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特表2025-505390マスタ発振器パワー増幅器レーザのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】マスタ発振器パワー増幅器レーザのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/23 20060101AFI20250218BHJP
   H01S 3/1115 20230101ALI20250218BHJP
   H01S 3/16 20060101ALI20250218BHJP
   H01S 3/042 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
H01S3/23
H01S3/1115
H01S3/16
H01S3/042
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543914
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2023050639
(87)【国際公開番号】W WO2023144726
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/303,136
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519267990
【氏名又は名称】トライアイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クハツェヴィチ,スタニスラブ
(72)【発明者】
【氏名】イメル,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】プロスペル シャリボ,ヨニ
(72)【発明者】
【氏名】エリ ホランデル,エーヤル
(72)【発明者】
【氏名】バカル,アヴラハム
(72)【発明者】
【氏名】カパチ,オメル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,ウリエル
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AE01
5F172AE03
5F172AE08
5F172AE09
5F172AF02
5F172AL05
5F172DD03
5F172EE02
5F172EE13
5F172NN13
5F172NQ53
5F172NR12
5F172NS05
5F172NS18
(57)【要約】
併合マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)レーザモジュール、およびその製造方法。MOPAは、複数の表面を含むプレハブシャーシと、複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第1表面に永続的に固着されたマスタ発振器レーザ(MO)と、複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第2表面に永続的に固着されたパワー増幅器(PA)と、前記プレハブシャーシに永続的に固着されたビーム伝達システム(BTS)と、を含む。少なくとも1つの前記第1表面と少なくとも1つの前記第2表面との間の空間的関係によって、前記MOと前記PAとの間のアラインメントが決定され、前記BTSは、前記MOから出力される光を増幅のため前記PAに伝達するための複数の光学素子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
併合マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)レーザモジュールであって、
複数の表面を含むプレハブシャーシと、
複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第1表面に永続的に固着されたマスタ発振器レーザ(MO)と、
複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第2表面に永続的に固着されたパワー増幅器(PA)と、
前記プレハブシャーシに永続的に固着されたビーム伝達システム(BTS)と、
を含み、
少なくとも1つの前記第1表面と少なくとも1つの前記第2表面との間の空間的関係によって、前記MOと前記PAとの間のアラインメントが決定され、
前記BTSは、前記MOから出力される光を増幅のため前記PAに伝達するための複数の光学素子を含む、併合MOPAレーザモジュール。
【請求項2】
前記MOは、受動Qスイッチ(P-QS)レーザである、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項3】
前記MOは、前記MOの結晶性ゲイン媒質に剛結合された結晶性可飽和吸収体を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項4】
前記MOは、当該MOがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、前記ゲイン媒質および前記可飽和吸収体に剛結合された高反射率ミラーおよび出力結合器をさらに含む、請求項3に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1表面と少なくとも1つの前記第2表面とは、互いに平行な研磨面である、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項6】
前記増幅器は、
少なくとも1つのポンプと、
前記ポンプによって励起される20ミリメートル未満の平均厚さを有する平坦結晶と、
を含み、
前記MOの光は、複数のパスで前記平坦結晶を通過して、複数の前記パスの各々において増幅され、
前記シャーシは、少なくとも1つの研磨面を含み、
少なくとも1つの前記研磨面は、前記平坦結晶からの光を当該平坦結晶内へ少なくとも1回反射して戻すミラーとして機能する、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項7】
少なくとも1つのレンズと、
屈曲光学系と、
を含み、
前記MOによって出力される光の光軸は、前記光軸に沿って前記PAに入射した光が増幅され、当該増幅器の出力光軸において放出されるように、前記PAの側面上の入射位置まで続いており、
前記シャーシに対する前記BTSの位置は、光が前記光軸に沿って前記BTSに入射し、前記屈曲光学系による偏向と少なくとも1つの前記レンズによる操作とを受けた後、当該光軸に沿って前記BTSから出射するような位置である、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項8】
前記MOのポンプ源の周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであり、
前記MOによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり、
前記PAのポンプ源の周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであり、
前記PAによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり、
前記MOのゲイン媒質は、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)である結晶性材料を含み、
前記MOの可飽和吸収体は、
(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および
(b)二価コバルトドープ結晶性材料
からなるドープセラミック材料の群から選択される結晶性材料を含み、
前記PAは、Nd:YAG平坦結晶を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項9】
前記シャーシの少なくとも一部は、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方を冷却するように動作可能な熱電冷却器(TEC)の部分である、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項10】
前記MOまたは前記PAのコンポーネントと前記シャーシの対応する表面との間に永続的に固着された中間機械結合部をさらに含み、
前記中間機械結合部と対応する前記表面とによってもたらされる転位の程度は、前記MOによって放出される光の光学的測定に基づいて決定される、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項11】
前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための内部光学センサと、
前記内部光ビームの前記強度を増大させるために、前記MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能なコントローラと、
を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項12】
前記MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための内部温度センサと、
測定された前記温度に基づいて、前記MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能なコントローラと、
を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項13】
前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための内部光学センサと、
前記内部光ビームの前記強度を増大させるために、前記MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさの変更をトリガするように動作可能なコントローラと、
を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項14】
前記MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための内部温度センサと、
測定された前記温度に基づいて、前記MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさの変更をトリガするように動作可能なコントローラと、
を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項15】
前記BTSは、
MOレーザモジュールの光ビームを入射光軸に沿って受け入れるための光入口と、
操作された光ビームを前記PAに向かって出射光軸に沿って放出するための光出口と、
複数のレンズであって、当該複数のレンズのうちの少なくとも1つが前記光ビームを操作するような形状であって、シャーシの少なくとも1つの専用の三次元(3D)構造に適合するような形状を有する複数のレンズと、
ミラーおよびプリズムからなる群から選択される少なくとも1種類のコンポーネントを含む複数の屈曲光学コンポーネントを含む屈曲光学系であって、前記入射光軸に沿って前記BTSに入射する光を複数の前記レンズのうちの少なくとも1つのレンズに向かって偏向させ、複数の前記レンズのうちの少なくとも1つの他のレンズから到来する光を前記出射光軸に向かって偏向させるように動作可能であり、複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、前記光ビームを操作するような形状であって、前記シャーシの少なくとも1つのカスタマイズされた3D構造に適合するような形状を有する、屈曲光学系と、
を含む、請求項1に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項16】
前記シャーシは、少なくとも1つの専用の前記3D構造と少なくとも1つのカスタマイズされた前記3D構造とを含むシャーシ部分を有する、請求項15に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項17】
複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、それぞれのカスタマイズされた前記3D構造に対するそれぞれの前記屈曲光学コンポーネントの位置を調整するために、前記BTSの少なくとも1つのコンポーネントによって制御可能に移動可能である、請求項15に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項18】
複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、4つのアクティブ面を有するペンタプリズムであり、
前記ペンタプリズムは、当該ペンタプリズムの外へ前記光ビームを放出する前に、当該光ビームを当該ペンタプリズム内部で2回内部反射させるように動作可能である、請求項15に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項19】
複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、少なくとも3つのアクティブ面を有する再帰反射体であり、
前記再帰反射体は、当該再帰反射体の外へ前記光ビームを放出する前に、当該光ビームを当該再帰反射体内部で2回内部反射させるように動作可能である、請求項15に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項20】
前記出射光軸は、前記入射光軸の延長である、請求項15に記載の併合MOPAレーザモジュール。
【請求項21】
併合マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)レーザモジュールを製造する方法であって、
マスタ発振器レーザ(MO)の少なくとも1つのコンポーネントとパワー増幅器(PA)の少なくとも1つのコンポーネントとを、プレハブシャーシの異なる表面に永続的に固着する工程と、
MOの少なくとも1つの前記コンポーネントとPAの少なくとも1つの前記コンポーネントとを固着する前記工程の後に、前記プレハブシャーシにビーム伝達システム(BTS)を永続的に結合する工程と、
を含み、
MOの少なくとも1つの前記コンポーネントとPAの少なくとも1つの前記コンポーネントとを前記プレハブシャーシに固着する前記工程によって、前記MOと前記PAとの間のアラインメントが決定され、
前記BTSは、前記MOから出力される光を増幅のため前記PAに伝達するための複数の光学素子を含む、方法。
【請求項22】
固着する前記工程は、
前記MOを直接的に前記PAの方へ方向付ける工程と、
照射の結果として生じる前記PAの出力を感知する工程と、
感知する前記工程の結果に基づいて、前記MOと前記PAとの間のアラインメントを調整する工程と、
調整された前記アラインメントに基づいて、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方の少なくとも1つのコンポーネントを固着する工程と、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記BTSの少なくとも1つの制御可能な光学コンポーネント(COC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、
少なくとも1つの前記COCについての温度補償情報を計算する工程と、
少なくとも1つの前記COCの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの熱電冷却器(TEC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、
少なくとも1つの前記TECについての温度補償情報を計算する工程と、
少なくとも1つの前記TECの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記MOまたは前記PAの少なくとも1つのポンプの2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、
少なくとも1つの前記ポンプについての温度補償情報を計算する工程と、
少なくとも1つの前記ポンプの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
永続的に固着する前記工程には、前記シャーシの少なくとも1つの第1表面および少なくとも1つの第2表面を互いに平行になるように研磨する工程が先行し、
永続的に固着する前記工程は、
前記MOの少なくとも1つの前記コンポーネントを前記第1表面に永続的に固着する工程と、
前記PAの少なくとも1つの前記コンポーネントを前記第2表面に永続的に固着する工程と、
を含む、請求項21に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2022年1月26日に出願された米国仮特許出願第63/303,136号に関連しており、その優先権を主張する出願である。当該米国仮特許出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔分野〕
本開示は、フォトニックシステム、方法、および製品に関する。より具体的には、本開示は、赤外(infrared:IR)フォトニクスで使用されるマスタ発振器パワー増幅器(Master Oscillator Power Amplifier:MOPA)レーザのシステムおよび方法に関する。
【0003】
〔背景〕
電磁スペクトルの短波赤外(short-wave infrared:SWIR)部分において動作するレーザは、特に生産コストの小ささが求められる場合には、大量製造が困難であり得る。そのため、例えば低コストかつ大量の生産が可能な受動(パッシブ)Qスイッチ(passively Q switched:P-QS)SWIRレーザを含む、MOPAレーザシステムが、当技術分野において必要とされている。MOPAレーザシステムの生産および組み立てのための現行のソリューションには、多数の素子、複数のアラインメント(調整)ツールの使用、試験ツール、およびシステム組み立ての非常に複雑なプロセスが要求され得る。例えば、マスタ発振器ファイバ増幅器(master oscillator fiber amplifier:MOFA)には、例えば固体レーザからシングル/マルチモードファイバへの、正確でかつ高効率の結合(カップリング:coupling)が必要となる。高パワー源の場合、レーザの空間的形状が複雑であり得るため、結合が非常に困難となっている。それには、複雑なビーム整形光学系、精密なマイクロポジショニング(微小位置決め:micro-positioning)、およびアクティブ/パッシブなスタビライザが必要になり得るからである。
【0004】
コスト、組み立て時間、適格性評価(クオリフィケーション、qualification)フェーズ、および検証(バリデーション、verification)フェーズの削減等のための現行のソリューションを上回る利点を有し得る、様々なモジュール間および各モジュール内での迅速かつ単純なアラインメントが必要とされている。
【0005】
〔概要〕
様々な例示的な実施形態において、併合マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)レーザモジュールであって、複数の表面を含むプレハブシャーシと、複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第1表面に永続的に固着(付着)された(enduringly affixed)マスタ発振器レーザ(MO)と、複数の前記表面のうちの少なくとも1つの第2表面に永続的に固着されたパワー増幅器(PA)と、前記プレハブシャーシに永続的に固着されたビーム伝達システム(BTS)と、を含み、少なくとも1つの前記第1表面と少なくとも1つの前記第2表面との間の空間的関係によって、前記MOと前記PAとの間のアラインメントが決定され、前記BTSは、前記MOから出力される光を増幅のため前記PAに伝達するための複数の光学素子を含む、併合MOPAレーザモジュールが提供される。
【0006】
一部の実施例では、前記MOは、受動Qスイッチレーザである。
【0007】
一部の実施例では、前記MOは、前記MOの結晶性ゲイン媒質に剛結合された結晶性可飽和吸収体を含む。一部のかかる実施例では、前記MOは、当該MOがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、前記ゲイン媒質および前記可飽和吸収体に剛結合された高反射率ミラーおよび出力結合器をさらに含む。
【0008】
一部の実施例では、少なくとも1つの前記第1表面と少なくとも1つの前記第2表面とは、互いに平行な研磨面である。
【0009】
一部の実施例では、前記増幅器は、少なくとも1つのポンプと、前記ポンプによって励起(ポンプ)される20ミリメートル未満の平均厚さを有する平坦結晶と、を含み、前記MOの光は、複数のパス(multiple passes)で前記平坦結晶を通過して、複数の前記パスの各々において増幅され、前記シャーシは、少なくとも1つの研磨面を含み、少なくとも1つの前記研磨面は、前記平坦結晶からの光を当該平坦結晶内へ少なくとも1回反射して戻すミラーとして機能する。
【0010】
一部の実施例では、併合MOPAは、少なくとも1つのレンズと、屈曲光学系(folding optics)と、をさらに含み、前記MOによって出力される光の光軸は、前記光軸に沿って前記PAに入射した光が増幅され、当該増幅器の出力光軸において放出されるように、前記PAの側面上の入射位置上の位置まで続いており、前記シャーシに対する前記BTSの位置は、光が前記光軸に沿って前記BTSに入射し、前記屈曲光学系による偏向と少なくとも1つの前記レンズによる操作(manipulate)とを受けた後、当該光軸に沿って前記BTSから出射するような位置である。
【0011】
一部の実施例では、前記MOのポンプ源の周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであり、前記MOによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり、前記PAのポンプ源の周波数は、750nm~850nmであり、前記PAによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり、前記MOのゲイン媒質は、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)である結晶性材料を含み、前記MOの可飽和吸収体は、
(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および
(b)二価コバルトドープ結晶性材料
からなるドープセラミック材料の群から選択される結晶性材料を含み、前記PAは、Nd:YAG平坦結晶を含む。
【0012】
一部の実施例では、前記シャーシの少なくとも一部は、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方を冷却するように動作可能な熱電冷却器(TEC)の一部である。
【0013】
一部の実施例では、併合MOPAは、前記MOまたは前記PAのコンポーネントと前記シャーシの対応する表面との間に永続的に固着された中間機械結合部をさらに含み、前記中間機械結合部と対応する前記表面とによってもたらされる転位の程度は、前記MOによって放出される光の光学的測定に基づいて決定される。
【0014】
一部の実施例では、併合MOPAは、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための内部光学センサと、前記内部光ビームの前記強度を増大させるために、前記MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能なコントローラと、をさらに含む。
【0015】
一部の実施例では、併合MOPAは、前記MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための内部温度センサと、測定された前記温度に基づいて、前記MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能なコントローラと、をさらに含む。
【0016】
一部の実施例では、併合MOPAは、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための内部光学センサと、前記内部光ビームの前記強度を増大させるために、前記MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさ(電気的な量:electric magnitude)の変更をトリガするように動作可能なコントローラと、をさらに含む。
【0017】
一部の実施例では、併合MOPAは、前記MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための内部温度センサと、測定された前記温度とコントローラによってアクセス可能な有形メモリモジュールにおける温度補正情報とに基づいて、前記MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさの変更をトリガするように動作可能な当該コントローラと、をさらに含む。
【0018】
一部の実施例では、前記BTSは、MOレーザモジュールの光ビームを入射光軸に沿って受け入れるための光入口と、操作された光ビームをPAに向かって出射光軸に沿って放出するための光出口と、複数のレンズであって、当該複数のレンズのうちの少なくとも1つが前記光ビームを操作するような形状であって、シャーシの少なくとも1つの専用の三次元(3D)構造に適合するような形状を有する複数のレンズと、ミラーおよびプリズムからなる群から選択される少なくとも1種類のコンポーネントを含む複数の屈曲光学コンポーネントを含む屈曲光学系であって、前記入射光軸に沿って前記BTSに入射する光を複数の前記レンズのうちの少なくとも1つのレンズに向かって偏向させ、複数の前記レンズのうちの少なくとも1つの他のレンズから到来する光を前記出射光軸に向かって偏向させるように動作可能であり、複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、前記光ビームを操作するような形状であって、前記シャーシの少なくとも1つのカスタマイズされた3D構造に適合するような形状を有する、屈曲光学系と、を含む。一部の実施例では、前記シャーシは、少なくとも1つの専用の前記3D構造と少なくとも1つのカスタマイズされた前記3D構造とを含む少なくとも一部分を有する。一部の実施例では、複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、それぞれのカスタマイズされた前記3D構造に対するそれぞれの前記屈曲光学コンポーネントの位置を調整するために、前記BTSの少なくとも1つの他のコンポーネントによって制御可能に移動可能である(移動ができる)。一部の実施例では、複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、4つのアクティブ面(活性面)を有するペンタプリズムであり、前記ペンタプリズムは、当該ペンタプリズムの外へ前記光ビームを放出する前に、当該光ビームを当該ペンタプリズム内部で2回内部反射させるように動作可能である。一部の実施例では、複数の前記屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、少なくとも3つのアクティブ面(活性面)を有する再帰反射体であり、前記再帰反射体は、当該再帰反射体の外へ前記光ビームを放出する前に、当該光ビームを当該再帰反射体内部で2回内部反射させるように動作可能である。一部の実施例では、前記出射光軸は、前記入射光軸の延長である。
【0019】
様々な例示的な実施形態において、MOPAレーザモジュールを製造する方法であって、MOの少なくとも1つのコンポーネントとPAの少なくとも1つのコンポーネントとを、プレハブシャーシの異なる表面に永続的に固着する工程と、MOの少なくとも1つの前記コンポーネントとPAの少なくとも1つの前記コンポーネントとを固着する前記工程の後に、前記プレハブシャーシにBTSを永続的に結合する工程と、を含み、MOの少なくとも1つの前記コンポーネントとPAの少なくとも1つの前記コンポーネントとを前記プレハブシャーシに固着する前記工程によって、前記MOと前記PAとの間のアラインメントが決定され、前記BTSは、前記MOから出力される光を増幅のため前記PAに伝達するための複数の光学素子を含む、方法が提供される。
【0020】
一部の実施例では、固着する前記工程は、前記MOを直接的に前記PAの方へ方向付ける工程と、照射の結果として生じる前記PAの出力を感知する工程と、感知する前記工程の結果に基づいて、前記MOと前記PAとの間のアラインメントを調整する工程と、調整された前記アラインメントに基づいて、前記MOおよび前記PAのうちの少なくとも一方の少なくとも1つのコンポーネントを固着する工程と、を含む。
【0021】
一部の実施例では、方法は、前記BTSの少なくとも1つの制御可能な光学コンポーネント(COC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、少なくとも1つの前記COCについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つの前記COCの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含む。
【0022】
一部の実施例では、方法は、MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの熱電冷却器(TEC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、少なくとも1つの前記TECについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つの前記TECの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含む。
【0023】
一部の実施例では、方法は、前記MOまたは前記PAの少なくとも1つのポンプの2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態における前記PAの出力を測定する工程と、少なくとも1つの前記ポンプについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つの前記ポンプの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、前記温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含む。
【0024】
一部の実施例では、永続的に固着する前記工程には、前記シャーシの少なくとも1つの第1表面および少なくとも1つの第2表面を互いに平行になるように研磨する工程が先行し、永続的に固着する前記工程は、前記MOの少なくとも1つの前記コンポーネントを前記第1表面に永続的に固着する工程と、前記PAの少なくとも1つの前記コンポーネントを前記第2表面に永続的に固着する工程と、を含む。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
本開示が理解され、それが実際にどのように実行され得るのかが分かるように、複数の実施形態を、あくまでも非限定的な実施例として、本開示の主題の実施例によって、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、短波赤外(SWIR)光学システムの一例を示す概略機能ブロック図である;
図2A図2B、および図2Cは、P-QSレーザの例を示す概略機能ブロック図である;
図3は、SWIR光学システムの例示的な一実装形態を示す概略機能図である;
図4は、SWIR光学システムの別の例示的な一実装形態を示す概略機能図である;
図5は、SWIR光学システムの一例を示す概略機能ブロック図である;
図6Aは、P-QSレーザのための部品の製造方法の一例を示すフローチャートである;
図6Bおよび図6Cは、前述した方法を実行するためのいくつかの概念的なタイムラインを含む;
図7および図8は、本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)の例示的な分解視斜視投影を示す;
図9および図10は、本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)および増幅レーザ照射源の例示的な分解視斜視投影を示す;
図11A図11Bおよび図11Cは、本開示の主題による、例示的なMOPAシステムを示す概略機能ブロック図である;
図12は、本開示の主題による、MOPAレーザモジュールの例示的なコンポーネント、およびシャーシを示す側面図である;
図13A図13B図13C図13Dおよび図13Eは、本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す;
図14は、本開示の主題の一部の実施形態による、併合MOPAレーザモジュールを製造する方法についての例示的なプロセスのフローチャートである。
【0026】
〔詳細な説明〕
本開示が理解され、それが実際にどのように実行され得るのかが分かるように、複数の実施形態を、あくまでも非限定的な実施例として、添付の図面を参照して以下に説明する。説明を簡単かつ明確にするために、図面に示す要素は必ずしも一定の縮尺比で描かれていないことが理解されるだろう。例えば、一部の要素の寸法は、明確にするために、他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合には、対応する複数の要素または類似の複数の要素を示すために、参照番号が図面間で繰り返され得る。
【0027】
以下の詳細な説明では、本開示についての十分な理解が提供されるように、多数の特定の詳細が開示されている。ただし、これらの特定の詳細が無くとも本開示を実施し得ることが、当業者によって理解されるだろう。他の例では、周知の方法、手順、および構成要素については、本開示が不明瞭とならないよう、詳細に説明していない。
【0028】
記載された図面および説明において、同一の参照番号は、異なる実施形態または構成に共通する構成要素を示す。
【0029】
「コンピュータ(computer)」、「プロセッサ(processor)」、および「コントローラ(制御装置:controller)」という語は、非限定的な例として、パーソナルコンピュータ、サーバ、コンピューティングシステム、通信デバイス、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)等)、他の任意の電子コンピューティングデバイス、および/または、これらの任意の組み合わせを含む、データ処理能力を有する任意の種類の電子デバイスを包含するものと、広範に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書における教示に係る動作は、所望の目的のために特別に作成されたコンピュータによって実行されてもよいし、あるいは、コンピュータ可読記憶媒体、特に非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実行されてもよい。
【0031】
本明細書において使用されている通り、「例えば(for example)」、「等(such)」、「例として(for instance)」というフレーズおよびそれらの変形語は、本明細書において開示されている主題についての非限定的な実施形態を説明している。本明細書において、「ある場合(one case)」、「一部の場合(some cases)」、「他の場合(other case)」、またはそれらの変形語への言及は、(1以上の)実施形態に関連して説明されている特定の構成、構造、または特性が、本明細書において開示されている主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。このため、「ある場合」、「一部の場合」、「他の場合」というフレーズまたはそれらの変形語の出現は、必ずしも同じ(1以上の)実施形態を指しているわけではない。
【0032】
明瞭化のために、個別の実施形態の文脈において説明されている、本明細書において開示されている主題についての特定の構成は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔化のために、単一の実施形態の文脈において説明されている、本明細書において開示されている主題の様々な構成は、個別に提供されてもよいし、あるいは、任意の適切なサブコンビネーション(副次的な組み合わせ)として提供されてもよい。
【0033】
本開示の主題についての実施形態では、図示されている1以上のステージ(段階)は、異なる順序によって実行されてよく、および/または、当該ステージの1以上のグループが同時に実行されてもよい。その逆も然りである。各図は、本開示の主題についての実施形態に係るシステムアーキテクチャの一般的な模式図を示す。本明細書において定義および説明されている通り、図中の各モジュールは、機能を実行するソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わせによって構成することができる。図中の各モジュールは、1つの位置に集中的に配置されていてもよいし、あるいは、2以上の位置に分散して配置されていてもよい。
【0034】
本明細書における方法へのいかなる言及も、(i)当該方法を実行できるシステムに準用(必要に応じて変更を加えて適用)されるべきであり、かつ、(ii)コンピュータによって一旦実行されると、当該方法を実行する結果を生じさせる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体にも準用されるべきである。
【0035】
本明細書におけるシステムへのいかなる言及も、(i)当該システムによって実行され得る方法に準用されるべきであり、かつ、(ii)当該システムによって実行され得る命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体にも準用されるべきである。
【0036】
図1は、本開示の主題の実施例による、SWIR光学システム100の一実施例を示す概略機能ブロック図である。システム100は、受動Qスイッチ(P-QS)レーザ200を少なくとも含む。ただし、図5に示すように、例えば以下の追加のコンポーネントをさらに含んでもよい。
a.システム100のFOVからの反射光、特に外部物体500から反射されたレーザ200の反射照射を感知するように動作するセンサ102。他の実施例を参照すると、センサ102は、本開示において論じられるイメージングレシーバ、PDAまたは光検出デバイスとして実装され得る。
b.センサ102の感知結果を処理するように動作するプロセッサ104。処理の出力は、FOVのイメージ、FOVの深度(depth)モデル、FOVの1つ以上の部分の分光分析、FOV内の識別された物体の情報、FOVに関する光統計、または他の任意のタイプの出力であってよい。他の実施例を参照すると、プロセッサ104は、本開示において論じられるプロセッサのうちの任意のプロセッサとして実装され得る。
c.レーザ200および/またはプロセッサ104の挙動を制御するように動作するコントローラ106。例えば、コントローラ106は、タイミング、同期、ならびにプロセッサ104および/またはレーザ200のその他の動作パラメータの制御を含み得る。
【0037】
任意選択的に、システム100は、レーザの波長に感応する(sensitive)SWIR PDA 108を含んでもよい。このとき、SWIR光学システムは、アクティブSWIRカメラ、SWIR飛行時間(time of flight:ToF)センサ、SWIR光検出および測距(light detection and ranging:LIDAR)センサ等として機能し得る。ToFセンサは、レーザの波長に感応してもよい。任意選択的に、PDAは、トライアイ社(テルアビブ、イスラエル)によって設計製造されたCMOSベースのPDA等、レーザ200によって放出されるSWIR周波数に感応するCMOSベースのPDAであってもよい。
【0038】
プロセッサ104は、SWIR PDA(または、システム100の他の任意の感光センサ)からの検出データを処理するために使用され得る。例えば、プロセッサは、システム100の視野(field-of-view:FOV)のSWIRイメージを提供する、FOV内の物体を検出する等のために、検出情報を処理し得る。任意選択的に、SWIR光学システムは、レーザの波長に感応する飛行時間(ToF)SWIRセンサと、SWIR光学システムの視野内の少なくとも1つの物体までの距離を検出するために、当該ToF SWIRセンサおよびP-QS SWIRレーザの動作を同期させるように動作するコントローラと、を含んでもよい。任意選択的に、システム100は、レーザ200、または光検出器アレイ(例えば、焦平面アレイ(focal plane array:FPA))等のシステムの他のコンポーネントの動作の1つ以上の側面を制御するように動作するコントローラ106を含んでもよい。例えば、コントローラによって制御され得るレーザのパラメータの一部には、タイミング、継続時間、強度、集束等が含まれる。必ずしもそうである必要はないが、コントローラは、PDAの検出結果に基づいて(直接的に、またはプロセッサによる処理に基づいて)レーザの動作を制御してもよい。任意選択的に、コントローラは、レーザポンプ、または他のタイプの光源を制御して、レーザの活性化パラメータ(activation parameter)に影響を与えるように動作してもよい。任意選択的に、コントローラは、パルス繰り返し数を動的に変化させるように動作してもよい。任意選択的に、コントローラは、例えば視野の特定の領域における信号対雑音比(Signal to Noise Ratio:SNR)を改善するために、光整形光学系の動的な変更を制御するように動作してもよい。任意選択的に、コントローラは、(例えば、励起レーザの集束を変更する等、他のP-QSレーザについて可能である方法と同じ方法で、)パルスエネルギーおよび/または継続時間を動的に変化させるために、照射モジュールを制御するように動作してもよい。
【0039】
さらに任意選択的に、システム100は、一般的にレーザの温度、またはそのコンポーネントのうちの1つ以上の(例えば、ポンプダイオードの)温度を制御するための温度制御部(例えば、受動的温度制御部、能動的温度制御部)を含んでもよい。かかる温度制御部には、例えば、熱電冷却器(thermoelectric cooler:TEC)、ファン、ヒートシンク、ポンプダイオード下の抵抗加熱器等が含まれ得る。
【0040】
さらに任意選択的に、システム100は、ゲイン媒質(利得媒質、gain medium:GM)202および可飽和吸収体(saturable absorber:SA)204のうちの少なくとも一方をブリーチ(bleach)するために使用される別のレーザを含んでもよい。任意選択的に、システム100は、レーザ200がパルスを生成する時間を測定するように動作する内部感光性検出器(例えば、PDA108のような1つ以上のPD)を(例えば、上述したPD226として)含んでもよい。かかる場合において、コントローラ106は、内部感光性検出器から得られるタイミング情報に基づいて、システム100の視野内の物体からのレーザ光の反射を検出するPDA108(または、他のタイプのカメラもしくはセンサ102)に対してトリガ信号を発するように動作し得る。
【0041】
前述したスペクトル範囲(1.3~1.5μm)のレーザを大量に必要とする主な産業は、光データストレージ用のエレクトロニクス産業である。この産業によって、ダイオードレーザのコストは、デバイス1個あたり、1ワットあたり、数ドル以下にまで下がった。しかしながら、ピークパワーおよびビーム輝度がさらにかなり高いレーザを必要とし、過酷な環境条件下でそれを利用する自動車産業等の他の産業には、これらのレーザは適するものではない。
【0042】
なお、SWIRスペクトルの一部とみなされる波長の範囲については、科学的なコンセンサスが存在しないことに留意されたい。とはいえ、本開示の目的上、SWIRスペクトルには、可視スペクトルの波長よりも長く、かつ少なくとも1,300nm~1,500nmのスペクトル範囲を含む波長の電磁放射が含まれる。
【0043】
かかる用途に限定されるものではないが、1つ以上のP-QSレーザ200は、任意のイメージングシステムの照射源として使用されてもよい。レーザ200は、例えばライダ(lidar)、分光器、通信システム等、パルス照射を必要とする、SWIR範囲で動作する他の任意の電気光学(electro optical:EO)システムにおいて使用され得る。なお、提案されたレーザ200、およびかかるレーザの製造方法は、SWIRスペクトル範囲で動作するレーザの大量製造を、比較的低い生産コストで可能にすることに留意されたい。
【0044】
再び図1を参照すると、P-QSレーザ200は少なくとも、結晶性GM202と、結晶性SA204と、ゲイン媒質202内を伝播する光がレーザ光ビーム212(例えば図3に図示)の生成に向かって増強できるように、前述した結晶性材料が閉じ込められる光キャビティ206と、を含む。光キャビティ(optical cavity)は、「光共振器(optical resonator)」および「共振キャビティ(resonating cavity)」という用語でも知られており、それには高反射率ミラー208(「高反射体(high reflector)」または「HR」とも称される)と、出力結合器210と、が含まれる。以下に説明するのは、SWIRスペクトル範囲のリーズナブルな価格のレーザの大量製造を可能にする、種々のタイプの結晶性材料のユニークかつ新規な複数の組み合わせ、およびレーザを製造するための様々な製造技術の使用である。P-QSレーザに関して当技術分野で一般的に知られている概括的な詳細は、本開示を簡潔にするためにここでは提供しないが、多種多様なリソースから容易に入手可能である。レーザの可飽和吸収体は、当技術分野で知られているように、レーザのためのQスイッチとして機能する。「結晶性材料(crystalline material)」という用語は、単結晶形態または多結晶形態のいずれかにある任意の材料を広範に含む。
【0045】
接続された結晶性ゲイン媒質および結晶性SAの寸法は、特定のP-QSレーザ200を設計する目的に依存し得る。非限定的な一実施例では、SAおよびGMの組み合わせられた長さは、5~15ミリメートルである。非限定的な一実施例では、SAおよびGMの組み合わせられた長さは、2~40ミリメートルである。非限定的な一実施例では、(例えば、丸い円柱である場合の、または想像上のかかる円柱内に閉じ込められている場合の)SAおよびGMの組み合わせの直径は、2~5ミリメートルである。非限定的な一実施例では、SAおよびGMの組み合わせの直径は、0.5~10ミリメートルである。
【0046】
P-QSレーザ200は、SA結晶性材料(SA crystalline material:SAC)に剛接続された(rigidly connected)ゲイン媒質結晶性材料(gain medium crystalline material:GMC)を含む。剛結合は、例えば接着剤の使用、拡散接合、複合結晶接合(composite crystal bonding)、一方を他方の上に成長させる等、当技術分野で知られた方法のうちの任意の方法で実施されてもよい。しかしながら、後述するように、セラミック形態の結晶性材料の剛接続は、単純で安価な手段を用いて達成され得る。なお、GMC材料とSAC材料とは互いに直接的に剛接続されてもよいが、任意選択的に、中間物体(例えば、別の結晶)を介して互いに剛接続されてもよいことに留意されたい。一部の実装形態では、ゲイン媒質とSAとはいずれも、結晶性材料の単一片の異なる部分に異なるドーパント(例えば、SAC材料およびGMC材料に関して後述するもの)をドープすることによって、または結晶性材料の単一片を共ドープ(co-doping)し、当該結晶性材料の同じ塊(volume)に2つのドーパントをドープすることによって(例えば、N3+およびV3+を共ドープしたセラミックYAG)、結晶性材料の単一片に実装されてもよい。任意選択的に、ゲイン媒質は、(例えば、液相エピタキシー(Liquid Phase Epitaxy:LPE)を用いて、)単結晶可飽和吸収基板上に成長させてもよい。なお、別個のGMC材料およびSA結晶性材料が、以下の開示において広範に論じられ、2つのドーパントがドープされたセラミック結晶性材料の単一片も、以下の実装形態のうちの任意の実装形態において、必要な変更を加えたうえで使用され得ることに留意されたい。
【0047】
図2A図2Bおよび図2Cは、本開示の主題による、P-QSレーザ200の実施例を示す概略機能ブロック図である。図2Aでは、2つのドーパントが、(GMとしてもSAとしても働く)共通の結晶性材料214の2つの部分に実装されている。一方、図2Bでは、2つのドーパントが、共通の結晶性材料214の共通の塊(図示の場合では、共通の結晶の全体)に、交換可能に実装されている。任意選択的に、GMおよびSAは、ネオジムおよび少なくとも1つの他の材料がドープされた結晶性材料の単一片に実装されてもよい。任意選択的に(例えば、図2Cに例示するように)、出力結合器210および高反射率ミラー208のいずれか一方または両方を、結晶性材料の一方(例えば、GMもしくはSA、またはその両方を組み合わせた結晶)に、直接的に接着(glue)してもよい。
【0048】
SACおよびGMCのうちの少なくとも一方は、セラミック結晶性材料であり、これは、セラミック形態(例えば、多結晶形態)の関連結晶性材料(例えば、ドープイットリウムアルミニウムガーネット、バナジウムドープYAG)である。結晶性材料(特に、両方の結晶性材料)をセラミック形態で有していることで、より大量に、かつより低コストで生産することが可能になる。例えば、緩慢かつ限定的なプロセスで別々の単結晶性材料を成長させる代わりに、粉末の焼結(すなわち、粉末を圧縮し、場合によっては加熱して、固体塊を形成)、低温焼結、真空焼結等によって、多結晶性材料を製造し得る。結晶性材料の一方(SACまたはGMC)を他方の上で焼結させることで、研磨、拡散接合、表面活性化接合等の、複雑でコストのかかるプロセスが不要になり得る。任意選択的に、GMCおよびSACのうちの少なくとも一方は、多結晶である。任意選択的に、GMCとSACとの両方が、多結晶である。
【0049】
GMCおよびSACが結晶性材料から作製され得る当該結晶性材料の組み合わせについて言及すると、かかる組み合わせには、以下のものが含まれ得る:
a.GMCは、セラミックネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(ceramic neodymium-doped yttrium aluminum garnet)(Nd:YAG)であり、SACは、(a)セラミック三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(ceramic three-valence vanadium doped yttrium aluminum garnet)(V3+:YAG)、または(b)セラミックコバルトドープ結晶性材料のいずれかである。任意選択的に、当該セラミックコバルトドープ結晶性材料は、セラミック二価コバルトドープ結晶性材料であってもよい。これらの代替形態では、Nd:YAGと前述した群から選択されるSACとの両方が、セラミック形態である。コバルトドープ結晶性材料は、コバルトがドープされた結晶性材料である。例として、コバルトドープスピネル(Co:スピネル(Spinel)、またはCo2+:MgAl)、コバルトドープセレン化亜鉛(Co2+:ZnSe)、コバルトドープYAG(Co2+:YAG)が含まれる。必ずしもそうである必要はないが、この選択肢における高反射率ミラーおよびSAは、任意選択的に、P-QSレーザがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、ゲイン媒質およびSAに剛接続されてもよい(例えば、図3および図5に例示)。
b.GMCは、セラミックネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)であり、SACは、(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および(b)コバルトドープ結晶性材料からなるドープセラミック材料の群から選択される非セラミックSACである。任意選択的に、当該コバルトドープ結晶性材料は、二価コバルトドープ結晶性材料であってもよい。かかる場合において、高反射率ミラー208および出力結合器210は、P-QSレーザ200がモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、ゲイン媒質およびSAに剛接続される。
c.セラミックネオジムドープ希土類元素結晶性材料であるGMCであり、SACは、(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および(b)コバルトドープ結晶性材料からなるドープ結晶性材料の群から選択されるセラミック結晶性材料である。任意選択的に、当該コバルトドープ結晶性材料は、二価コバルトドープ結晶性材料であってもよい。必ずしもそうである必要はないが、この選択肢における高反射率ミラー208および出力結合器210は、任意選択的に、P-QSレーザ200がモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、ゲイン媒質およびSAに剛接続されてもよい。
【0050】
なお、これらの実装形態のうちの任意の実施形態において、ドープ結晶性材料には、2種類以上のドーパントがドープされてもよいことに留意されたい。例えば、SACには、上に開示された主要なドーパントと、(例えば、比較的にかなり少ない量の)少なくとも1種の他のドーピング材料とがドープされてもよい。ネオジムドープ希土類元素結晶性材料は、結晶性材料であって、その単位格子が希土類元素(15種のランタニド元素を含む15種の化学元素、ならびにスカンジウムおよびイットリウムからなる、明確に定義された群のうちの1種)を含む結晶性材料であって、当該単位格子の一部におけるリアアース元素に取って代わるネオジム(例えば、三重イオン化ネオジム(triply ionized neodymium))がドープされた結晶性材料である。本開示で使用され得るネオジムドープ希土類元素結晶性材料の少数の非限定的な例は、以下の通りである:
a.Nd:YAG(前述)、ネオジムドープタングステン酸イットリウムカリウム(neodymium-doped tungstic acid yttrium potassium)(Nd:KYW)、ネオジムドープイットリウムリチウムフルオライド(neodymium-doped yttrium lithium fluoride)(Nd:YLF)、ネオジムドープオルトバナジン酸イットリウム(neodymium-doped yttrium orthovanadate)(YVO)。これらのいずれの場合においても、リアアース元素はネオジム、Ndである;
b.ネオジムドープオルトバナジン酸ガドリニウム(neodymium-doped gadolinium orthovanadate)(Nd:GdVO)、ネオジムドープガドリニウムガリウムガーネット(neodymium-doped Gadolinium Gallium Garnet)(Nd:GGG)、ネオジムドープタングステン酸カリウムガドリニウム(neodymium-doped potassium-gadolinium tungstate)(Nd:KGW)。これらのいずれの場合においても、リアアース元素はガドリニウム、Gdである;
c.ネオジムドープランタンスカンジウムボラート(neodymium-doped lanthanum scandium borate)(Nd:LSB)。この場合、希土類(レアアース)元素は、スカンジウムである;
d.その他のネオジムドープ希土類元素結晶性材料が使用されてもよく、その場合、希土類元素は、イットリウム、ガドリニウム、スカンジウム、または他の任意の希土類元素であり得る。
【0051】
以下の議論は、GMCおよびSACの任意選択的な組み合わせのうちの任意の組み合わせに適用される。
【0052】
任意選択的に、GMCは、SACに直接的に剛接続されている。あるいは、GMCとSACとは、間接的に接続されていてもよい(例えば、SACおよびGMCの各々が、1つ以上の中間結晶性材料の群を介して、かつ/または関連する波長に対して透明な1つ以上のその他の固体材料を介して、接続されている)。任意選択的に、SACおよびGMCの一方または両方は、関連する波長に対して透明である。
【0053】
任意選択的に、SACは、コバルトドープスピネル(Co Co2+:MgAl2O4)であってもよい。任意選択的に、SACは、コバルトドープYAG(Co:YAG)であってもよい。任意選択的に、これによって、同じYAGにコバルトおよびネオジムNdを共ドープすることが可能になり得る。任意選択的に、SACは、コバルトドープセレン化亜鉛(Co2+:ZnSe)であってもよい。任意選択的に、GMCは、セラミックコバルトドープ結晶性材料であってもよい。
【0054】
任意選択的に、SAの初期透過率(T)は、75%~90%である。任意選択的に、SAの初期透過率は、78%~82%である。
【0055】
レーザによって放出される波長は、その構成において使用される材料に依存し、特に、GMCおよびSACの材料およびドーパントに依存する。出力波長の例として、1,300nmおよび1,500nmの範囲内の波長が挙げられる。より具体的な例として、1.32μmまたは約1.32μm(例えば、1.32μm±3nm)、1.34μmまたは約1.34μm(例えば、1.34μm±3nm)、1.44μmまたは約1.44μm(例えば、1.44μm±3nm)が挙げられる。これらの光周波数範囲のうちの1つ以上の範囲に感応する対応するイメージャが、SWIR光学システム100に含まれてもよい(例えば、図5に例示)。
【0056】
図3および図4は、本開示の主題の実施例による、SWIR光学システム100を示す概略機能図である。これらの図に例示されるように、レーザ200は、上述したものに加えて、例えば以下の追加のコンポーネントを含んでもよい(ただし、これらに限定されるものではない)。
a.レーザのためのポンプとして機能する、フラッシュランプ216またはレーザダイオード218等の光源;
b.光源(例えば、光ダイオード218)からの光をレーザ200の光軸上へ集束させるための集束光学系220(例えば、レンズ);
c.光キャビティ206を出た後のレーザビーム212を操作するためのディフューザまたはその他の光学系(光学素子:optics)222。
【0057】
任意選択的に、図5に示すように、SWIR光学システム100は、FOVにおける目の安全上の問題を改善するために、より広いFOVにレーザを広げるための光学系(光学素子)110を含んでもよい。任意選択的に、SWIR光学システム100は、FOVからの反射されたレーザ光を収集し、それをセンサ102上、例えば光検出器アレイ(photodetector array:PDA)108上に方向付けるための光学系(光学素子)112を含んでもよい。任意選択的に、P-QSレーザ200は、ダイオード励起固体レーザ(diode pumped solid state laser:DPSSL)である。
【0058】
任意選択的に、P-QSレーザ200は、少なくとも1つのダイオードポンプ光源218と、当該ダイオードポンプ光源の光を光共振器(光キャビティ)に集束させるための光学系220と、を含む。任意選択的に、光源は、(エンドポンプとして)光軸上に配置される。任意選択的に、光源は、当該光源がモノリシックマイクロチップP-QSレーザの一部となるように、高反射率ミラー208またはSA204に剛接続されてもよい。任意選択的に、レーザの光源は、1つ以上の垂直共振器面発光レーザ(vertical-cavity surface-emitting laser:VCSEL)アレイを含んでもよい。任意選択的に、P-QSレーザ200は、少なくとも1つのVCSELアレイと、当該VCSELアレイの光を光共振器に集束させるための光学系と、を含む。光源(例えば、レーザポンプ)によって放出される波長は、レーザに使用される結晶性材料および/またはドーパントに依存し得る。ポンプによって放出され得る一部の例示的な励起波長には、808nmまたは約808nm、869nmまたは約869nmが含まれる。
【0059】
レーザのパワーは、当該レーザが設計される用途に依存し得る。例えば、レーザ出力パワーは、1W~5Wであり得る。例えば、レーザ出力パワーは、5W~15Wであり得る。例えば、レーザ出力パワーは、15W~50Wであり得る。例えば、レーザ出力パワーは、50W~200Wであり得る。例えば、レーザ出力パワーは、200Wより大きくてもよい。
【0060】
P-QSレーザ200は、パルスレーザであり、種々の周波数(繰り返し数)、種々のパルスエネルギー、および種々のパルス継続時間を有し得る。これらは、当該レーザが設計される用途に依存し得る。例えば、レーザの繰り返し数は、10Hz~50Hzであり得る。例えば、レーザの繰り返し数は、50Hz~150Hzであり得る。例えば、レーザのパルスエネルギーは、0.1mJ~1mJであり得る。例えば、レーザのパルスエネルギーは、1mJ~2mJであり得る。例えば、レーザのパルスエネルギーは、2mJ~5mJであり得る。例えば、レーザのパルスエネルギーは、5mJより高くてもよい。例えば、レーザのパルス継続時間は、10ns~100nsであってもよい。例えば、レーザのパルス継続時間は、0.1μs~100μsであってもよい。例えば、レーザのパルス幅は、100μs~1msであってもよい。レーザのサイズも、例えばそのコンポーネントのサイズに応じて、変化してもよい。例えば、レーザの寸法は、X×X×Xであり得、寸法(X、X、およびX)の各々は、10mm~100mm、20mm~200mm等である。出力結合ミラーは、平坦であってもよく、湾曲していてもよく、またはわずかに湾曲していてもよい。
【0061】
任意選択的に、レーザ200は、ゲイン媒質の吸収領域に熱が蓄積しないように、ゲイン媒質およびSAに加えて、ドープされていないYAGをさらに含んでもよい。ドープされていないYAGは、任意選択的に、ゲイン媒質およびSAを取り囲む円柱(例えば、同心円柱)として形成されてもよい。
【0062】
図6Aは、本開示の主題による方法600の一例を示すフローチャートである。方法600は、例えば上述したP-QSレーザ200(ただし、これに限定されない)等のP-QSレーザのための部品を製造するための一方法である。先の図面に関して記載された実施例の一式を参照すると、P-QSレーザは、レーザ200であってもよい。なお、レーザ200、またはそのコンポーネントに関して論じられた任意の変形形態は、P-QSレーザの部品が方法600で製造される当該P-QSレーザ、またはその対応するコンポーネントに対しても実装され得ること、そしてその逆もまた同様であることに留意されたい。
【0063】
方法600は、少なくとも1種の第1粉末を第1モールドに挿入する工程602から始まる。方法600において、少なくとも1種の第1粉末はその後加工され、第1結晶性材料が得られる。第1結晶性材料は、P-QSレーザのGMまたはSAのいずれかとして機能する。一部の実施形態では、レーザのゲイン媒質が(例えば、焼結の方法で)まず作製され、SAは、先に作製されたGMの上で(例えば、焼結の方法で)後から作製される。他の実施形態では、レーザのSAがまず作製され、GMは、先に作製されたSAの上で後から作製される。さらに他の実施形態では、SAとGMとは互いに独立して作製され、結合されて単一の剛体が形成される。結合は、加熱、焼結の一部として行われてもよく、またはその後に行われてもよい。
【0064】
方法600の工程604は、少なくとも1種の第1粉末とは異なる少なくとも1種の第2粉末を第2モールドに挿入する工程を含む。方法600において、少なくとも1種の第2粉末はその後加工され、第2結晶性材料が得られる。第2結晶性材料は、(SAおよびGMのうちの一方が第1結晶性材料から作製され、他方の機能部が第2結晶性材料から作製されるように、)P-QSレーザのGMまたはSAのいずれかとして機能する。
【0065】
第2モールドは、第1モールドとは異なっていてもよい。あるいは、第2モールドは、第1モールドと同じであってもよい。かかる場合において、少なくとも1種の第2粉末は、例えば、少なくとも1種の第1粉末の上に(または、第1緑色体が既に作製されている場合には、その上に)、少なくとも1種の第1粉末の横に、少なくとも1種の第1粉末の周囲に、挿入されてもよい。少なくとも1種の第2粉末を少なくとも1種の第1粉末と同じモールドに挿入する工程(が実施される場合、当該工程)は、少なくとも1種の第1粉末を第1緑色体に加工する前に、少なくとも1種の第1粉末を第1緑色体に加工した後に、または少なくとも1種の第1粉末を第1緑色体に加工している間に、実行されてもよい。
【0066】
第1粉末および/または第2粉末は、粉砕されたYAG(または、スピネル、MgAl、ZnSe等の他の前述した材料のいずれか)と、ドーピング材料(例えば、N3+、V3+、Co)と、を含んでもよい。第1粉末および/または第2粉末は、YAG(または、スピネル、MgAl、ZnSe等の他の前述した材料のいずれか)の原料と、ドーピング材料(例えば、N3+、V3+、Co)と、を含んでもよい。
【0067】
工程606は、工程602の後に実行され、少なくとも1種の第1粉末を第1モールド内で圧縮して、第1緑色体を得る工程を含む。工程604は、工程608の後に実行され、少なくとも1種の第2粉末を第2モールド内で圧縮して、第2緑色体を得る工程を含む。工程602および工程604において、少なくとも1種の第1粉末と少なくとも1種の第2粉末とが同じモールドに挿入される場合には、工程606および工程608における粉末の圧縮工程は、同時に行われてもよい(例えば、少なくとも1種の第2粉末を押圧し、これにより、少なくとも1種の第1粉末がモールドに向かって圧縮される)が、必ずしもそうである必要はない。例えば、工程604は(そして、それゆえに工程608もまた)、任意選択的に、工程606の圧縮工程の後に実行されてもよい。
【0068】
工程610は、第1緑色体を加熱して、第1結晶性材料を得る工程を含む。工程612は、第2緑色体を加熱して、第2結晶性材料を得る工程を含む。種々の実施形態において、第1結晶性材料の加熱は、工程606および工程610の各々の前に、工程606および工程610の各々と同時に、工程606および工程610の各々と部分的に同時に、または工程606および工程610の各々の後に、実行されてもよい。工程614は、第2結晶性材料を第1結晶性材料に結合する工程を含む。
【0069】
任意選択的に、工程610における、第1緑色体を加熱する工程は、工程608における、少なくとも1種の第2粉末を圧縮する工程に先行する(場合によっては、工程604における、少なくとも1種の第2粉末を挿入する工程にも先行する)。第1緑色体と第2緑色体とは、別個に(例えば、異なる時に、異なる温度で、異なる継続時間で)加熱されてもよい。第1緑色体と第2緑色体とは、一緒に(例えば、同じ炉内で)加熱されてもよく、加熱中に、互いに接続されていてもよく、または互いに接続されていなくてもよい。第1緑色体と第2緑色体とは、異なる加熱方式に供されてもよい。これらの加熱方式には、部分的な共加熱が共有されてもよく、加熱方式の他の部分では、別々に加熱されてもよい。例えば、第1緑色体および第2緑色体のうちの一方または両方を、他方の緑色体とは別個に加熱し、その後、2つの緑色体を一緒に加熱してもよい(例えば、結合工程の後に、ただし、必ずしもそうである必要はない)。任意選択的に、第1緑色体を加熱する工程と第2緑色体を加熱する工程とは、第1緑色体と第2緑色体とを単一の炉内で同時に加熱する工程を含む。なお、任意選択的に、工程614の結合工程は、両方の緑色体を単一の炉内で同時に加熱する工程の結果であることに留意されたい。また、任意選択的に、工程614の結合工程は、互いに物理的に接続された後、両方の緑色体を共焼結(co-sintering)することによって行われることに留意されたい。
【0070】
工程614は、第2結晶性材料を第1結晶性材料に結合する工程を含む。結合工程は、当技術分野で知られている任意の結合方法で実行されてもよく、そのいくつかの非限定的な例は、P-QSレーザ200に関して上述されている。なお、結合工程は、複数の下位工程を有してもよく、そのうちの一部は、種々の実施形態における種々の様態で、工程606、工程608、工程610、および工程612のうちの種々の工程と関連させられ得ることに留意されたい。結合工程の結果として、GMとSAとの両方を含む単一の剛性結晶体が得られる。
【0071】
なお、方法600は、結晶の製造に(特に、互いに結合した(bounded)多結晶性材料のセラミックまたは非セラミックの多結晶性結晶化合物の製造に)用いられる追加の工程を含み得ることに留意されたい。少数の非限定的な例としては、粉末調製、バインダのバーンアウト(binder burn-out)、緻密化(densification)、アニーリング、(後述するように、必要な場合の)研磨等が挙げられる。
【0072】
方法600におけるP-QSレーザのGM(前述したように、第1結晶性材料または第2結晶性材料のいずれかの結晶性材料であり得る)は、ネオジムドープ結晶性材料である。方法600におけるP-QSレーザのSA(前述したように、第1結晶性材料または第2結晶性材料のいずれかの結晶性材料であり得る)は、
(a)ネオジムドープ結晶性材料、ならびに
(b)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)およびコバルトドープ結晶性材料からなるドープ結晶性材料の群から選択されるドープ結晶性材料
からなる結晶性材料の群から選択される。GMおよびSAのうちの少なくとも一方は、セラミック結晶性材料である。任意選択的に、GMとSAとの両方が、セラミック結晶性材料である。任意選択的に、GMおよびSAのうちの少なくとも一方は、多結晶性材料である。任意選択的に、GMとSAとの両方が、多結晶性材料である。
【0073】
製造プロセスの追加の工程が、方法600の種々の段階の間に行われ得るが、特に、焼結のプロセスにおいて第2材料を接合する前に第1材料を研磨する工程は、これらの実装形態の少なくとも一部では必要とされない。
【0074】
方法600においてGMCおよびSACが結晶性材料から作製され得る当該結晶性材料の組み合わせについて言及すると、かかる組み合わせには、以下のものが含まれ得る:
a.GMCは、セラミックネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)であり、SACは、(a)セラミック三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)、または(b)セラミックコバルトドープ結晶性材料のいずれかである。この代替形態では、Nd:YAGと前述した群から選択されるSACとの両方が、セラミック形態である。コバルトドープ結晶性材料は、コバルトがドープされた結晶性材料である。例として、コバルトドープスピネル(Co:Spinel、またはCo2+:MgAl)、コバルトドープセレン化亜鉛(Co2+:ZnSe)が含まれる。必ずしもそうである必要はないが、この選択肢における高反射率ミラーおよび出力結合器は、任意選択的に、P-QSレーザがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、GMおよびSAに剛接続されてもよい。
b.GMCは、セラミックネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)であり、SACは、(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および(b)コバルトドープ結晶性材料からなるドープセラミック材料の群から選択される非セラミックSACである。かかる場合において、高反射率ミラーおよび出力結合器は、P-QSレーザがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、GMおよびSAに剛接続される。
c.セラミックネオジムドープ希土類元素結晶性材料であるGMCであり、SACは、(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および(b)コバルトドープ結晶性材料からなるドープ結晶性材料の群から選択されるセラミック結晶性材料である。必ずしもそうである必要はないが、この選択肢における高反射率ミラーおよび出力結合器は、任意選択的に、P-QSレーザがモノリシックマイクロチップP-QSレーザとなるように、GMおよびSAに剛接続されてもよい。
【0075】
なお、方法600に全体として言及すると、任意選択的に、SACおよびGMCのうちの一方または両方(および任意選択的に、1つ以上の中間接続結晶性材料がもしあれば、当該1つ以上の中間接続結晶性材料)が、関連する波長(例えば、SWIR放射)に対して透明であることに留意されたい。
【0076】
図6Bおよび図6Cには、本開示の主題の実施例による、方法600の実行のためのいくつかの概念的なタイムラインが含まれる。図面を簡略化するために、SAが少なくとも1種の第1粉末の加工の結果物であり、ゲイン媒質が少なくとも1種の第2粉末の加工の結果物である、と仮定する。上述したように、これらの役割は逆であってもよい。
【0077】
図7および図8は、本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(gain medium amplifier:GMA)700およびゲイン媒質増幅器800の分解視斜視投影である。GMA700は少なくとも、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)平坦結晶(flat crystal)702を含む。結晶702は、5ミリメートル未満(例えば、約1ミリメートル、さらなる例は以下に提供)の平均厚さを有するが、結晶702のその他の寸法のうちの少なくとも1つの寸法は、これよりも長く(例えば、少なくとも5倍長く)、場合によっては、(平均厚さに)垂直な寸法のうちの両方が、結晶702の平均厚さよりも少なくとも5倍長い。
【0078】
Nd:YAG平坦結晶702は、少なくとも以下のものを含む:
・頂面704。第1周波数(「ポンプ周波数」とも称される)を有するポンプ光は、(例えば、任意選択的なポンプ光源706から)頂面704を通じてNd:YAG平坦結晶702に入射する。
・底面708。底面708は、頂面704に向かい合っている。
・第1側面710。(例えば、任意選択的なシードレーザ902から到来する)第2周波数を有する入射レーザ光は、第1側面710を通じてNd:YAG平坦結晶に入射する。
・第2側面712。第2周波数を有する出射レーザ光は、Nd:YAG平坦結晶の複数の種々の側面によって反射された後に、第2側面712を通じてNd:YAG平坦結晶から放出される。
【0079】
本開示の一部の実施形態によれば、出射レーザ光のパワーは、ポンプ光を用いて増幅された後には、入射レーザ光のパワーよりも、少なくとも4倍強い。少なくとも5、少なくとも7、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30等、より強い増幅レベルが実装されてもよい。
【0080】
Nd:YAG平坦結晶は、上述した表面に加えて、追加の側面を含んでもよい。(任意選択的に、第1側面および第2側面のうちの一方または両方を含む)Nd:YAG平坦結晶の表面のうちの一部または全部は、平坦であってもよく、または実質的に平坦であってもよいが、これは必ずしもそうである必要はなく、曲面が実装されてもよい。光は、Nd:YAG平坦結晶内において第1側面および第2側面のうちの一方または両方から内部反射されてもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。また、光は、Nd:YAG平坦結晶内において第1側面および第2側面以外の1つ以上の表面から内部反射されてもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。また、第1側面と第2側面とは互いに平行であってもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。
【0081】
なお、用語「頂(部)」および用語「底(部)」は、向かい合う面に対して識別のために使用される任意の用語であり、これらの表面は、本開示の種々の実施形態において種々の向きに配置され得ることに留意されたい。頂面は、(例えば、図に示されるように)底面と平行であってもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。第1側面は、少なくとも1つの辺を頂面および/または底面と共有してもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。加えて、第2側面は、少なくとも1つの辺を頂面および/または底面と共有してもよいが、これは必ずしもそうである必要はない。なお、簡潔さのために明示されていなかったとしても、上記の任意選択的な実装形態の任意の組み合わせが実装され得ることに留意されたい。
【0082】
出射レーザ光として放出される前にNd:YAG平坦結晶702内で光が内部反射される回数は、GMA700のゲインに影響する。これは、ドープ結晶内を光が通過する距離に、指数関数的に相関する。任意選択的に、GMA800と同様に、出射レーザ光として放出されるまでの入射レーザ光の光路には、少なくとも10回の内部反射802が含まれる。例えば10~15回の間、15~20回の間、20~25回の間、25~35回の間、またはそれ以上等の、種々の回数の内部反射が実装されてもよい。任意選択的に、出射レーザ光として放出されるまでの入射レーザ光の光路は、Nd:YAG平坦結晶の平均厚さの少なくとも50倍の長さである。例えば、50~100の間、100~200の間、または200以上等の、光路と平均厚さとの間の種々の比率が実装されてもよい。
【0083】
なお、任意選択的に、GMA700は、Nd:YAG平坦結晶702の少なくとも1つの側面の一部(または、全部)に近接して配置された1つ以上のミラーを含んでもよく、その場合において、前述した内部反射には、Nd:YAG平坦結晶702のそれぞれの側面に関連付けられたそれぞれの1つ以上のミラーからの反射が、Nd:YAG平坦結晶702内における当該それぞれの側面それ自体からの内部反射の代わりに(または、Nd:YAG平坦結晶702内における当該それぞれの側面それ自体からの内部反射に加えて)含まれてもよいことに留意されたい。かかる追加のミラーの例は、図11A図11Cに提供されている。例えば、かかるミラーは、第1側面710および/または第2側面712に隣接して配置されてもよい。必ずしもそうである必要はないが、Nd:YAG平坦結晶702から到来する光を(異なる角度で)Nd:YAG平坦結晶702に反射して返すミラーは、当該ミラーがそれぞれの側面の隣に配置される当該それぞれの側面に対して平行であってもよく、または当該それぞれの側面に対してわずかに角度(例えば、1°未満の角度)がつけられていてもよい。ミラー間のかかる角度によって、寄生レージング(parasitic lasing)等の望ましからぬ効果が低減され得る。
【0084】
Nd:YAG平坦結晶は、特定の周波数を増幅するために用いられ得る。ポンプ光は、1つ以上のポンプ周波数(または、ポンプ周波数範囲)を有してもよい。例えば、ポンプ周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであってもよい。例えば、ポンプ周波数は、780nm~830nmであってもよい。例えば、ポンプ周波数は、800nm~850nmであってもよい。例えば、ポンプ周波数は、800nm~820nmであってもよい。例えば、ポンプ周波数は、808nm±2nmであってもよい。しかしながら、その他の周波数範囲が実装されてもよい。ポンプ光は、レーザ光(例えば、垂直共振器面発光レーザ、または他の任意のタイプのレーザ)、発光ダイオード(LED)光、または他の任意の適切な源の光であってもよい。
【0085】
出射レーザ光は、1つ以上の放出光周波数(または、エミッタ周波数範囲)を有してもよい。例えば、放出光周波数は、1,300nm~1,400nmであってもよい。例えば、放出光周波数は、1,310nm~1,370nmであってもよい。例えば、放出光周波数は、1,330nm~1,350nmであってもよい。例えば、放出光周波数は、1,340nm±2nmであってもよい。
【0086】
第2レーザ周波数(「入射レーザ周波数」とも称される)は、出射レーザ周波数と同じ周波数であってもよい。例えば、第2光周波数は、1,300nm~1,400nmであってもよい。例えば、第2光周波数は、1,310nm~1,370nmであってもよい。例えば、第2光周波数は、1,330nm~1,350nmであってもよい。例えば、第2光周波数は、1,340nm±2nmであってもよい。
【0087】
頂面704は、第1寸法(次元)(例えば、長さ)と、第1寸法に直交する第2寸法(例えば、幅)と、を有する。第1寸法は、Nd:YAG平坦結晶の平均厚さの少なくとも5倍の長さである。例えば、Nd:YAG平坦結晶の平均厚さが1mmである場合、第1寸法は、5mm以上である任意の長さ(例えば、5mm、10mm、5~15mmの間、15~25mmの間等)であってもよい。平均厚さは、例えば0.5mm未満、0.5~1mmの間、1~1.5mmの間、1.5~2mmの間、2~5mmの間等、用途に応じて変動してもよい。Nd:YAG平坦結晶の長さは、第1寸法に沿ったその最大の測定量である。任意選択的に、第1寸法に沿った平均長さは、Nd:YAG平坦結晶の平均厚さの少なくとも数倍長くてもよい。
【0088】
任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶702は、プリズムである。任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶702は、直角プリズム(right prism)である。任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶702は、直方体プリズム(right rectangular prism)である。他の任意の形状または構造も可能であり得る。Nd:YAG平坦結晶702の前述した表面のうちのいずれかの1つ以上の表面は、ファセットであってもよい。図7の例では、Nd:YAG平坦結晶702の厚さは、実質的に一定であり、「H」と示されている。図7の例では、Nd:YAG平坦結晶702内の内部反射は、第1側面710および第2側面712のみから反射されているが、これは必ずしもそうである必要はなく、光は、出射レーザ光として放出される前に、Nd:YAG平坦結晶702の任意の表面から内部反射されてもよい。
【0089】
Nd:YAG平坦結晶702に加えて、GMA700は、任意選択的に、任意選択的なポンプ光源706も含んでもよい。当該任意選択的なポンプ光源706は、当該第1周波数を少なくとも有するポンプ光を放出する。任意選択的なポンプ光源706は、例えばLED、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、その他のタイプのレーザ等、適切なタイプの光源として実装されてもよい。
【0090】
なお、(本開示の新規の幾何学的フォーマットのNd:YAG平坦結晶702によって実現可能となる)ポンプ光源としてのVCSELの利用は、結晶増幅器のコストを従来技術に係るソリューションと比較して低減させるために用いられ得るだけでなく、従来技術に係るソリューションと比較してより容易かつ大量の製造を容易にし得ることに留意されたい。
【0091】
広い頂面にわたってポンプ光が供給される本開示の新規の幾何学的形状は、光源の単位面積あたりの輝度が比較的小さいものであり得ることを意味する。
【0092】
任意選択的に、GMA700(または、GMA800)は、GMA700が冷却されるように(これは、GMA700の相対的な薄さによって促進される)、低デューティサイクル(例えば、3%未満、3%~5%の間、5%~10%の間)で動作される。任意選択的に、GMA700は、Nd:YAG平坦結晶702、またはGMA700の他の任意の部分を冷却するための冷却モジュール720を(能動冷却モジュールであるにせよ、ヒートシンクに接続され得る受動冷却モジュールであるにせよ)含んでもよい。任意選択的に、冷却モジュール720の表面は、Nd:YAG平坦結晶702の対応する表面(例えば、図示の底面708、または当該結晶の他の任意の表面)に接触してもよい。また、Nd:YAG平坦結晶702の相対的な薄さによって、比較的高いドーピング密度(例えば、1%超、1~2%の間、2~3%の間)での結晶のドーピングが可能になる。
【0093】
任意選択的に、GMA700は、任意選択的に数十の種々の照射のモードにおいて、マルチモードモードで活性化される(activated)、サイドポンプされたGMAであってもよい。
【0094】
GMA700(または、GMA800)に全体として言及すると、Nd:YAGセラミック結晶と(有効経路(effective path)を延ばす)当該Nd:YAGセラミック結晶内における光のマルチパス(multipass)との組み合わせによって、より良好な抽出効率(extraction efficiency)がGMA700において達成され得る。
【0095】
任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶内のネオジムのドーピング濃度は、4%未満である。任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶内のネオジムのドーピング濃度は、1%~2%の間である。任意選択的に、頂面には、第1周波数、第2周波数、および放出光周波数のうちの少なくとも1つの周波数に対して、反射防止コーティングが施されている。
【0096】
任意選択的に、頂面には、第1周波数、第2周波数、および放出光周波数のうちの少なくとも2つの周波数に対して、反射防止コーティングが施されている。任意選択的に、第1側面および第2側面のうちの少なくとも一方には、第1周波数、第2周波数、および放出光周波数のうちの少なくとも1つの周波数について、反射防止コーティングが施されている。
【0097】
任意選択的に、第1側面および第2側面のうちの少なくとも一方には、第1周波数、第2周波数、および放出光周波数のうちの少なくとも2つの周波数に対して、反射防止コーティングが施されている。任意選択的に、第1側面および第2側面のうちの当該少なくとも一方には、Nd:YAG平坦結晶702の増幅自発放出(amplified spontaneous emission:ASE)周波数(例えば、1,064nm)に対して、反射防止コーティングがさらに施されている。
【0098】
任意選択的に、第1側面を介してNd:YAG平坦結晶に入射する光は、第2側面を介して放出される前に、その光路のうちの少なくとも80%の光路に沿って放出される。
【0099】
図9および図10は、本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器および増幅レーザ照射源の例示的な分解視斜視投影を示す。図9および図10の増幅レーザ照射源は、ゲイン媒質増幅器700と、シードレーザ902と、を含み得る。任意選択的に、シードレーザは、Nd:YAG平坦結晶に第1側面を介して入射する光を放出するNd:YAGベースのレーザであってもよい。任意選択的に、前述したレーザ(例えば、図1図6に関して論じられたレーザ)のいずれかが、シードレーザ902として使用されてもよい。
【0100】
任意選択的に、Nd:YAG平坦結晶702は、YAG結晶(または、その少なくとも1つ以上の部分)に、ネオジムがドープされ、かつ追加の材料がさらにドープされた、共ドープ結晶であってもよい。当該追加の材料は、YAG結晶をドープしたときに、Nd:YAG平坦結晶702の少なくとも1つのASE周波数における光を抑制する材料であってもよい。例えば、クロム(Cr)、そして特にクロムイオン(例えば、Cr4+)を用いて、1,064nmの放出が抑制されてもよい。Nd:YAG平坦結晶702にクロムをさらにドープすることによって、増幅器の歩留まり(イールド)が改善され得る。また、その他の材料(例えば、Co3+)が用いられてもよい。
【0101】
なお、側面のうちの一部または全部が頂面に対して垂直でない実装形態について言及すると、ASEの影響、およびASEがNd:YAG平坦結晶702内で増幅される程度を低減する、側面と頂面(および/または、底面)との間の角度が選択され得ることに留意されたい。
【0102】
図11A図11Bおよび図11Cは、本開示の主題による、例示的なMOPAシステムを示す概略機能ブロック図である。レーザモジュール1100´、レーザモジュール1100´´およびレーザモジュール1100´´´は、単一のシャーシ、フレーム、骨格、ベースまたは構造体に取り付けられ得る複数のコンポーネントから組み立てられて、単一の剛性ユニットへと組み合わせられるという点で、「併合(consolidated)」MOPAレーザモジュールとみなされ得る。
【0103】
モジュール1100´、モジュール1100´´、モジュール1100´´´のようなMOPAレーザモジュールは、少なくとも以下のコンポーネントを含む:
a.プレハブ(既成:prefabricated)シャーシ1110。プレハブシャーシ1110は、複数の表面(例えば、穴、溝、凹凸、ピン、隆起部、膨出部等)を含み、当該複数の表面には、MOPAレーザモジュールの他の部品が取り付けられ、接続され、固定され、または締結され得る。プレハブシャーシ1110は、(例えば、鋳造(キャスティング)、ミーリング、または他の任意の適切なプロセスを用いて)単一のモノリシックユニットとして、または(例えば、接着(gluing)、溶接、ボンディング(接合)、または他の任意の適切なプロセスを用いて)互いに永続的に固着された複数の部品もしくは要素として、製造されてもよい。また、プレハブシャーシ1110は、剛性フレームとみなされ得る。当該剛性フレームには、フレーム状の形状で製造される場合、他のコンポーネントが固着される。シャーシ1110(「モノリシックアセンブリ」とも称される)は、高精度で互いに接触した状態にある1つ以上の機械加工された材料からなってもよい。任意選択的に、シャーシ1110は、ハイグレード材料で作製されてもよい。任意選択的に、シャーシ1110は、低温度膨張を有する1つ以上の材料で作製されてもよい。任意選択的に、シャーシ1110は、(1以上の)適切な材料で作製されてもよく、任意選択的に、音響ノイズまたは振動ノイズを減少および補償するように設計された形状を任意選択的に有してもよい。
モノリシックアセンブリは、少なくとも第1研磨面と第2研磨面とを含む、複数の平行な研磨面を提供する、複数の研磨面からなっていてもよい。これによって、アラインメントツールおよび試験装置の使用を低減または回避するために、可能な場合には、角度シフト(例えば、平行度、直角度)、変位、または他の任意の寸法公差がモノリス精度(monolith accuracy)によって定められるように、全ての追加要素を互いにアラインメントできるようになる。このように、モノリシックアセンブリによって、コスト、組み立て時間、適格性評価フェーズ、および検証フェーズが削減され得る;
b.マスタ発振器(master oscillator:MO)レーザ(または、単に「MO」)1120。MOレーザ1120は、シャーシ1110の複数の表面、場所(place)、空間、位置(location)、スポット、または配置(position)のうちの少なくとも1つの第1表面に永続的に固着されている。任意選択的に、MO1120は、上に論じられたQスイッチレーザのいずれか等の受動Qスイッチレーザ(例えば、図1のQスイッチレーザ200)、または他の任意の適切なレーザであってもよい。必ずしもそうである必要はないが、MOレーザ1120は、SWIRレーザであってもよい。MOレーザ1120は、例えば、ポンプ1106、GM1108、SA1109、出力結合器(output coupler:OC)1112、集束レンズ1114、ミラー1116、1つ以上のヒートシンク1118、および1つ以上の熱電冷却器(TEC)1122を含み得る。MOレーザ1120には、他の任意の要素、モジュール、または物体(オブジェクト)が含まれ得る;
c.パワー増幅器(power amplifier:PA)1130。PA1130は、シャーシ1110の複数の表面、場所、空間、位置、スポット、または配置のうちの少なくとも1つの第2表面に永続的に固着されている。任意選択的に、PA1130は、上述したゲイン媒質増幅器のうちのいずれか等のGMAであってもよく、または他の任意の適切なPAであってもよい。必ずしもそうである必要はないが、PA1130は、SWIR PAであってもよい。種々の増幅レベル(例えば、×2、×5、×10、×25の増幅、または他の任意の増幅レベル)が、MOPAレーザモジュールが特定の用途のために設計される当該特定の用途に基づいて、実装されてもよい。PA1130は、少なくとも1つのポンプ1132、平坦結晶1134、ミラー1136、TEC1128、およびヒートシンク1139を含む。PA1130には、他の任意の要素、モジュール、または物体が含まれ得る;
d.ビーム伝達システム(beam transfer system:BTS)1140。BTS1140は、プレハブシャーシ1110に(例えば、シャーシ1110の複数の表面のうちの少なくとも1つの第3表面に)永続的に固着されている。BTS1140は少なくとも、MO1120から出力された光を(場合によっては、ビーム操作の後に、または伝達された光の他の任意の光学的操作の後に)増幅のためPA1130に伝達するように協働して動作可能である複数の光学素子を含む。
【0104】
必ずしもそうである必要はないが、MOPAレーザモジュールは、PA1130によって出力される光のビームを整形するためのビーム整形器1150を含んでもよい。
【0105】
本開示の文脈における「永続的な固着(付着)(enduring affixing)」とは、著しい変化を伴わずに長期間継続する固着(付着)、固定、取り付け、締結またはピン止めに関連する。当該永続的な固着は、(例えば、中間コンポーネントを介さずに2つの物体のうちの一方を他方へ向けて押圧することによる)直接的な固着、固着媒体(例えば、接着剤、ねじ等)を用いた固着、(例えば、スペーサまたはブラケットを介した)間接的な固着等であり得る。永続的な固着は、剛性の(リジッドな)固着であるものの、任意選択的に、制御可能に変更可能な固着であってもよい。例えば、MOPAレーザモジュールの2つの物体は、中間機械結合器によって、互いに永続的に固着され得、当該中間機械結合器の寸法および/または位置は、コントローラによって(例えば、当該中間機械結合器に供給される電流の大きさを変更することによって)制御可能に変更され得る。
【0106】
MOPAレーザモジュール1100´、MOPAレーザモジュール1100´´またはMOPAレーザモジュール1100´´´の複数のコンポーネント間のアラインメントは、プレハブシャーシ1110の複数の表面間の空間的関係、および/または複数の表面に固着された要素もしくは物体間の空間的関係によって、主に決定される。例えば、少なくとも1つの第1表面と少なくとも1つの第2表面との間の空間的関係によって、MO1120とPA1130との間のアラインメントが決定される。例えば、図11Cに示されるように、MOPAレーザモジュール1100´´´には、シャーシ(1160で示す)の複数の部分または表面が含まれてもよく、各々の部分または表面は、その隣にあるシャーシの面外に延在してもよく、またはそれを取り囲むシャーシの平面よりも深い穴または溝であってもよく、またはそれを取り囲むシャーシの平面と高さが同じであってもよい。当業者であれば、シャーシ1160の各々の部分または表面の高さが、シャーシ1160の別の部分または表面の高さと等しい高さまたは異なる高さであり得ることを理解するはずである。なお、例えば、第1表面、第2表面、および第3表面のうちの一部は、シャーシの平坦な表面の部分であってもよいことに留意されたい。例えば、組み立てプロセスにおいて、MOPAレーザモジュール1100´´´の一部のコンポーネントの位置は、それぞれのコンポーネントを突出部に押し当て、当該物体の下にあるシャーシ1110の平坦な表面にそれを接着することによって、決定され得る。
【0107】
図12は、本開示の主題による、MOPAレーザモジュールの例示的なコンポーネント、およびシャーシを示す側面図である。MOPAレーザモジュールは、例えば、モジュール1100´、モジュール1100´´またはモジュール1100´´´のいずれかであってもよい。図12の側面図は、MOPAレーザモジュールの種々のコンポーネントがシャーシ1110に対してどのように接続され得るのかを示す。なお、任意の要素、コンポーネントまたはデバイスが、シャーシ1110に接続または固着され得ることを理解されたい。図示された例では、ポンプ(例えば、図11Cのポンプ1106)は、専用の穴または溝内に配置され、OC(例えば、図11CのOC1112)およびレンズ(例えば、図11CのBTS1140のレンズ)は、シャーシ1110の表面の突出部に当たるように配置される。実施形態によれば、1つ以上の要素、コンポーネントが、シャーシ1110に一体的に形成されてもよい。例えば、PA1130のミラー(例えば、ミラー1136のうちの1つ)は、ミラー1136として機能し得る高反射率表面を含むように研磨されたシャーシ1110の突出部から作製される。
【0108】
例えば、PA1130が、少なくとも1つのポンプと、複数のパスで結晶1134を通過するMO1120の光がポンプのエネルギーを用いて複数の当該パスの各々において増幅されるように、当該ポンプによって励起される(例えば、20ミリメートル未満の平均厚さを有する)平坦結晶1134と、を含む場合、シャーシ1110は、任意選択的に、少なくとも1つの研磨面を含み得る。当該少なくとも1つの研磨面は、平坦結晶からの光を結晶1134内へ少なくとも1回反射して戻すミラー1136として機能する。かかるミラー表面は、シャーシ1110と一体であってもよく、同じ材料から作製されてもよく、一緒に鋳造されてもよい、等々。
【0109】
任意選択的に、MO1120とPA1130との両方を同じシャーシ1110(例えば、同じ剛性プレート)に固着することは、複数の表面が最小のトレランスで互いにアラインメントされ得るように、重要な表面をアラインメントさせるために利用され得る。重要な表面(Crucial surfaces)とは、MOPAレーザモジュールの部品の表面であって、高品質の光出力をもたらすためにそれらの空間的関係性に高い精度が求められるMOPAレーザモジュールの部品の表面である。かかる重要な表面には、例えば、ミラーの平面、レンズの軸、プリズムの配置等が含まれ得る。また、かかるコンポーネントをシャーシ1110に(例えば、以下でさらに詳細に説明するように、直接的あるいは間接的に)永続的に固着することは、厳しい環境下および/または様々な条件(例えば、温度、湿度)下において、これらのコンポーネント間のアラインメントを長期間、維持するためにも利用され得る。
【0110】
(特に、コンポーネントをシャーシに固着する工程に先立って研磨がなされる場合に)当該複数の表面がシャーシ1110の一部として含まれることは、可能な場合には、角度シフト(例えば、平行度、直角度)、変位、または他の任意の寸法公差が、シャーシが製造および加工され得る精度によって定められるように、かかる追加コンポーネントを互いにアラインメントさせるために利用され得る。
【0111】
本開示の一部の実施形態において、MOPAレーザモジュールは、(例えば、図に例示されるように)冷却が必要な場所に配置された1つ以上のTEC(例えば、図11AのTEC1122、TEC1128)を含んでもよい。任意選択的に、かかる1つ以上のTECは、シャーシ1110全体、またはシャーシ1110内の別々のエリアもしくはモジュールの能動的な温度制御が可能となるように、シャーシ1110に埋め込まれていてもよい。任意選択的に、シャーシ1110の少なくとも一部は、MO1120およびPA1130のうちの少なくとも一方を冷却するように動作可能なTECの一部である。
【0112】
任意選択的に、1100´、1100´´または1100´´´のようなMOPAレーザモジュールは、(例えば、BTS1140の一部として)少なくとも1つのレンズと屈曲光学系とを含んでもよい。MO1120によって出力された光の光軸は、当該光軸に沿ってPA1130に入射した光が増幅され、PA1130の出力光軸において放出されるように、PA1130の側面上の入射位置上の位置まで続いている。すなわち、BTS1140が組み立てられていないときであっても、その光学的入射窓がMO1120によって直接的に照射されているときのPA1130の出力を測定することによって、MO1120とPA1130との間のアラインメントが、(少なくともある程度)検証され得る。任意選択的に、BTS1140は、この光軸を維持する。任意選択的に、シャーシ1110に対するBTS1140の位置は、光が前述した光軸に沿ってBTS1140に入射し、屈曲光学系による偏向と少なくとも1つのレンズによる操作とを受けた後、当該光軸に沿ってBTS1140から出射するような位置である。任意選択的に、BTS1140は、シャーシ1110の一部であってもよく、例えば、BTS1140の全ての光学素子が、追加のコンポーネントが中間に存在しないようにシャーシ1110に直接的に取り付けられ、接着され、または固定されているよう、シャーシ1110と一体化していてもよい。これによって、公差が増大し、コストが低下する。
【0113】
任意選択的に、1100´、1100´´または1100´´´のようなMOPAレーザモジュールは、SWIR MOPAレーザモジュールであって、
a.MOのポンプ源の周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであり;
b.MOによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり;
c.PAのポンプ源の周波数は、750ナノメートル(nm)~850nmであり;
d.PAによって放出される光の周波数は、1,300nm~1,400nmであり;
e.MOのゲイン媒質は、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)である結晶性材料(セラミックであるか否かを問わない)を含み;
f.MOの可飽和吸収体は、
(a)三価バナジウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(V3+:YAG)および
(b)二価コバルトドープ結晶性材料
からなるドープセラミック材料の群から選択される結晶性材料(セラミックであるか否かを問わない)を含み;
g.PAは、Nd:YAG平坦結晶を含む、
SWIR MOPAレーザモジュールであってもよい。
【0114】
1100´、1100´´または1100´´´のようなMOPAレーザモジュールの開示された設計は、必要となる素子数、アラインメントツール、および試験装置が最小限であり、それによって、コスト、組み立て時間、適格性評価フェーズ、および検証フェーズが削減されるという点で、種々の先行技術に係るソリューション(例えば、ファイバ結合パワー増幅器等)よりも、好ましいものであり得る。例えば、マスタ発振器ファイバ増幅器(MOFA)には、(固体)レーザからシングル/マルチモードファイバへの正確で高効率な結合が必要となる。高パワー源の場合、レーザの空間的形状は、単純なTEM00モードではないため、結合が非常に困難であり、複雑なビーム整形光学系、精密なマイクロポジショニング、およびアクティブ/パッシブなスタビライザが必要になる。対照的に、提示された設計は、これらの側面に対してあまり影響を受けず(例えば、影響を受けない)、本来的に(inherently)精密である。そのため、それによって、コスト、組み立て時間、適格性評価フェーズ、および検証フェーズが削減される。
【0115】
MO1120は、以下のコンポーネントのうちの1つ以上のコンポーネントの任意の組み合わせを含んでもよい:
a.(例えば、808nmでの)ポンプ源;
b.ポンプビーム整形レンズ;
c.(例えば、Nd:YAGからなる)活性材料(active material);
d.(例えば、V:YAGからなる)可飽和吸収体;
e.出力結合器(OC);
f.ヒートシンク;
g.TEC。
【0116】
ビーム伝達システム(BTS)1140は、以下のコンポーネントのうちの1つ以上のコンポーネントの任意の組み合わせを含んでもよい:
a.レンズ;
b.屈曲素子(folding elements)(ミラー、プリズム)。
【0117】
パワー増幅器(PA)1130は、以下のコンポーネントのうちの1つ以上のコンポーネントの任意の組み合わせを含んでもよい:
a.ミラー1(例えば、図11BのM1);
b.ミラー2(例えば、図11BのM2);
c.(例えば、Nd:YAGで作製された)活性材料(スラブ);
d.(例えば、808nmでの)ポンプ源;
e.ポンプビーム整形レンズ;
f.ヒートシンク;
g.TEC。
【0118】
なお、1100´、1100´´または1100´´´のようなMOPAレーザモジュールの任意のポンプについて述べると、エンドポンピングまたはサイドポンピングのいずれか一方が、MO1120および/またはPA1130について実装されてもよく、ポンプは、関連する結晶に対して任意の適切な方向に配置され得ることに留意されたい。
【0119】
次に、本開示の主題の実施例による、BTS1140等のBTSを示す図13A図13Eを参照する。便宜上、これらの例示的なBTSには、1300a、1300b、1300c、1300dおよび1300eの番号が付されている。図13A図13EのBTSは、MOPAレーザモジュールのBTS1140として使用されてもよいが、かかるMOPAレーザモジュールにおける使用に限定されず、任意の適切なMOPAレーザモジュールにおいて使用されてもよい。BTSは、図11A図11Cの任意のシャーシ等のシャーシ1320を含んでもよい。
【0120】
単なる例として図13A図13Dを参照すると、MOPAレーザモジュールのためのBTSが開示されている。このBTSは、少なくとも以下のものを含む:
a.光入口1302であって、MOレーザモジュール1120の光ビームを入射光軸1304に沿って受け入れるための光入口1302;
b.光出口、または出口1306であって、操作された光ビームをPA1130に向かって出射光軸1308に沿って放出するための光出口、または出口1306;
c.複数のレンズ1310(例えば、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ)。当該複数のレンズ1310のうちの少なくとも1つは、光ビームを操作するような形状であって、シャーシの少なくとも1つの専用の三次元(3D)構造に適合するような形状を有する。それぞれの専用の3D構造への少なくとも1つのレンズの適合は、直接的な適合であってもよく、または1つ以上の専用の中間機械コンポーネント(例えば、スペーサ、ブラケット)を使用した適合であってもよい。
d.屈曲光学系1312、屈曲光学系1314。屈曲光学系1312、屈曲光学系1314は、ミラー(例えば、ミラー1312)、およびプリズム(例えば、プリズム1314)からなる群から選択される少なくとも1種のコンポーネントを含む複数の屈曲光学コンポーネントを含む。屈曲光学系(1312、1314)は、入射光軸1304に沿ってBTSに入射する光を複数のレンズ1310のうちの少なくとも1つのレンズに向かって偏向させ、複数のレンズ1310のうちの少なくとも1つの他のレンズから到来する光を出射光軸1308に向かって偏向させるように動作可能であり得る。ここで、屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、光ビームを操作するような形状であって、シャーシ1320の少なくとも1つのカスタマイズされた3D構造に適合するような形状を有する。それぞれのカスタマイズされた3D構造への少なくとも1つの屈曲光学コンポーネントの適合は、直接的な適合であってもよく、または1つ以上の専用の中間機械コンポーネント(例えば、スペーサ、ブラケット)を使用した適合であってもよい。なお、「カスタマイズされた3D構造」という用語は、「専用の3D構造」と同じ意味を担うことが意図されており、これらの異なる用語は、レンズのために意図された3D構造と屈曲光学コンポーネント(例えば、ミラー、プリズム)のために意図された3D構造とを区別するために用いられることに留意されたい。
【0121】
任意選択的に、BTSは、少なくとも1つの専用の3D構造と少なくとも1つのカスタマイズされた3D構造とを含むシャーシ1320の少なくとも一部分をさらに含んでもよい。任意選択的に、BTSは、当該BTSのレンズおよび屈曲光学コンポーネントの全てがアラインメントされ、入口から出口へ複数のレンズを介して光ビームを伝達するように動作可能であるように、コンポーネント(例えば、レンズ、ミラー、プリズム)をシャーシのそれぞれの3D構造に接続する機械コネクタ(例えば、スペーサ、ブラケット、接着剤、ねじ、ボルト、ピン、溶接)をさらに含んでもよい。
【0122】
かかる場合において、シャーシは、ある単一の機械加工された正確な表面を有する、単一の材料から作製されてもよい。当該表面における複数の極めて正確(精密)な事前に定められたエリア1318は、溝、スリット、スロット、突出部、隆起、トレンチ、またはシャーシ1320における他の任意の形状もしくは構造を含み得る。エリアまたは領域1318は、全ての光学素子のためのアラインメント基礎3D構造として使用され得る。また、その他のタイプの3D構造も使用され得る。
【0123】
任意選択的に、屈曲光学コンポーネント(例えば、1312、1314)のうちの少なくとも1つは、それぞれのカスタマイズされた3D構造に対するそれぞれの屈曲光学コンポーネント(例えば、1312、1314)の位置を調整するために、BTSの少なくとも1つの他のコンポーネントによって、制御可能に移動可能である。
【0124】
図13Bを参照すると、任意選択的に、屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、4つのアクティブ面を有するペンタプリズム1322である。当該ペンタプリズム1322は、ペンタプリズム1322の外へ光ビームを放出する前に、ペンタプリズム1322内部で光ビームを2回内部反射させるように動作可能である。
【0125】
任意選択的に、屈曲光学コンポーネントのうちの少なくとも1つは、少なくとも3つのアクティブ面を有する再帰反射体(例えば、1314)である。当該再帰反射体は、再帰反射体の外へ光ビームを放出する前に、当該再帰反射体の内部で光ビームを2回内部反射させるように動作可能である。再帰反射体(例えば、1314)、ペンタプリズム1322、およびその他のコンポーネントは、例えば、再帰反射体を複数の方向に回転させることによって角度的に、またはそれを複数の方向に並進させることによって直線的に、ビームをアラインメントさせるために使用され得る。
【0126】
図13B図13Dのようなペンタプリズム1322および/または再帰反射体1314の使用によって、BTSの角度方向の配置に対するより広い公差範囲が可能となる。これは、要素(素子)1322および要素1314によって、それらの軸の周りに回転されたときに、ビーム角度シフトが導入されないからである。
【0127】
一部の実施形態では、出射光軸は、入射光軸の延長であり得る。1300a、1300b、1300c、1300dおよび1300e等のBTSは、MO1120からPA1130へのビームの光軸に影響を与えない場合があるからである。任意選択的に、BTSから出力される光ビームの方向は、最大ゲインを可能にする最適な角度で当該光ビームがPA1130に入射するように、制御可能に回転され得る。かかる場合において、出力される光ビームの角度は、以下の工程のうちの1つ以上の工程の任意の組み合わせを用いて、制御可能に変更され得る:
a.BTS全体を回転させる工程(例えば、図示した例の一部でのみ可能だが、他の例では可能ではない);
b.複数の要素(素子)のうちの一部もしくは1つを回転させる工程。例えば、図13Bの例では回転ミラー1324であり、図13Dの例では、平行四辺形1326である;または、
c.MO1120もしくはPA1130のいずれかを回転させる工程。PA1130の回転は、MO1120および/またはPA1130がアラインメントされる表面または複数の表面に対して角度を導入することを通して行われ得る。
【0128】
図13Cの例を参照すると、2つのペンタプリズム1322が、入口および出口の偏向光学コンポーネントとして使用されてもよく、任意選択的な再帰反射体が、180度回転のために使用されてもよい(ビームの方向が5回以上変更される、BTS内におけるより複雑な光路も実装され得る)。2つのペンタプリズムを使用することによって、BTSの各コンポーネントが組み立てプロセスで回転され得る一方で、当該BTSの角度回転が最小限に抑えられ得る。図13Cの例では、ペンタプリズム1322の向きは、特定の向きに配置されてもよいものの、他の任意の向きが用いられてもよく、ペンタプリズム1322は、例えば、垂直となる向きに配置されてもよく、これによって、高い公差の受動的な維持またはアラインメントが可能となる。
【0129】
図13Dの例を参照すると、平行四辺形1326には、反射コーティングが施されていてもよい。平行四辺形1326は、最適な角度方向の位置決めができるように、固定位置に配置され、入口ペンタプリズム1322に当接している。平行四辺形1326の面のうちの1つの面の(または、平行四辺形全体の)角度によって、(出力ビームの)回転角度が決定され得る。
【0130】
図13Eの例示的なBTS1320を参照すると、集束レンズ1330が、BTSの入口1332に配置されてよく、MO1120からBTSに入射する光ビーム1334を集束させてもよい。プレート1336が、集束レンズ1330の後に、すなわちMO1120からPA1130への光ビーム1334の経路に沿って、配置されてもよい。プレート1336の事前に定められた角度によって、ビーム1334の位置のシフトが生じ得る。これは、ビーム1334を最大透過率でPA1130へ方向付け、アラインメントさせるために用いられ得る。加えて、(MO1120からPA1130への光ビーム1334の経路に沿って)1336の後に配置されたくさび形プリズム対1338によって、例えばMO1120から、ビーム1334の元の方向に対して2つの方向へのビーム1334のタイトリング(titling)が制御され得る。図13Eの例示的なBTS1320では、MO1120、PA1130、集束レンズ1330、プレート1336、およびプリズム対1338を含む全ての要素が、シャーシ1340の共通の壁に対して単線的に配置され、その結果、自由度が最小化され、公差の累積が大幅に低減する。他の任意のレンズ、プリズム、プレート、またはその他の光学素子が、シャーシ1340の共通の壁に対して単線的に配置されてもよく、自由度を最小化し、公差の蓄積を低減するために使用されてもよい。
【0131】
図14は、本開示の主題の一部の実施形態による、併合MOPAレーザモジュールを製造する方法についての例示的なプロセスのフローチャートである。先の図面に関して記載された例を参照すると、方法1400は、例えば、図11A図11CのMOPAレーザモジュールを製造するために使用され得る。図14に記載された全ての要素は、例えば、図11A図11CのMOPAレーザモジュールを参照して説明された要素であり得る。
【0132】
方法1400は、少なくとも以下の段階を含む:
少なくとも1つのMOコンポーネントと少なくとも1つのPAコンポーネントとをプレハブシャーシに固着することによって、MOとPAとの間の事前に定められたアラインメントが決定されるように、MOの少なくとも1つのコンポーネント(例えば、図11AのMO1120)と、PAの少なくとも1つのコンポーネント(例えば、図11AのMO1120)とを、プレハブシャーシの異なる表面に永続的に固着しまたは取り付ける段階1410。例えば、MO1120は、図11Cのシャーシ1110の複数の表面のうちの少なくとも1つの第1表面に、永続的に固着されてもよい。PA1130は、図11Cのシャーシ1110の複数の表面のうちの少なくとも1つの第2表面に、永続的に固着されてもよい。少なくとも1つの当該第1表面と少なくとも1つの当該第2表面との間の空間的関係によって、MOとPAとの間のアラインメントが決定され得る。
段階1410の後に実行され得る段階1420は、プレハブシャーシにBTSを永続的に結合または固着する工程を含み得る。BTSは、シャーシ1110の複数の表面のうち少なくとも1つの第3表面に、取り付けられまたは固着されてもよい。BTSは、MOから出力される光を増幅のためPAに伝達するための複数の光学素子を含んでもよい。先の図面に関して記載された実施例を参照すると、段階1420のBTSは、図11A図11CのBTS1140であってもよく、かつ/または図13A図13Eに関して論じられたBTS1320の任意の変形例であってよい。
【0133】
なお、MOのコンポーネントおよび/またはPAのコンポーネントの微調整および/またはさらなるアラインメントは、BTSのコンポーネントの一部または全部が配置されシャーシに固着された後に、実行されてもよいことに留意されたい。
【0134】
任意選択的に、固着する工程は、MOを直接的にPAの方へ方向付け、または照射する工程と、照射の結果として生じるPAの出力を感知する工程と、感知する工程の結果に基づいて、MOとPAとの間のアラインメントを調整する工程と、調整されたアラインメントに基づいて、MOおよびPAのうちの少なくとも一方の少なくとも1つのコンポーネントを固着する工程と、を含んでもよい。
【0135】
任意選択的に、方法1400は、BTSの少なくとも1つの制御可能な光学コンポーネント(controllable optical component:COC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態におけるPAの出力を測定する工程と、少なくとも1つのCOCについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つのCOCの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含んでもよい。
【0136】
任意選択的に、方法1400は、MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの熱電冷却器(TEC)の2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態におけるPAの出力を測定する工程と、少なくとも1つのTECについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つのTECの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含んでもよい。
【0137】
任意選択的に、方法1400は、MOまたはPAの少なくとも1つのポンプの2つ以上の異なる温度および2つ以上の異なる状態におけるPAの出力を測定する工程と、少なくとも1つのポンプについての温度補償情報を計算する工程と、少なくとも1つのポンプの状態を変更するように動作可能なコントローラによって読み取り可能である有形メモリモジュールに、温度補正情報を記憶する工程と、をさらに含んでもよい。
【0138】
任意選択的に、永続的に固着する工程には、シャーシの少なくとも1つの第1表面および少なくとも1つの第2表面を互いに平行になるように研磨する工程が先行してもよく、永続的に固着する工程は、MOの少なくとも1つのコンポーネントを第1表面に永続的に固着する工程と、PAの少なくとも1つのコンポーネントを第2表面に永続的に固着する工程と、を含む。
【0139】
段階1420、およびMOPAレーザモジュールの任意選択的な実装形態の一部について言えば、BTSの組み立ては別個であり、MOおよびPAが(PAに対する入射角まで)既にアラインメントされた後にのみ行われる。種々の要素を正確に位置決めするための複数の方法が使用され得る。これらの方法は、本開示で説明する部材の位置決めおよび/または固着の任意の例について使用され得る:
a.回転に対するアラインメントの不変性-通常のミラーの代わりに正確なプリズム(例えば、ペンタプリズム、ダブ(dove)、再帰反射体)を使用することによって、角度公差の変更なく正確な組み立てが可能になる。
b.BTS等のサブアセンブリの配置は、システムのアラインメントに影響しない。
c.(例えば、図13Aにおける)組み立て手順は、MOPAレーザモジュール全体に関して説明した組み立てプロセスと同様である。
【0140】
上述した工程の完了後、最終試験およびアラインメントプロセスが、任意選択的に開始され得る。このプロセスの目的は、以下のもののうちの少なくとも1つを達成することであり得る:
a.最適な出力ゲインおよび出力ビーム形状のためのMOPAレーザモジュールのアラインメントおよび試験。
b.フルの温度範囲およびフルのTEC範囲における性能の試験。種々の温度で測定された測定値は、例えば、本開示の他の箇所で論じられているように、MOPAレーザモジュールの寿命の間、MOPAレーザモジュールの様々なコンポーネントの動作をコントローラによって制御するために、使用され得る。
【0141】
方法1400は、任意選択的に、以下の任意の段階のうちのいずれか1つ以上の段階を含んでもよい:
a.少なくとも1つのMOコンポーネント(例えば、出力結合器)を、シャーシの1つの研磨面に、それらが平行になるように取り付ける(例えば、接着する)。この取り付けは、直接的な接続であってもよく、または(例えば、シャーシ(chassis)、ブラケット、スペーサ等を介した)間接的な接続であってもよい。
b.少なくとも1つのPAコンポーネント(例えば、ミラー)を、少なくとも1つのMOコンポーネントに、それらがやはり平行になるように取り付ける。この取り付けは、直接的な接続であってもよく、または(例えば、シャーシ、ブラケット、スペーサ等を介した)間接的な接続であってもよい。
c.(a)および(b)とは異なる選択肢として、または(a)および/もしくは(b)とともに(角度および/または位置の)高精度のアラインメントを達成するために、(a)および(b)における表面、または種々の表面のアラインメントのためのアセンブリツール(例えば、スペーサ、ブラケット、マイクロポジショナ、オートコリメータ等)を使用する工程が、組立てに含まれてもよい。
d.追加の要素は、MOサブモジュールおよびPAサブモジュールが組み立てられるまで、工程a~cと同様の方法で組み立てられてもよい。なお、(例えば、図1のP-QSレーザの製造に関して説明したように、)MOおよび/またはPAの一部のコンポーネントは、カシス(cassis)に接続される前に互いに接続されてもよいことに留意されたい。
e.全ての素子が適所に配置された後、アセンブリが仕様の範囲内であることが保証されるように、光学的なアラインメントおよび試験が実施されてもよい。これらの試験の任意選択的な目標は、以下のうちの1つ以上を達成することであり得る:
i.MO出口における最適なビーム品質(エネルギー、ビームおよびパルス形状等)。
ii.MOのPAに対する最適なアラインメント-入口の角度および位置。
f.段階1420に続いて、MOPAレーザモジュールのゲインを最適化するために、PA入口角度、およびその他のパラメータのアラインメントが行われてもよい。
【0142】
製造中(または、MOPAレーザの寿命の後期)に実施される試験のうちの1つ以上の試験が不全である場合において、システムは、コントローラであって、TEC電流、ポンプパワー等を変更することでそれ自体を補正できるコントローラを含んでもよい。
【0143】
なお、(例えば、図11A図11Cに係る)モジュール1100´、モジュール1100´´またはモジュール1100´´´のようなMOPAレーザモジュールの議論に戻ると、任意選択的に、MOPAレーザモジュールは、MOまたはPAのコンポーネントとシャーシの対応する表面との間に永続的に固着された少なくとも1つの中間機械結合部を含んでもよく、当該中間機械結合部と対応する当該表面とによってもたらされる転位の程度は、MOによって放出される光の光学測定に基づいて決定されることに留意されたい。かかる機械結合部は、MOPAレーザモジュールの動作期間の間に、コントローラによって制御されてもよいが、これは必ずしもそうである必要はなく、任意選択的に、当該転位の程度は、コントローラによって変更できない方法で、MOPAレーザモジュールの製造の間に決定されてもよい。例えば、MOPAレーザモジュールの製造の間に実行される光強度(または、その他の光学パラメータ)の測定の結果として、方法1400は、種々の寸法の複数の任意選択的な機械結合器(例えば、種々の幅のスペーサ、種々の角度を有するブラケット等)のうちの1つを選択する工程を含んでもよい。
【0144】
図11Bを参照されたい。MOPAレーザモジュール1100´´は、任意選択的に、MO1120およびPA1130の少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための1つ以上の内部光学センサ、例えばセンサ1162、および/またはセンサ1164と、内部光ビームの強度を増大させるために、MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能なコントローラ1166と、を含んでもよい。1つ以上のビームスプリッタ1168、1170が、光ビームの光を、関連する内部光学センサ(例えば、フォトダイオードであってもよい)の方へ方向付けるために含まれてもよい。
【0145】
任意選択的に、MOPAレーザモジュール1100´´は、MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための1つ以上の内部温度センサ1172を含んでもよい。本開示の一部の実施形態によれば、コントローラ1166は、測定された温度に基づいて、MOPAレーザモジュールの少なくとも1つの光学コンポーネントの移動をトリガするように動作可能であってもよい。例えば、温度センサ1172によって測定された温度に基づいて、かつ/またはコントローラによって(直接的または間接的に)アクセス可能な有形メモリモジュールに記憶された温度補正情報に基づいて、である。
【0146】
任意選択的に、MOPAレーザモジュール1100´´は、MOおよびPAのうちの少なくとも一方によって放出された内部光ビームの強度を示す感知強度を測定するための1つ以上の内部光学センサ(例えば、1162および1164)と、内部光ビームの強度を増大させるために、MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネント(例えば、TEC、ポンプ)の電気的大きさの変更をトリガするように動作可能なコントローラ(例えば、1166)と、を含んでもよい。ビームスプリッタ(例えば、1168、1170)が、光ビームの光を、関連する内部光学センサ(例えば、フォトダイオードであってもよい)の方へ方向付けるために含まれてもよい。
【0147】
任意選択的に、MOPAレーザモジュール1100´´は、MOPAレーザモジュール内で感知される温度を測定するための1つ以上の内部温度センサ1172と、測定された温度、例えばセンサ1172によって測定された温度に基づいて、MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさの変更をトリガするように動作可能なコントローラ(例えば、1166)と、を含んでもよい。一部の実施形態では、コントローラ(例えば、1166)は、測定された温度に基づいて、かつ/またはコントローラによって(直接的または間接的に)アクセス可能な有形メモリモジュールに記憶された温度補正情報に基づいて、MOPAレーザモジュールの制御されたコンポーネントの電気的大きさの変更をトリガするように動作可能であり得る。
【0148】
特許請求の範囲において、括弧内に配置された任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解されるべきではない。「含む(備える)(comprising)」という語は、請求項に列挙された要素または工程以外の、他の要素または工程の存在を除外するものではない。さらに、本明細書に使用される語「a」または「an」は、1つ、または2以上として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つの(at least one)」および「1または複数の(one or more)」等の導入句の使用は、同じ請求項が導入句「1または複数の(one or more)」または「少なくとも1つの(at least one)」、および、「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による別の請求項要素の導入が、かかる導入された請求項要素を含む任意の特定の請求項を、1つのかかる要素のみを含む開示に限定することを意味するものと解されるべきではない。同じことが、定冠詞の使用についても当てはまる。別段の定めのない限り、「第1(first)」および「第2(second)」等の語は、かかる語が示す要素を、任意に(arbitrarily)区別するために用いられる。このため、これらの語は必ずしも、かかる要素間における時間的優先付けまたはその他の優先付けを示すことを意図するものではない。或る手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。
【0149】
本開示についての特定の構成が本明細書において例示および説明されているが、多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者によって想起されるだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神の範囲内に含まれる全ての修正および変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。上述の実施形態は、例として挙示されており、その様々な構成およびこれらの構成の組み合わせは変更および修正され得ることが理解されるだろう。様々な実施形態を示し説明してきたが、本開示をかかる開示によって限定しようとする、いかなる意図も存在しない。そうではなくむしろ、添付の特許請求の範囲に定められている通り、本開示の範囲内に入る全ての修正形態および代替構成を網羅することが意図されていることが、理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0150】
図1】短波赤外(SWIR)光学システムの一例を示す概略機能ブロック図である。
図2A】P-QSレーザの例を示す概略機能ブロック図である。
図2B】P-QSレーザの例を示す概略機能ブロック図である。
図2C】P-QSレーザの例を示す概略機能ブロック図である。
図3】SWIR光学システムの例示的な一実装形態を示す概略機能図である。
図4】SWIR光学システムの別の例示的な一実装形態を示す概略機能図である。
図5】SWIR光学システムの一例を示す概略機能ブロック図である。
図6A】P-QSレーザのための部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6B】前述した方法を実行するためのいくつかの概念的なタイムラインを含む。
図6C】前述した方法を実行するためのいくつかの概念的なタイムラインを含む。
図7】本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)の例示的な分解視斜視投影を示す。
図8】本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)の例示的な分解視斜視投影を示す。
図9】本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)および増幅レーザ照射源の例示的な分解視斜視投影を示す。
図10】本開示の主題の実施例による、ゲイン媒質増幅器(GMA)および増幅レーザ照射源の例示的な分解視斜視投影を示す。
図11A】本開示の主題による、例示的なMOPAシステムを示す概略機能ブロック図である。
図11B】本開示の主題による、例示的なMOPAシステムを示す概略機能ブロック図である。
図11C】本開示の主題による、例示的なMOPAシステムを示す概略機能ブロック図である。
図12】本開示の主題による、MOPAレーザモジュールの例示的なコンポーネント、およびシャーシを示す側面図である。
図13A】本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す。
図13B】本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す。
図13C】本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す。
図13D】本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す。
図13E】本開示の主題による、例示的なビーム伝達システムを示す。
図14】本開示の主題の一部の実施形態による、併合MOPAレーザモジュールを製造する方法についての例示的なプロセスのフローチャートである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
【国際調査報告】