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特表2025-505213洗濯堅牢度を向上させるための、可溶化バット染料と組み合わせた、ピラゾールプライマリー及びカップラーを含む酸化染料前駆体を使用するヘアカラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】洗濯堅牢度を向上させるための、可溶化バット染料と組み合わせた、ピラゾールプライマリー及びカップラーを含む酸化染料前駆体を使用するヘアカラー
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/22 20060101AFI20250214BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20250214BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20250214BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/22
A61K8/49
A61Q5/10
A61K8/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547069
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2023053358
(87)【国際公開番号】W WO2023152322
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】22156189.7
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュペックバッハー, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】プリャディロワ, オルガ
(72)【発明者】
【氏名】テルセール, ソニヤ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, タチアナ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB081
4C083AB082
4C083AB351
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC122
4C083AC252
4C083AC301
4C083AC312
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC551
4C083AC681
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD352
4C083AD641
4C083BB01
4C083BB24
4C083BB41
4C083BB44
4C083BB45
4C083BB53
4C083CC36
4C083CC38
4C083DD06
4C083DD41
4C083EE26
(57)【要約】
哺乳類の体毛、特にヒトの毛髪などのケラチン質を着色するための方法及び組成物は、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体と、可溶化バット染料を使用する。本方法及び組成物は、酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させ、ここで1種以上の酸化染料が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン質を着色する方法であって、
a1 組成物Aを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Aが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、組成物Aを前記ケラチン質に塗布すること、
a2 組成物Bを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含み、可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステルである、組成物Bを前記ケラチン質に塗布すること、
b 工程a2の後で、組成物Cを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Cが酸化剤を含む、組成物Cを前記ケラチン質に塗布すること
を含む、方法。
【請求項2】
組成物Bが、組成物Aを前記ケラチン質に塗布するのと同時に又はそれに続いて、前記ケラチン質に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物AとBが、それらを前記ケラチン質に塗布する前に、混合される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
組成物A、B又はその両方が、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程bの前に、組成物A及びBが、ケラチン質上で少なくとも20分間、特に20~40分間、20~40℃の温度、特に35~40℃の温度で、且つpH=8.0~11.0で維持される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程a及びbにおいて、pHが8.0~10.0の範囲内、例えば8.5~9.5の範囲内に維持される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物Aが、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせから選択されるカップラーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各カップラーを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物B中のロイコバット染料スルホン酸エステルが、ロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
組成物Bが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択されるロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各ロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程bに続いてケラチン質をすすぐことをさらに含み、任意選択で、ケラチン質をシャンプーすること、コンディショニングすること、乾燥させること又はこれらの組み合わせを含む後処理をさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ケラチン質が哺乳類の体毛、特にヒトの毛髪である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
すぐに使えるヘアカラー製剤であって、前記ヘアカラー製剤が、組成物Aと組成物Bを混合することによって得られ、前記組成物Aが、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含み、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含み、可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステルである、すぐに使えるヘアカラー製剤。
【請求項25】
8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項24又は25に記載の製剤。
【請求項27】
式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項24から26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項28】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項24から27のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項29】
式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項24から28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項24から29のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項31】
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項24から30のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項32】
請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各プライマリーを含む、製剤。
【請求項33】
レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、請求項24から32のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項34】
請求項24から33のいずれか一項に記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各カップラーを含む、製剤。
【請求項35】
組成物B中のロイコバット染料スルホン酸エステルが、ロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項24から34のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項36】
可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択されるロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項24から35のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項37】
還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項24から36のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項38】
請求項24から37のいずれか一項に記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.25~1.0重量%の濃度で各ロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、製剤。
【請求項39】
pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項24から38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項40】
染毛用のキットであって、
組成物Aを備えるコンパートメントAであって、前記組成物Aが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、コンパートメントAと、
組成物Bを備えるコンパートメントBであって、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含み、可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステルである、コンパートメントB
とを、別個のコンパートメントで、備える、キット。
【請求項41】
組成物Cを備えるコンパートメントCをさらに備え、前記組成物Cが酸化剤を含む、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
組成物Cが、2.0~4.0の範囲内、特に2.5~3.5の範囲内のpHを有する、請求項41又は42に記載のキット。
【請求項44】
組成物A、組成物B又はその両方が、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項45】
組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項40から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項40から45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項40から46のいずれか一項に記載のキット。
【請求項48】
組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項40から47のいずれか一項に記載のキット。
【請求項49】
組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項40から48のいずれか一項に記載のキット。
【請求項50】
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項40から49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、請求項40から50のいずれか一項に記載のキット。
【請求項52】
組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、請求項40から51のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各カップラーを含む、請求項40から52のいずれか一項に記載のキット。
【請求項54】
組成物B中のロイコバット染料スルホン酸エステルが、ロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項40から53のいずれか一項に記載のキット。
【請求項55】
組成物Bが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択されるロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項40から54のいずれか一項に記載のキット。
【請求項56】
組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項40から55のいずれか一項に記載のキット。
【請求項57】
組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各ロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項40から56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項40から57のいずれか一項に記載のキット。
【請求項59】
それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上のロイコバット染料スルホン酸エステル、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸、及び50~89.50重量%の水を含むゲル様ヘアカラー成分であって、各重量%は前記成分の重量に基づく、ゲル様ヘアカラー成分。
【請求項60】
アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を2.0~20.0重量%含む、請求項59に記載のゲル様ヘアカラー成分。
【請求項61】
それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上のロイコバット染料スルホン酸エステル、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、0~10.0重量%の任意選択の保湿剤、及び50.0~95.50重量%の水を含むシャンプー様ヘアカラー成分であって、各重量%は前記成分の重量に基づく、シャンプー様ヘアカラー成分。
【請求項62】
浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項61に記載のヘアカラー成分。
【請求項63】
還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項59から62のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項64】
pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、非イオン性界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項59から63のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項65】
可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択されるロイコバット染料スルホン酸エステルを含む、請求項59から64のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項66】
酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための、請求項59から65のいずれか一項に記載のヘアカラー成分の使用であって、1種以上の酸化染料が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、ヘアカラー成分の使用。
【請求項67】
1種以上の酸化染料が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
請求項66又67に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、使用。
【請求項69】
請求項66から68のいずれか一項に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(2):
によるアミノピラゾロンピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
使用。
【請求項70】
請求項66から69のいずれか一項に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
使用。
【請求項71】
酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるためのロイコバット染料スルホン酸エステルの使用であって、1種以上の酸化染料が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用。
【請求項72】
1種以上の酸化染料が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
請求項71又72に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、使用。
【請求項74】
請求項71から73のいずれか一項に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
使用。
【請求項75】
請求項71から74のいずれか一項に記載の使用であって、1種以上の酸化染料が、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
使用。
【請求項76】
ロイコバット染料スルホン酸エステルが、ロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項71から75のいずれか一項に記載の使用。
【請求項77】
前記ロイコバット染料スルホン酸エステルが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される、請求項71から76のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
[0001] 哺乳動物のケラチン繊維又は合成ケラチン繊維への処理が知られている。哺乳動物のケラチン繊維(天然毛髪)は、キューティクルすなわち外層、メラニン又は発色体(color bodies)とケラチン束とを含む内部の中間層であるコルテックス、及びメデュラと呼ばれる中心部という構造をしている。典型的な染色処理は、コルテックスの変化に重点を置く。特に注目すべきは、例えば毛髪の色又は反射特性を変化させることによって毛髪の外観を変えるコルテックス処理である。これは、毛髪繊維のキューティクルに拡散又は吸収される染料分子(いわゆる直接染料)を含有する製剤で毛髪のコルテックスを処理することによって達成できる。時間が経つと毛髪に付与された色は洗濯時に除去されるが、直接染料の場合は、通常色落ちが速い。したがって、直接染料は通常、毛髪の外観を短期的な変化をもたらし、直接染料によって毛髪に付与された色は通常、数回の洗濯時までしか持続しない。
【0002】
[0002] 毛髪の永久又は半永久的な色変化を生じさせるために現在使用されている最も一般的な手法は、染料前駆体(プライマリー及びカップラーと呼ばれる中間体)がコルテックス内に拡散し、その後反応して毛髪のコルテックス内で色種を形成する、いわゆる酸化染料を必要とする。多くの場合、酸化染料は毛髪を明るくし、コルテックスのメラニンの一部を脱色して、より幅広い色を実現できるように設計されている。酸化染料によって毛髪に付与された色も洗濯中に除去されるが、酸化染料は直接染料よりもかなり長持ちする可能性があり、実際、かなりの回数の洗濯の後でも、色を完全に除去することは難しい。最終的に酸化染料が洗い流されて除去されると、メラニンもブリーチによって脱色されているため、元の色に戻らずに明るい色に戻り、毛髪に色の痕跡が残る。
【0003】
[0003] 毛髪の色変化を長期間持続させるための別の手法は、いわゆるバット染料を必要とする。例えば、バット染料ピグメント(水性媒体に不溶性)をアルカリ性媒体中での還元によって、対応するロイコバット染料スルホン酸エステルに変換してロイコ型を与え、続いてクロロスルホン酸又は単に三酸化硫黄で処理することによって、バット染料を可溶性形態にすることができる。ロイコバット染料スルホン酸エステル及びその製造方法は、例えばDE1117242Bに開示されている。逆に、ロイコバット染料スルホン酸エステルは速やかに開裂して、対応するバット染料の古典的なロイコ型を形成することができる。その後の酸化により、不溶性のバット染料がピグメントとして沈殿する。「可溶化バット染料」、「ロイコバット染料スルホン酸エステル」、及び「バット染料のスルホン酸エステル」という用語は、本開示では互換的に使用される。
【0004】
[0004] 米国特許第5364415号(Lewisら)は、一次中間体及びカップラーを含む穏やかな酸化ヘアカラー系に基づくヘアカラー方法を開示しており、この方法は、一般的な酸化着色剤のみで得られるよりも明るい赤色と黄色を得るために、色を明るくする特別な成分として、選択された7つの可溶化バット染料のうちの1つを毛髪に追加で塗布することを企図している。
【0005】
[0005] DE102004014764A1(Javetら)には、バット染料と、アルカリ性条件下でエンジオールを形成する還元剤とを含むヘアカラー剤を開示しており、この還元剤は、アルカリ性条件下でバット染料をロイコ型に変換する。この文献には、適切な包装、保護ガスブランケット、安定化物質及び/又は保護物質(例えばポリマー、界面活性剤(tenside)、金属イオンなどのカチオン性化合物)の添加又はエステル化によってロイコ型を安定化することが開示されている。DE102004014763A1(Javetら)は、バット染料がインジゴイドバット染料である類似のヘアカラー剤を開示しており、この組成物も、アルカリ性条件下でエンジオールを形成する還元剤を含み、さらにカチオン化合物を含む。
【0006】
[0006] 米国特許出願公開第2003/0074745号(Vainshalboimら)は、化学酸化剤を使用せずに毛髪を染色する方法及びシステムを開示している。使用される染料は、可溶化インジゴイドバット染料とアントラキノンバット染料である。
【0007】
[0007] 米国特許出願公開第2011/0189116号(Gaucheら)は、材料に硫黄含有求核種を含む組成物を塗布することと、反応染料以外の染料化合物を含む組成物を材料に塗布することとを含む、材料を着色する方法を開示している。
【0008】
[0008] 可溶化バット染料はヘアカラーに多用途に使用でき、耐光性や洗濯堅牢度に関して酸化染料に匹敵する特性を備えているが、ヘアカラーにおける酸化染料系ほどの商業的重要性は得られていない。
【0009】
[0009] 1990年代半ばのピラゾールプライマリーの出現により、ファッションヘアカラーのための新しい色空間が利用できるようになり、ピラゾールプライマリーは、特に、今日「ビブラントレッド」として知られているシェードなどの、レッドシェードのヘアカラーに革命をもたらした。ピラゾールプライマリー及びそのオレンジから赤の色味のヘアカラーへの影響については、幅広い文献があるが、以下の特許及び特許出願がその例である。
【0010】
[0010] 欧州特許出願公開第0375977号は、3,5-ジアミノピラゾール及び4,5-ジアミノピラゾールなどの前駆体をベースに基づいて、色深度の高い鮮やかなヘアカラーを生成するための、染毛用の酸化染料を開示している。
【0011】
[0011] DE4234885A1は、酸化ヘアカラーにおける染料前駆体としての使用のための4,5-ジアミノピラゾールを製造する方法を開示している。
【0012】
[0012] 米国特許第5380340号は、酸化染毛用の7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[l,2-b]ピラゾール、3-ニトロ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン又は3-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジンなどのピラゾール誘導体を開示している。
【0013】
[0013] 国際公開第02/051372号は、少なくとも4,5-又は3,4-ジアミノピラゾール又はトリアミノピラゾールと、少なくとも特定のセルロース化合物とを含む、ケラチン繊維の酸化染色用組成物を開示している。
【0014】
[0014] 欧州特許第1488783号は、酸化塩基として4,5-ジアミノ-1-(ベータ-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール又は4,5-ジアミノ-1-(ベータ-メトキシエチル)-1H-ピラゾールと、カップリング剤として2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジンとを含む染色組成物を開示している。
【0015】
[0015] 欧州特許出願公開第2628731号は、一次中間体として1-ヘキシル-1H-ピラゾール-4,5-ジアミンヘミサルフェートを含む、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の酸化染色用組成物を開示している。
【0016】
[0016] この分野における既知の酸化ベースの技術の大きな欠点の一つは、着色経験の全体的な洗濯堅牢度が、ナチュラルシェード、ファッションシェード(例えばビブラントレッド等)、及びブロンドトーンを含む全てのシェードにわたって一貫していないことである。中程度のアルカリpH(pH=9など)の穏やかな酸化条件下でさえ、様々なシェードの洗濯堅牢度は一貫していない。すなわち、ファッショナブルなレッドトーンは、より暗いナチュラルトーンに比べて、常に高い割合で洗い流される傾向が見られる。
【0017】
[0017] 生成されたヘアカラー、特にレッドのファッションシェード(すなわちジアミノピラゾールをプライマリーとして使用して生成されたシェード)のこのように不十分な洗濯堅牢度は、10年以上前から本技術分野でよく知られている。例えば、米国特許出願公開第2020/019728号は、ケラチン繊維の酸化染色剤に関するものであり、当該剤は、化粧品担体中に、3-アルキル-4,5-ジアミノピラゾール、イミノジコハク酸又はその塩と、大気中の酸素以外の少なくとも1つの酸化剤とを含む。上記文献は、「ファッションシェードの色の強さと堅牢度特性を最適化するために多くの試みがなされてきた。しかし、すでに実施された多くの最適化実験にもかかわらず、酸化染色されたケラチン繊維の染色堅牢度特性、特に赤色領域のファッションシェードに染色する場合の堅牢度特性に関しては、まだ改善の必要性がある」と特に認めている。
【0018】
[0018] したがって、既知の技術の前述の欠点に対処するヘアカラー組成物及び方法に対するニーズが存在する。現在、驚くべきことに、本明細書に提示される発明により、並外れて高い専門家の要求レベルで上記のような従来の酸化毛髪着色剤の全ての欠点に対処し、最終的にそれらを解決可能な解決策が見出された。
【0019】
[0019] 可溶化バット染料、特にインダンスレン染料のより広範なファミリー(例えば、アントラキノン、アクリジン、ペリレン、ナフタリン、及びビオラントロン骨格を特徴とする)からの可溶化バット染料を、穏やかな酸化媒体(例えば、過酸化水素レベルが1~12%の範囲)で既知の酸化プライマリー及びカップラーと組み合わせて塗布すると、ピラゾールプライマリー及びカップラーのみ、又はピラゾールプライマリー及びカップラーと直接染料の組み合わせで得られた従来の酸化ヘアカラーの洗濯堅牢度が向上することが実証されている。
【0020】
[0020] 本発明の概念に従って達成されたカラー結果は、過酸化水素レベルが2%未満の穏やかな酸化条件から始まって、9%又は12%などのより高い過酸化水素レベルまで、並外れた洗濯堅牢度及び耐光特性とともに、著しく向上したカラー持続性を示す。この概念は、全てのシェード(ナチュラルシェード、ファッションシェード、ブロンドシェード)の持続性を大幅に向上させ、あらゆる可能なシェードを作り出すスタイリストに柔軟性と芸術的自由を提供する。
【発明の概要】
【0021】
[0021] 本発明は、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体を使用する酸化染色系のよく知られた洗濯堅牢度の欠点に対処するものである。ある態様によれば、本発明の主題は、ケラチン質を着色する方法であって:
a1 組成物Aを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Aは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、組成物Aを前記ケラチン質に塗布すること、
a2 組成物Bを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Bは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、組成物Bを前記ケラチン質に塗布すること、
b 工程a2の後で、組成物Cを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Cは酸化剤を含む、組成物Cを前記ケラチン質に塗布すること
を含む。
【0022】
[0022] 別の態様によれば、本発明のさらなる主題は、すぐに使えるヘアカラー製剤である。このヘアカラー製剤は組成物Aと組成物Bを混合することによって得られ、前記組成物Aは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、このピラゾールプライマリーは4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含み、前記組成物Bは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む。
【0023】
[0023] さらに別の態様によれば、本発明のさらなる主題は、染毛用のキットである。このキットは、
組成物Aを備えるコンパートメントAであって、前記組成物Aは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、このピラゾールプライマリーは4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、コンパートメントAと、
組成物Bを備えるコンパートメントBであって、前記組成物Bは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、コンパートメントB
とを、別個のコンパートメントで、備える。
【0024】
[0024] さらに別の態様によれば、本発明のさらなる主題は、ヘアカラー成分である。このヘアカラー成分は、クリーミーなゲル様粘稠度を有しうる。このようなゲル様ヘアカラー成分は、それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸、及び50~89.50重量%の水を含む場合があり、ここで各重量%は当該成分の重量に基づく。或いは、このヘアカラー成分は、組成物を有するシャンプーの粘稠度を有しうる。このようなシャンプー様ヘアカラー成分は、それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、0~10.0重量%の任意選択の保湿剤、及び50.0~95.50重量%の水を含む場合があり、ここで各重量%は当該成分の重量に基づく。
【0025】
[0025] 本発明のさらなる主題は、酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための、本発明によるヘアカラー成分の使用であり、1種以上の酸化染料は、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される。本発明のさらなる主題は、酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための可溶化バット染料の使用であり、1種以上の酸化染料は、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される。
【0026】
定義
[0026] 本開示及び別添の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上が明らかにそうでない場合を除き、複数の指示対象を含む。
【0027】
[0027] 本願の文脈において「may」という用語は、「~してもよい(is permitted to)」又は「~することができる(is able to)」を意味し、用語「可能である(can)」の同義語である。本明細書で使用される「may」という用語は、可能性や見込みを意味するものではない。
【0028】
[0028] 本出願の文脈において「及び/又は(and/or)」という用語は、一方若しくは他方、又は両方を意味する。例えば、A及び/又はBの水溶液とは、A単独の水溶液、B単独の水溶液、及びAとBの組み合わせの水溶液を意味する。
【0029】
[0029] 用語「約(about)」は、記載された数値又は数値の範囲の±10パーセントを意味すると理解される。実施形態によれば、用語「約」は、記載された数値又は数値の範囲の±2パーセントを意味すると理解される。
【0030】
[0030] 「約0重量%」という用語は、検出可能性がppm(百万分の一)ベースであると仮定すると、ゼロ(0)が指す物質、化合物又は材料が存在せず、無視できるが検出可能な量まで存在することを意味すると理解される。
【0031】
[0031] 本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群で記述されている場合、それにより本発明が当該マーカッシュ群の任意の個々の要素又は要素のサブグループでも記述されていることを当業者は理解するであろう。例えば、Xがメチル、エチル又はプロピルからなる群から選択されると記述されている場合、Xがメチルであるという請求項及びXがメチルとエチルであるという請求項が完全に記述されている。さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群で記述されている場合、それにより本発明がマーカッシュ群の任意の個々の要素又は要素の下位群でも記述されていることを当業者は理解するであろう。したがって、例えば、Xが臭素、塩素及びヨウ素からなる群から選択されると記述され、Yがメチル、エチル及びプロピルからなる群から選択されると記述されている場合、Xが臭素であり、Yがメチルであるという請求項は完全に記述されている。
【0032】
[0032] 必然的に整数である変数の値、例えばアルキル基の炭素原子の数や環上の置換基の数が、例えば0~4というように範囲として記述されている場合、それが意味するところは、その値が0~4の間(境界値を含む)の任意の整数、すなわち0、1、2、3又は4でありうるということである。同様に、範囲形式で表現された値は、その範囲の境界として明示的に記載された数値だけでなく、あたかも各数値及び部分範囲が明示されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように、柔軟に解釈されるものとする。例えば、「約0.1%~約5%」又は「約0.1%~約5%」という範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、個々の値(例えば、1%、2%、3%、4%)及び示された範囲内の部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるものとする。
【0033】
[0033] 本明細書で使用される用語「ケラチン質」とは、ケラチンから作られた、又はケラチンを含む天然若しくは合成の物質を意味する。特に、「ケラチン質」という用語は、天然及び合成のケラチン繊維を包含する。好ましいケラチン質は、天然ケラチン繊維である。天然ケラチン繊維には、ヒト、霊長類、反芻動物、ラクダ科動物、ウマ科動物、げっ歯類、及びミンク属を含む哺乳類由来の繊維並びに/又はこれらの哺乳類の繊維が含まれる。これらの動物には、限定されないが、ウシ、ヒツジ、シカ、ヤギ、バッファロー、ラマ、アルパカ、ラクダ、グアナコ、ビクーニャ、ウマ、レイヨウ、ムース、ヘラジカ、ラット、マウス、ビーバー、ウサギ、ミンク、サル、類人猿、及び類似の種が含まれる。天然ケラチン繊維には、毛髪、毛皮又は爪が含まれる。本開示において特に好ましいケラチン質は、哺乳類のケラチン繊維、特にヒトの毛髪、より詳細にはヒトの頭毛である。本明細書において、「ケラチン繊維」という用語は、文脈上そうでない場合を除き、「毛髪」又は「髪の房」という用語と互換的に使用される。
【0034】
[0034] 本明細書で使用する場合、「場合によって」という用語は、対応する置換基又は物が存在してもしなくてもよいことを意味する。それは、両方の可能性を含んでいる。
【0035】
[0035] 本明細書で使用する「水溶性」という用語は、25℃における溶解度が、少なくとも1.0重量%、特に少なくとも5.0重量%、例えば少なくとも25.0重量%など少なくとも10.0重量%であることを指す。
【0036】
[0036] 本明細書で使用される用語「組成物」は、少なくとも2つの成分を含む混合物又はブレンドを示す。典型的な組成物は、少なくとも1つの機能性成分(例えば、ロイコバット染料スルホン酸エステル、pH調整剤、酸化剤又は還元剤など)と少なくとも1つの溶媒成分(水又はアルコールなど)を含む。組成物は、例えば様々な粘度の液体、ゲル、泡、クリーム等、任意の適切な物理的形態で存在しうる。本明細書で使用される「製剤」という用語は、文脈上そうでない場合を除き、すぐに使える組成物を指す。「すぐに使える」とは、組成物//製剤が哺乳類の体毛、特にヒト(頭皮)の毛髪などのケラチン質に実際に塗布される形態を指す。
【0037】
[0037] 本明細書で使用される用語「アルカリ化剤」は、組成物のpHをアルカリ性範囲に調整するのに適した任意の化合物を示す。典型的なアルカリ化剤は、NaOH、アンモニア、尿素、ピリジン、アミノメチルプロパノール(AMP)、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、DBU(ジアザビシクロ-ウンデカン)などの塩基を含む。ピリジンとDBUは、安全性の問題を引き起こす可能性があるため、あまり好まれない。
【0038】
[0038] 特定の成分が「本質的に含まれない」という用語は、組成物などの実体の総重量に基づいて、実体中の各成分の量が1.0重量%未満であることを意味する。特に、「本質的に含まれない」という用語は、実体中の各成分の量が0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満、例えば0.01重量%未満であることを意味する。特定の成分が「含まれない」という用語は、検出可能性がppm(百万分の一)ベースであると仮定した場合、検出限界未満の量を意味する。
【0039】
[0039] 「酸化染料前駆物質」又は単に「染料前駆体」又は「色素前駆体」(「color precursor」)という用語は、ケラチン質に色を与えるために本発明の組成物において使用することができ、一次中間体、カップラー又はその両方として作用する化合物を指す。
【0040】
[0040] 本明細書で使用されている用語「染料」は、「酸化染料前駆体」の反応生成物と、最終的に得られたバット染料の酸化された不溶性の形態とを指す。本明細書では、バット染料のロイコ型を「染料」と称することがあるが、このようなロイコ型は、通常、無着色であるか、又は不十分な色深度を有する。本明細書で使用する「染料」という用語は、可視範囲(400~700nm)において、少なくとも0.001AU/g/l、好ましくは少なくとも0.01AU/g/l(1リットル当たり1グラム当たりの吸収単位)の少なくとも1つの吸収極大を意味する。さらに、本明細書で使用する「染料」という用語は、直接染料を除く。直接染料は、洗濯堅牢度が低く、本発明で使用する条件下では酸化してしまうため、本発明からは除外される。最後に、本明細書で使用する「染料」という用語には、無機色素は含まれない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0041] 本発明の主題は、ケラチン性繊維、特に哺乳類の体毛、より詳細にはヒトの毛髪を染色するための新規且つ非常に汎用性の高い概念である。本発明の概念は、ファッションシェード用にピラゾールプライマリーを使用する酸化ヘアカラー技術とバット染料技術を組み合わせることである。この2つの技術を組み合わせることで、酸化着色系によって付与される色の持続性又は洗濯堅牢度が、バット染料によって付与される色の既知の優れた持続性又は洗濯堅牢度とともに、予想外に向上する。
【0042】
[0042] 要するに、本発明は、ヒトの毛髪などのケラチン質に、連続して、又は同時に、又は混合物の形態で塗布される組成物A及びBを伴う。組成物Aは、染料前駆体を含む酸化ヘアカラー技術を提供し、この酸化染料前駆体は、1種以上のピラゾールプライマリーと1種以上のカップラーとを含む。組成物Bは、1種以上の可溶化バット染料を含むバット染料技術を提供する。
【0043】
1 組成物A及び酸化染料前駆体
[0043] 本発明は、ピラゾールプライマリー(一次中間体又はディベロッパーとも呼ばれる)とカップラー(二次中間体とも呼ばれる)とを含む酸化染料前駆体を使用する、酸化染料化学を伴う組成物(組成物Aと表記)を使用する。異なるシェードを得るために、1種以上のカップラーを1種以上のプライマリーとともに使用することができる。使用されるプライマリーは、ピラゾールプライマリーに加えて、1種以上の従来のプライマリーを含んでもよい。本発明で想定されるシェードには、特に、オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ、及びビブラントレッドを含む色空間におけるシェードのような、いわゆるファッションシェードが含まれる。
【0044】
[0044] 本明細書での使用に適した酸化染料前駆体は、それらが塩基である限り、遊離塩基として使用してもよいし、又は塩酸、臭化水素酸、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸若しくはスルホン酸などの対応する有機酸又は無機酸で得られる化粧品的に許容される塩の形態で使用してもよく、或いは、それらが芳香族ヒドロキシル基を有する限り、アルカリフェノラートなどの対応する塩基で得られる美容的に許容される塩の形態で使用してもよい。
【0045】
[0045] 酸化染料前駆体は、当技術分野では既知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール、及びこれらの誘導体を含む(酸化染料前駆体の代表的なリストは、Sagarin,“Cosmetic Science and Technology,Interscience,Special Edn.第2巻308~310頁に記載されているが、これに限定されない)。適切な酸化染料前駆体は、カナダ特許出願第2576189号にも開示されており、特に、49~238頁にわたる表1の染料組み合わせ番号1~2394は、参照により本明細書に援用される。以下に詳述する1種以上の一次中間体及び1種以上のカップラー(酸化染料前駆体と総称される)は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。1種以上の一次中間体及び1種以上のカップラーは、美容的に許容される任意の塩、例えば硫酸塩の形で使用することができる。
【0046】
[0046] 組成物Aは、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む。
【0047】
[0047] 好ましい実施形態によれば、組成物Aは、次の式(1)による4,5-ジアミノピラゾールを含む。
[0048] 上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである。式(1)による4,5-ジアミノピラゾールの例は、1-ヒドロキシエチル4,5-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(イソ)プロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ブチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ペンチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、及び4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾールを包含する。
【0048】
[0049] 特定の実施形態によれば、組成物A中のピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される4,5-ジアミノピラゾールを含む。
【0049】
[0050] 実施形態によれば、組成物Aは、以下の式(2)によるアミノピラゾールピリジンを含む。
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである。
【0050】
[0051] 実施形態によれば、組成物Aは、次の式(3)による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含む。
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである。
【0051】
[0052] 本発明に好適であるが式(1)に該当しないピラゾールプライマリーの例は、4,5-ジアミノ-1-ヘプチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ベンジルピラゾール、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1(5H)-オンを包含する。
【0052】
[0053] 好ましい実施形態によれば、組成物Aは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、2,3-ジアミノジヒドロピラゾロピラゾロン(CAS#857035-94-0)、ジメチルピペラジニウムアミノピラゾロピリジン(CAS#1256553-33-9)、3-アミノ-2-((2-ヒドロキシエチル)オキシ)-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン(CAS#1079221-49-0)又はこれらの組み合わせから選択されるピラゾールプライマリーを含む。さらにより特定の実施形態によれば、組成物Aは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択されるピラゾールプライマリーを含む。
【0053】
[0054] ピラゾールプライマリーではない従来のプライマリーの例であって、1種以上のピラゾールプライマリーに加えて組成物A中に存在しうるものには、トルエン-2,5-ジアミン、p-フェニレンジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピル-ビス-(N-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン)、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン、2-(1,2-ジヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2,2’-(2-(4-アミノフェニルアミノ)エチルアザンジイル)ジエタノール、2-(2,5-ジアミノ-4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオール、2-(7-アミノ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4(3H)-イル)エタノール、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、p-(メチルアミノ)フェノール、4-アミノ-m-クレゾール、6-アミノ-m-クレゾール、5-エチル-o-アミノフェノール、2-メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス-4-アミノフェノール、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノール、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0054】
[0055] 特定の実施形態によれば、組成物A中に場合によって存在する従来の一次中間体は、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0055】
[0056] 1種以上のカップラーは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換された少なくとも1つのフェニル環を含む化合物であってもよい。1種以上のカップラーは、レゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-クロロレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4,6-ジクロロベンゼン-1,3-ジオール、2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジオール、m-アミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、3-アミノ-2,6-ジメチルフェノール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、5-アミノ-4-クロロ-o-クレゾール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2-アミノ-5-エチルフェノール、2-アミノ-5-フェニルフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-エトキシフェノール、5-メチル-2-(メチルアミノ)フェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2,2’-(2-メチル-1,3-フェニレン)ビス(アザンジイル)ジエタノール、ベンゼン-1,3-ジアミン、2,2’-(4,6-ジアミノ-1,3-フェニレン)ビス(オキシ)ジエタノール、3-(ピロリジン-1-イル)アニリン、1-(3-(ジメチルアミノ)フェニル)尿素、1-(3-アミノフェニル)尿素、1-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、1,5-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、1-アセトキシ-2-メチルナフタレン、4-クロロ-2-メチルナフタレン-1-オール、4-メトキシ-2-メチルナフタレン-1-オール、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ピリジンジアミン、3-アミノ-2-メチルアミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン、ピリジン-2,6-ジオール、5,6-ジヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドリン、3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、2-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イルアミノ)エタノール(別名ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン)、フェニルメチルピラゾロン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
【0056】
[0057] 特定の実施形態によれば、カップラーは、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0057】
[0058] 実施形態によれば、組成物Aは、組成物Aの重量に対して、0.005~6.0重量%、特に0.01~3.0重量%、例えば0.2~2.0重量%の濃度の各プライマリーを含む。実施形態によれば、組成物Aは、組成物Aの重量に対して、0.005~6.0重量%、特に0.01~3.0重量%、例えば0.2~2.0重量%の濃度の各カップラーを含む。
【0058】
[0059] 典型的には、組成物Aは、組成物Aの総重量に対して12.0重量%まで、又は0.1~12.0重量%、又は0.2~10.0重量%、又は0.5~8.0重量%の、酸化染料前駆体、すなわち、1種以上のカップラー、1種以上のピラゾールプライマリー、及び1種以上の任意の従来の一次中間体の総量を含む。
【0059】
2 組成物B及び可溶化バット染料
[0060] バット染料は、典型的には、繊維染色のための強力な染料及びピグメントとして何十年にもわたって使用され、知られている。特に、インダンスレンファミリーのものは、耐光性、洗濯堅牢度に関して優れた特性を示し、いかなる酸化事象に対しても安定であり、極めて耐候性がある。さらに、100℃を超える優れた融点を示し、高い化学的安定性を示している。これらを化学的に改変する唯一の選択肢は、還元プロセスを適用して、これらが可溶性であり、したがって加工可能な形態で現れるようにすることである。変換オプションの典型的なスキームは、以下のとおりである(スキーム1)。
【0060】
[0061] スキーム1:
【0061】
[0062] バット染料は、典型的には、可溶性染料として繊維中に浸透する能力を有する、対応するロイコ型に還元されるために、強アルカリ性条件を必要とする。このような条件(pH>13)をヒトの毛髪に適用できないため、不安定なスルホン酸エステルを介したバイパスが最適な方法である。また、すでに述べたように、反応性で溶解しやすい形態のこのバット染料ピグメントは、バット染料自体と比較すると商業的重要性は大幅に低いものの、敏感な繊維(例:シルクなどの天然繊維)を着色するために開発されたものである。
【0062】
[0063] バット染料のスルホン酸エステルは、この構造要素が、そのように改変可能な多くの発色団に空間を開放するので、完璧な候補である。したがって、この理想的な発色団候補は、上記のスキーム1に従って還元と酸化の工程を適用できる、少なくとも2つのカルボニル基を持つ必要がある。拡張された芳香族π電子系(electronic π-system)と組み合わせると、例えば非常に安定なインダンスレンファミリーの発色団のような、典型的な発色団が形成される。これらの可溶化スルホン酸エステルバット染料は、尿素、モノ-エタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はアンモニアなどの膨潤促進剤の存在下で、弱アルカリ性条件(pH=9)下で毛髪のコルテックスに深く浸透するという、まったく予想外の能力を示す。この観察結果は、発色団のサイズと嵩高い構造を考えると、自明ではない。文献で知られている、アニオン電荷又はカチオン電荷を持つ他の同様に嵩高い直接染料(例:アゾ染料、アントラキノン染料)と比較すると、この観察された毛髪のコルテックスへの浸透は非常に穏やかから低い程度であり、これらの従来の直接染料は毛髪の外側表面にのみ固定される可能性があり、これは顕微鏡による毛髪直径の切断によって証明できる。したがって、この特性は注目に値するものであり、可溶化バット染料を永久毛髪着色剤としての使用に関して他の発色団よりも優れたものにしている。アルカリ性条件下での浸透段階が完了した後、不安定なスルホン酸エステル基の開裂が強制的に行われ、通常はpH値をやや弱酸性条件(pH=3.5)まで低下させることにより、純粋な還元ロイコ型が得られ、次いで空気中の酸素、過酸化水素、及び/又は過硫酸塩などの漂白成分の存在下で急速に酸化される。ただし、酸性化工程がなくても、特にクエン酸又はアスコルビン酸などの還元剤が製剤中に存在する場合、水性媒体中でのエステルの主な不安定性により、スルホン酸エステル基の開裂がかなりの程度現れる。再酸化が完了した後、バット染料ピグメントが毛髪のコルテックスに沈殿すると、形成されたピグメントの絶対的な不溶性により、非常に長持ちする髪の着色が達成される。
【0063】
[0064] ヘアカラーは、毒物学者の高い関心を集めており、これらの化合物を市販のヘアカラー製剤に使用する前に、当局による安全性の確認の対象である。したがって、適切な発色団構造の注意深い選択は、商業的用途に転用することができるバット染料の選択を提供するために必須である。本発明者らの意図は、毒物学的な前提条件の全ての基準を満たす可能性が高い、様々な専用バット染料を提案することである。最も重要な問題は、これらの染料が皮膚を透過する能力を有するかどうかである。ヘアカラーに使用される全てのこれまでに公開された染料のほとんどは、非酸化的条件下で塗布されるか、酸化的条件下で塗布されるかに関わらず、毛髪繊維上でそれらを処理するための必須要件である親水性、アニオン性又はカチオン性染料としてのそれらの水溶性によって単純に引き起こされる、有意な浸透傾向を示す。したがって、当局による安全性の確認を得るためには、高度でコストのかかる毒物学的評価が必要となる。皮膚への浸透を原理的に排除できれば、従来技術と比較して重要な改善となる。最終的に沈殿したバット染料などのピグメントは完全に不溶性で生体利用性がないため、さらなる毒物学的評価の対象にはならないことは常識である。したがって、ここでの焦点は明らかに、毛髪のコルテックスへの浸透を処理するために毛髪繊維に塗布される中間体としての可溶化バット染料にある。よって、許容可能な安全性評価を得るために、大きく拡張されたπ電子系を持つ発色団のみが考慮される。インジゴイドバット染料は分子量が低すぎると考えられ、皮膚に容易に浸透する可能性があるため、除外される。一方、先に述べたバット染料と可溶化バット染料は、それぞれ高分子量を示し、発色団設計は均一で拡張された嵩高い多環芳香族炭化水素表面を特徴とする。この嵩高い構造は、大きな疎水性と立体障害を示し、皮膚浸透の確率を著しく低下させる。このことは、可溶化バット染料のスルホン酸エステル基が最低2個あるために水への溶解性が非常に高かったならば(LogWS値参照)、親水性が著しく低い可溶化バット染料のLogP値が比較的中程度である(スキーム2の可溶化バット染料LogP値の一部を参照)ことからも明らかである。
【0064】
[0065] スキーム2:
【0065】
[0066] 染料は、一般的な染料ファミリーである「インダンスレン」染料から選択される。これは、専用の化学薬品クラスを指すというよりも、優れた堅牢度特性を有する特別に安定な染料の同義語である。それでも、本発明で請求される好適な発色団のほとんどは、ナフタレン、ペリレン、アントラキノン及びビオラントロン骨格に基づく染料から選択される。すでに述べたように、これら全てのものに共通しているのは、芳香族アミン官能基を持たないが、この酸化染毛系の反応性色成分とみなされる可溶化スルホン酸エステル中間体に改変される少なくとも2個のカルボニル基を有することである。
【0066】
[0067] これらの市販の染料は、市販のバット染料ピグメントから標準的な手順に従って製造される(DE1117242を参照)。還元は、n-メチルアセトアミド、ボロン酸カリウム又は亜ジチオン酸ナトリウムを使用してアルカリ性媒体で行われ、続いて溶媒として三酸化硫黄とジクロロエタンの存在下で硫酸化が行われる。或いは、この反応は、アルカリ化剤としてピリジンで、クロルスルホン酸を用いて行い、スルホン酸エステルを得ることもできる。これは、スキーム3の可溶化バットグリーン1について例示したものである。
【0067】
[0068] スキーム3:
【0068】
[0069] 本発明によれば、組成物Bは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む。実施形態によれば、組成物Bは、2種以上の可溶化バット染料を含む。典型的には、組成物B中の可溶化バット染料は、ロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである。
【0069】
[0070] 本発明における使用のための好ましい可溶化バット染料は、スキーム4の以下の構造と一致する可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)である。
【0070】
[0071] スキーム4:
[0072]
[0073]
[0074]
[0075]
[0076]
[0077]
[0078]
[0079]
[0080]
【0071】
[0081] 特定の実施形態によれば、組成物Bは、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む。
【0072】
[0082] 実施形態によれば、組成物Bは、組成物Bの重量に対して、各可溶化バット染料を0.50~2.0重量%の濃度、特に0.6~1.5重量%の濃度、例えば0.75~1.0重量%の濃度で含む。典型的には、組成物Bは、組成物Bの総重量に対して8.0重量%まで、又は0.5~6.0重量%、又は1.0~5.0重量%、又は1.5~4.0重量%の可溶化バット染料の総量を含む。
【0073】
3 洗濯堅牢度の向上
[0083] 本発明は、ファッションシェード用のピラゾールプライマリーを使用する酸化ヘアカラー技術とバット染料技術との組み合わせに基づく、非常に汎用性の高いヘアカラー系を開示する。しかしながら、本発明の要点は、酸化ヘアカラー技術とバット染料技術の組み合わせではない。その代わり、本発明の要点は、これら2つの技術の組み合わせが、得られた色の洗濯堅牢度の向上をもたらすという予期せぬ発見である。つまり、バット染料によって付与される色の優れた持続性又は洗濯堅牢度は、酸化染料によって付与される色にも拡張される。このような向上は基本的に全ての色味(ナチュラルシェードとブロンドシェードを含む)で得ることができると考えられるが、その効果は、ファッションシェード(例えば「ビブラントレッド」を含む)で最も顕著で、明確に視認できる。これらのファッションシェードは、4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料系で得られ、したがって、本発明の出発点を形成する。
【0074】
[0084] 冒頭で述べたように、米国特許第5364415号(Lewisら)は、酸化着色剤の不足を克服して明るいファッショナブルなシェードを提供するために、プライマリーとカップラーを塗布する一般的な酸化プロセスに加えて、可溶化バット染料を色を明るくする特別な成分として導入することを提案した。しかし、遡って1994年当時、真に強烈で鮮やかなレッドシェードを実現するためのプライマリーとして現在の世界標準であるピラゾール(例:ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール又はヘキシル-4,5-ジアミノピラゾール)はまだ使用されておらず、この公開の対象にもなっていなかった。そのため、Lewisらは、より明るいシェードを実現するために可溶化バット染料を酸化プライマリーとカップラーとを混合することで得られる色を明るくする効果に焦点を当てている。米国特許第5364415号が出願された当時、今日のファッションシェードを作成するためのこのピラゾールブロックバスターはまだ利用可能ではなく、ピラゾールプライマリーの使用に関連する洗濯堅牢度の問題もまだ知られていなかった。特に、米国特許第5364415号では洗濯堅牢度についてはまったく触れられていない。
【0075】
[0085] 再酸化が完了した後、バット染料色素が毛髪のコルテックスに沈殿すると、形成された色素の絶対的な不溶性により、非常に長持ちする髪の着色が達成される。したがって、このタイプの着色は、プライマリーとカップラーとを使用する従来の酸化毛髪着色剤に添加された従来の直接染料に比べて優れた洗濯堅牢度を示す、高度で長持ちする着色を提供する。シャンプーで15回以上洗った後でも、このように処理された髪はまったく変化せず、染料全体(それぞれ、酸化カップリング生成物及びバット染料)が失われた痕跡もなく残っている。この観察は注目に値する。なぜなら、可溶化バット染料の添加が、従来の酸化着色にさらなる輝きを加えるだけでなく、又は従来の酸化毛髪着色剤を使用することでしか直接アクセスできない全く新しい色空間を開放するだけでなく、著しく向上した洗濯堅牢度をもたらすからである。これは、特に、文献から知られているピラゾール誘導体(例:ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノ-ピラゾールサルフェート又はヘキシル-4,5-ジアミノ-ピラゾール)を含有するビブラントレッドシェードが、他のシェードと比較して洗濯堅牢度に不足があり、退色が早いことが業界では既知の課題であると認識されているため、ますます驚くべきことである。理論に縛られることを望むものではないが、妥当性の高い説明としては、インダンスレン関連のバット染料の多環芳香族構造が、毛髪のコルテックスに沈殿する間、閉まるドアのような働きをするということが明らかに考えられる。該バット染料は、タンパク質ベースのケラチン鎖間に立体空間を見つけることが可能であり、ケラチンと複合型の配置を形成する。これが、他の水溶性の、ゆえに柔軟で運動性の高い分子、例えば従来の酸化ヘアカラーにおけるプライマリーとカップラーとの反応によって形成されるカップリング生成物が毛髪から移動するのを不可能にするため、色は、シャンプーに対する向上した耐性を示す。この提案されたメカニズムは、既知の文献の観察によってサポートされているようである。DE10259033(Langhals、Behrens、Bauer、Speckbacher)は、層に対して特定の目的のための45°の角度でヘリンボーンパターンを形成しながら、発色団のインターカレーションを介して複数の無機層構造間に、可溶化バット染料のような非常に類似した多環芳香族環構造を有する水溶性ペリレン染料の配置を記載している。このような配置は、X線分析によって実証されている。この提案された概念は、従来の酸化染料をバット染料の前に又はバット染料と同時に塗布すると、洗濯堅牢度特性が向上するという観察によってさらにサポートされるようである。可溶化バット染料を最初に塗布し、その後に従来の酸化ヘアカラーで処理した場合、従来の酸化ヘアカラーの添加によって生じる色結果は非常に穏やかなものにすぎず、これらの洗濯堅牢度は非常に乏しく、可溶化バット染料の処理を一切行わない塗布と比べて大幅に低下する。この観察は、バット染料を最初に塗布すると、利用可能な位置が沈殿したバット染料ですでに効果的にブロックされているため、従来の酸化染料が毛髪のコルテックスに浸透するのに十分な空間が残っていないことを説明する。逆に進めた場合、すなわち従来の酸化染料を可溶化バット染料の塗布の前に又は同時に塗布する場合、洗濯堅牢度の向上というプラスの効果が予想どおりに観察される。
【0076】
[0086] 本発明者らによってなされた別の観察は、バット染料の(可溶化)多環芳香族構造の構造とサイズが、得られる洗濯堅牢度又はその向上に影響を与えるということである。構造に関しては、バットブルー4(CAS#2747-19-5)又はバットブルー6(CAS#2519-28-0)などの「ねじれ(kink)」を有する構造とは対照的に、平板状(flatbed)多環芳香族構造を有するバット染料について最良の結果が得られた。
【0077】
[0087] スキーム5:
[0088]
[0089]
[0090] 平板状の多環芳香族構造のサイズに関して、本発明者らは、アントラセン又はその高次誘導体であるテトラセン又はペンタセンなどの一連の芳香環では最適な結果が得られないことを見出した。むしろ、最適な結果を得るためには、4つ以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造が必要であり、この平板状発色団構造は1つ又は複数の窒素原子を場合によって含んでいてもよく、以下の式(4)によるピレン構造要素を含むことが理解される。
【0078】
[0091] 最適な結果を達成するための上限としては、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造が必要であり、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含んでいてもよく、この平板状発色団構造は1つ又は複数の窒素原子を場合によって含んでいてもよく、以下の式(5)によるピラントレン構造要素を含むことが理解される。
【0079】
[0092] 最適な結果は、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を用いて達成されると考えられ、前記平板状発色団構造は、以下の式(6)によるジベンゾ-ピレン構造要素を含む。
【0080】
[0093] 特定の実施形態によれば、組成物Bは、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む。バットイエロー1及びバットオレンジ9は、以下の式(5)による、8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を示す。バットイエロー4及びバットオレンジ3は、以下の式(6)による、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を示し、該構造は現在、洗濯堅牢度を向上させるための平板状構造の最適なサイズであると考えられている。
【0081】
[0094] 本発明の教示に従って達成される向上した洗濯堅牢度は、「得られたままの」、すなわち任意の洗濯前に結果として得られた毛髪の色を決定し、15回の標準的な洗濯サイクル後に結果として得られた毛髪の色を決定し、その色差を決定することによって評価される。酸化染料系単独での毛髪の着色後に得られた洗濯前の色と15回の洗濯サイクル後の色との差と、酸化染料系プラスバット染料での毛髪の着色後に得られた洗濯前の色と15回の洗濯サイクル後の色との差を比較することによって、得られた洗濯堅牢度の向上を示す係数が得られる可能性がある。
【0082】
[0095] この評価には2つの異なる色味(バット染料によって付与された色を有するものと有しないもの)の比較が含まれるため、得られた係数は、洗濯堅牢度の相対的な向上を示す近似値であることに留意されたい。したがって、この評価では正確な結果は得られず、得られた係数は定性的な指標であり、定量的な指標ではない。元の毛髪の色(着色前)の影響を排除するために、評価は天然の白髪を使用して行われる。
【0083】
[0096] 言い換えると、洗濯堅牢度向上は、比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)として記載することができ、ここで、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である。
【0084】
[0097] 本発明によれば、比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)は、好ましくは1.5以上である。実施形態によれば、この比率は2.0以上、さらには5.0以上である。
【0085】
[0098] 標準的な洗濯サイクルは、着色された毛束をぬるま湯(25℃)で10秒間すすぐことと定義される。約10gの市販シャンプー(例:SPカラーセーブシャンプー)を濡れた毛束に塗布し、30秒間優しくこすり、その後ぬるま湯でさらに30秒間すすぐ。その後、毛束をタオルでやさしく乾かし、続いてヘアドライヤーで2分間乾かした。その後、この手順を14回繰り返し、合計15回の洗濯サイクルを達成する。
【0086】
[0099] CIELAB L*a*b色座標を決定するために、適切な分光光度計、例えばコニカミノルタ製ポータブル分光光度計CM-26Dを用いて色を測定する。
【0087】
[00100] 本発明によって生成される色は、オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドから選択される色空間の範囲内にある。
【0088】
4 ケラチン質を着色するための方法
[00101] 本発明の主題は、ケラチン質を着色するための方法である。実施形態によれば、ケラチン質は、哺乳類の体毛、特にヒトの頭毛などのヒトの毛髪である。本方法は、
a1 組成物Aを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Aは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、前記ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、組成物Aを前記ケラチン質に塗布すること、
a2 組成物Bを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Bは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、組成物Bを前記ケラチン質に塗布すること、
b 工程a2の後で、組成物Cを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Cは酸化剤を含む、組成物Cを前記ケラチン質に塗布すること
を含む。
【0089】
[00102] 上述のように、組成物Aは、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体を含む酸化染料系を含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含み、一方、組成物Bは、1種以上の可溶化バット染料を含む。
【0090】
[00103] 好ましい塗布の順序は、最初に組成物Aを前記ケラチン質に塗布し、その後組成物Bを塗布するか、又は組成物AとBを同時にケラチン質に塗布することである。所望により、ケラチン質に塗布する前に組成物AとBを混合し、その混合物をケラチン質に塗布してもよい。逆の順序、すなわち、最初に組成物Bを前記ケラチン質に塗布し、その後組成物Aを塗布することは、技術的には当然可能であるが、好ましくない。上述のように逆の順序で塗布した場合、洗濯堅牢度に意図したほどの向上は見られない。
【0091】
[00104] 組成物Aは、好ましくは、弱アルカリ性範囲のpH、すなわち、8.0~11.0の範囲、特に8.5~9.5の範囲のpH、例えば約9.0のpHを示し、これは、プライマリー及びカップラーを用いる酸化着色剤による酸化染色に使用される通常のpH範囲である。同様に、組成物Bも、好ましくは、8.0~1.0の範囲のpH、特に8.5~9.5の範囲のpH、例えば約9.0のpHを示す。これにより、ケラチン質を膨潤させるのに特に適しており、酸化染料の吸収のために確立された範囲内にpHを維持することができる。
【0092】
[00105] これにより、ケラチン質を膨潤させるのに特に適しており、酸化染料の吸収のために確立された範囲内にpHを維持することができる。この段階は、本明細書では「浸透段階」とも呼ばれる。これを行うために、組成物A及びBを十分な時間、好ましくは少なくとも20分、特に20~40分間、ケラチン質上に保持する。より長い浸透段階は技術的には当然実行可能だが、美容院においてはコンシューマーコンプライアンスの対象となる。浸透段階が短いと、酸化染料前駆体及び/又は可溶化バット染料がケラチン質に不完全に浸透する可能性がある。浸透段階は通常、20~40℃、特に35~40℃の温度を伴う。浸透中のpHは、通常、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内、例えは約9.0のpHである。
【0093】
[00106] 所望により、浸透促進剤を組成物A、組成物B又はその両方に組み込むことによって、ケラチン質(ヒトの毛髪など)から成るコルテックスへの酸化染料前駆体及び可溶化バット染料の浸透を促進することができる。無論、浸透促進剤は、組成物A又はBの成分ではなく、別個に組み込むこともできる。実施形態によれば、浸透促進剤は、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される。
【0094】
[00107] 浸透段階の間、浸透プロセスを妨げる可能性があり、塗布された染料量の不十分な消費につながり、ひいては不満足な色結果をもたらす可能性がある可溶化バット染料の早期酸化を避けるために、又は少なくとも許容可能な限度内に保つために、スルホン酸エステル構造を無傷に保つことが重要である。その時点で可溶化バット染料のはめ込み酸化(insetting oxidation)を防止するために,着色混合物(特に組成物B)に還元剤を添加してもよい。好適な還元剤の例は、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、及び類似の穏やかな還元剤を含み、これらは単独又は組み合わせて使用される。
【0095】
[00108] 酸化染料前駆体及び可溶化バット染料のケラチン質から成るコルテックスへの浸透は、浸透段階の(間又は)後に熱処理を適用することによってさらに促進させることができる。このような熱処理は、特に、80~230℃の温度を有する火のしでケラチン質を処理することを含みうる。典型的な熱処理の持続時間は、30秒まで、特に2~20秒である。熱処理(もしあれば)の時間を長くすることは可能であるが、ヒトの毛髪などのケラチン質への潜在的な損傷を避ける(又は少なくとも制限する)ために注意を払う必要がある。
【0096】
[00109] 前述のように、酸化染料前駆体及び可溶化バット染料は、浸透段階の間にケラチン質(特にヒトの毛髪の)から成るコルテックスに浸透することができる。アルカリ性pHを例えばpH=6まで下げることは、可溶化バット染料が浸透するのを妨げ、またそうすることで、弱アルカリ性条件を必要とするケラチン繊維の膨潤を減少させることが観察されている。さらに、pHを穏やかな酸性条件に下げることによって、スルホン酸エステルを強制的に開裂させる必要もない。むしろ、スルホン酸エステル基の開裂は、水性媒体自体におけるスルホン酸エステルの不安定性によるところが大きいと考えられるため、酸性化工程なしに、嵩高い芳香族発色団系が膨潤した毛髪のコルテックスに深く流れ込むことが観察されている。
【0097】
[00110] 浸透段階及び任意選択の熱処理に続いて、酸化剤を含む組成物Cをケラチン質に塗布することにより、酸化染料前駆体及びロイコバット染料が、それぞれ酸化染料及びバット染料に酸化される。どのような酸化処理でも適用可能である。これには、例えば1.0~12.0体積%の過酸化水素水を使用する、非常に穏やかな条件が含まれる。ヘアカラー業界で一般的なのは、次の典型的な濃度;1.9、6.0、9.0又は12.0体積%である。組成物Cは、典型的には2.0~4.0の範囲、特に2.5~3.5の範囲のpHを有する。ただし、組成物CのpHは、酸性化をもたらさない。組成物AとBとを混合する場合、全体のpHは7.0~10.0の範囲、典型的には8.0~10.0の範囲、例えば8.5~9.5の範囲に維持される。組成物Cは、好ましくは、30分未満、特に10~20分間、温度20~40℃、特に35~40℃で、且つpH=8.0~11.0でケラチン質上に維持される。
【0098】
[00111] 着色方法がいかなる酸性化工程も含まないことがさらに好ましく、そのため、塗布段階、浸透段階、任意選択の熱処理及び酸化処理の間、pHは好ましくは7.0~10.0の範囲、典型的には8.0~10.0の範囲、例えば8.5~9.5の範囲に維持される。
【0099】
[00112] 本方法は、通常の後処理工程をさらに含むことがある。例えば、ケラチン質は、通常、酸化段階が完了した後にすすぎ洗いされ、このすすぎ洗いは、通常、ぬるま湯又は約37℃から37℃をわずかに超える温度の水で行われる。任意選択のさらなる後処理には、例えば、シャンプー、コンディショニング、ケラチン質の乾燥又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0100】
[00113] 組成物A、B、Cのいずれも、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤又はこれらの組み合わせなどの通常の添加剤をさらに含んでもよい。
【0101】
4.1 組成物A中の酸化染料前駆体
[00114] 組成物Aは、上記のような酸化染料系を含む。第1章における上述の全ての実施形態、例及び追加情報は、本発明の方法で使用される組成物Aにも同様に適用される。念のため、以下に情報を繰り返す。
【0102】
[00115] 組成物Aは、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む。
【0103】
[00116] 好ましい実施形態によれば、組成物Aは、次の式(1)による4,5-ジアミノピラゾールを含む。
[00117] 上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである。
【0104】
[00118] 特定の実施形態によれば、組成物A中のピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される4,5-ジアミノピラゾールを含む。
【0105】
[00119] 実施形態によれば、組成物Aは、以下の式(2)によるアミノピラゾールピリジンを含む。
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである。
【0106】
[00120] 実施形態によれば、組成物Aは、次の式(3)による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含む。
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである。
【0107】
[00121] 好ましい実施形態によれば、組成物Aは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、2,3-ジアミノジヒドロピラゾロピラゾロン(CAS#857035-94-0)、ジメチルピペラジニウムアミノピラゾロピリジン(CAS#1256553-33-9)、3-アミノ-2-((2-ヒドロキシエチル)オキシ)-ピラゾロ[1,5-a]ピリジン(CAS#1079221-49-0)又はこれらの組み合わせから選択されるピラゾールプライマリーを含む。さらにより特定の実施形態によれば、組成物Aは、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択されるピラゾールプライマリーを含む。
【0108】
[00122] 典型的には、組成物Aは、ピラゾールプライマリーに加えて、1種以上の従来のプライマリーを含む。特定の実施形態によれば、組成物A中に場合によって存在する従来の一次中間体は、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0109】
[00123] 特定の実施形態によれば、組成物Aは、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせから選択される1種以上のカップラーを含む。
【0110】
[00124] 実施形態によれば、組成物Aは、組成物Aの重量に対して、0.005~6.0重量%、特に0.01~3.0重量%、例えば0.2~2.0重量%の濃度の各プライマリーを含む。実施形態によれば、組成物Aは、組成物Aの重量に対して、0.005~6.0重量%、特に0.01~3.0重量%、例えば0.2~2.0重量%の濃度の各カップラーを含む。
【0111】
[00125] 典型的には、組成物Aは、組成物Aの総重量に対して12.0重量%まで、又は0.1~12.0重量%、又は0.2~10.0重量%、又は0.5~8.0重量%の、酸化染料前駆体、すなわち、1種以上のカップラー、1種以上のピラゾールプライマリー、及び1種以上の任意の従来の一次中間体の総量を含む。
【0112】
4.2 組成物B中の可溶化バット染料
[00126] 組成物Bは、上述のような1種以上の可溶化バット染料を含む。第2章及び第3章における上述の全ての実施形態、例及び追加情報は、本発明の方法で使用される組成物Bにも同様に適用される。念のため、以下に情報を繰り返す。
【0113】
[00127] 本発明によれば、組成物Bは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む。実施形態によれば、組成物Bは、2種以上の可溶化バット染料、例えば3種又は4種の可溶化バット染料を含む。典型的には、組成物B中の可溶化バット染料は、ロイコバット染料スルホン酸エステル又は2種以上のロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである。
【0114】
[00128] 実施形態によれば、組成物Bは、可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む。
【0115】
[00129] 特定の実施形態によれば、組成物Bは、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む。
【0116】
[00130] 実施形態によれば、組成物Bは、組成物Bの重量に対して、各可溶化バット染料を0.50~2.0重量%の濃度、特に0.6~1.5重量%の濃度、例えば0.75~1.0重量%の濃度で含む。典型的には、組成物Bは、組成物Bの総重量に対して、8.0%まで、又は0.5~6.0%、又は1.0~5.0%、又は1.5~4.0%の可溶化バット染料の総量を含む。
【0117】
[00131] 好ましい実施形態によれば、組成物B中の可溶化バット染料のうちの少なくとも1種は、第3章において上述したように、式(4)、(5)及び/又は(6)による多環芳香族平板状発色団構造を示す。
【0118】
[00132] 組成物B中のこれらの可溶化バット染料によって達成される洗濯堅牢度の向上は、好ましくは、第3章に記載した比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)を満たし、この比率は1.5以上である。
【0119】
4.3 組成物A-製剤の詳細
[00133] 組成物Aは、酸化染料前駆体を毛髪に送達するのに適しており、組成物Bと相溶性であり、好ましくは、美容院の専門家が利用できるようなレオロジーと粘度を有する。適切な製剤は、例えば欧州特許出願公開第2308564号などに記載されているような所謂ゲルネットワーク系と、例えば欧州特許出願公開第2338572号に記載されているような油性組成物とを含む。実施形態によれば、組成物Aは、好ましくは、無機ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを含まない。
【0120】
4.3.1 ゲルネットワーク系
[00134] ゲルネットワーク増粘剤系は、第3の成分系含む増粘系と定義される。この系は、C14~C30アルキルホスフェート、C14~C30アルキルエーテルホスフェート及びこれらの混合物から選択される第1のアニオン性界面活性剤成分と、C14~C30脂肪アルコールから選択される第2の成分と、ポリオキシエチレンC14~C30アルキルエーテルから選択される第3の非イオン性界面活性剤成分を含む。当業者であれば、ゲルネットワーク増粘剤系は通常、網状のラメラ二層及び/又はベシクル、時には結晶の複雑な構造を有することを理解するであろう。これらの系は通常、クリーミーな外観と感触を有するため、特に好ましい。
【0121】
[00135] ゲルネットワーク増粘剤系の第1のアニオン性界面活性剤成分は、C8~C30、好ましくはC14~C18アルキルホスフェート、C8~C30、好ましくはC14~C18アルキルエーテルホスフェート又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、アルキルエーテルホスフェートは平均1~20、好ましくは1~10、最も好ましくは1~3のエチレンオキシド単位を有する。実施形態によると、組成物Aは、組成物Aの重量に対して、少なくとも1.0%、好ましくは1.0~3.0%の前記第1の界面活性剤成分、さらに好ましくは1.2~2.0%の前記第1の界面活性剤成分を含む。第1の界面活性剤成分は、ゲルネットワークの形成を助けるものであり、好ましくは、所望のレオロジー範囲の維持を助けるために上記のレベルで、特に過度の粘着性を防ぐために上限値で使用される。
【0122】
[00136] このゲルネットワーク系は、第2の成分として、直鎖状又は分岐状のC14~C30脂肪アルコールをさらに含む。最も好ましくは、第2の成分は、セチル、ステアリル、セトステアリル若しくはベヘニルアルコール又はこれらの混合物から選択される。組成物Aは、組成物Aの重量対して2.0~8.0%、好ましくは4.0~6.0%の前記脂肪アルコールを含んでもよい。この第2の成分は、ゲルネットワーク系の安定化を補助するものであり、また、特に上限値で所望のレオロジー範囲の維持を助け、過剰な粘着性を防ぐ。
【0123】
[00137] ゲルネットワーク増粘剤系の第3の界面活性剤成分は、好ましくは少なくとも約25個、好ましくは約50~200個、最も好ましくは約100~200個のエチレンオキシド単位を有する1つ又は複数のポリエチレンオキシド鎖を含むポリオキシエチレンC14~C30アルキルエーテルから選択される非イオン性界面活性剤である。適切な界面活性剤には、セテアレス-25、ステアレス-100、ステアレス-150、ステアレス-200、及びこれらの混合物が含まれる。第3の界面活性剤成分は、ゲルネットワーク系の共乳化剤及び安定化剤として作用する。さらに、第3の界面活性剤は、滑らかな軟性組成物の形成を助ける。ゲルネットワーク増粘剤系の第3の界面活性剤成分は、組成物Aの0.1~5.0重量%の量で存在しうる。
【0124】
[00138] 上で特定した種類の界面活性剤又は成分のそれぞれの2つ以上の界面活性剤及び/又は成分をゲルネットワークに使用することができる。組成物Aは、ゲルネットワーク系として製剤化される場合、組成物Aの重量に対して、少なくとも3.0%、好ましくは少なくとも4.0%、より好ましくは少なくとも5.0%の前記第1の界面活性剤成分、前記第2の界面活性剤成分及び前記第3の界面活性剤成分の総量を含みうる。
【0125】
4.3.2 油性組成物
[00139] 油性組成物として製剤化する場合、組成物Aは、炭化水素(主に炭素数が25より大きいもの)と脂肪アルコールとの半固形混合物を含有してもよい。炭化水素、例えば好ましくは液体ワセリンは、10.0~65.0重量%、好ましくは15.0~60.0重量%の量で存在する。1つ又は複数のC12~C34脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールは、好ましくは5.0~30.0重量%、好ましくは8.0~20.0重量%の量で存在する。C16~C30直鎖アルキル鎖を含む脂肪アルコールが好ましい。
【0126】
[00140] 油性組成物として製剤化される場合、組成物Aは、好ましくは、1種以上の非イオン性界面活性剤をさらに含む。好適な非イオン性界面活性剤の例は、5.0~15.0重量%、好ましくは7.0~10.0重量%の範囲の、POE/POP/POE(ポロキサマー184)又はオキシエチレン化C8~C30アルコール(オレイルアルコール(100E)など)及びこれらの混合物を含む。
【0127】
[00141] 粘度調整剤、特に、例えばジステアリルジメチルアンモニウム変性ヘクトライトなどのヘクトライトクレイの有機誘導体形態の粘度調整剤は、0.5~6.0重量%、好ましくは1.0~3.0重量%の量で存在することができる。
【0128】
[00142] プロピレングリコール、エタノール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール又はこれらの組み合わせなどの溶媒は、通常、2.0~15.0重量%、好ましくは3.0~8.0重量%の量で存在してもよい。アスコルビン酸などの酸化防止剤は、通常0.1~0.7重量%の量で存在しうる。
【0129】
[00143] 任意選択のキレート剤は、同一であっても異なっていてもよく、典型的には、ジエチレントリアミン-N,N’,N’’-ポリ酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、これらの塩、これらの誘導体、及びこれらの混合物から選択される。キレート剤の総量は通常、少なくとも0.01重量%、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.25~3重量%、さらに好ましくは0.5~2重量%の範囲である。
【0130】
[00144] モノエタノールアミン又はアンモニウム、水酸化ナトリウムのようなアルカリ化剤は、通常、2.0~12.0重量%の範囲で存在しうる。適切なpH調整剤及び/又は緩衝剤には、限定されないが、アンモニア、酸味料(例えばリン酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸又は酒石酸、塩酸を含む無機酸及び無機酸など);アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、及び2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3,-プロパンジオール);グアニジウム塩;水酸化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム又は水酸化アンモニウム及び炭酸塩などのアルカリ金属;並びにこれらの混合物が含まれうる。
【0131】
4.4 組成物B-製剤の詳細
[00145] 組成物Bは、可溶化バット染料を毛髪に送達するのに適しており、組成物Aと相溶性であり、好ましくは、美容院の専門家が利用できるようなレオロジーと粘度を有する。好適な製剤には、ゲル様の系とシャンプー様の系を含む。実施形態によれば、組成物Bは、好ましくは、無機ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを含まない。
【0132】
4.4.1 ゲル様組成物
[00146] ゲル様組成物として製剤化される場合、組成物Bは、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含む。実施形態によれば、組成物Bは、12.0~25.0重量%、特に15.0~20.0重量%の前記1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含む。組成物Bをゲル様組成物として製剤化するのに適した脂肪酸は、C12以上の直鎖炭素鎖長、特にC16~C30の直鎖炭素鎖長を好ましくは示す。脂肪酸の例は、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)又はこれらの組み合わせを含む。
【0133】
[00147] ゲル様組成物は、好ましくは、2.0~20.0重量%のレオロジー剤をさらに含み、特に、レオロジー剤は、アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択される。好ましい実施形態によれば、ゲル様組成物は、クリーミーな粘稠度を示す。
【0134】
4.4.2 シャンプー様組成物
[00148] 組成物Bは、シャンプー様組成物として製剤化される場合、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、及び0~10.0重量%の任意選択の保湿剤を含む。
【0135】
[00149] 実施形態によれば、組成物Bはシャンプー様組成物として製剤化される場合、4.0~25.0重量%、特に6.0~15.0重量%のアニオン性界面活性剤、3.0~15.0重量%、特に4.0~10.0重量%の両性界面活性剤、及び1.0~8.0重量%の保湿剤を含む。
【0136】
[00150] 実施形態によれば、アニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、a-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、N-ココイル脂肪アシルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-ヤシ油脂肪アシルグリシン、N-ヤシ油脂肪アシルアラニン塩、アルキルスルホコハク酸の塩、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0137】
[00151] 実施形態によれば、両性界面活性剤は、ベタイン、特にアルキルアミドベタイン、アルキルベタイン、アミドスルホベタイン、カルボキシベタイン型ベタイン、スルホベタイン型ベタイン、ヒドロキシスルホベタインベタイン、ホスホベタイン(phospobetaine)型ベタイン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0138】
[00152] 実施形態によれば、任意選択の保湿剤は、グリセロール、グリセロールエステル、プロピレングリコール、イソペンチルジオール、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0139】
[00153] シャンプー様組成物として製剤化される場合の組成物Bの特定の例として、組成物Bは、6.0~10.0重量%のラウレス硫酸ナトリウム、4.0~6.0重量%のココアミドプロピルベタイン、及び2.0~4.0重量%のグリセリンを含んでもよい。
【0140】
4.5 組成物C-製剤の詳細
[00154] 組成物Cは、酸化剤を含む。特に、組成物Cは、典型的には1.0~12.0堆積%の濃度の過酸化水素を含んでもよい。組成物Cは、2.0~4.0の範囲、特に2.5~3.5の範囲のpHを好ましくは有する。組成物Cは、必要に応じて、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤をさらに含んでもよい。実施形態によれば、組成物Cは、無機ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを好ましくは含まない。組成物Cは、例えば、Wella社からWELLOXON Perfectの商品名で販売されている組成物のような市販の過酸化水素水であってもよい。
【0141】
5 すぐに使えるヘアカラー製剤
[00155] 本発明のさらなる主題は、すぐに使えるヘアカラー製剤である。すぐに使えるヘアカラー製剤は、上述の組成物Aと上述の組成物Bとを混合することによって得られる。組成物Aは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む。組成物Bは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む。
【0142】
[00156] すぐに使えるヘアカラー製剤は、弱アルカリ性範囲のpH、すなわち8.0~1.0の範囲、特に 8.5~9.5の範囲のpH、例えば約9.0のpHを好ましくは示す。
【0143】
[00157] すぐに使えるヘアカラー製剤は、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤を含んでもよい。
【0144】
[00158] すぐに使えるヘアカラー製剤中の酸化染料前駆体、特にピラゾールプライマリーは、組成物Aから誘導される。したがって、酸化染料系は、上記、特に第1章に記載したとおりである。すぐに使えるヘアカラー製剤中の可溶化バット染料は、組成物Bから誘導される。したがって、可溶化バット染料系は、上記、特に第2章と3章に記載したとおりである。
【0145】
[00159] 酸化染料前駆体及び可溶化バット染料の量に対して、すぐに使えるヘアカラー製剤は、好ましくは、各プライマリーを0.0025~3.0重量%の濃度で、各カップラーを0.0025~3.0重量%の濃度で、各可溶化バット染料を0.25~1.0重量%の濃度で含み、全ての重量%範囲は本製剤の総重量に基づく。実施形態によれば、すぐに使えるヘアカラー製剤は、各プライマリーを0.005~1.5重量%の濃度で、各カップラーを0.005~1.5重量%の濃度で、各可溶化バット染料を0.3~0.75重量%の濃度で含んでもよく、全ての重量%範囲は本製剤の総重量に基づく。すぐに使えるヘアカラー製剤は、総量が最大6.0重量%の酸化染料前駆体(カップラー、ピラゾールプライマリー及び従来のプライマリー)と、総量が最大4.0重量%の可溶化バット染料とを含んでもよく、全ての重量%範囲は本製剤の総重量に基づく。
【0146】
[00160] 酸化染料前駆体と可溶化バット染料の上記重量範囲は、すぐに使えるヘアカラー製剤を得るためには、組成物Aと組成物Bが同程度の量又は等しい量で、すなわち約1:1の重量比で混合されることを意味する。しかしながら、組成物a及びBの比は重要ではなく、逸脱した重量比、例えばA:Bが1:5~5:1の範囲内で組成物aとBを混合して、すぐに使えるヘアカラー製剤を得ることも可能である。ただし、組成物AとBを1:1以外の重量比で使用する場合、組成物A及びB中の酸化染料前駆体と可溶化バット染料の量は、好ましくは、上記の重量制限を満たすように構成される。
【0147】
6 染毛用のキット
[00161] 本発明のさらなる主題は、染毛用のキットである。本キットは、1つのコンパートメント(又は容器)に上記第1章に記載の組成物Aと、別個のコンパートメント(又は容器)に上記第2~3章に記載の組成物Bとを備える。組成物Aは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む。コンパートメントBは組成物Bを備えており、前記組成物Bは、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む。
【0148】
[00162] 実施形態によれば、本キットは、別の別個のコンパートメント(又は容器)をさらに備えていてもよく、この別の別個のコンパートメント(又は容器)は、上記のような組成物Cを備える。組成物Cは、酸化剤、特に過酸化水素を、通常1.0~12.0体積%の濃度で含む。組成物Cは、例えば、Wella社からWELLOXON Perfectの商品名で販売されている組成物のような市販の過酸化水素水であってもよい。
【0149】
7 ヘアカラー成分
[00163] 本発明のさらなる主題は、ヘアカラー成分である。ヘアカラー成分は、市販のヘアカラー及び酸化溶液、例えばWella社からKOLESTON Perfectの商品名で販売されている市販のクリーム状ヘアカラー及びWella社からWELLOXON Perfectの商品名で販売されている市販の過酸化水素水との併用が意図されている。
【0150】
7.1 ゲル様ヘアカラー成分
[00164] 本発明によるゲル様ヘアカラー成分は、それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸、及び50~89.50重量%の水を含み、ここで各重量%は当該成分の重量に基づく。
【0151】
[00165] 可溶化バット染料は、上記第2~3章に記載されているとおりである。ゲル様ヘアカラー成分は、ゲル様ヘアカラー成分の重量に対して、各可溶化バット染料を0.50~2.0重量%の濃度、特に0.6~1.5重量%の濃度、例えば0.75~1.0重量%の濃度で含む。典型的には、ゲル様ヘアカラー成分は、ゲル様ヘアカラー成分の総重量に対して8.0重量%まで、又は0.5~6.0重量%、又は1.0~5.0重量%、又は1.5~4.0重量%の可溶化バット染料の総量を含む。
【0152】
[00166] 実施形態によれば、ゲル様ヘアカラー成分は、12.0~25.0重量%、特に15.0~20.0重量%の前記1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含む。適切な脂肪酸は、C12以上の直鎖炭素鎖長、特にC16~C30の直鎖炭素鎖長を好ましくは示す。脂肪酸の例は、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)又はこれらの組み合わせを含む。
【0153】
[00167] 実施形態によれば、ゲル様ヘアカラー成分は、好ましくは、アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を2.0~20.0重量%さらに含む。好ましい実施形態によれば、ゲル様ヘアカラー成分は、クリーミーな粘稠度を示す。
【0154】
[00168] ゲル様ヘアカラー成分は、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、又はこれらの組み合わせ(レオロジー剤として既に存在しない場合)から選択される浸透促進剤をさらに含んでもよい。
【0155】
[00169] ゲル様ヘアカラー成分は、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0156】
[00170] ゲル様ヘアカラー成分は、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、非イオン性界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含んでもよい。
【0157】
7.2 シャンプー様ヘアカラー成分
[00171] 本発明によるシャンプー様ヘアカラー成分は、それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、0~10.0重量%の任意の保湿剤、及び50.0~95.50重量%の水を含み、ここで各重量%は当該成分の重量に基づく。
【0158】
[00172] 可溶化バット染料は、上記第2~3章に記載されているとおりである。シャンプー様ヘアカラー成分は、ゲル様ヘアカラー成分の重量に対して、各可溶化バット染料を0.50~2.0重量%の濃度、特に0.6~1.5重量%の濃度、例えば0.75~1.0重量%の濃度で含む。典型的には、シャンプー様ヘアカラー成分は、シャンプー様ヘアカラー成分の総重量に対して8.0重量%まで、又は0.5~6.0重量%、又は1.0~5.0重量%、又は1.5~4.0重量%の可溶化バット染料の総量を含む。
【0159】
[00173] 実施形態によれば、シャンプー様ヘアカラー成分は、4.0~25.0重量%、特に6.0~15.0重量%のアニオン性界面活性剤、3.0~15.0重量%、特に4.0~10.0重量%の両性界面活性剤、及び1.0~8.0重量%の保湿剤を含む。
【0160】
[00174] 実施形態によれば、アニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、a-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、N-ココイル脂肪アシルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-ヤシ油脂肪アシルグリシン、N-ヤシ油脂肪アシルアラニン塩、アルキルスルホコハク酸の塩、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0161】
[00175] 実施形態によれば、両性界面活性剤は、ベタイン、特にアルキルアミドベタイン、アルキルベタイン、アミドスルホベタイン、カルボキシベタイン型ベタイン、スルホベタイン型ベタイン、ヒドロキシスルホベタインベタイン、ホスホベタイン型ベタイン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0162】
[00176] 実施形態によれば、任意選択の保湿剤は、グリセロール、グリセロールエステル、プロピレングリコール、イソペンチルジオール、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0163】
[00177] シャンプー様ヘアカラー成分の特定の例は、6.0~10.0重量%のラウレス硫酸ナトリウム、4.0~6.0重量%のココアミドプロピルベタイン、及び2.0~4.0重量%のグリセリンを含む。
【0164】
[00178] シャンプー様ヘアカラー成分は、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤を含んでもよい。
【0165】
[00179] シャンプー様ヘアカラー成分は、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0166】
[00180] シャンプー様ヘアカラー成分は、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、非イオン性界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含んでもよい。
【0167】
8 酸化染料によって生成されたヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるためのバット染料及び/又はヘアカラー成分の使用
[00181] 本発明のさらなる主題は、本質的に上記のように、酸化染料によって生成されたヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための、可溶化バット染料の使用又はそれぞれ上記第7章に記載のヘアカラー成分の使用である。実施形態によれば、1種以上の酸化染料は、上記、特に第1章に記載されているように、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される。可溶化バット染料は、上記、特に第2~3章に記載されているとおりである。
【0168】
[00182] 本発明が企図する使用は、特に、オレンジ色、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ色、又はビブラントレッドの色空間のヘアカラーに関する。
【0169】
[00183] 洗濯堅牢度向上は、比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)として記載することができ、ここで、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である。
【0170】
[00184] 本発明によれば、比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)は、好ましくは1.5以上である。実施形態によれば、この比率は2.0以上、さらには5.0以上である。
【0171】
[00185] 標準的な洗濯サイクルは、着色された毛束をぬるま湯(約25℃)で10秒間すすぐことと定義される。約10gの市販シャンプー(例:SPカラーセーブシャンプー)を濡れた毛束に塗布し、30秒間優しくこすり、その後ぬるま湯でさらに30秒間すすぐ。その後、毛束をタオルでやさしく乾かし、続いてヘアドライヤーで2分間乾かした。その後、この手順を14回繰り返し、合計15回の洗濯サイクルを達成する。
【0172】
[00186] CIELAB L*a*b色座標を決定するために、適切な分光光度計、例えばコニカミノルタ製ポータブル分光光度計CM-26Dを用いて色を測定する。
【実施例
【0173】
[00187] 可溶化バット染料を従来の酸化毛髪染料と組み合わせて使用する酸化染色方法は、本質的に2つの工程からなる。
【0174】
A 可溶化バット染料の毛髪のコルテックスへの浸透
[00188] これは、アンモニア、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、又は他の浸透促進剤(尿素、ベンジルアルコールなど)の浸透促進剤の存在下で、pH=9の弱アルカリ性条件下で起こる。酸化プライマリーとカップラーは、この段階で既に任意選択的に添加されており、これは、全体的な塗布時間を考えると、ヘアスタイリストにとって貴重な時間を節約する。確かに、第1の浸透工程は、酸化プライマリー及びカップラーの添加なしでも随意的に行うことができるが、これらのものは浸透時間が完了した後に添加することができる。とはいえ、そうすることにメリットがないことに本発明者らは気付いた。したがって、貴重な塗布時間を節約するという明らかな利点が本発明にとって明らかに有益であることから、混合物(可溶化バット染料と、プライマリー及びカップラーを含む従来の酸化ヘアカラー)を一緒に塗布することを断然推奨する。この時点では、浸透プロセスを妨げ、塗布された染料量の不十分な消費につながり、ひいては不満足な色結果をもたらすこと可溶化バット染料の早期酸化を避けるために、スルホン酸エステル構造を無傷に保つことが重要である。その時点で可溶化バット染料が酸化を始めるのを防ぐために、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸等が還元剤として着色混合物に加えられる。米国特許第5364415号(Lewisら)とは対照的に、pH=9、40℃で浸透時間を20~30分に保つと、色結果は著しくより強く鮮やかになる。さらに、米国特許第5364415号(Lewisら)に記載されているように、メタ重亜硫酸ナトリウムを添加して、アンモニア又は尿素の添加によって与えられたアルカリ性pHをpH=6まで下げることは、可溶化バット染料の浸透を妨げ、弱アルカリ性条件を必要とするケラチン繊維の膨潤を低下させるので有益ではない。上述のとおり、pHを穏やかな酸性条件に下げながら、スルホン酸エステルを強制的に開裂させる必要もない。スルホン酸エステル基の開裂は、水性媒体自体におけるスルホン酸エステルの不安定性によるところが大きいと考えられるため、酸性化工程なしに、嵩高い芳香族発色団系が膨潤した毛髪のコルテックスに深く流れ込むことが観察されている。この観察は、美容院での実際の塗布を劇的に単純化するので、大いに有益である。
【0175】
B 不溶性ピグメントを毛髪のコルテックスに沈殿させるための酸化
[00189] 一旦浸透段階が終わると、任意の酸化手順を行うことができる。これには、1~12体積%の過酸化水素水を使用する、非常に穏やかな条件が含まれる。ヘアカラー業界で一般的なのは、次の典型的な濃度;1.9、6、9又は12体積%である。ロイコ型からバット染料ピグメントを形成する酸化プロセス及び同時に起こるリフトアッププロセス(酸化剤が毛髪の天然メラニンも酸化し続ける間)は、通常20分以内に完了する。したがって、全体の処理時間は1時間未満であり、これは、処理の複雑さを増すことなく、現在の酸化ヘアカラー用途に十分に対応する。大きな利点は、有機溶媒及びアルコール(エタノール又はイソ-プロピルアルコールなど)の使用を完全に省略できることである。加えて、全ての可溶化バット染料が、均一な染料取り込みと一般的な堅牢度特性に関して絶対的に同等の挙動を示すという事実により、全ての可溶化バット染料は、プライマリーとカップラーとを含む従来の酸化毛髪着色剤から誘導される様々な予め配合されたシェードと組み合わせて互いに容易にブレンドすることができ、その結果、配合者及びヘアスタイリストだけでなく、ユーザーである小売客も、あらゆる種類の自然でファッショナブルなシェードを境界なく創造する芸術的自由を有することができる。
【0176】
一般的な手順
[00190] オレイン酸及び/又はオレアートを含む、ゲル及び染料混合物の形態の1つの例示的な色担体塊5gは、7~12,0のpH値を有する。さらに、この担体塊は、酸化防止剤アスコルビン酸又は亜硫酸ナトリウム、増粘剤キサンタンガム又はジウタンガム、多糖類、例えばグルカン、修飾及び非修飾デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース及びその誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース)、錯化剤エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又は/及びエチレンジアミン-N,N’-二コハク酸(EDDS)、アルカリ化剤アンモニウム又はモノエタノールアミン(MEA)若しくはアミノメチルプロパノール(AMP)などのアルカノールアミン、ケア成分(アミノ酸、カチオン化セルロース、ポリクオタニウム)、香油を含有する。
【0177】
[00191] 発泡性液体の形態の担体色塊(carrier color mass)は、アニオン性界面活性剤を含み、例としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、N-ココイル脂肪アシルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-ヤシ油脂肪アシルグリシン、N-ヤシ油脂肪アシルアラニン塩、及びアルキルスルホコハク酸の塩、並びに両性界面活性剤アミドスルホベタイン、カルボベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン及びホスホベタイン(phospobetaine)型が含まれる。発泡性液体は保湿剤(グリセリン、プロピレングリコール)を含有し、組成物は、保湿剤(グリセリン、プロピレングリコール)、増粘剤、防腐剤系(プロピルパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム)を含有する。以下の表(スキーム6~7)に従う選択混合物(その例に限定されない)を、選択した色味が予め配合されていない5gの市販の酸化染料クリーム(例えば、Wella社のWella Professionals(著作権)によるKoleston Perfect)と均一にブレンドする。
【0178】
[00192] スキーム6:ゲル様組成物//ヘアカラー成分
【0179】
[00193] スキーム7:シャンプー様組成物//ヘアカラー成分
【0180】
[00194] その後、毛束をプレート上に置き、この混合物で処理し、35~40℃で20分間保持する。アルカリ性媒体は毛髪を膨潤させるのに最良であり、酸化染料取り込みの世界標準として確立されているため、この浸透工程はpH=9で行われる。その後、毛束を、過酸化水素を含有する標準的な市販品、いわゆるカラーディベロッパーを含む35~40℃の酸化浴に入れ、最適なリフトレベルを可能にするためにpH=9に保つ。典型的な含有量は1.9、6、9、12体積%である。ディベロッパーは、希望するリフトのグレードに応じて絶対的に自由に選ぶことができる。20分後、毛束を取り出し、ぬるま湯ですすいで、微量の酸化剤、粉末粒子等を完全に取り除いた後、シャンプーで洗い、市販のコンディショナーでアフタートリートメントし、ヘアドライヤーで乾かす。このアフターケア処理は、毛髪のコルテックスが再び閉じられ、且つ、閉じられた健康な表面を有する元の状態に戻るように毛髪が変換されることを確実にする。同じプロセスは、上記のように頭部にも適用することができる。
【0181】
[00195] 原則的に、上記で開示した例示的な製剤では詳述されていないが、上記の成分に加えて酸化染毛剤混合物の典型的な成分である全ての一般的な追加成分も、例外なく、また着色結果に悪影響を及ぼすことなく、同様に塗布することができる。これには以下の一般的な成分群が含まれる:着色剤(可溶化バット染料)、浸透促進剤/アルカリ化剤(例:アンモニア、エタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、ベンジルアルコール、尿素等)、還元剤/ラジカルスカベンジャー(例:亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸等)、キレート剤(例:EDTA、EDDS、エチドロン酸(editronic acid)等)、香料、ケア成分(例:加水分解ケラチン、ジメチコン、ポリクオタニウム型など。テクスチャー成分(例えば、ジヌタンガム、カルボマー、ココアミド、ヒドロキシエチルセルロース等)、媒体試薬(例:オレイン酸、セテアリルアルコール、ラノリンアルコール、ステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール等)、及び界面活性剤(例:ラウリルエーテルサルフェート、ラウリルスルホアセテート等)。
【0182】
[00196] 以下の表(スキーム8)は、酸化染料系のみを使用して、又は可溶化バット染料1種との併用で、着色後すぐの15回の標準的な洗濯サイクル後の両方について得られた着色を記載している。酸化染料系は、Wella社のブランド名であるKoleston Perfectである。酸化レベルは、過酸化水素6%である。このリフトレベルは、市販の酸化永久染毛剤において最も一般的なである。実験はすべて「天然の白髪」を使用し、約9.0のpHで行う。
【0183】
[00197] スキーム8:
【0184】
[00198] 以下の表(スキーム9)は、酸化染料系のみ使用して、又は可溶化バット染料1種との併用で、着色後すぐと標準的な洗濯サイクル15回の後の両方について得られた着色を記載している。酸化染料系は、Wella社のブランド名であるKoleston Perfectである。可溶化バット染料は、1:1の重量比の「イエロー4」と「バイオレット1」の組み合わせ(「Y4/V1」)、又は2:1の重量比の「イエロー4」と「グリーン1」の組み合わせ(「Y4/G1」)である。.酸化レベルは、過酸化水素6%である。このリフトレベルは、市販の酸化永久染毛剤において最も一般的なである。実験はすべて「天然の白髪」を使用し、約9.0のpHで行う。
【0185】
[00199] スキーム9:
【0186】
[00200] 以下の表(スキーム10)は、着色後すぐに得られた上記スキーム8及び9のL*a*b値を、15回の標準洗濯サイクル後に得られたL*a*b値と比較して得られた着色差ΔL、Δa及びΔbを記載している。
【0187】
[00201] スキーム10:
【0188】
[00202] 上記のスキーム10は、バット染料によって達成される洗濯堅牢度の向上が顕著であり、比率ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)がしばしば2.0を超え、場合によっては10.0を超えることを証明する。
【0189】
[00203] 以下の表(スキーム11)は、上記の実施例で使用したKoleston Perfectの色味に存在するピラゾールプライマリー、従来のプライマリー、及びカップラーを記載している。
【0190】
[00204] スキーム11:
【0191】
以下の記述は、本発明をさらに説明するものである。
1 ケラチン質を着色する方法であって、
a1 組成物Aを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Aは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体はピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーは、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、組成物Aを前記ケラチン質に塗布すること、
a2 組成物Bを前記ケラチン質に塗布する工程であって、前記組成物Bは水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、組成物Bを前記ケラチン質に塗布すること、
b 工程a2の後で、組成物Cを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Cは酸化剤を含む、組成物Cを前記ケラチン質に塗布すること
を含む。
2 組成物Bが、組成物Aを前記ケラチン質に塗布するのと同時に又はそれに続いて、前記ケラチン質に塗布される、記述1に記載の方法。
3 組成物AとBが、それらを前記ケラチン質に塗布する前に、混合される、記述1又は2に記載の方法。
4 酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、記述1から3のいずれかに記載の方法。
5 組成物Aが、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、記述1から4のいずれかに記載の方法。
6 組成物Bが、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、記述1から5のいずれかに記載の方法。
7 組成物Cが、2.0~4.0の範囲内、特に2.5~3.5の範囲内のpHを有する、記述1から6のいずれかに記載の方法。
8 工程bの前に、組成物A及びBがケラチン質上に少なくとも20分間、特に20~40分間、20~40℃、特に35~40℃の温度で、且つpH=8.0~11.0で維持される、記述1から7のいずれかに記載の方法。
9 工程bの前に、火のしを最大30秒間、特に2~20秒間用いて、ケラチン質に80~230℃の温度を適用することをさらに含む、記述8に記載の方法。
10 工程bの間に、組成物Cが、ケラチン質上に30分未満、特に10~20分間、20~40℃、特に35~40℃の温度で、且つpH=8.0~11.0で維持される、記述1から9のいずれかに記載の方法。
11 工程aとbの間に、pHが8.0~10.0の範囲内、例えば8.5~9.5の範囲内に維持される、記述1から10のいずれかに記載の方法。
12 組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤をさらに含む、記述1から11のいずれかに記載の方法。
13 浸透促進剤が、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される、記述12に記載の方法。
14 組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、記述1から13のいずれかに記載の方法。
15 4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、記述1から14のいずれかに記載の方法。
16 組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、記述1から15のいずれかに記載の方法。
17 組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、記述1から16のいずれかに記載の方法。
18 組成物Aが、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、記述1から17のいずれかに記載の方法。
19 組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、記述1から18のいずれかに記載の方法。
20 組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせから選択されるカップラーを含む、記述1から19のいずれかに記載の方法。
21 組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各カップラーを含む、記述1から20のいずれかに記載の方法。
22 組成物Bが2種以上の可溶化バット染料を含む、記述1から21のいずれかに記載の方法。
23 組成物B中の可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、記述1から22のいずれかに記載の方法。
24 組成物Bが、可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述1から23のいずれかに記載の方法。
25 組成物Bが、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、4個以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含む可溶化バット染料を含み、前記平板状発色団構造が式(4):
によるピレン構造要素を含む、記述1から24のいずれかに記載の方法。
26 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造は、式(5):
によるピラントレン構造要素を含む、記述25に記載の方法。
27 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が式(6):
によるジベンゾピレン構造要素を含む、記述25又は26に記載の方法。
28 組成物Bが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述1から27のいずれかに記載の方法。
29 組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、記述1から28のいずれかに記載の方法。
30 組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、記述1から29のいずれかに記載の方法。
31 組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、記述1から30のいずれかに記載の方法。
32 組成物Aが、少なくとも1.0重量%の1種以上のアニオン性界面活性剤、少なくとも2.0重量%の1種以上の直鎖状又は分岐状のC14~C30脂肪アルコール、及び少なくとも0.1重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む、記述1から31のいずれかに記載の方法。
33 組成物Aが、少なくとも10重量%の1種以上の炭化水素と、少なくとも5.0重量%の1種以上の脂肪アルコールとを含む、記述1から31のいずれかに記載の方法。
34 組成物Bが、10.0~30.0重量の1種以上の脂肪酸を含む、記述1から33のいずれかに記載の方法。
35 組成物Bが、2.0~20.0重量%の、アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を含む、記述34に記載の方法。
36 組成物Bが、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、及び0~10.0重量%の任意選択の保湿剤を含む、記述1から33のいずれかに記載の方法。
37 組成物A、B、Cの1つ又は複数が、ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを本質的に含まない、記述1から36のいずれかに記載の方法。
38 生成される色が、オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドから選択される色空間の範囲内にある、記述1から37のいずれかに記載の方法。
39 得られる洗濯堅牢度向上ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)が1.5以上であり、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である、
記述1から38のいずれかに記載の方法。
40 工程bに続いてケラチン質をすすぐことをさらに含み、任意選択で、ケラチン質をシャンプーすること、コンディショニングすること、乾燥させること又はこれらの組み合わせを含む後処理をさらに含む、記述1から39のいずれかに記載の方法。
41 ケラチン質が哺乳類の体毛、特にヒトの毛髪である、記述1から40のいずれかに記載の方法。
42 すぐに使えるヘアカラー製剤であって、前記ヘアカラー製剤が、組成物Aと組成物Bを混合することによって得られ、前記組成物Aが、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、このピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含み、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、すぐに使えるヘアカラー製剤。
43 8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、記述42に記載の製剤。
44 浸透促進剤をさらに含む、記述42又は43に記載の製剤。
45 前記浸透促進剤が、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される、記述44に記載の製剤。
46 式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、記述42から45のいずれかに記載の製剤。
47 4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、記述42から46のいずれかに記載の製剤。
48 式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
記述42から47のいずれかに記載の製剤。
49 式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
記述42から48のいずれかに記載の製剤。
50 N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、記述42から49のいずれかに記載の製剤。
51 記述42から50のいずれかに記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各プライマリーを含む、製剤。
52 レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、記述42から51のいずれかに記載の製剤。
53 記述42から52のいずれかに記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各カップラーを含む、製剤。
54 2種以上の可溶化バット染料を含む、記述42から53のいずれかに記載の製剤。
55 可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、記述42から54のいずれかに記載の製剤。
56 可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述42から55のいずれかに記載の製剤。
57 1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、4個以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含む可溶化バット染料を含み、前記平板状発色団構造が式(4):
によるピレン構造要素を含む、記述42から56のいずれかに記載の製剤。
58 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造は、式(5):
によるピラントレン構造要素を含む、記述57に記載の製剤。
59 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が式(6):
によるジベンゾピレン構造要素を含む、記述57又は58に記載の製剤。
60 可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述42から59のいずれかに記載の製剤。
61 還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、記述42から60のいずれかに記載の製剤。
62 記述42から61のいずれかに記載の製剤であって、前記製剤の総重量に対して0.25~1.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、製剤。
63 pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、記述42から62のいずれかに記載の製剤。
【0192】
64 組成物Aが、少なくとも1.0重量%の1種以上のアニオン性界面活性剤、少なくとも2.0重量%の1種以上の直鎖状又は分岐状のC14~C30脂肪アルコール、及び少なくとも0.1重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む、記述42から63のいずれかに記載の製剤。
65 混合前に組成物Aが、少なくとも10重量%の1種以上の炭化水素と、少なくとも5.0重量%の1種以上の脂肪アルコールとを含む、記述42~63のいずれかに記載の製剤。
66 混合前に組成物Bが、10.0~30.0重量の1種以上の脂肪酸を含む、記述42から65のいずれかに記載の製剤。
67 組成物Bが、2.0~20.0重量%の、アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を含む、記述66に記載の製剤。
68 混合前の組成物Bが、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、及び0~10.0重量%の任意選択の保湿剤を含む、記述42から65のいずれかに記載の製剤。
69 ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを本質的に含まない、記述42から68のいずれかに記載の製剤。
70 オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドから選択される色空間の範囲内にある色を生成するように構成されている、記述42から69のいずれかに記載の製剤。
71 1.5以上の洗濯堅牢度向上ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)を提供するように構成されており、
・ ΔE(OXID)が色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)が色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1が、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2が、15回の標準的な洗濯サイクル後に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3が、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4が、15回の標準的な洗濯サイクル後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である、
記述42~70のいずれかに記載の製剤。
72 染毛用のキットであって、
組成物Aを備えるコンパートメントAであって、前記組成物Aが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、コンパートメントAと、
組成物Bを備えるコンパートメントBであって、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、コンパートメントBと
を、別個のコンパートメントで、備える、キット。
73 組成物Cを備えるコンパートメントCをさらに備え、前記組成物Cが酸化剤を含む、記述72に記載のキット。
74 酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、記述73に記載のキット。
75 組成物Cが、2.0~4.0の範囲内、特に2.5~3.5の範囲内のpHを有する、記述73又は74に記載のキット。
76 組成物Aが、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、記述72から75のいずれかに記載のキット。
77 組成物Bが、8.0~11.0の範囲内、特に8.5~9.5の範囲内のpH、例えば約9.0のpHを有する、記述72から76のいずれかに記載のキット。
78 組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤をさらに含む、記述72から77のいずれかに記載のキット。
79 前記浸透促進剤が、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される、記述78に記載のキット。
80 組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、記述72から79のいずれかに記載のキット。
81 4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、記述72から80のいずれかに記載のキット。
82 組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
記述72から80のいずれかに記載のキット。
83 組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
記述72から82のいずれかに記載のキット。
84 N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、記述72から83のいずれかに記載のキット。
85 組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、記述72から84のいずれかに記載のキット。
86 組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、記述72から85のいずれかに記載のキット。
87 組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各カップラーを含む、記述72から86のいずれかに記載のキット。
88 組成物Bが、2種以上の可溶化バット染料を含む、記述72から87のいずれかに記載のキット。
89 組成物B中の可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、記述72から88のいずれかに記載のキット。
90 組成物Bが、可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述72から89のいずれかに記載のキット。
91 組成物Bが、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、4個以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含む可溶化バット染料を含み、前記平板状発色団構造が式(4):
によるピレン構造要素を含む、記述72から90のいずれかに記載のキット。
92 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が、式(5):
によるピラントレン構造要素を含む、記述91に記載のキット。
93 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が式(6):
によるジベンゾピレン構造要素を含む、記述91又は92に記載のキット。
94 組成物Bが、可溶化バットイエロー4 (CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1 (CAS# 6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3 (CAS# 10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9 (CAS# 70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述72から93のいずれかに記載のキット。
95 組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、記述72から94のいずれかに記載のキット。
96 組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、記述72から95のいずれかに記載のキット。
97 組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、記述72から96のいずれかに記載のキット。
98 組成物Aが、少なくとも1.0重量%の1種以上のアニオン性界面活性剤、少なくとも2.0重量%の1種以上の直鎖状又は分岐状のC14~C30脂肪アルコール、及び少なくとも0.1重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む、記述72から97のいずれかに記載のキット。
99 組成物Aが、少なくとも10重量%の1種以上の炭化水素と、少なくとも5.0重量%の1種以上の脂肪アルコールとを含む、記述72から97のいずれかに記載のキット。
100 組成物Bが、10.0~30.0重量の1種以上の脂肪酸を含む、記述72から99のいずれかに記載のキット。
101 組成物Bが、2.0~20.0重量%の、アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を含む、記述100に記載のキット。
102 組成物Bが、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、及び0~10.0重量%の任意選択の保湿剤を含む、記述72から99のいずれかに記載のキット。
103 組成物A、B、Cの1つ又は複数が、ピグメント、パラベン、シリコーン又はこれらの組み合わせを本質的に含まない、記述72から102のいずれかに記載のキット。
104 オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドから選択される色空間の範囲内にある色を生成するように構成されている、記述72から103のいずれかに記載の製キット。
105 得られる洗濯堅牢度向上ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)が1.5以上であるように構成されている、記述72から104のいずれかに記載のキットであって、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前の、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である
、キット。
106 それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸、及び50~89.50重量%の水を含むゲル様ヘアカラー成分であって、各重量%は当該成分の重量に基づく、ゲル様ヘアカラー成分。
107 12.0~25.0重量%、特に15.0~20.0重量%の前記1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸を含む、記述106に記載のゲル様ヘアカラー成分。
108 前記1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸が、C16~C30の直鎖状炭素鎖長を有する、記述106又は107に記載のゲル様ヘアカラー成分。
109 前記1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸が、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)又はこれらの組み合わせを含む、記述106から108のいずれかに記載のゲル様ヘアカラー成分。
110 アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を2.0~20.0重量%含む、記述106から109のいずれかに記載のゲル様ヘアカラー成分。
111 それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、0~10.0重量%の任意選択の保湿剤、及び50.0~95.50重量%の水を含むシャンプー様ヘアカラー成分であって、各重量%は当該成分の重量に基づく、シャンプー様ヘアカラー成分。
112 4.0~25.0重量%、特に6.0~15.0重量%のアニオン性界面活性剤、3.0~15.0重量%、特に4.0~10.0重量%の両性界面活性剤、及び1.0~8.0重量%の保湿剤を含む、記述111に記載のシャンプー様ヘアカラー成分。
113 前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、a-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、N-ココイル脂肪アシルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-ヤシ油脂肪アシルグリシン、N-ヤシ油脂肪アシルアラニン塩、アルキルスルホコハク酸の塩、及びこれらの組み合わせから選択される、記述111又は112に記載のシャンプー様ヘアカラー成分。
114 前記両性界面活性剤は、ベタイン、特にアルキルアミドベタイン、アルキルベタイン、アミドスルホベタイン、カルボキシベタイン型ベタイン、スルホベタイン型ベタイン、ヒドロキシスルホベタインベタイン、ホスホベタイン型ベタイン、及びこれらの組み合わせから選択される、記述111から113のいずれかに記載のシャンプー様ヘアカラー成分。
115 前記保湿剤が、グリセロール、グリセロールエステル、プロピレングリコール、イソペンチルジオール、及びこれらの組み合わせから選択される、記述111から114のいずれかに記載のシャンプー様ヘアカラー成分。
116 6.0~10.0重量%のラウレス硫酸ナトリウム、4.0~6.0重量%のココアミドプロピルベタイン、及び2.0~4.0重量%のグリセリンを含む、記述111から115のいずれかに記載のシャンプー様ヘアカラー成分。
117 浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール、又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、記述106から116のいずれかに記載のヘアカラー成分。
118 還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせをさらに含む、記述106から117のいずれかに記載のヘアカラー成分。
119 pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、非イオン性界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、記述106から118のいずれかに記載のヘアカラー成分。
120 可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、記述106から119のいずれかに記載のヘアカラー成分。
121 可溶化バットバイオレット1(CAS#1324-57-8)、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットグリーン1(CAS#2538-84-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットレッド34(CAS#12226-70-9)、可溶化バットレッド10(CAS#10126-90-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットイエロー7(CAS#3956-62-5)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述106から120のいずれかに記載のヘアカラー成分。
122 1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、4個以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含む可溶化バット染料を含み、前記平板状発色団構造が式(4):
によるピレン構造要素を含む、記述106から120のいずれかに記載のヘアカラー成分。
123 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が、式(5):
によるピラントレン構造要素を含む、記述122に記載のヘアカラー成分。
124 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が式(6):
によるジベンゾピレン構造要素を含む、記述122又は123に記載のヘアカラー成分。
125 可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、記述106から124のいずれかに記載のヘアカラー成分。
126 酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための、記述106から125のいずれかに記載のヘアカラー成分の使用であって、1種以上の酸化染料が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、ヘアカラー成分の使用。
127 1種以上の酸化染料が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、記述126に記載の使用。
128 1種以上の酸化染料が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、記述126又は127に記載の使用。
129 4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、記述126から128のいずれかに記載の使用。
130 1種以上の酸化染料が、 式 (2):
によるアミノピラゾロピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
記述126から129のいずれかに記載の使用。
131 1種以上の酸化染料が、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
記述126から130のいずれかに記載の使用。
132 結果として得られる毛髪の色が、オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドの色空間にある、記述126から131のいずれかに記載の使用。
133 得られる洗濯堅牢度向上ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)が1.5以上であって、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である、
記述126から132のいずれかに記載の使用。
134 酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための可溶化バット染料の使用であって、1種以上の酸化染料は、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用。
135 1種以上の酸化染料が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、記述134に記載の使用。
136 1種以上の酸化染料が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、記述134又は135に記載の使用。
137 4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、記述134から136のいずれかに記載の使用。
138 1種以上の酸化染料が、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
記述134から137のいずれかに記載の使用。
139 1種以上の酸化染料が、 式 (3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用であって、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
記述134から138のいずれかに記載の使用。
140 可溶化バット染料がロイコバット染料スルホン酸エステル又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、記述134から139のいずれかに記載の使用。
141 可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含み、4個以上の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含む可溶化バット染料を含み、前記平板状発色団構造が式(4):
によるピレン構造要素を含む、記述134から140のいずれかに記載の使用。
142 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、最大8個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が、式(5):
によるピラントレン構造要素を含む、記述141に記載の使用。
143 前記可溶化バット染料が、1つ又は複数の窒素原子を場合によって含む、6個の重縮合環からなる多環芳香族平板状発色団構造を含み、前記平板状発色団構造が式 (6):
によるジベンゾピレン構造要素を含む、記述141又は142に記載の使用。
144 前記可溶化バット染料が、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される、記述134から143のいずれかに記載の使用。
145 結果として得られる毛髪の色が、オレンジ、レディッシュオレンジ、カッパー、マホガニーレッド、マホガニーブラウニッシュ又はビブラントレッドの色空間にある、記述134から144のいずれかに記載の使用。
146 得られる洗濯堅牢度向上ΔE(OXID)/ΔE(OXID+VAT)が1.5以上であって、
・ ΔE(OXID)は、色差[(L2-L1)+(a2-a1)+(b2-b1)1/2であり、
・ ΔE(OXID+VAT)は、色差[(L4-L3)+(a4-a3)+(b4-b3)1/2であり、
・ L1、a1及びb1は、洗濯前に、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L2、a2及びb2は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物Aのみで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L3、a3及びb3は、洗濯前に、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標であり、
・ L4、a4及びb4は、15回の標準的な洗濯サイクルの後、組成物A及びBで着色された天然の白髪について決定されたCIELAB L*a*b色座標である、
記述134から145のいずれかに記載の使用。
【手続補正書】
【提出日】2025-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン質を着色する方法であって、
a1 組成物Aを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Aが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、組成物Aを前記ケラチン質に塗布すること、
a2 組成物Bを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含む、組成物Bを前記ケラチン質に塗布すること、
b 工程a2の後で、組成物Cを前記ケラチン質に塗布することであって、前記組成物Cが酸化剤を含む、組成物Cを前記ケラチン質に塗布すること
を含む、方法。
【請求項2】
組成物Bが、組成物Aを前記ケラチン質に塗布するのと同時に又はそれに続いて、前記ケラチン質に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物AとBが、それらを前記ケラチン質に塗布する前に、混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
組成物A、B又はその両方が、8.0~11.0の範囲内のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程bの前に、組成物A及びBが、ケラチン質上で少なくとも20分間、20~40℃の温度で、且つpH=8.0~11.0で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程a及びbにおいて、pHが8.0~10.0の範囲内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物Aが、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせから選択されるカップラーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%の濃度で各カップラーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物B中の可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル、又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
組成物Bが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程bに続いてケラチン質をすすぐことをさらに含み、任意選択で、ケラチン質をシャンプーすること、コンディショニングすること、乾燥させること又はこれらの組み合わせを含む後処理をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ケラチン質が哺乳類の体毛、特にヒトの毛髪である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
すぐに使えるヘアカラー製剤であって、前記ヘアカラー製剤が、組成物Aと組成物Bを混合することによって得られ、前記組成物Aが、水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含み、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含、すぐに使えるヘアカラー製剤。
【請求項25】
8.0~11.0の範囲内のpHを有する、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項24に記載の製剤。
【請求項27】
式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項24に記載の製剤。
【請求項28】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項24に記載の製剤。
【請求項30】
式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項24に記載の製剤。
【請求項31】
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項24に記載の製剤。
【請求項32】
記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各プライマリーを含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項33】
レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項34】
記製剤の総重量に対して0.0025~3.0重量%又は0.005~1.5重量%の濃度で各カップラーを含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項35】
可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル、又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項36】
可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項37】
還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項38】
記製剤の総重量に対して0.25~1.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項39】
pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項24から31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項40】
染毛用のキットであって、
組成物Aを備えるコンパートメントAであって、前記組成物Aが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した酸化染料前駆体とを含み、前記酸化染料前駆体がピラゾールプライマリーとカップラーとを含み、ピラゾールプライマリーが4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含む、コンパートメントAと、
組成物Bを備えるコンパートメントBであって、前記組成物Bが水性媒体と、前記水性媒体に溶解した可溶化バット染料とを含、コンパートメントB
とを、別個のコンパートメントで、備える、キット。
【請求項41】
組成物Cを備えるコンパートメントCをさらに備え、前記組成物Cが酸化剤を含む、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
酸化剤が過酸化水素を含み、特に、酸化剤が、組成物Cの体積に対して1.0~12.0体積%の濃度の過酸化水素である、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
組成物Cが、2.0~4.0の範囲内のpHを有する、請求項41に記載のキット。
【請求項44】
組成物A、組成物B又はその両方が、8.0~11.0の範囲内のpHを有する、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項45】
組成物A、B又はその両方が、浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
組成物Aが、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含み、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
4,5-ジアミノピラゾールが、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヘキシルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール又はこれらの組み合わせから選択される、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
組成物Aが、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含み、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項49】
組成物Aが、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含み、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項50】
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン、3-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、2-メチル-p-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせから選択される従来のプライマリーをさらに含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各プライマリーを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項52】
組成物Aが、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリン、m-アミノフェノール、1-ナフトール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、6-メトキシ-2-メチルアミノ-3-アミノピリジン又はこれらの組み合わせを含むカップラーを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
組成物Aが、組成物Aの重量に対して0.005~6.0重量%又は0.01~3.0重量%の濃度で各カップラーを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項54】
組成物B中の可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル、又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項55】
組成物Bが、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される可溶化バット染料を含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項56】
組成物Bが、還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項57】
組成物Bが、組成物Bの重量に対して0.50~2.0重量%の濃度で各可溶化バット染料を含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
組成物A、B、Cのうちの1つ又は複数が、pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項40から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項59】
それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、10.0~30.0重量%の1種以上の飽和又は不飽和脂肪酸、及び50~89.50重量%の水を含むゲル様ヘアカラー成分であって、各重量%は前記成分の重量に基づく、ゲル様ヘアカラー成分。
【請求項60】
アンモニア、モノエタノールアミン又はこれらの組み合わせから選択されるレオロジー剤を2.0~20.0重量%含む、請求項59に記載のゲル様ヘアカラー成分。
【請求項61】
それぞれ濃度が0.50~2.0重量%の1種以上の可溶化バット染料、2.0~40.0重量%のアニオン性界面活性剤、2.0~20.0重量%の両性界面活性剤、0~10.0重量%の任意選択の保湿剤、及び50.0~95.50重量%の水を含むシャンプー様ヘアカラー成分であって、各重量%は前記成分の重量に基づく、シャンプー様ヘアカラー成分。
【請求項62】
浸透促進剤、特にアンモニア、尿素、モノエタノールアミン、2-アミノ-1-プロパノール又はこれらの組み合わせから選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項61に記載のヘアカラー成分。
【請求項63】
還元剤、特に亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項59から62のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項64】
pH調整剤、キレート剤、香料、ケア成分、テクスチャー成分、媒体試薬、溶媒、非イオン性界面活性剤から選択される1種以上の成分をさらに含む、請求項59から62のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項65】
可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル、又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項59から62のいずれか一項に記載のヘアカラー成分。
【請求項66】
酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための、請求項59から62のいずれか一項に記載のヘアカラー成分の使用であって、酸化染料のうちの1種以上が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、ヘアカラー成分の使用。
【請求項67】
化染料のうちの1種以上が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
酸化染料のうちの1種以上が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項66に記載の使用。
【請求項69】
化染料のうちの1種以上が、式(2):
によるアミノピラゾロンピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項66に記載の使用。
【請求項70】
化染料のうちの1種以上が、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項66に記載の使用。
【請求項71】
酸化染料により生成されるヘアカラーの洗濯堅牢度を向上させるための可溶化バット染料の使用であって、酸化染料のうちの1種以上が、ピラゾールプライマリーとカップラーとを含む酸化染料前駆体から誘導される、使用。
【請求項72】
化染料のうちの1種以上が、4,5-ジアミノピラゾール、アミノピラゾロピリジン、環縮合4,5-ジアミノピラゾロン又はこれらの組み合わせを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導される、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
化染料のうちの1種以上が、式(1):
による4,5-ジアミノピラゾールを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R1は直鎖状又は分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルであり、R2はH又は直鎖状若しくは分岐状のC1~C6(ヒドロキシ)アルキルである、請求項71に記載の使用。
【請求項74】
化染料のうちの1種以上が、式(2):
によるアミノピラゾロピリジンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R3は、(2-ヒドロキシエチル)オキシ若しくは4,4-ジメチルピペラジニウム又はこれらの組み合わせである、
請求項71に記載の使用。
【請求項75】
化染料のうちの1種以上が、式(3):
による環縮合4,5-ジアミノピラゾロンを含むピラゾールプライマリーを含む酸化染料前駆体から誘導され、
上式中、R4は、メチレン、エチレン、プロピレン又はこれらの組み合わせである、
請求項71に記載の使用。
【請求項76】
可溶化バット染料が、ロイコバット染料スルホン酸エステル、又はロイコバット染料スルホン酸エステルの組み合わせである、請求項71から75のいずれか一項に記載の使用。
【請求項77】
前記可溶化バット染料が、可溶化バットイエロー4(CAS#3564-70-3)、可溶化バットイエロー1(CAS#6487-09-8)、可溶化バットオレンジ3(CAS#10290-03-6)、可溶化バットオレンジ9(CAS#70356-06-8)又はこれらの組み合わせから選択される、請求項71から75のいずれか一項に記載の使用。
【国際調査報告】