IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイデルベルク エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特表-眼を走査するための装置 図
< >

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】眼を走査するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A61B3/10 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548502
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022082267
(87)【国際公開番号】W WO2023160842
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】102022104466.1
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519181641
【氏名又は名称】ハイデルベルク エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブローシェ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AB12
4C316FY02
4C316FY04
4C316FY05
4C316FY06
(57)【要約】
【解決手段】
眼(1)を走査するための装置であって、少なくとも1つの入射光ビーム(4a、4b)を向けることができる反射面(3)を有する走査器(2)を有し、反射面(3)から入射光ビーム(4a、4b)に向けて反射された光ビーム(5a、5b)を走査器(2)によって角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる装置は、可能な限り可変に設定できる走査角度を有し、可能な限り高速で、可能な限り高品質の画像を生成できる眼、又は眼の一部を走査するための装置を提供するという課題を考慮して、少なくとも2つの互いに離間した入射光ビーム(4a、4b)を反射面(3)に向けることができ、それにより少なくとも2つの反射された光ビーム(5a、5b)をそれぞれ1つの角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる手段が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼(1)を走査するための装置であって、少なくとも1つの入射光ビーム(4a、4b)を向けることができる反射面(3)を有する走査器(2)を備え、前記反射面(3)から前記入射光ビーム(4a、4b)に向けて反射された光ビーム(5a、5b)を前記走査器(2)によって角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる、装置において、
少なくとも2つの互いに離間した入射光ビーム(4a、4b)を前記反射面(3)に向けることができ、それにより少なくとも2つの反射された光ビーム(5a、5b)をそれぞれ1つの角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる手段が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記入射光ビーム(4a、4b)は、平行に、しかし互いに離間して位置合わせされていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の反射光ビーム(5a)が第1の角度範囲(6a)を掃引する一方で、同時に、第2の反射光ビーム(5b)が第2の角度範囲(6b)を掃引し、それにより全体として1つの全角度範囲(6c)を走査可能又は検出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記角度範囲(6a、6b)が重なり合うことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
入射光ビーム、戻り光ビーム、及び/又は反射された光ビーム(4a、4b、4’a、4’b、5a、5b)ごとに個別の検出器(7a、7b)が設けられていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
光源(8a、8b)から射出される1次光ビーム(9a、9b)は、前記反射面(3)に入射する光ビーム(4a、4b)として1つ又は複数のビームスプリッタ(11)を通過すること、前記ビームスプリッタ(11)において、戻り光ビーム(4’a、4’b)が検出器ビーム(10a、10b)に導かれ、前記検出器ビームは、前記検出器ビームに割り当てられた検出器(7a、7b)の方に向けられていること、を特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記手段は、光を分割するための光学機器を含み、前記光学機器によって、単一の光ビームを、前記反射面(3)に入射する2つ以上の光ビーム(4a、4b)に、及び/又はビームスプリッタ(11)に入射する2つ以上の1次光ビーム(4a、4b、9a、9b)に分割可能であることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記手段は、各1つの1次光ビーム(9a、9b)又は入射光ビーム(4a、4b)を射出する、異なる及び/又は互いに独立した光源(8a、8b)を含むことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼を走査するための装置は、通常、入射光ビームを向けることができる反射面を有する走査器を備え、入射光ビームが向けられた反射面から反射された光ビームを走査器によって角度範囲、いわゆる走査角度にわたって回転することができる。
【0003】
これを背景として、共焦点レーザ走査装置が知られるようになったが、これは1つの光ビームのみを使用するため、光強度と速度の点で制限がある。
【0004】
この制限の要因は、走査速度、走査角度、走査面積といった技術パラメータがある程度相互に依存しており、任意に増加させることができないということである。
【0005】
走査面積と走査角度が大きい走査器は、多くの場合、比較的低速である。逆に、走査面積が小さく、走査角度が小さい走査器は、多くの場合、非常に高速で動作することができる。
【0006】
走査面積と走査角度の積は光強度にとり決定的なものであり、光学的変換によっても大して増加させることができないことが多い。これによって、特に広角システムでは、光強度又は速度が制限される可能性がある。
【0007】
走査角度が小さい走査器は、大きな中間画像を生成するために長い焦点距離を必要とする。これによって、この場合に使用される光学系の所要スペースも大きくなる。1つの軸のみに共焦点がある装置は比較的低い画質を示す。したがって、比較的複雑な光学系と非常に高感度のラインカメラが必要となる。
【0008】
これを背景として、眼の前の広角を走査するための、光度が強く、高速であり、かつ非常に良好な画質を有する装置が必要とされる。これらの装置は可能な限りコンパクトでなければならない。更に、より小さい走査角度を生成する非常に高速な走査装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、可能な限り可変に設定できる走査角度を有し、可能な限り高速で、可能な限り高品質の画像を生成できる、眼、又は眼の一部を走査するための装置を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項1の特徴により上記課題を解決する。
【0011】
まず、光度が高く、高速であり、かつ非常に良好な画質を有する、広角、特に眼の前の±50°を走査するための装置が必要であることが認識されている。これらの装置は可能な限りコンパクトでなければならない。
【0012】
更に、より小さい走査角度を生成する非常に高速な走査装置が必要であることが認識されている。
【0013】
更に、これらの要求を満たす装置は、少なくとも2つの互いに離間した入射光ビームを反射面に向けることができ、それにより少なくとも2つの反射光ビームをそれぞれ1つの角度範囲にわたって回転することができる手段を有する必要があることが認識されている。
【0014】
このマルチビームアプローチは、冒頭で述べた欠点なしに1次走査角度を拡大することを可能にする。
【0015】
交差や隙間がない理想的な場合には、全走査角度範囲、すなわち全走査角度が「光ビームの数」の係数分拡大する。基本的に、その式は、全走査角度=走査装置の走査角度×光ビームの数となる。
【0016】
したがって、複数の光ビームの場合、一定の速度で全走査角度若しくは一定の走査角度で速度を増加させることができることが認識されている。
【0017】
入射光ビームを走査ユニットの前で平行に、しかし互いに離間して位置合わせしてよい。これによって、ビームを一緒にレンズに通すことができ、更に一緒に反射面で反射させることができる。
【0018】
反射面で反射された第1の光ビームは第1の角度範囲を掃引することができる一方で、同時に、反射面で反射された第2の光ビームが第2の角度範囲を掃引し、それにより全体として1つの全角度範囲を走査又は検出してよい。複数の光ビーム、好ましくは2つ以上の光ビームを使用することによって、入射光ビーム、若しくは反射された反射光ビームの数にほぼ比例して全角度範囲が拡大される。
【0019】
個々の光ビームの角度範囲は重なり合う可能性がある。わずかな重なりは、画像処理、特にサブ画像の空間的マッチングだけでなく、強度の調整にも利用できる。
【0020】
入射光ビーム、戻り光ビーム、及び/又は反射された光ビームごとに個別の検出器を設けてもよい。このようにして、異なる波長及び/又は異なる干渉パターンを有する光ビームを、参照光ビームと関連させて互いに独立して検出することができる。
【0021】
光源から出射される1次光ビームは、反射面に入射する光ビームとして1つ又は複数のビームスプリッタを通過し、そこから反射光ビームとして眼に到達してよく、眼から同じ光路上を戻る光ビームは、このビームスプリッタにおいて検出器ビームに導かれ、検出器ビームはこれに割り当てられた検出器の方に向けられてよい。したがって、眼からの光ビーム、若しくは検査対象物に戻る光ビームは、基準アームの光ビームと干渉し、基準アームのこの光ビームと組み合わせられて検出器ビームとなってよい。その後、検出器ビームを検出器によって検出し、下流の機器によって評価することができる。
【0022】
当該手段は、光を分割するための光学機器を含んでよく、この光学機器によって、単一の光ビームを、反射面に入射する2つ以上の光ビームに、及び/又はビームスプリッタに入射する2つ以上の1次光ビームに分割できる。したがって、ただ1つの光源を使用することができる。その場合、この光源の光ビームは、光学的手法により分割若しくは増倍される。この場合、例えばビームスプリッタ又はプリズムの使用が可能であるが、大きい1次レーザビームからアパーチャを通して複数のサブビームを生成してもよい。これを背景として、例えばシャック・ハルトマン レンズレット(Hartmann-Shack Lenslet)が考えられる。
【0023】
当該手段は、それぞれ1つの1次光ビーム又は入射光ビームを射出する、異なった、及び/又は互いに独立した光源を含んでよく、したがって、物体を走査するために異なった波長の光を使用することができる。
【0024】
2つ以上の光ビームは、走査器の反射面又は鏡面において交差してよい。その場合、複数の光ビームを並行して検出若しくは走査することができる。
【0025】
これは、X方向、すなわち高速走査軸に沿って、及びY方向、すなわち低速走査軸に沿って、又は両方向で実行してよい。これによって、装置の全走査角度が拡大される。
【0026】
同じ速度と走査面積でより大きい走査振幅によって、走査器の走査面積と走査角度との積を大きくすることができる。この利点を様々に利用することができる。
【0027】
格段に高い走査速度を実現することができる。格段に高い光強度を達成でき、それによって解像度が向上し、レンズフレアによるアーティファクトが少なくなる。走査装置を選択する際のフレキシビリティが高くなる。走査装置がわずかしか拡大されないため、よりコンパクトな形式及び/又はより長い動作距離が可能である。
【0028】
図面において、ひとつの図を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、眼、特に人間の眼を走査するための装置の部分概略図であり、複数の光線が同時に走査装置の反射面に同時に入射し、眼に向けられる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、少なくとも1つの入射光ビーム4a、4bを向けることができる反射面3を有する走査器2を備えた、眼1、すなわち人間の眼1を走査するための装置を示し、反射面3から入射光ビーム4a、4bに向けて反射された光ビーム5a、5bを走査器2によって角度範囲6a、6bにわたって回転することができる。
【0031】
複数の光ビーム4a、4b、ここでは具体的に2つの光ビーム4a、4bが同じ走査器2に向けられ、反射面3において交差することができる。光ビーム4a、4bは並行して走査することができる。
【0032】
複数の光ビーム4a、4bを生成するために、図示のように複数の光源8a、8bを使用するか、又は光源の単一の1次光ビームを光ビームスプリッタを介して分割若しくは増倍してもよい。
【0033】
しかしながら、具体的には、2つの互いに離間した入射光ビーム4a、4bを反射面3に向けることができる2つの光源8a、8bが手段として設けられ、それにより少なくとも2つの反射光ビーム5a、5bがそれぞれ1つの角度範囲6a、6bにわたって回転可能である。
【0034】
この手段は、具体的には、異なり、かつ互いに独立した光源8a、8bを備え、これらの光源の各々が1次光ビーム9a、9bを射出し、この光ビームはビームスプリッタ11を通過し、入射光ビーム4a、4bとしてレンズ12に入射する。
【0035】
入射光ビーム4a、4bは、平行かつ互いに離間して位置合わせされており、レンズ12を通過して、走査器2の反射面3に向けられ、これに入射する。
【0036】
特に、レンズ12を通過した後の光ビーム4a、4b間の角度は、走査器2の走査角度に適合されることが好ましい。光ビーム4a、4bは反射面3において交差することができる。
【0037】
反射面3で反射された第1の光ビーム5aは、第1の角度範囲6aを掃引し、同時に、反射面3で反射された第2の光ビーム5bは第2の角度範囲6bを掃引し、それにより全体として、全角度範囲6cを走査可能又は検出可能である。角度範囲6a、6bは重なり合うことも可能である。
【0038】
反射された光ビーム5a、5bは眼1に導かれ、眼1から同じ光路上を戻り光ビーム4’a、4’bが戻る。これは、図面において往復する矢印で示されている。
【0039】
入射する光ビーム4a、4b、戻り光ビーム4’a、4’b、及び/又は反射された光ビーム5a、5bごとに、それぞれ別個の検出器7a、7bが設けられている。各光ビームは別々の検出器7a、7bを必要とする。
【0040】
具体的には、それぞれの光源8a、8bから射出される1次光ビーム9a、9bが、反射面3に入射する光ビーム4a、4bとしてビームスプリッタ11を通過し、反射光ビーム5a、5bとしてまず眼1に入る。
【0041】
眼1から同じ光路上を戻る光ビーム4’a、4’bは、ビームスプリッタ11で検出器ビーム10a、10bに導かれ、この検出器ビームは、これに割り当てられた検出器7a、7bの方に向けられている。
【0042】
戻り光ビーム4’a、4’bは、検出器ビーム10a、10b内で基準アームからの図示しない光ビームと重ね合わされ干渉する。
【符号の説明】
【0043】
1 眼
2 走査器
3 2の反射面
4a,4b 2に入射する光ビーム
4’a,4’b 2から戻る光ビーム
5a,5b 2、3により反射された光ビーム
6a 角度範囲、4a、5aの走査角度
6b 角度範囲、4b、5bの走査角度
6c 全角度範囲、全走査角度
7a,7b 検出器
8a,8b 9a、9bの光源
9a,9b 1次光ビーム
10a,10b 検出器ビーム
11 ビームスプリッタ
12 レンズ
13 検査平面
14 光点
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼(1)を走査するための装置であって、少なくとも1つの入射光ビーム(4a、4b)を向けることができる反射面(3)を有する走査器(2)を備え、前記反射面(3)から前記入射光ビーム(4a、4b)に向けて反射された光ビーム(5a、5b)を前記走査器(2)によって角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる、装置において、
少なくとも2つの互いに離間した入射光ビーム(4a、4b)を前記反射面(3)に向けることができ、それにより少なくとも2つの反射された光ビーム(5a、5b)をそれぞれ1つの角度範囲(6a、6b)にわたって回転することができる手段が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記入射光ビーム(4a、4b)は、平行に、しかし互いに離間して位置合わせされていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の反射光ビーム(5a)が第1の角度範囲(6a)を掃引する一方で、同時に、第2の反射光ビーム(5b)が第2の角度範囲(6b)を掃引し、それにより全体として1つの全角度範囲(6c)を走査可能又は検出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記角度範囲(6a、6b)が重なり合うことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
入射光ビーム、戻り光ビーム、及び/又は反射された光ビーム(4a、4b、4’a、4’b、5a、5b)ごとに個別の検出器(7a、7b)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
光源(8a、8b)から射出される1次光ビーム(9a、9b)は、前記反射面(3)に入射する光ビーム(4a、4b)として1つ又は複数のビームスプリッタ(11)を通過すること、前記ビームスプリッタ(11)において、戻り光ビーム(4’a、4’b)が検出器ビーム(10a、10b)に導かれ、前記検出器ビームは、前記検出器ビームに割り当てられた検出器(7a、7b)の方に向けられていること、を特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記手段は、光を分割するための光学機器を含み、前記光学機器によって、単一の光ビームを、前記反射面(3)に入射する2つ以上の光ビーム(4a、4b)に、及び/又はビームスプリッタ(11)に入射する2つ以上の1次光ビーム(4a、4b、9a、9b)に分割可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
前記手段は、各1つの1次光ビーム(9a、9b)又は入射光ビーム(4a、4b)を射出する、異なる及び/又は互いに独立した光源(8a、8b)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【国際調査報告】