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特表2025-5055793Dループ製品及びそれを調製するための方法
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  • 特表-3Dループ製品及びそれを調製するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】3Dループ製品及びそれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/00 20060101AFI20250220BHJP
   C08L 23/08 20250101ALI20250220BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C08J5/00 CES
C08L23/08
C08L23/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545942
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2022075601
(87)【国際公開番号】W WO2023150921
(87)【国際公開日】2023-08-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、シルン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シュドン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ヤービン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、タオ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA14X
4F071AA15X
4F071AA82
4F071AA84
4F071AA87
4F071AF13
4F071AF20
4F071AH19
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC07
4J002BB03X
4J002BB16W
4J002GC00
4J002GN00
(57)【要約】
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料から作製された3Dループ製品であって、材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、3Dループ製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料から作製された3Dループ製品であって、前記材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、3Dループ製品。
【請求項2】
前記エチレン/α-オレフィンが、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項3】
前記材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された29J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項4】
前記材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された25J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項5】
前記材料が、約3g/10分~約20g/10分のMIを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項6】
前記材料が、約0.880g/cm~約0.920g/cmの密度を有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項7】
前記3Dループ製品が、70℃で、25%以下の圧縮残留歪みを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項8】
前記3Dループ製品が、70℃で、20%以下の圧縮残留歪みを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項9】
前記材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された21J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項10】
前記3Dループ製品が、座席、マットレス、又はピロー用の緩衝材である、請求項1に記載の3Dループ製品。
【請求項11】
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む前記材料を押し出すことと、
70~90℃で熱処理を0.5時間~5日間行うことと、を含み、
熱処理後の前記材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の3Dループ製品を製造する方法。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスによって作製された、3Dループ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3Dループ製品及びそれを調製するための方法に関する。
【0002】
序論
ポリエチレン(polyethylene、PE)又はポリオレフィンエラストマー(polyolefin elastomer、POE)は、マットレス及びピロー用途などの3Dループ(3DL)用途において成功した。ポリウレタン(polyurethane、PU)発泡体と比較して、ポリエチレン(PE)又はポリオレフィンエラストマー(POE)3Dループ緩衝材は、優れた通気性、容易な洗浄性を有し、本質的にリサイクル可能でもある。これらの有利な特性に基づいて、3Dループ緩衝材は、自動車座席用途に大きな可能性を有する。しかしながら、耐熱性能の重要な課題が残っている。
【0003】
しかしながら、現在のPOE又はPE製の3Dループ緩衝材配合物は、50%の試験圧縮歪み(ASTM D3574、パートD)を有する70℃での不十分な圧縮残留歪み(>45%)を有し、これは、現在のPU発泡体特性とはかけ離れている。
【0004】
したがって、70℃で25%以下、好ましくは20%以下の圧縮残留歪みを有する3Dループ製品が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
持続的な調査の後、本発明者らは、(15~80℃の温度範囲内で計算された)低完全性結晶の低減された融解エンタルピーを有するが、依然として良好な弾力性を保持し、自動車座席の高温圧縮残留歪み(70℃)(ASTM D3574、パートD)の要件、すなわち25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更により好ましくは10%以下を満たすことができる、POE/PE系3Dループ製品を開発した。
【0006】
本開示の第1の態様では、本開示は、ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料から作製された3Dループ製品であって、材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、3Dループ製品を提供する。
【0007】
好ましくは、ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、又はそれらの混合物から選択され、エチレン/α-オレフィンは、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、又はそれらの混合物から選択される。
【0008】
本開示の第2の態様では、本開示は、3Dループ製品を製造する方法であって、
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料を押し出すことと、
70~90℃で熱処理を0.5時間~5日間行うことと、を含み、
熱処理後の材料が、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する、方法を提供する。
【0009】
好ましくは、ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はそれらの混合物から選択され、エチレン/α-オレフィンは、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、又はそれらの混合物から選択される。
【0010】
本開示の第3の態様では、本開示は、本開示のプロセスによって作製された3Dループ製品を提供する。
【0011】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例B-8の3Dループ試料の1回目の加熱DSC曲線及び低完全性結晶融解エンタルピー面積(網掛け領域)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0014】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値から上限値までの全ての値(下限値及び上限値を含む)を含む。明示的な値(例えば、1若しくは2、又は3~5、又は6、又は7)を含む範囲には、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などの部分範囲が含まれる)。相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。
【0015】
本明細書に開示される場合、「組成物」、「配合物」、又は「混合物」という用語は、物理的な手段によって異なる成分を単に混合することによって得られる、異なる成分の物理的なブレンドを指す。組成物中の各成分の重量百分率の合計は、組成物の総重量に基づいて100重量%である。
【0016】
本明細書で開示するとき、「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、又は異なる種類のものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1タイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び本明細書で以下に定義されるようなインターポリマーという用語を含む。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマー中に及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。典型的には、ポリマーは、非常に少量(「ppm」量)の1つ以上の安定剤で安定化される。
【0018】
ポリオレフィンの結晶構造は、ポリオレフィン材料の機械的特性及び耐熱性に影響を及ぼす重要な因子である。融解エンタルピーは、物質を融解するのに必要なエネルギーであり、結晶性及び半結晶性材料に広く使用されているパラメータである。示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC)は、温度の調節された上昇又は低下中に試料中で起こる熱エネルギーの吸収及び放出を直接評価するための一般的な熱力学的ツールである。熱量測定は、融解及び結晶化などの相転移を監視するために適用されることが多い。融解エンタルピーは、サーモグラムピーク内の総積分熱流から決定され、これは、転移に影響を及ぼす適切なベースライン補正後の試料による総熱エネルギー吸収を示す。それは、熱流対温度の実験的グラフの形状分析によって決定される。
【0019】
「ポリマー」は、同一であるか、又は異なる種類のモノマーであるかに関わらず、モノマーを重合することによって調製された化合物である。個々のポリマー鎖の分子長(又は分子量)及び分子構造は、正確に同じではないが、長さ、重量、及び構造において分布を有する。コポリマー内のコモノマーの分布は、重合プロセスの不均一性又は触媒コモノマー組み込みの不均一性などの要因により、完全にランダムではない場合がある。結果として、半結晶性ポリマーの結晶構造は、例えば、結晶サイズ、結晶均一性、及び結晶融解温度の分布でもある。DSC熱量測定曲線で観察されるように、ポリマーの結晶融解ピークは、多くの単結晶構造材料ほど鋭くないが、ある温度範囲をカバーする。例えば、低密度ポリエチレンは、約115℃のピーク融解温度を有し得るが、80℃未満の温度範囲で融解する結晶を依然として含有する。本明細書では、15~80℃の融解ピーク面積は、低完全性結晶の融解温度範囲を定義するために使用される。
【0020】
通常、様々なサイズ及び融点の結晶子は、半結晶性ポリマーを結晶化温度未満に冷却すると形成される。より低い融解温度を有する、より小さい結晶子及びいくつかの欠陥を有する結晶子を形成することができ、本明細書では「低完全性結晶子」と呼ぶ。加熱すると、結晶子の完全性が向上し、これらの結晶子の融解温度が上昇する。用語「低完全性結晶融解エンタルピー」は、本開示に記載される3Dループ製品の加熱DSC曲線において15~80℃の温度範囲内で計算される積分面積を指す。
【0021】
3Dループ製品を作製するための材料
材料は、材料の総重量に基づいて、少なくとも30%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも35%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも40%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも45%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも50%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも55%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも60%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも65%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも70%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも75%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも80%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも85%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも90%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも95%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも98%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は少なくとも99%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、又は100%のポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、若しくはポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンド、を含む。
【0022】
ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はそれらの混合物から選択される。適切なポリエチレンは、Elite(商標)5815、Enhanced Polyethylene Resin、若しくはEXCEED(商標)3518CB、又はそれらのブレンドとすることができる。
【0023】
好ましくは、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、又はそれらの混合物から選択される。
【0024】
A)エチレン/α-オレフィンランダムコポリマー
エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/プロピレンランダムコポリマー又はエチレン/C4~C8α-オレフィンランダムコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンコポリマーは、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーである。エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、重合形態のエチレン及び1種の共重合性C4~C8α-オレフィンコモノマーから構成されるか、又はさもなければそれらからなる。C4~C8α-オレフィンコモノマーは、1-ブテン、メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、又は1-オクテンから選択され得る。
【0025】
エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、約0.860g/cc~約0.965g/cc、又は約0.870g/cc~約0.925g/cc、又は約0.878g/cc~約0.920g/cc、又は約0.885g/cc~0.918g/cc、又は約0.890g/cc~約0.915g/cc、又は約0.895g/cc~約0.912g/cc、又は約0.890g/cc~約0.910g/ccの密度を有し、本明細書に記載される本発明の組成物のためのエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、190℃、2.16kgで、約40g/10分以下、又は約30g/10分以下、約25g/10分以下、又は約22g/10分以下、又は約20g/10分以下、又は約18g/10分以下、又は約15g/10分以下のメルトインデックス(MI)を有する。あるいは、本明細書に記載される本発明の組成物のためのエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、約0.5g/10分~約40g/10分、又は約2.5g/10分~約38g/10分以下、又は約3g/10分~約30g/10分以下、又は約3g/10分~約25g/10分以下、又は約3g/10分~約20g/10分以下、又は約5g/10分~約18g/10分以下、又は約10g/10分~約15g/10分以下のMIを有する。
【0026】
好適なエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーは、Dow製のENGAGE(商標)POE、例えば、ENGAGE(商標)8401POE、ENGAGE(商標)8402POE、ENGAGE(商標)8450POE、若しくはENGAGE(商標)8480POE、又はそれらのブレンドであり得る。
【0027】
B)エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー(OBC)
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー」は、「オレフィンブロックコポリマー(olefin block copolymer、OBC)」とも呼ばれ、エチレン及び1種以上の共重合性α-オレフィンコモノマーを重合形態で含むインターポリマーを指し、2種以上(好ましくは3種以上)の重合されたモノマー単位の複数のブロック又はセグメントによって特徴付けられ、これらのブロック又はセグメントは、化学的又は物理的特性を異にする。具体的には、この用語は、直鎖状方式で連結した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合した官能基に関して端と端とが連結(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶子のサイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、領域規則性若しくは領域不規則性、長鎖分岐若しくは超分岐を含む分岐の量、均一性、及び/又は任意の他の化学的若しくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布の両方の独特の分布を特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例及びそれを調製するプロセスは、米国特許第7,858,706(B2)号、同第8,198,374(B2)号、同第8,318,864(B2)号、同第8,609,779(B2)号、同第8,710,143(B2)号、同第8,785,551(B2)号、及び同第9,243,090(B2)号に開示されており、これらは全てその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0028】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、化学的又は物理的特性が異なる2種以上の重合されたモノマー単位の複数のブロック又はセグメントによって特徴付けられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、次式:(AB)nによって表され得、式中、nは、少なくとも1、好ましくは1より大きい整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100以上である。「A」は、ハードブロック又はセグメントを表しており、「B」は、ソフトブロック又はセグメントを表している。好ましくは、Aセグメント及びBセグメントは、実質的に分岐鎖状又は実質的に星形の様式とは対照的に、実質的に直鎖状様式で連結される。他の実施形態では、Aセグメント及びBセグメントは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、例えば、ブロックコポリマーは、通常は、次のような構造:AAA-AA-BBB-BBを有していない。なお他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常は、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロック又はセグメントを有していない。なお他の実施形態では、ブロックA及びブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、残りのブロックとは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなどの別個の組成の2つ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まない。
【0030】
オレフィンブロックコポリマーは、概して、例えば、米国特許第7,858,706号に記載されているような鎖シャトリングプロセスを介して生成され、当該特許は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの鎖シャトリング剤及び関連情報は、第16欄39行目~第19欄44行目に列挙されている。いくつかの触媒は、第19欄45行目~第46欄19行目に、いくつかの助触媒は、第46欄20行目~第51欄28行目に記載されている。いくつかのプロセスの特徴は、第51欄29行目~第54欄56行目に記載されている。以下も参照されたい:米国特許第7,608,668号、同第7,893,166号、及び同第7,947,793号、並びに米国特許公開第2010/0197880号。米国特許第9,243,173号も参照されたい。
【0031】
好ましくは、エチレンは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の過半モル分率を構成する、すなわち、エチレンは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の少なくとも50モル%を構成する。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%を構成し、全エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーの実質的な残りは、C4~C8α-オレフィンコモノマーを含み、好ましくは、C4~C8α-オレフィンコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンから選択され得る。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、50モル%、又は60モル%、又は65モル%~80モル%、又は85モル%、又は90モル%のエチレンを含有する。多くのエチレン/オクテンマルチブロックインターポリマーについては、組成物は、エチレン/オクテンマルチブロックインターポリマー全体の80モル%超のエチレン含有量、及びエチレン/オクテンマルチブロックインターポリマー全体の1モル%~20モル%、又は10モル%~20モル%のオクテン含有量を含む。
【0032】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、重合単位のブロックであり、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量%超、又は95重量%、又は95重量%超、又は98重量%超、最大100重量%の量で存在している。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量%未満、又は5重量%、又は5重量%未満、又は2重量%未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンから誘導される全ての、又は実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量%超、又は8重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超である重合単位のブロックである。一実施形態では、ソフトセグメントのコモノマー含有量は、20重量%超、又は25重量%超、又は30重量%超、又は35重量%超、又は40重量%超、又は45重量%超、又は50重量%超、又は60重量%超であり、最大100重量%であり得る。
【0033】
ソフトセグメントは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー中に、エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーの総重量の、1重量%、又は5重量%、又は10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は45重量%、又は50重量%、又は55重量%、又は60重量%、又は65重量%、又は70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、又は90重量%、又は95重量%、又は99重量%存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量百分率及びハードセグメントの重量百分率は、DSC又はNMRから得られたデータに基づいて計算され得る。そのような方法及び計算は、例えば、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、ハード及びソフトセグメントの重量パーセント及びコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄~第63欄に記載のように決定され得る。
【0034】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、連続プロセスで生産され、1.7~3.5、又は1.8~3、又は1.8~2.5、又は1.8~2.2の多分散性指数(Mw/Mn)を有する。バッチ又はセミバッチプロセスで生産された場合、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、又は1.3~3、又は1.4~2.5、又は1.4~2のMw/Mnを有する。
【0035】
好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの非限定的な例は、米国特許第7,608,668号公報に開示されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有し、スチレン非含有であり、(i)エチレン及び(ii)C4~C8α-オレフィンのみからなり、かつ1.7~3.5のMw/Mnを有するものとして定義される。
【0037】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、約0.860g/cc~0.900g/cc、又は約0.870g/cc~約0.895g/cc、又は約0.880g/cc~約0.890g/ccの密度を有し、本明細書に記載されるエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、190℃、2.16kgで、約30g/10分以下、又は約25g/10分以下、又は約22g/10分以下、又は約20g/10分以下、又は約18g/10分以下、又は約15g/10分以下のMIを有する。あるいは、本明細書に記載される本発明の組成物のためのエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、約0.5g/10分~約30g/10分、又は約1g/10分~約25g/10分、又は約3g/10分~約20g/10分、又は約5g/10分~約18g/10分、又は約10g/10分~約15g/10分のMIを有する。
【0038】
好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーは、Dow製のINFUSE(商標)、例えば、INFUSE(商標)9900OBCとすることができる。
【0039】
材料
3Dループ製品を作製するための材料は、ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含み得る。例えば、3Dループ製品を作製するための材料は、1つ以上のエチレン/α-オレフィンランダムコポリマー、1つ以上のエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマー、1つ以上のポリエチレン、ポリエチレンとエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーとのブレンド、ポリエチレンとエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーとのブレンド、エチレン/α-オレフィンランダムコポリマーとエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーとのブレンド、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンランダムコポリマーとエチレン/α-オレフィンマルチブロックインターポリマーとのブレンドを含み得る。3Dループ製品を作製するための材料の構成は変化し得るが、全体的なMI及び密度を有する。
【0040】
好ましくは、本開示の3Dループ製品の材料は、約0.880g/cc~約0.920g/cc、好ましくは約0.885g/cc~0.918g/cc、より好ましくは約0.890g/cc~約0.915g/cc、更により好ましくは約0.895g/cc~約0.912g/ccの密度を有する。
【0041】
好ましくは、本開示の3Dループ製品の材料は、190℃、2.16kgで、約25g/10分以下、好ましくは約22g/10分以下、より好ましくは約20g/10分以下、より好ましくは約18g/10分以下のMIを有する。あるいは、本開示の材料は、約1g/10分~約25g/10分、好ましくは約3g/10分~約20g/10分、より好ましくは約5g/10分~約18g/10分、更により好ましくは約8g/10分~約18g/10分のMIを有する。
【0042】
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料は、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下、又は29J/g以下、又は25J/g以下、又は22J/g以下、又は21J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する。
【0043】
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含み、かつ15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下、又は29J/g以下、又は25J/g以下、又は22J/g以下、又は21J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する材料は、最適化された結晶構造を提供するために、特別に設計された熱処理又は他の方法、例えば製造プロセス最適化を介して得ることができる。例えば、熱処理温度は、70~90℃、好ましくは80~90℃、0.5時間~5日間(又は4時間~30時間、又は6時間~24時間)、好ましくは、80℃、1時間~2日間(又は4時間~30時間、又は6時間~24時間)、又は90℃、4時間~5日間(又は4時間~2日間、又は6時間~24時間)とすることができる。
【0044】
好ましくは、3Dループ製品を作製するための材料は、スチレンポリマーを含まない。
【0045】
また、その材料に、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪酸系、エポキシ系、アジピン酸エステル系、ポリエステル系、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の可塑剤、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、潤滑剤、並びに有機及び無機顔料、を添加することもできる。
【0046】
酸化防止剤としては、公知のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、N-H型ヒンダードアミン系光安定剤、及びN-CH3型ヒンダードアミン系光安定剤から選択される少なくとも1種を添加することが望ましい。
【0047】
フェノール系酸化防止剤の例としては、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、Sumilizer AG80、及び2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレンが挙げられる。
【0048】
ホスファイト系酸化防止剤の例としては、3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12~15アルコールホスファイト、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイトが挙げられる。
【0049】
チオエーテル系酸化防止剤の例としては、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル、及び3,3’-ジトリデシルチオビスプロピオネートが挙げられる。
【0050】
潤滑剤は、炭化水素系ワックス、高級アルコール系ワックス、アミド系ワックス、エステル系ワックス、金属石鹸等から選択される。
【0051】
調製方法
本開示の3Dループ製品を製造する方法は、
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料を押し出すことと、
70~90℃、好ましくは80~90℃で、0.5時間~5日間(若しくは4時間~30時間、若しくは6時間~24時間)、好ましくは、80℃で、1時間~2日間(若しくは4時間~30時間、若しくは6時間~24時間)、又は90℃で、4時間~5日間(若しくは4時間~2日間、若しくは6時間~24時間)の熱処理を行うことと、を含み、
熱処理後の材料は、15~80℃の温度範囲内で計算された30J/g以下の低完全性結晶融解エンタルピーを有する。
【0052】
押し出し
ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、又はポリエチレンとエチレン/α-オレフィンコポリマーとのブレンドを含む材料を押し出して、3Dループ製品を形成することができる。
【0053】
好ましくは、押し出される材料は、約0.880g/cc~約0.920g/cc、好ましくは約0.885g/cc~0.918g/cc、より好ましくは約0.890g/cc~約0.915g/cc、更により好ましくは約0.895g/cc~約0.912g/ccの密度を有する。
【0054】
好ましくは、押し出される材料は、190℃、2.16kgで、約25g/10分以下、好ましくは約22g/10分以下、より好ましくは約20g/10分以下、より好ましくは約18g/10分以下のMIを有する。あるいは、押し出される材料は、約1g/10分~約25g/10分、好ましくは約3g/10分~約20g/10分、より好ましくは約5g/10分~約18g/10分、更により好ましくは約8g/10分~約18g/10分のMIを有する。
【0055】
好ましくは、押し出される材料は、少なくとも20MPa、好ましくは少なくとも30MPa、好ましくは少なくとも40MPa、好ましくは少なくとも50MPa、好ましくは少なくとも55MPa、又は更により好ましくは少なくとも60MPaであるが、150MPa以下、好ましくは140MPa以下、好ましくは130MPa以下、好ましくは120MPa以下の曲げ弾性率を有する。押し出される材料は、20MPa~120MPaの曲げ弾性率を有する。
【0056】
熱処理
押し出し後、70~90℃、好ましくは80~90℃で、0.5時間~5日間(若しくは4時間~30時間、若しくは6時間~24時間)、好ましくは、80℃で、1時間~2日間(若しくは4時間~30時間、若しくは6時間~24時間)、又は90℃で、4時間~5日間(若しくは4時間~2日間、若しくは6時間~24時間)の熱処理を行うことができる。
【0057】
3Dループ製品
圧縮永久歪み試験後の残留歪みは、規格ASTM D3574パートDに従った。試料を70℃で22時間、50%の圧縮歪みで圧縮し、次いで解放し、室温で30分間冷却し、次いで残留歪みを測定した。本開示の3Dループ製品は、70℃で、25%以下、又は24%以下、又は22%以下、又は20%以下、又は18%以下、又は15%以下、又は12%以下、又は好ましくは10%以下の圧縮残留歪みを有する。
【0058】
本開示の3Dループ製品は、40~90g/cm、又は好ましくは50~80g/cm、又はより好ましくは60~70g/cm、又は更により好ましくは65~70g/cmの見かけ密度を有する。
【0059】
3Dループ製品は、座席、マットレス、又はピロー用の緩衝材であり得る。
【実施例
【0060】
次に、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において説明し、全ての部及び百分率は、別段明記されない限り、重量による。
【0061】
1.材料
実施例で使用された原材料の情報を以下の表1に列挙する。
【表1】

*単位:g/cm、**単位:g/10min、190℃、2.16kg
【0062】
2.実施例
[本発明の実施例A-1]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8401/EXCEED(商標)3518CB 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.901g/cmであった。エラストマーの融点は、112℃であった。エラストマーのMIは、10g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、62MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。3Dループ試料は、3DLパッド用途に良好な形態を有していた。
【0063】
[本発明の実施例A-2]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。3Dループ試料は、3DLパッド用途に良好な形態を有していた。
【0064】
[本発明の実施例A-3]
ポリエチレン系熱可塑エラストマーをELITE(商標)5815と複合化した。エラストマーの密度は、0.910g/cmであった。エラストマーの融点は、123℃であった。エラストマーのMIは、15g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、94MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度65g/cmであった。3Dループ試料は、3DLパッド用途に良好な形態を有していた。
【0065】
[比較例A-1]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをENGAGE(商標)8480と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、100℃であった。エラストマーのMIは、1g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、83MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、試料を得た。この試料は、3Dループ構造を形成する繊維ストランドのカールがないことで示されるように、加工性が悪かった。
【0066】
[比較例A-2]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをENGAGE(商標)8402と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、98℃であった。エラストマーのMIは、30g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、72MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、試料を得た。この試料は、MIが高すぎるために製造中に崩壊した。
【0067】
[比較例A-3]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをHDPE HMA 016と複合化した。エラストマーの密度は、0.956g/cmであった。エラストマーの融点は、133℃であった。エラストマーのMIは、20g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、970MPaであった。エラストマーは、座席緩衝材用途には硬すぎる。
【0068】
[比較例A-4]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをENGAGE(商標)8200と複合化した。エラストマーの密度は、0.870g/cmであった。エラストマーの融点は、60℃であった。エラストマーのMIは、5g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、10MPaであった。エラストマーは、座席緩衝材用途には柔らかすぎた。
【表2】

*単位:g/cm、**単位:g/10min、190℃、2.16kg、***MPa
【0069】
まとめると、車両座席用途では、材料組成物の曲げ弾性率は、3DLパッドの快適な硬度範囲を確保するために20~120MPaの範囲であるべきである。これに対応して、密度は、0.880~0.920g/cmの範囲であるべきであり、高MI樹脂で作製された3Dループパッド構造は崩壊し、低MI樹脂で作製された3DLパッド構造は製造中に繊維カールを達成することが困難であるので、MI範囲は、3~20g/10分(190℃、2.16kg)の範囲であるべきである。
【0070】
[本発明の実施例B-1]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。3Dループ試料は、DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で製造した。上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイを通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に1時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、21%、低完全性結晶融解エンタルピーは、27.9J/gであった。
【0071】
[本発明の実施例B-2]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に3時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、18%、低完全性結晶融解エンタルピーは、27.1J/gであった。
【0072】
[本発明の実施例B-3]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に6時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、15%、低完全性結晶融解エンタルピーは、25J/gであった。
【0073】
[本発明の実施例B-4]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に22時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、13%、低完全性結晶融解エンタルピーは、21.1J/gであった。
【0074】
[本発明の実施例B-5]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で90℃に6時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、21%、低完全性結晶融解エンタルピーは、28.5J/gであった。
【0075】
[本発明の実施例B-6]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で90℃に22時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、18%、低完全性結晶融解エンタルピーは、28.9J/gであった。
【0076】
[本発明の実施例B-7]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをELITE(商標)5815と複合化した。エラストマーの密度は、0.910g/cmであった。エラストマーの融点は、123℃であった。エラストマーのMIは、15g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、94MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度65g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に22時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、13.5%、低完全性結晶融解エンタルピーは、21.6J/gであった。
【0077】
[本発明の実施例B-8]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に24時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、10%、低完全性結晶融解エンタルピーは、21.1J/gであった。
【0078】
[本発明の実施例B-9]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8401/EXCEED(商標)3518CB 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.901g/cmであった。エラストマーの融点は、112℃であった。エラストマーのMIは、10g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、62MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に22時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、12%、低完全性結晶融解エンタルピーは、20.1J/gであった。
【0079】
[本発明の実施例B-10]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度80g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に24時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、11%、低完全性結晶融解エンタルピーは、21.6J/gであった。
【0080】
[本発明の実施例B-11]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ30mm、見掛け密度50g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で80℃に22時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、15%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、24.5J/gであった。
【0081】
[比較例B-1]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で90℃に1時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、28%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、33.3J/gであった。
【0082】
[比較例B-2]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。得られた3Dループ試料をオーブン中で90℃に3時間加熱し、次いでオーブンから取り出し、室温まで冷却した。70℃圧縮残留歪みは、28%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、33.1J/gであった。
【0083】
[比較例B-3]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーをELITE(商標)5815と複合化した。エラストマーの密度は、0.910g/cmであった。エラストマーの融点は、123℃であった。エラストマーのMIは、15g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、94MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度65g/cmであった。試料には熱処理を行わなかった。70℃圧縮残留歪みは、34%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、32.5J/gであった。
【0084】
[比較例B-4]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ50mm、見掛け密度70g/cmであった。試料には熱処理を行わなかった。70℃圧縮残留歪みは、47%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、32.7J/gであった。
【0085】
[比較例B-5]
ポリエチレン系熱可塑性エラストマーを、ENGAGE(商標)8402/ENGAGE(商標)8450 60/40重量%/重量%と複合化した。エラストマーの密度は、0.902g/cmであった。エラストマーの融点は、97℃であった。エラストマーのMIは、12g/10分(190℃、2.16kg)であった。エラストマーの曲げ弾性率は、65MPaであった。DIDA machinery company製の3Dループ製造ライン(DIDA-1500)で、以下のようにして3Dループ試料を製造した:上記エラストマーを単一押出機に供給して融解状態にし、円形孔アレイが設置されたT型ダイに通過させて繊維融解物を製造した。孔の直径は、0.8mmであり、孔間の距離は、約10mmであり、アレイの長さは、約400mmであり、アレイの幅は、約50mmであった。繊維融解物を冷却水(約30℃)に滴下し、次いで、約0.5メートル/分に制御された速度でコンベアベルトシステムによって引っ張り、3Dループ試料を得た。次いで、3Dループ試料を試験のために設計されたサイズ(400mm×400mm×50mm)に切断した。得られた3Dループ試料は、繊維径約0.65mm、厚さ30mm、見掛け密度50g/cmであった。試料には熱処理を行わなかった。70℃圧縮残留歪みは、50%であり、低完全性結晶融解エンタルピーは、33.2J/gであった。
【表3】

*標準偏差は約0.5J/gである。
【0086】
3.試験
曲げ弾性率は、1.36mm/分でASTM D790に従ってInstron 5566で測定した。
【0087】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238(2.16kg、190℃の試験条件)に従ってTinius Olsen MP600で試験した。
【0088】
DSCは、以下の方法に従ってDSC-Q2000で試験した。
【0089】
方法
1:0℃で平衡化する
2:データ記憶:オン
3:200℃まで10℃/分の勾配
4:3分間等温
5:サイクル1の終了をマークする
6:0℃まで-10℃/分の勾配
7:3分間等温
8:サイクル2の終了をマークする
9:200℃まで10℃/分の勾配
10:サイクル3の終了をマークする
11:方法の終了
【0090】
圧縮残留歪み:
3Dループ試料の圧縮永久歪みをASTM D3574-2017に従って測定した。試験片は、約5cmの均一な厚さを有する20cm×20cmの正方形の3Dループパッドであった。圧縮固定具を使用して70℃で22時間、50%の歪みで圧縮した後、圧縮を除去し、3Dループ試料片を室温で30分間回復させた。最終的な試験片の厚さを測定し、次式を用いて圧縮永久歪を計算した。
圧縮永久歪み(%)=((T-T)/T)×100
式中、Tは、元の試料厚さであり、Tは、最終的な試料厚さである。
【0091】
低完全性結晶融解エンタルピー計算
図1は、本発明の実施例B-8の3Dループ試料の1st熱融解DSC曲線及び低完全性結晶融解エンタルピーを示す。影付き領域は、低完全性結晶の融解に対応する(温度範囲:15~80℃)。低完全性結晶融解エンタルピーは、図に示すように、15~80℃の融解曲線とベースラインとの間の面積を積分することによって計算することができる。16個の試料は、異なる低完全性結晶融解エンタルピー及び70℃での対応する3Dループ試料圧縮残留歪み特性を表3に報告する。
図1
【国際調査報告】