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  • 特表-WS12-放出コンタクトレンズ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】WS12-放出コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547847
(86)(22)【出願日】2023-10-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 GB2023052823
(87)【国際公開番号】W WO2024094974
(87)【国際公開日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】63/420,738
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521013611
【氏名又は名称】クーパーヴィジョン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シ アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ケイアー ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】バストカール サンダー ラオ スバム
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BB03
2H006BB07
(57)【要約】
WS12放出コンタクトレンズ並びにその製造方法が記載されている。WS12放出コンタクトレンズは、ポリマー性レンズ本体と、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12とを含む。ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量は、レンズ着用から30分後、2μg/ml~8μg/ml WS12の、レンズ着用者における基礎涙濃度をもたらす。WS12放出コンタクトレンズを使用して、レンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、コンタクトレンズ快適性を増加させ、眼の疲労を減少させ、眼の乾燥の感覚を減少させ、心地良い、冷却感覚をもたらすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング溶液に浸され、パッケージ内に密閉された未着用の滅菌シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、
(a)ポリマー性レンズ本体と、
(b)ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したある量のWS12と
を含み、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が、レンズ着用から30分後、2ng/ml~8ng/mlのWS12の、レンズ着用者における基礎涙濃度をもたらす、コンタクトレンズ。
【請求項2】
レンズ着用から30分後のWS12の基礎涙濃度が3ng/ml~6ng/mlである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が0.2μg~0.7μgである、請求項1又は請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が約0.3μg~約0.6μgである、請求項1~3のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
対照レンズと比較して、涙液メニスカス高を増加させない、請求項1~4のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
パッケージがオートクレーブ処理されている、請求項1~5のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
パッケージング溶液中のあらゆるWS12が、HPLCで判定した場合、検出レベル未満である、請求項1~6のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
パッケージが、
(a)コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように設計された空洞を含むプラスチック基材メンバーと、
(b)空洞の周りから外側に延びるフランジ領域と、
(c)フランジ領域に結合している除去可能なホイルと
を含むブリスターパッケージである、請求項1~7のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
二次包装をさらに含み、二次包装が複数のブリスターパッケージを含み、二次包装内のすべてのブリスターパッケージが、二次包装に含有された他のそれぞれのコンタクトレンズと同じ量のWS12を含むコンタクトレンズを含有する、請求項8に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
二次包装が少なくとも7個のブリスターパッケージを含有する、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
コンタクトレンズ着用者においてコンタクトレンズ快適性を増加させるための、請求項1~10のいずれかに記載のコンタクトレンズの使用。
【請求項12】
コンタクトレンズ着用者において眼の疲れを減少させるための、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
【請求項13】
コンタクトレンズ着用者において眼の乾燥の感覚を減少させるための、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
【請求項14】
コンタクトレンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすための、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、コンタクトレンズ、特に着用時に心地良い冷却感覚をもたらすコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
WS12として公知のN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド(CAS No.68489-09-8)は合成メントール誘導体である。流涙を増加させるのに有効な量でTRPM8受容体アゴニストを含む治療用組成物が、ドライアイ症候群の処置に対して提案されている(Belmonteら、米国特許第10,028,920号)。
WS12は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに組み込むことができ、分解又はパッケージング溶液に浸出することなく、オートクレーブ滅菌に耐えることができる(米国特許出願第17/729,008号)。このようなレンズは、症状のあるコンタクトレンズ着用者において、流涙を増加させ、レンズ乾燥の感覚を減少させ、レンズ着用時間の心地良さを改善した。しかし、一部のレンズ着用者においては、コンタクトレンズを眼に最初に挿入した際に、刺痛/灼熱の感覚があった。この刺痛/灼熱の感覚は、刺痛/灼熱の感覚がたとえ一時的であっても、着用者がコンタクトレンズをまったく使用しなくなる原因となり得る。
すべてのコンタクトレンズ着用者に対して、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすことができるコンタクトレンズを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の特徴は、挿入の刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、レンズを着用している間、WS12を放出することができるコンタクトレンズを提供することである。
本発明の追加の特徴は、レンズを着用した際に、リフレッシングな又は冷却感覚をもたらすコンタクトレンズを提供することである。
本発明の追加の特徴は、眼疲労を減少させるコンタクトレンズを提供することである。
本発明の追加の特徴は、コンタクトレンズ着用者が自分の常用するコンタクトレンズについて不快感又は乾燥の症状を経験しているか否かに関わらず、コンタクトレンズ着用者の大部分が、同じ材料で作製されているがWS12を含まないレンズよりも、着用するのにより心地良いと感じるWS12-放出コンタクトレンズを提供することである。
本発明の追加の特徴及び利点は、以下に続く説明において部分的に記載され、説明から部分的に明らかとなるか、又は本発明を実施することにより学習することができる。本発明の目的及び他の利点は、説明及び添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素及び組合せにより実現化及び達成されることになる。
【0004】
本明細書に実施形態化され、幅広く記載されているように、これら及び他の利点を達成するため、及び本発明の目的に従い、本発明は、着用者において流涙を増加させることなく、コンタクトレンズの快適さ又は望ましさを増強する、放出可能なようにレンズに付着したある量のWS12を含有するハイドロゲルコンタクトレンズに部分的に関する。1つの例では、ハイドロゲルコンタクトレンズはシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである。
1つの例では、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、着用から約30分後に、1.0ng/ml~10ng/mlのWS12、又は3ng/ml~6ng/mlのWS12の、基礎涙濃度を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】レンズ着用から7日後の、WS12-放出コンタクトレンズ又は対照レンズのいずれかに対するコンタクトレンズ着用者の好みを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以前に評価したもの(米国特許出願第17/729,008号に記載)より低量のWS12を放出するコンタクトレンズが、最初のレンズ挿入でいかなる刺痛感又は灼熱感の感覚も引き起こすことなく、快適さの評価においていずれかの改善を示すかどうかを判定するために臨床実験を行った。予想外なことに、使用されたWS12の量は涙液量の観察可能な増加をもたらすには不十分であると判明したにもかかわらず、実験参加者の大部分が、対照レンズよりも低用量のWS12-放出レンズを圧倒的に好んだ。比較的低レベルのWS12を放出するコンタクトレンズは、流涙に関与している高い閾値のTRPM8受容体を始動させるには不十分であるが、冷却感覚により、快適さ又は望ましさの増加を依然としてもたらす、WS12の涙濃度を達成できると仮定された。さらに、WS12の量は、より高い用量のレンズで観察された最初の刺痛又は灼熱の感覚を引き起こすには不十分な量であった。したがって、着用中に低用量のWS12を放出するハイドロゲルコンタクトレンズ及びこれらの製造方法が本明細書に記載されている。このコンタクトレンズは、本明細書ではWS12放出コンタクトレンズと呼ぶことができる。WS12は、対照レンズと比べて、レンズ着用者の涙液量の観察可能な増加及び/又は挿入の刺痛感の増加をもたらすことなく、レンズ着用の間、対照レンズと比べてコンタクトレンズの快適さを改善する量で放出される。本明細書で「対照レンズ」とは、WS12を含有しないが、他の点では比較対象のWS12放出レンズと同一であるコンタクトレンズを指す。
【0007】
WS12放出コンタクトレンズは、ポリマー性レンズ本体と、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したある量のWS12とを含む。ポリマー性レンズ本体に「放出可能なように付着した」WS12の量とは、以下の実施例1に記載されているエタノール(EtOH)抽出方法により、コンタクトレンズから抽出することができるWS12の総量を指す。1つの例では、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量は、少なくとも約0.1μg、0.2μg、又は0.3μg、又は0.4μg~約0.5μg、又は0.6μg、又は0.7μg、例えば、約0.3μg~約0.6μgであることができる。
1つの例では、コンタクトレンズは、レンズ着用から30分後、1ng/ml~10ng/mlのWS12、又は2ng/ml~8ng/mlのWS12、又は3ng/ml~6ng/mlのWS12の、レンズ着用者(n=5)における平均基礎涙濃度をもたらすのに十分なWS12の量を放出する。コンタクトレンズ着用者の基礎涙中のWS12の濃度は、所定のマイクロキャピラリーチューブ涙採集法及びHPLCを使用して判定することができる。
1つの例では、WS12放出コンタクトレンズは、レンズ着用者において、対照レンズと比べて流涙を増加させない。流涙の増加は、WS12放出レンズを着用している間のプレレンズの涙液メニスカス高(tear meniscus height)(TMH)が、対照レンズを同じ期間の間、例えば、1時間、2時間、4時間以上の期間着用した後のTMHと同じ又はそれ未満であった場合に実証される。涙液メニスカス高は、OCULUS Keratograph(K5M)又は他の同等の方法を使用して測定することができる。
【0008】
一例として、コンタクトレンズは、非シリコーンハイドロゲルに対する重合性組成物の反応生成物である。非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは通常、1種又は複数の親水性モノマー、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はビニルアルコールを、任意に他のモノマーと組み合わせて重合することにより形成され、いかなるシロキサン分子も含有しない。
一例として、コンタクトレンズは、少なくとも1種のシロキサンモノマーと、少なくとも1種の親水性モノマー及び/又は少なくとも1種の親水性ポリマーとを含む重合性組成物の反応生成物であるポリマー性レンズ本体を含む。好都合なことに、以下により詳細に記載されている通り、シリコーンハイドロゲル用の硬化したポリマー性レンズ本体は、WS12を含有する抽出溶媒中で抽出することができ、これによって、所定量のWS12が付着したポリマー性レンズ本体が得られる。代わりに、又はさらに、WS12を重合性組成物に加えることもできる。WS12は、疎水的相互作用によりポリマー性レンズ本体に付着されてもよいし、及び/又はポリマー性レンズ本体にポリマーネットワークで物理的に封じ込められてもよい。
【0009】
本明細書で使用される場合,「シロキサンモノマー」という用語は、少なくとも1つのSi-O基及び少なくとも1つの重合性官能基を含有するあらゆる分子を指す。コンタクトレンズ組成物に使用されるシロキサンモノマーは、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第8,658,747号及び米国特許第6,867,245号を参照されたい)。(本明細書に及び全体にわたり記述されているすべての特許及び刊行物は、これら全体において参照により組み込まれる)。一部の例では、重合性組成物は、少なくとも10質量%、20質量%、又は30質量%~約40質量%、50質量%、60質量%、又は70質量%までのシロキサンモノマー総量を含む。他に特定されていない限り、本明細書で使用される場合、重合性組成物の成分の所与の質量パーセンテージ(質量%)は、重合性組成物中のすべての重合性成分及びIPNポリマー(以下にさらに記載されている)の総質量に対するものである。コンタクトレンズ最終生成物に組み込まれない、希釈剤などの成分に由来する重合性組成物の質量は、質量%の計算に含まれない。
【0010】
具体例では、重合性組成物は親水性ビニルモノマーを含む。本明細書で使用される場合、「親水性ビニルモノマー」とは、アクリル基の一部ではないその分子構造内に存在する重合性炭素炭素二重結合(すなわち、ビニル基)を有する、シロキサンを含まない(すなわち、Si-O基を含有しない)親水性モノマーであり、このビニル基の炭素炭素二重結合は、フリーラジカル重合下では、重合性メタクリレート基に存在する炭素炭素二重結合よりも反応性が低い。本明細書で使用される場合、「アクリル基」という用語は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドなどに存在する重合性基を指す。よって、炭素炭素二重結合はアクリレート及びメタクリレート基に存在するが、本明細書で使用される場合、このような重合性基はビニル基とは考えない。さらに、本明細書で使用される場合、標準的なフラスコ振盪法を使用して目視により判定し、少なくとも50グラムのモノマーが1リットルの水に20℃で完全に溶解可能である場合(すなわち、水中約5%の溶解性がある)、モノマーは「親水性である」。様々な例では、親水性ビニルモノマーはN-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、又はN-ビニルピロリドン(NVP)、又は1,4-ブタンジオールビニルエーテル(BVE)、又はエチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、又はジエチレングリコールビニルエーテル(DEGVE)、又はこれらのあらゆる組合せである。1つの例では、重合性組成物は、少なくとも10質量%、15質量%、20質量%、又は25質量%~約45質量%、60質量%、又は75質量%の親水性ビニルモノマーを含む。本明細書で使用される場合、重合性組成物中の特定のクラスの成分(例えば、親水性ビニルモノマー、シロキサンモノマーなど)の所与の質量パーセンテージは、そのクラス内に入る組成物中の各成分の質量%の合計に等しい。よって、例えば、5質量%のBVE及び25質量%のNVPを含み、他のいずれの親水性ビニルモノマーも含まない重合性組成物は、30質量%親水性ビニルモノマーを含むと言える。1つの例では、親水性ビニルモノマーはビニルアミドモノマーである。例示的な親水性ビニルアミドモノマーはVMA及びNVPである。具体例では、重合性組成物は少なくとも25質量%のビニルアミドモノマーを含む。さらなる具体例では、重合性組成物は、約25質量%~約75質量%VMA若しくはNVP、又はこれらの組合せを含む。重合性組成物に含まれてもよい追加の親水性モノマーはN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エトキシエチルメタクリルアミド(EOEMA)、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(EGMA)、及びこれらの組合せである。
【0011】
親水性モノマーに加えて、又は親水性モノマーの代替として、重合性組成物は非重合性親水性ポリマーを含むことができ、この結果、非重合性親水性ポリマーが相互貫入するシリコーンハイドロゲルポリマーマトリックスを有する、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を含むポリマー性レンズ本体が生じる。この例では、非重合性親水性ポリマーはIPNポリマーと呼ばれ、これはコンタクトレンズにおいて内部湿潤剤として作用する。対照的に、重合性組成物に存在するモノマーの重合により形成されるシリコーンハイドロゲルネットワーク内のポリマー鎖はIPNポリマーであるとは考えられない。IPNポリマーは、例えば、約50,000~約500,000ダルトンの高分子量親水性ポリマーであることができる。具体例では、IPNポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。他の例では、重合性組成物はポリビニルピロリドン又は他のIPNポリマーを実質的に含まない。
【0012】
オプションとして、1個又は複数の非ケイ素を含有する疎水性モノマーが重合性組成物の一部として存在することができる。疎水性モノマーとは、標準的なフラスコ振盪法を使用して、50グラムのモノマーが、1リットルの水に20℃で目視により完全に溶解可能ではない、あらゆるモノマーと考えることができる。適切な疎水性モノマーの例として、アクリル酸メチル、又はアクリル酸エチル、又はアクリル酸プロピル、又はアクリル酸イソプロピル、又はアクリル酸シクロヘキシル、又はアクリル酸2-エチルヘキシル、又はメタクリル酸メチル(MMA)、又はメタクリル酸エチル、又はメタクリル酸プロピル、又はアクリル酸ブチル、又は2-ヒドロキシブチルメタクリレート、又は酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル、又は酪酸ビニル、又は吉草酸ビニル、スチレン、又はクロロプレン、又は塩化ビニル、又は塩化ビニリデン、又はアクリロニトリル、又は1-ブテン、又はブタジエン、又はメタクリロニトリル、又はビニルトルエン、又はビニルエチルエーテル、又はパーフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、又はイソボルニルメタクリレート(IBM)、又はトリフルオロエチルメタクリレート、又はヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、又はテトラフルオロプロピルメタクリレート、又はヘキサフルオロブチルメタクリレート、又はこれらのあらゆる組合せが挙げられる。
疎水性モノマーは、使用される場合、重合性組成物の反応生成物中に、重合性組成物の総質量に対して、1質量%~約30質量%、例えば、1質量%~25質量%、1質量%~20質量%、1質量%~15質量%、2質量%~20質量%、3質量%~20質量%、5質量%~20質量%、5質量%~15質量%、1質量%~10質量%の量で存在することができる。
【0013】
重合性組成物は少なくとも1種の架橋剤をさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、「架橋剤」は、少なくとも2つの重合性基を有する分子である。よって、架橋剤は、2つ以上のポリマー鎖上の官能基と反応して、1つのポリマーを別のポリマーに架橋することができる。架橋剤は、アクリル基又はビニル基、又はアクリル基とビニル基の両方を含むことができる。ある特定の例では、架橋剤はシロキサン部分を含まない、すなわち、それは非シロキサン架橋剤である。シリコーンハイドロゲル重合性組成物における使用に適した様々な架橋剤が本分野で公知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,231,218号を参照されたい)。適切な架橋剤の例として、制限なしで、低級アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(低級アルキレン)グリコールジ(メタ)アクリレート及び低級アルキレンジ(メタ)アクリレート;ジビニルエーテル、例えば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル;ジビニルスルホン;ジビニルベンゼン及びトリビニルベンゼン;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;メチレンビス(メタ)アクリルアミド;トリアリルフタレート;1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン;ジアリルフタレート;及びこれらの組合せが挙げられる。
【0014】
当業者により認識されるように、重合性組成物は、コンタクトレンズ製剤に慣例的に使用されている追加の重合性又は非重合性成分、例えば、重合開始剤、UV吸収剤、着色剤、酸素捕捉剤、連鎖移動剤などのうちの1種又は複数を含むことができる。一部の例では、重合性組成物は、光学的に透明なレンズが得られるように、重合性組成物の親水性成分と疎水性成分との間の相分離を防止する又は最小化する量の有機希釈剤を含むことができる。コンタクトレンズ製剤に一般的に使用されている希釈剤として、ヘキサノール、エタノール、及び/又は他の第1級、第2級又は第3級アルコールが挙げられる。他の例では、重合性組成物は有機希釈剤を含まない又は実質的に含まない(例えば、500ppm未満)。このような例では、親水性部分、例えば、ポリエチレンオキシド基、ペンダントヒドロキシル基、又は他の親水性基を含有するシロキサンモノマーの使用により、重合性組成物中に希釈剤を含む必要がなくなることもある。重合性組成物に含まれてもよいこれら及び追加の成分の非限定的例は、米国特許第8,231,218号に提供されている。
【0015】
使用することができるシリコーンハイドロゲルの非限定的例として、コンフィルコンA、ファンフィルコンA、ステンフィルコンA、セノフィルコンA、セノフィルコンC、ソモフィルコンA、ナラフィルコンA、デレフィルコンA、ナラフィルコンA、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、バラフィルコンA、サムフィルコンA、ガリフィルコンA、及びアスモフィルコンAが挙げられる。
本発明のハイドロゲルコンタクトレンズの具体例は、25質量%~55質量%のシロキサンモノマー、30質量%~55質量%の、NVP、VMA、又はこれらの組合せから選択されるビニルモノマー、及び任意に約1質量%~約20質量%の、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エトキシエチルメタクリルアミド(EOEMA)、又はエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(EGMA)、又はこれらのあらゆる組合せから選択される親水性モノマー、及び任意に約1質量%~約20質量%の、メタクリル酸メチル(MMA)、イソボルニルメタクリレート(IBM)、若しくは2-ヒドロキシブチルメタクリレート(HOB)又はこれらのあらゆる組合せから選択される疎水性モノマーを含む重合性組成物に基づくハイドロゲルコンタクトレンズである。重合性組成物のこの特定の実施形態から作製されるシリコーンハイドロゲル材料として、ステンフィルコンA、コンフィルコンA、ソモフィルコンA、ファンフィルコンA、及びエンフィルコンAが挙げられる。さらなる例では、上に記載された重合性組成物は、ステンフィルコンAのシロキサンモノマー、具体的には、式(I)で表される構造を有する第1のシロキサンモノマー
【0016】
【化1】
式(I)
及び式(II)で表される構造を有する第2のシロキサンモノマー
【化2】
式(II)を含む。
【0017】
本発明のコンタクトレンズを製造するために従来の方法を使用することができる。一例として、ハイドロゲル組成物のための重合性組成物を、コンタクトレンズの前方表面を規定する凹面表面を有する雌型の型部材に分配する。コンタクトレンズの裏側表面、すなわち、角膜接触面を規定する凸面表面を有する雄型の型部材を雌型の型部材と合わせて、コンタクトレンズ型集合体を形成し、これを硬化条件、例えば、UV又は熱的硬化条件下に供し、この条件下で硬化性組成物はポリマー性レンズ本体へと形成される。雌型及び雄型の型部材は非極性型又は極性型であることができる。型集合体を分解し(すなわち、離型する)、ポリマー性レンズ本体を型から取り出し、有機溶媒を使用して、未反応成分をレンズ本体から抽出する。
好都合なことに、WS12は、抽出ステップの間ポリマー性レンズで担持することができる。一般的に、硬化後、ポリマー性レンズ本体は、WS12を含有する抽出溶媒中で膨張する。抽出したポリマー性レンズ本体を続いて水和溶液、例えば、脱イオン水中に配置した際に、抽出溶媒を取り除くと、WS12はポリマー性レンズ本体に付着したままである。
【0018】
一例として、抽出及び水和プロセスは、変性エタノール(EtOH)中での少なくとも1つの抽出ステップ、これに続く、EtOHと水の混合物、例えば、水中約10%~95%のEtOH、例えば、水中約30%~80%のEtOHの混合物を含む抽出ステップ、これに続いて脱イオン水中での少なくとも1つの水和ステップを含むことができ、各抽出及び水和ステップは、温度約20℃~約30℃で約15分間~約3時間持続させることができる。WS12のためのアップローディング溶液として、あらゆる抽出溶媒を使用することができる。1つの例では、抽出溶媒中のWS12の濃度は約1.0μg/ml~約4.0μg/ml(すなわち1ppm~約4ppm)である。1つの例では、最初の抽出溶媒はEtOHであり、第2の抽出溶媒は水中に30%~80%のEtOHと1ppm~4ppmのWS12の混合物を含む。
【0019】
本発明の一部として、コンタクトレンズは、コンタクトレンズパッケージ内に密閉することができる。コンタクトレンズパッケージ内に密閉したパッケージング溶液は、従来のあらゆるコンタクトレンズ相容性溶液であることができる。1つの例では、パッケージング溶液は、緩衝液、及び/又は等張化剤の水溶液を含む、からなる、又は本質的にからなる。別の例では、パッケージング溶液は、追加の薬剤、例えば、1種又は複数の追加の抗菌剤、及び/又は快適剤、及び/又は親水性ポリマー、及び/又は界面活性剤及び/又は他の有益な薬剤を含有する。一部の例では、パッケージング溶液は、多糖(例えば、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)又は他の高分子量ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンを含むことができ、これらのポリマーは一般的に、眼科用溶液及びコンタクトレンズパッケージング溶液において快適性ポリマー又は増粘剤として使用されている。他の例では、パッケージング溶液は眼科用薬物を含むこともできる。パッケージング溶液は、約6.8又は7.0~約7.8又は8.0までの範囲のpHを有することができる。1つの例では、パッケージング溶液はリン酸緩衝液又はボレート緩衝液を含む。別の例では、パッケージング溶液は、塩化ナトリウム又はソルビトールから選択される等張化剤を、約200~400mOsm/kgの範囲、通常約270mOsm/kg~約310mOsm/kg浸透圧を維持する量で含む。
【0020】
コンタクトレンズパッケージに関して、このパッケージは、コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように設計された空洞と、空洞の周りから外側に延びるフランジ領域とを含むプラスチック基材メンバーを含む(include)又は含む(comprise)ことができる。除去可能なホイルは、フランジ領域に結合して、液密性密閉部を提供する。除去可能なホイルは、あらゆる従来の手段、例えば、加熱密閉又は接着により密閉されてもよい。このようなコンタクトレンズパッケージは、一般的に「ブリスター包装」と呼ばれており、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第7,426,993号を参照されたい)。密閉したパッケージは、熱又は水蒸気を含めた、滅菌量の照射により、例えば、オートクレーブ処理により、又はガンマ線照射、電子ビーム照射、紫外線照射などにより滅菌することができる。具体例では、パッケージされたコンタクトレンズはオートクレーブ処理により滅菌される。
最終生成物は、眼科的に許容される表面湿潤性を有する、滅菌され、パッケージされたコンタクトレンズ(例えば、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ)であることができる。
【0021】
一部の例では、WS12は、ポリマー性レンズ本体に一度付着すると、パッケージング溶液中に未着用のハイドロゲルコンタクトレンズを含有する密閉したコンタクトレンズパッケージをオートクレーブ処理する間、又はそのパッケージング溶液中に貯蔵されている間は安定し、ポリマー性レンズ本体から実質的に放出されない、又は分解されないが、レンズを着用する間に放出される。よって、オートクレーブ処理前、又はオートクレーブ処理直後、又はその1日後、又はその30日後、又はその60日後、又はその120日後、コンタクトレンズが浸されているパッケージング溶液は、HPLCで判定した場合、検出レベルよりも低いWS12の濃度を有する。
1つの例では、コンタクトレンズは上に記載されているブリスターパッケージ内に密閉され、ブリスターパッケージは複数のブリスターパッケージ、例えば、少なくとも7、14、30、60、又は90個のブリスターパッケージを含有する二次包装内にさらにパッケージされ、二次包装を有する各ブリスターパッケージは、二次包装に含有された他のそれぞれのコンタクトレンズと同じ量のWS12を含むコンタクトレンズを含有する。一例として、二次包装に含有されるすべてのコンタクトレンズは、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着した、0.2μg~0.7μg、又は0.3μg~0.6μgのWS12を含むポリマー性レンズ本体を含み、コンタクトレンズのそれぞれは同じ量のWS12を含有する(例えば、すべてのコンタクトレンズは、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着した0.4μgのWS12を含有する)。
【0022】
本明細書に記載されているWS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズを使用して、コンタクトレンズ着用者においてコンタクトレンズ快適性を増加させることができる。
本明細書に記載されているWS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズを使用して、コンタクトレンズ着用者において眼の疲れを減少させる又は防止することができる。1つの例では眼の疲れはデジタルデバイスの使用に関連しており、「デジタル眼精疲労」、「デジタル眼疲労」、又は「コンピュータ視覚症候群」とも呼ばれる。
本明細書に記載されているWS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズを使用して、コンタクトレンズ着用者において眼の乾燥の感覚を減少させることができる。
本明細書に記載されているWS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズを使用して、コンタクトレンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすことができる。
以下の実施例は、本発明のある特定の態様及び利点を例示しているが、本発明はこれらにより限定されるものではないことを理解されたい。
【0023】
(実施例1)
WS12放出コンタクトレンズの調製
コンタクトレンズ型の中で、ステンフィルコンA用の製剤を硬化することにより、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを調製した。硬化したステンフィルコンAを型から取り出し、表Iに示されている充填濃度でWS12(Tocris Bioscience)を含有するエタノール(EtOH)中に215分間それらを浸すことにより抽出した。レンズをEtOHから取り出し、DI水中でおよそ6分間洗浄し、これに続いてDI水をそれぞれおよそ30分ごとに2回交換した。レンズを、pH7.5の、3mLの、本明細書でPBSと呼ばれる、リン酸緩衝生理食塩水を含有する(0.78質量%のNaCl、0.05質量%のリン酸一ナトリウム、及び0.36質量%のリン酸二ナトリウム)6mLガラスバイアルに移した。バイアルを密閉し、オートクレーブ処理した。
【0024】
各オートクレーブ処理したレンズを、3mlのEtOHを含有するバイアルに移し、150rpmの振盪機上で、室温で終夜貯蔵して、レンズからWS12を抽出した。レンズのオートクレーブ処理が行われたEtOH抽出物及びPBSを、校正標準液に対するHPLCによる分析(検出波長=250nm)にかけて、それぞれ(n=5)に担持されたWS12の平均量及びWS12がオートクレーブ処理中にレンズから浸出するかどうかを判定した。結果が表1に示されている。
【表1】
【0025】
(実施例2)
WS12放出コンタクトレンズの1週間のクロスオーバー臨床実験
20人の参加者が、1週間の、両側、無作為抽出のクロスオーバー二重盲検(研究者及び参加者)実験に登録した。参加者は、2つの判定基準を満たした場合、症状のあるレンズ着用者であるとみなされた:1)全日のコンタクトレンズ着用時間(自分の常用レンズの着用時間)から自分が心地良いと感じた1日のコンタクトレンズ着用時間を引いた時間が3時間以上であると報告した人、及び2)表2で概説されている分類システムを使用して症状があると分類された人。このシステムはYoungらにより提案された分類から採用したものである(Characterizing contact lens-related dryness symptoms in a cross-section of UK soft lens wearers. Contact Lens & Anterior Eye 34 (2011) 64-70)。
【0026】
【表2】
【0027】
10人の対象者が症状のあるコンタクトレンズ着用者として分類され、これらの対象者は、コンタクトレンズの乾燥/不快感の強度に対して5のうちの2以上、及びコンタクトレンズの乾燥/不快感の頻度に対して「時々、頻繁、又は常時」という評価を報告した。残りの10人の参加者は、無症状のコンタクトレンズ着用者と分類され、コンタクトレンズの乾燥/不快感の強度に対して5のうち0又は1、及びコンタクトレンズの乾燥/不快感の頻度に対して「ほとんどない又はまったくない」という評価を報告した。
WS12放出レンズは、およそ0.42μgのWS12/レンズを含有するステンフィルコンAコンタクトを含んだ。MyDay(登録商標)ブランドのコンタクトレンズを対照レンズとして使用した。参加者は、1日当たり少なくとも8時間実験レンズを着用し、毎夜レンズを外し、これをそれぞれ1週間行った。対象に自分の常用レンズを着用させた2~4日間のウォッシュアウト期間の後、ランダム化した順序で第2の種類のレンズを1週間着用させた。
【0028】
結果:
WS12放出レンズは、レンズ分配のための調査訪問及び1週間の追跡調査訪問時、挿入の際に有意により良い快適性を示した。
全体的には、WS12放出レンズは、挿入の際、対照レンズよりも冷たく感じられ、その差異は1週間の追跡調査訪問のみにおいて統計学的に有意であった。
心地良さの評価は、すべての時間点においてWS12放出と対照レンズとの間で全体的に同様であった。
挿入の刺痛/灼熱の感覚は全体的には低く、WS12放出と対照レンズとの間で同様であった。
ケラトグラフィにより測定されたプレレンズの涙液メニスカス高は、WS12放出と対照レンズと両方の間で同様であり、涙の産生がWS12放出レンズにより増加しなかったことを示した。
参加者らは、5日目に、WS12放出レンズのレンズ取り外しの際に眼の疲れが有意に少なかったと報告した。
乾燥に対する主観的評価は、WS12放出レンズに対して有意に少なかった。
対象の70パーセント(14/20)が、5日目の最後に及び最終調査訪問においてWS12放出レンズを好んだ。対象の大部分はWS12放出レンズを強く好むと報告した。全体的なレンズの好みの評価が図1に示されている。
【0029】
本明細書での開示は、ある特定の例示された実施例について言及しており、これらの実施例は例として提示されており、制限するものではないことを理解されたい。例示的な例を論じてはいるが、前述の詳細な記載の意図は、追加の開示により定義されているように、本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る例のすべての変化形、代替形態、及び同等物を網羅すると解釈されたい。
本明細書で「例」又は「具体例」又は「態様」又は「実施形態」又は類似の句についての言及は、特徴の特定の組合せが相互に排他的でない限り、又は文脈が他を示唆していない限り、以前に記載された又は続いて記載されている実施例、態様、実施形態(すなわち特徴)のあらゆる組合せと組み合わせることができる、WS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズ若しくはその構成要素、密閉したコンタクトレンズパッケージ若しくはその構成要素、又はWS12放出ハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法(文脈に応じて)の特徴を導入することを意図する。さらに、本明細書に使用された場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が他を明確に指示していない限り、複数の指示対象(例えば、少なくとも1つの又は複数)を含む。よって、例えば、「コンタクトレンズ」についての言及は、単一のレンズ並びに2つ以上の同じ又は異なるレンズを含む。
【0030】
本開示におけるすべての引用された参考文献の全部の内容は、これら本開示と矛盾しない範囲に限り、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は文及び/又は段落として、上に記載されている様々な特徴若しくは実施形態及び/又は以下に記載の特許請求の範囲のあらゆる組合せを含むことができる。本明細書で開示されている特徴のあらゆる組合せは、本発明の一部と考えられ、結合可能な特徴に関していかなる制限も意図されない。
本発明の他の実施形態は、本発明の明細書及び本明細書で開示されている本発明の実施を考慮して当業者には明らかである。本発明の明細書及び実施例は、単なる例示に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲及びその同等物により示されることが意図される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング溶液に浸され、パッケージ内に密閉された未着用の滅菌シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、
(a)ポリマー性レンズ本体と、
(b)ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したある量のWS12と
を含み、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が、レンズ着用から30分後、2ng/ml~8ng/mlのWS12の、レンズ着用者における基礎涙濃度をもたらす、コンタクトレンズ。
【請求項2】
レンズ着用から30分後のWS12の基礎涙濃度が3ng/ml~6ng/mlである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が0.2μg~0.7μgである、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が約0.3μg~約0.6μgである、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
対照レンズと比較して、涙液メニスカス高を増加させない、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
パッケージがオートクレーブ処理されている、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
パッケージング溶液中のあらゆるWS12が、HPLCで判定した場合、検出レベル未満である、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
パッケージが、
(a)コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように設計された空洞を含むプラスチック基材メンバーと、
(b)空洞の周りから外側に延びるフランジ領域と、
(c)フランジ領域に結合している除去可能なホイルと
を含むブリスターパッケージである、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
二次包装をさらに含み、二次包装が複数のブリスターパッケージを含み、二次包装内のすべてのブリスターパッケージが、二次包装に含有された他のそれぞれのコンタクトレンズと同じ量のWS12を含むコンタクトレンズを含有する、請求項8に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
二次包装が少なくとも7個のブリスターパッケージを含有する、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
コンタクトレンズ着用者においてコンタクトレンズ快適性を増加させるための、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
コンタクトレンズ着用者において眼の疲れを減少させるための、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
コンタクトレンズ着用者において眼の乾燥の感覚を減少させるための、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
コンタクトレンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすための、請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本開示におけるすべての引用された参考文献の全部の内容は、これら本開示と矛盾しない範囲に限り、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は文及び/又は段落として、上に記載されている様々な特徴若しくは実施形態及び/又は以下に記載の特許請求の範囲のあらゆる組合せを含むことができる。本明細書で開示されている特徴のあらゆる組合せは、本発明の一部と考えられ、結合可能な特徴に関していかなる制限も意図されない。
本発明の他の実施形態は、本発明の明細書及び本明細書で開示されている本発明の実施を考慮して当業者には明らかである。本発明の明細書及び実施例は、単なる例示に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲及びその同等物により示されることが意図される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕パッケージング溶液に浸され、パッケージ内に密閉された未着用の滅菌シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、
(a)ポリマー性レンズ本体と、
(b)ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したある量のWS12と
を含み、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が、レンズ着用から30分後、2ng/ml~8ng/mlのWS12の、レンズ着用者における基礎涙濃度をもたらす、コンタクトレンズ。
〔2〕レンズ着用から30分後のWS12の基礎涙濃度が3ng/ml~6ng/mlである、前記〔1〕に記載のコンタクトレンズ。
〔3〕ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が0.2μg~0.7μgである、前記〔1〕又は前記〔2〕に記載のコンタクトレンズ。
〔4〕ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が約0.3μg~約0.6μgである、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
〔5〕対照レンズと比較して、涙液メニスカス高を増加させない、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
〔6〕パッケージがオートクレーブ処理されている、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
〔7〕パッケージング溶液中のあらゆるWS12が、HPLCで判定した場合、検出レベル未満である、前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
〔8〕パッケージが、
(a)コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように設計された空洞を含むプラスチック基材メンバーと、
(b)空洞の周りから外側に延びるフランジ領域と、
(c)フランジ領域に結合している除去可能なホイルと
を含むブリスターパッケージである、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
〔9〕二次包装をさらに含み、二次包装が複数のブリスターパッケージを含み、二次包装内のすべてのブリスターパッケージが、二次包装に含有された他のそれぞれのコンタクトレンズと同じ量のWS12を含むコンタクトレンズを含有する、前記〔8〕に記載のコンタクトレンズ。
〔10〕二次包装が少なくとも7個のブリスターパッケージを含有する、前記〔9〕に記載のコンタクトレンズ。
〔11〕コンタクトレンズ着用者においてコンタクトレンズ快適性を増加させるための、前記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のコンタクトレンズの使用。
〔12〕コンタクトレンズ着用者において眼の疲れを減少させるための、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
〔13〕コンタクトレンズ着用者において眼の乾燥の感覚を減少させるための、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
〔14〕コンタクトレンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすための、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載のコンタクトレンズの使用。
【手続補正書】
【提出日】2025-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージされたコンタクトレンズであって、前記コンタクトレンズは、未着用の滅菌シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであり、前記コンタクトレンズはパッケージング溶液に浸されており前記コンタクトレンズは、前記パッケージ内に密閉されておりかつ、前記コンタクトレンズは、
(a)ポリマー性レンズ本体と、
(b)ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したある量のWS12と
を含み、ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が、レンズ着用から30分後、2ng/ml~8ng/mlのWS12の、レンズ着用者における基礎涙濃度をもたらし、ここでWS12は、N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミドであるパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項2】
レンズ着用から30分後のWS12の基礎涙濃度が3ng/ml~6ng/mlである、請求項1に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項3】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が0.2μg~0.7μgである、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項4】
ポリマー性レンズ本体に放出可能なように付着したWS12の量が0.3μg~0.6μgである、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項5】
対照レンズと比較して、涙液メニスカス高を増加させない、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記パッケージがオートクレーブ処理されている、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記パッケージング溶液中のあらゆるWS12が、HPLCで判定した場合、検出レベル未満である、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記パッケージが、
(a)コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように設計された空洞を含むプラスチック基材メンバーと、
(b)空洞の周りから外側に延びるフランジ領域と、
(c)フランジ領域に結合している除去可能なホイルと
を含むブリスターパッケージである、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項9】
二次包装をさらに含み、二次包装が複数のブリスターパッケージを含み、二次包装内のすべてのブリスターパッケージが、二次包装に含有された他のそれぞれのコンタクトレンズと同じ量のWS12を含むコンタクトレンズを含有する、請求項8に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項10】
二次包装が少なくとも7個のブリスターパッケージを含有する、請求項9に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項11】
コンタクトレンズ着用者においてコンタクトレンズ快適性を増加させるための、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項12】
コンタクトレンズ着用者において眼の疲れを減少させるための、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項13】
コンタクトレンズ着用者において眼の乾燥の感覚を減少させるための、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【請求項14】
コンタクトレンズ着用者において、挿入時に刺痛感又は灼熱感を引き起こすことなく、心地良い、冷却感覚をもたらすための、請求項1又は2に記載のパッケージされたコンタクトレンズ。
【国際調査報告】