(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】ハプティックホログラム
(51)【国際特許分類】
G03H 3/00 20060101AFI20250218BHJP
G03H 1/02 20060101ALI20250218BHJP
G03H 1/22 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
G03H3/00
G03H1/02
G03H1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542212
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2023051358
(87)【国際公開番号】W WO2023139205
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022101316.2
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】597141922
【氏名又は名称】カール ツァイス イェナ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ユングハンス、マルク
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ、ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】キューエル、シーメン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイティセク、ペトル
(72)【発明者】
【氏名】クラインディーンスト、ロマン
【テーマコード(参考)】
2K008
【Fターム(参考)】
2K008JJ00
(57)【要約】
本発明は、ハプティック知覚及びホログラフィック表示を生成するためのシステムに関する。このシステムは、光を発するための光源と、基板及び少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含む本体と、を含む。光源と、ホログラフィック光学素子を含む本体は、インタラクション領域内にホログラフィック表示を生成するように設計される。それと同時に、システムは、インタラクション領域の方向に音波を発するための1つ以上の音響トランスデューサを含み、それによってインタラクション領域内の圧力変動を力覚により知覚できる。システムは、基板が1つ以上の音響トランスデューサとインタラクション領域との間に配置され、そこを通って音声が伝播できる開口の形態の音声チャネルを有することを特徴とする。本発明はまた、本発明によるシステムの、ホログラフィック表示及びハプティック知覚を生成するための使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクション領域にハプティック知覚及びホログラフィック画像(3)を発生させるためのシステム(1)において、
a.光を発する光源(7)と、
b.基板(5)と少なくとも1つのホログラフィック光学素子(13、15、17、19、21、23)を含む本体であって、前記光源(7)と前記本体は前記インタラクション領域内にホログラフィック画像(3)を生成するように設計された本体と、
c.前記インタラクション領域の方向に音波を発出して、圧力変動が前記インタラクション領域(3)内で力覚により触知可能となるようにする1つ以上の音響トランスデューサ(9)と、
を含み、
前記基板(5)が1つの前記音響トランスデューサ又は複数の前記音響トランスデューサ(9)と前記インタラクション領域との間に配置され、前記基板(5)は1つ以上の音声チャネル(11)を含み、前記音波は少なくとも部分的に前記1つ以上の音声チャネル(11)を前記ホログラフィック画像(3)の方向に伝播することを特徴とするシステム(1)。
【請求項2】
透過ホログラム及び/又は反射ホログラムにより前記ホログラフィック画像(3)を生成するように設計されたことを特徴とする、
請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記基板は前記基板上の異なる位置にある入力結合領域(2)及び出力結合領域(4)を含み、前記光は前記基板(5)において前記入力結合領域(2)及び前記出力結合領域(4)間で反射、好ましくは全内部反射によって伝播することを特徴とする、
請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記入力結合領域(2)は前記基板(5)の周辺に配置され、及び/又は前記入力結合領域(2)は第一のホログラフィック光学素子(13)を含み、前記光は前記基板(5)へと入力結合され、前記第一のホログラフィック光学素子(13)によって前記基板(5)内で偏向可能であることを特徴とする、
請求項3に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記出力結合領域(4)は第二のホログラフィック光学素子(15)を含み、前記インタラクション領域内で前記ホログラフィック画像(3)を生成するための光は前記出力結合領域(4)を通って出ることを特徴とする、
請求項3又は4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
2、3、5、10、20、50、100、又はそれより多い音響トランスデューサ(9)を含み、前記音響トランスデューサ(9)は好ましくはアレイとして配置されることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記音響トランスデューサ(9)は、20kHz~100kHz、好ましくは30kHz~60kHzの周波数範囲の音声発出用に構成された超音波トランスデューサであることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記圧力変動は、搬送波周波数及び変調周波数を有する音響音波により生成され、前記搬送波周波数は好ましくは20~100kHzであり、及び/又は変調周波数は0.1Hz~500Hzの範囲内、特に好ましくは150Hz~250Hzの範囲内にあることを特徴とする、
請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記光源(7)は前記基板(5)の中又は外側に配置され、前記光源(7)は好ましくはレーザ及び/又はLEDであることを特徴とする、
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記1つ以上の音声チャネル(11)は前記基板(5)内の開口として形成されることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記1つ以上の音声チャネル(11)は楕円形及び/又は四辺形の断面を有することを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記1つ以上の音声チャネル(11)は前記基板内で傾斜角を有し、したがってこれによって前記ホログラフィック画像(3)に前記音波を集束させることが可能であることを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記1つ以上の音声チャネル(11)は、前記基板(5)内の出口領域又は出力結合領域(4)を部分的又は全体的に取り囲むことを特徴とする、
請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項14】
1つ以上の音声チャネル(11)は、前記基板(5)内の開口として、材料、好ましくは流体、特に好ましくは水、グリセリン、オイル、好ましくはシリコーンオイルで満たされ、前記材料は前記基板の屈折率に実質的に対応する屈折率を有することを特徴とする、
請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
1つ以上の音声チャネル(11)は、前記基板(5)内の開口として、材料、好ましくは流体で満たされ、膜又はフィルム(25)が前記基板(5)の少なくとも1つの前記充填済み音声チャネル又は複数の前記充填済み音声チャネル(11)の領域上に形成された状態で存在することを特徴とする、
請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項16】
前記基板(5)は1つ以上の音声チャネル(11)の前方及び/又は背後の、前記光が前記1つ以上の音声チャネル(11)内の伝播によって受ける前記光の補償(17)、偏向(19)、及び/又は拡大(21)のために構成された1つ以上のホログラフィック光学素子を含むことを特徴とする、
請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項17】
前記基板(5)は入力結合領域(2)及び出力結合領域(4)を含み、前記1つ以上の音声チャネル(11)は、前記出力結合領域(4)を少なくとも部分的に取り囲み、前記基板(5)の前記出力結合領域(4)まで通過する前記光は、1つ以上のホログラフィック光学素子(19)によって前記音声チャネルを通過するように操作され、及び/又は前記基板(5)の前記出力結合領域(4)まで通過する前記光は、光チャネル(23)によって音声チャネル(11)を通過するように案内され、前記光を拡大し、それをコリメートした状態で前記出力結合領域へと操作する1つ以上のホログラフィック光学素子(21)は好ましくは前記音声チャネルの下流にあることを特徴とする、
請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記基板(5)は、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマ(COP)、シクロオレフィンコポリマ(COC)を含む群から選択される光学プラスチック、及び/又は好ましくはホウケイ酸ガラス、B270、N-BK7、N-SF2、P-SF68、P-SK57Q1、P-SK58A、及び/又はP-BK7を含む群から選択される光学ガラスである材料を含むことを特徴とする、
請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項19】
好ましくは前記ホログラフィック画像に関する操作ジェスチャを識別するように設計された検出器を含むことを特徴とする、
請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載のシステム(1)の、インタラクション領域内にハプティック知覚及びホログラフィック画像(3)を生成することへの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第一の態様において、本発明はハプティック知覚及びホログラフィック画像を生じさせるシステムに関する。このシステムは、光を発する光源と、基板及び少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含む本体と、を含む。光源と、ホログラフィック光学素子を含む本体は、インタラクション領域にホログラフィック画像を生成するように設計される。それと同時に、システムは、インタラクション領域の方向に音波を発出し、インタラクション領域中で圧力変動が力覚により触知可能となるようにする1つ以上の音響トランスデューサを含む。
【0002】
システムは、基板が1つの音響トランスデューサ又は複数の音響トランスデューサとインタラクション領域との間に配置され、そこを通って音声が伝播できる開口として形成される音声チャネルを含むことを特徴とする。
【0003】
別の態様において、本発明は、本発明によるシステムの、ホログラフィック画像とハプティック知覚を発生させるための使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ホログラフィは、3次元実像の生成と構成を考え、写真術の延長と考えることのできる光学の一部門である。写真画像はある物体の2次元表現にすぎないのに対し、ホログラフィは3次元記録につながる。これに関して、物体の異なる種類の記録が有効となる。写真術では、例えばフィルムは各点において前記フィルムに到達する光の強度を示す。ホログラフィでは、それと対照的に、物体の追加的な光学情報が物体から発せられる波面に基づいて、特に振幅と位相によって考慮される。ホログラフィック記録で登録可能なその他の情報は、色スペクトル及び偏光に関し、それによって設計上の選択肢の種類が豊富になる。従来、記録された画像はホログラムと呼ばれ、適切な再生によりホログラムに基づいて生成される画像はホログラフィック画像と呼ばれる。
【0005】
ホログラフィの技術開発により、ホログラフィック画像を空間中に自由に生成して表示することができる。このプロセスにおいては通常、ホログラフィにより生成された微細構造が利用され、これは特定の波長スペクトルを有する、又は特定の入射角の光を偏向させるために使用される。観察者にとって、実際の物体又はアニメーションが空間中に自由に現れ得る。これに関して、ホログラフィックアイボックスで見える実像を参照する。ディスプレイ上の2次元画像と比較して、このような表現は、有利な点として、異なる側からも見ることができ、それゆえユーザはホログラフィック画像を様々な視点から観察でき、その結果、現実的な映像が現れる。
【0006】
それに加えてこのようなホログラフィック画像を空間中で力感により感知する、すなわち「感じる」ことができれば有利であろう。特に、動作概念(HMI)の範囲内で、これは光学的知覚と同時にタクタイルフィードバックが可能となるという点で有利である。例えば、ホログラフィック操作エレメント(キー、ボタン等)が認識可能となり、これは光学的に表示できるだけでなく、それと同時にユーザが感じることもできる。
【0007】
ハプティックフィードバックを提供するために、先行技術では、超音波を利用してユーザに知覚可能なフィードバックを出力できる超音波発生器の使用が開示されている。このために、超音波信号は低周波数により振幅変調でき、ユーザの皮膚に入射させることができる。超音波信号は皮膚上に圧力変動として作用し、力覚により知覚可能である。
【0008】
例えば、米国特許第9,612,658B2号明細書では、触覚の感覚のために音場を生成する装置が開示されている。このために、タクタイル信号を知覚しようとするユーザの手を電子視覚ディスプレイの上にかざすことができる。電子視覚ディスプレイの情報に音場を発生させるための超音波トランスデューサのアレイが電子視覚ディスプレイの下に位置付けられる。手の動きをハンドトラッカによって追跡して、異なる領域での適切な圧力知覚を可能にすることができる。
【0009】
国際公開第2014/181084A1号パンフレットでも、超音波トランスデューサのアレイにより音場を発生させる装置が開示されている。このために、音場内に点を発生させる方法が提案されており、これらは相互に関して、又はアレイに関して一定の空間関係を有する。
【0010】
独国特許出願公開第102017116012A1号明細書では、光学的映像の出力に加えて、音場を生成することによってタクタイルフィードバックを追加で提供できる表示装置が開示されている。表示装置は、複数のピクセルを有し、表示装置の前面上に光学的映像を作成する光学ディスプレイを含む。
【0011】
好ましくはディスプレイの裏面に配置される複数の音響トランスデューサは、ディスプレイの前方の空間内に触知可能な音場を生成するために提供される。好ましい実施形態において、音響トランスデューサのための制御信号に対して、ディスプレイの音響特性に基づいてプレディストーションが行われ、それによってディスプレイにより引き起こされる音響歪みの補償又は軽減が確実に行われる。代替的な実施形態は、そのピクセルがRGB色の3つのサブピクセルに隣接する音響透過領域を含むディスプレイを提供する。好ましくは、音響トランスデューサは音響透過領域と、音響トランスデューサがそれぞれ音響透過領域を少なくとも部分的にカバーするように整列させられる。この実施形態において、その結果として音響透過領域の大きさと配置はディスプレイのピクセルアレイにより明示されるが、これには、ディスプレイの前方の空間における音場の柔軟な生成に対して不利益な影響がある。
【0012】
ホログラフィック画像とハプティックフィードバックとの組合せに関しては、先行技術はこれまで、特に自動車への操作エレメントの提供に関する散発的な試みしか開示していない。
【0013】
例えば、独国特許公開第102016214478A1号明細書では、自動車のハンドルに取り付けられるホログラフィックディスプレイが開示されている。ホログラフィックディスプレイが操作されたときのハプティックフィードバックは、超音波パルスにより実現できる。超音波パルスがホログラフィックディスプレイ内のユーザが操作した位置に集中させられると、これはユーザに、実際のボタンの存在を模倣し得るハプティックフィードバックを提供できる。例えば、超音波パルスを生成するための超音波アレイをステアリングコラム内及び/又はダッシュボードの領域内に配置できる。
【0014】
独国特許出願公開第2016210213A1号明細書では、自動車の乗員と操作エレメントとのインタラクションの方法が記載されている。このために、その変調された個々の信号が仮想物体の表面上に建設的に重ねられる力覚により体験可能な超音波パルスが、アレイの形態で配置され得る複数の超音波トランスデューサによって生成される。例えば、仮想物体は操作機器を構成し得る。このようにして、ユーザのための操作ジェスチャは、高度に自動化された運転操作の範囲内で空間内で自由に行われるはずであり、ハプティック知覚に結び付けられるはずである。
【0015】
独国特許出願公開第102017211378A1号明細書では、ホログラフィ装置を有する表示装置を含む自動車用ユーザインタフェースが開示されている。ホログラフィ装置によって表現が空間内に自由に生成され、これはホログラムと呼ばれる。ユーザインタフェースは、力覚により体験可能な超音波パルスをユーザの皮膚上に生成するための超音波スピーカ機構を含み得る。したがって、ユーザは超音波による知覚可能な興奮に気付くことができ、それによってホログラムに触れたときにハプティックフィードバックが得られる。ユーザは、ホログラムとのインタラクションにより直接フィードバックを受けるため、それほど注意散漫にならないはずである。
【0016】
しかしながら、現時点での先行技術から知られているホログラフィック画像のハプティック知覚に関する装置及び方法には、幾つかの欠点がある。
【0017】
特に、それぞれの車両システムの中にホログラフィック画像等の触覚の感覚を提供するのに必要なコンポーネントを組み込むことは複雑であり、これは生産コスト及び制御に対して不利な影響を有する。
【0018】
それに加えて、既知のシステムには用途の選択肢に関する限界があり、これは特定のインタラクションジェスチャによって、同時のハプティック感覚及びホログラフィック表現ができないことから生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、先行技術の欠点を排除した、ホログラフィック画像を力覚により知覚するシステムを提供することである。特に、本発明の目的は、コンパクトな構造及び、多くのインタラクションの選択肢を有するホログラフィック画像及びハプティック知覚の、好ましくは簡単で費用対効果の高い手段を用いた効率的な生成を特徴とする、ホログラフィック画像を力覚により知覚するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
目的は、独立特許請求項の特徴により達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属項に記載されている。
【0021】
第一の態様において、本発明は、インタラクション領域にハプティック知覚及びホログラフィック画像を発生させるためのシステムに関し、これは、
a.光を発する光源と、
b.基板と少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含む本体であって、光源と本体はインタラクション領域内にホログラフィック画像を生成するように設計された本体と、
c.インタラクション領域の方向に音波を発出して、圧力変動がインタラクション領域内で力覚により触知可能となるようにする1つ以上の音響トランスデューサと、
を含み、
基板が1つの音響トランスデューサ又は複数の音響トランスデューサとインタラクション領域との間に配置され、基板は1つ以上の音声チャネルを含み、音波は少なくとも部分的に1つ以上の音声チャネルをホログラフィック画像の方向に伝播することを特徴とする。
【0022】
特に、システムのコンパクトな構造は、コンポーネントの配置によって、特に基板を音響トランスデューサとインタラクション領域との間に配置することによって可能となる。例えば、音響トランスデューサは、ホログラフィック光学素子を含む本体のすぐ背後に配置されて存在し得る。コンポーネントを応用システム、例えば車両の中の異なる領域に別々に組み込む必要がない。
【0023】
ホログラフィック画像とハプティック知覚を生成するためのコンポーネントを光及び音響軸上に位置付けることによって、さらに、例えば操作ジェスチャがインタラクション領域で行われたときにホログラフィック画像又はハプティック知覚の生成が損なわれるような場合における不利な影発生効果を回避することが可能となる。その代わりに、インタラクション領域においてホログラフィック画像を生成するための光の伝播及びハプティック知覚を生成するための音声の伝播の両方が、基板又は本体から始まるように実装される。
【0024】
インタラクション領域へのアクセスは、有利な点として、本体又は基板の前方の何れかの方向からも可能であり、それによってホログラフィック画像又はハプティック知覚の品質が損なわれる可能性がない。
【0025】
インタラクション領域から見て音響トランスデューサを本体又は基板の背後に提供しても、ここでは力覚体験はまったく減衰しない。その代わりに、本発明による音声チャネルによって、1つ以上の音響トランスデューサにより発せられた音波は確実にホログラフィック画像の方向に伝播し、ほとんど歪みや減衰を生じず、その結果、その最適な力覚感知が可能となる。特に、音波は有利な点として、特に効率的に使用され、それは音波の伝播の障害が音声チャネルによって防止されるからである。
【0026】
さらに、音波の提供のための基板に関する設計上の自由度が大きい。特に、ホログラフィック画像を生成することを目的として光を操作することに関しては最適化されるが音声の伝播は防止し得る光学ガラス又はプラスチック等の材料を利用できる。追加的に、基板には所望の堅牢さの構成を選択でき、これによって音波における圧力及び/又は強度の大きな損失はなく、その結果、ハプティック知覚の低下にもつながらない。その代わりに、基板中に適切な音声チャネルを導入することが好ましいものであり得、その形状及び/又は大きさは、光学的要求事項に応じて最適化され、それと同時に提供される力覚体験の品質低下を受け入れずに済む。
【0027】
また、本発明によるシステムによって、インタラクション領域において、特に標的を絞った正確な圧力最大値と圧力最小値を発生させることができることも有利である。それゆえ、音声チャネルの適切な位置付けを利用して、好ましい点として、干渉によってインタラクション領域の特定のエリアで所望の圧力を確実に得ることかできる。その結果、音声チャネルの配置自体を使って、ホログラフィック画像のハプティック知覚を可能にする圧力変動を生成することを目的とした強め合い又は弱め合いの干渉を所望の通りに形成できる。
【0028】
本発明によるシステムは、ヒューマン-マシンインタラクション(略語はHMI)の分野において特に有利であることがわかった。それゆえ、ハプティックフィードバックという形態の情報は音波によって特に有効に伝送され、これは好ましいことに、ホログラフィック画像の方向に伝播する。ホログラフィック画像との組合せにより、そのプロセスで様々な情報を提供できる。有利な点として、操作をハプティックフィードバックによってより安全により効率的に設計できる。例えば、操作は、少なくとも部分的に視認せずに実行でき、それは、ユーザが操作及び/又は操作エレメントに関するフィードバックを、触ったという感覚によって体験するからである。これにより、特に例えば自動車等の交通手段が使用される場合に、安全性が高まる。
【0029】
さらに、本発明によるシステムは、有利な点として、特に簡単に、コンパクトに、費用対効果の高い方法で提供できる。
【0030】
本発明の意味において、ホログラフィック画像とは好ましくは、ホログラフィック光学素子を利用して生成される光学画像を指す。これに関して、これはあらゆる所望のコンテンツ、例えば情報、アニメーション、又は物体又は操作エレメントの投影を指し得る。好ましい実施形態において、ホログラフィック画像は、空間内、特にインタラクション領域内に自由に存在する物体の3次元投影とすることができる。ホログラフィック画像は、物体を静的又は動的に表現できる。この実施形態では、物体が観察者にとって空間中に自由に、すなわち好ましくは本体の前方のある距離において出現することが好ましい。これに関して、これは好ましくは、ホログラフィックアイボックスとして知られるものの中に見える実像に関する。ディスプレイ上で形成される2次元画像と比較して、このような表現は、有利な点として、異なる側から見える。それゆえ、観察者は好ましくは、ホログラフィック画像を異なる視点から観察でき、その結果、現実的な映像が得られる。好ましい実施形態において、ホログラフィック画像は、基板と少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含む本体の前方の1mm、2mm、5mm、10mm、2cm、5cm以上より長い距離に現れ得る。
【0031】
別の実施形態において、ホログラフィック画像は投影表面上に生成でき、投影表面は透明、一部透明、又は不透明表面とすることができる。例えば、ホログラフィック画像は、操作フィールド、ジョイスティック、キーボード、及び/又はトラックボールを表し得るが、これらの例に限定されない。
【0032】
一般に、ハプティック知覚は好ましくは、皮膚の表面感覚を利用して物体の大きさ、色、手触り、温度、及び/又は質量を積極的に感知することを指し、タクタイル知覚は機械的刺激の受動的知覚に関する。皮膚の表面感覚とは好ましくは、受容体により付与される、外的刺激に対する皮膚の感覚を指す。特に、これは中でも、機械的受容体により提供される、触った感覚を含む。好ましい実施形態において、ハプティック知覚は、実際のホログラフィック画像、例えばその輪郭を感知することを含み得る。しかしながら、ハプティック/タクタイル知覚のための局所的な圧力変動が知覚可能なホログラフィック画像の空間的に近くにのみ生成されることも同様に好ましいものであり得る。例えば、ホログラフィック画像をスクリーン上に投影して、スクリーンの上方にハプティック知覚を生成することが好ましいものであり得、前記知覚はスクリーンに(例えば、操作フィールドに)投影される光学的コンテンツに対応する。
【0033】
本発明に関して、「ハプティック知覚」、「タクタイル知覚」、「ハプティックフィードバック」、「力覚の感覚」、「ハプティック信号」、及び/又は「ハプティクス」という語句は同義的に使用でき、特に、空中の(超音波)圧力変動により与えることのできる知覚を指すことができる。
【0034】
好ましくは、インタラクション領域とは、ホログラフィック画像がユーザによって光学的に知覚され、それと同時にハプティック/タクタイル知覚も可能とされる空間領域を指す。好ましくは、インタラクション領域は、システムのコンポーネントのそれぞれの配置によって、及び/又は行われる設定によってサイズを拡縮できる。例えば、音の強さは距離の二乗に比例して小さくなることが知られている。例えば、音響トランスデューサの具体的な配置によって、インタラクション領域を拡張することもできる。音声チャネルの特定の配置はまた、インタラクション領域も拡張できる。したがって、インタラクション領域は、その逆によりサイズを縮小できる。それに加えて、インタラクション領域は、光源及び/又はホログラフィック光学素子の位置決めによってサイズを増大、又はサイズを縮小できる。
【0035】
別の好ましい実施形態において、インタラクション領域はアイボックスを含み得る。好ましくは、アイボックスとはホログラフィック画像が見ている人又はユーザによって仮想画像として認識可能である平面又は空間領域を指す。仮想画像平面、すなわち仮想画像が生成される平面は、投影表面上又はその背後に配置できる。
【0036】
光源は、電気エネルギを光に変換するために使用されるあらゆるタイプの発光手段を含む。光源は好ましくは、本体の方向に光を発するように構成される。特に、本体と光源はホログラフィック画像を生成するように設計される。好ましくは、ホログラフィック画像の提供は少なくとも1つのホログラフィック光学素子により実行される。
【0037】
それゆえ、光源から発せられた光は光入射領域に入射させられ得る。好ましくは、光入射領域とは、基板上の、光が基板に入る領域を指す。光は、ホログラフィック画像を生成するために光射出領域で再び現れる。光入射領域と同様に、光射出領域とは、基板の、ホログラフィック画像を生成するために光が現れる領域を指す。
【0038】
本発明の意味において、ホログラフィック光学素子(略語はHOE)は好ましくは、ホログラフィ方式により提供され、光学的機能を果たすコンポーネントを示す。好ましい実施形態において、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は特定の光学的機能を果たすホログラムである。したがって、本体に入射する光のビーム経路は少なくとも1つのホログラフィック光学素子により影響を受ける。例えば、光学的機能は、光の透過、反射、回折、散乱、及び/又は偏向とすることができる。有利な点として、ホログラフィック光学素子は、費用対効果の高い方法で製造できる。さらに、ホログラフィック光学素子は堅牢であり、障害を生じにくく、長期的に安定である。さらに、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は、それが特に平坦に設計でき、したがってきわめてわずかなスペースしか必要としないことが特徴的である。
【0039】
少なくとも1つのホログラフィック光学素子は好ましくは、複数の波長に関して光学的機能を果たすように設計される。この目的のために、例えば、各々が例えば1つの波長の光を回折させる複数のホログラム、及び/又は複数の波長の光を回折させる複数のホログラムをホログラムスタックとして配置できる。
【0040】
好ましくは、ホログラフィック画像は本体の前方正面に生成される。「~の前方に」という語句は好ましくは、インタラクション領域を含む領域を意味する。好ましくは、音響トランスデューサは基板の背後にある。「背後に」という語句は好ましくは、音響トランスデューサが存在する領域内に位置付けることを意味する。これらの領域はまた、本発明に関しては「前方領域」及び「後方領域」という用語でも説明できる。特に、インタラクション領域は、基板の前方にある。好ましくは、前方領域と後方領域は、本体によって相互に分離される。
【0041】
好ましい実施形態において、光源を基板の前方に配置して、前方領域から発せられた光が本体の表面又はその中に到達するようにすることができる。光源が基板の前方に配置された場合、少なくとも1つのホログラフィック光学素子が前方から入射した光線を反射して前方領域にホログラフィック画像を生成する反射ホログラムを含むことが好ましいものであり得る。同様に、少なくとも1つのホログラフィック光学素子が透過ホログラムを含み、前方の空間方向からの光線が当初は回折せずに透過ホログラムを通過するようにすることが好ましいものであり得る。好ましくは、光線は基板で、又は別の反射ホログラムで反射させることができ、その後、後方から透過ホログラムに入射する。反射ホログラム及び/又は透過ホログラムの様々な組合せが考えられ、本発明による構成の中で使用できる。
【0042】
好ましい実施形態において、光源を基板の後方に配置して、後方領域から発せられた光が本体の表面又はその中に到達するようにすることができる。光源が主基板の背後に位置付けられた場合、少なくとも1つのホログラフィック光学素子が、後方から入射した光線を透過させて、前方領域にホログラフィック画像を生成する透過ホログラムを含むことが好ましいものであり得る。同様に、少なくとも1つのホログラフィック光学素子が反射ホログラムを含み、好ましくは後方の空間方向からの光線が当初、回折せずに反射ホログラムを通過するようにすることが好ましいものであり得る。光線は基板において、又は別の反射ホログラムによって反射されて、その後、前方の方向から反射ホログラムに案内され得る。反射ホログラム及び/又は透過ホログラムの様々な組合せかせ考えられ、本発明による構成の中で使用できる。
【0043】
さらに、光源が、光線がエッジリット型構成に対応するように、主基板の縁部で発せられるように配置されることが好ましいものであり得る。エッジリット型構成の場合も、透過ホログラム、反射ホログラム、又は透過ホログラムと反射ホログラムの組合せが利用されることが好ましいものであり得る。
【0044】
さらに、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は基板の表面に接続され得る。例えば、接続は接着剤による結合及び/又は積層によって可能とすることができる。さらに、少なくとも1つのホログラフィック光学素子がフィルムとして基板に接続されることが好ましい。例えば、フィルムはまた、光入射領域及び/又は光射出領域の部分においてのみ基板に接続されてもよい。代替的実施形態において、少なくとも1つのフィルムの形態の少なくとも1つのホログラフィック光学素子と基板との間の接続は、実質的に全面積にわたって形成されてもよい。
【0045】
特に、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は、光のビーム経路を、例えば回折、反射、透過、及び/又は屈折によって変更するように構成される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのホログラフィック光学素子はホログラムを含む。例えばレンズやミラーの場合のように透過又は反射物体の幾何学形状によってではなく、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は好ましくは、ビーム経路内の光を、例えば屈折率の変化等、ホログラムに記憶された情報によって変更する。この場合、少なくとも1つのホログラフィック光学素子のために使用されるホログラムは、好ましくは実際の物体の画像として生成されず、好ましくは各種の平面又は球面光波の重畳として生成され、その干渉パターンにより所望の光学的効果が得られる。
【0046】
好ましくは、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は1つ以上のホログラムを含む。この場合、各ホログラムは少なくとも1つの所定の波長で記録される。ホログラフィック光学素子は、例えば複数のホログラムを含み得て、これらは上下に重ねてスタックとして配置できる。例えば、ホログラフィック光学素子は多数の、好ましくは複数の単色ホログラムを有することができる。代替案として、ホログラフィック光学素子は、少なくとも2つの所定の波長で記録される少なくとも1つのホログラムを含むことができる。好ましくは、このようなホログラムは、所定の色空間の3種類の波長で記録され、例えば、RGBホログラム若しくはCMYホログラム、又は異なる色空間の複数の個々の波長から形成されるホログラムとして構成される。これらの例において、Rは赤、Gは緑、Bは青、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yは黄色である。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は、感光ガラス、ニクロム酸ゼラチン、フォトポリマ、ポリカーボネート、及び/又はトリアセテートを含む群から選択される材料を含む。特に、これらの材料はフィルムに取り付け、及び/又はフィルム自体として形成若しくは提供できる。
【0048】
本体は好ましくは、基板と、少なくとも1つのホログラフィック光学素子を含む。例えば、基板は、厚さがセンチメートル、ミリメートル、又はサブミリメートルの範囲の円形又は正方形のウェハとすることができる。少なくとも1つのホログラフィック光学素子は好ましくは、基板の表面に、すなわち前面及び/若しくは後面に接続され、又は基板内に埋め込まれる。本体の前面及び後面は、平面の表面の形態とすることができる。これに関して、本体は例えば平行平面板又はウェハの形態とすることができる。しかしながら、前面及び/又は後面が湾曲した実施形態を有することも可能である。本体は、ガラス及び/又はプラスチックを含み得る。さらに、本体は一体型とすることも、多層構成とすることもできる。本体は同様に、透明又は一部透明とすることもできる。特に、基板も同様に透明又は一部透明の実施形態を有し得る。好ましくは、透明又は一部透明な本体及び/又は基板は光源からの光を透過させ得る。
【0049】
本発明の意味において、音響トランスデューサとは好ましくは、電気信号を特に音響信号に変換する装置を指す。特に、音響信号とは音波の制御された発出を指す。したがって、本発明による内容において、音響トランスデューサは音源としての役割を果たす。
【0050】
本発明の意味において、音声チャネルは特に基板内の開口を指し、それによって音声はインタラクション領域内でホログラフィック画像の方向に伝播できる。音声チャネル又は開口は好ましくは、後面から前面へと、基板の厚さ全体にわたり、又は好ましくは少なくともその50%、60%、70%、80%、90%以上を超える長さにわたって延びる。開口は、基板材料がないことにより特徴付けられる。開口は、実質的に空気で満たすことができる。音声チャネルを形成するために、異なる媒質、好ましくは音伝導媒質を開口内に導入することが好ましいものであり得る。
【0051】
有利な点として、音圧、特に音圧に関する変動がインタラクション領域内で感知でき、その結果、有利な点として、ホログラフィック画像が力覚により知覚可能となる。ホログラフィック画像のハプティック知覚は、用途に応じて、開口の配置、数、形状、及び/又は大きさによって調整できる。
【0052】
有利な点として、ハプティック知覚の生成のための音声伝播とホログラフィック画像生成のための光の伝播は、光軸又は音響軸に沿って実装できる。
【0053】
先行技術ではこのような配置は開示されておらず、これは、光学コンポーネントが音声、特に超音波に関して不利な透過性を有するからである。例えば、基板材料としてのガラス及び/又はプラスチックは実質的に音波を透過させず、それによって基板の背後の光軸上に音響トランスデューサをコンパクトに配置することは、ハプティック知覚に関する不利な影響を避けずには実行可能であるようには思われなかったからである。
【0054】
それに対して、本発明者らは、基板内に音声チャネルを設けることにより、音声、特に超音波が、有利な点として、ホログラフィック画像を生成するものと同じ(光学)基板を通って、歪められずに案内されることが可能になることに気付いた。
【0055】
別の好ましい実施形態において、システムは、システムが透過ホログラム及び/又は反射ホログラムによってホログラフィック画像を生成するように設計されることを特徴とする。
【0056】
少なくとも1つのホログラフィック光学素子は好ましく、そのために反射ホログラム及び/又は透過ホログラムを含む。好ましくは、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は光学的機能、例えば透過及び/又は反射を行う。有利な点として、それゆえ、ホログラフィック画像と、特に、インタラクション領域でのハプティック知覚を生成することを目的とした、光源、本体、及び音響トランスデューサのコンポーネントの様々な幾何的配置を可能にすることかできる。その結果、有利な点として、インタラクション領域を調整し、それを用途及び設置空間に応じて最適化することも可能となる。それゆえ、ユーザは、有利な点として、複数の位置に移動して、ホログラフィック画像を光学的且つ力覚的に同時に感知することができる。
【0057】
少なくとも1つのホログラフィック光学素子により含まれるホログラムの種類の名前は好ましくは、果たされる光学的機能に関する、及びホログラムを再生するためのシステムコンポーネントの配置に関する表示を提供する。
【0058】
反射ホログラムは、光源から入射する光を反射し、その結果、ミラーのように機能する反射ホログラムである。反射ホログラムの場合、光源は基板の前方又は後方に配置できる。例えば、光源は基板の前方に配置され、その発光をこの前方の空間方向から反射ホログラムへと方向付けることが好ましいものであり得る。その結果、反射ホログラムが使用される場合、光入射領域と光射出領域は同じであり得、すなわち光線は光入射領域を通って販社ホログラムに入射し、前記反射ホログラムによって反射されて、同じ領域から再出現して、ホログラフィック画像を表示する。同様に、光源を基板の後方に配置して、当初、その空間方向からのその発光行を、回折させずに反射ホログラムを通って方向付けることが好ましいものであり得る。光は好ましくは、基板で、又は別の反射ホログラムにより反射されて、その後、前方の方向から反射ホログラムに入射するようにすることができる。
【0059】
ある所定の波長に関して、反射ホログラムは、有利な点として、高い効率及びより高い波長選択性でより広い角度スペクトルを受け入れる。その結果、入射スペクトルが広角であるにも関わらず、色は相互に分離できる。特に、有利な点として、ホログラフィック画像のための広い視野及び、それと同時に高い照射効率を実現できる。
【0060】
幾つかの実施形態において、2つの反射ホログラムをビーム経路内に連続して配置することが好ましいものであり得、光源は好ましくは基板の後方に配置される。第一の反射ホログラムにより、光源からの光波は実質的に回折せずに第一の後方にある第二の反射ホログラムへと通過できる。第二の反射ホログラムは光線を第一の反射ホログラムへと反射し、又は回折させる。第一の反射ホログラムでは、基板の前方にホログラフィック画像を生成するために反射又は回折が行われる。その結果、このように配置された反射ホログラムによって、透過ホログラムと同様の構成が可能となり、しかも反射ホログラムの上述の利点を利用できる。
【0061】
透過ホログラムの場合は光源からの光は透過させられる。透過ホログラムが使用された場合、光源は基板の前方又は後方に配置することが好ましい。例えば、光源を基板の後方に配置して、その発光を透過ホログラムへと方向付け、それが後方のこの空間方向からの光線を回折させるようにすることが好ましいものであり得る。この場合、光入射領域と光射出領域は、特に基板の反対側に配置される。同様に、光源を基板の前方に配置して、当初、その空間方向からのその発光を回折せずに透過ホログラムを通るように方向付けることが好ましいものであり得る。好ましくは、光は基板内で反射されて、その後、後方の方向から透過ホログラムに入射し、前記透過ホログラムによって回折されるようにすることができ、その結果、ホログラフィック画像は前方領域に生成される。色の歪みを回避するためには、透過ホログラムが好ましいものであり得る。さらに、透過ホログラムからのホログラフィック画像は、有利な点として、大きい被写界深度を有し、すなわち、特に観察がピントの合った状態で識別できる領域が拡張される。
【0062】
別の好ましい実施形態において、システムはエッジリット型構成によりホログラフィック画像を生成するように設計される。好ましくは、エッジリット型構成とは、基板の縁部又は周辺領域への光の放射と前方領域にホログラフィック画像を生成するための発光を指す。エッジリット型構成の場合、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は好ましくは、この目的のために基板上に、又は基板内に埋め込むことができる。さらに、少なくとも1つのホログラフィック光学素子は、エッジリット型構成の場合であっても反射ホログラム及び/又は透過ホログラムとすることができる。好ましくは、基板は、エッジリット型構成が使用される場合、光導体として設計される。その結果、光源の照明は光を反射によって、好ましくは全内部反射によって基板内で、又は基板を通って伝播させることができ、ホログラフィック画像をインタラクション領域に表示できる。
【0063】
エッジリット型構成が使用されるときに光源を本体及び/又は基板自体に組み込むことができる状況は特に有利であり、それによってホログラフィック画像の特にコンパクトで慎重にアラインメントのとられた表示が確実に行われる。特に、ホログラフィック画像は特に鮮明に出現でき、その結果、観察者は物体の特に現実的な画像を体験する。この目的のためには反射ホログラムを使用することが好ましいものであり得、それは、これらを使って特に現実的表示のために明るさと輪郭の鮮鋭さを最適化できるからである。
【0064】
基板の縁部とは好ましくは、基板のうち、基板の長さ及び/又は幅より実質的に小さい厚さを有する側方領域を指す。例えば、縁部の厚さは約0.2mm、約0.5mm、約1mm、5mm、10mm、50mmとすることができる。この場合、基板の縁部の厚さと長さ及び/又は幅の比は1:10より大きく、1:50より大きく、又は1:100より大きくすることができる。本発明による内容では、基板周辺及び縁部という用語は同義で使用できる。
【0065】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板が基板の異なる位置にある入力結合領域と出力結合領域を含み、光が基板内において入力結合領域と出力結合領域との間で反射により、好ましくは全内部反射により伝播することを特徴とする。
【0066】
その結果、基板は有利な点として、光導体としても機能し、光はその中を伝播して、インタラクション領域にホログラフィック画像を提供することができる。これに関して、「入力結合領域」及び「出力結合領域」という用語は、基板自体が光導体として設計された場合に基板の入口部分及び出口部分を説明するものとする。
【0067】
これに関して、入力結合領域とは好ましくは、基板のうち、光が基板を通過できるようにし、光が基板と入力結合される領域を指す。好ましくは、入力結合領域は、光を基板へと入力結合するために使用されるホログラフィック光学素子を含み得る。
【0068】
入力結合領域はまた、幾つかの実施形態において、透明又は一部透明な構成も有し得る。所望の透過率の場合、例えば回折構造による放射の入力結合は、正確には非常に効率的であるため、十分な放射パワーが出力結合領域に入射する。一部透明の入力結合領域は、入力結合効率が例えば2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%以上となるように実装できる。この場合,入力結合効率とは、透過できる、したがって基板内に導入できる光の比率を指す。
【0069】
特に、基板内の光の入力結合とは、その中への光の入射と伝播を指す。基板内の光の伝播は好ましくは反射により、特に好ましくは全内部反射により行われる。全内部反射によって、特に、光は領域から制御不能に発せられるのではなく、出力結合領域の方向に、標的を絞った方法で操作され、ホログラフィック画像が出力結合領域の領域内に、又はそこから表示される。
【0070】
全内部反射の原理は、2つの媒質の移行部の界面への光の入射によって例示できる。光ビームが光学密度の異なる第一の媒質から第二の媒質に通過すると、界面においては2つの現象が生じ得て、具体的には、光の一部が屈折して第二の媒質に入るか、光の一部が反射されて第一の媒質に残る。第一の媒質の光学密度が第二の媒質より高いと、屈折したビームは特定の入射角より大きい角度では界面に平行に走る。入射角がさらに大きくなると、光は第二の媒質には入り込まなくなり、光ビームは全反射される。これは全内部反射と呼ばれる。本発明による内容では、「全内部反射」という表現は基板内の全内部反射を意味し、基板は好ましくは光導体として機能する。
【0071】
全内部反射は、前面で、後面で、及び基板内で発生し得る。また、光を基板内で反射により、好ましくは全内反射により伝播させるために、反射層若しくはコーティング又は一部反射層若しくはコーティングを提供することも可能である。
【0072】
好ましくは、基板に沿った、又は基板内での光の伝播はまた、エッジリット型構成を利用しても実装できる。好ましくは、これに関して、光は基板の1つの縁部で入射し、基板内を、好ましくは、例えばホログラムであり得る少なくとも1つのホログラフィック光学素子まで伝播する。HOEの効果の結果として、光は好ましくは出力結合領域において出現して、ホログラフィック画像を好ましくはインタラクション領域内に表示する。
【0073】
好ましくは、出力結合領域は、基板の光導体としての領域を指し、そこから光が出力結合されて、ホログラフィック画像をインタラクション領域内に結像する。好ましくは、出力結合領域は、基板からの光を出力結合するために使用されるホログラフィック光学素子を含み得る。
【0074】
入力結合領域と同様に、出力結合領域は幾つかの実施形態において透明又は一部透明の形態を有することができる。例えば、出力結合領域の出力結合効率は、例えば2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%以上とすることができる。この場合、出力結合効率は、透過可能な、したがって基板から出ることのできる光のパーセンテージを示す。
【0075】
別の好ましい実施形態において、システムは、入力結合領域が基板の周辺に配置され、及び/又は入力結合領域が第一のホログラフィック光学素子を含み、光は基板へと入力結合可能であり、且つ第一のホログラフィック光学素子により基板内で偏向可能であることを特徴とする。
【0076】
有利な点として、基板内の光ビーム経路は、光が基板内で伝播できるようにするために、適切な光学的機能を有する第一のホログラフィック光学素子により精密に設定できる。第一のホログラフィック光学素子は、基板の前面に、後面に、縁部に、及び/又はその中に存在できる。
【0077】
好ましくは、第一のホログラフィック光学素子は反射又は透過ホログラムの形態である。光の入力結合がエッジリット型構成によって実装される場合も、第一のホログラフィック光学素子が反射又は透過ホログラムであることが好ましい。
【0078】
別の実施形態において、入力結合領域は回折構造を含み得て、これは基板の前面及び/又は後面に形成される。例えば、入力結合領域の回折構造は、埋込回折構造又は基板の前面若しくは後面の回折構造の形態とすることができる。同様に、入力結合領域の回折構造が透過又は反射レリーフ格子を含むこともできる。
【0079】
別の好ましい実施形態において、システムは、出力結合領域が第二のホログラフィック光学素子を含み、ホログラフィック画像をインタラクション領域に生成するための光は出力結合領域を通って射出することを特徴とする。
【0080】
有利な点として、光は第二のホログラフィック光学素子によって標的を絞った方法で出力結合され、その結果、ホログラフィック画像をインタラクション領域内の所望の位置に生成できる。別の実施形態において、第二のホログラフィック光学要素は反射又は透過ホログラムの形態とすることができる。有利な点として、光は、ホログラフィック画像がインタラクション領域内に出現するように、反射又は透過によってインタラクション領域に入る。
【0081】
出力結合領域は、別の実施形態において回折構造を含む。出力結合領域の回折構造は、埋込回折構造又は基板の前面若しくは後面上の回折構造の形態とすることができる。特に、反射又は透過ホログラムは回折構造として提供できる。さらに、出力結合領域の回折構造を透過又は反射レリーフ格子とすることが可能である。出力結合領域も同様に、鏡面、プリズム、及び/又は反射若しくは透過フレネル構造を含み得る。これらの変形は、出力結合領域の回折構造の代替案として、又は回折構造に追加して提供できる。
【0082】
好ましくは、回折構造とは、光源から発せられる光ビームを整形するための光学素子を指す。好ましくは、回折構造は微細構造を含み、これは例えばフォトリソグラフィにより設けられる。微細構造の中では成分ビームの異なる光路長により位相変調が起こり、それによって干渉パターンが発生する。追加的に、振幅は強め合い及び弱め合いの干渉により変調される。それゆえ、巧妙な設計により、ビームの強度パターン及び/又は経路を操作して、ホログラフィック画像を生成することができる。
【0083】
別の好ましい実施形態において、システムは、システムが2、3、5、10、20、50、100、又はそれより多くの音響トランスデューサを含み、音響トランスデューサは好ましくはアレイとして配置されることを特徴とする。
【0084】
音響トランスデューサは好ましくは、光波をホログラフィック画像の方向に発するように構成される。特に、音響トランスデューサは好ましくは、この場合、「基板の背後に」配置され、すなわち基板はインタラクション領域と音響トランスデューサとの間に配置される。有利な点として、音場はインタラクション領域内に複数のトランスデューサによって、特にアレイによって生成できる。これに関して、音場は圧力及び/又は強度分布によって区別され、好ましくはホログラフィック画像の異なる領域で人の皮膚に異なるハプティック知覚を提供できる。特に、異なる力が皮膚に作用し、ホログラフィック画像により可視化される物体の形状及び/又は構造を力覚により再現する。例えば、自動車のジョイスティック及び/又はキーボードは、ホログラフィック画像として表現できる。ジョイスティックのうち触られる領域及び/又はキーボードのキーは、これらの物体のその他の部分とは異なる圧力及び/又は力の感覚を有し得る。
【0085】
好ましくは、1つ又は複数の音響トランスデューサは1つ以上の位相制御コンポーネントに接続される。有利な点として、音響トランスデューサにより発せられた音波の位相には、位相制御コンポーネントによって開ループ及び/又は閉ループ制御を行うことができる。ここで特に有利なのは、圧力がホログラフィック画像及び/又はインタラクション領域の特定の領域で最大化及び/又は最小化されるように位相を設定でき、その結果、ホログラフィック画像の特に現実的なハプティック知覚が生成されることである。
【0086】
本発明の別の実施形態において、音響トランスデューサは圧力パターンの所定の分布を生じさせ、その結果、インタラクション領域の1つの部分でホログラフィック画像の第一のハプティック感覚が提供され、インタラクション領域の別の部分ではホログラフィック画像の第二のハプティック知覚が提供される。
【0087】
異なるハプティック感覚を提供することにより、本発明によるシステムでは、ユーザは、形状、構造、及び/又は入力を識別し、及び/又は具体化するために、例えばその手を正しい位置に正確に持っていくことができる。さらに、システムは、例えばユーザの手がホログラフィック画像とのインタラクションのための正しい位置にあるときに、ユーザにハプティックフィードバックを提供するように構成できる。例えば、ユーザの指がホログラフィック画像のキーボードの再生及び/又は一時停止コントローラ又は音量コントローラの領域に置かれたときに、振動を伝達できる。代替的に、フィードバックの認識された強さ又は強度を増大させることもできる。例えば、制御のジェスチャが終わったときも、ハプティックフィードバックがあり得る。特に、システムは、ホログラフィック画像上の、その中の、及び/又はそれに沿ったユーザのジェスチャ及び/又は制御を登録できるように構成できる。
【0088】
音響トランスデューサは好ましくは、アレイとして配置される。本発明の意味において、アレイとは音響トランスデューサの配置、すなわち位置漬けに関する幾何学構成を指す。例えば、音響トランスデューサは1次元、2次元、又は3次元に配置できる。好ましくは、音響トランスデューサは、グリッドとして配置され、及び/又は相互からの距離が一定である。例えば、音響トランスデューサの相互からの距離は、最大約250mm、約200m、約150mm、約100mm、約50mm、約20mm、約10mm、約5mm、約2mm、又は約1mmであり得る。
【0089】
別の実施形態において、音声伝播のためにビームフォーミング技術を使用することが好ましいものであり得る。その結果、位相制御コンポーネントの制御により、音波は、例えば特定の領域で特定の圧力上昇を得るために、干渉によって指向的に発せられるようにすることができる。
【0090】
好ましくは、本発明によるシステムは、音響トランスデューサの位相、強度、強度分布、圧力、及び/又は周波数の閉ループ制御を行うように構成された制御ユニットを含む。有利な点として、音響トランスデューサは平面に沿って最大180°、好ましくは最大120°、特に好ましくは最大80°、非常に特に好ましくは最大50°、さらにより好ましくは最大30°、非常に好ましくは最大10°の角度にわたり発することができ、その結果、音波は特に焦点を絞って発出できる。
【0091】
有利な点として、音波は音声チャネルによってほとんど歪むことなく基板を通過でき、その結果、ユーザはホログラフィック画像の特に現実的なハプティック知覚を体験する。例えば、約10~40cmの距離で約40~70°の角度範囲にわたり10~50Pa(パスカル)の所望の圧力を実現できる。音声のパラメータ設定は好ましくは、制御ユニットによって設定及び/又は制御できる。
【0092】
好ましくは、システムはまた、システムのコンポーネント、例えば超音波トランスデューサ又は光源を制御するためのコントローラも含む。
【0093】
本発明の意味において、制御ユニットとは好ましくは、システムのコンポーネント、例えば超音波トランスデューサを、音波のパラメータ(例えば、位相、強度、圧力、周波数等)を指定することによって自動的に制御するためのプロセッサ、プロセッサチップ、マイクロプロセッサ、及び/又はマイクロコントローラ等のコンピューティングユニットを指す。別の好ましい実施形態において、制御ユニットは、例えばコンピュータ、コンピュータデバイス、又はコンピュータシステム等のコンピューティングマシンとすることができる。コントローラのコンポーネントは、従来通りに、又はそれぞれの実装に合わせて個別に構成できる。好ましくは、コントローラは、プロセッサ、メモリ、及び装置のコンポーネントを制御するためのコンピュータコード(ソフトウェア/ファームウェア)を含む。
【0094】
好ましくは、制御ユニットは好ましくは、プログラム可能回路板、マイクロコントローラ、又はシステムのコンポーネント、特に音響トランスデューサ又は光源からのデータ信号を受信し、処理するための他のあらゆるコンポーネントとすることができる。好ましくは、制御ユニットはまた、その上に好ましくはコンピュータソフトウェア又はコードがインストールされるコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読可能媒体、例えばハードディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等も含む。本発明によるシステムのコンポーネントを制御するためのコンピュータコード又はソフトウェアは、何れかの所望のプログラミング言語又はモデルベース開発環境でも書くことができ、これは例えばC/C++、C#、Objective-C、Java、Basic/VisualBasic、MATLAB(登録商標)、Simulink、StateFlow、Lab View、又はアセンブラである。
【0095】
コントローラは特定の動作ステップ、例えば音響トランスデューサの位相、強度分布、圧力、及び/又は周波数の制御を実行するように構成される、という語句は、コントローラにインストールされ、これらの動作ステップを開始し、制御するカスタマごとの、又は標準のソフトウェアを含み得る。
【0096】
別の好ましい実施形態において、システムは、音響トランスデューサが20kHz~100kHz、好ましくは30kHz~60kHzの周波数範囲の音声を発するように構成された超音波トランスデューサであることを特徴とする。
【0097】
特に効率的なハプティック知覚は、有利な点として、超音波トランスデューサの使用の結果として実現され得る。さらに、超音波トランスデューサはハプティック又はタクタイル感覚投影の技術分野において、ハプティックフィードバックを最適且つ容易に生成するために価値があることがわかった。これに関して、超音波トランスデューサとは、特に適切な周波数範囲の超音波を発する音響トランスデューサを指す。
【0098】
別の好ましい実施形態において、システムは、圧力変動が搬送波周波数及び変調周波数を持つ音響音波により生成され、搬送波周波数は好ましくは20kHz(キロヘルツ)~100kHzであり、及び/又は変調周波数が0.1Hz(ヘルツ)~500Hzの範囲、特に好ましくは150Hz~250Hzの範囲内にあることを特徴とする。好ましくは、これは制御ユニットにより制御できる。
【0099】
0.1Hz~500Hzの周波数の音響波の変調により、有利な点として、ユーザはホログラフィック画像を特によく力覚的に知覚できることになる。特に、これは人の皮膚の機械的受容体が特にこれらの周波数に対して高い感度を有することによる。それゆえ、ホログラフィック画像は、有利な点として、特に現実的なハプティック知覚と組み合わせることができる。
【0100】
別の実施形態において、音響トランスデューサは、インタラクション領域内に制御点が画定されるような方法で音声を発することができる。好ましくは、制御点とはインタラクション領域内の特定の位置におけるマーキングを指す。制御点は、特定の振幅及び/又は特定の位相が割り当てられた領域により区別できる。それゆえ、制御点はまた、音響トランスデューサが制御点の真下に位置付けられるようにモデル化することもできる。好ましくは、制御点間の間隔は、それが音声の波長に実質的に対応するような間隔である。制御ユニットは好ましくは、インタラクション領域内にこのような制御点を画定するように構成される。有利な点として、ホログラフィック画像の形状及び/又は部分を制御点により画定できる。例えば、複数の縁部及び/又は角部を含む体積を制御点によりモデル化でき、その結果として制御点は縁部及び/又は角部にあり、それによって既定の圧力が知覚される。制御点はまた、ユーザがハプティックフィードバックシステムの一部として感じることができる形状を画定できる。好ましくは、ユーザは、その領域内で感じることのできるインタラクションを実行できる。
【0101】
別の好ましい実施形態において、システムは、光源が基板の中又は外側に配置され、光源は好ましくはレーザ及び/又はLEDであることを特徴とする。
【0102】
特に、光源を基板内に取り付けることにより、有利な点として、本発明によるシステムは特にコンパクトに構成されることになる。コンパクトな構成の結果、本発明によるシステムは考え得る様々な用途に組み込むことができる。光源を基板の外に取り付けることは、光源の種類並びに本体及び/又は基板の照射及び/又は放射に関して、より豊富な種類と高いフレキシビリティを実現できるという点で有利である。例えば、これによって光源の小型化に関する要求が緩和され、さらに、調整された入射光角度を本体及び/又は基板の方向に向けることが望ましい場合に、基板を異なる位置に取り付けることが可能となる。
【0103】
少なくとも1つのホログラフィック光学素子が前面に、後面に、及び/又は基板内に体積ホログラムとして導入されることも好ましい。好ましくは、体積ホログラムとは、感光性を有する比較的厚い層の中に書き込まれたホログラムを指す。好ましくは、これは透過又は反射技術により実装できる。有利な点として、ホログラム体積内の物体及び参照ビームの干渉の結果として一連のブラッグ反射面が得られる。体積ホログラムはしたがって、ホログラフィック格子、すなわちホログラフィ方式により生成される光学格子と考えることもできる。その結果、体積ホログラムは好ましい点として、無視できない範囲の光ビーム伝播方向を有し、体積ホログラムにおける再生の場合にブラッグ条件が適用される。
【0104】
この理由から、体積ホログラムは波長及び/又は角度選択性を有する。体積ホログラムが複数の画像を同時に保存できることにより、とりわけ、カラーホログラムの生成が可能となる。青、緑、赤の3原色を発する光源をホログラム記録に使用できる。露光後に、3つのホログラムは体積ホログラムに同時に保存される。カラーホログラムの再生は、部分的ホログラムは各々、それが記録された色でしか再生できないことを利用できる。その結果、再生された3つの色の抜粋が重ねられ、色成分が正しく重み付けされていれば、忠実なカラー画像を形成する。
【0105】
さらに、体積ホログラムは、有利な点として、特に様々な光線をインタラクション領域内の射出部又は出力結合領域の方向に特に正確に偏向させ、及び/又は、基板が光導体として機能する実施形態では、前記光線を基板内で偏向させることができる。
【0106】
好ましい実施形態において、光源はコヒーレント、特に好ましくは一部コヒーレントである。コヒーレントな光源はコヒーレントな光ビームを発することを特徴とする。コヒーレンスとは好ましくは、2つの波列間の位相関係が固定となる光波の特性を指す。2つの波列の位相関係が固定であることにより、空間的に安定な干渉パターンを得ることができる。コヒーレンスに関して、時間的及び空間的コヒーレンスを区別できる。空間コヒーレンスは好ましくは、伝播方向に垂直な波列間の固定の位相関係に関する尺度を表し、例えば平行な光ビームについて得られる。時間的コヒーレンスは好ましくは、伝播方向に沿った波列間の固定の位相関係を表し、特に狭帯域、好ましくは単色の光ビームについて得られる。
【0107】
コヒーレンス長は好ましくは、開始点からの2つの光ビームが有する最大経路長の差又は飛行時間の差を指し、これらが重なっている間に(空間的及び時間的に)安定な干渉パターンが得られる。コヒーレンス時間とは好ましくは、光がコヒーレンス長を移動するのに必要な時間を指す。
【0108】
好ましい実施形態において、光源はレーザである。特に好ましくは、これは好ましい波長が可視範囲(好ましくは、400nm~780nm)である、狭帯域の、好ましくは単色のレーザである。非網羅的な例としては、ソリッドステートレーザ、好ましくは半導体レーザ又はレーザダイオード、ガスレーザ、若しくは色素レーザが挙げられる。
【0109】
他の光源、好ましくはコヒーレント光源もまた好ましくは使用され得る。任意選択によりモノクロメータと組み合わせた、例えば発光ダイオード(LED)を含む狭帯域光源、好ましくは単色光源も好ましい。
【0110】
特に、LEDの使用は、これらが特にコンパクトであり、本発明によるシステムの中に特に費用対効果の高い方法で、特に容易に組み込むことができるという点で有利である。
【0111】
別の好ましい実施形態において、システムは、1つ以上の音声チャネルが基板内に開口として形成されることを特徴とする。
【0112】
有利な点として、光は基板の中で、又はそれを通って標的を絞った方法で伝送でき、それによってインタラクション領域にホログラフィック画像が生成され、音声も同様に開口を介して基板を通過できる。特に、ホログラフィック画像は特に効率的な方法で力覚により知覚可能となるように構成できる。その結果、穿孔された基板は、ホログラフィック画像を生成するために使用でき、ハプティックフィードバックを得るために音響トランスデューサと組み合わせることができる。
【0113】
この場合、音響トランスデューサとホログラフィック画像の距離に関して考慮しなければならないことは、音声強度が距離の二乗に比例して低下することである。したがって、音響トランスデューサは好ましくは、人の皮膚で感じることのできる圧力変動が開口を通じてインタラクション領域に到達するように配置される。これに関して、音声チャネルを第二のホログラフィック光学素子の直接隣に、及び/又はその周囲に配置することが好ましいものであり得る。
【0114】
特に基板の開口の形態の音声チャネルを適切に位置付けることにより、有利な点として、ハプティック信号として知覚されるという目的に適う音圧パターンを生成できる。音圧バターンは、インタラクション領域内の圧力最大値及び/又は圧力最小値を有する部分により区別され得て、前記部分は特にホログラフィック画像に沿ってある。特に、強め合う、及び/又は弱め合う干渉により、圧力変動を所望の点で生じさせることができ、音波の前方に伝播する波面は相互に打ち消し合うことができる。例えば、外向きに伝播する波面は、遠い領域では弱め合うように干渉し、近い領域、特にインタラクション領域では強め合うように干渉することが好ましいものであり得る。
【0115】
有利な点として、圧力パターンに関する既定の圧力場の増大が、特に音響トランスデューサのパワーに応じてインタラクション領域内で得られ得る。特に、それゆえ、異なる音圧を非常に局所化させて、ハプティック信号として知覚されるのに適した方法で生成することが可能となる。
【0116】
別の好ましい実施形態において、システムは、1つ以上の音声チャネルが楕円形及び/又は四辺形の断面を有することを特徴とする。
【0117】
有利な点として、音声チャネルの幾何学構成によって、音波及び/又は光の伝播に影響を与えることができる。
【0118】
それゆえ、音声チャネルの楕円形の断面は、音声モードがわずかしか影響を受けないという点で有利である。特に、音声のモードスペクトルは全く変調されないか、ごくわずかしか変調されない。好ましくは、楕円形の断面を有する音声チャネルは、音声の通過を特にうまく、容易に制御することができる。この場合、得られたモードスペクトルは、音声チャネルの断面が丸くなるほど大きくなることがわかった。特に、楕円形の断面はまた、音声チャネルの円の形状も含む。その結果、音声チャネルの楕円形の断面は基板を通じた音声の伝播にとって特に有利である。
【0119】
しかしながら、音声チャネルを通る光線に関して、その楕円形の断面によりこれらの光線が屈折することになり得る。特に、光線は外側に散乱し得て、外側にとは好ましくは、光ビームの中心から遠ざかるビーム経路を指す。それゆえ、音声チャネルの楕円形の断面は、基板内の音声チャネルを通る光に関して発散レンズのように機能し得る。
【0120】
音声チャネルの影響を補償するために、レンズ及び/又は、対応する光学的機能、例えばレンズ機能を有するホログラフィック光学素子を導入することが好ましいものであり得、これは有利な点として、外側に散乱する光を再び集束して、光がホログラフィック画像を生成する目的のために標的を絞った方法で整列されるようにすることができる。好ましい実施形態において、集光レンズの機能を有するホログラフィック光学素子が楕円形の断面を持つ音声チャネルについての補償に使用される。この場合、レンズ又は、集光レンズの機能を有するホログラフィック光学素子は、湾曲した音声チャネルに対して逆の光学的機能を有し得る。有利な点として、光は多くの入射光角度にわたって通過でき、及び/又は色は正しく現れることができる。
【0121】
それに対して、音声チャネルの四辺形の断面は基板内の光線の透過にとって特に有利であることがわかり、それは、光が、アラインメントが適切である場合に、四辺形の表面で屈折しないか、又はほとんど屈折しないからである。特に、音声チャネルとしてギャップを使用することが好ましい。好ましくは、ギャップとは光の伝播方向において、それに直交する方向(長さ)より顕著に小さい幅を有する長方形の断面を指す。例えば、ギャップは長さより3、5、10以上の係数で狭くすることができる。特に、四辺形の断面は、長方形、正方形、台形、平行四辺形、及び/又はひし形も含む。別の実施形態において、断面はまた、二角形型、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形の形状、又はそれ以外の多角形でもよい。これは、特に基板の開口としての音声チャネルの幾何学形状を制限しない。多角形の断面は、光が実質的に垂直に入射できる実質的に直角の界面を提供することがより容易で、それによって、有利な点として、収差を最小にできるという点で有利である。
【0122】
別の好ましい実施形態において、システムは、1つ以上の音声チャネルが基板内に傾斜角を有することができ、それによって音波をホログラフィック画像に集束させることができることを特徴とする。
【0123】
音声チャネルは好ましくは、音声チャネルの縁上のある点に引かれた直線が基板の長手方向及び/又は横方向軸のそれと異なるプロファイルを有する場合に、傾斜角を有する。本発明に関して、これはチルトとも呼ばれ得る。有利な点として、音声チャネルのチルトにより、インタラクション領域内でより高い音圧を得ることが可能となる。特に、ホログラフィック画像はより強い強度で力覚により知覚できる。音響トランスデューサも傾斜した状態で存在することが特に好ましい。この場合、音圧と、したがって強度を特に高い程度まで強めることができ、ハプティック知覚を特に詳細に発生させることができる。傾斜した音声チャネルと実質的に同じ傾斜角度を有する音響トランスデューサが特に好ましい。
【0124】
別の好ましい実施形態において、システムは、1つ以上の音声チャネルが基板内の光射出領域又は出力結合領域を部分的又は全体的に取り囲むことを特徴とする。取り囲むとは好ましくは、1つ以上の音声チャネルが光射出領域又は出力結合領域を包囲する形に配置され、1つ以上の音声チャネルが光射出領域又は出力結合領域自体には配置されないことを意味する。
【0125】
有利な点として、音声チャネルを光射出領域又は出力結合領域の外形に沿って配置することにより、ハプティック信号を生成するためにインタラクション領域内に圧力変動を特に効率的に提供できることになる。特に、音波は有利な点として、ホログラフィック画像の方向に特に集束させた方法で発出でき、その結果、特に良好な圧力変動及びしたがって、現実的なハプティック知覚が生成される。有利な点として、ホログラフィック画像は例えば、形状、輪郭、大きさ等に関して特に忠実に圧力変動に関係付けることができる。
【0126】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板内の開口としての1つ以上の音声チャネルが材料、好ましくは流体、特に好ましくは水、グリセリン、オイル、特にシリコーンオイルで満たされ、材料は好ましくは基板の屈折率に実質的に対応する光学的屈折率を有することを特徴とする。
【0127】
実質的に、ほぼ、約、大体等の用語は、好ましくは±20%未満、好ましくは±10%未満、特に好ましくは±5%未満、特に±1%未満の公差範囲を表し、常に正確な値を含む。好ましくは、同様の、とはほぼ同じである値を表す。一部とは好ましくは少なくとも5%、特に好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%又は少なくとも40%を表す。
【0128】
有利な点として、基板材料のそれと同様の屈折率を有する材料を音声チャネルに充填することにより、光線はより屈折しなくなる。その結果、その後の補償又はコリメーションが不要となるか、これらが単純化される。音声チャネルに充填される材料と基板材料の屈折率の差が小さいほど、光線が受ける角度変化は小さくなり、したがって、行われ得るコリメーションを誤差なく実行できる。その結果、有利な点として、ホログラフィック画像を表示するために、光を光射出部又は光出力結合領域の方向に収差を生じずに導くことができる。
【0129】
オイル、好ましくは光学オイルは、音声チャネルを充填するのに特に好ましい材料であることがわかった。好ましい実施形態において、基板は屈折率が1.4~1.6、好ましくは約1.5のガラス、特に光学ガラス又は光学プラスチックを含む。有利な態様として、約1.4~約1.6、好ましくは約1.5の同様の屈折率を有するオイル、特に光学オイルを選択でき、したがって、不要な屈折効果を最小化できる。さらに、オイルは音声の良好な伝導を特徴とし、したがって、音波もオイル充填音声チャネルを通じてホログラフィック画像の方向に、歪みや減衰をほとんど生じずに伝播する。
【0130】
好ましい実施形態において、1つ以上の音声チャネルを充填する材料は高い表面張力、好ましくは室温(20℃)で少なくとも20mN/m(ミリニュートンパーメートル)、好ましくは少なくとも30mN/m、40mN/m、50mN/m、60mN/m以上の表面張力を有する流体である。流体材料の高い表面張力は、材料が1つ以上の音声チャネルから流出するリスクが低減する。1つ以上のチャネルを充填するために、当業者は音声チャネルの幾何学構成(特に、音声チャネルの断面)に応じて、流体が確実に音声チャネル内に高い信頼度でとどまるようにするための既知の物理的法則に基づいて好ましい表面張力の材料を選択できる。
【0131】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板内の開口としての1つ以上の音声チャネルは材料、好ましくは流体で満たされ、膜又はフィルムが基板の、少なくとも1つ以上の充填済み音声チャネルの領域の上に形成されて存在することを特徴とする。流体は好ましくは、基板の屈折率に実質的に対応する光学屈折率を有する前述の好ましい流体のうちの1つとすることができる。好ましくは、流体はまた、空気とすることもでき、その場合の膜又はフィルムは基本的に汚染に対する保護機能を有する。
【0132】
好ましくは、フィルム又は膜は、1つ以上の充填済み音声チャネルを両側で閉鎖するために基板の両側の表面に形成される。これによって、有利な点として、流体材料は表面張力又は音声チャネルの幾何学形状に関係なく、流体材料を特に確実にシールすることができる。
【0133】
好ましくは、フィルム又は膜は光源からの光を透過させる。さらに、フィルム又は膜は基板の材料及び/又は音声チャネルを充填する材料と同様の屈折率を有することが好ましい。好ましくは、膜又はフィルムは閉じ込められた流体材料に対して不透過性を有する。好ましい実施形態において、フィルム又は膜の層厚は1mm未満、好ましくは500μm、400μm、300μm、200μm以下である。膜又はフィルムは好ましくは、振動できる。
【0134】
例えば、膜はシリコーン膜とすることができ、フィルムは例えば透明プラスチックフィルム、例えばPMMAフィルム(ポリメチルメタクリレートフィルム)とすることができる。膜又はフィルムは、基板表面上に、少なくとも音声チャネルの領域において、光学接着剤又は追加的なOCAフィルム(OCAは光学透明粘着剤の略)によって取り付けられて存在することができる。好ましくは、光学接着剤又はOCAフィルムは膜、フィルム、又は基板材料と同様の屈折率を有し、それによって平滑なスムーズな複合材料が確保される。好ましくは、膜又はフィルムは流体を1つ以上の音声チャネルの中に、ほとんど気泡が生じることなく閉じ込める。したがって、好ましくは、音声チャネル内に含有空気がなく、それによって、有利な点として、光は充填済みの音声チャネルを実質的に収差を生じずに通過できる。
【0135】
好ましい実施形態において、フィルム蓋材が膜又はフィルムに適用される。好ましくは、フィルム蓋材はフィルム又は膜より高い機械的安定性を有することを特徴とする。例えば、フィルム蓋材の層厚がフィルム又は膜より2、3、4、5、10以上の係数で大きいことが好ましいものであり得る。例えば、フィルム蓋材は膜又はフィルムを覆い、保護する役割を果たす。好ましくはフィルム蓋材は音声チャネルの領域に開口又は穴を有し、前記開口又は穴の数、形状、及び大きさは好ましくは音声チャネルの数、形状、及び大きさに対応する。フィルム蓋材は好ましくは、基板と同じ材料、例えば光学プラスチック(例えば、PMMA)又は光学ガラスを含むことができる。
【0136】
好ましい実施形態において、多数の、又は複数の音声チャネルは基板材料と同様の屈折率を有する材料を含む。別の好ましい実施形態において、全ての音声チャネルが材料で満たされる。特に好ましい実施形態において、光射出部又は出力結合領域に沿って、又はその周囲に配置された音声チャネルが材料で満たされる。また、光のビーム経路内にある音声チャネルだけに材料、好ましくは流体、特に好ましくは水、グリセリン、オイル、好ましくはシリコーンオイルを充填することも好ましいものであり得る。好ましい実施形態において、システムは1つ以上の音声チャネルが膜又はフィルムによってシールされることを特徴とする。空気又は、前述のように基板の屈折率に合わせた屈折率を有する流体が、好ましくは音声チャネル内に存在できる。膜又はフィルムを提供することによって、有利な点として、塵埃が音声チャネルに入り込むのを確実に、音声伝播を障害せずに回避することが可能となる。音声チャネルのクリーニングが不要である。
【0137】
音声チャネルを閉じるために膜又はフィルムが提供されない場合は、音声チャネルの定期的なクリーニングも好ましいものであり得る。音声チャネルのクリーニングを容易にするために、音声チャネルの形状、特に寸法の最適化を実行することができる。また、クリーニングを音響トランスデューサ自体によって行うことも好ましいものであり得る。例えば、1つ以上の音響トランスデューサは、音声チャネルから塵埃を取り除く役割を果たす音波を発生するように設計できる。特に、ハプティック知覚を提供するための平均値より高い、好ましくは1.5、2、3、5、10以上の係数で高い音圧レベルを有する音波を発生することが可能である。
【0138】
同様に、あり得る汚染を除去するために、音声チャネルに「風を吹きかける(blowing-free)」という意味で音波をパルス式に印加することも好ましいものであり得る。それゆえ、特に制御ユニット内の適切な構成により、1つ以上の音響トランスデューサは、音声チャネルからあり得る汚染を除去するために、所定の時間内により強力な音波又は超音波を発するように設計され得る。このようなクリーニングは好ましくは、一定間隔で、又は汚染の度合いに応じて実行でき、汚れている可能性のある音声チャネルを、的を絞って選択し、これらをクリーニングすることも好ましいものであり得る。
【0139】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板が1つ以上の音声チャネルの前方及び/又は背後に1つ以上のホログラフィック光学素子を含み、これらは1つ以上の音声チャネルを通る伝播によって光に対して行われる光の補償、偏向、及び/又は拡大のために構成され得ることを特徴とする。これに関して、前面又は背後は好ましくは、基板内の光伝播に関して上流又は下流を意味する。
【0140】
その結果、有利な点として、光ビームを、インタラクション領域内にホログラフィック画像を生成するために標的を絞って光射出又は出力結合領域の方向へと操作することができ、及び/又はビームの経路を特に単純になるように構成できる。好ましい実施形態において、第二のホログラフィック光学素子は光射出領域又は出力結合領域内に配置される。したがって、光が第二のホログラフィック光学素子の方向へと操作されてから、光がホログラフィック画像の生成のためにインタラクション領域の中に発せられることが好ましいものであり得る。
【0141】
音声チャネルが光線に及ぼす不要な屈折効果は、好ましくは光線を補償するためのホログラフィック光学素子により補償できる。例えば、補償HOEは、光線の再コリメーションによって音声チャネルの発散効果を補償するように構成できる。色が補償を目的としたホログラフィック光学素子により正しく出現させられるようにすることによる色彩効果の補正もまた、好ましいものであり得る。この場合、光を補償するためのホログラフィック光学素子は、補償HOEとも呼ばれ、音声チャネルの前方に、音声チャネルの背後に、特に基板の前面及び/又は後面に、及び/又は基板内にも埋め込むことができる。補償HOEは好ましくは、音声チャネルに対する光学的逆関数を有し、これは基板内の光線の伝播に影響を与え、好ましくは収差の縮小に寄与する。
【0142】
楕円形の音声チャネルの場合、補償機能は例えば、音声チャネルの効果が補償される、すなわちオフセットされるようなコリメーションの形態であり得る。
【0143】
好ましい実施形態において、システムはまた、光を偏向させて、光線が実質的に音声チャネルの周囲へと操作されるように構成される1つ以上のホログラフィック光学素子も含み得る。本発明に関して、これらのHOEは偏向HOEと呼ばれる。有利な点として、光線と音声チャネルは適切な偏向の結果として相互に接触しない。特に、この場合の音声チャネルにより発散及び/又は屈折が起きず、その結果、有利な点として、特に歪みのない忠実なホログラフィック画像が生成される。
【0144】
別の好ましい実施形態において、光はまた、扇形に開き、光射出領域又は出力結合領域の方向にコリメートされて操作されることもできる。本発明の意味において、光の拡大は好ましくは光ビーム径、すなわち光ビームの大きさの増大を意味する。特に、ビーム径は、ビーム軸に垂直に延び、それを切断する何れかの線の直径に関する。有利な点として、拡大ホログラフィック画像を光ビームの拡大によって生成できる。例えば、光ビームは、発散レンズの効果を有する、すなわち光を広い面積にわたって発出させ、特に光を光射出又は出力結合領域の方向に偏向させるホログラフィック光学素子により拡大できる。
【0145】
別の実施形態において、光を拡大するために複数のホログラフィック光学素子を使用できる。本発明に関して、これは瞳孔拡張と呼ばれ得る。この用語は、例えば暗い場所で物体を認識するために目の虹彩内をより多くの量の光が通過すべきである場合の人の瞳孔散大から着想される。本発明に関して、瞳孔拡張とは、光が光射出領域又は出力結合領域の中へと操作されるための寸法が増大することを意味する。
【0146】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板が入力結合領域と出力結合領域を含み、1つ以上の音声チャネルが出力結合領域を少なくとも部分的に取り囲み、基板の出力結合領域へと通過する光は1つ以上のホログラフィック光学素子によって音声チャネルを通過するように操作され、及び/又は基板の出力結合領域へと通過する光は光チャネルによって音声チャネルを通過するように操作され、光を拡大し、それをコリメートして出力結合領域へと操作する1つ以上のホログラフィック光学素子は好ましくは音声チャネルの下流にあることを特徴とする。
【0147】
光の補償、偏向、及び/又は拡大のためのホログラフィック光学素子を取り付けるための前述の選択肢は特に、基板が光導体として機能する場合にも使用できる。本発明による内容では、上述の光学機能に寄与するホログラフィック光学素子は補償HOE、偏向HOE、又は拡大HOEと呼ぶことができる。特に、複数のこのようなホログラフィック光学素子を基板上及び/又はその中に配置することが好ましいものであり得る。好ましい実施形態において、補償HOE、偏向HOE、又は拡大HOEは1つ以上の反射ホログラム及び/又は透過ホログラムを含む群から選択される。
【0148】
さらに、基板が光チャネルを接続し、光源が光チャネルに光を照射し、光チャネルを介して光を基板内に入射させることが好ましい。特に、光はその後、標的を絞った方法で偏向させて、それが音声チャネルの中を伝播する必要がなく、音声チャネルの周囲を伝播できるようにすることができる。光は好ましくは、光チャネル内へと入力結合され、それによって光チャネルの光学密度の高い材料(屈折率がより高い)と光チャネルの周囲の光学密度の低い材料(屈折率がより低い)との間の界面おいて常に全内反射が起こる。
【0149】
有利な点として、本発明によるシステムにより、特に音声チャネルを通過するように光を操作し、ホログラフィック画像を表示するために射出又は出力結合領域へと前記光を伝播させるための多くの選択肢が得られる。特に、ホログラフィック画像が音声チャネルの幾何学構成の結果として収差を生じることが、この場合、追加のコスト(又は補償HOE)を必要とせずに確実に防止できる。
【0150】
別の好ましい実施形態において、システムは、基板が好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマ(COP)、シクロオレフィンコポリマ(COC)を含む群から選択される光学プラスチック、並びに/又は好ましくはホウケイ酸ガラス、B270、N-BK7、N-SF2、P-SF68、P-SK57Q1、P-SK58A、及び/若しくはP-BK7を含む群から選択される光学ガラスである材料を含むことを特徴とする。
【0151】
これらの材料は、ホログラフィにとって好適な光学特性を特徴とし、産業規模の製造にも適している。これらは有利な点として、変化しない最高の光学品質の費用効率の高い連続製造を特徴とする。さらに、加工をさらに行うことにより、様々な幾何学以上や複雑な幾何学形状を可能にできる。
【0152】
別の態様において、本発明は、本発明によるシステムの、ハプティック知覚及びホログラフィック画像をインタラクション領域内に生成するための使用に関する。それゆえ、ホログラフィック画像は、有利な点として、力覚の観点から特に効率的且つ最適に知覚できる。特に、圧力差はホログラフィック画像により表現されることになる物体の幾何学的デザインに対応し、その結果、ユーザにとって特に現実的な印象が得られる。
【0153】
当業者であれば、ハプティック知覚とホログラフィック画像を生成するための本発明によるシステムについて記載された好ましい実施形態の技術的特徴、定義、及び利点が、ハプティック知覚とホログラフィック画像の生成のためのシステムの利用にも等しく当てはまり、その逆でもあることがわかるであろう。
【0154】
特に、本発明によるシステムは、多くの利用分野において、特に様々な現代技術応用に使用できる。
【0155】
例えば、本発明によるシステムは、有利な点として、操作エリア、例えばホログラフィックボタンに関して使用できる。本発明の意味において、ホログラフィックボタンとは、生成され、ユーザが操作できるホログラフィック画像を指す。ユーザの操作は、特に接触に関するものとすることができる。例えば、接触によって特定の機能が実行されることになり得る。例えば、本発明によるシステムがキーボード及び/又はジョイスティックをホログラフィック画像として表示することが想定され得る。この場合、ユーザは例えばキーボード及び/又はジョイスティックをホログラフィック画像によって操作でき、そのプロセスにおいて実際のキーボード及び/又はジョイスティックを触る必要がない。これは、ホログラフィックイメージングにより可視化できるあらゆる物体に当てはまる。これは、物体自体に触る必要がないため、衛生面で特に有利である。これは例えば、通常、多くのユーザが使用する装置、例えば自動車のギヤセレクタ及び/又はエレベータの操作ボタン等の場合に特に関係深い。
【0156】
好ましい実施形態において、システムは検出器を含み、検出器は好ましくは、ホログラフィック画像に関する操作ジェスチャを識別するように設計される。検出器は好ましくは電磁放射、好ましくは可視光又は赤外線を検出するための光検出器である。非限定的な例としては、デジタルイメージセンサ、例えばCCDセンサ若しくはCMOSセンサ、又はフォトダイオード、フォトセル、若しくはフォトトランジスタが含まれ、これらは好ましくはアレイとして配置されて存在することができる。
【0157】
ホログラフィック画像及びハプティック知覚は本体の前方のインタラクション領域において生成可能であるが、検出器を配置することにより、好ましくは、インタラクション領域内で実行される操作ジェスチャの検出が可能となる。好ましくは、操作ジェスチャはホログラフィック画像に関するユーザの非接触インタラクションを指す。例えば、ホログラフィックボタン又はキーボードがインタラクション領域内に生成された場合、操作ジェスチャはタップ、スイープ、又はスワイプ入力とすることができる。例えば、ジョイスティックの形態のホログラフィック画像では、操作ジェスチャは同様にジョイスティックの動きに対応できる。
【0158】
検出器により得られた測定データは好ましくは、操作ジェスチャを識別するように構成された制御又はコンピューティングユニットに送信される。好ましくは、この目的のために適当なコンピュータコード(ソフトウェア/ファームウェア)が制御又はコンピューティングユニットに保存されて存在できる。
【0159】
好ましい実施形態において、システムは、ホログラフィック画像及び/又はタクタイルフィードバックの表示を識別された操作ジェスチャに応じて調整するように構成される。例えば、ホログラフィックボタンの作動が認識されると、ホログラフィックボタンの色及び/若しくは形状を変化させることによって、並びに/又は圧力変動によって力覚的に、の何れかで識別することが好ましいものであり得る。同様に、ジョイスティックに関して、ジョイスティックのハプティック知覚及び又はホログラフィック画像を認識された操作ジェスチャに基づいて更新することが好ましいものであり得る。
【0160】
その結果、これは、非接触操作のためにホログラフィによる物体との非常に現実的なインタラクションを可能にする、特に使いやすい操作システムを提供できる。
【0161】
位置付けに関して検出器の様々な配置が想定可能であり、検出器がインタラクション領域からの電磁放射を検知することが好ましい。このために、ステアリング、コリメーション、及び/又は合焦のための光学コンポーネント、例えばレンズ、ミラー、回折構造、又はホログラフィック光学素子を提供することができる。
【0162】
好ましい実施形態において、検出器は本体の背後に、その結果、インタラクション領域の反対側に配置されて存在する。この実施形態において、検出器はしたがって、本体の、音響トランスデューサと同じ側にある。例えばレンズ等の光学コンポーネントを適切に提供することによって、インタラクション領域からの1つ以上の平面が好ましくは検出器、例えばCCDセンサ又はCMOSセンサの上に結像され、それによって操作ジェスチャは測定されたデータに基づいて特定できる。この実施形態では、検出器をホログラフィック画像又はホログラフィック画像を生成するためのホログラフィック光学素子と共に光軸上に配置されることが好ましい。
【0163】
検出器の何れかの所望の位置を可能にするために、検出器の方向に光を透過させる役割を果たす第二の光導体又は導波管を提供することが好ましいものであり得る。好ましくは、第二の導波管は国際公開第2020/157306A1号パンフレットから知られている、機能化された導波管とすることができ、その内容の全体を参照によって本願に援用する。
【0164】
例えば、第二の導波管は前面と後面を有する第二の本体を含み得て、本体は一部透明な第二の入力結合領域と、そこから離間された第二の出力結合領域を含む。好ましくは、第二の入力結合領域はホログラフィック画像と共に光軸上に配置でき、インタラクション領域内で検出された操作ジェスチャからの放射の少なくとも一部を偏向させる回折構造を含み得て、その結果、偏向部分は、入力結合放射として、第二の本体内を第二の出力結合領域まで反射により伝播する。入力結合放射の偏向部分は、好ましくは第二の出力結合領域により検出器まで操作される。
【0165】
この実施形態では、第二の入力結合領域及び第二の出力結合領域という用語は、インタラクション領域から検出されることになる操作ジェスチャに関する放射を、それぞれ入力及び出力結合する領域を指す。したがって、第二の入力結合及び出力結合領域はまた、この実施形態の検出入力結合領域及び検出出力結合領域とも呼ぶことができる。一般に、これらの領域はホログラフィック画像を生成するための前述の(第一の)入力及び出力結合領域と同じではない。同様に、第二の導波管を検出導波管と呼ぶことも好ましいものであり得る。特に光導体として機能する基板を有する(第一の)本体について記載された実施形態は、好ましくは、検出されるべき放射のための導波管の役割を果たす第二の本体にも同様に当てはまる。
【0166】
例えば、透明な本体は平面平行板の形態とすることができる。一部透明な本体は、ガラス及び/又はプラスチックで構成できる。これは一体型とすることも、複数の構成を含むこともできる。特に、透明本体は可視波長範囲(好ましくは400nm~780nm)からの放射又は光を透過させることができる。さらに、近赤外(780nm~3000nm、好ましくは780nm~1400nm)、及び/又は全赤外範囲(3000nm~1mm、好ましくは3000nm~50μm)に対して透過性を有し得る。
【0167】
第二の入力結合領域も同様に、透明又は一部透明構成を有することができる。所望の透過性の場合、例えば回折構造による放射の入力結合は正確に非常に効率的であり得、十分な放射パワーが出力結合領域に入射する。一部透明な第二の入力結合領域は、入力結合効率が例えば2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%以上であるように実施できる。この場合、入力結合効率とは、インタラクションから検出された放射のうち、透過でき、したがって第二の本体の基板の中に導入できる割合を指す。
【0168】
透明又は一部透明な第二の入力結合領域は好ましくは、偏向がイメージング光学機能を持たない(例えば、集束効果を持たない)ように実施される。特に、反射は透明な本体の前面及び/又は後面における全内部反射とすることができる。しかしながら、反射層若しくはコーティング又は一部反射層若しくはコーティングをこの目的のために提供することも可能である。
【0169】
透明な第二の本体の出力結合領域は、そこに入射する入力結合された放射の少なくとも一部を偏向させて、偏向部分が第二の本体から出るようにすることができる。これは好ましくは、透明な第二の本体の前面又は後面を介して検出器の方向に行われる。
【0170】
第二の出力結合領域も同様に、一部透明に実施できる。特に、第二の出力結合領域の出力結合効率は2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%以上とすることができる。特に、第二の出力結合領域の出力結合効率は、2%~50%の範囲内とすることができ、したがって第二の出力結合領域の透過性は50%~98%の範囲内である。
【0171】
一部透明な実施形態は、例えば第二の入力結合領域及び第二の出力結合領域が回折構造(例えば、体積ホログラム)の形態である場合に有利である。その場合、第二の入力結合領域と第二の出力結合領域は、例えばフィルムの形態とすることができ、これは生産工学の観点から有利である。しかしながら、第二の出力結合領域は最大の出力結合効率を有することも可能である。例えば、これは反射コーティング(好ましくは、全面反射コーティング)によって実現できる。
【0172】
第二の入力結合領域と第二の出力結合領域は、これらが偏向の他に光学イメージング機能をもたらさないように実施できる。しかしながら、第二の入力結合領域及び/又は第二の出力結合領域が、偏向に加えて光学イメージング機能を提供する、したがって光学イメージングを行うことも可能である。それゆえ、光学イメージング機能は、例えば集束レンズ又は発散レンズ、凹又は凸レンズの機能を実現でき、湾曲面は(中心合わせされた、又は中心がずれた)球面曲面又は非球面曲面とすることができる。
【0173】
好ましい実施形態において、第二の出力結合領域も回折構造を含む。第二の入力結合領域及び又は第二の出力結合領域の回折構造は、埋め込まれた回折構造として、2つの基板間の回折構造として、又は前面若しくは後面に具現化された回折構造として実現できる。
【0174】
特に、反射又は透過ホログラムが第二の入力結合又は出力結合領域のための回折構造として提供できる。さらに、第二の入力結合又は出力結合領域の回折構造を透過性又は反射レリーフ格子とすることもできる。第二の出力結合領域は同様に、鏡面、プリズム、及び/又は反射若しくは透過フレネル構造も含み得る。これらの変形は、回折構造の代わりに、又は回折構造に追加して提供できる。
【0175】
第二の入力結合領域は、特に好ましくは入射角依存波長選択性を有する反射体積ホログラムとして実施され、したがってこれは広い角度及び波長範囲について高い透過率を有する。
【0176】
これによって、インタラクション領域内の操作ジェスチャの光学的検出を、有利な点として生成されるホログラフィック画像の質に影響を与えずに可能にする検出器システムを提供できる。検出された放射のための第二の入力結合領域は好ましくは、(第一の)本体内のホログラフィック画像又はそのために提供されるホログラフィック素子と共に光軸上に配置されるが、これはホログラフィックイメージングを干渉しない。
【0177】
このために、インタラクション領域内の操作ジェスチャから検出されることになる放射の波長とホログラムを生成するための光源からの放射の波長が異なることが好ましいものであり得る。例えば、不可視波長範囲での(例えば、赤外範囲での)検出が行われ得て、他方でホログラフィック画像は可視範囲で生成される。
【0178】
(ホログラフィック画像を生成するための)(第一の)本体内又は(操作ジェスチャを検出するための)第二の本体内の回折構造又はホログラフィック素子は、好ましくは異なる波長のために設計できる。例えば、第二の本体内の反射体積ホログラムは、インタラクション領域から検出されることになる放射のための赤外放射を反射し、可視範囲のホログラフィック画像を生成するための光を透過させるように設計できる。
【0179】
好ましい実施形態において、検出器が組み合わされたシステムはIR放射源(赤外放射源)を含み、これは好ましくは、インタラクション領域にIR放射を提供するように設計される。特に、IR放射は780nm~1mm、好ましくは780nm~50μmの範囲の赤外放射に関する。特に好ましくは、IR放射源により発せられる赤外放射は、近赤外範囲(780nm~3μm、好ましくは780nm~1400nm)の放射である。
【0180】
インタラクション領域から検出されるべき放射を検出器へと案内するための第二の導波管に加えて、(第一の)本体は好ましくは、ホログラフィック画像を生成する役割を果たすか、その基板も光導体としての、好ましくは可視波長範囲の光のガイドとしての機能を果たす。
【0181】
操作ジェスチャの検出のための第二の本体は好ましくは、ホログラフィック画像の生成のための(第一の)本体とは別のコンポーネントとすることができる。例えば、検出のための第二の本体は、ホログラフィック画像のためのビームガイダンスを行う(第一の)本体の前方又は背後に配置されて存在できる。この場合、第一及び第二の本体が相互から離して配置されることが好ましいものであり得る。同様に、第一及び第二の本体は、相互接続されて存在して、多層構造を実現してもよい。好ましくは、(第一の)本体は光源からの放射を、ホログラフィック画像を生成するために案内し(例えば可視範囲内)、他方で第二の本体は、インタラクション領域から検出器に案内される放射(例えば、同様に可視範囲内か、赤外範囲内)を操作ジェスチャの検出のために案内する。
【0182】
有利な点として、これらの実施形態では、検出器(操作ジェスチャを検出するため)と光源(ホログラフィック画像を生成するため)の両方を、利用可能な設置スペースに応じて柔軟に有利に位置付けることができる。対応する第一及び第二の入力結合又は出力結合領域は、この目的のために第一又は第二の本体の中に容易に提供できる。
【0183】
2つの本体自体はコンパクトなユニットを形成でき、前述のように、その背後に音響トランスデューサが配置される。実施形態は、特にコンパクトな構成を特徴とする。特に、システムの設置深さはごく浅くでき、その結果、この方向においてはほとんど設置スペースが必要ない。システムの導入は容易であり、様々な利用の選択肢が生まれる。
【0184】
引き続きインタラクション領域内での信頼できるハプティック知覚を確実に生成するために、操作ジェスチャを検出するための第二の本体が同様に音声チャネルを有することが好ましく、これらの音声チャネルは好ましくは、ホログラフィック画像を生成するための第一の本体の基板内に配置される音声チャネルと合同となるように配置される。当業者であればわかるように、(第一の)本体の基板内の音声チャネルの構成に関して上述した好ましい実施形態は、ビームを操作ジェスチャの検出のために案内する役割を果たす第二の本体(又はその基板)内に音声チャネルを提供することにも同様に当てはまる。
【0185】
別の実施形態において、第一及び第二の本体がユニットを形成すること、すなわち好ましくはホログラフィック画像を生成するための放射のための導波管として、及び操作ジェスチャを検出するための放射のための導波管としての両方の役割を果たす(単体の)本体として設計されることが好ましいものであり得る。換言すれば、(好ましくはモノリシックな)基板を有する(第一の)本体のみが提供されることが好ましいものであり得、前述のように、ホログラフィック画像を生成するための放射と操作ジェスチャを検出するための放射の両方が基板内で案内される。その結果、このような本体は、好ましくは、ホログラフィック画像を生成するための放射のための第一の入力結合及び出力結合領域と、インタラクション領域から操作ジェスチャを検出するための放射のための第二の入力結合及び出力結合領域の両方を含む。有利な点として、第一及び第二の入力結合及び出力結合領域は、光源(ホログラムを生成するため)又は検出器(操作ジェスチャを検出するため)の位置付けに関する要求事項に応じて、本体の中に相互に独立して位置付けることができる。2つの本体又は導波管を提供するのではなく、有利な点として、ホログラムの生成のための本体がそれと同時に検出導波管としての機能を果たす。第一に、これは特にコンパクトな構成を実現でき、それによって、有利な点としてごく浅い設置深さを有するシステムの統合が可能となる。第二に、この実施形態では2つの本体間のインタフェースが回避され、それによってホログラフィック画像及び操作ジェスチャの検出の点で特に高い品質を継続的に得ることができる。
【0186】
システムの好ましい実施形態において、操作ジェスチャの検出を検出するために、複数の入力結合部分を第二の本体内に提供でき、前記入力結合部分はインタラクション領域から検出されることになる操作ジェスチャの放射を、割り当てられた複数の出力結合部分へと操作する。したがって、第二の入力結合領域と第二の出力結合領域は好ましくは、同じ数のそれぞれ入力結合部分及び出力結合部分を含み、これらは例えば直線状又はマトリクス上に配置されて存在し得る。好ましくは、各出力結合部分に検出器のセンサ部分が割り当てられ得る。
【0187】
好ましくは、検出器は、それぞれの入力結合部分に入射する放射の強度を継続的に測定し、これをコントローラに供給するように構成される。好ましくは、コントローラは、測定された強度に基づいて、それぞれの入力結合部分の前方の操作ジェスチャの入力手段(例えば、手)の距離を特定するように構成される。周囲光を検出に使用できる。入力結合部分の測定された強度の低下は、入力結合部分に、入力手段(例えば、手の指)が近くに来たことによって影ができることを示す。同様に、例えば別の光源(例えば、LEDフレームによる)によるインタラクション領域内の入力手段の能動的照明もあり得る。好ましい機能化導波管のこのような構成は、例えば国際公開第2022/022904A1号パンフレットにおいて開示されており、その内容の全体を参照により本願に援用する。
【0188】
国際公開第2022/022904A1号パンフレットでは、機能化導波管は非接触エリアセンサを提供するために使用されており、特に、光電子ディスプレイ、例えばLCD素子又はOLED素子の前方の選択領域における非接触入力を可能にすることが意図されている。本発明によれば、光電子ディスプレイの前方の物体の距離の非接触特定のための前述の検出原理もまた、インタラクション領域における操作ジェスチャを識別するために使用できる。例えば、そのために、アレイ状の複数の入力結合区間が好ましくは第二の本体に提供でき、前記入力結合部分はインタラクション領域の寸法をカバーする。適切な検出器アレイによって強度を特定することにより、第一又は第二の本体からの入力手段(例えば、手)の距離を検出することが可能となる。有利な点として、入力結合部分のアレイ、例えばマトリクスを提供することにより、第一又は第二の本体の前方の異なる部分における入力手段の距離も同時に検出できる。好ましく確認された2次元距離表面により、行われた操作ジェスチャに関する結論を引き出すことができる。
【0189】
好ましい実施形態において、入力結合部分は生成されるホログラフィック画像に適応できる。例えば、ホログラフィックキーボードが生成される場合、入力結合部分は個々のホログラフィックキーに対応することが好ましいものであり得る。ホログラフィックキーが押されたことは、好ましくは、対応する入力結合部分の強度の低下に基づいて特定できる。これゆえ、この実施形態により、ホログラフィック画像により表される操作素子とのユーザのインタラクションを簡単に確実に検出することが可能となる。
【0190】
本発明によるシステムを以下に例に基づいて詳しく説明するが、これらの例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【
図1a-b】第一のホログラフィック光学素子を介した光のエッジリット型入力結合の図を示す。
【
図3a-b】第二のホログラフィック光学素子の周囲の音声チャネルの図を平面及び側面図で示す。
【
図4】第二のホログラフィック光学素子の全周囲の音声チャネルの図を平面図で示す。
【
図6a-b】音声チャネルの異なる断面による光のビームの経路への影響の図を示す。
【
図9a-b】ギャップとしての音声チャネルの図を平面及び側面図で示す。
【
図10a-b】傾斜した音声チャネル及び傾斜した音響トランスデューサの配置の図を示す。
【
図11】傾斜した音声チャネルを通るビームの経路の図を示す。
【
図12】光チャネル及び拡大HOEを有する本発明によるシステムの図を示す。
【
図13】瞳孔拡張による拡大HOEと組み合わせた本発明によるシステムの図を示す。
【
図15a-b】材料が充填された音声チャネルの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0192】
図面の詳細な説明
図1は、基板5の中に光を放射及び/又は入力結合するための様々な選択肢の概略図を示す。
【0193】
図1aは、光がエッジリット型形状により基板に入射する実施形態を表す。この場合、光源7からの光は基板5の方向に発せられる。例えば、光源7はLEDとすることができる。特に、光は基板5に横方向に入射し、ある辺を介して入力結合され、すなわち縁部から基板に入ることができる。基板内で光は第二のホログラフィック光学素子15の方向に伝播でき、これは所期の領域にホログラフィック画像3を生成するために使用され、すなわち、ユーザはホログラフィック画像3を光学的に(視覚的に)且つ力覚又は触覚により知覚できる。特に、第二のホログラフィック光学素子15は出力結合ホログラムとして構成でき、その結果、ホログラフィック画像3はインタラクション領域内で自由に浮いているように見える。
【0194】
図1bは、光が第一のホログラフィック光学素子13により基板5に入る実施形態を表す。第一のホログラフィック光学素子13の結果として、光は特定の波長(したがって、特定の色)及び特定の入射角で基板5に入力結合でき、受け取った機能にしたがって指向的に偏向させることができる。特に、光は、インタラクション領域内にホログラフィック画像3を生成するために第二のホログラフィック光学素子15の方向に指向的に操作できる。
【0195】
図2は、音響トランスデューサ(ここでは図示せず)による音波の発出により生成できる音場の略図を示す。音声チャネル(ここでは図示せず)の配置に応じて、ハプティック知覚のために干渉現象によって音圧及び/又は音圧パターンが生じ得る。特に近い領域では強め合いの干渉によって特に強いハプティック信号を知覚でき、遠い領域では外向きの音波が弱め合う干渉を起こし、ハプティック信号は弱まり、インタラクション領域から出るとユーザはそれを感じることができなくなる。好ましくは、既定の通りに圧力場を増大させることができ、これは音響トランスデューサのパワー、音声チャネルの配置、及び/又はその幾何学構成に依存する。例えば、インタラクション領域内の異なる空間部分間で最大約3倍の音場増大を得ることが可能である。
【0196】
インタラクション領域内の異なる圧力変動の構成により、ホログラフィック画像3の特に現実的なハプティック知覚を生成することができる。例えば、ホログラフィック画像3はジョイスティック等の物体を表すことができる。本発明によるシステム1により、ジョイスティックの、握られることになる領域は、輪郭を画像化する領域より高い圧力を有し得る。ハプティック知覚により、ユーザは、自分が物体、例えばジョイスティックを手で握る印象を受けることができる。好ましくは、音響トランスデューサは音波のビームフォーミングを使って、インタラクション領域の特定の領域において、音波を特に指向的に焦点を絞って、したがって強度も発生させることができる。
【0197】
図3は、第二のホログラフィック光学素子15を含む出力結合領域を取り囲む音声チャネルの配置を平面及び側面図で示す。
【0198】
図3aは、本発明によるシステム1の1つの実施形態の平面図を示す。この場合、音声チャネル11は第二のホログラフィック光学素子15を含む出力結合領域を部分的に取り囲む。光源7から発せられる光線又は光ビームがそこから第二ホログラフィック光学素子15の方向に伝播する(図中、矢印で示される)領域には音声チャネルは配置されない。その結果、光は、例えば音声チャネル11によって生じ得るレンズ効果の結果として、不要に偏向させられない。その代わりに、光は有利な点として、ホログラフィック光学素子15の方向に中断せずに伝播でき、インタラクション領域内にホログラフィック画像3が生成される。音声チャネル11は基板5内の開口として形成される。
【0199】
図3bは、この実施形態の側面図を示す。側面図から明らかなように、基板5は音響トランスデューサ9とインタラクション領域との間に配置される。音波は音声チャネル11を通ってホログラフィック画像3の方向に伝播し、圧力変動によりインタラクション領域内でユーザに対するハプティック信号をさらに生成する。
【0200】
図4は、第二のホログラフィック光学素子15を含む出力結合領域を完全に取り囲む音声チャネル11の図を平面図で示す。本発明によるシステム1のこの実施形態では、音声チャネル11は、開口として、第二のホログラフィック光学素子15の全周にわたり配置されて、音波は前記開口を通過して、特に集束した、及び/又は広域のハプティック信号を生成する。
【0201】
図5は、本発明によるシステムの別の実施形態の平面図を示す。光源7は光を基板5の方向に発する。図は、光が音声チャネル11を通って伝播する間に偏向させられることを示す。これは、基板材料と音声チャネル11内にある媒質が異なる屈折率を有し得ることによる。音響トランスデューサ9は基板5の背後にあり、発せられた音波(音響トランスデューサ9の周囲の円により示される)は音声チャネル11を通過する。
【0202】
特に、超音波は音響トランスデューサにより発出できる。超音波が使用される場合、ユーザにとっての触覚又は力覚感覚はインタラクション領域内の音圧変動によりトリガされる。この場合、超音波はユーザにとって特に現実的なハプティック知覚を生成するために特に有利であることがわかった。
【0203】
光は第二のホログラフィック光学素子15の方向に伝播し、それによってホログラフィック画像3は基板5の射出部又は出力結合領域の前方に出現し得る。したがって、本発明によるシステム1により、ホログラフィック画像3とハプティック知覚の両方を生成することが可能となり、基板5は音声をブロック又は遮断しない。
【0204】
図6は、音声チャネルの異なる幾何学的形状の断面が基板5内の光の伝播に与える影響を示す。
【0205】
図6aは、多角形の断面が光の伝播に与える影響を示す。偏向しない、又はわずかしか偏向しない光線が、多角形の断面、特に四辺形の断面を有する音声チャネルによって得られることが明らかである。このために、音声チャネル11の境界は、好ましくは光線の伝播方向に垂直に向けられる。これは、本発明によるシステム1の光学ユニットの設計にとって有利であり、なぜなら、光の経路は、例えば光学コンポーネント及び/又はホログラフィック光学素子を取り付けることによって、特に容易に制御できるからである。その結果、音声チャネル11の多角形の断面、特に四辺形の断面は、ビームの有効且つ単純な経路を得るのに特に適している。
【0206】
図6bは、楕円形の断面を有する音声チャネル11が光の伝播に与える影響を示す。音声チャネル11の楕円形の断面は音波の伝播にとって有利であり、これは、楕円形状の場合、モードスペクトルがほとんど、又は全く変化しないからである。
【0207】
しかしながら、楕円形の断面(円形の断面が示されている)を有する音声チャネル11を通過するとき、光ビームはそのコリメーションを失い、外側に屈折し得る。それゆえ、楕円形の断面は発散レンズと同様の効果を有し得る。以下に詳しく説明するように、光ビームを再びコリメートするための様々な補償の選択肢を提供できる。
【0208】
図7は、好ましい実施形態の補償HOE 17の効果を示す。
【0209】
図7aにおいて、補償HOE 17が存在し、光が音声チャネル11を通過してからそこを通るように配置される。その結果、光は、例えば音声チャネルが発散レンズの効果を有していれば、コリメートできる。
【0210】
図7bは、音声チャネル11が光の伝播に与え得る不要な影響を補償するための別の選択肢を示す。図の実施形態では、補償HOE 17は、光がそれをまず通過してから、音声チャネル11を通るように配置される。補償HOE 17は、例えば光学機能を有する補償HOE 17によって音声チャネルの屈折効果を事前に補償するように構成できる。補償HOE 17は好ましくは、それが異なる入射光角度を受け入れ、異なる波長を正しく融合させて、基板内の光の伝播の色収差が回避されるように設計される。
【0211】
図8は、補償HOE 17の別の考え得る配置を示す。補償HOE 17は、
図8aでは基板5に埋め込まれ、基板は
図8bでは基板5の表面上にある。例えば、補償HOE 17は、例えばフィルムの形態で基板5に積層され、及び/又は接着剤で結合されることによって接続できる。
【0212】
付随的に、基板5に接続するための図の選択肢は、図の全てのホログラフィック光学素子に同様に当てはまる。好ましくは、ホログラフィック光学素子は基板5の上及び/又は中に適用できる。
【0213】
図9は、ギャップとしての音声チャネル11の図を平面及び側面図で示す。音声チャネル11の多角形、特に四辺形の断面は特に、ビームの経路にとって有利であることが判明し、これはビームの経路の複雑さが軽減されるからである。
【0214】
図9aは、複数の音声チャネル11が、これらが第二のホログラフィック光学素子15を含む出力結合領域を取り囲むように配置された図を平面図で記しており、音声チャネル11はギャップとして形成される。ギャップの形態の音声チャネル11は、光がまずギャップを通過し、その後、第二のホログラフィック素子15へと伝播してホログラフィック画像3を生成するように配置される。
【0215】
【0216】
図10は、音声チャネル11及び/又は音響トランスデューサ9が傾斜して存在する本発明によるシステム1の実施形態を示す。
【0217】
図10aは、音声チャネル11が傾斜していることを示す。その結果、音声チャネル11を通って伝播する音波は、音声チャネル11が傾斜していない場合とは異なる回折挙動を示す。この場合、傾斜した音声チャネル11は傾斜角度を有することを特徴とする。有利な点として、これによって、インタラクション領域内の特定の位置において音圧を高めることができ、その結果、より顕著なハプティック信号を生成できる。
【0218】
図10bは、音声チャネル11及び音響トランスデューサ9が傾斜して存在する本発明によるシステム1の実施形態を示す。有利な点としてここでわかることは、音圧と力覚により知覚可能な圧力変動を特定の範囲まで増大させることができることである。
【0219】
図11は、ビームの経路と、音声チャネル11が傾斜している発明によるシステム1の別の実施形態を示す。
【0220】
図11aは、傾斜した音声チャネルを通って伝播する光線のビーム経路を示す。ここで、光は、基板材料と音声チャネル11内にある材料が異なる屈折率を有するため、音声チャネル11で屈折することが明らかである。したがって、本発明によるシステム1は好ましくは、音声チャネルの屈折効果が補償されるように、又は光が音声チャネルを通過して案内されるように設計されるべきである。
【0221】
図11bは、音声チャネル11の全てではなく幾つかが傾けられた実施形態を示しており、その結果、インタラクション領域においてより高い音圧を継続的に得ることができる。有利な点として、これによってホログラフィック画像3の強力なハプティック知覚が得られる。
【0222】
図12は、拡大HOE 21が配置されている本発明によるシステム1の実施形態を示す。さらに、本発明によるシステム1は光チャネル23を含む。光源は光を光チャネル23の方向に発する。有利な点として、光チャネル23は基板5に、ここで光が音声チャネル11を通って標的を絞った方法で操作されるように接続される。その結果、光は有利な点として屈折せず、したがってそれを補償する必要がない。その代わりに、光チャネル23は光を拡大HOE 21へと引き続き案内する。拡大HOE 21は、光を特に伝播エリアに関して拡大する。その結果、光は広いエリアにわたって、好ましくはコリメートされて第二のホログラフィック光学素子15の方向へと操作されて、ホログラフィック画像3を表示する。
【0223】
図13は、拡大HOE 21を含む本発明によるシステム1の実施形態を示す。この場合、複数のホログラフィック光学素子が隣合わせに配置されて、瞳孔拡張が得られる。光源7からの光は、基板5へと非常に狭く入力結合され、偏向されて、音声チャネル11の周囲で伝播して、複数のホログラフィック光学素子の形態の拡大HOE 21によって瞳孔拡張を生じる。このプロセスで、光も拡大され、光は、好ましくは拡大され、コリメートされて、複数のホログラフィック光学素子により第二のホログラフィック素子へと案内される。
【0224】
図14は、標的を絞って音声チャネル11を通過するように光を操作するための別の選択肢を示す。これは、音声チャネルが楕円形の断面を有する実施形態にとって特に有利であり、これは、光がこの場合、外側に反射され得るからである。このプロセスにおいて、追加の偏向HOE 19が利用されて、特に全内部反射によって、標的を絞って音声チャネル11を通過するように光を操作する。その後、光は第二のホログラフィック光学素子15に到達して、ホログラフィック画像3を生成する。偏向HOE 19は、ここでは透過及び/又は反射ホログラムの形態とすることができる。特に、複数の光源7、特に2つの光源7を使用することもできる。
【0225】
図15aは、幾つかの音声チャネル11が材料で満たされている実施形態を示す。好ましくは、材料は基板材料のそれと同様の屈折率を有する。基板材料及び音声チャネル11を充填するために使用される材料の屈折率の差がより小さいと、有利な点として、最終的にホログラフィック画像3を生成するために第二のホログラフィック光学素子15への経路上で光が受ける反射の効果又は角度変化はより小さくなる。オイルは音声チャネル11の充填材料として特に有利であることがわかっており、これは、オイル、特に光学オイルは、好ましい光学ガラス又はプラスチックに特に近くなるように調整でき、それと同時に良好な音声伝達を登録する屈折率を有するものを選択できるからである。グリセリン、水、及び/又はシリコーンオイル等の材料も、音声チャネル11の充填に有利に使用できる。
【0226】
図15bは、基板5の、材料、好ましくは流体が満たされた音声チャネル11を含む部分(破線で示される)の断面を概略的に示す。材料(黒塗りにより示される)を取り囲むために、フィルム又は膜25が音声チャネル11に沿って形成される。好ましくは、フィルム又は膜25は、充填済み音声チャネル11を閉じるために基板5の表面の両側に形成される。好ましくは、フィルム又は膜25は光源からの光を透過させ、閉じ込められた材料、好ましくは流体に対しては不透過である。例えば、膜はシリコーン膜とすることができ、フィルムは例えば透明プラスチックフィルム、例えばPMMAフィルム(ポリメチルメタクリレートフィルム)として、音声チャネル領域内に、光学接着剤又はOCAフィルム(ここでは図示せず)により基板表面に形成されるように存在できる。フィルム又は膜25をカバーし、保護するために、フィルム蓋材27をフィルム又は膜25に形成することが好ましいものであり得る。音声チャネル11の領域において、フィルム蓋材27は開口29を有し、これは形状及び大きさの点で、音声チャネル11(の断面)の形状及び大きさに対応する。好ましくは、フィルム蓋材27は、基板5と同じ材料からなり得る。
【0227】
図16は、複数の補償HOE 17が配置されている本発明によるシステムの実施形態を示す。この場合、それぞれの補償HOE 17は円形の音声チャネル11の前方及び背後に配置される。有利な点として、これは光の補償を容易にすることができ、それは光が音声チャネル11の前方の補償HOE 17により集束されて、光線が音声チャネルに入り、またそこから出る際に境界に対して垂直に入射させられることによる。これにより、不要な屈折効果及びイメージング収差を特に効率的に回避できる。
【符号の説明】
【0228】
1 システム
2 入力結合領域
3 ホログラフィック画像
4 出力結合領域
5 基板
7 光源
9 音響トランスデューサ
11 音声チャネル
13 第一のホログラフィック光学素子
15 第二のホログラフィック光学素子
17 補償HOE
19 偏向HOE
21 拡大HOE
23 光チャネル
25 フィルム又は膜
27 フィルム蓋材
29 フィルム蓋材内の開口
【国際調査報告】