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特表2025-505521大環状ペプチドを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】大環状ペプチドを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/02 20060101AFI20250220BHJP
   C07C 271/22 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20250220BHJP
   C07K 1/06 20060101ALI20250220BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20250220BHJP
   C07K 5/097 20060101ALI20250220BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20250220BHJP
【FI】
C07K1/02
C07C271/22
A61K38/12
A61P31/04
C07K1/06
C07K5/06
C07K5/097
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543160
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2023053409
(87)【国際公開番号】W WO2023152347
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】22156480.0
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】アダム,ジャン-ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブリス,フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ドット,パスカル・ジャン・クロード
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン-エメリー,ファビエンヌ・ロクサーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラーション,ウルフ・ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】プエンテナー,クルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴュイチック,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヨスト,ヴェラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H006
4H039
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA06
4C084BA15
4C084BA28
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZB35
4H006AA01
4H006AB84
4H006AC53
4H006RA06
4H006RA56
4H006RB34
4H039CA65
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA32
4H045EA20
4H045FA30
4H045FA57
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物
(式中、PG、PGおよびPGはアミノ保護基である。)
またはその塩を製造するための新規な方法を提供する。本発明による方法は、GMP条件下での大規模製造に特に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
【化1】
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、式(II)のカルボン酸
【化2】
を式(III)の第二級アミン
【化3】
と反応させて、
式(IV)の化合物
【化4】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)
を形成させることを含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、
(i)tert-ブチルメチルエーテル、n-ヘプタンおよびジメチルアセトアミドの混合物、
(ii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない酢酸イソプロピル、
(iii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないtert-ブチルメチルエーテル、
(iv)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないジクロロメタン、
(v)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないTHF、
(vi)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない2-メチル-THF、
(VII)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないトルエン、および
(viii)アセトニトリル
から選択される溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b1)PGがFmocである式(IV)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHまたはtBuNHと反応させて、式(V)の化合物:
【化5】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)
を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(c)式(V)の前記化合物を式(VI)の化合物:
【化6】
(式中、PGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから選択されるアミノ保護基である)
と、(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で反応させて、式(VII)の化合物:
【化7】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)
を形成させることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(d)PGがアリル基である式(VII)の前記化合物を、第二級アミンの存在下で遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の化合物:
【化8】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である)
を形成させることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第二級アミンがEtNHであり、前記遷移金属触媒が(PPhPdである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)がアセトニトリル中で行われ、工程(d)から得られた反応混合物を、
(d2)工程(d)から得られた前記反応混合物にN-アセチルシステインを添加すること、
(d3)工程(d2)から得られた反応混合物にCyNHを添加すること、
(d4)工程(d)からの第二級アミンを留去すること、および
(d5)工程(d4)から得られた反応混合物をろ過すること
によって後処理することをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
(e)式(IX)の前記化合物を、
(i)HOBtとEDCIの混合物、
(ii)DICとoxymaの混合物、
(iii)COMU
(iv)2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(TCT)、または
(v)4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチル-モルホリニウムクロリド(DMTMM)、
と反応させて式(I)の化合物を形成させることをさらに含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(II)の化合物、
【化9】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である)またはその塩。
【請求項10】
式(III)の化合物、
【化10】
(式中、PGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)またはその塩。
【請求項11】
式(IV)の化合物、
【化11】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)またはその塩。
【請求項12】
式(V)の化合物、
【化12】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)またはその塩。
【請求項13】
式(VII)の化合物、
【化13】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である)またはその塩。
【請求項14】
式(VIII)の化合物、
【化14】
(式中、PG、PGおよびPGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である)またはその塩。
【請求項15】
式(IX)の化合物、
【化15】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である)またはその塩。
【請求項16】
PG、PGおよびPGがBOCであり、PGがFmocであり、PGがアリルである、請求項1に記載の方法または請求項11に記載の式(IV)の化合物。
【請求項17】
PG、PGおよびPGがBOCであり、PGがアリルである、請求項3に記載の方法または請求項12に記載の式(V)の化合物。
【請求項18】
PG、PGおよびPGがBOCであり、PGがアリルであり、PGがFmocである、請求項4に記載の方法または請求項13に記載の式(VII)の化合物。
【請求項19】
PG、PGおよびPGがBOCであり、PGがFmocである、請求項6に記載の方法または請求項14に記載の式(VIII)の化合物。
【請求項20】
PG、PGおよびPGがBOCである、請求項7に記載の方法または請求項15に記載の式(IX)の化合物。
【請求項21】
N-NBS-N-Me-Trp-OAllである化合物
【化16】
またはその塩。
【請求項22】
N-NBS-N-Me-Trp(Boc)-OAllである化合物
【化17】
またはその塩。
【請求項23】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
である、請求項1~8および16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
式(I)の化合物
【化22】
(式中、PG、PGおよびPGは、請求項1~8または16~21のいずれか一項に記載の方法に従って製造される場合、アミノ保護基である)またはその塩。
【請求項25】
式(1)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
【化23】
請求項1~8または16~21のいずれか一項に記載の方法を含む、方法。
【請求項26】
式(1)の化合物
【化24】
またはその塩の製造における請求項1~8または16または21のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項27】
Fmoc保護されたアミンを含む化合物からFmoc保護基を除去するための方法であって、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む前記化合物を塩基と反応させることと、
(b)工程(a)から得られた反応混合物にN-アセチルシステインを添加することと、
(c)工程(a)における前記塩基がCyNHまたはt-アミルアミンでなければ、CyNHおよびt-アミルアミンから選択される塩基を工程(b)から得られた反応混合物に添加することと、
(d)任意に、工程(a)からの前記塩基を留去することと、ならびに
(e)工程(b)、(c)または(d)から得られた反応混合物をろ過することと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記方法が、溶媒としてのアセトニトリル中で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程(a)において使用される前記塩基がジエチルアミンである、請求項27または28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)において、Fmoc保護されたアミンを含む化合物に対して10当量以上の塩基が使用される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
工程(a)~(c)が室温で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程(c)において使用される前記塩基がCyNHである、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
工程(a)からの前記塩基を留去する工程(d)を含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程(b)において得られた前記反応混合物が、30℃~還流まで加熱される、請求項27~29、32および33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程(b)において得られた前記反応混合物が30℃~70℃に加熱される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程(b)において得られた前記反応混合物が40℃~60℃に加熱される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
工程(b)において得られた前記反応混合物が50℃に加熱される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
Fmoc保護されたアミンを含む前記化合物が、少なくとも1つのカルボン酸部分をさらに含む、請求項27~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
本明細書に先述されているとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物、
【化1】
(式中、PG、PGおよびPGはアミノ保護基である。)
またはその塩を製造するための新規な方法に関する。本発明による方法は、GMP条件下での大規模製造に特に適している。
【背景技術】
【0002】
式(Ia)の化合物は、新規抗生物質1の合成における重要な前駆体である。
【化2】
【0003】
マーケティングプロダクトの場合、医薬品を大量かつ医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準(「GMP」)に従って製造する必要がある。したがって、高収率で安価で安全で再現性のある合成が最も重要である。
【0004】
国際公開第2019206853号は、特定のトリペプチドの固相合成に依存する、式(Ia)の化合物の実験室規模の合成を開示している。しかしながら、前記固相合成は、低収率、長い反応時間および特定の立体中心のエピマー化などの様々な問題のために、式(Ia)の化合物の工業規模の製造には適していないことが明らかとなっている。
【0005】
したがって、式(Ia)の化合物を製造するための新しい方法に対する満たされていないニーズが高い。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上に概説した問題を克服する、式(I)の化合物を製造するための溶液相プロセスを提供する。本発明はまた、この新しいプロセスにおいて有用な特定の中間体を提供する。最後に、本発明は、Fmoc保護されたアミンのFmoc脱保護のための新しい方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載される特徴、整数、特色、化合物、化学的部分または基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態または実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および要約を含む)に開示された特徴の全て、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わされ得る。本発明は、前述のいずれの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および要約を含む)に開示された特徴の任意の新規なものもしくは任意の新規な組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規なものもしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0008】
「保護基」(PG)という用語は、化学反応が、合成化学の関連する慣用的な意味において、別の保護されていない反応性部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を表す。保護基は適切な時点で除去することができる。例示的なアミノ保護基は、Boc(tert-ブトキシカルボニル)、ベンジル、4-メトキシベンジル、ベンズヒドリル、Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、Moz(p-メトキシベンジルオキシカルボニル)、Troc(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)、Teoc(2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル)、Adoc(アダマントキシカルボニル)、ホルミル、アセチル、およびシクロブトキシカルボニルである。さらなる特定のアミノ保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。例示的なカルボン酸保護基は、アリルおよび9-フルオレニルメチル(Fm)である。例示的なアミノおよびカルボン酸保護基および有機合成におけるそれらの用途は、例えば、全体が参照により本明細書に含まれる、「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutts著、第5版、2014年、John Wiley&Sons、ニューヨークに記載されている。
【0009】
本明細書において使用される「塩」という用語は、本明細書に開示されている化合物を無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、特に塩酸、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどと反応させることによって形成される任意の種類の塩を指す。本明細書に開示される化合物が遊離の酸性部分を含有する場合、塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することによっても調製され得る。無機塩基から誘導される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを含むが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるがこれらに限定されない。
【0010】
製造方法
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物
【化3】
またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、式(II)のカルボン酸
【化4】
を式(III)の第二級アミン
【化5】
と反応させて、
式(IV)の化合物
【化6】
(式中、PG、PG、PGおよびPGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。)
を形成させることを含む、方法を提供する。
【0011】
一実施形態において、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である。
【0012】
カルボン酸(II)を第二級アミン(III)とカップリングさせると、比較例6に例示されているように、エピマー化が極めて起こりやすいことが明らかとなっていた。本発明による特定の反応条件は、極めて低いレベルのエピマー化で、高い収率を提供する。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、工程(a)において使用される混合物がHOAtとDICの混合物である、本明細書に開示される製造方法を提供する。
【0014】
特に好ましい実施形態において、本発明は、工程(a)において使用される試薬がHOPOとDICの混合物である、本明細書に開示される製造方法を提供する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)が、
(i)tert-ブチルメチルエーテル、n-ヘプタンおよびジメチルアセトアミドの混合物、
(ii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない酢酸イソプロピル、
(iii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないtert-ブチルメチルエーテル、
(iv)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないジクロロメタン、
(v)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないTHF、
(vi)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない2-メチル-THF、
(vii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないトルエン、および
(viii)アセトニトリル
から選択される溶媒中で行われる、製造方法を提供する。
【0016】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)において、使用される試薬がHOAtとDICの混合物であり、溶媒がtert-ブチルメチルエーテル、n-ヘプタンおよびジメチルアセトアミドの混合物である、製造方法を提供する。
【0017】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)において、使用される試薬がHOPOとDICの混合物であり、溶媒が、
(i)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない酢酸イソプロピル、
(ii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないtert-ブチルメチルエーテル、
(iii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないジクロロメタン、
(iv)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないTHF、
(v)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない2-メチル-THF、および
(vi)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないトルエン、
から選択される、製造方法を提供する。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)において、使用される試薬がHOPOとDICの混合物であり、溶媒が、
(i)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない酢酸イソプロピル、
(ii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないtert-ブチルメチルエーテル、
(iii)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まない2-メチル-THF、および
(iv)1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むかまたは含まないトルエン、
から選択される、製造方法を提供する。
【0019】
特に好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)において、使用される試薬がHOPOとDICの混合物であり、溶媒が酢酸イソプロピルと1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンの混合物である、製造方法を提供する。
【0020】
特に好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(a)において、使用される試薬がHOPOとDICの混合物であり、溶媒がtert-ブチルメチルエーテルと1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンの混合物である、製造方法を提供する。
【0021】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(b1)PGがFmocである式(IV)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(V)の化合物:
【化7】
を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
をさらに含む、製造方法を提供する。
【0022】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(b1)PGがFmocである式(IV)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHまたはtBuNHと反応させて、式(V)の化合物:
【化8】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である。)
を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
をさらに含む、製造方法を提供する。
【0023】
好ましい実施形態において、前記塩基性水溶液は、KHCOおよび/またはKCOの水溶液である。
【0024】
特に好ましい実施形態において、前記工程(b2)は、
(b2a)(b1)において得られた反応混合物をKHCOの水溶液で洗浄することと、
(b2b)(b2a)において得られた反応混合物をKCOの水溶液で洗浄することとからなる。
【0025】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(c)式(V)の前記化合物を式(VI)の化合物:
【化9】
(式中、PGは、アミノ保護基である。)
と、(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で反応させて、式(VII)の化合物:
【化10】
(式中、PG、PG、PGおよびPGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。)
を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0026】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(c)式(V)の前記化合物を式(VI)の化合物:
【化11】
(式中、PGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから選択されるアミノ保護基である。)
と、(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で反応させて、式(VII)の化合物:
【化12】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGは、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である。)
を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0027】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(c)において、前記還元剤がNaBH(OAc)であり、前記カルボン酸が酢酸である、製造方法を提供する。
【0028】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(d)PGがアリル基である式(VII)の前記化合物を、第二級アミンの存在下で遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の化合物:
【化13】
(式中、PG、PG、PGおよびPGは、アミノ保護基である。)
を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0029】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(d)PGがアリル基である式(VII)の前記化合物を、第二級アミンの存在下で遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の化合物:
【化14】
(式中、PG、PGおよびPGは、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である。)
を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0030】
一実施形態において、工程(d)において使用される前記遷移金属触媒はパラジウム触媒である。
【0031】
好ましい実施形態において、工程(d)において使用される前記遷移金属触媒はパラジウム(0)触媒である。
【0032】
特に好ましい実施形態において、工程(d)において使用される前記遷移金属触媒は、(PPhPdである。
【0033】
特に好ましい実施形態において、工程(d)において使用される前記第二級アミンはEtNHである。
【0034】
特に好ましい実施形態において、工程(d)において使用される前記第二級アミンはEtNHであり、前記遷移金属触媒は(PPhPdである。
【0035】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、工程(d)がアセトニトリル中で実施され、工程(d)から得られた反応混合物を、
(d2)工程(d)から得られた前記反応混合物にN-アセチルシステインを添加すること、
(d3)工程(d2)から得られた反応混合物にCyNHを添加すること、
(d4)工程(d)からの第二級アミンを留去すること、および
(d5)工程(d4)から得られた反応混合物をろ過すること
によって後処理することをさらに含む、製造方法を提供する。
【0036】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(e)式(IX)の前記化合物を、
(i)HOBtとEDCIの混合物、
(ii)DICとoxymaの混合物、
(iii)COMU、
(iv)2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(TCT)、または
(v)4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチル-モルホリニウムクロリド(DMTMM)、
と反応させて式(I)の化合物を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0037】
一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される製造方法であって、
(e)式(IX)の前記化合物を、
(i)HOBtとEDCIの混合物、または
(ii)DICとoxymaの混合物、または
(iii)COMU、
と反応させて式(I)の化合物を形成させることをさらに含む、製造方法を提供する。
【0038】
一態様において、本発明は、式(I)の化合物、またはその塩を製造するための方法であって、
【化15】
(a)(i)HOAtおよびDIC、または
(ii)HODhatおよびDIC、または
(iii)HOPOおよびDIC、または
(iv)HOPOおよびDCC、または
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、式(IIb)のカルボン酸
【化16】
(式中、PGおよびPGは、アミノ保護基である。)
を、式(IIIb)の第二級アミン
【化17】
(式中、PGは、アミノ保護基である。)
と反応させて、
式(IVb)の化合物
【化18】
を形成させることと、
(b1)式(IVb)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(Vb)の化合物:
【化19】
を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
(c)式(Vb)の前記化合物を式(VIa)の化合物:
【化20】
と、(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で反応させて、式(VIIb)の化合物:
【化21】
を形成させることと、
(d)式(VIIb)の前記化合物を、第二級アミンの存在下で遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の化合物:
【化22】
を形成させ、
次いで、(d)から得られた反応混合物を、
(d2)工程(d)から得られた前記反応混合物にN-アセチルシステインを添加すること、
(d3)工程(d2)から得られた反応混合物にCyNHを添加すること、
(d4)工程(d)からの第二級アミンを留去すること、および
(d5)工程(d4)から得られた反応混合物をろ過すること
によって後処理することと、
(e)式(IX)の前記化合物を、
(i)HOBtとEDCIの混合物、または
(ii)DICとoxymaの混合物、または
(iii)COMU
と反応させて式(I)の化合物を形成させることと
を含む、方法を提供する。
【0039】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(IVb)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、本明細書に記載の式(IIb)のカルボン酸を本明細書に記載の式(IIIb)のアミンと反応させて、
式(IVb)の前記化合物を形成させることを含む、方法を提供する。
【0040】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(Vb)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、本明細書に記載の式(IIb)のカルボン酸を本明細書に記載の式(IIIb)のアミンと反応させて、
本明細書に記載の式(IVb)の化合物を形成させることと、
(b1)式(IVb)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(Vb)の前記化合物を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと
を含む、方法を提供する。
【0041】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(VIIb)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、本明細書に記載の式(IIb)のカルボン酸を本明細書に記載の式(IIIb)のアミンと反応させて、
本明細書に記載の式(IVb)の化合物を形成させることと、
(b1)式(IVb)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(Vb)の前記化合物を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
(c)(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤、ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で、式(Vb)の前記化合物を本明細書に記載の式(VIa)の化合物と反応させて、式(VIIb)の前記化合物を形成させることと
を含む、方法を提供する。
【0042】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(IX)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、本明細書に記載の式(IIb)のカルボン酸を本明細書に記載の式(IIIb)のアミンと反応させて、
本明細書に記載の式(IVb)の化合物を形成させることと、
(b1)式(IVb)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(Vb)の前記化合物を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
(c)(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤、ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で、式(Vb)の前記化合物を本明細書に記載の式(VIa)の化合物と反応させて、式(VIIb)の前記化合物を形成させることと、
(d)第二級アミンの存在下で、式(VIIb)の前記化合物を遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の前記化合物を形成させることと
を含む、方法を提供する。
【0043】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(IX)の化合物またはその塩を製造するための方法であって、
(a)(i)HOAtおよびDIC、
(ii)HODhatおよびDIC、
(iii)HOPOおよびDIC、
(iv)HOPOおよびDCC、ならびに
(v)HOPOおよびEDC、
から選択される試薬を使用して、本明細書に記載の式(IIb)のカルボン酸を本明細書に記載の式(IIIb)のアミンと反応させて、
本明細書に記載の式(IVb)の化合物を形成させることと、
(b1)式(IVb)の前記化合物をN-アセチルシステインおよびtAmNHと反応させて、式(Vb)の前記化合物を形成させることと、
(b2)(b1)において得られた反応混合物を塩基性水溶液で洗浄することと、
(c)(i)NaBHCNおよびNaBH(OAc)から選択される還元剤、ならびに(ii)酢酸およびプロピオン酸から選択されるカルボン酸の存在下で、式(Vb)の前記化合物を本明細書に記載の式(VIa)の化合物と反応させて、式(VIIb)の前記化合物を形成させることと、
(d)第二級アミンの存在下で、式(VIIb)の前記化合物を遷移金属触媒と反応させて、式(IX)の前記化合物を形成させ、次いで、
(d2)工程(d)から得られた前記反応混合物にN-アセチルシステインを添加すること、
(d3)工程(d2)から得られた反応混合物にCyNHを添加すること、
(d4)工程(d)からの第二級アミンを留去すること、および
(d5)工程(d4)から得られた反応混合物をろ過すること
によって、工程(d)から得られた反応混合物を後処理すること
を含む、方法を提供する。
【0044】
特に好ましい実施形態において、本発明は、式(Ia)の化合物を製造するための方法であって、
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
である、方法を提供する。
【0045】
一態様において、本発明は、本発明の方法に従って製造された場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその塩
【化27】
を提供する。
【0046】
一態様において、本発明は、式(1)の化合物、またはその塩を製造するための方法であって、
【化28】
本明細書に記載の方法のいずれかを含む、方法を提供する。
【0047】
一態様において、本発明は、式(1)の化合物
【化29】
またはその塩の製造における、本明細書に記載の方法のいずれかの使用を提供する。
【0048】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはBOCである。
【0049】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはBOCである。
【0050】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはBOCである。
【0051】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはFmocである。
【0052】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはアリルである。
【0053】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、PGはFmocである。
【0054】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、および
PGはFmocである。
【0055】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、および
PGはアリルである。
【0056】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、
PGはFmocであり、および
PGはアリルである。
【0057】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、および
PGはアリルである。
【0058】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、
PGはアリルであり、および
PGはFmocである。
【0059】
一実施形態において、本明細書に開示される方法および化合物において、
PGはBOCであり、
PGはBOCであり、および
PGはBOCである。
【0060】
一態様において、本発明は、式(II)の化合物
【化30】
またはその塩を提供し、式中、PG、PGおよびPGは、アミノ保護基である。
【0061】
一実施形態において、本発明は、PG、PGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である、本明細書に記載の式(II)の化合物またはその塩を提供する。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明は、式(II)の前記化合物が式(IIa)の化合物
【化31】
である、本明細書に記載の式(II)の化合物またはその塩を提供する。
【0063】
一態様において、本発明は、式(III)の化合物
【化32】
またはその塩を提供し、式中、PGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。
【0064】
一実施形態において、本発明は、PGがBOC、Adoc、MozおよびFmocから選択されるアミノ保護基であり、PGがアリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である、本明細書に記載の式(III)の化合物またはその塩を提供する。
【0065】
好ましい実施形態において、本発明は、式(III)の前記化合物が式(IIIa)の化合物
【化33】
である、本明細書に記載の式(III)の化合物またはその塩を提供する。
【0066】
一態様において、本発明は、式(IV)の化合物
【化34】
またはその塩を提供し、式中、PG、PG、PGおよびPGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。
【0067】
一実施形態において、本発明は、PG、PG、PGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGが、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である、本明細書に記載の式(IV)の化合物またはその塩を提供する。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明は、式(IV)の前記化合物が式(IVa)の化合物
【化35】
である、本明細書に記載の式(IV)の化合物またはその塩を提供する。
【0069】
一態様において、本発明は、式(V)の化合物
【化36】
またはその塩を提供し、式中、PG、PGおよびPGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。
【0070】
一実施形態において、本発明は、PG、PGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGが、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である、本明細書に記載の式(V)の化合物またはその塩を提供する。
【0071】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に記載の式(V)の化合物のヘミリン酸塩を提供する。
【0072】
好ましい実施形態において、本発明は、式(V)の前記化合物が式(Va)の化合物
【化37】
である、本明細書に記載の式(V)の化合物またはその塩を提供する。
【0073】
好ましい実施形態において、本発明は、本明細書に記載の式(Va)の化合物のヘミリン酸塩を提供する。
【0074】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の式(VI)の化合物
【化38】
またはその塩を提供する。
【0075】
一実施形態において、本発明は、PGがBOC、Adoc、MozおよびFmocから選択されるアミノ保護基である、本明細書に記載の式(VI)の化合物またはその塩を提供する。
【0076】
好ましい実施形態において、本発明は、式(VI)の前記化合物が式(VIa)の化合物
【化39】
である、本明細書に記載の式(VI)の化合物またはその塩を提供する。
【0077】
一態様において、本発明は、式(VII)の化合物
【化40】
またはその塩を提供し、式中、PG、PG、PGおよびPGはアミノ保護基であり、PGはカルボン酸保護基である。
【0078】
一実施形態において、本発明は、PG、PG、PGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基であり、PGが、アリルおよび9-フルオレニルメチルから選択されるカルボン酸保護基である、本明細書に記載の式(VII)の化合物またはその塩を提供する。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明は、式(VII)の前記化合物が式(VIIa)の化合物
【化41】
である、本明細書に記載の式(VII)の化合物またはその塩を提供する。
【0080】
一態様において、本発明は、式(VIII)の化合物
【化42】
またはその塩(PG、PGおよびPGおよびPGはアミノ保護基である。)を提供する。
【0081】
一実施形態において、本発明は、PG、PGおよびPGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である、本明細書に記載の式(VIII)の化合物またはその塩を提供する。
【0082】
好ましい実施形態において、本発明は、式(VIII)の前記化合物が式(VIIIa)の化合物
【化43】
である、本明細書に記載の式(VIII)の化合物またはその塩を提供する。
【0083】
一態様において、本発明は、式(IX)の化合物
【化44】
またはその塩を提供し、式中、PG、PGおよびPGは、アミノ保護基である。
【0084】
一実施形態において、本発明は、PG、PGおよびPGが、BOC、Adoc、MozおよびFmocから独立して選択されるアミノ保護基である、本明細書に記載の式(IX)の化合物またはその塩を提供する。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明は、式(IX)の前記化合物が式(IXa)の化合物
【化45】
である、本明細書に記載の式(IX)の化合物またはその塩を提供する。
【0086】
Fmoc脱保護のための新規方法
米国特許第9334302号は、アミンからFmoc保護基を除去する方法であって、メルカプトカルボン酸をジベンゾフルベン(DBF)Fmoc脱保護副生成物に添加した後、塩基性水性洗浄によって付加物を除去することを含む方法を開示している。
【化46】
【0087】
このプロセスは、例えば、所望の生成物が酸性官能基(R2=H)を含有する場合、DBF-メルカプトカルボン酸付加物と一緒に水相中に持ち込まれるので、適用できない場合があり得る。また、塩基性水性抽出を行うことは、工業規模で行われる場合には不便であり得る。
【0088】
したがって、本発明は、Fmoc脱保護のための新規な方法を提供し、それにより、前記副生成物は、塩基性水溶液で洗浄するのではなく、単純なろ過によって除去される。
【0089】
驚くべきことに、t-アミルアミンおよびジシクロヘキシルアミンは、DBF-N-アセチルシステイン付加物と塩を形成することができること、およびこれらの塩は、MeCNのような選択された有機溶媒中で低い溶解度を示すことが見出された。
【化47】
【0090】
より詳細には、Fmoc保護基は、Fmoc保護されたアミンをジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミンなどの塩基と反応させることによって除去される。次いで、この反応で形成されるジベンゾフルベン副生成物は、N-アセチルシステインと付加物を形成することによって捕捉される。Fmoc保護基の除去のために使用された塩基がジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミン以外の塩基であった場合、続いて、付加物をジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミンと反応させる。これにより、反応混合物から沈殿し、都合よくろ別することができる不溶性塩が形成される。
【0091】
Fmoc脱保護を行うために使用される塩基がジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミン以外のアミン、例えばジエチルアミンである場合、塩基はまた、反応混合物から沈殿しないN-アセチルシステインDBF付加物と塩を形成し得る。したがって、そのような塩基の存在は、ろ過による付加塩の所望される除去を妨げ得る。したがって、蒸留によって過剰のこのアミン試薬を除去し、付加物ジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミン塩の方向に平衡を移動させ、したがって対応するジシクロヘキシルアミンまたはt-アミルアミン塩の沈殿を最大化することが望ましい場合があり得る。
【0092】
実施例10、11および13は、本発明によるFmoc脱保護のための新規方法の適用可能性および効率を実証する。この方法は、以下の反応スキームによってさらに図解される。
【化48】
【0093】
実際、この特定の場合では、生成物IXaは、DBF-メルカプトカルボン酸付加物副生成物を除去するための単純な塩基性水性洗浄を妨げるカルボン酸官能基を含む。
【0094】
一態様において、本発明は、Fmoc保護されたアミンを含む化合物からFmoc保護基を除去するための方法であって、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む前記化合物を塩基と反応させることと、
(b)工程(a)から得られた反応混合物にN-アセチルシステインを添加することと、
(c)工程(a)における塩基がCyNHまたはt-アミルアミンでなければ、CyNHおよびt-アミルアミンから選択される塩基を工程(b)から得られた反応混合物に添加することと、
(d)任意に、工程(a)からの塩基を留去することと、および
(e)工程(b)、(c)または(d)から得られた反応混合物をろ過することと
を含む、方法を提供する。
【0095】
工程(a)および(b)は、順次に実行される必要はなく、同時に、すなわち 「ワンポット」 方式で実行され得ることを理解されたい。したがって、一実施形態において、本発明は、Fmoc保護基を除去するための方法であって、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む化合物を、塩基およびN-アセチルシステインを含む試薬混合物と反応させることと、
(b)工程(a)における塩基がCyNHまたはt-アミルアミンでなければ、CyNHおよびt-アミルアミンから選択される塩基を工程(a)から得られた反応混合物に添加することと、
(c)任意に、工程(a)からの塩基を留去することと、および
(d)工程(a)、(b)または(c)から得られた反応混合物をろ過することと、
を含む、方法を提供する。
【0096】
好ましい実施形態において、方法は溶媒としてのアセトニトリル中で行われる。
【0097】
好ましい実施形態において、工程(a)において使用される塩基は、ジエチルアミンである。
【0098】
好ましい実施形態において、工程(c)において使用される塩基は、CyNHである。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明によるFmoc保護基を除去するための方法は、工程(d)、工程(a)からの塩基を留去することを含む。
【0100】
一実施形態において、工程(b)において得られた反応混合物は、30℃~還流まで加熱される。
【0101】
一実施形態において、工程(b)において得られた反応混合物は、30℃~70℃に加熱される。
【0102】
好ましい実施形態において、工程(b)において得られた反応混合物は、40℃~60℃に加熱される。
【0103】
特に好ましい実施形態において、工程(b)において得られた反応混合物は、50℃に加熱される。
【0104】
驚くべきことに、10当量以上の塩基が本発明による方法の工程(a)において使用されれば、Fmoc脱保護は室温で円滑に進行することが見出された。したがって、好ましい実施形態において、Fmoc保護されたアミンを含む化合物に対して10当量以上の塩基が、本発明による方法の工程(a)において使用される。さらに好ましい実施形態において、本発明による方法の工程(a)~(c)は室温で行われる。さらなる好ましい実施形態において、Fmoc保護されたアミンを含む化合物に対して10当量以上の塩基が、本発明による方法の工程(a)において使用され、本発明による方法の工程(a)~(c)は室温で行われる。
【0105】
好ましい実施形態において、本発明によるFmoc保護基を除去するための方法は、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む化合物をアセトニトリル中でEtNHと反応させることと、
(b)(a)から得られた反応混合物にN-アセチルシステインを添加することと、
(c)(b)から得られた反応混合物にCyNHを添加することと、
(d)EtNHを留去することと、
(e)工程(d)から得られた反応混合物をろ過することと
を含む。
【0106】
好ましい実施形態において、本発明によるFmoc保護基を除去するための方法は、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む化合物を、アセトニトリル中でCyNHおよびt-アミルアミンから選択される塩基と反応させることと、
(b)(a)から得られた反応混合物にN-アセチルシステインを添加することと、
(c)工程(b)から得られた反応混合物をろ過することと
を含む。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明によるFmoc保護基を除去するための方法は、
(a)Fmoc保護されたアミンを含む化合物を、アセトニトリル中で、N-アセチルシステインと、CyNHおよびt-アミルアミンから選択される塩基とを含む試薬混合物と反応させることと、
(b)工程(a)から得られた反応混合物をろ過することと
を含む。
【0108】
一実施形態において、工程(a)において使用される試薬混合物は、DBF-N-アセチルシステイン付加物CyNHまたはt-アミルアミン塩の種晶をさらに含む。
【0109】
上述のように、米国特許第9334302号に記載されている塩基性水性洗浄は、例えば、所望の生成物が酸性官能基を含有する場合には、DBF-メルカプトカルボン酸付加物副生成物とともに水相中に洗い流されるので、適用できない場合があり得る。したがって、好ましい実施形態において、本発明による方法において使用されるFmoc保護されたアミンを含む化合物は、少なくとも1つのカルボン酸部分、好ましくは1つ~3つのカルボン酸部分、最も好ましくは1つのカルボン酸部分をさらに含む。
【0110】
実施例
本発明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
以下の略語を、本文中で使用する:
All=アリル;Boc=tert-ブトキシカルボニル;BOP-Cl=ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド;COMU=(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリン-カルベニウムヘキサフルオロホスファート;CyNH:ジシクロヘキシルアミン;DBF=ジベンゾフルベン;DCM=ジクロロメタン;DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;DIC=N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド;DMAP=4-ジメチルアミノピリジン;DMF=N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;DMTMM=4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド;EDCI=1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;Fmoc=フルオレニルメトキシカルボニル;HATU=2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;HOAt=1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール;HOBt=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;HODhat=3-ヒドロキシピリド[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン;HOPO=2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド;IPC=工程内管理;KFT=カールフィッシャー滴定;NMM=N-メチルモルホリン;Oxyma=シアノヒドロキシイミノ酢酸エチル;PyBrop=ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスファート;Su=スクシンイミド;T=温度;T3P=プロピルホスホン酸無水物;TBTU=N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾル-1-イル)ウラニウムテトラフルオロボラート;THF=テトラヒドロフラン;TOTT=S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルチウロニウムテトラフルオロボラート。
【0111】
分析方法
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0112】
実施例1
Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-OH(IIa)の調製
工程1:Fmoc-Orn(Boc)-OSu
Fmoc-Orn(Boc)-OH(50.0g、0.11mol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(13.9g、0.12mol)およびTHF(200mL)を反応容器に投入した。THF(50mL)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(26.1g、0.13mol)の溶液を20℃で2時間以内に添加した。反応混合物をさらに21時間撹拌した。沈殿物をろ別し、THF(30mL)で2回洗浄した。ろ液を40~45℃で125mLに濃縮した。EtOAc(150mL)を添加し、混合物を40~45℃で165mLに濃縮した。イソプロピルアルコール(500mL)を室温で1時間以内に添加した。懸濁液を室温で10時間撹拌した。固体をろ別し、イソプロピルアルコール(50mL)で2回洗浄し、40℃で8時間乾燥させて、Fmoc-Orn(Boc)-OSuを白色固体として得た。典型的には、85%の収率が得られた。
【0113】
工程2:Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-OH(IIa)
H-Lys(Boc)-OH(66.0g、0.27mol)およびTHF(960mL)を反応容器に投入した。ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(79.3g、0.39mol)を20℃で1時間にわたって添加した。混合物を40~45℃で2時間撹拌し(固体は完全に溶解しているはずである)、20~25℃に冷却した(=溶液A)。別の反応容器において、Fmoc-Orn(Boc)-OSu(120g、0.22mol)をTHF(480mL)に溶解し(約30分)、溶液を14~16℃に冷却した。内部温度を最高で15℃に保ちながら、1~2時間以内に溶液Aを添加した。反応混合物をさらに5時間撹拌した。5~10℃に冷却した水(1200mL)に反応混合物を2時間にわたって添加し、混合物を5~10℃で30分間さらに撹拌した。酢酸エチル(600mL)を添加した。温度を5~10℃に維持しながら、15%HCl水溶液(10~11g)を添加することによってpHを2~3に調整した。相を分離した。有機層を1.6%NaCl水溶液(600g)で5回洗浄した。酢酸エチル(600mL)を添加し、混合物を780~820gに濃縮した。酢酸エチル(480mL)を添加して、この操作を4回繰り返した。最後の添加後、混合物を960~1000gに濃縮した。懸濁液を40℃に加熱した。nヘプタン(1500mL)を1時間にわたって添加した。懸濁液をさらに1時間撹拌し、25℃に冷却し、この温度で3時間撹拌した。沈殿物をろ別し、nヘプタン(300mL)で3回洗浄し、45℃で乾燥させて、IIaを白色固体として得た。典型的には、収率は約90%であった。
LCMS:705.35(M+Na
【0114】
実施例2
N-Me-Trp(Boc)-OAllオキサラート(IIIa)の調製
工程1:N-NBS-Trp-OAll
H-N-Trp-OAll塩酸塩(105.0g、374.0mmol)、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(83.7g、377.8mmol)および酢酸エチル(1050mL)を反応容器に投入し、混合物を0~5℃に冷却した。水(315mL)を30分間にわたって投入した。次いで、温度を5℃未満、pH=8~9に保ち、KOH15%水溶液(338.0g)を、4時間にわたって投入した。反応混合物を0~5℃でさらに5時間撹拌し、15%HCl水溶液でpHを5~6に調整した。混合物を室温にし、相を分離した。有機層を水(260mL)で洗浄した。二相性混合物をセライトでポリッシュフィルタにかけた。相を分離し、有機相を約300gまで減圧下で濃縮した。酢酸エチル(540mL)を添加し、溶液を減圧下で約300gに濃縮した。カールフィッシャー滴定を行い、水のレベルは≦0.05%w/wであるべきである。典型的には、収率は約98%であった。
【0115】
工程2:N-NBS-N-Me-Trp-OAll
N-NBS-Trp-OAll(600g、279.4mmol)、炭酸カリウム(57.9g、418.9mmol)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(9.01g、27.1mmol)の20%溶液を反応容器に投入した。ヨウ化メチル(47.6g、335.4mmol)を室温で30分以内に添加した。反応混合物を30~35℃で15時間撹拌し、次いで、0~5℃に冷却した。水(480mL)を1時間にわたって添加し、二相性混合物を30分間撹拌した。相を分離し、有機層を5%NaCl水溶液(240mL)で2回洗浄した。有機層を200~230gまで減圧下で濃縮した。酢酸エチル(300mL)を添加し、溶液を200~230gに濃縮した。この操作をもう一度繰り返した。カールフィッシャー滴定を行い、水のレベルは≦0.05%w/wであるべきである。精密ろ過を行って塩を除去した。典型的には、収率は約97~98%であり、アッセイは22.5~23.0%w/wであった。
【0116】
工程3:N-NBS-N-Me-Trp(Boc)-OAll
酢酸エチル中の22.8%w/wのN-NBS-N-Me-Trp-OAll(529g、272.0mmol)、酢酸エチル(200mL)およびDMAP(6.65g、54.4mmol)を反応容器に投入した。反応混合物を27℃に加熱し、酢酸エチル(64.5mL)に溶解したジ-tert-ブチルジカーボナート(71.2g、326.2mmol)を1.5時間にわたって添加した。反応混合物を27℃でさらに2時間撹拌し、次いで、70℃に加熱し、2時間にわかって30℃に冷却した。減圧下、40~45℃で、反応混合物を約305gに濃縮し、室温に冷却した。メタノール(845mL)を1時間以内に投入し、混合物を3時間撹拌した。沈殿物をろ別し、メタノール(100mL)で3回洗浄し、減圧下、45℃で6時間乾燥させて、133g(90%)のN-NBS-N-Me-Trp(Boc)-OAllを淡黄色の油状物として得た。精製:得られた黄色の油状物を70℃で酢酸エチル(789mL)に溶解し、2時間以内に30℃に冷却した。減圧下、40℃で、混合物を約277gまで濃縮し、得られた懸濁液を20~25℃に冷却した。メタノール(931mL)を1時間以内に添加し、懸濁液をさらに3時間撹拌した。沈殿物をろ別し、メタノール(67mL)で3回洗浄し、減圧下、45℃で6時間乾燥させて、127.7g(96%)のN-NBS-N-Me-Trp(Boc)-OAllを淡黄色固体として得た。
【0117】
工程4:N-Me-Trp(Boc)-OAllオキサラート(IIIa)
N-NBS-N-Me-Trp(Boc)-OAll(171g、314.6mmol)およびDMF(684mL)を反応容器に投入し、系を不活性化し、-5℃に冷却した。-5~0℃で30分間にわたってチオフェノラート(65.0g、491.8mmol)を添加した。反応混合物を-5℃で4時間撹拌した。tert-ブチルメチルエーテル(1.03L)を添加し、続いて水(1.28L)を-5~0℃で(典型的には30~60分間)添加した。次いで、反応混合物を20℃にし、2時間撹拌した。層を分離した。有機層を水(513mL)で3回洗浄し、減圧下、35℃未満で264gまで濃縮した。アセトン(850mL)を添加した。溶液をポリッシュフィルタにかけた。溶液を7℃に冷却し、アセトン(342mL)中のシュウ酸二水和物(39.2g、310.9mmol)の溶液を添加した。混合物を7℃で2時間撹拌した。沈殿物をろ別し、アセトン(375mL)で3回洗浄し、減圧下、35℃で3時間乾燥させて、130g(92%)のN-Me-Trp(Boc)-OAllを黄色がかった固体として得た。
LCMS:359.19(M+H
【0118】
実施例3
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[[(2S)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(IVa)の調製
H-N-Me-Trp(Boc)-OAllオキサラート(IIIaオキサラート、150g、334.5mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル(1.1kg)を反応器に投入し、水(1.95kg)を添加した後、5分以内にNaOH28%水溶液(119.5kg)を添加した(わずかなガス発生)。二相系を室温で60分間撹拌し、相を分離した。有機相を水(750g)で洗浄し、減圧下で蒸発させ、高真空下で乾燥させた。残渣をn-ヘプタン(513g)に溶解し、溶液を完全に蒸発させた。残渣をn-ヘプタン(257g)に溶解し、得られた溶液を取り置いた(溶液A)。Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-OH(IIa、228.5g、334.6mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル(1.1kg)を反応器に投入した。HOAt(22.75g、167.2mmol)を添加し、tert-ブチルメチルエーテル(50g)で漏斗をすすいだ。ジメチルアセトアミド(155g)を添加し、tert-ブチルメチルエーテル(100g)で添加漏斗をすすいだ。混合物を0~5℃に冷却し、ジイソプロピルカルボジイミド(44.5g、352.6mmol)を10分以内に添加した。添加漏斗をtert-ブチルメチルエーテル(200g)ですすいだ。反応混合物を-2~2℃で120分間撹拌した。30分にわたって溶液Aを添加し、滴下ラインをnヘプタン(68g)ですすいだ。撹拌を40分間続けた。180~240分以内に反応混合物を室温に加温し、さらに15時間撹拌した。クエン酸(103g)および水(1.95kg)の溶液をT=<25℃で30分以内に添加した。滴下漏斗を水(200g)ですすいだ。抽出混合物を90分間撹拌し、ガラスフィルタを通してフィルタにかけ、反応器をn-ヘプタン(298g)ですすぎ、ろ過ケーキをtert-ブチルメチルエーテル(340g)とn-ヘプタン(157g)の混合物で洗浄した。二相性ろ液をさらに10分間撹拌し、次いで相を分離した。NaHCO(56.5g)および水(1.25kg)の溶液で有機層を洗浄し、メタノール(871g)および水(1.1kg)の混合物で3回洗浄した。減圧下で約900mLの体積まで有機層を濃縮した(溶液はより粘性になる)。DMSO(2.43kg)を添加し、溶液を高真空下、<40℃で60~120分間乾燥させた。収率を100%と考え、溶液をそのまま次の工程に持ち込んだ(約12.3%w/w溶液)。キラル純度(方法A;%a/a):LLL:97.2%;LLD:検出されず;LDL:2.80%;DLL:検出されず
【0119】
実施例4
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[[(2S)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(IVa)の調製
H-N-Me-Trp(Boc)-OAllオキサラート(IIIaオキサラート、80g、178.4mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル(587g)を反応器に投入し、水(1.04kg)を添加した後、5分以内にNaOH30%水溶液(59.5g)を添加した(わずかなガス発生)。二相系を室温で60分間撹拌し、相を分離した。有機相を水(400g)で洗浄し、減圧下で蒸発させ、高真空下で乾燥させた。残渣をヘプタン(275g)に溶解し、減圧下で完全に蒸発させて、H-N-MeTrp(Boc)OAll(IIIa、64.6g、100%)を黄色油状物として得た。
【0120】
Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-OH(IIa、20.5g、30.0mmol)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(「HOPO」、1.67g、15mmol)および1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(「DMI」、64.9g)を反応容器に投入した。溶解が完了した後、tert-ブチルメチルエーテル(40g)中のH-N-Me-Trp(Boc)-OAll(IIIa、11.1g、30.9mmol)の溶液を添加した。反応混合物をtert-ブチルメチルエーテル(91g)で希釈した。tert-ブチルメチルエーテル(11.0g)中のジイソプロピルカルボジイミド(「DIC」、4.17g、33mmol)の溶液を20分間にわたって添加した。滴下漏斗をtert-ブチルメチルエーテル(10.0g)ですすぎ、撹拌を室温で22時間続けた。n-ヘプタン(47.0g)を反応混合物に添加した後、水(220g)中のクエン酸(11.53g、60mmol)の溶液を10分以内に添加した。混合物を1時間撹拌した。沈殿物をろ別した。ろ過ケーキをtert-ブチルメチルエーテル(57g)とn-ヘプタン(18g)の混合物で洗浄した。ろ液の相を分離した。水(220g)中のクエン酸(11.5g、60mmol)の溶液、水(47.5g)中の炭酸水素ナトリウム(2.5g)の溶液で有機層を洗浄し、メタノール(79g)と水(100g)の混合物で3回洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させて、IVa(29.3g、95.6%)を油状物として得た。キラル純度(方法A;%a/a):LLL:98.8%;LLD:検出されず;LDL:1.2%;DLL:検出されず。
【0121】
実施例5
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[[(2S)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(IVa)の代替の調製
H-N-Me-Trp(Boc)-OAllオキサラート(IIIaオキサラート、150g、334.5mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル(1.1kg)を反応器に投入し、水(1.95kg)を添加した後、5分以内にNaOH 28%水溶液(119.5g)を添加した(わずかなガス発生)。二相系を室温で60分間撹拌し、相を分離した。有機相を水(750g)で洗浄し、減圧下で蒸発させ、高真空下で乾燥させた。残渣をヘプタン(513g)に溶解し、減圧下で溶液を完全に蒸発させた。残渣をヘプタン(356g)に溶解した(=溶液A)。
【0122】
Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-OH(IIa、228.0g、334.5mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(22.8g、167.1mmol)、ジメチルアセトアミド(155g)およびtert-ブチル-メチルエーテル(1.25kg)を反応容器に投入した。0℃に冷却して得られた懸濁液に、ジイソプロピルカルボジイミド(44.5g、352.6mmol)およびtert-ブチルメチルエーテル(200g)を添加した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。溶液Aを30分以内に添加した。添加漏斗をnヘプタン(68g)ですすいだ。反応混合物を40分間撹拌した後、3.5時間以内に22℃に加温し、この温度で16時間撹拌した。水(2.15kg)中のクエン酸(103g、536mmol)の溶液を30分以内に添加した。反応混合物を90分間撹拌し、ヘプタン(297g)で希釈し、フィルタにかけた。tert-ブチルメチルエーテル(340g)およびヘプタン(157g)の混合物で沈殿物を洗浄した。ろ液の相を分離した。水(1.25kg)中の重炭酸ナトリウム(56.5g)の溶液で有機層を洗浄し、次いで、メタノール(871g)と水(1.1kg)の混合物で3回洗浄した。有機相を減圧下で約900mLの体積まで濃縮し、DMSO(2.43kg)で希釈し、高真空下で乾燥させて、DMSO中12.3重量%溶液としてIVaを得た。キラル純度(方法A;%a/a):LLL:97.2%;LLD:検出されず;LDL:2.8%;DLL:検出されず。
【0123】
比較例6
表1は、アミンIIIaとカルボン酸IIaとのカップリングのための反応条件のスクリーニングを示す(上記実施例4および5も参照)。
【表6-1】
【表6-2】
【0124】
実施例7
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(Va)
実施例5からの、DMSO中のtert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[[(2S)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラートの溶液(IVa、2.43kg、334.2mmol)を反応器に投入した。N-アセチル-システイン(71.0g、435.1mmol、1.3当量)を添加し、添加漏斗をDMSO(100g)ですすいだ。tert-アミルアミン(75.8g、869.0mmol、2.6当量)を添加し(わずかに発熱)、添加漏斗をDMSO(85g)ですすいだ。反応混合物を19~21℃で90分間撹拌し、水(680g)中の酢酸(52.18g、869.0mmol、2.6当量)の溶液を、T=<22℃(発熱性)を保ちながら滴下した。温度=<25℃を維持しながら、水(2.91kg)およびtert-ブチルメチルエーテル(2.0kg)中のKHCO(87.0g、869.0mmol、2.6当量)の溶液に、クエンチされた反応混合物を添加した。30分間撹拌した後、相を分離した。水(2.84kg)中のKCO(92.4g、668.5mmol、2.0当量)の溶液で、および水(1.7kg)で有機層を洗浄した。有機相を減圧下で870mLの体積まで濃縮した。トルエン(865g)を添加し、溶液を870mLに濃縮し、トルエン(216.2g)で希釈した。溶液(31.86% w/w)のアッセイに基づく収率は93.6%であった。キラル純度(方法B;%a/a):LLL:97.42%;LLD:検出されず;LDL:2.58%;DLL:検出されず
【0125】
実施例8
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(Va)の代替の調製
反応容器に、Fmoc-Orn(Boc)-Lys(Boc)-N(Me)-Trp(Boc)-OAll(IVa、177.2g、173.2mmol)および1093mLのDMSOの溶液を室温で投入した。N-アセチル-システイン(36.7g、1.3当量)を添加し、漏斗をDMSO(100mL)ですすいだ。固体が完全に溶解するまで反応混合物を撹拌した。温度を18~22℃に維持しながら、DMSO(47mL)中のtert-ブチルアミン(32.9g、2.6当量)の溶液を30~60分間にわたって添加した。反応混合物を18~22℃で90分間撹拌した。tert-ブチルメチルエーテル(1400mL)を添加した。混合物を10~15℃に冷却した。温度を20℃未満に保ちながら、水(354mL)中の酢酸(27.1g、2.6当量)の溶液を、滴下した。クエンチされた反応混合物を30分間撹拌し、温度を20℃未満に維持しながら、水(1220mL)中の重炭酸カリウム(38.0g、2.2当量)の溶液を添加した。30分間撹拌した後、相を分離した。水(1452mL)中の炭酸カリウム(47.6g、2.0当量)の溶液で有機層を洗浄し、次いで、水(708mL)で洗浄した。有機層をMgSO(104g)上で乾燥させた。固体をろ別し、tert-ブチルメチルエーテル(138mL)で洗浄した。ろ液を約2.0体積に濃縮した。残渣をtert-ブチルメチルエーテル(416mL)で希釈し、n-ヘプタン(416mL)を添加した(=溶液A)。溶液を0~5℃に冷却した。tert-ブチルメチルエーテル(138.5ml)中のリン酸(85%、8.45g、0.43当量)の溶液を5~10℃で調製し、0~5℃に冷却した。温度を0~5℃に維持しながら、リン酸溶液を溶液Aに添加した(約1~1.5時間)。懸濁液を0~5℃でさらに2時間撹拌した。冷n-ヘプタン(3050mL)をゆっくり添加し、撹拌を0~5℃で1時間続けた。沈殿物をろ別し、冷n-ヘプタン(277mL)で洗浄し、減圧下、25℃で乾燥させると、Orn(Boc)-Lys(Boc)-N(Me)-Trp(Boc)-OAllヘミホスファート(Va)が黄色がかった固体として得られた(112.0g、2つの工程にわたって76.2%)。
【0126】
実施例9
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[3-ブロモ-2-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)メチル]フェニル]スルファニル-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(VIIa)
トルエン(447.3g、656.3g溶液)中に溶解された3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-ケト-プロピル]インドール-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(Va、209g、260.9mmol、1.0当量)を反応容器に投入し、溶液をトルエン(1.11kg、1.28L)で希釈して、黄色の透明な溶液を得た。N-[2-ブロモ-6-[(3-ホルミル-2-ピリジル)チオ]ベンジル]カルバミン酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル(142.32g、260.9mmol、1当量)を室温で加え、添加漏斗をトルエン(144.52mL)ですすいだ。これにより、淡黄色の懸濁液が得られた。室温で酢酸(34.47g、574.05mmol、2.2当量)を添加し、漏斗をトルエン(24.12mL)ですすいだ。Ti=45~50℃および100~150mbarで、836mLのトルエンを約2時間にわたって留去した(共沸水除去)。約45℃で懸濁液は溶液に変わる。酢酸(15.67g、260.9mmol、1.0当量)を室温で添加した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(110.6g、521.86mmol、2.0当量)を添加した。添加漏斗をトルエン(836mL)ですすいだ。反応混合物を40℃で3時間撹拌した。その後、反応混合物を重炭酸ナトリウム(131.52g、1565.58mmol、6当量)および水(1.92L)の溶液に15分間にわたって添加した。添加中、ガスの発生および発泡が観察された。抽出混合物を50℃に加熱し、40分間撹拌し(ガス発生および発泡;pH=7)、次いで、撹拌せずに、一晩、室温に保った。層を分離した。有機層を水(1.28L)で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、高真空下、40℃で4時間乾燥させて、表題化合物VIIa(371g)を黄色の泡状物として得た。次の工程に対して、収率は100%と考えた。
【0127】
実施例10
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[2-(アミノメチル)-3-ブロモ-フェニル]スルファニル-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-(1-tert-ブトキシカルボニルインドル-3-イル)プロパン酸(IXa)
アセトニトリル(1.1L)中の3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[[3-ブロモ-2-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)メチル]フェニル]チオ]-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-ケト-プロピル]インドール-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(VIIa、347.15g、0.261mol)を反応容器に投入した。ジエチルアミン(95.42g、1.3mol、5.0当量)を室温で添加し、添加漏斗をアセトニトリル(28mL)ですすいだ。パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(1.51g、0.001mol、0.005当量)を室温で添加し(わずかに発熱)、添加漏斗をアセトニトリル(68mL)ですすいだ。反応混合物を室温で45分間撹拌した。N-アセチル-システイン(51.1g、0.313mol、1.2当量)を加え、添加漏斗をアセトニトリル(435.1mL)ですすぎ、反応混合物を50℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を室温で一晩さらに撹拌した。ジシクロヘキシルアミン(61.51g、0.339mol、1.3当量)を添加し、添加漏斗をアセトニトリル(28mL)ですすいだ。反応混合物を室温で1時間撹拌した(約10分後、溶液は懸濁液に変わる)。Ti最高35℃/180~160mbarおよび一定体積のアセトニトリル(2.26L)で、ジエチルアミンを共沸蒸留によって除去した。反応混合物をろ別し、反応器およびろ過ケーキをアセトニトリル(1.1L)で洗浄した。減圧下、40℃でろ液を蒸発させ、残渣を高真空下で2時間乾燥させた。
【0128】
実施例11
(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[2-(アミノメチル)-3-ブロモ-フェニル]スルファニル-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-(1-tert-ブトキシカルボニルインドル-3-イル)プロパン酸(IXa)の代替の調製
未精製のtert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[3-ブロモ-2-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)メチル]フェニル]スルファニル-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(VIIa、43.6g、31.2mmol)をアセトニトリル(211.6g)に溶解した。溶液を減圧下で100~110mLの体積に濃縮し、アセトニトリル(218.0g)で希釈した。ジエチルアミン(22.8g、10.0当量)を添加し、添加漏斗をアセトニトリル(4.2g)ですすいだ。パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(180.4mg、0.005当量)を添加し、漏斗をアセトニトリル(2.1g)ですすいだ。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。N-アセチルシステイン(6.1g、1.2当量)を添加した。漏斗をアセトニトリル(4.2g)ですすぎ、反応混合物を室温で3時間撹拌した。ジシクロヘキシルアミン(7.4g、1.3当量)を添加し、移送ラインをアセトニトリル(4.2g)ですすいだ。アセトニトリル(218.0g)を添加しながら、一定体積で、減圧下45℃で反応混合物を蒸留した。形成された懸濁液を室温に冷却し、室温で1時間撹拌し、3時間にわたって0℃に冷却し、0℃で10時間撹拌する。沈殿物をろ別し、冷アセトニトリル(54.5g)で洗浄し、減圧下でろ液を蒸発させ、高真空下で乾燥させた。残渣をそのまま使用し、次の工程での100%収率を仮定した。
【0129】
実施例12
tert-ブチル3-[[(11S,14S,17S)-22-ブロモ-14-[4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブチル]-11-[3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロピル]-16-メチル-12,15,18-トリオキソ-2-チア-4,10,13,16,19-ペンタアザトリシクロ[19.4.0.03,8]ペンタコサ-1(25),3,5,7,21,23-ヘキサエン-17-イル]メチル]インドール-1-カルボキシラート(Ia)
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(79.92g、0.522mol、4.0当量)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(100.05g、0.522mol、4.0当量)およびジクロロメタン(1.07L)を室温で反応器に投入した(吸熱Ti13℃)。懸濁液はゆっくり溶液を形成した。ジクロロメタン(695mL)中の(2S)-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[[2-(アミノメチル)-3-ブロモ-フェニル]チオ]-3-ピリジル]メチルアミノ]-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-(1-tert-ブトキシカルボニルインドル-3-イル)プロピオン酸(IXa、139.36g、0.130mol)の溶液を室温で4時間以内に添加した。添加漏斗をジクロロメタン(92.8mL)ですすいだ。反応混合物を室温でさらに30分間撹拌した。水(670.0mL)中の重炭酸ナトリウム(48.95g、0.583mol、4.47当量)の溶液を30分以内に添加し(ガス発生)、30~40分間撹拌を続けた。相を分離した。水(670.0mL)中の重炭酸ナトリウム(48.95g、0.583mol、4.47当量)の溶液で有機層を2回洗浄し、次いで、水(670.0mL)で洗浄した。有機相を25~35℃/700~600mbarで479mLの体積まで濃縮した。蒸留中に結晶が沈殿し始めた。一定体積および48~52℃/600~300mbarで、溶媒を酢酸エチル(1.1L)に交換した。得られた微細懸濁液を30分以内に室温まで冷却し、室温でさらに1時間撹拌した。n-ヘプタン(349.15mL)を60分以内に添加し、懸濁液を室温で一晩撹拌した。沈殿物をろ別し、酢酸エチル(157.3mL)とn-ヘプタン(157.3mL)の混合物でろ過ケーキを洗浄した。高真空下、50℃で粉末を乾燥させると、表題化合物Ia(92.8g、67.7%)がベージュ色の粉末として得られた。キラル純度(方法C;%a/a):0.02%DLL;99.18%LLL;0.52%LDL;0.29%LLD。
【0130】
この生成物をさらに精製した:得られた化合物Ia(90.63g)を室温でジクロロメタン(406mL)に溶解し、木炭パッドでフィルタにかけた。フィルタをジクロロメタン(362mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で447mLの体積まで濃縮した。酢酸エチル(555mL)を添加し、減圧下一定の体積(1002mL)で、32~65℃の内部温度で溶媒を酢酸エチル(1590mL)と交換した。酢酸エチル(394mL)を減圧下60~65℃で留去した。橙褐色の懸濁液を室温までゆっくり冷却し(0.15K/分)、16時間熟成させた。nヘプタン(203mL)を45分以内に添加し、懸濁液を2時間撹拌した。沈殿物をろ別し、酢酸エチル(270mL)とnヘプタン(89mL)の混合物で洗浄し(2回に分けて、ゆっくりとろ過)、高真空下にて60℃で乾燥させて、Ia(62.26g、61%)を白色粉末として得た。キラル純度(方法C;%a/a):100%
【0131】
実施例13
tert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(Va)
MeCN(210mL)中のtert-ブチル3-[(2S)-3-アリルオキシ-2-[[(2S)-6-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-[[(2S)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ペンタノイル]アミノ]ヘキサノイル]-メチル-アミノ]-3-オキソ-プロピル]インドール-1-カルボキシラート(IVa、19.5g、19.1mmol、1当量)の溶液を反応器に投入した。tert-アミルアミン(5.32g、61mmol、3.2当量)ならびにMeCN(15mL)中のN-アセチル-システイン(4.04g、24.8mmol、1.3当量)および(DBF-N-アセチルシステイン付加物tアミルアミン塩の)種晶の懸濁液を投入した。添加漏斗をMeCN(15mL)で反応器中に洗浄した。反応混合物を室温で20時間(IPC:大部分が脱保護された)、次いで50℃で7時間撹拌した(完全な脱保護および主にN-アセチル-システイン-DBF付加物)。反応混合物を室温に冷却し、フィルタにかけてN-アセチル-システイン-DBF付加物の大部分を除去した。ろ過ケーキをMeCN(100mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮した(50℃、300~60mbar)。残渣をMe-THF(250mL)に再溶解し、水(225g)中のKCO(25g)の溶液および水(200mL)中のNaCl(28g)の溶液で順次2回洗浄した。溶液を減圧下(50℃、350~15mbar)で濃縮乾固して、生成物(油状物として14.8g)を97%の粗収率で得た(230nmでLCにより85a%)。
【国際調査報告】