(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】子宮出血を治療する装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547764
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 US2023062294
(87)【国際公開番号】W WO2023154803
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524300912
【氏名又は名称】アヴァナ ヘルス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AVANA HEALTH, INC.
【住所又は居所原語表記】4114 Legend Hall Drive, Nashville, Tennessee 37215 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モアヘッド, ジョン エー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH20
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、子宮出血を治療する装置1を開示する。該装置1は、近位端及び遠位端を有し、1つ以上のルーメンが貫通するシャフト、遠位端にある展開可能なスリーブ5、及び/又は近位端と遠位端の間にある閉塞フランジ7を含む。該装置1は、子宮出血を治療する方法に有用であり、該方法は、装置1の遠位端を患者の子宮に挿入するステップ、スリーブ5を展開するステップ、及び/又はフランジ7を展開して子宮頸部に対して係止するステップ、シャフト内のルーメンを通って治療液を導入するステップを含む。治療液の例としては、硬化療法剤又は生理食塩水が挙げられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、
b)前記近位端に、治療液を導入する第1ポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する第1開口部を有し、前記シャフト内に封入された第1ルーメンと、
c)前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、
d)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップと、
硬化療法剤を含む治療液の供給源を前記第1ポートに提供するステップと、
前記装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップと、
前記子宮の側壁に対して位置決めされるように前記展開可能なスリーブを展開して子宮腔と流体シールを形成するステップと、
前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップと、
前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記第1ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記第1ポートを介して前記治療液を導入するステップと、を含む、分娩後出血を治療する方法。
【請求項2】
子宮内でバルーンを膨張させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療液の供給源は、注射手段であり、前記注射手段は、注射器又はバッグを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記展開可能なスリーブは、展開時に前記シャフトから放射状に拡張するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記展開可能なスリーブは、手動で展開されるか又は前記治療液の圧力によって作動する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記閉塞フランジは、前記シャフトに沿って摺動可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記近位端に第2ポートを有し、前記遠位端に排液用の第2開口部を有する、前記シャフトの第2ルーメンが更に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シャフトは、前記シャフト内の第2ルーメンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンに平行である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンを取り囲む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記展開可能なスリーブは、外部カバーを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記外部カバーは、シリコンゴム膜を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の前記アンカーは、展開して前記外部カバーを子宮腔内にシールする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
約10~約100mmHgの子宮内圧は、維持される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも約30mmHgの子宮内圧は、維持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1ルーメンは、前記第1ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2ルーメンは、前記第2ルーメンを開閉するように動作可能な第2バルブを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化療法剤は、血管硬化剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化療法剤は、ポリドカノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記治療液の供給源は、リザーバーを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記リザーバーは、前記装置と一体であるか、又は前記治療液の分配前に前記装置に接続される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第2治療剤を投与するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、
b)前記シャフト内に封入された第1ルーメンであって、前記近位端に、治療液を導入する第1ポート、及び前記第1ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する第1開口部を有する第1ルーメンと、
c)対象の子宮頸部を通って挿入するように構成された、前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、
d)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む、分娩後出血を治療する装置。
【請求項25】
前記シャフトの前記遠位端に配置された膨張式バルーンと、
前記膨張式バルーンに流体を導入するバルーン膨張ルーメンと、
前記近位端に第2ポートを有し、前記遠位端に排液用の第2開口部を有する、前記シャフト内の第2ルーメンと、を更に含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記シャフトは、前記シャフト内の第2ルーメンを含む、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンに平行である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンを取り囲む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記展開可能なスリーブは、外部カバーを更に含む、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項30】
前記外部カバーは、シリコンゴム膜を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを更に含む、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項32】
硬化療法剤を含む治療液の供給源を更に含み、前記供給源は、前記治療液を前記第1ポートに供給する、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項33】
前記硬化療法剤は、血管硬化剤である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記硬化療法剤は、ポリドカノールを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記閉塞フランジは、前記シャフトに沿って摺動可能である、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項36】
請求項24又は25に記載の装置の前記遠位端を、1つ以上の出血血管を有する分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ1)と、
硬化療法剤を含む治療液の供給源を前記第1ポートに提供するステップ2)と、
前記子宮の側壁に対して位置決めされるとともに前記治療液を子宮内に保持するように前記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、
前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、
前記治療液を出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記第1ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記第1ポートを介して前記治療液を導入するステップ5)と、を含む、分娩後出血を治療する方法。
【請求項37】
第2治療剤を投与するステップを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、
b)前記近位端に、治療液を導入するポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する開口部を有し、前記シャフト内に封入されたルーメンと、を含む装置を提供するステップ1)と、
硬化療法剤を含む治療液の供給源を前記ポートに提供するステップ2)と、
前記装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の外子宮口に挿入するステップ3)と、
前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記ポートを介して前記治療液を導入するステップ4)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法。
【請求項39】
前記装置の前記遠位端に配置されたバルーンを膨張させるステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記治療液の供給源は、注射手段であり、前記注射手段は、注射器を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記装置は、前記シャフトの前記遠位端にある円錐形ゲル先端を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
約10~約100mmHgの子宮内圧は、維持される、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも約30mmHgの子宮内圧は、維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ルーメンは、前記ルーメンを開閉するように動作可能なバルブを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記硬化療法剤は、血管硬化剤である、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記硬化療法剤は、ポリドカノールを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記治療液の供給源は、リザーバーを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記リザーバーは、前記装置と一体であるか、又は前記治療液の分配前に前記装置に接続される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
第2治療剤を投与するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、
b)前記近位端に、治療液を導入するポート、及びルーメンを開閉するように動作可能なバルブを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する開口部を有し、前記シャフト内に封入されたルーメンと、を含む、異常子宮出血を治療する装置。
【請求項51】
前記シャフトの前記遠位端に円錐形ゲル先端を更に含む、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
請求項50又は51に記載の装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の外子宮口に挿入するステップ1)と、
硬化療法剤を含む治療液の供給源を前記ポートに提供するステップ2)と、
前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記ポートを介して前記治療液を導入するステップ3)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法。
【請求項53】
a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、
b)前記近位端に、治療液を任意的に導入する第1ポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を任意的に分配する第1開口部を有し、前記シャフト内に封入された第1ルーメンと、
c)前記近位端に第2ポートを有し、前記遠位端に血液を排出する第2開口部を有する、前記シャフト内の第2ルーメンと、
d)前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、
e)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップ1)と、
前記装置の前記遠位端を、産科的出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ2)と、
前記子宮の側壁に対して位置決めされるとともに子宮腔をシールするように前記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、
前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、
前記シャフト内の前記第2ルーメンを通って血液を、排出された血液を測定又は秤量するように構成された装置に排出するステップ5)と、
任意的に、前記第1ポートを通って硬化療法剤を含む治療液を導入するステップ6)と、を含む、産科的出血において定量的失血(QBL)を判断する方法。
【請求項54】
前記装置は、排出された血液を測定又は秤量するように構成され、受け入れ容器、測定容器、秤量容器、受け入れ手段、測定手段又は秤量手段を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記治療液の供給源は、注射手段である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記注射手段は、注射器を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記展開可能なスリーブは、展開時に前記シャフトから放射状に拡張するように構成される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記展開可能なスリーブは、手動で展開されるか又は前記治療液の圧力によって作動する、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記閉塞フランジは、前記シャフトに沿って摺動可能である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンに平行である、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンを取り囲む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記展開可能なスリーブは、外部カバーを更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記外部カバーは、シリコンゴム膜を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
複数の前記アンカーは、展開して前記外部カバーを子宮腔内にシールする、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記第1ルーメンは、前記第1ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記第2ルーメンは、前記第2ルーメンを開閉するように動作可能な第2バルブを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項68】
前記硬化療法剤は、血管硬化剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項69】
前記硬化療法剤は、ポリドカノールを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項70】
第2治療剤を投与するステップを更に含む、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、子宮出血又は産科的出血の分野に関し、そして、失血を治療及び/又は定量化する装置、及びこれらの装置を用いた治療方法、並びに失血の定量化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分娩後出血(PPH)は、1000mL以上の累積失血、又は分娩後24時間以内の血液量減少の兆候若しくは症状を伴う失血と定義される。より保守的な定義では、PPHは、経膣分娩後の500mLを超える失血、及び帝王切開分娩後の1000mLを超える失血と定義されることもある。PPHは、全ての分娩の約1~3%で発生すると推定され、失血は、視覚化によって推定される。注目すべきこととして、失血を定量的に測定したところ、分娩後出血の発生率は、全ての分娩の約10%に増加している。
【0003】
分娩後出血は、分娩当日の産婦の死亡の主な原因である。世界の一部の地域では死亡率が最大20%と推定され、一般的な病的状態は、輸血、子宮摘出、血栓塞栓症、及び血又は鉄注入を必要とする分娩後貧血などを含む。死亡率又は重篤な病的状態のリスクは、黒人女性で顕著に増加し、播種性血管内凝固症候群(DIC)及び輸血のリスクを含む。黒人女性は、非黒人女性よりも分娩後出血に起因する子宮摘出を受ける可能性が高い。
【0004】
分娩後出血のリスク因子は、高齢出産、経産(複数回の分娩)、生殖器損傷、手術分娩、在胎不当過大児及び高血圧症候群を含むが、これらに限定されない。リスク因子は一部の患者にとって予測的なものであるが、既知又は明らかなリスク因子がない患者でも異常出血が発生することがある。
【0005】
異常子宮出血(AUB)は、不正膣出血とも呼ばれ、子宮からの出血で、異常に頻繁で過度に長く続き、正常よりも激しく、不規則に起こる出血である。症状は、異常な頻度で不規則に起こり、異常に長く続き、正常よりも多い膣出血を含む。月経期の正常な頻度は、22~38日間である。周期間の時間の変動は、通常21日未満である。出血が通常9日間未満続き、1回あたりの総失血量が80mL未満である。過度の失血が80mL以上と定義できるが、人の生活の質に悪影響を与えるものと定義され得る。また、閉経後の6ヶ月間以上の出血は、異常子宮出血と見なされる。
【0006】
AUBの根本原因は、排卵障害、子宮筋腫、子宮内膜の子宮壁への増殖、子宮ポリープ、根本的な出血障害、避妊による副作用及び癌を含むが、これらに限定されない。1つのカテゴリ以上の原因が個別症例で当てはまる場合がある。医療分野で適用される一般的な分類体系は、FIGOのPALM COEIN分類体系である。この分類体系には、頭字語PALM-COEIN(「palm-koin」と発音される)に従って、ポリープ、子宮腺筋症、平滑筋腫、悪性腫瘍、及び過形成、血液凝固障害、排卵機能不全、子宮内膜、医原病という9つの主なカテゴリと、分類されていないものとがある。一般的に、PALMグループの構成要素は、物理的又はイメージング技術及び/又は組織病理学によって診断できる個別の(つまり構造的な)実体であるのに対し、COEINグループは、イメージング又は組織病理学によって定義されない(つまり非構造的な)実体に関連している。
【0007】
分娩後出血及び関連症状、並びに異常子宮出血に迅速に対応し、改善する装置及び方法が緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に開示された装置及び方法は、これらの緊急な必要を満たす。したがって、本明細書は、分娩後出血及び異常子宮出血(AUB)時の失血を迅速に止める方法を提供する。この方法では、本明細書に記載された新しい装置が使用される。少なくとも以下の利点を有する。患者に対する治療プロセス自体による相対リスクは、最小限となり、装置は、比較的低コストであり、必要な場所に簡単に出荷して保管することができ、いずれの産科プロバイダーであっても装置の適切な使用法を簡単に習得することができ、本明細書に開示された治療方法から正常な子宮機能に対する長期的な影響が生じないことが予想される。
【0009】
本開示の一態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフト(「近位」及び「遠位」は、装置の操作者の視点から見るものである)と、b)前記近位端に、治療液を導入する第1ポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する第1開口部を有し、前記シャフト内に封入された第1ルーメンと、c)前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、d)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップ1)と、治療液の供給源を前記第1ポートに提供するステップ2)と、前記装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ3)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに前記治療液を子宮内に保持するように前記展開可能なスリーブを展開するステップ4)と、前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップ5)と、前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記第1ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記第1ポートを介して前記治療液を導入するステップ6)と、を含む、分娩後出血を治療する方法に関する。
【0010】
本開示の別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)前記シャフト内に封入された第1ルーメンであって、前記近位端に、治療液を導入する第1ポート、及び前記ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する第1開口部を有する第1ルーメンと、c)対象の子宮頸部を通って挿入するように構成された、前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、d)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む、分娩後出血を治療する装置に関する。注射器又は他の注射手段も第1バルブとして機能することができる。前記装置は、前記近位端に第2ポートを有し、前記遠位端に排液用の第2開口部を有する、前記シャフト内の第2ルーメンを更に含んでもよい。
【0011】
本開示の別の関連態様は、分娩後出血を治療する上記装置の前記遠位端を、1つ以上の出血血管を有する分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ1)と、治療液の供給源を前記第1ポートに提供するステップ2)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに前記治療液を子宮内に保持するように前記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、前記治療液を出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記第1ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記第1ポートを介して前記治療液を導入するステップ5)と、を含む、分娩後出血を治療する方法に関する。
【0012】
本開示のまた別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)前記近位端に、治療液を導入するポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する開口部を有し、前記シャフト内に封入されたルーメンと、を含む装置を提供するステップ1)と、治療液の供給源を前記ポートに提供するステップ2)と、前記装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の外子宮口に挿入するステップ3)と、前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記ポートを介して前記治療液を導入するステップ4)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法に関する。前記治療液の供給源は、注射手段であってもよい。前記注射手段は、注射器を含んでもよい。
【0013】
本開示のまた別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)前記近位端に、治療液を導入するポート、及び前記ルーメンを開閉するように動作可能なバルブを有し、前記遠位端に、前記治療液を分配する開口部を有し、前記シャフト内に封入されたルーメンと、を含む、異常子宮出血を治療する装置に関する。前記装置は、前記シャフトの前記遠位端にある円錐形ゲル先端を更に含んでもよい。
【0014】
本開示の更なる関連態様は、異常子宮出血を治療する上記装置の前記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の外子宮口に挿入するステップ1)と、治療液の供給源を前記ポートに提供するステップ2)と、前記治療液を前記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な圧力で、前記ルーメンを通って前記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように前記ポートを介して前記治療液を導入するステップ3)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法に関する。
【0015】
本開示の別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)前記近位端に、治療液を任意的に導入する第1ポートを有し、前記遠位端に、前記治療液を任意的に分配する第1開口部を有し、前記シャフト内に封入された第1ルーメンと、c)前記近位端に第2ポートを有し、前記遠位端に血液を排出する第2開口部を有する、前記シャフト内の第2ルーメンと、d)前記シャフトの前記遠位端にある展開可能なスリーブと、e)前記シャフトの前記近位端と前記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップ1)と、前記装置の前記遠位端を、産科的出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ2)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに子宮腔をシールするように前記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、前記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより前記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、前記シャフト内の前記第2ルーメンを通って血液を、排出された血液を測定又は秤量するように構成された装置に排出するステップ5)と、任意的に、前記第1ポートを通って治療液を導入するステップ6)と、を含む、産科的出血において定量的失血(QBL)を判断する方法に関する。前記QBL方法において、前記装置は、排出された血液を測定又は秤量するように構成されてもよく、受け入れ容器、測定容器、秤量容器、受け入れ手段、測定手段又は秤量手段を含む。
【0016】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方とも、例示的かつ説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
本開示の更なる詳細及び実施形態は、図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シャフトの遠位端にある展開されないスリーブと、シャフトの中央部にある、展開されず、かつ位置決めされない閉塞フランジと、スリーブ及びフランジの両方を展開する手段とを備える、本開示に対応する分娩後出血を治療する装置の斜視図である。
【0019】
【
図2】
図1に示す分娩後出血を治療する装置の分解図であり、様々な構成要素の構成を示す。
【0020】
【
図3B】
図3Aに示す線に沿って切断した装置の断面図である。
【0021】
【0022】
【
図5】展開可能なスリーブ及び閉塞フランジの両方が拡張され展開されている場合の
図1に示す分娩後出血を治療する装置の斜視図である。
【0023】
【
図6B】
図6Aで特定された線に沿って切断した展開された装置の断面図を示す。
【0024】
【
図7】本開示の方法の一態様の概略図であり、
図1に示す分娩後出血を治療する装置を患者の分娩後子宮に挿入するステップを示す。
【0025】
【
図8】本開示の方法の一態様の概略図であり、分娩後子宮の内部の側壁に対して展開されたスリーブと、子宮頸部の円蓋に対して展開されて位置決めされて装置を所定の位置に係止する閉塞フランジと、を示す。
【0026】
【
図9】
図3Bに示す、展開されない装置の遠位端の断面拡大図を示す。
【0027】
【
図10】
図6Bに示す、展開された装置の遠位端の断面拡大図を示す。
【0028】
【
図11B】取り囲む外部カバーを含む同じ展開されないスリーブの図を示す。
【
図11C】複数のアンカーを形成するために展開されたスリーブの構造図を示す。
【
図11D】取り囲む外部カバーを含む同じ展開されたスリーブの図を示す。
【0029】
【
図12A】展開されないスリーブと、ハンドグリップ付きの関連する摺動可能部材と、を含む展開されない装置の断面の構造図を示す。
【
図12B】展開されないスリーブを取り囲む外部カバーを含む同じ展開されない装置の図を示す。
【0030】
【
図13A】展開されたスリーブと、ハンドグリップ付きの関連する摺動可能部材と、を含む展開された装置の断面の構造図を示す。
【
図13B】展開されたスリーブを取り囲む外部カバーを含む同じ展開された装置の図を示す。
【0031】
【
図14】遠位端にルーメン及び円錐形ゲル先端を含むシャフトを含む、本開示に対応する異常子宮出血(AUB)を治療する装置の斜視図である。
【0032】
【
図15】
図14に示すAUB装置の分解図であり、様々な構成要素の構成を示す。
【0033】
【0034】
【
図17】本開示の方法の一態様の概略図であり、
図14に示すAUB治療装置を患者の膣に挿入し、外子宮口に接触させて外子宮口をシールするように位置決めするステップを示す。
【0035】
【
図18】バルーンを有する代替のAUB装置の初期の展開されない構成を示す。
【0036】
【
図19】
図18の装置の、バルーンが膨張した展開された構成を示す。
【0037】
【
図20】バルーンを有する代替のPPH装置の初期の展開されない構成を示す。
【0038】
【
図21】
図20のPPH装置の、バルーンが膨張した展開された構成を示す。
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書に開示されているように、いくつかの値の範囲が提供される。端点による数値範囲の記載は、その範囲に含まれる全ての数及び分数、並びに記載された端点を含む。文脈上別段の指示がない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限の単位の10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。任意の記載値又は記載された範囲内の間の介在値と、任意の他の記載値又はその記載された範囲内の間の介在値との間の、それぞれより小さい範囲が、本開示に包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれてもよく、除外されてもよく、いずれかの限定が含まれるか又は限定が含まれないか又は両方の限定が含まれる各範囲も、記載された範囲内の具体的に除外された限定を条件として、本開示に包含される。記載された範囲に限界の一方又は両方が含まれる場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。「約」という用語は、一般に、表示値の±10%を含む。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し、「約20」は、18~22を意味する。好ましくは、「約」は、表示値の±6%を含む。代替的に、「約」は、表示値の±5%を含む。「約」の他の意味は、四捨五入などの文脈から明らかになる場合があり、そのため、例えば「約1」は、0.5~1.4を意味する場合もある。
【0041】
装置に関しては、「近位」及び「遠位」という用語は、装置の操作者の視点から見る場合のものを指し、遠位端は、膣に挿入される端であり、近位端は、操作者に最も近い。
【0042】
別途の定義がない限り、技術用語及び科学用語を含む、本開示の開示に使用される全ての用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0043】
本発明の装置の一実施形態は、
図1~6及び9~13に示される。したがって、分娩後出血治療装置1は、1つ以上のルーメンを含むシャフト部材2と、エンドキャップ部材3と、外側が被覆された展開されないスリーブ部材5と、展開されない閉塞フランジ部材7と、摺動可能セグメント部材9と、ハンドグリップ部材11と、ルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ部材12と、シャフト内の第1ルーメンに供給する注射管路部材13と、排液用のシャフト内の第2ルーメンに接続された排液管路部材15と、圧力計部材17、注射器又はバッグなどの注射部材19と、ピンチクランプであり得る、排液管路上のバルブ部材21と、を含む。
図1、2及び4A~4Eを参照されたい。
図9、11A、11B、12A及び12Bは、展開されない分娩後出血治療装置の部材の詳細図を示す。
図11Aの構造図は、カバーが除かれた展開されないスリーブの下部の構造構成40を示し、
図11Bは、カバーが加えられた展開されないスリーブを示す。
図12Aの構造図は、カバーが除かれた展開されない閉塞フランジの下部の構成を示し、
図12Bは、カバー付きの展開されない閉塞フランジを示す。
図11Cの構造図は、カバーが除かれた展開されたスリーブの下部の構成を示し、
図11Dは、カバーを含む展開されたスリーブを示す。
図13Aの構造図は、カバーが除かれた展開されたフランジの下部の構成を示し、
図13Bは、カバー付きの展開されたフランジを示す。
【0044】
閉塞フランジは、外部カバーを更に含んでもよい。外部カバーは、シリコンゴム膜などの柔軟な伸縮性膜を含んでもよく、同じシリコンゴム材料で作られたグリップパッド又はグリップタブ8を更に含んでもよい。代替的に、グリップパッドは、異なるゴム材料を含んでもよい。これらのグリップパッドにより、フランジは、子宮頸部組織に刺激を与えたり損傷したりすることなく、子宮頸部組織に接触することができる。フランジの複数のアンカーは、展開して、子宮頸部に対して外部カバーを握りシールすることにより、外部カバーを所定の位置に係止することができる。一実施形態では、フランジを開いて展開すると、フランジは、逆さ傘のようになる。
【0045】
装置の展開形態については、
図5、6A及び6Bを参照することができる。
図10、11C、11D、13A及び13Bは、展開された分娩後出血治療装置10の部材の詳細図を示す。なお、展開されたスリーブ50(外部カバーを含む)を形成するために、展開されないスリーブ5(外部カバーを含む)は、展開されており、展開された閉塞フランジ70(グリップパッド80を有する外部カバーを含む)を形成するために、展開されない閉塞フランジ7(グリップパッド8を有する外部カバーを含む)は、展開されている。
【0046】
本発明の装置の別の実施形態は、
図14~16に示される。したがって、(非妊娠関連)異常子宮出血(AUB)治療装置1’は、単一のルーメンを含むシャフト部材2’’と、円錐形ゲル先端部材3’と、ルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ部材12’と、シャフト内のルーメンに供給する注射管路部材13と、圧力計部材17と、注射器などの注射部材19と、を含む。
【0047】
先端3’の円錐形は、外子宮口とのシールを形成するように設計される。この先端は、手動圧力によるシールを提供するために外子宮口に適合する弾性ゲルを含む。弾性ゲルは、子宮頸部のサイズ及び形状に適合することができる成形ゲルで、防水シールを形成して快適な表面を提供するものであり、例えばラテックスフリーシリコンゴムを含み得る。
図面において特定された特徴は、以下のようにラベル付けされている。
1 本開示の展開されない装置
1’ 本開示の別の装置
2 1つ以上のルーメンを含むシャフト
2’ スリーブ及び/又は閉塞フランジを展開した後に露出したシャフト
2’’ 単一のルーメンを含むシャフト
3 遠位エンドキャップ
3’ 遠位円錐形ゲル先端
4 展開されないスリーブの構造構成
4’ 展開されない閉塞フランジの構造構成
5 外部カバーを含む展開されないスリーブ
6 展開されないスリーブの構造の屈曲点
6’ 展開されない閉塞フランジの構造の屈曲点
7 展開されない閉塞フランジ
8 展開されない閉塞フランジカバーのグリップパッド(タブ)
9 シャフト上の摺動可能部材
10 本開示の展開された装置
11 摺動可能部材上のハンドグリップ
12 ルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ
12’ 単一のルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ
13 シャフト内の第1ルーメンに供給する注射管路
15 排液用のシャフト内の第2ルーメンに接続された排液管路
17 圧力計
19 注射手段(注射器又はバッグ)
21 バルブ(ピンチクランプ)
30 シャフトのルーメンからの流出とシャフトのルーメンへの流入を可能にする遠位エンドキャップの孔又は穴
40 展開された閉塞フランジの構造構成
50 外部カバーを含む展開されたスリーブ
70 グリップパッド付きの外部カバーを含む展開された閉塞フランジ
80 展開された閉塞フランジカバーのグリップパッド
100 患者の子宮
110 子宮の内部側壁
120 子宮頸部
200 バルーンを有するAUB装置
202 装置200のシャフト
203 装置200の遠位エンドキャップ
212 装置200の近位エンドキャップ
213 装置200の第1注射ポート
214 装置200の第2注射ポート
230 装置200の少なくとも1つのルーメン
260 装置200のバルーン
261 装置200の中空管
300 バルーンを有するPPH装置
302 装置300の内部シャフト
303 装置300の遠位エンドキャップ
309 装置300の可動シャフト
311 装置300の人間工学的ハンドル
312 装置300の近位エンドキャップ
313 装置300の第1注射ポート
314 装置300の第2注射ポート
315 装置300の排液ポート
330 装置300の少なくとも1つのルーメン
350 装置300の変形可能なカップ
360 装置300のバルーン
361 装置300の中空管
370 装置300のフランジ
371 フランジ370の下部
372 フランジ370の端部
【0048】
本開示の装置を使用する方法の一実施形態は、以下のとおりである。したがって、本開示に対応する分娩後出血治療装置を、分娩後出血を患っている分娩後の患者の膣内に挿入し、以下のように作動させる。展開されない装置1(
図1)の遠位端を、
図7に示すように、分娩後の患者の出血している子宮内に挿入して位置決めする。展開可能なスリーブ5を子宮の側壁110に対して展開して、展開されたスリーブ50(
図8)を形成することにより、子宮の内部をシールする。続いて又は同時に、閉塞フランジ7(
図1)を展開して、展開されたフランジ70(
図8)を形成し、子宮頸部120に対して位置決めすることにより、装置を所定の位置に係止する。一実施形態では、例えば、ハンドグリップ部材11を用いて摺動可能部材9を装置の遠位端に向かって移動させることにより、スリーブ及びフランジの両方を同時に展開して位置決めする。
図5及び8を参照されたい。
図5は、スリーブ及び閉塞フランジを展開した後の露出したシャフトセグメント2’を示す。展開されない5及び7をそれぞれ屈曲点6及び6’で屈曲させて(
図11A~11D、12A、12B、13A及び13Bを参照)50及び70を形成し、装置を所定の位置に係止することにより、展開を完了させる(
図8)。展開された閉塞フランジカバーのグリップパッド80は、敏感な子宮頸部組織に損傷又は刺激を与えることなく、装置を所定の位置に保持する役割を果たす。その後に、注射手段19、例えば注射器により、注射管路13を通ってシャフト2の第1ルーメンに入り、遠位端の第1開口部から出てエンドキャップ3の孔30を介して子宮に入るように治療溶液を導入する。治療溶液を適切な圧力で維持して1つ以上の出血血管に逆流させ、圧力計17によって圧力を監視する。
【0049】
治療後、エンドキャップ3の孔30を通ってシャフト2内の第2ルーメンに入り、排液及び安全な廃棄物処理用の排液管路15に戻すように過剰な溶液及び任意の血液を排出することができる。排液は、バルブ(ピンチクランプ21)を開放して自然に、又は、真空吸引により行ってもよく、あるいは、その両方により行ってもよい。少なくとも1つの実施形態では、吸引バルブ又はポンプ(図示せず)によって吸引力を排液管路15に印加する。
【0050】
好ましくは、グリップパッドは、閉塞フランジカバーの、フランジが子宮頸部に接触する領域に適用される。これらのグリップパッドは、閉塞フランジを被覆する柔軟な伸縮性膜と同じエラストマー、例えばシリコンゴムエラストマーを含んでもよく、代替的に、別のエラストマーを含んでもよい。パッド付きのフランジの複数のアンカーが展開して外部カバーを子宮頸部に対してシールすることにより、子宮頸部組織に刺激及び損傷を与えることなく外部カバーを所定の位置に係止する。一実施形態では、被覆された閉塞フランジを開いて展開すると、フランジは、逆さ傘のようになる。
【0051】
本開示の装置を使用する方法の別の実施形態は、以下のとおりである。したがって、本開示に対応するAUB治療装置を、(非妊娠関連)異常子宮出血を患っている患者の膣内に挿入し、以下のように作動させる。
図17に示すように、装置1’(
図14)の遠位端を、膣内に挿入し、患者の外子宮口に対して位置決めする。施術者が装置のシャフト2’’により前方に手動で圧力を印加することにより、円錐形ゲル先端を外子宮口に対してシールして密封する。その後に、注射手段19、例えば注射器により、注射管路13を通ってシャフト2’’のルーメンに入り、円錐形ゲル先端3’から出て子宮頸管を通って子宮腔に入るように治療溶液を導入する。圧力計17によって圧力を監視しながら、治療溶液を適切な圧力で維持して1つ以上の出血血管に逆流させるようにする。
【0052】
治療完了後、装置を取り外すと、治療溶液と血液の排液が自然と生じる。
【0053】
本開示の一態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)上記近位端に、治療液を導入する第1ポートを有し、上記遠位端に、上記治療液を分配する第1開口部を有し、上記シャフト内に封入された第1ルーメンと、c)上記シャフトの上記遠位端にある展開可能なスリーブと、d)上記シャフトの上記近位端と上記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップ1)と、任意的に硬化療法剤を含む治療液の供給源を上記第1ポートに提供するステップ2)と、上記装置の上記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ3)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに上記治療液を子宮内に保持するように上記展開可能なスリーブを展開するステップ4)と、上記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより上記装置を所定の位置に係止するステップ5)と、上記治療液を上記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な陽圧で、上記第1ルーメンを通って上記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように上記第1ポートを介して上記治療液を導入するステップ6と、を含む、分娩後出血を治療する方法に関する。
【0054】
分娩後出血を治療する上記方法において、上記治療液の供給源は、注射手段であってもよい。上記注射手段は、注射器を含んでもよい。分娩後出血を治療する上記方法において、上記展開可能なスリーブは、展開時に上記シャフトから放射状に拡張するように構成されてもよい。上記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを更に含んでもよい。上記展開可能なスリーブは、外部カバーを更に含んでもよい。上記外部カバーは、シリコンゴム膜などの柔軟な伸縮性膜を含んでもよい。上記展開可能なスリーブの複数のアンカーは、展開して上記外部カバーを子宮腔内にシールしてもよい。一実施形態では、開いて展開することにより、開口部が傘のようになる。上記展開可能なスリーブは、手動で展開されるか又は上記治療液の圧力によって作動してもよい。
【0055】
分娩後出血を治療する上記方法において、上記閉塞フランジは、上記装置の上記シャフトに沿って摺動可能であってもよい。閉塞フランジは、装置を所定の位置に係止し、出血血管に治療溶液が浸透するように所望の陽圧で注射された治療液を子宮内に保持する保持手段である。フランジは、リング状であっても、円錐状であってもよく、2つの円形の弧を含んでもよい。フランジは、屈曲によって展開される場合に、円錐形のパターンを定義するリブで屈曲するという屈曲可能部材を含んでもよい。
図1の展開されないセグメント7を参照すると、このセグメント7を屈曲して、
図5の展開されたセグメント70にする。閉塞フランジは、外部カバーを更に含んでもよい。外部カバーは、シリコンゴム膜などの柔軟な伸縮性膜を含んでもよく、同じ又は異なるシリコンゴム材料で作られたグリップパッド又はタブを含んでもよい。これらのグリップパッドにより、フランジは、子宮頸部組織に刺激を与えたり損傷したりすることなく、子宮頸部組織に接触してそれをグリップできる。フランジの複数のアンカーは、展開して、子宮頸部に対して外部カバーをシールすることにより、外部カバーを所定の位置に係止することができる。一実施形態では、開いて展開することにより、アンカーは、逆さの傘のようになる。
【0056】
分娩後出血を治療する上記方法において、上記装置は、上記近位端に第2ポートを有し、上記遠位端に排液用の第2開口部を有する、上記シャフト内の第2ルーメンを更に含んでもよい。上記シャフトは、上記シャフト内の第2ルーメンを含んでもよい。上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンに平行であってもよい。上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンを取り囲んでもよい。
【0057】
分娩後出血を治療する方法に上記装置を使用する場合、適切な子宮内陽圧を維持すべきである。子宮内圧は、好ましくは、約10~約100mmHg、又は約10~約60mmHg、又は約15~約55mmHg、又は約20~約50mmHg、又は約25~約45mmHg、又は約30~約40mmHg、又は約30~約60mmHg、又は約30~約100mmHg、又は約50~約100mmHgに維持される。子宮内圧は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は約100mmHgであってもよい。より好ましくは、少なくとも約30mmHgの子宮内圧は、維持される。ほとんどの場合、治療に最適な圧力窓は、約73mmHg~約88mmHgである。一部の目標適用では、施術者は、+/-8mmHgの変動のある約80mmHgの目標圧力を設定する場合がある。
【0058】
分娩後出血を治療する上記方法において、上記装置の上記第1ルーメンは、上記ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを更に含んでもよい。注射器又は他の注射手段も第1バルブとして機能することができる。上記第2ルーメンは、上記ルーメンを開閉するように動作可能な第2バルブを更に含んでもよい。第2バルブは、ピンチクランプを含んでもよい。
【0059】
上記方法において、上記硬化療法剤は、血管硬化剤であってもよい。硬化剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム、ポリドカノール、モルイン酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミンなどの洗剤と、高張塩化ナトリウム溶液、デキストロース含有塩化ナトリウム溶液などの浸透圧剤と、クロム化グリセリン及びポリヨウ化ヨウ素などの化学刺激剤と、を含む。硬化療法剤は、好ましくは、ポリドカノールを含む。
【0060】
患者の状況及び出血の程度に応じて、適切な量の硬化療法治療液を注射する。使用される硬化療法液の適切な量は、特定の患者の子宮内腔の容量に基づいて決定されてもよい。治療用量は、特定の患者の解剖学的構造及び治療時の子宮筋の緊張状態によって異なる。この量は、担当施術者によって治療過程中の観察に基づいて決定されてもよい。一部の患者では、投与量を増やし、より大きい容量の子宮内腔を完全に充填させるために、硬化療法液の投与後に約0.9%生理食塩水である第2溶液を患者に注入してもよい。
【0061】
分娩後出血を治療する上記方法において、上記治療液の供給源は、リザーバーを更に含んでもよい。上記リザーバーは、上記装置と一体であってもよく、上記治療液の分配前に上記装置に接続されるように別体であってもよい。
【0062】
分娩後出血を治療する上記方法は、第2治療剤を投与するステップを更に含んでもよい。
【0063】
本開示の別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)上記シャフト内に封入された第1ルーメンであって、上記近位端に、治療液を導入する第1ポート、及び上記ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを有し、上記遠位端に、上記治療液を分配する第1開口部を有する第1ルーメンと、c)対象の子宮頸部を通って挿入するように構成された、上記シャフトの上記遠位端にある展開可能なスリーブと、d)上記シャフトの上記近位端と上記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む、分娩後出血を治療する装置に関する。注射器又は他の注射手段も第1バルブとして機能することができる。
【0064】
分娩後出血を治療する上記装置は、上記シャフト内の第2ルーメンを更に含んでもよい。上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンに平行であってもよい。上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンを取り囲んでもよい。上記展開可能なスリーブは、外部(膜)カバーを更に含んでもよい。上記外部カバーは、シリコンゴム膜を含んでもよい。上記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを更に含んでもよい。上記閉塞フランジは、上記シャフトに沿って摺動可能であってもよい。上記装置は、上記近位端に第2ポートを有し、上記遠位端に排液用の第2開口部を有し、第2バルブを有する、上記シャフト内の第2ルーメンを更に含んでもよい。上記装置は、任意的に硬化療法剤を含む治療液の供給源を更に含んでもよく、上記供給源は、上記治療液を上記第1ポートに供給する。上記硬化療法剤は、血管硬化剤であってもよい。上記硬化療法剤は、ポリドカノールを含んでもよく、及び/又はポリドカノールであってもよい。
【0065】
本開示の1つの関連態様は、分娩後出血を治療する上記装置の上記遠位端を、1つ以上の出血血管を有する分娩後出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ1)と、任意的に硬化療法剤を含む治療液の供給源を上記第1ポートに提供するステップ2)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに上記治療液を子宮内に保持するように上記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、上記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより上記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、上記治療液を出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な陽圧で、上記第1ルーメンを通って上記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように上記第1ポートを介して上記治療液を導入するステップ5)と、を含む、分娩後出血を治療する方法に関する。上記方法は、第2治療剤を投与するステップを更に含んでもよい。
【0066】
本開示のまた別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)上記近位端に、治療液を導入するポートを有し、上記遠位端に、上記治療液を分配する開口部を有し、上記シャフト内に封入された単一のルーメンと、を含む装置を提供するステップ1)と、任意的に硬化療法剤を含む治療液の供給源を上記ポートに提供するステップ2)と、上記装置の上記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の外子宮口に挿入するステップ3)と、上記治療液を上記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な陽圧で、上記ルーメンを通って上記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように上記ポートを介して上記治療液を導入するステップ4)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法に関する。好ましくは、シャフトの遠位端は、外子宮口とのシールを形成するように設計された円錐形先端を含む。この円錐形先端は、好ましくは、手動圧力によるシールを提供するために外子宮口に適合する柔軟な弾性ゲルを含む。弾性ゲルは、子宮頸部のサイズ及び形状に適合することができる成形ゲルで、防水シールを形成して快適な表面を提供するものであり、例えば、ラテックスフリーシリコンゴムを含み得る。上記治療液の供給源は、注射手段であってもよい。上記注射手段は、注射器を含んでもよい。
【0067】
異常子宮出血を治療する上記方法において、子宮内陽圧は、約10~約100mmHg、又は約10~約60mmHg、又は約15~約55mmHg、又は約20~約50mmHg、又は約25~約45mmHg、又は約30~約40mmHg、又は約30~約60mmHg、又は約30~約100mmHg、又は約50~約100mmHgに維持されてもよい。子宮内圧は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は約100mmHgであってもよい。ほとんどの場合、治療に最適な圧力窓は、約73mmHg~約88mmHgである。一部の目標適用では、施術者は、+/-8mmHgの変動のある約80mmHgの目標圧力を設定する場合がある。
【0068】
異常子宮出血を治療する上記方法において、上記ルーメンは、上記ルーメンを開閉するように動作可能なバルブを含んでもよい。注射器又は他の注射手段も第1バルブとして機能することができる。
【0069】
異常子宮出血を治療する上記方法において、上記硬化療法剤は、血管硬化剤であってもよい。硬化剤は、テトラデシル硫酸ナトリウム、ポリドカノール、モルイン酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミンなどの洗剤と、高張塩化ナトリウム溶液、デキストロース含有塩化ナトリウム溶液などの浸透圧剤と、クロム化グリセリン及びポリヨウ化ヨウ素などの化学刺激剤と、を含む。硬化療法剤は、好ましくは、ポリドカノールを含む。異常子宮出血を治療する上記方法において、上記治療液の供給源は、上記治療液(硬化療法剤)を投与するまで保持して収容するように構成されたリザーバーを更に含んでもよい。上記リザーバー(図示せず)は、上記装置と一体であってもよく、上記治療液の分配前に上記装置に接続されるように別体であってもよい。
【0070】
異常子宮出血を治療する上記方法は、第2治療剤を投与するステップを更に含んでもよい。
【0071】
本開示のまた別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)上記近位端に、治療液を導入するポート、及び上記ルーメンを開閉するように動作可能なバルブを有し、上記遠位端に、上記治療液を分配する開口部を有し、上記シャフト内に封入されたルーメンと、を含む、異常子宮出血を治療する装置に関する。好ましくは、上記装置は、上記シャフトの上記遠位端にある円錐形ゲル先端を更に含んでもよい。
【0072】
本開示の更なる態様は、異常子宮出血を治療する上記装置の上記遠位端を、出血部位又はその近くの1つ以上の出血血管によって特徴付けられた異常子宮出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ1)と、任意的に硬化療法剤を含む治療液の供給源を上記ポートに提供するステップ2)と、上記治療液を上記1つ以上の出血血管内に逆流させるのに有効な陽圧で、上記ルーメンを通って上記遠位端のシャフトの開口部から出て子宮内に入るように上記ポートを介して上記治療液を導入するステップ3)と、を含む、異常子宮出血を治療する方法に関する。子宮内圧は、好ましくは、約10~約100mmHg、又は約10~約60mmHg、又は約15~約55mmHg、又は約20~約50mmHg、又は約25~約45mmHg、又は約30~約40mmHg、又は約30~約60mmHg、又は約30~約100mmHg、又は約50~約100mmHgに維持される。子宮内圧は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は約100mmHgであってもよい。ほとんどの場合、治療に最適な圧力窓は、約73mmHg~約88mmHgである。一部の目標適用では、施術者は、+/-8mmHgの変動のある約80mmHgの目標圧力を設定する場合がある。
【0073】
本開示の別の態様は、a)近位端及び遠位端を有するシャフトと、b)上記近位端に、治療液を任意的に導入する第1ポートを有し、上記遠位端に、上記治療液を任意的に分配する第1開口部を有し、上記シャフト内に封入された第1ルーメンと、c)上記近位端に第2ポートを有し、上記遠位端に血液を排出する第2開口部を有する、上記シャフト内の第2ルーメンと、d)上記シャフトの上記遠位端にある展開可能なスリーブと、e)上記シャフトの上記近位端と上記遠位端との間に位置決めされた閉塞フランジと、を含む装置を提供するステップ1)と、上記装置の上記遠位端を、産科的出血を患っている対象の子宮に挿入するステップ2)と、子宮の側壁に対して位置決めされるとともに子宮腔をシールするように上記展開可能なスリーブを展開するステップ3)と、上記フランジを子宮頸部の円蓋に対して位置決めすることにより上記装置を所定の位置に係止するステップ4)と、上記シャフト内の上記第2ルーメンを通って血液を、排出された血液を測定又は秤量するように構成された装置に排出するステップ5)と、任意的に、上記第1ポートを通って任意的に硬化療法剤を含む治療液を導入するステップ6)と、を含む、産科的出血において定量的失血(QBL)を判断する方法に関する。上記QBL方法において、上記装置は、排出された血液を測定又は秤量するように構成されてもよく、受け入れ容器、測定容器、秤量容器、受け入れ手段、測定手段又は秤量手段を含む。上記QBL方法のいくつかの実施形態では、上記装置は、単にひどい失血を測定する目的で経膣的に/経頸管的に挿入される場合があることを理解されたい。つまり、いくつかの実施形態では、唯一の目的が失血を定量化することであるため、治療液が必要ではない。
【0074】
治療液が適用されるそれらの実施形態では、産科的出血においてQBLを判断する方法用の治療液の供給源は、注射手段であってもよい。注射手段は、注射器を含んでもよく、治療液は、必ずしも特定の薬剤を必要とするわけではなく、むしろ、硬化療法剤ではなく、生理食塩水などの滅菌溶液であってもよい。それにもかかわらず、硬化療法剤は、治療液として使用されてもよい。上記装置の上記展開可能なスリーブは、展開時に上記シャフトから放射状に拡張するように構成されてもよい。上記展開可能なスリーブは、子宮腔をシールするために周辺に拡張する複数のアンカーを含んでもよい。上記展開可能なスリーブは、手動で展開されるか又は上記治療液の圧力によって作動してもよい。上記装置の上記閉塞フランジは、上記シャフトに沿って摺動可能であってもよい。上記装置の上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンに平行であってもよい。上記装置の上記第2ルーメンは、上記第1ルーメンを取り囲んでもよい。上記装置の上記展開可能なスリーブは、外部(膜)カバーを更に含んでもよい。上記外部膜カバーは、シリコンゴム膜を含んでもよい。上記装置の複数のアンカーは、展開して上記外部カバーを子宮腔内にシールしてもよい。上記装置の上記第1ルーメンは、上記ルーメンを開閉するように動作可能な第1バルブを含んでもよい。注射器又は他の注射手段も第1バルブとして機能することができる。上記第2ルーメンは、上記ルーメンを開閉するように動作可能な第2バルブを含んでもよい。上述したとおり、QBL方法用の硬化療法剤は、一部の治療法では、投与薬剤が血管硬化剤である場合があるが、特定の薬剤を必要としない場合もある。上記硬化療法剤は、血管硬化剤であってもよい。硬化療法剤は、ポリドカノールを含んでもよい。
【0075】
上記QBL方法は、第2治療剤を投与するステップを更に含んでもよい。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、本開示の例示的なものであり、決してその範囲を限定するものではない。
【0077】
<
実施例1 分娩後出血を治療する装置>
図1の装置は、
図2に示すように組み立てられ、1つ以上のルーメンを含むシャフト2と、遠位エンドキャップ3と、外部カバーを含む展開されないスリーブ5と、外部カバーを有する展開されない閉塞フランジ7と、摺動可能セグメント部材9と、摺動可能セグメント上のハンドグリップ11と、ルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ12と、シャフト内の第1ルーメンに供給する注射管路13と、シャフト内の第2ルーメンに接続された排液管路15と、圧力計17と、注射器19と、ピンチクランプ21と、を含む。
【0078】
<
実施例2 分娩後出血を治療する方法>
図7に示すように、実施例1の装置を、分娩後の患者の出血している子宮内に挿入して位置決めする。展開可能なスリーブ5を子宮の側壁110に対して展開して、展開されたスリーブ50(
図8)を形成することにより、子宮の内部をシールする。同時に、閉塞フランジ7を展開して70(
図8)を形成し、子宮頸部120に対して位置決めすることにより、装置を所定の位置に係止する。その後に、注射器19により、注射管路13を通ってシャフト2の第1ルーメンに入り、遠位端の第1開口部から出てエンドキャップ3を通って子宮に入るように治療溶液を導入する(
図6Aを参照)。治療溶液を、圧力計17で測定して、適切な圧力で維持して1つ以上の出血血管に逆流させる。子宮内圧は、約10~約100mmHgに維持される。治療後、過剰な治療溶液及び任意の血液は、エンドキャップ3を通ってシャフト2内の第2ルーメンに入り、排液及び安全な廃棄物処理のための排液管路15に入って排出される。
【0079】
<
実施例3 異常子宮出血を治療する装置>
図14のAUB装置は、
図15に示すように組み立てられ、ルーメンを含むシャフト2’’と、遠位円錐形ゲル先端3’と、ルーメンへのポートを有する近位エンドキャップ12’と、シャフト内のルーメンに供給する注射管路13と、圧力計17と、注射器19と、を含む。
【0080】
<
実施例4 (非妊娠関連)異常子宮出血を治療する方法>
図17に示すように、実施例3の装置を、(非妊娠関連)異常子宮出血を患っている患者の膣内に挿入して位置決めする。したがって、AUB装置1’の遠位端は、膣内に挿入され、患者の外子宮口に対して位置決めされる。施術者が装置のシャフト2’’により前方に手動で圧力を印加することにより、円錐形ゲル先端を外子宮口に対してシールして圧力シールを提供する。その後に、注射手段19、例えば注射器により、注射管路13を通ってシャフト2’’のルーメンに入り、円錐形ゲル先端3’から出て子宮頸管を通って子宮腔に入ることにより、治療溶液を導入する。圧力計17によって監視しながら、治療溶液を適切な圧力に維持して1つ以上の出血血管に逆流させる。圧力は、約10~約100mmHgに維持されるべきである。治療完了後、装置を取り外すと、治療溶液と血液の排液が自然と生じる。
【0081】
<
追加バルーンの実施形態>
図18及び19は、AUB装置200の別の実施形態を示す。装置200は、前述し、
図14~16Cに示されるPPH装置に類似してもよい。装置200は、上記と同じ、類似の、及び/又は実質的に同じ特徴、構成要素及び機能を有し得る。追加的に、装置200は、患者の子宮100内にバルーン260を展開する手段を更に含んでもよい。したがって、重複する説明は、省略又は簡略化し、可能な限り同一の符号を付し、例えば、基礎となる装置の実施形態における番号200は、類似の構造特性及び/又は機能を有する前述した構成要素に追加されてもよい。
【0082】
図18は、AUB装置200の初期の展開されない構成を示し、
図19は、AUB装置200の展開された構成を示す。概して
図18~19を参照すると、AUB装置200は、概ね細長い円筒形形状を有するシャフト部材202を含んでもよい。様々な実施形態では、シャフト部材202は、以下でより詳細に説明する様々な内部構成要素のハウジングとして機能する中空管であってもよい。一例では、シャフト部材202は、他の構成要素のハウジング及び/又は治療液を患者の子宮に送達するか又は患者の子宮から流体を排出する導管として機能してもよい。シャフト部材202は、その遠位端に少なくとも1つのルーメン230を有する遠位エンドキャップ203を含み、その近位端に近位エンドキャップ212を含んでもよい。この実施形態では、遠位エンドキャップ203は、子宮頸部とのシールを形成し、治療液を少なくとも1つのルーメン230を通って子宮頸管から子宮腔内に流入させる機能を果たす円錐形のたわみ部材である。遠位エンドキャップ203は、シリコンやエラストマー材料や半流動性のような特性を持つ物質といった材料のゲルなど、任意の適切な生体適合性材料で形成されてもよい。これらの材料特性により、エンドキャップ203が外子宮口(開口部)の様々な解剖学的形状に一致することが容易及び/又は可能になる。この構造及び材料特性は、所望の圧力範囲で治療液を腔内に導入させる流体密封シールを形成し、かつその圧力を治療周期の期間、即ち長時間にわたって維持することを可能にするように機能することができる。
【0083】
他の実施形態では、複数のルーメン230は、遠位エンドキャップ203の外面の周囲に分散されてもよい。図に示すように、遠位エンドキャップ203は、そのシャフト部材202に連結された部分にシャフト部材202の幅に近い最大幅を有する。他の実施形態では、遠位エンドキャップ203は、そのシャフト部材202に連結された部分にシャフト部材の幅より大きい(又は小さい)最大幅を有してもよい(図示せず)。その意味では、本明細書に開示された原理に従った様々な実施形態は、特定の患者に概ね対応するサイズ及び形状を有する、複数の異なるサイズの遠位エンドキャップ203を含んでもよいと考えられる。例えば、胎児を出産していない若い患者は、胎児を出産したことがある年配の患者に比べて、比較的小さい遠位エンドキャップ203を必要とする場合がある。
【0084】
使用時に、施術者は、先に開示された任意の手段により、近位エンドキャップ212から、エンドキャップ203を通って治療液を送達することができる。この実施形態では、近位エンドキャップ212は、治療液を子宮腔内に送達する第1注射ポート213と、流体をバルーン260に送達する第2注射ポート214と、を含んでもよい。様々な実施形態では、第1注射ポート213は、治療液をシャフト202の内部空洞に直接的に送達し、少なくとも1つのルーメン230から送達するために使用されてもよい。代替的に、第1注射ポート213は、治療液を、少なくとも1つのルーメン230と流体連通する内部送達チャネルに送達するために使用されてもよい。
【0085】
先に説明された実施形態とは異なり、中空管261(パイプ又はチャネルとも呼ばれる)は、遠位エンドキャップ203を通じ、及び/又は遠位エンドキャップ203から延在し、その遠位端で膨張式バルーン260を支持することができる。中空管261は、挿入中の変形に対する耐性を有するたわみ部材であってもよい。代替的に、中空管261は、細くて実質的に剛性のある部材であってもよい。この実施形態では、中空管261は、第2注射ポート214と流体連通する。例えば、シャフト202を長手方向に通じて延在する内部管は、第2注射ポート214及び中空管261に連結されてもよい。このように、施術者は、先に開示された任意の注射手段、例えば注射器又はポンプにより、流体を第2注射ポート214を通って注射することによりバルーン260を膨張させることができる。
【0086】
少なくとも1つの例示的な使用方法では、施術者は、注射器を使用して生理食塩水をバルーン260に注射してもよい。追加的に、施術者は、治療される特定の患者の相対的な子宮内腔の容量を考慮してバルーン260を特定の容量に拡張させるように、適切な量の生理食塩水を注射するように注意してもよい。更に、バルーン260は、治療液が第1注射ポート213を通って注射される前及び/又は注射された後に、生理食塩水が注射されてもよいが、いずれの場合も、バルーン260は、子宮内に位置決めされた後に膨張する。この実施形態の少なくとも1つの利点は、膨張したバルーン260により、子宮内腔を充填するのに必要な流体の量を減少させることができることである。例えば、子宮腔内の空隙を減少させることにより、子宮内腔を充填するために比較的少ない量の治療液を必要とする。これは、特に、目標治療液の関連コストを削減するのに役立つ。いくつかの実施形態では、バルーン260は、非治療的目的を果たしてもよい。例えば、バルーン260は、子宮壁を押さない(又は子宮壁の極小の部分に少なくともわずかしか接触しない)程度に膨張し、及び/又は、治療液の子宮壁に対する内圧をわずかしか変化させない程度に膨張してもよい。他の実施形態では、バルーン260は、子宮壁を押し、治療液の子宮壁に対する内圧に直接的に影響を与えるように膨張するという点で、治療目的に使用されてもよい。少なくとも1つの治療例の使用方法では、施術者は、経時的に子宮腔内の理想的な内圧を維持するために、バルーン260を選択的に膨張させ、及び/又は収縮させてもよい。少なくともいくつかの場合、この例は、治療液を子宮腔内に送達すると同時に実行されてもよい。
【0087】
図20~22は、別の実施形態であるPPH装置300を示す。
図20は、展開されない構成にあるPPH装置の第1図を示す。
図21は、
図19のPPH装置の展開された構成にある時の第2図を示す。
図22は、
図20及び
図21の装置の可動ハンドルの相対運動を概略的に示す別の図を示す。
【0088】
装置300は、先に説明され、
図1~6及び9~13に示されるPPH装置に類似してもよい。また、装置300は、
図18~19に上述されたAUB装置に類似してもよい。装置300は、上記と同じ、類似の、及び/又は実質的に同じ特徴、構成要素及び機能を有し得る。追加的に、装置300は、患者の子宮100内にバルーンを展開する手段を更に含んでもよい。したがって、重複する説明は、省略又は簡略化し、可能な限り同一の符号を付し、例えば、基礎となる実施形態における番号300は、類似の機能を有する前述した構成要素に追加されてもよい。
【0089】
概して
図20~22を参照すると、代替のPPH治療装置300が、開示されている。図に示すように、装置300は、遠位エンドキャップ部材303と近位エンドキャップ部材312が連結された内側シャフト302を含んでもよい。内側シャフト302は、以下でより詳細に説明する様々な内部構成要素のハウジングとして機能する中空管であってもよい。一例では、シャフト部材302は、他の構成要素のハウジング、及び治療液を送達及び/又は除去する導管として機能してもよい。シャフト部材302は、その遠位端に少なくとも1つのルーメン330を有する遠位エンドキャップ303を含み、その近位端に近位エンドキャップ312を含んでもよい。この実施形態では、遠位エンドキャップ303は、治療液を患者に送達するための複数のルーメン330を有する半球形の部材である。いくつかの実施形態(図示せず)では、遠位エンドキャップ303は、患者から流体を除去するための少なくとも1つのルーメン330を更に含んでもよい。例えば、流体は、専用のルーメン330を介して中空のシャフト部材302に戻されて排出ポート315から排出されて患者から除去されてもよい。様々な実施形態では、流体は、例えばバルブ、真空、注射器などを用いて排出ポート315に吸引圧力を印加することにより除去されてもよい。患者の子宮から流体を引き出すために吸引力又は圧力を印加することは、患者の子宮が弛緩している場合に特に有利である。専用の排液手段を有する少なくとも1つの例は、施術者が、装置300によって排出される失血及び/又は治療液の量を観察できることであり得る。図に示すように、遠位エンドキャップ303は、シャフト部材302に連結された部分に、遠位エンドキャップ303を患者の子宮頸部及び/又は子宮内に少なくとも部分的に挿入することを可能にする(
図7を参照)最大幅を有する。
【0090】
例示的な実施形態では、中空管361(パイプ又はチャネルとも呼ばれる)は、排出ポート315から変形可能なカップ350の内面まで延在してもよい。使用時に、変形可能なカップ350は、患者の子宮頸部に対してシールを形成することができる。変形可能なカップ350は、シリコン又はエラストマー材料などの、任意の生体適合性材料で作られてもよい。使用時に、中空管361は、患者の子宮から流体を排出するために使用されてもよい。追加的に、前述したように、クランプ部材21(
図2を参照)は、患者の子宮からの望ましくない流体の排出を防止するために使用されてもよく、そして、クランプ部材21は、患者の子宮からの流体の排出を促進するために開かれてもよい。代替的に、流体は、専用のルーメン330を介して、排出ポート315(図示せず)に連結された専用の排液管路に戻されて患者から除去されてもよい。
【0091】
使用時に、施術者は、任意の先に開示された手段、例えば近位エンドキャップ212と流体連通する注射器19(
図5を参照)により、エンドキャップ303のルーメン320に治療液を送達してもよい。この実施形態では、近位エンドキャップ312は、治療液を子宮腔内に送達する第1注射ポート313と、流体をバルーン360に送達する第2注射ポート314と、患者の子宮から流体を選択的に除去する排出ポート315と、を含んでもよい。様々な実施形態では、第1注射ポート313は、シャフト302の内部空洞を加圧するように治療液をその内部空洞に直接的に送達するために使用されてもよく、流体は、少なくとも1つのルーメン330から患者の子宮に放出されてもよい。代替的に、第1注射ポート313は、治療液を、遠位エンドキャップ303及び少なくとも1つのルーメン330と流体連通する内部送達チャネル及び/又は管に送達するために使用されてもよい。様々な実施形態では、バルーン360は、遠位エンドキャップ303の最遠位点に連結されてもよい。例えば、接続ポート又はニップルは、バルーン360を接続するのに適した遠位エンドキャップ303に設置されてもよい。使用時に、施術者は、第2注射ポート314で近位エンドキャップ312に流体、例えば生理食塩水又は他の適切な液体を注射することによりバルーン360を膨張させることができる。例えば、専用の注射管路は、中空のシャフト302(図示せず)を通じて延在してもよい。代替的に、専用の注射管路は、中空のシャフト302の外側に沿って、外側スリーブ、例えば可動シャフト309の内側に沿って延在してもよい。
【0092】
先に説明された実施形態とは異なり、可動外側シャフト309は、中空の内部シャフト302を取り囲んでもよい。可動外側シャフト309の内径は、中空の内部シャフト302の外径に実質的に近似するとともに、可動外側シャフト309が内部シャフト302の長手方向に前後に自由に摺動できるように公差を許容する。本明細書の開示と一致し、可動外側シャフト309は、特定の構成に応じて(ルーメン330又はバルーン360への)専用の流体送達又は(カップ350及び/又は中空管361)からの流体排出管路を可能にするために、様々な統合輪郭を有してもよい。例示的な実施形態では、バルーンを膨張させる内部管は、内部シャフト302及び/又は可動シャフト309を通じて長手方向に延在してもよい。このように、施術者は、先に開示された任意の注射手段(
図5の注射器19を参照)により、流体を第2注射ポート214を通って注射することによりバルーン360を膨張させることができる。
【0093】
図22を参照すると、可動シャフト309は、内部シャフト302に沿って長手方向に前後に移動(摺動)可能であってもよい(
図22の矢印を参照)。可動シャフト309は、少なくとも1つのフランジ370、例えば変形可能なタング、フィンガー又はタブに対して作動するように構成されてもよい。示された実施形態では、2つのフランジ370が見えるが、様々な実施形態では、複数のフランジ370、例えば、2つ、3つ、4つ、5つなどが含まれてもよいことを理解されたい。様々な実施形態では、フランジ370は、可動シャフト309又は内部シャフト302に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、フランジ370は、内部シャフト302の中間部分に連結される。可動シャフト309が近位エンドキャップ312に隣接して位置決めされる開位置で、フランジ370は、カップ350に接触しない中立位置にある。使用時に、施術者は、人間工学的ハンドル311(
図21を参照)を握り、可動シャフト309を遠位エンドキャップ303に向かって前方へ摺動させてもよい。そうすることで、対応するフランジ370の下部371が内部シャフト302に向かって締め付けられ、及び/又はシフトしてもよい。そうすることで、対応するフランジ370の端部372が内向きにカップ350に直接的に接触してもよい。例えば、閉位置で、可動シャフト309は、ハンドル311によって握られ、フランジ370(又は複数のフランジ370)を締め付けるように遠位エンドキャップ303に向かって移動することにより、対応する端部372をカップ350に直接的に接触させてもよい。このように、可動シャフト309及びハンドル311は、少なくとも1つのフランジ370をカップ350に直接的に接触させるように構成され、それにより、少なくとも1つのフランジ370がカップ350を支持して、患者の子宮頸部との圧力密封シールを形成する。
【0094】
別の実施形態では、少なくとも1つのフランジ370は、可動シャフト309の端部に直接的に連結されてもよい。このように、施術者は、少なくとも1つのフランジ370をカップ350に直接的に接触させるように可動シャフト309を遠位エンドキャップ303に向かって摺動させてもよい。そうすることで、少なくとも1つのフランジ370は、カップ350を支持することができ、それにより、患者の子宮頸部に対して圧力密封シールを形成することができる。
【0095】
本開示の好ましい実施形態は、本開示を実施するために本発明者に知られている最良の形態を含んで、本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形例は、前述の説明を読み取ることで当業者に明らかになり得る。本発明者は、当業者がそのような変形例を適宜適用することを期待し、本明細書において具体的に説明するもの以外で本開示を実施することを意図する。したがって、本開示は、適用法によって認められる、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正及び同等物を含む。更に、本明細書に別途示されない限り、又は別途文脈が明確に矛盾しない限り、本開示の全ての可能な変形例の上記要素の任意の組み合わせが本開示に含まれる。
【0096】
本開示の特定の実施形態が以上で詳細に説明されてきたが、この説明は、単に例示的な目的であり、本開示の上記説明は、網羅的ではないことを理解されたい。本開示の特定の特徴は、一部の図面に示され、他の図面に示されず、これは、便宜上のものであり、任意の特徴を本開示に従って別の特徴と組み合わせることができる。当業者にとっては、いくつかの変形例及び代替例が明らかになるであろう。このような代替例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。従属請求項に提示される特定の特徴を組み合わせて、本開示の範囲に含めることができる。本開示はまた、従属請求項が他の独立請求項を参照して複数の従属請求項の形式で代替的に書かれたかのように実施形態を含む。
【0097】
本明細書に開示された様々な態様は、記載、添付の図及び特許請求の範囲に具体的に提示された組み合わせとは異なる組み合わせで、組み合わせられてもよいことを理解されたい。例えば、文脈上別段の指示がない限り、特定の実施形態の特徴、機能及び構成要素は、別の実施形態と組み合わせられてもよく、その逆も同様である。同様に、文脈上別段の指示がない限り、特徴、機能及び構成要素は、省略されてもよい。また、実施例によって、本明細書に記載されたプロセス又は方法のいずれかの特定の行為又はイベントは、異なる順序で実行されてもよく、追加、統合、又は完全に省略されてもよい(例えば、記載された全ての行為又はイベントが、技術を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。
【国際調査報告】