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▶ シファメド・ホールディングス・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】血栓除去システムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546122
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-10-01
(86)【国際出願番号】 US2023062002
(87)【国際公開番号】W WO2023150730
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/267,530
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/269,380
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/373,413
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/373,427
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ガニング,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アル-ジャッダ,アーデル
(72)【発明者】
【氏名】サラヒエ,アムル
(72)【発明者】
【氏名】オング,イッヒ
(72)【発明者】
【氏名】スリバスサ,ムラリダラン
(72)【発明者】
【氏名】ダラ,プラビーン・クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】ソール,トム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160MM36
(57)【要約】
本技術は、患者の血管から血栓を除去するためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本技術は、患者の血管内に位置付けられるように構成された遠位部分と、患者に対して外部になるように構成された近位部分と、それらの間に延びる管腔とを有する細長いカテーテルを含むシステムを対象とする。本システムはまた、流体管腔と結合され、かつ血栓を少なくとも部分的に断片化するために流体を適用するように構成された流体送達機構も含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引管腔を有する細長いカテーテルと、
前記吸引管腔に結合された吸引源と、
前記吸引管腔および前記細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部と、
前記拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素と、を備え、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内で前記少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である、血栓除去装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素を、前記拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って、前記拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項6】
流体源と、
前記細長いカテーテルに位置付けられ、前記流体源と流体連通している流体管腔と、
前記拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、前記流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される前記噴射オリフィスと、をさらに備える、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記流体流の方へ移動させるように作動可能である、請求項6に記載の血栓除去装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記流体管腔と流体連通し、第2の流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される、請求項6に記載の血栓除去装置。
【請求項9】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項10】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む、請求項9に記載の血栓除去装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠であって、少なくとも一部分が前記漏斗部枠から近位に位置付けられる前記作動可能な枠をさらに備える、請求項9に記載の血栓除去装置。
【請求項12】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記作動可能な枠と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記拡張可能な漏斗部内で移動させる、請求項11に記載の血栓除去装置。
【請求項13】
前記シースを前記作動可能な枠と接触させることにより、前記拡張可能な漏斗部が折り畳まれることまたは前記拡張可能な漏斗部の直径が低減されることはない、請求項12に記載の血栓除去装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで前記漏斗部枠に結合される、請求項9に記載の血栓除去装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は前記ヒンジから前記拡張可能な漏斗部内へ延び、前記少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は前記漏斗部の外側に延びる、請求項14に記載の血栓除去装置。
【請求項16】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を前記拡張可能な漏斗部内で前記ヒンジを中心に移動させる、請求項15に記載の血栓除去装置。
【請求項17】
前記細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを回転させて前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させることにより、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を前記拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる、請求項15に記載の血栓除去装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、前記第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む、請求項10に記載の血栓除去装置。
【請求項26】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む、請求項10に記載の血栓除去装置。
【請求項27】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料によって覆われる静止構成と、前記少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して前記拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む、請求項10に記載の血栓除去装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動により前記少なくとも1つの機械的係合要素は前記拡張可能な漏斗部内で回動する、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項29】
前記細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、前記拡張可能な漏斗部および前記少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、前記長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項31】
細長いカテーテルと、
前記細長いカテーテルの遠位端に位置付けられた拡張可能な部材と、
前記拡張可能な部材内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素と、を備え、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内で前記少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である、医療装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な部材内で前記少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である、請求項31に記載の医療装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素を、前記拡張可能な部材の少なくとも一部分を横切って前記拡張可能な部材内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である、請求項31に記載の医療装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項36】
流体源と、
前記細長いカテーテルに位置付けられ、前記流体源と流体連通している流体管腔と、
前記拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、前記流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を前記拡張可能な部材内に供給するように構成される前記噴射オリフィスと、をさらに備える、請求項31に記載の医療装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記流体流の方へ移動させるように作動可能である、請求項36に記載の医療装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記流体管腔と流体連通し、第2の流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される、請求項36に記載の医療装置。
【請求項39】
前記拡張可能な部材は、前記拡張可能な部材を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された枠を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項40】
前記拡張可能な部材は、前記枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む、請求項39に記載の医療装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに備え、前記作動可能な枠は、少なくとも一部分が前記枠から近位に位置付けられる、請求項39に記載の医療装置。
【請求項42】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記作動可能な枠と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記拡張可能な部材内で移動させる、請求項41に記載の医療装置。
【請求項43】
前記シースを前記作動可能な枠と接触させることにより、前記拡張可能な部材が折り畳まれることまたは前記拡張可能な部材の直径が低減されることはない、請求項42に記載の医療装置。
【請求項44】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで前記枠に結合される、請求項39に記載の医療装置。
【請求項45】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は、前記ヒンジから前記拡張可能な部材内へ延び、前記少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は、前記拡張可能な部材の外側に延びる、請求項44に記載の医療装置。
【請求項46】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を前記拡張可能な部材内で前記ヒンジを中心に移動させる、請求項45に記載の医療装置。
【請求項47】
前記細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを回転させて前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させることにより、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を前記拡張可能な部材内で前記ヒンジを中心に移動させる、請求項45に記載の医療装置。
【請求項48】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項49】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項50】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項51】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項52】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項53】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で前記拡張可能な部材内に配設された第1の機械的係合要素と、前記第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で前記拡張可能な部材内に配設された第2の機械的係合要素とを含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項54】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な部材内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む、請求項31に記載の医療装置。
【請求項55】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む、請求項40に記載の医療装置。
【請求項56】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む、請求項40に記載の医療装置。
【請求項57】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料によって覆われる静止構成と、前記少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して前記拡張可能な部材内へ移動する作動構成とを含む、請求項40に記載の医療装置。
【請求項58】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動により前記少なくとも1つの機械的係合要素は前記拡張可能な部材内で回動する、請求項31に記載の医療装置。
【請求項59】
前記細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、前記拡張可能な漏斗部および前記少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、前記長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される、請求項31に記載の医療装置。
【請求項60】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な部材の遠位端を越えて延びない、請求項31に記載の医療装置。
【請求項61】
吸引管腔および流体管腔を有する細長いカテーテルと、
前記吸引管腔に結合された吸引源と、
前記流体管腔に結合された流体源と、
前記吸引管腔および前記細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部と、
前記拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、前記流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される前記噴射オリフィスと、
前記拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素と、を備え、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記流体流の平面の方へ移動させるように作動可能である、血栓除去装置。
【請求項62】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項63】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素を、前記拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って前記拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項64】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項65】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項66】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記流体流の方へ移動させるように作動可能である、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項67】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記流体管腔と流体連通し、第2の流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項68】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項69】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む、請求項68に記載の血栓除去装置。
【請求項70】
前記少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに備え、前記作動可能な枠は、少なくとも一部分が前記漏斗部枠から近位に位置付けられる、請求項689に記載の血栓除去装置。
【請求項71】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記作動可能な枠と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記拡張可能な漏斗部内で移動させる、請求項70に記載の血栓除去装置。
【請求項72】
前記シースを前記作動可能な枠と接触させることにより、前記拡張可能な漏斗部が折り畳まれることまたは前記拡張可能な漏斗部の直径が低減されることはない、請求項71に記載の血栓除去装置。
【請求項73】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで前記漏斗部枠に結合される、請求項68に記載の血栓除去装置。
【請求項74】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は、前記ヒンジから前記拡張可能な漏斗部内へ延び、前記少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は、前記漏斗部の外側に延びる、請求項73に記載の血栓除去装置。
【請求項75】
前記細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させるための前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を、前記拡張可能な漏斗部内で前記ヒンジを中心に移動させる、請求項74に記載の血栓除去装置。
【請求項76】
前記細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに備え、前記シースを回転させて前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記近位部分と接触させることにより、前記少なくとも1つの機械的係合要素の前記遠位部分を、前記拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる、請求項74に記載の血栓除去装置。
【請求項77】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項78】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に、せん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項79】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項80】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項81】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項82】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、前記第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項83】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項84】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む、請求項69に記載の血栓除去装置。
【請求項85】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む、請求項69に記載の血栓除去装置。
【請求項86】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに備え、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料によって覆われる静止構成と、前記少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して前記拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む、請求項69に記載の血栓除去装置。
【請求項87】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動により前記少なくとも1つの機械的係合要素は前記拡張可能な漏斗部内で回動する、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項88】
前記細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、前記拡張可能な漏斗部および前記少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、前記長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項89】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない、請求項61に記載の血栓除去装置。
【請求項90】
吸引管腔を有する細長いカテーテルと、
前記吸引管腔に結合された吸引源と、
前記吸引管腔および前記細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部であって、枠を含む前記拡張可能な漏斗部と、
前記拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素と、
前記細長いカテーテルの外側に沿って摺動可能に配設されたシースと、を備え、前記シースと前記細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、前記シースを前記拡張可能な漏斗部の一部分と接触させて前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記漏斗部内で移動させる、血栓除去装置。
【請求項91】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項92】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素を、前記拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って、前記拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項93】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項94】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項95】
流体源と、
前記細長いカテーテルに位置付けられ、前記流体源と流体連通している流体管腔と、
前記拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、前記流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される前記噴射オリフィスとをさらに備える、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項96】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内の前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記流体流の方へ移動させるように作動可能である、請求項95に記載の血栓除去装置。
【請求項97】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記流体管腔と流体連通し、第2の流体流を前記吸引管腔内または前記拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される、請求項95に記載の血栓除去装置。
【請求項98】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項99】
前記拡張可能な漏斗部は、前記漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む、請求項98に記載の血栓除去装置。
【請求項100】
前記少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに備え、前記作動可能な枠は、少なくとも一部分が前記漏斗部枠から近位に位置付けられる、請求項98に記載の血栓除去装置。
【請求項101】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで前記漏斗部枠に結合される、請求項98に記載の血栓除去装置。
【請求項102】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は前記ヒンジから前記拡張可能な漏斗部内へ延び、前記少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は前記漏斗部の外側に延びる、請求項101に記載の血栓除去装置。
【請求項103】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項104】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項105】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項106】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項107】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項108】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、前記第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で前記拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項109】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項110】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む、請求項99に記載の血栓除去装置。
【請求項111】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む、請求項99に記載の血栓除去装置。
【請求項112】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記柔軟な材料によって覆われる静止構成と、前記少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して前記拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む、請求項99に記載の血栓除去装置。
【請求項113】
前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動により前記少なくとも1つの機械的係合要素は前記拡張可能な漏斗部内で回動する、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項114】
前記細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、前記拡張可能な漏斗部および前記少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、前記少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、前記長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項115】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない、請求項90に記載の血栓除去装置。
【請求項116】
患者から血栓を除去する方法であって、
血栓除去カテーテルを前記患者に挿入するステップと、
前記血栓除去カテーテルの遠位拡張可能な部材を標的血栓に隣接して広げるステップと、
前記標的血栓を前記遠位拡張可能な部材内へ吸引するステップと、
前記標的血栓に接触するように前記漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップと、
前記血栓除去カテーテルから前記標的血栓を吸引するステップと、を含む方法。
【請求項117】
少なくとも2つの交差する噴出流を前記遠位拡張可能な部材内の前記標的血栓内へ向けるステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素で前記標的血栓を切断するステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素で前記標的血栓を挟むステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素で前記標的血栓をせん断するステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項121】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記血栓除去カテーテルの吸引管腔の方へ移動させるステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項122】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素を、前記遠位拡張可能な部材を横切って径方向に移動させるステップをさらに含む、請求項116に記載の方法。
【請求項123】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記交差する噴出流の平面の方へ移動させるステップをさらに含む、請求項117に記載の方法。
【請求項124】
遠位端を有する細長い軸と、
前記細長い軸における少なくとも1つの吸引管腔と、
前記遠位端に、または前記遠位端の近くに配設された拡張可能な漏斗部であって、
漏斗部枠構造に対して近位である作動可能な枠構造を含む入れ子式枠構造、および
前記作動可能な枠構造に結合された、または一体化した少なくとも1つの機械的係合要素を含む前記拡張可能な漏斗部と、
前記細長い軸の上に摺動可能に配設されたシースと、を備え、前記シースは、開放または拡張構成と閉鎖または作動構成との間で前記少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるために前記作動可能な枠構造に係合するように構成される、血栓除去装置。
【請求項125】
前記作動可能な枠構造を前記シースに係合させることにより、前記シースと前記漏斗部枠構造との間に係合が生じない、請求項124に記載の装置。
【請求項126】
前記漏斗部枠構造の周り及び前記作動可能な枠構造の少なくとも一部分の周りに配設された柔軟な材料をさらに備える、請求項124に記載の装置。
【請求項127】
前記柔軟な材料は、前記少なくとも1つの機械的係合要素の周りに配設されない、請求項126に記載の装置。
【請求項128】
前記柔軟な材料に配設された少なくとも1つのポケットをさらに備え、前記ポケットは、前記少なくとも1つの機械的係合要素が前記開放構成にあるときに、前記少なくとも1つの機械的係合要素を受けるように構成される、請求項126に記載の装置。
【請求項129】
前記少なくとも1つのポケットのそれぞれの上の前記柔軟な材料に少なくとも1つのスリットをさらに備え、前記少なくとも1つのスリットは、前記開放構成と前記閉鎖または作動構成との間で作動時に前記機械的係合要素が前記少なくとも1つのポケットから出ることを許容するように構成される、請求項128に記載の装置。
【請求項130】
前記少なくとも1つの機械的係合要素に切断または鋸歯状縁部をさらに備える、請求項116に記載の装置。
【請求項131】
少なくとも1つの機械的係合要素は、前記閉鎖または作動構成において前記吸引管腔の方へ向けられる、請求項116に記載の装置。
【請求項132】
血栓除去装置で患者の血管から血栓を除去する方法であって、
血栓除去装置の遠位部分を血管内の血栓場所へ導入するステップと、
シースを前記血栓除去装置の細長い軸に沿って引き込み前記血栓場所で漏斗部を広げるステップと、
前記血栓除去装置の吸引源を操作して血栓を前記漏斗部に少なくとも部分的に捕捉するステップと、
前記シースを前記細長い軸に沿って進めて前記漏斗部の枠構造に係合し、前記漏斗部の少なくとも1つの機械的係合要素を開放構成から閉鎖構成へ作動させるステップと、を含む方法。
【請求項133】
前記少なくとも1つの機械的係合要素を前記開放構成から前記閉鎖構成へ作動させるステップは、前記漏斗部を折り畳まない、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記少なくとも1つの機械的係合要素は、前記閉鎖構成において前記細長い軸の吸引管腔の方へ移動する、請求項132に記載の方法。
【請求項135】
細長い軸と、
前記細長い軸における少なくとも1つの吸引管腔と、
前記細長い軸の遠位端に配設された漏斗部と、
前記漏斗部内に動作可能に位置付けられた機械的係合要素の配列であって、血栓物質に係合するように作動可能である1つのまたは複数の軸方向に間隔をあけて設けられた機械的係合要素層を含む前記配列と、を備える血栓除去装置。
【請求項136】
血栓除去装置で患者の血管から血栓を除去する方法であって、
血栓を表す治療前画像を得るステップと、
血管内の細長いカテーテルの遠位部分を前記血栓の近くの標的場所に導入するステップと、
前記細長いカテーテルの吸引源を操作するステップと、
前記血栓除去装置によって前記吸引源で前記患者から前記血栓を除去するステップと、
前記患者から除去された前記血栓の体積を判定するステップと、を含む方法。
【請求項137】
前記治療前画像から前記血栓の治療前体積を計算するステップをさらに含む、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記体積を判定するステップは、
前記血栓の治療後画像を得るステップと、
前記治療後画像から前記血栓の治療後体積を計算するステップと、
前記治療後体積を前記治療前体積と比較するステップとをさらに含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記血栓を除去するステップに関するパラメータを測定するステップをさらに含む、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
前記パラメータを測定するステップは、流量または圧力を測定するステップをさらに含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記体積を判定するステップは、測定された前記パラメータに基づいて除去された血栓の前記体積を推定または計算するステップをさらに含む、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記治療前画像から前記血栓の治療前体積を計算するステップと、
除去された血栓の推定または計算された前記体積を前記治療前体積と比較するステップと、をさらに含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記カテーテルの前記遠位部分を別の血栓の近くの別の場所に移動させるステップと、
前記別の血栓を除去するステップと、をさらに含む、請求項136から142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
十分な血栓が除去されたことを示すインジケータを生成するステップと、
前記インジケータの表現を表示するステップと、をさらに含む、請求項136から143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記インジケータは、前記血栓、前記別の血栓、およびこれらの血栓の組合せのうちの1つに基づいている、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
血栓除去カテーテルを制御するコンソールであって、
前記血栓除去カテーテルを通して吸引を制御するポンプと、
前記血栓除去カテーテルを通して除去された血栓の体積を測定するセンサと、
治療部位における血栓の治療前体積を判定し、除去された血栓の前記体積を前記前の体積と比較する命令を含むプロセッサと、を備えるコンソール。
【請求項147】
吸引源と、
前記吸引源に流体結合されたキャニスターであって、血栓除去装置の吸引管腔に流体結合されるように構成される前記キャニスターと、
前記キャニスターに配設されたセンサであって、患者から除去された流体または生体物質の量を特徴付ける、または判定するように構成される前記センサと、を備える血栓除去装置コンソール。
【請求項148】
前記センサは重量計を含む、請求項147に記載の装置コンソール。
【請求項149】
前記センサはカメラを含む、請求項147に記載の装置コンソール。
【請求項150】
前記キャニスターは、血液および/または液体を前記キャニスターから排出させるが、血栓を排出させないように構成されたフィルタをさらに含む、請求項148に記載の装置コンソール。
【請求項151】
流体源と、前記流体源上または前記流体源内に配設された第2のセンサと、をさらに備える、請求項147に記載の装置コンソール。
【請求項152】
前記第2のセンサは、前記流体源から送達された流体の体積または重量を測定するように構成された流量センサまたは重量計を含む、請求項148に記載の装置コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2022年2月3日出願の米国出願第63/267,530号、2022年3月15日出願の米国出願第63/269,380号、2022年8月24日出願の米国出願第63/373,413号、2022年8月24日出願の米国出願第63/373,427号の優先権の利益を主張しており、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
参照による組み込み
[0002]本明細書で言及されるすべての公報および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
分野
[0003]本技術は、一般に、医療装置に関し、特に、哺乳類の血管から血栓を除去する吸引および流体送達機構を含むシステム、ならびに関連する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0004]血栓性物質は、哺乳類の血管系内の流体の流れの閉塞につながる可能性がある。このような閉塞は、肺系統、末梢血管系、深部血管系、または脳内など、身体内の様々な領域で生じることがある。肺塞栓症は、典型的には、身体の別の部分(例えば、骨盤または脚の静脈)から生ずる血栓が外れて肺に移動するときに起こる。抗凝固療法は、肺塞栓症を治療するための現在の標準治療法であるが、一部の患者では効果がないことがある。
【0003】
[0005]加えて、血栓性物質を除去するための従来の装置は、蛇行する血管の解剖学的構造を進行できないことがあり、血栓性物質を除去する際に有効でないことがあり、かつ/または血栓除去術手順中に、臨床医にセンサデータまたは他のフィードバックを提供する能力を欠くことがある。既存の血栓除去術装置は、特定の血塊に対しては十分に働くが、困難で組織化された血塊に対してはほとんど効果がない単純な吸引に基づいて動作する。到達するのが困難な解剖学的位置の深部血塊および/または深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombus)またはPEを呈する多くの患者は、四肢虚血の危険性が低い限り、未治療のままである。
【0004】
[0006]より緊急性の高い場合では、カテーテル血栓溶解療法または溶解療法で治療されて何時間もまたは何日もかけて血塊を細分化する。
[0007]最近では、DVTおよび肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)を治療するために血塊回収器のような他の道具が開発された。血塊回収器は、典型的には、血栓を捕捉するために血管内のカテーテルの遠位端から展開され、次いで血栓除去のためにカテーテルの遠位端内へ引き戻される構造を含む。この構造には、ステント状の構造、拡張可能な捕捉バスケット、または血塊に係合するためのレーキ、バーブ、プロングなどの受動的な捕捉特徴を含む捕捉構造を含むことができる。これらの道具は、吸引または治療の標準に対して有効性が限られ、死亡率が高く、追加コストがかかるため、広く採用されていない。加えて、捕捉構造をカテーテルの端から遠位に進めると、捕捉装置に対する血塊の視覚化が制限されることや、受動的な捕捉構造で血管壁を損傷するおそれなど、追加の課題を生じる。他の最近の開発は、血塊を薄切りすることまたは浸軟させることに焦点を当てているが、これらの機構はカテーテルの詰まりのおそれを低減するように設計され、硬く、大きく、組織化された血塊の問題には対処していない。到達するのが困難な解剖学的位置の種々の血塊形態を除去するための迅速で使いやすく、効果的な装置を含むが、これに限定されない、既存の静脈血栓除去術に関するこれらの問題および他の問題に対処する装置が必要とされたままである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の概要
[0034]吸引管腔を有する細長いカテーテルと、吸引管腔に結合された吸引源と、吸引管腔および細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部と、拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素とを備え、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内で少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である、血栓除去装置が提供される。
【0006】
[0035]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である。
[0036]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素を、拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って、拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である。
【0007】
[0037]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む。
[0038]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む。
[0039]一態様では、装置は、流体源と、細長いカテーテルに位置付けられ、流体源と流体連通している流体管腔と、拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される噴射オリフィスとをさらに含む。
【0008】
[0040]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を流体流の方へ移動させるように作動可能である。
[0041]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、流体管腔と流体連通し、第2の流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される。
【0009】
[0042]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む。
[0043]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む。
【0010】
[0044]一態様では、装置は、少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに含み、作動可能な枠は、少なくとも一部分が漏斗部枠から近位に位置付けられる。
【0011】
[0045]一態様では、装置は、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに含み、シースを作動可能な枠と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素を拡張可能な漏斗部内で移動させる。
【0012】
[0046]一態様では、シースを作動可能な枠と接触させることにより、拡張可能な漏斗部が折り畳まれることまたは漏斗部の直径が低減されることはない。
[0047]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで漏斗部枠に結合される。
【0013】
[0048]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は、ヒンジから拡張可能な漏斗部内へ延び、少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は、漏斗部の外側に延びる。
【0014】
[0049]一態様では、装置は、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに含み、シースを少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる。
【0015】
[0050]一態様では、装置は、細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに含み、シースを回転させて少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させることにより、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる。
【0016】
[0051]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む。
[0052]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む。
【0017】
[0053]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む。
[0054]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む。
【0018】
[0055]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む。
[0056]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む。
【0019】
[0057]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む。
[0058]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む。
【0020】
[0059]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む。
【0021】
[0060]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料によって覆われる静止構成と、少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む。
【0022】
[0061]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の作動により、少なくとも1つの機械的係合要素は拡張可能な漏斗部内で回動する。
[0062]一態様では、細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、拡張可能な漏斗部および少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される。
【0023】
[0063]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない。
[0064]細長いカテーテルと、細長いカテーテルの遠位端に位置付けられた拡張可能な部材と、拡張可能な部材内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素とを備え、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内で少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である、医療装置が提供される。
【0024】
[0065]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な部材内で少なくとも1つの機械的係合要素を移動させるように作動可能である。
[0066]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素を、拡張可能な部材の少なくとも一部分を横切って拡張可能な部材内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である。
【0025】
[0067]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む。
[0068]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む。
[0069]一態様では、装置は、流体源と、細長いカテーテルに位置付けられ、流体源と流体連通している流体管腔と、拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を拡張可能な部材内に供給するように構成される噴射オリフィスと、をさらに含む。
【0026】
[0070]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を流体流の方へ移動させるように作動可能である。
[0071]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、流体管腔と流体連通し、第2の流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される。
【0027】
[0072]一態様では、拡張可能な部材は、拡張可能な部材を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された枠を含む。
[0073]一態様では、拡張可能な部材は、枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む。
【0028】
[0074]一態様では、装置は、少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに含み、作動可能な枠は、少なくとも一部分が枠から近位に位置付けられる。
【0029】
[0075]一態様では、装置は、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに含み、シースを作動可能な枠と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素を拡張可能な部材内で移動させる。
【0030】
[0076]一態様では、シースを作動可能な枠と接触させることにより、拡張可能な部材が折り畳まれることまたは拡張可能な部材の直径が低減されることはない。
[0077]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで枠に結合される。
【0031】
[0078]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は、ヒンジから拡張可能な部材内へ延び、少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は、拡張可能な部材の外側に延びる。
【0032】
[0079]一態様では、装置は、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに含み、シースを少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な部材内でヒンジを中心に移動させる。
【0033】
[0080]一態様では、装置は、細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに含み、シースを回転させて少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させることにより、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な部材内でヒンジを中心に移動させる。
【0034】
[0081]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む。
[0082]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む。
【0035】
[0083]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む。
[0084]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む。
【0036】
[0085]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む。
[0086]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で拡張可能な部材内に配設された第1の機械的係合要素と、第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で拡張可能な部材内に配設された第2の機械的係合要素とを含む。
【0037】
[0087]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な部材内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む。
[0088]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む。
【0038】
[0089]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む。
【0039】
[0090]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料によって覆われる静止構成と、少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して拡張可能な部材内へ移動する作動構成とを含む。
【0040】
[0091]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の作動により、少なくとも1つの機械的係合要素は拡張可能な部材内で回動する。
[0092]一態様では、細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、拡張可能な漏斗部および少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される。
【0041】
[0093]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な部材の遠位端を越えて延びない。
[0094]吸引管腔および流体管腔を有する細長いカテーテルと、吸引管腔に結合された吸引源と、流体管腔に結合された流体源と、吸引管腔および細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部と、拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される噴射オリフィスと、拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素とを備え、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を流体流の平面の方へ移動させるように作動可能である、血栓除去装置が提供される。
【0042】
[0095]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である。
[0096]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素を、拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である。
【0043】
[0097]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む。
[0098]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む。
[0099]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を流体流の方へ移動させるように作動可能である。
【0044】
[0100]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、流体管腔と流体連通し、第2の流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される。
[0101]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む。
【0045】
[0102]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む。
[0103]一態様では、装置は、少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに含み、作動可能な枠は、少なくとも一部分が漏斗部枠から近位に位置付けられる。
【0046】
[0104]一態様では、装置は、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースをさらに含み、シースを作動可能な枠と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素を拡張可能な漏斗部内で移動させる。
【0047】
[0105]一態様では、シースを作動可能な枠と接触させることにより、拡張可能な漏斗部が折り畳まれることまたは漏斗部の直径が低減されることはない。
[0106]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで漏斗部枠に結合される。
【0048】
[0107]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分は、ヒンジから拡張可能な漏斗部内へ延び、少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は、漏斗部の外側に延びる。
【0049】
[0108]一態様では、細長いカテーテルの上を軸方向に摺動するように構成されたシースであり、シースを少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させるためのシースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる。
【0050】
[0109]一態様では、装置は、細長いカテーテルの周りを回転するように構成されたシースをさらに含み、シースを回転させて少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分と接触させることにより、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分を拡張可能な漏斗部内でヒンジを中心に移動させる。
【0051】
[0110]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む。
[0111]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に、せん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む。
【0052】
[0112]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む。
[0113]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む。
【0053】
[0114]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む。
[0115]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む。
【0054】
[0116]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む。
[0117]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む。
【0055】
[0118]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む。
【0056】
[0119]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料によって覆われる静止構成と、少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む。
【0057】
[0120]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の作動により、少なくとも1つの機械的係合要素は拡張可能な漏斗部内で回動する。
[0121]一態様では、細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、拡張可能な漏斗部および少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、少なくとも1つの機械的係合要素の作動時に、長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される。
【0058】
[0122]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない。
[0123]吸引管腔を有する細長いカテーテルと、吸引管腔に結合された吸引源と、吸引管腔および細長いカテーテルに結合された拡張可能な漏斗部であって、枠を含む拡張可能な漏斗部と、拡張可能な漏斗部内に配設された少なくとも1つの機械的係合要素と、細長いカテーテルの外側に沿って摺動可能に配設されたシースとを備え、シースと細長いカテーテルとの間の相対的な移動により、シースを拡張可能な漏斗部の一部分と接触させて、少なくとも1つの機械的係合要素を漏斗部内で移動させる、血栓除去装置。
【0059】
[0124]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を前記吸引管腔の方へ移動させるように作動可能である。
[0125]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素を、拡張可能な漏斗部の少なくとも一部分を横切って、拡張可能な漏斗部内で実質的に径方向に移動させるように作動可能である。
【0060】
[0126]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は切断部分を含む。
[0127]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は鈍い先端を含む。
[0128]一態様では、装置は、流体源と、細長いカテーテルに位置付けられ、流体源と流体連通している流体管腔と、拡張可能な漏斗部の近くまたは内部に位置付けられ、流体管腔と流体連通している噴射オリフィスであって、流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するように構成される噴射オリフィスとをさらに含む。
【0061】
[0129]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を流体流の方へ移動させるように作動可能である。
[0130]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、流体管腔と流体連通し、第2の流体流を吸引管腔内または拡張可能な漏斗部内に供給するようにさらに構成される。
【0062】
[0131]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部を完全に拡張された構成に自己拡張させるように構成された漏斗部枠を含む。
[0132]一態様では、拡張可能な漏斗部は、漏斗部枠の少なくとも一部分の上に配設された柔軟な材料をさらに含む。
【0063】
[0133]一態様では、装置は、少なくとも1つの機械的係合要素に機械的に結合された作動可能な枠をさらに含み、作動可能な枠は、少なくとも一部分が漏斗部枠から近位に位置付けられる。
【0064】
[0134]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、ヒンジで漏斗部枠に結合される。
[0135]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の遠位部分はヒンジから拡張可能な漏斗部内へ延び、少なくとも1つの機械的係合要素の近位部分は漏斗部の外側に延びる。
【0065】
[0136]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時に挟み点で衝突するように構成された一対の機械的係合要素を含む。
[0137]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、作動時にせん断作用を生じさせるように構成された一対の機械的係合要素を含む。
【0066】
[0138]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、群として集合的に作動される複数の機械的係合要素を含む。
[0139]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、個々にかつ独立して作動される複数の機械的係合要素を含む。
【0067】
[0140]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第2の群の機械的係合要素から独立して作動できる第1の群の機械的係合要素を含む。
[0141]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、第1の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第1の機械的係合要素と、第1の軸方向位置に対して遠位である第2の軸方向位置で拡張可能な漏斗部内に配設された第2の機械的係合要素とを含む。
【0068】
[0142]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部内で中心点の方へ移動するように構成された複数の機械的係合要素を含む。
[0143]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる静止構成を含む。
【0069】
[0144]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのポケットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料内の対応するポケット内に位置付けられる静止構成を含む。
【0070】
[0145]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素のそれぞれに対応する少なくとも1つのスリットをさらに含み、少なくとも1つの機械的係合要素は、少なくとも1つの機械的係合要素が柔軟な材料によって覆われる静止構成と、少なくとも1つの機械的係合要素が対応するスリットを通過して拡張可能な漏斗部内へ移動する作動構成とを含む。
【0071】
[0146]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素の作動により、少なくとも1つの機械的係合要素は拡張可能な漏斗部内で回動する。
[0147]一態様では、細長いカテーテルは、長手軸線に沿って延び、さらに、拡張可能な漏斗部および少なくとも1つの機械的係合要素の少なくとも一部分は、少なくとも1つの機械的係合要素の作動の間、長手軸線に対してそれぞれの軸方向位置を維持するように構成される。
【0072】
[0148]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、拡張可能な漏斗部の遠位端を越えて延びない。
[0149]患者から血栓を除去する方法であって、血栓除去カテーテルを患者に挿入するステップと、カテーテルの遠位拡張可能な部材を標的血栓に隣接して広げるステップと、標的血栓を遠位拡張可能な部材内へ吸引するステップと、標的血栓に接触するように漏斗部内の少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップと、血栓除去カテーテルから標的血栓を吸引するステップと、を含む方法。
【0073】
[0150]一態様では、方法は、少なくとも2つの交差する噴出流を遠位拡張可能な部材内の標的血栓内へ向けるステップをさらに含む。
[0151]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素で標的血栓を切断するステップをさらに含む。
【0074】
[0152]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素で標的血栓を挟むステップをさらに含む。
[0153]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素で標的血栓をせん断するステップをさらに含む。
【0075】
[0154]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素を血栓除去カテーテルの吸引管腔の方へ移動させるステップをさらに含む。
【0076】
[0155]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素を、遠位拡張可能な部材を横切って径方向に移動させるステップをさらに含む。
【0077】
[0156]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるステップは、少なくとも1つの機械的係合要素を交差する噴出流の平面の方へ移動させるステップをさらに含む。
【0078】
[0157]遠位端を有する細長い軸と、細長い軸における少なくとも1つの吸引管腔と、遠位端に、または遠位端の近くに配設された拡張可能な漏斗部であって、漏斗部枠構造に対して近位である作動可能な枠構造を含む入れ子式枠構造、および作動可能な枠構造に結合された、または一体化した少なくとも1つの機械的係合要素を含む拡張可能な漏斗部と、細長い軸の上に摺動可能に配設されたシースと、を備え、シースは、開放または拡張構成と閉鎖または作動構成との間で少なくとも1つの機械的係合要素を作動させるために作動可能な枠構造に係合するように構成される、血栓除去装置。
【0079】
[0158]一態様では、作動可能な枠構造をシースに係合させることにより、シースと漏斗部枠構造との間に係合が生じない。
[0159]一態様では、装置は、漏斗部枠構造の周り及び作動可能な枠構造の少なくとも一部分の周りに配設された柔軟な材料をさらに含む。
【0080】
[0160]一態様では、柔軟な材料は、少なくとも1つの機械的係合要素の周りに配設されない。
[0161]一態様では、装置は、柔軟な材料に配設された少なくとも1つのポケットをさらに含み、ポケットは、少なくとも1つの機械的係合要素が開放構成にあるときに、少なくとも1つの機械的係合要素を受けるように構成される。
【0081】
[0162]一態様では、装置は、少なくとも1つのポケットのそれぞれの上の柔軟な材料に少なくとも1つのスリットをさらに含み、少なくとも1つのスリットは、開放構成と閉鎖または作動構成との間で作動時に機械的係合要素が少なくとも1つのポケットから出ることを許容するように構成される。
【0082】
[0163]一態様では、装置は、少なくとも1つの機械的係合要素に切断縁部または鋸歯状縁部をさらに含む。
[0164]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、閉鎖または作動構成において吸引管腔の方へ向けられる。
【0083】
[0165]血栓除去装置で患者の血管から血栓を除去する方法が提供され、本方法は、血栓除去装置の遠位部分を血管内の血栓場所へ導入するステップと、シースを血栓除去装置の細長い軸に沿って引き込み血栓場所で漏斗部を広げるステップと、血栓除去装置の吸引源を操作して血栓を漏斗部に少なくとも部分的に捕捉するステップと、シースを細長い軸に沿って進めて漏斗部の枠構造に係合し、漏斗部の少なくとも1つの機械的係合要素を開放構成から閉鎖構成へ作動させるステップと、を含む。
【0084】
[0166]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素を開放構成から閉鎖構成へ作動させるステップは、漏斗部を折り畳まない。
[0167]一態様では、少なくとも1つの機械的係合要素は、閉鎖構成において細長い軸の吸引管腔の方へ移動する。
【0085】
[0168]細長い軸と、細長い軸における少なくとも1つの吸引管腔と、細長い軸の遠位端に配設された漏斗部と、漏斗部内に動作可能に位置付けられた機械的係合要素の配列であって、血栓物質に係合するように作動可能である1つのまたは複数の軸方向に間隔をあけて設けられた機械的係合要素層を含む配列と、を備える血栓除去装置が提供される。
【0086】
[0169]血栓除去装置で患者の血管から血栓を除去する方法が提供され、本方法は、血栓を表す治療前画像を得るステップと、血管内の細長いカテーテルの遠位部分を血栓の近くの標的場所に導入するステップと、細長いカテーテルの吸引源を操作するステップと、血栓除去装置によって吸引源で患者から血栓を除去するステップと、患者から除去された血栓の体積を判定するステップと、を含む。
【0087】
[0170]一態様では、方法は、治療前画像から血栓の治療前体積を計算するステップをさらに含む。
[0171]一態様では、体積を判定するステップは、血栓の治療後画像を得るステップと、治療後画像から血栓の治療後体積を計算するステップと、治療後体積を治療前体積と比較するステップとをさらに含む。
【0088】
[0172]一態様では、方法は、血栓を除去するステップに関するパラメータを測定するステップをさらに含む。
[0173]一態様では、パラメータを測定するステップは、流量または圧力を測定するステップをさらに含む。
【0089】
[0174]一態様では、体積を判定するステップは、測定されたパラメータに基づいて除去された血栓の体積を推定または計算するステップをさらに含む。
[0175]一態様では、方法は、治療前画像から血栓の治療前体積を計算するステップと、除去された血栓の推定または計算された体積を治療前体積と比較するステップとをさらに含む。
【0090】
[0176]一態様では、方法は、カテーテルの遠位部分を別の血栓の近くの別の場所に移動させるステップと、別の血栓を除去するステップとをさらに含む。
[0177]一態様では、方法は、十分な血栓が除去されたことを示すインジケータを生成するステップと、インジケータの表現を表示するステップとをさらに含む。
【0091】
[0178]一態様では、インジケータは、血栓、別の血栓、およびこれらの血栓の組合せのうちの1つに基づいている。
[0179]血栓除去カテーテルを通して吸引を制御するポンプと、血栓除去カテーテルを通して除去された血栓の体積を測定するセンサと、治療場所における血栓の治療前体積を判定し、除去された血栓の体積を前の体積と比較する命令を含むプロセッサとを備える、血栓除去カテーテルを制御するコンソールが提供される。
【0092】
[0180]吸引源と、吸引源に流体結合されたキャニスターであって、血栓除去装置の吸引管腔に流体結合されるように構成されるキャニスターと、キャニスターに配設されたセンサであって、患者から除去された流体または生体物質の量を特徴付ける、または判定するように構成されるセンサとを備える、血栓除去装置コンソールが提供される。
【0093】
[0181]一態様では、センサは重量計を含む。
[0182]一態様では、センサはカメラを含む。
[0183]一態様では、キャニスターは、血液および/または液体をキャニスターから排出させるが、血栓を排出させないように構成されたフィルタをさらに含む。
【0094】
[0184]一態様では、コンソールは、流体源と、流体源上または流体源内に配設された第2のセンサとをさらに含む。
[0185]一態様では、第2のセンサは、流体源から送達された流体の体積または重量を測定するように構成された流量センサまたは重量計を含む。
【0095】
[0008]本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に特に記載される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】[0009]本技術の実施形態により構成された細長いカテーテルの遠位部分を含む血栓除去システムの一部分を例示する図である。
図1A】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1B】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1C】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1D】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1E】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1F】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1G】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1H】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1I】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1J】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1K】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図1L】上記血栓除去システムの上記部分を例示する図である。
図2A】[0010]図2Aは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注ポートおよび流体流の構成を例示する平面図である。
図2B図2Bは上記構成を例示する平面図である。
図2C図2Cは上記構成を例示する平面図である。
図2D図2Dは上記構成を例示する平面図である。
図2E図2Eは上記構成を例示する平面図である。
図3】[0011]図3Aは、本技術の実施形態による血栓除去システムの灌注ポートおよび流体流の構成を例示する立面図である。図3Bは上記構成を例示する立面図である。図3Cは上記構成を例示する立面図である。図3Dは上記構成を例示する立面図である。図3Eは上記構成を例示する立面図である。図3Fは上記構成を例示する立面図である。図3Gは上記構成を例示する立面図である。図3Hは上記構成を例示する立面図である。
図4A】[0012]生理食塩水源と、吸引システムと、システムの灌注および/または吸引を制御する1つまたは複数の制御器とを含む血栓除去システムの実施形態を例示する図である。
図4B】上記システムの実施形態を例示する図である。
図4C】上記システムの実施形態を例示する図である。
図4D】上記システムの実施形態を例示する図である。
図5A】[0013]図5Aは細長い医療装置の遠位部の一実施形態を例示する図である。
図5B図5Bは上記実施形態を例示する図である。
図6A】[0014]細長い医療装置の遠位部の別の実施形態を例示する図である。
図6B】上記実施形態を例示する図である。
図6C】上記実施形態を例示する図である。
図6D】上記実施形態を例示する図である。
図6E】上記実施形態を例示する図である。
図7A】[0015]細長い医療装置の遠位部の別の実施形態を例示する図である。
図7B】上記実施形態を例示する図である。
図7C】上記実施形態を例示する図である。
図7D】上記実施形態を例示する図である。
図7E】上記実施形態を例示する図である。
図8A】[0016]図8Aは細長い医療装置の遠位部の一実施形態を例示する図である。
図8B図8Bは上記実施形態を例示する図である。
図8C図8Cは上記実施形態を例示する図である。
図9A】[0017]図9Aは細長い医療装置の遠位部の別の実施形態を例示する図である。
図9B図9Bは上記実施形態を例示する図である。
図10A】[0018]図10Aは、切断器として機能するように構成された機械的係合要素を含む細長い医療装置の遠位端の一実施形態を例示する図である。
図10B図10Bは上記実施形態を例示する図である。
図10C図10Cは上記実施形態を例示する図である。
図10D図10Dは上記実施形態を例示する図である。
図11A】[0019]図11Aは、径方向に内方に向いて配設され、近位方向に移動するようにヒンジ領域または枢軸領域を介して作動される機械的係合要素の変形例を示す図である。
図11B図11Bは上記変形例を示す図である。
図11C図11Cは上記変形例を示す図である。
図11D図11Dは上記変形例を示す図である。
図12A】[0020]図12Aは、投げ縄として作用するように適応されるワイヤ構造を含む機械的係合要素の変形例を示す図である。
図12B図12Bは上記変形例を示す図である。
図13A】[0021]図13Aは、機械的係合要素の追加の実施形態を例示する図である。
図13B図13Bは上記実施形態を例示する図である。
図13C図13Cは上記実施形態を例示する図である。
図13D図13Dは上記実施形態を例示する図である。
図14A】[0022]図14Aは、血栓除去装置の漏斗部および機械的係合要素の入れ子式枠アプローチの一実施形態を例示する図である。
図14B図14Bは上記実施形態を例示する図である。
図15A】[0023]図15Aは、本明細書に説明されるように機械的係合要素の層配置の例を含む配列連接の例を示す図である。
図15B図15Bは上記例を示す図である。
図15C図15Cは上記例を示す図である。
図15D図15Dは上記例を示す図である。
図15E図15Eは上記例を示す図である。
図15F図15Fは上記例を示す図である。
図16A】[0024]図16Aは、本明細書に説明されるように1つまたは複数の層を有する機械的係合要素配列の例示的配向および配置を例示する図である。
図16B図16Bは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図16C図16Cは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図16D図16Dは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図16E図16Eは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図16F図16Fは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図16G図16Gは上記例示的配向および配置を例示する図である。
図17A】[0025]図17Aは、漏斗部、漏斗部枠構造、機械的係合要素の枠構造、および機械的係合要素を含む血栓除去装置遠位端の例を示す図である。
図17B図17Bは上記例を示す図である。
図18A】[0026]3つの機械的係合要素を含む漏斗部の一実施形態を例示する図である。
図18B】上記実施形態を例示する図である。
図18C】上記実施形態を例示する図である。
図18D】[0027]6つの機械的係合要素の設計以外は図18Aに類似した実施形態を例示する図である。
図18E】上記設計以外は図18Bに類似した実施形態を例示する図である。
図18F】上記設計以外は図18Cに類似した実施形態を例示する図である。
図19A】[0028]シースまたは送達カテーテルを含む血栓除去装置の側面図である。
図19B】[0029]柔軟な材料内で任意の「ポケット」の内側に静止している機械的係合要素を含む、この開放構成の上面図である。
図19C】[0030]血栓除去装置の別の側面図であり、この例では、シースが血栓除去装置に対して遠位に進められたので、シースは機械的係合要素の枠構造に係合または接触し、この構造を遠位に押す。
図19D】[0031]柔軟な材料内のポケット30および装置の吸引管腔の方へ引かれている機械的係合要素の図を示す、この閉鎖構成または係合構成の上面図である。
図20A】[0032]図20Aは、機械的係合要素が開放構成にあるときに柔軟な材料によって隠される、代替実施形態を例示する図である。
図20B図20Bは上記実施形態を例示する図である。
図20C図20Cは上記実施形態を例示する図である。
図21】[0033]治療時に除去された血塊の体積を評価する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
詳細な説明
[0186]本出願は、2021年3月4日に出願された国際出願第PCT/US2021/020915(‘915出願)、および2022年6月10日に出願された国際出願第PCT/US2022/033024(‘024出願)の開示に関連し、その開示はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。‘915および‘024出願は、血塊を捕捉して除去するための一般的な機構を説明する。例えば、複数の流体流が血塊の方へ向けられ、物質を断片化する。
【0098】
[0187]本技術は、一般に、血栓除去システムおよび関連方法を対象とする。本技術の実施形態によって構成されるシステムは、例えば、患者の血管内に位置付けられるように構成された遠位部分と、患者に対して外部になるように構成された近位部分と、加圧された流体で血栓を断片化するように構成された流体送達機構と、血栓の断片を吸引するように構成された吸引機構と、近位部分から遠位部分まで少なくとも部分的に延びる1つまたは複数の管腔と、を有する細長いカテーテルを含むことができる。
【0099】
[0188]以下に提示される説明で使用される用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用される場合であっても、最も広い妥当な態様で解釈されることが意図される。以下では特定の用語が強調されることもあるが、何らかの限定的な態様で解釈されることが意図される任意の用語は、この発明を実施するための形態のセクションで明白に、かつ具体的に定義される。加えて、本技術は、実施例の範囲内にあるが図に関連して詳細には説明されない他の実施形態を含むことができる。
【0100】
[0189]本明細書の全体を通して「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して様々な箇所で「一実施形態では」または「実施形態では」というフレーズが現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴または特性が、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わされてよい。
【0101】
[0190]本明細書の全体を通して、例えば、「実質的に」、「およそ」、および「約」などの相対的な用語の言及は、本明細書では、記載される値のプラスまたはマイナス10%を意味するように使用される。
【0102】
[0191]本明細書のいくつかの実施形態は血栓除去に関連して説明されるが、本技術が、脂肪、組織、または異物などの、血管を閉塞することがある他のタイプの塞栓を除去するのに使用できる、かつ/またはそのために修正できることが認識される。加えて、本明細書のいくつかの実施形態は肺動脈からの血栓除去の文脈で説明されるが(例えば、肺塞栓摘出術)、本技術は、血管系の他の部分(例えば、神経血管、冠状動脈、心臓の室内、または、末梢部分の用途)からの血栓および/または塞栓の除去に適用されてよい。また、いくつかの実施形態が流体で血栓を浸軟させることに関連して考察されるが、本技術は、血栓を細分化して小さい断片または粒子にするための他の技法(例えば、超音波、機械、酵素など)と共に使用されるように適応できる。
【0103】
[0192]本明細書で提示される見出しは単に便宜のためであり、特許請求される本技術の範囲または意味を説明するものではない。
[0193]血栓除去のためのシステム
[0194]上で提示したように、本技術は、一般に、血栓除去システムを対象とする。このようなシステムは、患者の血管(例えば、動脈または静脈)内に位置付け可能な遠位部分と、患者の身体の外側に位置付け可能な近位部分と、加圧された流体で血栓を断片化するように構成された流体送達機構と、血栓の断片を吸引するように構成された吸引機構と、近位部分から遠位部分まで少なくとも部分的に延びる1つまたは複数の管腔とを有する細長いカテーテルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書のシステムは、患者の血管内の血栓に係合し、血栓を小さな断片に細分化し、断片を患者の身体の外に吸引するように構成される。加圧された流体流(例えば、噴射)は、血栓の少なくとも一部分が吸引管腔またはシステムの漏斗部に入る前、間、および/または後に、血栓を切断または浸軟するように機能する。断片化は、吸引管腔の詰まりを防ぐのに役立ち、断片化により、血栓除去システムは、他の方法では吸引できなかった大きく、硬い血塊を浸軟することができる。本明細書で使用される場合、「血栓」および「塞栓症」は、様々な点で幾分、交換可能に使用される。典型的には、血栓は、血管系を通って移動することを停止して留まり、または動けなくなった凝固血液の一部分であり、塞栓は、血管系内を移動して、最終的には血栓になり、さらに血栓上の他の塞栓または血液凝固を集めることにより、より大きい血栓になる可能性のある凝固血液の一部分である。
【0104】
[0195]説明は「血栓」の除去を指すことがあるが、これは、本明細書に提供されるような血栓断片および他の塞栓の除去を包含すると理解されるべきであることを認識されたい。
【0105】
[0196]本技術の実施形態によれば、流体送達機構は、血栓除去システムの近位部分から除去されるように血栓を浸軟、切断、断片化、粉砕しかつ/または促すために、複数の流体流(例えば、噴射)を血栓除去システムの流体開口へ供給できる。血栓除去システムは、吸引ポンプ(例えば、真空源)との流体連通に適応された血栓除去システムの近位部分から遠位部分まで少なくとも部分的に延びる吸引管腔を含むことができる。動作時、吸引ポンプは、血栓除去システムの近位部分の近くの吸引管腔内に、より低い圧力の体積を発生させ、遠位部分から近位部分までの血栓の吸引を促すことができる。
【0106】
[0197]図1は、本技術の実施形態による血栓除去システムの遠位部分10を例示する。図1Aの断面A-Aは、遠位部分の立面断面図を例示する。図1Aの例示的断面A-Aは、遠位部分10の遠位端に位置付けられる漏斗部20を描き、漏斗部は、血栓および/または組織(例えば、血管)壁に係合するように適応され、血栓の収集、断片化および/または除去を補助する。漏斗部は、本明細書の記載から当業者の1人であれば理解されるように、種々の形状および構築を有することができる。図1Aの例示的断面A-Aは、外壁/管40および内壁/管50を有する二重壁血栓除去装置構築を描く。吸引管腔55は、内壁50によって形成され、中央に位置する。実質的に環状の体積が、外壁40と内壁50との間に少なくとも1つの流体管腔45を形成する。流体管腔45は、流体送達機構との流体連通に適応される。1つまたは複数の開口(例えば、ノズル、オリフィス、またはポート)30は、流体管腔45および灌注マニホールド25と流体連通するように血栓除去システムに位置付けられる。動作時、ポート30は、血栓除去システムの遠位部分10に係合している血栓の方へ流体を向ける(例えば、加圧される)ように適応される。
【0107】
[0198]様々な実施形態では、システムは、血塊の一貫かつ成功した吸引を達成するために、最大20m/sの流体管腔内の平均流速を有することができる。いくつかの実施形態では、流体源自体は、流体を噴出口に送達するために、パルス状の順序、または拍動流と定流量との何らかの組合せを含む事前にプログラムされた順序で送達できる。これらの実施形態では、平均パルス状流体速度は最大20m/sであってよいが、流体源の脈動中に、管腔内のピーク流体速度は最大30m/s以上であってよい。いくつかの実施形態では、噴出口または開口は、流体の望ましくない噴霧を避けるために、0.013cm(0.005インチ)~0.051cm(0.020インチ)の開口の大きさを有する。いくつかの実施形態では、システムは、標的血塊が上記の噴出口で浸軟または細分化された後に標的血塊を除去するために、50.796kPa(15inHg)の最小真空または吸引圧力を有することができる。
【0108】
[0199]血栓除去システムは、患者の身体内の様々な場所または血管内の血栓にアクセスし、かつ除去するような大きさおよび構成にすることができる。システムの寸法は、標的場所に応じて変化することがあるが、本明細書に記載の概して同様の特徴および構成要素は、用途にかかわらず、血栓除去システムに実装されてよいことが理解されるべきである。例えば、患者から肺塞栓症(PE:pulmonary embolism)を除去するように構成された血栓除去システムは、およそ3.7~4.3mm(11~13Fr)、または好ましくは4.0mm(12Fr)の大きさの外壁/管と、2.3~3.0mm(7~9Fr)、または好ましくは2.7mm(8Fr)の大きさの内壁/管とを有してよい。一方、深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)装置は、およそ3.0~3.7mm(9~11Fr)、または好ましくは3.3mm(10Fr)の大きさの外壁/管と、2.0~3.0mm(6~9Fr)、または好ましくは2.5mm(7.5Fr)の大きさの内壁/管を有してよい。さらに、用途は、虚血性脳卒中および末梢塞栓症の用途に対して提供される。
【0109】
[0200]図1Bの断面B-Bは、漏斗部および灌注マニホールドに対して近位である血栓除去システムの一部分を平面図で例示する。断面B-Bは、外壁140、内壁150、吸引管腔155および流体管腔145を描く。いくつかの実施形態では、横断面では、吸引管腔155は実質的に円形であり、流体管腔145は実質的に円環形状(例えば、横断面70)である。内壁150および外壁140の代替構築および/または配置は、吸引管腔155および流体管腔145の横断面形状の変動を生成することが理解される。例えば、内壁150は、横断面では、実質的に楕円形、円形、直線状、方形、五角形、または六角形である吸引管腔155を形成するように成形できる。内壁150および外壁140は、横断面では、概して三日月形状、ひし形形状、または不規則形状である流体管腔145を形成するように成形かつ配置できる。例えば、図1Cの断面B-Bを参照すると、内壁150と外壁140との間の領域は、それぞれの流体管腔145を形成する(例えば、横断面80におけるように)1つまたは複数の壁構造165を含むことができる。壁構造165は、外壁140と内壁150との間の積層、または複数の壁構造を形成する複数の管腔の押し出しによって形成できる。
【0110】
[0201]図1D図1Hの断面B-Bは、漏斗部および灌注マニホールドに対して近位である血栓除去システムの一部分の追加の例を示す。上述した実施形態と同様に、これらの例における部分は、外壁140、内壁150、および吸引管腔155を含むことができる。加えて、血栓除去システムの図示の部分は、外壁140と内壁150との間に配設された中間壁170を含むことができる。中間壁170は、内壁と外壁との間の環状空間を複数の異なる流体管腔および/または補助管腔にさらに分割することを可能にする。例えば、図1Dを参照すると、中間壁は実質的に六角形状であることができ、環状空間は、複数の流体管腔145a~14lおよび複数の補助管腔175a~175fを含むことができる。図1Dに示されるように、流体管腔は、外壁140と中間壁170との何らかの組合せによって、または中間壁170と内壁150と2つの補助管腔との間に形成できる。例えば、流体管腔145aが外壁140と中間壁170との間の空間に形成される。しかしながら、流体管腔145gが中間壁170と、内壁150と、補助管腔175aと、補助管腔175bとの間の空間に形成される。一般に、流体管腔は、システムの生理食塩水源からシステムの1つまたは複数のポート/開口/オリフィスに生理食塩水などの流体の流れを運ぶように構成される。補助管腔は、複数の機能に対して構成できる。いくつかの実施形態では、補助管腔は、流体/生理食塩水源および追加の流体管腔として使用される開口に結合できる。他の実施形態では、補助管腔は、操舵ポートとして構成でき、血栓除去システムの操舵のためのガイドワイヤまたは操舵ワイヤを管腔内に含むことができる。加えて、他の実施形態では、補助管腔は、電気的、機械的、または流体接続を1つまたは複数のセンサに運ぶように構成できる。例えば、システムは、システムの任意の長さに沿って配設された1つまたは複数の電気、光、または流体ベースのセンサを含んでよい。センサは、療法中にシステムにフィードバックするために使用できる(例えば、センサを使用して詰まりを検出し、詰まり除去プロトコルを開始し、または噴射パルスの順序、吸引の順序、および/またはシステムの適切な機能などのセンサフィードバックに基づいて適切な療法モードを判定できる)。したがって、補助ポートは、例えば、電気接続、光接続、機械/ワイヤ接続、および/または流体接続によってセンサに接続するために使用できる。また、流体管腔および補助管腔は、治療中に、標的組織部位へ、血栓溶解薬または放射線不透過性造影剤注射などの他の流体を運びかつ送達するように構成できることが想定される。
【0111】
[0202]いくつかの実施形態では、すべての流体管腔は、血栓除去装置の噴出口または開口のすべてに流体接続されていることが理解されるべきである。したがって、流体の流れが流体管腔(1つまたは複数)から噴出口に送達されると、すべての噴出口が流体噴射で一度に作動される。しかしながら、いくつかの実施形態では、流体管腔は別個であり、または異なり、これらの異なる流体管腔は、1つまたは複数の噴出口に流体結合されてよいが、装置のすべての噴出口に結合されるわけではないことも理解されるべきである。これらの実施形態では、噴出口のサブセットは、噴出口のサブセットに結合されている流体管腔にのみ流体を送達することによって制御できる。これにより、ユーザにより規定された順序で、または所定の順序で指定の噴出口が作動できる装置の追加機能を可能にする。
【0112】
[0203]様々な実施形態では、流体圧力は、ポンプで(コンソールまたはハンドルで)発生する。流体は、遠位端でポートを通って出て、標的血塊へ向けられると、加速される。このようにして、より幅広い種類の費用対効果の高い構成要素を使用してカテーテルを形成できると同時に血塊除去のための非常に効果的な装置をなお維持することができる。さらに詳細に以下に述べる。
【0113】
[0204]図1Eの断面B-Bは、漏斗部および灌注マニホールドに対して近位である血栓除去システムの部分の別の実施形態を例示する。図1Dの実施形態と同様に、この実施形態は、中間壁170も含む。しかしながら、この例における中間壁は実質的に方形であり、流体管腔145a~145kおよび補助管腔175a~175dの形成を容易にする。図1Fの断面B-Bに示される例は、図1Eの実施形態の例と同様であるが、この実施形態は、流体管腔145a~145dのみを含む。図1Eの実施形態からの流体管腔145e~145kは、この実施形態では、流体管腔としては使用されない。それらは、例えば、空の、真空の、絶縁材料で充填された、かつ/または放射線不透過性材料または療法中の血栓除去システムを視覚化するのに役立つことがある任意の他の材料で充填された管腔であることができる。実施形態1Fは、図1Eの実施形態で例示され、かつ説明されているのと同じ4つの補助ポートを含む。
【0114】
[0205]図1Gの断面B-Bは、漏斗部および灌注マニホールドに対して近位である血栓除去システムの部分の別の例を示す。上述した実施形態と同様に、血栓除去システムの例示された部分は、外壁140と内壁150との間に配設された中間壁170を含むことができる。しかしながら、この実施形態は、壁構造165によって形成された4つの異なる流体管腔145a~145dを含む。図1Cの実施形態と同様に、壁構造165は、外壁140と内壁150との間の積層によって、または複数の壁構造を形成する複数の管腔の押し出しによって形成できる。示されているように、この実施形態は、一対の補助管腔175aおよび175bを含むことができ、これらは、例えば、上述したような操舵またはセンサ接続のために使用できる。
【0115】
[0206]図1Hの断面B-Bは、中間壁および外壁を使用して流体管腔145aおよび145bを形成できる別の同様の実施形態である。補助管腔175aおよび175bは、中間壁と内壁との間の空間に形成できる。中間壁は、独立した流体管腔145aおよび145bを作るために外壁に接触できることが理解されるべきである。しかしながら、他の実施形態では、中間壁は外壁に接触しなくてよく、これは、図1Iの断面B-Bの流体管腔145によって示されるような単一の環状流体管腔を容易にするであろうことが理解されるべきである。別の実施形態では、図1Jの断面B-Bに示されるように、内壁150および外壁140は同心円状でなくてもよく、これは、装置の一方の側で他方の側に対してより厚いまたはより広い環状空間および/または流体管腔145の形成を容易にする。図1Jに示されるように、装置の上(例えば、12時)部分での例示的な外壁140と内壁との間の距離は、装置の下(例えば、6時)部分での外壁と内壁との間の距離よりも大きい。
【0116】
[0207]図1Kの断面C-Cは、灌注マニホールド225を含む血栓除去システムの一部分を平面図で例示する。断面C-Cは、外壁240、内壁250、流体管腔245、吸引管腔255、およびそれぞれの流体流210を向けるためのポート230を描く。
【0117】
[0208]図1Lの詳細図101は、内壁250内に形成された複数のポート230を含む灌注マニホールド25の一部分の立面断面図を例示する。いくつかの実施形態では、血栓除去システムの1つまたは複数の壁の厚さは、その軸方向の長さおよび/またはその円周に沿って変化してよい。詳細図101に示されるように、内壁250は、灌注マニホールド25に対して近位である領域250における第1の厚さ265と、ポート230を含む領域235における第2の厚さ270とを有する。いくつかの実施形態では、第2の厚さ270は、第1の厚さ265よりも大きい。第1の厚さ265は、内壁50および/または外壁40の全体的な壁厚に対応することができ、これは、約0.10mm~約0.60mm、または前述の範囲内の任意の値であることができる。第2の厚さ270は、約0.20mm~約0.70mm、約0.70mm~約0.90mm、または約0.90mm~約1.20mmであることができる。第2の厚さ270は、前述の範囲内の任意の値であることができる。第2の厚さ270の寸法は、流体送達機構が、典型的な動作圧力で、流体管腔245を介して流体を供給するときに、それを通して向けられる流体流に対して実質的に層流を生成するポート230を通る流体経路を提供するように選択できる。このような動作圧力は、約68.95kPa~約413.7kPa(約10psi~約60psi)、約413.7kPa~約689.5kPa(約60psi~約100psi)、または約689.5kPa~約1034.25kPa(約100psi~約150psi)であることができる。流体送達機構の動作圧力は、前述の値の範囲内の任意の値であることができる。いくつかの実施形態では、流体送達機構は、約1034.25kPa~約1723.75kPa(約150psi~約250psi)、約1723.75kPa~約2413.25kPa(約250psi~約350psi)、約2413.25kPa~約2930.375kPa(約350psi~約425psi)、または約2930.375kPa~約3447.5kPa(約425psi~約500psi)、または最大6,895.0kPa(1,000psi)の圧力を有する高圧モードで動作する。高圧モードにおける流体送達機構の動作圧力は、前述の値の範囲内の任意の値であることができる。
【0118】
[0209]マニホールドは、流体の流体圧力および/または流量を増すように構成される。流体が流体送達機構によって流体管腔(1つまたは複数)に第1の圧力および/または第1の流量で供給されると、マニホールドは、流体の圧力を第2の圧力まで増加するように構成され、かつ/または流体の流量を第2の流量まで増加するように構成される。第2の圧力および/または第2の流量は、第1の圧力および/または第1の流量よりも高くすることができる。結果として、マニホールドは、流体送達機構によって生成される相対的に低い動作圧力および/または流量を、ポート/流体流によって生成される相対的に高い圧力および/または高い流量まで増加するように構成できる。
【0119】
[0210]いくつかの実施形態では、ポート230のプロファイル(横断面寸法)は、その長さに沿って変化する(例えば、非円筒状である)。ポートの横断面寸法の変動は、ポート230に沿った流体の流れの特性を変更かつ/または調節できる。例えば、横断面寸法の低減により、ポート230を通る流体の流れを加速できる(所与の体積の流体に対して)。いくつかの実施形態では、ポート230は、その長さに沿って円錐状(例えば、先細状)であってよいので、その最小寸法がポート230の遠位端に位置付けられ、遠位は流体の流れの方向に対してである。
【0120】
[0211]いくつかの実施形態では、ポート230は、選択された経路に沿って流体の流れを向けるように形成される。図2A図2Eは、それぞれの流体流210を向けるためのポート230の配置の様々な実施形態を例示する。図2Aおよび図2Bに示されるものなどの、いくつかの実施形態では、少なくとも2つのポート230は、血栓除去システムの交差領域237で交差する(例えば、それぞれの)流体流210を生成するように配置される。交差領域237は、流体運動量、乱流、せん断および/またはエネルギー伝達が増加した領域であることができ、これらは、交差点で組み合わされるように向けられていない個々の流体流に対して増える。交差点での流体の運動量および/またはエネルギー伝達の増加は、有利に、より効率的かつ/または迅速に血栓を断片化できる。上述したように、流体流は、加速し、キャビテーションおよび/または他の効果を引き起こして、標的血塊の細分化をさらに促進するように構成できる。いくつかの実施形態では、交差領域は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の流体流210から形成できる。交差領域は、実質的に、血栓除去システムの中心軸線290の近く(例えば、237)に、または中心軸線から離れる(例えば、図2Dの実施形態における238および239)ことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの交差領域(例えば、238および239)が形成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のポート230は、血栓除去システムの中心軸線に対して斜めの角度に沿って流体流210を向けるように配置される。流体送達機構の動作圧力は、ポート230から送達される流体流210に対する最小目標流体速度に近づくように選択されてよい。流体流210の目標流体速度は、約5メートル/秒(m/s)、約8m/s、約10m/s、約12m/s、または約15m/sであることができる。加えて、いくつかの実施形態における目標流体速度は、15m/sを上回り最大150m/sの範囲にあることができる。これらのより高い速度(例えば、約15m/sを上回る、あるいは20m/sを上回る)で、流体流は、標的の血栓または組織にキャビテーションを発生させるように構成されてよい。流体がポートからこれらの流量まで出ると、交差または衝突する流体流の焦点エリア、または加えて流体流のうちの1つまたは複数の境界で、キャビテーション効果を生み出すことができることが判明した。正確な仕様は、カテーテルの大きさに基づいて変化してよいが、一般に、以下に詳細に説明するように、キャビテーションを生じさせるためには、流体流のうちの少なくとも1つがそのような高速に加速されるべきである。流体流210の目標流体速度は、上述の値の範囲内の任意の値であることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのポート230が、流体送達機構の所与の圧力に対して、異なる流体速度(すなわち、速度および方向)でそれぞれの流体流を送達するように適応される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのポート230は、流体送達機構の所与の圧力に対して、実質的に同じ流体速度でそれぞれの流体流を送達するように適応される。いくつかの実施形態では、1つのポートが、流体を高速で送達するように適応され、それぞれの1つまたは複数の他のポートは、流体を相対的に低い速度で送達するように適応される。有利なことに、流体管腔145の増加した断面積により、流体流の目標流体速度を達成するために流体送達機構の必要とされる動作圧力を低減する。
【0121】
[0212]いくつかの実施形態では、流体流は、血栓に与えられる角運動量を作り出すように構成される。いくつかの例では、角運動量は、a)ポート230から斜めの角度で向けられる少なくとも1つの流体流210、および/またはb)異なる流体速度を有する少なくとも2つの流体流210の適用によって血栓に与えられる。例えば、互いに近くを横切るが必ずしも交差しない流体流は、血塊物質に「旋回」または回転エネルギーを作ることがある。有利なことに、血栓に作り出された角運動量は、血栓の断片化および除去を助ける力(例えば、遠心力)を与えることができる。血塊を回転させると、血塊物質の噴出口への送達を促進することがある。例えば、大きい不定形の血塊で、柔らかい物質は流体流によって容易に吸引または細分化されてよいのに対し、硬い繊維素は流体流から離れて位置してよい。血塊を回転または旋回させると、物質が動き回り、より硬い血塊物質が噴出口に送られる。旋回させることにより、血塊が漏斗部の内側に強打されてさらに細分化されることもあり得る。
【0122】
[0213]図3A図3Hは、それぞれのポート430から向けられる流体流410の様々な構成を描く。流体流410は、(流れ軸線305に類似している)流れ軸線405に実質的に直交する、近位である、かつ/または遠位である経路に沿って向けられることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの流体流は、流れ軸線405に対して異なる方向に向けられる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの流体流は、流れ軸線405に対して同じ方向(例えば、近位)に向けられる。いくつかの実施形態では、流れ軸線405に対して、少なくとも第1の流体流は直交に向けられ、少なくとも第2の流体流は近位に向けられ、少なくとも第3の流体流は遠位に向けられる。角度αが、流体流410が流れ軸線405に直交する軸線に対して向けられる角度を(例えば、図3Gおよび図3Hの断面D-Dに示されるように)特徴付けてよい。流体流の交差領域は、血栓除去システムの内部分内、および/または血栓除去システムの外部(例えば、遠位)にあることができる。いくつかの実施形態では、ポート430によって公称方向(例えば、遠位)に向けられる流体流は、動作時に吸引機構によって生成される(例えば、吸着)圧力によって、変更された経路に沿って(例えば、近位に)偏向される。
【0123】
[0214]図4A図4Dは、血栓除去装置602と、真空源およびキャニスター604と、流体源606とを含む血栓除去システム600の様々な構成を例示する。いくつかの実施形態では、真空源およびキャニスターと、流体源とは、血栓除去装置に着脱可能に接続されたコンソールユニットに収容される。流体ポンプが、コンソールに収納可能、あるいは、装置のハンドルに収納可能である。コンソールには、システムのすべての機能を制御するように構成された1つまたは複数のCPUs、電子制御器、またはマイクロ制御器を含むことができる。血栓除去装置602は、漏斗部608、可撓性軸610、ハンドル612、1つまたは複数の制御器614および616を含むことができる。例えば、図4Aに示される実施形態では、本装置は、指スイッチもしくはトリガー614、および足ペダルもしくはスイッチ616を含むことができる。これらは、吸引および灌注を、それぞれ、制御するために使用できる。あるいは、図4Bの実施形態に示されるように、本装置は、両方の機能を制御するために使用できる足スイッチ616のみを含むことができ、または、図4Cでは、本装置は、両方の機能を制御するためにも使用される踏み台616のみを含むことができる。実施形態は、吸引機能および灌注機能の両方を制御するための指スイッチのみを含むことができることも想定される。図4Aに示されるように、真空源は、真空線618で装置の吸引管腔に結合できる。療法中に患者から除去された血塊または他の破片はいずれも、真空キャニスター604に貯蔵できる。同様に、流体源(例えば、生理食塩水袋)は、流体線620で装置の流体管腔に結合できる。
【0124】
[0215]なお、図4Aを参照すると、電子機器線622は、どの電子機器/センサなども、装置からシステムのコンソール/制御器に結合できる。CPUs/電子制御器を含むシステムコンソールは、流体および圧力のレベルを監視し、必要に応じて自動的にまたは実時間で調節するように構成できる。いくつかの実施形態では、CPUs/電子制御器は、真空および灌注を制御するように、ならびに、圧力データ、流量データなどのセンサデータに応じて、両方のシステムを電気機械的に停止および開始するように構成される。
【0125】
[0216]上述したように、吸引は装置の中央管腔を下って生じ、コンソール内の真空ポンプによって行われる。真空ポンプは、患者から除去されたいかなる血栓または破片も収集する容器を含むことができる。
【0126】
[0217]図4Dは、真空源およびキャニスター604および流体源606を含むことができる血栓除去システムのコンソールの近接図である。いくつかの実施形態では、キャニスター604および/または流体源606は、除去された血塊の量(例えば、体積)または割合を判定または推定することを含む、療法の進行を判定または推定するのを助けるように設計かつ構成された特徴を含むことができる。加えて、キャニスター604および/または流体源606は、患者に送達される流体(例えば、噴射)の量および/または患者から除去または吸引される血液の量を判定するのを助けるように設計かつ構成された特徴を含むことができる。
【0127】
[0218]図4Dでは、キャニスター604は、センサ607を含むことができる。一実施形態では、センサ607は、キャニスターの内側で流体および生体物質の重量を測定または感知するように構成された1つまたは複数の重量計を含むことができる。重量計(1つまたは複数)は療法前にゼロにすることができ、血塊除去処置中に患者から除去または吸引された流体および/または生体物質の量の実時間重量測定を行うことができる。
【0128】
[0219]いくつかの実施形態では、キャニスター自体は、血塊物質または他の生体組織がキャニスターから排出されるのを防ぎながら、キャニスターから流体(血液および/または生理食塩水など)を排出できるように構成された、排出部の大きさ、またはフィルタを備えた排出部を含むことができる。このように、キャニスターおよび重量計(1つまたは複数)は、除去された血塊の重量のみを測定でき、血液および/または生理食塩水を測定できない。任意選択で、血液、および生理食塩水などの他の流体は、別個のキャニスター(図示せず)内へ排出でき、次いで、除去された血塊の量に加えて患者から除去された血液の量を判定するために使用できる。一実施例では、流体源606は、噴射によって患者に送達される流体または生理食塩水の量を追跡するために使用できるセンサ609も含むことができる。センサ609は、例えば、追加の重量計、または任意選択で、流量センサのような流体の流れを測定するように構成された任意の他のセンサを含むことができる。流体源606によって送達された流体は、センサ609によって測定され、別個の(図示しない)キャニスター内へ排出された流体から差し引くことができる。したがって、血塊の量は、キャニスター604内の重量計607で判定でき、血液の量は、送達された生理食塩水の量から収集された体積を差し引くことによって、別の容器で計算できる。
【0129】
[0220]別の実施形態では、キャニスター604上またはキャニスター内のセンサ607はカメラを含むことができる。いくつかの実施形態では、カメラは、小型カメラまたは光ファイバーカメラを含むことができる。いくつかの実施例では、カメラは、キャニスターの実時間撮像を行うように構成され、患者から何が吸引されているかについてユーザに視覚的な案内を提供することができる。例えば、ユーザは、除去される血塊の量および/または大きさを視覚化できる。カメラからの画像は、システム、装置、および手順の状態に関する追加情報を提供するディスプレイ上になど、ユーザに対して表示できる。
【0130】
[0221]他の実施形態では、キャニスター604上またはキャニスター内のセンサ607は、光学センサ、流量センサなど、他のタイプのセンサを含むことができる。一般に、センサは、キャニスターに入る物質または流体の量および/またはタイプを監視または特徴付けるために使用されて、療法の状態に関する追加情報をユーザに提供できる。
【0131】
[0222]装置の遠位端にある組織または物質との係合のための機械的操作特徴(例えば、グラバーアーム)
[0223]血栓除去装置のいくつかの実施形態は、装置の遠位端で組織または物質との機械的操作または係合を可能にする特徴を含むことができる。これらの特徴は、本明細書では、機械的係合要素、グラバーアーム、牙状器、機械的操作アーム、機械的切断アームなどと呼ぶことができる。グラバーアームは、一般に、血塊に係合し血塊を装置の遠位端(例えば、漏斗部および/または吸引管腔)へ引き入れるように設計かつ構成される。様々な実施例では、本明細書に開示の機械的係合要素は、血栓を漏斗部に引き入れること、血栓を噴射面に引き入れること、血栓を吸引管腔に引き入れること、および/または血栓片を、吸引管腔を通して吸引されるのに十分小さい断片に細分化または切断することの何らかの組合せを達成するように構成される。本明細書に記載の血栓除去システムは、一般に、吸引管腔と、1つまたは複数の流体流または噴射とを含むが、グラバーアームは、吸引管腔のない、または1つもしくは複数の流体流もしくは噴射のない装置に実装されてよいことが理解されるべきである。加えて、本明細書に記載の装置は、一般に、装置の遠位端に拡張可能な漏斗部を含む。しかしながら、機械的係合要素を有するいくつかの実施形態は、拡張可能な漏斗部を含まなくてもよく、代わりに、装置の遠位端に、または遠位端の近くに何らかの他の構造を含んでよいことが理解されるべきである。
【0132】
[0224]機械的係合要素は、牙状器、アーム、または血栓除去装置などの装置の遠位端に位置付け可能な作動可能部材の配置を含むことができる。いくつかの実施形態では、機械的係合要素は、装置の遠位端内(例えば、装置の漏斗部内)に位置付けられるが、他の実施形態は、機械的係合要素を遠位端(例えば、漏斗部)の外側、あるいは、装置の吸引管腔の内側に位置付けることを想定している。
【0133】
[0225]本明細書に記載の機械的係合要素には、拡張可能な部材または漏斗部の遠位端を越えて遠位に延びるいかなる構成要素も含まれない。一般に、機械的係合要素のすべての作動または移動は、拡張可能な部材または漏斗部の範囲内で行われる。いくつかの実施形態では、機械的係合要素は、標的血塊または組織に対する作用の切断もしくは鋸歯状縁部、鋭利な先端、またはせん断/挟み(pinching)機構を含むことができる。漏斗部または拡張可能な部材内に機械的係合要素の全体を維持することにより、患者の安全性を向上させ、血管壁などの敏感な組織を誤って損傷、切断、または貫通するのを防ぐ。
【0134】
[0226]本明細書に記載の機械的係合要素は、一般に、機械的係合要素が一般に装置の中心管腔または吸引管腔を塞いでいない静止(at-rest)状態を含むことができる(例えば、拡張可能な部材または漏斗部の内壁の近く、内壁に隣接して、または内壁に対して静止している)。機械的係合要素は、機械的係合要素が、軸方向および/または径方向のいずれかで、装置の中心管腔または吸引管腔の方へ移動するように操作される、作動状態または閉鎖状態も含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、静止状態には、拡張可能な部材または漏斗部内へ延びる係合部材、および係合部材が漏斗部または拡張可能な部材に近いか、それに対して静止しているか、または接触している作動状態が含まれる。いくつかの実施形態では、この操作により、機械的係合要素は、中心管腔または吸引管腔の方へ軸方向に移動し、他の実施形態では、操作により、機械的係合要素は、拡張可能な部材または漏斗部を横切って、開口部の中心軸線の方へ、またはそれを横切って径方向に移動する。
【0135】
[0227]一般に、機械的係合要素の作動または操作は、拡張可能な部材または漏斗部内で枢軸に沿った移動をもたらす。枢軸は、機械的係合要素と作動部材(例えば、引きワイヤ、外シースなど)との間に変曲点(inflection point)を設ける。本開示では、機械的係合要素の移動を軸方向(例えば、遠位から近位)または径方向(例えば、漏斗部または拡張可能な部材を横切る)のいずれかであると考察したが、本開示の機械的係合要素は典型的には枢軸に沿って移動するので、移動特性はより複雑であってよい(例えば、機械的係合要素は、最初に拡張可能な部材または漏斗部の中心の方へ径方向に揺動し、次に装置の開口部または吸引管腔の方へ、より軸方向に揺動してよい)ことが理解されるべきである。
【0136】
[0228]本明細書に記載の機械的係合要素はまた、典型的には、装置の中心軸線の方へ内方に向けられ、または向く(血管壁の方へ外方に向くのとは対照的に)。
[0229]図5A図5Bは、送達および療法のための追加機能を含むことができる装置の遠位端21の一実施形態の上面図および側面図をそれぞれ示す。図示の実施形態では、遠位端21は、外枠2202と内枠2204とを含むことができる複数のペタル(換言すれば、花弁状部分)を含む枠(換言すれば、フレーム)2200を含むことができる。図示の実施形態では、遠位端枠は、合計6つのペタルを有することが示されるが、他の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のペタルを含む任意の数のペタルを実装できることが理解されるべきである。また、ペタルおよびペタル特徴は、本明細書では独立して説明されるが、いくつかの実施形態では、枠は、複数のペタルを含む全体の構造が典型的には一元的構造であり、単一の金属片から製造される一元的設計であること(例えば、パターン全体が一片のニチノールまたは他の適切な金属もしくは材料からレーザーで切断される)ことが理解されるべきである。切断および成形後の遠位端枠の構造は、単一の材料片(例えば、ニチノール)であることができる。
【0137】
[0230]なお図5A図5Bを参照すると、枠は、遠位端で開口部2208の近くまたは隣接して配置された1つまたは複数の機械的係合要素2206をさらに含むことができる。機械的係合要素は、実質的に内方を向いている(例えば、装置の中心軸線の方へ内方に向いている)ことができる。装置のいくつかの実施形態(例えば、装置が血栓摘出除去装置である場合)では、開口部2208は、装置の吸引管腔と一致することができる。以下でより詳細に説明されるように、機械的係合要素は、機械的係合要素2206の遠位先端2210が開口部2208の方へ、または開口部2208から離れて軸方向に移動または回動するように操作または作動できる。
【0138】
[0231]いくつかの実施例では、図5A図5Bの機械的係合要素は、引きワイヤで係合するか、または装置の上で外シースを摺動/回転させるなどして、装置のユーザによって手動で操作または作動できる。他の実施形態では、作動または操作は、係合要素を、引きワイヤを作動させるかまたは外シースを並進/回転させるように構成されたモータに結合するなどして自動化できる。モータは、装置のハンドルまたはコンソールでユーザ入力装置(ボタン、レバー、スイッチ、トリガーなど)と相互作用するなどして、ユーザによって制御できる。
【0139】
[0232]図6A図6Eは、機械的係合要素2206の遠位先端2210が開口部2208の方へ回動する際の相対運動を例示する。図6Aを参照すると、漏斗部または拡張可能な部材は完全に拡張され、この構成では、機械的係合要素2206は、開口部2208から軸方向に完全に離れて延在する。この構成では、送達スリーブ2212は、遠位端に対して前方/遠位の圧力を与えないように、遠位端から近位に引き離され、遠位端は完全に拡張することができる。あるいは、遠位端は送達シースから押し出されてよい。
【0140】
[0233]図6Bを参照すると、送達スリーブは、外枠(図5Aの2202)および/または内枠(図5Aの2204)の一部分を含む、遠位端の一部分に圧力を加える、または接触するように、わずかに前進できる。いくつかの実施形態では、送達スリーブは、装置のユーザなどによって、手動で操作または前進できる。他の実施形態では、送達スリーブは、モータまたは他の機械装置などで、自動的に作動または操作できる。さらなる実施形態では、送達スリーブは、装置の軸に沿って急速に前後に作動できる。送達シースが遠位方向に(例えば、拡張漏斗部に対して)相対的に移動すると、内枠および機械的係合要素および遠位先端は、装置の開口部または吸引管腔に向かう方向に実質的に近位に移動または回動する。なお、この実施形態では、機械的係合要素は、それらが外方に、かつ漏斗部または拡張可能な装置内へ延在する静止状態を有する。これらの機械的係合要素を作動させることは、それらを開口部の方へ近位に移動するだけでなく、漏斗部または拡張可能な部材の内壁に近づけるかまたは接触させ、それによって漏斗部を開くか、または塞がない。なお、本明細書に記載の他の実施形態は、反対の構成を含む(すなわち、静止状態では、機械的係合要素は漏斗部の邪魔にならないよう置かれ、作動状態では、機械的係合要素は漏斗部または拡張可能な部材内へ延びる)。
【0141】
[0234]図6C図6D、および図6Eの各後続の図は、送達スリーブが遠位端の上で、わずかにより遠位に前進し、遠位端の遠位先端および機械的係合要素が装置の開口部および/または吸引管腔の方へ近位に移動または回動することを示す。内枠および外枠を含む遠位端の設計により、遠位端/漏斗部の完全な拡張(またはほぼ完全な拡張)を維持しながら、機械的係合要素は送達スリーブで操作できることが理解されるべきである。例えば、内枠は機械的係合要素に結合でき、送達スリーブが漏斗部の上を進められると、内枠はスリーブと接触して機械的係合要素を移動させるように設計でき、同時に外枠は装置の完全な拡張を依然として維持することができるので、管腔または血管と完全に接触できる。なお、図6A図6Eの機械的係合要素は、拡張可能な部材または漏斗部の遠位端を過ぎて(例えば、外枠2202を過ぎて)延びない。したがって、外枠または漏斗部/拡張可能な部材は、機械的係合要素の移動/回動および作動から外組織(例えば、血管壁)を保護し、それらは漏斗部/拡張可能な部材によって捕捉された標的血塊とのみ相互作用することができる。
【0142】
[0235]図7A図7Eは、遠位端/漏斗部/枠の選択された部分を送達スリーブと接触させることによって、機械的係合要素を作動または操作する概念を例示する。図7Aを参照すると、遠位端が送達スリーブに接触していない単一のペタル2200が示されている。この例では、遠位端は、その完全に拡張された構成にあることができ、機械的係合要素2206は、装置(図示せず)の開口部または吸引管腔から完全に軸方向に離れる(または遠位である)ように移動する。図7Bを参照すると、送達シース(説明の目的で示されていない)は、場所2214aで遠位端に接触するように、装置の上を遠位に進められる。一実施形態では、シースは、遠位端の内枠2204のみに接触するように構成され、これにより、機械的係合要素2206は開口部または吸引管腔の方へ(または、図7Aの機械的係合要素の位置に対して近位に)移動または回動する。図7Cは、送達シースが場所2214bに対してさらに遠位に進められ、機械的係合要素は開口部にさらに近く(例えば、装置に対して近位方向に軸方向で)移動または回動することを示す。同様に、図7Dおよび図7Eでは、シースは、それぞれ場所2214cおよび2214dまでさらに進められ、機械的係合要素のさらなる回動/偏向/移動を生じさせる。シースが場所2214a、b、c、およびdを過ぎて移動されると、係合要素2206の先端が流体経路から出るように転動(roll)し始める。これは、部分的には、内枠2204との相互作用から生じる。図7Eの実施形態では、送達シースは外枠に接触し始め、これにより遠位端の何らかの収縮または折り畳み(collapse)を生じさせる可能性があることが分かる。この実施形態では、遠位端が、血管壁に完全に接触しない程度に折り畳まれる可能性がある。典型的には、漏斗部を折り畳まないことが望ましいので、ユーザまたはシステムは、外枠に接触または外枠を圧縮するところまでシースを進めないように注意することができる。いくつかの実施形態では、装置は、シースが拡張可能な部材または漏斗部を折り畳むまたは圧縮するのを防ぐように構成されたストップリミッタを含むことができる。
【0143】
[0236]機械的係合要素を操作する能力は、療法中の血栓摘出除去装置などの医療装置に追加の機能を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、機械的係合要素(1つまたは複数)を、漏斗部にある血栓に係合するように設計かつ構成できる。いくつかの実施形態では、血塊とのこの物理的または機械的な相互作用は、血塊を物理的に引いて、または移動させて装置と接触させるように活用できる。装置の構成(例えば、漏斗部、吸引管腔、1つまたは複数の噴出口など)に応じて、機械的係合要素は、1)血塊を引いて噴出口と接触させるか、または噴出口の平面内へ引き入れることで血塊を細分化し、かつ血塊を吸引する、2)血塊を吸引管腔内または吸引管腔の方へ引き入れる、かつ/または3)血塊が装置の遠位端または漏斗部から出るのを防ぐために使用できる。機械的係合要素、噴出口、および吸引の組合せにより、これまで他の装置では実現できなかった血塊除去機能を可能にする。この組合せにより、また、血塊を吸引管腔または噴射面内へ押し込みながら、血塊を切断することができ、または切断するのを助けることができる。
【0144】
[0237]図8A図8Cは、遠位端21の別の実施形態を例示する。この遠位端枠設計は、依然として、外枠2202および内枠2204を含むペタル形状枠2200を含むことができる。この実施形態は、先に説明した機械的係合要素なしで例示されているが、変形体は1つまたは複数の機械的係合要素を含むことができることは理解されるべきである。しかしながら、図8Bおよび図8Cを参照すると、遠位端の交互の枠ペタルは、漏斗部が送達シースと相互作用する方法をカスタマイズするために、異なる側面プロファイル(輪郭)を含むことができる。例えば、図8Bを参照すると、参照番号2216で表される外枠および内枠の最外部の側面プロファイルは、実質的に線状または直線状プロファイルを示すことが分かる。対照的に、図8Cにおける外枠および内枠の最外部の側面プロファイルは、参照番号2218で表され、わずかに湾曲した、または曲がったプロファイルを含む。例示の目的で、図8Aに戻ると、図8Bに示す平らなプロファイルを有するペタルまたは枠の縁部は、(-)記号で表すことができ、図8Cに示す湾曲した、または曲がったプロファイルを有するペタル縁部は、(+)記号で表すことができる。図8Aでは、交互のペタル縁部が交互の(+)および(-)の側面プロファイルを有することができることが分かる。こうすることで、送達シースを漏斗部の上に進めるのに必要な作業を低減できる。より具体的には、ペタルの縁部の半分が(+)プロファイルを有し、ペタルの縁部の半分が(-)プロファイルを有する場合、送達シースの前進により(+)プロファイル縁部との接触のみをもたらし、それにより漏斗部とシースとの間の摩擦を低減する(例えば、6ではなく3つのペタル縁部との接触)。加えて、(-)プロファイルのペタルの縁部は、シースの前進によって生じる変形の一部を吸収するように設計かつ構成でき、必要とされる力をさらに低減する。
【0145】
[0238]図9A図9Bの遠位端の実施形態は、上述したものと同様の構造を含むことができる。しかしながら、この実施形態では、内枠および外枠を含む遠位端は、膜917またはエラストマー覆い(例えば、熱可塑性ウレタン、もしくはシリコーン)または当該技術分野において知られている他の膜材料などの他の覆いを含むことができる。いくつかの実施形態では、膜917は、内枠および外枠で囲まれた部分を含む枠の内部分を埋めることができる。他の実施形態では、膜は枠の全体を覆うことができる。
【0146】
[0239]図10A図10Dを参照すると、手動または自動で(例えば、モータまたは他の自動作動源で)作動されてよい機械的係合要素1006の様々な代替の実施形態が描かれる。図10A図10Bに示すように、機械的係合要素1006は、遠位部分1008と、近位部分1010と、遠位部分1008を第1の静止位置から第2の作動位置へと回転かつ/または回動させるように適応されたヒンジ1012と、を含む。機械的係合要素の作動は、一般に、径方向、すなわち、遠位端および/またはカテーテル本体内の所与の軸方向位置内にあることができる(例えば、図10B)。いくつかの実施形態では、機械的係合要素は、作動されると、切断器(例えば、ブレードまたはナイフ)として機能し、任意の捕捉された血塊の部分に切り込む。いくつかの実施形態では、遠位部分1008は、切断能力を向上させるために鋭利または鋸歯状であってよい。機械的係合要素の作動は、外カテーテルシース、引きワイヤ、または本明細書に記載の任意の他の作動アプローチの前進または回転によって行うことができる。図10A図10Bは、遠位部分1008が遠位端または漏斗部の枠の近くにあり、または隣接している静止構成において機械的係合要素を例示し、これにより、遠位端の中心開口部または管腔(例えば、吸引管腔)を閉塞または干渉しない。この図示された実施形態では、図10Cを参照して、近位部分1010は、内方向きの遠位部分1008が遠位部分を横切って(例えば、吸引管腔を横切って)回転するように、外シースなどで回転または作動できる。機械的係合要素の枢軸の周りの移動は、図10C図10Dにおいて矢印で示される。図10A図10Dの実施形態では、1つのそのような機械的係合要素だけが示されているが、任意の数の係合要素(例えば、拡張可能な部材または漏斗部内の2、3、4、またはそれ以上の機械的係合要素)を実装できることが理解されるべきである。図10A図10Bの実施形態で示される特徴は、外シースで作動される近位部分を含むが、一方で近位部分がなく、内方向きの遠位部分1008のみであり、例えば、引きワイヤを含む他の機構で作動を行うことができる他の実施形態が想定されることにも留意されたい。
【0147】
[0240]図11A図11Dを参照すると、図10A図10Dの機械的係合要素の変形例であるが、径方向に内方を向くように配設され、ヒンジまたは枢軸領域を介して作動されて近位または遠位方向に移動する要素を有する。示されているように、機械的係合要素(1つまたは複数)1106の作動は、引きワイヤ1118で達成できる。別の実施形態では、作動は、作動要素の外部分の上の外カテーテルの前進を含むことができ(図10A図10Dの実施形態におけるように)、ヒンジが内領域を近位方向に回動する。図11A図11Bの実施形態では、機械的係合部材は、図11Aに示されるような静止構成を有することができ、機械的係合部材は、枢軸1112に対して遠位に、遠位端、枠、または漏斗部に対して載置されている。次に、作動により、矢印で示されているように、機械的係合要素は装置の管腔または吸引管腔の方へ下ってまたは近位に揺動する。あるいは、図11C図11Dの実施形態では、機械的係合部材1106は、機械的係合部材が枢軸1112に対して近位にある静止構成を有することができ、この場合は装置の管腔または吸引管腔内にある。次に、作動により、矢印で示されているように、機械的係合要素は装置の遠位端または漏斗部の方へ上方または遠位に揺動する。上述の実施形態と同様に、機械的係合部材は、外シースを操作するか、引きワイヤを操作するか、またはモータもしくは他の自動特徴を使用してシースまたは引きワイヤを操作するなどして、手動または自動のいずれかで回動するように作動できる。
【0148】
[0241]図12A図12Bを参照すると、機械的係合要素1106の別の変形例は、投げ縄(lasso)または輪縄(noose)として働くように適応されたワイヤ構造を含む。この実施形態では、機械的係合要素1206は、輪縄状構造1214と、アンカー1216と、引きワイヤまたはアクチュエータ1218とを含んでよい。引きワイヤが引かれると、機械的係合要素の一部がアンカー1216によって定位置に保持されるが、一方で機械的係合要素の一部は輪縄状構造1214をすり抜けることができ、図12Bに示すように、機械的係合要素はスリップノットのようにそれ自体で折り畳まれる。機械的係合要素は、図12Aに示すように、概して開いている第1の構成と、第1の構成に対して閉じられた第2の作動構成とを有してよい。第2の構成は、カテーテルの中心または管腔、および/または遠位端の一部分を横切る投げ縄の移動を含むことができる。さらに、遠位端を横切る機械的係合要素の移動は、捕捉された血塊または組織に切り込み、かつ断片化するように構成できる。投げ縄アクチュエータは、引きワイヤ1218、またはアクチュエータによって作動されてよい。投げ縄は、第1の構成から第2の構成へ可逆的に移行できる。投げ縄および/または引き紐は、ニチノール構造であることができる。いくつかの実施形態では、投げ縄は、第1の(開放)構成に対応する形状設定(shapeset)構成を有し、作動後、投げ縄は開放構成に戻る傾向がある。
【0149】
[0242]上述したように、機械的係合要素のための作動のいくつかの実施形態を実施できる。一実施形態では、外シースは、外シースと医療装置との間の相対的な移動(例えば、前進および/または回転)が機械的係合要素の作動を生じさせるように、医療装置と協働的に結合される。一実施形態では、引きワイヤなどの干渉要素または類似の作動要素の引き込み(近位移動)により、機械的係合要素はヒンジを中心として回動かつ/または回転する。
【0150】
[0243]機械的係合要素のさらなる実施形態は図13A図13Dに示される。図13Aの例では、機械的係合要素のうちの1つまたは複数は、鋸歯状縁部または切断縁部34を含むことができる。この鋸歯状縁部または切断縁部は、機械的係合要素の作動時に、装置の遠位端で血塊(1つまたは複数)または組織の切断または浸軟(macerating)を助けるように設計および構成できる。この切断縁部または鋸歯状縁部は、機械的係合要素の全長に沿って、または機械的係合要素の長さの一部分のみに沿って(例えば、遠位部分のみに沿って)いることができる。
【0151】
[0244]図13Bは、各機械的係合要素に対して複数のアームまたは係合構造を含む、機械的係合要素の別の例を示す。図13Bでは、機械的係合要素26の作動により、両アーム22aおよび22bを装置の中心管腔または吸引管腔の方へ内方に作動させることができる。いくつかの例は、各機械的係合要素に対して2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のアームを含むことができることが理解されるべきである。図示された例では、各機械的係合要素に対する複数のアームにより、機械的係合要素は装置の遠位端または漏斗部内の複数の高さで動作することができ、機械的係合要素の切断または血塊係合能力を潜在的に増加させ、漏斗部内の複数のレベルまたは高さで血塊との係合を可能にする。
【0152】
[0245]図13C図13Dは、装置の遠位端または漏斗部内の機械的係合要素が、機械的係合要素と血塊(1つまたは複数)または組織との間の機械的相互作用を向上または変更するように、異なるやり方でオフセットまたは配置できる実施形態を例示する。例えば、図13Cでは、機械的係合要素は、挟み点1303で漏斗部内の1つまたは複数の血塊を挟むために衝突するように設計かつ構成できる。この例では、漏斗部または遠位端の両側にある機械的係合要素が示され、機械的係合要素の遠位先端は、作動時に互いに接触するように設計される。一実施形態では、機械的係合要素は、機械的係合要素の作動が継続するにつれて、最初に、血塊物質に衝突して挟み、次いで、血塊を吸引管腔の方へ引き入れるように配置することができる。2つより多い機械的係合要素が存在する実施形態では、すべての機械的係合要素が血栓に衝突して挟むように設計されなければならないわけではないことが理解されるべきである。いくつかの例では、機械的係合要素のうちの2つだけをこの態様で配置でき、他の機械的係合要素は、本明細書に記載の他の機械的係合要素の実施形態と同様に動作できる。しかしながら、いくつかの実施形態では、すべての機械的係合要素が、単一点(例えば、挟み点)で衝突するように設計かつ構成できる。
【0153】
[0246]図13Dの実施形態では、2つ以上の機械的係合要素の遠位端は、機械的係合要素の作動時に、せん断作用1305を(例えば、鋏のように)作るようにオフセットできる。図13Cの実施形態と同様に、2つ以上の機械的係合要素の遠位端をオフセットする(換言すれば、位置をずらす)実施形態が提供される。しかし、すべての機械的係合要素がオフセットされる必要はなく、いくつかの機械的係合要素は、単に作動して血塊物質を吸引管腔の方へ内方に引き入れる上記の他の機械的係合要素の実施形態と同様に動作できることが理解されるべきである。
【0154】
[0247]図14A~14Bは、医療装置10の漏斗部または遠位端20および機械的係合要素配列22のための入れ子式枠アプローチの一実施形態を例示する。図14A図14Bに示すように、漏斗部20は、機械的係合要素枠構造26に対して遠位に配設された漏斗部枠構造24を含むことができる。いくつかの実施形態では、漏斗部枠構造は、機械的係合要素枠構造26から独立しているか、または非結合状態にある。漏斗部枠構造24は、漏斗部20に径方向の剛性および支持を与えることができる。いくつかの実施形態では、漏斗部枠構造24は、(例えば、漏斗部のシースまたは覆いが除去されるとき)漏斗部の自動拡張を容易にするための形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。係合要素枠構造26は、個々の機械的係合要素が血塊をつかむまたは係合して、これらの血塊を漏斗部内へ、かつ/または装置の吸引管腔および/または噴出口の方へ近位に引くように機械的係合要素配列を作動させるように構成できる。一実施形態では、装置のシース(図示しないが、他の実施形態で前述)は、漏斗部枠構造に係合することなく機械的係合要素枠構造26に係合するために、医療装置の軸の上を遠位に移動されるように構成され、これにより、機械的係合要素配列22の1つまたは複数の機械的係合要素は、拡張可能な部材または漏斗部内の軸線を中心として回動または移動する。係合要素枠構造を漏斗部枠構造に対して近位に位置付ける入れ子式枠構造により、漏斗部または遠位端を折り畳むことなく、機械的係合要素の作動および移動を可能にする。
【0155】
[0248]図14Aに例示される機械的係合要素配列22は、医療装置10の遠位端の周り、または遠位端内に円周方向に配置された複数の機械的係合要素22aを有する配列の一例を示す。機械的係合要素22aの作動により、配列内の各機械的係合要素の遠位先端を医療装置の中心軸線の方へ進めて、血栓物質をつかみ、操作し、切断し、浸軟し、または他の方法で物理的に係合することができる。いくつかの実施形態では、機械的係合要素は、装置の中心軸線で別の1つと接触し、挟み、またはせん断して通過するように構成でき、他の実施形態では、機械的係合要素は、作動され、または閉じられるときでさえも、装置の中心軸線に開口を開けたままにしておくために十分短い。単一層配列は、図14Aおよび図14Bに例示されているが、他の実施形態は、機械的係合要素の1つまたは複数のレベルまたは層を含む機械的係合要素配列を含むことができる(例えば、図13Bの実施形態のように)。機械的係合要素の各層は、他の層から独立して選択的に作動可能であり、漏斗部または遠位端内の血栓の場所に応じて血栓物質に選択的に係合することを可能にする。
【0156】
[0249]図15A図15Fは、異なる機械的係合要素層の例および係合構成の様々な例を示す横断面図からの機械的係合要素配列の追加の例を示す。図15A図15Fの機械的係合要素は、例示の目的で分離して示されているが、それらは、前に説明した実施形態と同様に、拡張可能な部材または漏斗部(図示せず)内に全体的に配設できることが理解されるべきである。加えて、これらの機械的係合要素は、機械的係合部材が作動中に拡張可能な部材/漏斗部内で回動または移動するように係合要素(例えば、引きワイヤ、外シース、モータなど)に結合された作動機構を含むことができる。
【0157】
[0250]図15Aを参照すると、他の1つから軸方向に変位した機械的係合要素60a、60b、60cの3つの層を含む機械的係合要素配列が示される。機械的係合要素60cは、血栓物質をつかむ、切断する、または他の方法で係合するために、互いおよび中心点(例えば、挟み点)の方へ作動できる機械的係合要素の遠位層であってよい。機械的係合要素60bおよび60aは、機械的係合要素60cと組み合わせて作動されても、60cから独立して作動されても、または各層60c、60b、および60aの1つまたは複数の機械的係合要素が作動可能である組合せで作動されてもよい。機械的係合要素の異なる層は、異なるやり方で血栓物質と相互作用するように構成されてよい。いくつかの例では、いくつかの機械的係合要素または層は、医療装置(例えば、漏斗部または遠位端)内に血栓物質を保持するように構成されてよいが、他の機械的係合要素または層は、血栓または組織物質を切断、挟む、引く、ねじる、または回転させるように構成される。例えば、機械的係合要素60cは、漏斗内に血栓物質または組織を収容し、または血栓物質もしくは組織が漏斗部から出るのを防ぐために、互いの方へ近づくように構成されてよいが、一方で機械的係合要素60bおよび/または60aは、血栓物質を切断、挟む、引く、ねじる、または回転させるように作動されてよい。
【0158】
[0251]いくつかの例では、機械的係合要素の1つまたは複数の層は、他の機械的係合要素層とは独立して作動されてよい。いくつかの例では、機械的係合要素の1つまたは複数の層は、1つまたは複数の追加の機械的係合要素層と組み合わせて作動されてよい。例えば、図15Aを参照すると、1つまたは複数の機械的係合要素または機械的係合要素層は、互いに独立して作動されてよく、例えば、機械的係合要素60aは血栓物質に係合した後に近位に引き込まれ、機械的係合要素層60bおよび60cは、機械的係合要素層60aがその中の血栓物質の近位セグメントを切断する、裂く、または他の方法で分離できるように、血栓物質に静的に係合したままでいることができる。いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素層は、血栓物質を操作するように互いに連携して働いてよい。
【0159】
[0252]再び図15Aを参照すると、機械的係合要素層60a、60b、および60cは、互いに対して直列または任意の他の順序で作動されてよい。例えば、血栓除去装置は、血栓物質に係合してよく、1つまたは複数の機械的係合要素層は血栓物質に係合するように作動されてよい。例えば、機械的係合要素層60aは、血栓物質の近位セグメントに係合してよく、次いで、機械的係合要素層60bは、その後、血栓物質に係合してよく、次いで、その後の遠位機械的係合要素層(例えば、機械的係合要素層60c)が係合してよい。いくつかの例では、係合の順序は、血栓全体を、血栓除去装置内で、または装置の噴出口の切断面の方へ、近位に引くか、または変位させるように構成されてよい。例えば、機械的係合要素層60aは、血栓物質の近位セグメントに係合し、近位に引き込まれてよいが、一方で機械的係合要素層60bは、血栓物質に係合し、血栓物質の近位変位を支持するように作動され、続いて、後続の遠位機械的係合要素層は血栓に係合し、近位に引き込み、血栓全体を近位に血栓除去装置(例えば、吸引カテーテル)の方へ引く。
【0160】
[0253]図15Aおよび図15Bは、どのように1つまたは複数の機械的係合要素層が血栓に係合し得るかの例を示す。例えば、図15Bは、漏斗部または遠位端内の1つまたは複数の血塊を挟むために衝突するように設計かつ構成される機械的係合要素61aおよび61b(例えば、同じ層の両側の機械的係合要素)を例示する。この例では、漏斗部の両側にある機械的係合要素が示され、機械的係合要素の遠位先端は、作動時に互いに接触するように設計される。一実施形態では、機械的係合要素は、機械的係合要素の作動が継続するにつれて、最初に血塊物質に衝突して挟み、次いで血塊を吸引管腔の方へ引き入れるように配置できる。2つより多い機械的係合要素が存在する実施形態では、すべての機械的係合要素が血栓に衝突して挟むように設計されなければならないわけではないことが理解されるべきである。いくつかの例では、機械的係合要素のうちの2つのみをこの態様で配置でき、他の機械的係合要素は、本明細書に記載の他の機械的係合要素の実施形態と同様に動作することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、すべての機械的係合要素は、単一点(例えば、漏斗または遠位端における中心点)で衝突するように設計かつ構成できる。
【0161】
[0254]図15Cは、1つまたは複数の機械的係合要素層がどのように血栓に係合し得るかの別の例を示す。この例では、2つ以上の機械的係合要素の機械的係合要素の先端を、機械的係合要素の作動時にせん断作用を(例えば、鋏のように)を作るようにオフセットできる。いくつかの例では、このやり方でのオフセット構成は、血栓のセグメントをせん断するように構成されてよい。いくつかの例では、オフセット構成は、1つまたは複数の機械的係合要素層との係合のために血栓物質を操作または変位するように構成されてよい。例えば、機械的係合要素62bおよび62aは、係合を向上して血栓を特定の配向に収容するために血栓の異なるエリアに係合するように構成されてよいが、一方で1つまたは複数の追加の機械的係合要素層は機械的係合要素層62から血栓物質に近位または遠位に当たって衝撃を与える。
【0162】
[0255]いくつかの例では、機械的係合要素層は、血栓に係合して血栓物質を静止位置に保持するために独立して、または互いに組み合わせて作動されるように構成された複数のオフセット機械的係合要素を含んでよいが、一方で1つまたは複数の機械的係合要素層は、血栓に(例えば、せん断、切断、浸軟などの)衝撃を与えるように作動できる。いくつかの例では、層の1つまたは複数の機械的係合要素は、血栓物質を回転させるために血栓に係合するように構成されてよい。本明細書に説明されるように、層または配列内の機械的係合要素の閉鎖は、血栓物質に係合し、絞り(iris)の様に開口の周りで閉じることによって物質に回転力を与えるように構成されてよい。
【0163】
[0256]図15Dは、1つまたは複数の機械的係合要素または層が機械的係合要素63aから流体流を送達するために開口および流体管腔を組み込むことができる機械的係合要素配列構成を例示する。流体送達機構は、機械的係合要素配列内で1つまたは複数の開口を通して、血栓除去システムの流体開口に複数の流体流(例えば、噴射)を供給することができる。例えば、機械的係合要素によって送達された1つまたは複数の流体流は、血栓を浸軟、切断、断片化、粉砕し、かつ/または血栓除去システムの近位部分から除去されるように促すために構成されてよい。機械的係合要素63bおよび63は、血栓物質を保持し、切断し、ねじり、薄切りにし、挟み、または回転させるように構成されてよいが、一方で機械的係合要素63aは、機械的係合要素63aで、またはその近くで血栓のセグメントを細分化するのに十分な血栓物質に接触する流体流または噴射を供給するように構成されてよい。結果として生じる血栓物質の近位セグメントは、機械的係合要素63bによって引き込まれてよいが、一方で層63は、血栓物質の潜在的な遠位移動を防止または低減するように血栓物質の近位セグメントを保持することができる。いくつかの例では、機械的係合要素層による血栓物質の一連の切断は、血栓物質の近位および遠位の保持によって容易にすることができるが、1つまたは複数の中間の機械的係合要素層は、血栓物質に衝撃を与えて血栓をせん断するか、または他の方法で細分化するので、近位層(例えば、63b)は近位血栓物質セグメントを血栓除去装置内へ引き込むことができる。
【0164】
[0257]図15Dと同様に、図15Eは、開口および流体流を組み込む機械的係合要素64aおよび64bがオフセットされる例示的構成を示す。本明細書に説明されるように、機械的係合要素64aおよび64bからの噴射は、血栓物質をせん断するか、または他の方法で細分化するように構成されてよい。遠位の機械的係合要素層64cは、機械的係合要素64aおよび64bからの流体流が血栓物質に衝撃を与える間、血栓除去装置の遠位端内に血栓物質を保持し、かつ包囲するように構成されてよい。例えば、遠位機械的係合要素層64cは、中間および近位の層が血栓物質に係合して細分化する間、配列から出る血栓断片を低減するように構成されてよい。
【0165】
[0258]いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素または層が、種々のやり方で血栓物質に衝撃を与えるように構成された異なる特性を含んでよい。例えば、いくつかの機械的係合要素は、他の特徴よりも剛性が高い場合がある。剛性が高いことにより、血栓物質の切断、浸軟、または係合が改良されることがある。いくつかの例では、剛性が高い機械的係合要素は、血栓物質を切断、浸軟、または他の方法で変形するように構成されてよいが、一方で可撓性の高い機械的係合要素は、剛性の高い切断部材を支持して血栓物質を収容し、保持し、または他の方法で操作するように構成できる。図15Fは、機械的係合要素65aまたは任意の他の特徴が、血栓物質に切断衝撃を与えるように剛性、硬直性、または形状を向上させ得た例を示す。機械的係合要素65bは、血栓物質を保持するのに十分な剛性を有してよいが、一方で機械的係合要素65aは、機械的係合要素65bによって分離された血栓物質の断片の吸引の改良のために、配列の近位端で血栓物質を切断し、裂き、浸軟し、または他の方法で変形させるために、血栓物質に衝撃を与えるように構成できる。
【0166】
[0259]加えて、図15Fは、互いに対する機械的係合要素の連接(articulation)が向上した例を示す。例えば、機械的係合要素65b間の空間は、血栓除去装置の実質的に中心である、または中心軸線に向かう挟み点を例示してよいが、一方で遠位層65cは、複数の点または領域で血栓に係合して血栓物質との係合を向上させて血栓物質の遠位セグメントの遠位移動または不注意な分離を防ぐように構成できる重なり合う機械的係合要素として例示される。機械的係合要素65aは、単一の機械的係合要素、または血栓物質の近位部分に対して引くように作動できる層からの単一の作動式機械的係合要素であってよい。例えば、機械的係合要素65aは、血栓物質の近位セグメントで血栓に係合するように作動されてよく、機械的係合要素は、層65bおよび65cが血栓物質との静止係合を維持している間、引き込み可能であってもよく、それによって機械的係合要素65aは血栓除去装置内へ近位に血栓物質を切断し、裂き、または他の方法で分離することができる。
【0167】
[0260]いくつかの実施形態では、機械的係合要素枠構造の剛性は、漏斗部枠構造の剛性とは無関係に調整できる。例えば、繊細な血管構造を傷つけること、または損傷することを避けるように、できるだけ適合した漏斗部を有することが望ましいことがある。同時に、改良された血塊の係合または浸軟を行うために、漏斗部よりも剛性が高い機械的係合要素枠構造および機械的係合要素を有することも望ましいことがある。あるいは、機械的係合要素が漏斗部自体よりも適合していることが望ましいこともある。いずれにせよ、いくつかの実施形態では、機械的係合要素枠構造は、漏斗部枠構造よりも剛性が高く、他の実施形態では、機械的係合要素枠構造は、漏斗部枠構造よりも剛性が低い。あるいは、機械的係合要素枠構造は、漏斗部枠構造と実質的に同じ剛性を有してよい。
【0168】
[0261]図16A図16Gは、拡張可能な部材または漏斗部内に配設された機械的係合要素配列の、医療装置の遠位端から見た横断面図を示す。配列内の機械的係合要素の層は、血栓除去装置の遠位端内で血栓に係合するかまたは他の方法で血栓物質に衝撃を与えるために、外方、内方、横方向、斜め方向、直交方向など、またはそれらの組合せで作動し、延びるように構成されてよい。図16Aを参照すると、1つまたは複数の層は、中心点(例えば、中心軸線)の方へ、または越えて作動し、包囲するように構成された複数の機械的係合要素70を含んでよい。いくつかの例では、機械的係合要素70は、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0169】
[0262]図16Bでは、機械的係合要素71aの層の別の例は、中心軸線71の周りをサイクロン状または円筒形状に閉じて示されている。機械的係合要素71aは、単層に配置されてよく、または互いに対してオフセットされてよい。機械的係合要素71aの円筒状の閉鎖は、中心開口の周りで閉じる絞りに類似することができ、中心軸線71の周りに設けられた開口を増加または減少させるように機械的係合要素の連接を介して制御可能であってよい。いくつかの例では、機械的係合要素は、その中に血栓物質を保持し、または切るために完全に閉じるように構成されてよい。いくつかの例では、機械的係合要素71aは、その中に保持された血栓物質を回転させるために、互いに対して順に閉じるように構成されてよい。他の例では、機械的係合要素71aは、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0170】
[0263]図16Cでは、層は、異なる寸法または連接レベルを有する1つまたは複数の歯部を含んでよい。例えば、機械的係合要素72aは、より長くてよく、または互いの方へさらに延びてもよいが、一方で機械的係合要素72bは、中心軸線72まで、または中心軸線の手前の何らかの点まで延びてよい。例えば、機械的係合要素72aは、機械的係合要素72bが、せん断される血栓物質を横方向に支持する間、血栓物質をせん断するように構成されてよい。いくつかの例では、機械的係合要素72aおよび72bは、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0171】
[0264]図16Dは、図16Bと同様、円筒形またはサイクロン状に中心開口73の周りで閉じるように作動されたときに血栓物質に係合するように構成された1つまたは複数の機械的係合要素または層73a/73bの一例を示す。ここでは、機械的係合要素の複数の層は同心円のサイクロン状に閉じていることが示される。しかしながら、1つまたは複数の層が、時計回り方向に中心開口の周りを包囲するように作動されてよく、1つまたは複数の層が反時計回り方向に閉じるように構成されてよい。いくつかの例では、すべての層が、中心開口を時計回り方向に閉じるか、または他の方法で調節するように構成されてよい。いくつかの例では、すべての層は、中心開口を反時計回り方向に閉じるか、または他の方法で調節するように構成されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の層は時計回り方向に、開口を閉じるか、または他の方法で開口の大きさを調節してよいが、一方で1つまたは複数の追加の層は、反時計回り方向に、開口を閉じるか、または調節してよい。例えば、1つまたは複数の層は、その中で血栓物質をねじるように構成されてよい。いくつかの例では、機械的係合要素73a/73bは、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0172】
[0265]いくつかの例では、図16Eに示すように、機械的係合要素74aの寸法は、血栓をせん断することなく血栓を保持するために血栓物質に係合するように構成されてよい。機械的係合要素74aは、せん断することなく血栓物質を貫通または血栓物質に係合するように血栓除去装置の遠位端の円周の周りで互いから距離をあけて位置付けられる。いくつかの例では、1つまたは複数の層は、血栓物質を貫通しかつ保持するように構成されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の層は、血栓物質を貫通することなく血栓に係合または圧力を加えるように構成されてよい。いくつかの例では、このように血栓物質に係合することで、血栓物質をせん断、分離、切断、浸軟、または他の方法でセグメント化するために1つまたは複数の追加層を支持することができる。いくつかの例では、機械的係合要素74aは、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0173】
[0266]いくつかの例では、血栓除去装置は、任意の数の機械的係合要素層を有する配列を含んでよい。各層は、本明細書に説明されるように、その中で血栓物質を操作するように構成されてよい。例えば、近位層は、近位血栓セグメントをせん断するように構成されてよく、また、遠位層は、その中で血栓物質の異なるセグメントに対して、せん断する、保持する、流体圧力を加える、包囲する、回転させる、浸軟するなど、またはこれらの組合を行うように構成されてよい。
【0174】
[0267]図16Fは、異なる形状、特性、および関連する機能を有する機械的係合要素配列内の機械的係合要素の1つまたは複数の層の別の例を示す。層75cは、サイクロン状に作動されて閉じるように構成された遠位層であってよいが、一方で近位層75aおよび75bは、中心軸線の周りで、より線状に閉じるように構成できる。いくつかの例では、近位層は血栓物質を近位セグメントに保持するように構成されてよいが、一方で1つまたは複数の遠位層は、血栓除去装置の外側で遠位部分から血栓物質をせん断、切断、または分離する。いくつかの例では、機械的係合要素75a~75cは、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0175】
[0268]いくつかの例では、任意の層は、本明細書に説明されるように、1つまたは複数の噴出口を設けるために開口および流体管腔を組み込んでよい。例えば、図16Fを参照すると、層75bは、血栓除去装置内で近位に吸引されてよく、または引き込まれてよい血栓物質の近位セグメントを分離または他の方法で外すために、1つまたは複数の噴射または流体流を生成するように構成されてよい。
【0176】
[0269]図16Gは、中心管腔(例えば、開口)76の周りで横方向またはサイクロン状に閉じるように構成できる、重なり合う機械的係合要素76aを有する層のさらに別の例を示す。この例では、機械的係合要素は、中心開口76で血栓を薄切りするように構成されてよい。いくつかの例では、このように構成された層は、血栓除去装置の遠位端内に血栓物質の全部または一部を包囲するように構成された遠位層であってよい。例えば、血栓は、血栓除去装置の遠位端によって係合され、遠位層(例えば、機械的係合要素76a)は、その中に血栓物質を包囲するように作動されてよく、血栓全体および/または1つもしくは複数の近位層の引き込みを可能にして、吸引カテーテルを介して、かつ/または血栓除去装置を近位に引き込むことを介して除去するために血栓物質に衝撃を与えることができる。
【0177】
[0270]いくつかの例では、機械的係合要素の遠位先端形状は、その中で血栓物質の操作または変形(例えば、せん断、切断、浸軟など)を行うために、血栓物質に係合し、または他の方法で衝撃を与えるように構成されてよい。例えば、図16Aを参照すると、遠位先端形状は、実質的に、点または突刺先端であるが、一方で図16Gは、丸い、または鈍い先端の例を示す。いくつかの例では、遠位先端は、血栓物質に衝撃を与えるように構成されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素の横方向の縁部または側部は、血栓物質に衝撃を与えるように構成されてよい。いくつかの例では、先端と横方向縁部との組合せは、血栓物質に係合し、または衝撃を与えるように構成されてよい。いくつかの例では、表面(例えば、遠位面および/または近位面)は血栓物質に衝撃を与えるように構成されてよい。例えば、1つまたは複数の機械的係合要素の表面は、滑らかな面、または歯部を有する不規則な面、もしくはローレット表面であってよく、または血栓物質の係合および操作を向上させるために他の方法で質感(texture)が設けられてよい。
【0178】
[0271]本明細書に説明されるように、1つまたは複数の機械的係合要素、層、または機械的係合要素の配列は、同時に、独立して、選択的に、またはそれらの組合せで作動されてよい。いくつかの例では、任意の層が、1つまたは複数の層の作動または衝撃に基づいて作動されてよい。例えば、近位層が作動されてよく、近位層が作動されて血栓物質に係合すると、続いて1つまたは複数の遠位層が作動されてよい。層または機械的係合要素の連接のいくつかの例には、交互の機械的係合要素(例えば、1つおきの機械的係合要素)またはその後の作動の任意のパターンが含まれてよい。機械的係合要素のこのような作動または連接は、血栓物質をつかみ、かつ/または引くように構成されてよい。層または機械的係合要素の連接のいくつかの例には、1つもしくは複数の機械的係合要素または層の逐次作動が含まれてよい(例えば、機械的係合要素1、機械的係合要素2、機械的係合要素3など)。このような作動は、血栓物質をねじり、かつ/または回転させるように構成されてよい。層または機械的係合要素の連接のいくつかの例には、変化した軸方向位置(例えば、機械的係合要素のオフセットもしくは高さ)が含まれてよい。このような作動は、血栓物質を保持し、つかみ、引くなどするように構成されてよい。層または機械的係合要素の連接のいくつかの例には、層の1つまたは複数の機械的係合要素の変化した径方向の重なりが含まれてよい。例えば、機械的係合要素は、重なり、鋏、フック、湾曲など、またはそれらの組合せであってよい。このような作動は、血栓物質を挟む、切断する、せん断するなど、またはそれらの組合せを行うように構成されてよい。層または機械的係合要素の連接のいくつかの例には、絞り閉鎖(例えば、サイクロン状で、接線方向に配列された閉鎖)が含まれてよい。このような作動は、血栓物質をねじり、かつ/または回転させるように構成されてよい。
【0179】
[0272]いくつかの実施例では、機械的係合要素は、装置の遠位端内に血塊を収容するのを助けることができるが、血塊を切断、浸軟、または他の方法で破壊しない。一例では、1つまたは複数の機械的係合要素は血塊を漏斗部内に収容するように作動または位置付けでき、吸引および/または噴射は、血塊を細分化して患者から遠ざけるように断続的に振動させてよい。いくつかの実施例では、噴射または流体流は、機械的係合要素の作動で順序付けることができる。例えば、噴射は、機械的係合要素が作動されると始動され、機械的係合要素が作動されていないときは停止できる。いくつかの例では、噴射は、機械的係合要素が完全に展開または作動された後、あるいは、機械的係合要素が展開されていないときにのみ始動できる。順次噴射と機械的係合要素の作動との任意の組合せが想定される。
【0180】
[0273]いくつかの例では、配列内の1つまたは複数の機械的係合要素の作動は、機械的係合要素との動作可能な連通における細長い部材の操作または係合に基づいてよい。上述したように、シースは、機械的係合要素を作動するように、軸方向に、または回転によってのいずれかで操作されてよい。このシースの移動は、電動または自動で行ってよい。他の例では、引きワイヤは、機械的係合要素に結合され、引きワイヤがユーザまたは他の作動インターフェースによって係合されるときに機械的係合要素を作動するように構成されてよい。いくつかの例では、引きワイヤは、機械的係合要素を操作するために引きワイヤの位置を機械的に調節するように構成されたモータに取り付け、または結合できる。いくつかの例では、機械的係合要素の作動は、1つまたは複数の機械的係合要素、層、または配列の選択的な連接のために、層または機械的係合要素に対する圧力を調節するように構成された空気圧システムによって行われてよい。いくつかの例では、機械的係合要素を動作させることは、熱的または電気的工程によって容易にされてよい。機械的係合要素の作動は、例えば、ユーザインターフェース(例えば、システムのハンドルまたはコンソール上のボタンまたはGUI)で制御できる。いくつかの例では、単一のユーザインターフェースは、すべての機械的係合要素を一度に制御するように構成できる。他の実施形態では、複数のユーザインターフェースまたはボタンは、機械的係合要素を独立してまたは群で制御するように構成できる。例えば、1つまたは複数の機械的係合要素は、材料を含んでもよく、または他の方法で、機械的係合要素に伝達される温度または電気インパルスの変化に反応するように構成されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素は、血栓除去装置の遠位端内の血栓物質との接触(例えば、十分な接触)で自動的に作動されるように構成されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素の作動および連接は、血栓除去装置の近位端(例えば、使用時の患者の外側)でのハンドルとの係合によって行われてよい。1つまたは複数の係合要素は、機械的係合要素に係合し、または他の方法で機械的係合要素を作動し、それらの関連機能を開始するように、ユーザによって選択的に制御されてよい。いくつかの例では、1つまたは複数の機械的係合要素は、シースまたは送達カテーテルによって作動されてよい。例えば、シースは、機械的係合要素の方へ遠位に進められ、機械的係合要素上のシースの遠位端によって与えられた圧力によって機械的係合要素の作動を生じさせる。いくつかの例では、近位層は、作動力を後続の層(例えば、遠位層)に伝搬または伝達するように構成されてよい。
【0181】
[0274]図17A図17Bは、漏斗部20、漏斗部枠構造22、機械的係合要素枠構造24、および機械的係合要素1708を含む血栓除去装置の遠位端の例を示す。この実施形態では、漏斗部は、漏斗部枠構造と、機械的係合要素枠構造および機械的係合要素の少なくとも一部分とを囲む柔軟な(compliant)材料を含む。いくつかの例では、機械的係合要素枠構造は、柔軟な材料によって少なくとも部分的に覆われ、またはカプセル封止され、機械的係合要素自体は、柔軟な材料によって覆われていない。いくつかの実施形態では、柔軟な材料は、クロノフレックス(Chronoflex)などのポリカーボネートベースの熱可塑性ウレタン材料を含むことができる。
【0182】
[0275]図17Aでは、機械的係合要素は、開放構成で示され、この構成では、機械的係合要素は外方に拡張され、柔軟な材料に隣接して、または当接して位置付けられる。図17Bでは、機械的係合要素は、閉鎖構成または作動構成で示され、この構成では、機械的係合要素は、漏斗部から内方に、任意選択で血栓除去装置の吸引管腔の方へ移動される。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、機械的係合要素は、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0183】
[0276]図18A図18Cは、3つの機械的係合要素1808を含む漏斗部の実施形態を例示する。図18Aは開放構成における機械的係合要素を示し、図18Bは、閉鎖構成または作動構成における機械的係合要素を示す。図18Cは、柔軟な材料が埋め込まれ、または柔軟な材料に囲まれた漏斗部枠構造および機械的係合要素枠構造を含む漏斗部の側面図である。図18D図18Fは、6つの機械的係合要素設計を除いて、同様の図を示す。なお、これらの実施形態の両方では、機械的係合要素は、開放構成および閉鎖構成の両方において、柔軟な材料の外側に露出され、または位置付けられる。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、機械的係合要素は、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0184】
[0277]図19Aは、シースまたは送達カテーテル28を含む血栓除去装置の側面図である。この例では、シース28は、遠位端および機械的係合要素枠構造26の近位に位置付けられ、機械的係合要素は、それらの拡張された位置または構成をとることができる(例えば、機械的係合要素は外方に拡張して、漏斗部の柔軟な材料に対して、または柔軟な材料内で、当接または載置することができる)。図19Bは、この開放構成の上面図であり、機械的係合要素は、柔軟な材料内の任意選択の「ポケット」30の内側に載置される。図示の例では、ポケットは機械的係合要素と同じ形状を有することができるので、機械的係合要素は、拡張構成または開放構成にあるときに、漏斗部の内部から凹ませることができる。一例では、ポケットは、機械的係合要素が漏斗部および柔軟な材料の内面と同一平面になることができる深さおよび形状を有する。
【0185】
[0278]図19Cは、血栓除去装置の別の側面図である。この例では、シース28は、血栓除去装置に対して遠位に前進したので、シースは、機械的係合要素枠構造に係合または接触し、この構造を遠位に押す。機械的係合要素枠構造は遠位に前進すると、機械的係合要素自体が閉鎖構成または作動構成をとる。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、シースは、自動的に(例えば、モータで)またはユーザによって手動で移動できる。
【0186】
[0279]図19Dは、この閉鎖構成または作動構成の上面図であり、柔軟な材料内のポケット30と、装置の吸引管腔の方へ回動または内方に移動する機械的係合要素22の図を示す。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、機械的係合要素は、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0187】
[0280]図20A図20Cは、代替の実施形態を例示し、この実施形態では、機械的係合要素は、開放構成にあるとき柔軟な材料によって隠される。図20Aは、漏斗部20の底面図であり、機械的係合要素の枠構造、および柔軟な材料が埋め込まれた、または柔軟な材料によって覆われた漏斗部枠構造を示す。図20Bは、開放構成において機械的係合要素を含む漏斗部を示し、この構成では、機械的係合要素自体が柔軟な材料内のポケット内へ凹んでいる。この例では、機械的係合要素は、柔軟な材料内のスリット32を通過するように構成され、これにより、機械的係合要素は、機械的係合要素が見えず柔軟な材料によって覆われている図20Bに示す開放構成、および機械的係合要素22が回動、移動、またはスリット(1つまたは複数)32を通過して漏斗部において血塊をつかみ、切断、係合、または操作する図20Cの閉鎖構成または作動構成から、移行することができる。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、機械的係合要素は、独立して、群で、一斉に、またはこれらの何らかの組合せで作動または制御できる。
【0188】
[0281]いくつかの例では、本明細書に記載の機械的係合要素のいずれも、本明細書に説明されるように、医療装置の漏斗部枠構造または拡張可能な遠位端もしくは先端内に位置付け可能または配置可能であってよい。いくつかの例では、機械的係合要素は、作動されてその中で血栓物質に係合するまで、漏斗部枠構造内に位置付けられてよい。例えば、任意の数の機械的係合要素を有する層は、漏斗部枠構造の柔軟な材料内に位置付けられてよく、作動されると、漏斗部枠構造内または漏斗部枠構造上から移行して血栓物質に係合してよい。
【0189】
[0282]治療の有効性/完了の評価
[0283]血栓除去術治療の有効性および/または完了進行を評価するためのシステムおよび方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、血栓除去術装置自体に位置する、または装置と通信しているソフトウェアで全体的に実施できる。他の実施形態では、本方法は、治療の進行に関する追加情報をシステム/装置に提供する装置上または装置内に配設されるハードウェアと組み合わせて実施できる。
【0190】
[0284]一実施形態では、有効性を評価する、または治療の進行を監視する方法は、治療前の撮像(例えば、CT)に基づいて血塊除去の量を評価または判定することを含むことができる。図21のフローチャートを参照すると、本方法は、ステップ2102で、除去または治療される血塊の治療前画像を得ることを含むことができる。いくつかの実施形態では、これは、標的血塊のCT画像、超音波画像、MRI画像、または他の高解像度または高質の画像を得ることを含むことができる。
【0191】
[0285]ステップ2104で、本方法は、次いで、本明細書に記載の装置および方法のいずれかを使用して、1つまたは複数の標的血塊に対して血栓除去術手順を行うことを含むことができる。
【0192】
[0286]次に、ステップ2106で、本方法は、血栓除去術手順中に患者から除去された血塊の体積を判定するか、または計算することを含むことができる。いくつかの実施形態では、この判定は、治療前の撮像を治療後の撮像と比較し、治療前の血塊の治療後の血塊に対する体積を判定し、除去された血塊の体積または割合を識別するアルゴリズムなど、全体的にソフトウェアでなされる。
【0193】
[0287]他の実施形態では、判定は、血栓除去術装置からのセンサフィードバックに基づくことができる。例えば、血栓除去術装置の外側、あるいは装置の吸引管腔の内側の流量センサおよび/または圧力センサが、除去された血塊の量を実時間で測定または推定するために使用できる。あるいは、造影剤は、血塊除去の実時間撮像を可能にするために、噴出口あるいは別の造影剤管腔などで、治療中に標的領域内へ送達できる。いくつかの実施形態では、造影剤は、装置の漏斗部から、またはその近くに送達できる。いくつかの実施形態では、血塊(1つまたは複数)に付着し、血塊が実時間撮像下で除去されるときに血塊の視認性を高めることができる添加剤が造影剤に追加できる。これにより、ソフトウェアまたは画像処理解決策が、療法中に除去された血塊の量を推定または判定できる。
【0194】
[0288]いくつかの実施形態では、治療の完了は、性能パラメータ(例えば、上記のステップ2106により除去された体積)および/または生理学的パラメータ(Sp02増加/減少、HR、呼吸数等、正常範囲への回復)の複合である採点システムに基づいて判定または評価できる。
【0195】
[0289]本明細書の実施形態は、患者の血管系から血栓を除去することを意図したものとして説明されたが、この技術の他の用途が提供される。例えば、本明細書に記載の装置は、患者の腸または結腸など、患者の消化管から硬化した便を細分化しかつ除去することを含む胃腸の処置のために使用できる。一実施形態では、装置は患者の結腸または腸内に(肛門を通してなどに)挿入され、硬化した便の部位まで進めることができる。次に、吸引システムは作動されて、硬化した便を装置の係合部材(例えば、漏斗部)と係合させることができる。最後に、噴射または灌注を作動させて、硬化した便の断片を切り離し、それらをシステム内へ吸引できる。システムを制御すること、または血塊を除去することに関して上述した技法のいずれかが、硬化した便の除去に適用できる。
【0196】
[0290]当業者であれば本明細書の開示から理解するように、上述した血栓除去システムの様々な構成要素は、本技術の範囲から逸脱することなく省略できる。前に考察したように、例えば、本技術は、脂肪、組織、または異物など、血管を閉塞することがある他のタイプの塞栓を除去するために使用および/または修正できる。さらに、本明細書のいくつかの実施形態は、肺動脈からの血栓除去の文脈で説明されるが、開示された技術は、血管系の他の部分からの血栓および/または塞栓の除去に適用されてよい(例えば、神経血管、冠状動脈、または末梢部分の用途における)。同様に、上記に明示的に記載されていない追加の構成要素が、本技術の範囲から逸脱することなく、血栓除去システムに追加されてよい。したがって、本明細書に記載のシステムは、明示的に識別されたそれらの構成に限定されるものではなく、むしろ、記載されたシステムの変形および変更を包含する。
結論
[0291]本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本技術を上記に開示された正確な形態に限定することを意図していない。本技術の特定の実施形態、およびその実施例は、例示目的のために上記で記載されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されるが、代替の実施形態は異なる順序でステップを行ってよい。本明細書に記載の様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わされてもよい。
【0197】
[0292]上記から、本技術の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されたが、本技術の実施形態の記載を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造および機能は詳細に図示または記載されていないことが理解されよう。文脈が許容する場合、単数または複数の用語はまた、それぞれ、複数または単数の用語を含んでもよい。
【0198】
[0293]文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、説明および例全体を通して、「備える」、「備えている」などの語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限られない」という意味である。本明細書で使用される際、用語「接続された」、「結合された」、またはそれらのいかなる変形も、2つ以上の要素間の直接的または間接的ないかなる接続または結合も意味し、要素間の接続の結合は、物理的、論理的、またはそれらの組合せであってよい。加えて、「本明細書」、「上記」、「下記」という語、また同様の意味の語は、本出願に使用される際、本出願の全体を指すものとし、本出願のいかなる特定の部分のことを指すものではない。文脈が許容する場合、単数または複数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数であることも単数であることもある。本明細書に使用される際、「Aおよび/またはB」のような「および/または」という語句は、Aのみ、Bのみ、ならびにAおよびBを指す。加えて、「備えている」という用語は、いかなるより多くの同じ特徴および/または追加のタイプの他の特徴も除外されないように、少なくとも挙げた特徴(1つまたは複数)を含むことを意味するために全体を通して使用される。本明細書では、例示の目的で具体的な実施形態が説明されたが、本技術から逸脱せずに、様々な修正がなされてよいことも理解されるであろう。さらに、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もこのような利点を呈することがあるが、すべての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を呈する必要はない。したがって、本開示および関連する技術は、本明細書で明示的に示されていない、または説明されていない他の実施形態を含むことができる。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A-17B】
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図21
【国際調査報告】