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特表2025-505478熱分解を使用して廃タイヤからカーボンブラックを製造するシステム及び方法
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  • 特表-熱分解を使用して廃タイヤからカーボンブラックを製造するシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】熱分解を使用して廃タイヤからカーボンブラックを製造するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/48 20060101AFI20250220BHJP
   C10B 53/07 20060101ALI20250220BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20250220BHJP
   C01B 32/00 20170101ALI20250220BHJP
【FI】
C09C1/48
C10B53/07
C08J11/12 ZAB
C01B32/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580987
(86)(22)【出願日】2023-11-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2023019255
(87)【国際公開番号】W WO2024150921
(87)【国際公開日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0003697
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002267
【氏名又は名称】エルディー カーボン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヨンギョン
(72)【発明者】
【氏名】ベク ソンムン
【テーマコード(参考)】
4F401
4G146
4H012
4J037
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AC02
4F401BA05
4F401CA14
4F401CA70
4F401CA78
4F401CB06
4F401DA12
4F401FA01Z
4F401FA08Z
4G146AA01
4G146AB03
4G146AD17
4G146BA34
4G146BC23
4G146BC33A
4G146CA02
4G146CB02
4G146CB09
4G146DA02
4G146DA07
4G146DA27
4G146DA35
4G146DA37
4H012HB02
4J037BB01
4J037BB15
4J037BB26
(57)【要約】
本発明に係るカーボンブラックを製造するための方法では、廃タイヤを加熱して熱分解するステップと、熱分解された物質のうち、チャールを、鉄を含む異物から分離するステップと、前記チャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成するステップと、前記カーボンブラックをペレタイジングするステップと、ペレット化された前記カーボンブラックを冷却及び乾燥させるステップと、ペレット化された前記カーボンブラックを包装するステップとを含み、前記熱分解するステップは、廃タイヤを加熱させる1次熱分解ステップと、1次熱分解された物質のうち、チャール及び鉄を加熱させる2次熱分解ステップとを含み、前記2次熱分解ステップの加熱温度は、1次熱分解ステップの加熱温度より高い。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックを製造するための方法であって、
廃タイヤを加熱して熱分解するステップと、
熱分解された物質のうち、チャールを、鉄を含む異物から分離するステップと、
前記チャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成するステップと、
前記カーボンブラックをペレタイジングするステップと、
ペレット化された前記カーボンブラックを冷却及び乾燥させるステップと、
ペレット化された前記カーボンブラックを包装するステップと、
を含み、
前記熱分解するステップは、
廃タイヤを加熱させる1次熱分解ステップと、
1次熱分解された物質のうち、チャール及び鉄を加熱させる2次熱分解ステップと、
を含み、
前記2次熱分解ステップの加熱温度は、1次熱分解ステップの加熱温度より高い、
カーボンブラックを製造するための方法。
【請求項2】
前記1次熱分解ステップでは、廃タイヤが300~450℃で加熱され、
前記2次熱分解ステップでは、チャール及び鉄が550~700℃で加熱される、
請求項1に記載のカーボンブラックを製造するための方法。
【請求項3】
前記チャールを微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成するステップは、
1次粉砕ステップと、
2次粉砕ステップと、
を含む、
請求項1に記載のカーボンブラックを製造するための方法。
【請求項4】
前記1次粉砕ステップでは、チャールがリングローラーミル、ACM(air classifier mill)、及びレイモンドミルのうち、いずれか1つによって粉砕され、
前記2次粉砕ステップでは、チャールがリングローラーミルまたはACMによって粉砕される、
請求項3に記載のカーボンブラックを製造するための方法。
【請求項5】
前記1次粉砕ステップでは、チャールが80μm以下の粒度で粉砕され、
前記2次粉砕ステップでは、チャールが10μm以下の粒度で粉砕される、
請求項3又は4に記載のカーボンブラックを製造するための方法。
【請求項6】
カーボンブラック製造システムであって、
廃タイヤが投入される部分である供給部と、
前記供給部から供給された廃タイヤを熱分解する熱分解部であって、前記熱分解部で廃タイヤは、ガス、オイル、チャール、及び鉄に熱分解される熱分解部と、
前記熱分解部で燃焼により発生する煙道ガスが送られる排気部であって、前記排気部は、移送されたガスを圧縮する圧縮部、窒素を除去する脱窒部、及びガスから硫黄を除去する脱硫部を備える排気部と、
前記熱分解部で分解されたオイル蒸気が送られる凝縮部であって、前記凝縮部は、熱分解部と水平に位置し、熱分解部に近接して位置し、凝縮部は、オイル蒸気を凝縮させてオイルを生成させ、凝縮されなかった非凝縮性ガスを熱分解部に移送して燃焼に使用する凝縮部と、
前記熱分解部で分解されたチャールが送られる選別部であって、前記選別部でチャールは、鉄を含む異物から分離される選別部と、
前記選別部から送られたチャールが保存される保存部と、
前記保存部からチャールが送られる粉砕部であって、前記粉砕部は、チャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成する粉砕部と、
前記粉砕部からカーボンブラックが送られる成形部であって、前記成形部は、カーボンブラックをペレタイジングするペレタイザを含む成形部と、
前記成形部でペレット化されたカーボンブラックが送られて冷却及び乾燥される冷却及び乾燥部と、
前記冷却及び乾燥部から送られたペレット化されたカーボンブラックを包装する包装部と、
を備え、
前記熱分解部は、
廃タイヤを加熱させる1次熱分解部と、
1次熱分解された物質のうち、チャール及び鉄を加熱させる2次熱分解部と、
を備え、
前記2次熱分解部における加熱温度は、1次熱分解部における加熱温度より高い、
カーボンブラック製造システム。
【請求項7】
前記1次熱分解部では、廃タイヤが300~450℃で加熱され、
前記2次熱分解部では、チャール及び鉄が550~700℃で加熱される、
請求項6に記載のカーボンブラック製造システム。
【請求項8】
前記粉砕部は、
1次粉砕部と、
2次粉砕部と、
を備える、
請求項6に記載のカーボンブラック製造システム。
【請求項9】
前記1次粉砕部では、チャールがリングローラーミル、ACM、及びレイモンドミルのうち、いずれか1つによって粉砕され、
前記2次粉砕部では、チャールがリングローラーミルまたはACMによって粉砕される、
請求項8に記載のカーボンブラック製造システム。
【請求項10】
前記1次粉砕部では、チャールが80μm以下の粒度で粉砕され、
前記2次粉砕部では、チャールが10μm以下の粒度で粉砕される、
請求項8又は9に記載のカーボンブラック製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より良い性能のカーボンブラックを得るための廃タイヤからのカーボンブラック製造システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外において多くの廃棄物として、廃タイヤ、廃プラスチックなどの有機高分子廃棄物が発生する。特に、廃タイヤは、毎年、世界的に約15億個が発生しており、重さでは、約1500万トンに該当する。我が国の場合も、2021年約38万トンの廃タイヤが発生した。これらの廃棄物の処理は、埋め立て、焼却、及びリサイクルに区分され、埋め立ては、廃タイヤ及び廃プラスチックが腐りにくい性質があり、適当な埋立地を持続的に開発しなければならないという問題があり、土壌汚染の問題が重要視されながら、廃棄物処理方法のうち、比重が少なくなっている。一方、焼却は、短時間に体積を最小化でき、焼却の際に発生する熱を利用できるという長所がある。しかし、焼却の際に発生するダイオキシンなど、大気汚染物質の排出が問題になりながら、代替技術開発が求められている。
【0003】
したがって、廃タイヤのリサイクルは、廃棄物の発生量を減少させ、埋め立てや焼却などにより発生する可能性がある環境汚染の問題を解決できる他の代案として期待される。
【0004】
廃タイヤのリサイクル方法のうち、最も多く使用される熱分解法は、無酸素状態で有機廃棄物を500~800℃の温度で熱的に分解する方法をいう。
【0005】
これに関し、公開特許第10-2019-0084713号は、廃タイヤの熱分解を介してのチャールの精製並びにカーボンブラック製造システム及び方法を開示する。しかし、上記特許は、このような熱分解の具体的なパラメータや方式については具体的に開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既存の製品より品質に優れたカーボンブラックを得るためのカーボンブラック製造システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカーボンブラックを製造するための方法は、廃タイヤを加熱して熱分解するステップと、熱分解された物質のうち、チャールを、鉄を含む異物から分離するステップと、前記チャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成するステップと、前記カーボンブラックをペレタイジングするステップと、ペレット化された前記カーボンブラックを冷却及び乾燥させるステップと、ペレット化された前記カーボンブラックを包装するステップとを含み、前記熱分解するステップは、廃タイヤを加熱させる1次熱分解ステップと、1次熱分解された物質のうち、チャール及び鉄を加熱させる2次熱分解ステップとを含み、前記2次熱分解ステップの加熱温度は、1次熱分解ステップの加熱温度より高いことができる。
【0008】
一実施形態において、前記1次熱分解ステップでは、廃タイヤが300~450℃で加熱され、前記2次熱分解ステップでは、チャール及び鉄が550~700℃で加熱されることができる。
【0009】
一実施形態において、前記チャールを微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成するステップは、1次粉砕ステップと、2次粉砕ステップとを含むことができる。
【0010】
一実施形態において、前記1次粉砕ステップでは、チャールがリングローラーミル、ACM(air classifier mill)、及びレイモンドミルのうち、いずれか1つによって粉砕され、前記2次粉砕ステップでは、チャールがリングローラーミルまたはACMによって粉砕されることができる。
【0011】
一実施形態において、前記1次粉砕ステップでは、チャールが80μm以下の粒度で粉砕され、前記2次粉砕ステップでは、チャールが10μm以下の粒度で粉砕されることができる。
【0012】
本発明に係るカーボンブラックシステムは、廃タイヤが投入される部分である供給部と、前記供給部から供給された廃タイヤを熱分解する熱分解部であって、前記熱分解部で廃タイヤは、ガス、オイル、チャール、及び鉄に熱分解される熱分解部と、前記熱分解部で燃焼により発生する煙道ガスが送られる排気部であって、前記排気部は、移送されたガスを圧縮する圧縮部、窒素を除去する脱窒部、及びガスから硫黄を除去する脱硫部を備える排気部と、前記熱分解部で分解されたオイル蒸気が送られる凝縮部であって、前記凝縮部は、熱分解部と水平に位置し、熱分解部に近接して位置し、凝縮部は、オイル蒸気を凝縮させてオイルを生成させ、凝縮されなかった非凝縮性ガスを熱分解部に移送して燃焼に使用する凝縮部と、前記熱分解部で分解されたチャールが送られる選別部であって、前記選別部でチャールは、鉄を含む異物から分離される選別部と、前記選別部から送られたチャールが保存される保存部と、前記保存部からチャールが送られる粉砕部であって、前記粉砕部は、チャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成する粉砕部と、前記粉砕部からカーボンブラックが送られる成形部であって、前記成形部は、カーボンブラックをペレタイジングするペレタイザを含む成形部と、前記成形部でペレット化されたカーボンブラックが送られて冷却及び乾燥される冷却及び乾燥部と、前記冷却及び乾燥部から送られたペレット化されたカーボンブラックを包装する包装部とを備え、前記熱分解部は、廃タイヤを加熱させる1次熱分解部と、1次熱分解された物質のうち、チャール及び鉄を加熱させる2次熱分解部とを備え、前記2次熱分解部における加熱温度は、1次熱分解部における加熱温度より高いことができる。
【0013】
一実施形態において、前記1次熱分解部では、廃タイヤが300~450℃で加熱され、前記2次熱分解部では、チャール及び鉄が550~700℃で加熱されることができる。
【0014】
一実施形態において、前記粉砕部は、1次粉砕部と、2次粉砕部とを備えることができる。
【0015】
一実施形態において、前記1次粉砕部では、チャールがリングローラーミル、ACM、及びレイモンドミルのうち、いずれか1つによって粉砕され、前記2次粉砕部では、チャールがリングローラーミルまたはACMによって粉砕されることができる。
【0016】
一実施形態において、前記1次粉砕部では、チャールが80μm以下の粒度で粉砕され、前記2次粉砕部では、チャールが10μm以下の粒度で粉砕されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るカーボンブラック製造システム及び方法は、熱分解が1次に300~450度に、2次に550~700度に分けて進まれるので、品質に優れたカーボンブラックを得ることができ、連続稼動が可能であって、稼動効率が良くなることができる。
【0018】
本発明に係るカーボンブラック製造システム及び方法は、粉砕の際に、ジェットミルを使用しなくとも、2次に分けてチャールを粉砕することにより、粒度が小さく、品質に優れ、製造費用が安いカーボンブラックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る廃タイヤ熱分解によるカーボンブラック製造システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の相違した形態で実現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0021】
図1は、本発明に係る廃タイヤ熱分解によるカーボンブラック製造システムを示す図である。図1に示すように、本発明に係る廃タイヤ熱分解によるカーボンブラック製造システムは、供給部10、熱分解部20、排気部30、凝縮部40、選別部50、保存部60、粉砕部70、成形部80、乾燥及び冷却部90、及び包装部100を備えることができる。
【0022】
供給部10は、廃タイヤが投入される部分であることができる。供給部10は、投入された廃タイヤを供給部10内部のドラッグコンベヤを介して移送されて、保存サイロ(storage silo)に保存することができる。保存サイロに保存された廃タイヤは、排出コンベヤベルトを介して排出されて、熱分解部20に向かうことができる。
【0023】
熱分解部20は、供給部10から供給された廃タイヤを熱分解する部分であることができる。熱分解部20は、1次熱分解部23及び2次熱分解部26で構成されることができる。1次熱分解部23は、熱風炉から発生される高温ガスが反応器内部に流入し、廃タイヤを高温、例えば、300~450℃で加熱させることができる。反応器は、外部と気密されて、無酸素または稀薄酸素雰囲気で動作し、これを維持するために、反応器の一端部に窒素が供給され得る。加熱された廃タイヤは、ガス、オイル、チャール(char)、及び鉄等に分解されることができる。
【0024】
1次熱分解部23では、既存の熱分解工程より低い温度で加熱されるので、既存の熱分解工程よりガスの比率が少なく、オイルの比率が高いことができる。例えば、既存の500℃超過の温度で一度に熱分解される場合には、15重量%のガス、40重量%のオイル、35重量%のチャール、及び10重量%の鉄を含むならば、本発明に係る熱分解工程は、10重量%のガス、45重量%のオイル、35体積%のチャール、及び10重量%の鉄を含むことができる。すなわち、本発明に係る熱分解工程は、既存の熱分解工程よりオイルの比率が高く、ガスの比率が低いことができる。したがって、工程の維持及び管理が容易でありうるし、工程の稼動連続性があり、稼動効率が向上しうる。
【0025】
1次熱分解部23で燃焼により発生する煙道ガス(flue gas)は、排気部30に送られることができる。排気部30は、移送されたガスを圧縮する圧縮部、ガスから窒素を除去する脱窒部、及びガスから硫黄を除去する脱硫部を備えることができる。このような部分を経て排出される排気ガスは、大気汚染からさらに安全であることができる。
【0026】
1次熱分解部23で分解されたオイル蒸気は、凝縮部40に送られることができる。凝縮部40は、1次熱分解部23と水平に位置し、1次熱分解部23に近接して位置することができる。凝縮部40は、オイル蒸気を凝縮させて生成されるオイルを、オイルポンプを介して移送し、オイル保存タンクに保存させることができる。凝縮されなかった非凝縮性ガスは、移送ファンを介してガスタンクに移送及び保存されることができる。その後、非凝縮性ガスは、1次熱分解部23の熱風炉に移送されて、燃焼に使用されることができる。したがって、このような非凝縮性ガスのリサイクルによって工程費用が減少され、工程が環境にやさしいことができる。
【0027】
1次熱分解部23で分解されたチャール及び鉄は、2次熱分解部26に1つ以上のコンベヤを介して送られることができる。2次熱分解部26は、供給されたチャール及び鉄を熱分解する部分であることができる。2次熱分解部26は、熱風炉から発生される高温ガスが反応器内部に流入し、チャール及び鉄を高温、例えば、550~700℃で加熱させることができる。すなわち、2次熱分解部26における加熱温度は、1次熱分解部23における加熱温度より高いことができる。反応器は、外部と気密されて、無酸素または稀薄酸素雰囲気で動作し、これを維持するために、反応器の一端部に窒素が供給され得る。加熱したチャール及び鉄は、1次熱分解部23と同様に、ガス、オイル、チャール(char)、及び鉄等に再度分解されることができる。このような方式で分解されたガス及びオイルは、1次熱分解部23の分解物のように排気部30及び凝縮部40に送られることができる。
【0028】
本発明に係る熱分解工程は、1次熱分解工程だけでなく、より高い温度で2次熱分解工程が行われ得る。これにより、カーボンブラックの表面の油分含量が既存のカーボンブラックの表面の油分含量より低く、カーボンブラックの品質に優れ、発癌性を表す多環芳香族炭化水素(PAH、polycyclic aromatic hydrocarbons)の量が少なく含まれる結果をもたらす。
【0029】
結果として、本発明に係る熱分解工程は、表面油分含量及びPAHが低いチャールを得ながら、工程で発生するガスの比率が低く、オイルの比率が高い、維持管理が容易な工程を同時に達成できるという効果をもたらす。
【0030】
2次熱分解部26で分解されたチャール及び鉄は、選別部50に1つ以上のコンベヤを介して送られることができる。選別部50は、チャールから鉄を含む異物を分離する部分であることができる。例えば、選別部50は、チャールを振動させて異物を分離させる1次選別器及び1次選別器から移送されるチャールから磁力を利用して鉄を分離する2次選別器を備えることができる。
【0031】
チャールは、選別部50から保存部60に1つ以上のコンベヤを介して送られることができる。保存部60は、チャールが保存される部分であることができる。本実施形態では、保存部60がサイロを備えることと例示したが、これに限定されない。
【0032】
チャールは、保存部60から粉砕部70に送られることができる。粉砕部70は、移送されるチャールを微粒または微分の形態に粉砕してカーボンブラックとして形成することができる。粉砕部70は、1次粉砕部73及び2次粉砕部76で構成されることができる。粉砕部70では、1次粉砕部73における1次粉砕工程及び2次粉砕部76における2次粉砕工程によってチャールが粉砕され得る。1次粉砕工程では、粒度の分布がなかったチャールをリングローラーミル(ring roller mill)、ACM(air classifier mill)、及びレイモンドミル(raymond mill)のうち、いずれか1つによって80μm以下の粒度で粉砕することができ、2次粉砕工程では、80μm以下の粒度を有するチャールをリングローラーミルまたはACMを介して10μm以下の粒度で粉砕してカーボンブラックとして形成することができる。一実施形態において、1次粉砕工程では、粒度の分布がなかったチャールをリングローラーミルを介して80μm以下の粒度で粉砕することができ、2次粉砕工程では、80μm以下の粒度を有するチャールをACMを介して10μm以下の粒度で粉砕してカーボンブラックとして形成することができる。
【0033】
既存の粉砕工程では、リングローラーミルを一度のみ使用して80μm以下の粒度を有するカーボンブラックを形成したが、これは、本発明のシステム及び方法を使用したカーボンブラックより粒度がさらに大きいため、カーボンブラックの品質が良くないという問題点があった。
【0034】
また、既存の粉砕工程では、ジェットミル(jet mill)を使用して10μm以下の粒度を有するカーボンブラックを使用する場合もあるが、このためには、ジェットミル自体の体積が非常に大きく、設備費用が多く掛かりつつ、電気費用が多く消費されるという問題点があった。
【0035】
本発明に係るシステム及び方法は、多い空間を占め、費用が多く掛かるジェットミルを使用しなくとも、粒度が10μm以下である品質に優れたカーボンブラックを製造できるという効果をもたらす。
【0036】
形成されたカーボンブラックは、粉砕部70から成形部80に移送されることができる。成形部80でカーボンブラックは、水をバインダーとして使用して、球形に成形されることができる。
【0037】
成形部80は、カーボンブラックをペレタイジングするペレタイザを含むことができる。成形部80のペレタイザには、カーボンブラックを球形によく固めるように、カーボンブラックだけでなく、他の物質が共に含まれ得る。
【0038】
既存のカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、95重量%以上のカーボンブラック、5重量%未満のアッシュ(ash)と無機物添加剤を含むことができる。この場合、前記組成物と水だけでは、カーボンブラックがよく固まらず、ペレット化し難いことがある。したがって、既存のカーボンブラックをペレタイジングするための組成物の場合、ペレット化するためには、澱粉など、他の物質がペレタイジングの際に必須的に含まれなければならないという問題点を有していた。
【0039】
これとは異なり、本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、75~85重量%のカーボンブラック、15~25重量%のアッシュ、及び無機物添加剤を含むことができる。例えば、無機物添加剤は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO)、硫化亜鉛(ZnS)、炭酸カルシウム(CaCo)などを含むことができる。本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、既存のカーボンブラックをペレタイジングするための組成物と比較して、アッシュと無機物添加剤とがさらに多く含まれることができる。したがって、既存のカーボンブラックをペレタイジングするための組成物よりさらに良く固まることができる。
【0040】
一方、本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、澱粉のような他の添加物なしに水とのみ混合されても良く固まることができる。却って、本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、水とのみ混合されても、ペレット硬度が80~100に該当しうる。この場合、ペレット化されたカーボンブラックを保管及び移送する際には、砕けないという長所がある。しかし、顧客がカーボンブラックを使用するために、ペレット化されたカーボンブラックを容易に破ることができないという短所がある。
【0041】
したがって、本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物には、ペレタイジングの際に、水とともに陽イオン界面活性剤が添加され得る。陽イオン界面活性剤は、カーボンブラックの凝集を防ぐ役割をすることができる。陽イオン界面活性剤は、アミドイミダゾリニウム、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアミドアルコキシレート4次アンモニウム、及びジエステルアルコキシレート4次アンモニウムなどを含むことができる。水の添加量は、カーボンブラック100重量部に対して40~50重量部であることができ、陽イオン界面活性剤の添加量は、カーボンブラック100重量部に対して0.1~1重量部であることができる。このように小さい量の陽イオン界面活性剤が添加されても、ペレット硬度は、20~50まで十分に減少されることができる。
【0042】
本発明に係るカーボンブラックをペレタイジングするための組成物は、無機添加物の量のために凝集が良くなりつつ、ペレタイジングの際に、陽イオン界面活性剤が添加されて、少なく凝集することになることができる。したがって、ペレット化されたカーボンブラックは、保管及び移送の際には、良く砕けず、顧客が使用の際には、ミキサーにより容易に砕けるという長所を有することができる。
【0043】
成形部80でペレット化されたカーボンブラックは、コンベヤベルトを介して乾燥及び冷却部90に送られて乾燥及び冷却されることができる。例えば、ペレット化されたカーボンブラックは、先に乾燥及び冷却部90の乾燥器で熱によって乾燥され、その後、冷却器で冷却されることができる。ペレット化されたカーボンブラックは、乾燥器で乾燥されるとき、カーボンブラック組成物に添加された水が除去され得る。例えば、カーボンブラック100重量部に対して添加された40~50重量部の水は乾燥されて1重量部未満にのみ残ることができる。
【0044】
乾燥及び冷却部90でカーボンブラックがコンベヤベルトを介して包装部100に送られることができる。包装部は、ペレット化されたカーボンブラックを、予め設定された量を単位として包装することができる。例えば、包装部100は、トン袋(tonbag)包装部及び個包装部を備えることができる。乾燥及び冷却部90でカーボンブラックが包装部100のツーウェイダンパー(two way damper)に連結され、ツーウェイダンパーを介してカーボンブラックがトン袋包装部及び個包装部へと選択的な移送がなされ得る。
【0045】
上述した構成により、廃タイヤの熱分解過程を介してカーボンブラックを製造する作業が最適の順序で続く一連の工程を介して連続的かつ順次的な作業形態で進まれ、その結果、ペレット化されたカーボンブラックの品質が極めて良好な状態になることができる。
【0046】
以上において、本発明についての技術思想を添付図面とともに述べたが、これは、本発明の望ましい実施形態を例示的に説明したものであり、本発明を限定するものではない。また、この技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも、本発明の技術思想の範疇を逸脱しない範囲内で様々な変形及び摸倣が可能であることは明らかな事実である。
図1
【国際調査報告】