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特表2025-505263インテリジェントエネルギー管理システム(iEMS)およびバランスプロファイル
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  • 特表-インテリジェントエネルギー管理システム(iEMS)およびバランスプロファイル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】インテリジェントエネルギー管理システム(iEMS)およびバランスプロファイル
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02J13/00 311A
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547699
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2023052757
(87)【国際公開番号】W WO2023152064
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】20220197
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521348030
【氏名又は名称】コングスベルグ・マリタイム・アーエス
【氏名又は名称原語表記】KONGSBERG MARITIME AS
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティーセン,アイリック
(72)【発明者】
【氏名】ナガリンガム,クリシュナ クマール
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064BA03
5G064BA07
5G064CB03
5G064CB06
5G064CB12
5G064CB13
5G064CB16
5G064DA11
(57)【要約】
多数のデバイスを含む船舶を制御するためのシステムに関する。デバイスは、多数の電力発電機および消費機を含み、デバイスのアクティビティを監視するためのセンサをさらに含む。システムは、デバイスのデバイススコア値を計算する少なくとも1つのプロセッサと、デバイスに接続され、デバイススコア値に基づいて、システムの効率を定義する効率スコア値を計算するように構成された制御ユニットと、を含む。また、システムは、デバイスの動作モードおよび/または負荷に基づいてシステムの冗長性を計算し、動作モードのそれぞれの所定のスコアに従ってシステムのデバイスの冗長性を示す冗長性マージン指数を計算し、効率スコア値および冗長性スコア値を算出するように構成される。また、システムは、効率スコア値および冗長性マージン指数に基づいて、複合指数を計算し、システムに含まれるデバイスのセットアップ構成のセットを含むように構成される。ここで、システムは、複合指数が所定の範囲外であるインスタンスにおいて、少なくとも1つの代替デバイスセットアップのための複合指数を計算し、複合指数の値間の比較に基づいて好ましいセットアップを示すように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のデバイスを含む船舶を制御するためのシステムであって、
前記デバイスは、多数の電力発電機および消費機を含み、
前記デバイスは、前記デバイスのアクティビティを監視するためのセンサをさらに含み、
前記システムは、前記デバイスのデバイススコア値を計算する少なくとも1つのプロセッサを含み、
前記システムは、前記デバイスに接続され、前記デバイススコア値に基づいて、前記システムの効率を定義する効率スコア値を計算するように構成された制御ユニットをさらに含み、
前記システムは、前記デバイスの動作モードおよび/または負荷に基づいて前記システムの冗長性を計算し、前記動作モードのそれぞれの所定のスコアに従って前記システムのデバイスの冗長性を示す冗長性マージン指数を計算し、効率スコア値および冗長性スコア値を算出するように構成され、
前記システムは、前記効率スコア値および前記冗長性マージン指数に基づいて、複合指数を計算するようにさらに構成され、
前記システムは、前記システムに含まれる前記デバイスのセットアップ構成のセットを含み、前記複合指数が所定の範囲外であるインスタンスにおいて、少なくとも1つの代替デバイスセットアップのための複合指数を計算し、前記複合指数の値間の比較に基づいて好ましいセットアップを示すように構成される、
システム。
【請求項2】
前記動作モードのそれぞれの前記所定のスコアは、対応する状況からの過去の保存データの統計的分析に基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所定のスコアおよび/または前記所定の範囲は、機械学習ユニットから得られる、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記機械学習ユニットから得られた前記所定のスコアおよび前記所定の範囲は、過去のケースでサンプリングされた過去のデータの分析、および/または前記システムの操作者から登録されたフィードバックに基づいている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記複合指数の比較は、前記システムの効率および冗長性を最適化するための機械学習ユニットによって提供された、算出または計算されたスコア、指数、および代替デバイスセットアップの比較をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサは、波、潮流、風などの船舶環境を監視するため、および/または船舶の位置、動き、速度、ヘディングなどの船舶の挙動を監視するための1つまたは複数のセンサをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、気象予報のような船舶環境に関する情報を受信するように構成され、且つ船舶応答シミュレータによって前記船舶環境に関する情報を考慮に入れるように構成され、前記環境の将来の状況に関連する入力が前記システムに提供される、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記デバイスは、発電用のクラスタおよびスラスタ用のクラスタなどのクラスタにグループ化され、前記システムは、前記クラスタごとに共通のデバイススコアを計算する、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、操作者が前記複合指数に基づいてセットアップを選択できるようにするためのディスプレイを含むユーザインタフェースを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電力発電機は、ジェネレーターセット、燃料電池、およびバッテリの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
多数のデバイスを含む船舶を制御するための方法であって、前記デバイスは、多数の電力発電機および消費機、ならびに前記デバイスのアクティビティを監視するためのセンサを含み、
・ 前記デバイスのそれぞれのスコア値を計算するステップと、
・ 前記デバイスのスコア値に基づいて、前記システムの効率を定義する効率スコア値を計算するステップと、
・ 前記デバイスのそれぞれの動作モードおよび/または負荷に基づいて前記システムの冗長性を計算し、前記動作モードごとに予め定められた所定のスコアに従って前記デバイスの冗長性を示す冗長性マージン指数を計算し、前記効率および前記冗長性の値を算出するステップと、
・ 前記効率スコア値および前記冗長性マージン指数に基づいて複合指数を計算するステップと、
を含み、
前記船舶は、前記システムに含まれる前記デバイスのセットアップ構成のセットを含み、前記システムは、前記複合指数が所定の範囲外であるインスタンスにおいて、少なくとも1つの代替デバイスセットアップの複合指数を計算し、前記複合指数の値の間の比較に基づいて好ましいセットアップを示すステップを含む、
方法。
【請求項12】
前記動作モードのそれぞれの前記所定のスコアは、対応する状況からの過去の保存データの統計的分析に基づいて計算される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定のスコアおよび/または前記所定の範囲は、機械学習ユニットから得られる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械学習ユニットから得られた前記所定のスコアおよび前記所定の範囲は、過去のケースでサンプリングされた過去のデータの分析、および/または前記システムの操作者から登録されたフィードバックに基づいている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複合指数の比較は、前記システムの効率および冗長性を最適化するための機械学習ユニットによって提供された、算出または計算されたスコア、指数、および代替デバイスセットアップの比較をさらに含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理システムに関し、より詳細には、海上船舶のためのエネルギー管理システム、およびシステムにおけるエネルギー管理の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、船上のエネルギー管理システム(EMS)は複雑化しており、動力装置を様々なモードで構成する選択肢が提供されている。様々な生産機のなかから、損失と運航コストを抑えながら負荷需要を満たすエネルギーを生産する装置を選択することは、非常に重要である。負荷プロフィールは本質的に確率論的であるため、運航コストを最小化し、エネルギー効率を最大化するためには、リアルタイムの最適化が必要である。
【0003】
この10年間で、汚染物質の排出に関する規制は厳しくなった。このため、海運業界の様々な分野で新たな考え方が生まれている。多くの運輸会社や船会社は、二酸化炭素の排出を抑え、燃料消費を改善したエネルギー効率の高いシステムを求めている。これは、ディーゼルやガソリン駆動のエンジンや、ジェネレーターセット(genset)とも呼ぶ発電機の利用を最小限に抑え、再生可能エネルギー源で補うことで達成される。再生可能エネルギーには、バッテリ、太陽電池、風力、燃料電池など様々なものがある。しかしながら、これらのエネルギー源と従来の船舶の電力管理システムとの統合が課題となっている。これには、設置スペース、船舶の運航地域、異なる電圧レベル、異なる制御システムなど、いくつかの理由がある。
【0004】
様々な再生可能エネルギー源がある中で、コンパクトであること、設置やメンテナンスが容易であること、急速充電が可能であること、瞬時の電力需要に対応できることなどの観点から、バッテリが長年研究者の間で注目されてきた。さらに、直流配電は交流配電に比べてより多くの利点がある。典型的な例として、直流システムでは、同期をとる必要がなく、ケーブル配線が削減され、かさばる変圧器が不要になる。また、直流システムでは、無効電力循環と高調波が除去される。
【0005】
発電や配電を管理する従来のアプローチでは、複雑な電力システムをもつ船舶を有益に運用するには不十分である。そのため、データの収集および分析、将来の運航ニーズの予測、意思決定戦略、ならびに最適なセットポイントの計算を含む高レベルの監視システムが必須となる。従来の電力管理システムは、船舶の電力網の電力バランスと信頼性を確保するだけであった。
【0006】
近年、より環境に優しく持続可能な運航形態を目指し、海運業におけるデジタル化に大きな注目が集まっている。このような環境保護や船舶の安全に関する意識の高まりを受けて、世界中の海事当局や政府は、海上での船舶運航の効率性と安全性を促進するために真剣に取り組んでいる。このため、船舶の安全や操作者と乗客のために、最小限のコストと排出ガスで、幅広い運航条件下で高い信頼性を確保するため、船舶の動力システムを可能な限り効率的に維持する必要に迫られている。米国特許第9811099号、米国特許第10170912号、および欧州特許第3865335号にはこのようなシステムの例が記載されている。ここでは、スラスタや船内機器などを利用できる消費機(consumer)の測定値と登録が、発電機やバッテリ容量などの知識と組み合わされている。また、自動船位保持システムが、システムの負荷を軽減する方法として、計画された電力消費を補償するために使用される場合がある。さらに、既知の解決策には、国際公開第2015/028636号およびノルウェー国特許第337927号に記載されているような運動の予測および予測された運動に対する補償、ならびに国際公開第2015/028621号に記載されているようなシステム内の発電機の動的動作ウィンドウに対する補償が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、省燃費、排出削減、メンテナンスコスト、機器の健全性、最小限の電力利用、安全性など、様々な目的を考慮し、システムの最適なパフォーマンスに主眼を置いた、インテリジェントなエネルギー管理システム(以下、「iEMS」と呼ぶ)を導入することである。
【0008】
iEMSは、船舶の自動船位保持(DP)、操船、トランジット、待機、停泊といった様々な運航状態における電力/エネルギー需要を管理し、負荷レベルに基づいて、ジェネレーターセットまたは他の再生可能エネルギー源による発電のスケジューリングを支援する意思決定機能を提供する必要がある。ジェネレーターセットのトルクと速度の限界、動的な気象条件、および運用の性質は、生産機の負荷設定ポイントを決定するために使用される。iEMSの知識ベースの学習は、将来の負荷需要の予測にも役立つため、生産機のストレスを軽減し、電力の不安定化を防ぐことができる。
【0009】
本発明の別の目的は、機器の特性を考慮した上で、電力管理に安全で、エネルギー分散/貯蔵に最適な船舶用動力装置システムを提供することである。
【0010】
さらに別の観点は、統計に基づくと、従来の考え方やシステムに関する知識の乏しい操作者により、効率的に運航されていない船舶の割合が高いということである。船舶の操作者は、事故を防ぐためと考え、設備に多くの冗長性を持たせるのが一般的である。しかしながら、海事当局の報告によれば、事故のほとんどは人為的なミスによって引き起こされていることが明らかになっている。商船や旅客船では、リスク分析手法は、生命、健全性、財産、および海洋環境の保護を含む海上安全の向上のための意思決定支援ツールとして使用されている。これらはまた、人的要素、海上安全、海洋環境の保護、および運航コストなど、様々な技術的および運航的制約の間でバランスをとるのにも役立っている。しかしながら、これらのリスク分析は、多くの場合、船舶事故の記録データに依存する過去の事象の統計データに基づいている。海上安全の向上は、正確で包括的な統計データに依存している。そのため、正確な情報の欠如は、不正確なリスク分析につながる。
【0011】
一方、IMOのガイドラインに従った自動船位保持(DP)船舶では、故障モード影響解析(FMEA)研究は、船舶のワーストケース故障や重大な単一点故障を決定するために使用される重要な技術演習である。このようなFMEAの報告は、DPクラス2および3の表記を取得するための必要条件である。海洋船舶と比較して、DP船の安全要素はDP活動に特有のものである。現在、DPシステムにおけるインシデントは、報告、調査、終結の手順により記録されている。DP船の船主と操作者は、DPのインシデントから得られた教訓を広くDPコミュニティと共有するよう奨励されている。同様に、DPシステムや機器のベンダーも、運航に確認された予期せぬ不具合、機能、および故障に関する情報を共有するよう奨励されている。
【0012】
要約すると、すべての典型的な船舶運航は、その性質上複雑であり、運航会社や旗国当局によって事前に定められた運航・安全手順に従って実行される。運航に関与するシステムは、いくつかの複雑なパターンで相互にリンクしているため、操作者が、船舶の安全性に内在する可能性のある影響を明確にすることができないため、実行されたアクションの将来の影響を予見することは困難である。そのため、本発明の目的は、操作者のために、あるいは場合によっては、状況を自動的に処理するように訓練された機械学習アルゴリズムのために、提示される情報を簡素化することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に記載されるように、船舶を制御するためのシステムによって達成される。
【0014】
そこで、本発明は、オペレーショナルテクノロジー(OT)レイヤとインフォメーションテクノロジー(IT)レイヤとの間の新規なコネクタを有するシステムを提案する。このコネクタは、OTレイヤとITレイヤとの間に安全で信頼性の高いデータ交換機構を確立する。ITレイヤで動作するiEMSによって計算された決定は、次にバランスプロファイルによって処理される。エネルギー効率と冗長性マージン指数の観点から、バランスプロファイルによって動的頑強性が提供される。エネルギー効率コンポーネントと冗長性マージンコンポーネントから計算された加重スコアに基づき、バランスプロファイル機能が最良の複合指数を与えるとき、最適な決定がITレイヤからOTレイヤに送信される。このようにして、冗長性および/またはシステム上の負荷を計算し、システムの最適な運用を示す指数を提供することで、ジェネレーターセットおよびその他の再生可能エネルギー源、スラスタ、およびプロペラのセットアップを含む最適な動力装置をリアルタイムで自律的に構成することができる。
【0015】
OTレイヤにおけるEMSには、ブーストモード、ピークカットモード、PTI/PTOモードなどのサブモードがある。バランスプロファイルから得られる複合指数が許容限界内に収まると、EMSは自動的に最適な動力装置と船舶運航モードに対応するサブモードに切り替わる。
【0016】
したがって、本発明による解決策は、発電および安全な方法での配電を最適化するための推奨事項を提供するなど、効率と安全性(冗長性マージン)の両方の観点から船舶の性能に有益なシステムおよび機構を提供する。また、本発明は、現在および将来の気象条件や運航場所に適した理想的な構成で自律的に実行される操作に従って船舶の動力装置を構成するために、バランスプロファイルと組み合わせてiEMSの意思決定能力を向上させる。提案された独自のコネクタは、ITレイヤにおけるバランスプロファイルからOTレイヤにおける制御システムに、選択された推奨事項を転送するのに役立つ。これにより、意思決定プロセスにおける人間の関与を排除し、その有効性を高めることができる。
【0017】
オンラインのコストオプティマイザを使用することにより、様々な生産機または発電機に対して最適な負荷設定値が設定される。本明細書では、「生産機」または「発電機」という用語は、ジェネレーターセット、バッテリ、および燃料電池など、利用可能なセンサまたは検出器を使用して監視を行うことができる同じタイプのデバイスを指して使用され、「消費機」という用語は、スラスタ、ウィンチ、または船舶上の電力分配および消費に影響を与える可能性のある他の船内機器を指す場合がある。最適な動力装置の構成/接続は、全体的な燃料消費を改善し、システムの効率を決定するために使用される。
【0018】
本発明によるiEMSは、自律的な意思決定能力をもつように設計されている。そのため、提案された構成を制御システムに送信する前に、コストオプティマイザの結果を処理するためにバランスプロファイル機能が導入されている。バランスプロファイルは、エネルギー効率と船舶の冗長性マージンとの間の複合指数を計算する。これは、所定のルールに従って実行されるか、あるいは、過去のインシデントや記録されたイベントの分析に基づいて、場合によっては、その状況に関連するユーザフィードバックと組み合わせて実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明を例示的に示す添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
図1】船舶制御システムにおけるiEMSとバランスプロファイルを示す図である。
図2】バランスプロファイルを模式的に示す図である。
図3】DP運航におけるiEMSとバランスプロファイルのフローチャートである。
図4】トランジット、待機、停泊、および操船を含むDP運航におけるiEMSとバランスプロファイルのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
船舶の運航には、信頼できる動力源が不可欠である。エネルギー管理システム(EMS)の主な機能は、様々なタイプの船舶で発電システムを安全、確実、且つ経済的に管理することである。EMSは、あらゆる作業条件下で電力の高い可用性を提供する、故障に強いエネルギー管理戦略を使用することでこれを実現する。
【0021】
典型的なEMSは、以下を実施する:
1.発電機/生産機と消費機を監視し、アラーム状態に対応して特定の生産機を起動または停止する。
2.変換器を介してバッテリの負荷分散を制御する。
3.電気負荷の状態が変化しても、十分な電力を維持する。
4.生産機が過負荷/停止された場合、重い消費機の迅速な負荷軽減を実行する。
5.接続されている生産機の数と種類に応じて、重い消費機のランプ制御を行う。
【0022】
EMSの中核機能のひとつとして、電力の過負荷シナリオを回避して停電を防ぐ能力が挙げられる。また、電気生産機の予期しない損失や停止による突然の過負荷状況に迅速に対処する能力を有する。
【0023】
しかしながら、排出ガスの規制強化に伴い、EMSは、船舶モードのタイプに応じて動力装置のセットアップをインテリジェントに行う必要がある。ANSI/ISA-95モデルのレベル4のバランスプロファイルを含むiEMSは、リアルタイムの最適化に役立つ。船舶のモードと運航に基づき、最適な動力装置を決定し、その選択のための複合指数を計算した後、EMSに送信する。
【0024】
ANSI/ISA-95モデルは、0~4の5つのレベルで構成され、iEMSは、レベル4に位置する。各レベルは、実行される運航の重要度に応じて異なる時間枠で動作する。iEMSは、制御レイヤ(OTレイヤ)に関して大きく異なり、分単位/時間単位で動作する。
【0025】
図1には、バランスプロファイルを含むiEMSを備える様々なコンポーネントの概要が示されている。データロギングシステム102は、船内に設置された制御システムからデータを収集し、ログに記録する。ログに記録されたデータは、データアダプタサービス105を介してITレイヤコンポーネントに提示される。その後、データは、データ配信サービス111から入力および配信される。データ配信サービス111のバスは、接続されたサービス間で情報の公開および購読を行う。
【0026】
自動船位保持システム103は、最適な動力装置セットアップの決定を支援する動力装置セットアップアドバイザコンポーネント125をホストする。動力装置セットアップアドバイザは、すべての可能な所望のセットアップをループし、各反復で使用される1つのセットアップを提供するOSアプリケーション(MFC)である。各セットアップは、ジェネレーターセットの状態、バッテリの状態、および特定のバスタイブレーカの状態を含む利用可能な発電機の状態、ならびに特定のスラスタ接続の状態や船内機器の状態などの消費機の状態を記述し、ワーストケース故障(WSF)ループへの入力となり得る。オプティマイザは、最適なジェネレーターセット/バッテリのセットアップと、この動力装置セットアップのコストを計算するために、各セットアップで実行される。
【0027】
動力装置のセットアップ情報は、設定ファイルまたは機械学習アルゴリズムによって定義される。可能なスイッチボード、すなわちリングバス、オープンバス、クローズドバス、2+1スプリット、2スプリット、nスプリットの組み合わせ、およびDP運航中のスラスタ設定は、この設定ファイルで定義される。各スイッチボードの組み合わせに対応するDPクラスは、同じ設定ファイルに含まれている。接続された各スイッチボードの電力要件に基づいて、各ジェネレーターセットの潜在的な寄与が直接提供される。しかしながら、スラスタについては、少なくとも2方向、典型的には3方向(サージ、スウェイ、ヨー)すべてに寄与するため、複雑なものとなる。また、スラスタは、異なるスイッチボードに接続されている。その結果、特定のスイッチボードからスラスタを切り離すと、接続された他のスイッチボードの電力需要が増加する。スラスタの接続または切り離しのたびに、WSFループ全体を再実行して、新しい最適なジェネレーターセット設定を見つける必要がある。
【0028】
スラスタ要求はサージ、スウェイ、およびヨーの3つの軸で与えられる。現在の気象条件と現在の設定で、スラスタ要求はDP103によって計算される。船舶応答シミュレータ124からの出力は、DPの設定を変更した場合(例えば、異なる方位やコントローラのゲイン)、解析に使用される。コストオプティマイザ125は、動力装置のセットアップについて長期的なアドバイスを提供するため、推力スパイクが結果に影響しないように推力要求を平滑化する必要がある。ローパスフィルタは、推力要求を平滑化するために使用される。
【0029】
各接続スイッチボードに必要な出力ランプは、計算された推力ランプに依存する。ここで、推力ランプは、推力要求の標準偏差から決定される。この偏差は、サージ、スウェイ、およびヨーについて個別に再帰的に計算される。計算された推力標準偏差は、推力ランプを得るために2倍される。
【0030】
船舶応答シミュレータ124の目的は、環境外乱(すなわち、風、潮流、および波)に基づいて推力要求と船舶応答を生成することである。これらの環境データは、気象データサービス118およびアダプタ119から取得される。
【0031】
最適化問題の解決策125は、ウェブインタフェース104を介して、DP103からITレイヤのDPコネクタ106に送られる。インタフェース104は、ITレイヤからトークンを取得し、DP103からのポストごとに検証される。103と106との間のトラフィックは、自己割り当て証明書を使用して暗号化される。
【0032】
126では、異なるサービスがITレイヤでホストされ、データを購読し、結果をデータ配信サービス111に公開する。船舶モードサービス107は、スラスタの稼動数、ジェネレーターセット/バッテリの稼動数、陸上電源接続、船速、水深、喫水、船舶GPS位置、船舶運動など、いくつかの可能性の高い信号に基づいて船舶の主運航モードを自動的に検出し、静止負荷分析108は、107から受信した船舶の主運航モード情報に基づいて最小静止負荷を決定する。基準静止負荷からの偏差は、データ配信サービス111に戻される。動力装置アドバイザサービス115は、125からの結果を分析し、例えば、DG、スラスタの停止/始動、kW/sの調整など、制御システムコネクタ113を介して制御システムに転送する必要があるアクションを決定する。
【0033】
効率・損失サービス116は、生産機または発電機と消費機を含む機器の電力損失と運航効率を計算する。機器健全性監視サービス128は、101からの入力に基づいて、生産機と消費機を含む機器の稼働率を計算する。このサービスはまた、125から受信した提案された設定に基づいて、電力損失と効率を計算する。最適な動力装置利用サービス109は、108、115、116、107、および128からの結果を購読する。最適な動力装置セットアップ、最小静止負荷、電力損失と効率、機器健全性監視サービス、および船舶運航モードは、最小燃料消費と最大効率を与える理想的な負荷基準を決定するために109で使用される。気象データアダプタ119および気象データサービス118は、インターネットベースのクラウドサービスを使用して、船舶の地理的位置の気象予報を取得するために使用される。この気象予報情報は、他のサービス、すなわち108、106によって公開および購読される。DPコネクタ106を使用して、気象パラメータが船舶応答シミュレータ124に転送される。
【0034】
110では、109からの結果に基づいて可能な燃料消費削減量が計算され、バランスプロファイル112に転送される。燃料消費削減量は,117では達成可能な排出ガス削減量の計算に使用され,バランスプロファイルに転送される。114では、運航時間の短縮に基づくメンテナンスコストの削減量が計算される。達成可能なエネルギー効率と冗長性マージンに基づく複合指数スコアを決定するために、126では上述したすべてのサービスからの統合情報が利用される。
【0035】
制御システムコネクタ113は、複合指数と最適な動力装置のセットアップ推奨事項を、120を介して制御システムレイヤ127に送信するために使用される。コネクタは、104と同じ機構で動作する。システム127は、主システムモード121と電力システムモード122を選択するための選択素子を含む。また、これには発電システムを安全、確実、且つ経済的に管理するEMS123が収容される。船舶の異なる主システムモード121は、岸壁接続、停泊、操船、低速トランジット、高速トランジット、全速トランジット、最高トランジット速度、DPプロペラ、DPスラスタ、アンカー、静粛運航などである。126では、船舶モードサービス107が上述したように主モードの1つを自動的に決定する。
【0036】
各主モードに対して、123は、動力装置をいずれかの電力システムモードで構成することができる。電力システムモードは、主機関、ハイブリッド軸発電機、補助機関、エネルギー貯蔵ユニット、系統変換器、陸上接続などの構成によって異なる。複合指数と最適な動力装置構成は123で処理され、提案に従うために電力システムモードの変更が必要かどうかが決定される。バランスプロファイルからの複合指数が許容限界内に収まれば、EMS123によって自動的に適応が実行される。
【0037】
図2は、複合指数の計算機サービスを含むバランスプロファイル200のブロック図を示す。データ配信サービス201から、提案されたアクションと126の他のサービスからの結果が202に提示される。推奨されたセットアップに基づいて、エネルギー効率指数203と船舶の冗長性マージン指数204の値が計算される。部分ごとに、バランスプロファイルでは、エネルギー効率指数と船舶の冗長性指数がどのように各個別のアクションについて計算されるかについての例が示されている。
【0038】
表1は、オフショアの船舶が2つのスプリットスイッチボードでDP運航を行う状況を示している。2つのスイッチボードセグメントで稼動しているすべてのスラスタが稼動しており、DPシステムで有効になっている。バランスプロファイルから運航ごとに計算される複合指数は以下の通りである:
【0039】
【表1】
【0040】
この場合、エネルギー効率と冗長マージンのスコアは、各要素の個々のスコアの平均値であるが、過去の状況の分析を通じて自動的に、あるいは操作者によって、異なる重み付けがなされることがある。複合指数は、エネルギー効率と冗長性マージンのスコアの基準値と目標値を設定することによって決定される。その後、2つのスコアを共通の指数範囲にマッピングし、運航モードに応じてそれらに動的な重みを割り当てる。最後に、各スコアの重み付けされた加重スコア値を合計する。重みは、機械学習アルゴリズムとシステムの性能に関連する継続的にサンプリングされる情報に基づいて、あらかじめ決定されていても、動的に調整されていてもよい。
【0041】
表1の状況では、複合指数が非常に低くなっており、これは最適ではなく、システム内の発電機などの生産機の数を増やすなど、システム内の調整を行う必要がある。これは冗長性マージンを増加させるが、その代償として燃料消費量と排出量が増えることになる。このように、複合指数は、システムの様々な側面のバランスをとることになる。このシステムは、利用可能な機器に応じて、システムの様々な調整を提案し、それらのそれぞれについて複合指数を計算することができる。これにより、システムまたは操作者は、複合指数に基づいて最良の選択を行うことができる。
【0042】
以下の表2には、2つの主機関と2つのプロペラをディーゼルメカニックモードで動作させ、1つの補助機関を主スイッチボードに接続した単一クローズドスイッチボード状態にあるオフショア船舶がトランジット運航をしている状況が示されている。船舶は、10ノットで巡航している。
【0043】
バランスプロファイルから算出された複合指数は以下の通りである。
【0044】
【表2】
【0045】
この場合も、システムは、システム内の利用可能なリソースに基づいて様々な解決策を提案し、様々な状態に対する複合指数を計算する。これにより、複合指数の最適値(この例では最高値)を提供する解決策を選択することができる。
【0046】
より詳細には、スコアは、DPの場合は表1、トランジット運航の場合は表2に示されるように、複数のパラメータを用いて計算される。各パラメータは、船舶運航モードに応じて加重スコアを持つ。加重スコアの範囲は0から1である。204の場合、スコア0は冗長性マージンが非常に高いことを示し、スコア1は冗長性マージンが非常に低いことを示す。203の場合、スコア0は非効率的なシステムを示し、スコア1は最適なシステムを示す。これらのスコアは、その後、205で統一のスコアを生成するために組み合わされる。複合指数では、エネルギー効率と冗長性マージンの基準値および目標値が定義される。基本値および目標値は、船舶運航モードに応じて動的に調整される。この複合指数は、制御システムコネクタへの転送に関する決定が行われる前に、206で定義された制限値に対して検証される。検証を合格するには、126におけるサービスの健全性状態と複合指数値が許容限界内にある必要がある。
【0047】
図3は、DP運航のためのiEMSとバランスプロファイルの例示的なプロセスのフロー図を示す。プロセスは、303から始まる。ここで、気象の平均変化の決定が行われる。気象の平均変化を決定するための制限、すなわち風、潮流、および波は設定可能であり、気象予報を受信し(301)、掲示される(303)。304では、バスタイブレーカの状態、ジェネレーターセットの状態、スラスタの状態、電力システムモードの変更など、動力装置の設定変更が決定される。305では、ヘディングの変更、コントローラゲインなどのようなDP設定の変更がチェックされる。306では、運航モードの変更が検出される。303、304、305、および306のいずれかの条件が満たされると、動力装置アドバイザ307が起動される。上述したような動力装置アドバイザは、WSF条件を超えることなく、選択されたDPクラスに基づいて、最小数のジェネレーターセット、バッテリ、およびスラスタによる最適なセットアップを決定するために、動力装置ループを実行する。
【0048】
307からの結果は、最適な動力装置利用で後処理される。ここで、電力損失、効率、最小静止負荷、機器の健全性と稼働率、および電力システムモードが、燃料消費と排出を最小にする生産機の理想的な負荷基準を決定するために使用される。308の出力は、309のバランスプロファイルブロックで使用される。ここで、複合指数が算出される。310では、複合指数のスコアが許容限界と比較され、308の結果は、その後、311で承認されると、コネクタ312を介して制御システムに転送される。スコアが制限を超えた場合、プロセスは309に戻り、パイプラインの次の提案に対して同じシーケンスを継続する。
【0049】
並行して、図3に示すように、データ配信サービス313は、ITレイヤでホストされている様々なサービスからのデータを継続的に公開および収集する。これらのサービスからの結果は308で使用される。
【0050】
図4は、iEMSの例示的なプロセスと、非DP運航時のバランスプロファイルのフロー図を示す。プロセスは、403から始まる。ここで、受信した気象予報401に基づいて平均気象の変化を検出する。また、電力システムモードの変更(404)または運航モードの変更(405)を含む動力装置セットアップの変更が、最適な動力装置利用サービスを開始するために使用される。様々な運航モードのための様々な電力システムモードは、設定ファイルで定義される。平均負荷プロファイルおよびピーク負荷要求を使用するオプティマイザは、最小エネルギー使用量を提供する最良のセットアップを決定するために、定義されたモードに対して反復を実行する。選択された構成は、必要な効率も提供する必要がある。
【0051】
408では、バランスプロファイルブロック407からの複合指数が限界と比較され、409および410を介して推奨事項が制御システムに転送できるかどうかが決定される。許容限界に対する偏差があれば、アドバイスを制御システムに転送するシーケンスが中止される。フローは、407に戻り、キュー内の次のアドバイスに基づいて手順を繰り返す。上述したように、ITレイヤにホストされている他のサービスは、データ配信サービスを介して受信したリアルタイムの測定値に基づいて計算を実行する(412)。
【0052】
本発明は、業界で承認されたANSI/ISA-95モデルに基づく階層構造に関する。物理コンポーネントは、モデルのレベル0に配置され、そこではミリ秒またはマイクロ秒単位でプロセスが実行される。レベル0からの測定値は、レベル1のコントローラに送信され、そこでは秒単位でアクションが行われる。レベル2では、監視と制御が秒単位で行われる。EMSはレベル3に位置し、PMS運航と運航モードの選択が行われる。バランスプロファイルを含むiEMSは、3と4の間のレベル、すなわち3.5に配置される。レベル3.5とレベル3をつなぐのは、この新規の制御システムのコネクタである。レベル5では、事業計画とロジスティクスが行われる。このレベルは、本願で定義されている機構とは無関係である。
【0053】
要約すると、本発明は、多数のデバイスを含む船舶を制御するためのシステムおよび関連する方法に関する。多数の生産機/電力発電機および消費機を含むデバイスは、デバイスのアクティビティを監視するためのセンサをさらに含む。監視は、特定のデバイスに実装されたそれ自体既知の機能であってもよく、適切な利用可能なセンサを用いて得られてもよい。また、システムは、センサの測定値および各デバイスの既知の特性に基づいて、デバイスの性能を表すデバイススコア値を計算する少なくとも1つのプロセッサを含む。また、システムは、デバイスに接続され、デバイススコア値に基づいて効率スコア値を計算するように構成された制御ユニットを含む。効率スコア値は、システムの効率を定義する。
【0054】
また、システムは、デバイスの動作モードおよび/または負荷に基づいてシステムの冗長性を計算し、関連するデバイスの冗長性に関連する各動作モードの所定のスコアに従ってシステムのデバイスの冗長性を示す冗長性マージン指数を計算し、システムの効率スコア値および冗長性スコア値を算出するように構成される。また、システムは、効率スコア値および冗長性マージン指数に基づいて、複合指数を計算するようにさらに構成される。
【0055】
システムは、システムに含まれるデバイスのセットアップ構成のセットを含み、複合指数が所定の範囲外であるインスタンスにおいて、少なくとも1つの代替デバイスセットアップのための複合指数を計算し、複合指数値間の比較に基づいて好ましいセットアップを示すように構成される。最も高い複合指数値を選択することにより、システムの最適な運航モードを使用することができる。
【0056】
したがって、対応する方法は、
・ 各デバイスのスコア値を計算するステップと、
・ デバイスのスコア値に基づいて効率スコア値を計算するステップであって、効率スコア値がシステムの効率を定義する、ステップと、
・ 各デバイスの動作モードおよび/または負荷に基づいてシステムの冗長性を計算し、動作モードごとに予め定められたスコアに従ってデバイスの冗長性を示す冗長性マージン指数を計算し、効率および冗長性の値を算出するステップと、
・ 効率スコア値および冗長性マージン指数に基づいて複合指数を計算するステップと、
を含んでもよい。ここで、船舶は、システムに含まれるデバイスのセットアップ構成のセットを含み、システムは、複合指数が所定の範囲外であるインスタンスにおいて、少なくとも1つの代替デバイスセットアップの複合指数を計算し、複合指数値間の比較に基づいて好ましいセットアップを示す。
【0057】
動作モードのそれぞれの予め定められたスコアは、対応する状況からの過去の保存データの統計的分析に基づいていてもよく、所定のスコアおよび/または所定の範囲は、システムの性能を分析する機械学習ユニットから得られてもよい。好ましくは、機械学習ユニットから得られたスコアおよび範囲は、過去のケースでサンプリングされた過去のデータの分析、および/またはシステム操作者から登録されたフィードバックに基づいている。
【0058】
複合指数の比較は、効率および冗長性のスコア値に加えて、デバイスの個々の評価に基づいてシステムの効率および冗長性を最適化するための機械学習ユニットによって提供された、算出または計算されたスコア、指数、および代替デバイスセットアップの比較を含んでもよい。
【0059】
また、システム内のセンサは、波、潮流、風などの船舶環境を監視するため、および/または船舶の位置、動き、速度、ヘディングなどの船舶挙動を監視するための1つまたは複数のセンサを含んでもよい。このため、システムは、例えば厳しい気象条件下で冗長性を優先させるなど、状況に応じてスコアを重み付けすることができる。また、同じ目的のために、システムは、気象予報のような船舶環境に関する情報を直接受信するように構成されてもよく、船舶応答シミュレータによって環境情報を考慮に入れるように構成されてもよく、環境の将来の状況に関連する入力がシステムに提供されてもよい。
【0060】
システム内のデバイスは、システム内の個々のエンティティとして定義されてもよく、発電用のクラスタ、スラスタ用のクラスタなどのクラスタにグループ化されてもよい。これにより、システムは、クラスタごとに共通のデバイススコアを計算することができる。
【0061】
また、システムは、操作者が複合指数に基づいてセットアップを選択できるようにするための、ディスプレイおよびキーボードなどのインタフェースを含むユーザインタフェースを含んでもよい。ここで、複合指数は、選択肢を簡略化するために、または性能を評価するユーザからのフィードバックを提供するために、操作者のために視覚化される。選択とフィードバックはシステムによって登録され、例えば機械学習アルゴリズムによって、将来の自動選択または将来のスコアと指数の計算を最適化するために使用される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】