(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】硬化性熱伝導性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20250214BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20250214BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20250214BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20250214BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20250214BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/08
C08K3/22
C08K3/28
C08L83/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546220
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2022075356
(87)【国際公開番号】W WO2023147698
(87)【国際公開日】2023-08-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バグワガー、ドラブ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP053
4J002CP141
4J002DA096
4J002DA119
4J002DE108
4J002DE147
4J002DE148
4J002DF017
4J002DF019
4J002EX039
4J002FD142
4J002FD159
4J002GQ05
(57)【要約】
硬化性熱伝導性組成物は、(A)25~2000ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有するアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンと、(B)シリル-ヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、(C)(c1)60マイクロメートル以上のD50を有する30~55重量パーセント未満のアルミニウム粒子、(c2)1~10マイクロメートルのD50を有する20~40重量パーセントの熱伝導性フィラー、(c3)0.1~1マイクロメートル未満のD50を有する8~20重量パーセントの熱伝導性フィラー、及び(c4)任意選択的に、20~80マイクロメートルのD50を有するゼロ~20重量パーセントの(c1)以外の熱伝導性フィラー、を含有する、94~97重量パーセントの熱伝導性フィラーと、(D)トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサン、及び任意選択的にアルキルトリアルコキシシランを含む0.1~2.5重量パーセントのフィラー処理剤と、を含有し、重量パーセントは、硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性熱伝導性組成物であって、
(A)摂氏25度でガラス毛細管キャノン-フェンスケ型粘度計を使用するASTM D445-21によって決定した場合に25~2000ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有する1.0~4.0重量パーセントのアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、以下の平均化学構造(I)を有し、
【化1】
式中、R
aが、出現ごとに独立して、1~6つの炭素原子を有するアルキル基であり、R’が、出現ごとに独立して、アルケニル基であり、下付き文字a≧0であり、下付き文字b>0であり、下付き文字cが、ゼロ又は1であり、下付き文字dが、ゼロ又は1であり、(a+b)が、20~350であり、(a+c+d)≧2である、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(B)分子当たり少なくとも2つのシリル-ヒドリド基を含有し、0.4~1.5の前記組成物のケイ素結合水素原子対アルケニル基のモル比を提供する濃度で存在する、シリル-ヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、
(C)94~97重量パーセントの熱伝導性フィラーであって、
(c1)60~150マイクロメートルの範囲のD50を有する30重量%~55重量パーセント未満のアルミニウム粒子、
(c2)1~10マイクロメートルの範囲のD50を有する20~40重量パーセントの熱伝導性フィラー、
(c3)0.1~1マイクロメートル未満の範囲のD50を有する8~20重量パーセントの熱伝導性フィラー、及び
(c4)任意選択的に、20~80マイクロメートルの範囲のD50を有するゼロ~20重量パーセントの(c1)以外の熱伝導性フィラー、を含む、熱伝導性フィラーと、
(D)トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサン、及び任意選択的に、アルキルトリアルコキシシランを含む、0.1~2.5重量パーセントのフィラー処理剤と、を含み、
重量パーセントが、硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものである、硬化性熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.01~0.6重量パーセントの白金濃度を提供するのに十分な量で白金系ヒドロシリル化反応触媒を更に含む、請求項1に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.001~0.3重量パーセントの濃度でヒドロシリル化反応抑制剤を更に含む、請求項1又は2に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、以下の平均化学構造(II)を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルポリシロキサンを含み、
【化2】
式中、Viが、ビニルを表し、下付き文字bが、25~350の値を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項5】
前記トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサンが、以下の平均化学構造(IV)を有するモノ-トリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンであり、
【化3】
式中、R
c、R
d、及びR
eが、出現ごとに独立して、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、下付き文字gが、25~110の値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項6】
(c2)1~10マイクロメートルのD50を有する前記熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又はこれらの混合物から選択され、(c3)0.1~1マイクロメートル未満のD50を有する前記熱伝導性フィラーが、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、又はこれらの混合物から選択され、(c4)任意選択的に、20~50マイクロメートルのD50を有する前記熱伝導性フィラーが、窒化アルミニウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項7】
前記アルミニウム粒子が、70~95マイクロメートルのD50を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性フィラーが、(c1)70~90μmのD50を有する30~52重量%のアルミニウム粒子と、(c2)2~5μmのD50を有する30~35重量%の酸化アルミニウム粒子、又は2~5μmのD50を有する5~25重量%の酸化アルミニウム粒子と1~5μmのD50を有する5~20重量%の窒化アルミニウム粒子との組み合わせと、(c3)0.1~0.5μmのD50を有する12~18重量%の酸化亜鉛粒子、又は0.2~0.8μmのD50を有する8~13重量%の酸化アルミニウム粒子と、任意選択的に、(c4)20~50μmのD50を有するゼロ~20重量%の窒化アルミニウム粒子と、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、前記硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて適用することと、次いで、前記構成部品の間の所定の位置にある間に前記硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項10】
前記硬化性熱伝導性組成物の前記適用が、前記硬化性熱伝導性組成物を押出すことを伴う、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて含む物品であって、前記硬化性熱伝導性組成物が、硬化形態又は非硬化形態のいずれかである、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、60~150マイクロメートルの範囲のD50粒径を有するアルミニウム粒子を含む熱伝導性フィラーを含有する、硬化性熱伝導性組成物に関する。
【0002】
序論
産業界における電子デバイスの小型化及び強力化の傾向のため、そのようなデバイスで発生する熱を放散するのに有用な熱伝導性組成物に対する需要が増している。例えば、電気通信産業では、5Gネットワークへの世代交代を経験しており、小型の高度に集積化された電気デバイスが必要とされており、所要電力の倍増が求められている(600ワットから1200ワット)。小型のデバイスにおける高電力によって発生した熱を効率的に放散しなければ、デバイスが損傷してしまう。熱伝導性界面材料は、多くの場合、発熱構成部品と放熱構成部品とを熱的に結合させるために電子機器に使用される。
【0003】
熱伝導性界面材料の課題は、高い熱伝導特性と、小さな構成部品上への熱伝導性材料の正確な適用を可能とするように容易に押出可能であることの両方の組み合わせを提供することである。特に、本明細書で以下に定義される押出速度試験を使用して測定した場合に少なくとも40グラム毎分の押出速度を有し、ISO22007-2に従ってホットディスクを使用して測定した場合に少なくとも10ワット毎メートル毎ケルビンの熱伝導率を有する材料に硬化する、熱伝導性界面材料を提供することが望ましい。熱伝導性は、熱伝導性フィラーの量を増やすことによって高めることができるが、これによって、組成物の押出速度も低減され、組成物は、更に粉末状ペーストになり得る。したがって、これらの2つの性能パラメータを満たすことは、特に困難である。
【0004】
上記の押出速度及び熱伝導特性を同時に達成することができる熱伝導性組成物を同定する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、本明細書で以下に定義される押出速度試験を使用して測定した場合に40グラム毎分(g/分)以上の押出速度を有し、ISO22007-2に従ってホットディスクを使用して少なくとも10ワット毎メートル毎ケルビン(W/m*K)の熱伝導率を有する材料に硬化する、熱伝導性界面材料を提供する。驚くべきことに、そのような組成物は、60~150マイクロメートル(micrometer、μm)の範囲のD50粒径を有する30~55重量%(weight-percent、wt%)未満のアルミニウム粒子を含む94~97重量パーセント(重量%)の熱伝導性フィラーを含有する硬化性ポリシロキサン組成物(「硬化性熱伝導性組成物」とも)から調製することができることが決定されており、重量%が、硬化性ポリシロキサン組成物の重量に対するものである。
【0006】
第1の態様では、本発明は、硬化性熱伝導性組成物であって、
(A)摂氏25度でガラス毛細管キャノン-フェンスケ型粘度計を使用するASTM D445-21によって決定した場合に25~2000ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有する1.0~4.0重量パーセントのアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、以下の平均化学構造(I)を有し、
【化1】
式中、R
aが、出現ごとに独立して、1~6つの炭素原子を有するアルキル基であり、R’が、出現ごとに独立して、アルケニル基であり、下付き文字a≧0であり、下付き文字b>0であり、下付き文字cが、ゼロ又は1であり、下付き文字dが、ゼロ又は1であり、(a+b)が、20~350であり、(a+c+d)≧2である、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(B)分子当たり少なくとも2つのシリル-ヒドリド基を含有し、0.4~1.5の組成物のケイ素結合水素原子対アルケニル基のモル比を提供する濃度で存在する、シリル-ヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、
(C)94~97重量パーセントの熱伝導性フィラーであって、
(c1)60~150マイクロメートルの範囲のD50を有する30重量%~55重量パーセント未満のアルミニウム粒子、
(c2)1~10マイクロメートルの範囲のD50を有する20~40重量パーセントの熱伝導性フィラー、
(c3)0.1~1マイクロメートル未満の範囲のD50を有する8~20重量パーセントの熱伝導性フィラー、及び
(c4)任意選択的に、20~80マイクロメートルの範囲のD50を有するゼロ~20重量パーセントの(c1)以外の熱伝導性フィラー、を含む、熱伝導性フィラーと、
(D)トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサン、及び任意選択的に、アルキルトリアルコキシシランを含む、0.1~2.5重量パーセントのフィラー処理剤と、を含み、
重量パーセントが、硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものである、硬化性熱伝導性組成物である。
【0007】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスである。プロセスは、硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて適用することと、次いで構成部品の間の所定の位置にある間に硬化性組成物を硬化させることと、を含む。
【0008】
第3の態様では、本発明は、第1の態様の硬化性熱伝導性組成物を物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて含む物品であって、硬化性熱伝導性組成物が硬化形態又は非硬化形態のいずれかである、物品である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
試験方法は、日付が試験方法の番号とともに示されていない場合、本文書の優先日に直近の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。本明細書では、以下の試験方法の略語及び識別子が適用され、ASTMは、ASTMインターナショナル法を指し、ISOは、国際標準化機構規格を指す。
【0010】
商品名で識別される製品は、本文書の優先日において、それらの商品名で入手可能な組成物を指す。
【0011】
「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示しない限り、終点を含む。
【0012】
「球状」形状の粒子は、1.0+/-0.2のアスペクト比を有する粒子を指す。走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像化を使用し、少なくとも10個の粒子の最長寸法(長軸)と最短寸法(短軸)との平均比を取ることで、粒子のアスペクト比を決定する。
【0013】
「不規則な」形状の粒子は、1.0+/-0.2以外のアスペクト比を有し、SEM画像化によって明らかな少なくとも3つの面を有する(2つの面を有する「板」から粒子を区別する)。
【0014】
熱伝導性フィラーの粒径(「平均粒径」及び「D50」と互換的に使用される)は、Malvern InstrumentsからのMastersizer(商標)(Malvern Instruments Limitedの商標)3000レーザー回折粒径分析装置を使用する、粒度分布の体積加重中央値(D50)を指す。
【0015】
粘度は、特に明記しない限り、ASTM D445-21に従って、ガラス毛細管キャノン-フェンスケ型粘度計を摂氏25度(℃)で使用して決定する。
【0016】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、架橋反応(「硬化」)を受けることができる。本組成物における架橋反応は、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン構成成分とシリル-ヒドリド(SiH)官能性ポリシロキサン架橋剤との間のヒドロシリル化反応である。
【0017】
本発明において有用なアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、分子当たり2つ以上のアルケニル基を有する。「アルケニル」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分岐状又は非分岐状の一価の炭化水素基を意味する。アルケニル基は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の組み合わせであり得る。「末端」基は、分子の末端シロキサン基上にある。「末端」シロキサン基は、1つのみの他のシロキサン基に結合している。「ペンダント」基は、分子の内部シロキサン基(少なくとも2つの他のシロキサン基に結合したシロキサン基)上にある。「シロキサン基」は、SiOの酸素を介して別のSiに結合しているSiOを含む基である。望ましくは、アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、分子当たり平均1つ以上の末端アルケニル基を有する。アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、25~2000ミリパスカル*秒(mPa*s)の範囲の粘度を有する。アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、分子量、構造、シロキサン単位、及び配列から選択される1つ以上の特性が異なり得る、2つ以上のアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせであり得る。アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、2つ以上のアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせである場合、粘度は、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせた粘度である。アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンの粘度は、ASTM D445-21に従って摂氏25度(℃)でガラス毛細管キャノン-フェンスケ型粘度計を使用することによって測定した場合に25mPa*s以上であり、30mPa*s以上、40mPa*s以上、50mPa*s以上、60mPa*s以上、70mPa*s以上、75mPa*s以上、78mPa*s以上、80mPa*s以上、100mPa*s以上、125mPa*s以上、150mPa*s以上、175mPa*s以上、更には200mPa*s以上であり得、かつ同時に2000mPa*s以下であり、1500mPa*s以下、1000mPa*s以下、500mPa*s以下、400mPa*s以下、300mPa*s以下、200mPa*s以下、150mPa*s以下、100mPa*s以下、90mPa*s以下、更には80mPa*sであり得る。
【0018】
本発明において有用なアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、以下の平均化学構造(I)を有し得、
【化2】
式中、R
aが、出現ごとに独立して、1~6つの炭素原子を有するアルキル基であり、R’が、出現ごとに独立して、アルケニル基であり、下付き文字a≧0であり、下付き文字b>0であり、下付き文字cが、ゼロ又は1であり、下付き文字dが、ゼロ又は1であり、(a+c+d)≧2、及び(a+b)が、20~350である。R
a基は、1つ以上の炭素、2つ以上の炭素、3つ以上の炭素、4つ以上の炭素、更には5つ以上の炭素を有し得、かつ同時に6つ以下の炭素、5つ以下の炭素、4つ以下の炭素、3つ以下の炭素、又は更には2つ以下の炭素を有し得る。例えば、R
aは、CH
3、CH
2CH
3、(CH
2)
2CH
3、(CH
2)
3CH
3、(CH
2)
4CH
3、及び(CH
2)
5CH
3であり得る。望ましくは、各R
aは、メチルである。R’によって表されるアルケニル基は、典型的には、2~8つの炭素原子、2~6つの炭素原子、又は2~4つの炭素原子を有する。R’に好適なアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニルなどのアルケニル基によって例示される。望ましくは、R’は、ビニルである。より望ましくは、下付き文字aは、ゼロであり、下付き文字cは、1であり、下付き文字dは、1であり、各R
aは、メチルである。
【0019】
下付き文字aは、分子当たりの(R’RaSiO)基の平均数である。下付き文字bは、分子当たりの(Ra
2SiO)基の平均数である。望ましくは、量(a+b)は、25以上であり、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、120以上、140以上、160以上、180以上、200以上、220以上、240以上、260以上、280以上、300以上、320以上、更には340以上であり得、かつ同時に、典型的には、350以下であり、340以下、320以下、300以下、280以下、260以下、240以下、240以下、220以下、200以下、180以下、160以下、140以下、120以下、100以下、80以下、60以下、更には40以下であり得る。
【0020】
望ましくは、量(a+c+d)は、2以上、更には3以上であり、かつ同時に、典型的には、30以下であり、20以下、10以下、又は更には3以下であり得る。
【0021】
好適なアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンの例としては、i)ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
より望ましくは、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、以下の平均化学構造(II)を有する1つ又は2つ以上のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルポリシロキサンの任意の組み合わせを含むか、又はそれらからなり、
【化3】
式中、Viが、ビニルを表し、下付き文字bが、分子当たりの((CH
3)
2SiO)基の平均数であり、20以上の値を有し、25以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、120以上、140以上、160以上、180以上、200以上、220以上、240以上、260以上、280以上、300以上、320以上、更には340以上であり得、かつ同時に、典型的には、350以下の値を有し、340以下、320以下、300以下、280以下、260以下、240以下、240以下、220以下、200以下、180以下、160以下、140以下、120以下、100以下、80以下、60以下、更には40以下であり得る。例えば、アルキル官能性ポリオルガノシロキサンは、78mPa*sの粘度を有し、分子量に対して1.25重量パーセント(重量%)のビニル基を含有する、SMS-V21の製品名でGelestから入手可能なものなどのビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであり得る。
【0023】
アルキル官能性ポリオルガノシロキサンの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、1.0重量%以上であり、1.5重量%以上、2.0重量%以上、2.4重量%以上、2.5重量%以上、2.6重量%以上、2.7重量%以上、2.8重量%以上、2.9重量%以上、又は更には3.0重量%以上であり得、かつ同時に、一般に、4重量%以下であり、3.8重量%以下、3.5重量%以下、3.3重量%以下、3.0重量%以下、2.9重量%以下、2.8重量%以下、2.7重量%以下、又は更には2.6重量%以下であり得る。
【0024】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、少なくとも1つのシリル-ヒドリド(SiH)官能性ポリシロキサン架橋剤(「架橋剤」とも)を更に含む。SiH官能性ポリシロキサン架橋剤は、分子当たり少なくとも2つの(すなわち、少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含有する)シリル-ヒドリド基、又は更には3つ以上のシリル-ヒドリド基を含有する。SiH基は、ペンダント、末端、又はペンダントと末端の両方の組み合わせであり得る。SiH官能性ポリシロキサン架橋剤は、以下の平均化学構造(III)を有し得、
【化4】
式中、R
bが、出現ごとに独立して、1~6つの炭素原子を有するアルキル基、及びフェニルから選択される。R
b基は、1つ以上の炭素、2つ以上の炭素、3つ以上の炭素、4つ以上の炭素、更には5つ以上の炭素を有し得、かつ同時に6つ以下の炭素、5つ以下の炭素、4つ以下の炭素、3つ以下の炭素、又は更には2つ以下の炭素を有し得る。望ましくは、R
b基は、出現ごとに独立して、メチル基及びフェニル基から選択される。
【0025】
Hは、水素原子であり、
下付き文字h及びh’は、両末端の末端水素原子の平均数を指し、各々が、出現ごとに独立して、ゼロ~3の範囲の値から選択されるが、a、h及びh’の組み合わせは少なくとも2であるものとする。望ましくは、h及びh’は、出現ごとに独立して、ゼロ以上、1以上、更には2以上であり、かつ同時に、3以下、2以下、更には1以下である。より望ましくは、h及びh’は、同じ値を有する。最も望ましくは、h及びh’は、両方ゼロである、
下付き文字eは、分子当たりの(HRbSiO)基の平均数である。h及びh’が、両方ゼロである場合、eは、2~30の範囲にある。h及びh’が、両方ゼロではない場合、下付き文字eは、ゼロ~30であり得るが、a、h、及びh’の組み合わせは2以上であるものとする。望ましくは、下付き文字eは、1以上であり、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得、かつ同時に、典型的には、30以下であり、25以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、更には2以下である。
【0026】
下付き文字fは、分子当たりの(Rb
2SiO)基の平均数である。一般に、下付き文字fは、5以上、10以上、20以上、25以上、30以上、40以上、50以上であり、75以上、100以上、125以上、150以上、175以上、更には190以上であり得、かつ同時に、典型的には、200以下、175以下、150以下、125以下、100以下、75以下、50以下、40以下、30以下、25以下、又は更には20以下である。
【0027】
好適なSiH官能性ポリシロキサン架橋剤としては、例えば、トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、水素末端ポリジメチルシロキサン、水素末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、又はこれらの混合物を挙げることができる。架橋剤は、分子量、構造、シロキサン単位、及び配列から選択される1つ以上の特性が異なり得る2つ以上の架橋剤の組み合わせであり得る。好適な市販のSiH架橋剤としては、全てGelestから入手可能なHMS-071、HMS-501及びDMS-H11の名称で入手可能なものが挙げられる。望ましくは、架橋剤は、(i)10~15ミリパスカル*秒の粘度を有し、シリル-ヒドリド基中に0.36重量パーセントの水素を含有するトリメチル末端ジメチル-co-水素メチルポリシロキサン、及び(ii)7~10ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有し、シリル-ヒドリド基中に0.16重量パーセントの水素を含有するヒドリド末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択されるポリマーの一方又は両方の組み合わせであり得る。
【0028】
SiH官能性ポリシロキサン架橋剤の濃度は、0.4以上であり、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、更には0.9以上であり得、かつ同時に1.5以下であり、1.4以下、1.2以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、又は更には0.6以下であり得る、架橋剤からのケイ素結合水素原子対硬化性熱伝導性組成物中のアルケニル基(望ましくは、ビニル基)のモル比(「SiH/Vi比」とも)を提供するのに十分である。SiH/Vi比は、硬化性熱伝導性組成物が硬化する際に生じる架橋度を決定する。SiH/Vi比が低すぎる場合、組成物は、十分に硬化しない傾向がある。SiH/Vi比が高すぎる場合、組成物は、硬化しすぎて脆くなり得、表面割れの問題が生じ得る。
【0029】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、熱伝導性フィラー(C)を更に含む。熱伝導性フィラーの総濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量基づいて、94重量%以上であり、94.4重量%以上、94.5重量%以上、95重量%以上、95.4重量%以上、更には95.5重量%以上であり得、かつ同時に、典型的には、97重量%以下であり、96.5重量%以下、96重量%以下、95.5重量%以下、95重量%以下、又は更には94.5重量%以下であり得る。
【0030】
本発明において有用な熱伝導性フィラー(C)は、少なくとも3つ、任意選択的に、4つの異なる熱伝導性フィラー、すなわち、以下に記載の(c1)、(c2)、(c3)、及び任意選択的に(c4)の組み合わせを含み、かつそれらからなり得る。
【0031】
第1の熱伝導性フィラー(c1)は、60μm以上のD50粒径を有し、65μm以上、70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、又は更には90μm以上のD50を有し得、かつ同時に150μm以下のD50粒径を有し、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、又は更には70μm以下のD50粒径を有し得る。望ましくは、アルミニウム粒子は、70~95μm、より望ましくは70~90μmのD50を有する。アルミニウム粒子は、顆粒状、ボール状、針状を含む形状のうちのいずれかを有し得、望ましくは、アルミニウム粒子は、球状形状である。アルミニウム粒子(c1)の濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、30重量%以上であり、31重量%以上、34重量%以上、35重量%以上、36重量%以上、38重量%以上、40重量%以上、42重量%以上、44重量%以上、又は更には46重量%以上であり得、かつ同時に55重量%以下であり、54重量%以下、53重量%以下、52重量%以下、51重量%以下、50重量%以下、48重量%以下、47重量%以下、46重量%以下、45重量%以下、42重量%以下、40重量%以下、38重量%以下、又は更には35重量%以下であり得る。望ましくは、第1の熱伝導性フィラーは、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、70~90μmのD50を有する30~52重量%のアルミニウム粒子である。
【0032】
第2の熱伝導性フィラー(c2)は、1μm以上のD50粒径を有し、1.5μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、又は更には5μm以上のD50を有し得、かつ同時に10μm以下のD50粒径を有し、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、又は更には5μm以下のD50を有し得る。第2の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、20重量%以上であり、22重量%以上、25重量%以上、26重量%以上、27重量%以上、28重量%以上、29重量%以上、更には30重量%以上であり得、かつ同時に40重量%以下であり、38重量%以下、36重量%以下、35重量%以下、34重量%以下、33.5重量%以下、33重量%以下、32重量%以下、又は更には31重量%以下であり得る。望ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムの一方又は両方の組み合わせである。より望ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、球状酸化アルミニウム及び不規則な窒化アルミニウムのうちの一方又は両方である。望ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、2~5μmのD50を有する30~35重量%の球状酸化アルミニウム粒子、又は1~5μmのD50を有する5~20重量%の不規則な窒化アルミニウム粒子と組み合わせた2~5μmのD50を有する5~25重量%の球状酸化アルミニウム粒子から選択される。
【0033】
第3の熱伝導性フィラー(c3)は、0.1μm以上のD50粒径を有し、0.2以上、0.3μm以上、0.5μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、更には0.9μm以上のD50を有し得、かつ同時に1μm未満のD50粒径を有し、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、又は更には0.2μm以下のD50を有し得る。第3の熱伝導性フィラー(c3)の濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、8重量%以上であり、10重量%以上、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、更には18重量%以上であり得、かつ同時に20重量%以下であり、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、又は更には11重量%以下であり得る。第3の熱伝導性フィラーは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、又はこれらの混合物から選択され得る。望ましくは、第3の熱伝導性フィラーは、粉砕されたか又は不規則な酸化亜鉛及び球状酸化アルミニウムのうちの一方又は両方である。より望ましくは、第3の熱伝導性フィラーは、0.1~0.5μmのD50を有する12~18重量%の不規則な酸化亜鉛粒子、又は0.2~0.8μmのD50を有する8~13重量%の球状酸化アルミニウム粒子から選択される。
【0034】
上記のアルミニウム粒子(c1)以外である第4の熱伝導性フィラー(c4)は、20μm以上のD50粒径を有し、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、更には50μm以上のD50を有し得、かつ同時に80μm以下のD50粒径を有し、70μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、又は更には45μm以下のD50を有し得る。第4の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、ゼロ以上であり、2重量%以上、4重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、更には18重量%以上であり得、かつ同時に20重量%以下であり、19重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、又は更には11重量%以下であり得る。第4の熱伝導性フィラーは、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び窒化ホウ素のうちの1つ又は2つ以上の任意の組み合わせから選択され得る。望ましくは、第4の熱伝導性フィラーは、窒化アルミニウム粒子である。より望ましくは、第4の熱伝導性フィラーは、存在する場合、20~50μmの範囲のD50を有する10~20重量%の球状窒化アルミニウム粒子である。
【0035】
本発明において有用な熱伝導性フィラーは、上記のこれら4つの熱伝導性フィラーに加えてフィラーを含んでもよいか、又はこれら4つ以外の熱伝導性フィラーを含まなくてもよい(すなわち、熱伝導性フィラーは、(c1)、(c2)、(c3)、及び任意選択的に(c4)からなる)。
【0036】
上記の粒子は、各々独立して、球状、不規則、粉砕された、又は血小板などの任意の形状を有し得る。望ましくは、上記の(c1)以外の各熱伝導性フィラーは、独立して、アルミニウム粒子、窒化アルミニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、及び窒化ホウ素粒子からなる群から選択される。
【0037】
望ましくは、本発明において有用な熱伝導性フィラーは、(c1)70~90μmのD50を有する30~52重量%のアルミニウム粒子と、(c2)2~5μmのD50を有する30~35重量%の酸化アルミニウム粒子、又は2~5μmのD50を有する5~25重量%の酸化アルミニウム粒子と1~5μmのD50を有する5~20重量%の窒化アルミニウム粒子との組み合わせと、(c3)0.1~0.5μmのD50を有する12~18重量%の酸化亜鉛粒子、又は0.2~0.8μmのD50を有する8~13重量%の酸化アルミニウム粒子と、任意選択的に、(c4)20~50μmのD50を有するゼロ~20重量%の窒化アルミニウム粒子と、を含むか、又はそれらからなる。
【0038】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、1つ又は2つ以上のフィラー処理剤(D)の組み合わせを含む。フィラー処理剤(D)は、1つ又は2つ以上のトリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサンの任意の組み合わせを含むか、又はそれらからなり、それは、-Si(OR
e)
3基を含有するジオルガノポリシロキサンであり、式中、R
eが、出現ごとに独立して、本明細書の以下の(IV)のR
eとして記載されている。望ましくは、トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサンは、モノ-トリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンである。好適なモノトリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンとしては、以下の平均化学構造(IV)を有するものが挙げられ、
【化5】
式中、R
c、R
d、及びR
eが、各々独立して、出現ごとに独立して、アルキル及びアリール基などの1~10個の炭素原子を有する、例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、更には8つ以上の炭素原子を有し、かつ同時に、典型的には、10個以下、8つ以下、6つ以下、4つ以下、更には2つ以下の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、下付き文字gが、典型的には20以上、25以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、又は更には110以上の値を有し、かつ同時に、典型的には200以下の値を有し、150以下、125以下、120以下、110以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は更には30以下であり得る。望ましくは、下付き文字gは、25~110の範囲の値を有する。各R
c、R
d、及びR
eは、同じであっても異なっていてもよい。R
c、R
d、及びR
eに好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソ-プロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに6つの炭素原子の分岐飽和炭化水素基によって例示される。R
c、R
d、及びR
eは、各々独立して、メチル、エチル、及びプロピルなどのアルキル基であり得る。望ましくは、各R
c、R
d、及びR
eは、メチルである。R
c、R
d、及びR
eに好適なアリール基としては、フェニル及びジメチルフェニルを挙げることができる。特に望ましいモノトリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンは、平均化学式(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
30Si(OCH
3)
3を有する。好適なモノ-トリアルコキシシロキシ末端ジメチルポリシロキサンは、米国特許出願公開第2006/0100336号の教示に従って合成することができる。
【0039】
本発明において有用なフィラー処理剤(D)は、1つ又は2つ以上のアルキルトリアルコキシシランの組み合わせを含んでも含まなくてもよい。好適なアルキルトリアルコキシシランとしては、以下の化学式(V)を有するものが挙げられ、
【化6】
式中、R
fが、出現ごとに独立して、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は更には10個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ同時に、典型的には、20個以下、18個以下、16個以下、14個以下、12個以下、又は更には10個以下の炭素原子を有するアルキルであり、R
gが、出現ごとに独立して、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は更には5つ以上の炭素原子を有し、かつ同時に、一般に、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、又は更には2つ以下の炭素原子を有するアルキルである。望ましくは、R
fは、出現ごとに独立して、6~20個の炭素原子を有するアルキル基である。R
gは、ケイ素原子に結合したメトキシル基を形成するようにメチルであることが望ましい。特に望ましいアルキルトリアルコキシシランは、n-デシルトリメトキシシランである。好適なアルキルトリアルコキシシランとしては、The Dow Chemical CompanyからDOWSIL(商標)Z-6210シラン(DOWSILは、The Dow Chemical Companyの商標である)として、又はGelestからSID2670.0の名称で入手可能であるn-デシルトリメトキシシランが挙げられる。
【0040】
本発明において有用なフィラー処理剤は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.1重量%以上である総濃度で存在し得、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1.0重量%以上、1.2以上、1.3重量%以上、更には1.4重量%以上であり得、かつ同時に、典型的には、2.5重量%以下であり、2.2重量%以下、2.0重量%以下、1.8重量%以下、1.6重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下、又は更には1.2重量%以下であり得る。望ましくは、トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサンは、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.3重量%以上の濃度で存在し、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1.0重量%以上、1.1重量%以上、1.2重量%以上、1.3重量%以上、又は更には1.4重量%以上であり得、かつ同時に、典型的には、2.5重量%以下の濃度で存在し、2.2重量%以下、2.0重量%以下、1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、1.5重量%以下、又は更には1.4重量%以下であり得る。同時に、又は代替的に、アルキルトリアルコキシシランは、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、ゼロ以上の濃度で存在し得、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、又は更には0.4重量%以上であり得、かつ同時に、典型的には、0.5重量%以下の濃度で存在し、0.4重量%以下、0.3重量%以下、又は更には0.2重量%以下であり得る。例えば、硬化性熱伝導性組成物は、(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]30Si(OCH3)3、又はn-デシルトリメトキシシランとのその組み合わせを含み得る。望ましくは、硬化性熱伝導性組成物は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、ゼロ~0.3重量%のn-デシルトリメトキシシランと、平均化学構造(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]30Si(OCH3)3を有する1.0~1.5重量%のモノトリメトキシシロキシ及びトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンと、を含む。
【0041】
硬化性熱伝導性組成物は、1つ又は2つ以上の白金系ヒドロシリル化反応触媒(E)の組み合わせを含んでも含まなくてもよい。そのようなヒドロシリル化反応触媒としては、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(カルステット触媒)、H2PtCl6、ジ-μ.-カルボニルジ-.π.-シクロペンタジエニルジニッケル、白金-カルボニル錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金アセチルアセトナート(acac)、白金黒、塩化白金酸などの白金化合物、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトナート)、二塩化白金、及び白金化合物とオレフィン若しくは低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコアシェル型構造でマイクロカプセル化された白金化合物などの化合物及び錯体を挙げることができる。ヒドロシリル化反応触媒は、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を含む、白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体を含む溶液の一部であり得る。これらの錯体は、樹脂マトリックス(典型的には、フェニル樹脂)中にマイクロカプセル化され得るか、又はカプセル化されていなくてもよい。例示的なヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号及び同第3,220,972号に記載されている。触媒は、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体であり得る。
【0042】
典型的には、白金系ヒドロシリル化反応触媒(E)は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.01重量%以上、0.03重量%以上、0.04重量%以上、0.05重量%以上、更には0.06重量%以上の白金濃度を提供するのに十分な濃度で存在し、かつ同時に、典型的には0.6重量%以下の白金濃度を提供し、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、又は更には0.04重量%以下であり得る。
【0043】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、1つ又は2つ以上のヒドロシリル化反応抑制剤(F)(「抑制剤」とも)の組み合わせを更に含んでも含まなくてもよい。抑制剤は、硬化性熱伝導性組成物を早期の硬化から安定化させ、組成物に保存安定性を提供する役割を果たすことができる。好適な抑制剤の例としては、2-メチル-3-ブチン-2-オール;3-メチル-1-ブチン-3-オール;3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール;2-フェニル-3-ブチン-2-オール;3-フェニル-1-ブチン-3-オール;1-エチニル-1-シクロヘキサノール;1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、及びメチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シランなどのアセチレン系化合物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、及び3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエン-イン化合物;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール;ヒドラジン系化合物;ホスフィン系化合物;メルカプタン系化合物;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニル シクロテトラシロキサン及び1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンなどのメチルビニルシクロシロキサンを含むシクロアルケニルシロキサンのうちのいずれか1つ又はそれらの2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0044】
抑制剤の濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、ゼロ以上であり、0.001重量%以上、0.002重量%以上、更には0.003重量%以上であり得、かつ同時に、典型的には0.5重量%以下であり、0.3重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.004重量%以下、更には0.003重量%以下であり得る。
【0045】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、40g/分以上の押出速度(extrusion rate、ER)を達成する。本明細書では、標準的な30立方センチメートルのEFDシリンジパッケージを用いて0.62メガパスカル(MegaPascal、MPa)の圧力及び25℃で押出速度を決定する(更なる詳細は、以下の押出速度試験で提供される)。熱伝導性組成物は、45g/分以上、50g/分以上、60g/分以上、又は更には70g/分以上の押出速度を有し得る。ERは、押出適性、粘度、分注適性、及び使用適性の尺度として有用な特性であり、例えば、硬化性熱伝導性組成物を電子構成部品又は熱シンクなどの別の材料上に適用するために容易に分注可能にする。同時に、本発明の硬化性熱伝導性組成物は、硬化した試料を用いてISO 22007-2に従ってホットディスクを使用して測定した場合に少なくとも10.0W/m*K、又は更には11.0W/m*K以上の熱伝導率を提供する(更なる詳細は、以下の熱伝導率試験で提供される)。そのような高い熱伝導率を有し、容易に分注可能であることによって、硬化性熱伝導性組成物は、2つの構成部品間で熱を効率的に伝達するための熱伝導性界面材料として特に有用になる。熱伝導性界面材料は、典型的には、発熱構成部品と放熱構成部品とを熱的に結合させるために、特に電子機器において使用される。硬化性熱伝導性組成物はまた、目視検査によって決定した場合に、粗いか又は粉末状の表面がないこと、及び油分離がないことによって示される、良好な均一性及び安定性を有し得る。
【0046】
本発明の硬化性熱伝導性組成物は、1つ又は2つ以上の溶媒の組み合わせを含んでも含まなくてもよい。溶媒の濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.01重量%未満、0.005重量%未満、又は更にはゼロであり得る。望ましくは、硬化性熱伝導性組成物は、溶媒を実質的に含まない、すなわち、溶媒を含有しないか、又は組成物中の出発材料の送達からの微量の残留溶媒を含有し得る。溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)によって測定することができる。溶媒の量が多すぎる場合、硬化性熱伝導性組成物を硬化させる間に空隙が生成される傾向があり、これは劣った表面外観を与えるか、又は更には熱伝導率の減少をもたらす。溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィン、テトラデセンなどの分子当たり8~18つの炭素原子と少なくとも1つの脂肪族不飽和とを有する炭化水素化合物などの、飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸エチル又は酢酸イソブチルなどの酢酸エステル;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサンなどのエーテル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンなどの3~10の平均重合度を有する環状又は線状シロキサン;又はこれらの混合物などの有機溶媒であり得る。硬化性熱伝導性組成物は、上の所望のER(すなわち、良好な加工性)及びTC特性を達成するために、上記のものなどの任意の溶媒の使用を必要としない。本発明はまた、硬化性熱伝導性組成物を調製する方法であって、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンと、SiHポリシロキサン架橋剤と、熱伝導性フィラーと、フィラー処理剤と、任意選択的に、水酸化反応触媒及び抑制剤と、を混合することを含む、方法に関する。
【0047】
本発明はまた、硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて適用することと、次いで、構成部品の間の所定の位置にある間に硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセスを含む。硬化性熱伝導性組成物の適用は、硬化性熱伝導性組成物を押出すことを伴い得る。硬化させることは、20~40℃で、又は60~150℃若しくは80~120℃などの40℃超の高温で加熱することによって行われ得る。硬化性熱伝導性組成物中の溶媒の濃度の低さ又は不在に起因して、プロセスは、溶媒を除去するための余分な手順、例えば溶媒をストリッピング又は蒸発させることを伴わない(すなわち、含まない)。上記の所望のER及びTC特性を有する生じる組成物を依然として提供しながら、硬化性熱伝導性組成物は、溶媒の補助なしに組成物を使用するためのプロセスを可能にし、また、使用前に組成物への溶媒の添加を必要とせずに物品の構成部品上に組成物を直接分注する(例えば、押出によって)ことを適用可能にする。
【0048】
本発明は、硬化性熱伝導性組成物と、少なくとも2つの構成部品と、を含む、物品であって、硬化性熱伝導性組成物が、物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触している、物品を更に含む。硬化性熱伝導性組成物は、硬化形態又は非硬化形態のいずれかであってよい。本発明の物品は、発熱デバイスなどの構成部品と、ヒートシンク、冷却板、金属カバー、又は他の放熱構成部品のうちの少なくとも1つとの間の効率的な熱伝導から利益を得るデバイスとして有用である。
【実施例】
【0049】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において記載するが、特に指定しない限り、全ての重量パーセントは、熱伝導性組成物の重量に対するものであり、フィラーの全ての粒径は、D50粒径である。表1は、本明細書で以下に記載される試料の熱伝導性組成物に使用するための材料を示す。注:「Vi」は、ビニルを表し、「Me」は、メチルを表す。SYL-OFFはDow Corning Corporationの商標である。
【表1】
*ポリシロキサンの粘度は、25℃でASTM D445-21によって測定した;「TCフィラー」は、熱伝導性フィラーを指す。
【0050】
IE1~8及びCE1~8試料
試料の配合を表2及び3に示し、各構成成分の量をグラム(gram、g)で報告する。FlackTek Inc.(South Carolina,USA)からのSpeedMixer(商標)DAC 400 FVZミキサーを使用して構成成分を一緒に混合することによって、試料を調製した。SpeedMixerのカップに、Viポリマー、架橋剤、処理剤、並びにTCフィラーC2及びC3を添加する。1000回転/分(revolutions per minute、RPM)で20秒間、次いで1500RPMで20秒間混合する。存在する場合、TCフィラーC1、C4、及びC5の半分を添加し、1000RPMで20秒間、次いで1500RPMで20秒間混合する。残りのTCフィラーを添加し、同じ方式で混合する。カップ内の生じた組成物を掻き取って、確実に均質に混合し、次いで抑制剤F-1及び触媒E-1を添加し、同様に混合して、硬化性熱伝導性組成物試料を得た。得られた熱伝導性組成物試料を、以下の試験方法に従って、押出速度熱伝導率、及び外観について評価した。
【0051】
押出速度試験
Nordson EFD分注装置を使用して、試料の押出速度(「ER」)を測定する。試料材料を、2.54ミリメートル(millimeter、mm)の開口部を有する30立方センチメートルのシリンジ(Nordson CompanyからのEFDシリンジ)にパッケージングする。シリンジに0.62MPaの圧力を印加することによって、開口部を通じて25℃で試料を分注する。1分後に押出された試料の質量(グラム)は、押出速度(グラム/分)に相当する。本発明の目的は、少なくとも40g/分の押出速度を達成することである。
【0052】
注目すべきことに、いくつかの試料は、押出すことができなかった粉末状ペーストであったので、0のERを有すると報告する(熱伝導率は測定されず、したがって、「NA」と報告する)。
【0053】
熱伝導率試験
ISO22007-2に従ってホットディスクを使用することによって、熱伝導率を決定する。硬化試料の熱伝導率を、3.189mmカプトンセンサー(モデル5465)を備えたホットディスクTPS 2500 S機材によって測定した。25mm*25mm*8mmの寸法を有する硬化性熱伝導性組成物試料を120℃で60分間硬化させることによって、硬化試料を調製した。本発明の目的は、少なくとも10.0ワット毎メートル毎ケルビン(W/m*K)の熱伝導率を達成することである。
【0054】
外観試験
外観を目視検査によって決定する。全ての構成成分を混合したら、表面外観について、生じた硬化性熱伝導性組成物試料を目視検査した。組成物が均一な表面を示す場合、組成物が良好な均一性及び安定性を有することを示しており、それによって外観試験に合格する。そうでなければ、粗いか若しくは粉末状の表面、又は油分離が観察される場合、外観試験は不合格である。
【0055】
本明細書で上記の押出速度試験を使用する押出速度、熱伝導率試験を使用する熱伝導率、及び外観試験を使用する外観について、各試料を特性評価した。
【0056】
表2は、IE1~8試料の特性評価結果を含有する。表2に示されるように、IE1~8試料は全て、少なくとも40g/分のER及び少なくとも10.0W/m*KのTCの両方の要件を達成した。
【0057】
表3は、CE1~8試料の特性評価結果を含有する。60~150μmの範囲のD50を有するアルミニウムフィラーを有さないCE1~CE5試料は、試料が60μmよりも小さいアルミニウムフィラーのみを含む場合でさえも、少なくとも40g/分のER及び少なくとも10W/m*Kの熱伝導率(thermal conductivity、TC)のいずれも達成できない。CE5試料と比較して、同じ種類のTCフィラーを低減された総濃度で含むCE6試料は、47g/分のERを達成したが、10W/m*Kよりもはるかに低いTCを達成した。それぞれ、21重量%及び57.9重量%の濃度で70μmのD50を有するアルミニウムフィラーを含むCE7及びCE8試料は、TC及びER要件のうちの少なくとも一方又は両方を達成することができなかった。
【表2】
注:表2及び以下の表3において、
「フィラー重量%」は、試料中の全ての構成成分の総重量に対する熱伝導性フィラーの総重量%を指す。
「フィラー体積%」は、試料中の全ての構成成分の総重量に対する熱伝導性フィラーの総体積濃度を指す。
「SiH/Vi比」は、架橋剤からのSiH官能性対ビニル官能性のモル比を指す。
「Al重量%(D50≧60μm)」は、試料中の全ての構成成分の総重量に対するD50≧60μmを有するアルミニウム粒子の重量%を指す。
「ER]、「TC」、及び「外観」は、上記の試験方法に従って評価した。
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性熱伝導性組成物であって、
(A)摂氏25度でガラス毛細管キャノン-フェンスケ型粘度計を使用するASTM D445-21によって決定した場合に25~2000ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有する1.0~4.0重量パーセントのアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンであって、前記アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、以下の平均化学構造(I)を有し、
【化1】
式中、R
aが、出現ごとに独立して、1~6つの炭素原子を有するアルキル基であり、R’が、出現ごとに独立して、アルケニル基であり、下付き文字a≧0であり、下付き文字b>0であり、下付き文字cが、ゼロ又は1であり、下付き文字dが、ゼロ又は1であり、(a+b)が、20~350であり、(a+c+d)≧2である、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンと、
(B)分子当たり少なくとも2つのシリル-ヒドリド基を含有し、0.4~1.5の前記組成物のケイ素結合水素原子対アルケニル基のモル比を提供する濃度で存在する、シリル-ヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、
(C)94~97重量パーセントの熱伝導性フィラーであって、
(c1)60~150マイクロメートルの範囲のD50を有する30重量%~55重量パーセント未満のアルミニウム粒子、
(c2)1~10マイクロメートルの範囲のD50を有し、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又はこれらの混合物から選択される、20~40重量パーセントの熱伝導性フィラー、
(c3)0.1~0.8マイクロメートルの範囲のD50を有し、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、又はこれらの混合物から選択される、8~20重量パーセントの熱伝導性フィラー、及び
(c4)任意選択的に、20~50マイクロメートルの範囲のD50を有する窒化アルミニウム粒子である、ゼロ~20重量パーセントの(c1)以外の熱伝導性フィラー、を含む、熱伝導性フィラーと、
(D)トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサン、及び任意選択的に、アルキルトリアルコキシシランを含む、0.1~2.5重量パーセントのフィラー処理剤と、を含み、
重量パーセントが、硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものである、硬化性熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.01~0.5重量パーセントの白金濃度を提供するのに十分な量で白金系ヒドロシリル化反応触媒を更に含む、請求項1に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記硬化性熱伝導性組成物の重量に基づいて、0.001~0.3重量パーセントのセントレーション(centration)でヒドロシリル化反応抑制剤を更に含む、請求項1又は2に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンが、以下の平均化学構造(II)を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルポリシロキサンを含み、
【化2】
式中、Viが、ビニルを表し、下付き文字bが、25~350の値を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項5】
前記トリアルコキシシリルジオルガノポリシロキサンが、以下の平均化学構造(IV)を有するモノ-トリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンであり、
【化3】
式中、R
c、R
d、及びR
eが、出現ごとに独立して、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、下付き文字gが、25~110の値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項6】
前記アルミニウム粒子が、70~95マイクロメートルのD50を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項7】
前記熱伝導性フィラーが、(c1)70~90μmのD50を有する30~52重量%のアルミニウム粒子と、(c2)2~5μmのD50を有する30~35重量%の酸化アルミニウム、又は2~5μmのD50を有する5~25重量%の酸化アルミニウムと1~5μmのD50を有する5~20重量%の窒化アルミニウムとの組み合わせと、(c3)0.1~0.5μmのD50を有する12~18重量%の酸化亜鉛、又は0.2~0.8μmのD50を有する8~13重量%の酸化アルミニウムと、任意選択的に、(c4)20~50μmのD50を有するゼロ~20重量%の窒化アルミニウムと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、前記硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて適用することと、次いで、前記構成部品の間の所定の位置にある間に前記硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項9】
前記硬化性熱伝導性組成物の前記適用が、前記硬化性熱伝導性組成物を押出すことを伴う、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて含む物品であって、前記硬化性熱伝導性組成物が、硬化形態又は非硬化形態のいずれかである、物品。
【国際調査報告】