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特表2025-505539ヒマワリオレオソーム濃縮物及びその調製プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】ヒマワリオレオソーム濃縮物及びその調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20250220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20250220BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20250220BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20250220BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20250220BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20250220BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250220BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20250220BHJP
   A23L 25/00 20160101ALI20250220BHJP
【FI】
A23D9/00
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K36/28
A61K8/9789
A61K8/04
A61P3/02
A61K9/10
A61K9/48
A61K47/42
A61K47/44
A23K10/30
A23L33/115
A23L5/00 L
A23L29/00
A23L25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544885
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2023061357
(87)【国際公開番号】W WO2023150462
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】22155054.4
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カバス-ロドリゲス、ルシア
(72)【発明者】
【氏名】グーセンス、エリアン イヴォンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシャトコ、グスタフ マクシミリアン
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B026
4B035
4B036
4C076
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AB02
2B150AE13
2B150BC06
2B150CE15
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018MD15
4B018MD20
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF03
4B018MF07
4B018MF14
4B026DG08
4B026DL04
4B026DP01
4B026DP03
4B026DP10
4B026DX02
4B035LC16
4B035LE02
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG33
4B035LP21
4B035LP22
4B035LP43
4B035LP50
4B035LP56
4B036LE02
4B036LH28
4B036LP05
4B036LP07
4B036LP11
4B036LP22
4B036LP24
4C076AA16
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC21
4C076CC47
4C076EE41
4C076EE58
4C076FF11
4C076FF51
4C076GG41
4C083AA111
4C083AA112
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC33
4C083CC41
4C083DD14
4C083DD31
4C083DD39
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
4C088AB26
4C088MA02
4C088MA21
4C088NA03
4C088NA05
4C088ZC22
(57)【要約】
本発明は、ヒマワリオレオソーム濃縮物を調製するためのプロセスであって、順番に、a)ヒマワリ種子を粉砕し、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーを得る工程と、b)ヒマワリオレオソーム画分を単離する工程と、c)それを6.6~7.0のpHで洗浄し、ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する工程とを含む、プロセスを記載する。本発明は更に、オレオソーム濃縮物の乾燥重量で表して8~17重量%のタンパク質含有量を有するヒマワリオレオソーム濃縮物を記載する。本発明は、食品及び飼料製品、栄養組成物並びに工業製品などを調製するためのプロセスを記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒマワリオレオソーム濃縮物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、順番に、
a)水溶液の存在下でヒマワリ種子を粉砕し、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーを得る工程と、
b)前記ヒマワリ種子スラリーからヒマワリオレオソーム画分を単離する工程と、
c)前記ヒマワリオレオソーム画分を6.6~7.0の範囲のpHで洗浄し、前記ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する工程と、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ヒマワリ種子が、高オレイン酸及び/又は中オレイン酸ヒマワリ種子から供給される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ヒマワリ種子の前記粉砕の前に、前記ヒマワリ種子の浸漬及び/又は洗浄が行われる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程c)で得られた前記ヒマワリオレオソーム濃縮物を熱処理工程及び/又は脱水工程に供する工程を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
還元剤及び/又は酸味料の添加を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ヒマワリオレオソーム濃縮物であって、前記オレオソーム濃縮物の乾燥重量で表して、
-8.0~17.0重量%のタンパク質含有量と、
-83.0~92.0重量%の脂質含有量であって、その少なくとも70%がオレオソームとして存在する、脂質含有量と、を含む、ヒマワリオレオソーム濃縮物。
【請求項7】
0.09~0.20の範囲のタンパク質対脂質比を有する、請求項6に記載のヒマワリオレオソーム濃縮物。
【請求項8】
最大0.5重量%の繊維含有量を有する、請求項6又は7に記載のヒマワリオレオソーム濃縮物。
【請求項9】
30~35%の範囲の乾燥物質及び6.9~7.1の範囲のpHに標準化されたヒマワリオレオソーム濃縮物について、D65光源、10°の観測角、及び開口サイズ30mmを使用して測定した、
・85~95、86~94、若しくは87~93の範囲である°h及び8.0~14.0、8.2~13.8、若しくは8.4~13.6であるC、又は
・95超、96超、若しくは97超である°h及び10.0未満、9.8未満、若しくは9.6未満であるC
のCIELABによる色値で表される色を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載のヒマワリオレオソーム濃縮物。
【請求項10】
食品及び飼料製品、医薬品、パーソナルケア製品、栄養組成物並びに工業製品を調製するためのプロセスであって、請求項6~9のいずれか一項に記載のヒマワリオレオソーム濃縮物をオレオソーム以外の少なくとも1つの成分とブレンドする工程を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2022年2月3日に出願された欧州特許出願第22155054.4号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒマワリ種子からヒマワリオレオソーム濃縮物を単離するためのプロセスに関する。本発明は更に、ヒマワリオレオソーム濃縮物、並びに当該ヒマワリオレオソーム濃縮物を含む食品及び飼料製品、医薬品、パーソナルケア製品、栄養組成物及び工業製品を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
オレオソームは、「油体」、「脂質体」、「脂肪滴」又は「スフェロソーム」としても知られ、植物種子中に貯蔵された油の予備乳化液滴又は小胞であり、植物成長及び代謝のためのエネルギー源として使用される。
【0004】
オレオソームは、典型的には、種子を粉砕し、続いて固液分離してオレオソームの水性懸濁液を得るプロセスによって細胞から抽出される。当該懸濁液を遠心分離して、オレオソームを残りの種子内容物から分離し、オレオソーム濃縮物を得る。
【0005】
オレオソーム濃縮物を単離するためのプロセス条件は、油糧種子から得られるオレオソーム濃縮物の収率が最大化されるようなものであることが重要である。残念ながら、収率を最大化する一方で、既存のプロセスに従って得られるオレオソーム濃縮物は、堅牢性が低く、興味のある栄養プロファイルが低く、クリーミーな感覚効果が低い。これは、ヒマワリ種子からオレオソーム濃縮物を単離する場合に特に当てはまる。
【0006】
したがって、堅牢性、栄養プロファイル及び感覚特性に関して改善された品質を有するヒマワリオレオソーム濃縮物を得るための効率的かつ有効な方法を特定することが産業界において必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ヒマワリオレオソーム濃縮物を調製するためのプロセスに関し、このプロセスは、順番に、
a)水溶液の存在下でヒマワリ種子を粉砕し、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーを得る工程と、
b)ヒマワリ種子スラリーからヒマワリオレオソーム画分を単離する工程と、
c)ヒマワリオレオソーム画分を6.6~7.0の範囲のpHで洗浄し、ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する工程と、を含む。
【0008】
本発明はまた、ヒマワリオレオソーム濃縮物であって、全乾燥物に基づいて、
・8.0~17.0重量%のタンパク質含有量と、
・83~92重量%の脂質含有量であって、その少なくとも70重量%がオレオソームとして存在する、脂質含有量と、を有することを特徴とする、ヒマワリオレオソームに関する。
【0009】
更に、本発明は、食品及び飼料製品、医薬品、パーソナルケア製品、栄養組成物並びに工業製品を調製するためのプロセスであって、本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物をオレオソーム以外の少なくとも1つの成分とブレンドする工程を含む、プロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、単離されたヒマワリオレオソーム濃縮物を調製するためのプロセスに関し、このプロセスは、順番に、
a)水溶液の存在下でヒマワリ種子を粉砕し、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーを得る工程と、
b)ヒマワリ種子スラリーからヒマワリオレオソーム画分を単離する工程と、
c)ヒマワリオレオソーム画分を6.6~7.0の範囲のpHで洗浄し、ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する工程と、を含む。
【0011】
本発明のプロセスのために、ヒマワリ(Helianthus annuus)種に属する任意のタイプのヒマワリ種子を使用することができる。
【0012】
いくつかのタイプのヒマワリ種子が存在し、各々、これらの種子中に存在する油の脂肪酸プロファイルを特徴とする。ヒマワリ種子は、66~72%のリノール酸、9~13%の飽和脂肪酸(パルミチン酸及びステアリン酸)、17~23%のオレイン酸、及び1%未満のα-リノレン酸の典型的なプロファイルを特徴とするヒマワリ油を含有する。
【0013】
ヒマワリ種子の他の周知の品種は、中オレイン酸ヒマワリ種子及び高オレイン酸ヒマワリ種子である。典型的には、高オレイン酸ヒマワリ油は、7~11%のリノール酸、7~11%の飽和脂肪酸(パルミチン酸及びステアリン酸)、80~86%のオレイン酸、及び1%未満のα-リノレン酸の含有量を特徴とする。典型的には、中オレイン酸ヒマワリ油は、24~28%のリノール酸、7~11%の飽和脂肪酸(パルミチン酸及びステアリン酸)、62~68%のオレイン酸、及び1%未満のα-リノレン酸の含有量を特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて使用されるヒマワリ種子は、中オレイン酸ヒマワリ種子又は高オレイン酸ヒマワリ種子であり、より好ましくは、高オレイン酸ヒマワリ種子である。
【0015】
本発明によるプロセスのプロセス工程a)~c)、並びに任意選択で浸漬及び洗浄のプロセス工程は、60℃、好ましくは55℃、より好ましくは50℃を超えない温度で行われる。
【0016】
更に、本発明によるプロセスのプロセス工程a)~c)、並びに任意選択で浸漬及び洗浄のプロセス工程は、有機溶媒の非存在下で行われる。有機溶媒としては、アセトン、ヘキサン、エタノールなどで有り得る。
【0017】
工程a)7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーを得る工程
ヒマワリ種子スラリーは、本発明によるプロセスの工程a)において得られる。
【0018】
ヒマワリ種子スラリーは、オレオソーム、繊維及びタンパク質を含むスラリーである。「オレオソーム」は、「油体」、「脂質体」、「脂肪滴」又は「スフェロソーム」としても知られ、油の貯蔵のために細胞又は植物種子中に本来存在する予備乳化された液滴又は小胞である。それらは、植物成長及び代謝のためのエネルギー源として使用される。
【0019】
典型的には、ヒマワリ種子は、粉砕前に洗浄及び/又は脱皮される。
【0020】
ヒマワリ種子は、限定されないが、ボールミル、歯付きコロイドミル、ストーンミル、又はローターステーターミルなどのミルを使用して粉砕される。粉砕については、粉砕の前に、ヒマワリ種子に、15/1~3/1、12/1~4/1又は10/1~5/1の水対乾燥種子の比で水溶液を添加する。好ましくは、粉砕は、4~20℃、4~10℃、又は4~8℃の範囲の温度で行われる。
【0021】
本発明の一態様では、工程a)におけるヒマワリ種子の粉砕の前に、ヒマワリ種子の浸漬及び/又は洗浄が行われる。
【0022】
ヒマワリ種子は、0.5~48時間、0.75~24時間、又は1.0~12時間の期間にわたって水溶液に浸漬され得る。ヒマワリ種子は、浸漬期間中に撹拌されてもよい。その後、ヒマワリ種子を水溶液と一緒に粉砕する。好ましくは、浸漬は、4~20℃、4~10℃、又は4~8℃の範囲の温度で行われる。
【0023】
任意に、浸漬期間の後、粉砕の前に、水溶液を除去してもよく、新鮮な水溶液を添加することによってヒマワリ種子を1回以上洗浄してもよい。その後、ヒマワリ種子を水溶液と一緒に粉砕する。
【0024】
ヒマワリ種子スラリーの調製においてすなわち、粉砕、浸漬及び/又は洗浄のために使用される水溶液は、水である。任意選択で、水溶液は、7.0~7.2、又は7.1~7.2のpHを有するアルカリ性水溶液であってもよい。限定されないが、水酸化ナトリウム又は重炭酸ナトリウムなどのアルカリ性水溶液を使用することができる。
【0025】
本発明によるプロセスの工程a)から得られるヒマワリ種子スラリーは、工程b)の前に7.0~7.2、又は7.1~7.2のpHを有する。
【0026】
7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーは、ヒマワリ種子スラリーに濃アルカリ溶液を添加することによって得ることができる。代替的に、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーは、ヒマワリ種子を粉砕するためにアルカリ性溶液を使用することによって、及び任意選択で、濃アルカリ溶液を添加することによってpHを更に調整することによって得ることができる。ヒマワリ種子スラリーは、7.0~7.2、又は7.1~7.2の範囲のpHを有し得る。
【0027】
本発明によるプロセスの工程a)における粉砕のプロセス工程は、5~200ミクロン、10~190ミクロン、又は15~180ミクロンの範囲のサイズを有する粒子を有するヒマワリ種子スラリーをもたらす。
【0028】
ヒマワリ種子スラリーは、全乾燥物に基づいて、
・12~28重量%、又は15~25重量%、又は17~23重量%のタンパク質含有量と、
・その少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%がオレオソーム中に含有される、55~70重量%、又は58~68重量%、又は60~65重量%の脂質含有量であって、その少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%がオレオソーム中に含有される、脂質含有量と、
・5~11重量%、又は6~10重量%、又は7~9重量%の繊維含有量と、を有することを特徴とする。
【0029】
本発明において、「脂質」又は「複数の脂質」という用語は、トリ-、ジ-、モノグリセリド、脂肪酸及びリン脂質を包含する。
【0030】
本発明において、ヒマワリ種子スラリー、ヒマワリオレオソーム画分、又はヒマワリオレオソーム濃縮物などの組成物のタンパク質含有量は、組成物の総窒素含有量に6.25を掛けたものとして表され、当該総窒素含有量は、デュマ燃焼法に従って決定される。
【0031】
焙煎
本発明の一態様では、ヒマワリ種子は、本発明によるプロセスの工程a)の前に焙煎プロセスに供されてもよい。焙煎は、110~145℃の温度で15~60分間、115~135℃で20~45分間、又は120℃~130℃で30~50分間、熱風を用いて適用され得る。焙煎中、10~30%、12~25%、又は15~20%の範囲の相対湿度を適用することができる。この湿度レベルは、焙煎中に蒸気を注入することによって達成することができる。
【0032】
ヒマワリ種子の焙煎は、本発明によるプロセスで得られるオレオソーム濃縮物の心地よい味及び/又は風味をもたらすことができる。焙煎工程に供されていないヒマワリ種子からのそのようなオレオソーム濃縮物の味は、より植物性の青みのある味として説明され得る。ヒマワリ種子を焙煎プロセスに供することによって、植物性の青みのある味は、これらのヒマワリ種子、又はこれらのヒマワリ種子からのオレオソーム濃縮物から除去され得る。ヒマワリオレオソーム濃縮物が使用される食品用途に応じて、より心地よいと知覚され得る、より中立的な味が得られる。しかしながら、これらのヒマワリオレオソーム濃縮物は、焙煎に関連する典型的な風味を実質的に有さないか、又はわずかしか有さない。
【0033】
工程b)ヒマワリオレオソーム画分を単離する
本発明のプロセスの工程b)において、ヒマワリオレオソーム画分は、7.0~7.2のpHを有するヒマワリ種子スラリーから単離される。好ましくは、ヒマワリオレオソーム画分の単離は、4~20℃、4~10℃、又は4~8℃の範囲の温度で行われる。
【0034】
ヒマワリ種子画分を単離するために、工程a)から得られたヒマワリ種子スラリーは、固体画分と液体画分とに分離され得る。分離は、濾過、遠心分離、又はデカンテーションによって行うことができる。得られた固体画分は、繊維を豊富に含む画分(ヒマワリケーキ)である。液体画分は、タンパク質及びオレオソームを含有する。
【0035】
得られた液体画分は、続いて、遠心加速を適用することによって更に分離され、遠心加速は、濾液を2つの液相、すなわち、水相すなわち、タンパク質を豊富に含む画分(ヒマワリミルク)と油性オレオソーム含有相(ヒマワリクリーム)(すなわち、ヒマワリオレオソーム画分)とに分離する。
【0036】
代替的に、ヒマワリ種子画分を単離するために、本プロセスの工程b)において、工程a)からのヒマワリ種子スラリーは、遠心分離機tricanterを使用する液固液分離(三相分離)に供されてもよい。このような分離は、3つの画分:ヒマワリオレオソーム画分(ヒマワリクリーム)、繊維を豊富に含む画分(ヒマワリケーキ)、及びタンパク質を豊富に含む画分(ヒマワリミルク)をもたらす。
【0037】
一態様では、本発明によるプロセスは、有機溶媒の非存在下で行われる。有機溶媒としては、アセトン、ヘキサン、エタノールなどが挙げられ得る。
【0038】
工程c)ヒマワリオレオソーム画分を洗浄し、ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する
本発明のプロセスの工程c)において、ヒマワリオレオソーム画分は、6.6~7.0、6.6~6.9、又は6.7~6.8の範囲のpHで洗浄され、その後、ヒマワリオレオソーム濃縮物が単離される。
【0039】
洗浄のために、ヒマワリオレオソーム画分は、水溶液、例えば水又は緩衝液、例えば重炭酸ナトリウム(NaHCO)緩衝液などに再懸濁される。再懸濁されたヒマワリオレオソーム画分の乾燥物含有量は、7~15重量%、8~14重量%、9~13重量%の範囲であってよい。洗浄されたヒマワリオレオソーム画分のpHは、塩酸、硫酸、乳酸、クエン酸などの10%溶液などの酸水溶液を使用して調整することができる。続いて、ヒマワリオレオソーム濃縮物は、遠心加速を適用することによって、再懸濁されたヒマワリオレオソーム画分から単離される。遠心加速は、2つの液相、水相、すなわち、タンパク質を豊富に含む画分及び油性オレオソーム含有相、すなわちヒマワリオレオソーム濃縮物をもたらす。洗浄工程は、1~4回行われてもよい。
【0040】
本発明の一態様では、ヒマワリオレオソーム画分は、カリウムイオン(K)、ナトリウムイオン(Na)、マグネシウムイオン(Mg2+)又はカルシウムイオン(Ca2+)などの一価及び/又は二価のカチオンを有する塩水溶液中で洗浄される。好適な塩溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなど、及びそれらの2つ以上の組み合わせの水溶液であってよい。好ましくは、塩水溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、ヒマワリオレオソーム画分は、重炭酸ナトリウムの塩水溶液中で洗浄される。
【0041】
ヒマワリオレオソーム画分を洗浄するための塩水溶液は、0.0.005~0.20M、0.0.01~0.18M、又は0.02~0.15Mの範囲の濃度を有し得る。
【0042】
本発明の一態様において、本プロセスは、還元剤及び/又は酸味料の添加を含まない。還元剤及び/又は酸味料の例は、アスコルビン酸、エリソルビン酸、イソチオシアン酸アリル、システイン、グルタチオン、ジチオスレイトール、亜硫酸水素ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、カルノシン酸、それらの任意の誘導体、及びそれらの2つ以上の任意の組み合わせである。
【0043】
本発明によるプロセスの工程c)から得られるヒマワリオレオソーム濃縮物は、全乾燥物に基づいて、8.0~17.0重量%、9.0~16.5重量%、13.0~16.0重量%のタンパク質含有量を有することを特徴とする。
【0044】
本発明によるプロセスの工程c)から得られるヒマワリオレオソーム濃縮物は、それが、全乾燥物に基づいて、
・8.0~17.0重量%、9.0~16.5重量%、13.0~16.0重量%のタンパク質含有量と、
・83.0~92.0重量%、又は83.5~91.0重量%、又は84.0~87.0重量%の脂質含有量であって、その少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%がオレオソームとして存在する、脂質含有量と、を有することを特徴とする。
【0045】
言い換えれば、最大30%、最大20%、又は最大10%の脂質含有量が遊離油として存在する。
【0046】
ヒマワリオレオソーム濃縮物は、更に、0.5重量%まで、0.4重量%まで、又は0.3重量%までの量の少量の残留繊維、及び/又は全乾燥物に対して0.7重量%までの量の灰分として表されるミネラルを含んでもよい。
【0047】
本発明によるプロセスの工程c)から得られるヒマワリオレオソーム濃縮物は、0.09~0.20、0.10~0.19、又は0.12~0.18の範囲のタンパク質対脂質比を有する。
【0048】
本発明によるプロセスの工程c)から得られるヒマワリオレオソーム濃縮物中のオレオソームは、1.0~2.0ミクロン(μm)、1.1~1.8ミクロン、又は1.2~1.6ミクロンの範囲の平均小球径(D50)を有する。
【0049】
本発明では、オレオソームの平均小球径は、D50値(D50)として表される。オレオソームのD50値は、オレオソーム粒子の体積の50%が存在する直径であり、ミクロン(=マイクロメートル、記号:μm)で表される。
【0050】
オレオソームの平均小球径(D50値)を測定するために、オレオソームは球状とみなされ、非球状オレオソームの場合、直径は、その表面上の2つの対向する点の間で測定することができる最大寸法であるとみなされる。
【0051】
Malvern製のMastersizer 3000を用いてオレオソームの小球径を測定できるようにするために、オレオソームは、3.0~8.0%、好ましくは4.0~6.0%の範囲の不透明度(obscuration)が得られるように希釈される必要がある。Mastersizer内の不透明度は、粒子によって遮断又は散乱される光の量である。したがって、オレオソームを、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、及び1.0重量%のドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulphate、SDS)を含有する緩衝溶液中で希釈する。いくつかの指針を与えるために、約0.2重量%のオレオソームを緩衝溶液で希釈し、希釈を更に調整して前述の不透明度を得る。この最適な不透明度が得られたら、小球径を測定し、平均小球径(D50)を計算することができる。本出願において適用される実際の方法は、「実施例:平均小球サイズの測定」のセクションにおいて詳細に提供される。
【0052】
本発明によるプロセスは、27~55乾燥重量%、30~50乾燥重量%又は35~45乾燥重量%の範囲のヒマワリオレオソーム濃縮物の収率をもたらす。オレオソーム濃縮物の収率は、ヒマワリ種子スラリーの100g乾燥重量から得られたオレオソーム濃縮物の乾燥重量として表される。
【0053】
本発明によるプロセスは、白色又は乳白色のヒマワリオレオソーム濃縮物をもたらす。ヒマワリオレオソーム濃縮物は、30~35%の範囲の乾燥物質及び6.9~7.1の範囲のpHに標準化されたヒマワリオレオソーム濃縮物について、D65光源、10°の観測角、鏡面反射成分を除き、視野径30mmを使用して測定した、
・85~95、86~94、若しくは87~93の範囲である°h及び8.0~14.0、8.2~13.8、若しくは8.4~13.6であるC、又は
・95超、96超、若しくは97超である°h及び10.0未満、9.8未満、若しくは9.6未満であるC
のCIELABによる色値を有する。
【0054】
各色は、多数の色空間によって表すことができる。これらの空間は、一連の標準条件下で国際照明委員会(Commision International d’Eclairage、CIE)によって標準化されている。CIELAB Lは、比色計情報の分析のために一般的に使用される色空間であり、ここで、Lは明度又は暗度を定義し、aは赤色度又は緑色度を定義し、bは黄色度又は青色度を定義する。
【0055】
色相(°h)及び色度(C)は、測定されたL値に基づいて計算することができる。
【0056】
色相角(°h)は、赤、緑、及び青などの主要なスペクトル成分の度合いを指し、0°~360°の範囲である。0°又は360°の角度は赤色の色相を表す。90°、180°、及び270°の角度は、それぞれ、黄色、緑色、及び青色の色相を表す。
【0057】
色測定は、30~35%の範囲の乾燥物質及び6.9~7.1の範囲のpHに標準化されたヒマワリオレオソーム濃縮物について、光源D65、10°の観測角及び30mmの開口サイズを使用して実施する。
【0058】
本発明によるプロセスを適用することによって、8~17重量%の範囲のタンパク質含有量を有し、乳白色を有するヒマワリオレオソーム濃縮物を得ることが可能であることが今では判明している。本発明によるプロセスは、安定なオレオソームをもたらし、ヒマワリオレオソーム濃縮物中に遊離油を全く存在させないか、又はごく少量しか存在させないことが判明している。本発明によるプロセスはまた、天然に存在するヒマワリオレオソームのサイズと比較して、オレオソームのサイズ増加を引き起こさないか、又はごくわずかなサイズ増加しか引き起こさない。ヒマワリオレオソーム濃縮物は、ナッツ風味が少なく、異味、例えば、これらに限定されないが、苦い、金属的又は青っぽい異味の少ないクリーミーで心地よい味を有する。
【0059】
比較すると、オレオソーム濃縮物を単離するための既存のプロセスにおけるpHは高く、通常pH8.0超であり、その後の高pHでの洗浄工程は、タンパク質の著しい損失を引き起こす。オレオソームヒマワリ濃縮物のタンパク質含有量は、オレオソームの安定性に必須である。不安定なオレオソームは、油を容易に放出する。遊離油の存在は、特定の食品用途では、例えば泡安定性などの所望の機能性に対して有害である。追加的に、既存のプロセスに従って得られるヒマワリオレオソーム濃縮物は、望ましくない緑色を有する。
【0060】
オレオソーム濃縮物の更なる処理
本発明の別の態様では、ヒマワリオレオソーム濃縮物に熱処理を施してもよい。熱処理は、低温殺菌処理又は超高温(ultra-high-temperature、UHT)処理であってもよい。低温殺菌処理は、65℃~70℃の温度で30分間バッチで、又は80℃~86℃で15~30秒間連続フロープロセス(高温短時間低温殺菌(HTST低温殺菌))でオレオソームを加熱することを含む。UHT処理は、オレオソームを連続フロープロセスで135℃~150℃の温度で加熱し、その温度で1秒以上、最大5秒間保持した後、急速に室温に冷却することを含む。
【0061】
任意選択で、ヒマワリオレオソーム濃縮物又は熱処理されたヒマワリオレオソーム濃縮物は、噴霧乾燥又は凍結乾燥(これらに限定されない)による脱水工程に更に供されてもよい。
【0062】
本発明のヒマワリオレオソーム濃縮物
本発明は、ヒマワリオレオソーム濃縮物であって、全乾燥物に基づいて、
・8.0~17.0重量%、9.0~16.5重量%、13.0~16.0重量%のタンパク質含有量と、
・83.0~92.0重量%、又は83.5~91.0重量%、又は84.0~87.0重量%の脂質含有量であって、その少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%がオレオソームとして存在する、脂質含有量と、を有することを特徴とする、ヒマワリオレオソーム濃縮物に更に関する。
【0063】
言い換えれば、最大30%、最大20%、又は最大10%の脂質含有量が遊離油として存在する。
【0064】
ヒマワリオレオソーム濃縮物は、更に、0.5重量%まで、0.4重量%まで、又は0.3重量%までの量の少量の残留繊維、及び/又は全乾燥物に対して0.7重量%までの量の灰分として表されるミネラルを含んでもよい。
【0065】
単離されたヒマワリオレオソーム濃縮物のタンパク質は、「内在性タンパク質」などのタンパク質を含むが、これに限定されない。
【0066】
当該内因性タンパク質は、大部分がオレオシンである。カレオシン及びステレオロシン(stereolosin)は、微量な内因性タンパク質である。オレオシンは、単離されたオレオソームの表面に存在する親水性部分と、脂質に固定されてオレオソームの安定性を確保する疎水性部分とを含有する。pH8以上のアルカリ性条件下でさえ、タンパク質は強く結合したままであるが、弱く結合したタンパク質はアルカリ性条件下で除去される。
【0067】
本発明に従って得られるヒマワリオレオソーム濃縮物は、0.09~0.20、0.10~0.19、又は0.12~0.18の範囲のタンパク質対脂質比を有する。
【0068】
ヒマワリオレオソーム濃縮物中のオレオソームは、1.0~2.0ミクロン(μm)、1.1~1.8ミクロン、又は1.2~1.6ミクロンの範囲の平均小球径(D50)を有する。
【0069】
ヒマワリオレオソーム濃縮物は、乳白色を有することを更に特徴とする。ヒマワリオレオソーム濃縮物は、30~35%の範囲の乾燥物質及び6.9~7.1の範囲のpHに標準化されたヒマワリオレオソーム濃縮物について、D65光源、10°の観測角、鏡面反射成分を除き、視野径30mmを使用して測定した、
・85~95、86~94、若しくは87~93の範囲である°h及び8.0~14.0、8.2~13.8、若しくは8.4~13.6であるC、又は
・95超、96超、若しくは97超である°h及び10.0未満、9.8未満、若しくは9.6未満であるC
のCIELABによる色値で表される色を有する。
本発明の一態様では、ヒマワリオレオソーム濃縮物は、還元剤及び/又は酸味料を含まない。
【0070】
本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物は、既存のプロセスを使用することによって得られるヒマワリオレオソーム濃縮物と比較して高いタンパク質含有量及びタンパク質対脂質比を有する。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、このより高いタンパク質含有量及びより高いタンパク質対脂質比は、ヒマワリオレオソーム濃縮物中のオレオソームの堅牢性の増加をもたらし得る。本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物は、食品、飼料及び/又は化粧品などの製品の調製における特定のプロセス中に生じるせん断力に対してより耐性であり得る。遊離油は、本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物からあまり容易に放出されない可能性があり、これは食品の製造に有益であり得る。本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物の起泡能力及びせん断抵抗の増加が観察され、これは含気製品の製造に有益であり得る。
【0071】
追加的に、既存のプロセスを使用することによって得られるヒマワリオレオソーム濃縮物と比較して、そのより高いタンパク質含有量のために、本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物は、より興味深い栄養プロファイルを有し、栄養食品組成物中のタンパク質のより良好な供給源である。結果として、所望のタンパク質含有量に達するために、タンパク質単離物などの追加のタンパク質を食品組成物に添加する必要がより少なくなる。このような追加のタンパク質単離物は、不快と知覚される顕著な野菜の味をもたらすことが多い。
【0072】
更に、本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物のより高いタンパク質含有量は、より良好な感覚的品質をもたらす。ヒマワリオレオソーム濃縮物は、とりわけ、既存のプロセスを使用して得られ、より低いタンパク質含有量を有するヒマワリオレオソーム濃縮物と比較して、よりクリーミーで、水っぽい口当たりが少ない。
【0073】
ヒマワリオレオソーム濃縮物を含む製品を調製するためのプロセス
本発明はまた、食品及び飼料製品、医薬品、パーソナルケア製品、栄養組成物並びに工業製品を調製するためのプロセスであって、本発明によるヒマワリオレオソーム濃縮物をオレオソーム以外の少なくとも1つの成分とブレンドする工程を含む、プロセスに関する。
【0074】
このような食料製品及び飼料製品の例としては、これらに限定されないが、コーヒー、紅茶、抹茶、カカオ、果汁などの飲料;生乳、加工乳、乳酸飲料などの乳成分含有飲料;カルシウム強化飲料及び同様のもの、並びに食物繊維含有飲料などの栄養富化飲料を含む様々な飲料;バター、チーズ、ヴィーガンチーズ、ヨーグルト、コーヒー用クリーム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、カスタードプディングなどの冷蔵又は常温の乳製品;マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、ショートニングなどの加工された脂肪食品;スープ;シチュー;ソース、ドレッシングなどの調味料;混練マスタードによって代表される様々なペースト状調味料;ジャム及び小麦粉ペーストという特徴を示す様々な具;赤インゲン豆ジャム、ゼリー、及び嚥下障害者のための食品を含む、様々な又はゲル若しくはペースト様食品;パン、麺、パスタ、ピザパイ、コーンフレークなどの主成分として穀物を含有する食品;日本、米国、及び欧州のケーキ、キャンディ、クッキー、ビスケット、ホットケーキ、チョコレート、餅など;茹でた魚肉団子、魚肉団子などで代表される練り水産物、ハム、ソーセージ、ハンバーガーステーキなどによって代表される畜産物;クリームコロッケ、中華料理のためのペースト、グラタン、ダンプリングなどの惣菜;塩辛、酒粕内で漬けられた野菜などの繊細な風味の食品;チューブで供給する液体食品などの流動食;サプリメント;及びペットフードが挙げられる。
【0075】
食品及び飼料製品を調製するための従来のプロセスは、乳化又は均質化工程を必要とするが、食品及び飼料製品を調製するための本発明のプロセスは、そのような均質化又は乳化工程を必要としない。ヒマワリオレオソーム濃縮物と他の成分との単純なブレンドだけで十分である。
【0076】
本発明による医薬品は、治療剤、診断剤及び送達剤を含むように製剤化することができる。医薬品は、治療剤又は診断剤として活性成分を更に含有する。活性成分は、宿主に送達することが望まれるあらゆるものであり得る。有効成分は、治療的又は診断的価値を有するタンパク質又はペプチドであり得る。このようなペプチドには、抗原(ワクチン製剤用)、抗体、サイトカイン、血液凝固因子及び成長ホルモンが含まれる。医薬品の例は、ヒマワリオレオソーム濃縮物及び薬物を含有する非経口エマルジョンである。
【0077】
本発明によるパーソナルケア製品には、石鹸、化粧品、スキンクリーム、フェイシャルクリーム、練り歯磨き、口紅、香水、メーキャップ、ファンデーション、頬紅、マスカラ、アイシャドウ、日焼け止めローション、ヘアコンディショナー、及びヘアカラーが含まれる。
【0078】
本発明による工業製品には、塗料、コーティング、潤滑剤、フィルム、ゲル、掘削流体、紙サイジング、ラテックス、建築及び道路建設材料、インク、染料、ワックス、研磨剤及び農薬製剤が含まれる。
【0079】
本発明による栄養組成物は、サプリメントとして、又は完全栄養として、栄養要求をカバーするために開発された組成物であってもよい。本発明による栄養組成物の対象となる人々は、限定されるものではないが、早産児、乳児、幼児、高齢者、運動選手、又は栄養失調及び/若しくは免疫系不全を有するヒトなどの特定の群の人々に関する。それらは、がん、慢性閉塞性肺疾患、及び後期腎疾患などのより特定の疾患状態に罹患している人々のために設計され得る。とりわけ、栄養組成物は、食欲不振に苦労している人々、咀嚼が困難である人々、バランスのとれた食事の準備が困難である人々、及び/又は手術若しくは病気から回復している人々にとって有用であり得る。栄養組成物が完全栄養のためのものである場合、タンパク質、炭水化物、及び/又は脂肪の健康的なバランスを提供することができる。
【0080】
これらの栄養組成物は、すぐ飲める処方として液体の形態であってもよく、又は栄養チューブ中で使用されてもよい。それはまた、すぐに飲める栄養組成物の調製のために水又は別の流体に溶解されるべき、処方ベースの形態、すなわち、粉末又は濃縮液体であり得る。栄養組成物はまた、プディング若しくはゼリーの形態、又はクッキー若しくはスナックバーの形態、又は任意の他の形態であってもよい。
【0081】
本発明の一態様では、栄養組成物は、ヒマワリオレオソーム濃縮物を、栄養組成物の乾燥物に対して1~70重量%の量で含む。栄養組成物は、ヒマワリオレオソーム濃縮物を、栄養組成物の乾燥物に対して5~65重量%、10~60重量%、15~55重量%、20~50重量%、又は25~45重量%の量で含む。
【0082】
オレオソーム以外の少なくとも1つの成分は、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、微量元素、必須アミノ酸、必須脂肪酸、及びこれらの2つ以上の混合物であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つの成分は、タンパク質、炭水化物、脂肪、必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。
【0083】
本発明の別の態様では、栄養組成物は、少なくとも1つの非栄養成分を更に含む。
【0084】
本発明による非栄養成分は、カロリー摂取量を実質的に増加させない、及び/又は微量栄養素を実質的に提供しない成分である。非栄養成分の例は、香料、着色剤、乳化剤、クエン酸又は乳酸などの酸調節剤、防腐剤などである。非栄養成分は、天然又は合成起源であってもよい。
【0085】
本発明の更に別の態様では、オレオソーム以外の少なくとも1つの成分は乳化剤ではない。
【実施例
【0086】
工程a)7.0~7.2のpHを有する、ヒマワリ種子スラリーを得る
高オレイン酸ヒマワリから脱皮した種子200gを4℃の脱イオン水に一晩浸漬した(1:2の種子:水比)。浸漬水を廃棄し、浸漬した種子を4℃の脱イオン水で洗浄した(1:2の種子:水比)。洗浄した種子の乾燥物質(DS%)を4℃の脱イオン水で18%に調整し、その後、Vorwerk Thermomix中、10700rpmで90秒間粉砕した。ヒマワリ種子スラリーが得られた。
【0087】
ヒマワリ種子スラリーの試料のpHを、NaOH(1M)で7.2のpHに調整した。試料を磁気撹拌下で1時間放置した。
【0088】
工程b)ヒマワリオレオソーム画分を単離する
ヒマワリ種子スラリーを、孔径80μmのナイロンフィルターで濾過した。濾液を回収し、続いて、Thermo Scientific Legend XFR遠心分離機を使用して4700rpm及び4℃で1時間遠心分離した。遠心分離プロセスは、液相を更に2つの液相:タンパク質、炭水化物及び可溶性繊維の水溶液である親水性相(上清)と、所望のヒマワリオレオソーム画分である疎水性相(クリーム状の上層)とに分離した。所望のヒマワリオレオソーム画分を収集した。
【0089】
工程c):ヒマワリオレオソーム画分を洗浄し、ヒマワリオレオソーム濃縮物を単離する
続いて、ヒマワリオレオソーム画分を0.03Mの重炭酸ナトリウムの緩衝溶液中で洗浄した。HCl(1M)を用いてpHを更に6.8に調整した。試料を磁気撹拌下で1時間放置した。
続いて、Thermo Scientific Legend XFR Centrifugeを使用して、試料を4700rpm及び4℃で1時間遠心分離した。遠心分離後、クリーム状の上層、すなわちヒマワリオレオソーム濃縮物を回収した。
【0090】
色測定
色測定のために、オレオソーム濃縮物を、色測定前に6.9~7.1の範囲のpH及び35%の乾燥物含有量に標準化する。
は、コニカミノルタ分光光度計CM-5において、以下の測定設定で測定した。
・測定タイプ:反射率
・視野径:30mm
・鏡面反射成分を除く(Specular component excluded、SCE)
・自動測定:3回
・観測者角度:10度
・光源:D65
【0091】
平均小球サイズの測定
ヒマワリオレオソーム濃縮物を、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、及び1.0%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する緩衝溶液中に再分散又は希釈した。D50値として表される平均小球サイズは、Hydroモジュールを備えたMalvern Mastersizer 3000を使用して測定した。緩衝液中のオレオソームの濃度は、Mastersizer装置において8~8.5%の範囲の不透明度が得られるような濃度である。1.47の屈折率を使用して、オレオソームサイズを測定した。
【0092】
タンパク質測定
オレオソームのタンパク質含有量は、試料中の窒素の量によって決定した。この窒素量は、デュマによる燃焼法を用いて分析された。試料の燃焼は1100℃で行った。窒素の量は、伝導度検出器(LECO TruMAC)を使用して決定した。
分析した窒素の量に6.25を掛けることによって、タンパク質含有量を計算した。
【0093】
結果
表2は、ヒマワリオレオソーム濃縮物のタンパク質含有量、脂質含有量並びに収率を示す。収率は、ヒマワリ種子スラリーの重量に対するオレオソームヒマワリ濃縮物の重量として表される。
更に、表2は、平均小球径(D50)、オレオソーム濃縮物の色測定、並びに視覚的な色の説明を示す。
【0094】
【表1】
【国際調査報告】