IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイオワ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】mRNAの発現及び送達システム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20250220BHJP
   C12N 15/50 20060101ALI20250220BHJP
   C12N 15/44 20060101ALI20250220BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250220BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20250220BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/50
C12N15/44
C12N15/13
C12N5/10
A61K48/00
A61K39/00
A61K39/145
A61K39/215
A61K39/395 H
A61K35/12
A61P37/04
A61P31/14
A61P31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545925
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2023062194
(87)【国際公開番号】W WO2023154734
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/267,703
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】304057287
【氏名又は名称】アイオワ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Iowa State University Research Foundation, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーホーベン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ワイアット アレン
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハン, バラジ
(72)【発明者】
【氏名】キンバー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, ダグラス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA05
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085AA03
4C085AA14
4C085BA01
4C085BA55
4C085BA71
4C085BB11
4C085BB31
4C085DD62
4C085GG01
4C085GG03
4C085GG10
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA12
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB33
(57)【要約】
本開示は、高価な修飾の必要性を排除する、植物ウイルス、昆虫ウイルス、及びフラビウイルス由来の配列に基づくRNA発現システムを提供する。インビトロ転写及び脂質ナノ粒子を必要とせずにRNAポリヌクレオチドを発現及びパッケージ化する方法が提供される。また、室温で安定であり、鼻腔スプレーによる送達に好適である合成ポリ無水物ナノ粒子を使用して、RNAポリヌクレオチドをパッケージ化する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’非翻訳領域(5’UTR)と、少なくとも1つのポリペプチドをコードする異種配列と、3’非翻訳領域(3’UTR)と、を含むRNAポリヌクレオチドであって、前記5’UTR又は前記3’UTRが、パニクムモザイクウイルス(panicum mosaic virus)様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はエキソリボヌクレアーゼ耐性RNA(xrRNA)要素を含む、RNAポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記5’UTR又は前記3’UTRが、xrRNA要素を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記xrRNA要素が、配列番号6、25、31、又は36を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記5’UTR又は前記3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサーを含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記5’UTR又は前記3’UTRが、薄いスズメノヒエ(Thin paspalum)無症候性ウイルス(TPAV)、トマトブッシースタントウイルス(Tomato Bushy Stunt Virus)(TBSV)、スイートクローバー壊疽モザイクウイルス(SCNMV)、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)、又はケシモザイクウイルス(OPMV)に由来する、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記5’UTR又は前記3’UTRが、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記5’UTRが、配列番号7、14、26、28、29、32、33、又は37を含み、前記3’UTRが、配列番号8、13、15、16、27、30、35、又は38を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記RNAポリヌクレオチドが、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項9】
IRESが、配列番号9、10、12、又は34を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記RNAポリヌクレオチドが、RNAタンパク質結合ドメインを含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記RNAポリヌクレオチドが、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記RNAポリヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを含まない、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポリペプチドが、抗原ポリペプチドを含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記抗原ポリペプチドが、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに由来する、請求項13に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記少なくとも1つのポリペプチドが、抗体の軽鎖及び重鎖を含む、請求項1に記載のRNAポリヌクレオチド。
【請求項16】
ポリ無水物ポリマーと、請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAポリヌクレオチドと、を含む、ポリ無水物組成物であって、前記ポリ無水物ポリマーが、前記RNAポリヌクレオチドを封入する、ポリ無水物組成物。
【請求項17】
前記ポリ無水物ポリマーが、1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン(CPTEG)及び1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)のコポリマーを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
CPTEG:CPH比が、約20:80~約50:50である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
RNAポリヌクレオチドの送達のためのエクソソームであって、前記エクソソームが、請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAポリヌクレオチドを含む、エクソソーム。
【請求項20】
請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAポリヌクレオチドと、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項21】
対象において目的のポリペプチドを産生するか、対象にRNAポリヌクレオチドを送達するか、対象において免疫応答を誘導するか、又は対象へ抗体を送達する方法であって、前記方法が、
前記対象に、請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAポリヌクレオチド、又は前記RNAポリヌクレオチドを含む、ポリ無水物組成物、エクソソーム、若しくは医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記RNAポリヌクレオチド、前記ポリ無水物組成物、前記エクソソーム、又は前記医薬組成物が、前記対象に、筋肉内、鼻腔内、又は皮膚内投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、ヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
RNAポリヌクレオチドの送達のためのエクソソームを産生するための方法であって、前記方法が、
請求項1~15のいずれか一項に記載のRNAポリヌクレオチドを発現するポリヌクレオチド構築物で細胞を形質転換することと、
前記細胞を増殖培地中で培養することであって、前記RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームが、細胞外の増殖培地中に放出される、培養することと、
前記細胞を前記増殖培地から除去することと、
前記増殖培地から前記RNAポリヌクレオチドを含む前記エクソソームを採取することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記採取することが、超遠心分離によるものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が、A549細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチド構築物が、プロモーターを含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年2月8日に出願された米国仮出願第63/267,703号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表XML
本出願は、電子提出によりXMLファイル形式で提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2023年2月7日に作成されたXMLファイルは、P13653WO00.xmlの名称であり、58,819バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
mRNAワクチンは、SARS-CoV-2を標的とするmRNAワクチンによって実証されるように、ウイルスに対して非常に有効であり得る。しかしながら、現在の技術には、以下のようないくつもの欠点がある:(1)プソイドウリジンのような修飾rNTP、及び5’末端にあるキャップ構造[例えば、mG(5’)ppp(5’)GpN]、及び3’末端にある一連の50個以上の連続したアデノシン残基[ポリ(A)テール]を使用することによるmRNAの修飾の必要性(これらの全ては、製造に高価なステップを必要とする)、(2)-20~-80℃を除く熱安定性の欠如、(3)その化学組成が有害な免疫応答を引き起こすことが知られている脂質ナノ粒子、(4)産物の最大25%が、タンパク質を作製せず、それについてほとんどが分かっていない小さなRNAである複雑な精製システム、並びに(5)訓練を受けた医療専門家を必要とする筋肉内注射による送達の要件。
【発明の概要】
【0004】
5’非翻訳領域(5’UTR)と、少なくとも1つのポリペプチドをコードする異種配列と、3’非翻訳領域(3’UTR)と、を含むRNAポリヌクレオチドであって、5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス(panicum mosaic virus)様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はエキソリボヌクレアーゼ耐性RNA(xrRNA)要素を含む、RNAポリヌクレオチドが提供される。
【0005】
ある特定の実施形態では、5’UTR又は3’UTRは、薄いスズメノヒエ(Thin paspalum)無症候性ウイルス(TPAV)、トマトブッシースタントウイルス(Tomato Bushy Stunt Virus)(TBSV)、スイートクローバー壊疽モザイクウイルス(SCNMV)、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)、又はケシモザイクウイルス(OPMV)に由来する。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを含まない。ある特定の実施形態では、コードされたポリペプチドは、抗原ポリペプチドである。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体の軽鎖及び重鎖である。
【0006】
本明細書に開示のRNAポリヌクレオチドのうちのいずれかと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0007】
本明細書に開示のRNAポリヌクレオチドのうちのいずれかを送達するためのエクソソームが提供される。
【0008】
ポリ無水物ポリマーと、本明細書に開示のRNAポリヌクレオチドのうちのいずれかと、を含む安定したポリ無水物組成物が提供される。ポリ無水物ポリマーと、本明細書に開示のエクソソームのうちのいずれかと、を含むポリ無水物組成物もまた提供される。
【0009】
5’UTRと、ポリペプチドをコードする配列を挿入するための異種多重クローニング部位と、3’UTRと、を含むRNAポリヌクレオチドであって、5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、RNAポリヌクレオチドが提供される。
【0010】
対象に、本明細書に開示のRNAポリヌクレオチド、医薬組成物、ポリ無水物組成物、又はエクソソームのうちのいずれかを投与することを含む、対象において目的のポリペプチドを産生する方法が提供される。
【0011】
対象に、本明細書に開示のRNAポリヌクレオチド、医薬組成物、ポリ無水物組成物、又はエクソソームのうちのいずれかを投与することを含む、対象にRNAポリヌクレオチドを送達する方法が提供される。
【0012】
対象において免疫応答を誘導する方法であって、対象において抗原特異的免疫応答を産生するのに有効な量のRNAポリヌクレオチドを含む組成物を、対象に投与することを含み、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、少なくとも1つの抗原ポリペプチドをコードする配列と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、方法が提供される。
【0013】
抗体を対象に送達する方法であって、RNAポリヌクレオチドを含む組成物を対象に投与することを含み、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、抗体の軽鎖をコードする配列と、抗体の重鎖をコードする配列と、少なくとも1つの内部リボソーム進入部位(IRES)と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、方法が提供される。
【0014】
RNAポリヌクレオチドの送達のためのエクソソームを産生するための方法であって、RNAポリヌクレオチドを発現するポリヌクレオチド構築物で細胞を形質転換することであって、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、少なくとも1つのポリペプチドをコードする配列と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、形質転換することと、細胞を増殖培地中で培養することであって、RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームが、細胞外の増殖培地中に放出される、培養することと、細胞を増殖培地から除去することと、増殖培地からRNAポリヌクレオチドを含むエクソソームを採取することと、を含む、方法が提供される。
【0015】
複数の実施形態が開示されるが、本開示の更に他の実施形態は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示するものであり、限定するものではないとみなされるべきである。
【0016】
以下の図面は、本明細書の一部分を形成し、本開示のある特定の実施形態又は様々な態様を更に実証するために含まれる。いくつかの場合では、本明細書に提示される詳細な説明と組み合わせて添付の図面を参照することによって本開示の実施形態を最もよく理解することができる。説明及び添付の図面は、本開示のある特定の具体的な実施例、又はある特定の態様を強調する場合がある。しかしながら、当業者は、実施例又は態様の一部分が、本開示の他の実施例又は態様と組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】mRNAワクチン転写産物の5’及び3’UTRにおけるキャップ非依存性翻訳及び安定性要素を示す。太い黒色の線:レポーター(ホタルルシフェラーゼ(Fluc)又はmKATE2)又はワクチン抗原をコードするORF(太いボックス)に隣接するUTR。翻訳/安定性要素のRNA二次構造は、擬似ノット塩基対合を示す湾曲した破線を有するワイヤー図として示される。直線の破線は、要素が挿入されるおおよその位置を示し、代替構造は同じ部位にマップされる。5’末端に追加されたキャップ類似体(湾曲した矢印)は、左上のボックス内にある。要素の名前はテキストと同じであり、長さが表示されている。A(60)-X-A(60)は、1~6個の非A塩基によって中断された2つの60Aトラクトを示す。
図2】キャップなし及びテールなしのmRNAのmRNAトランスフェクション後の発現を示す。インビトロ転写(IVT)を使用して、市販のキットによってmRNAを生成し、mRNAトランスフェクション試薬を使用してトランスフェクションした。細胞を、トランスフェクションの48時間後に検査した。TPAV及びxrRNAカセットは、b-アクチンよりはるかに優れており、少なくとも3日間、レポーターを発現し続けた。
図3】ポリ無水物ナノ粒子が少なくとも2日間の室温安定性を与えることを示す。xrRNA mRNAを粒子に添加した。次いで、5mgの粒子を、水中で3時間インキュベーションすることによって分解し、RNAを脂質トランスフェクション試薬に添加し、次いで、HELA細胞に添加した。細胞を48時間後に検査した。
図4】mRNAがポリ無水物ナノ粒子中に存続することを示す。mKATEに隣接するxrRNAを含有するナノ粒子(ナノ)を4時間溶解させるか、又は室温で26時間保持し、次いで、水中に4時間溶解させた。ナノ粒子に含まれないmRNA(裸)を同様の条件に供した。RNAを逆転写し、次いで、40サイクルでPCRによって増幅した。明らかに、ナノ粒子は、mRNAにある程度の熱安定性を与える。
図5】コポリマーによるmRNA送達の増強を示す。A549細胞を、ウマHA mRNA(0.5μg)を使用して、脂質若しくはコポリマー又はH3N8ウイルスでトランスフェクションした。次いで、HAに対して染色し、続いて、抗マウスDylight 555(赤色)で染色した。脂質は、mRNAトランスフェクションのためにMirus Bioからの最適化されたリポソームであった。コポリマーは、より多くの細胞をトランスフェクションしただけでなく、赤色がより深く現れたことは、おそらくより多くのタンパク質が翻訳されたことを意味する。コポリマーにおけるいくつかの細胞損失は、細胞の上部で37℃でゲル化し、染色前にゲルを除去することに起因する。トランスウェル(Transwell)はこの損失を被ることはない。脂質の陰性対照(図示せず)もまた、コポリマー陰性と同様であった。各々について試験された12ウェルの両方の送達方法について、1つの代表的なウェルを示す。矢印は、HA陽性細胞を示す。
図6】室温でのポリ無水物中での熱安定性を示す。RSV F mRNAを作製し、スペルミジンとともに凍結乾燥した。80μgを閉じたマイクロチューブ中で、室温で保持し、一方、100μgをポリ無水物中に20:80で包み込み、同様に保持した。4か月後、mRNAを、製造業者の指示に従ってリポソームに添加し、HELA細胞上に置くか、又は3mmのポリ無水物を粉砕し、一晩HELA細胞に添加した。次いで、細胞をRSVタンパク質に対して細胞内染色し、続いて、抗ヤギAlex 555で染色した。qRT-PCRの結果はまた、ポリ無水物結合mRNAのみが、非常に長い間の保存後に無傷であったことを裏付けた。
図7】トランスフェクションされた細胞における細胞外小胞(EV)中のmRNAを示す。A549/T7ポリメラーゼ細胞を、DEAデキストランを使用して、mKATE/TPAV(5μg)をトランスフェクションした。次いで、細胞に10%のグリセロールでショックを与え、培地を除去した。3日後、上清を2回の遠心分離及び0.2μMの濾過によって採取した。100μlのEVをHELA細胞(T7なし)に1時間添加した後、洗浄し、培地を交換した。細胞は、48時間後に開花し始め、72時間後により高い強度になった。
図8】電子顕微鏡によって検査されたEVを示す。EVを超遠心分離(図示せず)又は市販のキットによって精製した。次いで、それらを走査型電子顕微鏡に供した。
図9】DEAデキストラントランスフェクション後に細胞から採取されたEVを示す。A549 T7細胞を、DEAデキストラン担体中、空又はTPAV mKATE PCR産物で、グリセロールショックでトランスフェクションした。上清を除去し、無血清培地中で3日間、細胞にEVを作製させた。これらを採取し、スピンダウンし、ナノサイト顕微鏡で検査した。左側の空のトランスフェクションは、均一ではない小さなEVサイズを有する。右側は、TPAV PCR産物を有し、T7ポリメラーゼを介してmRNAを転写した細胞は、mRNA+EVの典型的なサイズのより大きなEVを有した。右側のものの濃度は、合計30mlで10個/mlであった。EV及びその内容物が非常に安定しているため、これらは、4℃で1週間後に観察された。
図10】自己切断カセットの使用を示す。自己切断ペプチドを使用する多シストロン性システムは、両方のコード配列の高い発現をもたらした。
図11】T7 BHK細胞において発現された追加のmRNA構築物の比較を示す。トランスフェクションの18時間後のトランスフェクションされた1mgのDNAを示す。3’xrRNAを有するSCNMV及びTPAVは、mCherryの最も好ましい発現をもたらした。
図12】H3N8由来のrHAで1回(rHA/1用量)又は2回(rHA/2用量)、EV中の正しい(mRNA/1用量)若しくは逆方向(逆mRNA)のH3N8 HA、又はリポソーム中のβ-アクチン(UTR)キャップ及びテールが付いたH3N8 HA(HK mRNA/1用量)についてのTPAVカセット上のAlum又はmRNAで、ワクチン接種されたマウスの血球凝集阻害(HAI)力価を示す。
図13】裸mRNAトランスフェクションを示す。T7を有しないA549細胞を、Ribojuiceリポソームを使用して、偽(左)、mCherryを発現するブタカセット(中央)、又はmCherryを発現する市販のmRNA(修飾U/C、Arcoキャップ、及びテールが付いた)(右)でトランスフェクションした。トランスフェクションの18時間後に細胞を検査した。明視野画像上でのmCherryを示す。
図14】ポリ無水物ナノ粒子中のmRNAの安定性を示す。ポリ無水物に配置されたmRNA構築物は、37℃で7日後に熱による分解に対する耐性を示した。従来のIVT生成mRNAは、このレベルの熱安定性を有しなかった。
図15A】環状RNA構築を示す。図15Aは、環化され、次いで線状RNAを分解するRNAse Rで消化された2つの構築物を示すゲルの画像である。図15Bは、RNAse Rが線形RNAを分解することを実証する対照を示すゲルの画像である。
図15B】環状RNA構築を示す。図15Aは、環化され、次いで線状RNAを分解するRNAse Rで消化された2つの構築物を示すゲルの画像である。図15Bは、RNAse Rが線形RNAを分解することを実証する対照を示すゲルの画像である。
図16A】TPAV単発現システムを示す。図16Aは、T7プロモーター、TPAV由来の5’UTR、mKATE2レポーター遺伝子に隣接するクローニング部位(BamHI及びXho)、及びTPAV由来の3’UTRを含むTPAV mRNAカセット(配列番号1)を示す。図16Bは、配列番号1と同じであるが、(mKATEではなく)mCherryレポーター遺伝子の後ろ及び3’UTRの前のXhoクローニング部位間にRNAタンパク質結合ドメイン、並びにT7ポリメラーゼターミネーターを有するTPAV mRNAカセット(配列番号2)を示す。
図16B】TPAV単発現システムを示す。図16Aは、T7プロモーター、TPAV由来の5’UTR、mKATE2レポーター遺伝子に隣接するクローニング部位(BamHI及びXho)、及びTPAV由来の3’UTRを含むTPAV mRNAカセット(配列番号1)を示す。図16Bは、配列番号1と同じであるが、(mKATEではなく)mCherryレポーター遺伝子の後ろ及び3’UTRの前のXhoクローニング部位間にRNAタンパク質結合ドメイン、並びにT7ポリメラーゼターミネーターを有するTPAV mRNAカセット(配列番号2)を示す。
図17】レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)を使用するxrRNAを有するmRNAカセット(配列番号3)を示す。カセットは、T7プロモーター、mCherryレポーター遺伝子に隣接するクローニング部位、RCNMV由来の3’UTR xrRNA配列、及びT7ポリメラーゼターミネーターを含む。
図18】xrRNAリーダー、5’TPAV UTR、3’TPAV UTR mRNAカセット(配列番号17)を示す。カセットは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のxrRNA、5’UTR TPAV、mCherryレポーター遺伝子のCDS、RNAタンパク質結合ドメイン、TPAV 3’UTR、T7ポリメラーゼターミネーター、及びクローニング部位(AAGCT、CTCGAG、及びCATATG)を含む。
図19】xrRNA、コオロギ麻痺ウイルスIRES、3’UTR TPAV mRNA発現カセット(配列番号18)を示す。カセットは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のxrRNA、IRES、ATGless CDSレポーター、RNAタンパク質結合ドメイン、3’UTR TPAV、及びT7ポリメラーゼターミネーターを含む。
図20】xrRNA、TRIMV、3’TPAV UTR mRNAカセット(配列番号19)を示す。カセットは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のxrRNA、TRIMV 5’IRES、CDSレポーター、RNAタンパク質結合ドメイン、3’UTR TPAV、及びT7ポリメラーゼ終結ターミネーターを含む。
図21A】トマトブッシースタントウイルス(TBSV)に基づくmRNAカセットを示す。図21Aは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のT7エンハンサーxrRNA、CDSレポーター、RNAタンパク質結合ドメイン、TBSV 3’UTR、T7ポリメラーゼターミネーター、及びクローニング部位(AAGCT、CTCGAG、及びCATATG)を含むカセット(配列番号20)を示す。図21Bは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のxrRNA、TBSV 5’UTR、CDSレポーター、TBSV 3’UTR、及びT7ポリメラーゼターミネーターを含むカセット(配列番号21)を示す。
図21B】トマトブッシースタントウイルス(TBSV)に基づくmRNAカセットを示す。図21Aは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のT7エンハンサーxrRNA、CDSレポーター、RNAタンパク質結合ドメイン、TBSV 3’UTR、T7ポリメラーゼターミネーター、及びクローニング部位(AAGCT、CTCGAG、及びCATATG)を含むカセット(配列番号20)を示す。図21Bは、T7ポリメラーゼプロモーター、ジカウイルス由来のxrRNA、TBSV 5’UTR、CDSレポーター、TBSV 3’UTR、及びT7ポリメラーゼターミネーターを含むカセット(配列番号21)を示す。
図22A】TPAV/ヘッドxrRNAカセット及びTPAV/テールxrRNAカセットを示す。図22Aは、T7ポリメラーゼプロモーター、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)由来のxrRNA、mCherryレポーター遺伝子、TPAV由来の3’UTRを含むTPAV/ヘッドxrRNAカセット(配列番号22)を示す。図22Bは、T7ポリメラーゼプロモーター、RCNMV由来の5’UTR、mCherryレポーター遺伝子、RCNMV由来のxrRNA、及びTPAV由来の3’UTRを含むTPAV/テールxrRNAカセット(配列番号23)を示す。
図22B】TPAV/ヘッドxrRNAカセット及びTPAV/テールxrRNAカセットを示す。図22Aは、T7ポリメラーゼプロモーター、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)由来のxrRNA、mCherryレポーター遺伝子、TPAV由来の3’UTRを含むTPAV/ヘッドxrRNAカセット(配列番号22)を示す。図22Bは、T7ポリメラーゼプロモーター、RCNMV由来の5’UTR、mCherryレポーター遺伝子、RCNMV由来のxrRNA、及びTPAV由来の3’UTRを含むTPAV/テールxrRNAカセット(配列番号23)を示す。
図23】RCNMVに基づくmRNAカセット(配列番号24)を示す。カセットは、T7ポリメラーゼプロモーター、RCNMV由来の5’UTR、mCherryレポーター遺伝子、及びRCNMV由来の3’UTRを含む。
図24A】二重発現システムを示す。図24Aは、抗体の発現のためのカセット(配列番号4)を示す。カセットは、xrRNAの3’UTRに隣接するCDR3領域を有しない抗体の重鎖及び軽鎖、及びポリオウイルス由来の前方IRES、及びコオロギ麻痺ウイルス由来の後方IRESを含有する。図24Bは、類似の構築物であるが、抗体遺伝子を含まない、ワクチン製造用のカセット(配列番号5)を示す。前方CDSは、eGFPに基づいており、後方は、mCherryに基づいている。両方のタンパク質を切り出して、目的のCDSと置き換えることができる。
図24B】二重発現システムを示す。図24Aは、抗体の発現のためのカセット(配列番号4)を示す。カセットは、xrRNAの3’UTRに隣接するCDR3領域を有しない抗体の重鎖及び軽鎖、及びポリオウイルス由来の前方IRES、及びコオロギ麻痺ウイルス由来の後方IRESを含有する。図24Bは、類似の構築物であるが、抗体遺伝子を含まない、ワクチン製造用のカセット(配列番号5)を示す。前方CDSは、eGFPに基づいており、後方は、mCherryに基づいている。両方のタンパク質を切り出して、目的のCDSと置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
配列の簡単な説明
配列番号1~5及び17~24は、mRNA発現カセットの配列である。
【0019】
配列番号6は、ジカウイルスxrRNA配列である。
【0020】
配列番号7は、TPAV 5’UTR配列である。
【0021】
配列番号8及び13は、TPAV 3’UTR配列である。
【0022】
配列番号9は、ポリオウイルスIRES配列である。
【0023】
配列番号10は、コオロギ麻痺ウイルスIRES配列である。
【0024】
配列番号11は、RNAタンパク質結合ドメイン配列である。
【0025】
配列番号12は、コムギモザイクウイルス(TRIMV)IRES配列である。
【0026】
配列番号14は、トマトブッシースタントウイルス(TBSV)5’UTR配列である。
【0027】
配列番号15及び16は、TBSV 3’UTR配列である。
【0028】
配列番号25及び36は、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)xrRNA配列である。
【0029】
配列番号26及び37は、RCNMV 5’UTR配列である。
【0030】
配列番号27及び38は、RCNMV 3’UTR配列である。
【0031】
配列番号28は、スイートクローバー壊疽モザイクウイルス(SCNMV)5’UTR配列である。
【0032】
配列番号29は、豚熱ウイルス5’UTR配列である。
【0033】
配列番号30は、C型肝炎ウイルス3’UTR配列である。
【0034】
配列番号31は、ジャガイモ葉巻ウイルスxrRNA配列である。
【0035】
配列番号32は、ウシウイルス性下痢ウイルス5’UTR配列である。
【0036】
配列番号33は、ケシモザイクウイルス(OPMV)5’UTR配列である。
【0037】
配列番号34は、CHOPヒトmRNA配列である。
【0038】
配列番号35は、ジカウイルス3’UTR配列である。
(発明を実施するための形態)
【0039】
本開示をより容易に理解し得るように、まず、特定の用語を定義する。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施形態が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様の、修正された、又は同等の多くの方法及び材料は、過度の実験なしに本開示の実施形態の実施において使用され得、好ましい材料及び方法が本明細書に記載される。本開示の実施形態の説明及び特許請求において、以下の用語は、以下に示される定義に従って使用される。
【0040】
本明細書で使用される全ての用語が、単に特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、いかなる方法又は範囲でも限定することを意図するものではないことを理解されたい。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の指示物を含み得る。同様に、「又は」という単語は、別途文脈が明確に示さない限り、「及び」を含むことが意図される。「又は」という単語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味し、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。更に、全ての単位、接頭辞、及び記号は、そのSIの認められた形式で表示され得る。
【0041】
本明細書内で列挙される数値範囲は、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。本開示を通して、本開示の様々な態様が、範囲形式で提示される。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔のためであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の全ての可能な部分範囲、分数及び個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6、及び小数及び分数、例えば、1.2、3.8、1 1/2、及び4 3/4が具体的に開示されるとみなされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0042】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、質量、体積、時間、及び温度を含むがこれらに限定されない、任意の定量化可能な変数に関して、典型的な測定技術及び装置を介して生じ得る数値量の変化を指す。更に、現実世界で使用される固体及び液体の取り扱い手順を考慮すると、組成物を作製するか、又は方法などを実施するなどのために使用される成分の製造、供給源、又は純度の違いによる可能性が高いある特定の不注意なエラー及び変動がある。「約」という用語はまた、これらの変形を包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲は、数量の同等物を含む。
【0043】
本開示の方法及び組成物は、本開示の構成要素及び成分並びに本明細書に記載の他の成分を含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」とは、方法、システム、装置、及び組成物が、追加のステップ、構成要素、又は成分を含み得るが、追加のステップ、構成要素、又は成分が、特許請求される方法、システム、装置、及び組成物の基本的及び新規の特徴を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発達の段階にあるヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発達の段階にある非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、又はブタ)である。いくつかの実施形態では、動物には、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び寄生虫が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「生体適合性」という用語は、免疫システムによる損傷、毒性、又は拒絶反応のリスクがほとんどないか、又は全くない生細胞、組織、臓器、又はシステムとの適合を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、生物の作用によって無害な産物に分解されることができることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「保存(された)」という用語は、それぞれ、比較される2つ以上の配列の同じ位置で変化しないポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列のヌクレオチド又はアミノ酸残基を指す。比較的保存されたヌクレオチド又はアミノ酸は、配列の他の場所に現れるヌクレオチド又はアミノ酸よりも関連性の高い配列の中で保存されているヌクレオチド又はアミノ酸である。
【0048】
いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、それらが互いに100%同一である場合、「完全に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、それらが互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%、又は約99%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。いくつかの実施形態では、2つ以上の配列は、それらが互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、又は約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、オリゴヌクレオチド又はポリペプチドの全長に適用され得るか、又はその部分、領域又は特徴に適用され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「環状」という用語は、連続ループの存在を指す。環状分子は、円形である必要はなく、サブユニットの切れ目のない鎖を形成ために結合しているだけである。本開示のRNAポリヌクレオチドなどの環状分子は、単一単位若しくは多量体であり得るか、又は複合体若しくは高次構造の1つ以上の構成要素を含み得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「送達」は、化合物、物質、実体、部分、貨物、又はペイロードを送達する行為又は方法を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「送達剤」は、少なくとも部分的に、RNAポリヌクレオチドの標的細胞へのインビボ送達を促進する任意の物質を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」は、ラジオグラフィー、蛍光、化学発光、酵素活性、吸光度などを含む当技術分野で既知の方法によって容易に検出される別の実体に結合されるか、組み込まれるか、又は会合する1つ以上のマーカー、シグナル、又は部分を指す。検出可能な標識としては、放射性同位体、フルオロフォア、発色団、酵素、染料、金属イオン、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びハプテンなどのリガンド、量子ドットなどが挙げられる。検出可能な標識は、本明細書に開示のペプチド又はタンパク質における任意の位置に位置し得る。それらは、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質内にあり得るか、又はN末端若しくはC末端に位置し得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「消化」という用語は、より小さな断片又は構成要素に分割することを意味する。ポリペプチド又はタンパク質を指す場合、消化は、ペプチドの産生をもたらす。
【0054】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、中心から離れて、又は目的の点若しくは領域から離れた位置にあることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、以下の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物の処理(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端処理による)、(3)ポリペプチド又はタンパク質へのRNAの翻訳、及び(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
【0056】
本明細書で使用される場合、「製剤」は、少なくともポリヌクレオチド及び送達剤を含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「断片」は、部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された全長タンパク質を消化することによって得られるポリペプチドを含み得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「機能的」生体分子は、それが特徴付けられる特性及び/又は活性を示す形態の生体分子である。
【0059】
「異種」という用語は、自然界で一緒に見出されない2つの生物学的構成要素を指す。構成要素は、宿主細胞、遺伝子、又はプロモーターなどの調節領域であり得る。異種の構成要素は、自然界で一緒には見出されないが、遺伝子に対して異種のプロモーターが遺伝子に作動可能に連結されている場合のように、それらは一緒に機能し得る。別の例は、コード配列が、同じポリヌクレオチド上の5’UTR又は3’UTRなどの非翻訳領域に対して異種である場合である。
【0060】
本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、又は微生物)内ではなく、人工環境、例えば、試験管又は反応容器、細胞培養、ペトリ皿などにおいて生じる事象を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「インビトロ合成」という用語は、mRNAの無細胞合成方法を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、若しくは微生物、又はその細胞若しくは組織)内で生じる事象を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、それが関連付けられた構成要素のうちの少なくともいくつかから分離された物質又は実体を指す(自然界又は実験環境のいずれでも)。単離された物質は、それらが関連していた物質を参照して、様々なレベルの純度を有し得る。単離された物質及び/又は実体は、それらが最初に関連していた他の構成要素の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上から分離され得る。いくつかの実施形態では、単離された薬剤は、約80%超、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の構成要素を実質的に含まない場合、「純粋」である。実質的に単離された:「実質的に単離された」とは、化合物が、それが形成又は検出された環境から実質的に分離されることを意味する。部分的な分離には、例えば、本開示の化合物が濃縮された組成物が含まれ得る。実質的な分離には、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、又は少なくとも約99重量%の本開示の化合物又はその塩を含有する組成物が含まれ得る。化合物及びそれらの塩を単離するための方法は、当技術分野では日常的である。
【0064】
「多重クローニング部位」(MCS)は、ベクター又は核酸構築物への核酸断片のクローニングを目的として、少なくとも1つの独自の制限部位、及びより典型的には、独自の制限部位の群を含むヌクレオチド配列を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」は、人工的な補助なしで天然に存在することを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「非ヒト脊椎動物」は、野生及び家畜種を含む、ホモサピエンスを除く全ての脊椎動物を含む。非ヒト脊椎動物の例としては、アルパカ、バンテン、バイソン、ラクダ、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ロバ、ガヤル、ヤギ、モルモット、ウマ、ラマ、ラバ、ブタ、ウサギ、トナカイ、ヒツジ水牛、及びヤクなどの哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
「オープンリーディングフレーム」は、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAG、又はTGA)で終わるヌクレオチドの連続ストレッチであり、ポリペプチドをコードする。
【0068】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という語句は、2つ以上の分子、構築物、転写産物、実体、部分などの間の機能的接続を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「パラトープ」は、抗体の抗原結合部位を指す。
【0070】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしでヒト及び動物の組織に接触して使用するのに好適である、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0071】
「薬学的に許容される賦形剤」という語句は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載の化合物以外の、患者において実質的に非毒性及び非炎症性である特性を有する任意の成分を指す。賦形剤としては、例えば、抗接着剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染料(色素)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、成膜剤若しくはコーティング剤、香味剤、芳香剤料、滑剤(流量増強剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤若しくは分散剤、甘味剤、及び水和水が挙げられ得る。賦形剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、アルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、事前ゼラチン化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
「ポリAテール」は、複数の連続したアデノシン一リン酸を含有する3’UTRの下流、例えば、すぐ下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域である。ポリAテールは、10~300個のアデノシン一リン酸を含有し得る。例えば、ポリAテールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、又は300個のアデノシン一リン酸を含有し得る。いくつかの実施形態では、ポリAテールは、50~250個のアデノシン一リン酸を含有する。関連する生物学的状況(例えば、細胞内、インビボ)では、ポリ(A)テールは、例えば、細胞質において、mRNAを酵素分解から保護するように機能し、転写終結、mRNAの核からの輸送、及び翻訳を補助する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「予防する」という用語は、感染、疾患、障害、及び/若しくは状態の発病を部分的又は完全に遅延させること、特定の感染、疾患、障害、及び/若しくは状態の1つ以上の症状、特徴、若しくは臨床兆候の発病を部分的又は完全に遅延させること、特定の感染、疾患、障害、及び/若しくは状態の1つ以上の症状、特徴、若しくは兆候の発病を部分的又は完全に遅延させること、感染、特定の疾患、障害、及び/若しくは状態からの進行を部分的又は完全に遅延させること、及び/又は感染、疾患、障害、及び/若しくは状態に関連する病理を発症するリスクを減少させることを指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、中心又は目的の点若しくは領域に近接した位置にあることを意味する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「精製する」、「精製(された)」、「精製」は、望ましくない構成要素、物質の汚染、混合物、又は不完全性から実質的に純粋又は明確にすることを意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「類似性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間、及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。ポリマー分子の互いに対する類似性パーセントの計算は、類似性パーセントの計算が、当技術分野で理解されているように保存的置換を考慮に入れることを除いて、同一性パーセントの計算と同じ方法で実施され得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「安定した」は、反応混合物からの有用な純度の単離に耐えるのに十分に堅牢であり、好ましくは有効な治療剤に製剤化することができる化合物を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、本開示による組成物が、例えば、実験目的、診断目的、予防目的、及び/又は治療目的で投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)が挙げられる。
【0079】
「治療剤」という用語は、対象に投与された場合、治療、診断、及び/又は予防効果を有し、かつ/又は所望の生物学的及び/若しくは薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、感染、疾患、障害、及び/又は状態に罹患しているか、又はそれを罹患しやすい対象に投与された場合、感染、疾患、障害、及び/又は状態を治療し、その症状を改善し、診断し、予防し、及び/又はその発病を遅延させるのに十分である送達される薬剤(例えば、核酸、薬物、治療剤、診断剤、予防剤など)の量を意味する。
【0081】
核酸/ポリヌクレオチド
本明細書で提供される組成物は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つの(1つ以上の)リボ核酸(RNA)(例えば、mRNA)ポリヌクレオチドを含む。「核酸」という用語は、ヌクレオチド(ヌクレオチドモノマー)のポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。これらのポリマーは、ポリヌクレオチドと称される。したがって、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。
【0082】
核酸は、例えば、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA、β-D-リボ配置を有するLNA、α-L-リボ配置を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能化を有する2’-アミノLNA、及び2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-α-LNAを含む)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、又はそれらのキメラ若しくは組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)として機能する。「メッセンジャーRNA」(mRNA)は、(少なくとも1つの)ポリペプチド(アミノ酸の天然に存在する、非天然の、又は修飾ポリマー)をコードする任意のポリヌクレオチドを指し、インビトロ、インビボ、インサイチュ、又はエクスビボで、翻訳して、コードされたポリペプチドを産生し得る。当業者は、別途明記されない限り、本出願に記載のポリヌクレオチド配列は、代表的なDNA配列の「T」を列挙するが、配列がRNA(例えば、mRNA)を表す場合、「T」は「U」に置き換えられることを理解するであろう。したがって、特定の配列特定番号によって特定されるDNAによってコードされるRNAポリヌクレオチドのいずれも、DNAによってコードされる対応するRNA(例えば、mRNA)配列もまた含み得、DNA配列の各「T」は、「U」で置換される。
【0084】
mRNA分子の基本構成要素は、典型的には、少なくとも1つのコード領域、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、5’キャップ、及びポリAテールを含む。本開示のポリヌクレオチドは、mRNAとして機能し得るが、それらの機能的及び/又は構造的設計特徴において野生型mRNAと区別され得る。
【0085】
ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、少なくとも2つのポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、又は9~10個のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100個のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、少なくとも100又は少なくとも200個のポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、1~10、5~15、10~20、15~25、20~30、25~35、30~40、35~45、40~50、1~50、1~100、2~50、又は2~100個のポリペプチドをコードする。
【0086】
ある特定の実施形態では、少なくとも2つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、自己切断ペプチドをコードするポリヌクレオチドによって互いに分離される。ピコルナウイルスで最初に発見された自己切断ペプチドは、19~22アミノ酸長のペプチドであり、通常、ピコルナウイルスファミリーのいくつかのメンバーにおける2つのタンパク質間に見出される。いくつかの実施形態では、自己切断ペプチドは、1つ以上の2Aペプチドである。いくつかの実施形態では、2A自己切断ペプチドは、F2Aペプチド(口蹄疫ウイルス2Aペプチド)、E2Aペプチド(ウマ鼻炎ウイルス2Aペプチド)、P2Aペプチド(ブタテスコウイルス1 2Aペプチド)、及びT2Aペプチド(トセアアシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A)から選択される。
【0087】
本開示のポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、コドン最適化される。コドン最適化の方法は、当技術分野で既知であり、本明細書で提供されるように使用され得る。いくつかの実施形態では、コドン最適化は、適切な折り畳みを確実にするために、標的生物及び宿主生物のコドン頻度を一致させるか、mRNAの安定性を高めるか、若しくは二次構造を低減させるために、GC含有量を偏らせるか、遺伝子構築若しくは発現を損なう可能性のあるタンデム反復コドン又は塩基ランを最小限に抑えるか、転写及び翻訳制御領域をカスタマイズするか、タンパク質輸送配列を挿入又は除去するか、コードされたタンパク質(例えば、グリコシル化部位)の翻訳後修飾部位を除去又は追加するか、タンパク質ドメインを追加、除去、又はシャッフルするか、制限部位を挿入又は削除するか、リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修正するか、タンパク質の様々なドメインを適切に折り畳ませるために翻訳速度を調整するか、又はポリヌクレオチド内の問題の二次構造を低減又は排除するために使用され得る。コドン最適化ツール、アルゴリズム及びサービスは、当技術分野で既知であり、非限定的な例としては、GeneArt(Life Technologies)からのサービス、DNA2.0(Menlo Park Calif.)、及び/又は独自の方法が挙げられる。いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレーム(ORF)配列は、最適化アルゴリズムを使用して最適化される。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、200~3,000ヌクレオチドを含む。例えば、ポリヌクレオチドは、200~500、200~1000、200~1500、200~3000、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1500~3000、又は2000~3000ヌクレオチドを含み得る。
【0089】
「5’非翻訳領域(5’UTR)」は、ポリペプチドをコードしない開始コドン(すなわち、リボソームによって翻訳されたmRNA転写産物の最初のコドン)からすぐ上流(すなわち、5’)にあるmRNAの領域を指す。
【0090】
「3’非翻訳領域(3’UTR)」は、ポリペプチドをコードしない終止コドン(すなわち、翻訳の終結を示すmRNA転写産物のコドン)からすぐ下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域を指す。
【0091】
植物ウイルスに由来する3’キャップ非依存性翻訳エンハンサー及び/又は内部リボソーム進入部位を含むUTRが提供される。5’末端のエキソヌクレアーゼ遮断構造、及び3’末端のウイルス由来の二次構造も提供される。UTR要素は、キャッピングの費用を回避し、翻訳効率を高め、RNA安定性を増強させる。
【0092】
UTRは、キャップ非依存性翻訳エンハンサー(CITE)を含み得る。植物細胞における非キャップmRNAに効率的な翻訳を付与する、植物ウイルス3’UTRの5’領域における多数の小さい(約100~150nt)ウイルス由来のCITEが特徴付けられている。
【0093】
ある特定の実施形態では、CITEは、パニクムモザイクウイルス様CITE(PTE)である。薄いスズメノヒエ無症候性ウイルス(TPAV)ゲノムにおけるパニクムモザイクウイルス様3’CITEは、哺乳動物細胞における非キャップmRNAの非常に効率的な翻訳を促進する。PTEは、植物と動物との間で3D構造が十分に保存されている翻訳開始因子eIF4Eに結合することによって機能する。PTEは、eIF4Eに強く結合する(Kd<100nM)mGを欠く唯一の既知のRNA構造であるため、これは新規である。eIF4Eは、eIF4Fとして知られるeIF4E/eIF4G/eIF4Aヘテロ三量体の一部分であり、eIF4Fは、mRNAの5’キャップにリボソームを動員するための鍵である。(eIF4Eを介した)eIF4Fへの結合に加えて、PTE塩基は、おそらくeIF4Fがリボソームを5’末端に動員することを可能にするために、mRNAの5’UTRに対合する。これは、mRNAを環化し、細胞mRNA上の5’キャップ-eIF4F-PABP-ポリ(A)テール相互作用の構造と同様の構造を形成する。したがって、5’キャップの必要性を排除することに加えて、PTE媒介性翻訳は、ポリ(A)テールを必要としない。代わりに、PTE(又は任意のタイプの3’CITE)を保有するウイルスは、3’から5への’エキソヌクレアーゼ活性を遮断するために、CITEの下流のウイルス構造に依存する。
【0094】
ある特定の実施形態では、UTRは、天然のTPAV5’及び3’末端を含む。この構築物は、哺乳動物細胞における実質的な発現を提供し、ウイルスは、細胞に進入すると、そのキャップのない非ポリアデニル化RNAゲノムの急速な分解を防ぐために、天然の安定性要素を有する必要がある。3’CITEの下流の3’末端では、TPAVファミリー(トンブスウイルス科)の全てのウイルスは、膨らんだステムループを有し、膨らんだ塩基は末端GCCCと対合し、これらの塩基は3つの同軸に積み重ねられたヘリックスの中央に埋められ、エキソヌクレアーゼから3’末端を隠す可能性が高い。
【0095】
ある特定の実施形態では、UTRは、トンブスウイルス科のウイルスに由来する。トンブスウイルス科の好適なウイルスの例としては、フクジュソウモザイクウイルス、アンゲロニア花割れウイルス、リンゴルテオウイルス1、リンゴ関連ルテオウイルス、アーティチョーク斑紋クリンクルウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、インゲンマメ葉巻ウイルス、ビートブラックスコーチウイルス(Beet black scorch virus)、カリブラコア斑紋ウイルス、カルダミン退緑斑紋ウイルス、カーネーションイタリアン輪紋ウイルス、カーネーション斑紋ウイルス、カーネーション輪紋ウイルス、ニンジン斑紋模倣ウイルス、ニンジン斑紋ウイルス、チェリー関連ルテオウイルス、クレマチス退緑斑紋ウイルス、カモガヤ微斑モザイクウイルス、ササゲ斑紋ウイルス、キュウリブルガリア潜在ウイルス、キュウリ葉斑点ウイルス、キュウリ壊疽ウイルス、シンビジウム輪紋ウイルス、ナス斑紋クリンクルウイルス、エルダーベリーアウレウスウイルス1、エルダーベリー潜在ウイルス、エチオピアタバコブッシートップウイルス、フルクラエア壊疽条斑ウイルス、ガリンソガモザイクウイルス(Galinsoga mosaic virus)、ブドウアルジェリア潜在ウイルス、アメリカホドイモロゼットウイルス(Groundnut rosette virus)、ハベル川ウイルス、ハイビスカス退緑輪紋ウイルス、スイカズラ輪紋ウイルス、イクセリジウム黄色斑紋ウイルス2(Ixeridium yellow mottle virus 2)、ハナショウブ壊疽輪点ウイルス、ジャスミンウイルスH、ジョンソングラス退緑条斑モザイクウイルス、リーキ白色条斑ウイルス、リモニウム奇形花ウイルス、トウモロコシ退緑斑紋ウイルス、トウモロコシ壊疽条斑ウイルス、トウモロコシ白線モザイクウイルス、メロン壊疽斑点ウイルス、トウガラシモロッコウイルス、ネッカー川ウイルス、ネクタリンステムピッティング関連ウイルス、ヌーツカルパン葉脈透化ウイルス、エンバク退緑矮化ウイルス、オリーブ潜在ウイルス1、オリーブ微斑モザイクウイルス、ケシモザイクウイルス、パニクムモザイクウイルス、オミナエシ微斑ウイルス、エンドウひだ葉モザイクウイルス2、エンドウ茎壊疽ウイルス、テンジクアオイ退緑リングパターンウイルス(Pelargonium chlorotic ring pattern virus)、ペラルゴニウムフラワーブレイクウイルス、テンジクアオイ葉巻ウイルス、テンジクアオイラインパターンウイルス(Pelargonium line pattern virus)、テンジクアオイ壊疽斑点ウイルス、テンジクアオイ輪紋ウイルス、ペチュニアアステロイドモザイクウイルス、ジャガイモ壊疽ウイルス、ポトス潜在ウイルス、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス、ハマナス葉変形ウイルス、ローズスプリング萎縮関連ウイルス、サワロウイルス、シクテウォーターボーンウイルス(Sitke waterborne virus)、ダイズ萎縮ウイルス、ダイズ黄色斑紋モザイクウイルス、スイートクローバー壊疽モザイクウイルス、薄いスズメノヒエ無症候性ウイルス、タバコブッシートップウイルス、タバコ斑紋ウイルス、タバコ壊疽ウイルスA、タバコ壊疽ウイルスD、トマトブッシースタントウイルス、Tralespevirus gompholobii、Tralespevirus lespedezae、カブクリンクルウイルス、及びヤム球形ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。UTRは、IRESを含み得る。ある特定の実施形態では、IRESは、遺伝子間領域内部リボソーム進入部位(IGR IRES)である。これらの比較的コンパクトな(≦200nt)構造は、無脊椎動物に感染するジシストロウイルス(dicistrovirus)のゲノムにおける第2のORFの翻訳の極めて効率的な内部開始を可能にする。それらは、ピコルナ及びヘパシウイルスのI型、II型、III型IRESの500nt超のIRESよりもはるかに小さく、キャップされたmRNA上の5’UTRでのみ生じ、通常は特定の細胞周期段階又はストレス条件下でのみ機能する宿主「IRES」よりも強い可能性が高い。IGR IRESのX線結晶構造により、構造の3’部分が、mRNA中のコドンに対合したtRNA塩基のアンチコドンステムループを模倣することが明らかとなる。これにより、IGR IRESは、80Sリボソームを「即時伸長」に「だまし」、下流のRNA配列を翻訳することができ、すなわち、この翻訳は、開始因子及び開始コドンを必要としない。これは、リボソームの事前開始複合体の形成を遮断するPKRなどの宿主の先天性免疫機構が、IGR IRES媒介性翻訳に影響を及ぼさないという点で重要な利点を提供する。
【0096】
本開示に従って使用され得るIGR IRES配列の例としては、コオロギ麻痺ウイルス(CrPV)、アブラムシ致死性麻痺ウイルス、ムギクビレアブラムシウイルス(RhPV)、及び他のジシストロウイルス由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
UTRは、RNAポリヌクレオチドをエキソヌクレオチド分解から更に保護する要素を含み得る。
【0098】
ある特定の実施形態では、UTRは、多くの植物ウイルスゲノムの3’末端に存在するtRNA様構造(TLS)を含む。これらの多機能性疑似ノット構造は、非鋳型化された方法でプレtRNAの3’末端にCCAを付加する宿主CTP:ATPヌクレオチジルトランスフェラーゼと相互作用し、したがって、無傷の3’末端を確実にするためのテロメラーゼとして機能する。宿主tRNA合成酵素は、tRNA上で行う場合と同様に3’末端をアミノアシル化し、エキソヌクレアーゼを更に遮断する。TLSは、翻訳を増強することも知られている。
【0099】
ある特定の実施形態では、UTRは、フラビウイルス(例えば、ジカウイルス、ウエストナイルウイルス)の3’末端に存在する安定したステムループ構造を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、UTRは、xrRNA配列を含む。これらの短い(50~70nt)が、複雑なRNA構造は、脱キャップ後のmRNAのターンオーバーのための一次ヌクレアーゼである宿主エキソヌクレアーゼXrn Iを遮断及び隔離するように進化している。Xrn Iはまた、それが立ち往生するxrRNA構造に到達するまで、ある特定のRNAウイルスゲノムを5’から3’方向に分解し、ゲノムの3’部分(通常は3’UTR)を無傷のままにする。xrRNAは、フラビウイルスの3’UTRに存在し、様々なプロウイルス調節及び免疫抑制機能を果たす非コードの短いフラビウイルスRNA(sfRNA)を生成する。
【0101】
好適なフラビウイルスの例としては、アポイウイルス、アロアウイルス(Aroa virus)、バガザウイルス(Bagaza virus)、バンジウイルス、ブブイウイルス(Bouboui virus)、ブカラサコウモリウイルス、カシパコアウイルス(Cacipacore virus)、キャリー島ウイルス(Carey Island virus)、カウボーンリッジウイルス、ダカールコウモリウイルス、デングウイルス、エッジヒルウイルス、エンテベコウモリウイルス(Entebbe bat virus)、ガジェットガリーウイルス(Gadgets Gully virus)、イルヘウスウイルス、イスラエル七面鳥髄膜脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス群、ジュグラウイルス(Jugra virus)、ジュティアパウイルス(Jutiapa virus)、カダムウイルス(Kadam virus)、ケドゥグウイルス(Kedougou virus)、ココベラウイルス、クタンゴウイルス(Koutango virus)、キャサヌール森林病ウイルス、ランガットウイルス、ルーピングイルウイルス、ミーバンウイルス(Meaban virus)、モドックウイルス、モドックウイルス群、モンタナ筋炎白質脳炎ウイルス、蚊媒介性ウイルス(mosquito-borne viruses)、マレーバレー脳炎ウイルス、ウンタヤウイルス、ウンタヤウイルス群、オムスク出血熱ウイルス、プノンペンコウモリウイルス、ポワッサンウイルス、リオブラボーウイルス、リオブラボーウイルス群、ロイヤルファームウイルス(Royal Farm virus)、サボヤウイルス(Saboya virus)、セントルイス脳炎ウイルス、サルビエハウイルス(Sal Vieja virus)、サンペルリタウイルス(San Perlita virus)、ソーマレスリーフウイルス(Saumarez Reef virus)、海上ダニ媒介性ウイルス群(Seaborne tick-borne virus group)、セピクウイルス(Sepik virus)、テンブスウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、チュレニーウイルス(Tyuleniy virus)、ウガンダSウイルス、ウスツウイルス、ヴェセルスブロンウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤウンデウイルス、黄熱ウイルス、ヨコセウイルス(Yokose virus)、及びジカウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
いくつかの実施形態では、xrRNAは、5’UTRの5’末端、IRESのすぐ上流、又は3’CITEに相補的なステムループに位置する。40Sサブユニットは開始コドンへの最適な走査のために非構造化5’UTRを好むため、その構造のために、xrRNAは、5’末端でリボソームの進入及び走査を遮断することが可能である。これは、リボソームがIRESで直接進入して走査しないため、IGR IRESを有する構築物にとっては問題ではないが、CITE媒介性翻訳は、5’末端からのリボソーム走査を必要とする。ウイルスタンパク質をコードするサブゲノムmRNAの5’UTRであると予測される部位でのxrRNA構造は既知であり、それらのxrRNAは、翻訳のためのリボソームの進入を遮断しないことが予想される。植物及び動物ウイルスのxrRNA構造の類似性、並びに酵母Xrn Iが植物及び動物ウイルスxrRNAによって遮断されるという事実を考慮すると、xrRNAは、任意の分野の生物において機能すると予測される。
【0103】
ある特定の実施形態では、UTRは、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
【0104】
本開示のRNAポリヌクレオチドは、5’キャップを含み得る。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、非キャップである(すなわち、5’キャップを含有しない)。mRNAの5’キャップ構造は、核輸出に関与し、mRNAの安定性を増加させ、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)に結合し、成熟した環状mRNA種を形成するために、CBPとポリ(A)結合タンパク質との会合を介して、細胞内のmRNAの安定性及び翻訳能力を担う。キャップは更に、mRNAスプライシング中の5’近位イントロンの除去を補助する。
【0105】
内因性mRNA分子は、mRNAの末端グアノシンキャップ残基と5’末端転写センスヌクレオチドとの間に5’ppp-5’三リン酸結合を生成する5’末端キャップされていてもよい。したがって、この5’-グアニレートキャップをメチル化して、N7-メチル-グアニレート残基を生成し得る。mRNAの5’末端の末端及び/又は前末端転写ヌクレオチドのリボース糖はまた、任意選択で、2’-O-メチル化され得る。グアニレートキャップ構造の加水分解及び切断を介した5’脱キャップは、分解のためにmRNA分子などの核酸分子を標的にし得る。
【0106】
5’キャップ構造は、国際特許公開第2008/016473号及び同第2011/015347号に記載されているものを含み、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
本開示のRNAポリヌクレオチドは、ポリAテールを含み得る。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、非ポリアデニル化である(すなわち、ポリAテールを含まない)。RNA処理中、アデノシンヌクレオチドの長鎖(ポリAテール)は、通常、メッセンジャーRNA(mRNA)分子に付加され、分子の安定性を増加させる。転写の直後に、転写産物の3’末端を切断して3’ヒドロキシルを遊離させる。次いで、ポリAポリメラーゼは、アデノシンヌクレオチドの鎖をRNAに付加する。ポリアデニル化と称されるプロセスは、100~250残基の長さのポリAテールを付加する。
【0108】
本開示のRNAポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを含み得る。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを含まない。「ヌクレオシド」は、有機塩基(例えば、プリン又はピリミジン)又はその誘導体(「核酸塩基」とも称される)と組み合わせて、糖分子(例えば、ペントース又はリボース)又はその誘導体を含有する化合物を指す。「ヌクレオチド」は、リン酸基を有するヌクレオシドを指す。修飾ヌクレオチドは、例えば、化学的、酵素的、又は組換え的などの任意の有用な方法によって合成され、1つ以上の修飾又は非天然ヌクレオシドを含み得る。
【0109】
ポリペプチド
ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オーソログ、パラログ、断片、並びに前述の他の等価物、バリアント、及び類似体が挙げられる。ポリペプチドは、単一分子であってもよく、又は二量体、三量体若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、抗体などの単鎖ポリペプチド又は多本鎖ポリペプチドを含み得、互いに会合又は連結され得る。最も一般的には、ジスルフィド結合は、多本鎖ポリペプチドに見られる。「ポリペプチド」という用語はまた、少なくとも1つのアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。
【0110】
「ポリペプチドバリアント」は、天然配列又は参照配列に対してそのアミノ酸配列が異なる分子である。アミノ酸配列バリアントは、天然配列又は参照配列と比較して、アミノ酸配列内のある特定の位置で、置換、欠失、挿入、又は前述の任意の2つ若しくは3つの組み合わせを有し得る。通常、バリアントは、天然配列又は参照配列に対して少なくとも50%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、天然配列又は参照配列と少なくとも80%の同一性又は少なくとも90%の同一性を共有する。
【0111】
「オーソログ」は、種形成によって共通の祖先遺伝子から進化した異なる種の遺伝子を指す。通常、オーソログは進化の過程で同じ機能を保持する。オーソログの特定は、新たに配列決定されたゲノムにおける遺伝子機能の信頼性の高い予測にとって重要である。
【0112】
「類似体」は、1つ以上のアミノ酸変化、例えば、親ポリペプチド又は開始ポリペプチドの特性のうちの1つ以上を依然として維持する、アミノ酸残基の置換、付加、又は欠失によって異なるポリペプチドバリアントを含むことを意味する。
【0113】
本開示は、バリアント及び誘導体を含む、ポリヌクレオチド又はポリペプチドベースのいくつかのタイプの組成物を提供する。これらには、例えば、置換、挿入、欠失、及び共有結合のバリアント及び誘導体が含まれる。「誘導体」という用語は、「バリアント」という用語と同義であり、概して、参照分子又は出発分子に対して任意の方法で修飾及び/又は変更された分子を指す。
【0114】
したがって、参照配列、特に本明細書に開示のポリペプチド配列に関する置換、挿入、及び/又は付加、欠失、及び共有結合修飾を含有するペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、配列タグ又は1つ以上のリジンなどのアミノ酸が、ペプチド配列(例えば、N末端又はC末端)に付加され得る。配列タグは、ペプチド検出、精製、又は局在化のために使用され得る。リジンは、ペプチド溶解度を増加させるため、又はビオチン化を可能にするために使用され得る。代替的に、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ酸末端領域に位置するアミノ酸残基は、任意選択で、欠失され、切断された配列を提供し得る。ある特定のアミノ酸(例えば、C末端残基又はN末端残基)は、代替的に、例えば、可溶性であるか、又は固体支持体に連結されたより大きな配列の一部分としての配列の発現など、配列の使用に応じて欠失され得る。
【0115】
「置換バリアント」は、ポリペプチドを指す場合、天然又は開始配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、異なるアミノ酸が同じ位置のその場所に挿入されているものである。置換は、分子において1つのアミノ酸のみが置換されている単一であってもよく、2つ以上(例えば、3、4、又は5個)のアミノ酸が同じ分子において置換されている複数であってもよい。
【0116】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸を、同様のサイズ、電荷、又は極性の異なるアミノ酸で置換することを指す。保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン、及びロイシンなどの非極性(疎水性)残基を別の非極性残基に置換することが挙げられる。同様に、保存的置換の例としては、アルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、及びグリシンとセリンとの間など、一方の極性(親水性)残基を別方の極性(親水性)残基に置換することが挙げられる。加えて、リジン、アルギニン、又はヒスチジンなどの塩基性残基を別のものに置換すること、又はアスパラギン酸又はグルタミン酸などの一方の酸性残基を別方の酸性残基に置換することは、保存的置換の追加の例である。非保存的置換の例としては、システイン、グルタミン、グルタミン酸若しくはリジンなどの極性(親水性)残基に対するイソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基の置換、及び/又は非極性残基に対する極性残基の置換が挙げられる。
【0117】
ポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す場合の「特徴」は、それぞれ、分子の異なるアミノ酸配列ベース又はヌクレオチドベースの構成要素として定義される。ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの特徴には、表面兆候、局所配座形状、折り畳み、ループ、半ループ、ドメイン、半ドメイン、部位、末端、及びそれらの任意の組み合わせ(複数可)を含む。
【0118】
ポリペプチドを指す場合に本明細書で使用される場合、「ドメイン」という用語は、1つ以上の特定可能な構造的又は機能的特徴又は特性(例えば、結合能力、タンパク質-タンパク質相互作用のための部位として機能する)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
【0119】
ポリペプチドを指す場合に本明細書で使用される場合、「部位」という用語は、アミノ酸ベースの実施形態に関するものとして、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」と同義的に使用される。ポリヌクレオチドを指す場合に本明細書で使用される場合、「部位」という用語は、ヌクレオチドベースの実施形態に関するものとして、「ヌクレオチド」と同義的に使用される。部位は、ポリペプチドベース又はポリヌクレオチドベースの分子内で修飾、操作、変更、誘導体化又は変化され得るペプチド若しくはポリペプチド又はポリヌクレオチド内の位置を表す。
【0120】
本明細書で使用される場合、「末端(termini)」又は「末端(terminus)」という用語は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す場合、それぞれ、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの末端を指す。そのような末端は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの最初又は最後の部位のみに限定されず、末端領域に追加のアミノ酸又はヌクレオチドを含んでもよい。ポリペプチドベースの分子は、N末端(遊離アミノ基(NH2)を有するアミノ酸によって終端される)及びC末端(遊離カルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸によって終端される)の両方を有するものとして特徴付けられ得る。タンパク質は、いくつかの場合では、ジスルフィド結合又は非共有結合力によってまとめられた複数のポリペプチド鎖で構成される(多量体、オリゴマー)。これらのタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有する。代替的に、ポリペプチドの末端は、場合によっては、有機コンジュゲートなどの非ポリペプチドベースの部分で開始又は終了するように修飾され得る。
【0121】
当業者によって認識されるように、タンパク質断片、機能性タンパク質ドメイン、及び相同タンパク質も、目的のポリペプチドの範囲内であると考えられる。例えば、本明細書で提供されるのは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100アミノ酸、又は100アミノ酸超の長さを有する参照タンパク質の任意のタンパク質断片(参照ポリペプチド配列よりも短いが、そうでなければ同一である少なくとも1つのアミノ酸残基を意味する)である。別の例では、本明細書に記載の配列のうちのいずれかと40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%同一である20、30、40、50、又は100個の(連続した)アミノ酸のストレッチを含む任意のタンパク質を、本開示に従って利用し得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で提供される、又は本明細書で参照される配列のうちのいずれかに示される2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上の変異を含む。別の例では、本明細書に記載の配列のうちのいずれかと80%超、90%、95%、又は100%同一である20、30、40、50、又は100アミノ酸のストレッチを含む任意のタンパク質であって、タンパク質が、本明細書に記載の配列のうちのいずれかと80%未満、75%、70%、65%~60%同一である5、10、15、20、25、又は30アミノ酸のストレッチを有するタンパク質を、本開示に従って利用し得る。
【0122】
本開示のポリペプチド又はポリヌクレオチド分子は、ある特定の程度の配列類似性又は同一性を、参照分子(例えば、参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチド)、例えば、当技術分野で説明される分子(例えば、操作又は設計された分子又は野生型分子)と共有し得る。当技術分野で既知の「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列間の関係を指す。当技術分野で、同一性はまた、2つ以上のアミノ酸残基又は核酸残基のストリング間の一致の数によって決定される、2つの配列間の配列関連性の程度を意味する。同一性は、特定の数学モデル又はコンピュータプログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって対処されたギャップアラインメント(存在する場合)を有する2つ以上のより小さな配列の間の同一一致のパーセントを測定する。関連ペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算され得る。ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列に適用される「同一性%」は、配列をアラインメントさせ、必要に応じてギャップを導入して最大同一性パーセントを達成した後、第2の配列のアミノ酸配列又は核酸配列における残基と同一である、候補アミノ酸又は核酸配列における残基(アミノ酸残基又は核酸残基)のパーセンテージとして定義される。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当技術分野で周知である。同一性は、同一性パーセントの計算に依存するが、計算に導入されたギャップ及びペナルティにより値が異なる場合がある。概して、特定のポリヌクレオチド又はポリペプチドのバリアントは、本明細書に記載され、当業者に既知の配列アラインメントプログラム及びパラメータによって決定される、その特定の参照ポリヌクレオチド又はポリペプチドに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが100%未満の配列同一性を有する。そのようなアラインメントのためのツールとしては、BLASTスイートのツールが挙げられる(Stephen F.Altschul,et al.(1997).”Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs,”Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。別の一般的な局所アラインメント技術は、Smith-Watermanアルゴリズムに基づく(Smith,T.F.&Waterman,M.S.(1981)“Identification of common molecular subsequences.”J.Mol.Biol.147:195-197)。動的プログラミングに基づく一般的なグローバルアラインメント技術は、Needleman-Wunschアルゴリズムである(Needleman,S.B.&Wunsch,C.D.(1970)“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.”J.Mol.Biol.48:443-453)。最近では、その称するところではNeedleman-Wunschアルゴリズムを含む他の最適なグローバルアラインメント方法よりも速くヌクレオチド及びタンパク質配列のグローバルアラインメントを生成するとされる高速最適グローバル配列アラインメントアルゴリズム(FOGSAA)が開発された。他のツールは、本明細書に、具体的に、以下の「同一性」の定義に記載される。
【0123】
本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間、及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。一致する残基のアラインメントによって決定される類似性又は同一性の閾値レベルを共有するポリマー分子(例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)及び/又はポリペプチド分子)は、相同と称される。相同性は、分子間の関係を説明する定性的用語であり、定量的類似性又は同一性に基づき得る。類似性又は同一性は、2つの比較された配列間の配列一致の程度を定義する定量的用語である。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%同一又は類似である場合、お互いに対して「相同」であるとみなす。「相同」という用語は、必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列)間の比較を指す。2つのポリヌクレオチド配列は、それらがコードするポリペプチドが、少なくとも20個のアミノ酸の少なくとも1つのストレッチに対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は更には99%である場合、相同であるとみなされる。いくつかの実施形態では、相同ポリヌクレオチド配列は、少なくとも4~5個の一意に指定されたアミノ酸のストレッチをコードする能力によって特徴付けられる。60ヌクレオチド長未満のポリヌクレオチド配列の場合、相同性は、少なくとも4~5個の一意に指定されたアミノ酸のストレッチをコードする能力によって決定される。少なくとも20個のアミノ酸の少なくとも1つのストレッチに対して、タンパク質が少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%同一である場合、2つのタンパク質配列は相同であるとみなされる。
【0124】
相同性は、比較された配列が共通の起源からの進化において分岐したことを意味する。「相同体」という用語は、共通の祖先配列からの子孫による第2のアミノ酸配列又は核酸配列に関連する第1のアミノ酸配列又は核酸配列(例えば、遺伝子(DNA又はRNA)又はタンパク質配列)を指す。「相同体」という用語は、種形成の事象によって分離された遺伝子及び/若しくはタンパク質間の関係、又は遺伝子複製の事象によって分離された遺伝子及び/若しくはタンパク質間の関係に適用され得る。「オーソログ」は、種形成によって共通の祖先遺伝子(又はタンパク質)から進化した異なる種の遺伝子(又はタンパク質)である。典型的には、オーソログは、進化の過程で同じ機能を保持する。「パラログ」は、ゲノム内の複製によって関連付けられる遺伝子(又はタンパク質)である。オーソログは進化の過程で同じ機能を保持するが、パラログは元の機能と関連していても新しい機能を進化させる。
【0125】
「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間、及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。2つのポリ核酸配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列をアラインメントさせることによって実施され得る(例えば、最適なアラインメントのために第1の核酸配列及び第2の核酸配列の一方又は両方にギャップが導入され得、比較目的のために非対応配列が無視され得る)。ある特定の実施形態では、比較目的のためにアラインメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置で、ヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチドによって占められている場合、したがって、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。例えば、2つの核酸配列間の同一性パーセントは、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991に記載の方法などの方法を使用して決定され得、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、2つの核酸配列間の同一性パーセントは、PAM120重み残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティを使用する、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた、Meyers and Miller(CABIOS,1989,4:11-17)のアルゴリズムを使用して決定され得る。代替的に、2つの核酸配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用して、GCGソフトウェアパッケージ内のGAPプログラムを使用して決定され得る。配列間の同一性パーセントを決定するために一般的に用いられる方法としてはCarillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J Applied Math.,48:1073(1988)に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されず、これは、参照により本明細書に組み込まれる。同一性を決定するための技術は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに体系化される。2つの配列間の相同性を決定するための例示的なコンピュータソフトウェアとしては、GCGプログラムパッケージ、Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research,12,387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA Altschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.,215,403(1990))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
ポリペプチドは、抗原ポリペプチドであり得る。ある特定の実施形態では、抗原ポリペプチドは、ウイルス又は細菌抗原である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型、脳炎ウイルス、パピローマウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルスB19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、狂犬病ウイルス、D型肝炎、ロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス、バンナウイルス、ヒトエンテロウイルス、ハンタウイルス、ウエストナイルウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス、日本脳炎ウイルス、豚水疱疹ウイルス(Vesicular exanthernavirus)、及び東部ウマ脳炎の株である。
【0127】
ある特定の実施形態では、ウイルスは、インフルエンザA若しくはインフルエンザBの株、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、インフルエンザA又はインフルエンザBの株は、トリ、ブタ、ウマ、イヌ、ヒト、又は非ヒト霊長類に関連する。いくつかの実施形態では、抗原ポリペプチドは、血球凝集素タンパク質又はその断片をコードする。いくつかの実施形態では、血球凝集素タンパク質は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、H18、又はそれらの断片である。
【0128】
いくつかの実施形態では、組成物は、インフルエンザウイルスから得られる、HAタンパク質又はその免疫原性断片(例えば、H1~H18のうちの少なくとも1つ)、NPタンパク質又はその免疫原性断片、NAタンパク質又はその免疫原性断片、M1タンパク質又はその免疫原性断片、M2タンパク質又はその免疫原性断片、NS1タンパク質又はその免疫原性断片、及びNS2タンパク質又はその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。
【0129】
本開示は、各々が単一の抗原ポリペプチドをコードする複数のRNAポリヌクレオチドを含む組成物、及び2つ以上の抗原ポリペプチドをコードする単一のRNAポリヌクレオチドを含む組成物(例えば、融合ポリペプチドとして)を包含する。したがって、第1の抗原ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、第2の抗原ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するRNAポリヌクレオチドと、を含む組成物は、(a)第1の抗原ポリペプチドをコードする第1のRNAポリヌクレオチドと、第2の抗原ポリペプチドをコードする第2のRNAポリヌクレオチドと、を含む組成物、並びに(b)第1及び第2の抗原ポリペプチドをコードする単一のRNAポリヌクレオチドを含む組成物(例えば、融合ポリペプチドとして)を包含する。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、各々は、異なる抗原ポリペプチドをコードする、オープンリーディングフレームを有する2~10個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個)以上のRNAポリヌクレオチド(又は2~10個以上の異なる抗原ポリペプチドをコードする単一のRNAポリヌクレオチド)を含む。
【0130】
単一のRNAポリヌクレオチドは、2つのポリペプチドをコードし得る。ある特定の実施形態では、2つのポリペプチドは、抗体の軽鎖及び重鎖を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、無傷の抗体及び抗体断片の両方を包含する。典型的には、無傷の「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合する免疫グロブリンである。抗体は、ヒトクラス:IgG、IgM、IgE、IgA、及びIgDのうちのいずれかを含む、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであり得る。典型的には、無傷の抗体は、四量体である。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110個以上のアミノ酸の可変領域を画定する。「可変軽鎖」(VL)及び「可変重鎖」(VH)という用語は、それぞれ、軽鎖及び重鎖上のこれらの対応する領域を指す。各可変領域は、超可変(HV)及びフレームワーク(FR)領域に更に細分化され得る。超可変領域は、相補性決定領域と称される超可変性配列の3つの領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)を含み、4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR2、及びFR4)によって分離され、フレームワーク領域は、ベータシート構造を形成し、HV領域を所定の位置に保持するための足場として機能する。各重鎖及び軽鎖のC末端は、軽鎖のための1つのドメイン(CL)及び重鎖のための3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)からなる定常領域を画定する。免疫グロブリンの軽鎖は、アイソタイプカッパ及びラムダに更に分類され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、「無傷の抗体」又は「完全に組み立てられた抗体」という用語は、天然に産生された抗体で生じるように、任意選択でジスルフィド結合によって会合される、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含有する抗体を参照して使用される。いくつかの実施形態では、本開示による抗体は、抗体断片である。
【0132】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合領域又は可変領域などの、無傷の抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片、トリアボディ、テトラボディ、線状抗体;単鎖抗体分子、並びに抗体断片から形成された多特異的抗体が挙げられる。例えば、抗体断片は、単離断片、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖及び重鎖可変領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「ScFvタンパク質」)、並びに超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位を含む。多くの実施形態では、抗体断片は、親抗体と同じ抗原に結合する断片である親抗体の十分なアミノ酸配列を含有し、いくつかの実施形態では、断片は、親抗体と同等の親和性で抗原に結合し、かつ/又は抗原への結合に対して親抗体と競合する。抗体の抗原結合断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、scFv断片、Fv断片、dsFvダイアボディ、dAb断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
当技術分野で既知の任意の抗体を使用することができ、標準的な方法を使用して所望の抗原に対して抗体を産生することができる。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体混合物若しくはカクテル、ヒト若しくはヒト化抗体、キメラ抗体、又は二重特異性抗体であり得る。
【0134】
例示的な抗体としては、抗ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、抗リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)、抗Flt-1、抗TNF-α、抗インターロイキン-2Rα受容体(CD25)、抗TGFβ、抗B細胞活性化因子、抗アルファ-4インテグリン、抗BAGE、抗β-カテニン/m、抗Bcr-abl、抗C5、抗CA125、抗CAMEL、抗CAP-1、抗CASP-8、抗CD4、抗CD19、抗CD20、抗CD22、抗CD25、抗CDC27/m、抗CD30、抗CD33、抗CD52、抗CD56、抗CD80、抗CDK4/m、抗CEA、抗CT、抗CTL4、抗Cyp-B、抗DAM、抗EGFR、抗ErbB3、抗ELF2M、抗EMMPRIN、抗EpCam、抗ETV6-AML1、抗HER2、抗G250、抗GAGE、抗GnT-V、抗Gp100、抗HAGE、抗HER-2/neu、抗HLA-A*0201-R170I、抗IGF-1R、抗IL-2R、抗IL-5、抗MC1R、抗ミオシン/m、抗MUC1、抗MUM-1、抗MUM-2、抗MUM-3、抗プロテイナーゼ-3、抗p190マイナーbcr-abl、抗Pml/RARα、抗PRAMS、抗PSA、抗PSM、抗PSMA、抗RAGE、抗RANKL、抗RU1又はRU2、抗SAGE、抗SART-1又はSART-3、抗サバイビン、抗TEL/AML1、抗TPI/m、抗TRP-1、抗TRP-2、抗TRP-2/INT2、及び抗VEGF又は抗VEGF受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
治療用及び予防用組成物
本明細書では、ヒト及び他の動物における感染性疾患の予防、治療、又は診断のための組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット、及び試薬が提供される。組成物は、治療剤又は予防剤として使用され得る。それらは、感染性疾患を予防及び/又は治療するために医薬において使用され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAポリヌクレオチドを含有する組成物は、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物対象)に投与され得、RNAポリヌクレオチドは、インビボで翻訳されて、抗原ポリペプチドを産生する。
【0137】
組成物は、細胞、組織、又は生物におけるポリペプチド(例えば、抗原又は免疫原)の翻訳のために誘導され得る。いくつかの実施形態では、そのような翻訳は、インビボで生じるが、そのような翻訳は、エクスビボで、培養で、又はインビトロで生じてもよい。いくつかの実施形態では、細胞、組織、又は生物は、抗原ポリペプチドをコードする少なくとも1つの翻訳可能領域を有するRNAポリヌクレオチドを含有する有効量の組成物と接触する。
【0138】
「有効量」の組成物は、少なくとも部分的に、標的組織、標的細胞型、投与手段、ポリヌクレオチド及び他の構成要素の物理的特徴、及び他の決定基に基づいて提供される。概して、有効量の組成物は、細胞における抗原産生の機能として、免疫応答の誘導又は増強を提供する。抗原産生の増加は、細胞トランスフェクションの増加(RNAでトランスフェクションされた細胞の割合)、ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の増加、核酸分解の減少(例えば、修飾ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の持続時間の増加によって実証されるように)、又は宿主細胞の抗原特異的免疫応答の変化によって実証され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示による組成物(ポリヌクレオチドそれらのコードされたポリペプチドを含む)は、感染性疾患の治療に使用され得る。
【0140】
組成物は、予防的又は治療的に、活性免疫スキームの一部分として、健康な個体に、又はインキュベーション段階中若しくは症状の発病後の活性感染中の感染の早期に投与され得る。いくつかの実施形態では、細胞、組織、又は対象に提供される本開示の組成物の量は、免疫予防に有効な量であり得る。
【0141】
組成物は、他の予防用又は治療用化合物とともに投与され得る。非限定的な例として、予防用又は治療用化合物は、アジュバント又はブースターであり得る。本明細書で使用される場合、ワクチンなどの予防用組成物を指す場合、「ブースター」という用語は、予防用(ワクチン)組成物の追加投与を指す。ブースター(又はブースターワクチン)は、予防用組成物の早期投与後に投与され得る。予防用組成物の初回投与とブースターとの間の投与の時間は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分35分、40分、45分、50分、55分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、10日、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、18か月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、25年、30年、35年、40年、45年、50年、55年、60年、65年、70年、75年、80年、85年、90年、95年、又は99年超であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、予防用組成物の初回投与とブースターとの間の投与時間は、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、6か月、又は1年であり得るが、これらに限定されない。
【0142】
いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内、皮膚内、又は鼻腔内投与され得る
【0143】
組成物は、感染の有病率又は満たされていない医療ニーズの程度若しくはレベルに応じて、様々な状況で利用され得る。非限定的な例として、組成物は、様々な感染性疾患を治療及び/又は予防するために利用され得る。
【0144】
任意選択で、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた医薬組成物が本明細書で提供される。
【0145】
組成物は、単独で、又は1つ以上の他の構成要素と併せて、製剤化又は投与され得る。例えば、組成物(例えば、ワクチン組成物)は、アジュバントを含むがこれらに限定されない他の構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバントを含まない(それらはアジュバントフリーである)。
【0146】
組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて製剤化又は投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、治療活性物質、予防活性物質、又は両方の組み合わせなどの少なくとも1つの追加の活性物質を含む。組成物は、滅菌、パイロジェンフリー、又は滅菌及びパイロジェンフリーの両方であり得る。ワクチン組成物などの薬学的薬剤の製剤及び/又は製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において見出され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者、又は対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という用語は、概して、ポリペプチドをコードするRNAポリヌクレオチド(例えば、mRNAポリヌクレオチド)を指す。
【0148】
本明細書に記載の組成物の製剤は、薬理学の分野で既知の、又は今後開発される任意の方法によって調製され得る。概して、そのような調製方法は、活性成分(例えば、RNAポリヌクレオチド)を、賦形剤及び/又は1つ以上の他の副成分と会合させるステップと、次いで、必要に応じて及び/又は望ましい場合、産物を所望の単回若しくは複数回用量単位に分割、成形、及び/又は包装するステップと、を含む。
【0149】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の独自性、大きさ、及び/又は状態に応じて、更には組成物が投与される経路に応じて変動するであろう。例として、組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0150】
組成物は、1つ以上の賦形剤を使用して、安定性を増加させ、細胞トランスフェクションを増加させ、持続若しくは遅延放出(例えば、デポ製剤から)を可能にし、生体内分布(例えば、特定の組織又は細胞型を標的とする)を変化させ、インビボでコードされたタンパク質の翻訳を増加させ、及び/又はインビボでコードされたタンパク質(抗原)の放出プロファイルを変化させるように製剤化され得る。従来の賦形剤は、任意の及び全ての溶媒、分散媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散剤又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、及び保存剤を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、対象における感染(例えば、ウイルス感染)を予防する方法として使用され得、方法は、当該対象に、本明細書で提供される少なくとも1つの組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、対象における感染(例えば、ウイルス感染)を治療する方法として使用され得、方法は、当該対象に、本明細書で提供される少なくとも1つの組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、対象における感染(例えば、ウイルス感染)の発生を低減させる方法として使用され得、方法は、当該対象に、本明細書で提供される少なくとも1つの組成物を投与することを含む。来る実施形態では、本開示の組成物は、感染した第1の対象から感染していない第2の対象への拡散を阻害する方法として使用され得、方法は、当該第1の対象砂当該第2の対象の少なくとも1つに、本明細書で提供される少なくとも1つの組成物を投与することを含む。
【0152】
対象における免疫応答を誘発する方法が提供される。方法は、少なくとも1つの抗原ポリペプチド又はその免疫原性断片をコードするオープンリーディングフレームを有する少なくとも1つのRNAポリヌクレオチドを含む、対象に投与すること、それによって対象に免疫応答を誘導することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、RNAポリヌクレオチドのエクソソーム媒介性送達を含み得る。
【0153】
予防有効用量は、臨床的に許容されるレベルでウイルスによる感染を予防する治療有効用量である。いくつかの実施形態では、治療有効用量は、ワクチンの添付文書に記載されている用量である。
【0154】
エクソソーム組成物
ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、エクソソームによって封入され得る。「エクソソーム」、「微小胞」、及び「細胞外小胞」という用語は、本明細書では互換的に使用される。それらは、概して、30~200nmのもの、例えば、50~100nmのサイズの範囲にある細胞外小胞を指す。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、20~300nmのサイズ、例えば、30~250nmのサイズ、例えば、50~200nmのサイズの範囲にあり得る。
【0155】
「エクソソームによって封入された」という語句、又はその文法的変形は、本明細書では、脂質二重層がRNAポリヌクレオチドを取り囲むエクソソームを指すために、「エクソソーム組成物」という語句と互換的に使用される。
【0156】
ある特定の実施形態では、本開示は、RNAポリヌクレオチドを細胞に送達する際の使用のためのエクソソームを提供する。本開示はまた、エクソソームを含む医薬組成物を提供する。
【0157】
エクソソームは、細胞への送達のためのRNAポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、送達は、エクスビボで実施され得る。いくつかの実施形態では、送達は、インビボで実施され得る。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、注射に好適な形態である。
【0158】
RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームを産生する方法が提供され、方法は、RNAポリヌクレオチドを発現するポリヌクレオチド構築物で細胞を形質転換することと、細胞を増殖培地中で培養することであって、RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームが、細胞外の増殖培地中に放出される、培養することと、細胞を増殖培地から除去することと、増殖培地からRNAポリヌクレオチドを含むエクソソームを採取することと、を含む。ある特定の実施形態では、採取は、超遠心分離によるものである。細胞は、A549細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、T7 RNAポリメラーゼを構成的に発現し、ポリヌクレオチド構築物は、T7プロモーターを含む。
【0159】
採取され得、他の細胞を直接トランスフェクションするために使用され得るか、又はポリ無水物ナノ粒子にパッケージ化され得る、RNAポリヌクレオチドを含むエクソソーム。
【0160】
ポリ無水物ポリマー
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、ナノ粒子中に製剤化される。従来のmRNAワクチン接種、特に最先端の臨床試験(すなわち、Moderna又はCureVac)におけるものは、ワクチンのsubQ/IM注射後の細胞のリポソームトランスフェクションに基づく。次いで、mRNAは、注射部位の近くで局所細胞をトランスフェクションするか、又は注射部位に動員された抗原提示細胞をトランスフェクションする(リポソームワクチンは、局所的ではなく肝臓で発現することが知られている)。リポソームは、許容細胞をトランスフェクションする前にRNAsesから保護する必要があり、その後、タンパク質になる任意の機会を得るために細胞にエンドサイトーシスされる必要があり、エンドソームからの脱出の真の機構は知られていないが、なんらかの輸出孔であると推定される。
【0161】
本開示は、トランスフェクション効率を増強するか、棚上及び体内での熱分解からよりよく保護するか、又はワクチン接種後に後続の免疫プロファイルを増加させる、リポソーム媒介性ビヒクルの代替物を提供する。
【0162】
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、ポリ無水物粒子中に製剤化される。
【0163】
「ポリ無水物粒子」及び「ポリ無水物ナノスフェア」という用語は、両方とも、本明細書に記載のポリ無水物ポリマーから作製された微粒子及びナノ粒子を指す。粒子のポリ無水物ポリマーは、典型的には、無水物オリゴマー(縮合プレポリマー)のランダム混合物などのコポリマーである。ポリ無水物粒子は「PA粒子」と略され得、これは微粒子又はナノ粒子であり得る。ナノ粒子は、ポリ無水物ナノスフェア(PANS)とも称され得る。
【0164】
「アルキル」という基は、任意選択で不飽和であり、任意選択で本明細書に記載の官能基で置換された直鎖又は分岐炭化水素ラジカル又はジラジカルを指す。アルキル基は、1~約20個の炭素原子を含有し得る。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、3-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、又はデシルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキルは、好ましくは、(C-C)アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、好ましくは、(C-C)アルキルである。
【0165】
アルキル基が不飽和である実施形態では、アルキルは、アルケニル基又はアルキニル基である。アルケニルは、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、又は5-ヘキセニルであり得る。アルケニルは、非置換又は置換であり得る。アルキニルは、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1-オクチニルなどであり得る。アルキニルは、非置換又は置換であり得る。
【0166】
「アリール」という用語は、親芳香族環系に由来する芳香族炭化水素を指す。アリールは、親環系の飽和又は不飽和炭素原子で別の基に連結され得る。アリール基は、6~約14個の炭素原子を有し得る。アリール基は、単一の環(例えば、フェニル)又は複数の縮合(縮合)環を有し得、少なくとも1つの環は芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアントリル)である。典型的なアリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどに由来するラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールは、本明細書に記載のように、非置換又は置換であり得る。
【0167】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。同様に、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0168】
「置換(された)」という用語は、「置換(された)」を使用した表現で示された基上の1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5個、いくつかの実施形態では1、2、又は3個、及び他の実施形態では1又は2個)の水素原子が、以下に記載の置換基からの選択、又は当業者に既知の好適な基で置き換えられることを示すことを意図しており、ただし、示されや置換原子の通常の価を超えないこと、及び置換が安定した化合物をもたらすことを条件とする。好適な置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、アシルアミノ、ニトロ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、及びシアノが挙げられる。好適な置換基はまた、例えば、-X、-R、-OR、-SR、-NR、-NR、=NR、-CX、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO、=N、-N、NC(=O)R、-C(=O)R、-C(=O)NRR、-S(=O)OH、-S(=O)R、-S(=O)R、-OS(=O)OR、-S(=O)NR、-OP(=O)(OR)、-P(=O)(OR)、-P(=O)(OH)、-C(=O)R、-C(=O)X、-C(S)R、-C(O)OR、-C(S)OR、-C(O)SR、-C(S)SR、-C(O)NRR、-C(S)NRR、-C(NR)NRRが挙げられ、各Xは独立して、ハロゲン(「ハロ」):F、Cl、Br、又はIであり、各Rは、独立して、H、アルキル、アリール、複素環、若しくは保護基、又はそれらのカチオン若しくはアニオンである。当業者によって容易に理解されるように、置換基がケト(すなわち、=O)又はチオキソ(すなわち、=S)などである場合、したがって、置換された原子上の2つの水素原子が置き換えられる。
【0169】
1つ以上の置換基を含有する上記基のうちのいずれかの場合、そのような基は、立体的に実施不可能であり、及び/又は合成的に実現不可能である任意の置換又は置換パターンを当然含まないことを理解されたい。加えて、本開示の化合物には、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学異性体が含まれる。
【0170】
「二塩基酸」という用語は、2つのカルボン酸(-C(=O)OH)基を含有する任意の基を指す。二塩基酸は、脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸であり得る。脂肪族ジカルボン酸は、2つ(又はそれ以上)のカルボン酸基で置換されている任意のアルキル基である。芳香族ジカルボン酸は、少なくとも1つのアリール基及び2つ(又はそれ以上)のカルボン酸を含有する任意の化合物である。2つのカルボン酸基は、同じアリール基上にあり得るか、又はそれらは、異なるアリール基上にあり得る。2つのカルボン酸基が異なるアリール基上にある場合、アリール基は、単結合によって連結され得、したがって、他の基、例えば、アルキル基によって連結され得る。アリール基を連結するアルキル基は、任意選択で置換され得、任意選択で炭素と本明細書で定義される他の基との間で中断され得る。
【0171】
「ポリマー」という用語は、1つ以上の繰り返し化学官能基によってともに共有結合された1つ以上の繰り返しモノマー残基単位の分子を指す。この用語は、直鎖、分岐、星、ランダム、ブロック、グラフトなどの全てのポリマー形態を含む。単一のモノマーから形成されたホモポリマー、2つ以上のモノマーから形成されたコポリマー、3つ以上のポリマーから形成されたテルポリマー、及び3つ超のモノマーから形成された他のポリマーを含む。ポリマーの異なる形態はまた、1つ超繰り返す共有結合官能基を有し得る。
【0172】
「ポリ無水物」という用語は、得られるポリマーの繰り返し単位が無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)基によって連結されるように、カルボン酸又はカルボン酸誘導体の縮合に由来するポリマーを指す。ポリ無水物は、本明細書に記載のように、二塩基酸を縮合させることによって、又は無水物プレポリマーを縮合させることによって調製され得る。
【0173】
「カルボン酸無水物」という用語は、無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)基を含有する化合物を指す。カルボン酸無水物は、典型的には、1分子当たり1つの無水物基のみを含有する。カルボン酸無水物は、2つのカルボン酸の縮合によって形成され得る。本明細書に記載の方法と併せて使用され得るカルボン酸無水物としては、ビス-アルキルカルボン酸無水物、ビス-アリールカルボン酸無水物、及び混合無水物が挙げられる。例としては、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、及び安息香酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。酢酸及び安息香酸の縮合生成物である酢酸安息香酸無水物などの混合無水物も用いられ得る。
【0174】
本明細書で使用される場合、「アシル」基は、別の基への結合点で、カルボニルラジカルで終端する(C-C)アルキル基などの基である。「アシルオキシ」基は、別の基への結合点で、カルボキシルラジカルで終端する(C-C)アルキル基などの置換基である。
【0175】
「アシル化された」という用語は、ヒドロキシル基のアシルオキシ基への変換を指す。アシル化は、ヒドロキシル基又はヒドロキシル含有基をカルボン酸無水物と接触させることによって行われ得る。
【0176】
本明細書で使用される場合、「プレポリマー」は、ポリマー(例えば、長鎖ポリ無水物)に変換され得るモノマー、オリゴマー、又はそれらの混合物である。二塩基酸プレポリマーは、典型的には、その末端カルボキシ基上でアシル化される。プレポリマーは、例えば、ビス(カルボン酸アセチルエステル)、又はその無水オリゴマーであり得る。いくつかの実施形態では、プレポリマーは、1,ω-(4-アセトキシカルボニルフェノキシ)アルカン、又はその無水物オリゴマーであり得る。1,ω-(4-アセトキシカルボニルフェノキシ)アルカンのフェノキシ基は、オルト、メタ、又はパラ置換パターンを有し得る。
【0177】
本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」は、1つのタイプのモノマーの繰り返し単位からなるポリマーである。「コポリマー」は、2つ以上の異なるタイプのモノマーの繰り返し単位からなるポリマーである。ランダムコポリマーでは、繰り返し単位の構成は、ランダムである。
【0178】
本開示の粒子を調製するために使用されるポリ無水物は、本明細書に記載のように、又は当業者に既知の方法によって調製され得る。ポリ無水物の調製のための方法のいくつもの例を以下に提供する。ポリ無水物を調製するために、広範囲の好適な二塩基酸が用いられ得る。二塩基酸は、任意選択で、約1~約5個の-Ph-、-O-、-CH=CH-、及び/又は-N(R)-基によって中断されている、二塩基酸置換直鎖又は分岐鎖アルカンであり得、式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、又は(C-C)アルキルである。一実施形態では、二塩基酸のアルカンは、C-C12(アルキル)であり得る。別の実施形態では、アルカンは、C-C(アルキル)であり得る。加えて、二塩基酸のアルカン基は、任意選択で、約1~約12個の-OCHCHO-基、例えば、ポリ(エチレングリコール)セグメントによって中断され得る。アルカン基はまた、任意選択で、1、2、又は3個の(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、若しくはオキソ基、又はそれらの組み合わせで置換され得る。
【0179】
一実施形態では、プレポリマーは、スキーム1に示されるように調製され得、
【化1】
「有機基」は、2つのカルボン酸部分を連結することができる任意の有機基であり、Rは、アルキル又はアリールであり、nは、1~約12である。好適な有機基の例としては、C-C12(アルキル)基、-PhO-C2-12(アルキル)-OPh-基、及び3,6-ジオキサオクタン基などの1~約12個のPEG単位を有するPEG基が挙げられるが、これらに限定されない。モル過剰のカルボン酸無水物が用いられ得る。約2~約30モル当量のカルボン酸無水物が使用され得る。代替的に、約5~約20モル当量のカルボン酸無水物が使用され得る。一実施形態では、6モル当量のカルボン酸無水物が用いられる。別の実施形態では、18モル当量のカルボン酸無水物が用いられる。カルボン酸無水物は、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、安息香酸無水物、それらの組み合わせ、及び/又はそれらの誘導体であり得る。
【0180】
プレポリマーはまた、スキーム2に示されるよう調製され得、
【化2】
式中、nは、1~約12である。安息香酸無水物などであるがこれらに限定されない、他のカルボン酸無水物は、プレポリマーの末端基を形成するために使用され得る。中央の脂肪族基は、任意選択で、本明細書に記載のように置換又は中断され得る。
【0181】
二塩基酸はまた、1,ω-ビス(カルボキシ)アルカンであり得る。当業者によって認識されるように、1,ω-ビス(カルボキシ)アルカンの代替命名法は、対応するビス(カルボキシ)アルカンと比較して、アルカン部分に2つの追加の炭素を有する1,ω-アルカン二酸である。
【0182】
プレポリマーはまた、スキーム3に示されるよう調製され得、
【化3】
式中、nは、1~約12である。無水酢酸以外のカルボン酸無水物を使用して、プレポリマーの末端基を形成し得る。中央の脂肪族基、アリール基、又は両方は、任意選択で、任意の組み合わせで置換され得る。中央の脂肪族基はまた、例えば、ポリ(エチレングリコール)鎖を有するように、酸素によって中断され得る。
【0183】
したがって、二塩基酸は、各々カルボキシ基で置換された2つのアリール基であり得、アリール基は、直鎖又は分岐鎖アルカンによって連結され、任意選択で、約1~約5個の-Ph-、-O-、-CH=CH-、及び/又は-N(R)-基によって中断され、式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、又は(C-C)アルキルである。いくつかの実施形態では、アリール基の一方又は両方は省略され得、カルボキシ基はアルキル鎖によって連結される。一実施形態では、アルカンは、C-C12(アルキル)であり得る。別の実施形態では、アルカンは、C-C(アルキル)であり得る。別の実施形態では、アルカンは、1つ以上のPEG基であり得る。加えて、カルボン酸置換アリール基を連結するアルカン基は、任意選択で、1~約12個の-OCHCHO-基、例えば、ポリ(エチレングリコール)セグメントによって中断され得る。カルボン酸置換アリール基を連結するアルカン基はまた、任意選択で、1、2、又は3個の(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、若しくはオキソ基、又はそれらの組み合わせで置換され得る。
【0184】
二塩基酸は、1,ω-ビス(4-カルボキシフェノキシ)アルカンであり得る。一実施形態では、アルカンは、(C-C10)アルカンである。別の実施形態では、アルカンは、C-C(アルキル)であり得る。ある特定の具体的な実施形態では、アルカンは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びそれらの分岐異性体であり得る。一実施形態では、二塩基酸は、1,6-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ヘキサンである。別の実施形態では、二塩基酸は、1,6-ビス(カルボキシ)オクタンである。別の実施形態では、二塩基酸は、1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタンであり得る。これらの二塩基酸のうちのいずれかの混合物は、本明細書に記載のマイクロ波促進方法と併せて使用され得る。
【0185】
ポリ無水物は、当技術分野で既知の縮合方法によって、又はプレポリマーを重合させるのに十分な量のマイクロ波照射でプレポリマーを照射することによって調製され得る。十分な量のマイクロ波放射は、典型的には、約1~約30分間、1100ワットに設定された従来のマイクロ波オーブンによって生成され得る。より多くの場合、十分な量のマイクロ波放射を約1~約20分で生成し得る。得られたポリ無水物は、反応に使用されるプレポリマー組成物の性質に応じて、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0186】
ポリ無水物はまた、二塩基酸からインサイチュでプレポリマーを形成することによっても調製され得る。二塩基酸は、カルボン酸無水物の存在下で二塩基酸を照射することによってプレポリマーに変換され得る。プレポリマーは、例えば、(a)カルボン酸無水物と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、又はそれらの混合物との混合物を、プレポリマーを形成するのに有効なマイクロ波放射の量で照射することによって調製され得る。1つの好適なカルボン酸無水物は、無水酢酸である。他の好適なカルボン酸無水物としては、例えば、トリフルオロ酢酸無水物及び安息香酸無水物が挙げられる。
【0187】
本明細書に記載の方法に従って調製されたポリ無水物の末端基は、典型的には、末端アシル基を有する。ポリ無水物のいくつかの加水分解が、反応中又はポリ無水物の単離中に生じる可能性がある。したがって、そのようなポリ無水物のいくつかの末端基は、カルボン酸基であり得る。したがって、本開示の方法は、アシル基、カルボン酸基、又はそれらの組み合わせで終端するポリ無水物の調製を含む。
【0188】
ポリ無水物は、例えば、スキーム4に示されるように調製され得、
【化4】
式中、「有機基」は、2つのカルボン酸部分を連結する任意の有機基であり、Rは、アルキル又はアリールであり、nは、1~約12であり、mは、約5~約200である。
【0189】
ポリ無水物はまた、スキーム5に示されるように調製され得、
【化5】
式中、nは、1~約12であり、mは、約5~約200である。他の実施形態では、mは、約10~約100、又は約10~約50であり得る。当業者によって理解されるように、mの値は、典型的には、nの値よりも大きい。アセテート以外の末端基が使用され得、中央の脂肪族基は、本明細書に記載のように、任意選択で置換されるか、任意選択で中断されるか(例えば、PEG基について)、又は両方であり得る。
【0190】
ポリ無水物はまた、スキーム6に示されるように調製され得、
【化6】
式中、nは、1~約12であり、mは、約5~約100である。他の実施形態では、mは、約10~約50、又は約15~約35であり得る。アセテート以外の末端基が使用され得、中央の脂肪族基、アリール基、又は両方は、任意選択で、任意の組み合わせで置換され得る。中央の脂肪族基はまた、任意選択で、例えば、ポリ(エチレングリコール)鎖を有するように、酸素によって中断され得る。
【0191】
ポリ無水物微粒子又はナノ粒子を調製するための方法は、1つ以上の二塩基酸を照射することであって、1つ以上の二塩基酸が、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、又はそれらの混合物を含み、1つ以上の二塩基酸をアシル化して少なくとも1つのプレポリマーを得るための、カルボン酸無水物の存在下でのマイクロ波放射を用いる、照射することと、当該プレポリマーを重合させて、ホモポリマー又はコポリマーとしてポリ無水物を得るためにプレポリマーをマイクロ波放射を用いて照射することと、を含む。
【0192】
プレポリマーは、両方の酸部分でアシル化されたジカルボン酸(「二塩基酸」)から構成され得る。プレポリマーは、単一のアシル化二塩基酸単位(モノマー)であり得るか、又は最大約12個の縮合二塩基酸単位を有し得る。異なる二塩基酸の混合物が用いられ得る。二塩基酸の混合物は、ランダムコポリマーを得ることができる。1つ以上の二塩基酸は、任意選択で、約1~約5個の-Ph-、-O-、-CH=CH-、及び/又は-N(R)-基によって中断されている、二塩基酸置換C-C12直鎖又は分岐鎖アルカンを含み得、式中、Rは、H、フェニル、ベンジル、又は(C-C)アルキルである。1つ以上の二塩基酸はまた、任意選択で、約1~約12個の-OCHCHO-基によって中断され得る。1つ以上の二塩基酸はまた、任意選択で、1、2、又は3個のトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、若しくはオキソ基、又はそれらの組み合わせで置換され得る。
【0193】
少なくとも1つの二塩基酸は、1,ω-ビス(カルボキシ)アルカンであり得る。少なくとも1つの二塩基酸はまた、1,ω-ビス(4-カルボキシフェノキシ)アルカンであり得る。アルカンは、例えば、(C-C)アルカンであり得る。アルカンの具体例としては、ヘキサン及びオクタンが挙げられる。二塩基酸は、1,6-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ヘキサンであり得る。代替的に、二塩基酸は、1,6-ビス(カルボキシ)オクタン(セバシン酸)であり得る。少なくとも1つのプレポリマーはまた、ビス(カルボン酸アセチルエステル)、又はその無水物オリゴマーを含み得る。少なくとも1つのプレポリマーはまた、1,ω-(4-アセトキシカルボニルフェノキシル)アルカン、又はその無水物オリゴマー、又は1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、又はその無水物オリゴマーを含み得る。
【0194】
カルボン酸無水物は、ビス-アルキルカルボン酸無水物、ビス-アリールカルボン酸無水物、アルキル-アリールカルボン酸無水物、又はそれらの混合物であり得る。カルボン酸無水物は、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、又は安息香酸無水物であり得る。モル過剰のカルボン酸無水物が用いられ得る。過剰な無水カルボン酸は、プレポリマーが形成された後に除去され得る。
【0195】
様々な実施形態では、本明細書に記載の微粒子及び/又はナノ粒子のポリマーは、ポリ-セバシン酸無水物(SA)、ポリ-1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)無水物、又はポリ-1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン(CPTEG)無水物であり得る。他の実施形態では、本明細書に記載の微粒子及び/又はナノ粒子のポリマーは、セバシン酸無水物(SA)及び1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)無水物のコポリマー、又は1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン(CPTEG)無水物及び1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)無水物のコポリマーであり得る。SA対CPH、又はCPTEG対CPHの比は、約1:19~約19:1の任意の整数であり得る。ある特定の実施形態では、CPTEG対CPHの比は、約20:80である。SA:CPHコポリマーの構造の例は、以下のとおりである:
【化7】
各ブロック(単一又は二重括弧で示される)は、約10,000~約25,000g/mol、又は約15,000~約20,000g/molなどの約5,000~約50,000g/molのMを有するポリマーを提供するのに十分ないくつもの繰り返し単位を含む。無水物コポリマーは、ブロックコポリマー若しくはランダムコポリマー、又はそれらの組み合わせであり得る。CPTEG:CPHコポリマーはまた、各ブロックが、約10,000~約25,000g/mol、又は約15,000~約20,000g/molなどの約5,000~約50,000g/molのMを有するポリマーを提供するのに十分ないくつもの繰り返し単位を含み得るポリマーを形成するように調製され得る。
【0196】
本明細書に記載のポリ無水物粒子は、有効量のRNAポリヌクレオチドを担持し得る。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームが、ポリ無水物ポリマーに封入され得る。
【0197】
投与様式
組成物は、治療上有効な転帰をもたらす任意の経路によって投与され得る。これらには、皮内、筋肉内、鼻腔内、及び/又は皮下投与が含まれるがこれらに限定されない。本開示は、RNAポリヌクレオチドを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、及び一般的な状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式などに応じて、対象ごとに異なるであろう。RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、投与を容易にし、投薬量を均一にするために、典型的には、投薬単位形態で製剤化される。しかしながら、RNAポリヌクレオチドを含む組成物の1日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する特定の治療有効用量レベル、予防有効用量レベル、又は適切な画像化用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食生活;用いられる特定の化合物の投与時間、投与経路、及び排泄速度;治療期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて又はそれと同時に使用される薬物;並びに医学技術分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存するであろう。
【0198】
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、所望の治療効果、診断効果、予防効果、又は画像化効果を得るために、1日当たり、1日1回以上、1週間当たり、1か月当たりなど、対象の体重の0.0001mg/kg~100mg/kg、0.001mg/kg~0.05mg/kg、0.005mg/kg~0.05mg/kg、0.001mg/kg~0.005mg/kg、0.05mg/kg~0.5mg/kg、0.01mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~40mg/kg、0.5mg/kg~30mg/kg、0.01mg/kg~10mg/kg、0.1mg/kg~10mg/kg、又は1mg/kg~25mg/kg,を送達するのに十分な投薬量レベルで投与され得る(例えば、国際公開第2013/078199号に記載されている単位用量の範囲を参照されたく、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。所望の投薬量は、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日ごと、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、2か月ごと、3か月ごと、6か月ごとなどで送達され得る。いくつかの実施形態では、所望の投薬量は、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回、又はそれ以上の投与)を使用して送達され得る。複数回の投与が用いられる場合、本明細書に記載のものなどの分割投与レジメンが使用され得る。ある特定の実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、0.0005mg/kg~0.01mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg~約0.0075mg/kg、例えば、約0.0005mg/kg、約0.001mg/kg、約0.002mg/kg、約0.003mg/kg、約0.004mg/kg、又は約0.005mg/kgを送達するのに十分な投薬量レベルで投与され得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、0.025mg/kg~0.250mg/kg、0.025mg/kg~0.500mg/kg、0.025mg/kg~0.750mg/kg、又は0.025mg/kg~1.0mg/kgを送達するのに十分な投薬量レベルで1回又は2回(以上)投与され得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、2回(例えば、0日目及び7日目、0日目及び14日目、0日目及び21日目、0日目及び28日目、0日目及び60日目、0日目及び90日目、0日目及び120日目、0日目及び150日目、0日目及び180日目、0日目及び3か月後、0日目及び6か月後、0日目及び9か月後、0日目及び12か月後、0日目及び18か月後、0日目及び2年後、0日目及び5年後、又は0日目及び10年後)、0.0100mg、0.025mg、0.050mg、0.075mg、0.100mg、0.125mg、0.150mg、0.175mg、0.200mg、0.225mg、0.250mg、0.275mg、0.300mg、0.325mg、0.350mg、0.375mg、0.400mg、0.425mg、0.450mg、0.475mg、0.500mg、0.525mg、0.550mg、0.575mg、0.600mg、0.625mg、0.650mg、0.675mg、0.700mg、0.725mg、0.750mg、0.775mg、0.800mg、0.825mg、0.850mg、0.875mg、0.900mg、0.925mg、0.950mg、0.975mg、又は1.0mgの総用量、又はその総用量を送達するのに十分な投薬量レベルで、投与され得る。より高い及びより低い投薬量及び投与頻度は、本開示に包含される。例えば、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、3回又は4回投与され得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドを含む組成物は、2回(例えば、0日目及び7日目、0日目及び14日目、0日目及び21日目、0日目及び28日目、0日目及び60日目、0日目及び90日目、0日目及び120日目、0日目及び150日目、0日目及び180日目、0日目及び3か月後、0日目及び6か月後、0日目及び9か月後、0日目及び12か月後、0日目及び18か月後、0日目及び2年後、0日目及び5年後、又は0日目及び10年後)、0.010mg、0.025mg、0.100mg、又は0.400mgの総用量、又はその総用量を送達するのに十分な投薬量レベルで、投与され得る。
【0202】
本明細書に記載のRNAポリヌクレオチドを含む組成物は、鼻腔内、気管内、又は注射用(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内、鼻腔内、及び皮下)などの本明細書に記載の剤形に製剤化され得る。
【0203】
実施形態
以下の番号付き実施形態はまた、本開示の一部分を形成する。
【0204】
1.5’非翻訳領域(5’UTR)と、少なくとも1つのポリペプチドをコードする異種配列と、3’非翻訳領域(3’UTR)と、を含むRNAポリヌクレオチドであって、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はエキソリボヌクレアーゼ耐性RNA(xrRNA)要素を含む、RNAポリヌクレオチド。
【0205】
2.5’UTR又は3’UTRが、xrRNA要素を含む、実施形態1のRNAポリヌクレオチド。
【0206】
3.xrRNA要素が、配列番号6、25、31、又は36を含む、実施形態1又は実施形態2のRNAポリヌクレオチド。
【0207】
4.5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサーを含む、実施形態1~3のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0208】
5.5’UTR又は3’UTRが、薄いスズメノヒエ(Thin paspalum)無症候性ウイルス(TPAV)、トマトブッシースタントウイルス(TBSV)、スイートクローバー壊疽モザイクウイルス(SCNMV)、レッドクローバー壊疽モザイクウイルス(RCNMV)、又はケシモザイクウイルス(OPMV)に由来する、実施形態1~4のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0209】
6.5’UTR又は3’UTRが、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、実施形態1~5のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0210】
7.5’UTRが、配列番号7、14、26、28、29、32、33、又は37を含み、3’UTRが、配列番号8、13、15、16、27、30、35、又は38を含む、実施形態1~6のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0211】
9.RNAポリヌクレオチドが、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、実施形態1~7のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0212】
9.IRESが、配列番号9、10、12、又は34を含む、実施形態1~8のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0213】
10.RNAポリヌクレオチドが、RNAタンパク質結合ドメインを含む、実施形態1~9のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0214】
11.RNAポリヌクレオチドが、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない、実施形態1~10のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0215】
12.RNAポリヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを含まない、実施形態1~11のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0216】
13.少なくとも1つのポリペプチドが、抗原ポリペプチドを含む、実施形態1~12のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0217】
14.抗原ポリペプチドが、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに由来する、実施形態13のRNAポリヌクレオチド。
【0218】
15.少なくとも1つのポリペプチドが、抗体の軽鎖及び重鎖を含む、実施形態1~12のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0219】
16.RNAポリヌクレオチドが、環状RNAポリヌクレオチドである、実施形態1~15のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド。
【0220】
17.ポリ無水物ポリマーと、実施形態1~16のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチドと、を含む、ポリ無水物組成物であって、ポリ無水物ポリマーが、RNAポリヌクレオチドを封入する、ポリ無水物組成物。
【0221】
18.ポリ無水物ポリマーが、1,8-ビス(カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン(CPTEG)及び1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)のコポリマーを含む、実施形態17の組成物。
【0222】
19.CPTEG:CPH比が、約20:80~約50:50である、実施形態18の組成物。
【0223】
20.RNAポリヌクレオチドを送達するためのエクソソームであって、エクソソームが、5’UTRを含むRNAポリヌクレオチドと、少なくとも1つのポリペプチドをコードする配列と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、エクソソソーム。
【0224】
21.5’UTR又は3’UTRが、xrRNA要素を含む、実施形態20のエクソソーム。
【0225】
22.xrRNAが、配列番号6、25、31、又は36を含む、実施形態20又は実施形態21のエクソソーム。
【0226】
23.5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサーを含む、実施形態20~22のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0227】
24.5’UTR又は3’UTRが、TPAV、TBSV、SCNMV、RCNMV、又はOPMV由来である、実施形態20~23のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0228】
25.5’UTR又は3’UTRが、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、実施形態20~24のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0229】
26.5’UTRが、配列番号7、14、26、28、29、32、33、又は37を含み、3’UTRが、配列番号8、13、15、16、27、30、35、又は38を含む、実施形態20~25のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0230】
28.RNAポリヌクレオチドが、IRESを含む、実施形態20~26のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0231】
29.IRESが、配列番号9、10、12、又は34を含む、実施形態20~27のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0232】
30.RNAポリヌクレオチドが、RNAタンパク質結合ドメインを含む、実施形態20~28のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0233】
31.RNAポリヌクレオチドが、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない、実施形態20~29のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0234】
32.RNAポリヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを含まない、実施形態20~30のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0235】
33.少なくとも1つのポリペプチドが、抗原ポリペプチドを含む、実施形態20~31のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0236】
34.抗原ポリペプチドが、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに由来する、実施形態33のエクソソーム。
【0237】
35.少なくとも1つのポリペプチドが、抗体の軽鎖及び重鎖を含む、実施形態20~34のうちのいずれか1つのエクソソーム。
【0238】
36.ポリ無水物ポリマーと、実施形態20~35のうちのいずれか1つのエクソソームと、を含む、ポリ無水物組成物であって、ポリ無水物ポリマーが、エクソソームを封入する、ポリ無水物組成物。
【0239】
37.ポリ無水物ポリマーが、CPTEG及びCPHのコポリマーを含む、実施形態36の組成物。
【0240】
38.CPTEG:CPH比が、約20:80~約50:50である、実施形態37の組成物。
【0241】
39.実施形態1~16のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチドと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【0242】
40.5’UTRと、ポリペプチドをコードする配列を挿入するための異種多重クローニング部位と、3’UTRと、を含むRNAポリヌクレオチドであって、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、RNAポリヌクレオチド。
【0243】
41.実施形態1~16又は40のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチドをコードするDNAポリヌクレオチド。
【0244】
42.対象における目的のポリペプチドを産生する方法であって、方法が、実施形態1~16のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド、実施形態17~19又は36~39のうちのいずれか1つの組成物、又は実施形態20~35のうちのいずれか1つのエクソソームを対象に投与することを含む、方法。
【0245】
43.対象にRNAポリヌクレオチドを送達する方法であって、方法が、実施形態1~16のうちのいずれか1つのRNAポリヌクレオチド、実施形態17~19又は36~39のうちのいずれか1つの組成物、又は実施形態20~35のうちのいずれか1つのエクソソームを対象に投与することを含む、方法。
【0246】
44.対象において免疫応答を誘導する方法であって、方法が、対象において抗原特異的免疫応答を産生するのに有効な量のRNAポリヌクレオチドを含む組成物を、対象に投与することを含み、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、少なくとも1つの抗原ポリペプチドをコードする配列と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、方法。
【0247】
45.5’UTR又は3’UTRが、xrRNA要素を含む、実施形態44の方法。
【0248】
46.xrRNA要素が、配列番号6、25、31、又は36を含む、実施形態44又は実施形態45の方法。
【0249】
47.5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサーを含む、実施形態44~46のうちのいずれか1つの方法。
【0250】
48.5’UTR及び/又は3’UTRが、TPAV、TBSV、SCNMV、RCNMV、又はOPMV由来である、実施形態44~47のうちのいずれか1つの方法。
【0251】
49.5’UTR又は3’UTRが、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、実施形態44~48のうちのいずれか1つの方法。
【0252】
50.5’UTRが、配列番号7、14、26、28、29、32、33、又は37を含み、3’UTRが、配列番号8、13、15、16、27、30、35、又は38を含む、実施形態44~49のうちのいずれか1つの方法。
【0253】
51.RNAポリヌクレオチドが、IRESを含む、実施形態44~50のうちのいずれか1つの方法。
【0254】
52.IRESが、配列番号9、10、12、又は34を含む、実施形態44~51のうちのいずれか1つの方法。
【0255】
53.RNAポリヌクレオチドが、RNAタンパク質結合ドメインを含む、実施形態44~52のうちのいずれか1つの方法。
【0256】
54.RNAポリヌクレオチドが、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない、実施形態44~53のうちのいずれか1つの方法。
【0257】
55.RNAポリヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを含まない、実施形態44~54のうちのいずれか1つの方法。
【0258】
56.抗原ポリペプチドが、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに由来する、実施形態44~55のうちのいずれか1つの方法。
【0259】
57.組成物が、薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態44~56のうちのいずれか1つの方法。
【0260】
58.組成物が、エクソソームを含む、実施形態44~57のうちのいずれか1つの方法。
【0261】
59.組成物が、ポリ無水物ポリマーを含む、実施形態44~58のうちのいずれか1つの方法。
【0262】
60.ポリ無水物ポリマーが、CPTEG及びCPHのコポリマーを含む、実施形態59の方法。
【0263】
61.CPTEG:CPH比が、約20:80~約50:50である、実施形態60の方法。
【0264】
62.組成物が、対象に、筋肉内、鼻腔内、又は皮内投与される、実施形態44~61のうちのいずれか1つの方法。
【0265】
63.組成物が、対象に鼻腔内投与される、実施形態44~62のうちのいずれか1つの方法。
【0266】
64.対象が、ヒトである、実施形態44~63のうちのいずれか1つの方法。
【0267】
65.抗体を対象に送達する方法であって、方法が、RNAポリヌクレオチドを含む組成物を対象に投与することを含み、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、抗体の軽鎖をコードする配列と、抗体の重鎖をコードする配列と、少なくとも1つのIRESと、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、方法。
【0268】
66.5’UTR又は3’UTRが、xrRNA要素を含む、実施形態65の方法。
【0269】
67.xrRNA要素が、配列番号6、25、31、又は36を含む、実施形態65又は実施形態66の方法。
【0270】
68.5’UTR又は3’UTRが、パニクムモザイクウイルス様キャップ非依存性翻訳エンハンサーを含む、実施形態65~67のうちのいずれか1つの方法。
【0271】
69.5’UTR及び/又は3’UTRが、TPAV、TBSV、SCNMV、RCNMV、又はOPMV由来である、実施形態65~68のうちのいずれか1つの方法。
【0272】
70.5’UTR又は3’UTRが、配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、又は38に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む、実施形態65~69のうちのいずれか1つの方法。
【0273】
71.5’UTRが、配列番号7、14、26、28、29、32、33、又は37を含み、3’UTRが、配列番号8、13、15、16、27、30、35、又は38を含む、実施形態65~70のうちのいずれか1つの方法。
【0274】
72.RNAポリヌクレオチドが、2つのIRESを含み、IRESが、配列番号9及び配列番号10を含む、実施形態65~71のうちのいずれか1つの方法。
【0275】
73.RNAポリヌクレオチドが、RNAタンパク質結合ドメインを含む、実施形態65~72のうちのいずれか1つの方法。
【0276】
74.RNAポリヌクレオチドが、5’キャップ構造又はポリAテールを含まない、実施形態65~73のうちのいずれか1つの方法。
【0277】
75.RNAポリヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを含まない、実施形態65~74のうちのいずれか1つの方法。
【0278】
76.組成物が、薬学的に許容される賦形剤を含む、実施形態65~75のうちのいずれか1つの方法。
【0279】
77.組成物が、エクソソームを含む、実施形態65~76のうちのいずれか1つの方法。
【0280】
78.組成物が、ポリ無水物ポリマーを含む、実施形態65~77のうちのいずれか1つの方法。
【0281】
79.ポリ無水物ポリマーが、CPTEG及びCPHのコポリマーを含む、実施形態78の方法。
【0282】
80.CPTEG:CPH比が、約20:80~約50:50である、実施形態79の方法。
【0283】
81.組成物が、対象に、筋肉内、鼻腔内、又は皮内投与される、実施形態65~80のうちのいずれか1つの方法。
【0284】
82.対象が、ヒトである、実施形態65~81のうちのいずれか1つの方法。
【0285】
83.RNAポリヌクレオチドの送達のためのエクソソームを産生するための方法であって、方法が、RNAポリヌクレオチドを発現するポリヌクレオチド構築物で細胞を形質転換することであって、RNAポリヌクレオチドが、5’UTRと、少なくとも1つのポリペプチドをコードする配列と、3’UTRと、を含み、5’UTR又は3’UTRが、キャップ非依存性翻訳エンハンサー又はxrRNA要素を含む、形質転換することと、細胞を増殖培地中で培養することであって、RNAポリヌクレオチドを含むエクソソームが、細胞外の増殖培地中に放出される、培養することと、細胞を増殖培地から除去することと、増殖培地からRNAポリヌクレオチドを含むエクソソームを採取することと、を含む、方法。
【0286】
84.採取することが、超遠心分離によるものである、実施形態83の方法。
【0287】
85.細胞が、A549細胞である、実施形態83又は実施形態84の方法。
【0288】
86.ポリヌクレオチド構築物が、プロモーターを含む、実施形態83~85のうちのいずれか1つの方法。
【0289】
87.プロモーターが、T7プロモーターであり、細胞が、T7 RNAポリメラーゼを構成的に発現する、実施形態86の方法。
【0290】
本明細書に記載の全ての刊行物及び特許出願は、本開示が関係する技術分野の当業者の技術レベルを示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたときと同じ程度に、本明細書において参照により組み込まれる。
【0291】
以下の実施例は、限定ではなく、例示として提供される。
【実施例
【0292】
実施例1:代替mRNA発現カセット
宿主エンドヌクレアーゼからのいくらか保護を与える非翻訳領域をコード領域に隣接させることによってmRNAを安定化するように機能する一連の発現カセットを試験した。ModernaワクチンmRNA上のものと同様であるが、キャップ化又はテール化を伴わない、ベータ-アクチン(細胞内に豊富なハウスキーピングタンパク質)非翻訳領域(UTR)に隣接する蛍光レポーターの発現は、細胞内T7 RNAポリメラーゼによって連続的に転写されない限り、一過性であった(24時間未満)。対照的に、蛍光レポータータンパク質は、エキソヌクレアーゼ耐性RNA構造(xrRNA)、並びにレポーター遺伝子のコード領域に隣接する薄いスズメノヒエ無症候性ウイルス(TPAV)及びアブラムシ致死性麻痺ウイルス(ALPV)のUTRを使用する場合、細胞内に持続し、これらのUTRに隣接するmRNAが持続し、キャップ及びポリ(A)テールを欠いているにもかかわらず、効率的に翻訳されたことを示唆している。
【0293】
mRNAワクチンの目的は、タンパク質に対して長寿命の抗体応答を開始するように、細胞内でタンパク質(抗原)を発現させることである。これらの代替発現カセットは、「ハウスキーピング遺伝子」UTR+キャップ+テール化を含有する従来のmRNA構築物よりも優れているようである。これまでに試験された最も好ましい発現カセットは、TPAV由来のUTRを含有するカセットである。
【0294】
具体的な方法論については、T7 RNAポリメラーゼ発現キットを使用してインビトロ転写(IVT)発現mRNAを生成し、フェノール/クロロホルム及びエタノール/塩精製によってmRNAを採取した。1μgのmRNAを、Mirus BiotechのmRNAトランスフェクション試薬を使用して細胞にトランスフェクションした。T7プロモーター、5’及び3’UTR、並びにレポーターコード領域を含有するPCR断片のみを使用した同様のトランスフェクションも、T7ポリメラーゼを構成的に発現するA549細胞に、Lipofectamineによってトランスフェクションした。
【0295】
例示的な発現カセットの図を図1に示す。図2は、示されたUTRを含有するmRNAでのトランスフェクション後のmKATE蛍光レポータータンパク質の蓄積を示す。
【0296】
実施例2:熱安定性ポリ無水物ナノ粒子
mRNAのポリ無水物ナノ粒子への組み込み
mRNAを、xrRNA発現カセットを使用して、(20:80のCPTEG:CPH製剤に基づく)ポリ無水物ナノ粒子に成功裏に組み込んだ。CPTEGは、具体的には、1,8-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタンであり、一方、CPHは、1,6-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-ヘキサンであり、これは、放出動態並びに水及び酸素からの保護を変化させるために異なる比率でブレンドされ得る。具体的には、800μgのmRNAを、Lucigen T7メガキットを使用して、従来のIVT発現によって生成した。RNAを、フェノール/クロロホルム抽出、塩及びグリコーゲン担体によって精製した。RNAペレットを、0.1%のスペルミン(Sigma)を含む純水中に再懸濁した。次いで、RNAを凍結乾燥させ、20:80のCPTEG/CPHに封入した。次いで、mRNA含有ナノ粒子(5mg)を水中に溶解させ、RNAを逆転写に供し、次いで、mKATEプライマーを使用してPCRし、産物を見出した。RNAのいくつかをまたリポフェクタミンとブレンドし、A549細胞上に配置し、24時間後に細胞における蛍光タンパク質が見出された。同じアプローチを繰り返したが、室温でナノ粒子を省略し、同様の所見が得られた。図3は、ナノ粒子から抽出されたmRNAが依然として細胞にトランスフェクションすることができることを示す。図4は、ナノ粒子から抽出されたmRNAが、室温での熱分解から保護される可能性が高いことを示す。比較のために、Moderna及びPfizer/BioNtechワクチンの両方のmRNAは、分解する前に約4時間の室温貯蔵寿命を有する。
【0297】
コポリマー中のmRNAトランスフェクションは、脂質トランスフェクションよりも高いトランスフェクション効率をもたらす
コポリマーが、mRNAを細胞に最適に送達するように設計された脂質と同等に細胞をトランスフェクションできるかどうかを試験した。コポリマーは、脂質に対して、ウマHA mRNAの送達が増強されて、細胞内へ送達することが可能であった(図5)。
【0298】
ポリ無水物担体中のmRNAは熱安定性であり、棚に保管されてから数か月後にトランスフェクションすることができる
RSV Fタンパク質をコードする40μgのmRNAの製剤を、1つはポリ無水物20:80中に、1つはポリ無水物なしで、4か月間棚に置いた。ポリ無水物中の1つだけが安定であった(図6)。より高いトランスフェクション効率を得ることができるが、mRNAを20:80から素早く取り戻すことは、はるかにゆっくりと溶解するように設計されているため困難である可能性がある。同様の研究が、mRNA及びRNAウイルスを用いて37℃で行われ、ポリ無水物材料中のみ安定であることが見出された。
【0299】
実施例3:細胞外小胞
TPAV/mKATE発現カセットを、重複するオリゴによって商業的に合成されたプラスミドからPCR増幅した。PCR産物は、5’UTRの前にT7プロモーター(5’-TAATACGACTCACTATAG-3’)を含む。PCR産物(5μg)を、T7ポリメラーゼを連続的に発現するように以前に操作したA549細胞(A549-T7細胞)にDEAデキストラン及び10%のグリセロールショックによってトランスフェクションした。トランスフェクション試薬をすすぎ、2時間後に血清なしで標準培地と交換した。3日後、上清を採取し、3000gで遠心分離し、0.2μmのフィルターで2回濾過し、40mlのうち100μlを、T7ポリメラーゼを含まないHELA細胞を含有する6ウェルプレートに戻した。細胞を4日間観察し、2日後にmKATEの蛍光を観察した(図7)。赤色蛍光の明るさと蛍光細胞の数は、全期間にわたって増加した。
【0300】
高速超遠心分離を使用してEVをスピンダウンし、最終産物を100μlの水中に希釈した。次いで、それを500倍希釈し、走査型電子顕微鏡によって画像化した。同時に、EVは、ナノサイト粒子イメージャによって画像化された(図8)。mKATE mRNAは、市販のキットによって採取されたEVから検出され、転写産物が組み込まれており、4℃で保存された事前に浄化された細胞培養上清からEVが採取される前の1週間、分解から保護されていることを示唆している(図9)。
【0301】
実施例4:RNAタンパク質結合ドメイン
脂質膜又はMVPタンパク質のいずれかを標的とするRNAタンパク質結合ドメイン(配列番号11)を組み込む追加のTPAV及びxrRNAシステムを開発した。これらは、エクソソームへのmRNAの組み込みを増強する。発現カセットの末端にT7終止配列を含めることで、切断して線状プラスミドをトランスフェクションする必要がなく、未切断のDNAプラスミドを転写のために細胞内にトランスフェクションすることができることを確実にする。MVPタンパク質結合ドメインの使用はまた、T7ポリメラーゼを介して転写を受けた細胞の溶解後のRNAの捕捉のためにカラム上に固定化されたタンパク質の組換えバージョンを使用したRNAの捕捉を可能にする。
【0302】
実施例5:二重発現システム
ポリオウイルス由来のIRES配列及びコオロギ麻痺ウイルス由来の別のIRESを組み込んだ二重発現システムを開発した。このシステムは、2つのタンパク質の二重発現を可能にする。ワクチンのための2つのタンパク質の発現が可能である。多重クローニング部位を有する重鎖及び軽鎖抗体配列の包含はまた、抗体がCDR3領域によってクローニングされ、フレーム内で抗体とライゲーションされることを可能にする(1つは軽鎖用であり、1つは重鎖用である)。次いで、これは、体内で作製及び分泌される治療用抗体の生成のために、ワクチン接種された動物/ヒトにおける標的細胞内での完全な重鎖及び軽鎖の二重発現を可能にする。
【0303】
重鎖抗体の下流生成のためにコオロギ麻痺ウイルスIRESを使用し、軽鎖抗体のためにTPAV/xrRNAシステムを使用して上流を使用するシステムも開発された。目的は、インビボで治療薬の抗体を作製するために、このmRNAを使用することである。
【0304】
実施例6:追加の発現システム
いくつもの新しい発現システムが試験のために開発された。第1のシステムは、他のコードと併せてコオロギ麻痺ウイルスIRES(配列番号18)を使用する。第2のコードは、他のコードと併せてコムギモザイクウイルス(TRIMV)IRES(配列番号19)を使用する。トマトブッシースタントウイルス(配列番号20及び21)由来の両方又は単一のUTRのいずれかを使用する2つの追加のシステムを開発した。
【0305】
実施例7:自己切断カセット
自己切断ペプチドを使用する多シストロン性システムを試験した。mRNA構築物上の2つのコード配列の間に配置された二重2A、TA2ペプチドの使用は、両方のタンパク質のほぼ1:1の発現レベルを可能にした(図10)。これは、コード配列間のIRESの従来の使用が多くの場合下流遺伝子の発現不良につながるため、珍しい。したがって、mRNA構築物は、同じmRNA構築物から1、2個、又はそれ以上のタンパク質を作製するように設計され得る。二重ペプチドは、タンパク質のより多くが融合ではなく別々のタンパク質であることを保証する。このシステムは、同じAPC内に2つ以上のfluタンパク質を発現し、複数のmRNA構築物に対して製造コストを削減するための選択肢である。
【0306】
実施例8:追加のmRNA構築物の比較
追加のmRNA構築物をT7 BHK細胞で発現させた。様々な構築物からの発現レベルは、レポータータンパク質の高レベルの発現を示した。試験したものの中で、3’xrRNAを有するSCNMV及びTPAVは、mCherry(図11)及びEVへの組み込みのためのmRNA(図示せず)の最も好ましいタンパク質発現をもたらした。これらのデータは、高レベルの発現を確実にするために、個々のUTRを目的の遺伝子に調整する能力を実証する。
【0307】
mRNA構築物は、5’UTRのxrRNAの前に10bpのリーダーを有し、したがって、示されるより低い発現は、5’末端ですぐ開始するxrRNAで遮断されることよりもむしろ、転写産物へのアクセスを得るxrRNA由来であり得る。将来の研究は、3’xrRNA UTRと比較するために5’xrRNAを最適化する。
【0308】
追加のmRNA構築物を表1に要約する。
【表1】
【0309】
実施例9:mRNAワクチン接種
マウスに、H3N8由来のrHAで1回又は2回、EV中の正しい若しくは逆方向のH3N8 HA、又はリポソーム中のβ-アクチン(UTR)キャップ及びテールが付いたH3N8 HAについてのTPAVカセット上のAlum又はmRNAで、ワクチン接種した。血球凝集阻害(HAI)を評価した(図12)。mRNAワクチンは、中和抗体を誘発する点でFlu HAタンパク質より優れた。これらのデータは、mRNA構築物がfluチャレンジからの保護をもたらし得ることを強く示す。
【0310】
実施例10:裸mRNAトランスフェクション
T7を有しないA549細胞を、Ribojuiceリポソームを使用して、偽、mCherryを発現するブタカセット、又はmCherryを発現する市販のmRNA(修飾U/C、Arcoキャップ、及びテールが付いた)でトランスフェクションした。修飾塩基、5’キャップ、及びポリ(A)テールを使用した市販のmRNAと比較したmRNAの実際の発現(図13)。これらのデータは、本開示のmRNA構築物が、動物に注射された場合に、したがって免疫応答を誘発するはずである高レベルでそれらの遺伝子を発現するはずであることを示唆する。
【0311】
実施例11:ポリ無水物ナノ粒子中のmRNAの安定性
熱安定性アッセイは、ポリ無水物に配置されたmRNA構築物が、37℃で7日後に熱からの分解に対する耐性を示すことを実証した(図14)。従来のIVT生成mRNAは、このレベルの熱安定性を有していなかった。したがって、mRNAは、ポリ無水物ナノ粒子又はロッド内に配置された場合、室温で安定であるはずである。
【0312】
実施例12:環状RNA構築物
5’三リン酸を除去し、単一のリン酸基をキナーゼで付加することにより、本開示のmRNA構築物をRNAリガーゼ1で環化することができる(図15)。環状RNAを使用することは、修飾塩基を含む必要性を更に緩和し、また、線状ssRNA(T4 RNAリガーゼ2と同様にdsRNAではない)のみをライゲーションするT4 RNAリガーゼ1を使用することによって、dsRNA及び短いRNA産物の消化を可能にする。これにより、dsRNA及び短い産物を除去するための製造プロセスのステップをスキップすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
【配列表】
2025505576000001.xml
【国際調査報告】