(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】抗CCR9抗体およびビンクリスチンを含むがんの併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20250220BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20250220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250220BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20250220BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20250220BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20250220BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20250220BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20250220BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20250220BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K47/69
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/02
A61K31/475
A61K31/337
A61K31/573
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544998
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2023052720
(87)【国際公開番号】W WO2023148346
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524281013
【氏名又は名称】サンロック・バイオファルマ・ソシエダッド・リミターダ
(71)【出願人】
【識別番号】524278493
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオル・デ・インベスティガシオンス・シエンティフィカス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】サンタマリア・ガルシア-ミングイラン,シルビア
(72)【発明者】
【氏名】デルガド・アルバレズ,マリサ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・サンス,ホセ・アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】クレマー・バロン,レオノル・ジュディス
(72)【発明者】
【氏名】シモン・ブエラ,ラウレアノ
(72)【発明者】
【氏名】ガルリド・クエスタ,パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス・ディアス,アンパロ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086CB20
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための抗CCR9抗体分子であって、前記抗CCR9抗体分子がビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンからなる群から選択される化学療法剤と同時、順次、または別々に投与され、前記抗CCR9抗体分子および前記化学療法剤が一緒にコンジュゲートされていない、抗CCR9抗体分子を提供する。関連する治療方法も提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための抗CCR9抗体分子であって、前記抗CCR9抗体分子は、ビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンから選択された化学療法剤と同時、順次、または別々に投与され、
前記抗CCR9抗体および前記化学療法剤が一緒にコンジュゲートされておらず、
前記方法が任意選択でデキサメタゾンを同時、順次、または別々に投与することをさらに含む、抗CCR9抗体分子。
【請求項2】
前記抗CCR9抗体分子が、CCR9に特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項3】
前記抗CCR9モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、Fv、Fab、F(ab’)
2、Fab’、scFv、scFv-Fc、ミニボディ、ナノボディ、およびダイアボディからなる群から選択される、請求項2に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、
アミノ酸配列:NFWMN(配列番号1)またはKFWMN(配列番号2)を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);
アミノ酸配列:EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号3)を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2);
アミノ酸配列:DGWFAY(配列番号4)を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);
アミノ酸配列:RSSQSLLHSNGNTYVQ(配列番号5)またはRSSQSLVHSNGNTYLN(配列番号6)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
アミノ酸配列:KVSNRFP(配列番号7)またはKVSNRFS(配列番号8)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2);および
アミノ酸配列:AQSTHVPRT(配列番号9)またはSQSTHFPRT(配列番号10)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)
を含む、請求項2または請求項3に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、
アミノ酸配列:
【化1】
または
【化2】
または
【化3】
を含む重鎖可変領域、および
アミノ酸配列:
【化4】
または
【化5】
または
【化6】
を含む軽鎖可変領域を含む、
請求項4に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項6】
前記抗体分子が、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定すると、ヒトCCR9に対して、500nM、250nM、100nM、10nM、またはそれ以下の結合親和性解離定数K
Dを示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項7】
前記抗体分子が、フローサイトメトリーによって測定すると、10μg/mL濃度のヒトCCL25の存在下でCCR9特異的結合を示す、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項8】
前記抗体分子がCCR9
+リンパ球枯渇を示す、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項9】
前記化学療法剤がビンクリスチンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項10】
前記化学療法剤がビンクリスチンを含み、前記方法が、デキサメタゾンを同時、順次、または別々に投与することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項11】
前記治療方法が、血液腫瘍の治療方法である、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項12】
前記治療方法が、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、T細胞系リンパ腫、または急性骨髄性白血病(AML)の治療方法である、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のための抗CCR9抗体分子。
【請求項13】
哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための化学療法剤であって、前記化学療法剤が、抗CCR9抗体分子と同時、順次、または別々に投与され、前記化学療法剤が、ビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンからなる群から選択され、
前記化学療法剤および前記抗CCR9抗体分子が一緒にコンジュゲートされておらず、
前記方法が任意選択で、デキサメタゾンを同時、順次、または別々に投与することをさらに含む、化学療法剤。
【請求項14】
前記抗CCR9抗体分子が請求項1~8のいずれか1項で定義された通りである、請求項13に記載の使用のための化学療法剤。
【請求項15】
前記化学療法剤が、請求項9または請求項10で定義された通りである、請求項13または請求項14に記載の使用のための化学療法剤。
【請求項16】
前記がんが、請求項11または請求項12で定義された通りである、請求項13~15のいずれか1項に記載の使用のための化学療法剤。
【請求項17】
治療有効量の抗CCR9抗体分子およびビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンからなる群から選択される化学療法剤を、それらを必要とする対象に同時、順次、または別々に投与するステップを含み、
前記抗CCR9抗体分子および前記化学療法剤が一緒にコンジュゲートされておらず、
前記方法が任意選択で、デキサメタゾンを同時、順次、または別々に投与することをさらに含む、哺乳類対象におけるがんの治療方法。
【請求項18】
前記抗CCR9抗体分子が請求項1~8のいずれか1項で定義された通りである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学療法剤が、請求項9または請求項10で定義された通りである、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、請求項11または請求項12で定義された通りである、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための医薬品の調製における抗CCR9抗体分子の使用であって、前記方法が、請求項17~20のいずれか1項で定義された通りである、使用。
【請求項22】
哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための医薬品の調製における化学療法剤の使用であって、前記方法が、請求項17~20のいずれか1項で定義された通りである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年2月3日出願の欧州特許出願公開第22382093.7号の優先権を主張し、その内容および要素は全目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[1]発明の分野
[2]本発明はがんを治療するための治療用分子およびそれらの併用に関する。
【背景技術】
【0003】
[3]発明の背景
[4]ケモカインは、大部分は走化性機能を備えた、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体に結合する構造的に関連した小さなタンパク質のファミリーであり、現在、ヒトでは44メンバーから構成されている。ケモカインおよびそれらの受容体は、恒常的状態および炎症状態の両方において、器官形成およびリンパ球輸送に欠かせない役割を担っている。ケモカインは、可溶性または固定された勾配を生成し、細胞運動の誘導、細胞の成長、活性化、もしくは分化の刺激、または哺乳類の器官形成の調節なども含めた多種多様な役割を果たしている(ZlotnikおよびYoshie 2000、Raman、Sobolik-Delmaire他、2011)。免疫系の細胞に関しては、白血球の輸送および動員を制御することによって、ケモカインは恒常性において、ならびに自然免疫および獲得免疫の両方において重要な役割を担う。
【0004】
[5]ケモカインは、細胞表面に存在する特異的な受容体との相互作用によって、生物学的効果を発揮する。構造的に、これらの受容体はGタンパク質共役型7回膜貫通ドメイン受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する(Bachelerie、Ben-Baruch他、2014)。この系は、ある種の冗長性を有することが特徴であり、同じケモカインが複数の受容体に結合することができ、逆の場合も同様で、それらは様々な遺伝子の活性化に重要な分子であり、走化性、細胞の生存および増殖を含む様々な細胞応答を引き起こす(DeVries、Kelvin他、2006)。CXCR4またはCCR7などのケモカイン受容体の異常な腫瘍細胞発現とがんの進行、器官選択的転移、および予後不良との間には強い関連がある。同時に、これらは腫瘍標的療法に使用できる可能性が大いにあり(WeitzenfeldおよびBen-Baruch 2014)、がん関連ケモカインは、腫瘍増殖、血管新生、および化学療法抵抗性を促進することができた(LazennecおよびRichmond 2010、MukaidaおよびBaba 2012、Sarvaiya、Guo他、2013)。
【0005】
[6]ヒトケモカイン受容体CCR9(GenBank受入番号U45982)は、Zaballos他(Zaballos、Gutierrez他、1999)(EMBLデータベース受入番号AJ132337)およびYoun他(Youn,Kim他、1999)によって同定された、受容体のこのスーパーファミリーのメンバーである。生理学的条件下では、CCR9の発現は強く制限されていることが、胸腺細胞(Zaballos,Gutierrez他、1999、Carramolino,Zaballos他、2001)、小腸の浸潤性免疫細胞(Kunkel,Campbell他、2000)、および循環メモリーT細胞の小集団(Zabel,Agace他、1999)、および形質細胞様樹状細胞(Wendland,Czeloth他、2007)において記載されている。
【0006】
[7]その他のケモカイン受容体とは異なり、CCR9は胸腺および小腸腺窩上皮から上皮および樹状細胞によって分泌されるCCL25(ケモカインリガンド25、またはTECK)と呼ばれるシングルリガンドであり、その受容体に結合すると、細胞の生存および移動に関連する細胞内シグナル伝達経路を活性化する(Wurbel,Malissen他、2006)。CCR9-CCL25相互作用は、胸腺における胸腺細胞遊走および腸管への細胞ホーミングの重要な調節因子である。CCL25/CCR9の機構についての最近の見識では、それらが腫瘍の化学療法抵抗性および転移に関与しており(Tu,Xiao他、2016)、標的療法においてCCR9を応用できる可能性を示している。
【0007】
[8]がんでは、CCR9発現は、急性および慢性リンパ球性白血病(Qiuping,Qun他、2003)ならびに濾胞性リンパ腫およびびまん性B細胞リンパ腫などのその他の種類の血液腫瘍(Wu,Doan他、2014)におけるCD4+ヘルパーT細胞で増加している。同時に、CCR9の異常な発現は、前立腺がん、乳がん、膵臓がん、および黒色腫がんなどの一部の固形腫瘍において記載されている(Letsch,Keilholz他、2004、Amersi,Terando他、2008、Johnson,Singh他、2010、Singh,Stockard他、2011、Heinrich,Arrington他、2013、Gupta,Sharma他、2014)。CCR9のこの発現が、細胞にとって有利であるのは、そのリガンドであるCCL25への結合によって、PI3K/Aktなどの様々なシグナル伝達経路が活性化され、形質転換されたTリンパ球の細胞の生存および様々な種類のがんにおいてこのシグナル伝達経路によって媒介されるアポトーシスに対する抵抗性が増加し(Sharma,Singh他、2010、Johnson-Holiday,Singh他、2011)、JNK1抗アポトーシス経路を活性化し、白血病細胞、特にT細胞系列急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)においてNotch1の活性化によって増殖を増強する(Mirandola,Chiriva-Internati他、2012)からである。さらに、T細胞慢性リンパ球性白血病(T-CLL)CD4+細胞において中レベルのCCR9発現が観察されている。注目すべきことに、CCR9がT-ALLCD4+T細胞に内部移行されると、白血病細胞の走化性および接着性の能力がなくなるので、CCR9が白血病細胞の浸潤および転移に密接に関連していることを示している。
【0008】
[9]PI3K/AKT経路は、細胞の多数の生理学的機能およびある種の疾患の発症に関連する最も重要なシグナル伝達経路の1つである(Thorpe,Yuzugullu他、2015)。Sharma他は、CCR9とその天然リガンドCCL25との相互作用は、PI3K、AKT、ERK1/2、およびGSK-3βのレベルを上方制御して抗アポトーシス効果を発揮する一方、膵臓がん細胞においてはカスパーゼ-3レベルなどのアポトーシス促進性タンパク質を下方制御し、それによって細胞のアポトーシスを阻害することを見出した。しかし、PI3K阻害剤(ワートマニン)は、膵臓がん細胞においてこれらのCCR9媒介抗アポトーシスタンパク質を著しく下方制御することができるので、CCR9の抗アポトーシス効果は主にPI3Kによって調節されることが示唆される。さらに、CCL25は担腫瘍マウスにおいてエトポシド(抗腫瘍薬)の細胞傷害効果を阻害することができる。しかし、CCR9モノクローナル抗体を使用してCCR9/CCL25相互作用をブロックすると、この細胞傷害性の阻害は消失する(Sharma,Singh他、2010)。さらに、腫瘍負荷の治療においてCCL25中和抗体とエトポシドとの組合わせは、単剤治療と比較して著しい腫瘍縮小を引き起こす。これらの結果は、CCR9/CCL25軸が膵臓がん細胞においてPI3K/AKT依存性抗アポトーシスシグナル伝達を調節する機構が、少数のアポトーシス細胞および弱い化学療法応答に関係し得ることを示している。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、組織のリモデリングおよび細胞外マトリックスにおける様々なタンパク質の分解において重要な役割を果たし(Mittal,Patel他、2016)、細胞増殖、遊走、および分化を促進し、アポトーシス、血管新生、組織修復、および免疫応答において役割を果たす(RaffettoおよびKhalil,2008)亜鉛依存性内在性プロテアーゼの1種を構成する。さらに、MMPはまた、がん細胞の侵襲および転移の過程の重要なステップに関与する(Yoon,Park他、2003)。
【0009】
[10]これらの結果は、CCR9/CCL25の発現および活性化が、がん細胞の遊走、侵襲、およびMMP発現を促進し、これらが一緒になって膵臓がん転移に影響を及ぼすことを示唆する(Singh,Singh他、2004)。総合すると、これらの知見は、CCR9/CCL25のノックアウトまたはブロックが、膵臓がんの臨床治療に有利な影響を及ぼし得ることを示唆する。
【0010】
[11]CCR9は、乳がんMDA-MB-231細胞株で高度に発現する。CCR9/CCL25シグナル伝達の活性化はMDA-MB-231細胞の遊走をあまり増加させなかったが、MDA-MB-231細胞の侵襲を著しく促進することができた(Zhang,Sun他、2016)。CCR9/CCL25シグナル伝達の活性化は、MMPー1発現を著しく上方制御し、MMPー2およびMMP-11発現を中程度に上方制御することによって、MDAMB-231細胞の侵襲を増加させた。注目すべきことに、E-カドヘリンの下方制御ならびにN-カドヘリンおよびビメンチンの上方制御は、がん細胞の運動性および遊走の増加に関与している(CavallaroおよびChristofori 2004、Berxおよびvan Roy 2009)。それにも関わらず、CCR9/CCL25シグナル伝達はE-カドヘリンの発現だけでなく、N-カドヘリンおよびビメンチンの発現もわずかに減少させ、このことによってCCR9/CCL25シグナル伝達がなぜMDA-MB-231細胞の遊走にあまり影響を及ぼさないかを部分的に説明することができる。これらの結果は、CCR9/CCL25シグナル伝達が、多数の上皮間葉転換(EMT)マーカーを調節することによって乳がん細胞の侵襲を促進し、CCR9/CCL25シグナル伝達が乳がん細胞侵襲をブロックするための潜在的標的となり得ることを示す。
【0011】
[12]CCR9/CCL25相互作用は、乳がん細胞(MDA-MB-231)増殖を促進し、PI3K/AKT生存経路によって媒介され、FAKとは独立している抗アポトーシスシグナル伝達を上方制御することが示されている(Johnson-Holiday,Singh他、2011)。さらに、別の研究はまた、CCR9の発現が、非腫瘍性乳房組織における発現レベルと比較して、中分化および低分化乳がん組織において有意に増加したことを見出した。興味深いことに、CCR9発現は中分化乳がん組織よりも、低分化乳がん組織において著しく高かった。同様に、CCR9は、悪性度がより低い乳がんMCF-7細胞株における発現レベルと比較して、高悪性度の乳がんMDA-MD-231細胞株で高度に発現した。要約すると、CCR9は乳がん組織および細胞において機能的に著しく発現し、CCL25活性化は、乳がん転移の重要な成分である乳がん細胞遊走および侵襲ならびにMMP発現を促進する。
【0012】
[13]異種モデルにおいて成長するヒトCCR9+腫瘍を治療する特異的な治療手段は、毒素結合リガンド(CCL25-PE38融合タンパク質)(Hu,Zhang等、2011)または単独もしくは細胞傷害剤エトポシドと組み合わせたリガンド特異的抗体(Sharma、Singh他、2010)の使用に限定される。これらの戦略では、CCL25-CCR9相互作用は腫瘍細胞を排除することを目的としており、結果は限定的ではあるが、CCR9ががん免疫療法の潜在的標的であるという証拠をもたらしている。
【0013】
[14]CCR9を標的とする療法が不足していることを考慮すると、当業界では、CCR9を発現する細胞に付随した疾患または状態の診断、予後、および/または治療に適した、CCR9を特異的に認識する作用剤が依然として必要とされている。最近、ヒトでもマウスでもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)はCCL25を発現しないことが見出された(Chen,Cong他、2020)。さらに、別の研究では、T細胞ベースのがん免疫療法の成功は、細胞傷害性Tリンパ球による殺滅に対する腫瘍抵抗性によって制限されることが見出された(Brightman、Naradikian他、2020)。腫瘍-免疫抵抗性は、T細胞上の免疫阻害受容体に関わる細胞表面リガンドによって媒介される(Borst,Ahrends他、2018)。これらのリガンドは、治療阻害の強力な標的となる。CCR9は、多くのがんで発現されており、多数の腫瘍においてT細胞応答に対して強い免疫調節効果を発揮する(Khandelwal,Breinig他、2015)。T細胞受容体シグナル伝達を阻害するPD-L1とは異なり、CCR9はT細胞におけるSTATシグナル伝達を調節し、ヘルパーT1サイトカイン分泌の低下および細胞傷害能力の低下を引き起こす。さらに、腫瘍細胞上でのCCR9発現の阻害は、インビボにおいて腫瘍特異的T細胞によるヒト腫瘍の免疫療法を促進した。要約すると、これらの研究は、がん免疫および免疫療法におけるCCR9/CCL25軸の免疫生物学的役割を解明し、がん免疫療法に関するさらなる研究のための確かな実験的基礎をもたらした。
【0014】
[15]国際公開第2015/075269号パンフレットは、抗CCR9抗体ならびにT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、前立腺がん、乳がん、黒色腫、卵巣がん、結腸直腸がん、および肺がんなどのがんの治療におけるそれらの使用について開示している。国際公開第2015/075269号パンフレットはまた、抗CCR9抗体と米国特許出願公開第2005/0049286号で記載されたものなどのCCR9のアンタゴニストおよびCCL25-PE38融合タンパク質との併用療法を開示している。抗CCR9抗体およびその他の薬剤は、同じ組成物の一部を形成するか、または同時もしくは別々に投与するための別個の組成物として提供されてもよい。国際公開第2015/075269号パンフレットはまた、抗CCR9抗体がビンクリスチンを含む化学療法剤などの別の治療剤とコンジュゲートしている、またはそれらとの融合タンパク質の形態である、免疫複合体を開示している。
【0015】
[16]がんを治療するために用いられる効果的な療法が緊急に医学的に必要とされているが、未だに適えられていない。上記で記載された進歩にも関わらず、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)および膵臓がんを含むがんの治療のために、生存期間をさらに延長させる治療計画が依然として必要とされている。本発明は、この必要性に取り組もうとしており、本明細書で詳細に記載したように、関連する利点をさらに提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
[17]本発明の簡単な説明
[18]本発明は全般的に、哺乳類対象におけるがん、特に、T-ALLなどのがんの治療のための治療剤およびそれらの使用に関する。
【0017】
[19]本明細書で記載したように、本発明者らは、驚くべきことに、化学療法剤ビンクリスチンと組み合わせたCCR9標的抗体(SRB1)による担腫瘍マウスの併用治療が、対照との比較だけでなく、SRB1抗体のみまたはビンクリスチンのみを投与された治療群と比較しても、生存期間中央値の有意な増加を引き起こしたことを見出した。本明細書で記載した結果は、抗腫瘍効果の観点におけるSRB1とビンクリスチンとの間の相乗的関係を示している。さらに、生存期間中央値の有意な増加はまた、SRB1抗体、ビンクリスチン、およびコルチコステロイドデキサメタゾンを使用した3剤併用治療で達成された。特定の理論に拘束されることは望まないが、本発明者らは、SRB1抗体およびビンクリスチンで認められた抗腫瘍効果に対する相乗的関係は、本明細書で記載したその他のビンカアルカロイドと組み合わせたその他の抗CCR9抗体によっても表されるものと考える。
【0018】
[20]本明細書で定義したように、提案された組合わせの投与計画および最適な投与形態は、化合物:抗CCR9抗体分子および化学療法剤の異なる化学的組成および固有の様々な半減期によって決定される。したがって、以下の臨床指針に従って、別々および/または順次の投与が推奨される(場合に応じて)。抗体-薬物コンジュゲートの形成があまり好ましくないと考えられるのは、抗体は半減期が長く、週に1回以下の頻度で投与することができるが、化学療法剤は高濃度を維持するためにより高頻度の投与が必要になることがあるため、両作用剤の投与の最適な頻度が異なる場合があるからである。
【0019】
[21]したがって、第一の側面では、本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための抗CCR9抗体分子を提供し、抗CCR9抗体分子は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンから選択される化学療法剤などの化学療法剤と同時、順次、または別々に投与され、前記抗CCR9抗体および前記化学療法剤は一緒にコンジュゲートされていない。ある特定の態様では、抗CCR9抗体分子は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドを同時、順次、または別々に投与することをさらに含む方法で使用するためのものであってもよい。
【0020】
[22]一部の態様では、抗CCR9抗体分子は、CCR9に特異的に結合する抗CCR9モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む。特に、抗CCR9モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、Fv、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、scFv-Fc、ミニボディ、ナノボディ、およびダイアボディからなる群から選択されていてもよい。
【0021】
[23]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含むことができる:
[24]アミノ酸配列:NFWMN(配列番号1)またはKFWMN(配列番号2)を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);
[25]アミノ酸配列:EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号3)を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2);
[26]アミノ酸配列DGWFAY(配列番号4)を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);
[27]アミノ酸配列:RSSQSLLHSNGNTYVQ(配列番号5)またはRSSQSLVHSNGNTYLN(配列番号6)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
[28]アミノ酸配列:KVSNRFP(配列番号7)またはKVSNRFS(配列番号8)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2);および
[29]アミノ酸配列:AQSTHVPRT(配列番号9)またはSQSTHFPRT(配列番号10)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)。
【0022】
[30]特定の態様では、6個のCDR配列は、国際公開第2015/075269号パンフレット(本明細書に参考として組み込まれる)の
図9で開示されている「91R」抗体に従って選択され得る。この場合、CDR配列は以下の通りである:CDR-H1は配列番号1であり、CDR-H2は配列番号3であり、CDR-H3は配列番号4であり、CDR-L1は配列番号5であり、CDR-L2は配列番号7であり、CDR-L3は配列番号9である。
【0023】
[31]特定の態様では、6個のCDR配列は、国際公開第2015/075269号パンフレット(本明細書に参考として組み込まれる)の
図9で開示されている「92R」抗体に従って選択され得る。この場合、CDR配列は以下の通りである:CDR-H1は配列番号2であり、CDR-H2は配列番号3であり、CDR-H3は配列番号4であり、CDR-L1は配列番号6であり、CDR-L2は配列番号8であり、CDR-L3は配列番号10である。
【0024】
[32]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、
[33]アミノ酸配列:
【0025】
【0026】
または
【0027】
【0028】
または
【0029】
【0030】
;を含む重鎖可変領域、および
[34]アミノ酸配列:
【0031】
【0032】
または
【0033】
【0034】
または
【0035】
【0036】
を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0037】
[35]特に、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11および14、または配列番号12および15、または配列番号13および16のVHおよびVLを含んでいてもよい。
【0038】
[36]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒトCCR9に対して結合親和性解離定数KD500nM、250nM、100nM、10nMまたはそれ以下を示す。KD値は、任意の適切な方法によって決定され得る。特に、KD値は、表面プラズモン共鳴(SPR)(例えば、BIACORE)によって決定される通りであってもよい。ある特定の場合では、結合親和定数KDは、全細胞ベースの抗体結合決定によって決定されるか、または推定される通りであってもよい。
【0039】
[37]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、フローサイトメトリーによって測定すると、10μg/mL濃度のヒトCCL25の存在下でCCR9特異的結合を示す。本発明者らは、国際公開第2015/075269号パンフレットで開示されたような「91R」および「92R」などのある種の抗CCR9抗体が、リガンドCCL25の存在によって本質的な影響を受けないCCR9結合を示すことを見出した。これは、CCL25の存在に著しい感受性を示す国際公開第00/53635号パンフレットで開示された「3C3」などの抗CCR9抗体とは対照的である。実際に、生理学的に適切な濃度のCCL25では、抗体「3C3」のCCR9への結合は効果的に消失する。配列番号13および16のVHおよびVLを有する「SRB1」抗体はそれぞれ、CCL25の存在下でCCR9結合を示すことも見出された。したがって、「91R」および「92R」のように、「SRB1」は、本明細書で詳細に記載したように、ある種のがんの治療など、CCL25濃度が上昇することがある状態の治療で使用するために好ましい。
【0040】
[38]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、CCR9+リンパ球枯渇を示す。本発明者らは、例えば、上記で記載したような「91R」、「92R」、および「SRB1」などの抗CCR9抗体を利用して、抗体媒介補体依存性細胞傷害(CDC)を観察した。ある特定の態様では、抗CCR9抗体またはその抗原結合断片は、CDCエフェクター機能(例えば、ヒトのIgGでは、hIgG3>hIgG1>hIgG2>hIgG4;マウスでは、mIgG2a>mIgG1、IgMも良好なCDCを示す)を示す、または示すように操作された抗体アイソタイプまたはサブアイソタイプであってもよい。
【0041】
[39]一部の態様では、化学療法剤は、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンを含む。
【0042】
[40]一部の態様では、化学療法剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビネリジン、および/またはビンバーニンなどのビンカアルカロイドを含む。
【0043】
[41]一部の態様では、同時、順次、または別々の投与は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドの投与をさらに含む。
【0044】
[42]一部の態様では、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)およびコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)はいずれも、抗CCR9抗体分子と共に投与される。
【0045】
[43]一部の態様では、対象は、がんを有する、またはがんを発症する危険性があると診断された哺乳類(好ましくは、ヒト)である。一部の態様では、対象は、抗がん療法(例えば、抗がん剤治療、外科的治療、および/または放射線治療)で治療されたことがあるか、または治療されている。特定の場合では、対象のがんは、再発したか、転移しているか、および/または第一選択療法に対して抵抗性を獲得していてもよい。
【0046】
[44]一部の態様では、対象のがんは、血液腫瘍である。
【0047】
[45]一部の態様では、対象のがんは、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、T細胞系リンパ腫、および急性骨髄性白血病(AML)の群から選択される。
【0048】
[46]第二の側面では、本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための化学療法剤を提供し、この化学療法剤は、抗CCR9抗体分子と同時、順次、または別々に投与され、前記化学療法剤は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンからなる群から選択されており、前記化学療法剤および前記抗CCR9抗体分子は一緒にコンジュゲートされていない。一部の態様では、この方法は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドを同時、順次、または別々に投与することをさらに含んでいてもよい。
【0049】
[47]抗CCR9抗体分子は、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0050】
[48]化学療法剤は、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0051】
[49]対象および/またはがんは、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0052】
[50]第三の側面では、本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法であって、治療有効量の抗CCR9抗体分子ならびにビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、およびビンブラスチンからなる群から選択される化学療法剤を、それらを必要とする対象に同時、順次、または別々に投与するステップを含み、前記抗CCR9抗体分子および前記化学療法剤は一緒にコンジュゲートされていない、治療方法を提供する。一部の態様では、この方法は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドを同時、順次、または別々に投与することをさらに含んでいてもよい。
【0053】
[51]抗CCR9抗体分子は、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0054】
[52]化学療法剤は、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0055】
[53]対象および/またはがんは、本発明の第一の側面にしたがって定義されてもよい。
【0056】
[54]第四の側面では、本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための医薬品の調製における抗CCR9抗体分子の使用を提供し、前記方法は、本発明の第三の側面にしたがって定義される。
【0057】
[55]第五の側面では、本発明は、哺乳類対象におけるがんの治療方法で使用するための医薬品の調製における化学療法剤の使用を提供し、前記方法は、本発明の第三の側面にしたがって定義され、前記化学療法剤は、本発明の第一の側面にしたがって定義される。
【0058】
[56]本発明は、側面の組合わせおよび記載した好ましい特性の組合わせが明らかに許容されないか、明白に回避される場合を除いて、このような組合わせを含む。
【0059】
[57]本発明のこれらの側面および態様ならびにさらなる側面および態様は、付随する実施例および図面を参考にして、以下にさらに詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
[58]
図面の簡単な説明
【
図1】[59]
図1は、SRB1抗体用量(16mg/kg)の最適化およびMOLT4-GFPを異種移植されたNSGマウスの生存に対するその効果を示した図である。(A)実験計画。簡単に説明すると、NSGマウスに0日目にMOLT-4細胞(1×10
6細胞/マウス;I.V)を移植し、4日目から16mg/kgのSRB1またはアイソタイプを週に1回4週間I.P.投与し、マウスの状態を毎日調べた。(B)マウスの累積生存の図。
【
図2】[60]
図2は、MOLT4-GFPの異種移植片を有するNSGマウスでの抗CCR9抗体SRB1(4mg/kg)-SRB1の最適以下用量と化学療法剤との組合わせ-のインビボにおける有効性を示した図である。(A)NSGマウスに0日目にMOLT-4細胞(1×10
6細胞/マウス;I.V)を移植し、4、10、17、および24日目に、4mg/kgのSRB1、PBS、またはアイソタイプをI.P.投与した。(B)(A)で記載された群以外に、ビンクリスチン0.6mg/kgを5日目に投与するか、またはデキサメタゾン50μg/マウス/投与を5~9日目に投与するか(C)、または両方を投与した(D)。
【
図3】[61]
図3は、MOLT4-GFPの異種移植片を有するNSGマウスの生存に対する化学療法剤と組み合わせた抗CCR9抗体SRB1(4mg/kg)の効果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[62]発明の詳細な説明
[63]本発明の側面および態様をここで述べる。さらなる側面および態様は、当業者には明らかであろう。本文で言及した文書は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
[64]疑義を避けるために、本明細書で提供される理論的な説明は、読者の理解を深める目的で提供されている。本発明者らは、これらの理論的な説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0063】
[65]本明細書で使用したいかなる項目の見出しも、構成目的ためだけものものであり、説明されている主題を限定するものとして解釈されるものではない。
【0064】
[66]本明細書全体を通じて、それに続く特許請求の範囲を含め、文脈上別段の定めがない限り、「含む(comprise)」および「含む(include)」という語、ならびに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、および「含む(including)」などの変形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、その他のいかなる整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群も除外されることを意味するものではないと理解されたい。
【0065】
[67]明細書および添付の特許請求の範囲で使用したように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途の定めがないない限り、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。本明細書では、範囲は「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現されている場合がある。このような範囲が表現されている場合、別の態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって、近似値として表現されている場合、特定の値は別の態様を形成することを理解されたい。数値に関して「約」という用語は、任意選択であり、例えば、+/-10%を意味する。
【0066】
[68]CCR9
[69]ケモカインは、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体に結合する、構造的に関連した小さなタンパク質のファミリーである。ケモカインおよびそれらの受容体は、恒常的状態および炎症状態の両方において、器官形成およびリンパ球輸送に欠かせない役割を担っている。
【0067】
[70]CCR9(C-Cケモカイン受容体9型)のアミノ酸配列は、UniProt受入番号P51686(2006年9月5日の第2版を参照)で公開されており、その全内容は参考として本明細書に組み込まれる。
【0068】
[71]抗CCR9抗体分子
[72]抗CCR9抗体分子は、CCR9(例えば、ヒトCCR9)に結合、好ましくは特異的に結合する。ある特定の態様では、抗CCR9抗体分子は、CCR9に特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む。この文脈において「特異的に結合する」は、結合親和性および/または結合選択性の程度によって非特異的結合とは区別することができ、CCR9に対する結合親和性は他の抗原に対してよりも大きい。抗CCR9抗体またはその抗原結合断片は、Fv、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、scFv-Fc、ミニボディ、ナノボディ、およびダイアボディからなる群から選択され得る。
【0069】
[73]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
[74]アミノ酸配列:NFWMN(配列番号1)またはKFWMN(配列番号2)を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);
[75]アミノ酸配列:EIRLKSNNYATHYAESVKG(配列番号3)を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2);
[76]アミノ酸配列DGWFAY(配列番号4)を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);
[77]アミノ酸配列:RSSQSLLHSNGNTYVQ(配列番号5)またはRSSQSLVHSNGNTYLN(配列番号6)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
[78]アミノ酸配列:KVSNRFP(配列番号7)またはKVSNRFS(配列番号8)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2);および
[79]アミノ酸配列:AQSTHVPRT(配列番号9)またはSQSTHFPRT(配列番号10)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)。
【0070】
[80]特定の態様では、6個のCDR配列は、国際公開第2015/075269号パンフレット(本明細書に参考として組み込まれる)の
図9で開示されている「91R」抗体に従って選択され得る。この場合、CDR配列は以下の通りである:CDR-H1は配列番号1であり、CDR-H2は配列番号3であり、CDR-H3は配列番号4であり、CDR-L1は配列番号5であり、CDR-L2は配列番号7であり、CDR-L3は配列番号9である。
【0071】
[81]特定の態様では、6個のCDR配列は、国際公開第2015/075269号パンフレット(本明細書に参考として組み込まれる)の
図9で開示されている「92R」抗体に従って選択され得る。この場合、CDR配列は以下の通りである:CDR-H1は配列番号2であり、CDR-H2は配列番号3であり、CDR-H3は配列番号4であり、CDR-L1は配列番号6であり、CDR-L2は配列番号8であり、CDR-L3は配列番号10である。
【0072】
[82]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
[83]アミノ酸配列:
【0073】
【0074】
または
【0075】
【0076】
または
【0077】
【0078】
を含む重鎖可変領域;および
[84]アミノ酸配列:
【0079】
【0080】
または
【0081】
【0082】
または
【0083】
【0084】
を含む軽鎖可変領域。
【0085】
[85]特に、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11および14、または配列番号12および15、または配列番号13および16のVHおよびVLを含んでいてもよい。
【0086】
[86]一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒトCCR9に対して結合親和性解離定数KD500nM、250nM、100nM、10nM、またはそれ以下を示す。KD値は、任意の適切な方法によって決定され得る。特に、KD値は、表面プラズモン共鳴(SPR)(例えば、BIACORE)によって決定される通りであってもよい。ある特定の場合では、結合親和定数KDは、全細胞ベースの抗体結合決定によって決定されるか、または推定される通りであってもよい。
【0087】
[87]本明細書で使用したように、本発明の「抗体分子」という用語は、抗体、またはその抗原結合断片、完全長抗体(例えば、IgG)だけでなく、その抗原結合断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト由来の抗体、組換え抗体、および遺伝子操作技術によって生成されたイムノグロブリン由来のポリペプチド、例えば、1本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、重鎖もしくはその断片、軽鎖もしくはその断片、VHもしくはその二量体、VLもしくはその二量体、ジスルフィド結合によって安定化されたFv断片(dsFv)、1本鎖可変領域ドメインを有する分子(Abs)、ミニボディ、scFv-Fc、および抗体を含む融合タンパク質、または所望する特異性の抗原認識部位を含むイムノグロブリン分子の任意のその他の修飾構造物を包含する。本発明の抗体はまた、二特異性抗体であってもよい。抗体断片とは、抗原結合断片を意味していてもよい。抗体は、任意のクラスの抗体、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG(またはそのサブクラス)、およびIgMを含み、抗体は任意の特定のクラスである必要はない。さらに、本発明の抗体は、治療剤、毒素などのさらなる化合物にコンジュゲートしていてもよい。
【0088】
[88]特定の態様では、抗CCR9抗体またはその抗原結合断片は、国際公開第2015/075269号パンフレット(その内容は本明細書に参考として明らかに組み込まれる)で開示されたいかなる抗CCR9抗体であってもよい。
【0089】
[89]対象
[90]本明細書で使用した対象は、哺乳類、好ましくはヒトである。対象は、飼育動物または家畜または研究用動物などの非ヒト哺乳類であってもよい。対象は雄であっても雌であってもよい。対象は患者であってもよい。対象は、治療を必要とする疾患もしくは状態であると診断されていてもよく、このような疾患もしくは状態を有することが疑われていてもよく、またはこのような疾患もしくは状態を発症する危険性があってもよい。特に、対象はがんを有するか、またはがんを有する疑いがあるか、またはがんを発症する危険性があってもよい。対象は、抗がん療法(例えば、抗がん剤治療、外科的治療、および/または放射線治療)で治療されたことがあるか、または治療を受けていてもよい。特定の場合では、対象のがんは、再発したか、転移しているか、および/または第一選択療法に対して抵抗性を獲得していてもよい。対象は、特に血液腫瘍を有していてもよい。対象は、特に、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、T細胞系リンパ腫、または急性骨髄性白血病(AML)を有していてもよい。
【0090】
[91]併用療法
[92]本明細書で詳細に記載したように、本発明者らは、担腫瘍マウスのCCR9標的抗体(SRB1)と化学療法剤ビンクリスチンによる併用治療が、対照との比較だけでなく、SRB1抗体のみまたはビンクリスチンのみを投与された治療群と比較しても、生存期間中央値の有意な増加を引き起こしたことを見出した。本明細書で記載した結果は、抗腫瘍効果の観点におけるSRB1とビンクリスチンとの間の相乗的関係を示している。さらに、生存期間中央値の有意な増加はまた、SRB1抗体、ビンクリスチン、およびコルチコステロイドデキサメタゾンを使用した3剤併用治療で達成された。特定の理論に拘束されることは望まないが、本発明者らは、SRB1抗体およびビンクリスチンで認められた抗腫瘍効果に対する相乗的関係はまた、その他のビンカアルカロイドと組み合わせた、または本明細書で特定されたその他の化学療法剤と組み合わせた抗CCR9抗体によって表されるものと考えている。
【0091】
[93]本発明の併用療法は、本明細書で特定された化学療法剤と同時、順次、または別々に投与された抗CCR9抗体分子を含むので、本明細書で意図したような併用療法は、国際公開第2015/075269号パンフレットで開示された抗体-薬物コンジュゲートのアプローチとは異なる。すなわち、併用療法は、互いにコンジュゲートも共有的に結合もしていない少なくとも2種類の別々の薬剤の投与を含む。これらの薬剤は、単一の医薬組成物で混合物として一緒に投与されてもよく、または2つの異なる医薬組成物として別々に投与されてもよい。抗CCR9抗体分子(例えば、裸の抗CCR9抗体であっても、抗CCR9抗体-薬物コンジュゲートであってもよい)は、異なる時点で、化学療法剤とは異なる量もしくは比で、または異なる頻度で投与されてもよいことは有利である。本明細書で意図された特定の態様では、化学療法剤の投与の頻度は、抗CCR9抗体分子よりも多くてもよい。
【0092】
[94]一部の態様では、抗CCR9抗体分子および化学療法剤、例えば、ビンクリスチンについてのヒトでの投与計画は、以下の通りであってもよい:
[95]臨床指針に従って、抗CCR9抗体免疫療法の投与は通常、静脈内、口、または注射によって、200から400mg/週の間の固定用量で4回実施される。ビンクリスチンについては、推奨投薬計画では週あたり最高2mg/m2を4回静脈内注入する(Gilbar,Chambers et al. 2015;Hoelzer,Bassan et al. 2016;Majem,Juan et al. 2019;Mikhael,Ismaila et al. 2019;(CADTH)2019;Compendium-EMC 2020;England-NHS 2020;(ASHP)updated 2020)。
【0093】
[96]抗CCR9抗体分子との併用療法のための化学療法剤または化学療法剤類は、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル、ビンブラスチン、またはビンクリスチンからなる群から選択され得る。一部の態様では、化学療法剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンカミノール、ビネリジン、およびビンバーニンなどのビンカアルカロイドを含む。
【0094】
[97]一部の態様では、本発明の使用および方法のための組成物は、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドをさらに含む。一部の態様では、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)およびコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)はいずれも、抗CCR9抗体分子と共に投与される。
【0095】
[98]医薬組成物および治療
[99]本発明の抗CCR9抗体分子およびその薬学的に許容される組成物は、静脈内、皮膚もしくは皮下、鼻、筋肉内、経上皮、腹腔内、および経口投与を含む任意の数の異なる経路によって、患者に投与されてもよい。
【0096】
[100]本発明の組成物は、固体または液体の組成物の形態であってもよい医薬組成物として製剤化されてもよい。このような組成物は全般的に、ある種の担体、例えば、固体担体または水、石油、動物油もしくは植物油、鉱油もしくは合成油などの液体担体を含む。生理食塩水またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれていてもよい。このような組成物および調製物は全般的に、少なくとも0.1wt%の本発明の抗CCR9抗体分子を含有する。
【0097】
[101]本発明の1種または複数の抗CCR9抗体分子に加えて、任意選択で別の活性成分と組み合わせて、組成物は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定化剤、等張化剤、保存剤もしくは抗酸化剤、または当業者に周知の他の物質を含むことができる。このような物質は、非毒性でなければならず、活性成分の有効性を妨害してはならない。担体または他の物質の正確な性質は、投与経路に左右され得る。
【0098】
[102]好ましくは、医薬組成物は、個体に予防有効量または治療有効量(場合によっては、予防は治療と見なされるが)で投与され、これは個体に利益を示すのに十分である。典型的に、これは個体に利益をもたらす治療上有用な活性を引き起こす。投与された化合物の実際の量ならびに投与の速度および時間経過は、治療する状態の性質および重症度に左右される。治療の指示、例えば、投与量の決定などは、一般医およびその他の医師の責任の範囲内であり、典型的には、治療する障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、および医師に公知のその他の要素を考慮する。上記で記載した技術および手順の例は、Handbook of Pharmaceutical Additives、第2版(M.AshおよびI.Ash編)、2001(Synapse Information Resources,Inc.、Endicott、New York、USA);Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版、2000、Lippincott,Williams & Wilkins出版;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第2版、1994に見出すことができる。例として、組成物は、好ましくは体重kgあたり活性化合物約0.01から100mgの間の投薬量で、より好ましくは約0.5から10mg/kg体重で患者に投与される。
【0099】
[103]以下は例として示されており、特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0100】
[104]実施例
[105]方法
[106]MOLT4-GFPの異種移植片を有するNSGマウスでの抗CCR9抗体SRB1のインビボにおける有効性-SRB1と化学療法剤との組合わせ
[107]NSGマウスの尾静脈にPBS100μl中の1x106MOLT4-GFP細胞を静脈注射によって注射し(0日目)、各400μg(16mg/kg)のモノクローナル抗体を(SRB1またはアイソタイプ対照を、1週間間隔で4、10、17、および24日目に)4回投与した。動物は、28日目に殺処分した。脾臓および骨髄における腫瘍細胞の総数は、腫瘍細胞をGFP発現によって検出するフローサイトメトリーによって分析した後、蛍光顕微鏡によって決定した。これらのマウスの脾臓における腫瘍細胞の蓄積の存在も分析した。
【0101】
[108]さらに、MOLT4-GFPの異種移植片を有する動物(10動物/群)の生存に対するSRB1治療の効果は、4回投与された(週1回)SRB1(4mg/kg)またはアイソタイプ対照を使用することによって決定した。その他に、その他の化学療法剤:ビンクリスチン:0.6mg/kg/マウスおよびデキサメタゾン:50μg/投与/マウスを、この手順にしたがって使用した:
・ MOLT4-GFP細胞を0日目に静脈注射した(1×106細胞/マウス)。
【0102】
・5日目に静脈内ビンクリスチン(0.6mg/kg)で治療。
【0103】
・5~9日目にデキサメタゾン(50μg/マウス/投与)で治療(両方含める)。この治療は、単独で、またはビンクリスチンと組み合わせて投与した。
【0104】
・11、18、25、および32日目にSRB1(100μg/マウス/投与)で腹腔内治療。
【0105】
・11、18、25、および32日目にアイソタイプ対照(100μg/マウス/投与)で腹腔内治療。
【0106】
[109]結果は、カプラン-マイヤー試験(本明細書でさらなる詳細を示す)によって分析した。
【0107】
[110]実施例1-特定の抗体-薬物の組合わせで治療した後の同所移植マウスモデルのインビボにおける生存
[111]
図1~3および以下の表で示したように、動物の生存増加は、4mg/kgのSRB1対対照を使用したとき観察された(IC50 70日対48日)。SRB1とビンカアルカロイドであるビンクリスチンとの組合わせは、マウスの生存を生存期間中央値306.2日まで延長する(「ビンクリスチン+SRB1」)。さらに、SRB1+ビンクリスチン+デキサメタゾンの3種の組合わせも、生存の上昇を示し、生存期間中央値が232.1日であった。
[112]
【0108】
【0109】
[113]SRB1およびビンクリスチンの組合わせは、単独で投与されたSRB1またはビンクリスチンで認められた生存期間に対する単なる相加効果を上回って生存期間中央値を有意に延長させることは明らかである(306.2日に対してそれぞれ66.2日および67.9日)。したがって、本結果は、がん、特に急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療において、追加のコルチコステロイド療法(デキサメタゾン)の有無にかかわらず、抗CCR9抗体(SRB1)およびビンカアルカロイド治療薬(ビンクリスチン)の相乗的組合わせを実証している。
【0110】
[114]本明細書で引用した全参考文献は、個々の出版物または特許または特許出願それぞれが具体的かつ個別にその全体が参考として組み込まれることを示されるのと同程度に、その全体が全目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
[115]特定の形態で、あるいは開示された機能を実施するための手段または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスの観点で表現された前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面で開示された特徴は、適切ならば、別々に、またはこのような特徴を任意に組み合わせて、本発明をその様々な形態で実現するために利用することができる。
【0112】
[116]本発明は、上述の例示的な態様に関連して記載されているが、本開示を読めば、当業者には多くの同等の変更および変動は明らかであろう。したがって、上記で説明した発明の例示的な態様は、例示的なものであり、限定的なものではないと考えられる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された態様に対して様々な変化を加えることが可能である。
【0113】
参考文献
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【配列表】
【国際調査報告】