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2025-505163YAP/TAZ-TEADを阻害するためのテトラヒドロピリドピリミジン及び関連類似体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】YAP/TAZ-TEADを阻害するためのテトラヒドロピリドピリミジン及び関連類似体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20250214BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20250214BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20250214BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250214BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
C07D401/14
C07D403/04 CSP
C07D487/04 140
C07D471/04 116
A61K31/517
A61K31/519
A61K45/00
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546080
(86)(22)【出願日】2023-02-02
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 US2023061853
(87)【国際公開番号】W WO2023150619
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/305,835
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524236817
【氏名又は名称】ザ・カトリック・ユニヴェルシテイト・ルーバン
(71)【出願人】
【識別番号】521444387
【氏名又は名称】スプリングワークス、セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPRINGWORKS THERAPEUTICS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】512080918
【氏名又は名称】フェーイーベー フェーゼットヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バルト・ヴァンダーホイドンク
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・マルシャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィム・スメッツ
(72)【発明者】
【氏名】オレリー・カンディ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェルセル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZC202
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC46
4C086CB05
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、新規化合物、医薬として使用するための前記化合物、より特定すると、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の防止または処置のためのもの、さらにより特定すると、がんまたは線維症の防止または処置のためのものに関する。本開示はまた、新規化合物の使用を含む、前記疾患の防止または処置のための方法に関する。さらに、本開示は、新規化合物の薬学的組成物または組み合わせ調製物、及び医薬として使用するための当該組成物または調製物、より好ましくは、YAP/TAZ-TEAD転写活性によって媒介される疾患の防止または処置、さらにより具体的には、がんまたは線維症の防止または処置のための当該組成物または調製物に関する。本開示はまた、当該化合物の調製のためのプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物[式中、
及びRは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C-Cアルケニル、及び
(8)C-Cアルキニルからなる群から独立に選択される)、
(b)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、及び
(6)-OZからなる群から独立に選択される)、
(c)C-Cアルキニル
からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-C10アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換5~9員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換C-C複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
は、
(i)-N(R4a)-、
(ii)-CR6e6fN(R4a)-、及び
(iii)-CR6g6hCR6i(NR5a5b)-
からなる群から選択され;
6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、及びR6iは、水素及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択され;
3aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ヒドロキシ、
(b)-OZ
(c)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、
(14)-NZC(=O)Z
(15)-NZS(=O)、及び
(16)-NZS(=O)NZからなる群から独立に選択される)、
(d)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)C-Cアルキル、及び
(2)C-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(e)非置換または置換5~10員ヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、及び
(14)-NZC(=O)Zからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換4~10員複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)C-Cアルキル、
(b)-C(=O)Z、及び
(c)-S(=O)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換5~10員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(d)C-Cハロアルキル、
(e)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(f)-C(=O)NZ
(g)-NZ
(h)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(i)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(j)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(k)-OZ
(l)-C(=O)OH、
(m)ヒドロキシ、及び
(n)-NZC(=O)Z
からなる群から独立に選択されるもの、
(vii)非置換または置換5~10員アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
qは、0、1、または2であり;
3b、R3c、及びR3dは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)C-Cシクロアルキル、
(v)C-C10ヘテロアリール、
(vi)ハロゲン、
(vii)シアノ、
(viii)-OZ
(ix)アルケニル、
(x)アルキニル、
(xi)SR
(xii)SOR
(xiii)-S(=O)
(xiv)-C(=O)Z
(xv)-NZC(=O)Z、及び
(xvi)-C(=O)NZ
からなる群から独立に選択され;
4aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)-C(=O)Z
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ
(xi)シアノ、ならびに
(xii)C-Cハロアルキル
からなる群から選択され;
5aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ、ならびに
(xi)-シアノ
からなる群から選択され;
5bは、水素及びC-Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cアルキニル、
(iv)C-Cシクロアルキル、
(v)C-Cシクロアルケニル、
(vi)C-Cハロアルキル、ならびに
(vii)3~6員複素環
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、-C(=O)C-Cアルキル、-S(=O)-Cアルキル、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、及び非置換または置換C-Cヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)C-Cアルキニル、
(v)C-Cシクロアルキル、
(vi)C-Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C-Cハロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Z、Z及びZは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、及び
(iii)C-Cシクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)ハロゲン、
(v)ヒドロキシ、ならびに
(vi)ハロアルキル
からなる群から独立に選択される]。
【請求項2】
式II:
【化2】
で表される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式III:
【化3】
で表される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【請求項4】
式IV:
【化4】
で表される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【請求項5】
4aが、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項6】
が、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項7】
が、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項8】
式V:
【化5】
で表される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【請求項9】
式VI:
【化6】
で表される請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【請求項10】
4aが、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される、請求項8もしくは9に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項11】
が、水素、-C(=O)NZ
【化7】
からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項12】
が、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項13】
が、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項14】
が、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-C10アリールからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項15】
が、R-1である、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項16】
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-アミン;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)アクリルアミド;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)プロピオンアミド;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)メタンスルホンアミド;
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-アミン;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)アクリルアミド;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)プロピオンアミド;
N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)メタンスルホンアミド;
N-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)アクリルアミド;
N-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)プロピオンアミド;
N-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)アクリルアミド;
N-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)プロピオンアミド;
N-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-7-イル)メタンスルホンアミド;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパン-1-オン;
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(メチルスルホニル)-2-フェニル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン;
1-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパン-1-オン;
2-ベンジル-6-(メチルスルホニル)-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン;
1-(2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパン-1-オン;
2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-(メチルスルホニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン;
1-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパン-1-オン;
6-(メチルスルホニル)-2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン;
N-(2-オキソ-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エチル)アセトアミド;
N-(2-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)-2-オキソエチル)アセトアミド;
N-(2-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)-2-オキソエチル)メタンスルホンアミド;
2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホニルフルオリド;
2-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホニルフルオリド;
N-メチル-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホンアミド;
1-(2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-7-(メチルスルホニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン;
1-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
2-ベンジル-7-(メチルスルホニル)-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン;
2-(2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)-N-メチルエタン-1-スルホンアミド;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(2-(4-フルオロベンジル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(4-フルオロベンジル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(2-(3-フルオロベンジル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(3-フルオロベンジル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(4-フルオロフェニル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(3-フルオロフェニル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
7-アクリロイル-2-フェニル-N-(ピリジン-3-イルメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-カルボキサミド;
1-(4-(1-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-フェニル-4-(ピリジン-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2,4-ジフェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-フェニル-4-(ピリジン-4-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-フェニル-4-(ピリジン-2-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-フルオロフェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
2-フルオロ-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
(E)-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)ブタ-2-エン-1-オン;
3-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)-3-オキソプロパンニトリル;
1-(8-メチル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
2-メチル-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボニトリル;
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-7-(メチルスルホニル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン;
4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7-(ビニルスルホニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン;
1-(4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
(E)-4-(ジメチルアミノ)-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)ブタ-2-エン-1-オン;
シクロペンタ-1-エン-1-イル(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)メタノン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)ブタ-2-イン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)(オキシラン-2-イル)メタノン;
1-(2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(4-(2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン;
1-(4-(2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパン-1-オン;
1-(2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)ブタ-2-イン-1-オン;及び
(E)-1-(2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)ブタ-2-エン-1-オン
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物、及び薬学的に許容可能な担体を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
医薬として使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
動物、哺乳動物またはヒトにおけるYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害の防止または処置に使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害は、がん、線維症、及びYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性先天性障害を含む群から選択される、請求項19に記載の化合物、または請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害は、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵癌、胃癌、脳癌及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫から選択される、請求項20に記載の化合物、または請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害は、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星状細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖性変化(異形成及び化生)、胚性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、精巣胚細胞癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性疾患及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、髄様癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、口腔癌、骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭状癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌腫、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮細胞癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍から選択される、請求項20に記載の化合物、または請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
動物、哺乳動物またはヒトにおけるYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害の防止または処置のための方法であって、そのような防止または処置を必要とする前記動物、哺乳動物またはヒトに、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物を有効用量で投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
EGFR阻害剤、MEK阻害剤、AXL阻害剤、B-RAF阻害剤、及びRAS阻害剤からなる群から選択される1つ以上の他の医薬と組み合わせた、それを必要とする患者に対する、請求項22に記載のYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性障害の処置または防止の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2022年2月2日出願の米国仮出願第63/305,835号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に援用するものである。
【0002】
本開示は、新規化合物に関する。本開示はまた、医薬として使用するための化合物、より特定すると、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の防止または処置のためのもの、例えば、がんまたは線維症の防止または処置のためのものに関する。新規化合物の使用を含む、疾患の防止または処置のための方法も、本明細書で開示される。
【0003】
本開示はさらに、新規化合物の薬学的組成物または組み合わせ調製物、及び医薬として使用するための組成物または調製物、例えば、がんまたは線維症の防止または処置のような、YAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患の防止または処置のためのものに関する。化合物の調製のためのプロセスも、本明細書で開示される。
【背景技術】
【0004】
Hippoシグナル伝達は、YAP/TAZ-TEAD転写複合体の不活性化を介して器官のサイズを制限するのに不可欠である。いくつかの侵襲性固形癌において、Hippoシグナル伝達は、上流調節因子(例えばNF2、MST1/2またはLATS1/2)をコードする遺伝子の機能喪失型変異または欠失によって不活性化され、構成的YAP/TAZ-TEAD転写活性を引き起こし、抑制のきかない腫瘍の成長及び転移を生じる。YAP/TAZ-TEADのノックアウト、ノックダウン、または薬理学的不活性化は、YAP/TAZ依存性腫瘍形成を減じるのに十分である。YAP/TAZ-TEAD複合体は、YAP/TAZ-TEADタンパク質-タンパク質相互作用界面の標的指向性破壊を介して、またはTEADにおけるアロステリックな自己パルミトイル化ポケットを介して、薬理学的に不活性化され得る。
【0005】
Hippo経路の主な生理学的機能は、成体組織における組織の成長を制限すること、ならびに発達中の器官における細胞の増殖、分化及び遊走を調節することである。Hippo経路の中核は、キナーゼカスケード、転写コアクチベータ、及びDNA結合パートナーからなる。哺乳動物では、Ste20様キナーゼであるMST1/2(Drosophila Hippoのホモログ)がLarge Tumor Suppressor 1/2(LATS1/2)をリン酸化し、活性化する。NF2は、中核となるHippoキナーゼの足場であり、MST1/2をLATS1/2につなぐことによってLATS1/2活性化を促進する(Lallemand et al.,2003,Genes Dev 17,1090-1100;Yin et al.,2013,Dev Cell 19,27-38)。LATSキナーゼは次に、14-3-3を介した細胞質隔離、及びβ-TRCP E3リガーゼによって誘導されるユビキチン媒介性分解により、2つの高度に相同な転写コアクチベータである、Yes会合タンパク質(YAP)と、PDZ結合モチーフを有する転写コアクチベータ(TAZ)とをリン酸化し、不活性化する。Hippo経路が不活性であるとき、YAP及びTAZは核内に移動してTEAD転写因子ファミリーに結合し、マトリックスリモデリング、細胞増殖、生存及び遊走を促進する特定のシグネチャーの発現を誘導する。TEAD1~4もまた、核内のVGLL4に結合し、転写リプレッサーとして作用し得る。VGLL4はYAP/TAZと構造的に関連していないが、TEAD上の部分的に重なる結合部位に基づいてYAP/TAZと競合する(Johnson and Halder,2014,Nat Rev Drug Discov 13,63-79)。
【0006】
TEADは、心臓発生、筋形成、ならびに神経堤、脊索、及び栄養外胚葉の発達に必要とされる進化的に保存されたタンパク質である。哺乳動物では、TEAD1~4と名付けられた4つの相同なTEADファミリーメンバーをコードする4つの遺伝子が存在する。各TEAD遺伝子は、独特だが相互排他的ではない発現パターンを有する。すべてのTEADファミリーメンバーがYAP/TAZによって制御されている。
【0007】
ショウジョウバエでは、HippoもしくはWartsキナーゼ(哺乳動物ではMST1/2またはLATS1/2)の機能喪失、またはYorkie(YAP及びTAZのDrosophilaホモログ)の過剰発現が、細胞増殖の調節異常及びアポトーシス耐性の結果としてクチクラの劇的な過成長をもたらし、器官サイズの増加につながる。マウスでは、YAP過剰発現、MST1/2もしくはLATS1/2キナーゼ活性の喪失、またはNF2の喪失が、TEAD標的遺伝子の上方調節及び前駆細胞の増大につながり、肝臓及び心臓の過成長をもたらし、最終的には肝臓、小腸、及び皮膚におけるがん形成をもたらす。これに対し、TEADに結合できないYAPの94位でのセリンからアラニンへの変異は、発癌性ではない(Zhao et al.,2008,Genes Dev 22,1962-1971)。同様に、DNAに結合できないドミナントネガティブTEAD変異体は、YAPにより駆動される肝臓の腫瘍形成を克服する。さらに、NF2変異体肝癌腫は、Yapのヘテロ接合性喪失によって大きく抑制された(Zhang et al.,2010,Dev Cell 19,27-38)。最後に、YAP-TEAD会合を阻害する小分子であるベルテポルフィンは、これらのモデルにおいてYAPの発癌活性を著しく抑制した(Liu-Chittenden et al.,2012,Genes Dev 26,1300-1305)。
【0008】
YAP1(YAPをコードする)及びWWTR1(TAZをコードする)の遺伝子増幅、ならびにYAP/TAZの構成的な核局在化は、肝臓癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、結腸癌及び卵巣癌を含む多くのヒト固形悪性疾患において報告されており、YAP/TAZは、増殖、アポトーシス耐性、浸潤、及び免疫抑制など(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞を誘引することにより(Wang et al.,2016,Cancer Discov 6,80-95))、いくつかの重要ながん細胞表現型の獲得を促進する。さらに、YAP1との遺伝子融合が、上衣腫、脈管癌、子宮頸癌及びポロカルシノーマ(porocarcinoma)を含むいくつかのがんタイプで特定されており、これは、YAP-TEADの構成的活性化をもたらし、マウスにおいて発癌性である(Szulzewsky et al.,2020,Genes Dev 34:1-14)。さらに、様々ながんタイプに関連するHippo経路の構成要素におけるいくつかの生殖細胞系または体細胞系の変異が、標的ゲノムシーケンシング研究及び全ゲノムシーケンシング研究において発見されている。最も良く研究されている例は、神経線維腫症において高頻度で変異しているNF2座位である。NF2及びLATS2の喪失もまた、神経鞘腫において高頻度で観察される。NF2、LATS1/2、MST1/2またはSAV1の遺伝子不活性化を介した構成的YAP-TEAD活性化と頻繁に(全症例の約70%で)関連する別の腫瘍タイプは、悪性中皮腫である(Bueno et al.,2016,Nat Genet 48,407-416)。最近の研究では、NF2機能喪失型変異を有するいくつかの中皮腫細胞株が、YAPリン酸化の減少及びYAP-TEADレポーター活性の増加を呈することが示されている。NF2変異体中皮腫細胞株(ただしWT中皮腫ではない)のYAP-TEAD転写及び生存能は、YAP siRNAに対して感受性があり(siRNA耐性YAPの過剰発現によってレスキューされ得る効果)、また、YAP拮抗剤であるベルテポルフィンによる処置に対して感受性がある(Zhang et al.,2017,J Cell Mol Med 21:2663-2676)。
【0009】
核内YAPもまた、WNT依存性大腸腫瘍形成の重要なメディエーターとして浮上している。増殖及び幹細胞再生に関与する遺伝子のYAP-TEAD媒介性転写は、WNTにより駆動されるβ-カテニンと協調し、YAPは、APC(大腸腺腫様ポリポーシス)不活性化後の腺腫の形成に必要である(Azzolin et al.,2014 Cell 158,157-170;Gregorieff et al.,2015 Nature 526,715-718.)。最近、TIAM1は、YAP-TEAD転写に拮抗することによる侵襲性転移性大腸癌(CRC)のサプレッサーとして特定され、CRCにおけるYAP-TEADの役割が再び強調された(Diamantopoulou et al.,2017 Cancer Cell 31,621-634)。
【0010】
まとめると、YAP/TAZ活性化は腫瘍形成を駆動することが示されており、YAP/TAZは、ヒトにおける多くの異なるタイプのがんで(多くの場合、上流の負の調節因子における機能喪失型変異によって)過剰活性化される。YAP/TAZの遺伝子欠失または薬理学的阻害は、様々なタイプのがんにおいて腫瘍の発達及び進行を抑制することが示されている。したがって、Hippo腫瘍サプレッサー経路の調節解除は、広範囲のがんタイプ及び悪性疾患の発生における主要な事象であると考えられている。それ故、YAP、TAZ、TEAD、及び/またはYAP/TAZ-TEADタンパク質-タンパク質相互作用の阻害を介したHippoカスケードの薬理学的標的指向化は、この経路の機能的変化があるがんを処置するための価値あるアプローチとなるであろう。
【0011】
YAP/TAZ-TEAD活性化は、がん以外の疾患、すなわち、線維症及びある特定の先天性障害などにおいて重要な役割を果たすことも示されている。線維症の特徴は、架橋コラーゲン線維を含む細胞外マトリックス(ECM)の過剰沈着であり、これは、組織を硬化させ、最終的には罹患した器官の機能不全をもたらす。ECMの硬化は、がん関連線維芽細胞、ならびに肝臓、腎臓、肺、及び皮膚の線維芽細胞におけるYAP/TAZの核内活性を促進する(Mannaerts et al.,2015,J.Hepatol.63,679-688;Piersma et al.,2015,Am.J.Pathol.185,3326-3337)。核内YAP/TAZは、筋線維芽細胞の分化及びマトリックスリモデリングの増加など、線維性細胞表現型を促進する。線維症に関係する主要な分泌因子をコードするいくつかの遺伝子は、直接的なYAP/TAZ-TEAD標的である。これらの遺伝子には、結合組織成長因子(CTGF)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)、及びコラーゲン架橋酵素のリジルオキシダーゼ(LOX)ファミリーなど、十分に特性評価された線維化促進因子が含まれる。YAP/TAZがin vivoでの線維性疾患の一因であることは、いくつかの証拠によって裏付けられている。これらには、線維芽細胞ならびに特発性肺線維症患者の肺胞及び気道上皮におけるYAP/TAZレベル及び転写活性の上昇に関する報告(Gokey et al.,2018 JCI Insight 3:e98738)が含まれる。核内YAPの増加は、肝傷害の慢性線維性障害である原発性硬化性胆管炎及び原発性胆汁性肝硬変の患者でも観察されている。肝臓の管細胞におけるYAPまたはTAZの発現は、非アルコール性脂肪肝疾患における線維症と並行する線維症の進行を促す(Machado et al.,2015,J.Hepatol 63,962-970)。これらの研究は、集合的に、線維性疾患において異常なYAP/TAZ活性を標的指向化することにより治療が期待できることを示唆している。
【0012】
神経線維腫症2型は、神経鞘腫、髄膜腫、及び上衣腫を含む神経系腫瘍を特徴とする。神経線維腫症2型は、NF2の不活性化によって引き起こされる遺伝性障害である(Striedinger et al.,2008,Neoplasia 10,1204-1210)。NF2の喪失は、YAP/TAZ-TEADの構成的活性化をもたらす。スタージ・ウェーバー症候群は、三叉神経の眼枝の分布において皮膚に影響を及ぼすポートワイン母斑、脳の軟髄膜及び脈絡膜の異常な毛細静脈血管、緑内障、発作、卒中、及び知的能力障害を特徴とする先天性神経皮膚障害である。スタージ・ウェーバー症候群及びポートワイン母斑は、YAP/TAZ-TEAD転写の活性化をもたらすGNAQの体細胞活性化変異によって引き起こされる(Shirley et al.,2013,NEJM,368,1971-1979)。したがって、構成的YAP/TAZ-TEAD活性化を特徴とするいくつかの先天性障害は、YAP/TAZ-TEADの阻害剤により処置され得る。
【0013】
いくつかの刊行物に、YAP-TEAD転写活性化の阻害剤が記載されている。Inventivaは、WO2020/070181、WO2018/185266、及びWO2017/064277においてYAP-TEADタンパク質-タンパク質相互作用阻害剤を取り上げた。General Hospital Corporation,Bostonは、WO2017/053706において自己パルミトイル化阻害剤を記載した。Vivace Therapeutics,Inc.は、YAP/TAZとTEADとの間の相互作用を調節する、非縮合三環式化合物(WO2018/204532)、ベンゾスルホニル化合物(WO2019/040380)、ベンゾカルボニル化合物(WO2019/113236)、オキサジアゾール化合物(WO2019/222431)、及び二環式化合物(WO2020/097389)を開示した。Regents of the University of California及びVivace Therapeutics,Inc.は、それぞれWO2013/188138及びWO2017/058716において、Hippo-YAPシグナル伝達経路を阻害する三環式化合物を記載した。Kyowa Hakko Kirin Co.,Ltd.は、WO2018/235926及びUS2019/0010136において、抗がん活性を示すα,β-不飽和アミド化合物を公表した。Genentech,Inc.は、WO2019/232216及びWO2020/051099において、YAP-TEADタンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤として有用なカルボキサミド及びスルホンアミド誘導体を開示した。Dana-Farber Cancer Institute,Inc.は、WO2020/081572においてTEAD転写因子の阻害剤を取り上げた。Trustees of Indiana Universityは、WO2020/087063において、TEADの疎水性パルミチン酸結合ポケット内で結合する小分子を記載した。Wenchao Lu,et al.は、共有結合性TEAD自己パルミトイル化阻害剤としてのビニルスルホンアミドを公開した(2019,European Journal of Medicinal Chemistry,184,p.111767)。Korean Research Institute of Chemical Technologyは、YAP-TEAD結合を阻害するベンゾ[cd]インドール-2(1H)-オン誘導体を開示した。
【0014】
しかし、YAP/TAZ-TEAD活性化によって媒介される疾患、例えば、いくつかあり得る適応症の中でも特に、がん及び線維症などを防止または処置するための、新規の、代替的な、またはより良好な治療薬が、依然として必要とされている。より良好な効力、より少ない副作用、より高い活性、より低い毒性、またはより良好な薬物動態特性もしくは薬力学的特性、またはそれらの組み合わせを有する治療薬は、非常に歓迎されるであろう。
【0015】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患の阻害剤として使用され得る新規化合物のクラスを提供する。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、上述した問題のうちの少なくとも1つが、後述するクラスの化合物によって解決され得るという所見に基づいている。
【0017】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD転写に対する阻害活性を保有することが示された新しい化合物を提供する。本開示はさらに、これらの化合物がYAP/TAZ-TEAD転写の活性を効率的に阻害することを実証する。したがって、これらの化合物は、動物、哺乳動物及びヒトにおけるHippo媒介性障害の処置及び/または防止において使用され得る、より具体的には、(i)がん、より具体的には肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵癌、胃癌、脳癌及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫、(ii)線維症、ならびに(iii)YAP/TAZ-TEAD活性化関連先天性障害などの処置及び/または防止のための、新しい強力な化合物の有用なクラスを構成する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に記載される化合物は、動物、哺乳動物及びヒトにおけるHippo媒介性障害の処置及び/または防止において、より具体的には、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星状細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖性変化(異形成及び化生)、胚性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、精巣胚細胞癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性疾患及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、髄様癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、口腔癌、骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭状癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌腫、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮細胞癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍の処置及び/または防止のために使用され得る。
【0019】
本開示はさらに、医薬としての当該化合物の使用に関し、また、薬品の製造のためのそれらの使用に関し、より特定すると、動物または哺乳動物における、より特定するとヒトにおける、YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患、特定すると(i)がん、より具体的には肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵癌、胃癌、脳癌及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫、ならびに(ii)線維症を処置及び/または防止するための使用に関する。本開示はまた、すべての当該化合物の調製方法、及びそれらを有効量で含む薬学的組成物に関する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、医薬として使用するための本発明の化合物、医薬としての当該化合物の使用、及び薬品の製造のためのそれらの使用、より特定すると、YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患を処置及び/または防止するためのそれらの使用、より具体的には、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星状細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、気管支原性癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖性変化(異形成及び化生)、胚性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、精巣胚細胞癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性疾患及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、髄様癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、口腔癌、骨肉腫、乳頭腺癌、乳頭状癌、松果体腫、真性多血症、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、精上皮腫、小細胞肺癌腫、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮細胞癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍の処置及び/または防止のためのそれらの使用に関する。
【0021】
本開示はまた、1つ以上の当該化合物を、任意選択で1つ以上の他の医薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによる、ヒトにおけるTEAD活性化媒介性障害の処置または防止の方法に関する。本開示はまた、本明細書に記載される化合物の合成のためのステップを含む、本明細書で開示される化合物を調製する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
「YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患」という用語は、hippoシグナル伝達が不活性化される疾患であって、それによりYAP/TAZ-TEAD活性化が当該疾患をもたらす、駆動する、持続させる、可能にするなどの疾患を指す。これは、YAP/TAZ-TEADの上流調節因子(例えばNF2、MST1/2、LATS1/2、FAT1またはSAV1)をコードする遺伝子の機能喪失型変異または欠失により、構成的YAP-TEAD転写活性が引き起こされ、抑制のきかない腫瘍の成長及び一部のがんの転移が生じることによる可能性がある。これはまた、YAP1もしくはWWTR1(TAZ)の遺伝子増幅、遺伝子融合もしくは活性化変異、またはYAP/TAZの過剰発現もしくは超活性などによる可能性もある。したがって、YAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患は、がんを指すが、線維症及びある特定の先天性障害も含む。YAP/TAZ-TEAD媒介性疾患に含まれるがんは、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵癌、胃癌、脳癌及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫であるが、これらに限定されない。また、(i)肺、子宮頸部、卵巣、頭頸部、食道、及び/または皮膚の扁平上皮細胞癌、または(ii)上衣腫、髄膜腫、神経鞘腫、末梢神経鞘腫瘍及び/または神経芽細胞腫などの神経外胚葉由来組織から生じるがん、または(iii)類上皮型血管内皮腫などの脈管癌も含まれる。YAP/TAZ-TEAD媒介性疾患に含まれる線維性疾患または線維症は、肝線維症、肺線維症、及び心線維症であるが、これらに限定されない。YAP/TAZ-TEAD媒介性疾患に含まれる先天性障害は、スタージ・ウェーバー症候群及び神経線維腫症2型であるが、これらに限定されない。
【0023】
YAP/TAZ-TEAD媒介性疾患には、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、AXL阻害剤、B-RAF阻害剤、RAS阻害剤などといった、以前の処置に対する耐性を生じたがんも含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「処置する」または「処置すること」という用語は、YAP/TAZ-TEAD転写の阻害によって治療的利益または予防的利益をもたらすことを目的とした対象への化合物または組成物の投与を指すものとする。処置することには、YAP/TAZ-TEAD転写によって媒介される疾患、障害、もしくは病態、または当該疾患、障害もしくは病態の1つ以上の症状の好転、軽快、緩和、進行の阻害、重篤度の軽減、または防止が含まれる。「治療的利益」とは、処置される基礎障害の根絶、軽快、好転、緩和、進行の阻害、または重篤度の軽減を意味する。また、いくつかの実施形態では、患者が基礎障害に罹患しているとしても、患者において改善が観察されるような、基礎障害に関連する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶または軽快により、治療的利益が達成される。予防的利益の観点で、いくつかの実施形態では、特定の疾患の診断がなされていなくとも、当該疾患を発症するリスクのある患者、または当該疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に組成物が投与される。
【0025】
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物、例えば、ヒトなどの哺乳動物か、処置、観察、もしくは実験を受ける者であった患者か、またはそのような処置を必要とする患者を指す。
【0026】
本明細書で使用される「治療上有効量」という用語は、組織系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められている、処置されている疾患または障害の症状の緩和または部分的緩和を含む生物学的または医薬的な応答を誘起する活性化合物または医薬剤の量を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、治療上有効量の特定成分を含む生成物だけでなく、特定量の特定成分の組み合わせから直接的または間接的に得られるあらゆる生成物を包含するものとする。
【0028】
YAP/TAZ-TEAD活性化の阻害剤に関して本明細書で使用される「拮抗剤」または「阻害剤」という用語は、状況に応じて、YAP/TAZ-TEAD活性化の機能的拮抗作用をもたらすことが可能な化合物を指す。
【0029】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。これは、他の要素またはステップを除外するものではない。
【0030】
本明細書全体における「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかとなるように、いかなる好適な様式で組み合わされてもよい。単数形の名詞に言及する際に「a」または「an」、「the」などの不定冠詞または定冠詞が使用される場合、これは、他のことが具体的に述べられていない限り、その名詞の複数形を含む。
【0031】
同様に、本開示の例示的な実施形態の記載においては、本開示を簡素化して様々な発明の態様のうちの1つ以上の理解を助ける目的で、本開示の様々な特徴が単一の実施形態、図面、またはその記載にまとめられ得ることを理解されたい。
【0032】
以下の定義の各々において、炭素原子の数は、置換基またはリンカーにおいて一般的に最適に存在する炭素原子の最大数を表す。本願において別段の記載がない場合、炭素原子の数は、その特定の置換基またはリンカーについての炭素原子の最適な最大数を表すものと理解される。
【0033】
本明細書で使用される「脱離基」または「LG」という用語は、塩基性または酸性条件下において、求核試薬による転置、または切断もしくは加水分解を受けやすい化学基を意味する。特定の実施形態において、脱離基は、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)またはスルホナート(例えば、メシラート、トシラート、トリフラート)から選択される。
【0034】
「保護基」という用語は、官能基の特性または化合物全体の特性をマスクするかまたは変化させる化合物の部分を指す。保護基の化学的部分構造は多種多様である。保護基の機能の1つは、親原薬の合成における中間体として機能することである。化学的保護基及び保護/脱保護のための戦略は、当技術分野において周知である。“Protective Groups in Organic Chemistry”,Theodora W.Greene(John Wiley&Sons,Inc.,New York,1991を参照されたい。保護基は、多くの場合、ある特定の官能基の反応性をマスクして、秩序的かつ計画的な様式での化学結合の生成及び切断などの所望の化学反応の効率を補助するために利用される。化合物の官能基の保護は、保護された官能基の反応性に加えて、極性、親油性(疎水性)、及び一般的な分析ツールで測定できる他の特性のような他の物理的特性を変化させる。化学的に保護された中間体は、それ自体が生物学的に活性または不活性であり得る。
【0035】
保護された化合物はまた、in vitro及びin vivoで、細胞膜の透過及び酵素による分解または隔離に対する耐性などの、変化した、場合によっては最適化された特性を呈し得る。この役割において、意図された治療効果を有する保護された化合物は、プロドラッグと呼ばれることがある。保護基の別の機能は、親薬物をプロドラッグに変換することであり、それによりin vivoでプロドラッグが変換されると親薬物が放出される。活性プロドラッグは親薬物よりも効果的に吸収され得るため、プロドラッグは、in vivoで親薬物よりも高い効力を有し得る。保護基は、化学中間体の場合にはin vitroで、またはプロドラッグの場合にはin vivoで除去される。化学中間体については、脱保護後に得られる生成物、例えばアルコールが生理学的に許容可能であることは特に重要ではないが、一般に、生成物が薬理学的に無害である場合のほうが望ましい。
【0036】
本明細書で使用される「アルキル」または「C1-18アルキル」という用語は、不飽和部位を含まない、C-C18のノルマル、第二級、または第三級、線状、分岐状または直鎖状の炭化水素を意味する。例としては、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、2-プロピル(iPr)、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル(i-Bu)、2-ブチル(s-Bu)、2-ジメチル-2-プロピル(t-Bu)、1-ペンチル(n-ペンチル)、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、及びn-イコシルである。特定の実施形態では、アルキルという用語は、本明細書上文でさらに定義したような、C1-12アルキル(C1-12炭化水素)、さらにより特定するとC1-9アルキル(C1-9炭化水素)、さらにより特定するとC1-6アルキル(C1-6炭化水素)を指す。
【0037】
基または基の一部としての「ハロアルキル」という用語は、上文で定義した意味を有するアルキル基において、1、2、または3個の水素原子が各々、本明細書で定義するようなハロゲンで置き換えられているものを指す。かかるハロアルキル基の非限定的な例としては、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0038】
基または基の一部としての「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなC1-6アルキルである。好適なC1-6アルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられる。
【0039】
基または基の一部としての「ハロアルコキシ」という用語は、式-O-Rの基を指し、式中、Rは、本明細書で定義するようなハロアルキルである。好適なハロアルコキシの非限定的な例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、トリクロロメトキシ、2-ブロモエトキシ、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリクロロプロポキシ、4,4,4-トリクロロブトキシが挙げられる。
【0040】
「シクロアルキル」または「C3-18シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロプロピルエチレン、メチルシクロプロピレン、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロオクチルメチレン、ノルボルニル、フェンチル、トリメチルトリシクロヘプチル、デカリニル、アダマンチルなどといった、C3-10単環式もしくはC7-18多環式飽和炭化水素からなるかまたはそれを含む、3~18個の炭素原子を有する飽和炭化水素一価基を意味する。特定の実施形態では、シクロアルキルという用語は、本明細書上文でさらに定義したような、C3-12シクロアルキル(飽和環状C3-12炭化水素)、さらにより特定するとC3-9シクロアルキル(飽和環状C3-9炭化水素)、なおもより特定するとC3-6シクロアルキル(飽和環状C3-6炭化水素)を指す。疑義を避けるために付言すると、シクロアルキル環と複素環式環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、複素環とみなされる。シクロアルキル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールとみなされる。シクロアルキル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。
【0041】
本明細書で使用される「アルケニル」または「C2-18アルケニル」という用語は、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を含む、C-C18のノルマル、第二級、または第三級、線状、分岐状または直鎖状の炭化水素である。例は、エチレンまたはビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)、及び5-ヘキセニル(-CHCHCHCHCH=CH)を含むが、これらに限定されない。二重結合は、cisまたはtransの配置にあり得る。特定の実施形態では、アルケニルという用語は、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を含む、本明細書上文でさらに定義したような、C2-12アルケニル(C2-12炭化水素)、さらにより特定するとC2-9アルケニル(C2-9炭化水素)、なおもより特定するとC2-6アルケニル(C2-6炭化水素)を指す。
【0042】
基または基の一部としての「アルケニルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなアルケニルである。
【0043】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、5~18個の炭素原子を有し、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を含み、C5-10単環式もしくはC7-18多環式炭化水素からなるかまたはそれを含む、非芳香族炭化水素基を指す。例は、シクロペンテニル(-C)、シクロペンテニルプロピレン、メチルシクロヘキセニレン、及びシクロヘキセニル(-C)を含むが、これらに限定されない。二重結合は、cisまたはtransの配置にあり得る。特定の実施形態では、シクロアルケニルという用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を含む、本明細書上文でさらに定義したような、C5-12シクロアルケニル(環状C5-12炭化水素)、さらにより特定するとC5-9シクロアルケニル(環状C5-9炭化水素)、なおもより特定するとC5-6シクロアルケニル(環状C5-6炭化水素)を指す。疑義を避けるために付言すると、シクロアルケニル環と複素環式環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、複素環とみなされる。シクロアルケニル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールとみなされる。シクロアルケニル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。
【0044】
本明細書で使用される「アルキニル」または「C2-18アルキニル」という用語は、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を含む、C-C18のノルマル、第二級、第三級、線状、分岐状または直鎖状の炭化水素を指す。例は、エチニル(-C≡CH)、3-エチル-シクロヘプタ-1-イニレン、及び1-プロピニル(プロパルギル、-CHC≡CH)を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アルキニルという用語は、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を含む、本明細書上文でさらに定義したような、C2-12アルキニル(C2-12炭化水素)、さらにより特定するとC2-9アルキニル(C2-9炭化水素)、さらにより特定するとC2-6アルキニル(C2-6炭化水素)を指す。
【0045】
基または基の一部としての「アルキニルオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなアルキニルである。
【0046】
本明細書で使用される「シクロアルキニル」という用語は、5~18個の炭素原子を有し、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を含み、C5-10単環式もしくはC7-18多環式炭化水素からなるかまたはそれを含む、非芳香族炭化水素基を指す。例は、シクロヘプタ-1-イン、3-エチル-シクロヘプタ-1-イニレン、4-シクロヘプタ-1-イン-メチレン、及びエチレン-シクロヘプタ-1-インを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、シクロアルキニルという用語は、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を含む、本明細書上文でさらに定義したような、C5-10シクロアルキニル(環状C5-10炭化水素)、さらにより特定するとC5-9シクロアルキニル(環状C5-9炭化水素)、なおもより特定するとC5-6シクロアルキニル(環状C5-6炭化水素)を指す。疑義を避けるために付言すると、シクロアルキニル環と複素環式環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、複素環とみなされる。シクロアルキニル環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールとみなされる。シクロアルキニル環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。
【0047】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、各々、1~18個の炭素原子(より特定すると、C1-12、C1-9またはC1-6炭素原子)を持ち、親アルカンの同じまたは2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価基中心を有する、飽和、分岐状または直鎖状の炭化水素基を指す。典型的なアルキレンは、メチレン(-CH-)、1,2-エチル(-CHCH-)、1,3-プロピル(-CHCHCH-)、1,4-ブチル(-CHCHCHCH-)などを含むが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される「アルケニレン」という用語は、各々、2~18個の炭素原子(より特定すると、C2-12、C2-9またはC2-6炭素原子)を持ち、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を含み、親アルケンの同じまたは2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価中心を有する、分岐状または直鎖状の炭化水素を指す。
【0049】
本明細書で使用される「アルキニレン」という用語は、各々、2~18個の炭素原子(より特定すると、C2-12、C2-9またはC2-6炭素原子)を持ち、少なくとも1つ(通常は1~3つ、好ましくは1つ)の不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp三重結合を含み、親アルキンの同じまたは2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価中心を有する、分岐状または直鎖状の炭化水素を指す。
【0050】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、酸素、窒素または硫黄原子を含む群から選択される1つ以上の原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられているアルキルを指す。したがって、ヘテロアルキルという用語は、-O-R、-NR-R、-R-O-R、及び-S-Rを含み、式中、Rはアルキレンであり、Rはアルキルであり、Rは水素または本明細書で定義するようなアルキである。特定の実施形態では、この用語は、C1-12ヘテロアルキル、C1-9ヘテロアルキル、またはC1-6ヘテロアルキルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、アルキルオキシ、アルキル-オキシ-アルキル、(モノまたはジ)アルキルアミノ、(モノまたはジ-)アルキル-アミノ-アルキル、アルキルチオ、及びアルキル-チオ-アルキルを含む群から選択される。
【0051】
本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、酸素、窒素または硫黄原子から選択される1つ以上の原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられている非環式アルケニルを指す。したがって、ヘテロアルケニルという用語は、-O-R、-NH-(R)、-N(R))、-N(R)(R)、及び-S-Rを含み、式中、Rはアルキルであり、Rは本明細書で定義するようなアルケニルである。特定の実施形態では、この用語は、C2-12ヘテロアルケニル、C2-9ヘテロアルケニル、またはC2-6ヘテロアルケニルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニルは、アルケニルオキシ、アルケニル-オキシ-アルケニル、(モノまたはジ-)アルケニルアミノ、(モノまたはジ-)アルケニル-アミノ-アルケニル、アルケニルチオ、及びアルケニル-チオ-アルケニルを含む群から選択される。
【0052】
本明細書で使用される「ヘテロアルキニル」という用語は、酸素、窒素または硫黄原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられている非環式アルキニルを指す。したがって、ヘテロアルキニルという用語は、-O-R、-N(R、NHR、-N(R)(R)、-N(R)(R)、及び-S-Rを含むがこれらに限定されず、式中、Rはアルキルであり、Rはアルキニルであり、Rは本明細書で定義するようなアルケニルである。特定の実施形態では、この用語は、C2-12ヘテロアルキニル、C2-9ヘテロアルキニルまたはC2-6ヘテロアルキニルを指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニルという用語は、アルキニルオキシ、アルキニル-オキシ-アルキニル、(モノまたはジ-)アルキニルアミノ、(モノまたはジ-)アルキニル-アミノ-アルキニル、アルキニルチオ、アルキニル-チオ-アルキニルを含む群から選択される。
【0053】
本明細書で使用される「ヘテロアルキレン」という用語は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられているアルキレンを指す。
【0054】
本明細書で使用される「ヘテロアルケニレン」という用語は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられているアルケニレンを指す。
【0055】
本明細書で使用される「ヘテロアルキニレン」という用語は、1つ以上の酸素、窒素または硫黄原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられているアルキニレンを指す。
【0056】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、親芳香族環系の炭素原子から水素を除去することによって誘導される6~20個の炭素原子を持つ芳香族炭化水素を意味する。典型的なアリール基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導される、1つの環、または2つもしくは3つの環が一体に縮合したものを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アリールという用語は、6~14個の炭素原子の環員を持つ芳香族環を指し、さらにより特定すると、6~10個の炭素原子の環員を持つ芳香族環を指す。アリール環とシクロアルキル環、またはシクロアルケニル環、またはシクロアルキニル環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、アリールとみなされる。アリール環と複素環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、複素環とみなされる。したがって、インドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェンなどは、本開示によれば、複素環とみなされる。アリール環とヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。
【0057】
基または基の一部としての「アリールオキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなアリールである。
【0058】
本明細書で使用される「アリールアルキル」または「アリールアルキル-」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがアリールで置き換えられているアルキルを指す。典型的なアリールアルキル基は、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエチルなどを含むが、これらに限定されない。アリールアルキル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキル基のアルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0059】
基または基の一部としての「アリールアルキルオキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rはアリールであり、Rは本明細書上文で定義したようなアルキレンである。
【0060】
本明細書で使用される「アリールアルケニル」または「アリールアルケニル-」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリールで置き換えられているアルケニルを指す。アリールアルケニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルケニル基のアルケニル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0061】
本明細書で使用される「アリールアルキニル」または「アリールアルキニル-」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1個がアリールで置き換えられたアルキニルを指す。アリールアルキニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキニル基のアルキニル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。
【0062】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルキル」または「アリールヘテロアルキル-」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがアリールで置き換えられているヘテロアルキルを指す。アリールヘテロアルキル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルキル基のヘテロアルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルキルは、アリール-O-アルキル、アリールアルキル-O-アルキル、アリール-NH-アルキル、アリール-N(アルキル)、アリールアルキル-NH-アルキル、アリールアルキル-N-(アルキル)、アリール-S-アルキル、及びアリールアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0063】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルケニル」または「アリールヘテロアルケニル-」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリールで置き換えられているヘテロアルケニルを指す。アリールヘテロアルケニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルケニル基のヘテロアルケニル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルケニルは、アリール-O-アルケニル、アリールアルケニル-O-アルケニル、アリール-NH-アルケニル、アリール-N(アルケニル)、アリールアルケニル-NH-アルケニル、アリールアルケニル-N-(アルケニル)、アリール-S-アルケニル、及びアリールアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0064】
本明細書で使用される「アリールヘテロアルキニル」または「アリールヘテロアルキニル-」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリールで置き換えられているヘテロアルキニルを指す。アリールヘテロアルキニル基は、6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールヘテロアルキニル基のヘテロアルキニル部分は、1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、6~14個の炭素原子である。いくつかの実施形態では、アリールヘテロアルキニルは、アリール-O-アルキニル、アリールアルキニル-O-アルキニル、アリール-NH-アルキニル、アリール-N(アルキニル)、アリールアルキニル-NH-アルキニル、アリールアルキニル-N-(アルキニル)、アリール-S-アルキニル、及びアリールアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0065】
本明細書で使用される「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、少なくとも1つのN、O、S、またはPを含む3~18個の原子の非芳香族、完全飽和または部分不飽和の環系(例えば、3~7員単環式、7~11員二環式、または合計3~10個の環原子を含むもの)を指す。複素環またはヘテロシクリルの各環は、N、O及び/またはSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有してもよく、ここで、N及びSのヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、Nのヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよく、ヘテロシクリルの少なくとも1つの炭素原子は、酸化されて少なくとも1つのC=Oを形成していてもよい。複素環は、価数が許容する限り、環または環系のいずれのヘテロ原子または炭素原子にて結合していてもよい。多環ヘテロシクリルまたは複素環の環は、縮合していてもよく、架橋していてもよく、及び/または1つ以上のスピロ原子を介して連結していてもよい。複素環またはヘテロシクリルとアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、複素環またはヘテロシクリルとみなされる。複素環またはヘテロシクリルとヘテロアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。
【0066】
非限定的で例示的な複素環または複素環式基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2-イミダゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、スクシンイミジル、3H-インドリル、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル(別名、3,4-ジヒドロベンゾ[b]ピラニル)、2H-ピロリル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、4H-キノリジニル、2-オキソピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキシイミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、インドリニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、チオモルホリン-4-イル、チオモルホリン-4-イルスルホキシド、チオモルホリン-4-イルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1,4-ジチアニル、1,3,5-トリオキサニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチオフェニル、N-ホルミルピペラジニル、及びモルホリン-4-イルが挙げられる。本明細書で使用される「アジリジニル」という用語は、アジリジン-1-イル及びアジリジン-2-イルを含む。本明細書で使用される「オキシラニル」という用語は、オキシラニル-2-イルを含む。本明細書で使用される「チイラニル」という用語は、チイラン-2-イルを含む。本明細書で使用される「アゼチジニル」という用語は、アゼチジン-1-イル、アゼチジン-2-イル、及びアゼチジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「オキセタニル」という用語は、オキセタン-2-イル及びオキセタン-3-イルを含む。本明細書で使用される「チエタニル」という用語は、チエタン-2-イル及びチエタン-3-イルを含む。本明細書で使用される「ピロリジニル」という用語は、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、及びピロリジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロフラニル」という用語は、テトラヒドロフラン-2-イル及びテトラヒドロフラン-3-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロチオフェニル」という用語は、テトラヒドロチオフェン-2-イル及びテトラヒドロチオフェン-3-イルを含む。本明細書で使用される「スクシンイミジル」という用語は、スクシンイミド-1-イル及びスクシンイミド-3-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロピロリル」という用語は、2,3-ジヒドロピロール-1-イル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-2-イル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル、2,5-ジヒドロピロール-1-イル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル、及び2,5-ジヒドロピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「2H-ピロリル」という用語は、2H-ピロール-2-イル、2H-ピロール-3-イル、2H-ピロール-4-イル、及び2H-ピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「3H-ピロリル」という用語は、3H-ピロール-2-イル、3H-ピロール-3-イル、3H-ピロール-4-イル、及び3H-ピロール-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロフラニル」という用語は、2,3-ジヒドロフラン-2-イル、2,3-ジヒドロフラン-3-イル、2,3-ジヒドロフラン-4-イル、2,3-ジヒドロフラン-5-イル、2,5-ジヒドロフラン-2-イル、2,5-ジヒドロフラン-3-イル、2,5-ジヒドロフラン-4-イル、及び2,5-ジヒドロフラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロチオフェニル」という用語は、2,3-ジヒドロチオフェン-2-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-3-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-4-イル、2,3-ジヒドロチオフェン-5-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-3-イル、2,5-ジヒドロチオフェン-4-イル、及び2,5-ジヒドロチオフェン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリジニル」という用語は、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、及びイミダゾリジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ピラゾリジニル」という用語は、ピラゾリジン-1-イル、ピラゾリジン-3-イル、及びピラゾリジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリニル」という用語は、イミダゾリン-1-イル、イミダゾリン-2-イル、イミダゾリン-4-イル、及びイミダゾリン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ピラゾリニル」という用語は、1-ピラゾリン-3-イル、1-ピラゾリン-4-イル、2-ピラゾリン-1-イル、2-ピラゾリン-3-イル、2-ピラゾリン-4-イル、2-ピラゾリン-5-イル、3-ピラゾリン-1-イル、3-ピラゾリン-2-イル、3-ピラゾリン-3-イル、3-ピラゾリン-4-イル、及び3-ピラゾリン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキソラニル」という用語、別名「1,3-ジオキソラニル」は、ジオキソラン-2-イル、ジオキソラン-4-イル、及びジオキソラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキソリル」という用語、別名「1,3-ジオキソリル」は、ジオキソール-2-イル、ジオキソール-4-イル、及びジオキソール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリジニル」という用語は、オキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-3-イル、オキサゾリジン-4-イル、及びオキサゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソオキサゾリジニル」という用語は、イソオキサゾリジン-2-イル、イソオキサゾリジン-3-イル、イソオキサゾリジン-4-イル、及びイソオキサゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリニル」という用語は、2-オキサゾリニル-2-イル、2-オキサゾリニル-4-イル、2-オキサゾリニル-5-イル、3-オキサゾリニル-2-イル、3-オキサゾリニル-4-イル、3-オキサゾリニル-5-イル、4-オキサゾリニル-2-イル、4-オキサゾリニル-3-イル、4-オキサゾリニル-4-イル、及び4-オキサゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソオキサゾリニル」という用語は、2-イソオキサゾリニル-3-イル、2-イソオキサゾリニル-4-イル、2-イソオキサゾリニル-5-イル、3-イソオキサゾリニル-3-イル、3-イソオキサゾリニル-4-イル、3-イソオキサゾリニル-5-イル、4-イソオキサゾリニル-2-イル、4-イソオキサゾリニル-3-イル、4-イソオキサゾリニル-4-イル、及び4-イソオキサゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリジニル」という用語は、チアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-3-イル、チアゾリジン-4-イル、及びチアゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソチアゾリジニル」という用語は、イソチアゾリジン-2-イル、イソチアゾリジン-3-イル、イソチアゾリジン-4-イル、及びイソチアゾリジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリニル」という用語は、2-チアゾリニル-2-イル、2-チアゾリニル-4-イル、2-チアゾリニル-5-イル、3-チアゾリニル-2-イル、3-チアゾリニル-4-イル、3-チアゾリニル-5-イル、4-チアゾリニル-2-イル、4-チアゾリニル-3-イル、4-チアゾリニル-4-イル、及び4-チアゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソチアゾリニル」という用語は、2-イソチアゾリニル-3-イル、2-イソチアゾリニル-4-イル、2-イソチアゾリニル-5-イル、3-イソチアゾリニル-3-イル、3-イソチアゾリニル-4-イル、3-イソチアゾリニル-5-イル、4-イソチアゾリニル-2-イル、4-イソチアゾリニル-3-イル、4-イソチアゾリニル-4-イル、及び4-イソチアゾリニル-5-イルを含む。本明細書で使用される「ピペリジル」という用語、別名「ピペリジニル」は、ピペリド-1-イル、ピペリド-2-イル、ピペリド-3-イル、及びピペリド-4-イルを含む。本明細書で使用される「ジヒドロピリジニル」という用語は、1,2-ジヒドロピリジン-1-イル、1,2-ジヒドロピリジン-2-イル、1,2-ジヒドロピリジン-3-イル、1,2-ジヒドロピリジン-4-イル、1,2-ジヒドロピリジン-5-イル、1,2-ジヒドロピリジン-6-イル、1,4-ジヒドロピリジン-1-イル、1,4-ジヒドロピリジン-2-イル、1,4-ジヒドロピリジン-3-イル、1,4-ジヒドロピリジン-4-イル、2,3-ジヒドロピリジン-2-イル、2,3-ジヒドロピリジン-3-イル、2,3-ジヒドロピリジン-4-イル、2,3-ジヒドロピリジン-5-イル、2,3-ジヒドロピリジン-6-イル、2,5-ジヒドロピリジン-2-イル、2,5-ジヒドロピリジン-3-イル、2,5-ジヒドロピリジン-4-イル、2,5-ジヒドロピリジン-5-イル、2,5-ジヒドロピリジン-6-イル、3,4-ジヒドロピリジン-2-イル、3,4-ジヒドロピリジン-3-イル、3,4-ジヒドロピリジン-4-イル、3,4-ジヒドロピリジン-5-イル、及び3,4-ジヒドロピリジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロピリジニル」という用語は、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-3-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-4-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-5-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-6-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-2-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-3-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-5-イル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-6-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-2-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-3-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-3-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-4-イル、2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-5-イル、及び2,3,4,5-テトラヒドロピリジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロピラニル」という用語、別名「オキサニル」または「テトラヒドロ-2H-ピラニル」は、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、及びテトラヒドロピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「2H-ピラニル」という用語は、2H-ピラン-2-イル、2H-ピラン-3-イル、2H-ピラン-4-イル、2H-ピラン-5-イル、及び2H-ピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「4H-ピラニル」という用語は、4H-ピラン-2-イル、4H-ピラン-3-イル、及び4H-ピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル」という用語は、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-イル、及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「3,6-ジヒドロ-2H-ピラニル」という用語は、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-
ピラン-5-イル、及び3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロチオフェニル」という用語は、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェニル-3-イル、及びテトラヒドロチオフェニル-4-イルを含む。本明細書で使用される「2H-チオピラニル」という用語は、2H-チオピラン-2-イル、2H-チオピラン-3-イル、2H-チオピラン-4-イル、2H-チオピラン-5-イル、及び2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「4H-チオピラニル」という用語は、4H-チオピラン-2-イル、4H-チオピラン-3-イル、及び4H-チオピラン-4-イルを含む。本明細書で使用される「3,4-ジヒドロ-2H-チオピラニル」という用語は、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-2-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-3-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-5-イル、及び3,4-ジヒドロ-2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「3,6-ジヒドロ-2H-チオピラニル」という用語は、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-2-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-3-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-5-イル、及び3,6-ジヒドロ-2H-チオピラン-6-イルを含む。本明細書で使用される「ピペラジニル」という用語、別名「ピペラジジニル」は、ピペラジン-1-イル及びピペラジン-2-イルを含む。本明細書で使用される「モルホリニル」という用語は、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル及びモルホリン-4-イルを含む。本明細書で使用される「チオモルホリニル」という用語は、チオモルホリン-2-イル、チオモルホリン-3-イル、及びチオモルホリン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキサニル」という用語は、1,2-ジオキサン-3-イル、1,2-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル、及び1,4-ジオキサン-2-イルを含む。本明細書で使用される「ジチアニル」という用語は、1,2-ジチアン-3-イル、1,2-ジチアン-4-イル、1,3-ジチアン-2-イル、1,3-ジチアン-4-イル、1,3-ジチアン-5-イル、及び1,4-ジチアン-2-イルを含む。本明細書で使用される「オキサチアニル」という用語は、オキサチアン-2-イル及びオキサチアン-3-イルを含む。本明細書で使用される「トリオキサニル」という用語は、1,2,3-トリオキサン-4-イル、1,2,3-トリオキサン-5-イル、1,2,4-トリオキサン-3-イル、1,2,4-トリオキサン-5-イル、1,2,4-トリオキサン-6-イル、及び1,3,4-トリオキサン-2-イルを含む。本明細書で使用される「アゼパニル」という用語は、アゼパン-1-イル、アゼパン-2-イル、アゼパン-3-イル、及びアゼパン-4-イルを含む。本明細書で使用される「ホモピペラジニル」という用語は、ホモピペラジン-1-イル、ホモピペラジン-2-イル、ホモピペラジン-3-イル、及びホモピペラジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「インドリニル」という用語は、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、インドリン-4-イル、インドリン-5-イル、インドリン-6-イル、及びインドリン-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル、及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「イソインドリニル」という用語は、イソインドリン-1-イル、イソインドリン-2-イル、イソインドリン-3-イル、イソインドリン-4-イル、イソインドリン-5-イル、イソインドリン-6-イル、及びイソインドリン-7-イルを含む。本明細書で使用される「3H-インドリル」という用語は、3H-インドール-2-イル、3H-インドール-3-イル、3H-インドール-4-イル、3H-インドール-5-イル、3H-インドール-6-イル、及び3H-インドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル、及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「キノリジニル」という用語は、キノリジジン-1-イル、キノリジジン-2-イル、キノリジジン-3-イル、及びキノリジジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロキノリニル」という用語は、テトラヒドロキノリン-1-イル、テトラヒドロキノリン-2-イル、テトラヒドロキノリン-3-イル、テトラヒドロキノリン-4-イル、テトラヒドロキノリン-5-イル、テトラヒドロキノリン-6-イル、テトラヒドロキノリン-7-イル、及びテトラヒドロキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「テトラヒドロイソキノリニル」という用語は、テトラヒドロイソキノリン-1-イル、テトラヒドロイソキノリン-2-イル、テトラヒドロイソキノリン-3-イル、テトラヒドロイソキノリン-4-イル、テトラヒドロイソキノリン-5-イル、テトラヒドロイソキノリン-6-イル、テトラヒドロイソキノリン-7-イル、及びテトラヒドロイソキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「クロマニル」という用語は、クロマン-2-イル、クロマン-3-イル、クロマン-4-イル、クロマン-5-イル、クロマン-6-イル、クロマン-7-イル、及びクロマン-8-イルを含む。本明細書で使用される「1H-ピロリジン」という用語は、1H-ピロリジン-1-イル、1H-ピロリジン-2-イル、1H-ピロリジン-3-イル、1H-ピロリジン-5-イル、1H-ピロリジン-6-イル、及び1H-ピロリジン-7-イルを含む。本明細書で使用される「3H-ピロリジン」という用語は、3H-ピロリジン-1-イル、3H-ピロリジン-2-イル、3H-ピロリジン-3-イル、3H-ピロリジン-5-イル、3H-ピロリジン-6-イル、及び3H-ピロリジン-7-イルを含む。
【0067】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのN、O、S、またはPを含み、1つの環または2つの環を含有し、これらは一体に縮合または共有結合していてもよく、各環は典型的に5~6個の原子を含有する、5~18個の原子の芳香族環系を指す;前記環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、ここで、N及びSのヘテロ原子は、任意選択で酸化されていてもよく、Nのヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよく、前記ヘテロアリールの少なくとも1つの炭素原子は、酸化されて少なくとも1つのC=Oを形成していてもよい。ヘテロアリール環とシクロアルキル環、またはシクロアルケニル環、またはシクロアルキニル環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。ヘテロアリール環と複素環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。ヘテロアリール環とアリール環との縮合系は、コア構造に結合している環に関係なく、ヘテロアリールとみなされる。かかるヘテロアリールの非限定的な例としては、トリアゾール-2-イル、ピリジニル、1H-ピラゾール-5-イル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル、チエノ[3,2-b]フラニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル、チエノ[2,3-d]イミダゾリル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3-ベンゾオキサゾリル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、2,1-ベンゾイソオキサゾリル、1,3-ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾリル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル、1,2,3-ベンゾチアジアゾリル、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラニル、チエノピリジニル、プリニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、6-オキソ-ピリダジン-1(6H)-イル、2-オキソピリジン-1(2H)-イル、1,3-ベンゾジオキソリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルが挙げられる;いくつかの実施形態では、前記ヘテロアリール基は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピロリル、イソオキサゾリル、チオフェニル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、s-トリアジニル、オキサゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル、及びチアゾリルを含む群から選択される;いくつかの実施形態では、前記ヘテロアリール基は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、及びベンゾイミダゾリルを含む群から選択される。
【0068】
本明細書で使用される「ピロリル」(別称、アゾリル)という用語は、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、及びピロール-3-イルを含む。本明細書で使用される「フラニル」(別称、「フリル」)という用語は、フラン-2-イル及びフラン-3-イル(別称、フラン-2-イル及びフラン-3-イル)を含む。本明細書で使用される「チオフェニル」(別称、「チエニル」)という用語は、チオフェン-2-イル及びチオフェン-3-イル(別称、チエン-2-イル及びチエン-3-イル)を含む。本明細書で使用される「ピラゾリル」(別称、1H-ピラゾリル及び1,2-ジアゾリル)という用語は、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イルまたは1H-ピラゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル及びピラゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾリル」という用語は、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、及びイミダゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサゾリル」(別称、1,3-オキサゾリル)という用語は、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、及びオキサゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「イソオキサゾリル」(別称、1,2-オキサゾリル)という用語は、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、及びイソオキサゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「チアゾリル」(別称、1,3-チアゾリル)という用語は、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、及びチアゾール-5-イル(別称、2-チアゾリル、4-チアゾリル、及び5-チアゾリル)を含む。本明細書で使用される「イソチアゾリル」(別称、1,2-チアゾリル)という用語は、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、及びイソチアゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「トリアゾリル」という用語は、トリアゾール-2-イル、1H-トリアゾリル及び4H-1,2,4-トリアゾリルを含み、「1H-トリアゾリル」は、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル及び1H-1,2,4-トリアゾール-5-イルを含む。「4H-1,2,4-トリアゾリル」は、4H-1,2,4-トリアゾール-4-イル、及び4H-1,2,4-トリアゾール-3-イルを含む。本明細書で使用される「オキサジアゾリル」という用語は、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル、1,2,3-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,5-オキサジアゾール-3-イル、及び1,3,4-オキサジアゾール-2-イルを含む。本明細書で使用される「チアジアゾリル」という用語は、1,2,3-チアジアゾール-4-イル、1,2,3-チアジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,2,5-チアジアゾール-3-イル(別称、フラザン-3-イル)、及び1,3,4-チアジアゾール-2-イルを含む。本明細書で使用される「テトラゾリル」という用語は、1H-テトラゾール-1-イル、1H-テトラゾール-5-イル、2H-テトラゾール-2-イル、及び2H-テトラゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「オキサトリアゾリル」という用語は、1,2,3,4-オキサトリアゾール-5-イル及び1,2,3,5-オキサトリアゾール-4-イルを含む。本明細書で使用される「チアトリアゾリル」という用語は、1,2,3,4-チアトリアゾール-5-イル及び1,2,3,5-チアトリアゾール-4-イルを含む。本明細書で使用される「ピリジニル」(別称、「ピリジル」)という用語は、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、及びピリジン-4-イル(別称、2-ピリジル、3-ピリジル、及び4-ピリジル)を含む。本明細書で使用される「ピリミジル」という用語は、ピリミド-2-イル、ピリミド-4-イル、ピリミド-5-イル、及びピリミド-6-イルを含む。本明細書で使用される「ピラジニル」という用語は、ピラジン-2-イル及びピラジン-3-イルを含む。本明細書で使用される「ピリダジニル」という用語は、ピリダジン-3-イル及びピリダジン-4-イルを含む。本明細書で使用される「オキサジニル」(別称、「1,4-オキサジニル」)という用語は、1,4-オキサジン-4-イル及び1,4-オキサジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「ジオキシニル」(別称、「1,4-ジオキシニル」)という用語は、1,4-ジオキシン-2-イル及び1,4-ジオキシン-3-イルを含む。本明細書で使用される「チアジニル」(別称、「1,4-チアジニル」)という用語は、1,4-チアジン-2-イル、1,4-チアジン-3-イル、1,4-チアジン-4-イル、1,4-チアジン-5-イル、及び1,4-チアジン-6-イルを含む。本明細書で使用される「トリアジニル」という用語は、1,3,5-トリアジン-2-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,2,4-トリアジン-5-イル、1,2,4-トリアジン-6-イル、1,2,3-トリアジン-4-イル、及び1,2,3-トリアジン-5-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル」という用語は、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-2-イル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-3-イル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-5-イル、及びイミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾール-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[3,2-b]フラニル」という用語は、チエノ[3,2-b]フラン-2-イル、チエノ[3,2-b]フラン-3-イル、チエノ[3,2-b]フラン-4-イル、及びチエノ[3,2-b]フラン-5-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[3,2-b]チオフェニル」という用語は、チエノ[3,2-b]チエン-2-イル、チエノ[3,2-b]チエン-3-イル、チエノ[3,2-b]チエン-5-イル、及びチエノ[3,2-b]チエン-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[2,3-d][1,3]チアゾリル」という用語は、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-2-イル、チエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-5-イル、及びチエノ[2,3-d][1,3]チアゾール-6-イルを含む。本明細書で使用される「チエノ[2,3-d]イミダゾリル」という用語は、チエノ[2,3-d]イミダゾール-2-イル、チエノ[2,3-d]イミダゾール-4-イル、及びチエノ[2,3-d]イミダゾール-5-イルを含む。本明細書で使用される「テトラゾロ[1,5-a]ピリジニル」という用語は、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、テトラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル、及びテトラゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イルを含む。本明細書で使用される「インドリル」という用語は、インドール-1-イル、インドール-2-イル、インドール-3-イル、-インドール-4-イル、インドール-5-イル、インドール-6-イル、及びインドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「インドリジニル」という用語は、インドリジン-1-イル、インドリジン-2-イル、インドリジン-3-イル、インドリジン-5-イル、インドリジン-6-イル、インドリジン-7-イル、及びインドリジン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イソインドリル」という用語は、イソインドール-1-イル、イソインドール-2-イル、イソインドール-3-イル、イソインドール-4-イル、イソインドール-5-イル、イソインドール-6-イル、及びイソインドール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾフラニル」(別称、ベンゾ[b]フラニル)という用語は、ベンゾフラン-2-イル、ベンゾフラン-3-イル、ベンゾフラン-4-イル、ベンゾフラン-5-イル、ベンゾフラン-6-イル、及びベンゾフラン-7-イルを含む。本明細書で使用される「イソベンゾフラニル」(別称、ベンゾ[c]フラニル)という用語は、イソベンゾフラン-1-イル、イソベンゾフラン-3-イル、イソベンゾフラン-4-イル、イソベンゾフラン-5-イル、イソベンゾフラン-6-イル、及びイソベンゾフラン-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾチオフェニル」(別称、ベンゾ[b]チエニル)という用語は、2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル、及び-7-ベンゾ[b]チオフェニル(別称、ベンゾチエン-2-イル、ベンゾチエン-3-イル、ベンゾチエン-4-イル、ベンゾチエン-5-イル、ベンゾチエン-6-イル、及びベンゾチエン-7-イル)を含む。本明細書で使用される「イソベンゾチオフェニル」(別称、ベンゾ[c]チエニル)という用語は、イソベンゾチエン-1-イル、イソベンゾチエン-3-イル、イソベンゾチエン-4-イル、イソベンゾチエン-5-イル、イソベンゾチエン-6-イル、及びイソベンゾチエン-7-イルを含む。本明細書で使用される「インダゾリル」(別称、1H-インダゾリルまたは2-アザインドリル)という用語は、1H-インダゾール-1-イル、1H-インダゾール-3-イル、1H-インダゾール-4-イル、1H-インダゾール-5-イル、1H-インダゾール-6-イル、1H-インダゾール-7-イル、2H-インダゾール-2-イル、2H-インダゾール-3-イル、2H-インダゾール-4-イル、2H-インダゾール-5-イル、2H-インダゾール-6-イル、及び2H-インダゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾイミダゾリル」という用語は、ベンゾイミダゾール-1-イル、ベンゾイミダゾール-2-イル、ベンゾイミダゾール-4-イル、ベンゾイミダゾール-5-イル、ベンゾイミダゾール-6-イル、及びベンゾイミダゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンゾオキサゾリル」という用語は、1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル、1,3-ベンゾオキサゾール-4-イル、1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル、1,3-ベンゾオキサゾール-6-イル、及び1,3-ベンゾオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2-ベンゾイソオキサゾリル」という用語は、1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、及び1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1-ベンゾイソオキサゾリル」という用語は、2,1-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、2,1-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、2,1-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、2,1-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、及び2,1-ベンゾイソオキサゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンゾチアゾリル」という用語は、1,3-ベンゾチアゾール-2-イル、1,3-ベンゾチアゾール-4-イル、1,3-ベンゾチアゾール-5-イル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イル、及び1,3-ベンゾチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2-ベンゾイソチアゾリル」という用語は、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、及び1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1-ベンゾイソチアゾリル」という用語は、2,1-ベンゾイソチアゾール-3-イル、2,1-ベンゾイソチアゾール-4-イル、2,1-ベンゾイソチアゾール-5-イル、2,1-ベンゾイソチアゾール-6-イル、及び2,1
-ベンゾイソチアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「ベンゾトリアゾリル」という用語は、ベンゾトリアゾール-1-イル、ベンゾトリアゾール-4-イル、ベンゾトリアゾール-5-イル、ベンゾトリアゾール-6-イル、及びベンゾトリアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2,3-ベンゾオキサジアゾリル」という用語は、1,2,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾール-5-イル、1,2,3-ベンゾオキサジアゾール-6-イル、及び1,2,3-ベンゾオキサジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル」という用語は、2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-イル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-6-イル、及び2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,2,3-ベンゾチアジアゾリル」という用語は、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル、1,2,3-ベンゾチアジアゾール-6-イル、及び1,2,3-ベンゾチアジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「2,1,3-ベンゾチアジアゾリル」という用語は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-6-イル、及び2,1,3-ベンゾチアジアゾール-7-イルを含む。本明細書で使用される「チエノピリジニル」という用語は、チエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル、及びチエノ[3,2-b]ピリジニルを含む。本明細書で使用される「プリニル」という用語は、プリン-2-イル、プリン-6-イル、プリン-7-イル、及びプリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イミダゾ[1,2-a]ピリジニル」という用語は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-4-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルを含む。本明細書で使用される「1,3-ベンゾジオキソリル」という用語は、1,3-ベンゾジオキソール-4-イル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1,3-ベンゾジオキソール-6-イル、及び1,3-ベンゾジオキソール-7-イルを含む。本明細書で使用される「キノリニル」という用語は、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、キノリン-5-イル、キノリン-6-イル、キノリン-7-イル、及びキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「イソキノリニル」という用語は、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル、イソキノリン-4-イル、イソキノリン-5-イル、イソキノリン-6-イル、イソキノリン-7-イル、及びイソキノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「シンノリニル」という用語は、シンノリン-3-イル、シンノリン-4-イル、シンノリン-5-イル、シンノリン-6-イル、シンノリン-7-イル、及びシンノリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「キナゾリニル」という用語は、キナゾリン-2-イル、キナゾリン-4-イル、キナゾリン-5-イル、キナゾリン-6-イル、キナゾリン-7-イル、及びキナゾリン-8-イルを含む。本明細書で使用される「キノキサリニル」という用語は、キノキサリン-2-イル、キノキサリン-5-イル、及びキノキサリン-6-イルを含む。
【0069】
本明細書で使用されるヘテロアリール及び複素環またはヘテロシクリルは、限定ではなく例として、Paquette,Leo A.“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に第1章、第3章、第4章、第6章、第7章、及び第9章;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley&Sons,New York,1950~現在)、特に第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、及び第28巻;Katritzky,Alan R.,Rees,C.W.and Scriven,E.“Comprehensive Heterocyclic Chemistry”(Pergamon Press,1996);ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている基を含む。
【0070】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルオキシ」または「複素環オキシ」という用語は、式-O-Rを有する基を指し、式中、Rは本明細書上文で定義したようなヘテロシクリルである。
【0071】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルアルキルオキシ」または「複素環オキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rはヘテロシクリルであり、Rは本明細書上文で定義したようなアルキルである。
【0072】
基または基の一部としての「ヘテロアリールオキシ」という用語は、式-O-Rを有する基を指し、式中、Rは本明細書上文で定義したようなヘテロアリールである。
【0073】
基または基の一部としての「ヘテロアリールアルキルオキシ」という用語は、式-O-R-Rを有する基を指し、式中、Rはヘテロアリールであり、Rは本明細書上文で定義したようなアルキルである。
【0074】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルキル」または「複素環-アルキル」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているアルキルを指す。ヘテロシクリル-アルキルまたは複素環-アルキル基の非限定的な例は、2-ピペリジニル-メチレンである。ヘテロシクリル-アルキルまたは複素環-アルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルキル部分は、1~6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子である。
【0075】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルケニル」または「複素環-アルケニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているアルケニルを指す。ヘテロシクリル-アルケニルまたは複素環-アルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルケニル部分は、2~6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子である。
【0076】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-アルキニル」または「複素環-アルキニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているアルキニルを指す。ヘテロシクリル-アルキニルまたは複素環-アルキニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、アルキニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。
【0077】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルキル」または「複素環-ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているヘテロアルキルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルキルまたは複素環-ヘテロアルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルキル部分は、1~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルキルまたは複素環-ヘテロアルキルは、ヘテロシクリル-O-アルキル、ヘテロシクリルアルキル-O-アルキル、ヘテロシクリル-NH-アルキル、ヘテロシクリル-N(アルキル)、ヘテロシクリルアルキル-NH-アルキル、ヘテロシクリルアルキル-N-(アルキル)、ヘテロシクリル-S-アルキル、及びヘテロシクリルアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0078】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルケニル」または「複素環-ヘテロアルケニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているヘテロアルケニルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルケニルまたは複素環-ヘテロアルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルケニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルケニルまたは複素環-ヘテロアルケニルは、ヘテロシクリル-O-アルケニル、ヘテロシクリルアルキル-O-アルケニル、ヘテロシクリル-NH-アルケニル、ヘテロシクリル-N(アルケニル)、ヘテロシクリルアルキル-NH-アルケニル、ヘテロシクリルアルキル-N-(アルケニル)、ヘテロシクリル-S-アルケニル、及びヘテロシクリルアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0079】
基または基の一部としての「ヘテロシクリル-ヘテロアルキニル」または「複素環-ヘテロアルキニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロシクリルで置き換えられているヘテロアルキニルを指す。ヘテロシクリル-ヘテロアルキニルまたは複素環-ヘテロアルキニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアルキニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロシクリル部分は、3~14個の原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル-ヘテロアルキニルは、ヘテロシクリル-O-アルキニル、ヘテロシクリルアルキニル-O-アルキニル、ヘテロシクリル-NH-アルキニル、ヘテロシクリル-N(アルキニル)、ヘテロシクリルアルキニル-NH-アルキニル、ヘテロシクリルアルキニル-N-(アルキニル)、ヘテロシクリル-S-アルキニル、及びヘテロシクリルアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0080】
基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルキル」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているアルキルを指す。ヘテロアリール-アルキル基の例は、2-ピリジル-メチレンである。ヘテロアリール-アルキル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアリール-アルキル基のアルキル部分は、1~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子を含むことができる。
【0081】
基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルケニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているアルケニルを指す。ヘテロアリール-アルケニル基は、6~20個の原子を含むことができ、例えば、ヘテロアリール-アルケニル基のアルケニル部分は、2~6個の炭素原子を含むことができ、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子を含むことができる。
【0082】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-アルキニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているアルキニルを指す。ヘテロアリール-アルキニル基は、6~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-アルキニル基のアルキニル部分は、2~6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。
【0083】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子(典型的には末端またはsp3炭素原子)に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているヘテロアルキルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルキル基は、7~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルキル基のヘテロアルキル部分は、2~6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルキルは、ヘテロアリール-O-アルキル、ヘテロアリールアルキル-O-アルキル、ヘテロアリール-NH-アルキル、ヘテロアリール-N(アルキル)、ヘテロアリールアルキル-NH-アルキル、ヘテロアリールアルキル-N-(アルキル)、ヘテロアリール-S-アルキル、及びヘテロアリールアルキル-S-アルキルを含む群から選択される。
【0084】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルケニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているヘテロアルケニルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルケニル基は、8~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルケニル基のヘテロアルケニル部分は、3~6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルケニルは、ヘテロアリール-O-アルケニル、ヘテロアリールアルケニル-O-アルケニル、ヘテロアリール-NH-アルケニル、ヘテロアリール-N(アルケニル)、ヘテロアリールアルケニル-NH-アルケニル、ヘテロアリールアルケニル-N-(アルケニル)、ヘテロアリール-S-アルケニル、及びヘテロアリールアルケニル-S-アルケニルを含む群から選択される。
【0085】
本明細書で使用される基または基の一部としての「ヘテロアリール-ヘテロアルキニル」という用語は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリールで置き換えられているヘテロアルキニルを指す。ヘテロアリール-ヘテロアルキニル基は、8~20個の原子を含み、例えば、ヘテロアリール-ヘテロアルキニル基のヘテロアルキニル部分は、2~6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5~14個の原子である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール-ヘテロアルキニルは、ヘテロアリール-O-アルキニル、ヘテロアリールアルキニル-O-アルキニル、ヘテロアリール-NH-アルキニル、ヘテロアリール-N(アルキニル)、ヘテロアリールアルキニル-NH-アルキニル、ヘテロアリールアルキニル-N-(アルキニル)、ヘテロアリール-S-アルキニル、及びヘテロアリールアルキニル-S-アルキニルを含む群から選択される。
【0086】
例として、炭素結合したヘテロアリールまたは複素環式環(または複素環)は、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位にて結合し得る。さらにより典型的には、炭素結合したヘテロアリール及びヘテロシクリルには、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、3-ピラジニル、5-ピラジニル、6-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、または5-チアゾリルが含まれる。例として、窒素結合した複素環式環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾールまたはβ-カルボリンの9位にて結合する。さらにより典型的には、窒素結合したヘテロアリールまたはヘテロシクリルには、1-アジリジル、1-アゼテジル、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、及び1-ピペリジニルが含まれる。
【0087】
本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、「アルコキシ」、「シクロ-アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アリールアルキルオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロシクリルオキシ」、「アルキルチオ」、「シクロアルキルチオ」、「アリールチオ」、「アリールアルキルチオ」、「ヘテロアリールチオ」及び「ヘテロシクリルチオ」という用語は、アルキル基、それぞれシクロアルキル、アリール、アリールアルキルヘテロアリール、またはヘテロシクリル(これらの各々は本明細書で定義するとおり)が、単結合を介して酸素原子または硫黄原子に結合している置換基を指し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、チオエチル、チオメチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、メルカプトベンジルなどだがこれらに限定されない。アルキルの代わりに、アルケニル及びアルキニルについても同じ定義が適用される。
【0088】
基または基の一部としての「アルキルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは本明細書上文で定義したようなアルキルである。アルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ(-SCH)、エチルチオ(-SCHCH)、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオなどが挙げられる。
【0089】
基または基の一部としての「アルケニルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなアルケニルである。
【0090】
基または基の一部としての「アルキニルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは本明細書上文で定義したようなアルキニルである。
【0091】
基または基の一部としての「アリールチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは本明細書上文で定義したようなアリールである。
【0092】
基または基の一部としての「アリールアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Rは本明細書上文で定義したようなアリールである。
【0093】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなヘテロシクリルである。
【0094】
基または基の一部としての「ヘテロアリールチオ」という用語は、式-S-Rを有する基を指し、式中、Rは、本明細書上文で定義したようなヘテロアリールである。
【0095】
基または基の一部としての「ヘテロシクリルアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Rは本明細書上文で定義したようなヘテロシクリルである。
【0096】
基または基の一部としての「ヘテロアリールアルキルチオ」という用語は、式-S-R-Rを有する基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Rは本明細書上文で定義したようなヘテロアリールである。
【0097】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-アルキルアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、Rは水素またはアルキルであり、Rはアルキルである。したがって、アルキルアミノには、モノ-アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ及びエチルアミノなどのモノ-アルキルアミノ基)、及びジ-アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどのジ-アルキルアミノ基)が含まれる。好適なモノ-またはジ-アルキルアミノ基の非限定的な例としては、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、i-ブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、ペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジ-i-プロピルアミノ、エチルメチルアミノ、メチル-n-プロピルアミノ、メチル-i-プロピルアミノ、n-ブチルメチルアミノ、i-ブチルメチルアミノ、t-ブチルメチルアミノ、エチル-n-プロピルアミノ、エチル-i-プロピルアミノ、n-ブチルエチルアミノ、i-ブチルエチルアミノ、t-ブチルエチルアミノ、ジ-n-ブチルアミノ、ジ-i-ブチルアミノ、メチルペンチルアミノ、メチルヘキシルアミノ、エチルペンチルアミノ、エチルヘキシルアミノ、プロピルペンチルアミノ、プロピルヘキシルアミノなどが挙げられる。
【0098】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-アリールアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、アリール、またはアルキルから各々独立に選択され、RまたはRのうちの少なくとも1つは、アリールである。
【0099】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-ヘテロアリールアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、ヘテロアリール、またはアルキルから各々独立に選択され、RまたはRのうちの少なくとも1つは、本明細書で定義するようなヘテロアリールである。
【0100】
基または基の一部としての「モノ-またはジ-ヘテロシクリルアミノ」という用語は、式-N(R)(R)の基を指し、式中、R及びRは、水素、ヘテロシクリル、またはアルキルから各々独立に選択され、RまたはRのうちの少なくとも1つは、本明細書で定義するようなヘテロシクリルである。
【0101】
本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、ハロゲンという用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)からなる群から選択される任意の原子を意味する。
【0102】
本明細書で使用される、「1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含み、当該ヘテロ原子がO、S、及びNからなる原子から選択される」化学基に関する用語は、酸素、窒素または硫黄原子によって1つ以上の炭素原子が置き換えられている基を指し、したがって、言及されている基に応じて、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、シクロヘテロアルキニル、ヘテロアリール、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールヘテロアルケニル、ヘテロアリールヘテロアルケニル、アリールヘテロアルキニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールヘテロアルキニルなどを含む。したがって、この用語は、言及されている基に応じて、例としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキル-O-アルキレン、アルケニル-O-アルキレン、アリールアルコキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール-ヘテロアルキル、ヘテロシクリル-ヘテロアルキル、ヘテロアリール-アルコキシ、ヘテロシクリル-アルコキシなどを含む。例として、「1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含み、当該ヘテロ原子がO、S、及びNからなる原子から選択されるアルキル」という用語は、したがって、ヘテロアルキル、つまり炭化水素鎖の中に1つ以上のヘテロ原子を含むアルキルを指すが、ヘテロ原子は、炭化水素鎖の最初、炭化水素鎖の中、または炭化水素鎖の末端に位置し得る。ヘテロアルキルの例には、メトキシ、メチルチオ、エトキシ、プロポキシ、CH-O-CH-、CH-S-CH-、CH-CH-O-CH-、CH-NH-、(CH-N-、(CH-CH-NH-CH-CH-が含まれるが、例は他にも多数ある。例として、「アルキレン鎖中に1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含み、当該ヘテロ原子がO、S、及びNからなる原子から選択されるアリールアルキレン」という用語は、したがって、アリールヘテロアルキレン、つまり炭化水素鎖の中に1つ以上のヘテロ原子を含むアリールアルキレンを指すが、ヘテロ原子は、炭化水素鎖の最初、炭化水素鎖の中、または炭化水素鎖の末端に位置し得る。したがって、「アリールヘテロアルキレン」には、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アリール-アルキル-NH-などが含まれ、例には、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、アリール-CH-S-CH-、アリール-CH-O-CH-、アリール-NH-CH-があるが、例は他にも多数ある。「1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含み、当該ヘテロ原子がO、S、及びNからなる原子から選択される」という際に本明細書で使用される「ヘテロアルケニレン」、「ヘテロアルキニレン」などの用語にも、同じことが当てはまる。
【0103】
本明細書で使用される、化学基に関する「任意選択で、当該基の炭素原子上またはヘテロ原子上の2つ以上の水素原子が一体になって=Oまたは=Sを形成していてもよい」という用語は、当該基の炭素原子上またはヘテロ原子上の2つ以上の水素原子が一体になって=Oまたは=Sを形成している基を指す。例として、この用語は、「任意選択で、当該アルキルの炭素原子上またはヘテロ原子上の2つ以上の水素原子が一体になって=Oまたは=Sを形成していてもよいアルキル」を指し、例は他にもあるが、CH-C(O)-CH-、CH-C(O)-、CH-C(S)-CH-、CH-S(O)-CH-、及び(CH-CH-C(O)-CH-CH-を含む。
【0104】
「1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含み、当該ヘテロ原子がO、S、及びNからなる原子から選択される」基と、「任意選択で、当該基の炭素原子上またはヘテロ原子上の2つ以上の水素原子が一体になって=Oまたは=Sを形成していてもよい」基との組み合わせは、本明細書上文に記載される2つの態様を組み合わせることができ、言及されている基がアルキルである場合には、例は他にもあるが、CH-C(O)O-、CH-C(O)O-CH-、CH-NH-C(O)-、CH-C(O)-NH-CH-NH-C(O)-CH-、CH-NH-C(S)-CH-、CH-NH-C(S)-NH-CH-、CH-NH-S(O)-、及びCH-NH-S(O)-NH-CH-を含む。
【0105】
「単結合」という用語は、連結基に関して、すなわち、本明細書の式において、ある特定の連結基が単結合から選択されるなどのかたちで、本明細書で使用される場合、連結基が存在しない分子を指し、したがって、連結基によって連結されている2つの部分の間の単結合による直接連結を伴う化合物を指す。
【0106】
置換基に関して本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、例えば「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロシクリル」、「置換アリールアルキル」、「置換ヘテロアリール-アルキル」、「置換ヘテロシクリル-アルキル」などにおける「置換」という用語は、本明細書で定義する化学構造であって、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、基及び/または当該アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルが、任意選択で、1つ以上の置換基(好ましくは1、2、3、4、5または6つ)で置換されていてもよい、つまり、1つ以上の水素原子が、各々独立に、少なくとも1つの置換基で置き換えられているものを指す。典型的な置換基は、以下を含むが、これらに限定されず、特定の実施形態では、当該置換基は、以下からなる群から独立に選択される:ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクロアルキル-アルキル、シクロアルキルアルケニル、シクロアルキルアルキニル、ヘテロアリール-アルキル、ヘテロシクリル-アルキル、ヘテロアリール-アルケニル、ヘテロシクリル-アルケニル及びヘテロアリール-アルキニル、ヘテロシクリル-アルキニル、-X、-Z、-O、-OZ、=O、-SZ、-S、=S、-NZ、-N、=NZ、=N-OZ、-CX(例えばトリフルオロメチル)、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-N=C=S、-NO、-NO、=N、-N、-NZC(O)Z、-NZC(S)Z、-NZC(O)O、-NZC(O)OZ、-NZC(S)OZ、-NZC(O)NZZ、NZC(NZ)Z、NZC(NZ)NZZ、-C(O)NZZ、-C(NZ)Z、-S(O)、-S(O)OZ、-S(O)Z、-OS(O)OZ、-OS(O)Z、-OS(O)、-S(O)NZZ、-S(O)(NZ)Z、-S(O)Z、-OP(O)(OZ)、-P(O)(OZ)、-P(O)(O、-P(O)(OZ)(O)、-P(O)(OH)、-C(O)Z、-C(O)X、-C(S)Z、-C(O)OZ、-C(O)O、-C(S)OZ、-C(O)SZ、-C(S)SZ、-C(O)NZZ、-C(S)NZZ、-C(NZ)NZZ、-OC(O)Z、-OC(S)Z、-OC(O)O、-OC(O)OZ、-OC(S)OZ(ここで、各Xは、独立に、F、Cl、Br、またはIから選択されるハロゲンであり;各Zは、独立に、-H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、保護基またはプロドラッグ部分であるが、窒素原子に結合した2つのZは、それらが結合している窒素原子と一体になって、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成していてもよい)。アルキル(アルキレン)、アルケニル(アルケニレン)、及びアルキニル(アルキニレン)基もまた、同様に置換され得る。
【0107】
本開示の化合物において2つ以上の部位に見出される任意の置換基の表記は、独立に選択されるものとする。
【0108】
置換基は、任意選択で、結合ありまたはなしで表記される。結合の記載に関係なく、置換基が多価である場合(言及される構造中のその位置に基づく)、置換基のありとあらゆる可能な向きが意図される。
【0109】
本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、「溶媒和物」という用語には、本開示の誘導体と好適な無機溶媒(例えば水和物)または有機溶媒(例えばアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ニトリルなどだがこれらに限定されない)とによって形成され得る任意の組み合わせが含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「ヘテロ原子(複数可)」という用語は、四級化されていてもよい窒素;酸素;ならびにスルホキシド及びスルホンを含む硫黄から選択される原子を意味する。
【0111】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」という用語は、-OHを意味する。
【0112】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、二重結合で酸素に結合した炭素原子、すなわち、C=Oを意味する。
【0113】
本明細書で使用される「アミノ」という用語は、-NH基を意味する。
【0114】
本開示は、YAP/TAZ-TEAD転写阻害活性を保有することが示された新規化合物を提供する。本開示はさらに、これらの化合物がTEAD活性化を効率的に阻害し、それによってYAP/TAZ-TEAD転写活性化を阻害することを実証する。したがって、これらの化合物は、対象におけるYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患の処置及び/または防止において使用され得る、より具体的には、他の疾患の中でも特にがん及び線維症の処置及び/または防止のために使用され得る、新しい強力な化合物の有用なクラスを構成する。
【0115】
本開示はさらに、医薬として使用するための化合物、ならびにがんまたは線維症を処置及び/または防止するための薬品の製造におけるそれらの使用に関する。本開示は、動物、哺乳動物における、より特定するとヒトにおける、がんまたは線維症などのYAP/TAZ-TEAD活性化媒介性疾患を処置及び/または防止するための医薬として使用するための化合物に関する。本開示はまた、すべての当該化合物の調製方法、及びそれらを有効量で含む薬学的組成物に関する。本開示はまた、1つ以上の当該化合物を、任意選択で1つ以上の他の医薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによる、ヒトにおけるがんまたは線維症の処置または防止の方法に関する。本開示はまた、獣医学的使用のための化合物、ならびに非ヒト哺乳動物におけるがん及び線維症などの非ヒト哺乳動物における疾患の防止または処置のための医薬としてのそれらの使用に関する。
【0116】
1つの実施形態では、本開示の化合物は、式I:
【化1】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物であり、式中、
及びRは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C-Cアルケニル、及び
(8)C-Cアルキニルからなる群から独立に選択される)、
(b)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、及び
(6)-OZからなる群から独立に選択される)、
(c)C-Cアルキニル
からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-C10アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換5~9員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換C-C複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
は、
(i)-N(R4a)-、
(ii)-CR6e6fN(R4a)-、及び
(iii)-CR6g6hCR6i(NR5a5b)-
からなる群から選択され;
6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、及びR6iは、水素及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択され;
3aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ヒドロキシ、
(b)-OZ
(c)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、
(14)-NZC(=O)Z
(15)-NZS(=O)、及び
(16)-NZS(=O)NZからなる群から独立に選択される)、
(d)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)C-Cアルキル、及び
(2)C-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(e)非置換または置換5~10員ヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、及び
(14)-NZC(=O)Zからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換4~10員複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)C-Cアルキル、
(b)-C(=O)Z、及び
(c)-S(=O)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換5~10員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(d)C-Cハロアルキル、
(e)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(f)-C(=O)NZ
(g)-NZ
(h)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(i)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(j)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(k)-OZ
(l)-C(=O)OH、
(m)ヒドロキシ、及び
(n)-NZC(=O)Z
からなる群から独立に選択されるもの、
(vii)非置換または置換5~10員アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
qは、0、1、または2であり;
3b、R3c、及びR3dは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)C-Cシクロアルキル、及び
(v)C-C10ヘテロアリール、
(vi)ハロゲン、
(vii)シアノ、
(viii)-OZ
(ix)アルケニル、
(x)アルキニル、
(xi)SR
(xii)SOR
(xiii)-S(=O)
(xiv)-C(=O)Z
(xv)-NZC(=O)Z、及び
(xvi)-C(=O)NZ
からなる群から独立に選択され;
4aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)-C(=O)Z
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ
(xi)シアノ、ならびに
(xii)C-Cハロアルキル
からなる群から選択され;
5aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ、ならびに
(xi)-シアノ
からなる群から選択され;
5bは、水素及びC-Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cアルキニル、
(iv)C-Cシクロアルキル、
(v)C-Cシクロアルケニル、
(vi)C-Cハロアルキル、ならびに
(vii)3~6員複素環
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、-C(=O)C-Cアルキル、-S(=O)-Cアルキル、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、及び非置換または置換C-Cヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)C-Cアルキニル、
(v)C-Cシクロアルキル、
(vi)C-Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C-Cハロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Z、Z及びZは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、及び
(iii)C-Cシクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)ハロゲン、
(v)ヒドロキシ、ならびに
(vi)ハロアルキル
からなる群から独立に選択される。
【0117】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式II:
【化2】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、及びR4aは、式Iに関連して定義したとおりである。
【0118】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式III:
【化3】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、及びR4aは、式Iに関連して定義したとおりである。
【0119】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式IV:
【化4】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、及びR4aは、式Iに関連して定義したとおりである。
【0120】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~IVのいずれか1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R4aは、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される。別の実施形態では、Zは、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される。別の実施形態では、Zは、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される。
【0121】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式V:
【化5】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R5a、及びRbaは、式Iに関連して定義したとおりである。
【0122】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式VI:
【化6】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、R、R、R5a、及びRbaは、式Iに関連して定義したとおりである。
【0123】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式VまたはVIの化合物であり、式中、R4aは、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される。
【0124】
別の実施形態では、Rは、水素、-C(=O)NZ
【化7】
からなる群から選択される。
【0125】
別の実施形態では、Zは、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される。別の実施形態では、Zは、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される。
【0126】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~VIのいずれか1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、Rは、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-C10アリールからなる群から選択される。
【0127】
別の実施形態では、本開示の化合物は、式I~VIのいずれか1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物であり、式中、Rは、R-1である。
【0128】
別の実施形態では、本開示の化合物は、表1の化合物のうちのいずれか1つ以上からなる群から選択される、式Iの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物である。
【0129】
本開示の化合物の好ましいまたは特定の記述(特徴)及び実施形態を、本明細書の以下で規定する。このように定義された本開示の各記述、態様、及び実施形態は、相反することが明確に示されない限り、任意の他の記述、態様、及び/または実施形態と組み合わされ得る。特に、好ましい、特定の、または有利であるとして示された任意の特徴は、好ましい、特定の、または有利であるとして示された任意の他の特徴または記述と組み合わされ得る。ここで、以下の付番された記述及び実施形態のうちの1つ以上と、任意の他の記述、態様及び/または実施形態(付番されていない)との任意の1つまたは任意の組み合わせによって、本開示を詳細に捕捉する。
【0130】
実施形態1.式I:
【化8】
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物[式中、
及びRは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、
(6)-OZ
(7)C-Cアルケニル、及び
(8)C-Cアルキニルからなる群から独立に選択される)、
(b)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)C-Cアルキル、
(4)C-Cシクロアルキル、
(5)C-Cハロアルキル、及び
(6)-OZからなる群から独立に選択される)、
(c)C-Cアルキニル
からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-C10アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換5~9員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、
(f)-OZ、及び
(g)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキル、及び-OZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換C-C複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)C-Cアルキル、
(d)C-Cシクロアルキル、
(e)C-Cハロアルキル、及び
(f)-OZ
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
は、
(i)-N(R4a)-、
(ii)-CR6e6fN(R4a)-、及び
(iii)-CR6g6hCR6i(NR5a5b)-
からなる群から選択され;
6a、R6b、R6c、R6d、R6e、R6f、R6g、R6h、及びR6iは、水素及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択され;
3aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)ヒドロキシ、
(b)-OZ
(c)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、
(14)-NZC(=O)Z
(15)-NZS(=O)、及び
(16)-NZS(=O)NZからなる群から独立に選択される)、
(d)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)C-Cアルキル、及び
(2)C-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(e)非置換または置換5~10員ヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、
(1)ハロゲン、
(2)シアノ、
(3)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(4)C-Cハロアルキル、
(5)C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(6)-C(=O)NZ
(7)-NZ
(8)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(9)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(10)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(11)-OZ
(12)-C(=O)OH、
(13)ヒドロキシ、及び
(14)-NZC(=O)Zからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)非置換または置換C-Cシクロアルキルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン及びC-Cアルキルからなる群から独立に選択されるもの、
(v)非置換または置換4~10員複素環であって、1つ以上の置換基が、
(a)C-Cアルキル、
(b)-C(=O)Z、及び
(c)-S(=O)
からなる群から独立に選択されるもの、
(vi)非置換または置換5~10員ヘテロアリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(d)C-Cハロアルキル、
(e)非置換または置換C-Cシクロアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、ヒドロキシ、及び-NZからなる群から独立に選択される)、
(f)-C(=O)NZ
(g)-NZ
(h)非置換または置換C-Cアルケニル(ここで、1つ以上の置換基は、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される)、
(i)非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(j)非置換または置換4~10員複素環(ここで、1つ以上の置換基は、C-Cアルキル、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、
(k)-OZ
(l)-C(=O)OH、
(m)ヒドロキシ、及び
(n)-NZC(=O)Z
からなる群から独立に選択されるもの、
(vii)非置換または置換5~10員アリールであって、1つ以上の置換基が、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、ヒドロキシ、-OZ、及び-NZからなる群から独立に選択される)
からなる群から独立に選択されるもの
からなる群から選択され;
qは、0、1、または2であり;
3b、R3c、及びR3dは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)C-Cシクロアルキル、及び
(v)C-C10ヘテロアリール、
(vi)ハロゲン、
(vii)シアノ、
(viii)-OZ
(ix)アルケニル、
(x)アルキニル、
(xi)SR
(xii)SOR
(xiii)-S(=O)
(xiv)-C(=O)Z
(xv)-NZC(=O)Z、及び
(xvi)-C(=O)NZ
からなる群から独立に選択され;
4aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)-C(=O)Z
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ
(xi)シアノ、ならびに
(xii)C-Cハロアルキル
からなる群から選択され;
5aは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、
(a)シアノ、
(b)ヒドロキシ、
(c)-NZ
(d)-C(=O)Z
(e)C(=O)OH、
(f)-C(=O)OZ
(g)-C(=O)NZ
(h)-NZC(=O)Z
(i)-NZC(=O)OZ
(j)-NZC(=O)NZ
(k)-S(=O)
(l)-S(=O)NZ
(m)-S(=O)(=NZ)Z
(n)-S(=Z)(=NZ)Z
(o)-S(=O)(=NZ)NZ
(p)-NZS(=O)
(q)-NZS(=O)NZ
(r)-NZS(=O)(=NZ)Z
(s)-NZS(=NZ)(=NZ)Z、及び
(t)-NZS(=O)(=NZ)NZ
からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cハロアルキル、
(iv)-C(=O)OZ
(v)-C(=O)NZ
(vi)-S(=O)
(vii)-S(=O)NZ
(viii)-S(=O)(=NZ)Z
(ix)-S(=Z)(=NZ)Z
(x)-S(=O)(=NZ)NZ、ならびに
(xi)-シアノ
からなる群から選択され;
5bは、水素及びC-Cアルキルからなる群から選択され;
各Zは、
(i)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(ii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、ハロゲン及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)C-Cアルキニル、
(iv)C-Cシクロアルキル、
(v)C-Cシクロアルケニル、
(vi)C-Cハロアルキル、ならびに
(vii)3~6員複素環
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、-C(=O)C-Cアルキル、-S(=O)-Cアルキル、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、非置換または置換C-C10アリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)、及び非置換または置換C-Cヘテロアリール(ここで、1つ以上の置換基は、ハロ、-OZ、C-Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、及びC-Cハロアルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)C-Cアルキニル、
(v)C-Cシクロアルキル、
(vi)C-Cシクロアルケニル、ならびに
(vii)C-Cハロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Z、Z及びZは、
(i)水素、
(ii)C-Cアルキル、及び
(iii)C-Cシクロアルキル
からなる群から独立に選択され;
各Zは、
(i)水素、
(ii)非置換または置換C-Cアルキルであって、1つ以上の置換基が、ヒドロキシ、-OZ、シアノ、-NZ、及び3~6員複素環からなる群から独立に選択されるもの、
(iii)非置換または置換C-Cアルケニルであって、1つ以上の置換基が、ハロゲン、シアノ、-S(=O)、-S(=O)NZ、及び非置換または置換C-Cアルキル(ここで、1つ以上の置換基は、-NZ及び4~8員複素環からなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択されるもの、
(iv)ハロゲン、
(v)ヒドロキシ、ならびに
(vi)ハロアルキル
からなる群から独立に選択される]。
【0131】
実施形態2.式II:
【化9】
で表される実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【0132】
実施形態3.式III:
【化10】
で表される実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【0133】
実施形態4.式IV:
【化11】
で表される実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【0134】
実施形態5.R4aが、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0135】
実施形態6.Zが、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、実施形態5に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0136】
実施形態7.Zが、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、実施形態5に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0137】
実施形態8.式V:
【化12】
で表される実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【0138】
実施形態9.式VI:
【化13】
で表される実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容可能な塩、もしくは溶媒和物。
【0139】
実施形態10.R4aが、非置換または置換C-Cアルキル、-C(=O)Z、及び-S(=O)からなる群から選択される、実施形態8もしくは9に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0140】
実施形態11.Rが、水素、-C(=O)NZ
【化14】
からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0141】
実施形態12.Zが、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0142】
実施形態13.Zが、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-Cアルケニルからなる群から選択される、実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0143】
実施形態14.Rが、非置換または置換C-Cアルキル及び非置換または置換C-C10アリールからなる群から選択される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0144】
実施形態15.Rが、R-1である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0145】
実施形態16.表1の化合物のうちのいずれか1つ以上からなる群から選択される、実施形態1に記載の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物。
【0146】
より広く言えば、本開示は、本明細書に記載される式の化合物、ならびに、生物学的活性を有する薬剤として、または診断用薬剤として有用である、それらの実施形態、記述及び態様に関する。本開示に関して言及される使用はいずれも、非医学的使用、非治療的使用、非診断的使用、またはin vitroに限った使用、または動物から離れた細胞に関連する使用に限定され得る。
【0147】
本開示の化合物は、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤である。小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、限定するものではないが、肺癌、乳癌、頭頸部癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肝臓癌(胆管癌を含むがこれに限定されない)、皮膚癌、膵癌、胃癌、脳癌及び前立腺癌、中皮腫、及び/または肉腫を含む、がんの処置に有用である。他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、肺、子宮頸部、卵巣、頭頸部、食道、及び/または皮膚の扁平上皮細胞癌を特徴とするがんの処置に有用である。他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、上衣腫、髄膜腫、神経鞘腫、末梢神経鞘腫瘍及び/または神経芽細胞腫など、神経外胚葉由来組織から生じるがんの処置に有用である。他の実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、類上皮型血管内皮腫などの脈管癌の処置、またはテント上上衣腫もしくはポロカルシノーマの処置に有用である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、YAP1またはWWTR1(TAZ)遺伝子における機能獲得型遺伝子増幅、遺伝子融合、または活性化変異を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、NF2、LATS1/2、BAP1、FAT1、SAV1、及び/またはMST1/2遺伝子における機能喪失型変異または欠失を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、例えばブドウ膜黒色腫において、GNAQ及び/またはGNA11遺伝子における機能獲得型変異を有する。いくつかの実施形態では、固形癌は、YAP及び/またはTAZの構成的な核内の存在を特徴とする。いくつかの実施形態では、固形癌は、CTGF、CYR61、AMOTL2、及び/またはANKRD1を含むがこれらに限定されないYAP/TAZ-TEADシグネチャー遺伝子の過剰発現を特徴とする。
【0148】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、以前の処置に対する耐性を生じたがんを処置するのに有用であり得る。これには、例えば、化学療法または標的療法に対する耐性を生じたがんの処置が含まれ得る。いくつかの実施形態では、これには、EGFRに対するもの(アファチニブ、エルロチニブ塩酸塩、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネルチニブ、セツキシマブ)またはAXLに対するもの(クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブ)などの受容体チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性や、RAS自体の阻害剤(例えばAMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620)、B-RAFの阻害剤(ソラフィニブトシル酸塩、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブ)、またはMEK1/2の阻害剤(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)を含むRAS-MAPKシグナル伝達カスケードの構成要素に対する耐性を生じたがんの処置が含まれ得る。
【0149】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、がんの処置に使用される他の薬剤と組み合わせて同時投与または後続投与する際にも有用であり得る。これには、例えば、EGFRに対するもの(アファチニブ、エルロチニブ塩酸塩、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネルチニブ、セツキシマブ)またはAXLに対するもの(クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブ)などの受容体チロシンキナーゼを標的指向化する阻害剤またはモノクローナル抗体や、RAS自体の阻害剤(例えばAMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620)、B-RAFの阻害剤(ソラフィニブトシル酸塩、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブ)、またはMEK1/2の阻害剤(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)を含むRAS-MAPKシグナル伝達カスケードの構成要素に対するものとの併用処置が含まれ得る。
【0150】
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、転移癌を処置するのに有用であり得る。場合によっては、転移癌は、転移性のブドウ膜黒色腫、中皮腫、食道癌、肝臓癌、乳癌、肝細胞癌、肺腺癌、神経膠腫、結腸癌、大腸癌、胃癌、髄芽細胞腫、卵巣癌、食道扁平上皮細胞癌、肉腫、ユーイング肉腫、頭頸部癌、前立腺癌、及び髄膜腫から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、処置されるがんは、悪性胸膜中皮腫または肺癌であり得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、聴神経腫、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病(単球性、骨髄芽球性、腺癌、血管肉腫、星状細胞腫、骨髄単球性及び前骨髄球性)、急性T細胞白血病、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、気管支原性癌、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛癌、慢性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、大腸癌、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、異常増殖性変化(異形成及び化生)、胚性癌、子宮内膜癌、内皮肉腫、上衣腫、上皮癌、赤白血病、食道癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、本態性血小板血症、ユーイング腫瘍、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、精巣胚細胞癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、重鎖病、血管芽腫、肝癌、肝細胞癌、ホルモン非感受性前立腺癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、肺癌、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ芽球性白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、膀胱、乳房、結腸、肺、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚及び子宮の悪性疾患及び過剰増殖障害、T細胞またはB細胞由来のリンパ性悪性疾患、髄様癌、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄腫、粘液肉腫、神経芽細胞腫、NUT正中線癌(NMC)、非小細胞肺癌、乏突起膠腫、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、乳頭腺癌、乳頭状癌、松果体腫、真性多血症、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、皮脂腺癌、精上皮腫、皮膚癌、小細胞肺癌腫、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)、小細胞肺癌、胃癌、扁平上皮細胞癌、滑膜腫、汗腺癌、甲状腺癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、精巣腫瘍、子宮癌、ならびにウィルムス腫瘍の処置のために使用され得る。
【0153】
悪性胸膜中皮腫
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、単剤として、または、ペメトレキセド二ナトリウム、ラルチトレキセド、カルボプラチン、オキサリプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシンなどの阻害剤、もしくはベバシズマブなどのモノクローナル抗体と組み合わせて、悪性胸膜中皮腫を処置するのに有用であり得る。ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブなどのチェックポイント阻害剤との組み合わせ。細胞療法、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)T療法またはCAR NK療法(これは例えば、抗原としてメソテリン(MSLN)を使用し得る)との組み合わせ。例えば抗原としてメソテリンを認識するモノクローナル抗体、例えばBMS-986148、BAY 94-9343、アマツキシマブ、及び/またはLMB-100との組み合わせ。
【0154】
肺癌
小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤はまた、単剤として、または、アファチニブ、ベバシズマブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、エルロチニブ塩酸塩、オシメルチニブ、ラムシルマブ、ゲフィチニブ、アレクチニブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、トラメチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、ダコミチニブ、チバンチニブ、及び/またはオナルツズマブなどの阻害剤と組み合わせて、肺癌を処置するのに有用であり得る。ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブなどのチェックポイント阻害剤との組み合わせ。シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、タンパク質結合型パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、エトポシド、ニンテダニブ、ビンブラスチン、ペメトレキセド、アファチニブ、ベバシズマブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、エルロチニブ塩酸塩、オシメルチニブ、ラムシルマブ、ゲフィチニブ、ネシツムマブ、アレクチニブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、イピリムマブ、トラメチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、ダコミチニブ、チバンチニブ、オナルツズマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、及び/またはニボルマブとの組み合わせ。
【0155】
いくつかの実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、先天性障害の処置に有用である。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、PDZ結合モチーフを有する転写コアクチベータ/Yes会合タンパク質転写コアクチベータ(TAZ/YAP)の活性化によって媒介される。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、変異体Gaタンパク質を特徴とする。いくつかの実施形態では、変異体Gaタンパク質は、G12、G13、Gq、G11、Gi、Go、及びGsから選択される。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、NF2遺伝子における機能喪失型変異または欠失を特徴とする。例示的な先天性疾患は、スタージ・ウェーバー症候群、ポートワイン母斑、及び神経線維腫症を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、先天性疾患は、神経線維腫症2型を含むがこれに限定されない神経線維腫症である。
【0156】
いくつかの実施形態では、小分子YAP/TAZ-TEAD阻害剤は、例えば、肝臓、肺、腎臓、心臓または皮膚の線維症などの線維性障害の処置に有用である。いくつかの実施形態では、線維症は、非アルコール性脂肪肝疾患、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、特発性肺線維症、慢性腎臓疾患、及び/または心筋梗塞傷害との関連で処置され得る。
【0157】
本開示の化合物は、YAP/TAZ-TEAD転写活性化を阻害することができる。当該化合物は、細胞モデル及び動物モデルにおいてYAP/TAZ-TEAD転写活性を阻害することが示されている。当該化合物はまた、YAP/TAZ-TEAD転写活性に依存するがん細胞株に対しても、異種移植片がんモデルにおけるがんの成長に対しても、阻害効果を有することが示されている。
【0158】
本開示の化合物を任意選択で不溶性マトリックスに共有結合させて、アフィニティークロマトグラフィー(化合物の基の性質に応じた分離。例えば、ペンダントアリールを有する化合物は疎水性アフィニティー分離に有用である)に使用することができる。
【0159】
本明細書で定義するような式の1つ以上の誘導体を使用する場合:
- 化合物(複数可)の活性成分は、処置すべき動物または哺乳動物(ヒトを含む)に、当技術分野において周知である任意の手段により、すなわち経口的に、鼻腔内に、皮下に、筋肉内に、皮内に、静脈内に、動脈内に、非経口的に、またはカテーテル法によって投与され得る。
- 特にヒト及び他の哺乳動物におけるYAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患(がん、線維症、及びある特定の先天性障害など)の処置のための、化合物(複数可)の調製物の治療上有効量は、好ましくは、本明細書で定義するような式、記述、態様及び実施形態の化合物のYAP/TAZ-TEAD転写阻害量であり、YAP/TAZ-TEAD活性化を阻害することができる血漿レベルを確実にする量に対応し、1μg/ml~100mg/mlである。
【0160】
本開示の化合物または組成物の好適な投与量は、対象における標的疾患を処置または防止するために使用されるべきである。処置すべき病状及び患者の状態に応じて、当該有効量を1日当たりいくつかのサブユニットに分割してもよいし、1日を超える間隔で投与してもよい。
【0161】
本開示の特定の実施形態によれば、本開示の化合物は、ヒト及び他の哺乳動物におけるYAP/TAZ-TEAD転写の活性によって媒介される疾患(がん、線維症、及びある特定の先天性障害など)の処置または予防のための他の治療剤と組み合わせて用いられ得る。したがって、本開示は、
(a)本明細書の式ならびに態様、記述、及び実施形態の1つ以上の化合物と、
(b)同時、別々、または順次の使用のための組み合わせ調製物の形態における生物学的に活性のある薬剤として、がんまたは線維症の防止または処置のために使用される、1つ以上のさらなる治療剤または予防剤とを含む、組成物の使用に関する。
【0162】
化合物または組成物は、1つ以上の追加の治療剤(本明細書に記載される化合物とは異なり、例えば、併用療法として有用であり得るもの)と同時に、その前に、またはその後に投与され得る。
【0163】
組み合わせて使用するためのそのようなさらなる治療剤には、以下のものが含まれる:
・ EGFR(アファチニブ、エルロチニブ塩酸塩、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、カネルチニブ、セツキシマブなど)、
・ AXL(クリゾチニブ、カボザンチニブ、ギルテリチニブ、シトラバチニブ、ベムセンチニブ、デュベルマチニブなど)、
・ RAS-MAPKシグナル伝達カスケードの構成要素、例えば、RAS自体の阻害剤(AMG510、MRTX849、BI1701963、ARS1620など)、
・ B-RAF(ソラフィニブトシル酸塩、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、レゴラフェニブなど)、または
・ MEK1/2(トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ミルダメチニブ)。
【0164】
本開示による薬学的組成物または組み合わせ調製物は、調製物の想定用途及び期待効果に応じて、広い含有量範囲で本開示の化合物を含有し得る。概して、組み合わせ調製物における本開示の誘導体の含有量は、0.1~99.9重量%、好ましくは1~99重量%、より好ましくは5~95重量%の範囲内である。
【0165】
当業者はまた、本開示の化合物が、それらの環境のpHなどに応じて、多くの異なるプロトン化状態で存在し得ることを認識するであろう。本明細書で提供される構造式は、いくつかの可能なプロトン化状態のうちの1つのみで化合物を表しているが、これらの構造は例示にすぎないこと、そして本開示はいずれかの特定のプロトン化状態に限定されず、ありとあらゆるプロトン化形態の化合物が本開示の範囲に含まれるよう意図されることが理解されよう。
【0166】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書における式の化合物が形成することのできる治療上活性のある非毒性の塩形態を意味する。したがって、本開示の化合物は、任意選択で、本明細書における化合物の塩、特に、例えば、Na、Li、K、Ca2+及びMg2+を含有する薬学的に許容可能な非毒性の塩を含む。かかる塩には、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオン、またはアンモニウムイオン及び第四級アミノイオンなどの適切なカチオンと、酸性アニオン部分、典型的にはカルボン酸との組み合わせによって誘導されるものが含まれ得る。本開示の化合物は、複数の正電荷または負電荷を有し得る。本開示の化合物の正味電荷は、正または負のいずれかであり得る。会合する対イオンはいずれも、典型的には、化合物を得る合成方法及び/または単離方法によって決まる。典型的な対イオンは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、ハロゲン化物、アセタート、トリフルオロアセタートなど、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。いずれの会合した対イオンの素性も本開示の重要な特徴ではないこと、そして本開示はあらゆるタイプの対イオンと会合した化合物を包含することが理解されよう。さらに、化合物は種々の異なる形態で存在し得るので、本開示は、対イオンと会合している形態の化合物(例えば、乾燥塩)だけでなく、対イオンと会合していない形態(例えば、水溶液または有機溶液)も包含するものとする。金属塩は、典型的には、金属水酸化物を本開示の化合物と反応させることによって調製される。このように調製される金属塩の例は、Li、Na、及びKを含有する塩である。可溶性の低い金属塩は、好適な金属化合物の添加により、可溶性の高い塩の溶液から沈殿し得る。さらに、塩基性中心、典型的にはアミンへの、または酸性基への、ある特定の有機酸及び無機酸の酸付加から、塩が形成され得る。かかる適切な酸の例としては、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸;または、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸(すなわち2-ヒドロキシ安息香酸)、p-アミノサリチル酸などといった有機酸が挙げられる。さらに、この用語はまた、例えば、水和物、アルコラートなどといった、本明細書の式の化合物及びそれらの塩が形成することができる溶媒和物を含む。最後に、本明細書の組成物は、非イオン化形態及び双性イオン形態における本開示の化合物、ならびに水和物としての化学量論量の水との組み合わせを含むことを理解されたい。
【0167】
また、本開示の範囲内には、1つ以上のアミノ酸、特にタンパク質成分として見出される天然に存在するアミノ酸との、親化合物の塩も含まれる。アミノ酸は、典型的には、塩基性基もしくは酸性基を含む側鎖を持つもの、例えば、リジン、アルギニンもしくはグルタミン酸、または中性基を含む側鎖を持つもの、例えばグリシン、セリン、スレオニン、アラニン、イソロイシン、もしくはロイシンである。
【0168】
本開示の化合物には、その生理学的に許容可能な塩も含まれる。本開示の化合物の生理学的に許容可能な塩の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、及びNX (式中、XはC-Cアルキルである)などの適切な塩基から誘導される塩が挙げられる。水素原子またはアミノ基の生理学的に許容可能な塩としては、酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、及びコハク酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;ならびに塩酸、硫酸、リン酸、及びスルファミン酸などの無機酸の塩が挙げられる。ヒドロキシ基を含有する化合物の生理学的に許容可能な塩としては、Na及びNX (式中、Xは、典型的には、HまたはC-Cアルキル基から独立に選択される)などの好適なカチオンと組み合わせた当該化合物のアニオンが挙げられる。しかし、生理学的に許容可能でない酸または塩基の塩も、例えば、生理学的に許容可能な化合物の調製または精製において、使用され得る。すべての塩が、生理学的に許容可能な酸または塩基から誘導されるか否かにかかわらず、本開示の範囲内にある。
【0169】
本明細書で使用される場合、かつ別段明記しない限り、「鏡像体」という用語は、少なくとも80%(例えば、一方の鏡像体が少なくとも90%、他方の鏡像体が最大で10%)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%の光学純度または鏡像体過剰率(当技術分野において標準的な方法によって決定される)を有する、本開示の化合物の各個の光学的に活性な形態を意味する。
【0170】
本明細書で使用される「異性体」という用語は、本明細書の式の化合物が有し得る互変異性体及び立体化学的形態を含むが、位置異性体を含まない、すべての可能な異性体形態を意味する。典型的には、本明細書で示される構造は、化合物の1つの互変異性形態または共鳴形態のみを例示するが、対応する代替的な配置もまた想定される。別段明記しない限り、化合物の化学的名称は、すべての可能な立体化学的な異性体形態の混合物を表し、当該混合物は、立体化学的に純粋であるまたは濃縮されている化合物だけでなく、基礎分子構造のすべてのジアステレオマー及び鏡像体を含む(本明細書の式の化合物は、少なくとも1つのキラル中心を有し得るため)。より具体的には、立体中心は、R配置またはS配置のいずれを有してもよく、多重結合は、cis-配置またはtrans-配置のいずれを有してもよい。
【0171】
当該化合物の純粋な異性体形態は、同じ基礎分子構造の他の鏡像体形態またはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特定すると、「立体異性体的に純粋」または「キラル的に純粋」という用語は、少なくとも約80%(例えば、1つの異性体が少なくとも90%、他の可能な異性体が最大で10%)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも97%の立体異性体過剰率を有する化合物に関する。「鏡像体的に純粋」及び「ジアステレオマー的に純粋」という用語は、当該の混合物の鏡像体過剰率、ジアステレオマー過剰率をそれぞれ考慮して、同様に理解されるべきである。
【0172】
立体異性体の分離は、当業者に知られている標準的な方法によって達成される。本開示の化合物の鏡像体の一方は、光学的に活性のある分割剤を使用したジアステレオマーの形成などの方法によって、その反対の鏡像体を実質的に含まずに分離され得る(“Stereochemistry of Carbon Compounds,”(1962)by E.L.Eliel,McGraw Hill;Lochmuller,C.H.,(1975)J.Chromatogr.,113:(3)283-302)。混合物中の異性体の分離は、以下を含む任意の好適な方法によって達成され得る:(1)キラル化合物を用いたイオン性ジアステレオマー塩の形成及び分別結晶または他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、及び純粋な鏡像体への変換、または(3)鏡像体をキラル条件下で直接分離してもよい。方法(1)において、ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニン、a-メチル-b-フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などといった鏡像体的に純粋なキラル塩基と、カルボン酸及びスルホン酸などの酸性官能基を有する不斉化合物とを反応させることによって形成され得る。ジアステレオマー塩は、分別結晶またはイオンクロマトグラフィーによって分離するように誘導され得る。アミノ化合物の光学異性体の分離の場合、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸、または乳酸などのキラルカルボン酸またはスルホン酸の添加により、ジアステレオマー塩の形成をもたらすことができる。あるいは、方法(2)により、分割すべき基質をキラル化合物の一方の鏡像体と反応させて、ジアステレオマー対を形成してもよい(Eliel,E.and Wilen,S.(1994)Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley&Sons,Inc.,p.322)。ジアステレオマー化合物は、メンチル誘導体などの鏡像体的に純粋なキラル誘導体化試薬と不斉化合物を反応させた後に、ジアステレオマーの分離及び加水分解を行って、遊離した鏡像体的に濃縮されている化合物を得ることによって形成され得る。光学純度を決定する方法には、ラセミ混合物のメンチルエステルまたはMosherエステル、すなわちa-メトキシ-a-(トリフルオロメチル)フェニルアセタート(Jacob III.(1982)J.Org.Chem.47:4165)などのキラルエステルを作り、2つのアトロプ異性体ジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することが関わる。安定なジアステレオマーは、アトロプ異性体ナフチル-イソキノリンの分離のための方法(Hoye,T.,WO96/15111)に従った順相及び逆相クロマトグラフィーによって分離及び単離され得る。方法(3)では、2つの不斉鏡像体のラセミ混合物が、キラル固定相を使用したクロマトグラフィーによって分離される。好適なキラル固定相は、例えば多糖類、特定するとセルロースまたはアミロース誘導体である。市販されている多糖類ベースのキラル固定相は、ChiralCeI(商標)CA、OA、OB5、OC5、OD、OF、OG、OJ及びOK、ならびにChiralpak(商標)AD、AS、OP(+)及びOT(+)である。当該多糖類キラル固定相と組み合わせて使用するのに適切な溶離剤または移動相は、例えばエタノール、イソプロパノールなどのアルコールで修飾されたヘキサンなどである。(“Chiral Liquid Chromatography”(1989)W.J.Lough,Ed.Chapman and Hall,New York;Okamoto,(1990)“Optical resolution of dihydropyridine enantiomers by High-performance liquid chromatography using phenylcarbamates of polysaccharides as a chiral stationary phase”,J.of Chromatogr.513:375-378)。
【0173】
cis及びtransという用語は、本明細書では、Chemical Abstractsの命名法に従って使用され、環部分上の置換基の位置への言及を含む。本明細書に記載される式の化合物の絶対的な立体化学的配置は、当業者であれば、例えば、X線回折などの周知の方法を使用して容易に決定することができる。
【0174】
本開示には、自然界に通常見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって1つ以上の原子が置き換えられていることを除けば、本明細書で列挙される式で列挙されるものと同一である、同位体標識化合物も含まれる。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36CIが挙げられる。本開示の化合物及び当該化合物の薬学的に許容可能な塩、あるいは前述の同位体及び/または他の原子の他の同位体を含むものは、本開示の範囲内にある。本開示のある特定の同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物及び/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム標識(すなわちH)及び炭素-14(すなわち14C)の同位体は、調製の容易さ及び検出可能性に関して特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素、すなわち、Hでの置換は、例えばin vivo半減期の延長または必要投与量の低減など、代謝安定性の向上に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得るので、状況によっては好ましいことがある。本開示の式の同位体標識化合物は、概して、非同位体標識試薬を容易に利用可能な同位体標識試薬に置き換えることにより、本明細書に記載される実施例及び調製において開示される手順を行うことによって調製され得る。
【0175】
本開示には、PROTAC技術(Schapira M.et al,Nat.Rev.Drug Discov.2019,18(12),949-963)を使用した、式(I)もしくは他の式の化合物、その実施形態、態様もしくは部分、またはその代謝産物の改変形態も包含される。具体的には、PROTAC技術は、一方の末端が一般式(I)もしくは他の式の化合物、その実施形態、態様もしくは部分、またはその代謝産物であり、他方の末端が接続鎖を介してE3ユビキチンリガーゼのリガンドに接続して標的誘導タンパク質分解複合体を形成している、二機能性小分子を設計する。この分解には触媒効果があるため、より低い投与量で効率的な分解を達成することができる。一般式(I)もしくは他の式の化合物、その実施形態、態様もしくは部分、またはその代謝産物は、リンカーアーム(例えば、2~10の長さの長鎖エチレングリコール、2~10の長さの長鎖プロピレングリコール、及び2~10の長さの長鎖脂肪アルカン)を介して、例えばサリドマイド類似体などのE3ユビキチンリガーゼのリガンドに接続させることができる。
【0176】
本開示の化合物は、通常の慣例に従って選択される従来の担体及び賦形剤を用いて製剤することができる。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含有する。水性製剤は、滅菌形態で調製され、経口投与以外による送達が意図される場合、一般に等張性である。製剤は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載されているものなどの賦形剤を任意選択で含有し、アスコルビン酸及び他の抗酸化剤、EDTAなどのキレート剤、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロースなどの炭水化物、ステアリン酸などを含む。
【0177】
引き続き、本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」という用語は、例えば当該組成物を溶解、分散、もしくは拡散させることによって処置部位へのその適用もしくは浸透を円滑化するために、及び/またはその有効性を損なうことなくその保管、輸送、もしくは取り扱いを円滑化するために、活性成分と共に製剤される任意の材料または物質を意味する。薬学的に許容可能な担体は、固体、または液体、または液体を形成するために圧縮された気体であり得、例えば、本開示の組成物は、濃縮物、エマルション、溶液、顆粒、細粉、スプレー、エアロゾル、懸濁液、軟膏、クリーム、錠剤、ペレット、または粉末として好適に使用され得る。
【0178】
当該薬学的組成物及びそれらの製剤に使用するための好適な薬学的担体は、当業者には周知であり、本開示においてそれらの選択に特に制限はない。それらは、湿潤剤、分散剤、粘着剤、接着剤、乳化剤、溶媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤(例えばフェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)、等張剤(例えば糖または塩化ナトリウム)などといった添加剤を含んでもよいが、ただし、それが薬学的慣行に一致するもの、例えば、哺乳動物に対する永続的な損傷を生じない担体及び添加剤であることを条件とする。本開示の薬学的組成物は、任意の公知の様式で、例えば、1ステップまたは複数ステップの手順において、選択された担体材料と、適切な場合には、表面活性剤のような他の添加剤とを用いて、活性成分を均質に混合すること、コーティングすること、及び/または粉砕することによって調製され得る。それらはまた、例えば、通常は約1~10gmの直径を有するマイクロスフェアの形態でそれらを取得する目的で、すなわち、活性成分の制御放出または持続放出のためのマイクロカプセルの製造のために、微粉化によって調製され得る。
【0179】
本開示の薬学的組成物中に使用するのに好適な、エマルジェントまたは乳化剤としても知られる表面活性剤は、良好な乳化特性、分散特性、及び/または湿潤特性を有する、非イオン性、カチオン性及び/またはアニオン性の材料である。好適なアニオン性界面活性剤には、水溶性石鹸及び水溶性合成表面活性剤の両方が含まれる。好適な石鹸は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、高級脂肪酸(C10-C22)の非置換または置換アンモニウム塩、例えば、オレイン酸もしくはステアリン酸の、またはココナツ油もしくは獣脂から取得可能な天然脂肪酸混合物の、ナトリウム塩またはカリウム塩である。合成界面活性剤としては、ポリアクリル酸のナトリウム塩またはカルシウム塩;脂肪族スルホン酸塩及び硫酸塩;スルホン化ベンゾイミダゾール誘導体及びアルキルアリールスルホン酸塩が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩または硫酸塩は、通常、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩、または8~22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシル基で置換されたアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩または天然脂肪酸から得られる脂肪族アルコール硫酸塩の混合物、硫酸またはスルホン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、及びスルホン酸の脂肪族アルコール/エチレンオキシド付加物の形態である。好適なスルホン化ベンゾイミダゾール誘導体は、好ましくは、8~22個の炭素原子を含有する。アルキルアリールスルホン酸塩の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチル-ナフタレンスルホン酸またはナフタレン-スルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物のナトリウム塩、カルシウム塩、またはアルコールアミン塩である。対応するリン酸塩、例えば、リン酸エステルの塩ならびにp-ノニルフェノールのエチレン及び/またはプロピレンオキシド付加物、またはリン脂質も好適である。この目的のために好適なリン脂質は、セファリンまたはレシチン型の天然(動物または植物細胞由来)または合成リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジル-コリン、ジパルミトイルホシャチジル-コリン、及びそれらの混合物などである。
【0180】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルフェノール、脂肪族アルコール、脂肪酸、分子内に少なくとも12個の炭素原子を含有する脂肪族アミンまたはアミドのポリエトキシル化及びポリプロポキシル化誘導体、アルキルアレーンスルホナート及びジアルキルスルホスクシナート、例えば、脂肪族及び脂環式アルコール、飽和及び不飽和脂肪酸及びアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体が挙げられ、当該誘導体は、好ましくは、(脂肪族)炭化水素部分に3~10個のグリコールエーテル基及び8~20個の炭素原子を含有し、アルキルフェノールのアルキル部分に6~18個の炭素原子を含有する。さらなる好適な非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンオキシドと、ポリプロピレングリコール、アルキル鎖に1~10個の炭素原子を含有するエチレンジアミノポリプロピレングリコールとの水溶性付加物であり、これらの付加物は、20~250個のエチレングリコールエーテル基及び/または10~100個のプロピレングリコールエーテル基を含有する。かかる化合物は通常、プロピレングリコールユニット当たり1~5個のエチレングリコールユニットを含有する。非イオン性界面活性剤の代表的な例は、ノニルフェノール-ポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコール酸エーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコール及びオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタン(ポリオキシエチレンソルビタントリオレアートなど)、グリセロール、ソルビタン、スクロース及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステルもまた好適な非イオン性界面活性剤である。
【0181】
好適なカチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩、特に、ハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシにより任意選択で置換されている4つの炭化水素基を有するハロゲン化物;例えば、N-置換基として少なくとも1つのC8-22アルキル(例えばセチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)を含有し、さらなる置換基として、非置換またはハロゲン化低級アルキル、ベンジル及び/またはヒドロキシ-低級アルキルを含有する第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0182】
この目的のために好適な表面活性剤のより詳細な説明は、例えば“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual”(MC Publishing Crop.,Ridgewood,New Jersey,1981)、“Tensid-Taschenbucw”,2d ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)及び“Encyclopaedia of Surfactants”(Chemical Publishing Co.,New York,1981)に見出すことができる。
【0183】
本開示の化合物及びそれらの薬学的に許容可能な塩(以降、集合的に活性成分という)は、処置すべき病態に適切な任意の経路によって投与することができ、好適な経路としては、経口、直腸、経鼻、局所(眼、頬側及び舌下を含む)、経膣及び非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい投与経路は、例えば、レシピエントの病態によって変わり得る。
【0184】
活性成分を単独で投与することは可能であるが、薬学的製剤としてそれらを提供することが好ましい。本開示の製剤は、獣医学的使用及びヒトのための使用の両方で、上記のような少なくとも1つの活性成分を、1つ以上の薬学的に許容可能な担体と共に含み、したがって、任意選択で他の治療成分を含む。担体(複数可)は、最適には、製剤の他の成分と適合し、かつそのレシピエントにとって有害でないという意味において「許容可能」である。製剤には、経口、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)の投与に好適なものが含まれる。製剤は、好都合にもユニット剤形で提供することができ、薬学の分野において周知である方法のいずれによって調製してもよい。かかる方法は、1つ以上の補助成分を構成する担体と活性成分を会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0185】
経口投与に好適な本開示の製剤は、各々が既定量の活性成分を含むカプセル、カシェ剤、もしくは錠剤などの分離したユニットとして;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提供され得る。活性成分は、ボーラス、舐剤、またはペーストとしても提供され得る。
【0186】
錠剤は、任意選択で1つ以上の補助成分と共に、圧縮または成型によって作製され得る。圧縮錠剤は、好適な機械において、任意選択で結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することによって調製され得る。成型錠剤は、好適な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉状化合物の混合物を成型することによって作製され得る。錠剤は、任意選択でコーティングまたは刻印されてもよく、その中の活性成分の徐放または制御放出をもたらすように製剤されてもよい。眼または他の外部組織、例えば口及び皮膚の感染症の場合、製剤は、任意選択で、例えば0.075~20w/w%(0.1%~20%の範囲内で0.1w/w%きざみ、例えば0.6w/w%きざみ、0.7w/w%きざみなどの活性成分(複数可)を含む)、好ましくは0.2~15w/w%、最も好ましくは0.5~10w/w%の量の活性成分(複数可)を含有する局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に配合される場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性のいずれかの軟膏基剤と共に用いられ得る。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤と共にクリームに製剤され得る。所望であれば、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも30w/w%の多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにそれらの混合物などの、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含み得る。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部を通した活性成分の吸収または浸透を向上させる化合物を含み得る。かかる皮膚浸透向上剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が挙げられる。
【0187】
本開示のエマルションの油性相は、公知の様式で、公知の成分から構成され得る。この相は乳化剤(別名エマルジェントとしても知られている)だけを含んでもよいが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油との、または脂肪及び油の両方との混合物を含む。任意選択で、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に、親水性乳化剤が含まれる。油及び脂肪の両方を含むことも好ましい。まとめると、安定化剤(複数可)の有無にかかわらず、乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは油及び脂肪と共に、いわゆる乳化軟膏基剤を構成し、これがクリーム製剤の油性分散相を形成する。
【0188】
薬学的エマルション製剤に使用され得るほとんどの油への活性化合物の溶解度は非常に低いため、製剤に好適な油または脂肪の選択は、所望の化粧品特性を達成することに基づく。したがって、クリームは、任意選択で、チューブまたは他の容器からの漏出を回避するのに好適な稠度を有する、非脂肪性、非染色性、かつ洗浄可能な生成物でなければならない。直鎖または分岐鎖の一塩基性または二塩基性アルキルエステル、例えばジ-イソアジパート、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして知られる分岐鎖エステルのブレンドを使用することができ、最後の3つは好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に応じて単独または組み合わせで使用され得る。あるいは、白色軟質パラフィン及び/または流動パラフィンまたは他の鉱油などの高融点脂質が使用され得る。
【0189】
眼への局所投与に好適な製剤には、活性成分を、好適な担体、特に活性成分のための水性溶媒に溶解または懸濁した、点眼薬も含まれる。活性成分は、任意選択で、かかる製剤中に0.5~20%、有利には0.5~10%、特に約1.5w/w%の濃度で存在する。口への局所投与に好適な製剤には、風味付けされた基剤、通常スクロース及びアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリンなどの不活性基剤、またはスクロース及びアカシア中に活性成分を含む香錠;ならびに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が含まれる。
【0190】
直腸投与のための製剤は、例えば、ココアバターまたはサリチラートを含む好適な基剤を用いた坐剤として提供され得る。担体が固体である、経鼻投与に好適な製剤には、例えば、鼻の近くに維持された粉末の容器から鼻腔を介して急速に吸入することによって、鼻から吸い込む様式で投与される、例えば20~500ミクロンの範囲内の粒子サイズ(20~500ミクロンの範囲内で5ミクロンきざみの、例えば30ミクロン、35ミクロンなどの粒子サイズを含む)を有する粗粉末が含まれる。例えば経鼻スプレーまたは点鼻薬として投与するための、担体が液体である好適な製剤には、活性成分の水性または油性の溶液が含まれる。エアロゾル投与に好適な製剤は、従来の方法に従って調製されてもよく、他の治療剤と共に送達されてもよい。
【0191】
経膣投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、適切であることが当技術分野において知られているような担体を含有する、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供され得る。
【0192】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、及び製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、ユニットドーズまたはマルチドーズの容器、例えば、密封アンプル及びバイアルにおいて提供されてもよく、使用直前に注射用水などの滅菌液体担体を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されてもよい。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
【0193】
好ましいユニット投与量製剤は、本明細書上文で列挙したような日用量もしくはユニット日副用量、またはその適切な割合の活性成分を含有するものである。
【0194】
本開示の製剤は、上文で特に言及された成分に加えて、当該の製剤のタイプに関して当技術分野において慣例的な他の薬剤を含んでもよく、例えば経口投与に好適なものは香味剤を含んでもよいことを理解されたい。
【0195】
本開示の化合物は、活性成分として1つ以上の本開示の化合物を含有する制御放出薬学的製剤(「制御放出製剤」)を提供するために使用することができ、この活性成分の放出は、投薬頻度の低下、または所定の本開示の化合物の薬物動態もしくは毒性プロファイルの改善を可能にするように制御及び調節され得る。別個のユニットが1つ以上の本開示の化合物を含む経口投与に適合した制御放出製剤は、従来の方法に従って調製され得る。
【0196】
組成物中の活性成分の作用の持続時間を制御するために、追加の成分が含まれてもよい。したがって、制御放出組成物は、例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンなどの適切なポリマー担体を選択することによって達成され得る。薬物放出の速度及び作用の持続時間は、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメチルメタクリラート、及び他の上記のポリマーなどのポリマー物質の粒子、例えばマイクロカプセル中に活性成分を組み込むことによっても制御され得る。そのような方法としては、リポソーム、マイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、ナノカプセルなどのコロイド薬物送達系が挙げられる。投与経路に応じて、薬学的組成物は保護コーティングを必要とし得る。注射用途に好適な薬学的形態には、滅菌水溶液または懸濁液及びそれらの即時調製用の滅菌粉末が含まれる。したがって、この目的のための典型的な担体には、生体適合性のある水性バッファー、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、及びそれらの混合物が含まれる。
【0197】
いくつかの活性成分が組み合わせて使用される場合、それらが必ずしも処置される哺乳動物において同時に複合的な治療効果を直接もたらすとは限らないことを考慮して、対応する組成物は、別個であるが隣接する収納場所またはコンパートメントに2つの成分を収容する医療キットまたはパッケージの形態であってもよい。後者の文脈では、各活性成分は、したがって、他の成分の投与経路とは異なる投与経路に好適なかたちで製剤されてもよく、例えば、それらのうちの1つは経口または非経口製剤の形態であり得るのに対し、その他は静脈内注射用アンプルまたはエアロゾルの形態であってもよい。
【0198】
本開示の別の実施形態は、本開示の化合物の様々な前駆体または「プロドラッグ」形態に関する。本開示の化合物を、それ自体に著しい生物学的活性はないが、動物、哺乳動物またはヒトに送達されると、魚類の身体の正常な機能、とりわけ、胃または血清に存在する酵素によって触媒される化学反応(当該化学反応は、本明細書で定義するような化合物を放出する効果を有する)を起こす化学種の形態で製剤することが望ましい場合がある。したがって、「プロドラッグ」という用語は、in vivoで活性薬学的成分に変換されるこれらの種に関する。
【0199】
本開示の化合物のプロドラッグは、製剤者にとって好適な任意の形態を有することができ、例えば、エステルは、非限定的な一般的プロドラッグ形態である。しかし、本件では、プロドラッグは必然的に、標的部位に存在する酵素の作用によって共有結合が切断される形態で存在し得る。例えば、C-C共有結合は、当該標的部位における1つ以上の酵素によって選択的に切断され得、したがって、容易に加水分解可能な前駆体、とりわけエステル、アミドなど以外の形態のプロドラッグが使用され得る。プロドラッグ中の活性薬学的成分の対応物は、当技術分野において知られているアミノ酸またはペプチド構造、アルキル鎖、糖部分、及び他のものなどの異なる構造を有し得る。
【0200】
本開示の目的では、「治療上好適なプロドラッグ」という用語は、「プロドラッグが投与された動物、哺乳動物またはヒトの組織に接触すると、単一の生物学的変換によってか複数の生物学的変換によってかを問わず、in vivoで治療上活性のある形態に変換されるように修飾されており、かつ過度の毒性、刺激、またはアレルギー反応を伴わず、意図された治療結果を達成する、化合物」として本明細書では定義される。
【0201】
より具体的には、本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、薬理学的に活性のある形態の化合物を放出するために体内で自発的または酵素的な変換を起こす、本明細書に記載される構造式によって表されるような化合物の、不活性な、または活性が著しく低い誘導体に関する。包括的な概説については、Rautio J.et al.(“Prodrugs:design and clinical applications”Nature Reviews Drug Discovery,2008,doi:10.1038/nrd2468)を参照されたい。
【0202】
本開示の化合物は、当業者には周知である一連の化学反応を使用して調製することができ、これらの化学反応は、全体として当該化合物を調製するためのプロセスを構成し、以後例示される。以後記載するプロセスは、例を意図するものにすぎず、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0203】
一般的合成
本発明の代表的な化合物は、以下に記載され、以下のスキームに例示される一般的合成法に従って合成することができる。スキームは例示であるため、本発明は、スキーム及び実施例に記載される特定の化学反応及び特定の条件に限定されると解釈されるものではない。スキームで使用される様々な出発材料は、市販されているか、または当業者の技術範囲内の周知の方法によって調製され得る。変数は、本明細書に定義されるとおりであり、当業者の技術範囲内である。
【0204】
本開示の化合物は、スキーム1で概説する一般的手順に従って調製することができる。


【化15】
スキーム1:R、R、R4a、R5a、Yはすべて、本発明の化合物ならびにその実施形態及び式について記載したとおりである。FGT=官能基変換;X=ハロゲン、OTf;R=H、アルキル;PG=保護基。
【0205】
市販されているか、または当業者に知られている手順によって合成される一般式1の置換(ヘテロ)環を、好適な溶媒(例えば、1,4-ジオキサン、THFなど)中、塩基(例えば、NaOEt、KOtBuなど)の存在下で、一般式2の官能化アミジン塩酸塩と環化縮合させ、その後、官能基変換を経ることで、一般式3の中間体をもたらすことができる。一般式3の二環を、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせて、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択されるがこれらに限定されない適切なカップリング剤と反応させると、一般式4の中間体を得ることができる。あるいは、一般式4を有する化合物を、対応するPdまたはCu触媒と組み合わせて、ハロ(ヘテロ)アリール、ボロン酸、ボロン酸エステルから選択されるがこれらに限定されない適切なカップリング剤を用いた2連続のカップリング反応によって、一般式5の二環から得ることができる。一般式7a~dの化合物は、一般式4の誘導体から、当業者に知られている手順に従って保護基を除去することによって得ることができる(例えば、PG=BocまたはCbz)。さらなる情報については、T.W.Greene and P.G.M.Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry,3rd ed.,John Wiley and Sons,1999に見出すことができる。一般式7a~dの二環を、好適な溶媒(例えば、CHCl、ACNなど)中、カップリング剤(例えば、EDC、TPなど)の存在下でハロゲン化アルキル、塩化アシルまたは酸と反応させ、塩基(例えば、KCO、TEA、DIPEAなど)の存在下で塩化スルホニルと反応させると、一般式8a~dを有する目的の化合物を得ることができる。
【0206】
上記の一般的スキームは非限定的な例とみなされるべきである。当業者に知られている他の方法によって本発明の化合物を得てもよいことは理解されよう。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【0207】
これらの実施例は本開示を例示する目的で提供されており、決して本開示の範囲を限定するように解釈されてはならない。
【0208】
パートA:実験的化学手順
本明細書において、特にスキーム及び実施例において使用される略語は、次のとおりである。aq:水溶液、ACN:アセトニトリル、Bpin:4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ1,3,2-ジオキサボロラン)、Boc:tert-ブチルオキシカルボニル、tBuOH:tert:ブタノール、Cbz:カルボキシベンジル、CDCl:重水素化クロロホルム、Conc:濃縮、CuI:ヨウ化銅、CuSO.5HO:硫酸銅(II)五水和物、CsCO:炭酸セシウム、DCM:ジクロロメタン、DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン、DMAP:4-ジメチルアミノピリジン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DMSO-d:重水素化ジメチルスルホキシド、EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、EtOH:エタノール、EtOAc:酢酸エチル、Eq.:当量、FA:ギ酸、h:時間、HCl:塩化水素、HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、KOAc:酢酸カリウム、KOtBu:カリウムtert-ブトキシド、KCO:炭酸カリウム、KF:フッ化カリウム、MeOH:メタノール、μM:マイクロ波放射、min:分、MsCl:塩化メタンスルホニル、NaN:アジ化ナトリウム、NaH:水素化ナトリウム、NaHCO:炭酸水素ナトリウム、NaSO:硫酸ナトリウム、NCS:N-クロロスクシンイミド、NHOAc:酢酸アンモニウム、NHCl:塩化アンモニウム、NHHCO:ギ酸アンモニウム、PdCl(PPh:ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、Pd(PPh:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、Pd(dppf)Cl:(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド、PhPO:トリフェニルホスフィンオキシド、PPh:トリフェニルホスフィン、Petエーテル:石油エーテル、P:酸化リン(V)、RT:室温、sat:飽和、TEA:トリエチルアミン、TfO:トリフルオロメタンスルホン酸無水物、THF:テトラヒドロフラン、TMS:トリメチルシリル、TP:プロパンホスホン酸無水物、Xantphos:4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、Zn(CN):シアン化亜鉛。
【0209】
明確に記載されていない出発材料はすべて、市販されているか(例えばAcros、Avocado、Aldrich、Fluka、FluoroChem、MatrixScientific、Maybridge、Merck、Sigmaなどの供給者の詳細は、例えばSciFinder(登録商標)データベースに見出すことができる)、またはその合成が既に専門文献に詳細に記載されているか(実験ガイドラインは、例えばReaxys(登録商標)データベースまたはSciFinder(登録商標)データベースにそれぞれ見出すことができる)、または当業者に知られている従来の方法を使用して調製することができる。
【0210】
反応は、必要であれば、不活性雰囲気(大半がアルゴン及びN)下で行った。用いられる試薬の当量数及び溶媒の量、ならびに反応温度及び時間は、類似の方法により行われる異なる反応間でわずかに変化し得る。ワークアップ及び精製方法は、各化合物の固有の特性に従って適合され、類似の方法に対してわずかに変化し得る。調製した化合物の収率は最適化していない。
【0211】
「当量」(「eq.」または「eq」または「equiv.」)の表示はモル当量を意味し、「RT」または「rt」は室温T(23±7℃)を意味し、「M」はmol/l単位の濃度の表示であり、「sol.」は溶液を意味し、「conc.」は濃縮を意味する。溶媒の混合比は通常、体積/体積比で記述される。
【0212】
マイクロ波照射下で反応を行うためには、CEMマイクロウェーブ(Discover SP)を用いた(加熱速度:2~6℃/秒;温度:30~300℃体積非依存性赤外(IR)及び80~300℃光ファイバ(FO)温度測定;圧力:0~435psi、ActiVent(商標)技術;出力:0~300W;マグネトロン周波数:2450MHz;反応撹拌:電磁撹拌;空気冷却:≧25psi(流量20L/min);システム制御:Synergy(商標)ソフトウェア)。
【0213】
すべての例示的な化合物及び選択された中間体生成物について、主要な分析的特性評価をH-NMR分光法及び/または質量分析(MS、[M+H]及び/または[M-H]に対するm/z)によって行った。ある特定の場合、例えば位置異性体及び/またはジアステレオマーが反応中に形成されたかその可能性があった際には、場合により、例えば13C NMR及びNOE(核オーバーハウザー効果)NMR実験などの追加の分析を行った。
【0214】
用いた分析機器は、例えばNMR分析にはBRUKER AVANCE 400MHz(ソフトウェアTopspin)であったか、またはVARIAN MR 400MHz(VNMRJソフトウェア)の機械を用いた。LC/MS分析では、例えばAcquity UPLC H-Class、質量:Acquity SQD2 Detector(ESI)、Acquity UPLC、質量:Quatro premier XE Detector(ESI)、Acquity UPLC、質量:Waters Xevo TQ-S Detector(ESI/ ESCI)、またはAlliance Waters 2695、質量:Quattromicro(商標)(ESCI)マルチモードイオン化を用いた。分析HPLCは、例えば、Alliance Waters 2695で測定した。分析SFCは、例えば、PIC solution(ソフトウェア:SFC PIC Lab Online)、WATERS-X5(ソフトウェアMASSLYNX)、またはWATERS-UPC2(Empower)で行った。
【0215】
立体中心を含有する例示的化合物の構造は、既知であれば絶対立体化学を用いて描写及び命名されている。絶対立体化学が未知の場合、化合物は、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物、立体化学が未知の純粋なジアステレオマー、または立体化学が未知の純粋な鏡像体のいずれかであり得る。Dia 1及びDia 2は、ジアステレオ異性体が分離されたが立体化学が未知であることを意味する。En 1及びEn 2は、両方の鏡像体が分離されたが絶対配置が未知であることを意味する。化合物コードの後に接尾辞が与えられていない場合、化合物の化学名が正確な立体化学を規定しない限り、立体中心を含有する化合物が、それぞれラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物として得られたことを意味する。
【0216】
実験パートのUPLC分析に使用した条件。実験パートで言及するUPLC分析は、質量分析計Acquity TQ Detector(ESI/ESCI)に接続されたAcquity UPLC H-Class(PDA検出器を備える)にて行った。分離は、40℃に温度調節したAcquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm)またはAcquity UPLC HSS C18カラム(1.8μm、2.1×50mm)で行い、PDA取得波長は、190~420nmの範囲内に設定した(下表の方法U)。溶出は、以下の表に記載する方法で行った。方法U1及びU2の場合、溶媒A:10mM NHOAc/5%ACN(UPLCグレード、Biosolve)含有milliQ水。溶媒B:ACN(UPLCグレード、Biosolve)。
【表2】
【0217】
1-(ジフルオロメチル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(R1)及び2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-1,2,3-トリアゾール(R2)の合成
【化16】
ステップ1:3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(500mg、2.58mmol)、KCO(712mg、5.15mmol)及び2-クロロ-2,2-ジフルオロ酢酸エチル(0.41mL、3.09mmol)のDMF(5mL)溶液を60℃で16時間撹拌した。反応混合物をHOで希釈し、EtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、1-(ジフルオロメチル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(R1)を白色の固体として得た(244mg、1.0mmol、39%)。生成物をさらに精製することなく使用した。
【0218】
ステップ2:4-ブロモ-2-メチル-2H-1,2,3-トリアゾール(200mg、1.19mmol)、Bpin(331mg、1.3mmol)及びKOAc(349mg、3.56mmol)の1,4-ジオキサン(8mL)溶液をアルゴンで10分間脱気し、Pd(dppf)Cl(49mg、0.06mmol)を加えた。反応混合物を80℃で5時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-1,2,3-トリアゾール(R2)を白色の固体として得た(147mg、0.7mmol、57%)。生成物をさらに精製することなく使用した。
【0219】
4-クロロ-2-フェニル-5,7-ジヒドロピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-1)の合成
【化17】
ステップ1:1-(tert-ブチル)3-エチル4-オキソピロリジン-1,3-ジカルボキシラート(1g、3.81mmol)、ベンズアミジン塩酸塩(0.6g、3.81mmol)及びKOtBu(0.48g、4.19mmol)のTHF(16.6mL)溶液を80℃で16時間撹拌した(密封チューブ)。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(400mL)に溶解し、飽和NHCl水溶液(2×100mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。合わせた有機層を減圧下で濃縮し、Pで乾燥させて、tert-ブチル4-ヒドロキシ-2-フェニル-5,7-ジヒドロピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(1.23g)を白色の固体として得た。(LC/MS;m/z 314 [M+H])。粗生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0220】
ステップ2:撹拌したPPh(2.29g、8.64mmol)及びNCS(1.18g、8.64mmol)を1,4-ジオキサン(15mL)に含む混合物に、tert-ブチル4-ヒドロキシ-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(0.9g、2.88mmol)を含む1,4-ジオキサン(15mL)の懸濁液を加えた。反応混合物を50℃で16時間撹拌した。形成された沈殿物(PhPO)を濾別して、濾液にTEA(3mL)を加え、溶液を減圧下で濃縮した。粗生成物を、40gカラム(シリカ)及び溶離剤としての5~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-クロロ-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-1)を得た(800mg、84%)。(LC/MS;m/z 332/334 [M+H])。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm: 8.43 (d, 2H), 7.42-7.62 (m, 3H), 4.75 (t, 4H), 1.51-1.62 (m, 9H)。
【0221】
中間体Int-2は、Int-1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で調製した:
【表3】
【0222】
tert-ブチル2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-2A)及びtert-ブチル2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-2B)の合成
【化18】
ステップ1:Int-2(300mg、0.87mmol)、1-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(271mg、1.3mmol)及びKCO水溶液(1.8M;1.5mL、2.6mmol)の1,4-ジオキサン(4.1mL)溶液をアルゴンで10分間脱気し、Pd(dppf)Cl(50mg、0.06mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下にて90℃で3時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(5mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~60%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-ベンジル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-2A)をオフホワイトの固体として得た(250mg、74%)。(LC/MS;m/z 392 [M+H])。
【0223】
ステップ2:Int-2(700mg、2.02mmol)、3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(601mg、3.04mmol)及びKCO水溶液(1.8M;3.4mL、6.07mmol)の1,4-ジオキサン(9.5mL)溶液をアルゴンで10分間脱気し、Pd(dppf)Cl(116mg、0.14mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下にて90℃で3時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(10mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての20~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-ベンジル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラートをオフホワイトの固体として得た(591mg、77%)。(LC/MS;m/z 378 [M+H])。
【0224】
ステップ3:tert-ブチル2-ベンジル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(590mg、1.56mmol)及び3-(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(435mg、1.72mmol)のDMF(15mL)溶液に、NaH(156mg、3.91mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(15mL)で希釈し、DCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、40gカラム(シリカ)及び溶離剤としての30~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-ベンジル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-カルボキシラート(Int-2B)を白色のゴムを得た(550mg、75%、位置異性体の95/5混合物)。(LC/MS;m/z 469 [M+H], 369 [M-Boc+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0225】
中間体Int-1A及びInt-1Bは、それぞれInt-2A及びInt-2Bと同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(Int-1から)調製した:
【表4】
【0226】
tert-ブチル4-クロロ-2-フェニル-6,8-ジヒドロ-5H-ピリド[3,4-d]ピリミジン-7-カルボキシラート(Int-3)の合成
【化19】
ステップ1~2:これらのステップは、Int-1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(2.0g、7.77mmol)から粗生成物を得、これを、80gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-クロロ-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-3)をオフホワイトの固体として得た(1.68g、62%)。(LC/MS;m/z 346/348 [M+H])。
【0227】
以下の中間体は、Int-3と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で調製した:
【表5】
【0228】
6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イルトリフルオロメタンスルホナート(Int-11)の合成
【化20】
ステップ1:このステップは、Int-1に向けてのステップ1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(1.0g、3.5mmol)から、tert-ブチル(4-ヒドロキシ-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-6-イル)カルバマートを白色の固体として得た(980mg、82%)。(LC/MS;m/z 342 [M+H])。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.48 (br s, 1H), 8.06 (d, 2H), 7.43-7.60 (m, 3H), 6.98 (d, 1H), 3.63 (br s, 1H), 2.64-2.78 (m, 3H), 2.21 (dd, 1H), 1.93 (d, 1H), 1.58-1.75 (m, 1H), 1.41 (s, 9H)。粗生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0229】
ステップ2:tert-ブチル(4-ヒドロキシ-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-6-イル)カルバマート(300mg、0.88mmol)及びピリジン(0.356mL、4.39mmol)の1,4-ジオキサン(7.5mL)溶液に、TfO(0.162mL、0.97mmol)を0℃で滴加した。反応混合物をRTで4時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした(3時間後、追加の0.150mLのTfOをRTで加えた)。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(20mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(2×10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。有機層を相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての5~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-4-イルトリフルオロメタン-スルホナート(Int-11)を白色の固体として得た(294mg、71%)。(LC/MS;m/z 474 [M+H])。
【0230】
中間体Int-12は、Int-11と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で調製した(ステップ1でメチル4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エン-1-カルボキシラートを用いた):
【表6】
【0231】
tert-ブチル(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)カルバマート(Int-13)及びtert-ブチル(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)カルバマート(Int-14)の合成
【化21】
ステップ1:このステップは、Int-2Aと同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-11(100mg、0.21mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)カルバマート(Int-13)を白色の固体として得た(84mg、98%)。(LC/MS;m/z 406 [M+H])。
【0232】
ステップ2:このステップは、Int-2Bに向けてのステップ2と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-11(97mg、0.20mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-フェニル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)カルバマートを白色の固体として得た(50mg、63%)。(LC/MS;m/z 392 [M+H])。
【0233】
ステップ3:tert-ブチル(2-フェニル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-6-イル)カルバマート(50mg、0.13mmol)、3-(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(36mg、0.14mmol)及びCsCO(125mg、0.38mmol)のDMF(2.0mL)溶液を60℃で16時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(5mL)及びDCM(10mL)で希釈し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての20~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)カルバマート(Int-14)を白色の固体として得た(12mg、19%、位置異性体の84/16混合物)。(LC/MS;m/z 483 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0234】
中間体Int-15及びInt-16は、それぞれInt-13及びInt-14と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(Int-12から)調製した:
【表7】
【0235】
tert-ブチル4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-19)、tert-ブチル2-フェニル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-20)及びtert-ブチル4-(1-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-21)の合成
【化22】
ステップ1:このステップは、Int-2Aと同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-3(250mg、0.72mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-19)をオフホワイトの固体として得た(197mg、70%)。(LC/MS;m/z 392 [M+H])。
【0236】
ステップ2:このステップは、Int-2Bに向けてのステップ2と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-3(350mg、1.01mmol)から粗生成物を得、これを、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-フェニル-4-(1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-20)をオフホワイトの固体として得た(355mg、93%)。(LC/MS;m/z 378 [M+H])。
【0237】
ステップ3:Int-20(120mg、0.32mmol)のDMF(3mL)溶液にNaH(32mg、0.79mmol)を加え、混合物をRTで10分間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、EtI(0.03mL、0.35mmol)を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(5mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-(1-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-21)を白色の固体として得た(50mg、39%、1つの位置異性体)。(LC/MS;m/z 406 [M+H])。
【0238】
以下の中間体は、Int-19と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(対応する中間体Int-3、Int-4、Int-5、Int-6、Int-7、Int-8、Int-9またはInt-10から)調製した。Int-29の調製には、ステップ1で1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールを用い、Int-30の調製には、ステップ1で(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸を用い、Int-31の調製には、ステップ1で2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-1,2,3-トリアゾールを用い、Int-31の調製には、ステップ1で2-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-1,2,3-トリアゾール(R2)を用い、Int-32及びInt-33の調製には、ステップ1で1-(ジフルオロメチル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(R1)を用いた:
【表8】
【0239】
以下の中間体は、Int-21と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(対応する中間体Int-3、Int-5、Int-6、Int-9またはInt-10から)調製した:
【表9】
【0240】
tert-ブチル2-クロロ-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-40)及びtert-ブチル2-(3-フルオロフェニル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-41)の合成
【化23】
ステップ1:このステップは、Int-2Aと同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(1.0g、3.22mmol)から粗生成物を得、これを、80gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~60%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-クロロ-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-40)を白色の固体として得た(660mg、58%)。(LC/MS;m/z 350 [M+H])。
【0241】
ステップ2:Int-40(120mg、0.34mmol)、(3-フルオロフェニル)ボロン酸(72mg、0.51mmol)及びKCO水溶液(1.8M;0.6mL、1.03mmol)の1,4-ジオキサン(1.7mL)溶液をアルゴンで10分間脱気し、Pd(dppf)Cl(20mg、0.02mmol)を加えた。反応混合物を120℃で15分間撹拌した(密封チューブ;マイクロ波放射)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(5mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~60%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-(3-フルオロフェニル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-41)を白色の固体として得た(110mg、78%)。(LC/MS;m/z 410 [M+H])。
【0242】
以下の中間体は、Int-41と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で調製した:
【表10】
【0243】
tert-ブチル2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(Int-44)の合成
【化24】
ステップ1:このステップは、Int-41と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(200mg、0.57mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-(4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(195mg、79%)。(LC/MS;m/z 432 [M+H])。
【0244】
ステップ2:tert-ブチル2-(4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(100mg、0.23mmol)及びNHHCO(22mg、0.35mmol)のEtOAc(2.5mL)溶液に、Pd/C(10重量%;10mg、0.09mmol)を加えた。反応混合物を80℃で1時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(5mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、tert-ブチル2-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシ(Int-44)を白色の固体として得た(100mg、99%)。(LC/MS;m/z 434 [M+H])。
【0245】
実施例1~2:4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-アミン(化合物番号1)及びN-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)アクリルアミド(化合物番号2)の合成
【化25】
ステップ1:Int-13(160mg、0.39mmol)の1,4-ジオキサン(2mL)溶液にHCl(1,4-ジオキサン中4M;2.0mL、8.00mmol)を加え、反応混合物をRTで2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをACNでトリチュレートした。固体を減圧下で乾燥させて、4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-アミン塩酸塩を白色の固体として得た(173mg)。(LC/MS;m/z 306 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。固体をHO(15mL)に溶解し(少量の1M HClで酸性化)、DCM(5mL)で洗浄した。水層を、飽和NaHCO水溶液を使用して塩基性化し、DCM(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-アミン(化合物番号1)を白色の固体として得た(55mg、87%)。
【0246】
ステップ2:4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-アミン塩酸塩(50mg、0.15mmol)及びTEA(0.083mL、0.60mmol)のDCM(1.0mL)溶液に、塩化アクリロイル(0.021mL、0.24mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(5mL)及び飽和NaHCO水溶液(2.5mL)に溶解し、水層をDCM(5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2.5mL)で洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリン-6-イル)アクリルアミド(化合物番号2)を白色の固体として得た(31mg、59%)。(LC/MS;m/z 360 [M+H])。
【0247】
化合物の化合物番号5は、化合物番号1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(Int-15から)調製した。
【0248】
以下の化合物は、化合物番号2と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号3(ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号4(ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号6(Int-15から)、化合物番号7(Int-15から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号8(Int-15から、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号9(Int-14から)、化合物番号10(Int-14から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号11(Int-16から)、化合物番号12(Int-16から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号13(Int-16から、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)。
【0249】
実施例3:1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号14)の合成
【化26】
ステップ1:このステップは、化合物番号2に向けてのステップ1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-1A(410mg、1.09mmol)から、粗製の4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン塩酸塩を白色の固体として得た(347mg)。(LC/MS;m/z 278 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0250】
ステップ2:このステップは、化合物番号2に向けてのステップ2と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(50mg、0.16mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての20~80%EtOAc/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号14)を白色の固体として得た(26mg、48%)。(LC/MS;m/z 332 [M+H])。
【0251】
以下の化合物は、化合物番号14と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号15(ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号16(ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号17(Int-2Bから)、化合物番号18(Int-2Bから、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号19(Int-2Bから、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号20(Int-2Aから)、化合物番号21(Int-2Aから、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号22(Int-2Aから、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号23(Int-1Bから)、化合物番号24(Int-2Bから、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号25(Int-1Bから、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)。
【0252】
実施例4:N-(2-オキソ-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エチル)アセトアミド(化合物番号26)の合成
【化27】
ステップ1:このステップは、化合物番号2に向けてのステップ1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-1B(650mg、1.43mmol)から、粗製の2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン塩酸塩(Int-17)を薄オレンジ色の固体として得た(504mg)。(LC/MS;m/z 355 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0253】
ステップ2:Int-17(50mg、0.13mmol)、2-アセトアミド酢酸(18mg、0.15mmol)、DIPEA(0.090mL、0.51mmol)及びHOAt(21mg、0.15mmol)をDCM(0.5mL)及びTHF(0.3mL)に含む溶液に、EDC(0.030mL、0.19mmol)を加えた。反応混合物をRTで1.5時間撹拌した。1時間後、沈殿物が形成され、DMF(1.0mL)を反応混合物に加えた。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。混合物をDCM(15mL)で希釈し、飽和NHCl水溶液(5mL)、飽和NaHCO水溶液(5mL)及びブライン(5mL)で洗浄した。有機層を相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての1~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-(2-オキソ-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エチル)アセトアミド(化合物番号26)を白色の固体として得た(42mg、71%)。(LC/MS;m/z 454 [M+H])。
【0254】
中間体Int-18は、Int-17と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(Int-2Bから)調製した:
【表11】
【0255】
以下の化合物は、化合物番号26と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号27(Int-2Bから)及び化合物番号28(Int-2Bから、ステップ2で2-メタンスルホンアミド酢酸を用いた)。
【0256】
実施例5~6:2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホニルフルオリド(化合物番号29)及びN-メチル-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホンアミド(化合物番号31)の合成
【化28】
ステップ1:Int-17(50mg、0.13mmol)のDMSO(1.0mL)溶液に、エテンスルホニルフルオリド(0.015mL、0.15mmol)を加えた。反応混合物をRTで16時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(5mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で塩基性化し、DCM中5%MeOH(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての1~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホニルフルオリド(化合物番号29)を固体として得た(31mg、50%)。(LC/MS;m/z 465 [M+H])。
【0257】
ステップ2:化合物番号29(30mg、0.06mmol)のMeOH(0.6mL)溶液に、MeNH(THF中2M;0.65mL、1.29mmol)を加えた。反応混合物を80℃で16時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての1~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-メチル-2-(2-フェニル-4-(1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-5,7-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,4-d]ピリミジン-6-イル)エタン-1-スルホンアミド(化合物番号31)を白色の固体として得た(8mg、25%)。(LC/MS;m/z 476 [M+H])。
【0258】
化合物の化合物番号30及び化合物番号38は、それぞれ化合物番号29及び化合物番号31と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で(Int-18から)調製した。
【0259】
実施例7:1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号39)の合成
【化29】
ステップ1:Int-19(197mg、0.50mmol)を1,4-ジオキサン(2mL)及びMeOH(1.0mL)に含む溶液に、HCl(1,4-ジオキサン中4M;2.0mL、8.00mmol)を加え、反応混合物をRTで1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、粗製の4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン塩酸塩をオフホワイトの固体として得た(187mg)。(LC/MS;m/z 292 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0260】
ステップ2:このステップは、化合物番号2に向けてのステップ2と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(60mg、0.18mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての1~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号39)を白色の固体として得た(39mg、61%)。(LC/MS;m/z 346 [M+H])。
【0261】
以下の化合物は、化合物番号39と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号40(ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号59(Int-21から)、化合物番号51(Int-22から)、化合物番号54(Int-23から)、化合物番号85(Int-23から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号74(Int-23から、ステップ2で(E)-ブタ-2-エノイルクロリドを用いた)、化合物番号79(Int-23から、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号80(Int-23から、ステップ2で2-クロロエタン-1-スルホニルクロリド及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号32(Int-24から)、化合物番号33(Int-24から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号34(Int-24から、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号41(Int-25から)、化合物番号42(Int-25から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号43(Int-26から)、化合物番号44(Int-26から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号45(Int-27から)、化合物番号47(Int-27から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号46(Int-28から)、化合物番号48(Int-28から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号56(Int-29から)、化合物番号57(Int-30から)、化合物番号92(Int-31から)、化合物番号93(Int-31から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号70(Int-32から)、化合物番号69(Int-33から)、化合物番号60(Int-34から)、化合物番号72(Int-35から)、化合物番号73(Int-36から)、化合物番号35(Int-37から)、化合物番号36(Int-37から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号37(Int-37から、ステップ2でMsCl及びTEAを含むDCMを用いた)、化合物番号49(Int-38から)、化合物番号50(Int-39から)、化合物番号52(Int-41から)、化合物番号53(Int-42から)、化合物番号55(Int-43から)、化合物番号89(Int-44から)、化合物番号90(Int-44から、ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)、化合物番号95(Int-44から、ステップ2で(E)-ブタ-2-エノイルクロリドを用いた)。
【0262】
実施例8~9:2-メチル-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号77)及び4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボニトリル(化合物番号78)の合成
【化30】
ステップ1:このステップは、化合物番号39に向けてのステップ1と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-23(500mg、1.09mmol)から、粗製の4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン塩酸塩を白色の固体として得た(460mg)。(LC/MS;m/z 360 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0263】
ステップ2:4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン塩酸塩(75mg、0.19mmol)、メタクリル酸(0.017mL、0.21mmol)及びTEA(0.106mL、0.76mmol)のDMF(1.5mL)溶液に、TP(DMF中50%;0.134mL、0.23mmol)を加えた。反応混合物をRTで1時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(2mL)及びDCM(5mL)で希釈し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-メチル-1-(4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号77)を白色の固体として得た(50mg、61%)。(LC/MS;m/z 428 [M+H])。
【0264】
ステップ3:NCS(25mg、0.19mmol)及びZn(CN)(22mg、0.18mmol)をACN(1.5mL)及びHO(0.15mL)に含む懸濁液に、4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン塩酸塩(65mg、0.18mmol)を加えた。反応混合物をRTで72時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(15mL)で洗浄した。濾液をHO(5mL)及びブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~60%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボニトリル(化合物番号78)を白色の固体として得た(16mg、23%)。(LC/MS;m/z 385 [M+H])。
【0265】
以下の化合物は、化合物番号77と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号71(2-フルオロアクリル酸ナトリウムを用いた)、化合物番号75、化合物番号83((E)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン酸塩酸塩を用いた)、化合物番号84、化合物番号86、化合物番号88(オキシラン-2-カルボン酸カリウムを用いた)及び化合物番号94(Int-44から)。
【0266】
実施例10:1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号65)の合成
【化31】
ステップ1:Int-20(50mg、0.13mmol)及びKF(16mg、0.26mmol)のACN(1.0mL)溶液に、(ブロモジフルオロメチル)ホスホン酸ジエチル(35mg、0.13mmol)を加えた。反応混合物をRTで16時間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(20mg、35%)。(LC/MS;m/z 428 [M+H])。
【0267】
ステップ2~3:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(78mg、0.18mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~7%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号65)を白色の固体として得た(53mg、76%)。(LC/MS;m/z 382 [M+H])。
【0268】
実施例11:1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号61)の合成
【化32】
ステップ1~2:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-3(300mg、0.87mmol)から、粗製の1-(4-クロロ-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オンを黄色の固体として得た(160mg、59%)。(LC/MS;m/z 300/302 [M+H])。粗生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0269】
ステップ3:このステップは、Int-2Aと同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(50mg、0.17mmol)から粗生成物得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~7%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号61)を油として得た(42mg、63%)。(LC/MS;m/z 382 [M+H])。
【0270】
以下の化合物は、化合物番号61と同様の様式で、当業者に知られている適切な試薬及び精製方法を使用することによって、調製した:化合物番号62、化合物番号63、化合物番号64、化合物番号66及び化合物番号67(2-(トリブチルスタンニル)ピリジン及びPdCl(PPhを含む1,4-ジオキサンを用いた)。
【0271】
実施例12~13:1-(4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号81)及び1-(4-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号82)の合成
【化33】
ステップ1:Int-5(598mg、1.45mmol)、Zn(CN)(173mg、1.45mmol)及びPd(PPh(169mg、0.14mmol)のDMF(3mL)溶液を100℃で16時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をセライトパッドで濾過し、HO(10mL)及びEtOAc(10mL)で洗浄し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、40gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-シアノ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(270mg、46%)。(LC/MS;m/z 405 [M+H])。
【0272】
ステップ2:tert-ブチル4-シアノ-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(220mg、0.54mmol)、NHCl(88mg、1.63mmol)及びNaN(107mg、1.63mmol)のDMF(4mL)溶液を130℃で16時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をHO(10mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を相分離器で濾過し、減圧下で濃縮して、tert-ブチル4-(2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを褐色の油として得た(265mg)。(LC/MS;m/z 448 [M+H])。粗生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0273】
ステップ3:tert-ブチル4-(2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(265mg、0.59mmol)及びKCO(248mg、1.78mmol)のDMF(6mL)溶液に、MeI(0.074mL、1.18mmol)を加えた。反応混合物を100℃で2時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(15mL)に溶解し、HO(10mL)で洗浄した。有機層を相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート及びtert-ブチル4-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートの混合物を得た(70mg、26%)。(LC/MS;m/z 462 [M+H])。位置異性体の混合物をそのまま次のステップで使用した。
【0274】
ステップ4~5:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(70mg、0.15mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号81)(15mg、22%)及び1-(4-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号82)(9mg、13%)をいずれも白色の固体として得た。(LC/MS;m/z 416 [M+H])。
【0275】
実施例14:1-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号87)の合成
【化34】
ステップ1:Int-5(500mg、1.21mmol)、CuI(5mg、0.020mmol)及びTEA(0.25mL、1.81mmol)の1,4-ジオキサン(2.5mL)溶液をアルゴンで10分間脱気した。この溶液にPdCl(PPh(43mg、0.06mmol)及びエチニルトリメチルシラン(0.20mL、1.45mmol)を加え、反応混合物を85℃で3時間撹拌した(密封チューブ)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄した。濾液をHO(10mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((トリメチルシリル)エチニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(380mg、66%)。(LC/MS;m/z 476 [M+H])。
【0276】
ステップ2:tert-ブチル2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-((トリメチルシリル)エチニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(380mg、0.80mmol)及びKCO(110mg、0.800mmol)のMeOH(2.5mL)溶液をRTで30分間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物を減圧下で濃縮して、DCM(15mL)に溶解し、H2O(10mL)で洗浄した。有機層を相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-エチニル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(238mg、74%)。(LC/MS;m/z 404 [M+H])。
【0277】
ステップ3:tert-ブチル4-エチニル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラート(100mg、0.25mmol)、NaN(16mg、0.25mmol)、Cu(11mg、0.17mmol)及びCuSO.5HO(9mg、0.040mmol)をtBuOH(0.25mL)及びHO(0.25mL)に含む溶液に、MeI(0.020mL、0.25mmol)を加えた。反応混合物を125℃で30分間撹拌した(密封チューブ;マイクロ波放射)。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(10mL)で洗浄した。濾液をHO(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、25gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~80%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(80mg、70%)。(LC/MS;m/z 461 [M+H])。
【0278】
ステップ4~5:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(70mg、0.15mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての20~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号87)を白色の固体として得た(24mg、38%)。(LC/MS;m/z 415 [M+H])。
【0279】
化合物の化合物番号91は、化合物番号87と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で調製した(ステップ2で塩化プロピオニルを用いた)。
【0280】
実施例15~16:7-アクリロイル-2-フェニル-N-(ピリジン-3-イルメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-カルボキサミド(化合物番号58)及び1-(2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号68)
【化35】
ステップ1:1つの「CO反応フラスコ」に、片側からHCOH(0.03mL、0.87mmol)及びMsCl(0.07mL、0.87mmol)を含むトルエン(2mL)を入れた。他方の側からInt-3(150mg、0.43mmol)、Pd(OAc)(4.91mg、0.02mmol)、Xantphos(25mg、0.04mmol)、DMAP(0.09mL、0.87mmol)及びTEA(0.12mL、0.87mmol)を含むトルエン(3mL)を入れた。フラスコを密封し、TEA(0.24mL、1.74mmol)をHCOHに加えて、COの発生を開始した。反応混合物を80℃で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、シリンジフィルターを使用して濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての10~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル2-フェニル-4-((ピリジン-3-イルメチル)カルバモイル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(65mg、34%)。(LC/MS;m/z 446 [M+H])。
【0281】
ステップ2~3:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(63mg、0.14mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~10%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、7-アクリロイル-2-フェニル-N-(ピリジン-3-イルメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-カルボキサミド(化合物番号58)を白色の固体として得た(28mg、50%)。(LC/MS;m/z 400 [M+H])。
【0282】
ステップ4:このステップは、Int-44に向けてのステップ2と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。Int-3(160mg、0.46mmol)から、粗製のtert-ブチル2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを油として得た(150mg)。(LC/MS;m/z 312 [M+H])。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップで使用した。
【0283】
ステップ5~6:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(150mg、0.48mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての0~7%MeOH/DCMの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(2-フェニル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号68)を白色の固体として得た(29mg、23%)。(LC/MS;m/z 266 [M+H])。
【0284】
実施例17:1-(8-メチル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号76)の合成
【化36】
ステップ1:Int-23(100mg、0.22mmol)のDMF(2mL)溶液にNaH(17mg、0.44mmol)を加え、溶液をRTで10分間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、MeI(0.075mL、0.83mmol)を加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応の進捗をLC/MSによりモニタリングした。反応混合物をH2O(10mL)で希釈し、DCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、相分離器で濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての5~40%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル8-メチル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-カルボキシラートを白色の固体として得た(59mg、57%)。(LC/MS;m/z 474 [M+H])。
【0285】
ステップ2~3:これらのステップは、化合物番号39と同様の様式(当業者に知られている適切な試薬及び精製方法の使用)で実行した。出発材料(59mg、0.12mmol)から粗生成物を得、これを、12gカラム(シリカ)及び溶離剤としての20~100%EtOAc/n-ヘプタンの勾配を使用した順相フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(8-メチル-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-7(6H)-イル)プロパ-2-エン-1-オン(化合物番号76)を白色の固体として得た(34mg、63%)。(LC/MS;m/z 428 [M+H])。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【0286】
パートB:実験的生物学手順
実施例18:YAP/TAZ-TEAD転写の阻害を測定するためのレポーター遺伝子アッセイにおける本開示の化合物の活性
10%ウシ胎仔血清、ピルビン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、L-グルタミンを補ったDMEM中でHek293T細胞を培養する。細胞を採取し、TEAD応答性エレメントルシフェラーゼレポーターを一過性にトランスフェクトする。事前希釈した化合物を含む384ウェルプレートに、トランスフェクト後の細胞をプレーティングする。37℃/5%CO2で24時間のインキュベーション後、アッセイプレートをRTまで冷却し、ウェルごとに等容量にレベリングし、その後、25uLのルシフェラーゼ基質SteadyLite(Perkin Elmer)/ウェルを添加した。プレートを600rpmで10分間振盪し、500rpmで1分間遠心処理し、Envisionリーダー(PerkinElmer)で測定した。TEADレポーターによって生成された相対光単位の量を使用して、阻害パーセントを算出する。
【0287】
レポーター阻害パーセントは、レポーターのビヒクル基礎活性が存在する条件(0%阻害)に対して、陽性対照阻害剤の存在下(100%阻害)で算出した。この活性を阻害する試験化合物の能力を、次のように判定した:
阻害率=[1-((ビヒクルの存在下で決定されたRLU-試験化合物が存在する試料に関して決定されたRLU)÷(ビヒクルの存在下で決定されたRLU-陽性対照阻害剤を含む試料に関して決定されたRLU))]×100
【0288】
試験した例示的化合物の活性を表8に示す。活性範囲A、B及びCは、次のように表される、レポーター遺伝子アッセイにおけるIC50値を指す:「A」:EC50<1μM;「B」:1μM≦EC50≦3.0μM及び「C」:EC50>3.0μM。NT=試験せず。
【表13】
【0289】
実施例19:中皮腫細胞株増殖アッセイにおける本開示の化合物の活性
中皮腫細胞株のNCI-H226及びNCI-H2052(すべてATCC細胞培養コレクションから調達)を、96ウェルプレート(Corning(登録商標)96ウェル白色ポリスチレンマイクロプレート透明平底、白色ポリスチレン(TC処理済み))に、完全培地(L-グルタミン、HEPES、フェノールレッド、ピルビン酸ナトリウム、高グルコース、低重炭酸ナトリウム及び10%ウシ胎仔血清を含むRPMI 1640 ATCC改変物)において細胞1500個/ウェルでプレーティングする。5%CO2を含むインキュベータにおいて細胞を37℃で一晩インキュベートする。次いで、DMSOに溶解させた化合物を用量反応で添加する。細胞を化合物希釈物と共にさらに6日間、5%CO2を含むインキュベータにて37℃でインキュベートする。ATPliteキット(Perkin-Elmer)を使用して細胞生存能を定量化し、Envision機器(Perkin-Elmer)を使用して発光を読み出す。ATPliteキットを使用して生成された相対光単位の量を使用して、阻害パーセントを算出する。
【0290】
いくつかの例示的化合物の活性を表9に示す。活性範囲A、B及びCは、次のように表される、中皮腫細胞株増殖アッセイにおけるEC50値を指す:「A」:EC50<1μM;「B」:1μM≦EC50≦10μM、及び「C」:EC50>10μM;NT:試験せず。
【表14】
【国際調査報告】