。
【請求項6】
前記密閉モジュールの第1の端部においてフィードスルー本体を更に備え、
前記電気コネクタは、前記フィードスルー本体を貫通し、前記フィードスルー本体に対して密閉された複数のフィードスルーピンを備え、
前記フィードスルーピンは、
前記密閉モジュールの内部にある第1のアクティブ導電体及び第2のアクティブ導電体と、前記密閉モジュールの外部にある第1のアクティブ導電体及び第2のアクティブ導電体との電気的結合を可能にする第1のアクティブ導電体用フィードスルーピン及び第2のアクティブ導電体用フィードスルーピンと、
前記密閉モジュールの内部にある電気接地コネクタと、前記密閉モードの外部にある電気接地コネクタとの電気的結合を可能にする電気接地用フィードスルーピンと、
前記EMI保護回路の前記電子部品のうち異なる部品に結合されており、前記電子部品の前記異なる部品の各々は、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体又は前記第2のアクティブ導電体にさらに結合されている、第1の追加フィードスルーピン及び第2の追加フィードスルーピンと、
を備える、
請求項1に記載のプロセス変数送信機。
【請求項7】
前記第1の追加フィードスルーピン及び前記第2の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部から前記過渡保護を可能にするように、前記密閉モジュールの外部にある前記電気接地コネクタに結合されている、請求項6に記載のプロセス変数送信機。
【請求項8】
前記過渡保護を無効にするように、
前記第1の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部にある前記第1のアクティブ導電体に結合されており、
前記第2の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部にある前記第2のアクティブ導電体に結合されている、
請求項6に記載のプロセス変数送信機。
【請求項9】
前記電子部品は、第1の過渡電圧抑制(TVS)ダイオード及び第2の過渡電圧抑制(TVS)ダイオードと、ガス入り放電管とを備える、請求項6に記載のプロセス変数送信機。
【請求項10】
前記第1のTVSダイオードは、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第1の追加フィードスルーピンに結合され、
前記第2のTVSダイオードは、前記密閉モジュール内の前記第2のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第2の追加フィードスルーピンに結合され、
前記ガス入り放電管は、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体及び前記第2のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第2の追加フィードスルーピンに結合される、
請求項9に記載のプロセス変数送信機。
【請求項11】
プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路を、外部に延びる電気コネクタを有する密閉モジュールに密閉し、
前記EMI保護回路の電子部品を、前記密閉モジュールの外部から前記電気コネクタを介して、過渡保護を提供する構成で接続する、
ことを含む、方法。
【請求項12】
前記EMI保護回路の前記電子部品を、前記密閉モジュールの外部から前記電気コネクタを介して、前記過渡保護のない標準構成で接続することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電気コネクタのうち第1の電気コネクタを、前記EMI保護回路の前記電気部品のうち第1の電子部品に電気的に結合する、ことを更に含み、
前記第1の電子部品は、アクティブ導電体にさらに結合されている、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電子部品によって前記過渡保護を提供するように、前記第1の電気コネクタを前記密閉モジュールの外部にある電気接地コネクタに結合する、ことを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電子部品が前記過渡保護を提供できなくするように、前記第1の電気コネクタを前記密閉モジュールの外部から前記アクティブ導電体に電気的に結合する、ことを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
プロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路と、
フィードスルー本体と、前記フィードスルー本体を貫通し前記フィードスルー本体に対して密閉された複数のフィードスルーピンと、を備える第1の端部を有する、前記EMI保護回路を密閉する、密閉モジュールと、
を備える、プロセス変数送信機であって、
前記フィードスルーピンは、前記密閉モジュール内の前記EMI保護回路に結合されており、前記EMI保護回路の電子部品が過渡保護を提供する構成で接続されるように、前記密閉モジュールの外部から構成可能である、
プロセス変数送信機。
【請求項17】
前記複数のフィードスルーピンは、
前記密閉モジュールの内部にある第1のアクティブ導電体及び第2のアクティブ導電体と、前記密閉モジュールの外部にある第1のアクティブ導電体及び第2のアクティブ導電体との電気的結合を可能にする第1のアクティブ導電体用フィードスルーピン及び第2のアクティブ導電体用フィードスルーピンと、
前記密閉モジュールの内部にある電気接地コネクタと、前記密閉モードの外部にある電気接地コネクタとの電気的結合を可能にする電気接地用フィードスルーピンと、
前記EMI保護回路の前記電子部品のうち異なる部品に結合されており、前記電子部品の前記異なる部品の各々は、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体又は前記第2のアクティブ導電体にさらに結合されている、第1の追加フィードスルーピン及び第2の追加フィードスルーピンと、
を含む、請求項16に記載のプロセス変数送信機。
【請求項18】
前記第1の追加フィードスルーピン及び前記第2の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部から前記過渡保護を可能にするように、前記密閉モジュールの外部にある前記電気接地コネクタに結合されている、請求項17に記載のプロセス変数送信機。
【請求項19】
前記過渡保護を無効にするように、
前記第1の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部にある前記第1のアクティブ導電体に結合されており、
前記第2の追加フィードスルーピンは、前記密閉モジュールの外部にある前記第2のアクティブ導電体に結合されている、
請求項17に記載のプロセス変数送信機。
【請求項20】
前記電子部品は、第1及び第2の過渡電圧抑制(TVS)ダイオードと、ガス入り放電管と、を備え、
前記第1のTVSダイオードは、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第1の追加フィードスルーピンに結合され、
前記第2のTVSダイオードは、前記密閉モジュール内の前記第2のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第2の追加フィードスルーピンに結合され、
前記ガス入り放電管は、前記密閉モジュール内の前記第1のアクティブ導電体及び前記第2のアクティブ導電体に結合され、かつ前記密閉モジュール内の前記第2の追加フィードスルーピンに結合され、
請求項17に記載のプロセス変数送信機。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロセス制御産業において、プロセス送信機は、腐食性の/危険な環境、又はその近くに設置されることが多い。従って、一部のプロセス送信機の構造では、承認要件を簡素化するために、送信機の電子機器は、顧客インターフェースとしてフライングリード線を有する密閉パッケージに収められている。密閉パッケージを実現するために、限られた数の電気信号が密閉されたヘッダインターフェースを通過する。
【0002】
通常、工業プロセス送信機には、標準保護又は過渡保護のオプションが提供される。過渡保護のオプションによって雷やその他の意図しないサージに対する保護が強化されるが、環境条件から保護されるべき追加の過渡抑制電子部品も必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施形態は、最終組立時に密閉ヘッダからの信号を出力コネクタに設定することにより、1つの共通の密閉モジュールが標準保護オプション及び過渡保護オプションの双方を提供することができるプロセス変数送信機の構造を提供する。これにより、一部の危険な場所の承認の障害を克服して遅い段階でのカスタマイズの能力を提供し、よってモジュールの在庫を削減する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、プロセス変数送信機が提供される。このプロセス変数送信機は、プロセス変数センサと、プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路を含む。また、プロセス変数送信機は、EMI保護回路を密閉する密閉モジュールと、密閉モジュール内のEMI保護回路に結合された電気コネクタを含む。電気コネクタは、EMI保護回路の電子部品をが過渡保護を提供する構成で接続されるように密閉モジュールの外部から構成可能である。
【0005】
別の実施形態では方法が提供される。この方法は、プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路を、外部に延びる電気コネクタを有する密閉モジュールに密閉することを含む。また、この方法は、EMI保護回路の電子部品を、密閉モジュールの外部から電気コネクタを介して、過渡保護を提供する構成で接続することを含む。
【0006】
さらに別の実施形態では、プロセス変数送信機が提供される。このプロセス変数送信機は、プロセス変数センサと、プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路を含む。また、プロセス変数送信機は、EMI保護回路を密閉する密閉モジュールを含む。密閉モジュールは、フィードスルー本体と、フィードスルー本体を貫通し、フィードスルー本体に対して密閉された複数のフィードスルーピンとを含む第1の端部を有する。フィードスルーピンは密閉モジュール内のEMI保護回路に結合されており、EMI保護回路の電子部品が過渡保護を提供する構成で接続されるように密閉モジュールの外部から構成可能である。
【0007】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明する概念の選択肢を簡略化した形で紹介するために提供される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の助けとして使用されることを意図するものでもない。特許請求される主題は、「背景技術」で言及された任意の又は全ての欠点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態を利用することのできる圧力送信機を含むプロセス制御システムの一例の部分断面図である。
【
図3】過渡保護又は電磁干渉(EMI)保護用の部品がプロセス送信機の密閉モジュールの外部にある電気構造を示す概略図である。
【
図4】EMI保護回路を含む密閉モジュールと、EMI保護部品を含まない出力アセンブリとを示している。
【
図5】1つの実施形態に従って過渡保護を可能にするように、追加のフィードスルーが電気接地にルーティングされた密閉モジュール-出力アセンブリの構成を示す概略図である。
【
図6】過渡保護のないユニットのために、追加のフィードスルーがそれぞれのラインに戻るようルーティングされた密閉モジュール-出力アセンブリの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。同一又は類似の参照文字を用いて識別される要素は、同一又は類似の要素を示すものとする。図をわかりやすくするために、一部の要素は各図に示されない場合がある。本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が綿密かつ完全となり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0010】
本開示の実施形態は、一般に、密閉された電子機器を備えたプロセス変数送信機のカスタマイズに関する。より具体的に、本開示の実施形態は、危険な場所の承認要件を満たす一方で、標準保護オプション又は過渡保護オプションを提供するよう組立後に再構成可能な共通の密閉モジュールを提供する。異なる実施形態に関する詳細を提供する前に、プロセス送信機を含む例示的なプロセス制御システムを以下に説明する。
【0011】
図1は、本明細書に開示される、ある特定の実施形態を組み込むことのできる例示的なプロセス制御システムを示している。
図1に示すプロセス制御システムは説明のためのものにすぎない。本開示の実施形態は、
図1に示すプロセス制御システムのような特定のプロセス制御システムに限定されるものではない。本開示の実施形態は、多数の様々な種類のプロセス制御システム内で例示的に実施される。
【0012】
図1は、本開示の実施形態を利用することのできるプロセス変数送信機(例えば、圧力送信機)102を含むプロセス制御システム100の一例の概略的な部分断面図である。
図2は、
図1の送信機102の簡易ブロック図である。システム100を材料(例えば、プロセス媒体)の加工に使用して、材料を価値の低い状態から、石油、化学品、紙、食品などのより価値があり有用な製品に変換することができる。例えば、衛生的な工業プロセス又はその他の種類の工業プロセスを実施する設備において、システム100を使用することができる。
【0013】
圧力送信機102は、プロセスカップリング108を介して工業プロセス106に結合することのできるハウジング104を含むことができる。ハウジング104及びプロセスカップリング108は、ステンレス鋼又は他の適切な材料で形成することができる。送信機102は、ハウジング104内に、圧力センサ112を含む圧力センサアセンブリ110と、測定回路114とを備えている。測定回路114は、処理/計算回路、通信回路、及び電磁干渉(EMI)保護回路を含むことができる。送信機102において、ハウジング104の第1の端部116は、以下にさらに説明する電気接続のためにフィードスルー本体118の外面を囲んでこれに接触しており、ろう付け、溶接、又は他の適切な技術によりフィードスルー本体118に対して密閉されている。同様に、ハウジング104の第2の端部120は、圧力センサアセンブリ110及び測定回路114が収容される密閉室を作製するように任意の適切な技術を使用して密閉されている。
【0014】
プロセスカップリング108は、プロセス106に接続され、圧力センサ112によって測定される圧力Pのプロセス材料(例えば、流体)を含むパイプ121に接続することができる。圧力Pは、流体経路122を通って圧力センサ112に伝達される。圧力センサ112は、加えられた圧力Pを示す電気パラメータを有するセンサ素子を含む。測定回路114は、適切な電気接続124を通じてセンサ素子の電気パラメータを検出、処理して、感知された圧力Pの値を確定することができる。測定回路114における測定された圧力値及びその他の情報フォームは、
図1に示すように、適切な出力電気接続128及びプロセス制御ループ130を介して、遠隔に位置する制御室127にある外部のコンピュータ化された制御ユニット126に伝達される。
【0015】
図2で最もよくわかるように、出力電気接続128は3つの電気コネクタ(例えば、ワイヤ)を有し、これらは第1のアクティブコネクタ132、第2のアクティブコネクタ134及び電気接地コネクタ136を含む。より多い又は少ない数のコネクタを使用してもよい。コネクタ132、134、136の第1の端部はそれぞれフィードスルーピン138、140、142に結合されており、これらはフィードスルー本体118を通過し、ガラスやセラミックなどのシーリング材によってフィードスルー本体118に対して密閉されている。例えば、ピン142はフィードスルー本体118の開口部144を通過し、ガラス製の円筒シール層156によりフィードスルー本体118に対して密閉されている。ワイヤ132、134、136の第2の端部は、例えば、送信機測定回路114のプリント基板上のボンドパッドに接続することができる。フィードスルー本体118及びフィードスルーピン138、140、142を本明細書ではヘッダと呼ぶことがある。
【0016】
図1~
図2に示すように、送信機102は、ハウジング104に取り外し可能に結合できる出力アセンブリ158を含んでいる。出力アセンブリ158は、ハウジング160、出力インターフェース162、及び出力インターフェース162に結合されたフライングリード線164、166、168を含んでいる。出力インターフェース162及びフライングリード線164、166、168のハウジング160内の部分は、任意の適切な材料170で密閉されている。出力アセンブリ158が
図1に示すようにハウジング104に結合されると、フライングリード線164、166、168は、出力インターフェース162及び各フィードスルーピン138、140、142を介してそれぞれコネクタ132、134、136に電気接続される。フライングリード線168は、電気接地に接続されており、フライングリード線164及び166は、プロセス制御ループ130に接続されている。
【0017】
制御ユニット126、又は別の外部コンピューティングデバイスと圧力送信機102との間の通信は、従来のアナログ及び/又はデジタル通信プロトコルに従って、制御ループ130を介して行うことができる。いくつかの実施形態において、2線式制御ループ130は4~20ミリアンペアの制御ループを含み、測定された圧力値は、2線式制御ループ130を通って流れるループ電流のレベルによって表すことができる。例示的なデジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格などに従った、2線式制御ループ130のアナログ電流レベルへのデジタル信号の変調を含む。FieldBus及びProfibus通信プロトコルを含む他の純粋にデジタルの技術を使用することもできる。
【0018】
いくつかの実施形態では、送信機102と制御ユニット130との間のワイヤレス通信を提供することもできる。プロセス制御ループ130の例示的なワイヤレスバージョンは、例えば、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)もしくはISA 100.11a(IEC 62734)などのワイヤレスメッシュネットワークプロトコル、又はWiFi、LoRa、Sigfox、BLE、もしくは任意の他の適切なプロトコルなどの別のワイヤレス通信プロトコルを含む。
【0019】
電力は、任意の適切な電源から圧力送信機102に供給することができる。例えば、圧力送信機102は、制御ループ130を流れる電流によって完全に電力供給されてもよい。また、内部バッテリ又は外部バッテリなど1つ以上の電源を利用して、圧力送信機102に電力を供給することができる。また、発電機(例えば、ソーラーパネル、風力発電機など)を用いて圧力送信機に電力を供給したり、圧力送信機102が用いる電源を充電したりすることもできる。
【0020】
工業プロセス変数送信機(例えば、
図1及び
図2の圧力送信機102)用の密閉モジュール(例えば、
図1及び
図2に示す内部部品を有するハウジング104)を1箇所で製造し、そして、遅い段階での標準保護オプション又は過渡保護オプションのカスタマイズを異なる最終組立地で可能にすることが望ましい。このことを実現する1つの技術は、密閉モジュールの外部にあるプリント回路アセンブリ(PCA)上に、過渡保護を提供する部品を配置することである。このアプローチを
図1及び
図2のプロセス送信機102に利用する場合、出力インターフェース162がPCAを含むことになる。ここで、PCAは、顧客インターフェースのために密閉モジュール104とフライングリード線164、166、168との間の接続を提供する。PCA及びフライングリード線164、166、168のアセンブリは、危険な場所の承認要件を満たすために封止材170に浸漬されている。
【0021】
図3は、過渡保護用の部品がプロセス送信機の密閉モジュール104Aの外部にある電気構造180を示す概略図である。密閉モジュール104Aは、第1のアクティブ電気コネクタ132A、第2のアクティブ電気コネクタ134A、及び電気接地コネクタ136Aを含んでいる。簡略化のために、密閉モジュール104A内の他の回路及び部品(
図1のセンサアセンブリ110など)は示されていない。密閉モジュール104Aに取り外し可能に結合できる出力アセンブリ158Aは、それぞれ電気コネクタ132B、134B、136Bを介してコネクタ132A、134A、136Aに電気接続するEMI保護回路182を含んでいる。EMI保護回路182は、コンデンサC1及びC2、過渡電圧抑制(TVS)ダイオードD1及びD2、ガス入り放電管GT1、ならびに抵抗器R1及びR2を含んでいる。
図3に示すように、第1のコンデンサC1はアクティブ電気コネクタ132Bと電気接地コネクタ136Bとの間に接続されており、第2のコンデンサC2はアクティブ電気コネクタ134Bと電気接地コネクタ136Bとの間に接続されている。各コンデンサC1、C2は、1500ピコファラド(pF)の容量値、又は他の適切な容量値を有する。コンデンサC1及びC2は、誘導過渡現象による回路182内の電圧又は電流の変化を遅らせる。TVSダイオードD1及びD2は、1つの実施形態では、互いに直列に接続された2つの互いに対向するアバランシェダイオードによって表される双方向TVSダイオードである。第1のTVSダイオードD1は、アクティブ電気コネクタ132Bと電気接地コネクタ136Bとの間に接続されており、第2のTVSダイオードD2は、アクティブ電気コネクタ134Bと電気接地コネクタ136Bとの間に接続されている。各TVSダイオードD1、D2は、70ボルト(V)のスタンドオフ電圧もしくはブレークダウン電圧、又は他の適切なブレークダウン電圧値を有することができる。TVSダイオードD1及びD2は、誘導電圧がブレークダウン電圧を超えると過剰電流を遮断することによって動作する。過電圧がなくなると、TVSダイオードD1及びD2は自動的にリセットされる。ガス入り放電管GT1は、アクティブ電気コネクタ132Bに接続された第1の電極1、電気接地コネクタ136Bに接続された第2の電極2、及びアクティブ電気コネクタ134Bに接続された第3の電極3を有する3電極ガス入り放電管である。3つの電極1、2及び3により、回路182を保護するために単一のガス入り放電管GT1を使用することができる。ガス入り放電管GT1に、その定格ブレークダウン電圧を超える電圧が印加されると、ガス入り放電管GT1内のガスがイオン化して導電し、遂にはインパルス放電開始電圧に達する。この時点で、ガス入り放電管GT1は、完全にオン状態にあり、放電電流に関係なく低いアーク電圧が維持される。過渡現象が過ぎると、ガス入り放電管GT1は、非導電状態にリセットされる。ガス入り放電管GT1は、90Vのインパルス放電開始電圧値、又は他の適切なインパルス放電開始電圧値を有することができる。
【0022】
抵抗器R1及びR2は、過渡現象が最初に誘導されてからガス入り放電管GT1がそのインパルス放電開始電圧に達するまでの間に保護を提供するようEMI保護回路182に含まれている。
図2の実施形態において、抵抗器R1は、アクティブ電気コネクタ132Bと直列に接続されており、抵抗器R2は、アクティブ電気コネクタ134Bと直列に接続されている。抵抗器R1及びR2は巻線、アキシャルなどとすることができ、任意の適切な抵抗値を有することができる。上記の
図1及び
図2に関連して示したように、EMI保護回路182及びフライングワイヤ164、166、168のアセンブリを含むPCAは、危険な場所の承認要件を満たすために封止材170に浸漬されている。
【0023】
また、Ex mb(高い安全レベルを提供するための封止)やEx eb(「ゾーン1の安全性向上」規格に準拠した防爆)など、追加の保護タイプを送信機の設計に活用することが望ましい場合もある。しかしながら、承認を受けることを困難にする追加の安全要件がある。例えば、コンデンサ(例えば、
図3のC1及びC2)、ガス入り放電管(例えば、
図3のGT1)及び抵抗器(例えば、
図3のR1及びR2)など、点火のリスクがあるとみなされる部品は、長期間の熱エージング前後で高圧静水試験に合格したセメント接合部に浸漬させる必要がある。
【0024】
ある例では、高圧試験中に出力アセンブリとヘッダの境界面に水が浸入したため、Ex mbやEx ebなどの追加の保護タイプの承認基準を満たしていないことが試験の結果判明した。
【0025】
追加の保護タイプの承認要件を満たすための1つの技術は、過渡保護用の全ての電気部品(例えば、EMI保護回路182)を密閉モジュール内に移動させる方法に関連する。これにより、封止材170に浸漬されたフライングワイヤ164、166、168のアセンブリのみを含む出力アセンブリ158に対する承認プロセスが簡単になり、承認要件を満たすための直接的なアプローチが可能になる。しかしながら、標準保護用バージョン及び過渡保護用バージョンという2つのバージョンの密閉モジュールを使用するため、密閉モジュールの数は2倍になる。
図4は、EMI保護回路182を含む密閉モジュール104Bと、EMI保護部品を含まない出力アセンブリ158Bとを示している。わかりやすくするため、フライングワイヤ164、166、168のアセンブリは
図4に示されていない。標準オプション用の密閉モジュールは示されていない。
【0026】
2つの異なるバージョンの密閉モジュールを有することに関連する複雑さ、コスト及び早い段階でのカスタマイズの問題に対処するため、別の解決策を提供する。その解決策を
図5及び
図6に関連して以下に説明する。
【0027】
図5及び
図6に関連して本明細書で説明する本開示の実施形態は、密閉パッケージ内の電子機器が、危険な場所の承認要件を満たしながら組立後に再構成可能な構造を提供する。遅い段階での標準出力及び過渡現象出力のカスタマイズは、最終組立時にハブにおいて選択される。
図4に関連して前述した構造に関連するコスト、複雑さ及び流通の問題は回避される。また、出力アセンブリの封入領域内に部品が配置されていないため、安全ゾーン1の承認が簡単になる。
【0028】
図4の構造と同様に、
図5及び
図6に示した構造は、電子部品を密閉モジュール内に移動させている。しかしながら、保護ダイオードD1及びD2、ならびにガス入り放電管GT1への接続は、既存のヘッダ上の追加のフィードスルーを用いて密閉パッケージの外部に渡されている。遅い段階でのカスタマイズは、最終組立時に異なるワイヤインターフェースボードを取り付けることによって達成される。
【0029】
図5は、1つの実施形態に従って過渡保護を可能にするように、追加のフィードスルー184及び186が接地にルーティングされた第1の密閉モジュール104C-出力アセンブリ158Cの構成を示す概略図である。
図5にみられるように、密閉モジュール104Cは、追加のフィードスルー184及び186が接続された過渡保護素子を有するEMI保護回路182を含んでいる。より具体的には、フィードスルー184は第1のTVSダイオードD1に接続されており、フィードスルー186は第2のTVS D2及びガス入り放電管GT1の双方に接続されている。出力アセンブリ158Cは、コネクタ(例えば、トレース)190、192、194、196及び198を含むワイヤインターフェースボード188Aを備えている。トレース190は、アクティブフライングリード線164に接続しており、トレース192は、アクティブフライングリード線166に接続しており、トレース194は、接地用フライングリード線168に接続している。トレース196及び198は、接地トレース194に接続されている。出力アセンブリ158Cが密閉モジュール104Cに結合されると、トレース190、192、194、196及び198は、それぞれフィードスルー138、140、142、184及び186に接続される。
図5にみられるように、この接続構成では、第1のTVSダイオードD1がトレース196を介してアクティブ電気コネクタ132Aと電気接地との間に接続されており、第2のTVSダイオードD2がトレース198を介してアクティブ電気コネクタ134Aと電気接地との間に接続されている。また、ガス入り放電管GT1の第2の電極2は、トレース198を介して電気接地に接続されている。したがって、この接続構成では過渡保護が可能になる。
【0030】
図6は、過渡保護のないユニットのために、追加のフィードスルー184及び186がそれぞれのライン132A及び134Aに戻るようルーティングされた第2の密閉モジュール104C-出力アセンブリ158Cの構成を示す概略図である。
図6のワイヤインターフェースボード188Bでは、トレース196がトレース190にルーティングされており、トレース190は、フィードスルー138を介してアクティブ電気コネクタ132Aに電気的に接続されている。同様に、トレース198は。トレース192にルーティングされており、トレース192は、フィードスルー140を介してアクティブ電気コネクタ134Aに電気的に接続されている。したがって、この構成では過渡保護は提供されない。過渡保護のないルーティングを除き、
図6の回路の残りの部分は
図5の回路と類似している。
【0031】
図5及び
図6に示したこの構造により、過渡保護のあるユニット及び過渡保護のないユニットに対して同じ密閉モジュールをユニットに使用することができる。カスタマイズは、例えば
図4の構造で行われたであろう数週間後に、ハブで行うことができる。追加のモジュールを設置するための追加のコストと、それらのモジュールを維持するための年間コストの増大が避けられる。2つの異なる接続構成のために異なるワイヤインターフェースボード188A及び188Bを使用する代わりに、これらの2つの構成間を切り替えるための1つ以上のスイッチを有する単一のワイヤインターフェースボードを使用できることに注意すべきである。
【0032】
承認プロセスも能率化される。安全性向上ゾーン1の承認の概念は、熱及び火花の危険性を減らすことであるため、多くの一般的な電気部品の使用は許可されていない。封止された導管入口領域から電気部品を取り除くことにより、承認を得るためのシームレスで簡単な分析を行うことができる。
【0033】
このアプローチにより、エンドユーザは、防炎又は安全性向上のいずれとしてもデバイスを設置できる柔軟性を得ることができる。全ての電子機器が密閉パッケージ内に移動されているため、電子機器は湿度に影響されない。非常に遅い段階でのカスタマイズが可能である。ユーザは試運転時にデバイスを構成することができる。顧客が所有してしばらく経ってからでもデバイスを再構成することができる。例えば、顧客は最初の試運転から数年後にデバイスを現場で再構成することができる。
【0034】
実施形態の構造は、他の機能を含むように拡張することができる。例えば、
a.ユニットは、HART、Fieldbus又はModbusプロトコルを使用して通信するように構成可能であり、
b.ユニットは、標準又は低電力出力プロトコル用に構成可能である。
【0035】
図7は、方法200の実施形態の簡略化されたフロー図である。202において、プロセス変数センサに結合された電磁干渉(EMI)保護回路を、外部に延びる電気コネクタを有する密閉モジュールに密閉する。204において、EMI保護回路の電子部品を、密閉モジュールの外部から電気コネクタを介して、過渡保護を提供する構成で接続する。
【0036】
本発明の実施形態を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行うことができることを認識するであろう。
【国際調査報告】