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特表2025-505191分離マトリクスコンバータ及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】分離マトリクスコンバータ及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/10 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02M5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546333
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2022135138
(87)【国際公開番号】W WO2023226348
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202210565545.1
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517112122
【氏名又は名称】陽光電源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】荘 加才
(72)【発明者】
【氏名】徐 君
(72)【発明者】
【氏名】蔡 国慶
(72)【発明者】
【氏名】劉 威
【テーマコード(参考)】
5H750
【Fターム(参考)】
5H750AA01
5H750BA01
5H750CC07
5H750CC12
5H750DD14
5H750DD17
(57)【要約】
本願は、分離マトリクスコンバータ及び制御方法を開示し、コンバータは、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、双方向スイッチモジュールはブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、コンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、トランスの一次巻線は共振インダクタ及び共振キャパシタに直列接続された後にコンバータのブリッジアームの両端に接続され、双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、クランプキャパシタの両端は、モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、クランプキャパシタは、2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、クランプキャパシタは、双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管が動作する時に発生する電圧スパイクを抑制する。これにより、スイッチング管を保護し、さらにコンバータ全体の安全を保護し、コンバータ全体の信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離マトリクスコンバータであって、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、
前記双方向スイッチモジュールは前記ブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、前記コンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記トランスの一次巻線は前記共振インダクタ及び前記共振キャパシタに直列接続された後に前記コンバータのブリッジアームの両端に接続され、
前記双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、前記双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、前記クランプキャパシタの両端は、前記モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、前記クランプキャパシタは、前記2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、前記双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
前記クランプキャパシタは、前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管が動作する時に発生する電圧スパイクを抑制するために用いられる、
ことを特徴とするコンバータ。
【請求項2】
前記双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバータ。
【請求項3】
前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管、及び第4スイッチング管という4つの制御可能スイッチング管を含み、
前記第1スイッチング管の第1端及び前記第3スイッチング管の第1端はともに、前記クランプキャパシタの第1端に接続され、前記第2スイッチング管の第2端及び前記第4スイッチング管の第2端はともに、前記クランプキャパシタの第2端に接続され、前記第1スイッチング管の第2端は前記第2スイッチング管の第1端に接続され、前記第3スイッチング管の第2端は前記第4スイッチング管の第1端に接続され、
前記第1スイッチング管、前記第2スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第1端であり、前記第3スイッチング管、前記第4スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第2端である、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバータ。
【請求項4】
前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管という3つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオードという1つのダイオードを含み、
前記第1スイッチング管と前記第2スイッチング管とは直列接続されて前記モジュールの第1ブリッジアームを形成し、前記第3スイッチング管と前記第1ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第2ブリッジアームを形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバータ。
【請求項5】
前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管という2つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオード、第2ダイオードという2つのダイオードを含み、
前記第1スイッチング管と前記第1ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第1ブリッジアームを形成し、前記第2スイッチング管と前記第2ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第2ブリッジアームを形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバータ。
【請求項6】
前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラは具体的に、前記クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまで前記クランプキャパシタが放電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにし、前記第1プリセット電圧は前記第2プリセット電圧よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のコンバータ。
【請求項7】
前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラは具体的に、前記クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまで前記クランプキャパシタに充電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにし、
前記第3プリセット電圧は前記第4プリセット電圧よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のコンバータ。
【請求項8】
前記分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、前記3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの前記双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比でスイッチング動作をするように制御し、
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御し、
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御する、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載のコンバータ。
【請求項9】
各々の前記コンバータのブリッジアームが複数の前記双方向スイッチユニットを含む場合、複数の前記双方向スイッチユニットは直列接続される、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のコンバータ。
【請求項10】
前記トランスの二次巻線は整流ブリッジに接続され、前記整流ブリッジは、ダイオード、又は、制御可能スイッチング管のうちの少なくとも1項を含む、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のコンバータ。
【請求項11】
前記トランスは複数の二次巻線を含み、各々の二次巻線は、対応する整流ブリッジに接続される、
ことを特徴とする請求項9に記載のコンバータ。
【請求項12】
分離マトリクスコンバータの制御方法であって、前記分離マトリクスコンバータは、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、前記双方向スイッチモジュールは前記ブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、前記コンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、前記トランスの一次巻線は前記共振インダクタ及び前記共振キャパシタに直列接続された後に前記コンバータのブリッジアームの両端に接続され、前記双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、前記双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、前記クランプキャパシタの両端は、前記モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、前記クランプキャパシタは、前記2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、前記双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
当該方法は、
前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管を制御して動作させるステップと、
前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の動作時の電圧スパイクを抑制するように前記クランプキャパシタを制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
前記双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する、
ことを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管、及び第4スイッチング管という4つの制御可能スイッチング管を含み、
前記第1スイッチング管の第1端及び前記第3スイッチング管の第1端はともに、前記クランプキャパシタの第1端に接続され、前記第2スイッチング管の第2端及び前記第4スイッチング管の第2端はともに、前記クランプキャパシタの第2端に接続され、前記第1スイッチング管の第2端は前記第2スイッチング管の第1端に接続され、前記第3スイッチング管の第2端は前記第4スイッチング管の第1端に接続され、
前記第1スイッチング管、前記第2スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第1端であり、前記第3スイッチング管、前記第4スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第2端である、
ことを特徴とする請求項13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまで前記クランプキャパシタが放電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにするステップをさらに含み、前記第1プリセット電圧は前記第2プリセット電圧よりも大きい、
ことを特徴とする請求項12~13のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項16】
前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまで前記クランプキャパシタに充電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにするステップをさらに含み、
前記第3プリセット電圧は前記第4プリセット電圧よりも小さい、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の制御方法。
【請求項17】
前記分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、前記3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの前記双方向スイッチモジュールを含み、
当該方法は、
相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比でスイッチング動作をするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年5月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210565545.1であって、出願の名称が「分離マトリクスコンバータ及び制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容を本願に参照により援用する。
[技術分野]
本願は、電力電子という技術的分野に関し、具体的には、分離マトリクスコンバータ及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離マトリクスコンバータは一般的に、双方向スイッチ及びトランスを含み、トランスの入力端は共振回路をさらに含み、一般的には、交流から交流への変換を実現することができ、交流から直流への変換を実現することもできる。例えば、入力は交流、出力は直流である。
【0003】
図1を参照し、当該図は、従来技術によって提供される分離マトリクスコンバータの概略図である。
【0004】
図1に示すように、当該分離マトリクスコンバータの入力端は3相交流に接続され、分離マトリクスコンバータの各相は双方向スイッチを含み、即ち、直列接続された2つのスイッチング管の逆並列ダイオードが逆方向であり、電流が上下両方向にともに流れることが許容される。トランスの一次巻線はインダクタ、キャパシタを直列接続し、LLC共振を形成する。しかしながら、図1に示す分離マトリクスコンバータの双方向スイッチの電圧クランプは交流電力の線間電圧であり、共振領域を通過する際に、スイッチング管には大きな電流切替が現れ、よって、電圧スパイクが高すぎてスイッチング管の過電圧故障を引き起こすことが現れる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑み、本願の実施例は、スイッチング管が動作する時に引き起こす電圧スパイクを抑制し、スイッチング管を保護することができる分離マトリクスコンバータ及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、分離マトリクスコンバータを提供し、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、
前記双方向スイッチモジュールは前記ブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、前記コンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記トランスの一次巻線は前記共振インダクタ及び前記共振キャパシタに直列接続された後に前記コンバータのブリッジアームの両端に接続され、
前記双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、前記双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、前記クランプキャパシタの両端は、前記モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、前記クランプキャパシタは、前記2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、前記双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
前記クランプキャパシタは、前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管が動作する時に発生する電圧スパイクを抑制するために用いられる。
【0007】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する。
【0008】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管、及び第4スイッチング管という4つの制御可能スイッチング管を含み、
前記第1スイッチング管の第1端及び前記第3スイッチング管の第1端はともに、前記クランプキャパシタの第1端に接続され、前記第2スイッチング管の第2端及び前記第4スイッチング管の第2端はともに、前記クランプキャパシタの第2端に接続され、前記第1スイッチング管の第2端は前記第2スイッチング管の第1端に接続され、前記第3スイッチング管の第2端は前記第4スイッチング管の第1端に接続され、
前記第1スイッチング管、前記第2スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第1端であり、前記第3スイッチング管、前記第4スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第2端である。
【0009】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管という3つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオードという1つのダイオードを含み、
前記第1スイッチング管と前記第2スイッチング管とは直列接続されて前記モジュールの第1ブリッジアームを形成し、前記第3スイッチング管と前記第1ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第2ブリッジアームを形成する。
【0010】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管という2つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオード、第2ダイオードという2つのダイオードを含み、
前記第1スイッチング管と前記第1ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第1ブリッジアームを形成し、前記第2スイッチング管と前記第2ダイオードとは直列接続されて前記モジュールの第2ブリッジアームを形成する。
【0011】
好ましくは、前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラは具体的に、前記クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまで前記クランプキャパシタが放電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにし、前記第1プリセット電圧は前記第2プリセット電圧よりも大きい。
【0012】
好ましくは、前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラは具体的に、前記クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまで前記クランプキャパシタに充電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにし、
前記第3プリセット電圧は前記第4プリセット電圧よりも小さい。
【0013】
好ましくは、前記分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、前記3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの前記双方向スイッチモジュールを含み、
前記コンバータはコントローラをさらに含み、前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比でスイッチング動作をするように制御し、
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御し、
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御する。
【0014】
好ましくは、各々の前記コンバータのブリッジアームが複数の前記双方向スイッチユニットを含む場合、複数の前記双方向スイッチユニットは直列接続される。
【0015】
好ましくは、前記トランスの二次巻線は整流ブリッジに接続され、前記整流ブリッジは、ダイオード、又は、制御可能スイッチング管のうちの少なくとも1項を含む。
【0016】
好ましくは、前記トランスは複数の二次巻線を含み、各々の二次巻線は、対応する整流ブリッジに接続される。
【0017】
本願は、分離マトリクスコンバータの制御方法をさらに提供し、分離マトリクスコンバータは、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、前記双方向スイッチモジュールは前記ブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、前記コンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、前記トランスの一次巻線は前記共振インダクタ及び前記共振キャパシタに直列接続された後に前記コンバータのブリッジアームの両端に接続され、前記双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、前記双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、前記クランプキャパシタの両端は、前記モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、前記クランプキャパシタは、前記2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、前記双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
当該方法は、
前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管を制御して動作させるステップと、
前記双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の動作時の電圧スパイクを抑制するように前記クランプキャパシタを制御するステップと、を含む。
【0018】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する。
【0019】
好ましくは、前記双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管、及び第4スイッチング管という4つの制御可能スイッチング管を含み、
前記第1スイッチング管の第1端及び前記第3スイッチング管の第1端はともに、前記クランプキャパシタの第1端に接続され、前記第2スイッチング管の第2端及び前記第4スイッチング管の第2端はともに、前記クランプキャパシタの第2端に接続され、前記第1スイッチング管の第2端は前記第2スイッチング管の第1端に接続され、前記第3スイッチング管の第2端は前記第4スイッチング管の第1端に接続され、
前記第1スイッチング管、前記第2スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第1端であり、前記第3スイッチング管、前記第4スイッチング管の共通端は前記双方向スイッチモジュールの第2端である。
【0020】
好ましくは、前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまで前記クランプキャパシタが放電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにするステップをさらに含み、前記第1プリセット電圧は前記第2プリセット電圧よりも大きい。
【0021】
好ましくは、前記コンバータは、直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含み、
前記クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、前記クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまで前記クランプキャパシタに充電するように前記双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるようにするステップをさらに含み、
前記第3プリセット電圧は前記第4プリセット電圧よりも小さい。
【0022】
好ましくは、前記分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、前記3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの前記双方向スイッチモジュールを含み、
当該方法は、
相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比でスイッチング動作をするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、をさらに含む。
【0023】
このように、本願の実施例は以下のような有益な効果を有する。
当該分離マトリクスコンバータは双方向スイッチモジュールを含み、双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、クランプキャパシタの両端は、モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、クランプキャパシタは、2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、クランプキャパシタは、動作過程にスイッチング管が発生する電圧スパイクを抑制することができ、これにより、スイッチング管を保護し、さらにコンバータ全体の安全を保護し、コンバータ全体の信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術によって提供される分離マトリクスコンバータの概略図である。
図2】本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの概略図である。
図3】本願の実施例によって提供されるさらに別の分離マトリクスコンバータの概略図である。
図4】本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールの概略図である。
図5】本願の実施例によって提供されるさらに別の双方向スイッチモジュールの概略図である。
図6】本願の実施例によって提供される別の双方向スイッチモジュールの概略図である。
図7】本願の実施例によって提供されるもう1つの双方向スイッチモジュールの概略図である。
図8】本願の実施例によって提供されるさらに別の分離マトリクスコンバータの概略図である。
図9】本願の実施例によって提供されるもう1つの分離マトリクスコンバータの概略図である。
図10】本願の実施例によって提供される3相交流電圧のオシログラムである。
図11】本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの双方向スイッチモジュールの駆動タイミング図である。
図12A】本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング動作の作動原理図である。
図12B】本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング動作の作動原理図である。
図12C】本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング動作の作動原理図である。
図12D】本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング動作の作動原理図である。
図13】本願の実施例によって提供されるQ4のオフ過程の電圧ストレス概略図である。
図14】本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
当業者に本願によって提供される技術案をよりよく理解させるために、以下、先に具体的な適用シーンを紹介する。
【0026】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータは、DC-AC-DCコンバータとしてもよいし、AC-AC-DCコンバータとしてもよく、即ち、入力は直流であってもよいし、交流であってもよいが、一般的には、出力は直流である。また、入力は3相であってもよいし、1相であってもよく、出力は1相であってもよく、即ち、負荷へ直流を出力する。
【0027】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータは、具体的な適用シーンを限定せず、例えば、分離マトリクスコンバータのトランスの二次巻線が複数含まれる場合、各々の二次巻線は1つの整流ブリッジに接続され、各々の整流ブリッジの出力は1つの負荷に接続することができ、例えば、新エネルギー自動車のために充電し、即ち、充電パイルシーンに適用され、各々の出力は、1つの充電ガンに接続して新エネルギー自動車に対して直流充電することができる。
【0028】
また、当該分離マトリクスコンバータは、他の電気機器のために給電してもよく、例えば、サーバ等の機械室の電気使用である。
【0029】
また、当該分離マトリクスコンバータのトランスの二次巻線の接続された整流ブリッジに制御可能スイッチング管が含まれる場合、当該分離マトリクスコンバータは、双方向コンバータとしてもよく、即ち、エネルギーは双方向に流れることができ、例えば、直流から交流へ変換し、又は、交流から直流へ変換する。
【0030】
コンバータの実施例
以下、図面を結合して本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータを詳しく紹介し、3相交流入力を例として紹介する。
【0031】
図2を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの概略図である。
【0032】
本実施例によって提供される分離マトリクスコンバータは、双方向スイッチモジュール100、トランスTx、共振インダクタLr、共振キャパシタCr、及びブリッジアームキャパシタを含み、図2に示すように、3相交流入力を例として、3相ブリッジアームに対応し、A相のブリッジアームキャパシタはCA、B相のブリッジアームキャパシタはCB、C相のブリッジアームキャパシタはCCである。
【0033】
双方向スイッチモジュール100はブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、分離マトリクスコンバータの各々のブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、本願の実施例は、各相ブリッジアームに含まれる双方向スイッチモジュール100の数を具体的に限定せず、図2において、各相ブリッジアームは、直列接続された複数の双方向スイッチモジュール100を含み、例えば、A相ブリッジアームのn個の双方向スイッチモジュールはそれぞれ、MA1~MAnであり、同じ原理により、B相ブリッジアームのn個の双方向スイッチモジュールはそれぞれ、MB1~MBnであり、C相ブリッジアームのn個の双方向スイッチモジュールはそれぞれ、MC1~MCnである。nは1以上の整数である。
【0034】
分離マトリクスコンバータにおける各相のブリッジアームの上半部ブリッジアームは双方向スイッチモジュールであり、下半部ブリッジアームはブリッジアームキャパシタであり、双方向スイッチモジュールはブリッジアームキャパシタに直列接続されて各相のブリッジアーム全体を形成する。
【0035】
トランスの一次巻線は共振インダクタLr、共振キャパシタCrに直列接続されて分離マトリクスコンバータのブリッジアームの両端に接続され、トランスの一次巻線は、共振インダクタLr、共振キャパシタCrに直列接続されてLLC直列共振を形成する。
【0036】
双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、クランプキャパシタの両端は、モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、クランプキャパシタは、2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
クランプキャパシタは、双方向スイッチユニットにおけるスイッチング管が動作過程で発生する電圧スパイクを抑制するために用いられる。
【0037】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータにおける双方向スイッチモジュールは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含む必要があり、即ち、4つを含んでもよいし、3つを含んでもよいし、2つを含んでもよいが、制御可能スイッチング管を1つだけ含むと、クランプキャパシタの充放電を実現できない。双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する必要がある。
【0038】
図2において、双方向スイッチモジュールが、第1スイッチング管Q1、第2スイッチング管Q2、第3スイッチング管Q3、及び第4スイッチング管Q4という4つの制御可能スイッチング管を含むことを例として紹介する。還流ループを形成するために、各々のスイッチング管は逆並列ダイオードを含み、即ち、第1スイッチング管Q1の逆並列ダイオードはD1、第2スイッチング管Q2の逆並列ダイオードはD2、第3スイッチング管Q3の逆並列ダイオードはD3、第4スイッチング管Q4の逆並列ダイオードはD4である。
【0039】
第1スイッチング管Q1の第1端及び第3スイッチング管Q3の第1端はともに、クランプキャパシタC1の第1端に接続され、第2スイッチング管Q2の第2端及び第4スイッチング管Q4の第2端はともに、クランプキャパシタC1の第2端に接続され、第1スイッチング管Q1の第2端は第2スイッチング管Q2の第1端に接続され、第3スイッチング管Q3の第2端は第4スイッチング管Q4の第1端に接続され、
第1スイッチング管Q1、第2スイッチング管Q2の共通端は双方向スイッチモジュールの第1端であり、第3スイッチング管Q3、第4スイッチング管Q4の共通端は双方向スイッチモジュールの第2端である。
【0040】
図2において、分離マトリクスコンバータの出力端がフルブリッジ整流ブリッジに接続されることを例として、それに、整流ブリッジが4つのダイオード、即ち、第4ダイオードD4、第5ダイオードD5、第6ダイオードD6、第7ダイオードD7を含むことを例として、第4ダイオードD4と第5ダイオードD5とは直列接続されて整流ブリッジの一方のブリッジアームを形成し、第6ダイオードD6と第7ダイオードD7とは直列接続されて整流ブリッジの他方のブリッジアームを形成する。整流ブリッジの出力端は出力キャパシタCbusに接続される。
【0041】
図2には、整流ブリッジがダイオードを含むことのみが示され、また、整流ブリッジは、制御可能スイッチング管、又は、制御可能スイッチング管とダイオードとの混合を含んでもよく、整流ブリッジのブリッジアームが制御可能スイッチング管を含む場合、当該分離マトリクスコンバータは、電力の双方向変換を実現でき、即ち、直流から交流への変換を実現できる。整流ブリッジの一方側は入力端である。
【0042】
図2において、各相ブリッジアームが双方向スイッチモジュールを1つだけ含む場合、図3に示すように、当該図は、本願の実施例によって提供されるさらに別の分離マトリクスコンバータの概略図である。
【0043】
図3において、各相ブリッジアームは、双方向スイッチモジュールを1つだけ含み、残りは図2と同じであり、ここでは贅言しない。
【0044】
図2及び図3における双方向スイッチモジュールはいずれも、すべてが制御可能スイッチング管である場合であり、以下、制御可能スイッチング管とダイオードとの混合を含む場合を紹介する。
【0045】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータについて、双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管という2つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオード、第2ダイオードという2つのダイオードを含み、第1スイッチング管と第1ダイオードとは直列接続されてモジュールの第1ブリッジアームを形成し、第2スイッチング管と前記第2ダイオードとは直列接続されてモジュールの第2ブリッジアームを形成する。以上の第1スイッチング管、第2スイッチング管は、スイッチング管の名称に過ぎず、具体的に位置を示すものではない。
【0046】
本願の実施例は、2つのダイオードの位置を具体的に限定せず、例えば、同時に2つの上半部ブリッジアームに位置してもよいし、同時に2つの下半部ブリッジアームに位置してもよい。
【0047】
図4を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールの概略図である。
【0048】
図4において、2つの上半部ブリッジアームが制御可能スイッチング管、2つの下半部ブリッジアームがダイオードであることを例として紹介する。即ち、Q1、Q3はともに、制御可能スイッチング管であり、D2、D4はともに、ダイオードであり、それに、Q1は、逆並列ダイオードD1を含み、Q3は、逆並列ダイオードD3を含む。クランプキャパシタC1はモジュールのブリッジアームの両端に接続される。
【0049】
図5を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供されるさらに別の双方向スイッチモジュールの概略図である。
【0050】
図5において、2つの上半部ブリッジアームがダイオード、2つの下半部ブリッジアームが制御可能スイッチング管であることを例として紹介する。即ち、Q12、Q14はともに、制御可能スイッチング管であり、D11、D13はともに、ダイオードであり、それに、Q12は、逆並列ダイオードD12を含み、Q14は、逆並列ダイオードD14を含む。クランプキャパシタC1はモジュールのブリッジアームの両端に接続される。
【0051】
図4及び図5は、ともに2つの制御可能スイッチング管、及び2つのダイオードを含む場合を紹介し、以下、図面を結合して、双方向スイッチモジュールが3つの制御可能スイッチング管及び1つのダイオードを含む場合を紹介する。即ち、双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管という3つの制御可能スイッチング管、及び第1ダイオードという1つのダイオードを含み、第1スイッチング管と第2スイッチング管とは直列接続されてモジュールの第1ブリッジアームを形成し、第3スイッチング管と第1ダイオードとは直列接続されてモジュールの第2ブリッジアームを形成する。
【0052】
図6を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される別の双方向スイッチモジュールの概略図である。
【0053】
図6において、左側のブリッジアームは2つの制御可能スイッチング管Q1、Q2を含み、右側の上半部ブリッジアームは制御可能スイッチング管Q3を含み、右側の下半部ブリッジアームはダイオードD4を含む。Q1の逆並列ダイオードはD1、Q2の逆並列ダイオードはD2、Q3の逆並列ダイオードはD3である。クランプキャパシタC1はモジュールのブリッジアームの両端に接続される。
【0054】
図7を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供されるもう1つの双方向スイッチモジュールの概略図である。
【0055】
図7において、左側のブリッジアームは2つの制御可能スイッチング管Q1、Q2を含み、右側の上半部ブリッジアームはダイオードD3を含み、右側の下半部ブリッジアームは制御可能スイッチング管Q4を含む。Q1の逆並列ダイオードはD1、Q2の逆並列ダイオードはD2、Q4の逆並列ダイオードはD4である。クランプキャパシタC1はモジュールのブリッジアームの両端に接続される。
【0056】
なお、図6及び図7において、1つのダイオードの位置を例示するに過ぎず、当該ダイオードは、4つのハーフブリッジアームのいずれかに位置することができる。図6及び図7は、3つの制御可能スイッチング管を含み、各々の双方向スイッチモジュールの電圧をいずれも制御できるのを保証でき、具体的には、制御可能スイッチング管のデューティ比を調整することでモジュールの電圧を調節することができる。
【0057】
トランスの二次巻線は整流ブリッジに接続され、整流ブリッジは、ダイオード、又は、制御可能スイッチング管のうちの少なくとも1項を含む。
【0058】
整流ブリッジがダイオードを含む場合、図3を参照し、図3におけるトランスの二次巻線は1つだけであり、以下、トランスが複数の二次巻線を含む場合を紹介する。
【0059】
トランスは複数の二次巻線を含み、各々の二次巻線は、対応する整流ブリッジに接続される。トランスの二次巻線が複数含まれるため、複数の出力ポートに対応し、後段コンバータを増加して各出力ポートの電圧、電力の柔軟な調節を実現することができる。
【0060】
図8を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供されるさらに別の分離マトリクスコンバータの概略図である。
【0061】
図8において、トランスはn個の二次巻線を含み、nは1よりも大きい整数であり、各々の巻線は、対応する整流ブリッジに接続される。例えば、第1整流ブリッジは4つのダイオードD5~D8を含み、第1整流ブリッジの出力キャパシタはCbus1である。第n整流ブリッジは4つのダイオードDn5~Dn8を含み、第n整流ブリッジの出力キャパシタはCbusnである。
【0062】
図8に示す分離マトリクスコンバータは、電気自動車の充電シーンに適用されることができ、各々の整流ブリッジは1つの充電ガンに対応し、電気自動車のために充電する。例えば、分離マトリクスコンバータの入力電圧は、交流10kV又は交流35kVであってもよい。
【0063】
以上に紹介した分離マトリクスコンバータはいずれも、整流ブリッジがダイオードを含むことを例として紹介したものであり、以下、整流ブリッジが制御可能スイッチング管を含む場合を紹介する。
【0064】
図9を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供されるもう1つの分離マトリクスコンバータの概略図である。
【0065】
図9における整流ブリッジは4つの制御可能スイッチング管、即ち、Q5~Q8を含み、各々の制御可能スイッチング管は、対応する逆並列ダイオードを含み、即ち、Q5~Q8の逆並列ダイオードはそれぞれ、D5~D8である。整流ブリッジの出力キャパシタはC1である。
【0066】
図9に示す分離マトリクスコンバータは、右側が光起電力アレイに接続され、即ち、右側を入力端とし、左側を交流出力端とし、光起電力発電の交流グリッド接続を実現する。
【0067】
本願の実施例は、分離マトリクスコンバータの適用シーンを具体的に限定せず、双方向スイッチモジュールの数も限定せず、整流ブリッジの数、及び整流ブリッジにおけるスイッチング管のタイプも限定せず、各々の双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管のタイプも限定せず、以上に紹介した各種の実現方式の間は自由に結合することができる。
【0068】
以下、図面を結合して本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの作動原理を詳しく紹介する。分離マトリクスコンバータの回路については、図3を参照し、双方向スイッチモジュールにおいていずれも制御可能スイッチング管であることを例とする。
【0069】
図10を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される3相交流電圧のオシログラムである。
【0070】
仮に3相電力網の電圧波形が図10に示すものであると、A相、B相、及びC相の間は順次120度異なり、0~30度の場合にA相電圧の絶対値が最も大きく、B相の絶対値が最も小さく、C相の絶対値が2番目に小さく、それに、A相電圧はB相電圧、C相電圧と逆である。図3に示す回路のように、双方向スイッチモジュールにおけるQ2、Q4はメインスイッチング管であり、Q1、Q3はオフすると、Q2、Q4管の正常作動時のスイッチタイミングは図11に示すようである。
【0071】
図11を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの双方向スイッチモジュールの駆動タイミング図である。
【0072】
分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、
コンバータはコントローラをさらに含み、
図10に示す3相電圧を結合すれば、A相電圧の絶対値が最も高く、C相電圧の絶対値が2番目に高く、B相電圧の絶対値が最も小さい。図11において、Qa2は、A相のQ2の駆動タイミングを示し、Qa4は、A相のQ4の駆動タイミングを示し、Qc2は、C相のQ2の駆動タイミングを示し、Qc4は、C相のQ4の駆動タイミングを示し、Qb2は、B相のQ2の駆動タイミングを示し、Qb4は、B相のQ4の駆動タイミングを示す。
【0073】
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比又はプリセットスイッチ周波数で動作するように制御し、例えば、デューティ比は50%である。
【0074】
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御し、それに、両スイッチは同時にオフし、Q4デューティ比は当該ユニットの実際のデューティ比であり、当該デューティ比は、当該相電圧値と最高相電圧との関係に応じて特定される。
【0075】
前記コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御する。それに、両スイッチは同時にオフし、Q2デューティ比は当該ユニットの実際のデューティ比であり、当該デューティ比は、当該相電圧値と最高相電圧値との関係に応じて特定される。
【0076】
双方向スイッチモジュールにおける以上のスイッチング管の具体的な位置は、実際のトポロジ構造に応じて特定でき、異なる双方向スイッチモジュールは、示すスイッチング管が異なる可能性があり、例えば、上部の2つのハーフブリッジアームが制御可能スイッチング管を含む場合は、下部の2つのハーフブリッジアームが制御可能スイッチング管を含む場合と区別がある。しかしながら、双方向スイッチモジュールの構造にかかわらず、以上は、電圧ストレスを受けるスイッチング管と、電圧ストレスを受けないスイッチング管とで区分される。
【0077】
理解の便宜上、以下、図10に示す0~30度で、A相の相電圧の絶対値が最も高いことを結合して、それを例として紹介する。
【0078】
コントローラはさらに、相電圧の絶対値が最も高い相の第2スイッチング管Q2がオンし、最も高い相の第4スイッチング管Q4がプリセットデューティ比又はプリセットスイッチ周波数でスイッチング動作をするように制御し、例えば、プリセットデューティ比は50%であり、
相電圧の絶対値が2番目に高い相の第4スイッチング管Q4が、最も高い相の第4スイッチング管Q4がオフする前にオンし、相電圧の絶対値が2番目に高い相の第2スイッチング管Q2が、2番目に高い相の第4スイッチング管Q4がオフした後にオンするように制御し、
相電圧の絶対値が最も小さい相の第2スイッチング管Q2が、2番目に高い相の第2スイッチング管Q2、第4スイッチング管Q4がオフする前にオンし、相電圧の絶対値が最も小さい相の第4スイッチング管Q4が、2番目に高い相の第2スイッチング管Q2、第4スイッチング管Q4がオフした後にオンするように制御する。
【0079】
以上のQ2、Q4は、各相における第2スイッチング管、第4スイッチング管を示し、各相における4つのスイッチング管の番号は同じであり、異なる相のみで区分される。
【0080】
コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、コントローラは具体的に、クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまでクランプキャパシタが放電するように双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させ、第1プリセット電圧は第2プリセット電圧よりも大きく、これにより、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとり、
コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、コントローラは具体的に、クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまでクランプキャパシタが充電するように双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとり、第3プリセット電圧は第4プリセット電圧よりも小さく、
第2プリセット電圧は第3プリセット電圧よりも大きい。
【0081】
本実施例によって提供されるコンバータについて、コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、双方向スイッチモジュールにおける制御可能スイッチング管の動作を制御することで、クランプキャパシタを充電又は放電することができ、さらにクランプキャパシタ上の電圧を変更し、複数の直列接続された双方向スイッチモジュールの間の電圧バランスを実現し、電圧がバランスされる場合、複数の双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の電圧ストレスが均等であることを含んでもよく、ある双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の受ける電圧ストレスが大きく、ある双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の受ける電圧ストレスが小さいことが現れず、これにより、スイッチング管をよりよく保護することができる。
【0082】
図12A図12Dを参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング動作の作動原理図である。
【0083】
図12A図12Dに示すように、0~30度時のA相のスイッチング管Q4のオフ過程、クランプキャパシタC1の作動原理であり、Q4のオフ過程に、ループの寄生インダクタは、Q4で高い電圧スパイクを発振する可能性があり、C1の存在により、電圧スパイクはC1の電圧に制限され、即ち、C1はスパイク電圧をクランプし、電圧スパイクを効果的に抑制する。
【0084】
C1が制御可能スイッチング管を効果的に保護するのを保証するために、C1の両端の電圧が合理的な範囲内に制御されることが要求される。例えば、正常電圧はV0に設置され、電圧が第1プリセット電圧V1よりも高い場合、モジュールは、過電圧放電作動モードに入り、電圧が第2プリセット電圧V2よりも低くなると、過電圧放電モードから退出し、電圧が第3プリセット電圧V3よりも低い場合、モジュールは、低電圧充電モードに入り、電圧が第4プリセット電圧V4よりも高くなると、低電圧充電モードから退出する。以下、A相がそれぞれ、最大値(0~30度)、中間値(30~60度)、最小値(60~90度)にある場合で、クランプキャパシタC1の充放電モードの作動過程を紹介する。
【0085】
0~30度について、A相の双方向スイッチモジュールのクランプキャパシタC1の電圧がV2よりも低い場合、当該モジュールは母線低電圧充電モードに入り、当該モードでは、当該モジュールのロングパス管Q2をターンオフし、かつ当該モジュールがQ4をターンオンする必要がある時点でQ4をスタートアップしなくなる。メイン電力ループ電流はC1を充電する。当該モジュールのC1の両端の電圧がV4よりも高い場合、次のスイッチング周期Q2で引き続きロングパス状態に入り、Q4は設定されたロジックに応じてスイッチの切り替えを行う。当該モジュールの吸収クランプキャパシタC1の電圧がV1よりも高い場合、当該モジュールは母線過電圧放電モードに入り、当該モードでは、Q4のオン時点で当該モジュールのロングパス管Q2をターンオフしてQ1をシャットダウンし、ループ電流はC1を充電し、各相ブリッジアームが、直列接続された複数の双方向スイッチモジュールを含む場合、A相の他のモジュールの電圧ストレスを軽減するために、Q4がオフする時に、同時にQ1をオフしてQ2をターンオンする。次のスイッチング周期で引き続き放電し、C1の電圧がV2よりも低くなると、放電モードから退出する。
【0086】
30~60度について、A相の双方向スイッチモジュールのクランプキャパシタC1の電圧がV3よりも低い場合、当該モジュールは母線低電圧充電モードに入り、正常に作動する時に、当該モジュールQ2は、Q4のゼロ電圧ターンオンの準備をするために最大値相のQ4がターンオフする前の一定時間にターンオンするが、充電モードでは、Q2はターンオンしなくなり、Q4はこの周期内でもターンオンしなく、さらにループ電流によりC1の充電を実現し、この周期で充電が完了しなければ、充電が完了するまで、次のスイッチング周期で充電を引き続き行う。当該モジュールの吸収クランプキャパシタC1の電圧がV1よりも高い場合、当該モジュールは母線過電圧放電モードに入り、Q2がスタートアップしなくなり、正常にQ4をスタートアップする必要がある場合、Q4をスタートアップするときにQ1をスタートアップし、主ループ電流によりC1の放電を実現するが、電流が逆向きにする前に、キャパシタCxを放電する必要がある。
【0087】
60~90度について、A相の双方向スイッチモジュールのクランプキャパシタC1の電圧がV3よりも低い場合、当該モジュールは母線低電圧充電モードに入り、正常に、Q4は、Q2にゼロ電圧ターンオン条件を作るように、中間相であるC相のQ2、Q4がオンするときに事前にターンオンし、充電モードでは、Q4、Q2は周期内に、ともにスタートアップしない。当該モジュールの吸収クランプキャパシタC1の電圧がV1よりも高い場合、当該モジュールは母線過電圧放電モードに入り、Q4は正常にターンオンするが、正常、Q2がオンする時に、Q2ではなくQ1をターンオンし、正常にQ2、Q4をターンオフする時点で、Q1、Q4をターンオフし、これにより、C1への放電を実現する。
【0088】
以下、Q4のオフ過程におけるC1による電圧スパイクの抑制過程を具体的に紹介する。
【0089】
図12Aにおいて、A相電流はQ4から入り、Q2、D2を流れ、Q2の上端から流出し、この場合、Q1、Q3はともにオフする。
【0090】
図12Bにおいて、Q4はオフし、Q1、Q3はオフを引き続き保持する。電流はQ4の接合キャパシタCo4を充電し、Q3の接合キャパシタCo3は放電する。
【0091】
図12Cにおいて、Q4はオフし、Q1、Q3はオフを引き続き保持し、Q4の接合キャパシタCo4で電流が形成した電圧は、クランプキャパシタC1の両端の電圧に達し、この場合、Co3は0に放電した後、D3がオンしてQ4の電圧へのスパイク抑制を実現し、Q4の安全を保護する。
【0092】
図12Dにおいて、電流はループ(分離マトリクスコンバータ全体の大ループを意味する)の寄生インダクタを流れ、D3、C1、D2が0に共振した後、逆向きにしてQ3、Q4の接合キャパシタ(Co3及びCo4)を充放電し、直列接続されたすべての双方向スイッチモジュールにおけるQ4の総電圧が交流入力の線間電圧に達するまで、Q4の両端の電圧が低下し、Q3の両端の電圧が上昇する。
【0093】
C1がなければ、Co3、Co4の電圧が大きくなり、これにより、Q3、Q4は高い電圧ストレスを受ける必要があり、耐電圧を超えると破損になる。
【0094】
本願によって提供される分離マトリクスコンバータにおける双方向スイッチモジュールのクランプキャパシタによるスイッチング管の動作時のスパイク電圧の抑制作用をより明瞭に了解するために、以下、オシログラムを結合して詳しく紹介する。
【0095】
図13を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供されるQ4のオフ過程の電圧ストレス概略図である。
【0096】
図13から分かるように、クランプキャパシタC1の存在により、Q4はオフ過程に、電圧ストレスには平台Hが存在し、即ち、電圧がクランプされ、クランプキャパシタC1がなければ、Q4はオフ過程に、高いスパイク電圧が現れ、Q4に影響を与え、例えば、Q4の耐電圧を超えてQ4が損害する可能性がある。同じ原理により、他のスイッチング管はスイッチング過程に、スパイク電圧の衝撃を受けないように、C1によって保護されてもよい。
【0097】
以上の実施例は、A相を例として紹介したのであり、他の相、及び異なる位相区間の各スイッチング管の作動過程は類似し、ここでは贅言しない。
【0098】
双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管が非完全制御タイプ(即ち、制御可能スイッチング管及びダイオードの組み合わせを含む)のものである場合、各双方向スイッチモジュールの充放電モードは、特定の位相区間でのみ制御される。
【0099】
以上に記載の方案はいずれも、双方向スイッチモジュールにおけるQ2、Q4をメインスイッチとして記述し、実際に使用する場合、Q1、Q3をメインスイッチ、Q2、Q4をクランプキャパシタC1の電圧調節スイッチング管として使用するようにしてもよく、関連するタイミングはそれに応じて調整する必要があり、ここでは贅言しない。
【0100】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータは、双方向スイッチモジュールにクランプキャパシタが含まれるため、クランプキャパシタを利用するとスイッチング過程におけるスイッチング管のスパイク電圧を抑制することができ、これにより、スイッチング管を保護し、さらにコンバータ全体の安全を保護し、コンバータ全体の信頼性を向上させる。また、クランプキャパシタの充電モード及び放電モードに対する制御を利用すると、コンバータの電圧ストレスをよりよく制御することができる。
【0101】
また、本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータは、各相が、直列接続された複数の双方向スイッチモジュールを含んでもよく、このように、ブリッジアームの電圧が高い場合、各々の双方向スイッチモジュールが受ける電圧を低減することができ、さらに双方向スイッチモジュールにおける制御可能スイッチング管のタイプ選択に寄与し、コンバータのコストを軽減する。
【0102】
以上の実施例における双方向スイッチモジュールは、ブリッジアームの形式で紹介したものであり、即ち、2レベルのトポロジを例として紹介する。また、I-NPC、A-NPC等の3レベルのフルブリッジ又はマルチレベルのトポロジとして設計されてもよい。
【0103】
方法実施例
以上の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータに基づいて、本願の実施例はさらに、分離マトリクスコンバータの制御方法を提供し、以下、図面を結合して詳しく紹介する。
【0104】
図14を参照し、当該図は、本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの制御方法のフローチャートである。
【0105】
本実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの制御方法について、分離マトリクスコンバータは、双方向スイッチモジュール、トランス、共振インダクタ、共振キャパシタ、及びブリッジアームキャパシタを含み、双方向スイッチモジュールはブリッジアームキャパシタに直列接続されてコンバータのブリッジアームを形成し、各々のコンバータのブリッジアームは、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、トランスの一次巻線は共振インダクタ及び共振キャパシタに直列接続された後にコンバータのブリッジアームの両端に接続され、双方向スイッチモジュールは、クランプキャパシタ及び双方向スイッチユニットを含み、双方向スイッチユニットは、モジュールの2つのブリッジアームを形成し、クランプキャパシタの両端は、モジュールの2つのブリッジアームの両端に接続され、クランプキャパシタは、2つのブリッジアームの2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームとクランプ吸収回路を形成し、双方向スイッチユニットは、少なくとも2つの制御可能スイッチング管を含み、
当該方法は、
S1401:双方向スイッチユニットにおけるスイッチング管を制御して動作させるステップと、
S1402:スイッチング管の動作過程に発生する電圧スパイクを抑制するようにクランプキャパシタを制御するステップと、を含む。
【0106】
本願の実施例によって提供される分離マトリクスコンバータの制御方法は、双方向スイッチモジュールにクランプキャパシタが含まれるため、クランプキャパシタを利用するとスイッチング過程におけるスイッチング管のスパイク電圧を抑制することができ、これにより、スイッチング管を保護し、さらにコンバータ全体の安全を保護し、コンバータ全体の信頼性を向上させる。
【0107】
双方向スイッチモジュールが2つの制御可能スイッチング管を含む場合、2つの制御可能スイッチング管は、2つの上部ブリッジアーム又は2つの下部ブリッジアームに同じく位置する。
【0108】
双方向スイッチモジュールは、第1スイッチング管、第2スイッチング管、第3スイッチング管、及び第4スイッチング管という4つの制御可能スイッチング管を含み、
第1スイッチング管の第1端及び第3スイッチング管の第1端はともに、クランプキャパシタの第1端に接続され、第2スイッチング管の第2端及び第4スイッチング管の第2端はともに、クランプキャパシタの第2端に接続され、第1スイッチング管の第2端は第2スイッチング管の第1端に接続され、第3スイッチング管の第2端は第4スイッチング管の第1端に接続され、
第1スイッチング管、第2スイッチング管の共通端は双方向スイッチモジュールの第1端であり、第3スイッチング管、第4スイッチング管の共通端は双方向スイッチモジュールの第2端である。
【0109】
本実施例によって提供される方法は、コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、
クランプキャパシタの電圧が第1プリセット電圧よりも大きい場合、クランプキャパシタの電圧が第2プリセット電圧よりも小さくなるまでクランプキャパシタが放電するように双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるステップをさらに含み、第1プリセット電圧は第2プリセット電圧よりも大きく、クランプキャパシタが放電するようにスイッチング管を制御して動作させる場合、双方向スイッチモジュールには、少なくとも3つのスイッチング管が含まれる必要がある。
【0110】
本実施例によって提供される方法は、コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、
クランプキャパシタの電圧が第3プリセット電圧よりも小さい場合、クランプキャパシタの電圧が第4プリセット電圧よりも大きくなるまでクランプキャパシタに充電するように双方向スイッチユニットにおける制御可能スイッチング管を制御して動作させることで、前記少なくとも2つの双方向スイッチモジュールの間の電圧のバランスをとるステップをさらに含み、第3プリセット電圧は第4プリセット電圧よりも小さく、
第2プリセット電圧は第3プリセット電圧よりも大きい。
【0111】
本実施例によって提供される方法について、コンバータが直列接続された少なくとも2つの双方向スイッチモジュールを含む場合、双方向スイッチモジュールにおける制御可能スイッチング管の動作を制御することで、クランプキャパシタを充電又は放電することができ、さらにクランプキャパシタ上の電圧を変更し、複数の直列接続された双方向スイッチモジュールの間の電圧バランスを実現し、電圧がバランスされる場合、複数の双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の電圧ストレスが均等であることを含んでもよく、ある双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の受ける電圧ストレスが大きく、ある双方向スイッチモジュールにおけるスイッチング管の受ける電圧ストレスが小さいことが現れず、これにより、スイッチング管をよりよく保護することができる。
【0112】
分離マトリクスコンバータが3相分離マトリクスコンバータである場合、3相分離マトリクスコンバータの各相は、少なくとも1つの双方向スイッチモジュールを含み、
当該方法は、
相電圧の絶対値が最も高い相の電圧ストレスを受けないスイッチング管が常にオンし、前記最も高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管がプリセットデューティ比でスイッチング動作をするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が2番目に高い相の、最も高い相のスイッチング管のオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、2番目に高い相の電圧ストレスを受けるスイッチング管が、最も高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、
相電圧の絶対値が最も小さい相の、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールのオンする時に電圧ストレスを受けないスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフする前にオンし、電圧ストレスを受けるスイッチング管が、2番目に高い相の双方向スイッチモジュールがオフした後にオンするように制御するステップと、をさらに含む。
【0113】
開示された実施例の上記説明は、当業者が本願を実現又は使用できるようにする。これらの実施例に対する多種の補正は当業者にとって自明であり、ここに定義される一般的な原理は、本願の精神又は範囲を逸脱しない状況で、他の実施例で実現することができる。従って、本願は、ここに示されるこれらの実施例に限定されず、ここに開示された原理及び新規な特徴点と一致する最も広い範囲を満たす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
【国際調査報告】