(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】摺動式等速ボールジョイント
(51)【国際特許分類】
F16D 3/227 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
F16D3/227 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547752
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2022053979
(87)【国際公開番号】W WO2023155993
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509318044
【氏名又は名称】ゲーカーエン ドライブライン ドイチュラント ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GKN DRIVELINE DEUTSCHLAND GMBH
【住所又は居所原語表記】Carl-Legien-Strasse 10,63073 Offenbach Am Main(DE)
(71)【出願人】
【識別番号】507334967
【氏名又は名称】ゲーカーエン ドライブライン インターナショナル ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】GKN DRIVELINE INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリュルマズ,オルカン
(72)【発明者】
【氏名】パンヒルシュ,ベンジャミン
(57)【要約】
摺動式等速ボールジョイント(1)は、軸方向(3)に沿って延在する第1の回転軸(4)を有し且つ複数の外側ボールトラック(5)と複数の外側中心線(6)とを有する、外側ジョイント部分(2)と、複数の内側ボールトラック(8)と複数の内側中心線(9)とを有する内側ジョイント部分(7)と、複数のトルク伝達ボール(10)であって、互いに割り当てられており且つトラック対(11)を形成する複数の外側ボールトラック(5)及び複数の内側ボールトラック(8)について、該トルク伝達ボール(10)はそれぞれ、外側ボールトラック(5)及び内側ボールトラック(8)の中を案内される、複数のトルク伝達ボール(10)と、ボール(10)のうちの1つ又は複数を受けるケージ窓(13)を複数有するケージ(12)とを少なくとも備える。中心線(6、9)は、ボールトラック(5、8)に沿って、第1の端部領域(14)から、軸方向(3)に沿って、第2の端部領域(15)まで延在している。トラック対(11)それぞれの中心線(6、9)はそれぞれ、径方向(17)に傾斜する傾斜角(16)及び周方向(19)に傾斜するねじれ角(18)で延在している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
軸方向(3)に沿って延在する第1の回転軸(4)を有し且つ複数の外側ボールトラック(5)と複数の外側中心線(6)とを有する、外側ジョイント部分(2)と、
複数の内側ボールトラック(8)と複数の内側中心線(9)とを有する内側ジョイント部分(7)と、
複数のトルク伝達ボール(10)であって、
互いに割り当てられており且つトラック対(11)を形成する複数の外側ボールトラック(5)及び複数の内側ボールトラック(8)について、該トルク伝達ボール(10)はそれぞれ、前記複数の外側ボールトラック(5)及び前記複数の内側ボールトラック(8)の中を案内される、複数のトルク伝達ボール(10)と、
前記ボール(10)のうちの1つ又は複数を受けるケージ窓(13)を複数有するケージ(12)と
を少なくとも備え、
前記中心線(6、9)は、前記ボールトラック(5、8)に沿って、第1の端部領域(14)から、前記軸方向(3)に沿って、第2の端部領域(15)まで延在しており、
前記トラック対(11)それぞれの前記中心線(6、9)はそれぞれ、前記軸方向(3)に対して径方向(17)に傾斜する傾斜角(16)及び前記軸方向(3)に対して周方向(19)に傾斜するねじれ角(18)で延在しており、
前記中心線(6、9)はそれぞれ、反対方向に延在しており、
前記各傾斜角(16)はそれぞれ、大きくとも4度の絶対値を有しており、前記各ねじれ角(18)はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、
前記各傾斜角(16)はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、前記各ねじれ角(18)はそれぞれ、大きくとも4度の絶対値を有している、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記中心線(6、9)は、直線である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記ボール(10)を、8個、10個、又は12個備える、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項4】
請求項1~3の1項に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記周方向(19)において、隣接する前記各外側ボールトラック(5)及び隣接する前記各内側ボールトラック(8)はそれぞれ、異なる方向に傾斜しており、
それぞれが、逆向きの傾斜角(16)及びねじれ角(18)を有する、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項5】
請求項1~4の1項に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各傾斜角(16)がそれぞれ大きくとも4度の絶対値を有する場合、前記各ねじれ角(18)の前記絶対値はそれぞれ、大きくとも18度である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各傾斜角(16)の前記絶対値はそれぞれ、大きくとも2度である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項7】
請求項1~6の1項に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各ボール(10)はそれぞれ、対応する前記ボールトラック(5、8)に、2つの接点(20)において接触し、
対応する前記中心線(6、9)の延在方向(21)を横切るように配置された断面(22)において、ボールトラック基部(25)に対して接触角(23、24)でそれぞれ配置されており、
前記接触角(23、24)は、38度と44度との間である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記外側ボールトラック(5)の第1の接触角(23)及び前記内側接触トラック(8)の第2の接触角(24)は、絶対値で少なくとも1度、互いに異なる、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項9】
請求項1~8の1項に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記内側ジョイント部分(7)は、前記軸方向(3)において前記外側ジョイント部分(2)に対して少なくとも5ミリメートルだけ変位可能である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項10】
駆動ユニット(28)と各ホイール(29)とを備える自動車(27)であって、
前記駆動ユニット(28)から前記ホイール(29)にトルクを伝達するように設計された、請求項1から9の1項に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)を少なくとも1つ備える、
自動車(27)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動式等速ボールジョイントに関し、本摺動式等速ボールジョイント(本明細書で以下にジョイントとも称される)は、特に、自動車の側方シャフト機構又は前後方向シャフト機構に取付け可能である。特に、摺動式等速ボールジョイントは、フローティングジョイントシャフト機構に使用され、ここでは、摺動式等速ボールジョイントがトルク伝達シャフトの各端部に配置されている。特に、このようなジョイントシャフト機構は、後輪駆動自動車の後方車軸の領域で使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 010 352(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
摺動式等速ボールジョイントでは、内側ジョイント部分が、外側ジョイント部分に対して、軸方向に移動可能である。摺動式ジョイントの場合、総変位距離(即ち、内側ジョイント部分が外側ジョイント部分に対して変位可能な最大距離)は、特に、少なくとも5ミリメートルである。
【0004】
複数の外側ボールトラックの少なくとも一部及び複数の内側ボールトラックの少なくとも一部は、回転軸に対する(任意の向きの)(径方向に対して傾斜する)傾斜角、又は、回転軸に対する(任意の向きの)(周方向に対して傾斜する)ねじれ角、又はその両方を有することができる。または、これの代わりに、トラック傾斜角を持たないこともでき、即ち軸方向又は回転軸と平行に延在することができる。ジョイントが真っ直ぐな(gestreckten)位置又は配置にあるとき(即ち、内側ジョイント部分が外側ジョイント部分に対して曲がって(Abbeugung)いないとき)、摺動式等速ボールジョイントの場合は、内側ジョイント部分は、外側ジョイント部分に対して、共通の回転軸に沿って変位することが可能であり、これにより、これらの回転軸が互いに同軸に配置された状態を維持する。ジョイントが曲がっている(abgebeugtem)場合も変位することは可能である。
【0005】
特に、ボールトラック基部(即ち、各外側ボールトラックの場合は、各ボールトラックの、回転軸からの距離が最も大きい領域であり、各内側ボールトラックの場合は、各ボールトラックの、内側ジョイント部分の回転軸からの距離が最も小さい領域)、又は、各ボールトラックの、変位距離に沿った中心線(ボールがボールトラックに沿って移動する際のボールの中心点の経路)は、(傾斜角がゼロである場合は)回転軸から径方向にそれぞれ(略)一定の間隔だけ離れている。一方で、(傾斜角がゼロ度ではない場合は)ボールトラック基部又は中心線が回転軸から一定の距離だけ離れていない摺動式等速ボールジョイントの設計も公知である。ここで、回転軸からの距離は、特に、対向するボールトラック同士(のみ)では同じであるが、変位距離に亘っては又はボールトラックに沿っては、一定でない。
【0006】
内側ジョイント部分が外側ジョイント部分に対して変位すると、ボールはボールトラック内で、トラックにより案内されて移動(例えば転動、滑動、摺動等)する。ここで、理想的には、ケージは、外側ジョイント部分に対して、内側ジョイント部分の変位距離の長さの半分だけ移動する。周方向における、内側ジョイント部分、外側ジョイント部分、ケージの相対的な回転は、生じない。従って、軸方向に対してボールトラックが傾くには、十分に広いケージ窓をケージが有することが必要であり、それにより、各ジョイント部分が軸方向に沿って相対的に変位したときに各ボールが周方向に沿って変位することができる。
【0007】
内側ジョイント部分が曲がる(Abbeugung)と、真っ直ぐな(gestreckten)位置(外側ジョイント部分の第1の回転軸と内側ジョイント部分の第2の回転軸とが互いに同軸上に配置される)から(逸脱している)曲がった位置に枢動される。そのときに、外側ジョイント部分の第1の回転軸と内側ジョイント部分の第2の回転軸とが、曲がり角(ゼロ度から逸脱する)を形成する。
【0008】
本事例で考えられる摺動式等速ボールジョイントは、軸方向に沿って延在する第1の回転軸を有し且つ複数の外側ボールトラックと複数の外側中心線とを有する外側ジョイント部分と、複数の内側ボールトラックと複数の内側中心線とを有する内側ジョイント部分と、互いに割り当てられ且つトラック対を形成する外側ボールトラック及び内側ボールトラックについて、これらの中をそれぞれ案内される複数のトルク伝達ボールと、これらのボールのうちの1つ又は複数を収容する複数のケージ窓を有するケージとを、少なくとも備える。各中心線は、ボールトラックに沿って、(ジョイントの又は対応するジョイント部分の)第1の端部領域から、軸方向に沿って、(ジョイントの又は対応するジョイント部分の)第2の端部領域まで延在している。各トラック対の中心線はそれぞれ、反対方向に、径方向に対して傾斜する傾斜角及び周方向に対して傾斜するねじれ角で延在する。
【0009】
この種のジョイントは、特許文献1によって知られている。そこでは、ねじれ角と傾斜角との比は5:3である。
【0010】
公知の摺動式等速ボールジョイントは、曲がり角が大きいとノイズ(クリックノイズ)を生成する場合がある。そのノイズの原因は、それぞれのケージ窓におけるボールの接点が変わることである。このような現象は、ボールケージにおける窓とボールとの間のクリアランスが大きいこと(クリアランスが大きい嵌め合い)を組み合わせることでひどくなる恐れがある。
【0011】
窓とボールとの間のクリアランスを小さくすることによって、このような課題、即ち生じるノイズを解消することが知られている。したがって、ケージ窓とボールとの嵌め合いは、公称嵌め合い又は中間嵌めとして設計可能である。しかし、より精密な嵌合は、摺動式等速ボールジョイントの効率及び耐用期間の点で不利益を招く。
【0012】
摺動式等速ボールジョイントを改良する必要が常にある。
【0013】
したがって、本発明の目的は、前述の課題を少なくとも部分的に解決することである。特に、動作中に起きるノイズが可能な限り最小限に抑えられているか又は起こる頻度が小さい摺動式等速ボールジョイントであって、効率又は耐用期間に関する制約が可能な限り生じないだろう摺動式等速ボールジョイントを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る特徴を有する摺動式等速ボールジョイントは、これらの課題の解決に寄与する。有利な発展形態は、従属請求項の主題である。特許請求の範囲に列挙する特徴は、技術的に実現可能な態様で組み合わせ可能であり、且つ、本発明の更なる実施形態を開示しているところの、本明細書の説明的な技術内容及び図の詳細により補完してもよい。
【0015】
摺動式等速ボールジョイントを提案する。この摺動式等速ボールジョイントは、
軸方向に沿って延在する第1の回転軸を有し且つ複数の外側ボールトラックと複数の外側中心線(6)とを有する、外側ジョイント部分と、
複数の内側ボールトラックと複数の内側中心線を有し、特に第2の回転軸35を有する内側ジョイント部分(7)と、
互いに割り当てられており且つトラック対を形成する複数の外側ボールトラック及び複数の内側ボールトラックについて、該トルク伝達ボールはそれぞれ、外側ボールトラック及び内側ボールトラックの中を案内される、複数のトルク伝達ボールと、
ボールのうちの1つ又は複数を受けるケージ窓を複数有するケージと
を少なくとも備える。
【0016】
トラック対それぞれの中心線はそれぞれ、軸方向(又はそれぞれの回転軸)に対して径方向に傾斜する傾斜角及び軸方向(又はそれぞれの回転軸)に対して周方向に傾斜するねじれ角で延在している。中心線はそれぞれ、反対方向に延在する。
【0017】
この摺動式等速ボールジョイントにおいては、
各傾斜角はそれぞれ、(0度より大きく且つ)大きくとも4度の絶対値を有しており、各ねじれ角はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、
各傾斜角はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、各ねじれ角はそれぞれ、(0度より大きく且つ)大きくとも4度の絶対値を有している。
【0018】
各ボールトラックの中心線(ボールトラックに沿ってボールが動く間のボールの中心点の経路)は、第1の端部領域1ボールトラックが始端する)から第2の端部領域(ボールトラックが終端する)まで、ジョイント部分それぞれの回転軸に沿って又は軸方向に沿って延在している。
【0019】
周方向に沿って広がるボールトラック又は中心線は、展開された状態で表すこともでき、即ち、空間ではなく2次元の平面画像で表すこともできる。その場合、傾斜角で傾斜するボールトラック又は中心線は、平坦な画像に投影される。特に、その場合に中心線は直線で延在している。
【0020】
特に、ボールトラックは、軸方向に対して(又は外側中心線の場合は第1の回転軸に対して及び内側中心線の場合は第2の回転軸に対して)、径方向に傾斜する(一定の)傾斜角16(ピッチ角とも称される)で延在している。同時に、ボールトラックは、軸方向に対して(又は外側中心線の場合は第1の回転軸に対して及び内側中心線の場合は第2の回転軸に対して)、周方向に傾斜する(一定の)ねじれ角(トラックねじれ角とも称される)で延在している。
【0021】
トラック対のボールトラックはそれぞれ、反対方向に延在しており、即ち、それぞれの外側中心線の傾斜角及びねじれ角の両方が、それぞれの内側中心線の傾斜角及びねじれ角の反対方向に延在している。
【0022】
特に、傾斜角の絶対値は、すべてのボールトラックに関して同じである。
【0023】
特に、ねじれ角の絶対値は、すべてのボールトラックに関して同じである。
【0024】
請求項に記載した傾斜角及びねじれ角の範囲ならば、普通なら起こり得るノイズを有意に低下させることを実現できることが見出された。特に、ボールがケージ窓の一方の側の接触面から離れず、したがって確実にそれらと恒久的に接触したままになることが可能である。そのときに、ケージ窓の他方の接触面が変わることはあまり起こらないか又は全く起こらなくなる。特に、自動車の動作モードが定常動作の間、例えば前進する間は、接触面が変わることを防止できる。ただし、接触面が変わることは、例えば車両が停止状態になった後に回転方向が逆になるときには起きることがあるが、そのような場合は問題にはならない。
【0025】
様々な境界条件(摺動式等速ボールジョイントの速度、摺動式等速ボールジョイントを介して伝達されるトルク、駆動方向、摺動式等速ボールジョイントの曲がり角、ケージ窓のクリアランスなど)を考慮することによって、連続する動作範囲にわたって上記で説明した課題が解決される傾斜角及びねじれ角に関する角度値を特定することが可能であった。回転を介したケージ窓における転がる要素(ボール)の位置をシミュレートすることによって、傾斜角及びねじれ角が特定の組み合わせとなっている場合に摺動式等速ボールジョイントのノイズ性が有意に改善されるという相関関係を判定することが可能であった。
【0026】
特に、このような発見は、ボールトラックの経路にわたって傾斜角及びねじれ角が一定である、本件の摺動式等速ボールジョイントに関するものである。
【0027】
傾斜角及びねじれ角を前述のように組み合わせることが利用可能であり、特に、ジョイントの運動学的理由から、動作中にケージが外側ジョイント部分及び内側ジョイント部分の少なくとも一方との接触を失い、それによりノイズを(例えばカウンタートラックジョイントで)引き起こすことがある等速ボールジョイントに対して利用可能である。
【0028】
特に、ケージは、周方向に沿ってケージ窓同士の間にウェブを有しており、ウェブは、外側ジョイント部分及び内側ジョイント部分の少なくとも一方の上で球状の接触面を介して公知の手法で案内される。
【0029】
フローティングサイドシャフトの場合は、例えば、ウェブは外径及び内径の両方で球状であり、そのため、球状の内側ジョイント部分が軸方向に対して留め具を形成することができる。いわゆるロングプランジジョイントでは、外径だけが球状であるが、これは、例えば、これらのジョイントは固定ジョイントと一緒に取り付けられており、そのため留め具が必要ない(即ち、ケージの球とジョイントの内側部材との間の接触がない)からである。
【0030】
特に、各中心線は直線であり、即ち、傾斜角及びねじれ角は、ボールトラックの経路に沿って一定の絶対値を有する。
【0031】
特に、摺動式等速ボールジョイントは、8+2n個(ここでn=0、1、2・・・である)のボールを有しており、即ち、8個、10個、又は12個などのボールを有する。
【0032】
特に、周方向において、互いに隣接するように配置された外側ボールトラック及び周方向において互いに隣接するように配置された内側ボールトラックはそれぞれ、異なる方向に傾斜しており、即ち、それぞれが、逆向きの傾斜角及びねじれ角を有する。
【0033】
特に、傾斜角は、ゼロ度より大きい絶対値を有し、大きくとも4度、好ましくは大きくとも2度、特に好ましくは大きくとも1度の絶対値を有する。特に、ねじれ角は、20度より小さい絶対値を有し、小さくとも9度、好ましくは小さくとも10度、特に好ましくは小さくとも11.5度の絶対値を有する。
【0034】
或いは、傾斜角は、20度より小さい絶対値を有し、小さくとも9度、好ましくは小さくとも10度、特に好ましくは小さくとも11.5度の絶対値を有する。特に、ねじれ角は、ゼロ度より大きい絶対値を有し、大きくとも4度、好ましくは大きくとも2度、特に好ましくは大きくとも1度の絶対値を有する。
【0035】
摺動式等速ボールジョイントを設計するときには、特に、傾斜角が大きいほど、摺動式等速ボールジョイントの径方向において設置スペースが(かなり)大きくなり、所与の設置スペースにおける摺動の許容量に(かなりの)制約が生じることに留意されたい。ねじれ角が大きい場合は、径方向において設置スペースがわずかな増えるだけであり、且つ、所与の設置スペースにおいても変位要素のより小さい制約しか生じないことにも留意されたい。
【0036】
したがって、傾斜角がより小さく、ねじれ角がより大きいことが好ましい。
【0037】
特に、各傾斜角それぞれ大きくとも4度の絶対値を有する場合、各ねじれ角の絶対値はそれぞれ、大きくとも18度であり、好ましくは大きくとも16度、特に好ましくは大きくとも14度であるか又は大きくとも12.5度である。特に、ねじれ角は、大きくとも10度の絶対値を有し、好ましくは9.5度未満である。
【0038】
特に、(各傾斜角それぞれ大きくとも4度の絶対値を有する場合、)各傾斜角の絶対値はそれぞれ、大きくとも2度であり、好ましくは大きくとも1度であるか又は大きくとも0.2度~0.8度である。
【0039】
好ましい実施形態によれば、摺動式等速ボールジョイントは、0.5度(公差10%未満)の傾斜角及び12度(公差5%未満)のねじれ角を有する。
【0040】
特に、傾斜角は、摺動式等速ボールジョイントの規定の動作の間に起きる最大曲がり角の関数として決まる。最大曲がり角が12度未満の場合、傾斜角は0.5度(公差20%未満)である。最大曲がり角が12度超(及び例えば24度未満)の場合、傾斜角は1度(公差20%未満)である。
【0041】
特に、各ボールはそれぞれ、対応するボールトラックに、2つの接点において接触し、対応する中心線の延在方向ように配置された断面において、ボールトラック基部に対して接触角でそれぞれ配置されている。接触角は、38度と44度との間であり、特に40度から42度の範囲にある。
【0042】
特に、外側ボールトラックの第1の接触角及び内側接触トラックの第2の接触角は、絶対値で少なくとも1度、互いに異なり、好ましくは絶対値で2度、互いに異なる。
【0043】
特に、内側ジョイント部分は、軸方向において外側ジョイント部分に対して少なくとも5ミリメートルだけ変位可能であり、好ましくは、少なくとも10ミリメートル又は少なくとも20ミリメートルだけ変位可能である。
【0044】
さらに、本明細書で提案されるような摺動式等速ボールジョイントを少なくとも1つ有する自動車が提案される。特に、摺動式等速ボールジョイントは、乗用車で使用するように提案されている。
【0045】
駆動ユニットと、各ホイールとを備える自動車を提案する。この自動車においては、前述の摺動式等速ボールジョイントのような少なくとも1つ摺動式等速ボールジョイントが、駆動ユニットからホイールにトルクを伝達するように設計されている。
【0046】
等速ボールジョイントに関する記載は、自動車に特に適用可能であり、その逆も同様である。
【0047】
特に、請求項及びこれらの請求項を再掲する記載において、不定冠詞(「ein」、「eine」、「einer」、「eines」)は、数詞として使用したものではなく、そのまま理解すべきであることを意図している。従って、これに対応して導入さてる用語や構成要素は、少なくとも一回は存在しているが、特に、数回存在することもありうると理解すべきことを意図している。
【0048】
疑義を回避するために言えば、本明細書において使用する序数詞(「第1」、「第2」、等)は、主として、幾つかの同じような対象物、数値、工程を区別するため(のみ)に供されるものであり、即ち、特に、これらの序数詞が、これら対象物、数値、工程の、互いに対する任意の依存関係や順序を必ずしも定めるものでない。依存関係や順序が必要である場合には、このことは本明細書に明記されるか、或いは、実際に記載されている構成を精査することにより、当業者にとって明らかになる。構成要素が1回以上(「少なくとも1つ」)生じ得る場合は、それらの構成要素の1つに関する記載は、これらの複数の構成要素の全て又は幾つかに等しく当てはまり得るが、必ずそのようであるわけではない。
【0049】
以下で、添付の図を参照して、本発明及び技術的背景をより詳細に説明する。詳述する実施形態により本発明が限定されることを意図したものではないことに留意すべきである。特段の記載のない限り、特に、図で説明する技術内容の部分的特長を抽出し、それらを他の構成要素及び本明細書の知見と組み合わせることも可能である。特に、図及び特に図示された比率は、単に概略的なものにすぎないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図2】真っ直ぐな配置にある等速ボールジョイントの縦断面図である。
【
図3】曲がった配置にある、
図2における摺動式等速ボールジョイントの縦断面図である。
【
図4】
図1及び
図2における摺動式等速ボールジョイントの外側ジョイント部分の縦断面図である。
【
図5】
図1及び
図2における摺動式等速ボールジョイントの内側ジョイント部分の側面図である。
【
図6】
図4における外側ジョイント部分の断面斜視図である。
【
図7】
図5における内側ジョイント部分の断面斜視図である。
【
図8】ボールトラックの傾斜角及びねじれ角の概略図を示す。
【
図9】それぞれの中心線の方向を横切るように配置された、ボールトラックの断面図を示す。
【
図10】公知の摺動式等速ボールジョイントにおけるボールの配置の概略側面図である。
【
図11】ボールとケージ窓との間のクリアランスが小さい、公知の摺動式等速ボールジョイントにおけるボールの配置の概略側面図である。
【
図12】
図2及び
図3の一方による摺動式等速ボールジョイントにおけるボールの配置を概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、自動車27の概略上面図である。自動車27は、駆動ユニット28(エンジン)及びギアボックス30を備える。トルクは、駆動ユニット28からギアボックス30を介していくつかの連結機構31、32に伝達される。前方車軸の領域(ここでは図の上部)には、2つの側方シャフト機構31が示されている。一方の側方シャフト機構31(
図1の右)は、差動装置33を介してギアボックス30に連結されている。
【0052】
トルクは、差動装置33を介して、又は、外側ジョイント部分2とボール10と内側ジョイント部分7とを有する他方の側方シャフト機構31(
図1の左)の摺動式等速ボールジョイント1を介して、ギアボックス30から各シャフト34に伝達され、そこから、ホイール29に連結された、別の摺動式等速ボールジョイント1か又は等速(固定)ジョイントに伝達される。
【0053】
さらに、これの代わりに又はこれに加えて、トルクは、ギアボックス30から摺動式等速ボールジョイント1を介して前後方向シャフト機構32に伝達することができる。トルクは、その前後方向シャフト機構32を介して(後方車軸の)差動装置33に伝達される。トルクは、(後方車軸の)差動装置33を介してそれぞれの側方シャフト機構31に伝達される。各側方シャフト機構31はそれぞれ、2つの等速ボールジョイント1を備えており、これらの等速ボールジョイント1は、各シャフト34によって互いに連結されている。
【0054】
図2は、真っ直ぐな配置にある摺動式等速ボールジョイント1の縦断面図を示す。
図3は、曲がった配置にある、
図2における摺動式等速ボールジョイント1の縦断面図を示す。
図4は、
図1及び
図2における摺動式等速ボールジョイント1の外側ジョイント部分2の縦断面図を示す。
図5は、
図1及び
図2における摺動式等速ボールジョイント1の内側ジョイント部分7の側面図を示す。
図6は、
図4における外側ジョイント部分2の断面斜視図を示す。
図7は、
図5における内側ジョイント部分7の断面斜視図を示す。
図8は、ボールトラック5、8の傾斜角16及びねじれ角18の概略図を示す。
図2から
図8を以下でまとめて説明する。
【0055】
摺動式等速ボールジョイント1は、軸方向3に沿って延在する第1の回転軸4を有し且つ外側ボールトラック5と外側中心線6とを有する外側ジョイント部分2と、第2の回転軸35を有し且つ内側ボールトラック8と内側中心線9とを有する内側ジョイント部分7と、トラック対11を形成し且つ関連付けられた外側ボールトラック5と内側ボールトラック8について、これらの中を案内される、複数のトルク伝達ボール10と、これらのボール10のうちの1つ又は複数を受ける複数のケージ窓13を有するケージ12とを備える。
【0056】
内側ジョイント部分7は、軸方向3において外側ジョイント部分2に対して変位可能である。
【0057】
図2は、第1の回転軸4と第2の回転軸35とが同軸配置となっている、摺動式等速ボールジョイント1の真っ直ぐな配置を示す。
図3は、内側ジョイント部分7即ち第2の回転軸35が、外側ジョイント部分2即ち第1の回転軸35に対して、曲がり角26だけ枢動されている、曲がった配置を示す。
【0058】
ケージ12は、周方向19に沿ってケージ窓13同士の間にウェブ36を有しており、ウェブ36は、外側ジョイント部分2上で球状の接触面37を介して公知の手法で案内される。ウェブ36は、周方向19に沿ってボール10の後ろにあるため、
図2及び
図3の断面図には図示されておらず、指し示されているだけである。
【0059】
摺動式等速ボールジョイント1はボール10を8個有する。
【0060】
各トラック対11の中心線6、9はそれぞれ、傾斜角16で延在し即ち軸方向3(又はそれぞれの回転軸4、35)に対して径方向17に傾斜しており、且つ、ねじれ角18で延在し即ち軸方向3(又はそれぞれの回転軸4、35)に対して周方向19に傾斜している。中心線6、9はそれぞれ、反対方向に延在する。
【0061】
摺動式等速ボールジョイント1は、0.5度の傾斜角16及び12度のねじれ角18を有する。
【0062】
各ボールトラック5、8の中心線6、9(ボールトラック5、8に沿ってボール10が動く間のボールの中心点の経路)は、第1の端部領域14(ボールトラック5、8が始端する)から第2の端部領域15(ボールトラック5、8が終端する)まで、ジョイント部分2、7それぞれの回転軸4、35に沿って又は軸方向3に沿って延在している。
【0063】
周方向19に沿って広がるボールトラック5、8又は中心線6、9は、展開された状態で表すこともでき、即ち、空間ではなく2次元の平面画像で表すこともできる(
図8参照)。その場合、傾斜角16で傾斜するボールトラック5、8又は中心線は、平坦な画像に投影される。傾斜角16が一定であるか又はねじれ角18が一定である中心線6、9は、直線の経路を有し、即ち、傾斜角16及びねじれ角18はそれぞれ、ボールトラック5、8の経路に沿って絶対値が変わらない。
【0064】
周方向19において互いに隣接するように配置された外側ボールトラック5及び周方向19において互いに隣接するように配置された内側ボールトラック8はそれぞれ、異なる方向に傾斜しており、即ち、それぞれが、逆向きの傾斜角16及びねじれ角18を有する。
【0065】
図8では、左上の図は、軸方向3に沿って見たときのボールトラック5、8、又は、ジョイント部分2、7のそれぞれの回転軸4、35に沿って見たときのボールトラック5、8を示す。中心線6、9は、軸方向3に対して傾斜して延在している。右上の図は、ジョイント部分2、7の側面図における、ボールトラック5、8又は中心線6、9の経路を示す。ここで、中心線6、9は、図の平面内で延在している。中心線6、9は、軸方向3に対して傾斜角16だけ傾斜している。左下の図は、ボールトラック5、8の又は中心線6、9の経路を、平面図又は展開された状態、即ち2次元の平面図に示す。中心線6、9は、軸方向3に対してねじれ角18だけ傾斜している。
【0066】
一方で、ボールトラック5、8は、軸方向3に対して(又は外側中心線6の場合は第1の回転軸4に対して及び内側中心線9の場合は第2の回転軸35に対して)、径方向17に傾斜する一定の傾斜角16(ピッチ角とも称される)で延在している。同時に、ボールトラック5、8は、軸方向3に対して(又は外側中心線6の場合は第1の回転軸4に対して及び内側中心線9の場合は第2の回転軸35に対して)、周方向19に傾斜する一定のねじれ角18(トラックねじれ角とも称される)で延在している。
【0067】
トラック対11のボールトラック5、8はそれぞれ、反対方向に延在しており、即ち、それぞれの外側中心線6の傾斜角16及びねじれ角18の両方が、それぞれの内側中心線9の傾斜角16及びねじれ角18の反対方向に延在している。
【0068】
図6及び
図7において、それぞれのジョイント部分2、7を通る断面は、それぞれの上側ボールトラック5、8がボールトラック基部25に沿って切断されるようになっている。したがって、ジョイント部分2、7は、
図2から
図4の図と比べてねじれ角18だけ回転された状態で示されている。
【0069】
図9は、それぞれの中心線6、9の方向21を横切るように配置された、ボールトラック5、8の断面22を示している。
図2から
図8の説明を参照する。
【0070】
各ボール10はそれぞれ、対応するボールトラック5、8に、それぞれの2つの接点20において接触する。この2つの接点20は、対応する中心線6、9の延在方向21を横切るように配置された断面22において、ボールトラック基部25に対して接触角23、24でそれぞれ配置されている。接触角23、24は、約40度であり、外側ボールトラック5の第1の接触角23は、内側接触トラック8の第2の接触角24から、約2度だけ異なっている。
【0071】
図10は、公知の摺動式等速ボールジョイント1におけるボール10の配置を概略側面図で示している。
図11は、ボール10とケージ窓13との間のクリアランスが小さい、公知の摺動式等速ボールジョイント1におけるボール10の配置を概略側面図で示している。
図10及び
図11を以下でまとめて説明する。
図2から
図9を参照する。
【0072】
図10及び
図11の図は(
図12の図も)、周方向19に沿って見たボール10を示す。第2の回転軸35もそれぞれ示されている。
【0073】
ボール10は、外側ボールトラック5と内側ボールトラック8との間でケージ窓13内に配置されている。摺動式等速ボールジョイント1の動作中においては、様々な境界条件によって、ボール10は、それぞれのケージ窓13におけるボール10の接点38が変わるか、又は、ボール10は、ボールトラック5、8によって固定されて止まり、ケージ12が動き続ける。このような効果は、ケージ12におけるケージ窓13とボール10との間のクリアランスが大きいこと(クリアランスの大きい嵌合)を組み合わせることで増大される場合がある。
【0074】
ケージ窓13とボール10との間のクリアランスを小さくすることによって、このような課題、即ち生じるノイズを解消することが知られている(
図11参照)。
【0075】
図12は、
図2及び
図3の一方による摺動式等速ボールジョイント1におけるボール10の配置を概略側面図で示している。
図2から
図11の説明を参照する。
【0076】
ここで提案した傾斜角16及びねじれ角18の範囲ならば、普通なら起こり得るノイズを有意に低下させることを実現できることが見出された。特に、ボール10がケージ窓13の一方の側の接点38(接触面)から離れず、したがって確実にそれらと恒久的に接触したままになることが可能である。そのときに、ケージ窓13の他方の接点38が変わることはあまり起こらないか又は全く起こらなくなる。
【符号の説明】
【0077】
1 摺動式等速ボールジョイント
2 外側ジョイント部分
3 軸方向
4 (第1の)回転軸
5 外側ボールトラック
6 外側中心線
7 内側ジョイント部分
8 内側ボールトラック
9 内側中心線
10 ボール
11 トラック対
12 ケージ
13 ケージ窓
14 第1の端部領域
15 第2の端部領域
16 傾斜角
17 径方向
18 ねじれ角
19 周方向
20 接点
21 経路方向
22 断面
23 第1の接触角
24 第2の接触角
25 ボールトラックベース
26 曲がり角
27 自動車
28 駆動ユニット
29 ホイール
30 ギアボックス
31 側方シャフト機構
32 前後方向シャフト機構
33 差動装置
34 シャフト
35 第2の回転軸
36 ウェブ
37 接触面
38 接点
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
軸方向(3)に沿って延在する第1の回転軸(4)を有し且つ複数の外側ボールトラック(5)と複数の外側中心線(6)とを有する、外側ジョイント部分(2)と、
複数の内側ボールトラック(8)と複数の内側中心線(9)とを有する内側ジョイント部分(7)と、
複数のトルク伝達ボール(10)であって、
互いに割り当てられており且つトラック対(11)を形成する複数の外側ボールトラック(5)及び複数の内側ボールトラック(8)について、該トルク伝達ボール(10)はそれぞれ、前記複数の外側ボールトラック(5)及び前記複数の内側ボールトラック(8)の中を案内される、複数のトルク伝達ボール(10)と、
前記ボール(10)のうちの1つ又は複数を受けるケージ窓(13)を複数有するケージ(12)と
を少なくとも備え、
前記中心線(6、9)は、前記ボールトラック(5、8)に沿って、第1の端部領域(14)から、前記軸方向(3)に沿って、第2の端部領域(15)まで延在しており、
前記トラック対(11)それぞれの前記中心線(6、9)はそれぞれ、前記軸方向(3)に対して径方向(17)に傾斜する傾斜角(16)及び前記軸方向(3)に対して周方向(19)に傾斜するねじれ角(18)で延在しており、
前記中心線(6、9)はそれぞれ、反対方向に延在しており、
前記各傾斜角(16)はそれぞれ、大きくとも4度の絶対値を有しており、前記各ねじれ角(18)はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、
前記各傾斜角(16)はそれぞれ、小さくとも9度の絶対値を有しており、前記各ねじれ角(18)はそれぞれ、大きくとも4度の絶対値を有している、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記中心線(6、9)は、直線である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記ボール(10)を、8個、10個、又は12個備える、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項4】
請求項
1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記周方向(19)において、隣接する前記各外側ボールトラック(5)及び隣接する前記各内側ボールトラック(8)はそれぞれ、異なる方向に傾斜しており、
それぞれが、逆向きの傾斜角(16)及びねじれ角(18)を有する、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項5】
請求項
1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各傾斜角(16)がそれぞれ大きくとも4度の絶対値を有する場合、前記各ねじれ角(18)の前記絶対値はそれぞれ、大きくとも18度である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各傾斜角(16)の前記絶対値はそれぞれ、大きくとも2度である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項7】
請求項
1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記各ボール(10)はそれぞれ、対応する前記ボールトラック(5、8)に、2つの接点(20)において接触し、
対応する前記中心線(6、9)の延在方向(21)を横切るように配置された断面(22)において、ボールトラック基部(25)に対して接触角(23、24)でそれぞれ配置されており、
前記接触角(23、24)は、38度と44度との間である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)であって、
前記外側ボールトラック(5)の第1の接触角(23)及び前記内側接触トラック(8)の第2の接触角(24)は、絶対値で少なくとも1度、互いに異なる、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項9】
請求項
1又は2に記載の摺動
式等速ボールジョイント(1)であって、
前記内側ジョイント部分(7)は、前記軸方向(3)において前記外側ジョイント部分(2)に対して少なくとも5ミリメートルだけ変位可能である、
摺動式等速ボールジョイント(1)。
【請求項10】
駆動ユニット(28)と各ホイール(29)とを備える自動車(27)であって、
前記駆動ユニット(28)から前記ホイール(29)にトルクを伝達するように設計された、請求項
1又は2に記載の摺動式等速ボールジョイント(1)を少なくとも1つ備える、
自動車(27)。
【国際調査報告】