IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヴァテック・アーゲーの特許一覧

特表2025-505300基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法
<>
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図1
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図2
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図3
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図4
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図5
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図6
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図7
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図8
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図9
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図10
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図11
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図12
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図13
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図14
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図15
  • 特表-基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-21
(54)【発明の名称】基板、特にコーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を堆積させる真空層堆積装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20250214BHJP
   C23C 14/35 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
C23C14/34 T
C23C14/35 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548629
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2023051148
(87)【国際公開番号】W WO2023156117
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】000162/2022
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518031387
【氏名又は名称】エヴァテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ヴァイヒャルト
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA05
4K029DC39
4K029KA01
(57)【要約】
真空層堆積装置であって、内部空間を有する真空コーティングチャンバと、前記内部空間内の基板上に堆積されるべき材料の電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源と、前記内部空間に曝露された拡張された金属または誘電体材料の表面を有する基板ホルダと、RFプラズマ源であって、RF発生器の第1のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第1の電極と、前記RF発生器の第2のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第2の電極とを備える、RFプラズマ源とを備え、前記第1の電極が、金属または誘電体材料の第1の電極表面を備え、第1の電極表面が、前記第1の電極の表面全体のうち、前記内部空間に自由に曝露されている部分であり、前記第2の電極が、金属または誘電体材料の第2の電極表面を備え、第2の電極表面が、前記第2の電極の表面全体のうち、前記内部空間に自由に曝露されている部分であり、前記基板ホルダの前記拡張された表面が、前記第1の電極表面の少なくとも一部であり、前記前記第2の電極表面が、前記第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい、真空層堆積装置。本発明は、基板上に層を真空プロセス堆積する方法にさらに向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空層堆積装置であって、
・内部空間を有する真空コーティングチャンバと、
・前記内部空間内の基板上に堆積されるべき材料の電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源と、
・前記内部空間に曝露された拡張された金属または誘電体材料の表面を有する基板ホルダと、
・RFプラズマ源であって、
- RF発生器の第1のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第1の電極と、
- 前記RF発生器の第2のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第2の電極と
を備える、RFプラズマ源と
を備え、
前記第1の電極が、金属または誘電体材料の第1の電極表面を備え、前記第1の電極表面が、前記第1の電極の表面全体のうち、前記内部空間に自由に曝露されている部分であり、
前記第2の電極が、金属または誘電体材料の第2の電極表面を備え、前記第2の電極表面が、前記第2の電極の表面全体のうち、前記内部空間に自由に曝露されている部分であり、
前記基板ホルダの前記拡張された表面が、前記第1の電極表面の少なくとも一部であり、
前記前記第2の電極表面が、前記第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい、
真空層堆積装置。
【請求項2】
前記基板ホルダおよび前記真空コーティングチャンバが、接地電位に接続された、請求項1に記載の真空層堆積装置。
【請求項3】
前記基板ホルダ上の基板がコーティング位置にある位置へ、およびその位置から、前記基板ホルダを移送するように適合された前記基板ホルダ用の移送機構を備える、請求項2に記載の真空層堆積装置。
【請求項4】
前記拡張された表面上に基板をロードし、前記拡張された表面から前記基板をアンロードするように適合されたロボットを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項5】
前記第2の電極の少なくとも一部が、前記基板ホルダと反対側に延在し、前記基板ホルダに対向している、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項6】
前記電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された前記材料源が、材料のソースと、前記材料のソースから送達された材料をイオン化するように構成されたさらなるプラズマ源とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項7】
前記さらなるプラズマ源が、さらなる発生器のタップにそれぞれ電気的に動作可能に接続される、またはそれぞれ電気的に接続可能な、第3の電極および第4の電極を備え、前記第3の電極および前記第4の電極が、前記内部空間に曝露された、請求項6に記載の真空層堆積装置。
【請求項8】
前記第3の電極および前記第4の電極のうちの1つが、前記第2の電極と共通である、請求項7に記載の真空層堆積装置。
【請求項9】
前記第3の電極および前記第4の電極のうちの1つが、前記基板ホルダから電気的に絶縁され、前記基板ホルダの周囲に配置された、請求項7または8に記載の真空層堆積装置。
【請求項10】
前記さらなる発生器が、DC発生器またはパルスDC発生器である、請求項7から9のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項11】
前記さらなる発生器が、HIPIMS発生器である、請求項10に記載の真空層堆積装置。
【請求項12】
前記電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された前記材料源が、材料の少なくとも1つのソースを備え、前記ソースが、前記内部空間に気体材料を排出する少なくとも1つの気体供給ラインを備え、気体を含む気体タンクと流体連通する、請求項1から11のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項13】
前記電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された前記材料源が、固体または液体から材料を送達する少なくとも1つのソースを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項14】
固体材料を送達する前記少なくとも1つのソースが、カソードスパッタ源であり、前記カソードスパッタ源のターゲットが、さらなるプラズマ源の1つの電極である、請求項13に記載の真空層堆積装置。
【請求項15】
前記カソードスパッタ源が、マグネトロンスパッタ源である、請求項14に記載の真空層堆積装置。
【請求項16】
前記マグネトロンスパッタ源が、平面マグネトロンスパッタ源、または円筒状固体材料ターゲットの軸の周りを駆動回転可能である前記円筒状ターゲットを有するマグネトロンスパッタ源である、請求項15に記載の真空層堆積装置。
【請求項17】
前記Rf発生器の入力を制御するように動作可能に接続され、前記Rf発生器のオン/オフタイミングおよび前記Rf発生器の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成されたソースコントローラを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項18】
前記電気的に正に帯電する粒子を生成するように構成された前記材料源が、材料のソースと、前記材料のソースから送達された材料をイオン化するように構成され、電気供給源に動作可能に接続されたさらなるプラズマ源とを備え、前記電気供給源の制御入力に動作可能に接続され、前記電気供給源のオン/オフタイミングおよび前記電気供給源の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成されたソースコントローラをさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項19】
2つ以上の前記材料源を備え、前記ソースコントローラが、2つ以上の前記材料源に動作可能に接続され、前記2つ以上の材料源の相互のオン/オフタイミングを制御するように構成された、請求項18に記載の真空層堆積装置。
【請求項20】
前記電気的に正に帯電する粒子を生成するように構成された前記材料源が、材料のソースと、前記材料のソースから送達される材料をイオン化するように構成されたさらなるプラズマ源とを備え、前記さらなるプラズマ源が、さらなる発生器のタップにそれぞれ電気的に動作可能に接続される、またはそれぞれ電気的に接続可能な、第3の電極および第4の電極を備え、前記材料のソースが、カソードスパッタ源であり、前記カソードスパッタ源のターゲットが、前記第3の電極および前記第4の電極のうちの1つである、請求項1から19のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項21】
前記真空コーティングチャンバ内のコーティング位置へ、および前記コーティング位置から、基板を輸送するように構成された移送機構を備え、前記基板ホルダが、前記移送機構の一部である、請求項1から20のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項22】
前記移送機構が、前記コーティング位置の下方で、前記基板ホルダの前記拡張された表面と平行な平面に沿って駆動移動可能なコンベアを備え、前記基板ホルダが、リフトと協働し、前記基板ホルダ上の基板が前記コーティング位置にある位置で前記コンベアから前記基板ホルダを駆動的に持ち上げる、請求項21に記載の真空層堆積装置。
【請求項23】
前記基板ホルダに基板をロードし、前記基板ホルダから基板をアンロードするハンドリングロボットを備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項24】
前記基板ホルダが、少なくともその上の基板がコーティング位置にある位置において、接地電位で動作される、請求項1から23のいずれか一項に記載の真空層堆積装置。
【請求項25】
基板上、特に、コーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を真空プロセス堆積する方法、または真空プロセス堆積層でコーティングされたそのような基板を製造する方法であって、
・真空化された真空容器内の第1の電極表面上に基板を提供するステップと、
・前記真空容器内で、前記基板上に堆積されるべき材料の電気的に正に帯電した粒子を生成するステップと、
・前記第1の電極表面と第2の電極表面との間にRfプラズマを生成することによって、前記正に帯電した粒子を前記基板の前記表面に向けて指向的に加速させるステップであって、前記第2の電極表面が、前記第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい、ステップと
を含む、方法。
【請求項26】
堆積プロセス中に、前記RFプラズマの放電を断続的に有効および無効にするステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
堆積プロセス中に時間的にずらして、異なる材料の正に帯電した粒子を生成するステップを含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、前記真空容器内にさらなるプラズマを生成するステップを含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の電極表面を、前記さらなるプラズマを生成するための1つの電極表面として利用するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、前記真空容器内に気体を供給するステップを含む、請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、固体または液体材料から材料を前記真空容器内に遊離させるステップを含む、請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、固体または液体のターゲットをカソードスパッタリングするステップ、特に、少なくとも1つの前記ターゲットをマグネトロンスパッタリングするステップを含む、請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記カソードスパッタリングするステップが、前記ターゲットに対して対向電極を設けるステップであって、前記対向電極が前記基板の周囲をループする、ステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの前記ターゲットが、前記第2の電極の電位で動作されるステップを含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、マグネトロンスパッタリングするステップと、DCまたはパルスDC、特にHIPIMSによって前記マグネトロンスパッタリングを電気的に供給するステップとを含む、請求項25から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記正に帯電した粒子を生成するステップが、平面マグネトロン源、およびその軸の周りを駆動回転可能である円筒状固体材料ターゲットを有するマグネトロン源のうちの少なくとも1つを用いて、マグネトロンスパッタリングを実行するステップを含む、請求項25から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
基板ホルダ上に前記基板を提供するステップと、移送機構によって、前記基板がコーティング位置にある位置へ、およびその位置から、前記基板ホルダを駆動的に移動させるステップとを含む、請求項22から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記移送機構のコンベアによって、特に前記コンベアの一方向移動によって、前記真空容器内外に前記基板を輸送するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
ロボットによって、基板ホルダに基板をロードし、基板ホルダから基板をアンロードするステップを含む、請求項22から34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コーティングされるべき表面において、くぼみ、例えば、ピンホール、ビア、トレンチを含む基板をコーティングする真空プロセスは、困難な作業である。例えば、米国特許第7381657(B2)号または米国特許第7544276(B2)号において、基板ホルダへのRFバイアスを使用し、スパッタリング源のターゲット電極にパルスDC電力を供給するスパッタ堆積による、いくつかの手法が報告されている。また、上述した目的のために、すなわち、非常に高いピーク電流で、かつ、非常に低いデューティサイクル、すなわちパルスオン時間とパルス繰り返し周期との比で動作するパルスDCスパッタリングを使用するために、HPPMSスパッタリングとも呼ばれるHIPIMSスパッタリングが報告されている。HIPIMSは、例えば、米国特許第9355824号、米国特許第8475634号、米国特許第10692707(B2)号に記載されている。
【0002】
定義:
・2つの電極間に適用されるHIPIMSを扱う場合、本願明細書および特許請求の範囲を通して、デューティサイクル(それぞれのパルス繰り返し周期の時間範囲に対する1つのパルスの時間範囲)が0.01~0.1であるパルスDCを理解する。それによって、示されたデューティサイクルで繰り返し印加されるパルスは、複数のパルスのそれぞれのパケットによって置き換えられ得る。
・Rfの下で、例えば、13.56MHzの1~90MHzの範囲における周波数を理解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7381657(B2)号
【特許文献2】米国特許第7544276(B2)号
【特許文献3】米国特許第9355824号
【特許文献4】米国特許第8475634号
【特許文献5】米国特許第10692707(B2)号
【特許文献6】米国特許第6248219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板、特に、例えば、コーティングされるべき表面におけるピンホール、ビア、トレンチのようなくぼみを有する基板をコーティングする真空プロセスの代替手法を提案することであり、中空スペースが残ってくぼみ中にカプセル化されることなく、そのようなくぼみを充填するまで、そのようなくぼみの壁も同様にコーティングされる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、
・内部空間を有する真空コーティングチャンバと、
・基板上および真空コーティングチャンバの内部空間内に堆積されるべき材料の電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源と
を備える、本発明による真空層堆積装置によって解決される。
【0006】
装置は、
・前記内部空間に曝露された拡張された金属または誘電体材料の表面を有する基板ホルダと、
RFプラズマ源であって、
・RF発生器の第1のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第1の電極と、
・RF発生器の第2のタップに電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された第2の電極と
を備える、RFプラズマ源と
をさらに備える。
【0007】
定義:
「電気的に動作可能にRF接続可能な、または電気的に動作可能にRF接続された」という用語によって、RF発生器によって発生されたその特性の、例えばその周波数の電気RF信号が通過し得るように、直接または間接的に電気的に接続可能であるか、または接続されたことを理解する。したがって、そのような電気的動作RF接続は、DC信号とRF信号の両方に対するものであり得、またはRF信号のみに対するものであり、DC信号が遮断されるものであり得る。
【0008】
取り扱う第1の電極は、金属または誘電体材料の第1の電極表面を備える。この第1の電極表面は、第1の電極の表面全体のうち、内部空間に自由に曝露されている部分である。
【0009】
第2の電極は、金属または誘電体材料の第2の電極表面を備える。この第2の電極表面は、第2の電極の表面全体のうち、内部空間に自由に曝露されている部分である。
【0010】
これによって、基板ホルダの拡張された表面は、第1の電極表面の一部であり、第2の電極表面は、第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい。
【0011】
真空エッチング技術から、より大きい電極表面の反対側のより小さい電極表面上にエッチングされるべき基板を提供し、これらの電極表面にRF発生器を動作可能に接続することが知られている。取り扱う電極表面間に、Rfプラズマ放電が生成される。プラズマ電位からより小さい電極表面への電位の降下は、プラズマ電位からより大きい電極表面への電位の降下よりも大きい。この現象は、ケーニッヒの法則に従って、例えば、Wellerdieckの米国特許第6248219号に記載されているように知られている。電位のより大きい降下は、より小さい電極表面に向かう正のエッチングイオン、すなわち、通常はArイオンの増大した指向的な加速につながる。したがって、より小さい電極表面上に堆積された基板が主にエッチングされ、より大きい電極表面は、より小さい電極からエッチングされた材料で主にコーティングされる。
【0012】
本発明による、基板ホルダの拡張された金属または誘電体材料の表面が第2の電極表面に対してより小さい第1の電極表面の一部であり、第1の電極表面および第2の電極表面が、それらの間にRfプラズマを生成するように、両方ともそれぞれRf発生器のタップに動作可能に接続されているか、または動作可能に接続可能であるという事実によれば、より小さい第1の電極表面に向かい、したがって、基板ホルダ上の基板に向かう正に帯電した粒子の指向性加速現象は、基板上に堆積されるべき材料の正に帯電した粒子のそのような指向的に加速を実行するために発明的に利用される。
【0013】
基板上に堆積されるべき材料の正に帯電した粒子のこの指向的な加速は、同様に基板の表面におけるくぼみのコーティングにもつながる。
【0014】
したがって、エッチング目的でよく知られている技法は、特にくぼみのコーティング目的に非常に適していることが判明した。
【0015】
一実施形態において、第1の電極、したがって、基板ホルダならびに真空コーティングチャンバは、真空コーティング装置の接地電位に接続され、これは、基板ホルダによる、または基板ホルダ上の基板移送および/または基板交換がその接地電位で行われ、したがって、アーク放電および電場の摂動の問題を回避するという利点を有する。これによって、基板ホルダは、真空コーティングチャンバにおいて直接設けられた一方向もしくは双方向に機能するロードロックを介して、および/または遠隔の雰囲気対真空の界面において設けられた一方向もしくは双方向に機能するロードロックを介して、真空コーティングチャンバ装置に、および真空コーティングチャンバ装置から基板を移送する基板移送機構の一部であり得、または基板移送機構によって機能を提供され得る。
【0016】
したがって、本発明による装置の一実施形態において、前記基板ホルダ上の基板がコーティング位置にある位置へ、およびその位置から、基板ホルダを移送するように適合された基板ホルダ用移送機構を備える。
【0017】
本発明による装置の一実施形態は、基板ホルダの拡張された表面上に基板をロードし、基板ホルダの拡張された表面から基板をアンロードするように適合されたロボットを備える。
【0018】
本発明による装置の一実施形態において、第2の電極の少なくとも一部は、基板ホルダと反対側に延在し、基板ホルダに対向している。
【0019】
本発明による装置の一実施形態において、電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源は、材料のソースと、前記材料のソースから送達された材料をイオン化するように構成されたさらなるプラズマ源とを備える。
【0020】
装置のいくつかの用途において、第1の電極表面と第2の電極表面との間に生成されるRfプラズマは、材料のソースによって送達される材料を十分にイオン化しないので、したがって、材料のソースによって真空コーティングチャンバの内部空間に送達されるその材料の所望の密度の電気的に正に帯電した粒子の生成するために、この実施形態ではさらなるプラズマ源が設けられる。
【0021】
取り扱うさらなるプラズマ源が、様々な周知のタイプのプラズマ源のうちの1つであり得、例えば、マイクロ波プラズマ源であり得るという事実にもかかわらず、本発明による装置の一実施形態によれば、さらなるプラズマ源は、さらなる発生器のタップにそれぞれ電気的に動作可能に接続される、またはそれぞれ電気的に接続可能な、真空コーティングチャンバの内部空間に曝露された第3の電極および第4の電極を備える。
【0022】
第3の電極および第4の電極のうちの1つが第2の電極と共通であるという事実により、真空コーティングチャンバの内部空間に自由に曝露されたその1つの電極の表面は、第2の電極表面を大きくするために利用される。
【0023】
本発明による装置の一実施形態において、取り扱う第3の電極および第4の電極のうちの1つは、基板ホルダから電気的に絶縁され、基板ホルダの周囲に配置される。
【0024】
これによって、さらなるプラズマは、基板に隣接する反応空間全体に広がり、その1つの電極にそれぞれの電気極性が適用され、コーティングされるべき基板から電子が引き出され得る。
【0025】
本発明による装置の一実施形態において、取り扱うさらなる発生器は、DCまたはパルスDC発生器であり、一実施形態ではHIPIMS発生器である。
【0026】
これらのタイプのさらなる発生器によって生成されたプラズマは、基板上に堆積され、材料のソースによって送達されるべき材料の電気的に正に帯電した高密度の粒子を生成するのに最も適している。
【0027】
本発明による装置の一実施形態において、電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源は、材料のソースを備え、このソースは、内部空間に気体材料を排出する少なくとも1つの気体供給ラインを備え、気体、特に反応性気体を含む気体タンクと流体連通する。
【0028】
本発明による装置の一実施形態において、電気的に正に帯電した粒子を生成するように構成された材料源は、固体または液体から材料を送達する少なくとも1つのソースを備える。
【0029】
したがって、基板上に堆積される材料は、例えば、PECVD堆積プロセスにおいて提供されるRfプラズマおよび/もしくはさらなるプラズマの影響によって反応し、電気的に正に帯電するようになる気体材料に基づくか、または例えば、カソードスパッタ堆積プロセスもしくは熱もしくは電子ビーム蒸発において提供されるRfプラズマおよび/もしくはさらなるプラズマの影響によって同様に電気的に正に帯電するようになる固体材料に基づく。カソードスパッタリング堆積プロセスにおいて、さらなるプラズマは、カソードスパッタリングプロセスによって生成されたプラズマである。材料源によって送達される材料は、固体または液体に由来する場合があることに留意されたい。例えば、カソードスパッタリングは、固体材料ターゲットから行われる場合があるが、いくつかの材料について、例えば、Ga、In、Hgのように、液体材料ターゲットから行われる場合もある。
【0030】
これら2つの手法を組み合わせることは、それぞれの反応プロセスにおいて実行され、反応性カソードスパッタリング、反応性熱または電子ビーム蒸発に関して、固体材料が反応性気体と反応する。
【0031】
本発明による装置の一実施形態において、固体材料を送達する少なくとも1つのソースは、カソードスパッタ源であり、カソードスパッタ源のターゲットは、さらなるプラズマ源の1つの電極である。
【0032】
したがって、一方では、カソードスパッタ源は、堆積させるべき固体材料を生成し、他方では、カソードスパッタ源のプラズマは、スパッタされた材料をイオン化することを提供する。
【0033】
本発明による装置の一実施形態において、カソードスパッタ源は、マグネトロンスパッタ源である。
【0034】
本発明による装置の一実施形態において、マグネトロンスパッタ源は、平面マグネトロンスパッタ源、または円筒状ターゲットの軸の周りを駆動回転可能である円筒状固体材料ターゲットを有するマグネトロンスパッタ源である。
【0035】
本発明による装置の一実施形態は、Rf発生器の制御入力に動作可能に接続され、Rf発生器のオン/オフタイミングおよびRf発生器の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成されたソースコントローラを備える。
【0036】
本発明による装置の一実施形態において、電気的に正に帯電する粒子を生成するように構成された材料源は、材料のソースと、前記材料のソースから送達された材料をイオン化するように構成され、電気供給源に動作可能に接続されたさらなるプラズマ源とを備える。この実施形態は、電気供給源の制御入力に動作可能に接続され、電気供給源のオン/オフタイミングおよび電気供給源の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成されたソースコントローラをさらに備える。
【0037】
本発明による装置の一実施形態は、2つ以上の材料源を備え、ソースコントローラは、2つ以上の材料源に動作可能に接続され、2つ以上の材料源の相互のオン/オフタイミングを制御するように構成される。
【0038】
したがって、本発明による装置の一実施形態において、以下の特徴のうちの1つまたは2つ以上が提供される。
・実施形態は、それぞれの電気的に正に帯電する粒子を生成するようにそれぞれ構成された2つ以上の材料源と、2つ以上の材料源にそれぞれ動作可能に接続され、それぞれの2つ以上の材料源の相互のオン/オフタイミングおよび/またはそれぞれの材料源によって出力される電気的に正に帯電する粒子の速度を制御するように構成されたソースコントローラとを備える。
・2つ以上の材料源の少なくとも一部は、それぞれ、材料のソースと、さらなるプラズマ源とを備え、さらなるプラズマ源は、それぞれの材料のソースから送達された材料をイオン化するように構成され、プラズマ源は、電気供給源に動作可能に接続され、それぞれの電気供給源の制御入力に動作可能に接続されて、それぞれの電気供給源のオン/オフタイミングおよびそれぞれの電気供給源の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成されたソースコントローラを備える。
・ソースコントローラは、Rf発生器の制御入力に動作可能に接続され、Rf発生器のオン/オフタイミングおよびRf発生器の出力電力のうちの少なくとも1つを制御するように構成される。
【0039】
本発明による装置の一実施形態は、前記真空コーティングチャンバ内のコーティング位置へ、およびそのコーティング位置から基板を輸送するように構成された移送機構を備え、前記基板ホルダは、前記移送機構の一部である。
【0040】
本発明による装置の一実施形態において、移送機構は、前記コーティング位置の下方で、前記基板コンベアの前記拡張された表面と平行な平面に沿って駆動移動可能なコンベアを備え、前記基板は、リフトと協働し、前記基板ホルダ上の基板がコーティング位置にある位置で前記コンベアから前記基板ホルダを駆動的に持ち上げる。
【0041】
本発明による装置の一実施形態は、基板ホルダに基板をロードし、基板ホルダから基板をアンロードするハンドリングロボットを備える。
【0042】
本発明による装置の一実施形態において、基板ホルダは、少なくともその上の基板がコーティング位置にある位置において、接地電位で動作される。
【0043】
説明した実施形態の各々は、そのような実施形態が矛盾しない限り、他の実施形態のうちの1つまたは複数と組み合わせて実施され得る。
【0044】
本発明の目的は、基板上、特に、コーティングされるべき表面においてくぼみを含む基板上に層を真空プロセス堆積する方法、または真空プロセス堆積層でコーティングされたそのような基板を製造する方法によってさらに解決され、方法は、
・真空化された真空容器内の第1の電極表面上に基板を提供するステップと、
・真空容器内で、前記基板上に堆積されるべき材料の電気的に正に帯電した粒子を生成するステップと、
・第1の電極表面と第2の電極表面との間にRfプラズマを生成することによって、正に帯電した粒子を基板の表面に向けて指向的に加速させるステップであって、第2の電極表面が第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい、ステップと
を含む。
【0045】
本発明による方法の1つの変形例は、堆積プロセス中に、RFプラズマ放電を断続的に有効および無効にするステップを含む。
【0046】
本発明による方法の1つの変形例は、堆積プロセス中に時間的にずらして、異なる材料の正に帯電した粒子を生成するステップを含む。
【0047】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、真空容器内にさらなるプラズマを生成するステップを含む。
【0048】
本発明による方法の1つの変形例は、第2の電極表面を、さらなるプラズマを生成するための1つの電極表面として利用するステップを含む。
【0049】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、真空容器内に気体を供給するステップを含む。
【0050】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、固体または液体材料から材料を真空容器内に遊離させるステップを含む。
【0051】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、少なくとも1つの固体材料または液体材料のターゲットをカソードスパッタリングするステップ、特に、少なくとも1つのターゲットをマグネトロンスパッタリングするステップを含む。
【0052】
本発明による方法の1つの変形例において、カソードスパッタリングするステップは、ターゲットに対して対向電極を設けるステップであって、対向電極が基板の周囲をループする、ステップを含む。
【0053】
本発明による方法の1つの変形例において、少なくとも1つのターゲットは、第2の電極の電位で動作される。
【0054】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、マグネトロンスパッタリングするステップと、DC、パルスDC、特にHIPIMSのうちの1つによってスパッタリングに電気的に供給するステップとを含む。
【0055】
本発明による方法の1つの変形例において、正に帯電した粒子を生成するステップは、平面マグネトロン源、および軸の周りを駆動回転可能である円筒状ターゲットを有するマグネトロン源のうちの少なくとも1つを用いて、マグネトロンスパッタリングを実行するステップを含む。
【0056】
本発明による方法の1つの変形例は、基板ホルダ上に基板を提供するステップと、移送機構によって、前記基板がコーティング位置にある位置へ、およびその位置から、前記基板ホルダを駆動的に移動させるステップとを含む。
【0057】
本発明による方法の1つの変形例は、移送機構のコンベアによって、特にコンベアの一方向移動によって、真空容器内外に基板を輸送するステップを含む。
【0058】
本発明による方法の1つの変形例は、ロボットによって、基板ホルダに基板をロードし、基板ホルダから基板をアンロードするステップを含む。
【0059】
注意:第2の電極は、より大きいコーティング機械では大きくなる場合があるので、真空コーティングチャンバの接地壁への容量が大きくなりすぎることが問題になる場合がある。その場合、第2の電極と接地壁との間に電気的に浮遊する金属中間層を使用することが推奨される場合がある。
【0060】
本発明による方法の各変形例は、矛盾しない限り、1つまたは2つ以上の他の変形例と組み合わせて実現され得る。
【0061】
本発明による装置および方法について、図の助けを借りてさらに例示する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明による方法を動作させる、本発明による装置の一般的な原理的実施形態の概略的かつ簡略化した図である。
図2】時間軸に沿った、図1による装置および方法の可能な動作スキームの図である。
図3】本発明による方法の変形例を動作させ、それによって、例えば、PECVDのための、気相から基板上に堆積されるべき材料を生成する、本発明による装置の実施形態の概略的かつ簡略化した図である。
図4】本発明による方法を動作させる、本発明による装置の実施形態の共通電極の部分の概略的かつ簡略化された図である。
図5】基板上に堆積されるべき材料を生成するステップが、気相から材料を生成するステップを含む、本発明による方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態の概略的かつ簡略化した図である。
図6】基板上に堆積されるべき材料を生成するステップが、カソードスパッタリングによって固相から材料を生成するステップを含む、本発明による方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態の概略的かつ簡略化した図である。
図7】本発明による方法の変形例を動作させる、2つ以上のカソードスパッタリング源を備える、本発明による装置の実施形態の一部の概略的かつ簡略化した図である。
図8図2の動作スキームと類似した表現における、パルスDCによって供給される複数のプラズマを有する本発明による装置の実施形態の図である。
図9図7と類似した表現における、本発明による方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態の一部の図である。
図10】本発明の方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態に適用可能であり、1つまたは2つ以上のカソードスパッタリング源を用いて実現される、円筒状ターゲットを有するスパッタリング源の概略的かつ簡略化した図である。
図11】傾斜した平面ターゲットを用いる本発明の方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態の部分の概略的かつ簡略化した図である。
図12】傾斜した円筒状ターゲットを用いる本発明の方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態の部分の概略的かつ簡略化した図である。
図13】本発明の方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態に適用可能な、拡大された電極表面を有する電極の形状の概略的かつ簡略化した図である。
図14】本発明の方法の変形例を動作させる、本発明による装置の実施形態に適用可能な、拡大された電極表面を有する電極の形状の概略的かつ簡略化した図である。
図15】基板ホルダが移送機構の一部である、本発明による装置の実施形態の部分の概略的かつ簡略化した図である。
図16】ロボットによって基板ホルダに基板がロードされ、基板ホルダから基板がアンロードされる、本発明による装置の実施形態の部分の概略的かつ簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、本発明による方法を実行する、本発明による真空コーティングチャンバの概略的かつ簡略化した原理を示す。
【0064】
真空ポンプ5によってポンピングされる真空コーティングチャンバ3の内部空間1内に、コーティングされるべき基板9が適用されていない場合に内部空間1に自由に曝露される拡張された表面7aを有する基板ホルダ7が設けられる。基板ホルダ7のボディ7bが金属であるのに対し、基板9がその上に存在しない限り、内部空間1に曝露される基板ホルダ7の拡張された表面7aは、金属であり得、または基板ホルダ7の金属ボディ7b上の誘電体材料層の表面であり得る。後者の場合、そのような層は、Rf発生器13によって生成される、例えば13.56MHzのRf周波数において無視できる電気インピーダンスを表す。
【0065】
第1の電極は、基板ホルダ7を備え、したがって、基板ホルダ/第1の電極7として扱う。第1の電極表面は、基板9が基板ホルダ/第1の電極7上に堆積されていない限り、拡張された表面7aを備える。基板ホルダ/第1の電極7の金属ボディ7bは、Rf発生器13の1つのタップ10aに動作可能に電気的にRF接続されるか、動作可能に電気的にRF接続可能である。
【0066】
基板ホルダ7は、基板のための移送機構の一部であり得、またはロボットによってロード/アンロードされ得、利点は、真空コーティングチャンバ3が基板ホルダ7と同じ電位で動作されることである。これにより、移送機構において電気絶縁体を設けることが回避され、寄生プラズマ放電のリスクを最小限に抑えることができる。
【0067】
基板9を取り扱うための実施形態は、図15および図16に概略的かつ簡略化されて示されており、後に説明する。
【0068】
誘電体材料であるか、または誘電体材料で覆われているか、または本発明による装置の動作によって誘電体材料層で覆われるようになるか、または導電性材料である基板9が、基板ホルダ/第1の電極7上に堆積される場合、本発明による装置の動作において、内部空間1に曝露されている基板9の表面は、基板ホルダ/第1の電極7の拡張された表面7aの一部の代わりに、第1の電極表面の少なくとも一部になる。これは、誘電体材料層または基板が、Rf発生器13によって適用されるRf信号に対して無視できるインピーダンスを表すためである。
【0069】
基板ホルダ/第1の電極7の拡張された表面7aに加えて、内部空間1に自由に曝露され、同様にRf発生器13の1つのタップ10aに電気的に動作可能にRf接続可能かまたは接続される、さらなる金属または誘電体の薄膜コーティング表面領域が存在する場合、
そのような領域も同様に第1の電極表面の一部である。図1に概略的に示すように、例えば、真空コーティングチャンバ3の壁3aならびにタップ10aが接地電位GNDにある場合、壁3aの領域7eは、第1の電極表面の一部になる。
【0070】
そのような領域7eの第1の電極表面への寄与は、そのような領域をグリッドまたはラメラによって実現し、そのようなグリッドまたはラメラ領域7eを介して内部空間1への気体のポンピングまたは供給を実行することによって、著しく低減され得る。
【0071】
第2の電極11は、Rf発生器13の第2のタップ10bに電気的に動作可能にRf接続可能かまたは接続される。第2の電極11は、内部空間1に曝露された第2の電極表面11aを有し、この表面は、拡張された表面7aを備える第1の電極との関連において説明したように、金属であるか、または金属電極ボディ上の誘電体膜の表面である。
【0072】
第2の電極のタップ10bへの電気的に動作可能なRf接続は、一実施形態では、マッチボックス15を介して確立され、例えば、マッチボックス15に統合されたキャパシタンスC15によって概略的に示されているようにDCブロックされる。また、タップ10aと基板ホルダ/第1の電極7との間に、DCブロッキングキャパシタンスC7が設けられ得る。
【0073】
第1の電極表面と第2の電極表面との間には、Rfプラズマ、PLRFが生成される。
【0074】
第2の電極表面11aは、第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい。したがって、基板9上に堆積されるべき材料の正に帯電した粒子は、矢印ACCによって概略的に示すように、RfプラズマPLRF内で基板9の表面に向かって指向的に加速される。
【0075】
基板9上に堆積されるべきその材料の材料粒子を生成するように構成された少なくとも1つの材料源17が設けられ、その粒子は、電気的に正に帯電され、真空コーティングチャンバ3の内部空間1内に拡散される。
【0076】
そのような材料源17は、一方では、気体または固体材料を提供し、後者は、蒸発またはカソードスパッタリングされ、他方では、気体材料と反応してイオン化するか、または蒸発もしくはカソードスパッタリングされた固体をイオン化するためのイオン化プラズマを提供する。同じプラズマは、固体材料を蒸発またはカソードスパッタリングするため、および固体材料をイオン化するために利用され得る。
【0077】
一方では、イオン化プラズマのためのIPLと、イオン化されるべき材料を提供するためのMとによって、材料源17の2つの基本的なタスクが図1において概略的に指定されている。
【0078】
破線で示すように、特に異なる材料に対して、2つ以上のそのような材料源17、17a、...が設けられ得る。それによって、1つの同じイオン化プラズマIPLが、それぞれの材料源17a、17b、...の異なる材料Ma、Mb、...(図1には示さず)を電気的に正に帯電させるために利用され得、または異なるイオン化プラズマIPLa、IPLb、...が、材料源17a、17b、...にそれぞれ専用に使用され得る。異なるイオン化プラズマは、異なる強度によってのみ異なる場合がある。
【0079】
図1中の破線において示すように、ソースコントローラ19が設けられ得る。ソースコントローラ19は、図1において制御接続CON17によって概略的に示すように、
・1つもしくは2つ以上の材料源17、17a、17b、...において、オン/オフ動作タイミングをそれぞれ制御する、ならびに/または
・1つもしくは2つ以上の材料源17、17a、17b、...において、材料送達速度をそれぞれ制御する、ならびに/または
・1つもしくは2つ以上の材料源17、17a、17b、...において、それぞれのIPLの強度をそれぞれ制御する、ならびに/または
図1において制御接続CON13によって概略的に示すように
・RfプラズマPLRFのオン/オフタイミングおよび/もしくはRfプラズマPLRFの強度を制御する
ように構成され得る。
【0080】
図2は、実施される特定の用途を参照するのではなく、利用され得る制御の柔軟性を例示するだけのために、内部空間1に送達される様々な材料M、Ma、Mb、...、およびそのタイミング、その様々な速度R、様々なイオン化プラズマ、およびその強度IPL、IPLa、IPLb、...、および材料源17、17a、17b、...におけるそのタイミング、ならびにRFプラズマの強度およびタイミングの制御可能性を例示する。
【0081】
タイムスパン例Aの間、材料源17は、速度R1において材料Mを送達するように制御され、IPLは、強度Iにおいてオンに切り替えられる。それによって、IPLは、Mの送達に先立って、図示のようにオンに切り替えられ得、Mの送達を無効化した後に、オフに切り替えられ得る。RfプラズマPLRFは、有効化される。タイムスパン例Bの間、材料源17aは、より低い速度R2において材料Maを送達するように制御され、IPLaおよびRfプラズマPLRFは、低減した強度において制御される。タイムスパン例Cの間、材料源17bは、速度R3において材料Mbを送達するように制御され、そのイオン化プラズマIPLbは、強度Iにおいて制御される。このタイムスパンCにおいて、RfプラズマPLRFによる正に帯電した材料粒子の加速は、無効化される。
【0082】
タイムスパン例Dの間、材料源17cの材料Mcの送達は、それぞれの速度において制御され(図2ではマークせず)、IPLcは、オフに切り替えられ、したがって、送達された材料は、所望の強度において制御されたRfプラズマPLRFのみに曝露され、最小限のイオン化のみをもたらすか、またはイオン化をもたらさない。
【0083】
タイムスパン例Eの間、材料源17の材料Mの送達速度は、減少するように制御され、一方、材料源17aのMaの送達速度は、増加するように制御される。同様に、材料源17のIPLの強度は、減少するように制御され、一方、材料17aのIPLaの強度は、増加するように制御される。RfプラズマPLRfは、増加するように制御される。
【0084】
タイムスパン例Fの間、図2において「堆積;エッチング(Dep;Etch)」によって概略的に表されているように、いずれの材料源も動作せず、代わりに、真空コーティングチャンバ3の内部空間1内で、別のコーティングプロセスまたはエッチングプロセスが実行される。
【0085】
したがって、本発明による装置および方法のそれぞれの実現された実施形態および意図された用途に応じて、材料の送達、および/またはイオン化プラズマの強度、および/またはRfプラズマの強度、および/またはすべてのタイミングは、必要に応じて、ソースコントローラ19によって非常に柔軟に制御され得る。
【0086】
図1に戻ると、基板ホルダ/第1の電極7は、固定式であり得、または、特に円形の円盤状の基板を保持するように構成されている場合、Aにおいておよび矢印ωによって指定されているように、その中心軸の周りを駆動回転可能であり得る。
【0087】
第2の電極11は、真空コーティングチャンバ3の壁3aの内面の大きく支配的な部分に沿って設けられる。壁3aの内面と第2の電極11との間の間隔dは、所望の所定のコーティングプロセスのための内部空間1内の圧力において有効な暗部距離よりも小さくなるように選択される。したがって、壁3aの内面と第2の電極11との間の空間において、Rfプラズマが燃焼する可能性はない。
【0088】
第2の電極表面11aは、第1の電極表面よりも少なくとも1.5倍大きい。その結果、プラズマ電位から第1の電極表面の電位、したがって基板ホルダ/第1の電極7の表面7aへの電位の降下は、第2の電極表面11aへのそれぞれの電位降下よりも大きく、大幅に大きくなる。
【0089】
これによって、基板9上に堆積され、内部空間1に拡散される材料の電気的に正に帯電した材料粒子は、基板ホルダ/第1の電極7の拡張された表面7a上に存在する基板9の表面に向かって、またはその表面に対して指向性をもって、実質的に表面7aと垂直に加速されるようになる。
【0090】
そのような真空層堆積チャンバ3は、基板9上に堆積されるべき材料の、例えば、3:1よりも高いアスペクト比を有する堆積を、コーティングされるべき基板9の表面におけるビア、トレンチ、より一般的にはくぼみにも実施するのに特に適している。
【0091】
定義:
「アスペクト比」という用語の下で、くぼみの最大深さとその最小断面直径との比率を理解する。
【0092】
図3は、本発明による方法を動作させる、本発明による真空層堆積装置の実施形態を概略的かつ簡略化して示す。図3において、図1に関連してすでに説明した装置の部分は、同じ参照符号で指定されている。
【0093】
図3の実施形態において、基板9上、特にくぼみ21を有する基板9(図1を参照)上に堆積されるべき材料の正に帯電した粒子を生成する、図1において一般的に指定されている材料源17または材料源17a、17b、...は、一方において、気体供給口23を介して内部空間1に制御可能に排出されるそれぞれの反応性気体を含むそれぞれの気体タンク17M、17aM、...を備える。他方では、図1の指定されている材料源17、17a、...は、一般に、例えば、DC電源またはパルスDC電源、特にHIPIMS電源を生成する電源29に電気的に動作可能にRf接続するまたは接続可能な一対の電極25および27を備える。
【0094】
図3の例による実施形態において、電極25は、第2の電極11のリング間隔内のリング電極として実現され、電極27は、同様に、第2の電極11におけるリング間隔内のリング電極によって、電極25と実質的に対向して、基板ホルダ/第1の電極7の周囲に実現される。電源29は、ローパスフィルタとして作用し、概略的に示すように、誘導性インピーダンスによって実現されるか、または誘導性インピーダンスを含む保護フィルタ31によってRfから保護され得る。電極25と電極27との間に、この実施形態では、一般にそれぞれの材料送達気体タンク17M、17aM、...を有する材料源17、17a、...のためのイオン化プラズマIPLが生成される。
【0095】
必要に応じて、ソースコントローラ19は、制御接続COM17を介してIPLの強度および/またはタイミングを制御し得、制御接続CON17を介して材料送達のタイミングおよび/または速度を制御し得、制御接続CONRFを介してRFプラズマPLRFの強度およびタイミングを制御し得る。
【0096】
この実施形態は、特にPECVDプロセスに適している。例えば、基板ホルダ/第1の電極7にヒーター(図3には示さず)が装備されている場合、図2におけるタイムスパン例における動作に従って、プラズマIPLおよびPLRfは、無効化され得、単なる熱CVDプロセスが実施され得る。
【0097】
電極25および27による第2の表面11aの縮小が大きすぎることを回避するために、接続部33において破線で概略的に示すように、電極25は、第2の電極11に電気的に接続され得る。これは、実際には、図4に概略的に示すように、通常、電極11と電極25の両方が実現される結果となる。明らかに、図3の実施形態によれば、電気接続部35によって概略的に示されているように、第2の電極11のすべての部分は、電気的に相互接続される。
【0098】
図3の実施形態において、1つまたは2つ以上の反応性気体は、IPLにおいて反応およびイオン化され、結果として生じる反応して正に帯電した気体材料粒子は、RfプラズマPLRF内で、拡張された表面7aに向かって、したがって、表面7a上に堆積された基板の表面に向かって指向的に加速される。
【0099】
図3に示す電極25および27のように、2つの電極間でIPLを実現する代わりに、DC、パルスDC、それによって場合によってはHIPIMSを供給される、別のタイプのプラズマ、例えば、マイクロ波プラズマを使用することができる。これは、例えば、マイクロ波発生器からマイクロ波電力を内部空間1に結合するために、気体供給口23を調整し、利用することによって実現され得る。
【0100】
図5の実施形態において、同じ参照番号は、図1図4に関連してすでに説明した部分に適用されている。
【0101】
図5による実施形態と図3による実施形態との違いは、図5の実施形態によれば、材料源17によって内部空間1に送達される材料Mが、固体、場合によっては液体にも基づくのに対し、図3による実施形態の内部空間に送達される材料Mが、気体に基づくことである。図5の実施形態において適用される材料源17は、一方では、材料Mの送達のための電子ビーム蒸発器17Mを備え、他方では、図3の実施形態と同様に、電極25、27の対と、電源29とを備える。通常は、るつぼからの流出を回避するために、蒸発源がチャンバの下部に取り付けられるので、基板ホルダ7は、チャンバの上部において基板を取り付ける。また、ここでも、基板ホルダ/第1の電極7は、有利には接地電位で動作され得、同様に接地電位で動作される移送機構の一部であり得、または移送機構によって機能を提供され得る。その結果、必要に応じて、材料源の全体的な制御は、図2の実施形態におけるそのような制御とほぼ同様に、一方では、IPLに対してCON17によって、他方では、送達される材料Mの速度に対して、すなわち電子ビーム蒸発器17Mに対してCON17によって実行される。電子ビーム蒸発器17Mを有する異なる材料源17を除けば、図5の実施形態による装置は、図3の装置と実質的に同等であり、当業者にさらに説明する必要はない。
【0102】
図6は、図1の材料源17に従って基板9上に堆積されるべき材料の正に帯電した粒子の材料源が固体材料に基づいて材料Mを内部空間1に送達する実施形態を概略的かつ簡略化して示す。
【0103】
図6において、図1図5との関連ですでに言及した装置の部分は、同じ参照符号で指定されている。
【0104】
基板ホルダ/第1の電極7の反対側には、カソードスパッタ源、本実施形態では、真空コーティングチャンバ3の壁3aから電気的に絶縁されたターゲット39を有するマグネトロンスパッタ源37が設けられている。ターゲットの39の背後では、磁石区画41において概略的に示すように、マグネトロン磁石(図示せず)が、ターゲット39の裏側39bに沿って駆動移動される。それらは、マグネトロンスパッタリング技術における当業者には完全に知られているように、ターゲット39のスパッタリング表面39sに沿って掃引されるマグネトロン磁場Hの移動パターンを生成する。
【0105】
マグネトロンスパッタ源37として実現されるカソードスパッタ源は、DC電源によって供給され、または図6に示すように、パルスDC電源29sによって供給され、一実施形態では、その負出力において、正出力における電位に対して高い負の電圧パルスを生成するHIPIMS電源29sによって供給される。例えば、インダクタンスによって実現される保護フィルタ31を介して、一実施形態ではHIPIMS電源として実現されるパルスDC電源の負の出力は、ターゲット39に接続される。保護フィルタ31は、必要であれば、パルスDC電源29s、一実施形態ではHIPIMS電源のパルスの電流上昇を制限するために、ターゲット39に設けられ得る。ターゲット39は、実際には図3および図5の実施形態における電極25と一致し、電源29sの正の出力タップに動作可能に接続された電極27と協働する。したがって、ターゲットは、39/25によって参照される。
【0106】
十分なIPLを達成するために、高いDC電力密度が小さいターゲットに適用され得、またはパルスDC電力が大きいターゲットに適用され得る。電力密度は、>1W/mm2であるべきである。
【0107】
例えば、50mmの半径を有する小さい平面マグネトロンターゲットは、8kW DCで動作されるべきである。
【0108】
代替的に、例えば、200mmの半径を有する大きい平面マグネトロンターゲットは、パルスにおける130kWのパルスDCで動作されるべきであるが、平均電力が13kWになるように、10%のデューティサイクルで動作されるべきである。
【0109】
したがって、図1の材料源17は、一方では、ターゲット(39、25)がスパッタリングされることによって材料Mを内部空間1に送達することによって実現され、他方では、DCパルス供給電極、ターゲット39、25、および電極27によって、材料源17のIPLを生成することによって実現される。
【0110】
通例のスパッタ源とは反対に、ターゲット39/25に対する対向電極27は、一実施形態では、ターゲット39、25から遠く離れて配置され、ターゲットの周囲には配置されず、これは、プラズマIPLの分布を改善し、したがって、内部空間1にわたる正に帯電したスパッタリングされた粒子の分布を改善し、それによって、基板ホルダ/第1の電極7、したがって基板9への過剰な電子電流を回避する。
【0111】
一実施形態において、マグネトロンスパッタリング源37によるカソードスパッタリング源の電気供給の種類にかかわらず、また掃引マグネトロン磁場Hの実現にかかわらず、通例は金属である、導電性材料のターゲット39/25は、図3および図5および図4の実施形態におけるそれぞれの接続部33とほぼ同様に、電気接続部33によって概略的に示すように、第2の電極11に短絡され得る。それによって、再び、第2の電極11の第2の電極表面11a、すなわちターゲット39、25のスパッタリング表面39sは、増加される。
【0112】
反応性カソードスパッタリングが実行されるべきである場合、少なくとも1つの気体供給ライン(図6には示さず)が設けられ、反応性気体を含む気体タンクからの反応性気体を内部空間1に拡散させる。
【0113】
図6による実施形態において、スパッタリング速度およびIPLの強度が相互に依存するので、IPLのタイミングおよび/または強度ならびに材料送達速度の制御は、CON171、2によって示すように、所望の場合、ソースコントローラ(図6には示さず)から電源29sに確立されることに留意されたい。電源29sがパルスDC電源によって実現される場合、デューティサイクル、それぞれのパルス繰り返し周期、それぞれのパルス振幅は、設定され、制御され、場合によっては時間とともに変化し得る。
【0114】
図1との関連で一般的に説明した2つ以上の材料源17を設けることについて、図7の助けを借りて例示し、それによって、複数のカソードスパッタ源、特に、図6による複数のマグネトロンスパッタ源37、すなわち37a、37b、37c、...を例示する。それによって、図7は、例えば、図6の実施形態による第2の電極11の一部を概略的かつ簡略化して示し、カソードスパッタ源37a~37cは、それぞれ、電極25として作用し、したがって参照番号(39/25)~(39/25)によって指定されるターゲット39を備える。
【0115】
図7の実施形態において、ターゲット(39、25)は、第2の電極11から電気的に分離され、これは、一実施形態では、それぞれのDCまたはパルスDC電源、一実施形態では、図6の実施形態の電源29sによるHIPIMS源によって実現される独立した電源29sa~29scによって、ターゲット(39、25)の各々に供給することを可能にする。代替的または追加的に(図示せず)、DCまたはパルスDC、場合によってはHIPIMS電源は、1つまたは2つ以上のターゲット(39、25)から1つまたは2つ以上の後続のターゲット(39、25)に時間多重方式において切り替えられ得、それによって、ソースコントローラ19(図7には示さず)によって、場合によっては、瞬間的に活性化されたターゲットに送達される出力電力を適応させる。
【0116】
電源29sa、29sb、...の各々は、図6の実施形態によれば、共通電極27にさらにオプションで接続され得、および/または電源29sa、29sb、...の少なくともいくつかは、専用電極27a、27b、27c、...にオプションで接続され得る。
【0117】
必要に応じて、電源29sa、29sb、...は、ここでも同様に、制御接続部CON17a、CON17b、...を介してソースコントローラ19(図1を参照)から制御され得る。電源29sa、29sb、...がパルスDC電源によって実現される場合、それぞれの電源が有効化されるタイムスパン、それぞれのデューティサイクル、それぞれのパルス繰り返し周期、それぞれのパルス振幅は、設定され、制御され、場合によっては時間とともに変化し得る。
【0118】
この制御の柔軟性は、ターゲット(39/25)a、(39/25)b、...とそれぞれの対向電極27との間に電源29sa、29sb、...によって印加される可能な電圧コースVを示す図8において例示されている。
【0119】
さらに、同様に図8において例示されているように、RfプラズマPLRFが間に生成される第1および第2の電極に送達されるオン/オフタイミングおよびRF電力は、制御接続部CONRFを介してソースコントローラ19によって制御され得る。電源29sまたは電源29sa、29sb、...のイオン化DCパルスの各々または少なくとも大部分の間、Rf電力は、通常オンであることに留意すべきである。
【0120】
図7の電源29sa、29sb、...の独立した制御は、ターゲット(39/25)a、(39/25)b、...からの異なる種類の材料を混合するために使用することができる。等しい材料のターゲット(39/25)a、(39/25)b、...は、基板の拡張された表面領域をコーティングするために、代替的または追加的に使用され得る。堆積の均一性を制御するために、各ターゲットスパッタリングのオン/オフ活性化タイミングおよび強度を設定することができる。
【0121】
本発明による装置の実施形態の2つのターゲットに電気を供給する異なる手法を、図7のものと類似した表現において、図9に概略的かつ簡略化して示す。電源29+-は、パルスDC電源について図9に概略的に示されているように、交互の電気極性で2つのターゲット(39/27)aおよび(27/39)bを相互接続する。パルス極性は、各パルスの後に反転されるか、またはパルス極性は、制御可能な時間範囲のパルス系列の後に反転される。図5の実施形態において設けられているような個別の電極27は、設けられない。図9において参照番号(39/27)aおよび(27/39)bによって概略的に指定されているように、ターゲット39a、39bのうちの1つが交互に電極27による電極になり、他方のターゲットが電極25になる。
【0122】
再び、必要に応じて、極性反転のタイミングおよび/またはパルス特性、すなわちパルス振幅、パルス長、デューティサイクルは、制御接続部CON17を介してソースコントローラ19によって制御され得る。
【0123】
図1の一般的な実施形態に関連して説明したように、これまでに例示したすべての実施形態において、基板ホルダ/第1の電極7は、1つまたは2つ以上の材料源17に対して、基板ホルダ/第1の電極7(図1を参照)の中心軸Aの周りを回転され得る。一実施形態において、1つまたは2つ以上の材料源17は、静止しており、基板ホルダ/第1の電極7は、回転される。
【0124】
材料源17または材料源17、17a、17b、...が1つまたは2つ以上のマグネトロンスパッタ源を備える実施形態を念頭に置いて、それぞれのターゲットは、平面E39に沿って延在して表されており(例えば、図6を参照)、いわゆる平面ターゲットである。
【0125】
これまでに説明した、図6に示すように平面E39に沿ってそれぞれ延在するターゲット39を有する平面マグネトロンスパッタ源として図全体を通して示されている、すべての実施形態におけるすべての単一および複数のマグネトロンスパッタ源は、それぞれ、円筒状ターゲットを有するマグネトロンスパッタ源によって置き換えられ得る。図10は、円筒状ターゲット39cylを有するそのような円筒状ターゲットマグネトロンスパッタ源37cylを概略的かつ簡略化して示す。
【0126】
円筒状マグネトロンスパッタ源37cylは、中心軸Acylの周りを駆動回転可能(ω39)な円筒状ターゲット39cylを備える。円筒状ターゲット39cylの中空空間45の内部には、マグネトロン磁場Hを生成するマグネトロン磁石(図示せず)を有する磁石区画41cylが設けられている。マグネトロン磁石を有する磁石区画41cylは、STにおいて概略的に示されているように静止している場合があり、またはΩによって指定されているように軸Acylの周りを駆動的に振動している場合もある。
【0127】
説明したように、そのような円筒状マグネトロンスパッタ源37は、図6図7図9におけるような平面マグネトロンのうちの1つまたはすべてを置き換え得る。円筒状ターゲット39cylは、第2の電極11と同じ電位で動作され得、それによって、第2の電極表面11aを拡大する。円筒状マグネトロンスパッタ源は、平面マグネトロン源について説明したように制御され得る。
【0128】
図6図7の実施形態において示し、ここまでに例示したように、平面E39に垂直な平面ターゲットの中心法線N39は、基板ホルダ/第1の電極7の中心軸Aに平行に延在する。
【0129】
図10によるカソードスパッタリング源の実施形態では、そのような中心法線N39cylは、軸Acylを組み込んだ平面において、および円筒状ターゲット39cylの長さの範囲の中心において定義され得る。この場合も、一実施形態における中心軸N39cylは、軸Aに平行に延在する。
【0130】
図11および図12は、図7および図9のものと類似した表現において、本発明による装置の実施形態および本発明による方法を動作させる実施形態を概略的かつ簡略化して示し、1つまたは2つ以上のターゲット39、39cylの法線N39、N39cylは、
2°≦α≦30°
が有効な角度αによって軸Aと交差する。
【0131】
それによって、説明したように傾斜した1つのターゲット39または39cylが設けられ得、または2つ以上のターゲットが設けられ得る。法線、すなわち法線N39、N39cylの交点Pは、基板ホルダ/第1の電極7上に存在する基板の表面上またはその近くにあり得る。
【0132】
第2の電極表面11aは、図13および図14に例示したように、第2の電極11のそれぞれの成形によってさらに拡大され得る。この成形は、プラズマを結果として生じる空洞内に分布させることができることを要件として、第2の電極11に堅固に接続されたフィンまたはプレートによって行われ得る。
【0133】
本発明による装置および方法の図1の一般的な説明から逸脱して、図15は、コンベア45を備える実施形態の部分を示す。コンベアは、基板ホルダ/第1の電極7の拡張された表面7aが延在する平面Eに平行な平面Eに沿って駆動部47によって制御可能に駆動される。コンベア45は、2つ以上の基板9を搬送し、駆動部47によって駆動されて、単方向に、基板ホルダ7と位置合わせされた位置までそれらの基板9を輸送する。最初はコンベア45の下の位置にある基板ホルダ7は、駆動部49によって、コンベア45におけるハンドリング開口部51を通って上方に制御可能に駆動され、破線におけるCPにおいて示すように、それぞれの基板9をコーティング位置に上方に持ち上げる。必要に応じて、シール53とともに破線において示すコーティング位置で基板ホルダ7を持ち上げることによって、内部空間1は、コンベアが存在する移送区画55に対して密封されるようになり得る。
【0134】
図16の実施形態によれば、基板ホルダ/第1の電極7は、静止しており、基板9は、制御可能に駆動されるロボット57によって基板ホルダ/第1の電極7にロードされ、基板ホルダ/第1の電極7からアンロードされる。
【0135】
図15および図16による実施形態においても、基板ホルダ/第1の電極7は、接地電位GNDにおいて動作されることに留意されたい。
【0136】
異なる圧力で動作される区画間で、および周囲/真空の界面を介して基板ハンドリングが実行される場合、単方向または双方向のロードロックが設けられなければならないことは、当業者には完全に明らかである。
【符号の説明】
【0137】
1 内部空間
3 真空コーティングチャンバ、真空層堆積チャンバ
3a 壁
5 真空ポンプ
7 基板ホルダ、基板ホルダ/第1の電極
7a 拡張された表面、表面
7b ボディ、金属ボディ
7e 領域、グリッドまたはラメラ領域
9 基板
10a タップ
10b 第2のタップ
11 第2の電極、電極
11a 第2の電極表面
13 Rf発生器
15 マッチボックス
17 材料源
17a 材料源
17aM 気体タンク、材料送達気体タンク
17b 材料源
17c 材料源
17M 気体タンク、材料送達気体タンク
17M 電子ビーム蒸発器
19 ソースコントローラ
21 くぼみ
23 気体供給口
25 電極、ターゲット
27 電極、共通電極、対向電極
27a 専用電極
27b 専用電極
27c 専用電極
29 供給源
29s パルスDC電源、HIPIMS電源
29sa~29sc 電源
29+- 電源
31 保護フィルタ
33 接続部、電気接続部
37 マグネトロンスパッタ源、マグネトロンスパッタリング源
37a マグネトロンスパッタ源
37b マグネトロンスパッタ源
37c マグネトロンスパッタ源
37cyl 円筒状ターゲットマグネトロンスパッタ源、円筒状マグネトロンスパッタ源
39 ターゲット
39b 裏側
39cyl ターゲット
39s スパッタリング表面
41 磁石区画
41cyl 磁石区画
45 中空空間、コンベア
47 駆動部
49 駆動部
53 シール
55 移送区画
57 制御可能に駆動されるロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】