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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20250220BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20250220BHJP
   A24B 15/12 20060101ALI20250220BHJP
   A24B 15/14 20060101ALI20250220BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20250220BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20250220BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
A24B15/12
A24B15/14
A24B15/16
A24D3/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545214
(86)(22)【出願日】2023-02-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2023054222
(87)【国際公開番号】W WO2023156660
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】22305185.5
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】アンギアノ,オズワルド
(72)【発明者】
【氏名】シンキンソン,セシル
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB11
4B043BB14
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC04
4B043BC18
4B043BC20
4B045AA21
4B045AB04
4B045AB08
4B045AB11
4B045AB16
4B045BB07
4B045BC15
4B045BC24
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC06
4B162AC14
4B162AC41
(57)【要約】
加熱されるが燃焼されないように構成されたエアロゾル発生物品(10)は、エアロゾル発生セクションと、フィルタセクションとを含み、エアロゾル発生セクションは、ラッパーによって包まれ、均質化タバコ材料及び/又は再構成タバコを含む少なくともタバコベースのエアロゾル発生基材(14)を含み、エアロゾル発生セクションは、エアロゾル形成剤と発泡体形成剤とを含む発泡体を収容する多孔質エアロゾル発生貯蔵部(16)をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されるが燃焼されないように構成され、エアロゾル発生セクションと、フィルタセクションとを含むエアロゾル発生物品(10)であって、前記エアロゾル発生セクションは、ラッパーによって包まれ、均質化タバコ材料を含む少なくともタバコベースのエアロゾル発生基材(14)を含み、前記エアロゾル発生セクションは、エアロゾル形成剤と発泡体形成剤とを含む発泡体を収容する多孔質エアロゾル発生貯蔵部(16)をさらに含む、エアロゾル発生物品(10)。
【請求項2】
前記エアロゾル発生貯蔵部(16)は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)に長手方向及び/又は径方向に隣接して位置決めされる、請求項1に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項3】
前記エアロゾル貯蔵部(16)は、ディスクとして形成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項4】
前記エアロゾル貯蔵部(16)は、少なくとも1つの長手方向チャネル(20)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項5】
前記エアロゾル貯蔵部(16)は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)の下流に位置決めされる、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項6】
前記エアロゾル発生貯蔵部(16)は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)に埋め込まれた複数の離散要素(18)で形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項7】
前記エアロゾル発生貯蔵部(16)は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)と前記ラッパーとの間の薄膜である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項8】
前記追加のエアロゾル発生貯蔵部(16)は、エアロゾル発生液を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項9】
前記発泡体中のエアロゾル形成剤の含有量は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)中のエアロゾル形成剤の含有量よりも高い、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項10】
前記発泡体形成剤は、寒天、ジェランガムの群から選択される親水コロイド、レシチン、ポリグリセロール脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの群から選択される乳化剤、及びそれらの混合物から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項11】
前記発泡体は、発泡体安定剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項12】
前記発泡体安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項13】
前記発泡体安定剤は、セルロースガム、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその誘導体及び/又はセルロース繊維を含む、請求項11又は12に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項14】
発泡体安定剤の量は、前記エアロゾル発生貯蔵部の10~30重量%、好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部の12~28重量%、より好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部の15~25重量%である、請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項15】
前記発泡体安定剤は、前記エアロゾル発生貯蔵部内に少なくとも10重量%のセルロース繊維、好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部内に約12重量%のセルロース繊維、及び/又は前記エアロゾル発生貯蔵部内に少なくとも10重量%のカルボキシメチルセルロース、好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部内に約11重量%のカルボキシメチルセルロースを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項16】
前記エアロゾル形成剤は、前記エアロゾル貯蔵部の乾燥基準での総重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは70~85重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項17】
前記エアロゾル形成剤は、プロピレングリコールなどのグリコール誘導体、又はグリセリン、又はグリセロール、又はセバシン酸エステル、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくはグリセロールを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項18】
前記エアロゾル形成剤は、エアロゾル形成剤の乾燥基準での総重量の少なくとも30重量%のグリセリン、好ましくは少なくとも50重量%のグリセリン、最も好ましくは少なくとも65%のグリセリン、最も好ましくは少なくとも70重量%のグリセリンを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項19】
前記均質化タバコ材料は、ギャザー付きシート、細片、又はストリップの形態をとる、請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項20】
前記均質化タバコ材料は、製紙技術又はキャストによってスラリーから、或いは押出及び積層によってスラリー又はドウからシート又はストリップに製造される、請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項21】
前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)は、タバコ葉身をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項22】
前記タバコ葉身は、細片の形態である、請求項21に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項23】
少量の切断されたタバコ茎又は葉柄、セルロース繊維、又は膨張タバコは、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)中に存在する、請求項1~22のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項24】
前記少量の切断されたタバコ茎若しくは葉柄、セルロース繊維、又は膨張タバコは、前記タバコベースのエアロゾル発生基材(14)の15重量%以下である、請求項23に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項25】
前記エアロゾル発生貯蔵部は、前記タバコベースのエアロゾル発生基材に隣接して位置決めされた円筒形ディスクで形成される、請求項1~24のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項26】
前記エアロゾル発生貯蔵部の長さと前記タバコベースのエアロゾル発生基材の長さとの比は、1:1~1:5、好ましくは1:2~1:4である、請求項1~25のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項27】
前記タバコベースのエアロゾル発生基材の前記長さは、13mm~15mm、好ましくは約14mmであり、及び/又は前記エアロゾル発生貯蔵部の前記長さは、5.5mm~6.5mm、好ましくは約6mmである、請求項1~26のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項28】
発泡体形成剤の前記量は、前記エアロゾル発生貯蔵部の1~15重量%、好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部の2~10重量%、より好ましくは前記エアロゾル発生貯蔵部の3~8重量%である、請求項1~27のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項29】
前記エアロゾル発生基材の下流にマウスピースをさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項30】
前記マウスピースは、前記ラッパー内に収容される、請求項29に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項31】
前記マウスピースはフィルタを含む、請求項29又は30に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項32】
前記マウスピースの長さは、約30~45mmである、請求項29~31のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項33】
前記マウスピースは、前記エアロゾル発生セクションと前記フィルタセクションとの間に設けられた間隔保持及び/又は冷却要素を含む、請求項29~32のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項34】
前記間隔保持及び/又は前記冷却要素は、中空管状部材を含む、請求項33に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項35】
前記中空管状部材は紙で形成される、請求項34に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項36】
前記中空管状部材は、10~25mm、好ましくは18~22mmの長さを有する、請求項34又は35に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項37】
前記マウスピースは、好ましくは前記中空管状部材を貫通して延びる通気ゾーンを含む、請求項34~36のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項38】
前記マウスピースは、好ましくは前記間隔保持及び/又は冷却要素を貫通して延びる通気ゾーンを含む、請求項33~37のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項39】
前記ラッパーは、紙巻きタバコ用巻紙から作られる、請求項1~38のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項40】
前記ラッパーは、前記発泡体の焼け焦げを回避するように設計される、請求項1~39のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項41】
前記エアロゾル発生物品(10)の全長は、50mm~70mm、好ましくは55mm~65mm、より好ましくは58mm~62mmである、請求項1~40のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項42】
前記エアロゾル発生セクションの長さは、約15mm~25mmである、請求項1~41のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項43】
前記タバコベースのエアロゾル発生基材の上流に設けられた前側プラグをさらに含む、請求項1~42のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項44】
前記前側プラグは、平坦なセグメントである、請求項43に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項45】
前記前側プラグは中空セグメントである、請求項43に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項46】
前記前側プラグは繊維状材料で作られ、好ましくは、前記繊維状材料は、セルロースアセテート又は紙シート又は不織布のうちの少なくとも1つを含む、請求項43~45のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物品は、従来の喫煙物品の代替品として人気が高まっている。そのような物品は、ニコチン及び/又はタバコを含有し、同時に可視蒸気を生成することが消費者によって期待されている。
【0003】
これに関連して、欧州特許第3046431B1号明細書は、液体タバコ抽出物とすることができるニコチン源を備えたエアロゾル発生システムに関する。国際公開第2021/053029号パンフレットは、複数のエアロゾル発生基材に関連しており、国際公開第2018/122375号パンフレットは、タバコムースを開示している。最後に、さらなるエアロゾル発生物品は、欧州特許第3462935B1号明細書、国際公開第2020/089067号パンフレット、及び国際公開第2020/089068号パンフレットで知られている。
【0004】
それにもかかわらず、可視蒸気の生成に関して改良された、エアロゾル発生物品の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明は、可視蒸気の生成に関して改良された、エアロゾル発生物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、請求項1の主題によって達成される。
【0007】
したがって、新規なエアロゾル発生物品は、加熱されるが燃焼されないように構成され、エアロゾル発生セクションとフィルタセクションとを含む。少なくともエアロゾル発生セクションは、ラッパーによって包まれ、再構成タバコなどの、均質化タバコ材料と、任意選択的にタバコ葉身とを、例えばタバコベースのエアロゾル発生基材の重量の30重量%まで含む、少なくともタバコベースのエアロゾル発生基材を含む。均質化タバコ材料は、ギャザー付きシート、細片、又はストリップの形態をとり得る。均質化タバコ材料は、製紙技術又はキャストによってスラリーから、或いは押出及び積層によってスラリー又はドウからシート又はストリップに製造され得る。タバコ葉身はまた、細片の形態であり得る。追加的に、少量(例えば15重量%以下)の切断されたタバコ茎若しくは葉柄、セルロース繊維、又は膨張タバコが存在し得る。エアロゾル発生セクションは、エアロゾル形成剤と、発泡体形成剤と、任意選択で発泡体安定剤とを含む発泡体を収容する多孔質エアロゾル発生貯蔵部をさらに含む。
【0008】
タバコベースのエアロゾル発生基材によって、タバコの味及びニコチンを送達することができ、追加のエアロゾル発生貯蔵部によって、増加した量の可視蒸気を生成することができる。これに関して、エアロゾル発生貯蔵部内に収容された発泡体は、eタバコの液体に類似したeリキッドを運ぶので、ムース又はeムースと呼ぶこともできる。副次的な側面として、タバコ基材は、基本的に固体であり、好ましくは、高いタバコ含有量、好ましくは凝集粉末の形態のタバコを有する、ギャザー付きシート、細片、ストリップなどとして形成され、少なくとも好ましくはタバコムースでも毛細タバコ基材でもない。
【0009】
エアロゾル発生貯蔵部内の発泡体は、ムース中にエアロゾル形成剤を非自由液体状態で保持し、及び/又はエアロゾル形成剤が漏出することを防止する。換言すれば、エアロゾル発生貯蔵部内に自由液体状態のエアロゾル前駆体はなく、好ましくは固体マトリックス又は担体もない。したがって、この貯蔵部からのあらゆる種類の液体の望ましくない漏出のリスクなしに、多量の可視蒸気を生成するという所望の効果を得ることができる。同時に、固体マトリックス又は担体(セラミック又は多孔質プラスチックなど)を全く必要としないことによって、構造を比較的単純にし、紙ラッパーに簡単に挿入可能(即ち、より変形可能又は成形可能)及び生分解可能にすることができる。
【0010】
本発明によって得られる効果は、可視蒸気ブースタと呼ぶこともでき、ユーザによって行われる満足のいくベイピング体験をもたらす。既に示したように、これは、エアロゾル形成剤又は保湿剤を収容する貯蔵部によって基本的に達成される。特に、エアロゾル発生液は、有利には、160℃を超える、好ましくは175℃を超える、最も好ましくは185℃~295℃の沸点を有する少なくとも1種の成分を含むことができる。
【0011】
タバコベースの基材とは別個のエアロゾル発生貯蔵部を設けることによって、製造可能性の理由からタバコベースの基材中のエアロゾル発生剤の量を増加させることができないという問題が克服される。製造可能性の問題は、エアロゾル形成剤の量が一定値、例えば基材の総重量の25~30重量%を超えると、製品の粘着性が高くなりすぎて取り扱いが困難になり、包まれてラッパーに汚れが生じることに関する。したがって、タバコベースの基材に加えて及びタバコベースの基材とは別個のエアロゾル発生貯蔵部を設けることによって、基本的に追加の量の可視蒸気をさらに生成することができる。同時に、エアロゾル発生貯蔵部の周囲の又はそれに隣接するいかなる種類の熱障壁も回避することによって、エアロゾル発生貯蔵部の加熱を確実に行うことができる。
【0012】
好ましい実施形態は、さらなる請求項に記載されている。
【0013】
概して、エアロゾル発生貯蔵部は、加熱時に所望の多量の蒸気が生成される、任意の場所に位置決めすることができる。特に、タバコベースの基材に長手方向及び/又は径方向に隣接する位置は、上述の隣り合うエアロゾル発生基材及び貯蔵部を依然としてカバーする一方で、比較的小さな寸法を有するヒータでの加熱を確実にするために有益である。
【0014】
同様に、エアロゾル発生貯蔵部は、任意の適切な形状を有することができ、特に、典型的には円筒形容積である、エアロゾル発生物品の包まれた内部容積の径方向寸法全体に及ぶディスクとして形成することができる。しかしながら、ディスクは、他の向きに配置する、特に径方向に対してある角度をなすように配置することもできる。その上、発泡体は、ロッドの形状で存在することもでき、必ずしも物品の径方向寸法全体をカバーする必要はなく、基本的に物品の長手方向に又は物品に対して角度をなして延びることができる。好ましい態様では、エアロゾル発生貯蔵部は、タバコベースのエアロゾル発生基材に隣接して位置決めされた円筒形ディスクで形成され、エアロゾル発生貯蔵部の長さとタバコベースのエアロゾル発生基材の長さとの比は、1:1~1:5、好ましくは1:2~1:4である。
【0015】
例えば、タバコベースのエアロゾル発生基材の長さは約14mmであり、エアロゾル発生貯蔵部の長さは約6mmである。
【0016】
エアロゾル発生貯蔵部はまた、貯蔵部を通るエアロゾルの流れを促進するために、1つ以上の長手方向チャネルを含むことができる。
【0017】
貯蔵部が基材の下流に位置決めされる場合、タバコベースの基材と追加のエアロゾル発生貯蔵部との適合性が特に良好であると現時点では予測される。実際に、貯蔵部からのエアロゾルは、タバコベースの基材の質量によって妨げられることなく、より容易に送達することができる。
【0018】
それにもかかわらず、エアロゾル貯蔵部を構成する、ビーズ又はペレットなどの、上で示したディスクと複数の離散要素の両方は、有利には、タバコベースの基材に埋め込むことができる。
【0019】
エアロゾル発生貯蔵部がタバコベースの基材に常に隣接する好ましい実施形態として、貯蔵部は、基本的に基材と外側ラッパーとの間に位置決めされた薄膜とすることができる。
【0020】
既知のエアロゾル形成剤は、エアロゾル発生液によって構成することができ、それにもかかわらず、エアロゾル発生液は、上で示したように漏出を防止する方法で収容される。
【0021】
可視蒸気の量を増加させるという本発明の基礎をなす概念は、貯蔵部の発泡体中のエアロゾル形成剤の含有量がタバコベースの基材中のエアロゾル形成剤の含有量よりも高いという好ましい評価基準に特に反映されている。
【0022】
好ましくは、発泡体形成剤は、
寒天、ジェランガムの群から選択される親水コロイド、
レシチン、ポリグリセロール脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの群から選択される乳化剤、
及びそれらの混合物
からなる群から選択される。好ましくは、発泡体形成剤は、ジェランガムを含むか又はジェランガムからなる。
【0023】
発泡体形成剤の量は、好ましくは、エアロゾル発生貯蔵部の乾燥基準で1~15重量%、より好ましくは、エアロゾル発生貯蔵部の乾燥基準で2~10重量%、最も好ましくは、エアロゾル発生貯蔵部の乾燥基準で3~8重量%である。
【0024】
また、好ましくは、発泡体安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/或いは、発泡体安定剤は、セルロースガム、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその誘導体及び/又はセルロース繊維を含む。
【0025】
発泡体安定剤の量は、好ましくは、エアロゾル発生貯蔵部の乾燥基準で8~30重量%、好ましくは乾燥基準で10~28重量%、最も好ましくは、エアロゾル発生貯蔵部の乾燥基準で15~25重量%である。一例では、発泡体安定剤は、エアロゾル発生貯蔵部内に、乾燥基準で8~12重量%のセルロース繊維と、乾燥基準で8~12重量%のカルボキシメチルセルロースとを含む。別の例では、発泡体安定剤は、エアロゾル発生貯蔵部内に15~18重量%のカルボキシメチルセルロースを含む。
【0026】
上述の物質の全てにより、発泡体の形成及び安定化に関して優れた結果が得られる。
【0027】
発泡体は、開気孔である多孔質構造を含み、特にここで、この構造は、基本的に発泡体形成剤及び発泡体安定剤から形成される。
【0028】
これは、エアロゾル形成剤がエアロゾル貯蔵部の乾燥基準での総重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは70~85重量%の量で存在する場合、十分な量の可視蒸気の形成に関しても当てはまる。
【0029】
好ましくは、エアロゾル形成剤は、プロピレングリコールなどのグリコール誘導体、又はグリセリン、又はグリセロール、又はセバシン酸エステル、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくはグリセロールを含み、及び/又はエアロゾル形成剤は、エアロゾル形成剤の乾燥基準での総重量の少なくとも30重量%のグリセリン、好ましくは少なくとも50重量%のグリセリン、最も好ましくは約63重量%のグリセリンを含む。これらの物質を記載した量で用いて、特に良好な可視蒸気の形成が得られる。
【0030】
本明細書に記載のエアロゾル発生物品は、ラッパーに包まれた上記のセクションを含む。物品は、ラッパー内に収容することもできる、マウスピースをタバコベースのエアロゾル発生基材の下流にさらに含むことができる。さらに、マウスピースは、フィルタと、エアロゾル発生セクションとフィルタとの間に設けられた間隔保持及び/又は冷却要素とを含むことができる。ラッパーは、例えば、紙巻きタバコ用巻紙から作ることができ、金属化することもしないこともできる。いずれの場合も、ラッパーは、発泡体の焼け焦げを回避するように設計することができる。
【0031】
マウスピース内に設けられたフィルタに関して、このフィルタは、比較的低い、いずれの場合も、許容できる圧力損失をもたらすように適合させることができ、その結果、風味強度とニコチン収量が最適なままである。追加的に、間隔保持及び/又は冷却要素の存在によって、まず、発生したエアロゾルが冷却され、その結果、不快なほど高温のエアロゾルがユーザの口に流入することが防止される。その上、物品を使用できる、良好に確立されたエアロゾル発生デバイスに適合した大きさを、間隔保持要素を用いて、本発明による物品に与えることができる。本明細書に記載する物品を本エアロゾル発生デバイスと共に使用できるという事実に起因して、ユーザには、単一のデバイスがあれば十分であり、1つのデバイスのみをメンテナンスすればよいという利点がある。
【0032】
間隔保持は、紙で形成され得る中空管状部材を含み得る。同様に、冷却要素は、紙で形成され得る中空管状部材を含み得る。中空管状部材の長さに関して、現時点では、10~25mm、好ましくは18~22mmが好ましい。欧州特許出願公開第3881699A1号明細書に記載されているように、間隔保持及び/又は冷却部材(即ち「中心孔」セグメント)よりも小さい内径を有するさらなる管状部材が、冷却管状部材とフィルタセグメントとの間に位置決めされ得る。
【0033】
一例では、マウスピースは、下流方向に、冷却要素と中心孔セグメントとフィルタセグメントとを含む。中心孔セグメントは、間隔保持とフィルタセグメントの間に位置決めされたセグメントとすることができる。マウスピースは、口側端に近接しているので、蒸気から表面を保護することができる。
【0034】
マウスピース及びエアロゾル発生セクションは、好ましくは、ラッパーによって個別に包まれ、ラッパー、即ちチップペーパーを組み付けることによって組み付けられる。
【0035】
通気ゾーンは、好ましくは間隔保持及び/又は冷却要素を貫通してマウスピース内に設けられ得る。通気ゾーンは、ラッパー及び中空管状部材を貫通して並びに/又はラッパー及び中心孔セグメントを貫通して設けられた複数の穿孔によって形成され得る。
【0036】
エアロゾル発生基材は、任意の適切な延長部を有することができるが、エアロゾル発生基材が物品の上流端から下流端に向かって延びる場合には、本明細書に記載する物品をコンパクトに保つ。また、物品の好ましい全長は、50mm~70mm、より好ましくは55mm~65mm、さらにより好ましくは58mm~62mmであり、エアロゾル発生セクションの長さは、好ましくは約15mm~25mmであり、マウスピースの長さは、好ましくは約30mm~45mmである。
【0037】
前側プラグは、タバコベースのエアロゾル発生基材の上流に追加され得る。前側プラグは、例えば、タバコベースの基材からのタバコ基材の落下を防止するように及び/又はタバコベースの基材を圧縮された状態に維持するように機能し得る。前側プラグは、セルロースアセテート又は紙シート又は不織布などの繊維状材料で作られた平坦なセグメント又は中空管状セグメントであり得る。
【0038】
以下では、本発明の非限定的な例及び図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図2】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図3】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図4】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図5】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図6】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図7】エアロゾル発生物品の様々な実施形態を示す。
図8】本発明によって得られる効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1から分かるように、本明細書に記載するエアロゾル発生物品10は、基本的にロッド形状又は円筒形状であり、長さの約3分の1~半分が、12で示すエアロゾル発生デバイスの外部ヒータにより画定された加熱ゾーンによって加熱されるエアロゾル発生セクションに対応する。エアロゾル発生セクションは、タバコベースの基材14と、追加のエアロゾル発生貯蔵部16とを含む。したがって、両方は、使用時には加熱ゾーン12内に位置する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル流路の下流方向に、冷却管状部材22とフィルタ24とをさらに含む。冷却管状部材22は、例えば、エアロゾルが冷却するのに十分な空間及び表面を与えることを可能にする、紙管又は任意の他の少なくとも部分的に剛性の高い中空構造を含み得る。欧州特許出願公開第3881699A1号明細書に記載されているように、冷却部材よりも小さい内径(即ち「中心孔」セグメント)を有するさらなる管状部材が、冷却管状部材22とフィルタとの間に位置決めされ得る。フィルタ24は、セルロースアセテート又は紙シートで作られたフィルタセグメントなどの1つ又は複数のフィルタセグメントを含み得る。フィルタは、風味放出フィルタ、例えば、易破壊性カプセルフィルタを含み得る。
【0041】
図1の実施形態では、タバコベースの基材14は、基本的にエアロゾル発生貯蔵部16によって半部に分割され、この場合、エアロゾル発生貯蔵部は、2つの半部の間に位置するディスクの形状を有する。換言すれば、エアロゾル発生貯蔵部は、この場合、長手方向延長部、換言すれば、円筒軸に沿った延長部を有し、この延長部は、著しく小さい、例えば、タバコベースの基材の半分の約10~20%にすぎない。
【0042】
一例では、物品は、11~17mm、好ましくは14mmの長さを有するタバコベースの基材と、4~8mm、好ましくは6mmのエアロゾル発生貯蔵部と、15~25mm、好ましくは20mmの紙管を含む中空管状部材とを備え、40~80mm、好ましくは60mmの長さを有する。
【0043】
これらの寸法は、図2の実施形態について示した寸法と基本的に一致し、この実施形態では、エアロゾル発生貯蔵部16は、タバコベースの基材14の下流に位置決めされる。どちらの場合も、基材14と貯蔵部16の両方が、物品10の径方向寸法全体にわたって延び、その外側は、基本的にラッパーによって画定される。
【0044】
記載した寸法は、図3及び図4の実施形態にも適用され、図3の実施形態は、略中心孔又は長手方向チャネル20を有する。さらに別の例として、図4の実施形態は、複数の、図示の場合では4つの長手方向孔又はチャネル20を有する。言うまでもなく、図1図3及び図4の実施形態のディスクは、タバコベースの基材14の長手方向における中央に正確に位置する必要はなく、さらに上流又は下流に位置することができ、下流の位置が望ましい。図1図4に示すディスクに代えて又は加えて、エアロゾル発生貯蔵部は、図5に示すように、複数の離散要素18で形成することもできる。
【0045】
さらなる代替案として、図6の実施形態では、エアロゾル発生貯蔵部16は、径方向内側のタバコベースの基材14と外側ラッパーとの間に薄膜として形成される。薄膜は、全周にわたって延びることができるが、重なるように、より短い又は長いものとすることもできる。その上、薄膜は、タバコベースの基材14の軸方向延長部に対応する軸方向延長部を有することができるが、より短い又はより長いものとすることもできる。
【0046】
さらなる代替案として、図7の実施形態では、エアロゾル発生物品10は、前側プラグ26が図1の実施形態のエアロゾル発生物品10と異なる。前側プラグ26は、エアロゾル発生セクションが前側プラグ26と冷却管状部材22との間に軸方向に位置するように配置される。換言すれば、前側プラグ26は、タバコベースのエアロゾル発生基材14の上流に設けられる。
【0047】
前側プラグ26は、平坦又は中空であり得る。前側プラグ26は、繊維状材料で作られ得る。そのような場合、繊維状材料は、セルロースアセテート、紙シート、又は不織布のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0048】
図3及び図4の実施形態と同様に、図7の実施形態のエアロゾル発生物品10は、略中心孔又は長手方向チャネルを含み得る。また、図7の実施形態のエアロゾル発生物品10が、図5及び図6の実施形態のように、複数の離散要素で形成された又は薄膜として形成されたエアロゾル発生貯蔵部を含むことも考えられ得る。
【0049】
図8は基本的に、既存の製品と比較して迅速で且つ広範囲にわたる蒸気発生である、本発明によって得られる効果を要約したものである。
【0050】
エアロゾル発生貯蔵部、即ち(e)ムース又は発泡体のレシピの例は、以下の通りである。
【0051】
【表1】
【0052】
eムースは、例えばエチルバニリン、メントール、スペアミント油、ベリー、果物、根、又は植物の抽出物又は油などの風味剤を含むことができる。
【0053】
eムースは、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど、及びそれらの混合物の1種以上から選択されるpH調整剤を含むことができる。
【0054】
本開示との関連での均質化タバコ材料とは、凝集粒子状タバコ(例えばタバコ粉末)と、エアロゾル形成剤と、任意選択的に外因性結合剤(タバコ内因性結合剤以外の)とで形成された材料を示す。
【0055】
均質化タバコ材料は、以下の特徴のうちいずれか1つ以上を有し得る。
- タバコ粒径D90:約20~1000ミクロン、好ましくは30~300ミクロン。D90は、サンプル体積の90%がそれ未満で存在する最大粒径を表す。それは、乾式分散法を用いるMalvern Mastersizer3000レーザ回折装置を用いて測定される。
- 材料は、好ましくは、製紙プロセスによってスラリーから、或いは押出/積層プロセスによってキャストシート又はスラリー又はドウからシートに成形される。
- シートは、ギャザー状に挿入することができ、又はストランド、細片、ストリップ、断片などに切断若しくは分解することができる。最終的に、シートに捲縮を施すことができる。
・積層シートの例は、国際公開第2021144676号パンフレット、国際公開第2021144043号パンフレット、国際公開第2020058814号パンフレットから得ることができる。
・抄紙シートの例は、国際公開第2017051034号パンフレットに示されている。
・キャストシートの例は、国際公開第2016050471号パンフレット、国際公開第2016050470号パンフレット国際公開第2012164009号パンフレットにおいて与えられている。
- 均質化タバコ材料の乾燥基準での密度(又は質量対表面積比):800~1450mg/cm、好ましくは900~1200mg/cm
- シート中のエアロゾル形成剤の含有量:均質化タバコ材料の乾燥基準で8~25重量%、好ましくは10~18重量%。
【0056】
エアロゾル形成剤は、好ましくは、多価アルコールとすることができ、多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、及びエリスリトールを含み得る。これらの多価アルコールは、単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
- 均質化タバコ材料は、結合剤(例えば、ペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、澱粉、CMC、デキストランなど)を含み得る。結合剤は、スラリー又はドウから出発する場合、特にキャスト又は押出シートに必要とされ得る。
- 異なる均質化タバコ材料を異なる産地/品種(バーレー、バージニア、オリエンタルなど)及び/又は異なる製造プロセス(キャスト、紙、積層)のタバコとブレンドすることが可能である。
- 場合により、均質化タバコ材料と、タバコ葉身、セルロース繊維、不織繊維などとのブレンドも提供することができる。
【0057】
ラッパー内のタバコベースのエアロゾル発生基材の充填密度は、少なくとも250mg/cm、好ましくは少なくとも300mg/cm、又は通常500mg/cm以下、好ましくは400mg/cm以下、より好ましくは350mg/cm以下であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】