(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリー
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20250220BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250220BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20250220BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20250220BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20250220BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B5/30
G02B1/11
G02B17/08
G03B21/00 E
G03B21/14 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518294
(86)(22)【出願日】2023-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2023092394
(87)【国際公開番号】W WO2024152472
(87)【国際公開日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】202310081653.6
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524106358
【氏名又は名称】業桓科技(成都)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】黄 上育
【テーマコード(参考)】
2H087
2H149
2K009
2K203
【Fターム(参考)】
2H087KA00
2H087LA12
2H087NA14
2H087PA01
2H087PA18
2H087PB03
2H087QA01
2H087QA07
2H087QA18
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA00
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA04
2H149AA02
2H149AB06
2H149BA02
2H149DA04
2H149EA03
2K009AA02
2K203FA22
2K203GC09
2K203GC20
2K203HA10
2K203HA33
2K203HA43
2K203HA67
2K203HA68
2K203HB22
2K203MA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、横色収差現象を改善するためのディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーを提供する。
【解決手段】本発明の色分散除去用レンズアセンブリーは第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーを含む。第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向しており、受光面は平面又は凸面である。円偏光板は第1凹レンズの凹面上に設けられ、円偏光板は凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して円偏光板上に設けられ、第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。受光面が凸面であるとき、円偏光板は受光面上に設けられることから凸面に対応した湾曲状であり、円偏光板、第1凹レンズ及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーを含み、
前記第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、前記受光面と前記凹面は互いに対向しており、前記受光面は平面又は凸面であり、
前記円偏光板は前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、前記円偏光板は前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して前記円偏光板上に設けられ、前記第1凹レンズ、前記円偏光板及び前記拡大凸レンズアセンブリーは光軸に沿って順に設置される、色分散(color dispersion)除去用レンズアセンブリー。
【請求項2】
前記円偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含み、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記第1凹レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記凹面に対応した湾曲状であり、前記拡大凸レンズアセンブリーは前記光学接着剤を介して前記第1の1/4波長板上に設けられ、前記第1凹レンズ、前記第1直線偏光板、前記第1の1/4波長板及び前記拡大凸レンズアセンブリーは光軸に沿って順に設置される、請求項1に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項3】
前記拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含み、
前記第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第1凸レンズの前記凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、前記第1凸レンズの前記凸面は前記光学接着剤及び前記ハーフミラーレンズを介して前記第1の1/4波長板上に設けられ、
前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第2凸レンズの前記凸面はもう一つの光学接着剤を介して前記第2直線偏光板上に設けられ、前記ハーフミラーレンズ、前記第1凸レンズ、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板、前記第2直線偏光板及び前記第2凸レンズは前記光軸に沿って順に設置される、請求項2に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項4】
前記第1凹レンズの前記受光面には反射防止層がさらに設けられる、請求項1に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項5】
前記第1凹レンズの前記受光面はディスプレイモジュールの表示面に面し、前記ディスプレイモジュールは前記第1凹レンズ、前記円偏光板及び前記拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離(effective focal length)内に位置し、前記ディスプレイモジュールは非偏光を前記第1凹レンズの前記受光面に出射する、請求項1に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項6】
前記ディスプレイモジュールは液晶オンシリコン(liquid-crystal-on-silicon)ディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである、請求項5に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項7】
第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーを含み、
前記第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、前記受光面と前記凹面は互いに対向しており、前記受光面は平面又は凸面であり、
前記円偏光板は前記第1凹レンズの前記受光面上に設けられ、前記受光面が前記凸面であるとき、前記円偏光板は前記凸面に対応した湾曲状であり、
前記拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、前記円偏光板、前記第1凹レンズ及び前記拡大凸レンズアセンブリーは光軸に沿って順に設置される、色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項8】
前記円偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含み、前記第1の1/4波長板及び前記第1直線偏光板は前記第1凹レンズの前記受光面上に順に積層され、前記受光面が前記凸面であるとき、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記凸面に対応した湾曲状であり、前記第1直線偏光板、前記第1の1/4波長板、前記第1凹レンズ及び前記拡大凸レンズアセンブリーは前記光軸に沿って順に設置される、請求項7に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項9】
前記拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含み、
前記第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第1凸レンズの前記凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、前記第1凸レンズの前記凸面は前記光学接着剤及び前記ハーフミラーレンズを介して前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、
前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第2凸レンズの前記凸面はもう一つの光学接着剤を介して前記第2直線偏光板上に設けられ、前記ハーフミラーレンズ、前記第1凸レンズ、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板、前記第2直線偏光板及び前記第2凸レンズは前記光軸に沿って順に設置される、請求項8に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項10】
前記第1凹レンズの前記受光面と前記円偏光板の間には反射防止層がさらに設けられる、請求項7に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項11】
前記円偏光板はディスプレイモジュールの表示面に面し、前記ディスプレイモジュールは前記円偏光板、前記第1凹レンズ及び前記拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離内に位置し、前記ディスプレイモジュールは非偏光を前記円偏光板に出射する、請求項7に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項12】
前記ディスプレイモジュールは液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである、請求項11に記載の色分散除去用レンズアセンブリー。
【請求項13】
第1凹レンズ、円偏光板、拡大凸レンズアセンブリー及びディスプレイモジュールを含み、
前記第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、前記受光面と前記凹面は互いに対向しており、前記受光面は平面又は凸面であり、
前記円偏光板は前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、前記円偏光板は前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して前記円偏光板上に設けられ、前記第1凹レンズ、前記円偏光板及び前記拡大凸レンズアセンブリーは光軸に沿って順に設置され、
前記ディスプレイモジュールは、その表示面が前記第1凹レンズの受光面に面し、前記ディスプレイモジュールは非偏光を前記第1凹レンズの前記受光面に出射し、前記ディスプレイモジュールは前記第1凹レンズ、前記円偏光板及び前記拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離内に位置する、ディスプレイシステム。
【請求項14】
前記円偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含み、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記第1凹レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記凹面に対応した湾曲状であり、前記拡大凸レンズアセンブリーは前記光学接着剤を介して前記第1の1/4波長板上に設けられ、前記第1凹レンズ、前記第1直線偏光板、前記第1の1/4波長板及び前記拡大凸レンズアセンブリーは前記光軸に沿って順に設置される、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含み、
前記第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第1凸レンズの前記凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、前記第1凸レンズの前記凸面は前記光学接着剤及び前記ハーフミラーレンズを介して前記第1の1/4波長板上に設けられ、
前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第2凸レンズの前記凸面はもう一つの光学接着剤を介して前記第2直線偏光板上に設けられ、前記ハーフミラーレンズ、前記第1凸レンズ、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板、前記第2直線偏光板及び前記第2凸レンズは前記光軸に沿って順に設置される、請求項14に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
前記第1凹レンズの前記受光面には反射防止層がさらに設けられる、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
前記ディスプレイモジュールは液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項18】
第1凹レンズ、円偏光板、拡大凸レンズアセンブリー及びディスプレイモジュールを含み、
前記第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、前記受光面と前記凹面は互いに対向しており、前記受光面は平面又は凸面であり、
前記円偏光板は前記第1凹レンズの前記受光面上に設けられ、前記受光面が前記凸面であるとき、前記円偏光板は前記凸面に対応した湾曲状であり、
前記拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、前記円偏光板、前記第1凹レンズ及び前記拡大凸レンズアセンブリーは光軸に沿って順に設置され、
前記ディスプレイモジュールは、その表示面が前記円偏光板に面し、前記ディスプレイモジュールは前記第1凹レンズ、前記円偏光板及び前記拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離内に位置し、前記ディスプレイモジュールは非偏光を前記円偏光板に出射する、ディスプレイシステム。
【請求項19】
前記円偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含み、前記第1の1/4波長板及び前記第1直線偏光板は前記第1凹レンズの前記受光面上に順に積層され、前記受光面が前記凸面であるとき、前記第1直線偏光板及び前記第1の1/4波長板は前記凸面に対応した湾曲状であり、前記第1直線偏光板、前記第1の1/4波長板、前記第1凹レンズ及び前記拡大凸レンズアセンブリーは前記光軸に沿って順に設置される、請求項18に記載のディスプレイシステム。
【請求項20】
前記拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含み、
前記第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第1凸レンズの前記凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、前記第1凸レンズの前記凸面は前記光学接着剤及び前記ハーフミラーレンズを介して前記第1凹レンズの前記凹面上に設けられ、
前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面上に順に積層され、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板及び前記第2直線偏光板は前記第1凸レンズの前記凹面に対応した湾曲状であり、
前記第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、前記第2凸レンズの前記凸面はもう一つの光学接着剤を介して前記第2直線偏光板上に設けられ、前記ハーフミラーレンズ、前記第1凸レンズ、前記第2の1/4波長板、前記反射偏光板、前記第2直線偏光板及び前記第2凸レンズは前記光軸に沿って順に設置される、請求項19に記載のディスプレイシステム。
【請求項21】
前記第1凹レンズの前記受光面と前記円偏光板の間には反射防止層がさらに設けられる、請求項18に記載のディスプレイシステム。
【請求項22】
前記ディスプレイモジュールは液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである、請求項18に記載のディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ技術に関し、特に、ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
パンケーキ光学系の設計は、偏光の原理に基づき、反射偏光板(Reflecting polarizer)により異なる偏光に対して選択的に反射及び投射する特性を利用し、1/4波長の位相差を生じさせる1/4波長板(Quarter waveplate)を組み合わせて偏光の形状を調整し、光線をハーフミラーレンズと反射偏光板の間で反射させて往復させ、最終的に反射偏光板から透過させることができる。円偏光は1/4波長板を通過した後直線偏光となって反射偏光板に到達するとともに反射され、続いて2回目に1/4波長板を通過して円偏光に戻ってハーフミラーレンズに反射され、円偏光は3回目に1/4波長板通過し、再度直線偏光になる。その時は1回目に比べて光線が90度回転しているため、反射偏光板を通過して撮像を完了することができる。
【0003】
パンケーキ光学系はレンズの組み合わせであり、通常はその中の1つのレンズの位置を制御することにより焦点距離の調節を行う。近視のユーザーにとって、従来のVR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイを装着した焦点距離の調節は、レンズ交換により行われることが多く、レンズを変えて試す過程が面倒であり、焦点距離の選択肢も限られている。光学系をパンケーキ技術にアップグレードした場合、焦点距離の調節方式は選択肢が増えてより便利になる。パンケーキ光学系は一般的に複数のレンズの組み合わせであるため、その中の一つのレンズを移動して光学モジュール全体の屈折率を調整し、これにより焦点調節のニーズを満たすことができるが、このような方式は従来のレンズやフレネルレンズでは実現できない。しかし、色分散(color dispersion)現象と光の波長は関係しているため、従来のレンズ、フレネルレンズ及びパンケーキレンズの組み合わせは全て色分散現象を有する。レンズの焦点距離は光の波長によって変化し、縦(longitudinal)の色分散を引き起こす。レンズの倍率は光の波長と関係し、横(transverse)の色分散を引き起こす。したがって、レンズの色分散現象を完全に除去することはできない。
【0004】
そこで、本発明は、上述の問題を解決するため、ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーを提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、横色収差現象を改善するためのディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態において、色分散除去用レンズアセンブリーは第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーを含む。第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向しており、受光面は平面又は凸面である。円偏光板は第1凹レンズの凹面上に設けられ、円偏光板は凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して円偏光板上に設けられ、第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0007】
本発明の一実施形態において、ディスプレイシステムは第1凹レンズ、円偏光板、拡大凸レンズアセンブリー及びディスプレイモジュールを含む。第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向しており、受光面は平面又は凸面である。円偏光板は第1凹レンズの凹面上に設けられ、円偏光板は凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して円偏光板上に設けられ、第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。ディスプレイモジュールは、その表示面が第1凹レンズの受光面に面する。ディスプレイモジュールは非偏光を第1凹レンズの受光面に出射し、ディスプレイモジュールは第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離(effective focal length)内に位置する。
【0008】
本発明の一実施形態において、偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含み、第1直線偏光板及び第1の1/4波長板は凹面に対応した湾曲状であり、拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して第1の1/4波長板上に設けられ、第1凹レンズ、第1直線偏光板、第1の1/4波長板及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0009】
本発明の一実施形態において、拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含む。第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、第1凸レンズの凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、第1凸レンズの凸面は光学接着剤及びハーフミラーレンズを介して第1の1/4波長板上に設けられる。第2の1/4波長板、反射偏光板及び第2直線偏光板はこの順序で第1凸レンズの凹面上に積層され、第2の1/4波長板、反射偏光板及び第2直線偏光板は第1凸レンズの凹面に対応した湾曲状である。第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、第2凸レンズの凸面は光学接着剤を介して第2直線偏光板上に設けられ、ハーフミラーレンズ、第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0010】
本発明の一実施形態において、第1凹レンズの受光面には反射防止層がさらに設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュールは液晶オンシリコン(liquid-crystal-on-silicon)ディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである。
【0012】
本発明の一実施形態において、色分散除去用レンズアセンブリーは第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーを含む。第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向しており、受光面は平面又は凸面である。円偏光板は第1凹レンズの受光面上に設けられ、受光面が凸面であるとき、円偏光板は凸面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して第1凹レンズの凹面上に設けられ、円偏光板、第1凹レンズ及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0013】
本発明の一実施形態において、ディスプレイシステムは第1凹レンズ、円偏光板、拡大凸レンズアセンブリー及びディスプレイモジュールを含む。第1凹レンズは受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向しており、受光面は平面又は凸面である。円偏光板は第1凹レンズの受光面上に設けられ、受光面が凸面であるとき、円偏光板は凸面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリーは光学接着剤を介して第1凹レンズの凹面上に設けられ、円偏光板、第1凹レンズ及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で光軸に沿って設置される。ディスプレイモジュールは、その表示面が円偏光板に面する。ディスプレイモジュールは第1凹レンズ、円偏光板及び拡大凸レンズアセンブリーの総有効焦点距離内に位置し、ディスプレイモジュールは非偏光を円偏光板に出射するのに用いられる。
【0014】
本発明の一実施形態において、円偏光板は第1直線偏光板及び第1の1/4波長板を含む。第1の1/4波長板及び第1直線偏光板はこの順序で前記第1凹レンズの前記受光面上に積層され、前記受光面が前記凸面であるとき、第1直線偏光板及び第1の1/4波長板は凸面に対応した湾曲状であり、第1直線偏光板、第1の1/4波長板、第1凹レンズ及び拡大凸レンズアセンブリーは全てこの順序で前記光軸に沿って設置される。
【0015】
本発明の一実施形態において、拡大凸レンズアセンブリーは第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズを含む。第1凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有し、第1凸レンズの凸面にはハーフミラーレンズが設けられ、第1凸レンズの凸面は光学接着剤及びハーフミラーレンズを介して第1凹レンズの凹面上に設けられる。第2の1/4波長板、反射偏光板及び第2直線偏光板はこの順序で第1凸レンズの凹面上に積層され、第2の1/4波長板、反射偏光板及び第2直線偏光板は第1凸レンズの凹面に対応した湾曲状である。第2凸レンズは互いに対向する凹面と凸面を有する。第2凸レンズの凸面は光学接着剤を介して第2直線偏光板上に設けられ、ハーフミラーレンズ、第1凸レンズ、第2の1/4波長板、反射偏光板、第2直線偏光板及び第2凸レンズは全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0016】
本発明の一実施形態において、第1凹レンズの受光面と円偏光板の間には反射防止層がさらに設けられる。
【0017】
本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュールは液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールである。
【発明の効果】
【0018】
上述に基づき、ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーは凹レンズと拡大凸レンズアセンブリーを組み合わせ、かつ、凹レンズの凹面の異なる位置が異なる曲率と異なる拡大率を有することを利用して、横色収差現象を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の構造的特徴及び達成される効果のさらなる理解と認識のため、好ましい実施形態の図を併せて以下に詳細を説明する。
【0020】
【
図1】一般的なレンズの色収差現象を示す図である。
【
図2】本発明の色収差補正(achromatic)レンズによる色収差現象の除去を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。
【
図5A】本発明の第2実施形態における赤色光の接線(Tangential)方向及び矢状(Sagittal)方向の像面湾曲(field curvature)図である。
【
図5B】本発明の第2実施形態における青色光の接線方向及び矢状方向の像面湾曲図である。
【
図5C】本発明の第2実施形態における緑色光の接線方向及び矢状方向の像面湾曲図である。
【
図6A】本発明の第2実施形態における赤色光の歪曲収差図である。
【
図6B】本発明の第2実施形態における青色光の歪曲収差図である。
【
図6C】本発明の第2実施形態における緑色光の歪曲収差図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における赤色光と青色の画角(field angle)と横色収差(lateral chromatic aberration)の曲線図である。
【
図8】本発明の第2実施形態におけるディスプレイシステムによる色収差現象の除去を示す図である。
【
図9】本発明の第3実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。
【
図10】本発明の第4実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、関連する図を併せて以下にさらなる説明を加える。図面及び明細書においては、可能な限り、同じ符号で同一又は同様の部材を示す。図面においては、簡潔性及び利便性のため、形状及び厚さが拡大表示されることがある。特に図中で表示されていない、或いは明細書に記載されていない素子は、当業者が知る形態であると解釈できる。当業者であれば本発明の内容に基づき、様々な変更や修正を加えることが可能である。
【0022】
1つの素子が「・・・上にある」と記述されている場合、一般的には当該素子が直接その他の素子上にあることを指し、その他の素子が両者の中間に存在するという場合もある。それに反し、1つの素子が「直接」別の素子にあるという記述の場合、その他の素子は両者の中間に存在することはできない。本文で用いられる「及び/又は」は列挙された関連項目中の1つ又は複数のいかなる組み合わせも含む。
【0023】
以下の文中における「一つの実施形態」又は「一実施形態」という記述は少なくとも1つの実施形態内において関連する特定の素子、構造又は特徴のことを指す。したがって、以下の文中において多くの箇所にある「実施形態」又は「一実施形態」といった複数の記述は同一実施形態に対するものではない。さらに、1つ又は複数の実施形態における特定の部材、構造及び特徴は適切な方式に基づいて組み合わせることができる。
【0024】
以下に具体例を挙げて説明を加えるが、これらの例は説明のために用いられるに過ぎない。当業者であれば、本開示内容の精神と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修飾を加えることができる。本開示内容の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。本明細書及び特許請求の範囲において、明確な指定がない限り、「1つ」及び「前記」という用語は、「1つまたは少なくとも1つ」の意味を含む。また、本開示にもあるように、特定の文脈から複数であることが明らかである以外に、単数表記は複数の意味も含む。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における内容に明確な指定がない限り、「ここで」、「その中」という用語は、「その中」及び「その上」という意味を含むことがある。本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語(terms)は、明確な説明がない限り、その用語が当該分野、本開示の内容及び特殊な内容において通常用いられるのと同じ意味を有する。本開示を説明するための用語については、以下の段落または明細書で別途説明し、当業者(practitioner)が本開示の説明をより明確に理解できるようにする。本明細書のいかなる部分の例示も、ここに述べる用語の例示の使用に含まれ、これらの例示は説明のために用いられるに過ぎず、本開示又は例示されるいかなる用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本開示は本明細書で提案される各種実施形態に限定されない。
【0025】
本明細書で使用される用語「含む、有する、備える、含有する」等は、オープンエンド形式であり、すなわち、限定はしないが含むことを意味すると理解できる。また、本発明のいずれの実施形態又は特許請求の範囲も、本発明に開示された全ての目的、利点又は特徴を達成する必要はない。さらに、要約および表題は、特許文献検索の補助として用いられるに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定することに用いられるものではない。
【0026】
特に説明がない限り、いくつかの条件句或いは語句、例えば「できる」、「可能性がある」、「~かもしれない」又は「~してもよい」等は、通常、本発明の実施形態に記載されることがあるが、不要な可能性もある特徴、部材又は工程と解釈することもできる。その他の実施形態において、これらの特徴、部材又は工程は不要な場合もある。
【0027】
凹レンズと拡大凸レンズアセンブリーを組み合わせ、凹レンズの凹面の異なる位置において異なる曲率と異なる倍率を有することを利用し、横色収差現象を改善する、ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーについて、以下に紹介する。
【0028】
図1は一般的なレンズの色収差現象を示す図である。
図1を参照すると、一般的に、レンズ10は異なる色の光に対して異なる屈折率を有する。
図1では、赤色光を実線で表し、青色光を破線で表す。太線で表された白色光がレンズ10に向けて出射されると、青色光及び赤色光は異なる屈折率に対応するため、レンズ10により青色光と赤色光は分離される。レンズ10からイメージ平面11に向けて青色光と赤色光が出射されると、イメージ平面11の異なる領域に青色領域と赤色領域が形成される。これが色分散現象又は色収差現象である。
図2は本発明の色収差補正レンズによる色収差現象の除去を示す図である。
図2を参照すると、色収差補正レンズ12は互いに接着された凸レンズ120と凹レンズ121を含み、凸レンズ120と凹レンズ121は異なる光学特性を有し、ガラス製である。また、赤色光を実線で表し、青色光を破線で表す。太線で表した白色光が色収差補正レンズ12に向けて出射されると、色収差補正レンズ12により青色光と赤色光はわずかに分離される。凸レンズ120と凹レンズ121は異なる光学特性を有するため、色収差補正レンズ12からイメージ平面11に向けて青色光と赤色光が出射されると、イメージ平面11の同じ領域に照射されることにより、色分散現象や色収差現象が回避される。光化学的な観点から考えると、色収差補正レンズ12は589.3nmの黄色光と波長430.8nmの紫色光の色収差を除去することができる。
【0029】
図3は本発明の第1実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。ディスプレイシステム2の第1実施形態を以下に紹介するので、
図3を参照されたい。ディスプレイシステム2は色分散除去用レンズアセンブリー20及びディスプレイモジュール21を含み、ディスプレイモジュール21は液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールであってもよいが、これらに限定されない。色分散除去用レンズアセンブリー20は第1凹レンズ200、円偏光板201、光学接着剤202及び拡大凸レンズアセンブリー203を含む。光学接着剤202は液体光学接着剤であってもよいが、これに限定されない。第1凹レンズ200は受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向する。第1実施形態において、平面の受光面を例とし、第1凹レンズ200は平凹レンズである。円偏光板201は第1凹レンズ200の凹面上に設けられ、円偏光板201は凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリー203は光学接着剤202を介して円偏光板201上に設けられる。第1凹レンズ200、円偏光板201及び拡大凸レンズアセンブリー203は全てこの順序で光軸に沿って設置され、光軸は破線で表される。円偏光板201は凹面に対応した湾曲状であるため、円偏光板201と拡大凸レンズアセンブリー203の軸ずれ(axial misalignment)による光漏れを回避し、光学収差や色収差を改善することができる。ディスプレイモジュール21は、その表示面が第1凹レンズ200の受光面に面する。ディスプレイモジュール21は偏光板を含まない。ディスプレイモジュール21は非偏光を第1凹レンズ200の受光面に出射し、ディスプレイモジュール21が第1凹レンズ200、円偏光板201及び拡大凸レンズアセンブリー203の総有効焦点距離内に位置することにより、拡大された虚像が形成される。第1凹レンズ200の凹面の異なる位置は異なる曲率及び異なる倍率を有し、第1凹レンズ200は拡大凸レンズアセンブリー203と組み合わされるため、色分散除去用レンズアセンブリー20は横色収差を改善することができる。また、撮像効果を高めるために、色分散除去用レンズアセンブリー20は、第1凹レンズ200の受光面に設けられる反射防止層204を含むこともできる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、円偏光板201は第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011を含むことができるが、これに限定されない。第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011はこの順序で第1凹レンズ200の凹面上に積層され、第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011は第1凹レンズ200の凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリー203は光学接着剤202を介して第1の1/4波長板2011上に設けられ、第1凹レンズ200、第1直線偏光板2010、第1の1/4波長板2011及び拡大凸レンズアセンブリー203は全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0031】
拡大凸レンズアセンブリー203は第1凸レンズ2030、ハーフミラーレンズ2031、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033、第2直線偏光板2034、光学接着剤2035及び第2凸レンズ2036を含むが、これらに限定されない。光学接着剤2035は液体光学接着剤であってもよいが、これに限定されない。第1凸レンズ2030は互いに対向する凹面と凸面を有し、第1凸レンズ2030の凸面にはハーフミラーレンズ2031が設けられ、第1凸レンズ2030の凸面は光学接着剤202及びハーフミラーレンズ2031を介して第1の1/4波長板2011上に設けられる。第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033及び第2直線偏光板2034はこの順序で第1凸レンズ2030の凹面上に積層され、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033及び第2直線偏光板2034は第1凸レンズ2030の凹面に対応した湾曲状である。第1の1/4波長板2011は第1凹レンズ200の凹面に対応した湾曲状であるため、第1の1/4波長板2011と第2の1/4波長板2032の軸ずれによる光漏れを回避し、光学収差や色収差を改善することができる。第2凸レンズ2036は互いに対向する凹面と凸面を有する。第2凸レンズ2036の凸面は光学接着剤2035を介して第2直線偏光板2034上に設けられ、ハーフミラーレンズ2031、第1凸レンズ2030、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033、第2直線偏光板2034及び第2凸レンズ2036は全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0032】
図4は本発明の第2実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。ディスプレイシステム2の第2実施形態を以下に紹介するので、
図4を参照されたい。第2実施形態と第1実施形態の違いは第1凹レンズ200にある。第2実施形態において、第1凹レンズ200は凸凹レンズであり、その受光面は凸面であり、第1凹レンズ200の凹面の曲率は第1凹レンズ200の凸面の曲率よりも大きい。第2実施形態のその他の構成要素については第1実施形態で紹介したので、ここでは再述しない。
【0033】
図5Aは本発明の第2実施形態における赤色光の接線方向及び矢状方向の像面湾曲図である。
図5Bは本発明の第2実施形態における青色光の接線方向及び矢状方向の像面湾曲図である。
図5Cは本発明の第2実施形態における緑色光の接線方向及び矢状方向の像面湾曲図である。
図6Aは本発明の第2実施形態における赤色光の歪曲収差図である。
図6Bは本発明の第2実施形態における青色光の歪曲収差図である。
図6Cは本発明の第2実施形態における緑色光の歪曲収差図である。
図5A~
図5Cにおいて、破線は矢状方向を表し、実線は接線方向を表す。
図5A~
図5C及び
図6A~
図6Cから分かるように、第2実施形態におけるディスプレイシステムの光学収差は適正な範囲内に制御され、撮像品質が確保されている。
【0034】
図7は本発明の第2実施形態における赤色光と青色の画角(field angle)と横色収差(lateral chromatic aberration)の曲線図である。
図7において、実線は赤色光を表し、破線は青色光を表す。本発明の拡大凸レンズアセンブリーは画角が40であるとき、青色光の横色収差は-100μmであり、赤色光の横色収差は-42μmである。しかし、
図7に示すように、第2実施形態においてディスプレイシステムの画角が40度であるとき、青色光の横色収差は-34.2μmであり、赤色光の横色収差は-23μmである。言い換えれば、拡大凸レンズアセンブリーと比べて、第2実施形態におけるディスプレイシステムの横色収差の方が小さい。
図8は本発明の第2実施形態におけるディスプレイシステムによる色収差現象の除去を示す図である。
図8に示される異なる種類の線は異なる色の光を表す。ディスプレイモジュール21が第1凹レンズ200と拡大凸レンズアセンブリー203に向けて異なる種類の線で表した非偏光を出射したとき、様々な光の横色収差を効果的に低減することができる。
【0035】
図9は本発明の第3実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。第3実施形態におけるディスプレイシステム2について以下に紹介する。ディスプレイシステム2は色分散除去用レンズアセンブリー20及びディスプレイモジュール21を含み、ディスプレイモジュール21は液晶オンシリコンディスプレイモジュール、デジタル光処理モジュール又はマイクロLEDディスプレイモジュールであってもよいが、これらに限定されない。色分散除去用レンズアセンブリー20は第1凹レンズ200、円偏光板201、光学接着剤202及び拡大凸レンズアセンブリー203を含み、光学接着剤202は液体光学接着剤であってもよいが、これに限定されない。第1凹レンズ200は受光面及び凹面を有し、受光面と凹面は互いに対向する。第3実施形態において、平面の受光面を例とし、第1凹レンズ200は平凹レンズである。円偏光板201は第1凹レンズ200の受光面上に設けられる。円偏光板201、第1凹レンズ200及び拡大凸レンズアセンブリー203は全てこの順序で光軸に沿って設置され、光軸は破線で表される。ディスプレイモジュール21は、その表示面が円偏光板201に面する。ディスプレイモジュール21は偏光板を含まない。ディスプレイモジュール21は非偏光を偏光板201に出射し、ディスプレイモジュール21が第1凹レンズ200、円偏光板201及び拡大凸レンズアセンブリー203の総有効焦点距離内に位置することにより、拡大された虚像が形成される。第1凹レンズ200の凹面の異なる位置は異なる曲率及び異なる倍率を有し、第1凹レンズ200は拡大凸レンズアセンブリー203と組み合わされるため、色分散除去用レンズアセンブリー20は横色収差を改善することができる。また、撮像効果を高めるために、色分散除去用レンズアセンブリー20は、第1凹レンズ200の受光面と円偏光板201の間に設けられる反射防止層204をさらに含むこともできる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、円偏光板201は第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011を含むことができるが、これに限定されない。第1の1/4波長板2011及び第1直線偏光板2010はこの順序で第1凹レンズ200の受光面上に積層され、第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011は第1凹レンズ200の凹面に対応した湾曲状である。拡大凸レンズアセンブリー203は光学接着剤202を介して第1の1/4波長板2011上に設けられ、第1直線偏光板2010、第1の1/4波長板2011、第1凹レンズ200及び拡大凸レンズアセンブリー203は全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0037】
拡大凸レンズアセンブリー203は第1凸レンズ2030、ハーフミラーレンズ2031、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033、第2直線偏光板2034、光学接着剤2035及び第2凸レンズ2036を含むが、これらに限定されない。光学接着剤2035は液体光学接着剤であってもよいが、これに限定されない。第1凸レンズ2030は互いに対向する凹面と凸面を有し、第1凸レンズ2030の凸面にはハーフミラーレンズ2031が設けられ、第1凸レンズ2030の凸面は光学接着剤202及びハーフミラーレンズ2031を介して第1凹レンズ200の凹面上に設けられる。第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033及び第2直線偏光板2034はこの順序で第1凸レンズ2030の凹面上に積層され、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033及び第2直線偏光板2034は第1凸レンズ2030の凹面に対応した湾曲状である。第2凸レンズ2036は互いに対向する凹面と凸面を有する。第2凸レンズ2036の凸面は光学接着剤2035を介して第2直線偏光板2034上に設けられ、ハーフミラーレンズ2031、第1凸レンズ2030、第2の1/4波長板2032、反射偏光板2033、第2直線偏光板2034及び第2凸レンズ2036は全てこの順序で光軸に沿って設置される。
【0038】
図10は本発明の第4実施形態におけるディスプレイシステムを示す図である。第4実施形態におけるディスプレイシステム2について以下に紹介するので、
図10を参照されたい。第4実施形態と第3実施形態の違いは第1凹レンズ200にある。第4実施形態において、第1凹レンズ200は凸凹レンズであり、その受光面は凸面であり、第1凹レンズ200の凹面の曲率は第1凹レンズ200の凸面の曲率よりも大きい。円偏光板201の第1直線偏光板2010及び第1の1/4波長板2011はいずれも第1凹レンズ200の凸面に対応した湾曲状である。第4実施形態のその他の構成要素については第3実施形態で紹介したので、ここでは再述しない。第1の1/4波長板2011は第1凹レンズ200の凸面に対応した湾曲状であるため、第1の1/4波長板2011と第2の1/4波長板2032の軸ずれによる光漏れを回避し、光学収差や色収差を改善することができる。
【0039】
上述の実施形態によれば、ディスプレイシステム及び色分散除去用レンズアセンブリーは凹レンズと拡大凸レンズアセンブリーを組み合わせることにより、横色収差現象を改善する。
【0040】
上述の記載は本発明の好ましい実施例の説明に過ぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。したがって、本発明の特許請求の範囲において記載された形状、構造、特徴及び精神に基づく均等な変更や修飾は全て、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10 レンズ
11 イメージ平面
12 色収差補正レンズ
120 凸レンズ
121 凹レンズ
2 ディスプレイシステム
20 色分散除去用レンズアセンブリー
200 第1凹レンズ
201 円偏光板
2010 第1直線偏光板
2011 第1の1/4波長板
202 光学接着剤
203 拡大凸レンズアセンブリー
2030 第1凸レンズ
2031 ハーフミラーレンズ
2032 第2の1/4波長板
2033 反射偏光板
2034 第2直線偏光板
2035 光学接着剤
2036 第2凸レンズ
204 反射防止層
21 ディスプレイモジュール
【図】
【図】
【国際調査報告】