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特表2025-505445単一細胞または粒子のフロー制御のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-26
(54)【発明の名称】単一細胞または粒子のフロー制御のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/42 20060101AFI20250218BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20250218BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20250218BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
C12M1/42
B81B3/00
C12M1/00 A
B01J19/00 321
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545220
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 US2023011676
(87)【国際公開番号】W WO2023146999
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】17/589,591
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/970,569
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】ギリ, マニシュ
(72)【発明者】
【氏名】セティ, ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】ピスクン, ヴァディム
【テーマコード(参考)】
3C081
4B029
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA18
3C081BA22
3C081BA23
3C081BA24
3C081BA33
3C081BA41
3C081BA55
3C081BA72
3C081CA32
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA06
3C081DA27
3C081EA27
3C081EA29
4B029AA07
4B029BB11
4B029DG08
4B029DG10
4B029FA15
4B029HA05
4B029HA09
4G075AA02
4G075AA27
4G075AA39
4G075AA61
4G075AA65
4G075BB10
4G075CA14
4G075DA02
4G075EB50
4G075EC21
4G075EC25
4G075FA12
4G075FB01
4G075FB06
4G075FB12
(57)【要約】
マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御のためのマイクロ流体デバイスおよび方法が開示される。マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを有する基板と、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するために出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列と、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、(流体中の)粒子を帯電させるための1つ以上の電極対と、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを備えた基板と、
前記マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するための前記出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列と、
マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させるための1つ以上の電極対と、を備えるマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
圧電アクチュエータの第2の配列を更に備える、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記マイクロ流体チャネルは、入口を有し、
前記圧電アクチュエータの第2の配列は、前記入口と前記少なくとも1つの出口との間に配置される、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記マイクロ流体チャネルは、入口を有し、前記圧電アクチュエータの第2の配列は、前記入口に隣接して配置される、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の電極対は、前記圧電アクチュエータの第1の配列と前記圧電アクチュエータの第2の配列との間に配置される、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記入口と前記少なくとも1つの出口との間に配置された圧電アクチュエータの第3の配列を更に備える、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の電極対は、前記圧電アクチュエータの第2の配列と前記圧電アクチュエータの第3の配列との間に配置される、請求項6に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記基板は、第2の基板部分から分離された第1の基板部分を含み、前記マイクロ流体チャネルは、前記第1の基板部分と前記第2の基板部分との間に設けられる、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記第1の基板部分は、第1の材料で作られ、前記第2の基板部分は、前記第1の材料とは異なる第2の材料で作られる、請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記出口の出口ポートは、前記第2の基板部分に設けられる、請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
前記マイクロ流体チャネルは、入口を有し、
前記入口は、前記第1の基板部分に設けられる、請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
前記圧電アクチュエータの第1の配列は、前記出口の出口ポートのいずれの部分とも重ならずに前記第2の基板部分の上に配置された圧電材料の層を含む、請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記第1の基板部分を前記第2の基板部分に接着させる接着層であって、前記接着層は、前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部を更に設けることを特徴とする、請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
前記圧電アクチュエータの第1の配列に作動信号を提供するための、前記圧電アクチュエータの第1の配列に電気的に結合された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサは、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させるための1つ以上の電極対に作動信号を提供するように構成される、請求項14に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
出口を有するマイクロ流体チャネルを通して複数の粒子を供給することと、
マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させることと、
前記出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、前記マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出することと、を含む方法。
【請求項17】
前記圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、前記マイクロ流体チャネルの入口から前記出口に向かって層流を誘導することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記圧電アクチュエータの第1の配列に作動信号を提供すること、または
マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させるための1つ以上の電極対に作動信号を提供することのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させるための2つ以上の電極対に作動信号を提供することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
マイクロ流体デバイスであって、
第1の材料から構成される第1の基板と、
前記第1の材料とは異なる第2の材料から構成される第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する接着層であって、前記接着層は、少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを設けることを特徴とする、マイクロ流体デバイス。
【請求項21】
前記マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するための前記出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を更に備える、請求項20に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項22】
マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、前記粒子を帯電させるための1つ以上の電極対を更に備える、請求項20に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項23】
前記第1の材料は、ガラスであり、前記第2の材料は、シリコンである、請求項20に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項24】
前記接着層は、ポリマー材料から構成される、請求項20に記載のマイクロ流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、細胞または粒子のフロー制御に関し、より具体的には、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスにおける細胞または粒子のフロー制御のための従来の技法は、外部フローシステム(例えば、マイクロ流体デバイスの外側に配置された構成要素を使用する)に依存している。しかしながら、そのような外部フロー制御システムは、典型的には、信頼性の高い細胞の捕捉、位置特定、および分析のためのマイクロ流体デバイスにおける流体力学の精密な制御を提供せず、より複雑で費用効果の低いシステムをもたらす。外部フロー制御システムに関連するこれらおよび他の課題は、マイクロ流体デバイスを使用して細胞または粒子を処理するためのスループットを制限してきた。
【発明の概要】
【0003】
マイクロ流体デバイスまたはシステムにおけるフロー制御のためのデバイスおよび方法が、本明細書に記載される。そのようなデバイスおよび方法は、マイクロ流体デバイスまたはシステムにおけるフロー制御のための従来のデバイスおよび方法に関連する課題に対処し得る。
【0004】
本明細書において開示される実施形態は、マイクロ流体構造内を流れる生体物質を可視化するためのガラス層と、高さ、幅および曲率を正確に調整することができるポリマー層と、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)層上に配置された統合型圧電体層と、電極または他のMEMSセンサを(例えば、連続的または並列/同時のいずれかの方法で多種多様なセンサ機能を実行するための、高精度および異なるアスペクト比を有する)作製可能なシリコン層と、を有する(例えば、図3Aから図3Cを参照して以下に説明するような)ハイブリッド構造を含む。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを有する基板と、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するための出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列と、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、その粒子を帯電させるための1つ以上の電極対と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、単一細胞または粒子のフロー制御のための方法は、出口を有するマイクロ流体チャネルを通して複数の粒子を供給することと、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るようにその粒子を帯電させることと、出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出することと、を含む。
【0007】
したがって、開示されるデバイスおよび方法は、マイクロ流体デバイス内に、またはその一部として実装され、圧電アクチュエータおよび電極を使用して電気流体力学的(EHD)変位に基づいてマイクロ流体フローチャネルにおける細胞または粒子のフローを制御することを可能にする、フロー制御技術に関する。そのような制御されたフローは、信頼性の高い細胞の捕捉、位置特定、および分析を提供する。開示されたデバイスおよび方法は、従来のデバイスおよび方法を置換または補完し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
説明される様々な実施形態のより良い理解のために、同様の参照番号が図面全体を通して対応する部分を指し、以下の図面と併せて、下記の発明を実施するための形態を参照されたい。
図1A図1Aは、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御のためのマイクロ流体デバイスを示す。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御のためのマイクロ流体デバイスを示す。
図2図2は、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御のためのマイクロ流体デバイスを示す。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態に係る、図2に示されたマイクロ流体デバイスの出力領域の断面図を示す。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態に係る、図2に示されたマイクロ流体デバイスの流体チャネルおよび出口領域の断面図を示す。
図3C図3Cは、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体デバイスの接着層の平面図を示す。
図4図4は、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御のための電気構成要素を図示するブロック図である。
図5図5は、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体チャネルにおける細胞または粒子のフロー制御の方法を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態を参照し、これらの実施形態を添付の図面において例示する。以下の説明では、様々な説明された実施形態の十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、様々な説明された実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、当業者によく知られている方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細に説明されない。
【0010】
図1Aは、いくつかの実施形態に係るマイクロ流体デバイス100を示す。デバイス100は、基板上に形成された流体チャネル102(例えば、マイクロ流体チャネル)を含む。いくつかの実施形態では、流体チャネル102は、流体チャネル102が第1の基板と第2の基板との間に設けられるように、くぼみ、凹部、または切欠きを有する第1の基板を第2の基板に結合することによって形成されてもよい。
【0011】
流体チャネル102は、入口103および出口104を有し、これらは両方とも図1Aにおいて破線で示されている。図1Aの流体チャネル102に関して示される入口103および出口104の位置は、単なる例である。入口103および出口104は、流体チャネル102またはデバイス100の長さ方向に沿った任意の他の位置に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネル102の長さL(例えば、入口103から出口104まで測定される)は、1mmから50mmの範囲内である。いくつかの実施形態では、流体チャネル102の幅W(例えば、最も狭い部分であり得る102-A等の代表的な部分)は、分析される粒子のサイズに基づいて構成されてもよい。例えば、細胞測定のために、流体チャネル102の幅Wは、単一細胞のみが一度に検出されるように、細胞のサイズに従って構成される。いくつかの実施形態では、流体チャネル102の幅Wは、10ミクロンから100ミクロンの範囲内(例えば、50ミクロン)である。いくつかの実施形態では、流体チャネル102は、幅Wとは異なる幅を有する1つ以上の部分を含む。例えば、図1Aに示すように、流体チャネル102は、幅Wよりも大きい(突出した)形状を有する部分102-Bおよび102-Cを含んでもよい。同様に、流体チャネル102は、幅Wよりも狭い幅を有する1つ以上の部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネル102が広いほど、その流体チャネル102に対応する部分を流れる粒子の速度は遅くなる(例えば、流体チャネル102が均一の高さを有する場合)。したがって、例えば、より広い部分102-Cは、粒子の速度を低減させる(例えば、粒子を固定する)ために使用され、これは、粒子を分析するためのより多くの時間を可能にする。
【0012】
デバイス100はまた、デバイス100への入力として粒子(例えば、細胞)を有するサンプル流体を入口ポート106で受け取るための、そして、入口103を介して入口ポート106から流体チャネル102にサンプル流体を提供するための、入力領域105を含む。デバイス100は更に、出口104を介して流体チャネル102からサンプル流体の少なくとも一部を収集するための、そして、更なる処理または分析のために出口ポート108(例えば、ノズル)を介してサンプル流体の一部を排出または送達するための、出力領域107を含む。いくつかの実施形態では、出口ポート108の直径は、60ミクロンから120ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、流体チャネル102は、入口ポート106が流体チャネル102の入口103であり、出口ポート108が流体チャネル102の出口104であるように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、出力領域107は、流体チャネル102における流体の一部を排出するために出口104に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列109を含む。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第1の配列109は、1つ以上の圧電アクチュエータ(例えば、圧電マイクロ電気機械システム(MEMS)アクチュエータ)を含む。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第1の配列109は、2つ以上の圧電アクチュエータ(例えば、圧電アクチュエータ109-1および109-2)を含む。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第1の配列109の各々は、圧電素子である。圧電素子は、1mmに等しい長さおよび0.5mmに等しい幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス100は、圧電アクチュエータの第1の配列109に電気的に結合された作動回路(例えば、図5に関して説明される作動回路430)を含む。いくつかの実施形態では、作動回路からの電気信号の印加に応じて、圧電アクチュエータの第1の配列109は、変位ならびに音波を生成する振動を発生させ、それは、サブミクロンレベルの制御で、3次元x、y、およびz平面における流体チャネル102中の粒子の局所的慣性運動を制御する。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第1の配列109は、入口103から出口104に向かって層流を誘導する。
【0014】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、1つ以上の電極対110(例えば、1つの電極対)を含む。1つ以上の電極対110は、流体チャネル102を通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、電極対110間の距離は、一つの単一細胞のみが一度に電場で操作されるように構成される。いくつかの実施形態では、デバイス100は、1つ以上の電極対110に電気的に結合された駆動回路(例えば、図5に関して説明する駆動回路440)を含む。いくつかの実施形態では、駆動回路は、メガヘルツおよびギガヘルツ周波数領域において電気信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極対110に提供される電気信号の周波数は、デバイス100を使用して分析される粒子の1つまたは複数のタイプに依存する。
【0015】
いくつかの実施形態では、出力領域107は、図1Bに示すように、複数の出力サブ領域(例えば、サブ領域107-1から7-3)に分割される。いくつかの実施形態では、各出力サブ領域は、一つの出口ポートと、少なくとも一つの圧電アクチュエータの第1のアレイ109と、を有する。本実施形態では、出口104からのサンプル流体の異なる部分の各々(例えば、特定の細胞または細胞のタイプに対応する各部分)は、出力領域107の対応する出力サブ領域に向かわせる。したがって、サンプル流体の異なる部分の各々は、対応する出力サブ領域で収集され、そこから排出される。サンプル流体の異なる部分を各々対応する出力サブ領域に向かわせる方法は、例えば、圧電アクチュエータの第1の配列109の作動によって引き起こされる振動および変位によって達成されてもよい(および/またはデバイス100内に実装される、またはデバイス100と動作可能に関連付けられる他の圧電アクチュエータ)。
【0016】
図2は、いくつかの実施形態に係るマイクロ流体デバイス200を示す。デバイス200は、デバイス200が圧電アクチュエータの第2の配列202、1つ以上の電極(対)204、および/または圧電アクチュエータの第3の配列206も含むことを除いて、図1Aに示されるデバイス100と同様である。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第2の配列202は、入口103から出口104に向かって層流を誘導するために、入口103に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第2の配列202は、入力サンプルの混合および/または分離のために構成される。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第2の配列202は、入口103と出口104との間に配置される。例えば、圧電アクチュエータの第2の配列202は、入口103と出口104との間に横方向に配置されてもよい(例えば、入口103は、マイクロ流体チャネルの上流領域に配置されてもよく、出口104は、マイクロ流体チャネルの下流領域に配置されてもよく、圧電アクチュエータの第2の配列202は、マイクロ流体チャネルの中流領域に配置されてもよい)。いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第3の配列206は、入口103と出口104との間に配置される。圧電アクチュエータの第1の配列109と同様に、いくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第2の配列(202)および第3の配列(206)の各々は、1つ以上の圧電アクチュエータ(例えば、圧電マイクロ電気機械システム(MEMS)アクチュエータ)を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、作動回路からの電気信号の印加に応じて、圧電アクチュエータの第2の配列202は、流体チャネル102において、層流を誘導するために、局所的な粒子の慣性運動を制御し、サンプル流体の混合および分離を引き起こす音波及び、変位を生成する振動を発生させる。いくつかの構成では、サンプル流体は、1μL/分から1mL/分の速度で流体チャネル102を通って流れる。いくつかの実施形態では、作動回路からの適切な電気信号を使用して作動されると、圧電アクチュエータの第3の配列206は、出力領域107の特定の出力サブ領域(例えば、図1Bに示されるサブ領域107-1、107-2、または107-3)へ、(1つ以上の電極対110および/または1つ以上の電極対204によって生成された電場を使用して操作された)荷電粒子を向かわせるように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電極対204は、流体チャネル102を通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させる。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電極対204は、1つ以上の電極対204に隣接するマイクロ流体チャネル102を通って流れる粒子(例えば、細胞)の電気信号を検出する。いくつかの実施形態では、駆動回路は、電極204に電気的に結合され、メガヘルツおよびギガヘルツ周波数領域において電気信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、電極110に供給される電気信号の周波数はメガヘルツ領域であり、電極204に供給される電気信号の周波数はギガヘルツ領域である。いくつかの実施形態では、デバイス200は、電極110および電極204などの1つ以上の電極と電気的に結合された読み出し回路(例えば、図4に関して記載される読み出し回路450)を含む。読み出し回路は、1つ以上の電極110および204から電気信号を受信し、電気信号を(フィルタリング等の処理の有無にかかわらず)デバイス200の、またはデバイス200に動作可能に接続された1つ以上のプロセッサに中継する。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電極対204は、荷電粒子(例えば、1つ以上の電極対110によって帯電された粒子)の動き(例えば、偏向)を誘導するための電場を提供する。例えば、1つ以上の電極対204によって提供された電場は、電位差を提供することによって、荷電粒子の直接的な動きを誘導し得る。別の例として、1つ以上の電極対204によって提供された電場は、荷電粒子の位置、回転および/または加速を制御するために使用されてもよい。加えて、または代替として、1つ以上の電極対204によって提供された電場は、(例えば、流体が誘電体媒体を含む場合)流体の電気流体力学的流動を誘導してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、各粒子は、0.1ミリ秒から100ミリ秒の間の期間で、1つ以上の電極対110の近傍を通過してもよい。いくつかの実施形態では、各粒子は、0.1ミリ秒から100ミリ秒の間の期間で、1つ以上の電極対204の近傍を通過してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、電極対204間の電極距離、ならびに電極110と電極204との間の距離は、デバイス100を使用して分析される粒子の1つまたは複数のタイプに基づいて構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、電極110および/または電極204は、圧電アクチュエータの第1の配列109と圧電アクチュエータの第2の配列202との間に配置される。いくつかの実施形態では、電極110および/または電極204は、圧電アクチュエータの第2の配列202と圧電アクチュエータの第3の配列206との間に配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス200における粒子処理速度は、100粒子/分から100万粒子/分であり得る。
【0025】
図2はまた、いくつかの実施形態では、電極対204が同じ基板(例えば、基板210)上に配置されることを示す。いくつかの実施形態では、電極対204は異なる基板上に配置される(例えば、電極対204の一方の電極は下部基板210上に配置され、電極対204の他方の電極は上部基板212上に配置される)。
【0026】
図3Aは、いくつかの実施形態に係るデバイス200の出力領域107の断面図である。図3Aは、流体チャネル102を有する基板302を示す。いくつかの実施形態では、基板302は、第1の基板部分304と、流体チャネル102が第1の基板部分304と第2の基板部分306との間に設けられるように、第1の基板部分304から分離された第2の基板部分306と、を含む。いくつかの実施形態では、流体チャネル102は、10ミクロンから1mm(例えば、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、600ミクロン、700ミクロン、800ミクロン、900ミクロン、もしくは1mm、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲内)の高さを有する。いくつかの実施形態では、第1の基板部分304は、5ミクロンから2mm(例えば、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、500ミクロン、600ミクロン、700ミクロン、800ミクロン、900ミクロン、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、もしくは2mm、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲内)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第2の基板部分306は、5ミクロンから200ミクロン(例えば、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、もしくは200ミクロン、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲内)の厚さを有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の基板部分304および第2の基板部分306は、異なる別個の材料から作製される。例えば、第1の基板部分はガラスで作られ、第2の基板部分はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)半導体構造で作られる。
【0028】
いくつかの実施形態では、接着層308は、第1の基板部分304と第2の基板部分306との間に配置される。いくつかの実施形態では、接着層308はポリマーを含む。いくつかの実施形態では、接着層308はポリマーから構成される。いくつかの実施形態では、接着層308は、第1の基板部分304および第2の基板部分306を互いに接着するように適合および/または配置される。例えば、接着層308が含まれない場合、第1の基板部分(例えば、ガラス)は、第2の基板部分(例えば、シリコン)に接合しなくてもよい。いくつかの実施形態では、接着層308は、感光性材料から構成される。例えば、感光性接着層308は、流体チャネル102の幅、高さ、および曲率などの定義を提供する(例えば、単一細胞感知のためのシグナル対ノイズ比(SNR)を向上させることができる)。いくつかの実施形態では、接着層308は、基板302に応力緩和を提供するために(例えば、チップがパッケージに組み立てられるときの応力クラックを防止するために)適合および/または配置される。いくつかの実施形態では、接着層308は硬化/固化される(例えば、硬化/固化の複数の段階に供される)。いくつかの実施形態では、接着層308は、接着層の転移温度(例えば、摂氏150度)を超える温度にさらされ、それによって、接着層が硬化し、第1の基板部分304(例えば、ガラス)を第2の基板部分306(例えば、シリコン)に接着する。いくつかの実施形態では、接着層308は、液体またはドライフィルムから構成される。接着層308は、ネガ型またはポジ型フォトレジストであってもよい。いくつかの実施形態では、接着層308は、(例えば、光の波長に基づいて架橋結合を駆動するために添加される)光開始剤と共に、エポキシ(例えば、ビスフェノールA)および/またはポリイミドからなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の基板部分は、500ミクロン厚である。いくつかの実施形態では、入口103および/または入口ポート106は、第1の基板部分304に設けられる。いくつかの実施形態では、出口104および/または出口ポート108は、第2の基板部分306に設けられる。更に、いくつかの実施形態では、デバイス200の出力領域107において配置された圧電アクチュエータの第1の配列109は、出口104および/または出口ポート108のいずれの部分とも重なり合わず、またはそれを被覆せずに、第2の基板部分306上に配置された圧電材料の層312を含む。いくつかの実施形態では、図3Aに示されるように、圧電材料の層312は、電極310と電極314との間に配置される。いくつかの実施形態では、圧電材料の層312は、0.1ミクロンから100ミクロン(例えば、0.1ミクロン、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、もしくは100ミクロン、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲内)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、入口は、第2の基板部分に設けられる。
【0030】
図3Aには、出口ポート108も示されている。いくつかの実施形態では、出口ポート108は、2ミクロンから500ミクロン(例えば、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン、もしくは500ミクロン、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲内)の直径を有する。
【0031】
図3Bは、いくつかの実施形態に係る、図2に示されるマイクロ流体デバイスの出力領域と流体チャネルの断面図を示す。図3Bは、流体チャネル102を有する基板302を示す。基板302は、流体チャネル102が第1の基板部分304と第2の基板部分306との間に設けられるように、接着層308を介して結合された第1の基板部分304および第2の基板部分306を含む。マイクロ流体チャネルの断面図は更に、電極310および電極314ならびに圧電材料の層312を示す。いくつかの実施形態では、電極310および電極314は各々、導電性材料(例えば、銅、アルミニウム、または金)から構成される。いくつかの実施形態では、圧電材料の層312は、(例えば、電流を圧電材料に供給するための)1つ以上の接点に結合される。いくつかの実施形態では、電極310および/または電極314は、それぞれの接点に結合される。いくつかの実施形態では、圧電層312は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)層上に配置される。いくつかの実施形態では、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、1つ以上の接点に接続される。出力領域の断面図は更に、流体チャネル102のための出口ポート108を示す。
【0032】
図3Cは、いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体デバイスの接着層の平面図を示している。図3Cの接着層308は、電極、接合パッド、および/または回路のための開口部(アパーチャ)350-1から350-8を含む。図3Cの接着層308は更に、出力領域107(例えば、出口ポート108)のための開口部352と、入力領域105のための開口部354と、流体チャネル102のための開口部356と、を含む。いくつかの実施形態では、接着層308は、ポリマー層(例えば、スピンコートおよび/またはラミネート加工層)である。いくつかの実施形態では、接着層308は、20ミクロンから80ミクロンの範囲(例えば、50ミクロン)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、接着層308は、第1の基板部分304と第2の基板部分306との間に流体チャネルを形成する。いくつかの実施形態では、開口部は、(例えば、接合パッドへのアクセスを可能にするため、および/またはマイクロ流体デバイスのための入口を形成するために)第1の基板部分304に形成される。例えば、第1の基板部分304がガラスで構成される実施形態では、開口部はレーザドリルで形成されてもよい。
【0033】
図4は、いくつかの実施形態に係る、流体チャネルにおける粒子のフロー制御のための電気構成要素を図示するブロック図である。いくつかの実施形態では、デバイス(例えば、デバイス100または200)は、1つ以上のプロセッサ402およびメモリ404を含む。いくつかの実施形態では、メモリ404は、1つ以上のプロセッサ402による実行のための命令を含む。いくつかの実施形態では、保存された命令は、圧電アクチュエータの第1の配列109、圧電アクチュエータの第2の配列202、および/または圧電アクチュエータの第3の配列206に作動信号を提供するための命令を含む。いくつかの実施形態では、異なる圧電アクチュエータの配列のための作動信号は、各圧電アクチュエータの配列が、別の圧電アクチュエータの配列の振動周波数とは異なる周波数で振動を生成するように構成され得る。例えば、圧電アクチュエータの第1の配列109、圧電アクチュエータの第2の配列202、および圧電アクチュエータの第3の配列206のうちの1つ以上は、例えば、所望の流量に基づいて、0.5kHzから100kHzの範囲内の周波数で動作してもよい。いくつかの実施形態では、保存された命令は、流体チャネル102を通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための、電極110および/または電極204に作動信号を提供するための命令を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、デバイスはまた、1つ以上のプロセッサ402およびメモリ404に接続された電気インターフェース406を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、デバイスは、圧電アクチュエータの第1の配列109、圧電アクチュエータの第2の配列202、および圧電アクチュエータの第3の配列206など、1つ以上の圧電アクチュエータに接続された作動回路430を更に含む。作動回路430は、1つ以上の圧電アクチュエータの配列の作動を開始するために、1つ以上の圧電アクチュエータの配列109、202、206に電気信号を送る。
【0036】
いくつかの実施形態では、デバイスは、電極110および電極204などの1つ以上の電極に接続された駆動回路440を更に含む。駆動回路440は、流体チャネル102を通って流れる粒子を帯電させるための電場を生成するために、1つ以上の電極110、204に電気信号を送る。
【0037】
いくつかの実施形態では、デバイスは、電極110および電極204などの1つ以上の電極に結合された読み出し回路450を更に含む。読み出し回路450は、1つ以上の電極110、204から電気信号を受信し、電気インターフェース406を介して1つ以上のプロセッサ402に電気信号(処理の有無にかかわらず)を提供する。
【0038】
図5は、いくつかの実施形態に係る、流体チャネルにおける粒子のフロー制御の方法500を示すフロー図である。
【0039】
方法500は、出口を有するマイクロ流体チャネルを通して複数の粒子を提供することを含む(510)。例えば、粒子(例えば、細胞)を含むサンプル流体が、入口103および出口104を有する流体チャネル102に提供される。いくつかの実施形態では、入口ポート106が流体チャネル102の入口103であり、出口ポート108が流体チャネル102の出口104である。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法500は、圧電アクチュエータの第1の配列または圧電アクチュエータの第2の配列を用いて、マイクロ流体チャネルの入口から出口に向かって層流を誘導することを含む(512)。例えば、圧電アクチュエータの第1の配列109は、流体チャネル102の入口103から出口104に向かって層流を誘導してもよい。別の例として、入口103に隣接して配置された圧電アクチュエータの第2の配列202は、流体チャネル102の入口103から出口104に向かって層流を誘導してもよい。圧電アクチュエータの第1の配列109および/または圧電アクチュエータの第2の配列202は、1つ以上のプロセッサ402からの作動信号に基づいて作動または起動されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法500は、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させることを含む(514)。例えば、作動されると、電極110および/または電極204は、流体チャネル102を通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させる。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法500は、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子を帯電させるための1つ以上の電極対に作動信号を提供することを含む(516)。例えば、1つ以上のプロセッサ402は、流体チャネル102における粒子が電場で操作され得るように、電極110および/または電極204に作動信号を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法500は、出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出することを含む(518)。例えば、作動または起動されると、圧電アクチュエータの第1の配列109は、出口ポート108を介して流体チャネル102における流体の一部を排出するための変位および振動を引き起こす。いくつかの実施形態では、方法500は、例えば、1つ以上のプロセッサ402から圧電アクチュエータの第1の配列(109)に作動信号を提供することを含む(520)。
【0044】
本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスは、1つ以上の細胞(または他の粒子)の電気的および/または光学的感知を可能にする。デバイスのマイクロ流体態様は、(例えば、電極、MEMSセンサ、および/または圧電構成要素を使用して)正確なフロー制御を可能にする。加えて、圧電層は、(例えば、細胞シグネチャが捕捉された後の)細胞選別などの付加的統合機能を可能にする。基板がシリコンから構成されるいくつかの実施形態(例えば、第2の基板部分306)では、電極は、互いに近接して(例えば、種々のアスペクト比で)堆積され得る(例えば、種々のサンプルタイプおよびサンプル不均一性の取り扱いを可能にする)。出口ポート(例えば、ノズル)を有する圧電構成要素(例えば、MEMS圧電層)は、(例えば、細胞が処理された後の)細胞の直接排出(例えば、噴射)を可能にする。
【0045】
上記の開示に照らして、特定の実施形態を以下に説明する。
【0046】
(A1)一態様における、いくつかの実施形態は、(i)少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを有する基板と、(ii)マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するために出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列と、(iii)マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための1つ以上の電極対と、を含むマイクロ流体デバイスを含む。
【0047】
(A2)A1のいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、圧電アクチュエータの第2の配列を更に含む。
【0048】
(A3)A2のいくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、入口を有し、圧電アクチュエータの第2の配列は、入口に隣接して配置される。
【0049】
(A4)A3のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極対は、圧電アクチュエータの第1の配列と圧電アクチュエータの第2の配列との間に配置される。
【0050】
(A5)A3またはA4のいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、入口と少なくとも1つの出口との間に配置される圧電アクチュエータの第3の配列を更に含む。
【0051】
(A6)A5のいくつかの実施形態では、1つ以上の電極対は、圧電アクチュエータの第2の配列と圧電アクチュエータの第3の配列との間に配置される。
【0052】
(A7)A2からA6のいずれかのいくつかの実施形態では、(i)マイクロ流体チャネルは入口を有し、(ii)圧電アクチュエータの第2の配列は、入口と少なくとも1つの出口との間に配置される。
【0053】
(A8)A1からA7のいずれかのいくつかの実施形態では、基板は、第2の基板部分から分離された第1の基板部分を含み、マイクロ流体チャネルは、第1の基板部分と第2の基板部分との間に設けられる。
【0054】
(A9)A8のいくつかの実施形態では、第1の基板部分は、第1の材料(例えば、ガラス)で作られ、第2の基板部分は、第1の材料とは異なる第2の材料(例えば、シリコン)で作られる。
【0055】
(A10)A8またはA9のいくつかの実施形態では、出口の出口ポートは、第2の基板部分に設けられる。
【0056】
(A11)A8からA10のいずれかのいくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、入口を有し、入口は、第1の基板部分に設けられる。
【0057】
(A12)A8からA11のいずれかのいくつかの実施形態では、圧電アクチュエータの第1の配列は、出口の出口ポートのいずれの部分とも重ならずに第2の基板部分の上に配置された圧電材料の層を含む。
【0058】
(A13)A8からA12のいずれかのいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、(例えば、図3Aから図3Cに示すように)第1の基板部分を第2の基板部分に接着させる接着層(例えば、ポリマー層)を更に含む。例えば、接着層308は、第1の基板部分304を第2の基板部分306と接着する。
【0059】
(A14)A1からA13のいずれかのいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、圧電アクチュエータの第1の配列に作動信号を提供するための、圧電アクチュエータの第1の配列に電気的に接続された1つ以上のプロセッサを更に含む。
【0060】
(A15)A14の実施形態では、1つ以上のプロセッサは、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための1つ以上の電極対に作動信号を提供するように構成される。
【0061】
(A16)A1からA15のいずれかのいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルを通って流れる荷電粒子が電場に基づいて操作され得るように、電場を提供するための2つ以上の電極対を更に含む。
【0062】
(A17)A1からA16のいずれかのいくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの第1の部分は、第1の幅を有し、マイクロ流体チャネルの第2の部分は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する。
【0063】
(B1)別の態様において、いくつかの実施形態は、(i)出口を有するマイクロ流体チャネルを通して複数の粒子を提供することと、(ii)マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように粒子を帯電させることと、(iii)出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出することと、を含む方法を含む。
【0064】
(B2)B1のいくつかの実施形態では、方法は、圧電アクチュエータの第1の配列を用いて、マイクロ流体チャネルの入口から出口に向かって層流を誘導することを更に含む法。
【0065】
(B3)B1またはB2のいくつかの実施形態では、方法は、圧電アクチュエータの第1の配列に作動信号を提供することを更に含む。
【0066】
(B4)B1からB3のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための1つ以上の電極対に作動信号を提供することを更に含む。
【0067】
(B5)B1からB3のいくつかの実施形態では、方法は、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための2つ以上の電極対に作動信号を提供することを更に含む。
【0068】
(C1)別の態様において、いくつかの実施形態は、(i)第1の材料から構成される第1の基板と、(ii)第1の材料とは異なる第2の材料から構成される第2の基板と、(iii)第1の基板と第2の基板とを接着する接着層であって、少なくとも1つの出口を有するマイクロ流体チャネルを設ける接着層と、を含むマイクロ流体デバイスを含む。
【0069】
(C2)C1のいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルにおける流体の一部を排出するための出口に隣接して配置された圧電アクチュエータの第1の配列を更に含む。
【0070】
(C3)C1またはC2のいくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルを通って流れる粒子が電場で操作され得るように、粒子を帯電させるための1つ以上の電極対を更に含む。
【0071】
(C4)C1からC3のいずれかのいくつかの実施形態では、第1の材料はガラスであり、第2の材料はシリコンである。いくつかの実施形態では、第2の材料は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)である。
【0072】
(C5)C1からC4のいずれかのいくつかの実施形態では、接着層は、ポリマー材料から構成される。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、感光性材料である。
【0073】
第1、第2などの用語が、様々な要素を説明するために本明細書において使用される場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことも理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、様々な説明された実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の配列は、第2の配列と称することができ、同様に、第2の配列は、第1の配列と称することができる。第1の配列および第2の配列は両方とも配列であるが、それらは同じ配列ではない。
【0074】
本明細書の実施形態の説明において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。説明および添付の特許請求の範囲の中で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈において特に明確な指示がない限り、複数形も含むことを意図する。また、本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、列挙する関連項目のうちの1つ以上の任意かつ全ての可能な組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。更に本明細書において使用されるとき、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、述べた特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素が存在することを規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、もしくは追加されることを除外しないことも理解されるであろう。
【0075】
説明の目的で、前述の記載は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または本特許請求の範囲を、開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの変更および変形が可能である。実施形態は、様々な説明された実施形態の原理およびその実際の適用を最良に説明するために選択および説明され、それによって、当業者が原理および考えられる特定の用途に適した様々な変更を伴う様々な説明された実施形態を最良に利用することができるようにする。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【国際調査報告】